(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
25℃でN−メチル−2−ピロリドン中での1質量%溶液において測定した成分(C)の官能化ポリアリーレンエーテルのDIN EN ISO 1628−1による粘度数が、45〜65ml/gである、請求項5又は6記載の熱可塑性成形材料。
前記成分(B)のポリアリーレンスルフィドは、30〜100質量%が一般式−Ar−S−による繰り返し単位から成り、その際、Arが、炭素原子6〜18個を有するアリーレン基である、請求項1から8までのいずれか1項記載の熱可塑性成形材料。
前記成分(A)20〜54質量%、前記成分(B)を15〜49質量%、前記成分(C)1〜10質量%、前記成分(D)30〜60質量%及び前記成分(E)0〜30質量%
を含有し、その際、成分(A)〜(E)の質量%の合計が100質量%である、請求項1から11までのいずれか1項記載の熱可塑性成形材料。
【技術分野】
【0001】
本発明は、以下の成分:
(A)少なくとも1種のポリアリーレンエーテル、
(B)少なくとも1種のポリアリーレンスルフィド、
(C)任意に、カルボキシル基を包含する少なくとも1種の官能化ポリアリーレンエーテル、
(D)少なくとも1種の繊維状又は粒子状の充填剤及び
(E)任意に、更なる添加剤及び/又は加工助剤
を含有し、その際、成分(B)に対する成分(A)の見掛け粘度の比が、350℃及び1150s
-1のせん断速度で測定して2.5〜3.7である、熱可塑性成形材料に関する。
【0002】
そのうえまた、本発明は、本発明による熱可塑性成形材料の製造方法、並びに成形部材を製造するための本発明による熱可塑性成形材料の使用に関する。
【0003】
ポリアリーレンエーテルは、高性能熱可塑性樹脂の群に属し、かつ、その高い耐熱変形性及び耐化学薬品性に基づき、高い要求が課せられる用途に使用される。ポリアリーレンエーテルは非晶質であり、それゆえ、腐食性媒体に対してしばしば不十分な耐久性を有する。さらに、ポリアリーレンエーテルは、高い溶融粘度も有し、これは、特に、大きな成形部材へと射出成形によって加工することの妨げとなる。高い溶融粘度は、殊に、充填剤又は繊維の高負荷量を有する成形材料の製造に際して不都合である。
【0004】
EP−A673973からは、ポリアリーレンエーテルとポリフェニレンスルフィドより成るポリマー混合物が、改善された流動性及び良好な耐化学薬品性を有することが公知である。
【0005】
EP−A855428からは、靭性及び耐化学薬品性の改善のためにカルボキシル基含有官能化ポリアリーレンエーテルを含有するゴム含有ポリアリーレンエーテルが公知である。
【0006】
EP−A855429は、ポリアリーレンエーテル、ポリアリーレンスルフィド及びカルボキシル含有官能化ポリアリーレンエーテルを含有する、改善された化学薬品抵抗性を有する熱可塑性成形材料を開示する。
【0007】
EP−A903376の対象は、ポリアリーレンエーテル、ポリアリーレンスルフィド及びゴムを含有し、同様に付加的に官能化ポリアリーレンエーテルも含有する熱可塑性成形材料である。しかしながら、EP−A903376の中で使用される官能化ポリアリーレンエーテルは、その適性に関して、強化成形材料にはしばしば不十分である。
【0008】
EP−A903376、EP−A855429及びEP−A673973の例の中で使用されるポリアリーレンエーテル及びそのつど使用されるポリアリーレンスルフィドからは、しかしながら、本発明による成形材料の見掛け粘度より明らかに高い、すなわち、4.1若しくは8.1の範囲における見掛け粘度の比(350℃、1150s
-1)が生じる。従来技術から公知の、ポリアリーレンエーテルとポリアリーレンスルフィドを基礎とする、充填された、殊に繊維強化された熱可塑性成形材料は、しばしば不十分な機械的特性、殊に不十分な衝撃強さ及び引裂強度を有する。それ以外に、公知の成形材料の耐化学薬品性は、しばしば不十分である。
【0009】
その結果、本発明の課題は、前述の不都合を有さないか又はより僅かな程度しか有さない、良好な加工性を有する、ポリアリーレンエーテルを基礎とする熱可塑性成形材料を提供することにあった。殊に、該熱可塑性成形材料は、良好な加工性、殊に良好な流動性と、同時に良好な機械的特性、殊に高い靱性、高い衝撃強さ及び高い引裂強度を有するべきである。そのうえまた、熱可塑性成形材料は、高い耐化学薬品性を有するべきである。
【0010】
前述の課題は、本発明による熱可塑性成形材料によって解決される。有利な実施形態は、特許請求の範囲及び以下の説明から読み取られる。有利な実施形態の組合せは、本発明の範囲から逸脱しない。
【0011】
本発明による熱可塑性成形材料は、以下の成分:
(A)少なくとも1種のポリアリーレンエーテル、
(B)少なくとも1種のポリアリーレンスルフィド、
