特許第5872920号(P5872920)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ JX日鉱日石金属株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5872920
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】電子材料用めっき材
(51)【国際特許分類】
   C25D 7/00 20060101AFI20160216BHJP
   C25D 7/06 20060101ALI20160216BHJP
   C25D 3/56 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
   C25D7/00 G
   C25D7/06 A
   C25D3/56 101
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-33126(P2012-33126)
(22)【出願日】2012年2月17日
(65)【公開番号】特開2013-170273(P2013-170273A)
(43)【公開日】2013年9月2日
【審査請求日】2014年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】502362758
【氏名又は名称】JX金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】新井 英太
(72)【発明者】
【氏名】三木 敦史
【審査官】 向井 佑
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/086972(WO,A1)
【文献】 特開昭52−004437(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 3/00〜 7/12
JSTplus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属基材の表面に直接又は間接的にニッケル−タングステン合金めっき層が形成されている電子材料用めっき材であって、当該めっき層が形成されている金属基材の表面の面積を基準にして、ニッケル付着量が4000μg/dm2以上であり、タングステン付着量が0.8〜550μg/dm2であり、接触抵抗が30mΩ以下である電子材料用めっき材。
【請求項2】
色差ΔEが50以上である請求項1に記載の電子材料用めっき材。
【請求項3】
表面粗さRaが0.25μm以下である請求項1又は2に記載の電子材料用めっき材。
【請求項4】
金属基材が銅又は銅合金である請求項1〜3の何れか一項に記載の電子材料用めっき材。
【請求項5】
前記ニッケル付着量が9000μg/dm2以下である請求項1〜4の何れか一項に記載の電子材料用めっき材。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載のめっき材を備えた電子部品。
【請求項7】
ニッケル5〜40g/L、タングステン2〜950mg/Lを含有し、pH:3〜4、液温:35〜45℃のめっき浴中で、電流密度:1〜3A/dm2、クーロン量:15〜50As/dm2として金属基材を電気めっきすることにより、金属基材の表面に直接又は間接的にニッケル−タングステン合金めっき層を形成する工程を含む請求項1〜5の何れか一項に記載のめっき材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子材料用めっき材に関し、例えば端子、コネクタ、リレー、リードフレーム等の電子部品の導電材料として使用されるめっき材に関する。
【背景技術】
【0002】
端子、コネクタ、リレー、リードフレーム等の電子部品の導電材料として銅等の金属が多用されている。導電材料の表面には用途に応じて耐食性、接触抵抗、挿抜性、耐摩耗性、意匠性などの観点から種々のめっきが施されている。
【0003】
