【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、特定の有機窒化ケイ素化合物を原料として用い、CVD法により封止膜を形成する方法が、ガスバリア用及び半導体デバイス用の緻密な膜を成膜するに好適な方法であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明は、以下のものである。
[1]少なくとも一つの水素原子がケイ素原子に直結し、且つ少なくとも一つの水素原子が窒素原子に直結した構造を有する有機窒化ケイ素化合物を原料として用い、化学気相成長法により得られる膜から成ることを特徴とする封止膜。
[2]上記有機窒化ケイ素化合物が、下記一般式(1)
【0011】
【化1】
(式中、R
1は水素原子、又は炭素数1〜20の炭化水素基を表す。nは1乃至10の整数を表す。)
で示される鎖状または環状構造を有する化合物である、上述の[1]に記載の封止膜。
[3]上記有機窒化ケイ素化合物が、下記一般式(2)
【0012】
【化2】
(式中、R
2とR
4は炭素数1〜20の炭化水素基を表し、R
3とR
5は水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を表す。xは1乃至10の整数を表す。)
で示される鎖状化合物である、上述の[1]または[2]に記載の封止膜。
[4]上記有機窒化ケイ素化合物が、下記一般式(3)
【0013】
【化3】
(式中、R
6は水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を表し、yは2乃至10の整数を表す。)
で示される環状化合物である、上述の[1]または[2]に記載の封止膜。
[5]化学気相成長法が、プラズマ励起化学気相成長法である、上述の[1]乃至[4]のいずれかに記載の封止膜。
[6]化学気相成長法が、触媒化学気相成長法である、上述の[1]乃至[4]のいずれかに記載の封止膜。
[7]上述の[1]〜[6]のいずれかに記載の封止膜を、さらに熱処理、紫外線照射処理または電子線処理して得られることを特徴とする封止膜。
[8]上述の[1]〜[7]のいずれかに記載の封止膜をガスバリア層として用いることを特徴とするガスバリア部材。
[9]上述の[1]〜[7]のいずれかに記載の封止膜を含んでなることを特徴とするフラットパネルディスプレイデバイス。
[10]上述の[1]〜[7]のいずれかに記載の封止膜を含んでなることを特徴とする半導体デバイス。
[11]一般式(1)で示される鎖状または環状構造を有する化合物を含有することを特徴とする化学気相成長法用の封止膜材料。
[12]一般式(1)で示される鎖状または環状構造を有する化合物が、一般式(2)で示される鎖状化合物である上述の[11]に記載の封止膜材料。
[13]一般式(1)で示される鎖状または環状構造を有する化合物が、一般式(3)で示される環状化合物である上述の[11]に記載の封止膜材料。
[14]ケイ素、炭素および窒素を含有し、表面の組成が原子比でケイ素1.0に対し、窒素含有量が0.2以上1.33以下、炭素含有量が0以上1.0以下であり、かつ赤外吸収スペクトルの1200〜1300cm
−1及び2800〜3200cm
−1の吸収が実質的に検出限界以下である、上述の[1]〜[7]いずれかに記載の封止膜。
[15]水透過性が5.0×10
−3g/m
2・day以下である、上述の[1]〜[7]、[14]いずれかに記載の封止膜。
【0014】
以下、本発明の詳細について説明する。
【0015】
本発明において、CVD法の原料として使用できる少なくとも一つの水素原子がケイ素に直結し、且つ少なくとも一つの水素原子が窒素原子に直結した構造を有する有機窒化ケイ素化合物は特に限定されるものではないが、前述の一般式(1)で示される鎖状または環状構造を有する化合物が好ましい。
【0016】
上記一般式(1)おいて、R
1は水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基であり、このうち炭化水素基は飽和または不飽和のいずれでもよく、また直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれの構造を有してよい。また、R
1どうしが互いに結合したものも本発明の範囲に含まれる。炭素数が20を超える場合は、対応する有機ハライド等原料の調達が困難となったり、調達できたとしても純度が低い場合がある。
【0017】
R
1としては、CVD法装置での安定的使用を考慮した場合、有機窒化ケイ素化合物の蒸気圧が低くなりすぎないとの点で、好ましくは水素または炭素数1〜10の飽和または不飽和炭化水素基であり、例えば、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アルキルアリール基、アルケニル基、アリールアルケニル基、アルケニルアリール基、アルキニル基、アリールアルキニル基、アルキニルアリール基を挙げることができる。R
1どうしは同一であっても異なっても良い。
【0018】
R
1の具体的な例としては、水素原子、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、シクロプロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert.−ブチル、シクロブチル、n−ペンチル、tert.−アミル、シクロペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、2−エチルヘキシル、1−アダマンチル等のアルキル基、
フェニル、ジフェニル、ナフチル等のアリール基、ベンジル、メチルベンジル等のアリールアルキル基、
o−トルイル、m−トルイル、p−トルイル、2,3−ジメチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、3,5−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、o−エチルフェニル、m−エチルフェニル、p−エチルフェニル等のアルキルアリール基、
ビニル、アリル、1−プロペニル、1−ブテニル、1,3−ブタジエニル、1−ペンテニル、シクロブテニル、1−シクロペンテニル、2−シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、メチルシクロペンタジエニル、エチルシクロペンタジエニル、1−ヘキセニル、シクロヘキセニル、シクロオクテニル、シクロオクタジエニル、2,4−シクロヘキサジエニル、2,5−シクロヘキサジエニル、2,4,6−シクロヘプタトリエニル、5−ノルボルネン−2−イル等のアルケニル基、
2−フェニル−1−エテニル等のアリールアルケニル基、
o−スチリル,m−スチリル,p−スチリル等のアルケニルアリール基、
エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル,2−ブチニル,3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−ヘキシニル、3−ヘキシニル、5−ヘキシニル等のアルキニル基、
2−フェニル−1−エチニル等のアリールアルキニル基、
2−エチニル−2フェニル等のアルキニルアリール基
からなる群から選ばれた少なくとも一種を挙げることができる。
【0019】
特に好ましくは、水素原子または炭素数1〜4の飽和炭化水素基であり、具体的には水素原子、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、シクロプロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert.−ブチル、シクロブチルである。中でも、メチル、エチル、i−プロピルがとりわけ好ましい。
