特許第5872794号(P5872794)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ テクトロニクス・インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特許5872794-位相過渡応答測定方法 図000003
  • 特許5872794-位相過渡応答測定方法 図000004
  • 特許5872794-位相過渡応答測定方法 図000005
  • 特許5872794-位相過渡応答測定方法 図000006
  • 特許5872794-位相過渡応答測定方法 図000007
  • 特許5872794-位相過渡応答測定方法 図000008
  • 特許5872794-位相過渡応答測定方法 図000009
  • 特許5872794-位相過渡応答測定方法 図000010
  • 特許5872794-位相過渡応答測定方法 図000011
  • 特許5872794-位相過渡応答測定方法 図000012
  • 特許5872794-位相過渡応答測定方法 図000013
  • 特許5872794-位相過渡応答測定方法 図000014
  • 特許5872794-位相過渡応答測定方法 図000015
  • 特許5872794-位相過渡応答測定方法 図000016
  • 特許5872794-位相過渡応答測定方法 図000017
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5872794
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】位相過渡応答測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 23/10 20060101AFI20160216BHJP
【FI】
   G01R23/10 H
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-112386(P2011-112386)
(22)【出願日】2011年5月19日
(65)【公開番号】特開2011-242399(P2011-242399A)
(43)【公開日】2011年12月1日
【審査請求日】2014年5月1日
(31)【優先権主張番号】12/783,300
(32)【優先日】2010年5月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391002340
【氏名又は名称】テクトロニクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TEKTRONIX,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001209
【氏名又は名称】特許業務法人山口国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キャスリン・エイ・エングホルム
(72)【発明者】
【氏名】ソラヤ・ジェイ・メイトス
(72)【発明者】
【氏名】シゲツネ・トリン
【審査官】 續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−120533(JP,A)
【文献】 特開2002−189061(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/046304(WO,A1)
【文献】 特開2008−058275(JP,A)
【文献】 特開2002−152736(JP,A)
【文献】 特開2000−241524(JP,A)
【文献】 ”Agilent E5052B Signal Source Analyzer Application Note 「Advanced Phase Noise and Transient Measurement Techniques」”[online],米国,2007年,[平成27年1月9日検索]、インターネット<URL:http://cp.literature.agilent.com/litweb/pdf/5989-7273EN.pdf>
【文献】 ”Confirming Result of Phase Transient Measurement”[online],[平成27年1月9日検索]、インターネット<URL:http://ena.support.keysight.com/e5052b/manuals/webhelp/eng/measurement/transient_measurement/confirming_result_of_phase_transient_measurement.htm>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 23/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験測定装置を用いて、被測定デバイスの出力信号が第1周波数から第2周波数にステップするときに、上記被測定デバイスの上記出力信号を表す瞬時電圧波形に基いて、上記被測定デバイスの位相過渡応答を測定する方法であって、
