【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、イミノ基含有ホスファゼニウム塩よりなる活性種を用いてポリアルキレングリコールを製造するに際し、重合後のポリアルキレングリコールに特定の固体酸を混合することにより、イミノ基含有ホスファゼニウム塩を効率よく分離できるとともに、重合活性種及び/又は該重合活性種の原材料の残存量の低いポリアルキレングリコールを効率よく製造する方法となることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
即ち、本発明は、少なくとも下記の(A)工程と(B)工程を経てなることを特徴とするポリアルキレングリコールの製造方法に関するものである。
(A)工程;下記一般式(1)に示されるイミノ基含有ホスファゼニウム塩と活性水素化合物によりポリアルキレングリコール製造用活性種を調製した後、アルキレンオキシドの重合反応を行う工程。
【0011】
【化1】
【0012】
(1)
(ここで、R
1、R
2は、各々独立して、水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を表し、また、R
1とR
2が互いに結合して環構造を形成していても良いし、R
1同士又はR
2同士が互いに結合して環構造を形成していても良い。X
−は、ヒドロキシアニオン、アルコキシアニオン、カルボキシアニオン、炭素数2〜5のアルキルカルボキシアニオン、又は炭酸水素アニオンを表す。)
(B)工程;(A)工程により得られたポリアルキレングリコールに固体酸を接触した後、固体酸を分離する工程。
【0013】
以下に、本発明に関して詳細に説明する。
【0014】
該(A)工程は、アルキレンオキシドの重合反応を行い、ポリアルキレングリコールを製造する工程である。その際のポリアルキレングリコール製造用活性種は、上記一般式(1)で示されるイミノ基含有ホスファゼニウム塩と活性水素含有化合物により調製されるものである。
【0015】
一般式(1)に示されるイミノ基含有ホスファゼニウム塩において、R
1、R
2は、各々独立して、水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基であり、R
1、R
2を構成する炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、ビニル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、アリル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、シクロブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ヘプチル基、シクロヘプチル基、オクチル基、シクロオクチル基、ノニル基、シクロノニル基、デシル基、シクロデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基等を挙げることができる。また、R
1とR
2は、互いに結合して環構造を形成していても良く、R
1とR
2が互いに結合し環構造を形成した場合としては、例えばピロリジニル基、ピロリル基、ピペリジニル基、インドリル基、イソインドリル基等を挙げることができる。さらに、R
1同士又はR
2同士が互いに結合して環構造を形成していても良く、R
1同士又はR
2同士が互いに結合して環構造を形成している場合としては、例えば、一方の置換基がエチレン基、プロピレン基、ブチレン基等のアルキレン基となって、他方の置換基と互いに結合し環構造を形成している場合を挙げることができる。そして、R
1、R
2としては、原料であるグアニジン類の入手が容易という点から、メチル基、エチル基、イソプロピル基が好ましい。
【0016】
一般式(1)に示されるイミノ基含有ホスファゼニウム塩において、X
−は、ヒドロキシアニオン、アルコキシアニオン、カルボキシアニオン、炭素数2〜5のアルキルカルボキシアニオン、又は炭酸水素アニオンであり、X
−を構成するアルコキシアニオンとしては、例えばメトキシアニオン、エトキシアニオン、n−プロポキシアニオン、イソプロポキシアニオン、n−ブトキシアニオン、イソブトキシアニオン、t−ブトキシアニオン等が挙げられ、炭素数2〜5のアルキルカルボキシアニオンとしては、例えばアセトキシアニオン、エチルカルボキシアニオン、n−プロピルカルボキシアニオン、イソプロピルカルボキシアニオン、n−ブチルカルボキシアニオン、イソブチルカルボキシアニオン、t−ブチルカルボキシアニオン等が挙げられる。その中でも、該イミノ基含有ホスファゼニウム塩の塩基性が強く、得られるポリアルキレングリコール製造用活性種の重合活性が高くなることから、X
−としては、ヒドロキシアニオンが好ましい。
【0017】
