【実施例】
【0015】
図1は、本発明に係るPLL周波数シンセサイザからなる局部発振回路を含む無線通信機器の概略構成を示すブロック図である。
【0016】
図1において、アンテナ1は電波を受信して得られたRF(Radio Frequency)信号をアンテナスイッチ2に供給する。この際、アンテナスイッチ2は、かかるRF信号を受信信号としてアンプ3Aに供給する。アンプ3Aは、論理レベル1のロック検出信号LK
1が供給されている場合にだけ活性状態となって、上記した受信信号の増幅を行う。アンプ3Aは、受信信号を増幅して得た増幅受信信号を混合器4Aに供給する。局部発振回路5Aは、電源投入に応じて所定周波数の局部発振信号F
1の生成を開始し、これを混合器4Aに供給する。更に、局部発振回路5Aは、局部発振信号F
1の周波数が安定して生成されている間は論理レベル1、不安定な状態にある間は論理レベル0のロック検出信号LK
1をアンプ3Aに供給する。混合器4Aは、局部発振回路5Aから供給された局部発振信号F
1と、上記した増幅受信信号とを混合することにより所定帯域の受信データ信号を生成しこれを復調回路6に供給する。復調回路6は、この受信データ信号に所定の復調処理を施すことにより受信情報データを得る。尚、復調回路6の前段には、受信データ信号中から所定帯域の成分のみを抽出するバンドパスフィルタ(図示せぬ)と、抽出された信号レベルに対して所定の上限及び下限レベルにて振幅制限を施すリミッタ(図示せぬ)と、が設けられていても良い。
【0017】
変調回路7は、送信すべき情報データに所定の変調処理を施して得られた変調データ信号を混合器4Bに供給する。局部発振回路5Bは、電源投入に応じて所定周波数の局部発振信号F
2の生成を開始し、これを混合器4Bに供給する。更に、局部発振回路5Bは、局部発振信号F
2の周波数が安定して生成されている間は論理レベル1、不安定な状態にある間は論理レベル0のロック検出信号LK
2をアンプ3Bに供給する。混合器4Bは、局部発振回路5Bから供給された局部発振信号F
2と、上記した変調データ信号とを混合することにより送信帯域の送信信号を生成しこれをアンプ3Bに供給する。アンプ3Bは、論理レベル1のロック検出信号LK
2が供給されている場合にだけ活性状態となって、上記した送信信号を増幅する。アンプ3Bは、かかる送信信号を増幅して得た増幅送信信号をアンテナスイッチ2に供給する。この際、アンテナスイッチ2は、かかる増幅送信信号をアンテナ1に供給し、これを空間に放射させる。
【0018】
ここで、上記した局部発振回路5A及び9は半導体集積装置としての半導体チップに形成されており、夫々が
図2に示す如きPLL周波数シンセサイザからなる。
【0019】
図2に示すように、かかるPLL周波数シンセサイザは、分周器10、位相周波数検出器11、チャージポンプ回路12、ループフィルタ13、及び電圧制御発振器14からなるPLL回路と、ロック検出回路15とを有する。
【0020】
位相周波数検出器11は、水晶発振回路又はセラミック発振回路(いずれも図示せず)等で生成された所定周波数の基準発振信号RCKと、分周器10から供給された分周信号DIVとの立ち上がりエッジ部同士の位相差を検出する。この際、
図3(a)に示すように、基準発振信号RCKの立ち上がりエッジ部に対して分周信号DIVの立ち上がりエッジ部が遅れている場合には、位相周波数検出器11は、両者の位相差dに対応した論理レベル1のパルス幅を有する位相差信号UPをチャージポンプ回路12及びロック検出回路15に供給する。一方、
図3(b)に示すように、基準発振信号RCKの立ち上がりエッジ部に対して分周信号DIVの立ち上がりエッジ部が進んでいる場合には、位相周波数検出器11は、両者の位相差dに対応した論理レベル1のパルス幅を有する位相差信号DNをチャージポンプ回路12及びロック検出回路15に供給する。
【0021】
