(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
磁性材料の構成元素イオンを含む溶液から得られる沈殿物を焼成し、酸化物を得る第一の工程と、還元性ガスを含む雰囲気のもとで前記酸化物を還元する第二の工程と、その第二の工程で得た酸化物の粉末と金属カルシウムとを混合する第三の工程と、その混合物を還元拡散反応させる第四の工程とを含む希土類−鉄−窒素系磁性材料の製造方法であって、
前記第三の工程は、その混合物を50kgf/cm2以上500kgf/cm2以下の圧力でプレスする工程を含むことを特徴とする希土類−鉄−窒素系磁性材料の製造方法。
【背景技術】
【0002】
異方性の希土類−鉄−窒素系磁性材料として、SmFeN系の磁性材料は、優れた磁気特性を有し、NdFeB系の磁性材料にかわる希土類ボンド磁石用の磁性材料として注目されている。
【0003】
例えば、希土類−鉄−窒素系磁性材料と樹脂とを混合してなるコンパウンドを、射出成形機にて溶融させて固化させることにより、所望とする形状のボンド磁石を容易に形成することができる。
【0004】
このように、希土類−鉄−窒素系磁性材料を用いた射出成形体は、形状自由度に富んでいるだけでなく、他部材との一体成形なども可能であることから、その利用分野を徐々に増やしている。
【0005】
希土類−鉄−窒素系磁性材料の製造方法として、例えば、特許文献4に開示される製造方法は、原料として希土類酸化物を含有する数μmサイズの粉末を作成した後、これに還元剤として金属カルシウムを加えて還元拡散反応を起こさせ、引き続き窒化する方法である。
【0006】
このような製造方法とすることにより、従来から知られているような、原料を焼成した後の機械的粉砕工程を経ることなく、単磁区粉末サイズの磁性材料を得ることができる。その結果、磁気特性に優れた希土類−鉄−窒素系磁性材料を得ることができる。
【0007】
その一方、上述の還元拡散反応は、溶融して液状化された金属カルシウムの中で行うため、固体原料同士が凝集しやすくなる。そのため、単分散状態の磁性材料のみを得ることは困難であり、凝集体や粗大粒子が出現することで、保磁力および残留磁束密度の低下を伴う。
【0008】
希土類−鉄−窒素系磁性材料の製造において、金属カルシウムが溶解する時の固体原料の状態を最適化することが重要であることが分かっている。つまり、固体原料の粒子の疎密状態や、水分などの外部環境の影響を受けやすい固体原料の表面状態が、製造された磁性材料の磁気特性に大きく影響を及ぼす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に記載の製造方法は、希土類−鉄−窒素系磁性材料の原料として、酸化鉄粉末と希土類酸化物粉末とを、有機溶媒の中で所定量の割合で混合している。このようにして得られた混合粉末を希土類鉄酸化物の生成量が6重量%以下となるように、水素ガスの存在下で熱処理している。
【0011】
このような水素還元で得られた希土類鉄酸化物は、粒子径が1〜3μm程度の小さい金属粉末であると予想される。そのため、大気中の水分や酸素の影響を受けやすく、発火する虞がある。
【0012】
特許文献2に記載の製造方法は、遷移金属合金粉末と希土類酸化物と還元剤とからなる原料を、例えば、坩堝のような反応容器に詰めた後、原料を加圧せずに、その反応容器自体を振動させている。これにより、原料の混合物の体積を減らし、さらに還元拡散すると、原料粒子間の距離が縮まり、熱伝導がよくなることで、反応時間を短縮できる。
【0013】
しかしながら、特許文献2に記載の製造方法では、反応容器を振動させることによって、原料混合物の体積は低減する一方で、振動によって原料混合物と還元剤が均一に分散することなく、それらの比重差で分離してしまう。そのため、最適な状態で原料混合物と還元剤を十分に反応させることができず、磁気特性を向上させることができない。
【0014】
特許文献3に記載の製造方法は、遷移金属合金粉末と希土類酸化物と還元剤とを収容した反応容器を、酸素が実質的に存在しない非酸化雰囲気で反応させている。この反応容器内の雰囲気を最適化することにより、磁性材料の磁気特性を向上させることができる。
【0015】
