特許第5873318号(P5873318)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5873318
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】アルキル誘導体製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 41/16 20060101AFI20160216BHJP
   C07C 43/23 20060101ALI20160216BHJP
   C07D 311/62 20060101ALI20160216BHJP
   C07D 311/32 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
   C07C41/16
   C07C43/23 A
   C07D311/62
   C07D311/32
【請求項の数】8
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2011-273838(P2011-273838)
(22)【出願日】2011年12月14日
(65)【公開番号】特開2013-124230(P2013-124230A)
(43)【公開日】2013年6月24日
【審査請求日】2014年11月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006116
【氏名又は名称】森永製菓株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】梅原 将洋
(72)【発明者】
【氏名】木藤 圭次郎
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 宏之
【審査官】 中島 芳人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−253879(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C07D
CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェノール性水酸基がアルキル化した、ポリフェノールのアルキル誘導体を製造する方法であって、
前記ポリフェノールに、酢酸塩とハロゲン化アルキルとを作用させる工程を含む、アルキル誘導体製造方法。
【請求項2】
前記酢酸塩が、CR123CO2-+(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立に、H、F、または、Clから選ばれ、かつ、M+は、一価の金属陽イオンである)で表される化合物であることを特徴とする、請求項1に記載のアルキル誘導体製造方法。
【請求項3】
+が、Na+、K+、または、Li+であることを特徴とする、請求項2に記載のアルキル誘導体製造方法。
【請求項4】
1、R2およびR3が、Hであることを特徴とする、請求項2または3に記載のアルキル誘導体製造方法。
【請求項5】
前記ハロゲン化アルキルが、ハロゲン化C1-20アルキルであることを特徴とする、請求項1に記載のアルキル誘導体製造方法。
【請求項6】
前記ポリフェノールが、フラバン骨格、または、trans-スチルベン骨格、もしくは、cis-スチルベン骨格を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のアルキル誘導体製造方法。
【請求項7】
前記ポリフェノールが、下記に記載のいずれかの構造式を有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のアルキル誘導体製造方法。
【化1】
【請求項8】
前記ポリフェノールが、下記に記載の構造式を有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のアルキル誘導体製造方法。
【化2】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリフェノールのアルキル誘導体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリフェノールは、天然に豊富に存在し、様々な生理活性を有することが知られている化合物であり、例えば、茶カテキンは、血圧上昇抑制作用、血中コレステロール調節作用、体脂肪蓄積抑制作用、血糖上昇抑制さ職、抗酸化作用、老化抑制作用、抗ガン作用、抗菌作用、抗ウィルス作用、虫歯予防作用、抗アレルギー作用、及び、消臭作用などを有することから、より強力な生理活性を有する化合物を求めて、ポリフェノールの誘導体合成が精力的に行われている。
ポリフェノールの誘導体の一つとして、アルキル誘導体が挙げられるが、天然に豊富に存在するポリフェノールをアルキル化することによって製造しようとすると、そのフェノール構造に起因して、酸素の存在や(例えば、非特許文献1および2を参照)、高温での加熱(例えば、非特許文献3を参照)、または、アルカリ条件(例えば、非特許文献4を参照)によって、酸化や重合、エピメリ化などの目的外の反応が主として進行してしまうという難点があった。このため、ポリフェノールを直接アルキル化することによってアルキル誘導体を製造する方法は、これまでにほとんど報告されておらず、数少ない例として、茶カテキンに炭酸リチウムとハロゲン化アルキルとを作用させることによって、茶カテキンをメチル化する方法が報告されているが、目的外の反応を抑制するために、不活性ガスを充填した反応容器中、室温という低い温度で20時間以上という長時間をかけて反応を行う必要があった(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−253879
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Kinetic analysis and mechanistic aspects of autoxdation of catechins, Biochicica et Biophysica Acta 1569 (2002) 35-44.
【非特許文献2】A thermal treatment to increase the antioxidant capacity of natural phenols:catechin, resveratrol and grape extract cases, Eur Food Res Technol (2005) 221:284-290.
【非特許文献3】Preparation of Epimers of Tea Catechins by Heat TreatmentBioSci.Biotechnol.Biochem., 61(9), 1434-1439, 1997.