要するに、位相周波数検出器11は、分周信号DIVの位相が基準発振信号RCKに対して進んでいる場合には両者同士の位相差に対応したパルス幅を有する第1の位相差信号DNを生成する。一方、分周信号DIVの位相が基準発振信号RCKに対して遅れている場合には、位相周波数検出器11は、両者同士の位相差に対応したパルス幅を有する第2の位相差信号UPを生成するのである。
【0022】
尚、位相周波数検出器11は、不要な輻射成分としてのいわゆるスプリアスを低減させる為に、基準発振信号RCK及び分周信号DIV同士の位相差が無い場合にも、
図3(c)に示す如き所定の固定パルス幅TDを有する論理レベル1の位相差信号UP及びDNを同時に送出する期間が存在する。
【0023】
図4は、チャージポンプ回路12の内部構成を示す回路図である。
【0024】
図4に示すように、チャージポンプ回路12は、PMOS(Positive channel Metal Oxide Semiconductor)電流源121、NMOS(Negative channel Metal Oxide Semiconductor)電流源122、スイッチ素子123及び124からなる。PMOS電流源121は、電源電圧VDDに基づき正極性の電流Ipを生成しこれをスイッチ素子123に供給する。スイッチ素子123は、位相差信号UPが論理レベル0の状態にある間はオフ状態となる一方、かかる位相差信号UPが論理レベル1の状態にある間はオン状態となって上記PMOS電流源121から供給された正極性の電流Ipを、チャージポンプ出力電流ICPとして出力ラインL1に送出する。NMOS電流源122は、接地電圧VSSに基づき負極性の電流Inを生成しこれをスイッチ素子124に供給する。スイッチ素子124は、位相差信号DNが論理レベル0の状態にある間はオフ状態となる一方、かかる位相差信号DNが論理レベル1の状態にある間はオン状態となって上記NMOS電流源122から供給された負極性の電流Ipを、チャージポンプ出力電流ICPとして出力ラインL1に送出する。尚、上記した正極性の電流Ipの絶対値と、負極性の電流Inの絶対値とは同一である。
【0025】
かかる構成により、チャージポンプ回路12は、論理レベル1の位相差信号UPが供給された場合には、正極性のチャージポンプ出力電流ICPを出力ラインL1に送出することにより、この出力ラインL1上の電圧を増加させる。一方、論理レベル1の位相差信号DNが供給された場合には、チャージポンプ回路12は、負極性のチャージポンプ出力電流ICPを出力ラインL1に送出することにより、この出力ラインL1上の電圧を低下させる。
【0026】
ループフィルタ13は、出力ラインL1にその一端が接続されている抵抗R1と、このR1の他端にその一端が接続されているコンデンサC1と、出力ラインL1にその一端が接続されているコンデンサC2と、からなる。尚、コンデンサC1及びC2各々の他端には接地電圧VSSが印加されている。
【0027】
かかる構成により、ループフィルタ13は、上記したチャージポンプ出力電流ICPを電圧に変換し、これを平滑することにより、チャージポンプ回路12でのスイッチング動作に伴うスイッチングノイズを除去した制御電圧CVを生成し、これを電圧制御発振器14に供給する。
【0028】
電圧制御発振器14は、制御電圧CVに対応した周波数を有する発振信号Fを生成し、これを分周器10及びロック検出回路15に供給しつつ外部出力する。
【0029】
分周器10は、分周比設定信号DDSにて示される分周比に応じて、上記した発振信号Fを分周した分周信号DIVを位相周波数検出器11に供給する。すなわち、分周比設定信号DDSに基づいて、本PLL周波数シンセサイザが出力すべき発振信号Fの目標周波数が設定されるのである。
【0030】
よって、分周器10、位相周波数検出器11、チャージポンプ回路12、ループフィルタ13及び電圧制御発振器14からなるPLL回路によれば、基準発振信号RCKに位相同期しており、且つ分周比設定信号DDSによって設定された分周比に応じた目標周波数を有する発振信号Fが生成される。
【0031】