【0020】
上記一般式(1)おいてnは、nは1乃至10の整数を表す。好ましくは、有機窒化ケイ素化合物の蒸気圧が低くなりすぎないとの点で、nが1〜6の整数である。特に好ましくは、nが1〜4の整数である。とりわけn=1,2が好ましい。
【0021】
上記一般式(1)の例としては、前述の一般式(2)で示される鎖状化合物を挙げることができる。
【0022】
上記一般式(2)おいて、R
2とR
4は、上記のR
1と同様の炭素数1〜20の直鎖状、分岐鎖状、環状構造を有する飽和または不飽和炭化水素基を用いることができる。R
3とR
5は、上記のR
1と同様の水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐鎖状、環状構造を有する飽和または不飽和炭化水素基を用いることができる。また、R
2とR
4、R
3とR
5どうしが互いに結合したものも本発明の範囲に含まれる。炭素数が20を超える場合は、対応する有機ハライド等原料の調達が困難となったり、調達できたとしても純度が低い場合がある。化学気相成長法装置での安定的使用を考慮した場合、有機窒化ケイ素化合物の蒸気圧が低くなりすぎないとの点で、R
2〜R
5は炭素数1〜10の炭化水素基が好ましく、炭素数1〜4の飽和炭化水素基が更に好ましく、具体的にはメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、シクロプロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert.−ブチル、シクロブチルである。特にR
2〜R
5はメチル、エチル、i−プロピルが好ましい。
【0023】
R
2とR
4、R
3とR
5どうしは同一であっても異なっても良い。
【0024】
上記一般式(2)おいてxは、1乃至10の整数を表す。好ましくは、有機窒化ケイ素化合物の蒸気圧が低くなりすぎないとの点で、xが1〜6の整数である。特に好ましくは、xが1〜4の整数である。とりわけx=1,2が好ましい。
【0025】
一般式(2)で示される化合物の具体例としては、
1−メチルジシラザン、1,1−ジメチルジシラザン、1,3−ジメチルジシラザン、1,1,3−トリメチルジシラザン、1,1,3,3−テトラメチルジシラザン
1−メチルトリシラザン、3−メチルトリシラザン、1,3−ジメチルトリシラザン、1,5−ジメチルトリシラザン、1,1,3−トリメチルトリシラザン、1,3,5−トリメチルトリシラザン、1,1,3,5−テトラメチルトリシラザン、1,1,5,5−テトラメチルトリシラザン、1,1,3,5,5−ペンタメチルトリシラザン、
1−メチルテトラシラザン、3−メチルテトラシラザン、1,1−ジメチルテトラシラザン、1,3−ジメチルテトラシラザン、1,5−ジメチルテトラシラザン、1,7−ジメチルテトラシラザン、1,1,3−トリメチルテトラシラザン、1,1,5−トリメチルテトラシラザン、1,1,7−トリメチルテトラシラザン、1,3,5−トリメチルテトラシラザン、1,3,7−トリメチルテトラシラザン、1,1,3,5−テトラメチルテトラシラザン、1,1,3,7−テトラメチルテトラシラザン、1,1,7,7−テトラメチルテトラシラザン、1,3,5,7−テトラメチルテトラシラザン、1,1,3,5,7−ペンタメチルテトラシラザン、1,1,3,7,7−ペンタメチルテトラシラザン、1,1,3,5,7,7−ヘキサメチルテトラシラザンがあげられる。
【0026】
また1−メチルペンタシラザン、3−メチルペンタシラザン、5−メチルペンタシラザン、1,1−ジメチルペンタシラザン、1,3−ジメチルペンタシラザン、1,5−ジメチルペンタシラザン、1,7−ジメチルペンタシラザン、1,9−ジメチルペンタシラザン、1,1,3−トリメチルペンタシラザン、1,1,5−トリメチルペンタシラザン、1,1,7−トリメチルペンタシラザン、1,1,9−トリメチルペンタシラザン、1,3,5−トリメチルペンタシラザン、1,3,7−トリメチルペンタシラザン、1,3,9−トリメチルペンタシラザン、3,5,9−トリメチルペンタシラザン、1,1,3,5−テトラメチルペンタシラザン、1,1,3,7−テトラメチルペンタシラザン、1,1,3,9−テトラメチルペンタシラザン、1,1,5,7−テトラメチルペンタシラザン、1,1,5,9−テトラメチルペンタシラザン、1,1,7,9−テトラメチルペンタシラザン、1,3,5,7−テトラメチルペンタシラザン、1,3,5,9−テトラメチルペンタシラザン、1,5,7,9−テトラメチルペンタシラザン、1,3,5,7,9−ペンタメチルペンタシラザン、1,1,3,5,7,9−ヘキサメチルペンタシラザン、1,1,3,5,7,9,9−ヘプタメチルペンタシラザンがあげられる。
【0027】
また1,3,5,7,9,11−ヘキサメチルヘキサシラザン、1,1,3,5,7,9,11,11−オクタメチルヘキサシラザン、
1,3,5,7,9,11,13−ヘプタメチルヘプタシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,13−ノナメチルヘプタシラザン、
1,3,5,7,9,11,13,15−オクタメチルオクタシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,15,15−デカメチルオクタシラザン、
1,3,5,7,9,11,13,15,17−ノナメチルノナシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,15,17,17−ウンデカメチルノナシラザン、
1,3,5,7,9,11,13,15,17,19−デカメチルデカシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,15,17,19,19−ドデカメチルデカシラザン、1,3−ジエチルジシラザン、1,3−ジエチル−1,3−ジメチルジシラザン、1,1,3,3−テトラエチルジシラザン、1,3,5−トリエチルトリシラザン、1,1,3,5,5−ペンタエチルトリシラザン、1,3,5,7−テトラエチルテトラシラザン、1,1,3,5,7,7−ヘキサエチルテトラシラザン、1,3,5,7,9−ペンタエチルペンタシラザン、1,1,3,5,7,9,9−ヘプタエチルペンタシラザン、1,3,5,7,9,11−ヘキサエチルヘキサシラザン、1,1,3,5,7,9,11,11−オクタエチルヘキサシラザンがあげられる。
【0028】
また1,3,5,7,9,11,13−ヘプタエチルヘプタシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,13−ノナエチルヘプタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15−オクタエチルオクタシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,15,15−デカエチルオクタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17−ノナエチルノナシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,15,17,17−ウンデカエチルノナシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17,19−デカエチルデカシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,15,17,19,19−ドデカエチルデカシラザン、
