特許第5875709号(P5875709)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5875709
(24)【登録日】2016年1月29日
(45)【発行日】2016年3月2日
(54)【発明の名称】有機半導体デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20160218BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20160218BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20160218BHJP
   H01L 51/05 20060101ALI20160218BHJP
   H01L 51/30 20060101ALI20160218BHJP
   C08G 61/12 20060101ALI20160218BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20160218BHJP
【FI】
   H01L29/78 616K
   H01L29/78 618B
   H01L21/28 301B
   H01L29/78 616S
   H01L29/28 100A
   H01L29/28 280
   H01L29/28 250G
   C08G61/12
   H01L29/28 250H
   H05B33/14 A
   H05B33/22 B
   H05B33/22 D
   H01L29/78 616V
【請求項の数】14
【全頁数】79
(21)【出願番号】特願2014-555091(P2014-555091)
(86)(22)【出願日】2012年2月2日
(65)【公表番号】特表2015-513781(P2015-513781A)
(43)【公表日】2015年5月14日
(86)【国際出願番号】EP2012051738
(87)【国際公開番号】WO2013113389
(87)【国際公開日】20130808
【審査請求日】2014年10月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】スブラマニアン ヴァイディアナサン
(72)【発明者】
【氏名】マルセル カストラー
(72)【発明者】
【氏名】ベルタ タン
(72)【発明者】
【氏名】ミー ジョウ
【審査官】 宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−514399(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/148699(WO,A1)
【文献】 特開2008−091680(JP,A)
【文献】 特開2010−161312(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0266529(US,A1)
【文献】 特開2007−158140(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336
C08G 61/12
H01L 21/28
H01L 29/786
H01L 51/05
H01L 51/30
H01L 51/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の有機半導体材料(122)および該有機半導体材料(122)を通じた電荷担体輸送を促すように適合された少なくとも2つの電極(114)を有する有機半導体デバイス(110)の製造方法であって、前記有機半導体材料(122)は、本来は両極性半導体特性を有し、前記方法は、前記有機半導体材料(122)と、前記有機半導体デバイス(110)の電極(114)の少なくとも1つとの間に少なくとも部分的に挿入されている少なくとも1つの中間層(120)を生成する少なくとも1つのステップを含み、前記中間層(120)は、一般式HS−R[式中、Rは、有機残基である]を有する少なくとも1種のチオール化合物を含み、前記チオール化合物は、該チオール化合物のSH基から離れた方向を指し示す電気的双極子モーメントを有し、その際、前記電気的双極子モーメントは、4−フェニルチオフェノールにおける電気的双極子モーメントと少なくとも同じ大きさを有し、前記中間層(120)によって、前記電極(114)間の両極性電荷担体輸送が抑制されて、負の電荷担体輸送が優勢となり、
前記有機半導体材料(122)は、
【化1】
のポリマーから選択され、その式中、
1は、式:
【化2】
から選択される、場合により置換されたナフタレンイミドであり、
1は、それぞれの場合に、独立して、H、C1〜C40−アルキル基、C2〜C40−アルケニル基、C1〜C40−ハロアルキル基および1〜4個の環式部分から選択され、その際、
前記のC1〜C40−アルキル基、C2〜C40−アルケニル基およびC1〜C40−ハロアルキル基のそれぞれは、場合により、独立して、ハロゲン、−CN、NO2、OH、−NH2、−NH(C1〜C20−アルキル)、−N(C1〜C20−アルキル)2、−S(O)2OH、−CHO、−C(O)−C1〜C20−アルキル、−C(O)OH、−C(O)−OC1〜C20−アルキル、−C(O)NH2、−C(O)NH−C1〜C20−アルキル、−C(O)N(C1〜C20−アルキル)2、−OC1〜C20−アルキル、−SiH3、−SiH(C1〜C20−アルキル)2、−SiH2(C1〜C20−アルキル)および−Si(C1〜C20−アルキル)3から選択される1〜10個の置換基で置換されていてよく、
前記のC1〜C40−アルキル基、C2〜C40−アルケニル基およびC1〜C40−ハロアルキル基のそれぞれは、イミド窒素原子へと、任意のリンカーを介して共有結合されていてよく、かつ
前記の1〜4個の環式部分のそれぞれは、同一または異なってよく、互いにもしくはイミド窒素へと任意のリンカーを介して共有結合されていてよく、かつ場合により、独立して、ハロゲン、オキソ、−CN、NO2、OH、=C(CN)2、−NH2、−NH(C1〜C20−アルキル)、−N(C1〜C20−アルキル)2、−S(O)2OH、−CHO、−C(O)OH、−C(O)−C1〜C20−アルキル、−C(O)−OC1〜C20−アルキル、−C(O)NH2、−C(O)NH−C1〜C20−アルキル、−C(O)N(C1〜C20−アルキル)2、−SiH3、−SiH(C1〜C20−アルキル)2、−SiH2(C1〜C20−アルキル)、−Si(C1〜C20−アルキル)3、−O−C1〜C20−アルキル、−O−C1〜C20−アルケニル、−O−C1〜C20−ハロアルキル、C1〜C20−アルキル基、C1〜C20−アルケニル基およびC1〜C20−ハロアルキル基から選択される1〜5個の置換基で置換されていてよく、
2は、1つ以上の単環式部分を含む繰返単位であり、かつnは、2〜5000の整数であり、
2は、
【化3】
から選択され、その式中、
π−2は、1〜6個のRe基で場合により置換された多環式部分であり、
Arは、それぞれの場合に、独立して、5員もしくは6員のアリールもしくはヘテロアリール基であり、その際、これらの基のそれぞれは、場合により、1〜6個のRe基で置換されていてよく、その際、
eは、それぞれの場合に、独立して、a)ハロゲン、b)−CN、c)−NO2、d)オキソ、e)−OH、f)=C(Rf2、g)C1〜C40−アルキル基、h)C2〜C40−アルケニル基、i)C2〜C40−アルキニル基、j)C1〜C40−アルコキシ基、k)C1〜C40−アルキルチオ基、l)C1〜C40−ハロアルキル基、m)−Y−C3〜C10−シクロアルキル基、n)−Y−C6〜C14−アリール基、o)−Y−C6〜C14−ハロアリール基、p)−Y−3〜12員のシクロへテロアルキル基、またはq)−Y−5〜14員のヘテロアリール基であり、その際、前記のC1〜C40−アルキル基、C2〜C40−アルケニル基、C2〜C40−アルキニル基、C3〜C10−シクロアルキル基、C6〜C14−アリール基、C6〜C14−ハロアリール基、3〜12員のシクロへテロアルキル基および5〜14員のヘテロアリール基は、場合により、1〜4個のRf基で置換されており、
fは、それぞれの場合に、独立して、a)ハロゲン、b)−CN、c)−NO2、d)オキソ、e)−OH、f)−NH2、g)−NH(C1〜C20−アルキル)、h)−N(C1〜C20−アルキル)2、i)−N(C1〜C20−アルキル)−C6〜C14−アリール、j)−N(C6〜C14−アリール)2、k)−S(O)wH、l)−S(O)w−C1〜C20−アルキル、m)−S(O)2OH、n)−S(O)w−OC1〜C20−アルキル、o)−S(O)w−OC6〜C14−アリール、p)−CHO、q)−C(O)−C1〜C20−アルキル、r)−C(O)−C6〜C14−アリール、s)−C(O)OH、t)−C(O)−OC1〜C20−アルキル、u)−C(O)−OC6〜C14−アリール、v)−C(O)NH2、w)−C(O)NH−C1〜C20−アルキル、x)−C(O)N(C1〜C20−アルキル)2、y)−C(O)NH−C6〜C14−アリール、z)−C(O)N(C1〜C20−アルキル)−C6〜C14−アリール、aa)−C(O)N(C6〜C14−アリール)2、ab)−C(S)NH2、ac)−C(S)NH−C1〜C20−アルキル、ad)−C(S)N(C1〜C20−アルキル)2、ae)−C(S)N(C6〜C14−アリール)2、af)−C(S)N(C1〜C20−アルキル)−C6〜C14−アリール、ag)−C(S)NH−C6〜C14−アリール、ah)−S(O)wNH2、ai)−S(O)wNH(C1〜C20−アルキル)、aj)−S(O)wN(C1〜C20−アルキル)2、ak)−S(O)wNH(C6〜C14−アリール)、al)−S(O)wN(C1〜C20−アルキル)−C6〜C14−アリール、am)−S(O)wN(C6〜C14−アリール)2、an)−SiH3、ao)−SiH(C1〜C20−アルキル)2、ap)−SiH2(C1〜C20−アルキル)、aq)−Si(C1〜C20−アルキル)3、ar)C1〜C20−アルキル基、as)C2〜C20−アルケニル基、at)C2〜C20−アルキニル基、au)C1〜C20−アルコキシ基、av)C1〜C20−アルキルチオ基、aw)C1〜C20−ハロアルキル基、ax)C3〜C10−シクロアルキル基、ay)C6〜C14−アリール基、az)C6〜C14−ハロアリール基、ba)3〜12員のシクロへテロアルキル基、またはbb)5〜14員のヘテロアリール基であり、
Yは、それぞれの場合に、独立して、二価のC1〜C6−アルキル基、二価のC1〜C6−ハロアルキル基および共有結合から選択され、かつ
wは、0、1または2であり、
Zは、共役直鎖状リンカーであり、かつ
m、m’およびm’’は、独立して、1、2、3または4である前記製造方法。
【請求項2】
請求項に記載の方法であって、前記式中のRは、
アルキル、その際、該アルキル基は、直鎖状、環状もしくは分枝鎖状であり、かつ1〜20個の炭素原子;
ベンジル、フェニル;
