(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記オゾン水使用箇所へのオゾン水の流れを迂回させる迂回用配管が、前記オゾン水使用箇所の数に対応して設けられ、前記オゾン水使用箇所又は前記迂回用配管にオゾン水を流す切換手段が設けられている、請求項1に記載のオゾン水供給装置。
前記オゾン水使用箇所へのオゾン水の流れを迂回させる迂回用配管を前記オゾン水使用箇所の数に対応させて設けると共に、前記オゾン水使用箇所又は前記迂回用配管にオゾン水を流す切換手段を設け、
選択された前記オゾン水使用箇所に対応する前記切換手段により前記迂回用配管へオゾン水を流し、選択された前記オゾン水使用箇所に対応する分岐点よりも下流側の本管を流れるオゾン水の流速の低下を防止してオゾン水を供給する、請求項5に記載のオゾン水供給方法。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体用シリコン基板、液晶用ガラス基板又はフォトマスク用石英基板等の基板その他の電子部品の洗浄は、米国のRCA社(Radio of Corporation of America Corp.)により開発されたRCA洗浄に代表されるように、高濃度の薬液や洗剤及びそれを濯ぐための夥しい量の純水又は超純水を用いて行われていた。これに対し、洗浄工程のコストを削減する目的や大量の洗浄水の使用を抑制して環境を保全する目的等のために、洗浄技術に対する様々な簡略化の取り組みがなされ、その成果を上げてきた。その代表的な洗浄技術としてオゾンや水素等の特定のガスを溶解した洗浄水による洗浄技術がある。
【0003】
例えば、純水にオゾンを溶解したオゾン水は、溶存オゾン濃度が数mg/Lといった低濃度であるにも拘わらず強い酸化力を有する。そのため、オゾン水は基板の表面に付着した有機物や金属等の不純物を除去する工程や、シリコン基板の表面に酸化皮膜層を形成する工程に使用されている。このような工程では、使用されるオゾンの濃度が基板表面の洗浄力や形成される膜厚に大きな影響を与えるため、オゾン濃度の管理が極めて重要とされている。
【0004】
しかしながら、オゾンは自己分解しやすく、オゾン水生成場所とオゾン水使用箇所との距離が長い場合、生成されたオゾン水をオゾン水使用箇所まで移送する途中でオゾン水中のオゾン濃度が低下してしまう。
【0005】
また、オゾン水使用箇所が複数存在する場合、オゾン水生成場所で生成したオゾン水を配管で移送し、オゾン水使用箇所に順次に分流して供給する手法であると、オゾン水を分流するたびに配管内を流れるオゾン水の流速が低下する。このため、下流側に位置するオゾン水使用箇所では、オゾン水が到達するまでに時間がかかり、オゾン水使用箇所にオゾン水が到達したときにはオゾンが自己分解してしまい、オゾン水中のオゾン濃度が低下してしまう。
【0006】
このようなオゾン水中のオゾン濃度の低下を防止する技術について、本出願人は、これまでに様々な技術を提案してきた。
【0007】
特許文献1では、純水にオゾンを溶解して生成したオゾン水を移送するに際し、オゾン水生成装置にて純水又はオゾン水に炭酸ガス又は有機化合物を溶解させることでオゾンの自己分解を抑制できる技術を提案している。また、特許文献2では、オゾン水供給装置に、オゾン水の給水管から排出管までの任意の位置に薬剤供給装置を設け、亜硝酸、亜硝酸塩、炭酸、炭酸塩、重炭酸塩、亜硫酸、亜硫酸塩、重亜硫酸塩及びヒドラジンからなる群から選ばれる1又は2以上のオゾン分解抑制剤を添加する技術を提案している。
【0008】
一方、本出願人は、オゾン水中のオゾン濃度を調整し、所望のオゾン濃度のオゾン水を容易に供給する技術についても種々提案している。
【0009】
例えば、特許文献3では、過剰にオゾンを溶解させたオゾン水の濃度調整方法において、通水経路の長さ、加温、超音波、紫外線又は乱流化によりオゾンの分解を促進させることでオゾン濃度を調整する技術を提案している。また、特許文献4では、オゾン含有水をガラスと接触させ、所望のオゾン濃度のオゾン水とするオゾン濃度の調整方法に関する技術を提案している。
【0010】
さらに、本出願人は、所望濃度のオゾン水を安定供給する技術についても提案している。