【実施例1】
【0015】
図1は、実施例1に係る分析装置の構成を示す図である。また、
図2(a)は凸部が形成される固相抽出容器の断面図、
図2(b)は排出路の内面が胴体部の側から縮径し放出口の側に向かって拡径する固相抽出容器の断面図である。また、
図3は充填位置決め機構の構成を示す断面図である。
図1に示すように、実施例1に係る分析装置1は、固相抽出処理部10、試料セット部20、試薬供給部30、試料分析部40を含んで構成され、制御ユニット50で制御される。
【0016】
試料セット部20は、分析対象の測定成分が溶解した溶液(試料液Liq2)が分注された試料容器21を周回に搬送する試料搬送テーブル22、試料搬送テーブル22によって所定位置まで搬送された試料容器21から試料液Liq2を固相抽出処理部10に移す試料分注機構23を含んで構成される。
そして、試料搬送テーブル22の周囲の所定位置には、例えば試料液Liq2を試料容器21に注入する注入機構(図示せず)が備わり、注入機構によって試料液Liq2が試料容器21に分注される。
【0017】
また、試料搬送テーブル22の周囲の所定位置には、試料分注機構23が設置される。試料分注機構23には、試料セット部20と固相抽出処理部10の間を移動可能に構成される試料分注アーム23aが備わる。試料分注アーム23aは試料搬送テーブル22の上方に備わり、その端部には試料液Liq2を吸い上げる吸上げ機構23a1が備わる。そして、試料分注機構23は、試料搬送テーブル22によって所定位置まで搬送された試料容器21に分注されている試料液Liq2を吸上げ機構23a1で吸い上げ、吸い上げた試料液Liq2を試料分注アーム23aによって固相抽出処理部10に移動可能に構成される。
【0018】
固相抽出処理部10は、複数の容器(固相抽出容器11)が取り付けられて、この固相抽出容器11を周回に搬送する抽出容器テーブル12と、抽出処理部13と、固相抽出容器11に固相抽出材を充填する固相抽出材充填機構14と、固相抽出容器11から固相抽出材を排出する排出機構15と、試薬注入機構16と、容器洗浄機構17と、を含んで構成される。
抽出容器テーブル12は、例えば円形の円盤状に形成され、中心部が分析装置1に回転可能に取り付けられて固相抽出容器11を周回に搬送するように構成される。
また、実施例1の固相抽出容器11は、試料液Liq2に含まれる測定成分を吸着する固相抽出材が充填される筒状の容器(シリンジ)である。
【0019】
なお、実施例1の固相抽出処理部10において、固相抽出容器11は円盤状の抽出容器テーブル12で周回に搬送される構成としたが、この構成は限定されない。例えば、固相抽出容器11が所定の間隔で升目状に配置され、図示しない搬送アーム等で搬送される構成であってもよい。例えば、12列×8列で96個の固相抽出容器11が配置される構成の分析装置1などがある。
【0020】
図2(a)に示すように、固相抽出容器11は、略円筒形で一端が開放している中空の胴体部11aと、胴体部11aの先端が縮径されて形成され、先端部に放出口11b1が開口する排出路11bと、を含んでなる。そして、胴体部11aと排出路11bは縮径部11cで連続的に接続される。
胴体部11aには開放している一端から試料液Liq2(
図1参照)が注入され、胴体部11aに注入された試料液Liq2は排出路11bを通って放出口11b1から排出される。
なお、後記するフィルタを充填する時のフィルタの弾性力を考慮すると、排出路11bの胴体部11a側の内径R1と、排出路11bの放出口11b1側の内径R2と、は、「0.6×R1(mm)≦R2≦1.4×R1(mm)」の関係を満たすように設定されることが好適である。
また、排出路11bの内面の一部には周方向の全周に亘って凸状となる凸部11dが形成される。凸部11dは、例えば断面形状が三角形となるように形成され、排出路11bの内面は凸部11dによって部分的に縮径される。
そして、固相抽出容器11の排出路11bに胴体部11aの側から固相抽出材が充填されて凸部11dで係止するように構成される。
【0021】
凸部11dの形状は限定するものではない。例えば、測定成分の固相抽出時に印加される圧力から後記するフィルタに加わる圧力を考慮すると、排出路11bの内面から三角形の頂部までの高さHtが、「0.1(mm)≦Ht≦0.2×R1(mm)」の範囲で、頂部から内面を臨む角度θ1が、「0.1(度)≦θ1≦90(度)」の範囲であれば、凸部11dで好適に固相抽出材を係止できることが実験等によって明らかとなった。したがって、排出路11bの内面から0.1mm以上、「0.2×R1(mm)」以下となるように突出し、頂部から内面を0.1度以上、90度以下の角度で臨む凸部11dが好適である。
【0022】
また、
図2(b)に示すように、排出路11bの内面が胴体部11a側の端部から徐々に縮径し、さらに、任意の位置に形成される頂部から放出口11b1に向かって徐々に拡径する構成の固相抽出容器11であってもよい。この構成では頂部が凸部11dとなる。また、排出路11bの胴体部11a側の端部の内面の径R1と、排出路11bの放出口11b1側の端部の内面の径R2とが、
図2(a)に示す固相抽出容器11と同様に、「0.6×R1(mm)≦R2≦1.4×R1(mm)」の関係を満たすように設定されることが好ましい。
【0023】
図1の説明に戻る。実施例1の分析装置1には、固相抽出容器11に未使用の固相抽出材を充填する固相抽出材充填機構14が備わる。固相抽出材充填機構14は、測定成分が含まれる試料液からゴミなどを除去するフィルタを固相抽出容器11に供給するフィルタ供給機構14aと、測定成分を吸着する固相抽出材を固相抽出容器11に供給する固相抽出材供給機構14cと、固相抽出容器11におけるフィルタおよび固相抽出材の位置を決定する充填位置決め機構14bと、を含んで構成される。
【0024】
フィルタ供給機構14aは分析装置1に取り付けられた抽出容器テーブル12の上方に配置され、例えば球形のフィルタを固相抽出容器11に落下するように構成される。また、固相抽出材供給機構14cは分析装置1に取り付けられた抽出容器テーブル12の上方に配置される。そして、粉末状の固相抽出材が溶液に分散しているスラリー状の抽出材液を固相抽出容器11に滴下するように構成される。
【0025】
充填位置決め機構14bは分析装置1に取り付けられた抽出容器テーブル12の上方に配置され、
図3に示すように、図示しないアクチュエータで下方(固相抽出容器11の側)に移動可能に備わる本体部140を含んで構成される。そして、この本体部140にはピン状のロッド141が備わる。ロッド141は本体部140から下方に向かって移動可能に備わり、本体部140の内部で弾性部材(スプリング142)によって弾性支持される。このスプリング142はロッド141を下方に付勢し、ロッド141の先端部に、上方に向かう所定の力が印加されたときにロッド141が上方に移動するように構成される。
【0026】
充填位置決め機構14bの具体的な構成は限定されるものではない。例えば、本体部140の内部に、上下方向を軸方向とするガイドレール140aと、このガイドレール140aにガイドされて上下方向にスライド移動する下側が閉塞した可動筒143と、が備わる構成とする。ロッド141は、可動筒143の閉塞した下方を貫通するように固定されて可動筒143と一体に移動する。なお、可動筒143の上方は開放している。