アルキルフェニル、その際、該フェニルのアルキル基は、1〜20個の炭素原子を含んでよく、直鎖状、環状もしくは分枝鎖状であり;
アルコキシフェニル;
アルキルチオフェニル
ベンジルフェニル
アリールフェニル;
ヘテロアリールからなる群から選択される前記方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法であって、前記チオール化合物は、1−デカンチオール;4−メチルチオフェノール;4−(メチルチオ)チオフェノール;3,4−ジメトキシチオフェノール;4−ブチルチオフェノール;4−フェニルチオフェノール;2−チオナフトール;4−(ジメチルアミノ)チオフェノール;ベンジルメルカプタン;2,3,4,5,6−ペンタメチルベンゼン−1−チオールからなる群から選択される前記方法。
【請求項4】
請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法であって、前記チオール化合物は、少なくとも1つの自己組織化単分子膜を形成する前記方法。
【請求項5】
請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法であって、前記方法は、更に、少なくとも1つのゲート電極(126)を提供するステップを含み、前記ゲート電極(126)は、電極(114)間の電荷担体輸送に電場によって影響を及ぼすように適合されている前記方法。
【請求項6】
請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法であって、前記電極(114)は、銀および金からなる群から選択される材料を含む前記方法。
【請求項7】
請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法であって、前記有機半導体材料(122)は、少なくとも1種の半導体ポリマーを含む前記方法。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法であって、前記有機半導体材料(122)が、式
【化4】
[式中、M1は、
【化5】
から選択され、式中、
1は、2−オクチルドデシルであり、かつ
2は、以下の式:
【化6】
のポリマーであり、式中、
mは、2〜50の範囲の数である]のポリマーから選択される前記方法。
【請求項9】
請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法であって、前記中間層(120)は、少なくとも1種の溶剤および前記チオール化合物を含む溶液からのプロセシングによって生成される前記方法。
【請求項10】
請求項に記載の方法であって、前記溶液からのプロセシングは、前記溶液を前記少なくとも1つの電極(114)上に適用する少なくとも1つのステップと、前記溶剤を除去する少なくとも1つのステップを含む前記方法。
【請求項11】
少なくとも1種の有機半導体材料(122)および該有機半導体材料(122)を通じた電荷担体輸送を促すように適合された少なくとも2つの電極(114)を有する有機半導体デバイス(110)であって、前記有機半導体材料(122)は、本来は両極性半導体特性を有し、少なくとも1つの中間層(120)は、前記有機半導体材料(122)と、前記有機半導体デバイス(110)の電極(114)の少なくとも1つとの間に少なくとも部分的に挿入されており、前記中間層(120)は、一般式HS−R[式中、Rは、有機残基である]を有する少なくとも1種のチオール化合物を含み、前記チオール化合物は、該チオール化合物のSH基から離れた方向を指し示す電気的双極子モーメントを有し、その際、前記電気的双極子モーメントは、4−フェニルチオフェノールにおける電気的双極子モーメントと少なくとも同じ大きさを有し、前記中間層(120)によって、前記電極(114)間の両極性電荷担体輸送が抑制されて、負の電荷担体輸送が優勢となり、
前記有機半導体材料(122)は、
【化7】
のポリマーから選択され、その式中、
1は、式:
【化8】
から選択される、場合により置換されたナフタレンイミドであり、
1は、それぞれの場合に、独立して、H、C1〜C40−アルキル基、C2〜C40−アルケニル基、C1〜C40−ハロアルキル基および1〜4個の環式部分から選択され、その際、
前記のC1〜C40−アルキル基、C2〜C40−アルケニル基およびC1〜C40−ハロアルキル基のそれぞれは、場合により、独立して、ハロゲン、−CN、NO2、OH、−NH2、−NH(C1〜C20−アルキル)、−N(C1〜C20−アルキル)2、−S(O)2OH、−CHO、−C(O)−C1〜C20−アルキル、−C(O)OH、−C(O)−OC1〜C20−アルキル、−C(O)NH2、−C(O)NH−C1〜C20−アルキル、−C(O)N(C1〜C20−アルキル)2、−OC1〜C20−アルキル、−SiH3、−SiH(C1〜C20−アルキル)2、−SiH2(C1〜C20−アルキル)および−Si(C1〜C20−アルキル)3から選択される1〜10個の置換基で置換されていてよく、
前記のC1〜C40−アルキル基、C2〜C40−アルケニル基およびC1〜C40−ハロアルキル基のそれぞれは、イミド窒素原子へと、任意のリンカーを介して共有結合されていてよく、かつ
前記の1〜4個の環式部分のそれぞれは、同一または異なってよく、互いにもしくはイミド窒素へと任意のリンカーを介して共有結合されていてよく、かつ場合により、独立して、ハロゲン、オキソ、−CN、NO2、OH、=C(CN)2、−NH2、−NH(C1〜C20−アルキル)、−N(C1〜C20−アルキル)2、−S(O)2OH、−CHO、−C(O)OH、−C(O)−C1〜C20−アルキル、−C(O)−OC1〜C20−アルキル、−C(O)NH2、−C(O)NH−C1〜C20−アルキル、−C(O)N(C1〜C20−アルキル)2、−SiH3、−SiH(C1〜C20−アルキル)2、−SiH2(C1〜C20−アルキル)、−Si(C1〜C20−アルキル)3、−O−C1〜C20−アルキル、−O−C1〜C20−アルケニル、−O−C1〜C20−ハロアルキル、C1〜C20−アルキル基、C1〜C20−アルケニル基およびC1〜C20−ハロアルキル基から選択される1〜5個の置換基で置換されていてよく、
2は、1つ以上の単環式部分を含む繰返単位であり、かつnは、2〜5000の整数であり、
2は、
【化9】
から選択され、その式中、
π−2は、1〜6個のRe基で場合により置換された多環式部分であり、
Arは、それぞれの場合に、独立して、5員もしくは6員のアリールもしくはヘテロアリール基であり、その際、これらの基のそれぞれは、場合により、1〜6個のRe基で置換されていてよく、その際、
eは、それぞれの場合に、独立して、a)ハロゲン、b)−CN、c)−NO2、d)オキソ、e)−OH、f)=C(Rf2、g)C1〜C40−アルキル基、h)C2〜C40−アルケニル基、i)C2〜C40−アルキニル基、j)C1〜C40−アルコキシ基、k)C1〜C40−アルキルチオ基、l)C1〜C40−ハロアルキル基、m)−Y−C3〜C10−シクロアルキル基、n)−Y−C6〜C14−アリール基、o)−Y−C6〜C14−ハロアリール基、p)−Y−3〜12員のシクロへテロアルキル基、またはq)−Y−5〜14員のヘテロアリール基であり、その際、前記のC1〜C40−アルキル基、C2〜C40−アルケニル基、C2〜C40−アルキニル基、C3〜C10−シクロアルキル基、C6〜C14−アリール基、C6〜C14−ハロアリール基、3〜12員のシクロへテロアルキル基および5〜14員のヘテロアリール基は、場合により、1〜4個のRf基で置換されており、
fは、それぞれの場合に、独立して、a)ハロゲン、b)−CN、c)−NO2、d)オキソ、e)−OH、f)−NH2、g)−NH(C1〜C20−アルキル)、h)−N(C1〜C20−アルキル)2、i)−N(C1〜C20−アルキル)−C6〜C14−アリール、j)−N(C6〜C14−アリール)2、k)−S(O)wH、l)−S(O)w−C1〜C20−アルキル、m)−S(O)2OH、n)−S(O)w−OC1〜C20−アルキル、o)−S(O)w−OC6〜C14−アリール、p)−CHO、q)−C(O)−C1〜C20−アルキル、r)−C(O)−C6〜C14−アリール、s)−C(O)OH、t)−C(O)−OC1〜C20−アルキル、u)−C(O)−OC6〜C14−アリール、v)−C(O)NH2、w)−C(O)NH−C1〜C20−アルキル、x)−C(O)N(C1〜C20−アルキル)2、y)−C(O)NH−C6〜C14−アリール、z)−C(O)N(C1〜C20−アルキル)−C6〜C14−アリール、aa)−C(O)N(C6〜C14−アリール)2、ab)−C(S)NH2、ac)−C(S)NH−C1〜C20−アルキル、ad)−C(S)N(C1〜C20−アルキル)2、ae)−C(S)N(C6〜C14−アリール)2、af)−C(S)N(C1〜C20−アルキル)−C6〜C14−アリール、ag)−C(S)NH−C6〜C14−アリール、ah)−S(O)wNH2、ai)−S(O)wNH(C1〜C20−アルキル)、aj)−S(O)wN(C1〜C20−アルキル)2、ak)−S(O)wNH(C6〜C14−アリール)、al)−S(O)wN(C1〜C20−アルキル)−C6〜C14−アリール、am)−S(O)wN(C6〜C14−アリール)2、an)−SiH3、ao)−SiH(C1〜C20−アルキル)2、ap)−SiH2(C1〜C20−アルキル)、aq)−Si(C1〜C20−アルキル)3、ar)C1〜C20−アルキル基、as)C2〜C20−アルケニル基、at)C2〜C20−アルキニル基、au)C1〜C20−アルコキシ基、av)C1〜C20−アルキルチオ基、aw)C1〜C20−ハロアルキル基、ax)C3〜C10−シクロアルキル基、ay)C6〜C14−アリール基、az)C6〜C14−ハロアリール基、ba)3〜12員のシクロへテロアルキル基、またはbb)5〜14員のヘテロアリール基であり、
Yは、それぞれの場合に、独立して、二価のC1〜C6−アルキル基、二価のC1〜C6−ハロアルキル基および共有結合から選択され、かつ
wは、0、1または2であり、
Zは、共役直鎖状リンカーであり、かつ
m、m’およびm’’は、独立して、1、2、3または4である前記有機半導体デバイス(110)。
【請求項12】
請求項11に記載の有機半導体デバイス(110)であって、前記有機半導体デバイス(110)は、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法によって製造できる前記有機半導体デバイス(110)。
【請求項13】
請求項11または12に記載の有機半導体デバイス(110)であって、前記有機半導体デバイス(110)は、電極(114)の間に電荷担体輸送のためのチャネルを含み、前記チャネルは、1μm〜500μmのチャネル長を有する前記有機半導体デバイス(110)。
【請求項14】
