(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
荷電粒子線を集束させ検査対象の試料に照射する荷電粒子光学系装置と、前記試料が収容される試料室と、前記試料を保持して、前記試料室内を自在に移動する試料ステージと、プローブ針を備えたプローバを搭載し、前記試料室内を前記試料ステージとは独立に自在に移動するプローバステージと、前記プローブ針を前記試料上の接触目的の位置に粗寄せするときに前記試料の光学画像を取得する粗寄せ画像取得ユニットと、前記荷電粒子線を走査させながら前記試料に照射したときに前記試料から放出される二次荷電粒子の検出信号と前記荷電粒子線を走査させる制御信号とに基づき前記試料の荷電粒子画像を取得する荷電粒子画像取得ユニットと、前記プローブ針に電気的に接続され、前記プローブ針から得られる電流または電圧を検出する電流電圧検出ユニットと、制御コンピュータと、を含んで構成された半導体検査装置であって、
前記試料ステージは、前記試料室の床面に設けられ、
前記プローバステージは、前記試料ステージとは分離して前記試料室の天井面に設けられ、
前記制御コンピュータは、
前記プローバステージおよび前記試料ステージをそれぞれ前記粗寄せ画像取得ユニット近傍まで移動させるとともに、前記粗寄せ画像取得ユニットによって取得される前記接触目的の位置近傍の配線または端子の像および前記プローブ針の像をともに含んだ光学画像に基づき、前記試料と前記プローブ針との相対的な位置関係を定める制御と、
前記定めた前記試料と前記プローブ針との相対的な位置関係を保持した状態で、前記プローバステージおよび前記試料ステージを前記荷電粒子光学系装置下方の前記荷電粒子線の照射位置まで移動させる制御と、
前記荷電粒子画像取得ユニットによって取得される前記試料上の接触目的の配線または端子の像および前記プローブ針の像をともに含んだ荷電粒子画像に基づき、前記プローバにより前記プローブ針を前後、左右および上下に移動させて、前記プローブ針の先端を前記試料上の接触目的の位置に接触させる制御と、
前記荷電粒子光学系装置により前記荷電粒子線を前記試料に照射し、そのとき前記電流電圧検出ユニットによって検出される電流値または電圧値を取得する制御と、
を行うこと
を特徴とする半導体検査装置。
前記荷電粒子線を走査させながら前記試料に照射したときに前記電流電圧検出ユニットによって検出される電流値または電圧値と前記荷電粒子線を走査させる制御信号とに基づき、前記試料の電流電圧画像を取得する電流電圧画像取得ユニットを、さらに、備え、
前記制御コンピュータは、
前記電流電圧画像取得ユニットによって取得した電流電圧画像を表示装置に表示すること
を特徴とする請求項1に記載の半導体検査装置。
前記試料室には、新品のプローブ針が取り付けられたプローブホルダを格納するストッカと、前記プローバに装着されているプローブホルダを脱着して、前記脱着したプローブホルダを前記試料室から搬出し、前記ストッカに格納するとともに、前記ストッカから前記新品のプローブ針が取り付けられたプローブホルダを取り出し、前記取り出したプローブホルダを前記試料室へ搬入し、前記プローバに装着するプローブ交換ロボットと、を収容するプローブ交換前室が設けられていること
を特徴とする請求項7に記載の半導体検査装置。
荷電粒子線を集束させ検査対象の試料に照射する荷電粒子光学系装置と、前記試料が収容される試料室と、前記試料を保持して、前記試料室内を自在に移動する試料ステージと、プローブ針を備えたプローバを複数個搭載し、前記試料室内を前記試料ステージとは独立に自在に移動するプローバステージと、前記プローブ針を前記試料上の接触目的の位置に粗寄せするときに前記試料の光学画像を取得する粗寄せ画像取得ユニットと、前記荷電粒子線を走査させながら前記試料に照射したときに前記試料から放出される二次荷電粒子の検出信号と前記荷電粒子線を走査させる制御信号とに基づき前記試料の荷電粒子画像を取得する荷電粒子画像取得ユニットと、前記プローブ針に電気的に接続され、前記複数個のプローバのうち一部のプローバのプローブ針へ電流または電圧を供給するとともに、前記複数個のプローバのうち他の一部のプローバのプローブ針から得られる電流または電圧を検出する電流電圧検出ユニットと、制御コンピュータと、を含んで構成された半導体検査装置であって、
前記試料ステージは、前記試料室の床面に設けられ、
前記プローバステージは、前記試料ステージとは分離して前記試料室の天井面に設けられ、
前記制御コンピュータは、
前記プローバステージおよび前記試料ステージをそれぞれ前記粗寄せ画像取得ユニット近傍まで移動させるとともに、前記粗寄せ画像取得ユニットによって取得される前記接触目的の位置近傍の配線または端子の像および前記プローブ針の像をともに含んだ光学画像に基づき、前記試料と前記プローブ針との相対的な位置関係を定める制御と、
前記定めた前記試料と前記プローブ針との相対的な位置関係を保持した状態で、前記プローバステージおよび前記試料ステージを前記荷電粒子光学系装置下方の前記荷電粒子線の照射位置まで移動させる制御と、
前記荷電粒子画像取得ユニットによって取得される前記試料上の接触目的の配線または端子の像および前記プローブ針の像をともに含んだ荷電粒子画像に基づき、前記プローバにより前記プローブ針を前後、左右および上下に移動させて、前記プローブ針の先端を前記試料上の接触目的の位置に接触させる制御と、
前記電流電圧検出ユニットを介して、前記一部のプローバのプローブ針に供給した電流または電圧と、前記他の一部のプローバのプローブ針から検出された電流または電圧との関係データを取得し、その関係データを表示装置に表示する制御と、
を行うこと
を特徴とする半導体検査装置。