その中でも、ニッケルめっきは耐食性や耐摩耗性が高く、黒色表面が得られることが知られている。例えば、特開平09−078256号公報(特許文献1)では、ニッケルめっきによる黒色被膜の意匠性の向上を目指して、(1)基材表面に、ニッケル含有量が30〜100at%のニッケルあるいはニッケル合金の皮膜を形成する工程と、(2)前記皮膜形成後に、酸素雰囲気下で50〜500℃に加熱し前記皮膜表面にニッケル酸化物層を形成する工程と、(3)前記ニッケル酸化物層形成後に、第二鉄塩、第二銅塩より選ばれた1種又は2種以上の塩の合計濃度が10〜500g/lとなる酸性溶液中にて、侵漬酸化処理を施すか又は電解酸化処理を施す工程を行う黒色皮膜の形成方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−078256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術はニッケルめっきにより意匠性の高い黒色皮膜を得ることを専らの目的としているため、接触抵抗については着目していない。そのため、導電性の要求される電子材料用のめっき材としては好適に利用することができず、改善の余地が残されている。
【0006】
そこで、本発明は、意匠性の高い黒色表面と低接触抵抗を兼備した電子材料用めっき材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は一側面において、金属基材の表面にニッケル−タングステン合金めっき層が形成されている電子材料用めっき材であって、ニッケル付着量が4000μg/dm2以上であり、タングステン付着量が0.8〜550μg/dm2であり、接触抵抗が30mΩ以下であるめっき材である。
【0008】
本発明に係るめっき材の一実施形態においては、色差ΔEが50以上である。
【0009】
本発明に係るめっき材の別の一実施形態においては、表面粗さRaが0.25μm以下である。
【0010】
本発明に係るめっき材の更に別の一実施形態においては、金属基材が銅又は銅合金である。
【0011】
本発明に係るめっき材の更に別の一実施形態においては、ニッケル付着量が9000μg/dm2以下である。
【0012】
本発明は別の一側面において、本発明に係るめっき材を備えた電子部品である。
【0013】
本発明は更に別の一側面において、ニッケル5〜40g/L、タングステン2〜950mg/Lを含有し、pH:3〜4、液温:35〜45℃のめっき浴中で、電流密度:1〜3A/dm2、クーロン量:15〜50As/dm2として金属基材を電気めっきすることにより、金属基材の表面にニッケル−タングステン合金めっき層を形成する工程を含むめっき材の製造方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、意匠性の高い黒色表面と低接触抵抗を兼備しためっき材が得られる。そのため、本発明に係るめっき材を電子部品の導電材料として使用することにより、優れた接触抵抗と高い意匠性の両方を満足する電子部品が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<基材>
本発明で使用可能な基材の材料としては金属であれば特に制限はなく、例えば、銅、金、銀、鉄、ニッケル、アルミニウム、クロム、チタン、亜鉛、マグネシウム等が挙げられる。銅合金、鉄合金等、これらを使用した合金でもよい。高い導電性を得る観点からは、銅又は銅合金が好ましい。
【0016】
銅としては、典型的には、JIS H0500に規定されるリン脱酸銅、無酸素銅及びタフピッチ銅などの99.90質量%以上の純度の銅が挙げられる。Sn、Ag、Au、Co、Cr、Fe、In、Ni、P、Si、Te、Ti、ZnおよびZrの中の一種以上を合計で0.001〜4.0質量%含有する銅又は銅合金とすることもできる。
【0017】
銅合金としては、更に、チタン銅、リン青銅、コルソン合金、丹銅、黄銅、洋白等が挙げられる。
【0018】
チタン銅は典型的には、Ti:0.5〜5.0質量%を含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなる組成を有する。チタン銅は更に、Fe、Co、V、Nb、Mo、B、Ni、P、Zr、Mn、Zn、Si、Mg及びCrの中の1種類以上を合計で2.0質量%以下含有しても良い。
【0019】