(C)任意に、カルボキシル基を包含する少なくとも1種の官能化ポリアリーレンエーテル、
(D)少なくとも1種の繊維状又は粒子状の充填剤及び
(E)任意に、更なる添加剤及び/又は加工助剤
を含有し、その際、成分(B)に対する成分(A)の見掛け粘度の比が、350℃及び1150s
-1のせん断速度で測定して2.5〜3.7、好ましくは2.6〜3.5、特に有利には2.7〜3.3である。
【0012】
見掛け粘度は、本発明の範囲内において、基本的に、350℃及び1150s
-1のせん断速度で、長さ30mmの円形毛管、0.5mmの半径、180°のノズルの流入角、溶融体の貯蔵容器の12mmの直径を有する毛管レオメーターを用いて、かつ、5分間の予熱時間により測定される。
【0013】
成分(A)のポリアリーレンエーテルは、好ましくは、任意の成分(C)のポリアリーレンエーテルとは異なり、その際、殊に、それらはカルボキシル基で官能化されていない。
【0014】
本発明による熱可塑性成形材料は、その際、好ましくは、成分(A)15〜80質量%、成分(B)5〜70質量%、成分(C)0〜15質量%、成分(D)15〜70質量%及び成分(E)0〜40質量%を含有し、その際、成分(A)〜(E)の質量%の合計は100質量%である。
【0015】
本発明による熱可塑性成形材料は、特に有利には、成分(A)15〜65質量%、成分(B)10〜55質量%、成分(C)0〜10質量%、成分(D)25〜60質量%及び成分(E)0〜30質量%を含有し、その際、成分(A)〜(E)の質量%の合計は100質量%である。
【0016】
本発明による熱可塑性成形材料は、極めて有利には、成分(A)20〜54質量%、成分(B)15〜49質量%、成分(C)1〜10質量%、成分(D)30〜60質量%及び成分(E)0〜30質量%を含有し、その際、成分(A)〜(E)の質量%の合計は100質量%である。
【0017】
個々の成分を、続けて詳細に説明する。
【0018】
成分A
ポリアリーレンエーテルは、当業者にポリマー種として公知である。原則的に、当業者に公知の全てのポリアリーレンエーテル及び/又は公知の方法に従って製造可能なポリアリーレンエーテルが、成分(A)の構成成分として考慮に入れられる。
【0019】
成分(A)の範囲内において有利なポリアリーレンエーテルは、一般式I:
【化1】
[式中、符号t、q、Q、T、Y、Ar及びAr
1は、以下の意味を有する:
t、q:互いに無関係に0、1、2又は3、
Q、T、Y:互いに無関係に、そのつど化学結合又は−O−、−S−、−SO
2−、S=O、C=O、−N=N−及び−CR
aR
b−から選択される基、その際、R
a及びR
bは、互いに無関係に、そのつど水素原子又はC
1〜C
12−アルキル基、C
1〜C
12−アルコキシ基又はC
6〜C
18−アリール基を表し、かつ、その際、Q、T及びYからの少なくとも1つは−SO
2−を表す、及び
Ar、Ar
1:互いに無関係に、炭素原子6〜18個を有するアリーレン基]の構成要素から成っている。
【0020】
Q、T又はYが上で挙げた前提のもとに化学結合である場合、これは、左側に隣接した基と右側に隣接した基が化学結合を介して互いに直接結ばれて存在していることと解される。
【0021】
ただし、好ましくは、式I中のQ、T及びYは、互いに無関係に−O−及び−SO
2−から、Q、T及びYから成る群からの少なくとも1つが−SO
2−を表すという条件で選択される。
【0022】
Q、T又はYが−CR
aR
bである場合は、R
a及びR
bは、互いに無関係に、そのつど水素原子又はC
1〜C
12−アルキル基、C
1〜C
12−アルコキシ基又はC
6〜C
18−アリール基を表す。
【0023】
有利なC
1〜C
12アルキル基は、炭素原子1〜12個を有する直鎖状及び分枝鎖状の飽和アルキル基を包含する。殊に、以下の基が挙げられる:C
1〜C
6−アルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、2−又は3−メチルペンチル及び長鎖基、例えば非分枝鎖状のヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ラウリル及びこれらの1回又は何回も枝分かれした類似体。
【0024】
前述の使用可能なC
1〜C
12−アルコキシ基中のアルキル基として、これより上に定義した炭素原子1〜12個を有するアルキル基が考慮に入れられる。好ましくは使用可能なシクロアルキル基は、殊にC
3〜C
12−シクロアルキル基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロプロピルメチル、シクロプロピルエチル、シクロプロピルプロピル、シクロブチルメチル、シクロブチルエチル、シクロペンチルエチル、−プロピル、−ブチル、−ペンチル、−ヘキシル、シクロヘキシルメチル、−ジメチル、及び−トリメチルを包含する。
【0025】