荷電粒子線を集束させ検査対象の試料に照射する荷電粒子光学系装置と、前記試料が収容される試料室と、前記試料を保持して、前記試料室内を自在に移動する試料ステージと、プローブ針を備えたプローバを搭載し、前記試料室内を前記試料ステージとは独立に自在に移動するプローバステージと、前記プローブ針を前記試料上の接触目的の位置に粗寄せするときに前記試料の光学画像を取得する粗寄せ画像取得ユニットと、前記荷電粒子線を走査させながら前記試料に照射したときに前記試料から放出される二次荷電粒子の検出信号と前記荷電粒子線を走査させる制御信号とに基づき前記試料の荷電粒子画像を取得する荷電粒子画像取得ユニットと、前記プローブ針に電気的に接続され、前記プローブ針から得られる電流または電圧を検出する電流電圧検出ユニットと、制御コンピュータと、を含んで構成された半導体検査装置による半導体検査方法であって、
前記試料ステージは、前記試料室の床面に設けられ、
前記プローバステージは、前記試料ステージとは分離して前記試料室の天井面に設けられ、
前記制御コンピュータは、
前記プローバステージおよび前記試料ステージをそれぞれ前記粗寄せ画像取得ユニット近傍まで移動させるとともに、前記粗寄せ画像取得ユニットによって取得される前記接触目的の位置近傍の配線または端子の像および前記プローブ針の像をともに含んだ光学画像に基づき、前記試料と前記プローブ針との相対的な位置関係を定める制御と、
前記定めた前記試料と前記プローブ針との相対的な位置関係を保持した状態で、前記プローバステージおよび前記試料ステージを前記荷電粒子光学系装置下方の前記荷電粒子線の照射位置まで移動させる制御と、
前記荷電粒子画像取得ユニットによって取得される前記試料上の接触目的の配線または端子の像および前記プローブ針の像をともに含んだ荷電粒子画像に基づき、前記プローバにより前記プローブ針を前後、左右および上下に移動させて、前記プローブ針の先端を前記試料上の接触目的の位置に接触させる制御と、
前記荷電粒子光学系装置により前記荷電粒子線を前記試料に照射し、そのとき前記電流電圧検出ユニットによって検出される電流値または電圧値を取得する制御と、
を行うこと
を特徴とする半導体検査方法。
荷電粒子線を集束させ検査対象の試料に照射する荷電粒子光学系装置と、前記試料が収容される試料室と、前記試料を保持して、前記試料室内を自在に移動する試料ステージと、プローブ針を備えたプローバを複数個搭載し、前記試料室内を前記試料ステージとは独立に自在に移動するプローバステージと、前記プローブ針を前記試料上の接触目的の位置に粗寄せするときに前記試料の光学画像を取得する粗寄せ画像取得ユニットと、前記荷電粒子線を走査させながら前記試料に照射したときに前記試料から放出される二次荷電粒子の検出信号と前記荷電粒子線を走査させる制御信号とに基づき前記試料の荷電粒子画像を取得する荷電粒子画像取得ユニットと、前記プローブ針に電気的に接続され、前記複数個のプローバのうち一部のプローバのプローブ針へ電流または電圧を供給するとともに、前記複数個のプローバのうち他の一部のプローバのプローブ針から得られる電流または電圧を検出する電流電圧検出ユニットと、制御コンピュータと、を含んで構成された半導体検査装置による半導体検査方法であって、
前記試料ステージは、前記試料室の床面に設けられ、
前記プローバステージは、前記試料ステージとは分離して前記試料室の天井面に設けられ、
前記制御コンピュータは、
前記プローバステージおよび前記試料ステージをそれぞれ前記粗寄せ画像取得ユニット近傍まで移動させるとともに、前記粗寄せ画像取得ユニットによって取得される前記接触目的の位置近傍の配線または端子の像および前記プローブ針の像をともに含んだ光学画像に基づき、前記試料と前記プローブ針との相対的な位置関係を定める制御と、
前記定めた前記試料と前記プローブ針との相対的な位置関係を保持した状態で、前記プローバステージおよび前記試料ステージを前記荷電粒子光学系装置下方の前記荷電粒子線の照射位置まで移動させる制御と、
前記荷電粒子画像取得ユニットによって取得される前記試料上の接触目的の配線または端子の像および前記プローブ針の像をともに含んだ荷電粒子画像に基づき、前記プローバにより前記プローブ針を前後、左右および上下に移動させて、前記プローブ針の先端を前記試料上の接触目的の位置に接触させる制御と、
前記電流電圧検出ユニットを介して、前記一部のプローバのプローブ針に供給した電流または電圧と、前記他の一部のプローバのプローブ針から検出された電流または電圧との関係データを取得し、その関係データを表示装置に表示する制御と、
を行うこと
を特徴とする半導体検査方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る半導体検査装置の構成の例を模式的に示した図である。
図1に示すように、半導体検査装置10は、荷電粒子源101から出射した荷電粒子線102を、図示しない電子レンズなどで集束させ、試料ウェーハ110に照射する荷電粒子光学系装置100と、検査対象の試料ウェーハ110を収容する試料室103と、その検査に係る様々な制御および情報処理を行う制御コンピュータ125と、を含んで構成される。
【0016】
試料室103内には、試料ウェーハ110を保持して移動させる機構として試料ステージ108が設けられ、試料ステージ108の上部には、試料ホルダ109が設けられている。試料ホルダ109は、静電気力などにより試料ウェーハ110を吸着して保持する。また、試料ステージ108は、試料室103の水平な床面(XY平面)をX方向およびY方向に自在に移動することができ、さらに、試料ホルダ109を上下に自在に移動させることができるように構成されている。
【0017】
また、試料室103内には、少なくとも1つ、通常、複数のプローバ105が搭載されたプローバステージ104が設けられている。そして、それぞれのプローバ105には、その端部にプローブ針107が取り付けられたプローブホルダ106が装着されている。また、プローバステージ104は、試料室103の天井面に設けられた図示しない1次元または2次元の軌道に懸架されて、1次元方向(X方向)または2次元方向(XY方向)に自在に移動することができるように構成されている。従って、プローバステージ104は、試料ステージ108とは独立に移動することができる。
【0018】
さらに、プローバステージ104は、その高さ位置を自在に変えることができるように構成されている。なお、プローバステージ104およびプローバ105の構成については、別途、
図2を参照して説明する。
【0019】
さらに、