少なくとも1種のチオール化合物を含む中間層(120)を、少なくとも1種の有機半導体材料(122)と、該有機半導体材料(122)を通じる電荷担体輸送を促すように適合された少なくとも2つの電極(114)とを有する有機半導体デバイス(110)において両極性電荷担体輸送を抑制して、負の電荷担体輸送を優勢にするための使用であって、前記中間層(120)は、前記電極(114)の少なくとも1つと、前記有機半導体材料(122)との間に少なくとも部分的に挿入されており、前記中間層(120)は、一般式HS−R[式中、Rは、有機残基である]を有する少なくとも1種のチオール化合物を含み、前記チオール化合物は、該チオール化合物のSH基から離れた方向を指し示す電気的双極子モーメントを有し、その際、前記電気的双極子モーメントは、4−フェニルチオフェノールにおける電気的双極子モーメントと少なくとも同じ大きさを有し、前記中間層(120)によって、前記電極(114)間の両極性電荷担体輸送が抑制されて、負の電荷担体輸送が優勢となり、前記有機半導体材料(122)は、
【化10】
のポリマーから選択され、その式中、
1は、式:
【化11】
から選択される、場合により置換されたナフタレンイミドであり、
1は、それぞれの場合に、独立して、H、C1〜C40−アルキル基、C2〜C40−アルケニル基、C1〜C40−ハロアルキル基および1〜4個の環式部分から選択され、その際、
前記のC1〜C40−アルキル基、C2〜C40−アルケニル基およびC1〜C40−ハロアルキル基のそれぞれは、場合により、独立して、ハロゲン、−CN、NO2、OH、−NH2、−NH(C1〜C20−アルキル)、−N(C1〜C20−アルキル)2、−S(O)2OH、−CHO、−C(O)−C1〜C20−アルキル、−C(O)OH、−C(O)−OC1〜C20−アルキル、−C(O)NH2、−C(O)NH−C1〜C20−アルキル、−C(O)N(C1〜C20−アルキル)2、−OC1〜C20−アルキル、−SiH3、−SiH(C1〜C20−アルキル)2、−SiH2(C1〜C20−アルキル)および−Si(C1〜C20−アルキル)3から選択される1〜10個の置換基で置換されていてよく、
前記のC1〜C40−アルキル基、C2〜C40−アルケニル基およびC1〜C40−ハロアルキル基のそれぞれは、イミド窒素原子へと、任意のリンカーを介して共有結合されていてよく、かつ
前記の1〜4個の環式部分のそれぞれは、同一または異なってよく、互いにもしくはイミド窒素へと任意のリンカーを介して共有結合されていてよく、かつ場合により、独立して、ハロゲン、オキソ、−CN、NO2、OH、=C(CN)2、−NH2、−NH(C1〜C20−アルキル)、−N(C1〜C20−アルキル)2、−S(O)2OH、−CHO、−C(O)OH、−C(O)−C1〜C20−アルキル、−C(O)−OC1〜C20−アルキル、−C(O)NH2、−C(O)NH−C1〜C20−アルキル、−C(O)N(C1〜C20−アルキル)2、−SiH3、−SiH(C1〜C20−アルキル)2、−SiH2(C1〜C20−アルキル)、−Si(C1〜C20−アルキル)3、−O−C1〜C20−アルキル、−O−C1〜C20−アルケニル、−O−C1〜C20−ハロアルキル、C1〜C20−アルキル基、C1〜C20−アルケニル基およびC1〜C20−ハロアルキル基から選択される1〜5個の置換基で置換されていてよく、
2は、1つ以上の単環式部分を含む繰返単位であり、かつnは、2〜5000の整数であり、
2は、
【化12】
から選択され、その式中、
π−2は、1〜6個のRe基で場合により置換された多環式部分であり、
Arは、それぞれの場合に、独立して、5員もしくは6員のアリールもしくはヘテロアリール基であり、その際、これらの基のそれぞれは、場合により、1〜6個のRe基で置換されていてよく、その際、
eは、それぞれの場合に、独立して、a)ハロゲン、b)−CN、c)−NO2、d)オキソ、e)−OH、f)=C(Rf2、g)C1〜C40−アルキル基、h)C2〜C40−アルケニル基、i)C2〜C40−アルキニル基、j)C1〜C40−アルコキシ基、k)C1〜C40−アルキルチオ基、l)C1〜C40−ハロアルキル基、m)−Y−C3〜C10−シクロアルキル基、n)−Y−C6〜C14−アリール基、o)−Y−C6〜C14−ハロアリール基、p)−Y−3〜12員のシクロへテロアルキル基、またはq)−Y−5〜14員のヘテロアリール基であり、その際、前記のC1〜C40−アルキル基、C2〜C40−アルケニル基、C2〜C40−アルキニル基、C3〜C10−シクロアルキル基、C6〜C14−アリール基、C6〜C14−ハロアリール基、3〜12員のシクロへテロアルキル基および5〜14員のヘテロアリール基は、場合により、1〜4個のRf基で置換されており、
fは、それぞれの場合に、独立して、a)ハロゲン、b)−CN、c)−NO2、d)オキソ、e)−OH、f)−NH2、g)−NH(C1〜C20−アルキル)、h)−N(C1〜C20−アルキル)2、i)−N(C1〜C20−アルキル)−C6〜C14−アリール、j)−N(C6〜C14−アリール)2、k)−S(O)wH、l)−S(O)w−C1〜C20−アルキル、m)−S(O)2OH、n)−S(O)w−OC1〜C20−アルキル、o)−S(O)w−OC6〜C14−アリール、p)−CHO、q)−C(O)−C1〜C20−アルキル、r)−C(O)−C6〜C14−アリール、s)−C(O)OH、t)−C(O)−OC1〜C20−アルキル、u)−C(O)−OC6〜C14−アリール、v)−C(O)NH2、w)−C(O)NH−C1〜C20−アルキル、x)−C(O)N(C1〜C20−アルキル)2、y)−C(O)NH−C6〜C14−アリール、z)−C(O)N(C1〜C20−アルキル)−C6〜C14−アリール、aa)−C(O)N(C6〜C14−アリール)2、ab)−C(S)NH2、ac)−C(S)NH−C1〜C20−アルキル、ad)−C(S)N(C1〜C20−アルキル)2、ae)−C(S)N(C6〜C14−アリール)2、af)−C(S)N(C1〜C20−アルキル)−C6〜C14−アリール、ag)−C(S)NH−C6〜C14−アリール、ah)−S(O)wNH2、ai)−S(O)wNH(C1〜C20−アルキル)、aj)−S(O)wN(C1〜C20−アルキル)2、ak)−S(O)wNH(C6〜C14−アリール)、al)−S(O)wN(C1〜C20−アルキル)−C6〜C14−アリール、am)−S(O)wN(C6〜C14−アリール)2、an)−SiH3、ao)−SiH(C1〜C20−アルキル)2、ap)−SiH2(C1〜C20−アルキル)、aq)−Si(C1〜C20−アルキル)3、ar)C1〜C20−アルキル基、as)C2〜C20−アルケニル基、at)C2〜C20−アルキニル基、au)C1〜C20−アルコキシ基、av)C1〜C20−アルキルチオ基、aw)C1〜C20−ハロアルキル基、ax)C3〜C10−シクロアルキル基、ay)C6〜C14−アリール基、az)C6〜C14−ハロアリール基、ba)3〜12員のシクロへテロアルキル基、またはbb)5〜14員のヘテロアリール基であり、
Yは、それぞれの場合に、独立して、二価のC1〜C6−アルキル基、二価のC1〜C6−ハロアルキル基および共有結合から選択され、かつ
wは、0、1または2であり、
Zは、共役直鎖状リンカーであり、かつ
m、m’およびm’’は、独立して、1、2、3または4である前記使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機半導体デバイスの製造方法に関する。更なる態様においては、本発明は、有機半導体デバイスならびに有機半導体デバイスにおいて両極性電荷担体輸送が抑制されて単極性電荷担体輸送が優勢となるようにするための少なくとも1種のチオール化合物を含む中間層の使用に関する。本発明の方法、有機半導体デバイスおよび使用は、好ましくは、一般に有機エレクトロニクスの分野で、またはより好ましくは、有機電界効果トランジスタ(OFETs)の分野で適用できる。
【0002】
関連技術
近年において、ポリマー半導体、モノマー半導体またはオリゴマー半導体などの有機半導体は、シリコンなどの従来の半導体に代わる有望な材料としてかなりの注目がなされている。このように、様々なエレクトロニクス分野において、従来の無機半導体材料を置き換えることができるか、または新型のデバイスを有機半導体を使用することによって作製することさえもできる。このように、有機ダイオードおよび発光ダイオード(OLEDs)、有機光起電デバイス(OPDs)および有機トランジスタ、特に有機電界効果トランジスタ(OFETs)を挙げることができる。以下に、本発明の範囲を制限するものではないが、本発明は、主として、有機電界効果トランジスタにおける潜在的な使用に関して説明する。しかし、他の用途も可能である。
【0003】
有機半導体の主要な利点の一つは、低コスト技術を使用することによって薄膜に加工されるその潜在性である。このように、特にポリマー材料を加工して、低い製造コストで、特に格安のエレクトロニクス用途のためにトランジスタとすることができる。有機半導体、特にポリマー半導体の主たる要求は、優れた電荷輸送特性、化学的安定性、有機溶剤中の良好な溶解性および廉価な低温加工である。より高い性能およびより低い電力消費のための相補型回路技術、例えば相補的金属酸化物半導体(CMOS)において有機材料を利用するために、1つのCMOSデバイスにおいて別個のpチャネル半導体(正孔輸送半導体、以下に、p型半導体とも呼ばれる)およびnチャネル半導体(電子輸送半導体、以下に、n型半導体とも呼ばれる)の相補型操作が必要となる。有機薄膜トランジスタ(OTFTs)での用途に加えて、これらの2種類の半導体材料の組み合わせも、OLED技術またはOPV技術において、特に効果的な励起子の形成または分離のために必須となりうる。
【0004】
有機エレクトロニクスデバイスで使用するための多数の有機材料は知られており、かつ開発されている。殆どの場合には、該有機材料の主たる特徴は、拡張π電子系であり、波動関数の非局在化をもたらし、それにより正電荷担体および/または負電荷担体の輸送をもたらす。無機半導体と比較して、典型的には、有機半導体中の移動可能な正電荷は「正孔」と呼ばれ、かつ移動可能な負電荷は、「電子」と呼ばれる。この学術用語は、以下で、有機材料中の電荷担体輸送が従来の無機半導体中の電荷担体輸送と全く同等でないとしても使用される。同様に、これらの対比に幾らかの欠陥があることが知られているとしても、従来の無機半導体の伝導帯は、一般に有機材料の最低空軌道(LUMO)に匹敵し、無機半導体材料の価電子帯は、一般に有機半導体の最高被占軌道(HOMO)に匹敵する。
【0005】
半導体特性を有することが知られる多数の有機材料のなかでも、ナフタレン−イミド半導体ポリマーは、過去に、特に有機トランジスタデバイスにおけるその潜在的な使用に関してかなり注目されている。WO 2009/098253 A1、Z. Chen et al.: Napththalenedicarboximide- vs Perylenedicarboximide-Based Copolymers. Synthesis and Semiconducting Properties in Bottom-Gate N-Channel Organic Transistors, J. Am. Chem. Soc. 2009, 131, 8-9およびH. Yan et al.: A high-mobility electron-transporting polymer for printed transistors, Nature, Vol 457, 5 February 2009, pages 679-686.を参照することができる。