【非特許文献4】Epimerizaiton of Tea Catechins under Weakly Acidic and Alkaline Conditions, BioSci.Biotechnol.Biochem., 74(4), 875-877, 2010.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ポリフェノールのアルキル誘導体の、新規製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るポリフェノールのアルキル誘導体製造方法は、ポリフェノールに、酢酸塩とアルキル化剤とを作用させる工程を含む。
酢酸塩が、CRCO(式中、R及びRは、それぞれ独立に、H、FまたはClから選ばれ、かつ、Mは、一価の金属陽イオンである)で表される化合物であることが好ましい。ここで、Mが、Na、K、または、Liであることがより好ましく、R、RおよびRが、Hであることがより好ましい。
また、アルキル化剤が、ハロゲン化アルキルであることが好ましい。ハロゲン化アルキルは、例えば、ハロゲン化C1−20アルキルであることができる。
【0007】
ポリフェノールが、フラバン骨格、または、trans-スチルベン骨格、もしくは、cis-スチルベン骨格を有していても良い。例えば、ポリフェノールが、下記に記載のいずれかの構造式を有していることが好ましい。
【化1】
【0008】
ポリフェノールが、下記に記載のいずれかの構造式を有していることが、より好ましい。
【化2】
【発明の効果】
【0009】
本発明によって、ポリフェノールのアルキル誘導体の、新規製造方法を提供することが可能になった。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、上記知見に基づき完成した本発明の実施の形態を、実施例を挙げながら詳細に説明する。なお、本発明の目的、特徴、利点、および、そのアイデアは、本明細書の記載により、当業者には明らかであり、本明細書の記載から、当業者であれば容易に本発明を再現できる。以下に記載された発明の実施の形態及び具体的な実施例などは、本発明の好ましい実施態様を示すものであり、例示又は説明のために示されているのであって、本発明をそれらに限定するものではない。本明細書で開示されている本発明の意図並びに範囲内で、本明細書の記載に基づき、様々な改変並びに修飾ができることは、当業者にとって明らかである。
【0011】
本発明に係るポリフェノールのアルキル誘導体製造方法は、ポリフェノールに、酢酸塩とアルキル化剤とを作用させる工程を含む。このような製造方法とすることによって、直接ポリフェノールから、酸素存在下であっても、酸化や重合、エピメリ化などの副反応を抑制しながら、非常に短時間で、アルキル誘導体を製造することができる。
【0012】
ポリフェノールがアルキル化される位置は、特に限定されないが、例えば、水酸基(−OH)がアルキル化されることによって、アルキル誘導体(−OA、式中、Aはアルキル基である)を生成することが好ましく、ベンゼン環上の炭素原子と結合している水酸基、いわゆるフェノール性水酸基がアルキル化されることによって、アルキル誘導体を生成することがより好ましい。また、アルキル化される箇所は、1箇所であっても良く、2箇所以上であっても良い。
【0013】
ポリフェノールの構造は特に限定されず、例えば、下記構造式で表される、フラバン骨格、または、trans-スチルベン骨格、もしくは、cis-スチルベン骨格を有するポリフェノールであっても良い。
【化3】
【0014】
フラバン骨格有するポリフェノールとして、例えば、フラボノール(ケルセチン、ルチンなど)、フラボン(アピゲニン、ルテオリンなど)、イソフラボン(ダイゼイン、ゲニステインなど)、フラバノン(ナリンゲニン、ナリンジンなど)、フラバノール(カテキン、EC、EGCgなど)、および、アントシアニジン(シアニジンなど)などのフラボノイド、並びに、これらの光学異性体や配糖体などが挙げられる。スチルベン骨格を有するポリフェノールとして、例えば、レスベラトロール、および、ピセアタンノールなどのスチルベン、並びに、これらのシス−トランス異性体が挙げられる。これらのうち、ポリフェノールが、下記に記載のいずれかの構造式を有していることが好ましい。
【化4】
【0015】
ポリフェノールが、下記構造式で表される、EGCg((−)−エピガロカテキン−3−O−ガレート)、GCg((−)−ガロカテキン−3−O−ガレート)、ナリンゲニン、trans-レスベラトロール、または、trans-ピセアタンノールであることが、より好ましい。
【化5】
【0016】
フラバン骨格を有するポリフェノールを用いて、アルキル誘導体を製造した場合、フラバン骨格上の光学活性を保持したまま、即ち、エピメリ化などの副反応を抑制しながら、対応するアルキル誘導体を製造することができる。また、スチルベン骨格を有するポリフェノールを用いた場合、シス−トランス異性化などの副反応を抑制しながら、対応するアルキル誘導体を製造することができる。
【0017】
酢酸塩の種類は、特に限定されないが、CRCO(式中、R、RおよびRは、それぞれ独立に、H、F、または、Clから選ばれ、かつ、Mは、一価の金属陽イオンである)で表される化合物であることが好ましい。ここで、Mが、Na、K、もしくは、Liであること、または、R、RおよびRが、Hであることがより好ましく、CRCOが、CHCONa(AcONa、酢酸ナトリウム)、CHCOK(AcOK、酢酸カリウム)、または、CHCOLi(AcOLi、酢酸リチウム)であることがさらに好ましい。