例えば、特許文献5では、オゾン分解抑制物質を存在させたオゾン水をユースポイントに移送し、ユースポイント近傍において濃度調整手段により所定のオゾン濃度に低下させることでオゾン水を供給する技術を提案している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記した技術に引き続いてオゾン水中のオゾン濃度の低下を防止するためになされたものであり、その目的は、オゾン水生成手段とオゾン水使用箇所との距離が長い場合、及び/又は複数のオゾン水使用箇所を備えた場合に、オゾン水中のオゾン濃度を低下させることなくオゾン水を供給することができるオゾン水供給装置及びオゾン水供給方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するための本発明に係るオゾン水供給装置は、オゾン水使用箇所に供給するためのオゾン水を生成するオゾン水生成手段と、前記オゾン水生成手段に接続されると共に、内部を流れるオゾン水を分流し、前記オゾン水使用箇所の数に対応する分岐点が形成された本管と、前記分岐点と前記オゾン水使用箇所とを連絡する枝管と、前記本管及び前記枝管を流れるオゾン水の流速の低下を防止する流速維持手段と、を備えることを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、オゾン水生成手段に接続されると共に、内部を流れるオゾン水を分流し、オゾン水使用箇所の数に対応する分岐点が形成された本管と、分岐点とオゾン水使用箇所とを連絡する枝管と、本管及び枝管を流れるオゾン水の流速の低下を防止する流速維持手段とを備えるので、オゾン水の流速の低下を防止して、所望の流速でオゾン水を移送できる。こうしたオゾン水供給装置は、オゾン水の流速の低下を防止するので、オゾン水中のオゾン濃度が低下する前にオゾン水をオゾン水使用箇所に供給することができ、オゾン水生成手段とオゾン水使用箇所との距離が長い場合に好ましく適用することができる。
【0015】
本発明に係るオゾン水供給装置において、前記流速維持手段を、前記本管の横断面積が前記分岐点の上流側よりも下流側が減少するよう形成し、かつ、前記本管の横断面積の減少分が、前記分岐点で前記枝管に分流されるオゾン水の流量に対応するように構成する。
【0016】
この発明によれば、流速維持手段を、本管の横断面積が分岐点の上流側よりも下流側が減少するよう形成し、かつ、本管の横断面積の減少分が、分岐点で枝管に分流されるオゾン水の流量に対応するように構成するので、本管からオゾン水を分流した後でもオゾン水の流速の低下を防止することができる。このオゾン水供給装置は、複数のオゾン水使用箇所にオゾン水の供給用配管である本管から順次に分流させてオゾン水を供給させる場合に好ましく適用することができる。
【0017】
本発明に係るオゾン水供給装置において、前記オゾン水使用箇所へのオゾン水の流れを迂回させる迂回用配管を、前記オゾン水使用箇所の数に対応して設け、前記オゾン水使用箇所又は前記迂回用配管にオゾン水を流す切換手段を設ける。
【0018】
この発明によれば、オゾン水使用箇所のいずれかにオゾン水を供給しない場合であっても、オゾン水の流れを迂回させる迂回用配管を設けたので、この迂回用配管にオゾン水を流すことができる。このため、オゾン水を供給しないオゾン水使用箇所に対応する本管の分岐点の下流側においては、本管の横断面積に適応した流量のオゾン水を流すことができ、オゾン水の流速を適切に維持することができる。
【0019】
本発明に係るオゾン水供給装置において、前記オゾン水使用箇所の直前における前記枝管内を流れるオゾン水の流速を、少なくとも30m/分となるように制御する。
【0020】
この発明によれば、オゾン水中のオゾンが自己分解して溶存オゾン濃度が低下してしまう前にオゾン水をオゾン水使用箇所に供給することができる。
【0021】
本発明に係るオゾン水供給装置において、前記オゾン水使用箇所に供給されるオゾン水のpH値を6以下に抑制するpH値抑制手段を備える。
【0022】
この発明によれば、オゾン水のpH値を酸性に調整し、オゾンの自己分解を抑制し、オゾン水中の溶存オゾン濃度の低下を効果的に防止できる。
【0023】
また、上記課題を解決するための本発明に係るオゾン水供給方法は、オゾン水生成手段により生成されたオゾン水を、配管によってオゾン水が使用されるオゾン水使用箇所に供給するオゾン水供給方法であって、前記配管を流れるオゾン水の流速を一定以上に維持して前記オゾン水使用箇所にオゾン水を供給することを特徴とする。
【0024】
この発明によれば、オゾン水生成手段により生成されたオゾン水を、配管によってオゾン水が使用されるオゾン水使用箇所に供給する際に、この配管を流れるオゾン水の流速を一定以上に維持するので、オゾン水の流速の低下を防止して、所望の流速でオゾン水を移送できる。こうしたオゾン水供給方法は、オゾン水の流速の低下を防止するので、オゾン水中のオゾン濃度が低下する前にオゾン水をオゾン水使用箇所に供給することができ、オゾン水生成手段とオゾン水使用箇所との距離が長い場合に好ましく適用することができる。
【0025】
本発明に係るオゾン水供給方法において、前記配管は、前記オゾン水生成手段に接続されると共に、内部を流れるオゾン水を分流し、前記オゾン水使用箇所の数に対応する分岐点が形成された本管と、前記分岐点と前記オゾン水使用箇所とを連絡する枝管と、で構成され、前記本管の横断面積を前記分岐点の上流側よりも下流側が減少するよう形成し、かつ、前記本管の横断面積の減少分を、前記分岐点で前記枝管に分流されるオゾン水の流量に対応させて、本管を流れるオゾン水の流速の低下を防止してオゾン水を供給する。
【0026】