1,3−ジn−プロピルジシラザン、1,1,3,3−テトラn−プロピルジシラザン、1,3,5−トリn−プロピルトリシラザン、1,1,3,5,5−ペンタn−プロピルトリシラザン、1,3,5,7−テトラn−プロピルテトラシラザン、1,1,3,5,7,7−ヘキサn−プロピルテトラシラザン、1,3,5,7,9−ペンタn−プロピルペンタシラザン、1,1,3,5,7,9,9−ヘプタn−プロピルペンタシラザン、1,3,5,7,9,11−ヘキサn−プロピルヘキサシラザン、1,1,3,5,7,9,11,11−オクタn−プロピルヘキサシラザンがあげられる。
【0029】
また1,3,5,7,9,11,13−ヘプタn−プロピルヘプタシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,13−ノナn−プロピルヘプタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15−オクタn−プロピルオクタシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,15,15−デカn−プロピルオクタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17−ノナn−プロピルノナシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,15,17,17−ウンデカn−プロピルノナシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17,19−デカn−プロピルデカシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,15,17,19,19−ドデカn−プロピルデカシラザン、
1,3−ジイソプロピルジシラザン、1,3−ジイソプロピル−1,3−ジメチルジシラザン、1,3−ジイソプロピル−1,3−ジエチルジシラザン、1,1,3,3−テトライソプロピルジシラザン、1,3,5−トリイソプロピルトリシラザン、1,1,3,5,5−ペンタイソプロピルトリシラザン、1,3,5,7−テトライソプロピルテトラシラザン、1,1,3,5,7,7−ヘキサイソプロピルテトラシラザン、1,3,5,7,9−ペンタイソプロピルペンタシラザン、1,1,3,5,7,9,9−ヘプタイソプロピルペンタシラザン、1,3,5,7,9,11−ヘキサイソプロピルヘキサシラザン、1,1,3,5,7,9,11,11−オクタイソプロピルヘキサシラザンがあげられる。
【0030】
また1,3,5,7,9,11,13−ヘプタイソプロピルヘプタシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,13−ノナイソプロピルヘプタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15−オクタイソプロピルオクタシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,15,15−デカイソプロピルオクタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17−ノナイソプロピルノナシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,15,17,17−ウンデカイソプロピルノナシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17,19−デカイソプロピルデカシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,15,17,19,19−ドデカイソプロピルデカシラザン、
1,3−ジn−ブチルジシラザン、1,1,3,3−テトラn−ブチルジシラザン、1,3,5−トリn−ブチルトリシラザン、1,1,3,5,5−ペンタn−ブチルトリシラザン、1,3,5,7−テトラn−ブチルテトラシラザン、1,1,3,5,7,7−ヘキサn−ブチルテトラシラザン、1,3,5,7,9−ペンタn−ブチルペンタシラザン、1,1,3,5,7,9,9−ヘプタn−ブチルペンタシラザン、1,3,5,7,9,11−ヘキサn−ブチルヘキサシラザン、1,1,3,5,7,9,11,11−オクタn−ブチルヘキサシラザンがあげられる。
【0031】
また1,3,5,7,9,11,13−ヘプタn−ブチルヘプタシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,13−ノナn−ブチルヘプタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15−オクタn−ブチルオクタシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,15,15−デカn−ブチルオクタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17−ノナn−ブチルノナシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,15,17,17−ウンデカn−ブチルノナシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17,19−デカn−ブチルデカシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,15,17,19,19−ドデカn−ブチルデカシラザン、
1,3−ジイソブチルジシラザン、1,1,3,3−テトライソブチルジシラザン、1,3,5−トリイソブチルトリシラザン、1,1,3,5,5−ペンタイソブチルトリシラザン、1,3,5,7−テトライソブチルテトラシラザン、1,1,3,5,7,7−ヘキサイソブチルテトラシラザン、1,3,5,7,9−ペンタn−ブチルペンタシラザン、1,1,3,5,7,9,9−ヘプタイソブチルペンタシラザン、1,3,5,7,9,11−ヘキサイソブチルヘキサシラザン、1,1,3,5,7,9,11,11−オクタイソブチルヘキサシラザンがあげられる。
【0032】
また1,3,5,7,9,11,13−ヘプタイソブチルヘプタシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,13−ノナイソブチルヘプタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15−オクタイソブチルオクタシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,15,15−デカイソブチルオクタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17−ノナイソブチルノナシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,15,17,17−ウンデカイソブチルノナシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17,19−デカイソブチルデカシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,15,17,19,19−ドデカイソブチルデカシラザン、
1,3−ジsec.−ブチルジシラザン、1,3−ジsec.−ブチル−1,3−ジメチルジシラザン、1,3−ジsec.−ブチル−1,3−ジエチルジシラザン、1,1,3,3−テトラsec.−ブチルジシラザン、1,3,5−トリsec.−ブチルトリシラザン、1,1,3,5,5−ペンタsec.−ブチルトリシラザン、1,3,5,7−テトラsec.−ブチルテトラシラザン、1,1,3,5,7,7−ヘキサsec.−ブチルテトラシラザン、1,3,5,7,9−ペンタsec.−ブチルペンタシラザン、1,1,3,5,7,9,9−ヘプタsec.−ブチルペンタシラザン、1,3,5,7,9,11−ヘキサsec.−ブチルヘキサシラザン、1,1,3,5,7,9,11,11−オクタsec.−ブチルヘキサシラザンがあげられる。