Ar及びAr
1は、互いに無関係にC
6〜C
18−アリーレン基である。これより下に記載した出発生成物から出発して、Arは、好ましくは、電子豊富な、容易に求電子的に攻撃可能な、有利には、ヒドロキノン、レゾルシン、ジヒドロキシナフタリン、殊に2,7−ジヒドロキシナフタリン、及び4,4−ビスフェノールから成る群から選択される芳香族物質から誘導されている。好ましくは、Ar
1は、置換されていないC
6−又はC
12−アリーレン基である。
【0026】
C
6〜C
18−アリーレン基Ar及びAr
1として、殊にフェニレン基、例えば1,2−、1,3−及び1,4−フェニレン、ナフチレン基、例えば1,6−、1,7−、2,6−及び2,7−ナフチレン、並びにアントラセン、フェナントレン及びナフタセンから誘導されるアリーレン基が考慮に入れられる。
【0027】
好ましくは、式Iによる有利な実施形態におけるAr及びAr
1は、互いに無関係に、1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、ナフチレン、殊に2,7−ジヒドロキシナフチレン、及び4,4'−ビスフェニレンから成る群から選択される。
【0028】
成分Aの範囲内において好ましくは存在する構成要素は、以下の繰り返し構造単位Ia〜Ioの少なくとも1つを含有するものである:
【化2】
【0029】
【化3】
【0030】
有利には存在する構成要素Ia〜Ioに加えて、ヒドロキノンに由来する1つ以上の1,4−フェニレン単位が、レゾルシン単位に由来する1,3−フェニレン単位と又はジヒドロキシナフタリン単位に由来するナフチレン単位と置き換えられている構成要素も有利である。
【0031】
一般式Iの構成要素として特に有利なのは、構成要素Ia、Ig及びIkである。それ以外に、成分(A)のポリアリーレンエーテルが、実質的に一般式Iの1種類の構成要素から、殊にIa、Ig及びIkから選択される構成要素から成っている場合に特に有利である。
【0032】
特に有利な実施形態において、Ar=1,4−フェニレン、t=1、q=0であり、Tは化学結合であり、かつ、Y=SO
2である。前述の繰り返し単位より成る特に有利なポリアリーレンエーテルスルホンは、ポリフェニレンスルホン(PPSU)と呼ばれる。
【0033】
特に有利な更なる実施形態において、Ar=1,4−フェニレン、t=1、q=0、T=C(CH
3)
2及びY=SO
2である。前述の繰り返し単位より成る特に有利なポリアリーレンエーテルスルホンは、ポリスルホン(PSU)と呼ばれる。
【0034】
特に有利な更なる実施形態において、Ar=1,4−フェニレン、t=1、q=0、T=Y=SO
2である。前述の繰り返し単位より成る特に有利なポリアリーレンエーテルスルホンは、ポリエーテルスルホン(PESU)と呼ばれる。この実施形態は、極めて有利である。
【0035】
PPSU、PESU及びPSUのような略称は、本発明の範囲内において、DIN EN ISO 1043−1:2001に相当する。
【0036】
一般的に、有利なポリアリーレンエーテル(A)は、5,000〜60,000g/モルの範囲における平均分子量M
n(数平均)及び0.20〜0.95dl/gの相対粘度を有する。ポリアリーレンエーテル(A)の相対粘度は、DIN EN ISO 1628−1に従って1質量%のN−メチルピロリドン溶液中で25℃で測定されるか、若しくは、例外的にN−メチルピロリドン中で十分な溶解性が存在しない場合は、フェノールとジクロロベンゼンより成る混合物中で又は96%の硫酸中で測定される。
【0037】
本発明のポリアリーレンエーテル(A)は、好ましくは、標準として狭い分布のポリメチルメタクリレートに対して溶媒ジメチルアセトアミド中でゲル浸透クロマトグラフィーによって測定して、10,000〜150,000g/モル、殊に15,000〜120,000g/モル、特に有利には18,000〜100,000g/モルの質量平均分子量M
wを有する。
【0038】
成分(A)の見掛け粘度は、350℃及び1150s
-1のせん断速度で、好ましくは100〜500Pa
*s、殊に200〜400Pa
*s、特に有利には250〜350Pa
*sである。
【0039】
前述のポリアリーレンエーテルをもたらす製造方法は当業者に公知であり、例えば、Herman F.Mark,"Encyclopedia of Polymer Science and Technology",third edition,volume 4,2003の第2頁〜第8頁に、並びにHans R.Krichelsdorf,"Aromatic Polyethers"の中で、Handbook of Polymer Synthesis,second edition,2005の第427頁〜第443頁に記載されている。
【0040】