ロック検出回路15は、電圧制御発振器14から送出された発振信号Fの周波数が目標周波数に収束したか否か、つまり上記したPLL回路がロック状態にあるか否かを検出し、ロック状態にある場合には論理レベル1、非ロック状態にある場合には論理レベル0のロック検出信号LKを送出する。
【0032】
ここで、
図1に示す局部発振回路5Aとして本PLL周波数シンセサイザを採用した場合には、上記した発振信号Fが局部発振信号F
1として混合器4Aに供給されると共に、ロック検出信号LKがロック検出信号LK
1としてアンプ3Aに供給される。また、
図1に示す局部発振回路5Bとして本PLL周波数シンセサイザを採用した場合には、上記した発振信号Fが局部発振信号F
2として混合器4Bに供給されると共に、ロック検出信号LKがロック検出信号LK
2としてアンプ3Bに供給される。
【0033】
ロック検出回路15は、例えば
図2に示す如きカウンタ16、17及び判定部18からなる。
【0034】
図2において、カウンタ16は、上記した発振信号Fのパルス数をカウントし、そのカウント値を示すカウント値CN1を判定部18に供給する。尚、カウンタ16は、上記した位相差信号DNの立ち上がりエッジのタイミングで現カウント値をゼロにリセットする。要するに、カウンタ16は、位相差信号DNが論理レベル1の状態にある間にだけカウント動作を行うことにより、論理レベル1の位相差信号DNのパルス幅に対応したカウント値CN1を判定部18に供給するのである。
【0035】
カウンタ17は、上記した発振信号Fのパルス数をカウントし、そのカウント値を示すカウント値CN2を判定部18に供給する。尚、カウンタ17は、上記した位相差信号UPの立ち上がりエッジのタイミングで現カウント値をゼロにリセットする。要するに、カウンタ17は、位相差信号UPが論理レベル1の状態にある間にだけカウント動作を行うことにより、論理レベル1の位相差信号UPのパルス幅に対応したカウント値CN2を判定部18に供給するのである。
【0036】
判定部18は、上記カウント値CN1及びCN2同士の差分値、つまり|CN1−CN2|が、許容誤差設定信号GSにて示される許容誤差値よりも小であるか否かを判定する。この際、上記カウント値CN1及びCN2同士の差分値が上記の許容誤差値よりも小である場合には、判定部18は、PLLがロック状態にあることを示す論理レベル1のロック検出信号LKを送出する。一方、上記カウント値CN1及びCN2同士の差分値が上記の許容誤差値以上である場合には、判定部18は、PLLが非ロック状態にあることを示す論理レベル0のロック検出信号LKを送出する。
【0037】
以下に、ロック検出回路15の動作について
図5〜
図7を参照しつつ説明する。
【0038】
尚、
図5は基準発振信号RCKに対して分周信号DIVの位相が遅れている場合、
図6は基準発振信号RCKに対して分周信号DIVの位相が進んでいる場合でのロック検出回路15の内部動作の一例を示すタイムチャートである。
【0039】
図5又は
図6に示すように、基準発振信号RCKに対して分周信号DIVの位相がずれていると、位相周波数検出器11は、その位相差に対応したパルス幅を有する論理レベル1の位相差信号UP又はDNをロック検出回路15に供給する。例えば、基準発振信号RCKに対して分周信号DIVの位相が
図5に示すように遅れている場合、位相周波数検出器11は、その位相差に対応したパルス幅を有する論理レベル1の位相差信号UPをカウンタ17に供給すると共に、論理レベル0固定の位相差信号DNをカウンタ16に供給する。よって、カウンタ16及び17の内の17は、位相差信号UPの立ち上がりエッジ部でそのカウント値を一旦、ゼロにリセットし、この位相差信号UPが論理レベル1の状態にある間に亘り発振信号Fのパルス数のカウントを行う。カウンタ17は、そのカウント値を示すカウント値CN2を判定部18に供給する。その後、位相差信号UPが論理レベル1から0に遷移すると、カウンタ17は、カウント動作を停止しその直前のカウント値CN2を判定部18に供給する。尚、この間、カウンタ16は、ゼロを示すカウント値CN1を判定部18に供給する。判定部18は、カウント値CN1及びCN2同士の差分値、つまり|CN1−CN2|が、