また、可動筒143の中空部にはロッド141が挿通し、ロッド141の周囲に圧縮バネからなるスプリング142が備わる。さらに、本体部140には、可動筒143の上側でスプリング142を係止する係止板140bが備わる。
この構成によって、スプリング142は、可動筒143の閉塞した一端と本体部140の係止板140bの間で適宜圧縮状態に備わり、可動筒143およびロッド141を下方に向かって付勢する。
なお、例えば、ガイドレール140aの下方に可動筒143の移動を規制する端部140a1が形成される構成とすれば、可動筒143がガイドレール140aから外れることを防止できる。
【0027】
また、ロッド141は係止板140bを貫通するように備わり、本体部140の上方にはロッド141の軸線上に圧力検出手段(圧力センサ140c)が取り付けられる。
圧力センサ140cは、例えばロッド141の端部が当接したときの圧力を検出するセンサであり、検出信号を分析装置1の制御ユニット50(
図1参照)に入力する。制御ユニット50は圧力センサ140cから入力される検出信号によって、ロッド141が圧力センサ140cに当接して押圧する圧力を検出できる。
【0028】
実施例1において、固相抽出容器11は
図2(a)または
図2(b)に示すように構成され、固相抽出材充填機構14の充填位置決め機構14bは
図3に示すように構成される。
【0029】
図1の説明に戻る。分析装置1に取り付けられた抽出容器テーブル12は試料分注機構23の試料分注アーム23aの下方に配置されて、試料分注アーム23aの直下に固相抽出容器11を搬送するように備わる。そして、試料分注アーム23aの吸上げ機構23a1が試料セット部20で試料容器21から吸い上げた試料液Liq2が固相抽出容器11に吐出されるように構成される。
また、抽出処理部13、排出機構15、試薬注入機構16および容器洗浄機構17は、抽出容器テーブル12の周囲の所定位置に適宜配置される。
【0030】
抽出処理部13には、高圧空気を出力する加圧ノズル13a(
図4(d)参照)が備わり、高圧空気を固相抽出容器11内に吐出して固相抽出容器11を加圧する機能を有する。
排出機構15は使用済みの固相抽出材を固相抽出容器11から排出する機能を有する。なお、符号15aは排出機構15の作業アームである。
試薬注入機構16は、試薬供給部30から供給される試薬(固相抽出容器11を洗浄する洗浄用試薬Liq3や測定成分を固相抽出する溶出液Liq4a)を固相抽出容器11に注入する機能を有する。
また、容器洗浄機構17は、固相抽出に使用された固相抽出容器11を洗浄する。
抽出処理部13、排出機構15、試薬注入機構16、容器洗浄機構17の詳細は後記する。
【0031】
試料分析部40は、固相抽出容器11から抽出される、測定成分を含む溶出液を収容する容器(溶出液収容容器41)を周回に搬送する溶出液搬送テーブル42と、溶出液収容容器41に収容された溶出液を分析実施部43に送液する送液部44と、分析実施部43が溶出液中の測定成分を測定して取得したデータ(測定値)に基づいて分析結果を演算する演算システム45と、演算システム45が演算した分析結果を、図示しない出力装置(モニタ、プリンタ等)に出力する外部通信インタフェース45aと、溶出液収容容器41を保管する容器保管部46と、を含んで構成される。
溶出液収容容器41は、分析装置1に取り付けられた抽出容器テーブル12の固相抽出容器11から滴下する、測定成分を含む溶出液を収容する構成であることが好ましく、溶出液搬送テーブル42は抽出容器テーブル12の下方に備わる構成が好ましい。
分析実施部43は、固相抽出処理部10で抽出された、溶出液中の測定成分を測定してデータを取得する装置であって、分析装置1の目的に適した装置で構成される。
分析実施部43における、測定成分の測定方法は、液体クロマトグラフィ、質量分析などであるがこれは限定されない。
そして、分析実施部43で取得された測定値は演算システム45に入力される。演算システム45は入力された測定値に基づいて測定成分の分析結果を演算する。また、演算システム45は必要に応じて演算した分析結果を外部通信インタフェース45aを介して、図示しないモニタやプリンタで出力する。また、制御ユニット50や演算システム45は、必要に応じて分析結果を図示しない記憶媒体(HDD:Hard Disk Drive等)に記憶する。
なお、使用されない溶出液収容容器41は容器保管部46に保管され、必要に応じて図示しない搬送装置(搬送アーム等)で溶出液搬送テーブル42にセットされる構成とすればよい。
【0032】
試薬供給部30は、固相抽出容器11を洗浄する洗浄用試薬Liq3や試料液に含まれる測定成分を固相抽出する溶出液Liq4aが充填される試薬容器31を周回に搬送する試薬搬送テーブル32を備える。試薬搬送テーブル32は試薬注入機構16の試薬注入アーム16aの下方に配置され、試薬容器31を試薬注入アーム16aの直下に搬送する。試薬注入アーム16aには試薬容器31から洗浄用試薬Liq3や溶出液Liq4aを吸い上げる吸上げ機構16a1が備わり、試薬容器31から吸い上げた洗浄用試薬Liq3や溶出液Liq4aを分析装置1に取り付けられた抽出容器テーブル12の固相抽出容器11に吐出する。このため、試薬注入アーム16aは抽出容器テーブル12より上方に備わる。
また、試薬供給部30には、洗浄用試薬Liq3や溶出液Liq4aが吸い上げられて空の状態になった試薬容器31に洗浄用試薬Liq3や溶出液Liq4aを補充する補充機構(図示せず)が備わっている。
なお、洗浄用試薬Liq3や溶出液Liq4aを補充する方法は、試薬容器31ごと取り替える方法や、溶液(洗浄用試薬Liq3,溶出液Liq4a)のみを試薬容器31に供給する方法などがあるが、これらの方法に限定されない。
以上のような構成によって、試薬供給部30は連続的に洗浄用試薬Liq3や溶出液Liq4aを供給できる。
【0033】
また、例えば、外部通信インタフェース45aに接続されるパーソナルコンピュータ(図示せず)等の入力装置から、試薬搬送テーブル32にセットされた試薬容器31の試薬(洗浄用試薬Liq3,溶出液Liq4aなど)情報が、試薬搬送テーブル32における試薬容器31の位置情報とともに入力されて演算システム45に書き込まれる構成が好ましい。制御ユニット50は演算システム45から試薬容器31の位置情報と補充される試薬の情報を取得することによって、試薬容器31に補充される試薬と、その試薬容器31がセットされている試薬搬送テーブル32の位置を識別できる。
【0034】
または、試薬容器31に、充填された試薬の情報を示すバーコードが添付され、試薬注入アーム16aにバーコードリータが備わる構成としてもよい。そして、試薬注入アーム16aが試薬容器31のバーコードから読み取った情報を制御ユニット50に送信する構成であってもよい。制御ユニット50は試薬注入アーム16aがバーコードから読み取った情報に基づいて試薬容器31の試薬を識別できる。
【0035】
