(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5875306
(24)【登録日】2016年1月29日
(45)【発行日】2016年3月2日
(54)【発明の名称】管継手
(51)【国際特許分類】
F16L 19/03 20060101AFI20160218BHJP
F16L 23/036 20060101ALI20160218BHJP
【FI】
F16L19/03
F16L23/036
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2011-206749(P2011-206749)
(22)【出願日】2011年9月22日
(65)【公開番号】特開2013-68269(P2013-68269A)
(43)【公開日】2013年4月18日
【審査請求日】2014年7月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】100083149
【弁理士】
【氏名又は名称】日比 紀彦
(74)【代理人】
【識別番号】100060874
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 瑛之助
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(72)【発明者】
【氏名】岡部 庸之
(72)【発明者】
【氏名】守谷 修司
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 健一
(72)【発明者】
【氏名】中田 知宏
(72)【発明者】
【氏名】篠原 努
(72)【発明者】
【氏名】山路 道雄
【審査官】
渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】
特開平04−228989(JP,A)
【文献】
米国特許第05066051(US,A)
【文献】
特表2002−504213(JP,A)
【文献】
米国特許第05040714(US,A)
【文献】
米国特許第05131692(US,A)
【文献】
特開2007−278341(JP,A)
【文献】
特公平07−081656(JP,B2)
【文献】
米国特許第05060987(US,A)
【文献】
米国特許第06547255(US,B1)
【文献】
米国特許第03840257(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L19/00−19/14
F16L23/00−23/24
F16J15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに連通する流体通路を有している一対の管状継手部材と、両継手部材の突合わせ端面の間に介在させられる円環状ガスケットとを備えており、いずれか一方の継手部材に設けられたおねじ部材と他方の継手部材に設けられためねじ部材とによって継手部材同士が結合される管継手において、
おねじ部材は、外周におねじが形成され、かつ、継手部材に突き合わされる円筒状の本体と、本体の継手部材との突き合わせ面から軸方向に突出し、かつ、おねじが形成されていない円筒状の突出部とを有しており、
おねじ部材の突出部は、両継手部材の突き合わせ部外周面を覆っていることを特徴とする管継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、管継手に関し、特に半導体の製造用などの極めて高い清浄度が要求される用途に適している管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体の製造用などの極めて高い清浄度が要求される用途に適している管継手として、互いに連通する流体通路を有している一対の管状継手部材と、両継手部材の突合わせ端面の間に介在させられる円環状ガスケットとを備えており、いずれか一方の継手部材に設けられたおねじ部材と他方の継手部材に設けられためねじ部材とによって継手部材同士が結合されるものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−96329号公報(
図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の管継手において、おねじ部材とめねじ部材とをねじ合わせていく時に、微粒子が生じる可能性があり、この場合に、微粒子が流体通路内に入り、高い清浄度を確保することができなくなる可能性がある。
【0005】