【0006】
特に、ポリ{[N,N’−ビス(2−オクチルドデシル)ナフタレン−1,4,5,8−ビス(ジカルボキシイミド)−2,6−ジイル]−alt−5,5’−(2,2’−ビチオフェン)}(P(NDI2OD−T2))は、誘電体、基板および半導体堆積法が様々なTGBC(トップゲート−ボトムコンタクト型)薄膜トランジスタ構造において0.1〜0.65cm2-1-1の範囲の高いnチャネル移動度、すなわち負電荷担体もしくは電子の高い移動度を示すことが知られている。それは、周囲大気下でも測定されており、安定であると確認された。それは、低バンドギャップ型半導体、特にドナー−アクセプターコポリマーの一例であるため、ある程度の両極性を示し、それにより正孔と電子の両方は、前記材料を通じて、特にトランジスタへと、より具体的にはOTFTデバイス構成へと注入および輸送されうる。これは、該半導体ポリマーが負電圧下にバイアスがかけられているときに観察できる。その際、測定されるpチャネル移動度、すなわち正電荷担体の移動度は、0.1〜0.2cm2-1-1の範囲であることが認められた。一定のバイアス条件下では、正孔と電子の両方が前記チャネル中に存在する領域がある。しかしながら、この両極性領域は、幾つかの技術的な課題に導く。このようにまず、単極性p型または単極性n型の形態を得るためには、高いかまたは一致しない閾値電圧が必要である。更に、次には、電荷担体の複雑な捕捉効果が生ずる。それというのも、一方のまたは両方の型の電荷担体は異なる捕捉を受けるが、特に異なる化学的部分などのそれらの異なる化学特性のためそのようになるからである。従って、多くの場合において、顕著な両極性は、例えばOTFTsを利用したディスプレイバックパネルなどの用途のためには望ましくない。
【0007】
材料および電荷輸送のデザインに関する技術的課題の他に、有機エレクトロニクスデバイスの性能の向上においては電極デザインも主たる課題であることが知られている。このように、有機電界効果トランジスタにおいて、より高い性能を提供するためにより小さいチャネル長領域へと変遷するなかで、接触抵抗はより重要な問題となってきている。このように、多くの場合において、前記の接触抵抗の課題は、金属電極の仕事関数と有機半導体材料のHOMOとの間のエネルギー準位の不整合(正孔注入について)および/または金属電極の仕事関数と有機半導体材料のLUMOとの間のエネルギー準位の不整合(電子注入について)のため検討されてきている。より大きなチャネル長を有するデバイスにおいては、この効果は殆どの場合に無視することができる。それというのも、前記チャネルに沿った電荷輸送の抵抗性はより優位な効果だからである。しかしながら、近い将来に利用がより重要となるであろう小チャネル長デバイスに関しては、エネルギー準位の不整を最小化することによって、この問題の解決策を見出す必要がある。
【0008】
この問題の解決に関する幾つかのアプローチは、文献から公知である。このように明らかに、一つのアプローチは、適切なエネルギー準位を有するコンタクト材料の使用、例えば電子注入のための低い仕事関数金属の使用もしくは正孔注入のための高い仕事関数金属の使用、および/または適切なHOMOおよび/またはLUMO準位を有する有機材料の設計でありうる。しかし、他のアプローチも知られている。このように、電極と有機半導体との間の中間層を使用してよい。具体的には、電極と有機半導体との間に自己組織化単分子膜(SAMs)が使用されうることは文献から公知である。金属電極上のSAMsは、該電極の仕事関数に影響を及ぼしうることが知られている。このように、M. Kitamura et al.: Threshold voltage control of bottom-contact n-channel organic thin-film transistors using modified drain/source electrodes, Applied Physics Letters 94, 083310 (2009)においては、ベンゼンチオール誘導体によって変性されたドレイン/ソース電極を有するボトムコンタクト型nチャネルC60薄膜トランジスタが開示されている。自己組織化単分子膜は、通常の電極と有機半導体材料との間に配置され、双極子が導かれる。双極子モーメントは、担体、つまり輸送されるべき正孔または電子についてのより低い注入障壁が得られるように界面を変性させるために知られている。更に、チオール化合物は、銀および金などの材料の仕事関数を調節するにあたって評価されている。このように、D. Boudinet et al.: Modification of gold source and drain electrodes by self-assembled monolayer in staggered n- and p-channel organic thin film transistors, Organic Electronics 11 (2010) 227-237、X. Cheng et al.: Controlling Electron and Hole Charge Injection in Ambipolar Organic Field-Effect transistors by Self-Assembled Monolayers, Adv. Funct. Mater. 2009, 19, 2407-2415およびJ.-P. Hong et al.: Tuning of Ag work functions by self-assembled monolayers of aromatic thiols for an efficient hole injection for solution processed triisopropylsilylethynyl pentacene organic thin film transistors, Applied Physics Letters 92, 143311 (2008)を参照できる。具体的には、自己組織化単分子膜の使用は、バランスの取れた電子と正孔の移動度を有する明らかな両極特性に導きうることが知られている。
【0009】
しかしながら、上記概説したように、多くの技術的用途における有機トランジスタデバイスの両極性は望ましくはなく、技術的課題に導くものである。特に、両極性電荷担体輸送を有するトランジスタデバイスの制御はかなり困難である。更に、多くの用途が、純粋にnチャネルのまたは純粋にpチャネルのトランジスタデバイスの使用を必要とする。特に、主として有機材料における負電荷の化学的安定性のゆえに、n型有機半導体材料のデザインと、それによりnチャネル有機電界効果トランジスタの設計は、依然として未解決の課題のままである。
【0010】
解決すべき課題
従って、本発明の課題は、先行技術から公知の方法およびデバイスの課題および問題点を克服する有機半導体デバイスおよび有機半導体デバイスの製造方法を提供することである。特に、本発明の課題は、良好な電荷担体輸送と電荷担体注入特性を有する単極性デバイスを提供することである。
【0011】
また、本発明の課題は、両極性有機半導体材料を含むデバイスにおける両極性電荷担体輸送を抑制する方法を提供することであった。
【0012】
本発明の要旨
前記技術的課題は、独立形式請求項の発明主題によって解決される。本発明の好ましい実施形態は、個別にまたは他の実施形態との任意の組み合わせにおいて行われうるが、それらは、従属形式請求項に開示されている。
【0013】
本発明の第一の一態様においては、有機半導体デバイスの製造方法が開示される。前記有機半導体デバイスは、少なくとも1種の有機半導体材料と少なくとも2つの電極とを有し、それらは、前記有機半導体材料を通じた電荷担体輸送を促すように適合されている。本願で使用される場合に、有機半導体デバイスという用語は、少なくとも1種の有機半導体材料を有する電子デバイスを指す。該有機半導体デバイスは、有機材料のみからなる純粋に有機の半導体デバイスであってよい。しかしながら、他の実施形態が可能であり、例えば少なくとも1種の有機半導体材料と少なくとも1種の無機半導体材料を有する有機半導体デバイスも可能である。半導体材料という用語は、電荷担体輸送を促すために適した、すなわち電流をもたらすのに適した任意の材料を指す。好ましくは、バルク状態での、少なくとも1つの種類の電荷担体についての、すなわち負電荷担体および/または正電荷担体についての半導体材料の電界効果移動度は、好ましくは、少なくとも10-5cm2-1-1、より好ましくは少なくとも10-4cm2-1-1、更により好ましくは少なくとも10-3cm2-1-1であってよい。
【0014】
更に、本願で使用される場合に、電極という用語は、電気的に接触されるように適合され、かつ負電荷担体および/または正電荷担体を有機半導体材料中に注入するように適合され、かつ/または負電荷担体および/または正電荷担体を有機半導体材料から取り出すように適合されたエレメントに対して使用される。好ましくは、前記電極の少なくとも1つは、少なくとも1種の伝導性材料、例えばバルク状態で測定して、少なくとも1×105S/m、より好ましくは少なくとも1×106S/m、更により好ましくは少なくとも5×106S/mもしくは少なくとも20×106S/mを有する伝導性材料を含んでよい。このように、好ましくは、前記電極の少なくとも1つは、少なくとも1種の金属材料、例えばアルミニウム、銀、金またはそれらの組み合わせを含んでよい。
【0015】
一般に、前記有機半導体デバイスは、任意の種類の電子デバイスであってもまたは任意の種類の電子デバイスを含んでもよい。このように、前記有機半導体デバイスは、少なくとも1つのダイオードおよび/または少なくとも1つのトランジスタであってもまたはそれらを含んでもよい。前記概説したように、前記有機半導体デバイスは、有機電界効果トランジスタであるか、または少なくとも1つの有機電界効果トランジスタを含む。本願で使用される場合に、有機電界効果トランジスタ(OFET)という用語は、少なくとも1種の有機半導体材料をチャネル材料として使用する電界効果トランジスタを指す。このように、前記有機電界効果トランジスタは、少なくとも1つのソース電極および少なくとも1つのドレイン電極と、更に少なくとも1つのチャネルを含んでよく、その際、前記有機電界効果トランジスタは、正電荷担体および/または負電荷担体が、前記チャネルを通じてソース電極からドレイン電極へと、またはその逆へと輸送されうるように設計される。更に、有機電界効果トランジスタは、一般に、少なくとも1つのゲート電極、すなわち前記チャネルにおける電荷担体密度に影響するように適合された電場を生成するように設計される電極を含む。一般に、前記チャネルとゲート電極とは、少なくとも1種の絶縁材料によって、例えば少なくとも1つの絶縁層によって隔離される。電場をかけることによって、前記チャネル中の正電荷担体または負電荷担体の密度を調整でき、こうして前記チャネルにおける正電荷担体もしくは負電荷担体の制御可能性をもたらし、具体的にはソース電極からドレイン電極へのまたはその逆への正電荷担体もしくは負電荷担体の輸送の制御可能性をもたらす。前記有機半導体デバイスの、より好ましくは前記有機電界効果トランジスタの好ましい実施形態を以下に開示する。