特に有利なのは、無水のアルカリ金属炭酸塩、殊に炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム又はそれらの混合物の存在における、非プロトン性極性溶媒中での、2つのハロゲン置換基を有する少なくとも1種の芳香族化合物と、前述のハロゲン置換基に対して反応性である2つの官能基を有する少なくとも1種の芳香族化合物の反応であり、その際、炭酸カリウムが、極めて有利である。特に適した組合せは、溶媒としてのN−メチルピロリドンと塩基としての炭酸カリウムである。
【0041】
好ましくは、ポリアリーレンエーテルは、ハロゲン末端基、殊に塩素末端基、又はエーテル化末端基、殊にアルキルエーテル末端基のいずれかを有し、該末端基は、OH末端基若しくはフェノラート末端基を適したエーテル化剤と反応させることによって得られる。
【0042】
適したエーテル化剤は、例えば、単官能性のアルキルハロゲン化物又はアリールハロゲン化物、例えばC
1〜C
6−アルキルクロリド、−ブロミド又は−ヨージド、有利には塩化メチル、又は塩化ベンジル、臭化ベンジル又はヨウ化ベンジル又はそれらの混合物である。成分(A)のポリアリーレンエーテルの範囲内における有利な末端基は、ハロゲン、殊に塩素、アルコキシ、殊にメトキシ、アリールオキシ、殊にフェノキシ、又はベンジルオキシである。
【0043】
成分B
本発明による成形材料は、成分(B)として少なくとも1種のポリアリーレンスルフィドを含有する。成分(B)として、原則的には、全てのポリアリーレンスルフィドが考慮に入れられる。
【0044】
好ましくは、成分(B)のポリアリーレンスルフィドは、30〜100質量%が一般式−Ar−S−による繰り返し単位から成り、その際、−Ar−は、炭素原子6〜18個を有するアリーレン基である。
【0045】
有利なのは、全ての繰り返し単位の全質量を基準として、少なくとも30質量%、殊に少なくとも70質量%の繰り返し単位III
【化4】
を含有するポリアリーレンスルフィドである。適した更なる繰り返し単位は、殊に
【化5】
[式中、Rは、C
1〜C
10−アルキル、有利にはメチルを意味する]である。ポリアリーレンスルフィドは、ホモポリマー、ランダムコポリマー又はブロックコポリマーであってよく、その際、ホモポリマー(同一の繰り返し単位)が有利である。極めて有利なポリアリーレンスルフィドは、100質量%で、一般式IIIによる繰り返し単位から成る。したがって、特に有利なのは、ポリアリーレンスルフィド、殊にポリ(1,4−フェニレンスルフィド)である。
【0046】
本発明により使用されるポリアリーレンスルフィドの末端基として、殊にハロゲン、チオール又はヒドロキシ、有利にはハロゲンが考慮に入れられる。
【0047】
成分(B)のポリアリーレンスルフィドは、分枝鎖状又は非分枝鎖状であってよい。好ましくは、成分(B)のポリアリーレンスルフィドは直鎖状であり、すなわち、枝分かれしていない。
【0048】
成分(B)のポリアリーレンスルフィドは、好ましくは、5,000〜100,000g/モルの質量平均分子量を有する。
【0049】
成分(B)の見掛け粘度は、350℃及び1150s
-1のせん断速度で、好ましくは25〜200Pa
*s、殊に30〜150Pa
*s、特に有利には40〜130Pa
*s、極めて有利には50〜120Pa
*sである。
【0050】
このようなポリアリーレンスルフィドは自体公知であるか、又は公知の方法に従って製造されることができる。相応する製造法が、例えば、Hans R.Krichelsdorf,"Aromatic Polyethers"の中で、Handbook of Polymer Synthesis,second edition,2005の第486頁〜第492頁に記載されている。
【0051】
殊に、このようなポリアリーレンスルフィドは、US2,513,188に記載されるように、ハロゲン芳香族化合物を硫黄又は金属スルフィドと反応させることによって製造されることができる。ハロゲンで置換されたチオフェノールの金属塩を加熱することも同様に可能である(GB−B962941を参照されたい)。ポリアリーレンスルフィドの有利な合成には、例えばUS3,354,129から読み取られるように、アルカリ金属スルフィドをハロゲン芳香族化合物と溶解した状態で反応させることが含まれる。更なる方法は、US3,699,087の中で及びUS4,645,826の中で記載されている。
【0052】
見掛け粘度の本発明による比は、粒子状又は繊維状の充填剤を含有するポリアリーレンエーテルとポリアリーレンスルフィドを基礎とする熱可塑性成形材料において、本発明により改善された機械的特性と、同時に良好な加工性をもたらす。制限することを意図するものではなく、定義された粘度比に基づき、そのつどの少数成分の微細な分散がマトリックス中で起こるか、若しくは、細かく構造化された共連続構造が生ずるという見方が存在する。
【0053】
成分C