上記瞬時電圧波形に基いて瞬時位相波形を計算するステップと、
上記瞬時電圧波形に基いて瞬時周波数波形を計算するステップと、
ユーザの手間なしに、上記瞬時周波数波形に基いて上記第2周波数を自動的に推定するステップと、
上記第2周波数の推定値に基いて上記瞬時位相波形をフラット化するステップと
を具える位相過渡応答測定方法。
【請求項2】
上記瞬時位相波形をフラット化するステップが、
理想瞬時位相波形を生成するステップと、
上記瞬時位相波形と上記理想瞬時位相波形の差分を取ってフラット化瞬時位相波形を生成するステップと
を有することを特徴とする請求項1記載の位相過渡応答測定方法。
【請求項3】
試験測定装置を用いて、被測定デバイスの出力信号が第1周波数から第2周波数にステップするときに、上記被測定デバイスの上記出力信号を表す瞬時電圧波形に基いて、上記被測定デバイスの位相過渡応答を測定する方法であって、
上記瞬時電圧波形に基いて瞬時位相波形を計算するステップと、
ユーザの手間なしに、上記瞬時位相波形に基いて理想瞬時位相波形を自動的に生成するステップと、
上記理想瞬時位相波形に基いて上記瞬時位相波形をフラット化するステップと
を具える位相過渡応答測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験測定装置に関し、特に、位相過渡応答(transient response)の測定に関する。
【背景技術】
【0002】
システムの動作は、一般に、そのシステムにステップ入力で刺激を与え、結果として得られる「ステップ応答」とも呼ばれる遷移応答を測定することによって、その特性が評価される。例えば、位相ロック・ループ(PLL)の場合、PLLに第1周波数から第2周波数にステップする、つまり、ポンと飛ぶ(hop:ホップする)ようにプログラムし、その結果のPLLの過渡応答(transient response)を測定することによって、その特性を評価できる。ステップ応答測定の詳細については、「Modern Control Engineering」Katsuhiko Ogata 著、第5版、Prentice Hall、2009年を参照されたい。
【0003】
PLLの過渡応答の測定には、典型的には、リアルタイム・スペクトラム・アナライザ、ベクトル・シグナル・アナライザ、オシロスコープのような試験測定装置が用いられる。これら試験測定装置は、PLLの出力信号をデジタル化し、それを処理して、図1に示すように、「周波数ステップ応答」とも呼ばれる出力信号の瞬時周波数(instantaneous frequency)を表示する。試験測定装置によっては、遅延時間、立ち上がり時間、ピーク時間、最大オーバーシュート、平均セトリング値、セトリング・タイムなどのような周波数ステップ応答の種々の測定値を提供する。セトリング・タイムは、出力信号がどのくらい早く第2周波数に落ち着くかを示し、ユーザが特に関心のあるものである。なぜなら、周波数の各ホップ(瞬間的な変化)間に、PLLがどのくらいの量のデータを送れるかについて直接的に影響があるからである。試験測定装置を用いて位相ロック・ループの特性評価に関する詳細は、http://www.tek.com/から入手可能な文書番号37W−18170「Characterizing Phase Locked Loops Using Tektronix Real-Time Spectrum Analyzers(テクトロニクス・リアルタイム・スペクトラム・アナライザを使用したPLLの特性評価)」を参照されたい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「Modern Control Engineering」Katsuhiko Ogata 著、第5版、Prentice Hall、2009年
【非特許文献2】「Characterizing Phase Locked Loops Using Tektronix Real-Time Spectrum Analyzers」文書番号37W−18170、http://www.tek.com/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
どのくらい早く出力信号が第2周波数に落ち着くかを測定する必要性に加えて、ユーザは、更には、どのくらい早く出力信号が安定した位相に落ち着くか(位相セトリング・タイムとも呼ばれる)も測定する必要がある。試験測定装置によっては、PLLの出力信号を処理し、図2に示すような出力信号の瞬時位相(instantaneous phase:位相過渡応答とも呼ばれる)を表示できるものもある。しかし、こうした位相過渡応答に基づいて位相セトリング・タイムを測定するのは難しい。なぜなら、瞬時位相は累積されラップされ(wrap:−π〜+πの間で折り畳まれ)てしまい、位相が沈静化する(落ち着く)微妙な振る舞いが隠されてしまうからである。
【0006】