この発明によれば、本管の横断面積を分岐点の上流側よりも下流側が減少するよう形成し、かつ、本管の横断面積の減少分を、分岐点で枝管に分流されるオゾン水の流量に対応させているので、本管からオゾン水を分流した後でも本管を流れるオゾン水の流速の低下を防止することができる。このオゾン水供給方法は、複数のオゾン水使用箇所に、オゾン水の供給用配管である本管から順次に分流させてオゾン水を供給させる場合に好ましく適用することができる。
【0027】
本発明に係るオゾン水供給方法において、前記オゾン水使用箇所へのオゾン水の流れを迂回させる迂回用配管を前記オゾン水使用箇所の数に対応して設けると共に、前記オゾン水使用箇所又は前記迂回用配管にオゾン水を流す切換手段を設け、選択された前記オゾン水使用箇所に対応する前記切換手段により前記迂回用配管へオゾン水を流し、選択された前記オゾン水使用箇所に対応する分岐点よりも下流側の本管を流れるオゾン水の流速の低下を防止してオゾン水を供給する。
【0028】
この発明によれば、オゾン水使用箇所のいずれかにオゾン水を供給しない場合であっても、迂回用配管にオゾン水を流すことができる。このため、オゾン水を供給しないオゾン水使用箇所に対応する本管の分岐点の下流側においては、本管の横断面積に適応した流量のオゾン水を流すことができ、オゾン水の流速を適切に維持することができる。
【0029】
本発明に係るオゾン水供給方法において、前記オゾン水使用箇所の直前における前記枝管内を流れるオゾン水の流速を、少なくとも30m/分となるように制御してオゾン水を供給する。
【0030】
この発明によれば、オゾン水中のオゾンが自己分解し溶存オゾン濃度が低下してしまう前にオゾン水をオゾン水使用箇所に供給することができる。
【0031】
本発明に係るオゾン水供給方法において、オゾン水のpH値を6以下としてオゾン水を供給する。
【0032】
この発明によれば、オゾン水のpH値を酸性に調整し、自己分解を抑制してオゾンの溶存濃度の低下を効果的に防止できる。
【発明の効果】
【0033】
本発明に係るオゾン水供給装置及びオゾン水供給方法によれば、オゾン水生成手段とオゾン水使用箇所との距離が長い場合でも、オゾン水を所望の流速で移送でき、溶存オゾン濃度が低下するよりも前にオゾン水を供給することができる。
【0034】
また、本発明に係るオゾン水供給装置及びオゾン水供給方法によれば、複数のオゾン水使用箇所に、オゾン水を移送する本管から順次に分流してオゾン水を供給する場合でも、分流後に本管を流れるオゾン水の流速を低下させることなく移送できる。その結果、下流側に位置するオゾン水使用箇所にも所望の流速でオゾン水を供給でき、溶存オゾン濃度の低下を防止したオゾン水を供給できる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、本発明の技術的範囲は、以下の記載や図面にのみ限定されるものではない。
【0037】
本発明に係るオゾン水供給装置10は、
図1に示すように、オゾン水生成手段1と、このオゾン水生成手段1に接続されると共に、内部を流れるオゾン水を分流し、オゾン水使用箇所21,22,23の数に対応する分岐点12,13,14が形成された本管11と、分岐点12,13,14とオゾン水使用箇所21,22,23とを連絡する枝管15,16,17とを備える。また、本管11及び枝管15,16,17を流れるオゾン水の流速の低下を防止する流速維持手段を備えている。
【0038】
このオゾン水供給装置10を使用してオゾン水を供給すれば、オゾン水生成手段1とオゾン水使用箇所21,22,23との距離が長い場合でも、オゾン水を所望の流速で移送でき、溶存オゾン濃度が低下するよりも前にオゾン水を供給できる。
【0039】
また、複数のオゾン水使用箇所21,22,23に、オゾン水を移送する本管11から順次に分流してオゾン水を供給する場合でも、分流後に本管11を流れるオゾン水の流速を低下させることなく移送でき、下流側に位置するオゾン水使用箇所22,23にも所望の流速でオゾン水を供給できるという格別の効果を有する。こうしたオゾン水供給装置10でオゾン水を供給する場合、所定のオゾン水使用箇所(例えば、最も上流側に位置するオゾン水使用箇所21)にオゾン水を供給しないこともある。その場合でも、そのオゾン水使用箇所21より下流側に位置するオゾン水使用箇所22,23に対し、オゾン水を所望の流速に維持して供給することができる。
【0040】
なお、本発明に係るオゾン水供給装置では、迂回用配管配を枝管に接続する第1実施形態、本管に接続する第2実施形態のいずれもが考えられる。これらの形態について、以下、さらに詳細に説明する。
【0041】
[第1実施形態]
オゾン水供給装置10は、
図1に示すように、オゾン水を流すための配管を備えている。配管は、オゾン水生成手段1に接続される本管11と、本管11から分岐する複数の枝管15,16,17とから構成される。本管11には、オゾン水使用箇所21,22,23に対応する分岐点12,13,14が、その上流側から下流側にかけて、本管11の軸方向の異なる位置に設けられている。枝管15,16,17は、これらの分岐点12,13,14とオゾン水使用箇所21,22,23とをそれぞれ連絡するように設けられる。