この発明の目的は、おねじ部材とめねじ部材とをねじ合わせていく時に生じた微粒子が流体通路内に入ることを防止し、高い清浄度を維持することができる管継手を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明による管継手は、互いに連通する流体通路を有している一対の管状継手部材と、両継手部材の突合わせ端面の間に介在させられる円環状ガスケットとを備えており、いずれか一方の継手部材に設けられたおねじ部材と他方の継手部材に設けられためねじ部材とによって継手部材同士が結合される管継手において、おねじ部材は、外周におねじが形成され
、かつ、継手部材に突き合わされる円筒状の本体と、本体の継手部材との突き合わせ面から軸方向に突出し
、かつ、おねじが形成されていない円筒状の突出部とを有しており、おねじ部材の突出部は、両継手部材の突き合わせ部外周面を覆っていることを特徴とするものである。
【0007】
おねじ部材とめねじ部材とをねじ合わせていく時には、微粒子が生じる可能性があるが、おねじ部材に、両継手部材の突き合わせ部外周面を覆う
突出部が設けられていることにより、微粒子が流体通路内に入ることが防止され、高い清浄度を維持することができる。
【0008】
各継手部材は、内周が流体通路となる円筒状のスリーブ本体と、その突き合わせ端部に一体に設けられたフランジとからなる同一形状とされており、スリーブ本体同士は、ガスケットを介して対向し、フランジ同士は、その突き合わせ端面がスリーブ本体よりも突出し、締め過ぎ防止用間隙を介して対向させられていることが好ましい。
【0009】
スリーブ同士がガスケットを介して突き合わされるに際し、スリーブの突き合わせ端面同士の間隔がガスケットの幅に等しい大きさであると、微粒子が侵入する可能性が高くなるが、フランジ同士が締め過ぎ防止用間隙を介して対向させられているようにすることで、おねじ部材の
突出部と合わせて、2重の微粒子侵入防止機構が得られる。締め過ぎ防止用の隙間は、適正な締付けを行った場合に、ほぼゼロとなり、これよりさらに締付けを行った場合に、締付けに対する抗力が大きくなるように設定されることで、微粒子侵入防止だけでなく、締め過ぎ防止にも寄与することができる。
【発明の効果】
【0010】
この発明の管継手によると、おねじ部材に、両継手部材の突き合わせ部外周面を覆う
突出部が設けられているので、おねじ部材とめねじ部材とをねじ合わせていく時に生じる可能性がある微粒子が流体通路内に入ることが防止され、高い清浄度を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、この発明による管継手の1実施形態を示す縦断面図である。
【
図2】
図2は、この発明による管継手で使用されているおねじ部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態について説明する。なお、以下の説明において、
図1の左右を左右とする。
【0013】
図1は、この発明による管継手の1実施形態を示しており、管継手(1)は、互いに連通する流体通路を有している第1および第2の管状継手部材(2)(3)と、両継手部材(2)(3)間に介在させられた円環状ガスケット(4)と、ガスケット(4)を保持して自身が第1継手部材(2)に保持されるリテーナ(5)と、第1の継手部材(2)に嵌められた略円筒状のおねじ部材(6)と、第2の継手部材(3)に嵌められた略円筒状のめねじ部材(7)とを備えている。
【0014】
各継手部材(2)(3)は、内周が流体通路となる円筒状のスリーブ本体(11)(13)と、その突き合わせ端部に一体に設けられたフランジ(12)(14)とからなり、同一形状とされている。
【0015】
ガスケット(4)は、ニッケル合金等の金属製とされ、これが両継手部材(2)(3)の突き合わせ端面間で塑性変形することでシール性を得るようになっている。各継手部材(2)(3)のスリーブ本体(11)(13)の突き合わせ端面には、環状のガスケット押さえ突起(11a)(13a)が設けられている。ガスケット(4)の内径は、各継手部材(2)(3)の内径に等しくなされている。
【0016】
ガスケット(4)は、右端部に他の部分よりも外径が大きく内径は等しい大径部(4a)が設けられることで、スムーズな内周面と段付きの外周面とを有する形状とされている。リテーナ(5)は、ガスケット(4)の大径部(4a)に対応する大径部(5a)が内周面に設けられることで、ガスケット(4)の段付き外周面に対応する段付きの内周面を有する形状とされている。ガスケット(4)とリテーナ(5)とは、ガスケット(4)の大径部(4a)がリテーナ(5)の大径部(5a)内に収まるように嵌め合わされている。