位相が沈静化する微妙な振る舞いを明らかにするため、試験測定装置によっては位相過渡応答を処理して、図3に示すような「フラット化した(flattened:平らにした)」位相過渡応答を供給するものもある。しかし、そのようにするためには、これら全ての試験測定装置において、ユーザが何らかの手を加える必要がある。ある試験測定装置では、ユーザがマニュアルで非常に正確な第2周波数値を入力する必要がある。別の試験測定装置では、位相過渡応答が安定した位相に沈静化するとユーザが考える位相過渡応答上の点を、ユーザがマニュアルで特定する必要がある。どちらの場合も、ユーザが介入するために時間がかかり、ユーザにとって不便である。
【0007】
こうしたことから、ユーザの手間(介入)なしに、被測定システムの位相過渡応答を測定する方法が望まれている。
【0008】
そこで、本発明の実施形態では、ユーザの手間なしにフラット化位相過渡応答を自動で供給する被測定デバイスの位相過渡応答を測定する方法を提示する。本発明は、第1の観念としては、被測定デバイスの出力信号が第1周波数から第2周波数にステップするときに、被測定デバイスの出力信号を表す瞬時電圧波形に基いて、被測定デバイスの位相過渡応答を測定する方法であって、上記瞬時電圧波形に基いて瞬時位相波形を計算するステップと、上記瞬時電圧波形に基いて瞬時周波数波形を計算するステップと、ユーザの手間なしに、上記瞬時周波数波形に基いて上記第2周波数を自動的に推定するステップと、上記第2周波数の推定値に基いて上記瞬時位相波形をフラット化するステップとを具えている。
【0009】
本発明の第2観念としては、上記第1観念における瞬時位相波形を計算するステップが、π/2ラジアンだけ位相がシフトした瞬時電圧波形のレプリカ(複製)を生成するステップと、上記瞬時電圧波形、位相シフト・レプリカ及びアークタンジェント関数に基づいて瞬時位相波形を計算するステップとを有していても良い。
【0010】
本発明の第3観念としては、上記第1観念における瞬時周波数波形を計算するステップが、瞬時位相波形を微分して瞬時周波数波形を生成するステップを有していても良い。
【0011】
本発明の第4観念としては、上記第1観念における自動的に推定するステップが、上記出力信号が上記第2周波数に落ち着いた沈静期間(settled period)に対応する上記瞬時周波数波形の区間の位置を特定するステップと、上記沈静期間内の全ポイントの平均周波数値を計算して第2周波数の推定値を生成するステップとを有していても良い。
【0012】
本発明の第5観念としては、上記第4観念における位置特定ステップが、周波数値が特定の許容範囲内の周波数値に等しい連続するポイントのグループを特定するステップを含むようにしても良い。
【0013】
本発明の第6観念としては、上記第1観念における瞬時位相波形をフラット化するステップが、理想瞬時位相波形を生成するステップと、瞬時位相波形から理想瞬時位相波形を引き算してフラット化瞬時位相波形を生成するステップとを有していても良い。
【0014】
本発明の第7観念としては、上記第1観念において、フラット化瞬時位相波形を最適化するために、第2周波数の推定値を調整するステップを更に具えていても良い。
【0015】
本発明の第8観念は、第1観念に従って被測定デバイスの位相過渡応答を測定する試験測定装置である。
【0016】
本発明の第9の観念は、被測定デバイスの出力信号が第1周波数から第2周波数にステップするときに、被測定デバイスの出力信号を表す瞬時電圧波形に基いて、被測定デバイスの位相過渡応答を測定する方法であって、上記瞬時電圧波形に基いて瞬時位相波形を計算するステップと、ユーザの手間なしに、上記瞬時位相波形に基いて理想瞬時位相波形を自動的に生成するステップと、上記理想瞬時位相波形に基いて上記瞬時位相波形をフラット化するステップとを具えるようにしても良い。
【0017】
本発明の目的、効果、その他の新規な点は、特許請求の範囲及び図面と合わせて以下の詳細な説明を読むことによって、自ずと明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、瞬時周波数波形を描いた図である。
図2図2は、瞬時位相波形を描いた図である。
図3図3は、フラット化した瞬時位相波形を描いた図である。
図4図4は、被測定デバイスの位相過渡応答を測定するための試験設定のハイレベル・ブロック図である。
図5図5は、図4の被測定デバイスの出力信号を描いた図である。
図6図6は、図4の試験測定装置のハイレベル・ブロック図である。
図7図7は、本発明の1実施形態に基づく被測定デバイスの位相過渡応答測定方法のフローチャートである。
図8図8は、瞬時電圧波形とその位相シフトしたレプリカを示す波形図である。
図9図9は、瞬時位相波形を描いた図である。
図10図10は、測定位相ランプを描いた図である。
図11図11は、瞬時周波数波形を描いた図である。
図12図12は、理想位相ランプを描いた図である。
図13図13は、フラット化位相ランプを描いた図である。
図14図14は、フラット化瞬時位相波形を描いた図である。