【0042】
図1に示す実施形態では、オゾン水使用箇所21,22,23が3箇所設けられ、このオゾン水使用箇所21,22,23の数に応じ、3つの分岐点12,13,14が設けられると共に、各分岐点12,13,14とオゾン水使用箇所21,22,23とを連絡する3つの枝管15,16,17が設けられている。また、各枝管15,16,17には、各枝管15,16,17からさらに分岐する迂回用配管31,32,33がそれぞれ設けられている。これらの迂回用配管31,32,33は、オゾン水使用箇所21,22,23へ供給しない場合にオゾン水を移送させている。
【0043】
(オゾン水生成手段)
オゾン水生成手段1は、オゾン水を生成することができればその構成に制限はない。ここでは、オゾンガス供給源であるオゾン発生器4と、送り込まれた水(例えば純水)にオゾンガスを溶解するオゾン溶解装置5とを備えた装置を例に説明する。
【0044】
このオゾン水生成手段1が備えるオゾン発生器4には、酸素ガスタンク2と炭酸ガスタンク3が接続され、酸素ガスと炭酸ガスとの混合ガスが供給される。このオゾン発生器4は、種々のオゾン発生方式によりオゾンを発生する。例えば、無声放電方式、電気分解方式又は紫外線方式のオゾナイザを用いてオゾンガスを発生させる。
【0045】
オゾン溶解装置5は、オゾン発生器4が接続されており、このオゾン発生器4により発生されたオゾンガスと水(例えば純水)が供給される。オゾン溶解装置5についても特に制限はなく、例えば、オゾン溶解膜を用いてオゾンガスを溶解させる方式の装置や、エゼクターを用い、高圧の純水にオゾンガスを溶解させる方式の装置等を用いることができる。
【0046】
なお、このオゾン水生成手段1では、炭酸ガスを混合してpHを酸性とし、オゾン水中に溶解するオゾンの自己分解を抑制している。炭酸ガスの混合によるpHの調整は、オゾンの原料ガスとして供給する炭酸ガス量を制御して行ったり、オゾンガス発生器4で発生したオゾンガスに混合してもよい。また、オゾン溶解装置5でオゾンガスを溶解させた後のオゾン水に混合して調整してもよい。もっとも、自己分解を抑制することが目的なので、オゾンガスを溶解する前に混合して調整することが好ましい。ただし、オゾン水のpHを酸性に調整するにあたり、オゾン水生成手段1の内部又はその前後にて他の薬品(pH調整液)を使用すること妨げるものではない。
【0047】
pHを調整した後のオゾン水は、pHが7以下であることが望ましく、pHが6〜2であることがより望ましい。
【0048】
(オゾン水使用箇所)
オゾン水使用箇所21,22,23は、供給されたオゾン水を利用して、半導体用シリコン基板、液晶用ガラス基板又はフォトマスク用石英基板等の基板やその他の電子部品が洗浄される箇所である。オゾン水使用箇所21,22,23では、オゾン水が供給された処理槽に基板等を浸漬して処理したり、基板等にオゾン水のシャワーを吹き付けて処理することが行われる。
図1に示したオゾン水供給装置10では、3箇所のオゾン水使用箇所21,22,23を設けた例を示しているが、このオゾン水使用箇所は1箇所、2箇所又は4箇所以上の複数箇所設けてもよい。
【0049】
(本管及び枝管)
本管11は、オゾン水生成手段1に接続されてオゾン水を下流側に移送するための配管である。本管11は、
図2に示すように、オゾン水使用箇所21,22,23の数に対応する分岐点12,13,14を有し、内部を流れるオゾン水を分流する。また、本管11は、各分岐点12,13,14で、下流側に向けてテーパー状に先細りとなるように形成されており、なだらかに横断面積が減少するように形成されている。一方、枝管15,16,17は、本管11の分岐点12,13,14と、オゾン水使用箇所21,22,23とをそれぞれ連絡しおり、各分岐点12,13,14で本管11から分流したオゾン水をオゾン水使用箇所21,22,23まで移送している。
【0050】
本発明を構成する流速維持手段は、本管11及び枝管15,16,17により構成される。この流速維持手段は、
図2に示すように、本管11を、本管11の横断面積が分岐点12,13,14の上流側より下流側が減少するよう形成し、かつ、本管11の横断面積の減少分を、分岐点12,13,14で枝管15,16,17に分流されるオゾン水の流量に対応するように構成して実現している。
【0051】
このことは、仮に本管11に横断面積の減少がなかったとした場合に、横断面積の減少分を流れるはずであったオゾン水の流量が、枝管15,16,17に分流したオゾン水の流量に対応することを意味する。このように本管11及び枝管15,16,17を構成することで、オゾン水が本管11から枝管15,16,17に分流した後も、本管11を流れるオゾン水の水圧の低下が生じることはなく、オゾン水の流速の低下が防止される。なお、この本管11の配管径は、得ようとするオゾン水の流速に応じて設計される。