リン青銅は典型的には、リン青銅とは銅を主成分としてSn及びこれよりも少ない質量のPを含有する銅合金のことを指す。一例として、りん青銅はSnを3.5〜11質量%、Pを0.03〜0.35質量%含有し、残部銅及び不可避的不純物からなる組成を有する。リン青銅は、Ni、Zn等の元素を合計で1.0質量%以下含有しても良い。
【0020】
コルソン合金は典型的にはSiと化合物を形成する元素(例えば、Ni、Co及びCrの何れか一種以上)が添加され、母相中に第二相粒子として析出する銅合金のことをいう。一例として、コルソン合金はNiを1.0〜4.0質量%、Siを0.2〜1.3質量%含有し、残部銅及び不可避的不純物から構成される組成を有する。別の一例として、コルソン合金はNiを1.0〜4.0質量%、Siを0.2〜1.3質量%、Crを0.03〜0.5質量%含有し、残部銅及び不可避的不純物から構成される組成を有する。更に別の一例として、コルソン合金はNiを1.0〜4.0質量%、Siを0.2〜1.3質量%、Coを0.5〜2.5質量%含有し、残部銅及び不可避的不純物から構成される組成を有する。更に別の一例として、コルソン合金はNiを1.0〜4.0質量%、Siを0.2〜1.3質量%、Coを0.5〜2.5質量%、Crを0.03〜0.5質量%含有し、残部銅及び不可避的不純物から構成される組成を有する。更に別の一例として、コルソン合金はSiを0.2〜1.3質量%、Coを0.5〜2.5質量%含有し、残部銅及び不可避的不純物から構成される組成を有する。コルソン合金には随意にその他の元素(例えば、Mg、Sn、B、Ti、Mn、Ag、P、Zn、As、Sb、Be、Zr、Al及びFe)が添加されてもよい。これらその他の元素は総計で2.0質量%程度まで添加するのが一般的である。例えば、更に別の一例として、コルソン合金はNiを1.0〜4.0質量%、Siを0.2〜1.3質量%、Snを0.01〜2.0質量%、Znを0.01〜2.0質量%含有し、残部銅及び不可避的不純物から構成される組成を有する。
【0021】
アルミニウム及びアルミニウム合金としては、例えばAlを99質量%以上含むものを使用することができる。具体的には、JIS H 4000に記載の合金番号1085、1080、1070、1050、1100、1200、1N00、1N30に代表される、Al:99.00質量%以上のアルミニウム又はその合金等を用いることができる。
【0022】
ニッケル及びニッケル合金としては、例えばNiを99質量%以上含むものを使用することができる。具体的には、JIS H4551に記載の合金番号NW2200、NW2201に代表される、Ni:99.0質量%以上のニッケル又はその合金等を用いることができる。
【0023】
鉄合金としては、例えばステンレス、軟鋼、鉄ニッケル合金等を用いることができる。ステンレスは、SUS301、SUS 304、SUS310、SUS 316、SUS 430、SUS 631(いずれもJIS規格)などを用いることができる。軟鋼は、炭素が0.15質量%以下の軟鋼を用いることができ、JIS G3141に記載の軟鋼等を用いることができる。鉄ニッケル合金は、Niを35〜85質量%含み、残部がFe及び不可避不純物からなり、具体的には、JIS C2531に記載の鉄ニッケル合金を用いることができる。
【0024】
基材の形状としては、特に制限はないが、最終的な電子部品の形状に加工されていてもよいし、部分的にプレス加工がなされた状態にあってもよい。形状加工が行われておらず、板や箔の形態にあってもよい。形状加工前にめっきを行う“前めっき”の場合は、プレス加工後に未処理部分が残存し、形状加工後にめっきを行う“後めっき”の場合は表面全体を黒色化できるということに留意しながら、どの形状加工段階で黒色化処理を行うかを、黒色化すべき部分との兼ね合いで適宜決定すればよい。
【0025】
<黒色化層>
