(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5872620
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】自動分析装置
(51)【国際特許分類】
G01N 35/08 20060101AFI20160216BHJP
G01N 35/02 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
G01N35/08 D
G01N35/02 G
【請求項の数】8
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-96448(P2014-96448)
(22)【出願日】2014年5月8日
(62)【分割の表示】特願2010-548393(P2010-548393)の分割
【原出願日】2010年1月18日
(65)【公開番号】特開2014-139589(P2014-139589A)
(43)【公開日】2014年7月31日
【審査請求日】2014年5月8日
(31)【優先権主張番号】特願2009-17462(P2009-17462)
(32)【優先日】2009年1月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100100310
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 学
(72)【発明者】
【氏名】坂入 進
(72)【発明者】
【氏名】坂詰 卓
(72)【発明者】
【氏名】高橋 克明
【審査官】
長谷 潮
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−300752(JP,A)
【文献】
特開2008−058127(JP,A)
【文献】
実開平04−004274(JP,U)
【文献】
特開平10−267936(JP,A)
【文献】
特開平08−146010(JP,A)
【文献】
実開平06−010868(JP,U)
【文献】
特開昭60−140156(JP,A)
【文献】
特開平08−136543(JP,A)
【文献】
特開平11−242032(JP,A)
【文献】
特開平07−103986(JP,A)
【文献】
特開平08−075756(JP,A)
【文献】
特開2003−083992(JP,A)
【文献】
実開昭56−035050(JP,U)
【文献】
特開平11−038017(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00−35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応液を吸引し、分析処理中に位置が固定されているノズルと、
前記ノズルと接続され、反応液中の測定対象物を定量測定する測定部と、
前記反応液を収容する反応容器と、分析処理に必要な試薬を収容する一つ以上の試薬容器を載置可能な反応液・試薬搬送機構と、
分析段階に応じて必要な反応容器または試薬容器に前記ノズルがアクセス可能となる位置へ移送されるように、前記反応容器または前記試薬容器が保持された前記反応液・試薬搬送機構を駆動させる駆動機構と、
前記反応液・試薬搬送機構上に設置された前記試薬容器に試薬を供給する試薬供給部と、を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
請求項1記載の自動分析装置において、
前記反応液・試薬搬送機構上の試薬容器内の試薬量を検出する試薬量検出手段を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
請求項2記載の自動分析装置において、
前記試薬供給部は前記試薬量検出手段が検出した試薬量に応じて、試薬の供給量を決定することを特徴とする自動分析装置。
【請求項4】
請求項1記載の自動分析装置において、
固定されたノズルの位置と前記試薬供給部の位置の間隔が、前記反応液・試薬載置機構上に容器が載置された間隔と略等しいことを特徴とする自動分析装置。
【請求項5】
請求項1記載の自動分析装置において、
反応液を収容した前記反応容器を複数設置可能な反応槽と、
測定対象の反応液を含む反応容器を前記反応槽から前記反応液・試薬搬送機構へ搬送する把持機構と、を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項6】
請求項1記載の自動分析装置において、
前記駆動機構は、