【0016】
前記有機半導体材料は、本来両極性半導体特性を有する。本願で使用される場合に、両極性半導体特性という用語は、2桁未満だけ異なる、より好ましくは1桁未満だけ異なる電子移動度と正孔移動度を有する材料に関連している。これらの電子移動度と正孔移動度は、有機半導体材料のバルク移動度および/または通常の駆動条件下で測定される移動度を指す。通常の駆動条件という用語は、前記移動度が有機半導体材料と接触する2種のベア金属電極、例えばAu、Ag、Alまたはそれらの組み合わせを使用することによって測定される測定設定を指しうる。このように、前記測定は、任意の公知の手段によって堆積されたAuおよび/またはAgからなるソース電極とドレイン電極と接触する、OFET構成において、特に有機薄膜トランジスタ(OTFT)構成において有機半導体を使用することによって行うことができる。このように、金属電極は、スパッタリング、電子ビーム堆積、熱的堆積、印刷または他の手段によって堆積されうる。前記の「ベア」という用語は、金属電極と有機半導体材料との間に、意図的な追加の層が、例えば意図的な追加の表面基が、例えば前記ベア金属上に挿入することによって挿入されていないことを指す。好ましくは、両極性半導体特性の上述の定義は、この種の測定設定を指す。
【0017】
前記方法は、更に、前記有機半導体材料と前記電極の少なくとも1つとの間に少なくとも部分的に挿入されている少なくとも1つの中間層を生成する少なくとも1つのステップを含む。前記有機半導体デバイスの設定に応じて、中間層の生成の様々な実施形態が存在する。このように、前記中間層を生成するために、前記中間層は、少なくとも1種の有機半導体材料を最上部に堆積する前に前記電極上にまたは前記電極の少なくとも1つの上に堆積されうる。その代わりにまたはそれに加えて、前記の少なくとも1つの中間層は、この少なくとも1つの中間層を、前記少なくとも1つの有機半導体材料上に堆積させてから、前記電極および/または前記電極の少なくとも1つを堆積させることによって生成することができる。これらの可能性および/または他の可能性の組み合わせも可能である。最も好ましくは、前記少なくとも1つの中間層を、前記電極の最上部上におよび/または前記電極の少なくとも1つの上に堆積してから、前記少なくとも1種の有機半導体材料の1つ以上の層が堆積される。
【0018】
本願で使用される場合に、「少なくとも部分的に挿入される」という用語は、前記少なくとも1つの中間層が、電極−有機半導体材料界面の側方境界を越えて広がることを指す。このように、前記少なくとも1つの中間層は、少なくとも1つの次元において、この界面を越えて広がりうる。更に、本願で使用される場合に、層という用語は、材料の薄膜、好ましくは50nm未満の、有利には10nm未満の、更により有利には1nm未満の厚さを有する薄膜を指す。好ましくは、層という用語は、閉じた層を指す。しかしながら、前記用語は、また不完全に覆う可能性も含み、例えば島状成長および/または開口部もしくは穴を有する層も含む。好ましくは、前記層によって覆われる表面の被覆率は、20%を上回り、より好ましくは50%を上回り、または更により好ましくは80%を上回る。中間層という用語は、少なくとも2つの他の材料の間に、例えば2つの層の間に挿入されている層を指す。このように、前記中間層は、前記少なくとも1つの電極の少なくとも1つの金属層と、前記有機半導体材料の少なくとも1つの層との間に、少なくとも部分的に挿入されてよい。好ましくは、本発明の前記設定または他の実施形態においては、前記有機半導体デバイスは、層設定を含み、好ましくは1μmを越えて、より好ましくは500nmを越えて広がらない厚さを有する層の層設定を含む。
【0019】
前記少なくとも1つの中間層は、有機半導体材料と、前記電極の1つ以上との間に挿入されうる。このように、前記電極は、少なくとも1つのソース電極と、少なくとも1つのドレイン電極とを含んでよい。前記少なくとも1つの中間層は、前記少なくとも1つのソース電極と、前記少なくとも1つの有機半導体材料との間に挿入されてよく、かつ/または前記少なくとも1つのドレイン電極と、前記少なくとも1つの有機半導体材料との間に挿入されてよい。好ましくは、前記中間層は、これらの電極の両方と有機半導体材料との間に挿入される。より好ましくは、前記少なくとも1つのソース電極および前記少なくとも1つのドレイン電極は、前記有機半導体デバイスの層設定の1つの同じ面に配置されており、例えばソース電極およびドレイン電極を基板上に堆積させてから、これらの電極の一方または両方の最上部上に少なくとも1つの中間層を堆積させ、それからこの設定の最上部上に少なくとも1種の有機半導体材料を堆積させることによって配置される。
【0020】
少なくとも1つの中間層の生成のために、当業者に公知の様々な技術を使用することができる。このように、前記少なくとも1つの中間層は、溶液からのプロセシングを使用することによって生成でき、その際、前記溶液は、少なくとも1種の溶剤と、溶解された状態および/または分散された状態で中間層の少なくとも1種の中間層材料を含む。溶液からのプロセシングは、スピンコート法、印刷法、ラングミュア・ブロジェット技術、ドクターブレード法、これらの技術の組み合わせまたは他の技術を含んでよい。更に、溶液からのプロセシングの代わりにまたはそれに加えて、他の技術を使用してよく、例えば化学蒸着および/または物理蒸着を使用してよい。
【0021】
本発明による方法において、前記中間層は、一般式HS−Rを有し、式中のRが有機残基である少なくとも1種のチオール化合物を含む。本願で使用される場合に、「有機残基」という用語は、共有結合、錯結合またはイオン結合によってHS基に結合される1つ以上の有機部を指す。有機残基Rの好ましい実施形態を以下に列挙する。
【0022】
前記チオール化合物は双極子モーメントを有する。本願で使用される場合に、双極子モーメントという用語は、該チオール化合物の1分子における正電荷と負電荷の分離の尺度である電気双極子モーメントを指す。電気双極子モーメントは、負電荷から正電荷を指すベクトルである。複雑な電荷系、例えばHS−R分子の電子系では、電荷分布を考慮する必要があり、それは計算および/または測定することができる。
【0023】
好ましくは、該チオール化合物の双極子モーメントは、S−H部から残基Rに向けて指し示す双極子モーメントであり、つまりは、前記チオール化合物の双極子モーメントは、前記S−H基のSと、前記S−H基のSに結合されたR残基の原子との間の結合と、90゜未満の角度を形成し、好ましくは45°未満の角度を形成する。前記S−H基のSと、前記S−H基のSに結合されたR前記の原子との間の結合は、共有結合、イオン結合または錯結合であってよい。前記結合は好ましくは共有結合である。
【0024】
前記チオール化合物の双極子モーメントは、4−フェニルチオフェノールにおける双極子モーメント、すなわちS−H部から残基Rに向けて指し示す双極子モーメントと同じ方向と、少なくとも同じ大きさを有してよく、かつ4−フェニルチオフェノールの双極子モーメントと少なくとも同じ大きさを有する。
【0025】
本願で使用される場合に、チオール化合物の双極子モーメントの文脈における表現「方向」とは、該チオール化合物のSH基に向けて指し示すまたは該チオール化合物のSH基から離れた方向を指し示す双極子モーメントベクトルの問題を指す。このように、前記チオール化合物のSH基に向けて指し示す双極子モーメントベクトルを有する双極子モーメントは、第一の方向を有する双極子モーメントとして分類できるが、前記チオール化合物のSH基から離れた方向を指し示す双極子モーメントベクトルを有する双極子モーメントは、第二の方向を有する双極子モーメントとして分類できる。目下、中間層で使用されるべきチオール化合物は、4−フェニルチオフェノールでの双極子モーメントと同じ方向を有してよい。このように、本発明においては、少なくとも1つの中間層において使用されるべき前記少なくとも1種のチオール化合物は、例えば4−フェニルチオフェノールにおけるのと同様に、前記チオール化合物のSH基から離れた方向を指し示す双極子モーメントベクトルを有する。
【0026】
このように、好ましくは、本発明の中間層で使用される前記チオール化合物は、少なくとも1.22の、より好ましくは少なくとも1.3の、更により好ましくは少なくとも1.4の、最も好ましくは少なくとも1.5の電気双極子モーメントを有する。ここで、全ての双極子モーメントは、単位「デバイ」を使用して示される。それは、約3.33564×10-30クーロン×mに相当する。
【0027】
前記チオール化合物の電気双極子モーメントは、計算することができ、および/または例えば市販の双極子メーターを使用することによって測定することもできる。目下、本願特許請求の範囲を制限することを望むものではないが、本願で示される全ての双極子モーメントは、当業者に広く使用されかつ知られており、Wavefunction, Inc., Irvine, USAによって市販されている分子モデリングおよび計算化学ソフトウェア「Spartan '06」を使用することによって計算される。前記双極子モーメントは、密度汎関数B3LYP法を使用して、基底状態での平衡構造について計算した。しかしながら、他の種類の計算および/または測定を使用してもよい。それというのも、上記概説のように、前記チオール化合物の双極子モーメントの方向および大きさは、4−フェニルチオフェノールの方向および大きさと単純に比較できるからである。どのような双極子モーメントの測定法および/または計算法が使用されても、前記チオール化合物は、4−フェニルチオフェノールにおける双極子モーメントと同じ方向および少なくとも同じ大きさを有する必要がある。
【0028】
前記中間層によって、電極間の両極性電荷輸送は抑制されて、単極性電荷担体輸送が優勢となる。換言すると、上述の特性を有する前記少なくとも1種のチオール化合物を有する前記少なくとも1つの中間層を使用することによって、前記少なくとも1種の有機半導体材料の両極性半導体特性は低減されて、単極性電荷担体輸送は増大される。本願で使用される場合に、単極性電荷担体輸送という用語は、電子と正孔が、少なくとも2桁以上だけ異なる、またはより好ましくは3桁より大きく異なる移動度を有する電荷担体の電荷担体輸送を指す。このように、前記少なくとも1つの中間層を使用することによって、前記少なくとも1種の有機半導体材料の前記両極性半導体特性は、単極性半導体特性へと変化しうる。これらの単極性半導体特性は、n型単極性半導体特性またはp型単極性半導体特性を有してよく、その際、n型単極性半導体特性が好ましい。このように、前記少なくとも1種のチオール化合物を有する前記少なくとも1つの中間層を使用することによって、前記両極性半導体特性は、n型単極性半導体特性へと、すなわち正孔移動度よりも少なくとも2桁高い電子移動度を有するn型半導体特性へと、またはp型単極性半導体特性へと、すなわち電子移動度よりも少なくとも2桁高い正孔移動度を有する半導体特性へと変化しうる。