本発明により、該熱可塑性成形材料は、カルボキシル基を包含する少なくとも1種の官能化ポリアリーレンエーテル含有してよい。
【0054】
好ましくは、25℃でN−メチル−2−ピロリドン中での1質量%溶液において測定した成分(C)の官能化ポリアリーレンエーテルのDIN EN ISO 1628−1による粘度数は、少なくとも45ml/g、特に有利には少なくとも46ml/g、極めて有利には少なくとも47ml/g、殊に少なくとも48ml/gである。
【0055】
25℃でN−メチル−2−ピロリドン中での1質量%溶液において測定した65ml/gを上回るDIN EN ISO 1628−1による粘度数を有する、カルボキシル基を包含するポリアリーレンエーテルの使用は、機械的特性の更なる改善が得られることなく、流動性の不都合な低下をもたらす。それに応じて、成分(C)のポリアリーレンエーテルのDIN EN ISO 1628−1による粘度数は、好ましくは、上に向かって制限されており、かつ、25℃でN−メチル−2−ピロリドン中での1質量%溶液においてそのつど測定して、有利にはせいぜい65ml/g、特に有利にはせいぜい61ml/g、殊にせいぜい57ml/gである。
【0056】
好ましくは、本発明による熱可塑性成形材料は、成分(C)として、上で定義したような一般式Iの構成要素並びに一般式II:
【化6】
[式中、
nは、0、1、2、3、4、5又は6であり;
R
1は、水素、C
1〜C
6−アルキル基、又は−(CH
2)
n−COOHを意味し;
Ar
2及びAr
3は、同じであるか又は異なっていてよく、かつ、互いに無関係にC
6〜C
18−アリーレン基であり、かつ、
Yは、化学結合又は−O−、−S−、−SO
2−、S=O、C=O、−N=N−及び−CR
aR
b−から選択されている基、その際、R
a及びR
bは、同じであるか又は異なっていてよく、かつ、互いに無関係に、そのつど水素原子又はC
1〜C
12−アルキル基、C
1〜C
12−アルコキシ基又はC
6〜C
18−アリール基を表す]の構成要素を含有する少なくとも1種の官能化ポリアリーレンエーテルを含有する。
【0057】
好ましくは、式I及び式IIによる構成要素の合計を基準とした、一般式IIによる構成要素の割合は、0.5〜3モル%、好ましくは0.6〜2モル%、特に有利には0.7〜1.5モル%である。
【0058】
式I及び式IIによる構成要素の合計を基準とした、一般式IIによる構成要素の割合は、本発明の範囲内において、基本的に、内標準として所定の量の1,3,5−トリメトキシベンゼンを用いた
1H−NMR分光法によって測定される。質量%からモル%への換算は、当業者に公知である。
【0059】
一般式IIの範囲内において、好ましくはn=2及びR
1=メチルが適用される。
【0060】
一般式IIの範囲内において、そのうえ好ましくはAr
2=Ar
3=1,4−フェニレン及びY=−SO
2−が適用される。
【0061】
本発明による成形材料において使用される官能化ポリアリーレンエーテル(成分C)は自体公知の化合物であるか、又は公知の方法に従って製造可能である。
【0062】
例えば、成分(C)の官能化ポリアリーレンエーテルは、EP−A−0185237に依拠して、並びにI.W.Parsons他からPolymer,34,2836(1993)の中で及びT.Koch、H.RitterからMacromol.Phys.195,1709(1994)の中で記載される方法に従って入手される。
【0063】
それに従って、ポリアリーレンエーテルは、一般式IV:
【化7】
[式中、R
1及びnは、上で示した意味を有する]の化合物と、一般式IVの化合物に対して反応性の少なくとも1種の更なる芳香族化合物、例えば殊に4,4'−ジクロロジフェニルスルホン、及び場合によっては更なるヒドロキシ官能化化合物、例えばビスフェノールA及び/又はビスフェノールS及び/又は4,4'−ジヒドロキシビフェニルの重縮合によって得られる。適した反応相手は、当業者に一般に公知である。
【0064】
成分(C)の官能化ポリアリーレンエーテルの製造のために、原則的には、成分(A)のポリアリーレンエーテル用に使用される方法も用いられることができ、その際、同様に、塩基作用下での双極性非プロトン性溶媒中での溶液重合も有利である。
【0065】
一般式Iの有利な構造要素に関する成分(A)について述べたことが、相応して、成分(C)の官能化ポリアリーレンエーテルに適用される。
【0066】