【0033】
また1,3,5,7,9,11,13−ヘプタsec.−ブチルヘプタシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,13−ノナsec.−ブチルヘプタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15−オクタsec.−ブチルオクタシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,15,15−デカsec.−ブチルオクタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17−ノナsec.−ブチルノナシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,15,17,17−ウンデカsec.−ブチルノナシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17,19−デカsec.−ブチルデカシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,15,17,19,19−ドデカsec.−ブチルデカシラザンがあげられる。
【0034】
また、1,3−ジtert.−ブチルジシラザン、1,3−ジtert.−ブチル−1,3−ジメチルジシラザン、1,3−ジtert.−ブチル−1,3−ジエチルジシラザン、1,1,3,3−テトラtert.−ブチルジシラザン、1,3,5−トリtert.−ブチルトリシラザン、1,1,3,5,5−ペンタtert.−ブチルトリシラザン、1,3,5,7−テトラtert.−ブチルテトラシラザン、1,1,3,5,7,7−ヘキサtert.−ブチルテトラシラザン、1,3,5,7,9−ペンタtert.−ブチルペンタシラザン、1,1,3,5,7,9,9−ヘプタtert.−ブチルペンタシラザン、1,3,5,7,9,11−ヘキサtert.−ブチルヘキサシラザン、1,1,3,5,7,9,11,11−オクタtert.−ブチルヘキサシラザン、1,3,5,7,9,11,13−ヘプタtert.−ブチルヘプタシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,13−ノナtert.−ブチルヘプタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15−オクタtert.−ブチルオクタシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,15,15−デカtert.−ブチルオクタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17−ノナtert.−ブチルノナシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,15,17,17−ウンデカtert.−ブチルノナシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17,19−デカtert.−ブチルデカシラザン、1,1,3,5,7,9,11,13,15,17,19,19−ドデカtert.−ブチルデカシラザンがあげられる。
【0035】
また1,3−ジn−ペンチルジシラザン、1,1,3,3−テトラn−ペンチルジシラザン、1,3,5−トリn−ペンチルトリシラザン、1,1,3,5,5−ペンタn−ペンチルトリシラザン、1,3,5,7−テトラn−ペンチルテトラシラザン、1,1,3,5,7,7−ヘキサn−ペンチルテトラシラザン、1,3,5,7,9−ペンタn−ペンチルペンタシラザン、1,1,3,5,7,9,9−ヘプタn−ペンチルペンタシラザン、
1,3−ジtert.−アミルジシラザン、1,1,3,3−テトラtert.−アミルジシラザン、1,3,5−トリtert.−アミルトリシラザン、1,1,3,5,5−ペンタtert.−アミルトリシラザン、1,3,5,7−テトラtert.−アミルテトラシラザン、1,1,3,5,7,7−ヘキサtert.−アミルテトラシラザン、1,3,5,7,9−ペンタtert.−アミルペンタシラザン、1,1,3,5,7,9,9−ヘプタtert.−アミルペンタシラザン、
1,3−ジシクロペンチルジシラザン、1,1,3,3−テトラシクロペンチルジシラザン、1,3,5−トリシクロペンチルトリシラザン、1,1,3,5,5−ペンタシクロペンチルトリシラザン、1,3,5,7−テトラシクロペンチルテトラシラザン、1,1,3,5,7,7−ヘキサシクロペンチルテトラシラザン、1,3,5,7,9−ペンタシクロペンチルペンタシラザン、1,1,3,5,7,9,9−ヘプタシクロペンチルペンタシラザンがあげられる。
【0036】
また1,3−ジn−ヘキシルジシラザン、1,1,3,3−テトラn−ヘキシルジシラザン、1,3,5−トリn−ヘキシルトリシラザン、1,1,3,5,5−ペンタn−ヘキシルトリシラザン、1,3,5,7−テトラn−ヘキシルテトラシラザン、1,1,3,5,7,7−ヘキサn−ヘキシルテトラシラザン、1,3,5,7,9−ペンタn−ヘキシルペンタシラザン、1,1,3,5,7,9,9−ヘプタn−ヘキシルペンタシラザン、
1,3−ジシクロヘキシルジシラザン、1,3−ジシクロヘキシル−1,3−ジメチルジシラザン、1,3−ジシクロヘキシル−1,3−ジエチルジシラザン、1,1,3,3−テトラシクロヘキシルジシラザン、1,3,5−トリシクロヘキシルトリシラザン、1,1,3,5,5−ペンタシクロヘキシルトリシラザン、1,3,5,7−テトラシクロヘキシルテトラシラザン、1,1,3,5,7,7−ヘキサシクロヘキシルテトラシラザン、1,3,5,7,9−ペンタシクロヘキシルペンタシラザン、1,1,3,5,7,9,9−ヘプタシクロヘキシルペンタシラザン、
1,3−ジn−ヘプチルジシラザン、1,1,3,3−テトラn−へプチルジシラザン、1,3,5−トリn−へプチルトリシラザン、1,1,3,5,5−ペンタn−へプチルトリシラザン、1,3,5,7−テトラn−へプチルテトラシラザン、1,1,3,5,7,7−ヘキサn−へプチルテトラシラザン、1,3,5,7,9−ペンタn−へプチルペンタシラザン、1,1,3,5,7,9,9−ヘプタn−へプチルペンタシラザンがあげられる。
【0037】
また1,3−ジアダマンチルジシラザン、1,1,3,3−テトラアダマンチルジシラザン、1,3,5−トリアダマンチルトリシラザン、1,1,3,5,5−ペンタアダマンチルトリシラザン、1,3,5,7−テトラアダマンチルテトラシラザン、1,1,3,5,7,7−ヘキサアダマンチルテトラシラザン、1,3,5,7,9−ペンタアダマンチルペンタシラザン、1,1,3,5,7,9,9−ヘプタアダマンチルペンタシラザン、
1,3−ジビニルジシラザン、1,3−ジビニル−1,3−ジメチルジシラザン、1,1,3,3−テトラビニルジシラザン、1,3,5−トリビニルトリシラザン、1,1,3,5,5−ペンタビニルトリシラザン、1,3,5,7−テトラビニルテトラシラザン、1,1,3,5,7,7−ヘキサビニルテトラシラザン、1,3,5,7,9−ペンタビニルペンタシラザン、1,1,3,5,7,9,9−ヘプタビニルペンタシラザンがあげられる。
【0038】
また1,3−ジフェニルジシラザン、1,3−ジフェニル−1,3−ジメチルジシラザン、1,1,3,3−テトラフェニルジシラザン、1,3,5−トリフェニルトリシラザン、1,1,3,5,5−ペンタフェニルトリシラザン、1,3,5,7−テトラフェニルテトラシラザン、1,1,3,5,7,7−ヘキサフェニルテトラシラザン、1,3,5,7,9−ペンタフェニルペンタシラザン、1,1,3,5,7,9,9−ヘプタフェニルペンタシラザン、