または、情報を書き込み自在なRFID(Radio Frequency IDentification)などのチップが試薬容器31に備わり、試薬注入アーム16aに、チップに書き込まれた情報を読み取るリーダが備わる構成としてもよい。そして、試薬注入アーム16aが当該チップから読み取った情報を制御ユニット50に送信する構成としてもよい。さらに、図示しない補充機構が試薬容器31に補充した試薬(洗浄用試薬Liq3や溶出液Liq4a)を識別する情報をこのチップに書き込む構成とすれば、試薬注入アーム16aがチップに書き込まれた情報を読み取って制御ユニット50に送信することで、制御ユニット50は試薬容器31の試薬を識別できる。
【0036】
以上、
図1に示すように、実施例1に係る分析装置1は、固相抽出処理部10、試料セット部20、試薬供給部30、試料分析部40を含んで構成され、制御ユニット50で制御される。そして、制御ユニット50は、固相抽出容器11に固相抽出材を充填する工程(固相抽出材充填工程)と、固相抽出材が充填された固相抽出容器11で試料液に含まれる測定成分を固相抽出する工程(固相抽出工程)と、固相抽出後の固相抽出容器11を洗浄する工程(容器洗浄工程)を適宜実行しながら測定成分を分析する。
【0037】
図4は、制御ユニットが固相抽出材充填機構を制御して固相抽出容器に固相抽出材を充填する固相抽出材充填工程を示す図であり、
図4(a)は第1工程を示す図、
図4(b)は第2工程を示す図、
図4(c)は第3工程を示す図、
図4(d)は第4工程を示す図、
図4(e)は第5工程を示す図、
図4(f)は第6工程を示す図、
図4(g)は第7工程を示す図である。
図4(a)〜
図4(g)に示すように、固相抽出材充填工程では7つの工程(第1工程〜第7工程)で固相抽出容器11に固相抽出材M1が充填される。なお、
図4には粉末状の固相抽出材M1を固相抽出容器11に充填する固相抽出材充填工程を示す。以下、
図4を参照して固相抽出材充填工程を説明する(適宜
図1〜3参照)。
【0038】
図4(a)に示す第1工程SA1で制御ユニット50は、抽出容器テーブル12を制御して固相抽出容器11をフィルタ供給機構14aの直下に搬送する。そして制御ユニット50はフィルタ供給機構14aを制御して、固相抽出容器11にフィルタ(下フィルタF1)を供給する。実施例1においてフィルタは球形であって伸縮性を有し、フィルタ供給機構14aは直下に搬送された固相抽出容器11に球形のフィルタ(下フィルタF1)を落下する機能を有する。
そして、フィルタ供給機構14aから球形の下フィルタF1が固相抽出容器11の胴体部11aに投入される。フィルタの径は排出路11bの内面の径より大きく形成され、下フィルタF1は縮径部11cと排出路11bの境界で停止する。
なお、フィルタ(下フィルタF1)の形状は球形に限定されるものではない。円柱形状、テーパの付いた円柱形状、段の付いた円柱形状、などであってもよい。また、断面形状が、台形、菱形、正方形、長方形等を呈する角柱形状のフィルタであってもよい。
【0039】
図4(b)に示す第2工程SA2で制御ユニット50は、抽出容器テーブル12を制御して下フィルタF1が投入された固相抽出容器11を充填位置決め機構14bの直下に搬送する。
さらに制御ユニット50は充填位置決め機構14bの本体部140を下方に移動する。下フィルタF1が投入された固相抽出容器11にロッド141が入り込み、さらに、ロッド141は下フィルタF1を排出路11bに押し込んで進行させながら自身も排出路11bに進入する。
下フィルタF1が凸部11dに当接すると進行が妨げられ、ロッド141の先端部に上方に向かう抵抗力が生じる。この抵抗力によってロッド141を支持するスプリング142が弾性圧縮しロッド141の進行は停止する。
このようにスプリング142が弾性圧縮することでロッド141が下フィルタF1を押し込む力が規制されて下フィルタF1に過剰な力が加わることが抑制される。そして、下フィルタF1の塑性変形が防止される。
換言すると、スプリング142は、下フィルタF1が塑性変形しない程度の弾性力をロッド141に付与する構成であることが好ましい。
具体的にスプリング142の弾性力が下フィルタF1の弾性力より小さいことが好ましい。
【0040】
また、スプリング142はロッド141に下方に向かう弾性力を付与する。そして、ロッド141は本体部140とともに下方に移動してフィルタ(下フィルタF1)を排出路11bの内面に沿って進行させる。つまり、スプリング142は、ロッド141の進行方向の弾性力をロッド141に付与する。そして、ロッド141は、スプリング142によって付与される弾性力で下フィルタF1を排出路11bの内面に沿って進行させる。
この構成によって、下フィルタF1に塑性変形を生じさせることなく、ロッド141は下フィルタF1を排出路11bの内面に沿って進行させることができる。
【0041】
ロッド141の進行が停止した状態で本体部140が下方に移動すると、ロッド141は本体部140に対して上方に移動し、端部が圧力センサ140cに当接する。圧力センサ140cはロッド141の端部の押圧で生じる検出信号を制御ユニット50に入力する。つまり、圧力センサ140cは、排出路11bの凸部11dで係止した下フィルタF1からロッド141が受ける力を圧力として検出する圧力検出手段である。
制御ユニット50は圧力センサ140cから入力される検出信号によって、ロッド141が圧力センサ140cを押圧する圧力を検出し、この圧力が所定値になったときに固相抽出容器11から離反するように本体部140を上方に移動する。
下フィルタF1は固相抽出容器11の排出路11bに残り、下フィルタF1の位置が決定される。
【0042】
このように、第2工程SA2では、フィルタ供給機構14aからフィルタ(下フィルタF1)が固相抽出容器11に供給され、充填位置決め機構14bによって、凸部11dの位置が排出路11bにおける下フィルタF1の位置に決定される。そして、下フィルタF1が固相抽出容器11に充填される。したがって、実施例1においては、フィルタ供給機構14aと充填位置決め機構14bでフィルタ充填機構が構成される。
【0043】
図4(c)に示す第3工程SA3で制御ユニット50は、抽出容器テーブル12を制御して下フィルタF1が充填された固相抽出容器11を固相抽出材供給機構14cの直下に搬送する。
そして制御ユニット50は固相抽出材供給機構14cを制御して、固相抽出材M1を固相抽出容器11に充填する。具体的に固相抽出材供給機構14cは粉末状の固相抽出材M1が溶液に分散しているスラリー状の抽出材液Liq1を固相抽出容器11の胴体部11aに注入するように構成される。
固相抽出容器11の胴体部11aに注入された抽出材液Liq1は排出路11bに流れ込み下フィルタF1によって堰き止められて下フィルタF1の上方に溜まる。
【0044】
図4(d)に示す第4工程SA4で制御ユニット50は、抽出容器テーブル12を制御して抽出材液Liq1が注入された固相抽出容器11を抽出処理部13の直下に搬送する。そして制御ユニット50は抽出処理部13を制御して、抽出処理部13に備わる加圧ノズル13aを固相抽出容器11の胴体部11aに嵌め込む。そして制御ユニット50は抽出処理部13を制御して加圧ノズル13aの先端部から高圧空気を固相抽出容器11に送り込む。固相抽出容器11は加圧され、抽出材液Liq1の液体成分Liq1aは加圧によって下フィルタF1を通って排出され、抽出材液Liq1に分散していた粉末状の固相抽出材M1が下フィルタF1の上方に残存する。つまり、固相抽出材M1は下フィルタF1で係止される。