【0029】
前記概説の通り、好ましい一実施形態においては、前記少なくとも1種の有機半導体材料の両極性電荷担体輸送は抑制されて、負電荷担体輸送が優勢となりうる。このように好ましくは、前記少なくとも1種のチオール化合物を有する前記少なくとも1つの中間層を導入することによって、該少なくとも1つの中間層を有さない半導体デバイスと比較して、前記両極性電荷担体輸送は、好ましくは、単極性電荷担体輸送へと、好ましくはn型単極性電荷担体輸送へと変換される。
【0030】
更なる好ましい一実施形態においては、前記チオール化合物は、Rが、4−フェニルチオフェノールにおけるビフェニル基のものと少なくとも等しい電子供与特性を有するように選択される。
【0031】
好ましい一実施形態においては、本発明の方法は、一般式HS−Rを有する少なくとも1種のチオール化合物を含み、前記式中のRは、
アルキル、その際、該アルキル基は、直鎖状、環状もしくは分枝鎖状であり、かつ1〜20個の炭素原子、より好ましくは10〜20個の炭素原子を含んでよく、好ましくはデシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、エイコサニルおよびシクロヘキシル;
ベンジル、フェニル;
アルキルフェニル、その際、該フェニルのアルキル基は、1〜20個の炭素原子を含んでよく、直鎖状、環状もしくは分枝鎖状であり、かつ好ましくは該フェニルにおいてチオール基に対して2位もしくは4位に位置し、例えば2−メチルフェニル、3−メチルフェニルもしくは4−メチルフェニル、2,3−ジメチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、3,5−ジメチルフェニル、2,3,4−トリメチルフェニル、2,4,5−トリメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,3,5,6−テトラメチルフェニル、2,3,4,6−テトラメチルフェニルもしくは2,3,4,5−テトラメチルフェニル、2,3,4,5,6−ペンタメチルフェニル、n−ブチルフェニル、好ましくは2−n−ブチルフェニル、4−n−ブチルフェニル、t−ブチルフェニル、ペンチルフェニル、ヘキシルフェニル、シクロヘキシルフェニル、ヘプチルフェニル、オクチルフェニル、エチルヘキシルフェニル、より好ましくは4−メチルフェニルもしくは4−ブチルフェニル;
アルコキシフェニル、好ましくはメトキシフェニル、より好ましくは2−メトキシフェニル、3−メトキシフェニルもしくは4−メトキシフェニル;ジメトキシフェニル、好ましくは2,3−ジメトキシフェニル、2,4−ジメトキシフェニル、2,6−ジメトキシフェニル、3,4−ジメトキシフェニルもしくは3,5−ジメトキシフェニル;トリメトキシフェニル、好ましくは2,3,4−トリメトキシフェニル、2,4,5−トリメトキシフェニルもしくは2,4,6−トリメトキシフェニル、2,3,5,6−テトラメチルフェニル、2,3,4,6−テトラメチルフェニルもしくは2,3,4,5−テトラメチルフェニル、2,3,4,5,6−ペンタメチルフェニル;
アルコキシチオフェニル、好ましくはメチルチオフェニル、より好ましくは2−メチルチオフェニル、3−メチルチオフェニルもしくは4−メチルチオフェニル、
ベンジルフェニル、
アリールフェニル、好ましくは4−フェニルフェニル、2−チオナフチル、4−(ジメチルアミノ)フェニル;
ヘテロアリール、好ましくは2−チエニル
からなる群から選択される。
【0032】
更なる好ましい一実施形態においては、前記のチオール化合物の2つ以上の組み合わせも含まれうる。
【0033】
更なる好ましい一実施形態においては、前記チオール化合物は、1−デカンチオール;4−メチルチオフェノール;4−(メチルチオ)チオフェノール;3,4−ジメトキシチオフェノール;4−ブチルチオフェノール;4−フェニルチオフェノール;2−チオナフトール;4−(ジメチルアミノ)チオフェノール;ベンジルメルカプタン;2,3,4,5,6−ペンタメチルベンゼン−1−チオールの1つ以上から選択できる。
【0034】
本発明の好ましい一実施形態においては、前記チオール化合物は、少なくとも1種の自己組織化単分子膜を形成する。本願で使用される場合に、自己組織化単分子膜(SAM)という用語は、両親媒性分子であって、該分子の一端が基板に特定の親和性を示す分子の組織化された膜を指す。一般に、前記自己組織化単分子膜の厚さは、0.1〜2nmの範囲内である。基板に対して、少なくとも1つの電極および/または少なくとも1種の有機半導体材料(製造技術に応じて)に対して親和性を示す前記分子の端部は、しばしば該分子のヘッド基と呼ばれる。SAMsは、親水性もしくは疎水性のヘッド基を基板上で蒸気相もしくは液相のいずれかから化学吸着させ、その後に疎水性テイル基などのテイル基の二次元組織化によって作製できる。
【0035】
本発明の更なる好ましい一実施形態においては、前記方法は、更に、少なくとも1つのゲート電極であって、電極間の電荷担体輸送に電場によって影響を及ぼすように適合されている電極を準備するステップを含む。このように、上述の電極は、ソース電極とドレイン電極を含んでよく、その際、前記ゲート電極は、有機半導体材料中に電場を生じ、それにより電荷担体密度および/または前記ソース電極と前記ドレイン電極との間の電荷担体輸送に影響が及ぼされるかまたはその反対になるように適合されていてよい。このように、前記少なくとも1つのゲート電極は、少なくとも1つの絶縁体材料によって前記少なくとも1つの有機半導体材料から隔離されて、ゲート電極から有機半導体材料中への電荷担体注入を抑え、かつ/または有機半導体材料からゲート電極中への電荷担体の注出を抑えることができる。
【0036】
前記ゲート電極は、好ましくは、有機半導体デバイスの基板と有機半導体材料の間に少なくとも部分的に位置するボトムゲート電極および有機半導体デバイスの基板とは反対側の有機半導体材料上に少なくとも部分的に位置するトップゲート電極からなる群から選択できる。このように、前記ゲート電極は、有機半導体材料の堆積前に堆積できるか、または前記ゲート電極は、有機半導体材料の最上部に堆積できる。両者の場合において、少なくとも1つの絶縁層は、ゲート電極と有機半導体材料との間に挿入されてよい。このように、本発明の更なる好ましい一実施形態において、前記方法は、更に、少なくとも1つの絶縁層であって、ゲート電極と有機半導体材料との間に少なくとも部分的に位置する絶縁層を作製するステップを含んでよい。この少なくとも1つの絶縁層は、任意の有機材料および/または無機材料の使用、例えばポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)および/またはポリスチレン(PS)の使用を含んでよい。
【0037】
本発明の更なる好ましい一実施形態においては、前記少なくとも1つの電極、すなわち前記少なくとも1つのソース電極および/または前記少なくとも1つのドレイン電極および/または好ましくは前記少なくとも1つのゲート電極は、金属、好ましくは銀、金およびアルミニウムからなる群から選択される金属、より好ましくは銀および/または金を含む。
【0038】
更なる好ましい一実施形態においては、前記有機半導体材料は、低バンドギャップ有機半導体材料である。このように、好ましい一実施形態においては、前記有機半導体材料のHOMO準位とLUMO準位との間のエネルギーギャップは、吸収UV−VIS分光分析法を使用して測定して、1.0〜2.5eVの範囲、より好ましくは1.5〜2.0eVの範囲にある。その代わりにまたはそれに加えて、前記有機半導体材料のHOMO準位は、好ましくは例えばWO 2009/098253 A1に開示されるサイクリックボルタンメトリーによって測定されて、真空準位を5.5〜6.5eV下回る範囲にあってよい。前記LUMO準位は、好ましくは、サイクリックボルタンメトリーを使用して測定して、真空準位を3.5〜4.5eV下回る範囲にあってよい。前記電極に関して、好ましくは前記ソース電極および/またはドレイン電極に関して、この電極に使用される電極材料の仕事関数は、3.8〜5.6eVの範囲内、より好ましくは4.0〜5.4eVの範囲内である。このように、好ましくは銀および/または金が電極材料として使用される。
【0039】
本発明の更なる好ましい一実施形態においては、前記有機半導体材料は、少なくとも1種の半導体ポリマーを含む。
【0040】
好ましい一実施形態においては、前記少なくとも1種の有機半導体材料は、1種以上のナフタレンベースの半導体ポリマーおよび関連する組成物、複合物および/またはデバイスを含んでよい。これらのナフタレンベースの半導体ポリマーは、半導体挙動、例えば電界効果デバイスにおける高い担体移動度および/または良好な電流変調特性、光起電デバイスにおける吸光性/電荷分離および/または発光デバイスにおける電荷輸送/再結合/光放出を示しうる。更に、これらのナフタレンベースの半導体ポリマーは、ある特定の加工利点、例えば溶液プロセシング性および/または大気条件での良好な安定性(例えば空気安定性)を有しうる。本願教示のナフタレンベースの半導体ポリマーを使用して、p型またはn型の半導体材料を製造でき、また前記材料を使用して、様々な有機電子物品、構造およびデバイス、例えば電界効果トランジスタ、ユニポーラ回路、相補回路、光起電デバイスおよび発光デバイスを作製することができる。
【0041】
好ましくは、前記少なくとも1種の有機半導体材料、特に前記少なくとも1種の半導体ポリマーおよび更により好ましくは前記少なくとも1種のナフタレンベースの半導体ポリマーは、少なくとも1種のコポリマーを含んでよい。より具体的には、前記ポリマーは、芳香族イミドを含む第一の繰返単位(モノマーA、M1)と、1つ以上の環式部分を含む第二の繰返単位(モノマーB、M2)とを含むA−Bコポリマーであってよい。様々な実施形態において、モノマーAとモノマーBの両方は、芳香族の、またはそれどころか高度に共役した環状(炭素環式もしくは複素環式)部分を含んでよく、その際、かかる環式部分は、場合により、1つ以上の電子吸引性基または電子供与性基で置換または官能化されていてよい。モノマーAとBの組み合わせ、モノマーAのイミド位官能化およびいずれかのモノマーでの任意の追加の官能化は、以下の1つ以上の検討によって左右されうる:1)空気中および安定な電荷輸送作業における半導体プロセシングのための電子吸引可能性;2)モノマーAおよびBの電子構造に依存した主要な担体型の変更;3)レジオレギュラー型ポリマーをもたらしうる重合の位置化学;4)ポリマー鎖のコア平坦性と線形性;5)π共役ポリマーの追加の官能化の可能性;6)溶液プロセシングのためのポリマーの高められた溶解性の潜在性;7)強いπ−π相互作用/分子間電子カップリングの達成;および8)電子欠乏(アクセプタ)および電子豊富(ドナー)A−BもしくはB−A繰返単位の電子ドナー−アクセプタカップリングによるバンドギャップ変化。得られたポリマーおよび関連する方法を使用して、関連のデバイス(例えば有機電界効果トランジスタ、発光トランジスタ、太陽電池など)の性能を高めることができる。