【0052】
本管11を流れるオゾン水の流速は、オゾン水生成手段1とオゾン水使用箇所21,22,23との距離に応じて適切な流速となるように制御される。すなわち、オゾン水中の溶存オゾン濃度が低下する前にオゾン水使用箇所21,22,23でオゾン水を使用できるように、オゾン水の流速を30m/分〜120m/分とすることが望ましく、40m/分〜90m/分とすることがより望ましい。
【0053】
なお、本管11及び枝管15,16,17に使用される配管の材質は限定されないが、耐オゾン性を有する配管を使用することが好ましい。例えば、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂により形成されたPFA配管等を用いるとよい。
【0054】
(迂回用配管)
次に、迂回用配管31,32,33について説明する。
【0055】
迂回用配管31,32,33は、オゾン水使用箇所21,22,23へのオゾン水の流れを迂回させる配管であり、オゾン水使用箇所21,22,23の数に対応して設けられている。迂回用配管31,32,33は、各枝管15,16,17に接続されており、オゾン水使用箇所21,22,23にオゾン水を供給しない場合に、枝管15,16,17を流れてきたオゾン水を回収ライン37へ迂回させる。
【0056】
例えば、3箇所のオゾン水使用箇所21,22,23のうち第1番目に位置するオゾン水使用箇所21が使用されないとする。この場合、オゾン水使用箇所21に対応する枝管15を流れてきたオゾン水をオゾン水使用箇所21へは供給させず、迂回用配管31へオゾン水を流し、迂回ライン37へ迂回させる。このように、使用しないオゾン水使用箇所21がある場合でも、迂回用配管31によりオゾン水を迂回させて、本管11の分岐点12よりも下流側の本管11を流れるオゾン水の流量を一定に維持する。その結果、分岐点12よりも下流側でのオゾン水の流速の低下を防止することができる。
【0057】
同様に、他のオゾン水使用箇所22,23を使用しない場合にも、それぞれのオゾン水使用箇所22,23に対応する枝管16,17を流れるオゾン水を、迂回用配管32,33へ流し、回収ライン37へ迂回させる。これにより、本管11の分岐点13,14よりも下流側におけるオゾン水の流量は一定に維持し、分岐点13,14よりも下流側でもオゾン水の流速の低下を防止することができる。
【0058】
なお、この迂回用配管31,32,33の管径は枝管15,16,17の管径と同寸に形成されている。また、迂回用配管31,32,33の材質は特に制限されないが、耐オゾン性を有する配管を使用することが好ましく、例えば、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂により形成されたPFA配管等を使用いることが好ましい。
【0059】
オゾン水使用箇所21,22,23又は迂回用配管31,32,33のいずれかにオゾン水を流す切換手段を設けている。この切換手段は、例えば、
図3に示すソレノイドバルブ40や
図4に示すストップバルブ41を用いて構成される。
【0060】
例えば、
図3に示すソレノイドバルブ40を使用することができる。このソレノイドバルブ40は、バルブ内のスプールの移動によって、枝管15,16,17を流れるオゾン水をオゾン水使用箇所21,22,23へ流す状態又は迂回用配管31,32,33へ流す状態のいずれかに切り換わるよう構成されている。スプールの移動は、ソレノイドバルブ40が備えるソレノイドへの電流のオン・オフにより行われる。
【0061】
また、
図4に示すストップバルブ41は、枝管15,16,17と迂回用配管31,32,33との分岐点よりも下流側に、枝管15,16,17及び迂回用配管31,32,33の双方にストップバルブ41を設けられる。この切換手段によれば、例えば、オゾン水使用箇所21,22,23へのオゾン水の供給を防止し、迂回用配管31,32,33へオゾン水を流す場合には、枝管15,16,17側のストップバルブ41を閉じると共に、迂回用配管31,32,33側のストップバルブ41を開く。
【0062】
なお、流路の切り換えは、
図3に示すソレノイドバルブ40や
図4に示すストップバルブ41を用いた切換手段には限定されず、他の構成の切換手段を用いてもよい。
【0063】
(オゾン水供給装置の作用及び効果)
以上のオゾン水供給装置10は以下のように作用する。
【0064】
まず、オゾン水生成手段1によりオゾン水が生成される。最初に、タンク2に収容された酸素ガス及びタンク3に収容された炭酸ガスが混合され、この混合ガスがオゾン発生器4に供給される。混合ガスがオゾン発生器4に供給されると、オゾン発生器4はオゾンを発生させる。次いで、発生されたオゾンガスは、オゾン溶解装置5に導入される。また、オゾン溶解装置5には、別途に純水が導入される。これらオゾンガス及び純水の導入されたオゾン溶解装置5は、オゾンガスを純水に溶解させてオゾン水を生成する。