図5において一点鎖線にて示される許容誤差設定信号GSよりも小である場合には、PLLがロック状態にあることを示す論理レベル1のロック検出信号LKを生成する。一方、カウント値CN1及びCN2同士の差分値が、
図5において一点鎖線にて示される許容誤差設定信号GS以上である場合には、PLL回路が非ロック状態にあることを示す論理レベル0のロック検出信号LKを生成する。
【0040】
このように、ロック検出回路15では、位相周波数検出器11から送出された位相差信号UP又はDNにおける各パルス毎に、そのパルス幅に基づいてPLL回路がロック状態にあるか否かを判定するようにしている。このため、
図2に示すロック検出回路15によれば、位相差信号UP及びDNのパルス数をカウントし、そのパルス数が共に所定値に到った場合にロック状態にあると判定するようにしたロック判定方法に比して、迅速に且つ精度良くロック状態の検出を行うことが可能となる。
【0041】
また、かかるロック検出回路15では、位相差信号DNのパルス幅(CN1)と、位相差信号UPのパルス幅(CN2)との差分値の大きさに基づいて、PLL回路がロック状態にあるか否かを判定するようにしている。すなわち、かかる差分値が許容誤差値(GS)よりも小なる場合にはロック状態、大なる場合には非ロック状態にあると判定している。
【0042】
かかる構成によれば、PLL回路がロック状態にある際に、
図7に示す如く、比較的大なるパルス幅TDを有する論理レベル1の位相差信号UP及び位相差信号DNが同時に生成された場合であっても、夫々に対応したカウント値CN1及びCN2は略同一となって両者の差分値は略ゼロとなる。よって、これが
図7の一点鎖線にて示す許容誤差設定信号GSよりも小となることから、誤判定することなく、PLL回路がロック状態にあることを確実に検出することが可能となる。
【0043】
図8は、
図2に示すPLL周波数シンセサイザの改良例を示す図である。
【0044】
尚、
図8に示す構成では、オフセット電流送出回路21を付加すると共に、判定部18に代えて判定部28を採用した点を除く他の構成は、
図2に示されるものと同一である。よって、以下に、オフセット電流送出回路21及び判定部28の動作を中心に、
図8に示すPLL周波数シンセサイザの動作を説明する。
【0045】
オフセット電流送出回路21は、チャージポンプ回路12の内部動作に起因するスプリアスを防止する為のオフセット電流I
ofsを生成し、これをチャージポンプ回路12の出力ラインL1に送出する。
【0046】
つまり、チャージポンプ回路12で生成されるチャージポンプ出力電流ICPは、
図9の破線に示すように、基準発振信号RCK及び分周信号DIV同士の位相差に対して線形推移するのが望ましい。しかしながら、製造上のバラツキ等に伴い、チャージポンプ回路12内において、正極電流(Ip)の生成を担うPMOS電流源121と、負極電流(In)の生成を担うNMOS電流源122との特性の整合性が取れていない場合がある。この際、例えば
図9の太実線に示すように、チャージポンプ回路12から送出されるチャージポンプ出力電流ICPは、基準発振信号RCK及び分周信号DIV同士の位相差に対して非線形的に推移することになる。ここで、分周器10、位相周波数検出器11、チャージポンプ回路12、ループフィルタ13及び電圧制御発振器14による帰還ループによれば、チャージポンプ回路12は、
図9の一点鎖線にて囲まれた動作領域a内で動作することになる。従って、上記した位相差が進み位相である場合と、遅れ位相である場合とでチャージポンプ出力電流ICPの絶対値が異なることになり、これがスプリアスの発生原因となる。
【0047】
そこで、オフセット電流送出回路21により、オフセット電流I