【0017】
スリーブ本体(11)(13)同士は、ガスケット(4)を介して対向し、フランジ(12)(14)同士は、その突き合わせ端面がスリーブ本体(11)(13)よりも突出し、締め過ぎ防止用間隙(G)を介して対向させられている。フランジ(12)(14)の突き合わせ端面には、リテーナ(5)を収めるための凹所(12a)(14a)が形成されている。
【0018】
リテーナ(5)は、ガスケット(4)を保持してフランジ(12)(14)の凹所(12a)(14a)に嵌め入れられているとともに、断面円形の金属製線材がC状に形成されたスナップリング(8)によって第1の継手部材(2)に保持されている。
【0019】
おねじ部材(6)は、
図2にも示すように、円筒状の本体(15)と、本体(15)の右端面(突き合わ
せ面)から右方(軸方向)に突出して両継手部材(2)(3)の突き合わせ部外周面を覆う円筒状
の突出部(16)と、本体(15)の右端部(突き合わせ端部)の外周に設けられたおねじ部(17)と、本体(15)の左端部(反突き合わせ端部)の外周に設けられた六角係合部(18)とを有している。おねじ部材(6)は、第1継手部材(2)に左方から嵌められて、その本体(15)右面が第1継手部材(2)のフランジ(12)の左面に左方から当接させられている。
【0020】
めねじ部材(7)は、袋ナットと称されるもので、第2継手部材(3)に右方から嵌められている。めねじ部材(7)の左端部の内周には、おねじ部材(6)のおねじ部(17)にねじ合わされているめねじ部(7a)が形成されている。めねじ部材(7)の右端部には、内向きフランジ(7b)が形成され、内向きフランジ(7b)は、第2継手部材(3)のスリーブ本体(13)の周囲にはめられて、第2継手部材(3)のフランジ(12)の右面に右方から当接させられている。
【0021】
おねじ部材(6)の
突出部(16)の内径は、第1および第2継手部材(2)(3)のフランジ(12)の外径よりわずかに大きくされ、外径は、めねじ部材(7)の内径よりもわずかに小さくなされている。
【0022】
第2継手部材(3)のフランジ(14)とめねじ部材(7)の内向きフランジ(7a)との間に共回り防止用のワッシャ(9)が介在させられている。
【0023】
図1には、おねじ部材(6)とめねじ部材(7)とを手で締め付けた状態(完全に締め付けられる前の状態)が示されており、ガスケット押さえ突起(11a)(13a)の先端がガスケット(4)に当接している。この後、適正(所定のトルク値または所定のナット回転量)に締め付けられた際には、ガスケット押さえ突起(11a)(13a))がガスケット(4)の両面に食い込むことで、強いシール性が確保されるとともに、各スリーブ本体(11)(13)のガスケット押さえ突起(11a)(13a)が設けられていない部分がガスケット(4)の両面に全面密着することで、シール性がさらに高められる。
【0024】
この際、フランジ(12)(14)の突き合わせ端面間にある締め過ぎ防止用間隙(G)は、小さくなるが、わずかな大きさを保持している。この締め過ぎ防止用間隙(G)は、適正な締付けを行った場合に、ほぼゼロとなるように設定されており、適正な締付け状態では、フランジ(12)(14)の突き合わせ端面同士では、力は及ぼし合わないまたは大きな力は及ぼさないようになっている。そして、これよりさらに締付けを行った場合に、締め過ぎ防止用間隙(G)がマイナスとなり、フランジ(12)(14)の突き合わせ端面間で互いに力を及ぼし合うことで、締付けに対する抵抗が増大し、これにより、過剰な締付けが防止される。
【0025】
おねじ部材(6)とめねじ部材(7)とをねじ合わせていく時には、微粒子が生じる可能性があり、スリーブ本体(11)(13)同士がガスケット(4)を介して突き合わされるに際し、スリーブ本体(11)(13)の突き合わせ端面同士の間隔がガスケット(4)の幅に等しい大きさであると、微粒子がスリーブ本体(11)(13)内の流体通路に侵入する可能性が高くなる。この発明の管継手(1)によると、フランジ(12)(14)同士が締め過ぎ防止用間隙(G)を介して対向させられているようにするとともに、おねじ部材(6)の
突出部(16)によってこのわずかな締め過ぎ防止用間隙(G)が塞がれていることで、2重の侵入防止機構が構成され、微粒子が侵入する可能性が大幅に減少している。
【符号の説明】
【0026】
(1):管継手、(2)(3):継手部材、(4):ガスケット、(6):おねじ部材、(7):めねじ部材、(16):
突出部