用いる酢酸塩の量は、特に限定されないが、反応時間や経済性の観点から、例えば、ポリフェノールに対して、0.01〜20当量であっても良く、0.1〜12当量であることが好ましく、1〜8当量であることがより好ましく、2〜4当量であることがさらに好ましい。
【0018】
アルキル化剤の種類は、特に限定されないが、ハロゲン化アルキルであることが好ましい。ハロゲン化アルキルが含有するハロゲンは、F、Cl、Br、または、Iのいずれであっても良いが、反応性の観点から、Cl、Br、または、Iであることが好ましく、Br、または、Iであることがより好ましく、Iであることがさらに好ましい。ハロゲン化アルキルが含有するアルキル基は、特に限定されないが、入手のしやすさ及び反応性の観点から、C1−20アルキル基であることが好ましく、C1−10アルキル基であることがより好ましい。
【0019】
アルキル化剤およびポリフェノールのアルキル誘導体が含有するアルキル基は、飽和アルキル基でも不飽和アルキル基であっても良く、また、直鎖状、分鎖状または環状であっても良いが、直鎖状の飽和アルキル基であることが好ましい。
飽和C1−10アルキル基の例として、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、n−ヘキシル基、メチルペンチル基(メチル基の結合位置は、特に限定されない。以下、同様である)、n−ヘプチル基、メチルヘキシル基、n−オクチル基、メチルヘプチル基、n−ノナニル基、メチルオクチル基、n−デシル基、および、メチルノナニル基が挙げられるが、これらに限定されない。
用いるアルキル化剤の量は、特に限定されないが、反応時間や経済性の観点から、例えば、ポリフェノールに対して、1〜50当量であっても良く、1〜25当量であることが好ましく、2〜16当量であることがより好ましい。
【0020】
ポリフェノールに酢酸塩とアルキル化剤とを作用させる方法は、特に限定されないが、ポリフェノール、酢酸塩およびアルキル化剤を、溶媒に溶解または懸濁させ、得られた溶液または懸濁液を攪拌することによって行うことが好ましい。用いる溶媒の種類は、特に限定されないが、例えば、DMF、DMSO、アセトニトリル、および、アセトンなどの非プロトン性極性溶媒であることが好ましく、DMFであることがより好ましい。
ポリフェノールに酢酸塩とアルキル化剤とを作用させる温度は、特に限定されず、用いる溶媒の種類などを考慮しながら、当業者であれば適宜適切に設定することができるが、エピメリ化などの副反応の抑制と反応時間の短縮とを考慮すれば、例えば、−78℃〜300℃であっても良く、0℃〜200℃であることが好ましく、20℃程度の室温〜160℃であることがより好ましく、50℃〜120℃であることがさらに好ましく、70℃〜120℃であることがいっそう好ましい。このように、ポリフェノールに酢酸塩とアルキル化剤とを作用させる工程は、非常に幅広い温度にて行うことができる。即ち、低い温度であっても目的とするポリフェノールのアルキル誘導体を製造することができ、また、高い温度であっても、原料であるポリフェノールや生成物であるポリフェノールのアルキル誘導体の酸化や重合、エピメリ化などの副反応を抑制しながら、ポリフェノールのアルキル誘導体を製造することができる。
ポリフェノールに酢酸塩とアルキル化剤とを作用させる時間は、当業者であれば、例えば、TLC、HPLC、または、H−NMRによって反応を追跡しながら、適宜適切に調整することができる。
【0021】
なお、ポリフェノールに酢酸塩とアルキル化剤とを作用させる工程は、空気中などの酸素存在下であっても、不活性ガスで置換された酸素非存在下であっても行うことができ、いずれの場合であっても、副反応を抑制しながら、目的とするポリフェノールのアルキル誘導体を製造することができる。
また、ポリフェノールに酢酸塩とアルキル化剤とを作用させる工程において、炭酸リチウムなどの、酢酸塩以外の塩基が共存していても良く、この場合であっても、副反応を抑制しながら、目的とするポリフェノールのアルキル誘導体を製造することができる。
【0022】
生成したポリフェノールのアルキル誘導体を回収する方法は特に限定されないが、例えば、反応混合物から溶媒を減圧留去した後に、適切なクロマトグラフィーを用いて精製する方法が挙げられる。
【実施例】
【0023】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
【0024】
[実施例1] 塩基の比較
テアビゴTM(EGCg≧94%、137.5mg、0.3mmol)をDMF(1.0mL)に溶解した後、表1に示す各塩基(4.0当量)とヨウ化メチル(144.8μL、2.4mmol、8.0当量)とを加え、大気雰囲気下、100℃または室温で、5〜600分間撹拌した。その後、ODS−HPLC[カラム:Mightysil RP−18GP 20x250mm(粒子径:5μm)関東化学株式会社製、展開溶媒:アセトニトリル:水:酢酸(2:18:1)、流速:5.0mL/min、検出波長210nm]により分離・精製を行い、保持時間27.7分に未反応のEGCgを得、保持時間44.9分に下記構造式で表される4”Me−EGCg((−)−エピガロカテキン−3−(4−O−メチル)ガレート)を得た。