前記反応液・試薬搬送機構は分析段階に応じて前記反応容器または試薬容器のうち必要なものを前記ノズルの下方へ水平移送させる水平移送機構と、
前記ノズル下方に位置付けられた反応容器または試薬容器に前記ノズルがアクセス可能となる高さまで垂直移送させる垂直移送機構と、を備えることを特徴とする自動分析装置。
【請求項7】
請求項6記載の自動分析装置において、
前記反応液・試薬搬送機構は円周上に、反応容器、試薬容器、およびノズル洗浄槽を配置可能であり、
前記水平移送機構は前記反応液・試薬搬送機構を回転移送させることを特徴とする自動
分析装置。
【請求項8】
請求項1記載の自動分析装置において、
前記反応液・試薬搬送機構は、さらに、前記ノズルから前記測定部までの測定流路内を洗浄する液体を収容する洗浄液容器を載置することを特徴とする自動分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
臨床検査や化学分析に係わり、特に分析において磁性粒子を用いる自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フローセルを用いる免疫分析において、特に磁性粒子を用いる自動分析装置では、試料と、磁性粒子と、この磁性粒子を前記試料中の測定対象物と結合させる抗体および標識物質を含む標識抗体との混合液中で抗原抗体反応を起こして測定対象成分の定量分析を行う。
【0003】
測定対象成分と磁性粒子と標識物質との結合物を含む混合液(以下、反応液)から非測定対象成分を除去するため、反応液が流れる流路上に磁石などの磁気分離機構を設けている。
【0004】
測定対象成分は磁性粒子と結合しているため、磁気分離機構によって捕捉されるが、非測定対象成分は捕捉されずにそのまま流されるために分離が可能となる。
【0005】
このように分離した測定対象成分に対し、電圧を印加すると測定対象成分に結合した標識物質が発光するため、その発光量を計測することで測定対象成分を定量することができる。このような分析装置は例えば特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−258237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の免疫分析装置では、反応液および試薬は規定位置に設置され、それらを吸引するためのノズルが規定位置まで移動する方式を取っていた。一般的なノズルから測定部(フローセル)までの流路構成は以下の通りである。
【0008】
金属など変形しないノズル,ノズルに接続する形状可変のチューブ,形状可変チューブに接続する金属製の温調用パイプ,温調用パイプに接続する形状可変のチューブ、および形状可変チューブに接続するフローセル。
【0009】
上記流路構成においては、流路の接続部が4箇所存在する。すなわち、ノズルと形状可変チューブの間,形状可変チューブと温調用パイプの間,温調用パイプと形状可変チューブの間、および形状可変チューブとフローセルの間である。
【0010】
流路接続部では製作誤差のため、流路内径を完全に一致させることは非常に困難であり、通常は段差が存在する。段差の部分では液の流れが乱れ、特に磁性粒子を含む反応液の場合、段差部に磁性粒子が滞留、あるいは一時滞留する。さらに滞留した磁性粒子が、後方からの流れに押されて不規則に段差部から剥がれるため、例えば試料測定中に前回測定した反応液の滞留成分が剥がれて流れると、測定条件によっては、キャリーオーバーとなり誤測定の要因となる怖れがあった。
【0011】
また、流路を形成するノズル自体が反応液や試薬を吸引するために頻繁に移動していたが、その移動の際にノズルに接続された形状可変チューブが変形して屈曲・伸縮する。これにより、測定中にチューブ内径寸法が変動して流れの状態が変化する、屈曲部で磁性粒子が滞留する、ノズル移動時の振動により流路内の滑らかな流れが妨げられる、といった問題が、条件によっては発生する可能性があった。
【0012】
前述の流路接続部の段差、および流路変形が発生すると、例えノズルが均一な分散の磁性粒子を含んだ反応液を吸引しても、流路内における磁性粒子の分散が不均一になる。これにより磁気分離手段で磁性成分を捕捉する際にも、均一な磁性粒子濃度で捕捉面に捕捉できず、電圧を印加して発光させても検出発光量の再現性が悪化する。そのため、ノズルから測定部までの流路は段差が無く滑らかで、かつ流路の状態が安定していることが望ましいと言える。
【0013】