図1に示すように、試料室103内は、排気装置111によって排気され、真空状態が保たれている。そして、当然ながら、荷電粒子光学系装置100内部の荷電粒子線102が通過する空間も、図示しない真空ポンプなどで排気されて真空状態に保たれており、少なくとも、荷電粒子102が照射されるときは、荷電粒子102が通過する空間は、試料室103内と連通した状態になる。
【0020】
また、試料室103の外側には、ロードロック形式の試料交換前室118が設けられており、さらに、試料交換前室118の外側には、試料ウェーハ格納容器119が配置されている。そして、試料交換前室118には、試料搬送ロボット117が設けられており、試料搬送ロボット117は、試料ウェーハ格納容器119の中に格納されている検査対象の試料ウェーハ110を試料室103内へ搬入するとともに、検査済の試料ウェーハ110を試料室103内から搬出して、試料ウェーハ格納容器119へ戻す。
【0021】
ここで、試料交換前室118と試料ウェーハ格納容器119との間で、試料ウェーハ110の搬入搬出が行われるときには、試料交換前室118と試料室103との間のゲートが閉じられた後、試料交換前室118と試料ウェーハ格納容器119との間のゲートが開けられてから行われる。また、試料交換前室118と試料室103との間で、試料ウェーハ110の搬入搬出が行われるときには、試料交換前室118と試料ウェーハ格納容器119との間のゲートを閉じられた後、試料交換前室118の真空引きした上で、試料交換前室118と試料室103との間のゲートが開けられてから行われる。このようにして、試料室103の真空度が良好に保持される。
【0022】
また、真空度を保持する類似の構成により、試料室103の外側には、ロードロック形式のプローブ交換前室114が設けられ、さらに、プローブ交換前室114内には、交換用プローブホルダ115を格納したストッカ116が配置されている。そして、プローブ交換前室114には、プローブ交換ロボット113が設けられており、プローブ交換ロボット113は、プローブ針107が劣化したときに、プローバ105からプローブ針107をプローブホルダ106ごと取り外して、ストッカ116へ戻す。そして、プローブ交換ロボット113は、ストッカ116に格納されている新品の交換用プローブホルダ115を取り出し、試料室103内へ搬入し、さらに、プローバ105に装着する。
【0023】
また、試料室103には、図示しない光学顕微鏡、CCD(Charge Coupled Device)カメラなどにより構成された粗寄せ画像取得ユニット112が設けられている。粗寄せ画像取得ユニット112は、試料室103の内部における試料ウェーハ110とプローブ針107との間で、おおよその位置合わせをし、その相対的な位置関係を確認するために設けられたものであり、試料ウェーハ110とプローブ針107とがともに含まれる光学画像を取得し、取得した光学画像を制御コンピュータ125へ送信する。
【0024】
さらに、半導体検査装置10には、荷電粒子画像取得ユニット120、電流電圧検出ユニット121、電流電圧画像取得ユニット122が設けられている。
【0025】
荷電粒子画像取得ユニット120は、荷電粒子線102を走査させながら試料ウェーハ110に照射したとき、試料ウェーハ110から放出される二次荷電粒子の検出信号を取得し、その二次荷電粒子の検出信号と荷電粒子線102を走査させる制御信号とに基づき、試料ウェーハ110の荷電粒子画像を生成し、取得する。なお、荷電粒子線102が電子線の場合、このようにして取得される荷電粒子画像は、SEM(Scanning Electron Microscope)画像と呼ばれる。
【0026】
また、電流電圧検出ユニット121は、電流電圧検出回路、電流電圧源回路などによって構成され、試料室103内のプローバ105のプローブ針107それぞれに電気的に接続されている。すなわち、電流電圧検出ユニット121は、プローブ針107が試料ウェーハ110に形成された配線または素子の端子に接触したとき、そのプローブ針107によって検出される電流または電圧の値を取得するとともに、必要に応じて、プローブ針107に対し、電流または電圧を供給する。
【0027】
また、電流電圧画像取得ユニット122は、荷電粒子線102を走査させながら試料ウェーハ110に照射したとき、電流電圧検出ユニット121によってプローブ針107から得られる電流または電圧信号を取得し、その取得した電流または電圧信号と荷電粒子線102を走査させる制御信号とに基づき、試料ウェーハ110の電流電圧画像を生成し、取得する。なお、このとき電流電圧画像取得ユニット122によって取得される電流電圧画像は、しばしば、吸収電流画像と呼ばれる。吸収電流画像の例については、別途説明する。
【0028】
制御コンピュータ125は、表示装置126のほかに図示しない入力装置や記憶装置を含んで構成される。また、制御コンピュータ125は、荷電粒子光学系装置100、試料ステージ108、プローバステージ104、試料搬送ロボット117、プローブ交換ロボット113、粗寄せ画像取得ユニット112、荷電粒子画像取得ユニット120、電流電圧検出ユニット121、電流電圧画像取得ユニット122などに接続され、それらを統括的に制御する。
【0029】
また、制御コンピュータ125は、粗寄せ画像取得ユニット112により取得された光学画像、荷電粒子画像取得ユニット120により取得された荷電粒子画像、電流電圧画像取得ユニット122により取得された電流電圧画像、電流電圧検出ユニット121により取得された電流電圧のデータを、それぞれ取得し、表示装置126に表示する。
【0030】
図2は、4つのプローバ105がプローバステージ104に搭載された様子を模式的に示した図であり、(a)は上面図、(b)は側面図、(c)A−A’部分の断面図である。
図4(a)、(b)に示すように、プローバ105を搭載するプローバステージ104は、その中央部に円形状の開口部104aを有する四方形平板の上側四隅には支柱104bが設けられている。そして、支柱104bの上部には、試料室103の天井に設けられた軌道(図示を省略)に懸架される懸架部(図示省略)が設けられている。そのため、プローバステージ104は、試料室103の天井に設けられた軌道(図示を省略)に懸架された状態で、その軌道に沿って自在に移動することができる。