【化6】
【0025】
得られた4”Me−EGCgは、旋光度、H−NMRおよび13C−NMRの測定、並びに、質量分析によって、目的物であると同定した。
4”Me-EGCg
[α]D20 -157.1°(c = 1.0, acetone)
1H-NMR (500 MHz, CD3OD): 2.84 (1H, dd, J = 17.4, 2.5), 2.98 (1H, dd, J = 17.4, 4.4), 3.81 (3H, s), 4.97 (1H, bs), 5.53(1H, m), 5.95 (2H, bs), 6.49 (2H, bs), 6.91 (2H, bs)
13C-NMR (125 MHz, CD3OD): 26.8, 60.7, 70.3, 78.5, 95.9, 96.5, 99.3, 106.8, 110.3, 126.6, 130.7, 133.8, 141.2, 146.7, 151.5, 157.2, 157.8, 157.9, 167.1
MS (ESI) m/z : 471.1 (M-)
【0026】
用いた塩基の種類、反応温度および反応時間、並びに、目的物の収率および原料回収率を、表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
表1のNo.1〜7では、反応温度100℃、反応時間5分の一定条件下で、塩基の種類のみを変えて反応を行った。No.1〜3が示すように、酢酸金属塩を用いた場合には、金属の種類に関わらず、33%〜47%と非常に高い収率にて目的物である4”Me−EGCgを得ることができた。さらに、未反応の原料であるEGCgも47%〜55%の高回収率にて回収することができ、目的物の収率と原料回収率との合計は88%〜95%と非常に高く、酸化や重合などの副反応は、ほとんど起こらなかった。これに対し、酢酸のアンモニウム塩を用いたNo.4では、反応自体がほとんど進行せず、96%の原料回収率となった。
また、No.5が示すように、酢酸金属塩の他に、炭酸リチウムを反応系内に共存させた場合であっても、酢酸金属塩のみを塩基として用いたNo.1〜3と同様に、高い収率で目的物を生成し、原料も高回収率にて回収することができた。
【0029】
No.6および7では、酢酸塩以外の塩基を用いたが、炭酸カリウムを用いたNo.6では、酸化や重合などの目的以外の反応が進行してしまい、原料を回収することも、目的物を得ることもできなかった。
炭酸リチウムを用いたNo.7では、目的物を生成し、未反応の原料を回収することはできたが、目的物の収率は、酢酸金属塩を用いたNo.1〜4に比べて低い値となった。なお、塩基に炭酸リチウムを用いて、反応温度は100℃のまま、反応時間を120分〜480分に延長した場合には、No.8〜10が示すように、時間の経過とともに酸化や重合などの目的以外の反応が主に進行してしまい、目的物の収率と原料回収率との合計は、反応時間120分の場合で43%、240分の場合で35%、そして、480分の場合で26%と著しく低下した。また、これらの目的以外の反応が進行するのを抑制するべく、室温という低い温度で反応を行った場合には、No.11が示すように、目的とするメチル化反応はほとんど進行しなかった。
【0030】
以上の結果が示すように、ポリフェノールに、酢酸塩とアルキル化剤とを作用させることによって、反応系内に酸素が存在していても、また、反応温度が100℃という高温であっても、酸化や重合、エピメリ化などの副反応を抑制しながら、非常に短時間で、ポリフェノールから対応するポリフェノールのアルキル誘導体を製造することが可能である。
【0031】
[実施例2] 反応時間の比較
塩基に酢酸ナトリウム(98.4mg、1.2mmol、4.0当量)を用い、反応温度を100℃、そして、反応時間を2分〜600分間とした以外は、実施例1に記載の方法に従って、EGCgから4”Me−EGCgを製造した。
結果を、表2に示す。
【0032】
【表2】
【0033】
表2のNo.1およびNo.2が示すように、反応開始直後には既に、目的物である4”Me−EGCgが35%生成し、反応開始5分後には47%生成していた。この結果が示すように、ポリフェノールに、酢酸塩とアルキル化剤とを作用させることによって、非常に短時間で、ポリフェノールから対応するポリフェノールのアルキル誘導体を製造することができる。
また、No.1〜7が示すように、反応系内に酸素が存在し、さらに、100℃という高温下であっても、酸化や重合などの副反応はほとんど起こらず、反応時間を600分としたNo.7であっても、目的物の収率と原料回収率との合計は71%と非常に高い値となった。
【0034】
[実施例3] 反応温度の比較
塩基に酢酸ナトリウム(98.4mg、1.2mmol、4.0当量)を用い、反応時間を5分間、そして、反応温度を室温〜120℃とした以外は、実施例1に記載の方法に従って、EGCgから4”Me−EGCgを製造した。
結果を、表3に示す。
【0035】
【表3】
【0036】
表3のNo.1が示すように、室温という低い反応温度であっても、反応開始からわずか5分後には、目的物である4”Me−EGCgが生成した。また、No.7が示すように、120℃という非常に高い反応温度であっても、原料回収率と目的物の収率との合計は90%と非常に高く、酸化や重合などの副反応は、ほとんど起こらなかった。