【0045】
図4(e)に示す第5工程SA5で制御ユニット50は、抽出容器テーブル12を制御して固相抽出材M1が充填された固相抽出容器11をフィルタ供給機構14aの直下に搬送する。そして制御ユニット50はフィルタ供給機構14aを制御して、固相抽出容器11の胴体部11aにフィルタ(上フィルタF2)を供給する。上フィルタF2は縮径部11cと排出路11bの境界で停止する。
【0046】
図4(f)に示す第6工程SA6で制御ユニット50は、抽出容器テーブル12を制御して上フィルタF2が投入された固相抽出容器11を充填位置決め機構14bの直下に搬送する。
そして、制御ユニット50は充填位置決め機構14bを制御して、下フィルタF1の位置決めと同様に上フィルタF2を位置決めする。
ロッド141で排出路11bに押し込まれた上フィルタF2は適宜固相抽出材M1を圧縮した位置で停止する。
【0047】
図4(g)に示す第7工程SA7で制御ユニット50はロッド141が圧力センサ140cを押圧する圧力を検出し、この圧力が所定値になったときに本体部140を上方に移動する。
上フィルタF2は固相抽出容器11の排出路11bに残り、上フィルタF2の位置が決定される。
このように、実施例1では、充填位置決め機構14bで上フィルタF2の位置が決定されることによって固相抽出材M1の位置が決定され、固相抽出材M1が固相抽出容器11に充填される。したがって、実施例1では、固相抽出材供給機構14cと充填位置決め機構14bで抽出材充填機構が構成される。
【0048】
このような第1工程SA1から第7工程SA7を含んでなる固相抽出材充填工程によって、固相抽出容器11の排出路11bに下フィルタF1と上フィルタF2に挟まれて固相抽出材M1が充填される。
【0049】
なお、
図4(a)〜
図4(g)には断面形状が三角形の凸部11dが形成される固相抽出容器11に下フィルタF1、固相抽出材M1、上フィルタF2を充填する固相抽出材充填工程を示した。
例えば、
図2(b)に示すように、胴体部11aの側から排出路11bの内面の径が徐々に縮径する形状の固相抽出容器11にも
図4に示す固相抽出材充填工程で下フィルタF1、固相抽出材M1、上フィルタF2を充填できる。
球形を呈する下フィルタF1の径が、排出路11bの胴体部11a側の端部の内面の径R1より大きければ、胴体部11aの側から縮径する排出路11bの内面に沿って進行する下フィルタF1に対する抵抗力は徐々に増大する。そして、この抵抗力がロッド141を支持するスプリング142(
図3参照)の弾性力より大きくなった時点でスプリング142が弾性圧縮し下フィルタF1の進行は停止する。そして、充填位置決め機構14b(
図3参照)は、下フィルタF1の進行が停止した位置を、排出路11bにおける下フィルタF1の位置として決定する。
その後、
図4に示す第3工程SA3から第7工程SA7までの実行によって、胴体部11aの側から排出路11bの内面の径が縮径する形状の固相抽出容器11にも下フィルタF1、固相抽出材M1、上フィルタF2を充填できる。
【0050】
図5は固相抽出材が充填された固相抽出容器で試料液に含まれる測定成分を固相抽出する固相抽出工程を示す図であり、
図5(a)は吸着工程を示す図、
図5(b)は洗浄工程を示す図、
図5(c)は溶出工程を示す図である。
図5(a)〜
図5(c)に示すように固相抽出工程では3つの工程で試料液に含まれる測定成分が固相抽出されて精製される。
図5を参照して固相抽出工程を説明する(適宜
図1〜3参照)。
【0051】
図5(a)に示す吸着工程SB1で制御ユニット50は、試料搬送テーブル22を制御して、測定成分が溶解している試料液Liq2が分注されている試料容器21を試料分注機構23の位置に搬送する。そして、制御ユニット50は試料分注機構23を制御して試料容器21の試料液Liq2を試料分注アーム23aの吸上げ機構23a1で吸い上げる。また、制御ユニット50は抽出容器テーブル12を制御して固相抽出材M1が充填された固相抽出容器11を試料分注機構23の位置に搬送する。そして、試料液Liq2を吸い上げた試料分注アーム23aを固相抽出容器11の位置に移動し、吸い上げた試料液Liq2を固相抽出容器11の胴体部11aに注入する。
さらに制御ユニット50は、抽出容器テーブル12を制御して試料液Liq2が注入された固相抽出容器11を抽出処理部13の直下に搬送する。そして制御ユニット50は抽出処理部13を制御して加圧ノズル13aを固相抽出容器11の胴体部11aに嵌め込む。さらに制御ユニット50は加圧ノズル13aから固相抽出容器11の胴体部11aに高圧空気を送り込んで固相抽出容器11内を加圧する。胴体部11aに注入されている試料液Liq2は上フィルタF2、固相抽出材M1、下フィルタF1の順に通過し、試料液Liq2に含まれる測定成分が固相抽出材M1に吸着される。また、試料液Liq2の液体成分Liq2aは放出口11b1から放出される。
【0052】
図5(b)に示す洗浄工程SB2で制御ユニット50は抽出容器テーブル12を制御して測定成分が吸着された固相抽出材M1を有する固相抽出容器11を試薬注入機構16の位置に搬送する。そして、制御ユニット50は試薬注入機構16を制御し、試薬容器31内の洗浄用試薬Liq3を吸上げ機構16a1で吸い上げて固相抽出容器11の胴体部11aに注入する。
前記したように、制御ユニット50は演算システム45に書き込まれた、試薬の情報および試薬搬送テーブル32における試薬容器31の位置情報に基づいて洗浄用試薬Liq3が補充されている試薬容器31を識別する。そして、制御ユニット50は試薬搬送テーブル32を制御して洗浄用試薬Liq3が補充されている試薬容器31を試薬注入機構16の位置に搬送する。
【0053】
制御ユニット50は抽出容器テーブル12を制御して洗浄用試薬Liq3が注入された固相抽出容器11を抽出処理部13の直下に搬送する。そして制御ユニット50は抽出処理部13を制御して加圧ノズル13aを固相抽出容器11の胴体部11aに嵌め込む。さらに制御ユニット50は加圧ノズル13aから高圧空気を固相抽出容器11に送り込んで固相抽出容器11内を加圧する。洗浄用試薬Liq3が固相抽出材M1を通って排出されるときに、測定成分とともに固相抽出材M1に吸着している不純物が、洗浄用試薬Liq3とともに放出口11b1から排出される。
【0054】
図5(c)に示す溶出工程SB3で制御ユニット50は抽出容器テーブル12を制御して洗浄工程SB2を終了した固相抽出容器11を試薬注入機構16の位置に搬送する。さらに、制御ユニット50は試薬搬送テーブル32を制御して溶出液Liq4aが補充されている試薬容器31を試薬注入機構16の位置に搬送する。
前記したように、制御ユニット50は演算システム45に書き込まれた、試薬の情報および試薬搬送テーブル32における試薬容器31の位置情報に基づいて溶出液Liq4aが補充されている試薬容器31を識別する。そして、制御ユニット50は試薬搬送テーブル32を制御して溶出液Liq4aが補充されている試薬容器31を試薬注入機構16の位置に搬送する。