本発明の目的は、測定中に反応液が通る測定流路の変形や屈曲,伸縮が無く、測定流路内における反応液中成分の分散が不均一とならない流路をもつ免疫分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するための本発明の請求項1に係る構成は以下の通りである。
【0015】
試料,磁性粒子、および前記磁性粒子を前記試料中の測定対象物と結合させる抗体と、標識物質を含む標識抗体とを混合して生成された反応液を吸引するノズルと、前記ノズルで吸引した反応液内の磁性成分のみを捕捉して、磁性成分と非磁性成分とに分離する磁気分離手段と、前記磁気分離手段において捕捉した磁性成分を定量測定する測定部と、を備えた自動分析装置において、前記ノズルは前記測定部に直接接続されたことを特徴とした自動分析装置。
【0016】
請求項1に係る自動分析装置は、磁性粒子を用いる免疫分析において、従来ノズルと測定部の間に形状可変チューブを接続していたのに対し、ノズルと測定部を直接接続して測定部までの流路が測定中に変形しない構造としたものである。
【0017】
ここでノズルと測定部とは一体となって形成されていてもよいし、別々に形成されたものを接続している形状でも良いが、ノズルと測定部の境目が段差なく滑らかに接続されているのが望ましい。
【0018】
測定対象物を含む反応液を収容している反応容器、および分析処理に必要な試薬を収容している試薬容器は、前記固定されたノズルの直下に置かれる。ノズルは反応液と試薬を順次吸引し、測定部へ送る。測定部へ送られた反応液は、前記磁気分離手段によって測定対象物を含む磁性成分が捕捉され、非磁性成分は、当該試薬により洗い流される。また、測定終了後は、別の試薬を前記ノズルで吸引して、測定部に残された磁性成分を完全に洗い流し、次の測定に備える。
【0019】
この間の流路は完全に固定されており、かつ、流路内面も滑らかに加工されているため流路内および測定部における反応液は均一な流れとなる。測定部の周囲には磁性粒子と結合した測定対象成分を反応液から分離するため、反応液に対して磁気をかける磁気分離機構が配置されている。
【0020】
この磁気分離機構は永久磁石を用いても良いし、他の磁気発生要因を用いても良い。
【0021】
反応液の均一な流れに対して上記の磁気分離機構を用いると、磁性粒子が捕捉面に均一に付着するため、測定の再現性が増す。
【発明の効果】
【0022】
以上述べたように、本発明によればこの特徴により、細径流路に滞留や不均一流れを生じやすい磁性粒子に対しても、測定部において安定した流れを確保し、分析データのバラつきやキャリーオーバーを低減することができる。
【0023】
これにより測定結果の再現性および精度向上が見込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】測定部周辺と反応液・試薬搬送機構の基本構成を示した説明図。
【
図3-1】自動分析装置の平面図(反応槽での反応容器の搬入出)。
【
図3-2】自動分析装置の平面図(反応液・試薬搬送機構での反応容器の搬入出)。
【
図3-3】自動分析装置の平面図(反応液吸引位置)。
【
図3-4】自動分析装置の平面図(ノズル洗浄位置)。
【
図3-5】自動分析装置の平面図(試薬(a)吸引位置/試薬(b)供給位置)。
【
図3-6】自動分析装置の平面図(試薬(b)吸引位置/試薬(a)供給位置)。
【
図3-7】自動分析装置の平面図(洗浄用液吸引位置)。
【発明を実施するための形態】
【0025】
フローセルにノズルを下向きに直接接続する。反応液を収容する反応容器および試薬を収容する試薬容器など、分析を行う上で必要不可欠なものを同一面に配置し、それらが順次ノズルの直下へ水平移動後、上昇することで、反応液や試薬はノズルからフローセルへ吸引され測定を行う。
【0026】
本発明の実施例について、以下に図面を用いて説明する。
【0027】
図1は、本発明の基本構成を示す図である。磁性粒子と結合した測定対象物を含む反応液102および反応液102を収容する反応容器101、同様に測定に必要な2種類の試薬(a)105と試薬(b)106、および試薬(a)105と試薬(b)106を収容する試薬容器(a)103と試薬容器(b)104,反応容器101と試薬容器(a)103,試薬容器(b)104を保持する保持部107が、反応液・試薬搬送機構の基本構成である。フローセル108,フローセル108に接続するノズル109,フローセル108に接続されたチューブ110,チューブ110に接続されたシリンジ111が、測定部周辺の基本構成で、ノズル109からシリンジ111まで、1本の流路となっている。