殊に、成分(A)及び(C)のポリアリーレンエーテルが構造的に似ており、殊に同じモノマー構成要素を基礎とし、かつ、成分(C)の範囲内における一般式IIの構成要素に関連してのみ異なる場合に有利である。成分(A)も成分(C)も、上で定義したようなPESU形の構成要素を基礎とする場合にか、又は成分(A)も成分(C)も、上で定義したようなPPSU形の構成要素を基礎とする場合にか、又は成分(A)も成分(C)も、上で定義したようなPSU形の構成要素を基礎とする場合に特に有利である。"基礎とする"とは、この文脈内においては、成分(A)も成分(C)も、同じ構成要素から成っており、かつ、それらは、成分(C)が付加的に官能化されており、かつ、好ましくは、上で定義したような一般式IIのモノマー構成要素を含有するということによってのみ異なることと解される。特に有利には、成分(A)のポリアリーレンエーテル及び成分(C)の官能化ポリアリーレンエーテルは、それぞれ一般式Iの同じ構成要素を含有する。
【0067】
一般式IIの範囲内における適した構成要素は、殊に:
【化8】
[式中、nは、そのつど0〜4の整数を表す]である。構成要素Vが極めて有利である。
【0068】
成分D
本発明の熱可塑性成形材料は、成分(D)として少なく1種の繊維状又は粒子状の充填剤を、成分(A)〜(E)の計100質量%を基準として、好ましくは、15〜70質量%、特に有利には20〜70質量%、殊に25〜65質量%の量で含有する。
【0069】
本発明による成形材料は、殊に粒子状又は繊維状の充填剤を含有してよく、その際、繊維状の充填剤が特に有利である。
【0070】
有利な繊維状充填剤は、炭素繊維、チタン酸カリウムウィスカー、アラミド繊維、特に有利にはガラス繊維である。ガラス繊維が使用される場合、これらは、マトリックス材料とのより良好な相容性のために、サイズ剤、有利にはポリウレタンサイズ剤及び接着促進剤で最終仕上げされていてよい。一般的に、使用される炭素繊維及びガラス繊維は、6〜20μmの範囲の直径を有する。したがって、成分(D)は、特に有利にはガラス繊維から成る。
【0071】
ガラス繊維の混入は、ガラス短繊維の形態でも連続ストランド(ロービング)の形態でも行わることができる。完成した射出成形部材中で、ガラス繊維の平均長さは、好ましくは0.08〜0.5mmの範囲にある。
【0072】
炭素繊維又はガラス繊維は、織布、マット又はガラスウールロービングの形態でも用いられることができる。
【0073】
粒子状充填剤として適しているのは、非晶質ケイ酸、炭酸塩、例えば炭酸マグネシウム(白亜)、粉末石英、雲母、多種多様なケイ酸塩、例えば粘土、白雲母、黒雲母、スゾライト(Suzoite)、スズマレタイト(Zinnmaletit)、滑石、緑泥石、金雲母、長石、ケイ酸カルシウム、例えばケイ灰石又はケイ酸アルミニウム、例えばカオリン、特にか焼カオリンである。
【0074】
有利な粒子状充填剤は、粒子の少なくとも95質量%、有利には少なくとも98質量%が、完成品で測定して、45μm未満、有利には40μm未満の直径(形状中心を通る最大直径)を有し、かつ、それのいわゆるアスペクト比が、完成品で測定して、1〜25の範囲に、有利には2〜20の範囲にあるものである。アスペクト比は、厚さに対する粒子直径(そのつど形状中心を通る最小寸法に対する最大寸法)の比である。
【0075】
その際、粒子直径は、例えば、ポリマー混合物の細片の電子顕微鏡写真を撮影し、かつ、少なくとも25個、有利には少なくとも50個の充填剤粒子を評価基準とすることによって測定されることができる。同じように、粒子直径の測定は、Transactions of ASAE(1983)第491頁に記載の沈降分析により行われることができる。その直径が40μm未満である充填剤の質量割合は、篩分析によっても測定されることができる。
【0076】
特に有利なのは、粒子状充填剤として、滑石、カオリン、例えばか焼カオリン又はケイ灰石又はこれらの充填剤の2つ又は全てより成る混合物である。それらのなかでも、そのつど完成品で測定して、40μmより小さい直径及び1.5〜25のアスペクト比を有する粒子の少なくとも95質量%の割合を有する滑石が特に有利である。カオリンは、そのつど完成品で測定して、20μmより小さい直径及び1.2〜20のアスペクト比を有する粒子の少なくとも95質量%の割合を有する。
【0077】
それ以外に、熱可塑性成形材料は、更なる添加剤及び/又は加工助剤を成分Eとして含有してよい。
【0078】
成分E
本発明による成形材料は、成分(E)の構成成分として、助剤、殊に加工助剤、顔料、安定化剤、難燃剤又は種々の添加物の混合物を含有してよい。慣例の添加剤は、例えば、酸化抑制剤、熱分解及び紫外光による分解に対する試剤、潤滑剤及び離型剤、染料及び可塑剤でもある。
【0079】
本発明による成形材料中の成分(E)の割合は、殊に、成分(A)〜(E)の全質量を基準として、0〜30質量%、好ましくは0〜20質量%、殊に0〜15質量%である。成分Eが安定化剤を含む場合、この安定化剤の割合は、通常、成分(A)〜(E)の質量%の合計を基準として、2質量%まで、好ましくは0.01〜1質量%、殊に0.01〜0.5質量%である。
【0080】
顔料及び染料は、一般に、成分(A)〜(E)の質量%の合計を基準として、0〜6質量%、有利には0.05〜5質量%、殊に0.1〜3質量%の量で含有されている。