【0055】
そして制御ユニット50は試薬注入機構16を制御し、試薬容器31に補充されている溶出液Liq4aを試薬注入アーム16aの吸上げ機構16a1で吸い上げ、吸い上げた溶出液Liq4aを固相抽出容器11の胴体部11aに注入する。
制御ユニット50は抽出容器テーブル12を制御して溶出液Liq4aが注入された固相抽出容器11を抽出処理部13の直下に搬送する。さらに、制御ユニット50は溶出液搬送テーブル42を制御して溶出液収容容器41を固相抽出容器11の直下に搬送する。
そして制御ユニット50は抽出処理部13を制御して加圧ノズル13aを固相抽出容器11の胴体部11aに嵌め込み、加圧ノズル13aから高圧空気を固相抽出容器11に送り込んで固相抽出容器11内を加圧する。溶出液Liq4aは排出路11bに充填された上フィルタF2、固相抽出材M1、下フィルタF1を通って放出口11b1から押し出される。そして、溶出液Liq4aが固相抽出材M1を通るときに測定成分が溶出液Liq4aに溶解し、測定成分が溶解した溶出液Liq4bが溶出液収容容器41に滴下されて、測定成分が溶解した溶出液Liq4bが溶出液収容容器41に収容される。
【0056】
このような吸着工程SB1、洗浄工程SB2、溶出工程SB3を含んでなる固相抽出工程によって、固相抽出容器11から測定成分が溶出され、測定成分が溶解した溶出液Liq4bが溶出液収容容器41に収容される。
【0057】
その後、制御ユニット50は溶出液搬送テーブル42を制御し、固相抽出工程で溶出液Liq4bが収容された溶出液収容容器41を試料分析部40に備わる送液部44の位置まで搬送する。そして送液部44を制御して溶出液収容容器41に収容された溶出液Liq4bを分析実施部43に送液し、分析実施部43を制御して溶出液Liq4bに含まれる測定成分を分析する。
同時に、制御ユニット50は容器洗浄工程を実行して固相抽出後の固相抽出容器を洗浄する。
図6は容器洗浄工程を示す図であり、
図6(a)は準備工程を示す図、
図6(b)は押し出し工程を示す図、
図6(c)は洗浄工程を示す図である。
図6(a)〜
図6(c)に示すように容器洗浄工程では3つの工程で固相抽出容器11が洗浄される。
図6を参照して容器洗浄工程を説明する(適宜
図1〜3参照)。
【0058】
図6(a)に示す準備工程SC1で制御ユニット50は、抽出容器テーブル12を制御して固相抽出後の固相抽出容器11を容器洗浄機構17の上方に搬送する。
容器洗浄機構17は、図示しない昇降機構で上下動する廃棄ポート17bと、固相抽出容器11からの廃棄物を収容する廃棄容器17aと、を含んで構成される。
廃棄容器17aは上方が開口した容器で、開口部には固形物と液体を分離する分離膜17a1が備わる。そして、廃棄容器17aは固相抽出容器11の放出口11b1から落下する廃棄物を収容するように構成される。
したがって、容器洗浄機構17は分析装置1に取り付けられた抽出容器テーブル12の固相抽出容器11の下方に配置されることが好ましい。
さらに、容器洗浄機構17には、固相抽出容器11の放出口11b1から落下する廃棄物を廃棄容器17aに案内する廃棄ポート17bが備わる。実施例1の廃棄ポート17bは中空のパイプ状に形成され、上昇して固相抽出容器11の排出路11bの外側に嵌まり込む構成とする。
また、廃棄容器17aは図示しない搬送機構(例えば、搬送テーブルや搬送アームなど)で固相抽出容器11の下方に搬送される構成とする。
制御ユニット50は、準備工程SC1で、以上のように構成される容器洗浄機構17を制御して廃棄ポート17bを固相抽出容器11の排出路11bに嵌め込み、さらに、固相抽出容器11の直下に廃棄容器17aを搬送する。
【0059】
図6(b)に示す押し出し工程SC2で制御ユニット50は、排出機構15を制御して固相抽出容器11に充填される上フィルタF2、固相抽出材M1、下フィルタF1を排出する。
排出機構15は抽出容器テーブル12に取り付けられた固相抽出容器11の上方を回転駆動する作業アーム15aを備える。さらに、作業アーム15aには上下動可能な排出ロッド15bが備わる。排出ロッド15bは固相抽出容器11の排出路11bの内面の径より細く形成され、下方に移動して排出路11bに進入し、上フィルタF2、固相抽出材M1、下フィルタF1を放出口11b1から押し出す機能を有する。
そこで制御ユニット50は押し出し工程SC2で排出機構15を制御して作業アーム15aを固相抽出容器11の上方に移動するとともに排出ロッド15bを下方に移動して固相抽出容器11から上フィルタF2、固相抽出材M1、下フィルタF1を押し出して放出口11b1から排出する。
図6(c)の洗浄工程SC3に示すように、放出口11b1から押し出された上フィルタF2、固相抽出材M1、下フィルタF1は廃棄ポート17bに案内されて廃棄容器17aに収容される。このとき固形物である上フィルタF2、固相抽出材M1、下フィルタF1は分離膜17a1を通過することなく分離膜17a1の上方に収容される。
【0060】
なお、排出機構15の構成は限定されるものではない。例えば、排出ロッド15bの替わりに高圧空気を固相抽出容器11内に吹き込む構成とし、この高圧空気によって上フィルタF2、固相抽出材M1、下フィルタF1を放出口11b1から吹き出す構成としてもよい。
【0061】
洗浄工程SC3で制御ユニット50は、容器洗浄機構17を制御して固相抽出容器11を洗浄する。
例えば、容器洗浄機構17は、上方から固相抽出容器11の胴体部11aにメタノールやエタノール等の容器洗浄液Liq5を注入する容器洗浄アーム17cを備え、制御ユニット50は容器洗浄機構17を制御して容器洗浄アーム17cを固相抽出容器11の上方に移動する。
さらに、洗浄工程SC3の左に示すように、容器洗浄アーム17cから固相抽出容器11の胴体部11aに容器洗浄液Liq5を注入して固相抽出容器11を洗浄する。
固相抽出容器11を洗浄した容器洗浄液Liq5は放出口11b1から流出して廃棄ポート17bに案内されて廃棄容器17aに流れ込む。そして、洗浄工程SC3の右に示すように、液体の容器洗浄液Liq5は分離膜17a1を通過して分離膜17a1の下方に収容される。
このように廃棄容器17aは固形物である上フィルタF2、固相抽出材M1、下フィルタF1と、液体である容器洗浄液Liq5を分離して収容できる。
【0062】
なお、分析装置1に、作業アーム15aの排出ロッド15bを洗浄する排出機構洗浄部18が備わる構成としてもよい。そして制御ユニット50は、固相抽出出容器11の洗浄と同時に、作業アーム15aを排出機構洗浄部18の位置に移動して排出ロッド15bを洗浄する。排出機構洗浄部18の構成は限定されるものではない。例えば、ロッド15bを洗浄するための洗浄液を排出ロッド15bに吹き付けて洗浄する構成であればよい。
【0063】
以上のように実施例1の分析装置1(
図1参照)は、固相抽出材充填工程と、固相抽出工程と、容器洗浄工程と、を適宜実行しながら分析実施部43(
図1参照)で溶出液Liq4bに溶解している測定成分を測定し、演算システム45で分析結果を演算する。
図7は分析装置が測定成分を分析する手順を示すフローチャートである。
以下、
図7を参照して分析装置1が、溶出液Liq4bに溶解している測定成分を分析する手順を説明する(適宜、