【0031】
また、
図2(a)〜(c)に示すように、それぞれのプローバ105には、その端部にプローブ針107が取り付けられたプローブホルダ106が着脱可能に装着されている。そして、プローバ105は、プローバステージ104上を前後左右に自在に移動することができ、さらに、プローブホルダ106を上下に自在に昇降させることができるように構成されている。なお、
図2では、プローバ105が4つ描かれているが、プローバ105の数は、4つに限定されるものではなく、最低1つあればよい。
【0032】
図3は、プローバ105の粗寄せ制御における試料ステージ108およびプローバステージ104の配置位置の例を示した図である。一般に、プローブ針107を試料ウェーハ110上の接触目的の配線や素子の端子位置(以下、プロービング位置という)に近づける場合、高倍率の荷電粒子画像を取得し、その荷電粒子画像に基づき、プローブ針107をプロービング位置に近づけるのは効率がよくない。高倍率であると、プローブ針107とプロービング位置が同じ視野画像に含まれるとは限らないからである。
【0033】
そこで、本実施形態では、粗寄せ画像取得ユニット112を用いて低倍率の光学画像によるプローバ105の粗寄せ制御を実施する。このとき、制御コンピュータ125は、プローバステージ104を、粗寄せ画像取得ユニット112の真下に移動させるとともに、試料ステージ108を、試料ウェーハ110の検査対象チップにおけるプロービング位置が粗寄せ画像取得ユニット112の略真下となる位置まで移動させる(
図3に示した配置位置)。
【0034】
続いて、制御コンピュータは、粗寄せ画像取得ユニット112を介して、プローブ針107の像が含まれる試料ウェーハ110の光学画像を取得し、その光学画像から得られるプローブ針107の像の位置とプロービング位置との相対位置関係に基づいて、さらに、プローバ105を前後左右に移動させて、プローブ針107の先端部をプロービング位置に近づける。
【0035】
プローバステージ104にプローバ105が複数搭載されている場合には、それぞれのプローバ105について、同様に、プローブ針107の先端部をプロービング位置に近づける。
【0036】
図4は、プローブ針107を試料ウェーハ110上のプロービング位置に接触させるプロービング制御における試料ステージ108およびプローバステージ104の配置位置の例を示した図である。制御コンピュータ125は、前記したプローバ105の粗寄せ制御を終えると、プローバステージ104と試料ステージ108との相対位置関係を保持した状態で、プローバステージ104および試料ステージ108を荷電粒子線102の照射位置まで移動させる(
図4に示した配置位置)。
【0037】
続いて、制御コンピュータ125は、荷電粒子画像取得ユニット120を介して、プローブ針107の先端部の像が含まれる試料ウェーハ110の高倍率の荷電粒子画像を取得し、その荷電粒子画像から得られるプローブ針107の先端部の像の位置とプロービング位置との相対位置関係に基づいて、プローバ105を前後左右に移動させて、さらには、プローブホルダ106を上下に移動させて、プローブ針107の先端部をプロービング位置に近づける。
【0038】
続いて、制御コンピュータ125は、プローブホルダ106すなわちプローブ針107を下降させて、プローブ針107の先端部を試料ウェーハ110上のプロービング位置に接触させる。(本明細書では、以下、プローブ針107の先端部をプロービング位置に接触させることを、単に、プロービングという)。
【0039】
一般に、試料ウェーハ110は、平らなものではなく、反った形状をしている。そのため、試料ウェーハ110上の複数箇所に対してプロービングをする場合、プローブ針107を同じだけ降下させても、プロービング位置に届いたり届かなかったり、場合によっては、下降し過ぎてプローブ針107を痛めるようなことがある。
【0040】
そこで、本実施形態では、プロービングするに際しては、まず、プロービング位置の高さ(プローバ105の試料ウェーハ110の表面からの相対距離)を計測するものとする。そして、その高さが、基準の高さとずれがある場合は、プローバステージ104を昇降させることにより、試料ウェーハ110に対する高さを基準の高さに合わせるようにする。なお、高さの検知は、例えば、荷電粒子画像における焦点のずれ検知、試料ウェーハ110を検知するレーザ距離センサなどを用いて行う。
【0041】
なお、プローバ105の移動動作、プローブホルダ106を上下させる動作のうち、例えば、1ミクロン以下など微小な距離を移動させる動作に対しては、ピエゾ駆動が用いられている。
【0042】
図5は、プローバ105の上下方向の粗寄せ制御を行う場合の半導体検査装置10の構成の例を模式的に示した図である。試料ウェーハ110とプローバステージ104との間の高さ方向の粗寄せのスループットの向上を図る場合には、垂直方向の粗寄せのための光学画像を取得する第2の粗寄せ画像取得ユニット112aが設けられる。第2の粗寄せ画像取得ユニット112aは、一般的には、試料ウェーハ110上のプロービング位置が真横から観察できる試料室103の側面に配置されるが、
図5に示すように、プロービング位置の斜め上方の試料室103の上面に配置してもよい。
【0043】
制御コンピュータ125は、第2の粗寄せ画像取得ユニット112aによって取得される光学画像に基づき、プローバステージ104またはプローブ針107と試料ステージ108との間の相対高さ位置関係を取得し、その位置関係に基づき、プローバステージ104または試料ステージ108を昇降させて、上下方向の粗寄せを行う。
【0044】
図6は、プローブホルダ106交換時におけるプローバステージ104の配置位置の例を示した図である。プローブ針107は、消耗品である。その先端部は、使用時間とともに、形状が磨耗、劣化し、また、電気抵抗値も大きくなっていく。そこで、プローブ針107は、その形状や性能が劣化した場合には、交換する必要がある。