1,3,5−トリトルイルトリシラザン、1,1,3,5,5−ペンタトルイルトリシラザン、1,3,5,7−テトラトルイルテトラシラザン、1,1,3,5,7,7−ヘキサトルイルテトラシラザン、1,3,5,7,9−ペンタトルイルペンタシラザン、1,1,3,5,7,9,9−ヘプタトルイルペンタシラザン、
を挙げることができる。
【0039】
一般式(2)で表される化合物としては、高蒸気圧及び生成薄膜の炭素含有量の低減の観点から、好ましくは上記のジシラザン類及びトリシラザン類であり、更に好ましくは、1,1−ジメチルジシラザン、1,3−ジメチルジシラザン、1,1,3−トリメチルジシラザン、1,1,3,3−テトラメチルジシラザンである。
【0040】
更に上記一般式(1)の例としては、前述の一般式(3)で示される環状化合物を挙げることができる。
【0041】
上記一般式(3)おいて、R
6は、上記のR
1と同様の水素原子または炭素数1〜20の直鎖状、分岐鎖状、環状構造を有する飽和または不飽和炭化水素基を用いることができる。また、R
6どうしが互いに結合したものも本発明の範囲に含まれる。炭素数が20を超える場合は、対応する有機ハライド等原料の調達が困難となったり、調達できたとしても純度が低い場合がある。CVD装置での安定的使用を考慮した場合、有機窒化ケイ素化合物の蒸気圧が低くなりすぎないとの点で、R
6は炭素数1〜10の炭化水素基が好ましく、炭素数1〜4の飽和炭化水素基がさらに好ましく、具体的にはメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、シクロプロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert.−ブチル、シクロブチルである。特にR
6はメチル、エチル、またはi−プロピルが好ましい。
【0042】
R
6どうしは同一であっても異なっても良い。
【0043】
上記一般式(3)おいてyは、2乃至10の整数を表す。好ましくは、有機窒化ケイ素化合物の蒸気圧が低くなりすぎないとの点で、yが2〜6の整数である。特に好ましくは、yが3,4である。
【0044】
一般式(3)で示される化合物の具体例としては、
1−メチルシクロジシラザン、1,3−ジメチルシクロジシラザン、1−メチルシクロトリシラザン、1,3−ジメチルシクロトリシラザン、1,3,5−トリメチルシクロトリシラザン、1−メチルシクロテトラシラザン、1,3−ジメチルシクロテトラシラザン、1,5−ジメチルシクロテトラシラザン、1,3,5−トリメチルシクロテトラシラザン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシラザン、1,3−ジメチルシクロペンタシラザン、1,5−ジメチルシクロペンタシラザン、1,3,5−トリメチルシクロペンタシラザン、1,3,7−トリメチルシクロペンタシラザン、1,3,5,7−テトラメチルシクロペンタシラザン、1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロペンタシラザン、
1,3,5,7,9,11−ヘキサメチルシクロヘキサシラザン、1,3,5,7,9,11,13−ヘプタメチルシクロヘプタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15−オクタメチルシクロオクタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17−ノナメチルシクロノナシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17,19−デカメチルシクロデカシラザンがあげられる。
【0045】
また1−エチルシクロジシラザン、1,3−ジエチルシクロジシラザン、1−エチルシクロトリシラザン、1,3−ジエチルシクロトリシラザン、1,3,5−トリエチルシクロトリシラザン、1−エチルシクロテトラシラザン、1,3−ジエチルシクロテトラシラザン、1,5−ジエチルシクロテトラシラザン、1,3,5−トリエチルシクロテトラシラザン、1,3,5,7−テトラエチルシクロテトラシラザン、1,3−ジエチルシクロペンタシラザン、1,5−ジエチルシクロペンタシラザン、1,3,5−トリエチルシクロペンタシラザン、1,3,7−トリエチルシクロペンタシラザン、1,3,5,7−テトラエチルシクロペンタシラザン、1,3,5,7,9−ペンタエチルシクロペンタシラザン、1,3,5,7,9,11−ヘキサエチルシクロヘキサシラザン、1,3,5,7,9,11,13−ヘプタエチルシクロヘプタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15−オクタエチルシクロオクタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17−ノナエチルシクロノナシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17,19−デカエチルシクロデカシラザンがあげられる。
【0046】
また1−n−プロピルシクロジシラザン、1,3−ジn−プロピルシクロジシラザン、1−n−プロピルシクロトリシラザン、1,3−ジn−プロピルシクロトリシラザン、1,3,5−トリn−プロピルシクロトリシラザン、1−n−プロピルシクロテトラシラザン、1,3−ジn−プロピルシクロテトラシラザン、1,5−ジn−プロピルシクロテトラシラザン、1,3,5−トリn−プロピルシクロテトラシラザン、1,3,5,7−テトラn−プロピルシクロテトラシラザン、1,3−ジn−プロピルシクロペンタシラザン、1,5−ジn−プロピルシクロペンタシラザン、1,3,5−トリn−プロピルシクロペンタシラザン、1,3,7−トリn−プロピルシクロペンタシラザン、1,3,5,7−テトラn−プロピルシクロペンタシラザン、1,3,5,7,9−ペンタn−プロピルシクロペンタシラザン、1,3,5,7,9,11−ヘキサn−プロピルシクロヘキサシラザン、1,3,5,7,9,11,13−ヘプタn−プロピルシクロヘプタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15−オクタn−プロピルシクロオクタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17−ノナn−プロピルシクロノナシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17,19−デカn−プロピルシクロデカシラザンがあげられる。
【0047】
また1−イソプロピルシクロジシラザン、1,3−ジイソプロピルシクロジシラザン、1−イソプロピルシクロトリシラザン、1,3−ジイソプロピルシクロトリシラザン、1,3,5−トリイソプロピルシクロトリシラザン、1−イソプロピルシクロテトラシラザン、1,3−ジイソプロピルシクロテトラシラザン、1,5−ジイソプロピルシクロテトラシラザン、1,3,5−トリイソプロピルシクロテトラシラザン、1,3,5,7−テトライソプロピルシクロテトラシラザン、1,3−ジイソプロピルシクロペンタシラザン、1,5−ジイソプロピルシクロペンタシラザン、1,3,5−トリイソプロピルシクロペンタシラザン、1,3,7−トリイソプロピルシクロペンタシラザン、1,3,5,7−テトライソプロピルシクロペンタシラザン、1,3,5,7,9−ペンタイソプロピルシクロペンタシラザン、1,3,5,7,9,11−ヘキサイソプロピルシクロヘキサシラザン、1,3,5,7,9,11,13−ヘプタイソプロピルシクロヘプタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15−オクタイソプロピルシクロオクタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17−ノナイソプロピルシクロノナシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17,19−デカイソプロピルシクロデカシラザンがあげられる。