図1〜5参照)。
【0064】
例えば、利用者の操作によって分析装置1が動作を開始すると、制御ユニット50は
図4に示す工程で固相抽出材充填工程を実行する(ステップS1)。そして、制御ユニット50は、下フィルタF1と上フィルタF2に挟まれて固相抽出材M1が充填された固相抽出容器11を利用して
図5に示す工程で固相抽出工程を実行する(ステップS2)。
固相抽出工程の実行(ステップS2)によって、分析対象の測定成分を含む溶出液Liq4bが溶出液収容容器41に収容されたら、制御ユニット50は、固相抽出に使用された固相抽出容器11を洗浄するために、
図6に示す工程で容器洗浄工程を実行する(ステップS3a)。そして洗浄された固相抽出容器11に固相抽出材M1を充填するために固相抽出材充填工程を実行する(ステップS1)。つまり、制御ユニット50は手順をステップS1に戻す。
【0065】
また、制御ユニット50は、容器洗浄工程の実行(ステップS3a)と同時に、溶出液Liq4bに溶解している測定成分の分析動作を実行する(ステップS3b)。具体的に制御ユニット50は、溶出液収容容器41に収容された、測定成分が溶解している溶出液Liq4bを、送液部44を介して分析実施部43に送液して測定成分を測定し、測定値を取得する。さらに、制御ユニット50は分析実施部43を制御して測定値を演算システム45に入力する。さらに、制御ユニット50は演算システム45に指令を与えて入力された測定値に基づいて分析結果を演算する。
【0066】
その後、制御ユニット50は演算システム45に指令を与えて、演算した分析結果を外部通信インタフェース45aに入力する。さらに制御ユニット50は外部通信インタフェース45aを制御して、図示しないモニタやプリンタを介して分析結果を出力する(ステップS4)。
【0067】
分析装置1は、例えば、
図7に示す手順で固相抽出材充填工程と、固相抽出工程と、容器洗浄工程と、を適宜実行して試料液Liq2(
図5(a)参照)に含まれる測定成分を分析する。このとき、制御ユニット50は、分析実施部43および演算システム45での測定成分の分析動作(ステップS3b)と、容器洗浄工程(ステップS3a)を同時に実行する。
【0068】
以上のように、実施例1の分析装置1(
図1参照)には、固相抽出材M1(
図4(c)参照)を充填可能な固相抽出容器11(
図1参照)と、この固相抽出容器11に固相抽出材M1を充填する固相抽出材充填機構14(
図1参照)と、を備える。
また、固相抽出容器11に充填された固相抽出材M1は排出可能であり、分析装置1には、固相抽出容器11から固相抽出材M1を排出する排出機構15(
図1参照)が備わる。
この構成によって、測定成分を固相抽出した後の固相抽出容器11から固相抽出材M1を排出して廃棄することができる。また、固相抽出材M1が排出された固相抽出容器11に新たな固相抽出材M1を充填できる。したがって、固相抽出容器11を繰り返し使用することができるため廃棄の必要がなくなり、廃棄物の発生量を低減できる。また、発生する廃棄物もフィルタ(下フィルタF1、上フィルタF2)と固相抽出材M1であり、このことによっても廃棄物の発生量を低減できる。
さらに、固相抽出容器11を繰り返し利用することによって、固相抽出容器11の入れ替えコストを低減することができ、分析装置1の運用コストを低く抑えることができる。
【0069】
なお、
図1に示す固相抽出容器11に使用回数の限度や使用時間の限度が設定されている場合、演算システム45が固相抽出容器11の交換時期を判定する構成としてもよい。
例えば、制御ユニット50は、定期的に所定の試薬(分析装置用試薬:キャリブレータ)を用いて固相抽出容器11で固相抽出し、分析実施部43で分析装置用試薬を測定して測定値を取得する。分析装置用試薬としてはメタノールなどの有機溶剤が利用できるが、これは限定されない。
さらに、制御ユニット50は分析実施部43を制御して取得した測定値を演算システム45に入力する。その後、制御ユニット50は演算システム45に指令を与えて分析実施部43から入力された分析装置用試薬の測定値に基づいて分析結果を演算し、分析結果を図示しない記憶媒体に記憶する。
そして、固相抽出容器11の交換直後における分析結果との誤差が所定値(例えば、20%)を超える状態が所定回数以上発生したときに、演算システム45は、当該分析装置用試薬の固相抽出に使用された固相抽出容器11の使用限界と判定し、固相抽出容器11の交換時期を示すアラートを出力する構成とすればよい。
【0070】
また、演算システム45が固相抽出容器11ごとに固相抽出した回数を計測し、この計測値が所定値を超えたときに、演算システム45が当該固相抽出容器11の交換時期を示すアラートを出力する構成としてもよい。
また、演算システム45が固相抽出容器11ごとに、使用した試薬の種類や測定成分の種類、使用した試薬や測定成分の種類ごとの回数を計測し、この計測値が、試薬や測定成分ごとにあらかじめ設定されている規定値を超えたときに、演算システム45が当該固相抽出容器11の交換時期を示すアラートを出力する構成としてもよい。
【0071】
さらに、演算システム45が出力するアラートは、外部通信インタフェース45aを介して図示しないパーソナルコンピュータ等に入力され、パーソナルコンピュータはアラートの対象となった固相抽出容器11の位置を表示する構成とすれば、分析装置1の利用者は、交換すべき固相抽出容器11を容易に知ることができる。
また、制御ユニット50が、アラートの対象となった固相抽出容器11を使用することなく固相抽出工程を実行するように構成することも可能である。
なお、演算システム45が交換すべき固相抽出容器11を判定する方法は前記した方法に限定されるものではない。
【0072】
《変形例1》
実施例1の変形例1として、例えば、固相抽出容器11の変形例が考えられる。
図8、
図9は固相抽出容器の変形例を示す図であり、
図8(a)は断面形状が半円形の凸部を示す断面図、
図8(b)は断面形状が矩形の凸部を示す断面図、
図8(c)は凹部を示す断面図、
図8(d)は断面形状が三角形の凹部を示す断面図、
図8(e)は断面形状が半円形の凹部を示す断面図である。また、
図9(a)は放出口の周囲が両端に向かって傾斜する形状を示す断面図、
図9(b)は放出口の周囲が面取りされた形状を示す断面図、
図9(c)は放出口の周囲が一端から対向する他端に向かって傾斜する形状を示す断面図である。
実施例1では、
図2(a)に示すように、固相抽出容器11の排出路11bに断面形状が三角形となる凸部11dが形成される構成とした。
しかしながら凸部11dの断面形状は三角形に限定されるものではない。例えば、
図8(a)に示すように、断面形状が半円形(もしくは、円弧の一部)となる凸部11d1であってもよいし、
図8(b)に示すように、断面形状が矩形となる凸部11d2であってもよい。断面形状が矩形となる凸部11d2では、その角部に0.1mm以上の面取りが形成される構成であってもよい。
なお、断面形状が半円の凸部11d1および断面形状が矩形の凸部11d2の場合も、排出路11bの内面からの突出量Htは、「0.1(mm)≦Ht≦0.2×R1(mm)」の範囲で設定されることが好ましい。なお、「R1」は、排出路11bの胴体部11a(