一般式(1)に示されるイミノ基含有ホスファゼニウム塩は、如何なる方法により入手することも可能であり、例えばイミノ基含有ホスファゼニウム塩化物塩、イミノ基含有ホスファゼニウムヨウ化物塩又はイミノ基含有ホスファゼニウム臭化物塩を塩基性化合物又はイオン交換樹脂を用いてイオン交換する方法を挙げることができ、塩基性化合物としては、例えばアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のアルコキシド、カルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸水素化物等を挙げることができ、その中でも、入手が容易で塩基性が強くイオン交換が容易に進行することから、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物が好ましく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが特に好ましい。
【0018】
また、イミノ基含有ホスファゼニウム塩化物塩、イミノ基含有ホスファゼニウム臭化物塩又はイミノ基含有ホスファゼニウムヨウ化物塩の製造方法としては、例えば五塩化リンと下記一般式(2)で示されるグアニジン類を反応する方法を挙げることができる。
【0019】
【化2】
【0020】
(2)
(ここで、R
1及びR
2は、上記一般式(1)中のR
1及びR
2と同じ定義である。)
そして、一般式(1)に示されるイミノ基含有ホスファゼニウム塩としては、例えばテトラキス(テトラメチルグアニジノ)ホスファゼニウムヒドロキシド、テトラキス(テトラメチルグアニジノ)ホスファゼニウムメトキシド、テトラキス(テトラメチルグアニジノ)ホスファゼニウムエトキシド、テトラキス(テトラメチルグアニジノ)ホスファゼニウムカルボキシド、テトラキス(テトラエチルグアニジノ)ホスファゼニウムヒドロキシド、テトラキス(テトラエチルグアニジノ)ホスファゼニウムメトキシド、テトラキス(テトラエチルグアニジノ)ホスファゼニウムエトキシド、テトラキス(テトラエチルグアニジノ)ホスファゼニウムカルボキシド等を例示でき、なかでも、容易に製造でき、アルキレンオキシドの重合反応において高い活性を有する活性種を提供できることから、テトラキス(テトラメチルグアニジノ)ホスファゼニウムヒドロキシドが好ましい。
【0021】
該(A)工程において、ポリアルキレングリコール製造用活性種を調製する際に用いられる活性水素含有化合物としては、分子中に活性水素基を有する化合物であればよく、例えばヒドロキシル化合物、アミン化合物、カルボン酸化合物、フェノール化合物、チオール化合物等を挙げることができ、より具体的には、例えば水、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−へキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ソルビトール、シュークローズ、グルコース等のヒドロキシ化合物;エチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、ピペリジン、ピペラジン等のアミン化合物;安息香酸、アジピン酸等のカルボン酸化合物;2−ナフトール、ビスフェノール等のフェノール化合物;エタンジチオール、ブタンジチオール等のチオール化合物等を挙げることができる。これらは、用途に応じて適宜選択できる。例えば、硬質フォーム用のポリアルキレングリコールを製造する際には、例えばペンタエリスリトール、ソルビトール、シュークローズ、エチレンジアミン等を用いることが好ましく、軟質フォーム用のポリアルキレングリコールを製造する際には、例えばグリセリン、トリメチロールプロパン等を用いるのが好ましい。
【0022】
また、活性水素含有化合物として、水酸基を有するポリアルキレングリコールを用いることも可能であり、例えばポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールグリセリンエーテル等を挙げることができる。この際に使用するポリアルキレングリコールの分子量に特に制限はなく、その中でも、低粘度で流動性に優れ、ハンドリングが容易な分子量200〜3000のポリアルキレングリコールであることが望ましい。
【0023】
これら活性水素含有化合物は、単独で用いても良いし、数種類を混合して用いても良い。
【0024】
該(A)工程において、ポリアルキレングリコール製造用活性種を調製する際の一般式(1)で示されるイミノ基含有ホスファゼニウム塩と活性水素含有化合物の割合は任意であり、その中でも、より容易に高分子量を有するポリアルキレングリコールを製造することが可能となることから、該活性水素化合物1モルに対し、一般式(1)で示されるイミノ基含有ホスファゼニウム塩1×10
−4〜1×10
−1モルで用いることが好ましく、特に5×10
−3〜5×10
−2モルの範囲であることが好ましい。
【0025】
また、該(A)工程においては、一般式(1)で示されるイミノ基含有ホスファゼニウム塩と該活性水素含有化合物により、イミノ基含有ホスファゼニウムカチオンと活性水素含有化合物のアニオンから構成されるポリアルキレングリコール製造用活性種を調製するものであり、その際の調製条件は任意である。なかでも高純度のポリアルキレングリコール製造用活性種を調製することが可能となることから、溶媒や副生物である水を効率よく除去することが望ましく、特に1.3kPa以下の減圧下、60℃以上の温度で調製を行うことが好ましい。
【0026】