特許文献4に記載の製造方法は、磁性材料の原料に、さらに添加元素を加えて、磁気特性、特に、保磁力および角形比を向上させている。この製造方法では、磁性材料本来の原料とは別に添加元素を準備する工程と、それを原料混合物に添加するという余分な工程が必要となる。
【0016】
以上のような状況に鑑み、本発明は、磁化及び保磁力に優れた希土類―鉄―窒素系磁性材料を、安定して得ることができる製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
以上の目的を達成するために本発明の希土類−鉄−窒素系磁性材料の製造方法は、磁性材料の構成元素イオンを含む溶液から得られる沈殿物を焼成し、酸化物を得る第一の工程と、還元性ガスを含む雰囲気のもとで上記酸化物を還元する第二の工程と、その第二の工程で得た酸化物の粉末と金属カルシウムとを混合する第三の工程と、その混合物を還元拡散反応させる第四の工程とを含む希土類−鉄−窒素系磁性材料の製造方法であって、上記第三の工程において、その混合物を50kgf/cm
2以上500kgf/cm
2以下の圧力でプレスする工程を含むことを特徴とする。
【0018】
上記第三の工程は、不活性雰囲気かつ、露点温度が−20℃以下の条件でなされることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、製造装置内の露点温度と、原料のプレス圧を調整することにより、周囲環境の影響を受けることが比較的少なく、安定して、磁気特性に優れた磁性材料を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明を実施するための最良の形態を、以下に図面を参照しながら説明する。ただし、以下に示す形態は、本発明の技術思想を具体化するための希土類―鉄―窒素系磁性材料およびその製造方法を例示するものであって、本発明は、希土類―鉄―窒素系磁性材料およびその製造方法を以下に限定するものではない。
【0022】
本発明は、磁性材料の構成元素イオンを含む溶液から得られる沈殿物を焼成し、酸化物を得る第一の工程と、還元性ガスを含む雰囲気のもとで上記酸化物を還元する第二の工程と、その第二の工程で得た酸化物の粉末と金属カルシウムとを混合する第三の工程と、その混合物を還元拡散反応させる第四の工程とを含む希土類−鉄−窒素系磁性材料の製造方法に関する。
【0023】
例えば本発明は、一般式がSm
xFe
100-x-yN
y(ただし、3<x<30、5<y<15である。)で示される磁性材料の製造方法であり、上記第一の工程は、SmイオンおよびFeイオンを含む溶液から得られる沈殿物を焼成した後、その沈殿物から酸化物を得る工程である。また、上記第二の工程は、第一の工程で得られた酸化物を、水素、一酸化炭素、メタンなどの炭化水素ガスによる還元性ガスで還元する工程である。また、第四の工程は、金属カルシウム(Ca)を混合する第三の工程の後、その混合物に対して金属Caによる還元拡散反応を行う工程である。これらの工程を含む製造方法によって、一般式Sm
xFe
100-x-yN
yで示される磁性材料が得られる。
【0024】
このような磁性材料の製造方法において、磁化及び保磁力に優れた希土類―鉄―窒素系磁性材料を、安定して得るため、本発明者らが鋭意検討した結果、本発明者らは、磁性材料の磁気特性は、取り扱う部屋の雰囲気中の露点が磁気特性に影響し、しかも本発明のプレス圧力に大きく関係していることを見出し、製造装置内の露点温度と、原料混合物のプレス圧とを調整することにより、上述の課題を解決し本発明に至った。
【0025】
すなわち、本発明は、上記第二の工程で得られた酸化物粉末と金属Caとを混合する第三の工程において、原料混合粉末を加圧プレスすること、原料を混合しプレスする装置内(室内)の露点温度を制御することを特に重要な特徴とする。
【0026】
まず、原料混合粉末を加圧プレスすることについて説明する。酸化物粉末と金属Caの混合粉を金型に充填し、油圧プレス機等でプレスする。プレスの圧力は、50kgf/cm
2以上500kgf/cm
2以下であり、好ましくは100kgf/cm
2以上300kgf/cm
2以下である。例えば、300kgf/cm
2の圧力でプレスすることにより、自然充填率が0.6g/cm
3であったものを、1.7g/cm