図2(a)参照)側の内径である(以下、同じ)。
【0073】
また、
図8(c)に示すように、排出路11bの内面の周方向の全周に亘る溝状の凹部11eが形成される構成であってもよい。
排出路11bに溝状の凹部11eが形成されると、排出路11bに押し込まれた下フィルタF1は凹部11eの部分で膨張して進行が妨げられる。したがって、下フィルタF1を押し込むロッド141(
図3参照)の、排出路11bへの進入を妨げる抵抗力が発生する。そして、充填位置決め機構14b(
図3参照)によって、凹部11eの位置が、排出路11bにおける下フィルタF1の位置として決定される。このように、排出路11bの内面に形成される凹部11eは、凸部11d(
図2(a)参照)と同等の機能を有する。なお、排出路11bに形成される凹部11eの深さDpは、内面から「0.1(mm)≦Dp≦0.2×R1(mm)」の範囲で設定される深さであることが好ましい。
【0074】
また、凹部11eの断面形状も矩形に限定されず、
図8(d)に示すように断面形状が三角形の凹部11e1であってもよいし、
図8(e)に示すように断面形状が半円形(または、円弧の一部)の凹部11e2であってもよい。
面形状が三角形の凹部11e1や断面形状が半円形の凹部11e2の深さDpも、内面から「0.1(mm)≦Dp≦0.2×R1(mm)」の範囲で設定される深さであることが好ましい。
また、断面形状が三角形の凹部11e1では、頂部から内面を臨む角度θ2が0.1度以上であることが好ましい。
【0075】
また、固相抽出容器11の放出口11b1の周囲の形状も限定されない。
例えば、
図9(a)に示すように、放出口11b1から対向する両端に向かって傾斜する形状であってもよい。この場合の傾斜角θ3は、「0.1(度)≦θ3≦90(度)」の範囲で設定されることが好ましい。また、
図9(b)に示すように放出口11b1の周囲が面取りされた形状であってもよい。この場合の面取りの角度θ4も、「0.1(度)≦θ4≦90(度)」の範囲で設定されることが好ましい。また、図示はしないが、面取りはR形状であってもよい。また、
図9(c)に示すように一端から対向する他端に向かって傾斜する形状であってもよい。この場合の傾斜角θ5も、「0.1(度)≦θ5≦90(度)」の範囲で設定されることが好ましい。
また、図示しない他の形状であってもよい。このように、固相抽出容器11(
図1参照)の放出口11b1の周囲の形状は限定されない。
【0076】
《変形例2》
実施例1の変形例2として、例えば、抽出容器テーブル12の変形例が考えられる。
図10は抽出容器テーブルの変形例を示す図である。
実施例1において固相抽出容器11(
図1参照)は抽出容器テーブル12(
図1参照)に取り付けられる構成とした。この場合、固相抽出容器11は抽出容器テーブル12ごと取り替え可能な構成となる。
しかしながら、抽出容器テーブル12はこの構成に限定されない。
例えば、
図10に示すように、抽出容器テーブル12の周囲に着脱可能に取り付けられる複数(
図10には6個を例示)の着脱ベース12aに1つ以上の固相抽出容器11(
図10には2個を例示)が固定される構成としてもよい。
この構成によると、固相抽出容器11は着脱ベース12aと一体に抽出容器テーブル12に着脱可能となる。例えば、抽出容器テーブル12に使用可能の固相抽出容器11と使用不可能の固相抽出容器11が混在する場合は、使用不可能の固相抽出容器11が取り付けられている着脱ベース12aを交換すればよい。このことによって、抽出容器テーブル12の全体の交換は不要となり、使用可能な固相抽出容器11を継続して使用できる。したがって、使用可能な固相抽出容器11の廃棄が抑制され、廃棄物の発生量を好適に低減できる。
【0077】
なお、着脱ベース12aを抽出容器テーブル12に取り付ける構成は限定されない。例えば、ボルトなどの締結部材12bで着脱ベース12aが抽出容器テーブル12に締結固定される構成とすればよい。
また、抽出容器テーブル12に取り付けられる着脱ベース12aの数(6個)や、着脱ベース12aに固定される固相抽出容器11の数(2個)は一例であって、この数に限定するものではない。例えば、大型の分析装置1であれば、50個程度の固相抽出容器11が固定される着脱ベース12aが取り付けられる抽出容器テーブル12を備える構成としてもよい。
【実施例3】
【0086】
図12は実施例3の分析装置を示す図である。また、
図13は実施例3における固相抽出材充填工程を示す図であり、
図13(a)は第1工程を示す図、
図13(b)は第2工程を示す図、
図13(c)は第3工程を示す図である。
実施例2の固相抽出材M2はモノリス状で、例えばメッシュ状の固形体である。したがって、実施例3として、
図11に示す上フィルタF2および下フィルタF1が充填されない構成とすることが可能である。
そのため、
図12に示すように固相抽出材充填機構14にフィルタ供給機構14a(
図1参照)が備わらない分析装置2とすることができる。なお、
図12に示す分析装置2は、フィルタ供給機構14aが備わらない以外は
図1に示す分析装置1と同じ構成である。
【0087】
また、実施例3において固相抽出材M2を固相抽出容器11に充填する固相抽出材充填工程は
図13(a)〜
図13(c)に示すように、第1工程SE1から第3工程SE3の3つの工程からなる。
図13(a)に示す第1工程SE1で制御ユニット50(
図12参照)は、抽出容器テーブル12(
図12参照)を制御して固相抽出容器11を固相抽出材供給機構14cの直下に搬送する。
そして制御ユニット50は固相抽出材供給機構14cを制御して、モノリス状の固相抽出材M2を固相抽出容器11の胴体部11aに落下する。固相抽出材M2は縮径部11cと排出路11bの境界で停止する。
【0088】
図13(b)に示す第2工程SE2で制御ユニット50(
図12参照)は、抽出容器テーブル12(
図12参照)を制御して固相抽出材M2が投入された固相抽出容器11を充填位置決め機構14bの直下に搬送する。
さらに制御ユニット50は充填位置決め機構14bの本体部140を下方に移動する。固相抽出材M2が投入された固相抽出容器11にロッド141が入り込み、さらに、ロッド141は固相抽出材M2を排出路11bに押し込みながら自身も排出路11bに進入する。
固相抽出材M2が排出路11bに形成される凸部11dに当接すると進行が妨げられ、ロッド141の先端部に上方に向かう抵抗力が生じる。この抵抗力によってロッド141を支持するスプリング142が弾性圧縮しロッド141の進行は停止する。
【0089】
実施例3のスプリング142は、ロッド141の進行方向の弾性力をロッド141に付与する。そして、ロッド141は、スプリング142によって付与される弾性力で固相抽出材M2を排出路11bの内面に沿って進行させる。
また、スプリング142が弾性圧縮することでロッド141が固相抽出材M2を押し込む力が規制されて固相抽出材M2に過剰な力が加わることが抑制される。そして、固相抽出材M2の塑性変形が防止される。
換言すると、実施例3におけるスプリング142は、固相抽出材M2が塑性変形しない程度の弾性力をロッド141に付与する構成であることが好ましい。