【0065】
生成されたオゾン水は本管11に流される。既述のように、本管11にオゾン水を流す際には、オゾン水を少なくとも30m/分の流速で、好ましくは、30m/分〜120m/分の流速で、より好ましくは、40m/分〜90m/分の流速で送り出す。この際、オゾン水のpH値は、7以下とすることが望ましく、6〜2とすることがより望ましい。
【0066】
本管11に送り出されたオゾン水は、本管11の区間11aを流れ、最初の分岐点12に到達する。分岐点12に到達したオゾン水は、その一部が枝管15に分流され、残部はそのまま本管11の区間11bを流れる。
【0067】
本管11から枝管15に分流されたオゾン水は枝管15を流れ、オゾン水使用箇所21に供給される。供給されたオゾン水は、オゾン水使用箇所21で、半導体用シリコン基板、液晶用ガラス基板又はフォトマスク用石英基板等の基板やその他の電子部品の洗浄に使用される。
【0068】
一方、本管11を流れるオゾン水は、分岐点12を通過し、横断面積が小さく形成された次の区間11bに到達する。本管11の横断面積が小さくなる部位は、下流側に向けてテーパー状に先細りとなるように形成されており、なだらかに横断面積が減少している。このため、この部位において、内部を流れるオゾン水に乱流が生じることがなく、エネルギー損失によりオゾン水の流速が失速することがない。また、本管11は区間11aの横断面積に対して区間11bの横断面積が小さくなるよう形成され、その横断面積の減少分は、枝管15に分流したオゾン水の流量に対応して形成されている。そのため、区間11bに流されたオゾン水は、オゾン水の流速が低下されることなく一定の流速以上に維持される。
【0069】
区間11bに流されたオゾン水は、その後に分岐点13,14に到達するごとに、その一部が分流され、残部が本管11における各分岐点13,14よりも下流側に流される。この際、枝管16,17には、一定値以上の流速で本管11を流れてきたオゾン水が、その流速を維持したまま枝管16,17に分流される。分流されたオゾン水は、枝管15,16,17を流れてオゾン水使用箇所21,22,23に供給され、それぞれのオゾン水使用箇所21,22,23で電子部品等の洗浄に使用される。これに対し、分岐点13,14の下流側に流されたオゾン水は、その流速が低下されることなく一定上の流速で本管11を流れる。
【0070】
このように、本管11を流れるオゾン水は流速の低下が防止されため、オゾン水を各オゾン水使用箇所21,22,23まで迅速に到達させることができる。このため、オゾン水中のオゾンが自己分解を起こすことなく、溶存オゾン濃度が低下する前に各オゾン水使用箇所21,22,23にオゾン水が供給される。
【0071】
なお、オゾン水使用箇所21,22,23に供給されず本管11を流れ続けたオゾン水は、オゾン水の回収ライン37へと流される。
【0072】
オゾン水使用箇所21,22,23のいずれかにオゾン水を供給しない場合、対応する迂回用配管31,32,33にオゾン水を流して回収ライン37に迂回させる。迂回用配管31,32,33にオゾン水を流して回収ライン37に迂回させる場合、例えば、対応する枝管15,16,17に設けられたソレノイドバルブ40(
図3参照)を作動させる。ソレノイドバルブ40の作動により、オゾン水の流路は、オゾン水使用箇所21,22,23側から迂回用配管31,32,33側に切り換えられ、迂回用配管31,32,33にオゾン水が流れ込む。
【0073】
例えば、オゾン水使用箇所21を使用せず、迂回用配管31にオゾン水を迂回させた場合、本管11の分岐点12より下流側である区間11bに流れるオゾン水の流量は、オゾン水使用箇所21にオゾン水を供給した場合と同様となる。このため、分岐点12の下流側に流されたオゾン水の流速の低下を生じさせることがなく、さらに下流側に位置するオゾン水使用箇所22,23に所望の流速でオゾン水を供給することができる。
【0074】
なお、
図4に示したストップバルブ41を切換手段として用いる場合には、オゾン水使用箇所21,22,23側のストップバルブ41を閉鎖し、迂回用配管31,32,33側のストップバルブ41を開放する。
【0075】
[第2実施形態]
図5は、本管51の各分岐点52,53,54に、枝管55,56,57と、迂回用配管61,62,63とを接続したオゾン水供給装置10Aの工程系統図を示している。この第2実施形態に使用されるオゾン水生成手段の構成、及び本管51の構成は、第1実施形態のものと同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0076】