該(A)工程において用いるアルキレンオキシドとしては、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、スチレンオキシド又はシクロヘキセンオキシド等のエポキシ化合物を挙げることができる。これらのうち、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド又はスチレンオキシドが好ましく、エチレンオキシド、プロピレンオキシドがより好ましい。また、該アルキレンオキシドは単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。2種類以上のアルキレンオキシドを併用する場合、プロピレンオキシドとエチレンオキシドとの併用が特に好ましい。プロピレンオキシド、エチレンオキシドを併用する場合には、例えば、プロピレンオキシドとエチレンオキシドを同時に添加する方法、プロピレンオキシドの次にエチレンオキシドを添加する方法、又はプロピレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシドと繰り返して添加する方法等をとることができる。このうち、プロピレンオキシドの重合反応の後、エチレンオキシドを添加しさらに重合する方法が好ましい。
【0027】
そして、該(A)工程におけるアルキレンオキシドの重合反応の際の反応温度、反応圧力は任意に設定できる。なかでも、重合の効率、生産性の観点から、反応温度は、40〜130℃の範囲であることが好ましく、特に80〜120℃の範囲が好ましい。同様に、反応圧力は、0.05〜1.0MPaであることが好ましく、特に0.1〜0.6MPaであることが好ましい。
【0028】
該(A)工程によりポリアルキレングリコールを得ることができ、該ポリアルキレングリコールは、粗製ポリアルキレングリコールであり、一般式(1)で示されるイミノ基含有ホスファゼニウム塩、ポリアルキレングリコール製造用活性種を多量に含有するものである。
【0029】
本発明における(B)工程は、(A)工程により得られたポリアルキレングリコールに、平均粒径100〜500μm、比表面積100m
2/g以上450m
2/g未満の固体酸を接触した後、固体酸を分離する工程である。すなわち、(A)工程により得られたポリアルキレングリコールと固体酸を接触することにより、ポリアルキレングリコール中に残存するイミノ基含有ホスファゼニウム塩及び/又はポリアルキレングリコール製造用活性種を固体酸に吸着させ、該固体酸を分離することにより、よりイミノ基含有ホスファゼニウム化合物の残存量の低いポリアルキレングリコールとする工程である。
【0030】
この際の固体酸は、固体酸の範疇に属するものであれば如何なるものも用いることができ、例えば合成ケイ酸アルミニウム、合成ケイ酸マグネシウム、活性白土、ゼオライト、酸性白土等が挙げられる。特に好ましく用いられる固体酸は、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、及びこれらの混合物であり、なかでもイミノ基含有ホスファゼニウム塩の吸着能に優れ、高強度で破砕しにくいケイ酸アルミニウムが好ましい。
【0031】
使用する固体酸の平均粒径は100〜500μmである。平均粒径が100μm未満である場合、固体酸をろ過分離する際に長時間要し効率的な製造を達成することが困難となる。一方、平均粒径が500μmを超える固体酸の入手は困難である。
【0032】
また、使用する固体酸の比表面積は100m
2/g以上450m
2/g未満である。比表面積が100m
2/g未満の固体酸である場合、イミノ基含有ホスファゼニウム塩の吸着能に乏しく、吸着処理に長時間要したり、大量の固体酸が必要になる等、経済性、効率の面で劣る製造方法となる。一方、比表面積が450m
2/gを超える固体酸である場合、固体酸の強度が乏しくなり、イミノ基含有ホスファゼニウム塩を吸着処理する際に破砕が起こり、その後の固体酸のろ過分離除去が困難となり効率的な製造を達成することが困難となる。
【0033】
該固体酸としては、例えば、ケイ酸アルミニウムとして(商品名)KW−700−SN(協和化学工業製)、(商品名)AD−700NS(富田製薬製);ケイ酸マグネシウムとして(商品名)KW−600−SN(協和化学工業製)、(商品名)AD−600NS(富田製薬製)等を市販品として入手することができる。
【0034】
ここで、該固体酸の使用量に制限はなく、その中でも効率的な工程が可能となることからポリアルキレングリコール100重量部に対して、0.1〜3重量部が好ましく、特に0.5〜2重量部であることが好ましい。
【0035】
該(B)工程におけるポリアルキレングリコールと固体酸との接触方法としては任意であり、その際の温度としては、例えば60〜110℃、好ましくは70〜100℃を挙げることができる。また、接触時間としては、例えば0.5〜10時間、好ましくは1〜3時間を挙げることができる。
【0036】
該(B)工程におけるポリアルキレングリコールと固体酸とを接触する際、水性媒体を共存させてもよい。この場合の水性媒体の量としては、ポリアルキレングリコール100重量部に対して0.1〜10重量部であることが好ましい。また、水性媒体を使用した場合、ポリアルキレングリコールと固体酸とを接触した後に減圧脱水してもよいし、固体酸を分離した後に減圧脱水してもよい。このときの減圧脱水条件に特に制限はなく、例えば80〜120℃、0.01〜5kPaで行うことができる。