具体的にスプリング142の弾性力が固相抽出材M2の弾性力より小さいことが好ましい。
この構成によって、固相抽出材M2に塑性変形を生じさせることなく、ロッド141は固相抽出材M2を排出路11bの内面に沿って進行させることができる。
【0090】
ロッド141の進行が停止した状態で本体部140が下方に移動すると、ロッド141は本体部140に対して上方に移動し、端部が圧力センサ140cに当接する。圧力センサ140cはロッド141の端部の押圧で生じる検出信号を制御ユニット50に入力する。つまり、実施例3の圧力センサ140cは、排出路11bの凸部11dで係止した固相抽出材M2からロッド141が受ける力を圧力として検出する圧力検出手段である。
【0091】
図13(c)に示す第3工程SE3で制御ユニット50(
図1参照)は、圧力センサ140cから入力される検出信号によって、ロッド141が圧力センサ140cを押圧する圧力を検出し、この圧力が所定値になったときに固相抽出容器11から離反するように本体部140を上方に移動する。
固相抽出材M2は凸部11dで係止されて固相抽出容器11の排出路11bに残り、凸部11dの位置が排出路11bにおける固相抽出材M2の位置に決定されて、固相抽出材M2が固相抽出容器11に充填される。
【0092】
このように、
図11に示す上フィルタF2および下フィルタF1が固相抽出容器11に充填されない構成にすると、フィルタ供給機構14aが不要になって、分析装置2の製造コストを低く抑えられる。また、フィルタ供給機構14aが不要になった分だけ分析装置2の保守に係るコストが低減され、分析装置2の運用コストを低減できる。
また、固相抽出材M2を固相抽出容器11に充填する固相抽出材充填工程も工程が削減されて固相抽出材M2を固相抽出容器11に充填する作業の効率が高くなる。
また、測定成分が固相抽出された固相抽出容器11からは固相抽出材M2のみが廃棄されるため、廃棄物の発生量を効果的に抑えることができる。
さらに、フィルタのコストが削減できて分析装置2の運用コストを低減できる。
【0093】
なお、実施例3における固相抽出工程および容器洗浄工程は、実施例1における固相抽出工程(
図5参照)および容器洗浄工程(
図6参照)と同じ工程とすればよい。
【0094】
このように、モノリス状の固相抽出材M2を固相抽出容器11に充填する分析装置2(
図12参照)では、上フィルタF2(
図11(e)参照)および下フィルタF1(
図11(a)参照)を不要とすることができ、運用コストや廃棄物の発生量をより効果的に低減できる。
【0095】
なお、本発明は前記した実施例や変形例に限定されるものではない。例えば、前記した実施例は本発明をわかりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることも可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。
【0096】
例えば、
図3に示すように、実施例1〜3の充填位置決め機構14bには圧力センサ140cが備わり、固相抽出材充填工程において、制御ユニット50(
図1参照)はロッド141が圧力センサ140cを押圧するときの圧力に応じて充填位置決め機構14bを制御する構成とした。しかしながら、この構成は限定されるものではない。
例えば、圧力センサ140cの替わりにロッド141の移動量を検出するセンサ(図示せず)を備え、固相抽出材充填工程において、制御ユニット50がロッド141の移動量に応じて充填位置決め機構14bを制御する構成としてもよい。
例えば、
図4に示す固相抽出材充填工程において、下フィルタF1が固相抽出容器11の凸部11dに当接するとロッド141は充填位置決め機構14bの本体部140に対して上方に移動する。制御ユニット50は、ロッド141の本体部140に対する移動量が所定の値に達したときに充填位置決め機構14bを上方に移動する構成とすればよい。
または、縮径部11cと排出路11bの境界からの下フィルタF1の進行量(移動量)をロッド141の進行量(移動量)として図示しないセンサで検出し、この検出値が所定値になったときに制御ユニット50が充填位置決め機構14bを上方に移動する構成としてもよい。
【0097】
また、固相抽出容器11の排出路11b(
図4(a)参照)に向けてレーザビームを照射し、排出路11bを透過したレーザビームをレーザセンサ(図示せず)で検出する構成としてもよい。この場合、下フィルタF1(
図4(a)参照)や上フィルタF2(
図4(e)参照)でレーザビームが遮断されたことをレーザセンサが検出したときに制御ユニット50が充填位置決め機構14bを上方に移動する構成とすることができる。
【0098】
また、実施例1〜3においては固相抽出材M1(
図6(a)参照)、上フィルタF2(
図6(a)参照)、下フィルタF1(
図6(a)参照)およびモノリス状の固相抽出材M2(
図11(c)参照)を固相抽出容器11(
図1参照)から排出する排出機構15(
図1参照)が備わる構成とした。しかしながら、例えば、充填位置決め機構14bのロッド141(
図3参照)で固相抽出材M1、上フィルタF2、下フィルタF1およびモノリス状の固相抽出材M2を固相抽出容器11から押し出す構成とすることも可能である。このように構成すると、排出機構15が不要になり、分析装置1(
図1参照)の製造コストを低減できるなどの効果を奏する。
【0099】
また、固相抽出容器11の凸部11d(
図2(a)参照)は排出路11bの内面の周方向の全周に亘って形成される構成としたが、この形状も限定されるものではない。例えば、排出路11bの内面に、凸状部(図示せず)が周方向に点在する構成であってもよい。つまり、全周に亘って連続する凸部11dではなく、適宜分断された形状の凸部11dであってもよい。
【0100】
また、スプリング142(
図3参照)も圧縮バネに限定されず、引張りバネであってもよい。また、スプリング142に替えて、圧縮空気などの気体、オイルなどの液体でロッド141(
図3参照)に弾性力を付与する構成としてもよい。
【0101】
また、試料容器21(
図1参照)や試薬容器31(
図1参照)や溶出液収容容器41(
図1参照)を搬送する機構も円板状の試料搬送テーブル22(
図1参照)や試薬搬送テーブル32(
図1参照)や溶出液搬送テーブル42(
図1参照)に限定されない。
例えば、試料容器21や試薬容器31や溶出液収容容器41が所定の間隔で升目状に配置され、図示しない搬送アーム等で搬送される構成であってもよい。
【0102】
また、前記したようにレーザセンサなどを用いてフィルタ(下フィルタF1(
図4(a)参照))の位置決めを行う場合、排出路11b(
図2(a)参照)に凸部11d(
図2(a)参照)や凹部11e(
図8(c)参照)が備わらない固相抽出容器11(
図2(a)参照)であってもよい。
この場合、「固相抽出時にフィルタに加わる圧力≦排出路11b内のフィルタから固相抽出容器11に加わる力」の関係が成立するように、フィルタの径や、排出路11bの胴体部11a(
図2(a)参照)側の内径(R1)が設定されることが好ましい。
【0103】
この他、本発明は、前記した実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。