反応液・試薬搬送機構は、保持部107を水平移動および上下移動させる手段を備えており、測定手順に応じたタイミングで、保持部107に保持された反応液102あるいは試薬(a)105,試薬(b)106をノズル109まで移動させ、シリンジ111で吸引することで、反応液102や試薬(a)105,試薬(b)106をフローセル108まで移動させる。反応液102の吸引時には、磁気分離手段によって、反応液102に含まれる磁性粒子を含む反応生成物をフローセル108内で捕捉し、捕捉した反応生成物に対し電圧を印加することで発光させ、PMT(光電子増倍管)112により発光量を検出し、測定対象物を定量化する。ここで、安定した測定結果を得るためには、フローセル108内で磁気分離手段により反応生成物を捕捉する際に、捕捉面に均一に反応生成物が捕捉されることが望ましい。そのためには、既に述べたように、流路の完全固定および接続部を削減することで、反応液102内で均一濃度となっている反応生成物が吸引される際に、流路の変形や接続部の段差などにより流れを妨げられることなく、均一の濃度のまま、フローセル108内の捕捉面まで吸引させることができる。なお、
図1の例では、ノズル109からフローセル108までの流路は完全固定であるが、接続部が一箇所存在する。製造の容易さやメンテナンス性(ノズル交換,フローセル交換など)を考慮し、本実施例では、フローセル108とノズル109は別々の部品としている。
図1−Aにフローセル108とノズル109の接続の外観図を、
図1−Bにフローセル108とノズル109の接続の断面図を示す。フローセルとノズルを一体化して接続部を無くすことも可能であり、接続部を完全に無くすことで、吸引時の流れがより安定し、次測定へのキャリーオーバーもより低減できる。
【0028】
図2は、本発明の反応液・試薬搬送機構200の外観図である。反応液・試薬搬送機構200は、測定部に接続されたノズル109の直下に配置され、保持部107に、反応容器101,試薬容器(a)103,試薬容器(b)104,ノズル洗浄部201、の設置部を有する。測定手順に応じたタイミングで保持部107が水平方向に回転することで、反応容器101などの各設置部が、ノズル109直下へ移動した後、保持部107は上昇することで、ノズル109を反応容器101内、あるいは試薬容器(a)103,試薬容器(b)104内へ挿入し、反応液102、あるいは試薬(a)105,試薬(b)106を吸引する。さらにこれらの液体を吸引した後に、ノズル109を洗浄するために、適切なタイミングで、反応容器101などと同様にノズル洗浄部201が、ノズル109の位置まで移動し、洗浄水によりノズル109の洗浄を行う。ここで、本実施例では、保持部107は水平回転することで、保持部107内の各位置をノズル直下へ移動させるが、必ずしも回転移動させる必要はなく、例えば各位置を直線状に配置して、直線水平移動によりノズル109直下へ移動させるような構造でも良い。また、本実施例では一つの可動する保持部107に、反応容器101,試薬容器(a)103,試薬容器(b)104,ノズル洗浄部201、を設置しているが、反応容器101などの各位置がノズル109へ移動できればよいので、ノズル109へアクセス可能な保持部107を複数有し、各保持部にて、ノズル109へアクセスすべき位置を単数あるいは複数有する構造としても良い。また、本実施例では2種類の試薬(a)105,試薬(b)106を使用するが、必要に応じて別の試薬などを設置できる箇所を追加で設けても良い。さらに、本実施例では測定部の流路をメンテナンスするための流路洗浄液を保持する洗浄液容器203を保持できる部位も設けている。これは定期的な(1回/週など)メンテナンス時に使用するためのものであり、通常の分析過程では使用しない。
【0029】
図3−1〜
図3−7は、
図2に示した本発明の反応液・試薬搬送機構200を自動分析装置300に適用した場合の、反応液・試薬搬送機構200周辺の機構を含む平面図で、反応液・試薬搬送機構200の回転方向での各停止位置を示している。ただし、実際は測定機構100が反応液・試薬搬送機構200の上側に配置されるが、図を見やすくするため、測定機構100の図示は省略し、ノズル109のみ記載した。
【0030】