【0037】
該(B)工程において、ポリアルキレングリコールと固体酸との分離方法は任意であり、例えば減圧濾過、加圧濾過、遠心濾過、デカンテーション、遠心デンカンテーション等の方法を用いることが可能である。また、その際には、ケイソウ土、セルライトなどの濾過助剤を用いることも可能である。
【0038】
該(B)工程において得られるポリアルキレングリコールは、イミノ基含有ホスファゼニウム化合物を分離したものではあるが、まだ、若干のイミノ基含有ホスファゼニウム化合物を含有するポリアルキレングリコールとも言えるものである。ここでいう遊離したイミノ基含有ホスファゼニウム化合物とはあくまでポリアルキレングリコール中に含まれるイミノ基含有ホスファゼニウム塩及び/又はポリアルキレングリコール製造用活性種に由来する化合物であり、必ずしも上記一般式(1)で示されるイミノ基含有ホスファゼニウム塩及び/又はポリアルキレングリコール製造用活性種と一致するものではない。
【0039】
該(B)工程においては、ポリアルキレングリコールと固体酸とを接触する際に過酸化物、アルデヒド等の発生を抑制するために酸化防止剤を存在させることが好ましく、その際の酸化防止剤の添加量としては、該ポリアルキレングリコール100重量部に対して、100〜2000ppmであることが好ましく、特に600〜1000ppmであることが好ましい。また、その際の酸化防止剤としては、例えばフェノール系化合物酸化防止剤、アミン系化合物酸化防止剤、亜リン酸エステル系化合物酸化防止剤、等が例示でき、具体的には、フェノール系化合物酸化防止剤としては、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(以下BHTと略することもある。)、2−tert−ブチル−4−メトキシフェノール(以下、BHAと略することもある。)、6−tert−ブチル−2,4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジーtert−ブチル−4−エチルフェノール、等があげられる。また、アミン系化合物酸化防止剤としては、n−ブチル−p−アミノフェノール、4,4−ジメチルジフェニルアミン、4,4−ジオクチルジフェニルアミン(以下DOAと略す。)、4,4−ビス−α,α’−ジメチルベンジルフェニルアミン等が挙げられる。これらの酸化防止剤は単独、もしくは2種類以上併用しても構わない。これらの酸化防止剤の中で好ましくは、BHT、BHA、DOAである。
【0040】
本発明のポリアルキレングリコールの製造方法は、上記(A)工程と(B)工程を経てなるものであり、これら工程を経てなるものであれば本発明を逸脱しない限りにおいて如何なる付加工程を付随することも可能である。
【0041】
そして、本発明の製造方法によれば、イミノ基含有ホスファゼニウム化合物を効率よく除去することが可能となるとともに、イミノ基含有ホスファゼニウム化合物の残存量の低いポリアルキレングリコールを効率的に製造することが可能となる。そして、ポリアルキレングリコール中に残存するイミノ基含有ホスファゼニウム化合物は、ポリウレタン用材料として用いた際に、ポリイソシアネート化合物との反応に悪影響を及ぼす可能性が高く、ポリアルキレングリコールとしては、その残存量の低いものであることが好ましく、本発明の製造方法により得られるポリアルキレングリコールとしては、そのイミノ基含有ホスファゼニウム化合物の残存量が50ppm以下のものが好ましく、特に20ppm以下、さらに10ppm以下のポリアルキレングリコールとすることが好ましい。
【0042】
また、本発明の製造方法により得られるポリアルキレングリコールは、ポリイソシアネート化合物と反応しポリウレタンとした際の着色が少なく、反応制御が容易なポリアルキレングリコールとなることから、pH5.5〜8.0のポリアルキレングリコールとすることが好ましい。なお、ここでいうpHとは、例えばpH計(飽和カロメル電極はスリープ形)を用い、室温における2−プロパノール水溶液(2−プロパノール/水容量比=100/60)により見掛けのpHとして測定することができる。
【0043】
さらに、本発明の製造方法により得られるポリアルキレングリコールとしては、水酸基価5〜500mgKOH/g、特に10〜100mgKOH/g、さらに15〜50mgKOH/gを有すものが好ましい。また、総不飽和度が0.05meq./g以下であるものが好ましく、加えて、分子量分布が1.1以下の狭いものであることが好ましい。また、このようなポリアルキレングリコールを効率的に容易に製造できるものである。
【0044】
本発明のポリアルキレングリコールの製造方法により得られるポリアルキレングリコールは、ポリウレタン原料、ポリエステル原料、界面活性剤原料、潤滑剤原料等に有用である。特に各種イソシアネート化合物と反応させることにより、断熱材等に使用される硬質フォームや、自動車のシート・クッション、寝具等に使用される軟質フォーム、接着剤、塗料、シーリング材、熱硬化性エラストマー、熱可塑性エラストマーへの展開が期待される。