図15図15は、位相セトリング・タイムの測定を描いた図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図4を参照すると、被測定デバイス(DUT)405は、DUT内部の分周回路(図示せず)をプログラムすることで、例えば、第1周波数(F1)から第2周波数(F2)にステップする、つまり、ポンと飛ぶ(hop:ホップする)ようにプログラムされる。応答においては、DUT405は、図5に示すような出力信号500を生成し、これは試験測定装置410に入力される。ここで図6を参照すると、試験測定装置410は、この出力信号をアナログ・デジタル変換回路(ADC)605を使ってデジタイズし、DUT405の出力信号の瞬時電圧(「瞬時電圧波形」とも呼ぶ)を表す複数のデジタル・サンプルを生成する。プロセッサ610は、瞬時電圧波形を種々のやり方で処理し、処理の結果は、表示デバイス615上に表示したり、記憶デバイス620内に蓄積したりしても良い。本発明の実施形態では、プロセッサ610が、後述のように図7に示すステップを実行することによって、瞬時位相波形を処理する。
【0020】
ステップ1:瞬時電圧波形に基いて、瞬時位相波形を計算する。実施形態によっては、このステップは、次のステップも含んでいる:(1)図8に示すようにπ/2ラジアンだけ位相シフトしている瞬時電圧波形500のレプリカ(複製)800を生成する。瞬時電圧波形500は、同相(I:In-Phase)成分を表し、位相シフトのレプリカは直交(Q:quadrature)成分を表す。(2)図9に示すように、次の数式1を用いて瞬時位相波形900を計算する。
【0021】
【数1】
【0022】
続くステップの説明を、より簡潔に、従って、より理解しやすくするため、瞬時位相波形はアンラップ(unwrap:位相接続処理)され、図10に示すようにアンラップ(unwrapped)瞬時位相波形1000が形成される。ここでは簡単のため、これを「測定位相ランプ(ramp:傾斜)」と呼ぶ。しかし、以下のステップは、このアンラッピング(位相接続処理)ステップなしで実行しても良い。
【0023】
ステップ2:瞬時電圧波形に基いて、瞬時周波数波形を計算する。実施形態によっては、このステップは、図11に示すような瞬時周波数波形1100を生成するために、測定位相ランプを微分するステップを含む。周波数は、以下の例で説明するように、位相の導関数(微分)に等しい:測定位相ランプの値が1マイクロ秒の時間インターバルにつき20πラジアンだけ増加すると仮定する。測定位相ランプの導関数は、時間変化で割り算した位相変化に等しい、つまり、20πラジアン/(1マイクロ秒)=20πメガ・ラジアン/秒である。2πラジアンは1サイクルに等しいので、これは、20π/(2π)メガ・サイクル/秒、つまり、10MHzに等しい。
【0024】
瞬時周波数波形は、他の種々の方法で計算して良いことが理解されよう。例えば、瞬時周波数波形は、瞬時電圧波形の各サイクルの周期を測定し、各周期の測定値の逆数を計算し、これら結果を補間することによって実質的に同様な瞬時周波数波形を生成するようにしても良い。
【0025】
ステップ3:ユーザの手間なしに、瞬時周波数波形に基いて第2周波数(F2EST)を自動的に推定する。実施形態によっては、このステップが、次のステップを含む:(1)出力信号が第2周波数に落ち着いた期間に対応する瞬時周波数波形の部分1105(「沈静期間」とも呼ぶ)の位置を決定する。沈静期間の位置は、ホップした後の瞬時周波数波形のポイントに関し、特定の許容範囲1110内の周波数値と同じものと等しい周波数値の連続する全ポイントのグループを特定することによって定めることができる。例えば、沈静期間は、1GHzプラス/マイナス1MHz内、つまり、1.0GHzの0.1%内の周波数値の連続するポイントのグループから構成しても良い。(2)沈静期間内の瞬時周波数波形の全てのポイントの平均周波数値を計算し、第2周波数の推定値を生成する。このようなやり方で、ユーザの手間無しに、第2周波数は自動的に推定される。
【0026】
ステップ4:第2周波数の推定値に基いて瞬時位相波形をフラット化する。実施形態によっては、このステップが次のステップを含んでいる。:(1)図12に示すように、理想アンラップ瞬時位相波形(ここでは簡単のため、「理想位相ランプ」とも呼ぶ)1200を生成する。理想位相ランプは、2π×F2ESTラジアン/秒の傾斜がある直線である。理想位相ランプのy切片は、任意の値に設定されて良いが、下記で明らかにする理由のために、理想位相ランプの最終値が、測定位相ランプの最終値と等しくなるようなy切片を設定するのが有益である。(2)測定位相ランプから理想位相ランプを引き算し(又は両者の差分を取る)、図13に示すようにアンラップ・フラット化瞬時位相波形(ここでは簡単のため、「フラット化位相ランプ」とも呼ぶ)1300を生成する。オプションで、フラット化位相ランプをラップ(wrap:−π〜+πの間に折り畳む)し、図14に示すように、フラット化瞬時位相波形1400を生成しても良い。
【0027】
フラット化瞬時位相波形は、理想位相ランプの最終値が測定位相ランプの最終値と等しいので、0(ゼロ)ラジアンに落ち着く。フラット化瞬時位相波形は、沈静期間に対応する区間において平坦(フラット)である(つまり、フラット化される)。これは、その期間では、理想位相ランプの位相累積レートと、測定位相ランプの位相累積レートとが等しいからである。しかし、フラット化瞬時位相波形は、他の区間では測定位相ランプの位相累積レートが異なるので、平坦(フラット)ではない。