【0081】
熱可塑性樹脂を着色するための顔料は、一般に公知であり、例えば、R.Gaechter及びH.Mueller,Taschenbuch der Kunststoffadditive,Carl Hanser Verlag,1983の第494頁〜第510頁を参照されたい。顔料の第1の有利な群として、白色顔料、例えば酸化亜鉛、硫化亜鉛、鉛白[2PbCO
3・Pb(OH)
2]、リトポン、アンチモン白及び二酸化チタンが挙げられる。最も一般に用いられる2つの二酸化チタンの結晶変態(ルチル形及びアナターゼ形)のうち、殊にルチル形が、本発明による成形材料の白色化のために使用される。本発明により使用されることができる黒色着色顔料は、酸化鉄黒(Fe
3SO
4)、スピネル黒[Cu(Cr,Fe)
2O
4]、マンガン黒(二酸化マンガン、二酸化ケイ素及び酸化鉄より成る混合物)、コバルト黒及びアンチモン黒、並びに特に有利にはカーボンブラックであり、これは、たいていファーネスブラック又はガスブラックの形態で使用される(G.Benzing,Pigmente fuer Anstrichmittel,Expert−Verlag(1988)の第78頁以降を参照されたい)。
【0082】
特定の色調の調整のために、無機有色顔料、例えば酸化クロム緑、又は有機有色顔料、例えばアゾ顔料、又はフタロシアニンが使用されることができる。このような顔料は、当業者に公知である。
【0083】
本発明による熱可塑性成形材料に添加されることができる酸化抑制剤及び熱安定化剤は、例えば、元素周期表第I族の金属のハロゲン化物、例えばナトリウム、カリウム、リチウムのハロゲン化物、例えば塩化物、臭化物又はヨウ化物である。さらに、フッ化亜鉛及び塩化亜鉛を使用してよい。さらになお、立体障害フェノール、ヒドロキノン、これらの群の置換された代表物質、第二級芳香族アミンが、場合によりリン含有酸若しくはその塩と結合した状態で、及びこれらの化合物の混合物が、好ましくは、成分(A)〜(E)の質量%の合計を基準として1質量%までの濃度で使用可能である。
【0084】
UV安定化剤の例は、種々の置換されたレゾルシン、サリチレート、ベンゾトリアゾール及びベンゾフェノンであり、それらは一般的に2質量%までの量で使用される。
【0085】
通例、成分(A)〜(E)の質量%の合計を基準として1質量%までの量で添加される滑剤及び離型剤は、ステアリルアルコール、ステアリン酸アルキルエステル及び−アミド並びにペンタエリトリトールと長鎖脂肪酸のエステルである。ジアルキルケトン、例えばジステアリルケトンも用いてよい。
【0086】
有利な構成成分として、本発明による成形材料は、(成分(A)〜(E)の質量%の合計を基準として)0.1〜2質量%、有利には0.1〜1.75質量%、特に有利には0.1〜1.5質量%及び殊に0.1〜0.9質量%のステアリン酸及び/又はステアレートを含有する。原則的に、他のステアリン酸誘導体、例えばステアリン酸のエステルも用いてよい。
【0087】
ステアリン酸は、有利には脂肪の加水分解によって製造される。その際に得られる生成物は、通常、ステアリン酸とパルミチン酸より成る混合物である。それゆえ、係る生成物は、該生成物の組成に応じて、幅広い軟化範囲、例えば50〜70℃を有する。有利には、20質量%を上回る、特に有利には25質量%を上回るステアリン酸の割合を有する生成物が使用される。純粋なステアリン酸(>98%)も使用されることができる。
【0088】
さらに、成分(E)はステアレートも含んでよい。ステアレートは、相応するナトリウム塩と金属塩溶液(例えばCaCl
2、MgCl
2、アルミニウム塩)の反応によってか、又は脂肪酸と金属水酸化物の直接の反応によってのいずれかにおいて製造されることができる(例えばBaerlocher Additives,2005を参照されたい)。有利には、トリステアリン酸アルミニウムが使用される。
【0089】
更なる添加剤として、いわゆる核形成剤、例えば滑石も考慮に入れられる。
【0090】
成分(A)〜(E)が混合される順番は任意である。
【0091】
本発明による成形材料は、自体公知の方法に従って、例えば押出成形により製造されることができる。本発明による成形材料は、例えば、出発成分を、通常の混合装置、例えばスクリュー型押出機、好ましくは二軸押出機、ブラベンダーミキサー又はバンバリーミキサー又はニーダー中で混合し、引き続き押出することによって製造されることができる。押出後に、押出物は冷却及び微粉砕される。成分の混合の順番は変えてもよい。相応して、2つ又はそれより多い成分を予混合してよく、しかし、全ての成分を一緒に混合してもよい。
【0092】
可能な限り均質な混合物を得るために、強力な混合が好ましい。そのために、一般的に、290〜380℃、有利には300〜370℃の温度で0.2〜30分の平均混合時間が必要である。押出後に、押出物は、通例、冷却及び微粉砕される。