これらの結果が示すように、ポリフェノールに、酢酸塩とアルキル化剤とを作用させることによって、低い反応温度であっても、高い反応温度であっても、酸化や重合、エピメリ化などの副反応を抑制しながら、非常に短時間で、ポリフェノールから対応するポリフェノールのアルキル誘導体を製造することができる。特に、50℃〜120℃の範囲においては、酸化や重合、エピメリ化などの副反応をより抑制しながら、非常に短時間で、ポリフェノールからポリフェノールのアルキル誘導体を23%以上の高収率で製造することができ、さらに、70℃〜120℃の範囲においては、これらの副反応をより抑制しながら、非常に短時間で、ポリフェノールからポリフェノールのアルキル誘導体を約35%以上もの極めて高収率で製造することができる。
【0037】
[実施例4] 反応温度の比較
反応温度を100℃、反応時間を5分間と一定にし、塩基に酢酸ナトリウム(2.0当量〜8.0当量)を、そして、ヨウ化メチル(4.0当量〜16.0当量)を用いた以外は、実施例1に記載の方法に従って、EGCgから4”Me−EGCgを製造した。
結果を、表4に示す。
【0038】
【表4】
【0039】
No.1が示すように、酢酸ナトリウムの量が2.0当量、そして、ヨウ化メチルの量が4.0当量と、原料であるEGCgに対して少過剰量を用いた場合であっても、反応開始5分後には、30%もの収率で目的物である4”Me−EGCgが生成した。
また、No.2〜No.4が示すように、酢酸ナトリウムの量が4.0当量以上であって、ヨウ化メチルの量が8.0当量以上である場合には、いずれの場合にも、約45%以上の収率で目的物を得ることが出来た。
【0040】
[実施例5] 様々なポリフェノールのアルキル化
(a)GCg
GCg(56.4mg、0.12mmol)をDMF(0.41mL)に溶解した後、酢酸ナトリウム(40.4mg、0.49mmol、4.0当量)とヨウ化メチル(59.4μL、0.98mmol、8.0当量)とを加え、100℃で5分間撹拌した。その後、ODS−HPLCにより分離・精製を行い、保持時間33.4分に未反応のGCg23.4mg(回収率:41.5%)を得、保持時間58.8分に下記構造式で表される4”Me−GCg24.8mg(収率:42.6%)を得た。
【0041】
<<ODS−HPLCによる分離・精製の条件>>
カラム:Mightysil RP−18GP 20×250mm(粒子径:5μm)関東化学株式会社製
検出波長:210nm
流速:5.0mL/min
展開溶媒:HO+5%AcOH/MeCN+5%AcOH
【表5】
【0042】
【化7】
【0043】
得られた4”Me−GCgは、H−NMRおよび13C−NMRの測定、並びに、質量分析によって、目的物であると同定した。
4”Me-GCg
1H-NMR (700 MHz, acetone-d6): 2.77 (1H, dd, J = 16.6, 5.3), 2.82 (1H, dd, J = 16.6, 4.8), 3.83 (3H, s), 5.13 (1H, d, J = 5.3), 5.40(1H, m), 5.97 (1H, d, J = 2.2), 6.05 (1H, d, J = 2.2), 6.47 (2H, bs), 7.01 (2H, bs)
13C-NMR (175 MHz, acetone-d6): 23.6, 60.6, 70.6, 78.5, 95.4, 96.3, 98.9, 106.1, 109.8, 126.3, 130.7, 133.3, 140.5, 146.5, 151.1, 156.1, 157.2, 158.0 165.8
MS (ESI) m/z : 471.1 (M-)
【0044】
(b)ナリンゲニン
ナリンゲニン(81.7mg、0.30mmol)をDMF(1.0mL)に溶解した後、酢酸ナトリウム(98.4mg、1.20mmol、4.0当量)とヨウ化メチル(144.8μL、2.40mmol、8.0当量)を加え、100℃で5分間撹拌した。その後、ODS−HPLCにより分離・精製を行い、保持時間25.1分に未反応のナリンゲニン34.6mg(回収率:42.4%)を得、保持時間46.6分に下記構造式で表される7Me−ナリンゲニン27.3mg(収率:31.8%)を得た。
【0045】
<<ODS−HPLCによる分離・精製の条件>>
カラム:Mightysil RP−18GP 20×250mm(粒子径:5μm)関東化学株式会社製
検出波長:210nm
流速:5.0mL/min
展開溶媒:HO+5%AcOH/MeCN+5%AcOH
【表6】
【0046】
【化8】
【0047】
得られた7Me−ナリンゲニンは、H−NMRおよび13C−NMRの測定、並びに、質量分析によって、目的物であると同定した。
7Me--naringenin
1H-NMR (700 MHz, DMSO-d6): 3.77 (3H, s), 2.71 (1H, dd, J = 17.3, 2.8), 3.29 (1H, dd, J = 17.3, 13.1), 5.46 (1H, dd, J = 13.1, 2.8), 6.07 (1H, d, J = 2.2), 6.09 (1H, d, J = 2.2), 6.79 (2H, d, J = 8.4), 7.31 (2H, d, J = 8.4), 12.1 (1H, bs)