【0045】
プローブ針107の交換は、プローブホルダ106の交換作業として行われる。制御コンピュータ125は、プローブホルダ106を交換する場合、まず、プローバステージ104をプローブ交換前室114の傍まで移動させる(
図6に示した配置位置)。そして、プローブ交換前室114およびストッカ116を真空状態にしたうえで、プローブ交換前室114と試料室103との間のゲートを開けて、プローブホルダ106の交換を行う。
【0046】
このとき、制御コンピュータ125がプローブ交換ロボット113に対しプローブホルダ106の交換を指示すると、プローブ交換ロボット113は、アームを試料室103内へ入れて、劣化したプローブ針107が取り付けられたプローブホルダ106を、プローバ105から取り外して、試料室103から取り出し、ストッカ116へ格納する。次に、プローブ交換ロボット113は、アームでストッカ116から新品のプローブホルダ106を取り出し、試料室103内へ搬入し、プローブホルダ106が空のプローバ105に搬入した新品のプローブホルダ106を装着する。
【0047】
以上のプローブホルダ106の交換が終了すると、プローブ交換前室114と試料室103との間のゲートは閉じられる。従って、試料室103の真空度を劣化させることなく、プローブホルダ106の交換が行われる。
【0048】
なお、
図6に示すように、プローブ交換前室114を試料室103の上部に設け、プローブホルダ106を試料室103の天井側から出し入れする構造にすると、プローバ105へのプローブホルダ106の着脱を容易化することができるので、プローブ交換ロボット113の構造の簡易化を図ることができる。
【0049】
また、この場合、プローバステージ104上のプローバ105が搭載される部分を、プローバステージ104に設けられた円形の開口部104aの中心を軸として、プローバステージ104の平面上で自在に回転可能なように構成しておくとよい。その場合には、プローバステージ104上のどの位置にプローバ105が搭載されていても、プローブホルダ106の着脱を容易に行うことが可能になる。
【0050】
また、制御コンピュータ125は、ストッカ116に格納されている交換用プローブホルダ115について、新品かまた使用済み品かの情報を記憶装置に格納しておき、すべての交換用プローブホルダ115が使用済み品になった場合には、その旨を表示装置126に表示し、ユーザにストッカ116内の交換用プローブホルダ115の入れ替えを要求する。
【0051】
図7は、試料ホルダ109の上面図の例を示した図である。
図7に示すように、試料ホルダ109の上面には、試料ウェーハ110が載置されるが、試料ウェーハ110の載置を妨げない位置に、プローブ針107性能チェック用の検査素子109aが取り付けられている。検査素子109aは、例えば、アルミニウムやタングステンを材質とする基準抵抗素子により構成されるが、その場合、制御コンピュータ125は、プローブ針107に流れる電流値などを取得することにより、基準抵抗素子の抵抗値を得ることができ、その抵抗値に基づきプローブ針107の劣化の程度を判定する。
【0052】
なお、基準抵抗素子の抵抗値は、その基準抵抗素子の両端を2つのプローブ針107でそれぞれプロービングすれば測定可能である。また、基準抵抗素子の一端を接地しておけば、1つのプローブ針107で他端をプロービングすることにより、その抵抗値を測定することができる。
【0053】
プローブ針107の性能チェックは、例えば、半導体検査装置10の稼動が開始されるたびに、あるいは、半導体検査装置10の稼動時間が所定の時間経過するたびに、あるいは、半導体検査装置10の定期検査を行うたびに行うものとする。そして、その性能チェックにおいて、基準抵抗素子の抵抗値が、あらかじめ定められた値より大きくなったときには、制御コンピュータ125は、プローブ針107が劣化したものと判断して、ユーザに、プローブ針107の交換を要求する。
【0054】
なお、プローブ針107(プローブホルダ106)の交換は、以上のような基準抵抗素子の抵抗値の測定結果によらず、単なるプローブ針107の使用時間やプロービング回数に基づき、例えば、使用時間が所定時間を超えた場合や、プロービング回数が所定回数を超えた場合には、プローブ針107が劣化したと判断し、プローブ針107(プローブホルダ106)を交換してもよい。
【0055】
図8は、プローブ針107のプロービングによる電気的測定方法の例を示した図であり、(a)は、荷電粒子線102の吸収電流を測定する例、(b)は、荷電粒子線102を照射しないでMOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタの特性を測定する例である。
【0056】
図8(a)の例では、試料ウェーハ110上に形成された導電性の配線201の一端にプローブ針107を接触させ、そのプローブ針107を接地するとともに、プローブ針107と接地点の間には電流計301が設けられている。この状態で、荷電粒子光学系装置100から細く集束させた荷電粒子線102を配線201の上に照射すると、電流計301では、配線201による荷電粒子線102のいわゆる吸収電流を観察することができる。
【0057】
なお、電流計301は、電流電圧検出ユニット121に含まれる構成要素であり、具体的には、吸収電流に対応する電圧を検出する回路と、その電圧を増幅する増幅回路などによって構成される。そして、その増幅回路によって増幅された電圧の値は、適宜、AD(Analog to Digital)変換され、制御コンピュータ125に読み取られる。
【0058】
吸収電流は、配線201が荷電粒子線102を吸収した電荷に基づく電流であり、一般的には、単位時間当たりに、荷電粒子線102によって配線201に供給される電荷量(ビーム電流)から、配線201から反射または放出される荷電粒子の電荷量を差し引いた値に相当する。従って、電流計301で吸収電流を測定することにより、荷電粒子線102の照射位置からプローブ針107の接触位置までの導通の有無を知ることができる。
【0059】