本管51に設けられた3つの分岐点52,53,54には、枝管55,56,57と、この枝管55,56,57とは別途に設けられた迂回用配管61,62,63がそれぞれ接続されている。これら枝管55,56,57と迂回用配管61,62,63とはその管径が相互に同寸に形成されたものが使用され、その横断面積が同値に設計されている。また、これら枝管55,56,57及び迂回用配管61,62,63の横断面積は、本管51の分岐点52,53,54の上流側の横断面積に対する下流側の横断面積の減少分に対応している。
【0077】
さらに、各分岐点52,53,54には、本管51を流れてきたオゾン水の一部を枝管55,56,57又は迂回用配管61,62,63のいずれか一方に分流させるとともに、残部を本管51の分岐点52,53,54よりも下流側に流すための切換手段が設けられている。
【0078】
図6は、切換手段の一例であるソレノイドバルブ70を示している。このソレノイドバルブ70は、電流をオン・オフすることで、ソレノイドバルブ70が備えるスプールの位置を移動させ、流れてきたオゾン水を枝管55,56,57及び本管51の下流側に流す状態と、迂回用配管61,62,63及び本管51の下流側に流す状態との切り換えが行われる。
【0079】
図7は、切換手段であるトップバルブ41を使用した例を示している。このストップバルブは、分岐点52,53,54に接続された枝管55,56,57及び迂回用配管61,62,63のいずれにも設けており、オゾン水の流通をオン・オフする。
図7に示す切換手段では、オゾン水の一部を枝管55,56,57に分流させると共に残部を本管51の下流側に流す場合には、迂回用配管61,62,63に設けられたストップバルブ41を閉じ、迂回用配管61,62,63にオゾン水が流れ込むことを防止する。逆に、オゾン水の一部を迂回用配管61,62,63に分流させると共に残部を本管51の下流側に流す場合には、枝管55,56,57に設けられたストップバルブ41を閉じ、枝管55,56,57にオゾン水が流れ込むことを防止する。
【0080】
迂回用配管61,62,63は、回収ライン67に接続されており、オゾン水使用箇所21,22,23でオゾン水を使用しない場合に、迂回用配配管61,62,63はオゾン水を回収ライン67に迂回させる。
【0081】
この第2実施形態に係るオゾン水供給装置10Aにおいても、本管51は、各分岐点52,53,54の上流側の横断面積に対し、下流側の横断面積が小さくなるよう形成され、その横断面積の減少分は、枝管55,56,57に分流したオゾン水の流量に対応して形成されている。そのため、各分岐点52,53,54よりも下流側の本管51を流れるオゾン水の流速を低下させることなく一定値以上で流すことができる。また、オゾン水使用箇所に供給しない場合でも、オゾン水を迂回用配管61,62,63へ分流するので、本管51における、オゾン水を供給しないオゾン水供給箇所に対応する分岐点52,53,54の下流側で、本管51を流れるオゾン水の流速の低下を防止することができる。
【実施例】
【0082】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0083】
なお、以下に説明する実施例及び比較例においては、
図1に示したオゾン発生器4(住友精密工業(株)、無声放電式オゾン発生器 GR−RD)と、オゾン溶解装置5(ジャパンゴアテックス(株)、オゾン溶解膜 GNK−01K)とを使用してオゾン水を生成した。また、溶存オゾン濃度は、溶存オゾン計(荏原実業(株)、溶存オゾン計 EL−700A)を用いてそれぞれ測定した。
【0084】
[実施例]
この実施例では、
図1に示した本管11及び枝管15,16,17を具備するオゾン水供給装置10を使用した。また、オゾン水使用箇所21,22,23は、
図1に示すとおり3箇所とし、オゾン水使用箇所21までの送水距離を30m、オゾン水使用箇所22までの送水距離を60m、オゾン水使用箇所23までの送水距離を90mに設定した。そして、1番目のオゾン水使用箇所21に対応する分岐点12までの区間11aにおける本管11の内径が32mm、1番目のオゾン水使用箇所21に対応する分岐点12から2番目のオゾン水使用箇所22に対応する分岐点13までの区間11bの本管11の内径が25mm、2番目のオゾン水使用箇所22に対応する分岐点13から3番目のオゾン水使用箇所23に対応する分岐点14までの区間11cの本管11の内径が20mmにそれぞれ形成された配管を使用した。
【0085】
まず、オゾン発生器4に酸素ガスと炭酸ガスとの混合ガスを供給してオゾンガスを発生させ、発生させたオゾンガスをオゾン溶解装置5であるオゾン溶解膜に導入し、純水にオゾンを溶解してオゾン水を生成した。このときのオゾン溶解装置5の出口における溶存オゾン濃度は25mg/Lであった。また、生成したオゾン水のpH値は5であった。
【0086】
一方、各オゾン水使用箇所21,22,23では、少なくとも溶存オゾン濃度が20mg/Lであることが必要であるため、各オゾン水使用箇所21,22,23に到達した際の溶存オゾン濃度の目標値は、20mg/Lである。
【0087】