3にまで上昇させることができる。
【0027】
ここで、プレスの圧力が300kgf/cm
2以上になると、プレス機が大型化し、生産上好ましくない。また、50kgf/cm
2以下の場合、プレスによる磁気特性の向上が少ないからである。
【0028】
プレスすることの意義は、以下の通りであると考えられる。まず、酸化物粒子間の距離は、金属Caの溶解後の溶け広がりに影響する。つまり、酸化物粒子間の距離が小さくなると、金属Caが溶解後に溶け広がり易くなる。具体的には、プレスしない場合に比べて、プレスした原料は、原料粒子間の距離が小さくなり、融点857℃で溶解した金属Caは、粒子と粒子の間に形成された小さい隙間を毛細管現象により、溶け広がりやすくなる。
【0029】
金属Caが溶け広がりやすくなると同時に、原料混合物をプレスすることにより、原料のプレス体の内部が外気の影響を受けにくくすることができる。
【0030】
次に、原料を混合しプレスする装置内の露点を制御することについて説明する。まず、酸化物の粉末は、通常その粒子径が1μm以下である。そのために、外気中の水分や酸素の影響を受けやすいことが分かっている。
【0031】
例えば、本発明の酸化物粉末を室温25℃、湿度60%の大気中に置くと、発火する虞がある。そのため、混合する装置内(室内)は、不活性雰囲気を保つことが好ましい。
【0032】
具体的に説明すると、プレス体にしない場合、つまりプレス圧力が0kgf/cm
2のとき、粒子と粒子の間の隙間が比較的大きい。しかも、酸化物の粉末は、その粒子径が1μm以下なので、外気中の水分や酸素の影響を受けやすい。また、還元剤である金属Caは、粒子径が数ミリメートルの粒子であるが、イオン化傾向が大きいので、空気中で酸化されやすい。
【0033】
そこで、本発明は、混合する装置内(室内)の露点温度を所定の温度に調整する。ここで、露点温度とは、装置内の空気の温度を下げていったとき、空気に含まれる水蒸気が水滴になり始める温度である。
【0034】
よって、露点温度が高いということは空気が湿っており(湿度が高い)、逆に低いということは空気が乾燥している(湿度が低い)ということを意味する。この露点温度の測定方法は、酸化アルミ式静電容量式のセンサーで測定する。
【0035】
本発明の露点温度は、−20℃以下であり、好ましくは−40℃以下である。ここで、露点温度が−20℃より大きくなると、たとえ原料粉末をプレスしていても磁気特性の低下が起き始めるからである。
【0036】
以上説明したように、本発明は、装置内(室内)の露点温度を制御し、酸化物の粉末と金属Caをプレスすることにより、磁気特性を向上させ、安定して磁性材料を得ることができる。つまり、本発明は、磁気特性を低下及び不安定化する要因は、粗大粒子の発生や凝集体の形成であることを見出し、それらを制御することにより課題を解決したものである。
【0037】
以下、本発明の希土類−鉄−窒素系磁性材料の製造方法の一例として、一般式Sm
xFe
100-x-yN
yで示される磁性材料の製造方法を説明する。
【0038】
(第一の工程)
まず、SmイオンとFeイオンを含む溶液を作り、アンモニアを滴下し、Sm−Fe水酸化物の沈殿物を作る。
【0039】
沈殿物を分離洗浄後、乾燥させ、大気中900℃で焼成する。焼成することで、Sm−Fe酸化物原料が得られる。
【0040】
本発明の製造において、溶液中での均一混合が重要である。溶液は、酸性溶液なら何でもよいが、塩酸、硫酸または硝酸が好ましい。
【0041】
上記溶液から不要性の塩を生成するイオンとして、好ましくは、水酸化物イオン、炭酸イオン、シュウ酸イオンを挙げることができる。
【0042】
水酸化物イオンは、例えば、アンモニアや苛性ソーダにより提供することができる。また、炭酸イオンは、重炭酸アンモニウム、重炭酸ソーダにより提供することができる。さらに、シュウ酸イオンは、シュウ酸により提供することができる。
【0043】
得られた沈殿物の粒子径、粒度分布、組成の制御は、上記各種イオンの供給速度や反応温度および攪拌速度等によって行うことができる。
【0044】
大気中での焼成温度は、700℃以上1300℃以下、好ましくは900℃以上1100℃以下である。このような焼成を行う目的は、非金属イオンを分解し、金属酸化物にすることであり、この目的が達成される温度に調整される。