荷電粒子線102は、薄い絶縁層などは貫通することができるので、配線201が絶縁層などで覆われていても、荷電粒子線102が届く範囲内で、その下層の配線についても吸収電流を検出することができる。さらに、2つのプローブ針107を異なる位置の配線に接触させれば(図示を省略)、少なくとも一方のプローブ針107で吸収電流を測定することにより、2つのプローブ針107をつなぐ配線における抵抗値の分布を得ることもできる。
【0060】
また、
図8(b)に示すように、試料ウェーハ110上に複数の(例えば、4つの)プローブ針107a〜107dを接触させた場合には、荷電粒子線102を照射することなく、試料ウェーハ110に形成された素子(例えば、MOSトランジスタ素子)などの動作特性を取得することができる。
【0061】
例えば、
図8(b)の例では、プローブ針107aをソース領域202に接触させ、プローブ針107bをゲート電極203に接触させ、プローブ針107cをドレイン領域204に接触させ、プローブ針107dを基板(サブストレート)領域に接触させている。従って、それぞれのプローブ針107a〜107dに適宜電圧を印加し、例えば、プローブ針107a−107c間に流れる電流を測定すれば、ソース−ドレイン電流のゲート電圧特性などを取得することができる。
【0062】
電流電圧検出ユニット121には、以上のような様々な構成による電流電圧の測定を可能にするために、様々な種類の電流計、電圧計、増幅回路などが複数個用意されており、測定目的に応じて、プローブ針107との接続を適宜切替えられるように構成されている。
【0063】
図9は、吸収電流の測定に基づき得られる吸収電流画像(電流電圧画像)の例を示した図である。
図9に示すような吸収電流画像401は、電流電圧画像取得ユニット122(
図1参照)によって取得される。すなわち、電流電圧画像取得ユニット122は、荷電粒子線102が試料ウェーハ110上の所定の観察対象領域を走査しつつ照射されたとき、例えば、電流計301(
図8参照)を介して電流値を取得し、その取得した電流値を荷電粒子線102の走査位置に対応させて画像化する。
【0064】
ちなみに、
図9の吸収電流画像401には、プローブ針107の先端部の像207、プローブ針107が接触したパッド電極の像206、最上層の配線の像208、絶縁層の下層の配線の像209の例が示されている。なお、吸収電流画像401例では、吸収電流が検出されないとき、その画像は明るく白色で表わされ、吸収電流が検出されたとき、その画像は暗く黒色で表わされている。また、ここでは、吸収電流の色を、その電流値に応じて黒色で階調表現しているが、複数の色で表してもよい。
【0065】
このように、吸収電流画像401においては、プローブ針107と導通のある配線や素子については、何らかの像206,208,209が取得され、導通のない配線や素子については、何らの像も取得されない。さらに、吸収電流画像401においては、荷電粒子線102が絶縁層を貫通して到達可能な限り、絶縁層の下層の配線であっても、吸収電流の像(配線の像209)を得ることができる。従って、吸収電流画像401では、SEM画像など荷電粒子画像では観察することのできない、絶縁層下における配線構造を非破壊で観察することができる。
【0066】
図10は、試料ウェーハ110に形成された深いコンタクトホールの(a)荷電粒子画像および(b)吸収電流画像を比較して示した図である。なお、
図10(a)の荷電粒子画像402には、プローブ針107の先端部の像227、プローブ針107が接触したパッド電極像226、コンタクトホールの像220の例が示されている。また、
図10(b)の吸収電流画像403には、プローブ針107の先端部の像207、プローブ針107が接触したパッド電極の像206、コンタクトホールの像210,210a,210bの例が示されている。
【0067】
荷電粒子画像402の場合、コンタクトホールの径がその深さに比べ小さいときには、荷電粒子線102は、コンタクトホールの底部に届くことはできても、その底部から放出される二次荷電粒子は、コンタクトホールの上部まで上がってくることができないことが多い。そのため、二次荷電粒子検出信号は、コンタクトホールの部分で弱い信号となる。従って、荷電粒子画像402からは、コンタクトホールの上部の外形は観察できるものの(コンタクトホールの荷電粒子の像220参照)、コンタクトホールの底部の構造についての情報は何ら得られない。
【0068】
一方、吸収電流画像403では、コンタクトホールの径がその深さに比べ小さい場合であっても、荷電粒子線102がコンタクトホールの底部に届きさえすれば、その底部の導電層がプローブ針107に導通しているときには、コンタクトホールの吸収電流像210,210a,210bを得ることができる。
【0069】
このとき、コンタクトホールの吸収電流像210aのように、同様に設計された他のコンタクトホールの吸収電流像210に比べ、その吸収電流値が小さい場合には、荷電粒子線102がコンタクトホールの底部まで十分に到達していないことを意味し、コンタクトホールの底部にエッチング残りなどがあることを意味している。また、コンタクトホールの吸収電流像210bのように、同様に設計された他のコンタクトホールの吸収電流像210に比べ、その大きさが小さい場合には、コンタクトホールの底部外周部が十分にエッチングされていない、つまり、コンタクトホールの径が小さいことを意味する。
【0070】
以上のように、吸収電流画像403からは、コンタクトホールの底部の構造についての情報を得ることができ、また、コンタクトホールの導通している部分の大きさを精度よく測定することができる。
【0071】
図11は、吸収電流画像を用いて試料ウェーハの配線パターンの良否を判定する方法の例を示した図であり、(a)は、基準吸収電流画像の例、(b)は、測定吸収電流画像の例である。ここで、測定吸収電流画像405は、検査時に検査対象の試料ウェーハ110の吸収電流を測定することによって取得した吸収電流画像である。また、基準吸収電流画像404は、検査対象の試料ウェーハ110の検査領域と同じまたは実質的に同じ領域で欠陥がないことが分かっている領域から以前に取得された吸収電流画像(すなわち、良品の吸収電流画像)、あるいは、検査対象の試料ウェーハ110に形成される集積回路の設計データからシミュレーションなどにより生成された吸収電流画像である。