【0048】
また1−n−ブチルシクロジシラザン、1,3−ジn−ブチルシクロジシラザン、1−n−ブチルシクロトリシラザン、1,3−ジn−ブチルシクロトリシラザン、1,3,5−トリn−ブチルシクロトリシラザン、1−n−ブチルシクロテトラシラザン、1,3−ジn−ブチルシクロテトラシラザン、1,5−ジn−ブチルシクロテトラシラザン、1,3,5−トリn−ブチルシクロテトラシラザン、1,3,5,7−テトラn−ブチルシクロテトラシラザン、1,3−ジn−ブチルシクロペンタシラザン、1,5−ジn−ブチルシクロペンタシラザン、1,3,5−トリn−ブチルシクロペンタシラザン、1,3,7−トリn−ブチルシクロペンタシラザン、1,3,5,7−テトラn−ブチルシクロペンタシラザン、1,3,5,7,9−ペンタn−ブチルシクロペンタシラザン、1,3,5,7,9,11−ヘキサn−ブチルシクロヘキサシラザン、1,3,5,7,9,11,13−ヘプタn−ブチルシクロヘプタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15−オクタn−ブチルシクロオクタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17−ノナn−ブチルシクロノナシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17,19−デカn−ブチルシクロデカシラザンがあげられる。
【0049】
また1−イソブチルシクロジシラザン、1,3−ジイソブチルシクロジシラザン、1−イソブチルシクロトリシラザン、1,3−ジイソブチルシクロトリシラザン、1,3,5−トリイソブチルシクロトリシラザン、1−イソブチルシクロテトラシラザン、1,3−ジイソブチルシクロテトラシラザン、1,5−ジイソブチルシクロテトラシラザン、1,3,5−トリイソブチルシクロテトラシラザン、1,3,5,7−テトライソブチルシクロテトラシラザン、1,3−ジイソブチルシクロペンタシラザン、1,5−ジイソブチルシクロペンタシラザン、1,3,5−トリイソブチルシクロペンタシラザン、1,3,7−トリイソブチルシクロペンタシラザン、1,3,5,7−テトライソブチルシクロペンタシラザン、1,3,5,7,9−ペンタイソブチルシクロペンタシラザン、1,3,5,7,9,11−ヘキサイソブチルシクロヘキサシラザン、1,3,5,7,9,11,13−ヘプタイソブチルシクロヘプタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15−オクタイソブチルシクロオクタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17−ノナイソブチルシクロノナシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17,19−デカイソブチルシクロデカシラザンがあげられる。
【0050】
また1−sec.−ブチルシクロジシラザン、1,3−ジsec.−ブチルシクロジシラザン、1−sec.−ブチルシクロトリシラザン、1,3−ジsec.−ブチルシクロトリシラザン、1,3,5−トリsec.−ブチルシクロトリシラザン、1−sec.−ブチルシクロテトラシラザン、1,3−ジsec.−ブチルシクロテトラシラザン、1,5−ジsec.−ブチルシクロテトラシラザン、1,3,5−トリsec.−ブチルシクロテトラシラザン、1,3,5,7−テトラsec.−ブチルシクロテトラシラザン、1,3−ジsec.−ブチルシクロペンタシラザン、1,5−ジsec.−ブチルシクロペンタシラザン、1,3,5−トリsec.−ブチルシクロペンタシラザン、1,3,7−トリsec.−ブチルシクロペンタシラザン、1,3,5,7−テトラsec.−ブチルシクロペンタシラザン、1,3,5,7,9−ペンタsec.−ブチルシクロペンタシラザン、1,3,5,7,9,11−ヘキサsec.−ブチルシクロヘキサシラザン、1,3,5,7,9,11,13−ヘプタsec.−ブチルシクロヘプタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15−オクタsec.−ブチルシクロオクタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17−ノナsec.−ブチルシクロノナシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17,19−デカsec.−ブチルシクロデカシラザンがあげられる。
【0051】
また1−tert.−ブチルシクロジシラザン、1,3−ジtert.−ブチルシクロジシラザン、1−tert.−ブチルシクロトリシラザン、1,3−ジtert.−ブチルシクロトリシラザン、1,3,5−トリtert.−ブチルシクロトリシラザン、1−tert.−ブチルシクロテトラシラザン、1,3−ジtert.−ブチルシクロテトラシラザン、1,5−ジtert.−ブチルシクロテトラシラザン、1,3,5−トリtert.−ブチルシクロテトラシラザン、1,3,5,7−テトラtert.−ブチルシクロテトラシラザン、1,3−ジtert.−ブチルシクロペンタシラザン、1,5−ジtert.−ブチルシクロペンタシラザン、1,3,5−トリtert.−ブチルシクロペンタシラザン、1,3,7−トリtert.−ブチルシクロペンタシラザン、1,3,5,7−テトラtert.−ブチルシクロペンタシラザン、1,3,5,7,9−ペンタtert.−ブチルシクロペンタシラザン、1,3,5,7,9,11−ヘキサtert.−ブチルシクロヘキサシラザン、1,3,5,7,9,11,13−ヘプタtert.−ブチルシクロヘプタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15−オクタtert.−ブチルシクロオクタシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17−ノナtert.−ブチルシクロノナシラザン、1,3,5,7,9,11,13,15,17,19−デカtert.−ブチルシクロデカシラザンがあげられる。
【0052】
また1,3−ジn−ペンチルシクロジシラザン、1,3,5−トリn−ペンチルシクロトリシラザン、1,3,5,7−テトラn−ペンチルシクロテトラシラザン、1,3,5,7,9−ペンタn−ペンチルシクロペンタシラザン、1,3,5,7,9,11−ヘキサn−ペンチルシクロヘキサシラザン、
1,3−ジシクロペンチルシクロジシラザン、1,3,5−トリシクロペンチルシクロトリシラザン、1,3,5,7−テトラシクロペンチルシクロテトラシラザン、1,3,5,7,9−ペンタシクロペンチルシクロペンタシラザン、1,3,5,7,9,11−ヘキサシクロペンチルシクロヘキサシラザン、
1,3−ジtert.−アミルシクロジシラザン、1,3,5−トリtert.−アミルシクロトリシラザン、1,3,5,7−テトラtert.−アミルシクロテトラシラザン、1,3,5,7,9−ペンタtert.−アミルシクロペンタシラザン、1,3,5,7,9,11−ヘキサtert.−アミルシクロヘキサシラザンがあげられる。
【0053】