【0093】
本発明による熱可塑性成形材料は、好ましくは、成形部材の製造のために使用されることができる。本発明による成形材料は、殊に、家庭用品、電気部品又は電子部品用の成形部材の製造に、並びに乗り物分野、殊に自動車用の成形部材の製造に適している。
【0094】
以下の実施例は本発明をより詳しく説明するが、本発明を制限しない。
【0095】
例
試験体の弾性率、引裂強度及び破断伸び率は、ISO 527に従ったダンベル形試験棒による引張試験において突き止めた。
【0096】
製品の衝撃強さは、ISO 179 1eUに従ってISO試験棒を用いて測定した。
【0097】
流動性は、溶融粘度を手がかりにして判断を下した溶融安定性は、細管レオメーターによって測定した。その際、350℃での溶融体の見掛け粘度は、せん断速度の関数として、長さ30mmの円形毛管、0.5mmの半径、180°のノズルの流入角、溶融体の貯蔵容器の12mmの直径を有する毛管
粘度計(Goettfert capillary viscometer Rheograph 2003)を用いて、かつ、5分間の予熱時間により測定した。
【0098】
ポリアリーレンエーテルの粘度数は、DIN EN ISO1628−1により、25℃でN−メチル−2−ピロリドン中での1質量%溶液において測定した。
【0099】
FAM Bに対する耐久性は、80×40×4mmサイズのISO試験棒を60℃で7日間、FAM B中に貯蔵することによって測定した。引き続き、試験棒を空気にさらすためにそのままにし、次いで真空及び室温で1日間貯蔵し、引き続き2日間、真空中で100℃で貯蔵した。引き続き、衝撃強さを、ISO 179 1eUにより測定した。
【0100】
成分A
成分Aとして、55.4ml/gの粘度数を有するポリエーテルスルホン(BASF SEのUltrason
(R)E 2010)を使用した。使用した生成物は、Cl末端基0.12質量%及びOCH
3末端基0.18質量%を有していた。350℃/1150s
-1で測定した見掛け溶融粘度は、514Pa
*sであった。
【0101】
成分A2として、49.0ml/gの粘度数を有するポリエーテルスルホン(BASF SEのUltrason
(R)E 1010)を使用した。使用した生成物は、Cl末端基0.19質量%及びOCH
3末端基0.23質量%を有していた。350℃/1150s
-1で測定した見掛け溶融粘度は、263Pa
*sであった。
【0102】
成分A3として、44.0ml/gの粘度数を有するポリエーテルスルホンを使用した。使用した生成物は、Cl末端基0.21質量%及びOCH
3末端基0.33質量%を有していた。350℃/1150s
-1で測定した見掛け溶融粘度は、134Pa
*sであった。
【0103】
成分B
成分B1として、350℃及び1150s
-1のせん断速度で測定して76Pa
*sの溶融粘度を有するポリ−(1,4−フェニレンスルフィド)を使用した。
【0104】
成分B2として、350℃及び1150s
-1のせん断速度で測定して68Pa
*sの溶融粘度を有するポリ−(1,4−フェニレンスルフィド)を使用した。
【0105】
成分B3として、350℃及び1150s
-1のせん断速度で測定して14Pa
*sの溶融粘度を有するポリ−(1,4−フェニレンスルフィド)を使用した。
【0106】
成分C
成分C1として、以下のように製造した官能化ポリエーテルスルホンを使用した:
窒素雰囲気下で、ジクロロジフェニルスルホン577.03g、ジヒドロキシジフェニルスルホン495.34g及び4,4'−ビス−ヒドロキシフェニル吉草酸("DPA")5.73gを、NMP1053ml中に溶解し、かつ、無水炭酸カリウム297.15gを混ぜた。反応混合物を190℃に加熱し、かつ、この温度で6時間保持した。引き続き、バッチをNMP1947mlで希釈した。T<80℃に冷却後、懸濁液を排出した。次いで、濾過によって、不溶性の構成成分を分離した。得られた溶液を、次いで水に沈殿させた。得られた白色粉末を、次いで高温水で数回抽出し、引き続き真空中で140℃で乾燥させた。DPA単位の割合は、内標準として1,3,5−トリメトキシベンゼンを用いた
1H−NMR分光法によって0.9モル%で測定し、生成物の粘度数は46.9m
l/gであった。
【0107】
成分D
成分D1として、4.5mmのステープル長さ及び10μmの繊維直径を有し、ポリウレタンサイズ剤が塗布されていたガラス繊維片を用いた。
【0108】
第1表:ポリアリーレンエーテルとポリアリーレンスルフィドより成るブレンドの特性。熱可塑性成形材料の組成は、質量部で示している。
【表1】
【0109】
【表2】
【0110】
本発明による成形材料は、高い流動性、高い強度及び高い靭性によって特徴付けられる。意想外にも、本発明による成形材料は、FAM Bに対する改善された耐久性も有する。