【0072】
制御コンピュータ125は、基準吸収電流画像404および測定吸収電流画像405を取得すると、両者の画像を画像比較することにより、不一致箇所を検出し、検出した不一致箇所を欠陥と判定する。例えば、測定吸収電流画像405における配線231bの配線幅は、基準吸収電流画像404における対応する配線231aの配線幅よりも細いので、欠陥であると判定する。また、測定吸収電流画像405における配線232bの黒の表示階調は、基準吸収電流画像404における対応する配線231aの黒の表示階調よりも薄いので、欠陥であると判定する。
【0073】
図12は、吸収電流画像を用いて試料ウェーハの不純物領域の良否を判定する方法の例を示した図であり、(a)は、基準吸収電流画像の例、(b)は、測定吸収電流画像の例である。ここで、測定吸収電流画像407は、検査時に検査対象の試料ウェーハ110の吸収電流を測定することによって取得した吸収電流画像である。また、基準吸収電流画像406は、検査対象の試料ウェーハ110の検査領域と同じまたは実質的に同じ領域で欠陥がないことが分かっている領域から以前に取得された吸収電流画像(すなわち、良品の吸収電流画像)、あるいは、検査対象の試料ウェーハ110に形成される集積回路の設計データからシミュレーションなどにより生成された吸収電流画像である。
【0074】
一般に、SEMなどの荷電粒子線装置で不純物領域の境界を観察するのは、難しいとされている。しかしながら、吸収電流画像を用いれば、不純物領域の様子を観察することができる。例えば、
図12(a),(b)に示すように、p型の半導体基板層242にn型の不純物層であるウェル241が形成され、さらに、そのウェル241の中に高濃度のp型の不純物領域243が形成され、その高濃度の不純物領域243は、ゲート電極244によってソースまたはドレイン領域に分割されているとする。
【0075】
このとき、ウェル241に導通したプラグ層245にプローブ針246を接触させれば、ウェル241は、プローブ針246に導通するので、吸収電流が検出され、例えば、暗く表示される。一方、半導体基板層242および不純物領域243とは、p−n接合により絶縁されているので、吸収電流が検出されず、明るく表示される。また、ゲート電極244も部分もと導通しないので、吸収電流が検出されず、明るく表示される。ただし、荷電粒子線102の一部は、不純物領域243を貫通して、その下部に存在するウェル241へ到達することもあるので、その場合には、不純物領域243は、半導体基板層242に比べやや暗く表示される。以上のように、吸収電流画像を用いることにより、不純物領域の大きさやゲート電極244などとの位置関係などの様子を観察することができる。
【0076】
なお、同様に、p型の半導体基板層242側にプラグ層245を設け(図示せず)、そのプラグ層245にプローブ針246を接触させれば、その半導体基板層242側に形成された高濃度のn型の不純物層(図示せず)の様子を観察することができる。
【0077】
そこで、試料ウェーハ110についての良品またはシミュレーションにより,
図12(a)に示すような基準吸収電流画像406が得られ、また、検査対象の試料ウェーハ110から、
図12(b)に示すような測定吸収電流画像407が得られものとする。そして、これら2つの画像を比較し、相違部分を検出する。
【0078】
すると、測定吸収電流画像407において、不純物領域243aは、基準吸収電流画像406の同じ領域に比べ暗く表示され、そのため、不純物領域243aは、ウェル241と導通しているようにみえる。従って、不純物領域243aは、不良であると判定する。このような場合、例えば、不純物領域243aへの打ち込み不純物イオン量が少ないため、不純物領域243aとウェル241との間のp−n接合がうまく形成されていないような場合がある。
【0079】
また、測定吸収電流画像407を基準吸収電流画像406と比較すると、不純物領域243bの位置は、ゲート電極244の位置に対し、位置ずれしていることが分かる。このような不純物領域243bも不良であると判定する。
【0080】
以上のように、吸収電流画像を用いれば、ウェル241を含む不純物領域243の形状寸法の不良や位置ずれや不純物イオンの打ち込み量などの様子を知ることができる。
【0081】
図13は、半導体検査装置10における検査処理フローの例を示した図である。ここでは、半導体検査装置10を他の欠陥検査装置で得られた欠陥を確認する検査に用いるものとしている。なお、欠陥検査装置としては、例えば、試料ウェーハ110の表面の光学画像またはSEM画像を設計データまたは良品ウェーハから得られる基準画像と比較して試料ウェーハ110の欠陥を検出する検査装置などであり、あるいは、異物検査装置などであってもよい。
【0082】
図13に示すように、制御コンピュータ125は、まず、他の欠陥検査装置からその欠陥検査装置によって得られた欠陥情報を取得する(ステップS11)。このとき、他の欠陥検査装置によって得られた欠陥情報は、USB(Universal Serial Bus)メモリなど携帯型の記憶装置を介して取得されるとしてもよく、また、通信ネットウォークを介して取得されるとしてもよい。また、欠陥情報には、それぞれの欠陥について、ウェーハ内におけるチップ番号、チップ内の位置情報、欠陥の種別情報、大きさ情報などが含まれるものとする。
【0083】
次に、制御コンピュータ125は、取得した欠陥情報から1つの欠陥情報を選択し、その欠陥情報に含まれるチップ番号および欠陥位置情報に基づき、試料ステージ108およびプローバ105の粗寄せを実施する(ステップS12)。
【0084】
次に、制御コンピュータ125は、粗寄せした試料ステージ108とプローバ105との相対位置関係を保持した状態で、試料ステージ108およびプローバ105を移動させ、荷電粒子線102の照射位置にセットする(ステップS13)。
【0085】