生成されたオゾン水は、送水量を35L/分に設定して本管11に送り出し、各オゾン水使用箇所21,22,23におけるオゾン水の使用量を1箇所あたり、10L/分とした。
【0088】
本管11を流れるオゾン水の流速は次の式(1)で表すことができる。
【0089】
配管流速LV(m/分)=送水量(m
3/分)÷配管断面積(m
2)・・・(1)
【0090】
この式(1)に、送水量=0.035(m
3/分)、配管断面積=16
2×3.14×10
−6(m
2)を代入し、区間11aにおける配管流速を求めると、約43.5m/分となる。
【0091】
同様に、式(1)に、送水量=0.035−0.010=0.025(m
3/分)、配管断面積=12.5
2×3.14×10
−6(m
2)を代入し、区間11bでの配管流速を求めると、約51.0m/分となる。また、式(1)に、送水量=0.025−0.010=0.015(m
3/分)、配管断面積=10
2×3.14×10
−6(m
2)を代入し、区間11cでの配管流速を求めると、約47.8m/分となる。
【0092】
そして、各オゾン水使用箇所21,22,23におけるオゾン水の溶存オゾン濃度の測定結果は、1番目のオゾン水使用箇所21では24mg/L、2番目のオゾン水使用箇所22では24mg/L、3番目のオゾン水使用箇所23では23mg/Lであった。
【0093】
このように、オゾン水使用箇所21,22,23における溶存イオン濃度を測定したところ、供給されたオゾン水の溶存オゾン濃度の低下が抑制され、溶存オゾン濃度が目標値以上であることを確認できた。
【0094】
[比較例]
この比較例では、本管11の内径を全ての区間で32mmに形成した他は、
図1に示したオゾン水供給装置10と同様のオゾン水供給装置10を使用し、同様の手法によって測定を行った。なお、実施例と同様、オゾン水使用箇所21,22,23は、3箇所とし、オゾン水使用箇所21までの送水距離を30m、オゾン水使用箇所22までの送水距離を60m、オゾン水使用箇所23までの送水距離を90mに設定した。また、オゾン水の生成及び生成されたオゾン水の溶存オゾン濃度(25mg/L)も実施例と同様とした。
【0095】
生成されたオゾン水は、送水量を35L/分に設定して本管11に送り出し、各オゾン水使用箇所21,22,23でのオゾン水の使用量を1箇所あたり10L/分とした。
【0096】
既述の式(1)に、送水量=0.035(m
3/分)、配管断面積=16
2×3.14×10
−6(m
2)を代入し、区間11aでの配管流速を求めると、約43.5m/分となる。この点は、上述した実施例と同様である。
【0097】
これに対し、式(1)に、送水量=0.035−0.010=0.025(m
3/分)、配管断面積=16
2×3.14×10
−6(m
2)を代入し、区間11bでの配管流速を求めると、約31.1m/分となる。また、式(1)に、送水量=0.025−0.010=0.015(m
3/分)、配管断面積=16
2×3.14×10
−6(m
2)を代入し、区間11cでの配管流速を求めると、約18.7m/分となる。
【0098】
このような条件下で各オゾン水使用領域における溶存オゾン濃度を測定したところ、1番目のオゾン水使用箇所21では24mg/L、2番目のオゾン水使用箇所22では22mg/L、3番目のオゾン水使用箇所23では18mg/Lであった。
【0099】
このように、比較例では、オゾン水使用箇所21,22,23での溶存イオン濃度をしたところ、下流側のオゾン水使用箇所での溶存オゾン濃度が順次低下してしまうことが分かる。3番目のオゾン水使用箇所では、溶存オゾン濃度が、18mg/L溶存オゾン濃度まで低下してしまい、目標値である20mg/L以上とすることができなかった。
【0100】
実施例及び比較例の配管流速を表1に示し、溶存オゾン濃度を表2に示す。
【0101】
【表1】
【0102】
【表2】
【0103】
表1から明らかなように、本管11の配管径が分岐点を通過するごとに順次小さくなるよう形成された配管を使用した実施例では、配管径を小さくすることなくそのままの大きさに形成された配管を使用した比較例に比べ、本管11を流れるオゾン水の流速の低下が防止されている。そして、表2に示すように、各オゾン水使用箇所21,22,23でのオゾン水の溶存オゾン濃度は、実施例においては、全てのオゾン水使用箇所21,22,23において、目標値である溶存オゾン濃度20mg/L以上とすることができた。これに対し、比較例においては、各オゾン水使用箇所21,22,23における溶存オゾン濃度が、オゾン水の移送距離が長くなるにつれて低下してしまい、3番目のオゾン水使用箇所23では、溶存オゾン濃度が18mg/Lまで低下しており、目標値である溶存オゾン濃度20mg/Lを下回ってしまった。
【0104】
このことから、実施例にかかるオゾン水供給装置を適用することで、オゾン水の流速を低下させることなく一定値以上の流速でオゾン水を供給することができ、オゾン水の溶存オゾン濃度の低下を効果的に防止することができることが分かった。