【0042】
より具体的には、本発明のポリマーのモノマーAは、一般に、任意に置換された(コア置換されたおよび/またはイミド置換された)ナフタレンジイミドもしくはモノイミドを含み、一方で、モノマーBは、一般に、1つ以上の任意に置換された芳香族(またはそれどころかπ共役した)単環式部分を含む。ある特定の実施形態においては、モノマーBは、1つ以上の単環式部分に加えて、1つ以上のリンカーおよび/または1つ以上の多環式部分を含んでよい。様々な実施形態においては、モノマーBは、全体として高度に共役した系を含んでよい。本願教示は、またモノマーAのホモポリマーに関する。
【0043】
本願を通じて、組成物が特定の成分を有する、含む、もしくは含有すると説明されるか、または方法が特定のプロセスステップを有する、含む、もしくは含んでいると説明されるときに、本願教示の組成物は、また列挙された成分から本質的になるか、もしくは該成分からなり、かつ本願教示の方法は、また列挙されたプロセスステップから本質的になるか、もしくは該プロセスステップからなることが意図される。
【0044】
本願において、エレメントまたはコンポーネントが、列挙されたエレメントまたはコンポーネントに含まれるおよび/またはそこから選択されると述べられるとき、前記エレメントまたはコンポーネントは、列挙されたエレメントまたはコンポーネントのいずれか1つであってよく、かつ列挙されたエレメントまたはコンポーネントの2つ以上からなる群から選択することもできると理解されるべきである。更に、本願に記載される組成物、装置または方法の構成要素および/または特徴は、本発明の教示の趣旨および範囲から逸脱しなければ、明確であろうと暗示的であろうと様々に組み合わせることができると理解されるべきである。
【0045】
用語「含む」、「有する」は、一般に、特に記載がない限り、開放型であり制限がないものと理解されるべきである。
【0046】
単数形の使用は、本願では、特に記載がない限り複数も含む(その逆も)。更に、用語「約」が量値の前で使用されるとき、本願教示は、また特に記載がない限りその特定の量値自体をも含む。本願で使用される場合に、用語「約」は、特に記載がないかまたは推論がない限り、公称値からの±10%の変量を指す。
【0047】
ステップの順序またはある特定の行動の実施の順序は、本願教示が実施可能である限り重要ではない。更に、2つ以上のステップまたは行動は、同時に行うことができる。
【0048】
本願で使用される場合に、「ポリマー」または「ポリマー化合物」とは、共有化学結合によって結合された複数の1種以上の繰返単位を含む分子(例えば巨大分子)を指す。ポリマーは、一般式:
【化1】
[式中、Mは、繰返単位またはモノマーであり、かつnは、ポリマー中のMの数である]によって表すことができる。例えば、nが3の場合に、前記ポリマーは、
【化2】
であると理解される。
【0049】
前記ポリマーまたはポリマー化合物は、1種だけの繰返単位ならびに2種以上の種々の繰返単位を有してよい。前者の場合には、該ポリマーはホモポリマーと呼ぶことができる。後者の場合には、用語「コポリマー」または「コポリマー化合物」を代わりに使用できる、特に該ポリマーが化学的に大きく異なる繰返単位を含む場合に使用できる。前記ポリマーまたはポリマー化合物は、直鎖状または分枝鎖状であってよい。分枝鎖状のポリマーは、樹枝状ポリマー、例えばデンドロン型ポリマー、ハイパーブランチ型ポリマー、ブラシ型ポリマー(ボトルブラシとも呼ばれる)などを含んでよい。特に記載がない限り、コポリマー中の繰返単位のアセンブリは、ヘッド−ツー−テイル、ヘッド−ツー−ヘッドまたはテイル−ツー−テイルであってよい。更に、特に記載がない限り、前記コポリマーは、ランダムコポリマー、交互コポリマーまたはブロックコポリマーであってよい。
【0050】
本願で使用される場合に、「環式部分」は、1つ以上の(例えば1〜6個の)炭素環式のまたは複素環式の環を含んでよい。前記環式部分は、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基であってよく(すなわち、飽和結合だけを含んでも、または芳香族性にかかわらず1つ以上の不飽和結合を含んでよく)、それぞれは、例えば3〜24個の環原子を含み、かつ本願に記載されるように任意に置換されていてよい。環式部分が「単環式部分」である実施形態においては、前記「単環式部分」は、3〜14員の芳香族もしくは非芳香族の炭素環式のもしくは複素環式の環を含んでよい。単環式部分は、例えばフェニル基または5もしくは6員のヘテロアリール基を含んでよく、そのそれぞれは、本願に記載されるように任意に置換されていてよい。環式部分が「多環式部分」である実施形態においては、前記「多環式部分」は、互いに縮合された(すなわち共通の結合を共有する)および/またはスピロ原子もしくは1つ以上の橋かけ原子を介して互いに結合された2つ以上の環を含んでよい。多環式部分は、8〜24員の芳香族もしくは非芳香族の炭素環式のもしくは複素環式の環、例えばC8〜C24−アリール基または8〜24員のヘテロアリール基、例えばチエノチオフェン基もしくは3〜7個の縮合されたチオフェン環からなり、そのそれぞれが任意に本願に記載されるように置換されていてよい基を含んでよい。
【0051】
本願で使用される場合には、「縮合環」または「縮合環部分」とは、少なくとも2つの環を有する多環式の環系であって、前記環の少なくとも1つが芳香族であり、かつかかる芳香族環(炭素環式もしくは複素環式)は、芳香族もしくは非芳香族のおよび炭素環式もしくは複素環式であってよい少なくとも1つの他の環と共通の結合を有する環系を指す。これらの多環式の環系は、高度にπ共役されていてよく、かつ前記系は、多環式の芳香族の炭化水素、例えば式:
【化3】
[式中、a0は、0〜3の範囲の整数であってよい]を有するリレン(または1つ以上のヘテロ原子を含むその類似物);式:
【化4】
[式中、b0は、0〜3の範囲の整数であってよい]を有するコロネン(または1つ以上のヘテロ原子を含むその類似物)および式:
【化5】
[式中、c0は、0〜4の範囲の整数であってよい]を有する直鎖アセンを含んでよい。前記縮合環部分は、本願に記載されるように任意に置換されていてよい。
【0052】
本願で使用される場合に、「ハロ」または「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを指す。
【0053】
本願で使用される場合に、「オキソ」は、二重結合された酸素(すなわち=O)を指す。
【0054】
本願で使用される場合に、「アルキル」は、直鎖状または分枝鎖状の飽和炭化水素基を指す。アルキル基の例は、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(例えばn−プロピルおよびイソプロピル)、ブチル(例えばn−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル)、ペンチル基(例えばn−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル)、ヘキシル基などを含む。様々な実施形態においては、アルキル基は、1〜40個の炭素原子を有してよく(すなわちC1〜C40−アルキル基)、例えば1〜20個の炭素原子を有してよい(すなわちC1〜C20−アルキル基)。幾つかの実施形態においては、アルキル基は、1〜6個の炭素原子を有してよく、かつそれは、「低級アルキル基」と呼ぶことができる。低級アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル(例えばn−プロピルおよびイソプロピル)ならびにブチル基(例えばn−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル)を含む。幾つかの実施形態においては、アルキル基は、本願に記載されるように置換されていてよい。アルキル基は、一般的には、他のアルキル基、アルケニル基もしくはアルキニル基で置換されていない。
【0055】
本願で使用される場合に、「ハロアルキル」は、1つ以上のハロゲン置換基を有するアルキル基を指す。様々な実施形態においては、ハロアルキル基は、1〜40個の炭素原子を有してよく(すなわちC1〜C40−ハロアルキル基)、例えば1〜20個の炭素原子を有してよい(すなわちC1〜C20−ハロアルキル基)。ハロアルキル基の例は、CF3、C25、CHF2、CH2F、CCl3、CHCl2、CH2Cl、C2Cl5などを含む。ペルハロアルキル基、すなわち全ての水素原子がハロゲン原子で置き換えられているアルキル基(例えばCF3およびC25)は、「ハロアルキル」の定義に含まれる。例えば、C1〜C40−ハロアルキル基は、式−Cz2z+1-t0tを有してよく、式中X0は、それぞれの場合に、F、Cl、BrまたはIであり、zは、1〜40の範囲の整数であり、かつtは、1〜81の範囲の整数であるが、但し、tは、2z+1未満またはそれと等しい。ペルハロアルキル基ではないハロアルキル基は、本願に記載されるように置換されていてよい。
【0056】
本願で使用される場合に、「アルコキシ」は、−O−アルキル基を指す。アルコキシ基の例は、それらに制限されないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(例えばn−プロポキシおよびイソプロポキシ)、t−ブトキシ、ペントキシル、ヘキソキシル基などを含む。前記−O−アルキル基中のアルキル基は、本願に記載されるように置換されていてよい。
【0057】
本願で使用される場合に、「アルキルチオ」は、−S−アルキル基(幾つかの場合には、−S(O)w−アルキルとして示すことができ、その際、wは0である)を指す。アルキルチオの例は、それらに制限されないが、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ(例えばn−プロピルチオおよびイソプロピルチオ)、t−ブチルチオ、ペンチルチオ、ヘキシルチオ基などを含む。前記−S−アルキル基中のアルキル基は、本願に記載されるように置換されていてよい。
【0058】
本願で使用される場合には、「アリールアルキル」は、−アルキル−アリール基を指し、その際、前記アリールアルキル基は、アルキル基を介して定義された化学構造に共有結合されている。アリールアルキル基は、−Y−C6〜C14−アリール基の定義の範囲内であり、式中、Yは本願で定義される通りである。アリールアルキル基の一例は、ベンジル基(−CH2−C65)である。アリールアルキル基は、任意に置換されていてよい。すなわち、前記アリール基および/またはアルキル基は、本願に開示されるように置換されていてよい。
【0059】