13C-NMR (175 MHz, DMSO-d6): 42.3, 56.1, 78.9, 94.0, 94.9, 102.8, 115.4, 115.4, 128.6, 128.6, 128.9, 158.0, 163.1, 163.4, 167.6, 172.3, 197.2
MS (ESI) m/z : 285.3 (M-)
【0048】
(c)trans-レスベラトロール
trans-レスベラトロール(162.1mg、0.71mmol)をDMF(2.4mL)に溶解した後、酢酸ナトリウム(233.0mg、2.84mmol、4.0当量)とヨウ化メチル(342.7μL、5.68mmol、8.0当量)を加え、100℃で5分間撹拌した。その後、ODS−HPLCにより分離・精製を行い、保持時間23.4分に未反応のtrans-レスベラトロール134.2mg(回収率:82.8%)を得、保持時間46.6分に下記左側の構造式で表されるtrans-3Me−レスベラトロール3.8mg(収率:2.2%)を得、そして、下記右側の構造式で表される保持時間49.8分にtrans-4’Me−レスベラトロール5.3mg(収率:3.1%)を得た。
【0049】
<<ODS−HPLCによる分離・精製の条件>>
カラム:Mightysil RP−18GP 20×250mm(粒子径:5μm)関東化学株式会社製
検出波長:210nm
流速:5.0mL/min
展開溶媒:HO+5%AcOH/MeCN+5%AcOH
【表7】
【0050】
【化9】
【0051】
得られたtrans-3Me−レスベラトロール、および、trans-4’Me−レスベラトロールは、それぞれ、H−NMRおよび13C−NMRの測定、並びに、質量分析によって、目的物であると同定した。
trans-4’Me-resveratrol
1H-NMR (700 MHz, acetone-d6): 3.80 (3H, s), 6.27 (1H, dd, J = 1.8, 1.8), 6.54 (2H, d, J = 1.8), 6.91 (2H, d, J = 8.4), 6.92 (1H, d, J = 16.4), 7.03 (1H, d, J = 16.4), 7.49 (2H, d, J = 8.4), 8.24 (2H, bs)
13C-NMR (175MHz, acetone-d6): 55.5, 102.7, 105.7, 105.7, 114.9, 114.9, 127.5, 128.6, 128.6, 128.7, 130.9, 140.7, 159.5, 159.5, 160.3
MS (ESI) m/z : 241.3 (M-)
trans-3Me-resveratrol
1H-NMR (700 MHz, acetone-d6): 3.76 (3H, s), 6.30 (1H, bs), 6.62 (2H, bs), 6.83 (2H, d, J = 8.0), 6.92 (1H, d, J = 16.0), 7.08 (1H, d, J = 16.0), 7.42 (2H, d, J = 8.0)
13C-NMR (175MHz, acetone-d6): 55.4, 101.3, 103.9, 106.6, 116.4, 116.4, 126.6, 128.7, 128.7, 129.4, 129.8, 140.8, 158.2, 159.5, 162.0
MS (ESI) m/z : 241.3 (M-)
【0052】
(d)trans-ピセアタンノール
trans-ピセアタンノール(131.9mg、0.54mmol)をDMF(1.8mL)に溶解した後、酢酸ナトリウム(177.2mg、2.16mmol、4.0当量)とヨウ化メチル(260.6μL、4.32mmol、8.0当量)を加え、100℃で5分間撹拌した。その後、ODS−HPLCにより分離・精製を行い、保持時間24.7分に未反応のtrans-ピセアタンノール85.5mg(回収率:64.8%)を得、保持時間42.9分に下記左上の構造式で表されるtrans-3Me−ピセアタンノール11.3mg(収率:8.1%)を得、保持時間45.1分に下記右上の構造式で表されるtrans-4Me−ピセアタンノール18.0mg(収率:12.9%)を得、保持時間51.7分に下記左下の構造式で表されるtrans-3’Me−ピセアタンノール2.0mg(収率:1.4%)を、そして、保持時間54.6分に下記右下の構造式で表されるtrans-3,4diMe−ピセアタンノール1.5mg(収率:1.0%)を得た。
【0053】
<<ODS−HPLCによる分離・精製の条件>>
カラム:Mightysil RP−18GP 20×250mm(粒子径:5μm)関東化学株式会社製
検出波長:210nm
流速:5.0mL/min
展開溶媒:HO+5%AcOH/MeCN+5%AcOH
【表8】
【0054】
【化10】
【0055】
得られたtrans-3Me−ピセアタンノール、trans-4Me−ピセアタンノール、trans-3’Me−ピセアタンノール、および、trans-3,4diMe−ピセアタンノールは、それぞれ、H−NMRおよび13C−NMRの測定、並びに、質量分析によって、目的物であると同定した。
trans-3Me-piceatannol