【0045】
(第二の工程)
第二の工程は、得られた酸化物原料を還元性ガスで還元する工程である。還元性ガスとして、水素、一酸化炭素、メタンなどの炭化水素ガスを挙げることができる。
【0046】
また、加熱温度を300℃以上900℃以下とすることにより、酸化鉄に含まれる酸素は、水分や二酸化炭素の形で除去することができる。
【0047】
この第二の工程における反応の温度は、好ましくは、400℃以上800℃以下である。第二の工程における反応の温度が低いと還元反応が進行しにくく、高いと粒子同士が凝集して、第一の工程で作製した粒子径から逸脱するからである。
【0048】
(第三の工程)
本発明において特に重要となる工程である。本工程では、第二の工程で得られた酸化物の粉末と金属Caと混合する。混合装置は、Vブレンダーや攪拌翼をもつミキサーでよく、混合粉は、金型に充填する。充填後、混合物のプレスを行い、プレス体を得る。
【0049】
金型の形状やサイズは、プレス体の形状が球状、円柱状、四角柱状などの形状となるものであれば何れの形状でも構わない。また、金型の大きさは、原料混合物を金型に充填する時にこぼれないサイズにしておくことが好ましい。
【0050】
プレス機は、油圧式プレスやロータリープレス等が考えられるが、生産性を考慮すると、油圧式プレスが好ましい。
【0051】
プレスの圧力は、500kgf/cm
2以下であり、好ましくは50から300kgf/cm
2である。300kgf/cm
2以上になると、プレス機が大型化し、生産上好ましくない。また、50kgf/cm
2以下の場合、プレスによる磁気特性の向上が少ない。
【0052】
金属Caは、粒度10mm以下のものが好ましい。また、反応当量(酸化物粉末の酸素を還元するのに必要な量)は、1.1〜3.0当量であり、好ましくは、1.5〜2.0当量である。
【0053】
また、必要に応じて塩化カルシウム等のアルカリ土類金属塩、酸化カルシウムを混合してもよい。
【0054】
本発明で、得られたプレス体は、鋼製の容器にそのまま充填する。なお、プレス体を配置することができる器材であれば、鋼製の容器に限定されることはなく、板状の器材であってもよい。本発明は、従来の製造方法のように、坩堝に原料混合物の粉末を充填することがないので、原料混合物から坩堝の内面への余分な付着物の発生を気にすることなく製造することができる。
【0055】
(第四の工程)
プレス体を炉内に入れて、真空排気後、Arガスを導入しながら、700〜1200℃まで温度を上昇させる。温度は、好ましくは800〜1100℃である。また、加熱処理時間は、3〜10時間の範囲で行うことが好ましい。
【0056】
その後、例えば、特許文献4に開示されるような従来と同様の方法により、窒化、水洗および乾燥の工程を行い、最後に磁気特性の評価を行う。
【0057】
以下、本発明に係る実施例について詳述する。なお、本発明は以下に示す実施例のみに限定されないことは言うまでもない。
<実施例1>
【0058】
(原料を作成する工程)
・溶解
Fe-Sm硫酸溶液を作製する。純水2.0kgにFeSO
4・7H
2Oの5.0kgを溶解させる。さらに、Sm
2O
3を0.49kgと、70%硫酸を0.74kgとを加えて、攪拌する。さらに、純水を加えて最終的にFeが0.726mol/L、Smが0.112mol/Lとなるように調整し、Fe-Sm硫酸溶液を完成させる。
・沈殿
温度35℃に保持された純水2kgの中に、上記Fe-Sm硫酸溶液を攪拌しながら滴下すると同時にアンモニアも滴下させ、pHを7〜8に調整した。これにより、Fe−Sm水酸化物沈殿が得られる。得られた沈殿物は、スラリー化している。
・洗浄、乾燥、焼成
上記スラリーを洗浄し、その後分離する。装置内温度80℃のオーブンにいれて約10時間乾燥させる。その後、大気中で1000℃のもと焼成する。冷却させた後装置内から取り出した粉体は、赤色をしていた。
【0059】
(水素還元する工程)
大気焼成で得られた酸化物の2kgを、鋼容器に詰める。その時の積厚は、18mmであった。容器を炉内に入れて、100Paまで真空引きする。その後、水素ガスを導入しながら、700℃まで上昇させた。その後、15時間保持する。得られた粉末は、黒色の酸化物粉末である。