また1,3−ジn−ヘキシルシクロジシラザン、1,3,5−トリn−ヘキシルシクロトリシラザン、1,3,5,7−テトラn−ヘキシルシクロテトラシラザン、1,3,5,7,9−ペンタn−ヘキシルシクロペンタシラザン、1,3,5,7,9,11−ヘキサn−ヘキシルシクロヘキサシラザン、
1,3−ジシクロヘキシルシクロジシラザン、1,3,5−トリシクロヘキシルシクロトリシラザン、1,3,5,7−テトラシクロヘキシルシクロテトラシラザン、1,3,5,7,9−ペンタシクロヘキシルシクロペンタシラザン、1,3,5,7,9,11−ヘキサシクロヘキシルシクロヘキサシラザン、
1,3−ジn−ヘプチルシクロジシラザン、1,3,5−トリn−ヘプチルシクロトリシラザン、1,3,5,7−テトラn−ヘプチルシクロテトラシラザン、1,3,5,7,9−ペンタn−ヘプチルシクロペンタシラザン、1,3,5,7,9,11−ヘキサn−ヘプチルシクロヘキサシラザン、
1,3−ジアダマンチルシクロジシラザン、1,3,5−トリアダマンチルシクロトリシラザン、1,3,5,7−テトラアダマンチチルシクロテトラシラザン、1,3,5,7,9−ペンタアダマンチルシクロペンタシラザン、1,3,5,7,9,11−ヘキサアダマンチルシクロヘキサシラザンがあげられる。
【0054】
また1,3−ジビニルシクロジシラザン、1,3,5−トリビニルシクロトリシラザン、1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシラザン、1,3,5,7,9−ペンタビニルシクロペンタシラザン、1,3,5,7,9,11−ヘキサビニルシクロヘキサシラザン、
1,3−ジフェニルシクロジシラザン、1,3,5−トリフェニルシクロトリシラザン、1,3,5,7−テトラフェニルシクロテトラシラザン、1,3,5,7,9−ペンタフェニルシクロペンタシラザン、1,3,5,7,9,11−ヘキサフェニルシクロヘキサシラザン、
1,3−ジトルイルシクロジシラザン、1,3,5−トリトルイルシクロトリシラザン、1,3,5,7−テトラトルイニルシクロテトラシラザン、1,3,5,7,9−ペンタトルイルシクロペンタシラザン、1,3,5,7,9,11−ヘキサトルイルシクロヘキサシラザン
を挙げることができる。
【0055】
一般式(3)で表される化合物としては、高蒸気圧及び生成薄膜の炭素含有量の低減の観点から、好ましくは上記のシクロトリサラザン類、シクロテトラシラザン類であり、更に好ましくは1,3,5−トリメチルシクロトリシラザン、1,3,5,7−テトラメチルシクロペンタシラザンである。
【0056】
上記一般式(1)〜(3)の有機窒化ケイ素化合物の製造法は、特に限定されるものではないが、例えば、水素原子、炭化水素基置換ハロゲン化シラン化合物とアンモニアガスとを反応させ製造する方法、ハロゲン化シラン化合物と金属アミドとを反応させ製造する方法等を用いることができる。
【0057】
この際、ハロゲン化シラン化合物それ自身を反応媒体としてもよいが、不活性溶媒を反応媒体として用いることもできる。使用できる反応溶媒は、当該技術分野で使用されるものであれば特に限定されるものでなく、例えば、n−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、n−デカン等の飽和炭化水素類、トルエン、キシレン、デセン−1等の不飽和炭化水素類、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、tert.−ブチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類を使用することができる。
【0058】
製造の際の反応の温度については、通常、工業的に使用されている温度である−100〜200℃の範囲、好ましくは、−85〜150℃の範囲で行うことが好ましい。反応の圧力条件は、加圧下、常圧下、減圧下いずれであっても可能である。
【0059】
合成した有機窒化ケイ素化合物の精製法については、ガラスフィルター、焼結多孔体等を用いた濾過、常圧もしくは減圧蒸留又はシリカ、アルミナ、高分子ゲルを用いたカラム分離等の精製手段を用いることができる。この際、必要に応じてこれらの手段を組合わせて使用してもよい。
【0060】
製造に際しては、当該有機金属化合物合成分野での方法に従う。すなわち、脱水及び脱酸素された窒素又はアルゴン雰囲気下で行い、使用する溶媒及び精製用のカラム充填剤等は、予め脱水操作を施しておくことが好ましい。また、金属残渣及びパーティクル等の不純物も除去しておくことが好ましい。
【0061】
本発明において、一般式(1)〜(3)で示される鎖状または環状構造を有する化合物は、CVD法用の封止膜材料として用いることができる。
【0062】
本発明では、有機窒化ケイ素化合物はCVD法により成膜され、封止膜として用いることができる。封止膜としては、ケイ素、炭素および窒素を含有し、表面の組成が原子比でケイ素1.0に対し、窒素含有量が0.2以上1.33以下、炭素含有量が0以上1.0以下であり、かつ赤外吸収スペクトルの1200〜1300cm
−1及び2800〜3200cm
−1の吸収が実質的に検出限界以下である膜を得ることができる。このとき、膜の表面の組成は、XPS等で測定することができる。
【0063】
または赤外吸収スペクトルにおいて、1200〜1300cm
−1の吸収は、Si−メチルの結合に由来するものであり、また2800〜3200cm
−1の吸収は、結合末端の炭化水素基の存在を示すものであるから、それらがいずれも実質的に検出限界以下であるということは、膜中の炭化水素基はすべて架橋に関与していて、結合末端として検出されるほど存在していないことを意味するものである。
【0064】
なお本発明において、赤外吸収スペクトルの特定領域の吸収が実質的に検出限界以下であるとは、赤外吸収スペクトルのチャートを目視したときに、その吸収が観察されないことを示すものである。
【0065】
さらに本発明によれば、水透過性が5.0×10
−3g/m
2・day以下という、水透過性の極めて低い封止膜を得ることができる。
【0066】
本発明で成膜に用いられるCVD法としては、例えばPECVD法または触媒化学気相成長法(Cat.CVD法)が挙げられる。PECVD法の種類及び用いる装置は特に限定されるものではないが、このPECVD法は半導体製造分野、液晶ディスプレイ製造分野、ロールツーロール方式高分子フィルムの表面処理分野等の当該技術分野で一般的に用いられるものが使用される。
【0067】
本発明では、PECVD装置において、有機窒化ケイ素化合物を気化器により気化させて成膜チャンバー内に導入し、高周波電源により成膜チャンバー内の電極に印加しプラズマを発生させ、成膜チャンバー内のシリコン基板等にPECVD薄膜を形成させることができる。この際、プラズマを発生させる目的で、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオン、キセノン等の不活性ガス、窒化炭素の窒素含有量を向上させる目的でアンモニア、ヒドラジン、窒素等の窒素系ガスを有機窒化ケイ素化合物と共に導入することも本発明の範囲に入る。
【0068】
PECVD装置のプラズマ発生方法については特に限定されず、当該技術で使用されている誘導結合型プラズマ、容量結合型プラズマ、ECRプラズマ等を用いることができる。またプラズマ発生源としては平行平板型、アンテナ型等の種々のものが使用でき、大気圧PECVD、減圧PECVD、加圧PECVD等いずれの圧力条件下のPECVDでも用いることができる。
【0069】
この際のPECVD条件としては特に限定はないが、1.0W〜10000Wが好ましく、1.0W〜2000Wの範囲で行うことが更に好ましい。
【0070】
具体的にPECVD装置として、
図1の1に平行平板容量結合型PECVD装置を示す。