ofsをチャージポンプ出力電流ICPに重畳することにより、チャージポンプ回路12の動作領域を
図9に示す動作領域aから動作領域bにシフトさせるのである。つまり、動作領域aにおける動作中心を
図9に示す如く位相シフト値OFだけ位相進み方向(又は遅れ方向)にシフトするのである。これにより、チャージポンプ回路12は、
図9に示す位相差Qを基準点とし、この位相差Qよりも大なる位相差が生じている場合には負極性の電流Inをチャージポンプ出力電流ICPとして送出する一方、位相差Qよりも小なる位相差が生じている場合には正極性の電流Ipをチャージポンプ出力電流ICPとして送出する。
【0048】
ところで、このようなオフセット電流をチャージポンプ出力電流ICPに重畳させると、PLL回路がロック状態にあるにも拘わらず、
図10に示す如く、所定期間に亘り論理レベル1となるパルスを含む位相差信号UP(又は位相差信号DN)が生成される場合がある。そこで、この際、非ロック状態であると誤判定しないように、
図8に示すロック検出回路15では、判定部28によって以下の如きロック判定を行うようにしている。
【0049】
判定部28は、上記カウント値CN1及びCN2同士の差分値から、目標値設定信号OSにて示される目標値を減算した減算結果の絶対値、つまり、以下の差分値SSが許容誤差設定信号GSにて示される許容誤差値よりも小であるか否かを判定する。
【0050】
SS=|CN1−CN2−OS|
尚、目標値設定信号OSにて示される目標値とは、チャージポンプ回路12の動作領域をオフセット電流送出回路21によってシフトさせる位相量、つまり
図9に示す位相シフト値OFである。尚、位相シフト値OFは、
図9に示すように位相進み方向にシフトさせる場合と、位相遅れ方向にシフトさせる場合とで極性が異なる。
【0051】
ここで、上記した差分値SSが上記の許容誤差値(GS)よりも小である場合には、判定部28は、PLLがロック状態にあることを示す論理レベル1のロック検出信号LKを送出する。一方、かかる差分値SSが許容誤差値(GS)以上である場合には、判定部28は、PLLが非ロック状態にあることを示す論理レベル0のロック検出信号LKを送出する。
【0052】
このように、
図8に示すPLL周波数シンセサイザでは、チャージポンプ回路12から送出されたチャージポンプ出力電流ICPにオフセット電流I
ofsを重畳させてこのチャージポンプ回路12の動作中心を位相進み又は遅れ方向にシフトすることにより、製造上のバラツキに起因してチャージポンプ回路12内で生じるスプリアスを防止している。また、チャージポンプ回路12の動作中心を位相進み又は遅れ方向にシフトしたことによって生じるロック状態の誤判定を防ぐ為に、判定部28では、先ず、カウント値CN1及びCN2同士の差分値から目標値設定信号OSを減算することにより、
図9に示す如き位相シフト値OFの分を相殺した、
図10に示す如き差分値SSを求める。判定部28は、かかる差分値SSが上記した許容誤差設定信号GSよりも小である場合には、PLL回路がロック状態にあると判定する一方、この差分値が許容誤差設定信号GS以上である場合には非ロック状態にあると判定する。
【0053】
よって、
図8に示す構成によれば、チャージポンプ出力電流ICPにオフセット電流I
ofsを重畳させたが故に、PLL回路がロック状態にあるにも拘わらず、
図10に示す如き論理レベル1となる位相差信号UP(又はDN)が生成されても、判定部28は、PLL回路がロック状態にあるとの正しい判定を行うことが可能となる。
【0054】
図11は、
図8に示すPLL周波数シンセサイザの改良例を示す図である。
【0055】
尚、
図11に示す構成では、判定部28の後段に引込マスク処理部29を付加した点を除く他の構成は、
図8に示されるものと同一である。よって、以下に、引込マスク処理部29の動作を中心に、
図11に示すPLL周波数シンセサイザの動作を説明する。
【0056】