1H-NMR (700 MHz, acetone-d6): 3.88 (3H, s), 6.26 (1H, dd, J = 2.2, 2.2), 6.53 (2H, d, J = 2.2), 6.80 (1H, d, J = 7.9), 6.91 (1H, d, J = 16.4), 7.00 (1H, d, J = 16.4), 7.01 (1H, dd, J = 7.9, 1.9), 7.21 (1H, d, J = 1.9), 7.73 (1H, bs), 8.23 (2H, bs)
13C-NMR (175 MHz, acetone-d6): 55.4, 101.8, 104.8, 104.8, 109.2, 115.1, 120.4, 126.2, 128.6, 129.6, 140.0, 146.7, 147.7, 158.7, 158.7
MS (ESI) m/z : 257.2 (M-)
trans-4Me-piceatannol
1H-NMR (700 MHz, acetone-d6): 3.83 (3H, s), 6.27 (1H, dd, J = 2.2, 2.2), 6.55 (2H, d, J = 2.2), 6.88 (1H, d, J = 16.1), 6.91 (1H, d, J = 8.5), 6.97 (1H, dd, J = 8.5, 1.9), 6.98 (1H, d, J = 16.1), 7.09 (1H, d, J = 1.9), 7.63 (1H, bs), 8.25 (2H, bs)
13C-NMR (175 MHz, acetone-d6): 55.4, 101.9, 104.9, 104.9, 111.5, 112.4, 118.9, 126.8, 128.2, 130.9, 139.9, 146.7, 147.5, 158.7, 158.7
MS (ESI) m/z : 257.1 (M-)
trans-3’Me-piceatannol
1H-NMR (700 MHz, acetone-d6): 3.76 (3H, s), 6.29 (1H, dd, J = 1.8, 2.2), 6.61 (2H, bs), 6.80 (1H, d, J = 8.4), 6.86 (1H, d, J = 16.4), 6.90 (1H, dd, J = 8.4, 1.8), 7.01 (1H, d, J = 16.4), 7.08 (1H, d, J = 1.8), 8.18 (3H, bs)
13C-NMR (175 MHz, acetone-d6): 55.6, 100.4, 103.1, 105.8, 113.0, 115.4, 119.2, 125.9, 128.9, 129.8, 140.0 145.3, 145.3, 158.7, 161.3
MS (ESI) m/z : 257.2 (M-)
trans-3,4diMe-piceatannol
1H-NMR (700 MHz, acetone-d6): 3.81 (3H, s), 3.85 (3H, s), 6.27 (1H, dd, J = 2.2, 2.2), 6.54 (2H, d, J = 2.2), 6.92 (1H, d, J = 8.4), 6.95 (1H, d, J = 16.4), 7.02 (1H, dd, J = 16.4), 7.06 (1H, dd, J = 8.4, 1.8), 7.22 (1H, bd, J = 1.8), 8.22 (2H, bs)
13C-NMR (175 MHz, acetone-d6): 55.2, 55.2, 101.9, 104.9, 104.9, 109.4, 111.8, 120.0, 126.8, 128.3, 130.6, 139.9, 149.5, 149.7, 158.8, 158.8
MS (ESI) m/z : 271.1 (M-)
【0056】
以上の結果が示すように、ポリフェノールに、酢酸塩とアルキル化剤とを作用させることによって、酸化や重合、エピメリ化などの副反応を抑制しながら、非常に短時間で、様々の構造を有するポリフェノールから対応するポリフェノールのアルキル誘導体を製造することが可能である。
【0057】
[実施例6] ポリフェノールの様々なアルキル化
(a)エチル化
テアビゴTM(EGCg≧94%、137.5mg、0.3mmol)をDMF(1.0mL)に溶解した後、酢酸ナトリウム(98.4mg、1.2mmol、4.0当量)とヨウ化エチル(193.0μL、2.4mmol、8.0当量)を加え、100℃で5分間撹拌した。その後、ODS−HPLCにより分離・精製を行い、保持時間28.5分に未反応のEGCg66.8mg(回収率:48.6%)を得、そして、保持時間49.2分に4”Et−EGCg((−)−エピガロカテキン−3−(4−O−エチル)ガレート)60.2mg(収率:41.3%)を得た。
【0058】
<<ODS−HPLCによる分離・精製の条件>>
カラム:Mightysil RP−18GP 20×250mm(粒子径:5μm)関東化学株式会社製
検出波長:210nm
流速:5.0mL/min
展開溶媒:HO+5%AcOH/MeCN+5%AcOH
【表9】
【0059】
得られた4”Et−EGCgは、H−NMRおよび13C−NMRの測定、並びに、質量分析によって、目的物であると同定した。
4”Et-EGCg