次に、制御コンピュータ125は、セットされた位置の試料ウェーハ110の荷電粒子画像を取得し(ステップS14)、その取得した荷電粒子画像に基づき、プローブ針107を不良箇所に関係する配線または端子にプロービングする(ステップS15)。
【0086】
次に、制御コンピュータ125は、吸収電流画像(電流電圧画像)を取得し(ステップS16)、その取得した吸収電流画像(電流電圧画像)を基準画像と比較する(ステップS17)。ここで、基準画像は、当該試料ウェーハ110の良品部分から取得された吸収電流画像または設計データからシミュレーションにより生成された吸収電流画像である。
【0087】
次に、制御コンピュータ125は、ステップS17における画像比較で不一致があったか否かを判定し(ステップS18)、その判定で不一致があった場合には(ステップS18でYes)、他の欠陥検査装置で検出された欠陥が確かに欠陥であることを再判定する(ステップS19)。また、ステップS18の判定で不一致がなかった場合には(ステップS18でNo)、他の欠陥検査装置で検出された欠陥が欠陥であることを単純には再判定することはできないので、ステップS19をスキップする。
【0088】
なお、ステップS16で取得した吸収電流画像(電流電圧画像)と基準画像との間に不一致がなかった場合には(ステップS18でNo)、他の欠陥検査装置で欠陥と判定されたものでも、少なくとも電気的には欠陥でない場合もある。例えば、他の欠陥検査装置で2つの配線間をつなぐような異物欠陥があったとしても、その異物が絶縁性のものであれば、その異物欠陥は電気的な動作に影響を及ぼさない。異物が絶縁性であるか否かは、吸収電流画像(電流電圧画像)から容易に判定することができる。
【0089】
そこで、検査処理フローに、ステップS18でNoの場合、さらに、このような異物欠陥を検出するような処理を追加する。そうすれば、他の欠陥検査装置で欠陥と判定されたものであっても、電気的動作に影響を及ぼさない欠陥を検出できるようになる。その場合には、電気的動作に影響を及ぼさない欠陥を欠陥でないものとして救済することが可能となる。
【0090】
また、
図8(b)に示したような測定方法、すなわち、複数のプローブ針107を複数の配線や素子の端子に接触させ、適宜、それらの一部のプローブ針107に電流や電圧を供給するとともに、他の一部のプローブ針107で電流や電圧を測定すれば、荷電粒子線102を照射することなく、試料ウェーハ110に形成された素子や回路の電気的特性や動作特性を取得することが可能であり、また、論理回路の論理動作を解析することも可能である。すなわち、本実施形態に係る半導体検査装置10を、素子や回路の動作解析をする解析装置として用いることもできる。とくに、欠陥の状況や原因を詳しく追求する場合、解析装置としての利用価値は大きい。
【0091】
また、この場合、良品の試料ウェーハ110またはシミュレーションにより取得した電気的特性データを、検査対象の試料ウェーハ110で測定した電気的特性データと比較することにより、その不良箇所を検出することができる。すなわち、
図13に示した検査処理フローと同様の検査処理フローによって、不良検査を実施することができる。
【0092】
なお、その場合には、
図13のステップS16では、吸収電流画像を取得する代わりに、検査対象の配線または素子端子の電気的特性データを取得する。また、ステップS17では、吸収電流画像を基準画像と比較する代わりに、ステップS16で取得した電気的特性データを良品またはシミュレーションによって得られた基準電気的特性データと比較することになる。
【0093】
以上、
図13では、本実施形態に係る半導体検査装置10を他の欠陥検査装置で得られた欠陥の確認検査装置として用いる例について説明したが、半導体検査装置10で取得される吸収電流画像(電流電圧画像)を用いれば、半導体検査装置10は、当然のことながら、試料ウェーハ110に形成された配線の幅、配線の長さ、不純物領域の寸法、電極の寸法、コンタクトホールの径などを計測する測長装置として利用することもできる。また、複数の配線、電極、不純物領域の相対的な位置関係や位置ずれ検査する装置としても利用することもできる。
【0094】
図14は、半導体検査装置10のマーキング機能を模式的に説明する図である。半導体検査装置10では、検査対象とした欠陥については、さらにその状況を詳しく解析するために、断面解析するような場合がある。断面解析をする場合、試料ウェーハ110を割断して小さなチップとし、対象箇所を集束イオンビーム加工装置などで対象箇所の断面を切り出すことが行われる。この場合、とくに割断する工程(ダイシング工程)が含まれているため、対象のチップや断面解析対象箇所が見失われやすい。
【0095】
そこで、本実施形態では、複数のプローバ105のうち、1つのプローバ105に装着されるプローブホルダ106のプローブ針107を、とくに強度、硬度ともに大きい材料で構成するものとする。そして、制御コンピュータ125は、例えば、入力装置を介してユーザによるマーキング指示の情報を受け付けたときには、プローバ105を制御して、その強固なプローブ針107を試料ウェーハ110の表面に接触させて、引っかき傷を付けることにより、そのとき検査対象となっている欠陥の近傍に直線などのマーク241,242を描く。
【0096】
このように、検査対象の欠陥で、例えば、断面解析の対象となっている場合には、その位置の近傍にマーク251,252が付けられるので、ユーザは、その欠陥や断面解析対象の位置を見失うことを防ぐことができる。
【0097】
以上、本発明の実施形態によれば、荷電粒子線が照射可能な環境下で、製造途上の半導体ウェーハに形成された素子や配線の電気的な検査が可能になる。そのため、製造途上における半導体ウェーハで検出された欠陥ついて、形状的な情報だけでなく電気的な情報をより詳しく知ることが可能になるので、より詳しい欠陥情報を製造プロセスに逸早くフィードバックすることが可能になる。その結果として、半導体ウェーハの製造プロセスの改善を迅速に図ることができ、当該半導体ウェーハで製造される集積回路などの半導体製品の歩留まりを向上させることができる。