自動分析装置300にて連続測定を実施するためには、反応液102を収容した反応容器101を測定ごとに入れ替える必要があり、反応槽301にて反応過程の終了した反応液102を収容した反応容器101を反応液・試薬搬送機構200へ搬送する手段および、測定の終了した反応容器101を反応液・試薬搬送機構200から取り出す手段が必要となる。本実施例では、反応容器搬送機構302により、反応槽301と反応液・試薬搬送機構200との間で、反応容器101の搬送を実施する。反応槽301自体は水平回転できる構造とし、設置された反応容器101を反応容器搬送機構302が取り出せる位置まで移動させる。反応容器搬送機構302は、反応容器101を把持する機構と前記把持する機構を上下する機構と、また前記機構ごとを水平移動できる構造を有しており、これらの機構により反応容器101を反応槽301と反応液・試薬搬送機構200間で、
図3−1および
図3−2に示すように移動させることができる。
【0031】
測定のために、
図3−3に示す位置へ、搬送された反応容器101を移動させ、ノズル109にて反応液102が吸引される。また、試薬容器(a)103や試薬容器(b)104も、
図3−5,
図3−6に示す位置に適切なタイミングで移動させ、ノズル109により試薬(a)105や試薬(b)106が吸引される。そして、ノズル109に付着した、反応液102,試薬(a)105,試薬(b)106を洗浄するために、適切なタイミングで、
図3−4に示すようにノズル洗浄部201を移動させ、ノズル109を洗浄する。また、測定にて消費された試薬(a)105,試薬(b)106が不足しないように適切なタイミングで試薬容器(a)103に試薬(a)105を、試薬容器(b)104に試薬(b)106を供給する必要がある。本実施例では、試薬容器(a)103に試薬(a)105を供給する試薬供給部(a)303,試薬容器(b)104に試薬(b)106を供給する試薬供給部(b)304を備える。本実施例では、
図3−6に示す位置で試薬(a)105の供給を、
図3−5に示す位置で試薬(b)106の供給を行う。
【0032】
また、試薬供給量は、試薬容器内の液面高さ検出機能を設けることで、検出した液面高さと試薬容器の断面積から算出する。
【0033】
液面を検出する手法は、ノズルなどが液面に接触した際の導通を検出する導通式、同様にノズルなどが液面に接触した際の静電容量の変化を検出する静電容量式などが知られ、他に超音波による検出方法や、画像による検出方法などもある。本実施例では導通式を採用しており、導電性の電極202を導電性の保持部107に固定し、電極202の先端を試薬容器(a)103,試薬容器(b)104内に設置し、保持部107が上昇した際に、試薬容器(a)103内の試薬(a)105の液面にノズル109が接触する(
図3−5)、試薬容器(b)104内の試薬(b)106の液面にノズル109が接触する(
図3−6)、とノズル109と保持部107が導通するような構成とすることで、液面高さが検出可能となる。導電性の保持部107が接触している試薬容器(a)103と試薬容器(b)104を導電性の材料とすることで、電極202を介さずにノズル109と試薬(a)105あるいは試薬(b)106の液面が接触すれば導通を検出することができる。また、実際の試薬消費量にばらつきがなければ、必ずしも液面検知機能は必要ではなく、その消費量の分だけ適切なタイミングで追加する手段を有すれば良い。
【0034】
本実施例では、分析処理は次のような順番で行っており、分析の効率化から、いくつかの停止位置では、複数の処理を同時に行うことがある。(1)反応容器101搬送(
図3−2)→(2)反応液102吸引(
図3−3)→(3)ノズル109洗浄(
図3−4)→(4)反応容器101搬送(反応槽へ戻し)/試薬(a)105の吸引/試薬(b)の供給(
図3−1または
図3−5)→(5)測定→(6)試薬(b)106吸引/試薬(a)の供給(
図3−6)→(7)試薬(a)105吸引(
図3−5)→(1)次の反応容器101搬送(
図3−2)、以降繰り返しとなる。
【0035】
なお、本発明の反応液・試薬搬送機構200の保持部107には、既に述べたように測定部の流路のメンテナンス用の流路洗浄液を保持する洗浄液容器203を設置する部分を設けており、
図3−7に示す位置へ反応液・試薬搬送機構200を動作させ、ノズル109から洗浄液容器203に収容した流路洗浄液を吸引することで、測定部の流路を洗浄することも可能である。
【符号の説明】
【0036】
100 測定部
101 反応容器
102 反応液
103,104 試薬容器
105,106 試薬
107 保持部
108 フローセル
109 ノズル
110 チューブ
111 シリンジ
112 PMT(光電子増倍管)
200 反応液・試薬搬送機構
201 ノズル洗浄部
202 電極
203 洗浄液容器
300 自動分析装置
301 反応槽
302 反応容器搬送機構
303,304 試薬供給部