基材上にはニッケル−タングステン合金めっき層が形成される。これにより、めっき材の表面が黒色化する。このニッケル−タングステン合金めっき層は、黒色化の観点からニッケルの付着量を4000μg/dm2以上とするのが好ましく、5000μg/dm2以上とするのがより好ましく、6000μg/dm2以上とするのが更により好ましいが、ニッケルの付着量が多すぎる場合は黒色化の効果は飽和し、生産性やコストパフォーマンスが低下するので、42000μg/dm2以下とするのが好ましく、30000μg/dm2以下とするのが好ましく、20000μg/dm2以下とするのが好ましく、9000μg/dm2以下とするのがより好ましい。タングステンは合金めっき層中に共存すればよいが、黒色化の観点からは0.8μg/dm2以上とするのが好ましく、1.0μg/dm2以上とすることが好ましく、4μg/dm2以上とするのがより好ましく、6μg/dm2とするのが更により好ましい。但し、高すぎるとめっき皮膜が硬くなり、接触抵抗が上昇し、曲げ加工性が劣化するので、550μg/dm2以下、より好ましくは400μg/dm2以下、更により好ましくは200μg/dm2とするのが好ましい。
【0026】
(黒色化層を形成するめっき条件)
好適なめっき浴組成とめっき条件は次の通りである。
液組成 :ニッケル5〜40g/L、タングステン2〜950mg/L
pH :3〜4
液温 :35〜45℃
電流密度 :1〜3A/dm2
クーロン量:15〜50As/dm2
【0027】
めっき浴中のニッケル濃度が5g/Lを下回る場合はニッケル付着量低下により黒色が得られにくくなり、また、40g/Lを上回る場合は黒色の効果が飽和する。めっき浴中のニッケル濃度は好ましくは10〜40g/L、20〜30g/Lである。めっき浴中のタングステン濃度が2mg/Lを下回る場合はタングステンが取り込まれにくいため黒色が得られにくく、また、950mg/Lを上回る場合は黒色の効果が飽和するとともに、接触抵抗の上昇や曲げ加工性の劣化が見られる。めっき浴中のタングステン濃度は好ましくは10〜800mg/L、好ましくは10〜400mg/L、より好ましくは10〜30mg/L、更により好ましくは15〜25mg/Lである。
【0028】
めっき浴のpHが3未満だとニッケル優先電析により黒色が得られず、また、pHが4を超える場合はタングステンの付着量を多くしないと黒色化されにくい。めっき浴のpHは好ましくは3〜3.5である。
【0029】
めっき浴の液温が35℃未満だとタングステンが含有されにくくなり黒色が得られず、また、液温が45℃を超える場合はタングステンの付着量を多くしないと黒色化されにくい。めっき浴の液温は好ましくは38〜43℃である。
【0030】
めっき時の電流密度が1A/dm2未満だとタングステンが含有されにくくなり黒色が得られず、また、3A/dm2を超えると基材上からの水素ガス発生が支配的となり均一なめっき皮膜が得られなくなる。めっき時の電流密度は好ましくは1〜2A/dm2である。
【0031】
めっき時のクーロン量が15As/dm2未満だとニッケル付着量が少ないため黒色が得られず、また、50As/dm2を超えても黒色の効果は飽和する傾向が見られる。めっき時のクーロン量は好ましくは20〜40As/dm2である。
【0032】
ニッケル−タングステン合金めっき層を形成した後は、50℃以上の温度で30分間以上の加熱処理は行うべきではない。特許文献1では加熱処理することによって酸化ニッケル層を形成しているが、接触抵抗を増大させることになり、また、色合いが悪くなってしまう。本発明においては、ニッケル付着量が比較的多いことから、加熱処理を行わなくとも十分に意匠性に優れた黒色表面が得られる。なお、ドライヤーでめっき後の表面を乾燥させる程度の加熱(例:めっき皮膜温度45℃以下で、20分以下)であれば問題はない。
【0033】
本発明に係るめっき材の一実施形態においては、色差ΔEを50以上とすることができ、好ましくは54以上とすることができ、より好ましくは57以上とすることができ、例示的には55〜69又は55〜60とすることができる。
【0034】
本発明において、色差ΔEは色差計(実施例では「ハンターラボ社製Mini Scan XE Plus」を使用した。)によって測定する。白色板の測定値をΔE=0、黒い袋で覆って暗闇で測定したときの測定値をΔE=90として、色差を校正する。
【0035】
本発明に係るめっき材の一実施形態においては、接触抵抗を30mΩ以下とすることができ、好ましくは20mΩ以下とすることができ、典型的には0.1〜10mΩとでき、さらに典型的には0.1〜7mΩとすることができる。
【0036】