図1に示す平行平板容量結合型PECVD装置は、PECVD装置チャンバー内にシャワーヘッド上部電極と基板の温度制御が可能な下部電極、原料化合物をチャンバーに気化供給する気化器装置と高周波電源とマッチング回路から成るプラズマ発生装置、真空ポンプから成る排気系から成る。
【0071】
PECVD装置1は、PECVDチャンバー2、原料化合物をチャンバー内に均一に供給する為のシャワーヘッドを有する上部電極3、Si基板等の薄膜形成用基板5を設置する為の温度制御装置8を有する下部電極4、原料化合物を気化させるための気化装置9〜15、プラズマ発生源であるマッチング回路6とRF電源7、チャンバー内の未反応物及び副生物を排気する為の排気装置16から成る。17,18は、アースである。
【0072】
プラズマ発生源であるマッチング回路6とRF電源7は上部電極3に接続され、放電によりプラズマを発生させる。RF電源7の規格については特に限定されないが、当該技術分野で使用される電力が1W〜2000W、好ましくは10W〜1000W、周波数が50kHz〜2.5GHz、好ましくは100kHz〜100MHz、特に好ましくは200kHz〜50MHzのRF電源を用いることができる。
【0073】
基板温度の制御は特に限定されるものでは無いが、−90〜1000℃、好ましくは0℃〜500℃の範囲である。
【0074】
気化装置は、常温常圧で液体である原料化合物13を充填し、ディップ配管と上記不活性ガスにより加圧する配管15を備えている容器12、液体である原料化合物13の流量を制御する液体流量制御装置10、液体である原料化合物13を気化させる気化器9、上記不活性ガスを気化器経由でPECVD装置チャンバー内に供給する為の配管14とその流量を制御する気体流量制御装置11からなる。本気化装置は、気化器9からシャワーヘッドを備えた上部電極3に配管接続されている。
【0075】
原料化合物のチャンバー内への気化供給量は特に限定されないが、0.1sccm〜10000sccm、好ましくは10sccmから5000sccmである。また上記不活性ガスの供給量は特に限定されないが、0.1sccm〜10000sccm、好ましくは10sccmから5000sccmである。
【0076】
具体的にPECVD装置として、
図2の19に誘導結合型リモートPECVD装置を示す。
図2に示す誘導結合型リモートPECVD装置は、PECVD装置チャンバー上部の石英の周りにコイル状に巻かれたプラズマ発生部、温度制御が可能な基板設置部、原料化合物をチャンバーに気化供給する気化器装置と高周波電源とマッチング回路から成るプラズマ発生装置、真空ポンプから成る排気系から成る。
【0077】
PECVD装置19は、PECVDチャンバー20、プラズマ発生部であるコイル21と石英管22、Si基板等の薄膜形成用基板24を設置する為のヒーター部23と温度制御装置27、原料化合物を気化させるための気化装置28〜35、プラズマ発生源であるマッチング回路25とRF電源26、チャンバー内の未反応物及び副生物を排気する為の排気装置36から成る。37はアースである。
【0078】
プラズマ発生部である石英周りのコイルはマッチング回路25に接続され、石英管中にRF電流によるアンテナ電流磁界で放電させ、プラズマを発生させる。RF電源26の規格については特に限定されないが、当該技術分野で使用される電力が1W〜2000W、好ましくは10W〜1000W、周波数が50kHz〜2.5GHz、好ましくは100kHz〜100MHz、特に好ましくは200kHz〜50MHzのRF電源を用いることができる。
【0079】
基板温度の制御は特に限定されるものでは無いが、−90〜1000℃、好ましくは0℃〜500℃の範囲である。
【0080】
気化装置は、常温常圧で液体である原料化合物33を充填し、ディップ配管と上記不活性ガスにより加圧する配管35を備えている容器32、液体である原料化合物33の流量を制御する液体流量制御装置29、液体である原料化合物33を気化させる気化器28、上記不活性ガスを気化器経由でPECVD装置チャンバー内に供給する為の配管34とその流量を制御する気体流量制御装置30と不活性ガスとガス化した原料化合物33をチャンバー内に均一に供給する為のシャワーヘッド31から成る。
【0081】
原料化合物のチャンバー内への気化供給量は特に限定されないが、0.1sccm〜10000sccm、好ましくは10sccmから5000sccmである。また、上記不活性ガスの供給量は特に限定されないが、0.1sccm〜10000sccm、好ましくは10sccmから5000sccmである。
【0082】
原料化合物は、上記で例示したPECVD装置を用いて、不活性ガスとガス化した原料化合物、またはガス化した原料化合物をチャンバー内に供給し、RF電源による放電によりプラズマを発生させ、温度制御された基板上に成膜される。この際のチャンバー内の圧力は特に限定されるものではないが、0.1Pa〜10000Pa、好ましくは1Pa〜5000Paである。
【0083】
具体的にPECVD装置として、
図3の38にマイクロ波PECVD装置を示す。石英製チャンバー39、Si基板等の薄膜形成用基板40を設置する為のヒーター部41と温度制御装置42、原料化合物を気化させるための気化装置43〜50、マイクロ波発生源であるマッチング回路51とマイクロ波発信器52、及びマイクロ波反射板53、チャンバー内の未反応物及び副生物を排気する為の排気装置54から成る。
【0084】
マイクロ波発生源であるマッチング回路51とマイクロ波発信器52は、石英チャンバーに接続され、マイクロ波を石英チャンバー内に照射することでプラズマを発生させる。マイクロ波の周波数については特に限定されないが、当該技術分野で使用される周波数1MHz〜50GHz、好ましくは0.5GHz〜10GHz、特に好ましくは1GHz〜5MHzのマイクロ波を用いることができる。また、そのマイクロ波出力については、0.1W〜20000W、好ましくは1W〜10000Wを用いることができる。
【0085】
基板温度の制御は特に限定されるものでは無いが、−90〜1000℃、好ましくは0℃〜500℃の範囲である。
【0086】
気化装置は、常温常圧で液体である原料化合物48を充填し、ディップ配管と上記不活性ガスにより加圧する配管50を備えている容器47、液体である原料化合物48の流量を制御する液体流量制御装置44、液体である原料化合物48を気化させる気化器43、上記不活性ガスを気化器経由でPECVD装置チャンバー内に供給する為の配管49とその流量を制御する気体流量制御装置45と不活性ガスとガス化した原料化合物48をチャンバー内に均一に供給する為のシャワーヘッド46から成る。
【0087】
原料化合物のチャンバー内への気化供給量は特に限定されないが、0.1sccm〜10000sccm、好ましくは10sccmから5000sccmである。また上記不活性ガスの供給量は特に限定されないが、0.1sccm〜10000sccm、好ましくは10sccmから5000sccmである。
【0088】
原料化合物は、上記で例示したPECVD装置を用いて、不活性ガスとガス化した原料化合物、またはガス化した原料化合物をチャンバー内に供給し、マイクロ波の照射によりプラズマを発生させ、温度制御された基板上に成膜される。この際のチャンバー内の圧力は特に限定されるものではないが、0.1Pa〜10000Pa、好ましくは1Pa〜5000Paである。
【0089】
本発明では、上述の有機窒化ケイ素化合物から得られる封止膜を、熱処理、紫外線照射処理、電子線処理することすることにより、緻密化もしくは機械的強度が向上した封止膜を得ることができる場合があり、本処理で得られた膜はガスバリア膜として好適なものとなる場合がある。
【0090】
本発明の封止膜は、ガスバリア層として用いることができ、ガスバリア部材として有用である。また、本発明の封止膜を含んでなるFPDデバイスまたは半導体デバイスも好適に使用できる。