【0060】
この工程で、Smと結合している酸素は還元できないが、Feと結びついている酸素は還元できる。Feと結びついている酸素の95%は還元されている。
【0061】
(還元拡散する工程)
・混合
上記で得られた酸化物粉末は、大気に開放せず、原料粉末を混合およびプレスする部屋(混合プレス室)内まで運搬する。この混合プレス室内には、グローブボックスが併設されており、グローブボックスに手を突っ込んで作業を行う。
【0062】
混合プレス室内には、窒素を10L/分で流入させて、露点温度を−70℃に設定している。上記で得られた酸化物粉末の酸素量に対して、2.0倍当量の金属Ca(粒径が約6mm)を用意し、混合プレス室内に入れておく。
【0063】
酸化物混合粉末の1.0kgに対して、金属Caの0.26kgをVブレンダーで混合する。混合時間5分とする。Vブレンダー作業も全て混合プレス室で行う。
・金型充填
まず、内面が内径200mm深さ100mmの円柱状の金型に混合粉を充填する。充填後の高さは、72mmになった。油圧プレスで、350kgf/cm
2(内径200mmの面全体で110トン)でプレスを行う。プレス後の厚さは、23mmであった。
・炉に仕込み
得られたプレス体は、外径200mm×厚さ23mmの円盤状とする。これをグローブで掴み、300mmの鋼容器に充填する。それを炉内にセットする。これらの混合、金型充填および炉に仕込みの全ての作業は、露点温度を管理して窒素を充満させた混合プレス室内で行う。
・還元拡散
炉内を真空引き後、Arを導入し1100℃まで温度を上昇させる。2時間保持した後、冷却する。
【0064】
(窒化する工程)
次に、100℃まで冷却後、真空引きを行い、引き続き窒素を導入しながら450℃まで温度を上昇させる。そして、23時間保持する。
【0065】
(水洗)
得られた焼成品は、ブロック状であった。ハンマーで50mm程度に解砕し、純水に投入した。30分間攪拌した後、デカンテーションし、上澄み液のCa(OH)
2成分を捨てる。この上澄み液は、真っ白な液体である。デカンテーションを10回繰り返し、99.9%酢酸を投入して、15分間攪拌した。得られたスラリーを固液分離し、80℃で真空乾燥する。保持時間は10時間であり、最終真空度は50Paであった。
【0066】
(粉末)
得られた粉末は、金属光沢のある粉であり、平均粒径が3.2μmのSmFeN系磁性材料が得られた。
【0067】
(磁気特性)
得られた磁性材料を、パラフィンワックスと共に試料容器に詰め、ドライヤーにてパラフィンワックスを溶融させた後、16kA/mの配向磁場にてその磁化容易磁区を揃える。
【0068】
この磁場配向した試料を32kA/mの着磁磁場でパルス着磁し、最大磁場16kA/mのVSM(振動試料型磁力計)を用いて保磁力および残留磁束密度を測定する。その結果、残留磁束密度が1.34Tであり、保磁力が1303kA/mであり、平均粒子径が3.2μmであった。
<その他の実施例>
【0069】
原料混合物のプレス圧を、50、100、150、200、250、300kgf/cm
2と変化させ、それぞれのプレス圧での露点温度を、−70、−60、−50、−40、−30、−20℃と変化させてプレス体を作成する。それ以外は、実施例1と同様に実施する。
<比較例>
【0070】
原料混合物のプレス圧を、0kgf/cm
2、25kgf/cm
2と変化させ、それぞれのプレス圧での露点温度を、−70、−60、−50、−40、−30、−20℃と変化させてプレス体を作成する。それ以外は、実施例1と同様に実施する。
【0071】
図1は、本発明の実施例およびその比較例における、露点温度と磁性材料の残留磁束密度との関係を示すグラフである。また、
図2は、本発明の実施例およびその比較例における、露点温度と磁性材料の保磁力との関係を示すグラフである。
【0072】
図1および
図2に示されているように、露点温度が−70℃以上−20℃以下の範囲内では、50kgf/cm
2以上の圧力で混合原料をプレスすることにより、残留磁束密度が1T以上であり、保磁力が1200kA/m以上という高い磁気特性の磁性材料が得られることが分かる。また、露点温度が−20℃より大きくなると、たとえ原料混合物をプレスしていても磁気特性が低下し始めることが分かる。