1H-NMR (500 MHz, CD3OD): 1.30 (3H, t, J = 7.0), 2.84 (1H, dd, J = 17.5, 2.5), 2.98 (1H, dd, J = 17.5, 5.0), 4.09 (2H, q, J = 7.0), 4.97 (1H, bs), 5.53(1H, m), 5.95 (2H, bs), 6.49 (2H, bs), 6.91 (2H, bs)
13C-NMR (125 MHz, CD3OD): 15.6, 26.8, 69.3, 70.3, 78.5, 95.9, 96.5, 99.3, 106.8, 110.2, 126.4, 130.7, 133.8, 139.8, 146.7, 151.7, 157.2, 157.8, 157.9, 167.2
MS (ESI) m/z : 485.1 (M-)
【0060】
(b)ペンチル化
テアビゴTM(EGCg≧94%、137.5mg、0.3mmol)をDMF(1.0mL)に溶解し、酢酸ナトリウム(98.4mg、1.2mmol、4.0当量)と1−ヨウ化ペンチル(312.7μL、2.4mmol、4.0当量)を加え、85℃で120分間撹拌した。その後、ODS−HPLCにより分離・精製を行い、保持時間48.2分に4”pentyl−EGCg((−)−エピガロカテキン−3−(4−O−n−ペンチル)ガレート)26.3mg(収率:16.6%)を得た。
【0061】
<<ODS−HPLCによる分離・精製の条件>>
カラム:Mightysil RP−18GP 20×250mm(粒子径:5μm)関東化学株式会社製
検出波長:210nm
流速:5.0mL/min
展開溶媒:HO+5%AcOH/MeCN+5%AcOH
【表10】
【0062】
得られた4”pentyl−EGCgは、H−NMRおよび13C−NMRの測定、並びに、質量分析によって、目的物であると同定した。
4”pentyl-EGCg
1H-NMR (500 MHz, CD3OD): 0.90 (3H, dd, J = 7.3, 7.0), 1.31-1.40 (4H, overlapping), 1.72 (2H, m), 2.84 (1H, dd, J = 17.4, 2.3), 2.98 (1H, dd, J = 17.4, 4.8), 4.01 (2H, t, J = 7.2), 4.97 (1H, bs), 5.53 (1H, m), 5.95 (2H, bs), 6.49 (2H, bs), 6.92 (2H, bs)
13C-NMR (125 MHz, CD3OD): 14.4, 23.5, 26.9, 29.0, 30.6, 70.2, 73.9, 78.5, 95.9, 96.5, 99.3, 106.8, 110.3, 126.2, 130.7, 133.8, 140.2, 146.7, 151.6, 157.2, 157.8, 157.9, 167.2
MS (ESI) m/z : 527.1 (M-)
【0063】
(c)デシル化
テアビゴTM(EGCg≧94%、137.5mg、0.3mmol)をDMF(1.0mL)に溶解した後、酢酸ナトリウム(98.4mg、1.2mmol、4.0当量)と1−ヨウ化デシル(510.8μL、2.4mmol、8.0当量)を加え、85℃で120分間撹拌した。その後、ODS−HPLCにより分離・精製を行い、保持時間60.4分に4”decyl−EGCg((−)−エピガロカテキン−3−(4−O−n−デシル)ガレート)30.9mg(収率:17.2%)を得た。
【0064】
<<ODS−HPLCによる分離・精製の条件>>
カラム:Mightysil RP−18GP 20×250mm(粒子径:5μm)関東化学株式会社製
検出波長:210nm
流速:5.0mL/min
展開溶媒:HO+5%AcOH/MeCN+5%AcOH
【表11】
【0065】
得られた4”decyl−EGCgは、H−NMRおよび13C−NMRの測定、並びに、質量分析によって、目的物であると同定した。
4”decyl-EGCg
1H-NMR (500 MHz, CD3OD): 0.87 (3H, dd, J = 7.0, 6.9), 1.22-1.32 (12H, overlapping), 1.39 (2H, m), 1.71 (2H, m), 2.85 (1H, dd, J = 17.3, 2.2), 2.98 (1H, dd, J = 17.3, 4.7), 4.01 (2H, t, J = 7.0), 4.97 (1H, bs), 5.53 (1H, m), 5.95 (2H, bs), 6.50 (2H, bs), 6.92 (2H, bs)
13C-NMR (125 MHz, CD3OD): 14.4, 23.7, 26.8, 26.8, 30.4, 30.5, 30.7, 30.7, 30.9, 33.0, 70.2, 73.9, 78.5, 95.9, 96.5, 99.3, 106.8, 110.3, 126.2, 130.7, 133.7, 140.2, 146.7, 151.6, 157.2, 157.8, 157.9, 167.2
MS (ESI) m/z : 597.2 (M-)
【0066】
以上の結果が示すように、ポリフェノールに、酢酸塩とアルキル化剤とを作用させることによって、酸化や重合、エピメリ化などの副反応を抑制しながら、非常に短時間で、ポリフェノールから、対応するポリフェノールの様々なアルキル誘導体を製造することが可能である。