引込マスク処理部29は、PLL周波数シンセサイザから出力された発振信号Fが目標周波数に収束する過程、つまり目標周波数への引き込み時に生じるロック検出信号LKのばたつき区間をマスクするものである。すなわち、PLL回路が非ロック状態からロック状態に推移する周波数の引込区間では、
図12に示す如く、発振信号Fは目標周波数に対してオーバーシュート及びアンダーシュートを繰り返して目標周波数に収束して行く。よって、この間、本来のロック状態には無いにも拘わらず、ロック検出信号LK中にはロック状態を示す論理レベル1のパルス及び非ロック状態を示す論理レベル0のパルスが交互に繰り返すバタツキが生じる。
【0057】
そこで、このようなロック状態の誤検出を抑制させるべく、引込マスク処理部29は、判定部28から供給されたロック検出信号LKに対して以下の如きマスク処理を施したものを最終的なロック検出信号SLKとして出力するようにしている。
【0058】
引込マスク処理部29は、先ず、基準発振信号RCKのパルス数をカウントすることにより、ロック検出信号LK中において論理レベル1となるパルスのパルス幅をWU、論理レベル0となるパルスのパルス幅をWDとして夫々検出する。ここで、引込マスク処理部29は、上記したパルス幅WUが、立上判定閾値設定信号EUにて示される立上判定閾値以上となった時に論理レベル1のロック検出信号SLKを出力する。そして、かかるロック検出信号SLKが論理レベル1の状態になった後、引込マスク処理部29は、上記パルス幅WDが、立下判定閾値設定信号EDにて示される立下判定閾値以上になった時にロック検出信号SLKを論理レベル1から論理レベル0の状態に切り替える。
【0059】
例えば、
図13に示すように、ロック検出信号LK中において基準発振信号RCKの1周期分の周期Tでバタツキが生じる場合には、周期3Tに対応した値を立上判定閾値として示す立上判定閾値設定信号EU、及び周期2Tに対応した値を立下判定閾値として示す立下判定閾値設定信号EDを引込マスク処理部29に供給する。かかる設定により、引込マスク処理部29は、判定部28から供給されたロック検出信号LK中において、周期Tのパルス幅を有する論理レベル1のパルス列に対してはこれをマスクし、論理レベル0のロック検出信号SLKを送出しつづける。その後、立上判定閾値設定信号EUにて示される周期3T分のパルス幅より大なる周期4T分のパルス幅を有する論理レベル1のロック検出信号LKが供給されると、引込マスク処理部29は、
図13に示す如く論理レベル0から論理レベル1に遷移するロック検出信号SLKを出力する。尚、その後、
図13に示すように、周期T分の期間だけ論理レベル0となるロック検出信号LKが供給されても、これが立下判定閾値設定信号EDにて示される周期2T分のパルス幅よりも小であることから、引込マスク処理部29は、これをマスクし、論理レベル1のロック検出信号SLKを送出しつづける。その後、周期3Tの期間だけ論理レベル0となるロック検出信号LKが供給されると、これが立下判定閾値設定信号EDにて示される周期2T分のパルス幅よりも大であることから、引込マスク処理部29は、ロック検出信号SLKを論理レベル1の状態から論理レベル0の状態に切り替える。
【0060】
要するに、引込マスク処理部29は、ロック検出信号LKにおけるパルス列中において、論理レベル0から1への立ち上がり後のパルス幅が所定の第1幅(EU)よりも小となるパルス、及び論理レベル1から0への立ち下がり後のパルス幅が所定の第2幅(ED)よりも小となるパルスをマスクしたものを最終的なロック検出信号SLKとして出力するのである。
【0061】
よって、
図11に示す構成によれば、目標周波数への周波数引き込み区間で生じるロック検出信号のバタツキがマスクされたロック検出信号SLKが最終的に出力されるので、誤検出を排除した高精度なロック判定が為されるようになる。
【0062】
尚、引込マスク処理部29は、
図11のみならず、
図2又は
図8に示されるPLL周波数シンセサイザの判定部18又は28の後段に設けるようにしても良い。