本発明において、接触抵抗は四端子法によって測定する。
【0037】
本発明に係るめっき材においては、ニッケル−タングステン合金めっき層が基材の上に直接形成されることが好ましい。基材とニッケル−タングステン合金めっき層の間に他のめっき層(特に粗化処理層)が介入すると表面粗さが大きくなり、光沢が低下して意匠性が低下するからである。そのため、本発明に係るめっき材の一実施形態においては、表面粗さ(Ra)を0.25μm以下と小さくすることができ、好ましくは0.15μm以下、更に好ましくは0.1μm以下とすることができ、典型的には0.05〜0.2μmとすることができる。
【0038】
<耐熱層>
前記ニッケル−タングステン合金めっき層の上に、耐熱層、特に亜鉛−ニッケル合金めっき層の耐熱層を形成してもよい。
【0039】
(耐熱層を形成するめっき条件)
代表的なめっき浴組成とめっき条件は次の通りである。
液組成 :ニッケル2〜30g/L、亜鉛2〜30g/L
pH :3〜4
液温 :30〜50℃
電流密度 :1〜2A/dm2
クーロン量:1〜2As/dm2
【0040】
<防錆層>
また、前記ニッケル−タングステン合金めっき層の上、又は、前記ニッケル−タングステン合金めっき層の上に形成された耐熱層の上に、防錆層、特にクロメート層の防錆層を形成してもよい。本発明において好ましい防錆処理は、クロム酸化物単独の皮膜処理或いはクロム酸化物と亜鉛/亜鉛酸化物との混合物皮膜処理である。クロム酸化物と亜鉛/亜鉛酸化物との混合物皮膜処理とは、亜鉛塩または酸化亜鉛とクロム酸塩とを含むめっき浴を用いて電気めっきにより亜鉛または酸化亜鉛とクロム酸化物とより成る亜鉛−クロム基混合物の防錆層を被覆する処理である。
【0041】
めっき浴としては、代表的には、K2Cr27、Na2Cr27等の重クロム酸塩やCrO3等の少なくとも一種と、水溶性亜鉛塩、例えばZnO 、ZnSO4・7H2Oなど少なくとも一種と、水酸化アルカリとの混合水溶液が用いられる。代表的なめっき浴組成と電解条件例は次の通りである。下記においては、浸漬クロメート処理の条件を示したが、電解クロメート処理でも良い。
【0042】
(防錆層を形成するめっき条件)
液組成 :重クロム酸カリウム1〜10g/L、亜鉛0〜5g/L
pH :3〜4
液温 :50〜60℃
電流密度 :0〜2A/dm2(浸漬クロメート処理のため)
クーロン量:0〜2As/dm2(浸漬クロメート処理のため)
【0043】
本発明に係るめっき材は、リードフレーム、コネクタ、ピン、端子、リレー、スイッチ、二次電池用箔材等の電子部品の導電材料として使用することができる。
【実施例】
【0044】
以下、実施例及び比較例に基づいて説明する。なお、本実施例はあくまで一例であり、この例のみに制限されるものではない。すなわち、本発明に含まれる他の態様または変形を包含するものである。なお、試験にはすべて圧延材を用いた。
【0045】
(例1:電流密度及びクーロン量が与える影響の検討)
めっき処理を行っていない板厚300umのリン青銅(Sn:8mass%−P:0.2mass%、残部:Cu及び不可避的不純物)基材の表面に、下記に示す条件で、ニッケル−タングステン合金めっき層を以下の条件で直接形成した。
(ニッケル−タングステン合金めっき層を形成するめっき条件)
液組成 :ニッケル25g/L、タングステン20mg/L
(ニッケルの供給源は硫酸ニッケル六水和物、タングステンの供給源はタングステン酸ナトリウムとした。)
pH :3.6(pH調整のために添加した酸:硫酸)
液温 :40℃
なお、電流密度とクーロン量については表1に示した。
【0046】
めっき処理後、めっき浴から取り出しためっき材を水洗した後ドライヤーで乾燥した(めっき皮膜の温度45℃、乾燥時間10分、以下の例も同様。)。得られためっき材について、以下の項目を測定した。結果を表1に示す。
(Ni付着量)
ニッケル−タングステン合金めっき層のNiの付着量はめっき層を硝酸水溶液で溶解し、液中のNi量をICP(Seiko Instruments社製プラズマスペクトロメーター)にて測定することにより算出した。
(W付着量)
ニッケル−タングステン合金めっき層のWの付着量はニッケルと同様にICPにて測定することにより算出した。
(色差ΔE)