【0028】
実施形態によっては、オプションでステップ5が設けられ、これにおいて、フラット化位相過渡応答を最適化するために、ユーザ又は試験測定装置615が第2周波数の推定値を微調整する。つまり、ユーザ又は試験測定装置は、フラット化瞬時位相波形の沈静期間が可能な限り平坦(フラット)で期間の長さが最大になるまで推定第2周波数をわずかに増減させても良い。この補足的なステップは、瞬時周波数波形にノイズが多いか、沈静期間が非常に短い場合に、正確な周波数測定を提供するのに特に有用である。
【0029】
実施形態によっては、試験測定装置410が位相過渡応答の位相セトリング・タイムを測定しても良い。図15を参照すると、位相セトリング・タイムは、時間基準ポイント1510と沈静期間1515の開始との間の時間期間1505に等しい。時間基準ポイント1510は、試験測定装置で検出されるトリガ・イベントか、又は、ユーザが選択するポイントとしても良い。沈静期間の位置は、ホップした後のフラット化瞬時位相波形のポイントに関し、その位相値が特定の許容範囲1520内の位相値と同じものに等しい連続(近接)する全ポイントを特定することによって決定される。例えば、沈静期間は、位相値がゼロ・ラジアンのプラス/マイナス1ミリ・ラジアン内にある連続するポイントのグループから構成しても良い。
【0030】
上述の実施形態は、図示したような1つの周波数ホップがある信号での動作に限定されるものではなく、複数の周波数ホップがある信号についても適用可能である。例えば、複数の周波数ホップがある信号を表す瞬時電圧波形があるとすると、試験測定装置は:
(ステップ1)瞬時電圧波形に基いて瞬時位相波形を計算する。
(ステップ2)瞬時電圧波形に基いて瞬時周波数波形を計算する。
(ステップ3)瞬時周波数波形に基き、ホップ後の、つまり、複数の到達する周波数それぞれの推定値を、次の(1)及び(2)によって計算する:(1)出力信号が落ち着いて到達する複数の周波数それぞれの沈静期間に対応する瞬時周波数波形の複数の区間それぞれの位置を特定し、(2)各沈静期間内の全ポイントの平均周波数値を計算し、到達周波数それぞれの推定値を生成する。
(ステップ4)複数の到達周波数の推定値に基づき、瞬時位相波形の沈静期間をそれぞれフラット化する。
【0031】
上述の実施形態では、理想位相ランプは、瞬時周波数波形から定めた第2周波数の推定値に基づいて生成されている。これに代わる実施形態としては、理想位相ランプを測定位相ランプから直接生成するもので、これによれば、瞬時周波数波形を計算する必要がない。この実施形態では、線形最小2乗法のような曲線に合わせるアルゴリズムが、測定位相ランプの沈静期間に直線を合わせるのに用いられ、そして、その直線は沈静期間以外については外挿(extrapolate:既知の部分(ここでは沈静期間)から未知の部分を推定)されて理想位相ランプを生成する。沈静期間の位置は、測定位相ランプのポイントの値が、特定許容範囲内の直線の値と等しい測定位相ランプの連続する全ポイントのグループを特定することによって定められる。
【0032】
本願で記述した方法は、PLLの位相過渡応答を測定するのに役立つだけでなく、電圧制御発信器、ミキサなどのような周波数がホップする出力信号を生成する他のデバイス又はシステムの位相過渡応答を測定するのにも役立つことが理解されよう。
【0033】
種々の実施形態では、プロセッサ610は、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの2つの組合せで実現しても良く、更に、これには、汎用のマイクロプロセッサ、デジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)などを含んでも良い。更に、上述の方法は、試験測定装置のプロセッサによって実行されると記載したが、別の実施形態としては、瞬時電圧波形のデータを別のコンピュータ(図示せず)に移し、そのコンピュータのプロセッサで上述の方法を実行するようにしても良い。
【0034】
上述の説明から、本願発明は、位相過渡応答の測定において、大きな進歩があることが理解されよう。説明のため、本発明の特定の実施形態を図示し、記述してきたが、本発明の主旨を離れることなく種々の変更が可能であることが理解されよう。
【符号の説明】
【0035】
400 測定システム
405 被測定デバイス
410 試験測定装置
500 瞬時電圧波形
605 ADC
610 プロセッサ
615 表示デバイス
620 記憶デバイス
800 瞬時電圧波形500のπ/2ラジアン位相シフトのレプリカ
900 瞬時位相波形
1000 アンラップ(unwrapped)瞬時位相波形
1100 瞬時周波数波形
1200 理想アンラップ瞬時位相波形
1300 アンラップ・フラット化瞬時位相波形
1400 フラット化瞬時位相波形
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15