色差計「ハンターラボ社製Mini Scan XE Plus」により測定した。
(表面粗さRa)
JIS−B0601(2001年)に従い、算術平均粗さRaを測定した。測定は、標準の長さ1.25mm、カットオフ値0.25mm(上記JISに準拠)、走査速度0.1mm/secとし、小坂研究所社製の表面粗さ測定機(Surfcorder SE3400)を用い、測定長1.25mmで測定データ数が7500点として行った。
(電流効率)
電流効率はめっきクーロン量からの理論電着量に対するニッケル付着量から試算した。
(接触抵抗)
接触抵抗は、山崎精機社製の電気接点シミュレータCRS−1を使い、四端子法で測定した。プローブ:金プローブ、接触荷重:100g、摺動速度:1mm/min、摺動距離:1mm。
(曲げ加工性)
各めっき材を圧延方向に直角方向に長さ30mm×幅10mmに試料を採取し、内側曲げ半径RをR/t=1.0、1.5、2.0(tは試料の板厚)とし、曲げ軸が圧延方向と平行になるようにして(bad way)、W曲げ試験( JIS H 3130)を行った。そして、めっき表面のクラックの発生状況を調査した。そして、実体顕微鏡(20倍)で曲げ部を観察してクラックが認められない場合を○、クラックが認められる場合を×とした。なお、クラック部に母材の露出が有る場合をクラックが認められると判定した。
【0047】
【表1】
【0048】
(例2:基材の種類が与える影響の検討)
めっき処理を行っていない板厚300umの表2に記載の各種組成をもつ基材の表面に、下記に示す条件で、ニッケル−タングステン合金めっき層を以下の条件で直接形成した。
(ニッケル−タングステン合金めっき層を形成するめっき条件)
液組成 :ニッケル25g/L、タングステン20mg/L
(ニッケルの供給源は硫酸ニッケル六水和物、タングステンの供給源はタングステン酸ナトリウムとした。)
pH :3.6(pH調整のために添加した酸:硫酸)
液温 :40℃
なお、電流密度とクーロン量については表2に示した。
【0049】
めっき処理後、めっき浴から取り出しためっき材を水洗した後ドライヤーで乾燥した。得られためっき材について、例1と同様に特性を評価した。結果を表2に示す。
【0050】
【表2】
【0051】
(例3:めっき浴の条件が与える影響の検討)
めっき処理を行っていない板厚300umのリン青銅(Sn:8mass%−P:0.2mass%、残部:Cu及び不可避的不純物)基材の表面に、下記に示す条件で、ニッケル−タングステン合金めっき層を以下の条件で直接形成した。
(ニッケル−タングステン合金めっき層を形成するめっき条件)
pH :3.6(pH調整のために添加した酸:硫酸)
液温 :40℃
なお、液組成については表3に示した。但し、ニッケルの供給源及びタングステンの供給源は例1と同じである。
【0052】
めっき処理後、めっき浴から取り出しためっき材を水洗した後ドライヤーで乾燥した。得られためっき材について、例1と同様に特性を評価した。結果を表3に示す。
【0053】
【表3】
【0054】
(例4:加熱処理の影響の検討)
実施例1―3と同様のめっき処理及び乾燥を行った後、50℃×1時間の加熱処理を空気雰囲気下で実施した。その後、更に硫酸第二鉄300g/L、硫酸第二銅200g/Lを含有する酸性溶液中で浸漬酸化処理を10秒間行った。浸漬後、取り出しためっき材を水洗した後ドライヤーで乾燥した。得られためっき材について、例1と同様に特性を評価した。結果を表4に示す。
【0055】
【表4】
【0056】
(例5:粗化処理が与える影響の検討)
予めCuの電着粒による粗化処理を行った板厚300umのリン青銅基材(Sn:8mass%−P:0.2mass%、残部:Cu及び不可避的不純物)の表面に、実施例1―3と同じ条件で、ニッケル−タングステン合金めっき層を以下の条件で形成した。
粗化処理の条件は以下とした。
(粗化処理条件)
液組成 :銅15g/L、硫酸75g/L
液温 :35℃
電流密度 :2〜58A/dm2
クーロン量:8〜81As/dm2
【0057】
めっき処理後、めっき浴から取り出しためっき材を水洗した後ドライヤーで乾燥した。得られためっき材について、例1と同様に特性を評価した。結果を表5に示す。
【0058】
【表5】