本願で使用される場合に、「アルケニル」は、1つ以上の炭素−炭素二重結合を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキル基を指す。アルケニル基の例は、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ブタジエニル、ペンタジエニル、ヘキサジエニル基などを含む。1つ以上の炭素−炭素二重結合は、内部二重結合(例えば2−ブテン)または末端二重結合(例えば1−ブテン)であってよい。様々な実施形態において、アルケニル基は、2〜40個の炭素原子を有してよく(すなわちC2〜C40−アルケニル基)、例えば2〜20個の炭素原子を有してよい(すなわちC2〜C20−アルケニル基)。幾つかの実施形態においては、アルケニル基は、本願に記載されるように置換されていてよい。アルケニル基は、一般的には、他のアルケニル基、アルキル基もしくはアルキニル基で置換されていない。
【0060】
本願で使用される場合に、「アルキニル」は、1つ以上の炭素−炭素三重結合を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキル基を指す。アルキニル基の例は、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルなどを含む。1つ以上の炭素−炭素三重結合は、内部三重結合(例えば2−ブチン)または末端三重結合(例えば1−ブチン)であってよい。様々な実施形態において、アルキニル基は、2〜40個の炭素原子を有してよく(すなわちC2〜C40−アルキニル基)、例えば2〜20個の炭素原子を有してよい(すなわちC2〜C20−アルキニル基)。幾つかの実施形態においては、アルキニル基は、本願に記載されるように置換されていてよい。アルキニル基は、一般的には、他のアルキニル基、アルキル基もしくはアルケニル基で置換されていない。
【0061】
本願で使用される場合に、「シクロアルキル」は、環化されたアルキル、アルケニルおよびアルキニル基を含む非芳香族の炭素環式基を指す。様々な実施形態においては、シクロアルキル基は、3〜24個の炭素原子を有してよく、例えば3〜20個の炭素原子を有してよい(例えばC3〜C14−シクロアルキル基)。シクロアルキル基は、単環式(例えばシクロヘキシル)または多環式(例えば縮合環系、橋かけ環系および/またはスピロ環系を含む)であってよく、その際、炭素原子は、該環系の内側または外側に位置している。前記シクロアルキル基の任意の好適な環の位置は、定義された化学構造へと共有結合されていてよい。シクロアルキル基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプタトリエニル、ノルボルニル、ノルピニル、ノルカリル、アダマンチルおよびスピロ[4.5]デカニル基ならびにそれらのホモログ、異性体などを含む。幾つかの実施形態においては、シクロアルキル基は、本願に記載されるように置換されていてよい。
【0062】
本願で使用される場合に、「ヘテロ原子」は、炭素と水素以外の任意の元素の原子を指し、例えば窒素、酸素、ケイ素、硫黄、リンおよびセレンを含む。
【0063】
本願で使用される場合に、「シクロへテロアルキル」は、O、S、Se、N、PおよびSi(例えばO、SおよびN)から選択される少なくとも1つの環ヘテロ原子を含み、かつ場合により1つ以上の二重結合もしくは三重結合を含む非芳香族シクロアルキル基を指す。シクロへテロアルキル基は、3〜24個の環原子を有してよく、例えば3〜20個の環原子を有してよい(例えば3〜14員のシクロへテロアルキル基)。シクロへテロアルキル環中の1つ以上のN、P、SもしくはSe原子(例えばNもしくはS)は、酸化されてよい(例えばモルホリン N−オキシド、チオモルホリン S−オキシド、チオモルホリン S,S−ジオキシド)。幾つかの実施形態においては、シクロへテロアルキル基の窒素原子またはリン原子は、置換基、例えば水素原子、アルキル基または本願に記載される他の置換基を有してよい。シクロへテロアルキル基は、また、1つ以上のオキソ基を含んでもよく、例えばオキソピペリジル、オキソオキサゾリジル、ジオキソ−(1H,3H)−ピリミジル、オキソ−2(1H−)−ピリジルなどをであってよい。シクロへテロアルキル基の例は、なかでも、モルホリニル、チオモルホリニル、ピラニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、オキサゾリジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピロリジニル、ピロリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ピペリジニル、ピペラジニルなどを含む。幾つかの実施形態においては、シクロへテロアルキル基は、本願に記載されるように置換されていてよい。
【0064】
本願で使用される場合に、「アリール」は、芳香族の単環式の炭化水素環系または多環式の環系であって、2つ以上の芳香族炭化水素環が共に縮合されている(すなわち共通の結合を有する)かまたは少なくとも1つの芳香族の単環式の炭化水素環が1つ以上のシクロアルキルおよび/またはシクロへテロアルキル環に縮合されている前記環系を指す。アリール基は、複数の縮合環を含みうるその環系に6〜24個の炭素原子を有してよい(例えばC6〜C20−アリール基)。幾つかの実施形態において、多環式のアリール基は、8〜24個の炭素原子を有してよい。前記アリール基の任意の好適な環の位置は、定義された化学構造へと共有結合されていてよい。芳香族の炭素環式環のみを有するアリール基の例は、フェニル、1−ナフチル(二環式)、2−ナフチル(二環式)、アントラセニル(三環式)、フェナントレニル(三環式)、ペンタセニル(五環式)などを含む。多環式の環系であって、少なくとも1つの芳香族の炭素環式の環が1つ以上のシクロアルキルおよび/またはシクロへテロアルキル環へと縮合されている前記環系の例は、なかでも、シクロペンタンのベンゾ誘導体(すなわちインダニル基、それは、5,6−二環式シクロアルキル/芳香族環系である)、シクロヘキサンのベンゾ誘導体(すなわちテトラヒドロナフチル基、それは、6,6−二環式シクロアルキル/芳香族環系である)、イミダゾリンのベンゾ誘導体(すなわちベンゾイミダゾリニル基、それは、5,6−二環式シクロへテロアルキル/芳香族環系である)およびピランのベンゾ誘導体(すなわちクロメニル基、それは、6,6−二環式シクロへテロアルキル/芳香族環系である)を含む。アリール基の他の例は、ベンゾジオキサニル、ベンゾジオキソリル、クロマニル、インドリニル基などを含む。幾つかの実施形態においては、アリール基は、本願に記載されるように置換されていてよい。幾つかの実施形態においては、アリール基は、1つ以上のハロゲン置換基を有してよく、かつそれは、「ハロアリール」と呼ぶことができる。ペルハロアリール基、すなわち全ての水素原子がハロゲン原子で置き換えられているアルキル基(例えば−C65)は、「ハロアリール」の定義に含まれる。ある特定の実施形態においては、アリール基は、別のアリール基で置換されており、かつそれは、ビアリール基と呼ぶことができる。前記ビアリール基中のそれぞれのアリール基は、本願に開示されるように置換されていてよい。
【0065】
本願で使用される場合には、「ヘテロアリール」は、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)、ケイ素(Si)およびセレン(Se)から選択される少なくとも1つの環ヘテロ原子を含む芳香族の単環式の環系または多環式環系であって、前記環系に存在する環の少なくとも1つが芳香族であり、かつ少なくとも1つの環ヘテロ原子を含む環系を指す。多環式ヘテロアリール基は、共に縮合された2つ以上のヘテロアリール環を有する基ならびに1つ以上の芳香族炭素環式環、非芳香族炭素環式環および/または非芳香族シクロへテロアルキル環に縮合された少なくとも1つの単環式ヘテロアリール環を有する基を含む。ヘテロアリール基は、全体として、例えば5〜24個の環原子を有してよく、かつ1〜5個の環ヘテロ原子を有する(すなわち5〜20員のヘテロアリール基)。前記ヘテロアリール基は、定義された化学構造へと任意のヘテロ原子または炭素原子で結合されてよく、こうして安定な構造が得られる。一般に、ヘテロアリール環は、O−O結合、S−S結合またはS−O結合を含まない。しかしながら、ヘテロアリール基中の1つ以上のNまたはS原子は、酸化されていてよい(例えばピリジン N−オキシド、チオフェン S−オキシド、チオフェン S,S−ジオキシド)。ヘテロアリール基の例は、例えば以下:
【化6】
[式中、Tは、O、S、NH、N−アルキル、N−アリール、N−(アリールアルキル)(例えばN−ベンジル)、SiH2、SiH(アルキル)、Si(アルキル)2、SiH(アリールアルキル)、Si(アリールアルキル)2もしくはSi(アルキル)(アリールアルキル)である]に示される5員もしくは6員の単環式のおよび5員もしくは6員の二環式の環系を含む。かかるヘテロアリール環の例は、ピロリル、フリル、チエニル、ピリジル、ピリミジル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、イソチアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、インドリル、イソインドリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、キノリル、2−メチルキノリル、イソキノリル、キノキサリル、キナゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイソキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾオキサゾリル、シンノリニル、1H−インダゾリル、2H−インダゾリル、インドリジニル、イソベンゾフリル、ナフチリジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、オキサゾロピリジニル、チアゾロピリジニル、イミダゾピリジニル、フロピリジニル、チエノピリジニル、ピリドピリミジニル、ピリドピラジニル、ピリドピリダジニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル基などを含む。ヘテロアリール基の更なる例は、4,5,6,7−テトラヒドロインドリル、テトラヒドロキノリニル、ベンゾチエノピリジニル、ベンゾフロピリジニル基などを含む。幾つかの実施形態においては、ヘテロアリール基は、本願に記載されるように置換されていてよい。
【0066】
本願教示のポリマーは、本願に定義される「二価の基」を2つの他の部分との共有結合を形成することができる結合基として含んでよい。例えば、本願教示のポリマーは、二価のC1〜C20−アルキル基(例えばメチレン基)、二価のC2〜C20−アルケニル基(例えばビニリル基)、二価のC2〜C20−アルキニル基(例えばエチニリル基)、二価のC6〜C14−アリール基(例えばフェニリル基)、二価の3〜14員のシクロへテロアルキル基(例えばピロリジリル)および/または二価の5〜14員のヘテロアリール基(例えばチエニリル基)を含んでよい。一般に、化学基(例えば−Ar−)は、前記基の前後の2つの結合を含むことにより二価であると解される。
【0067】
全ての一般的なクラスの置換基を反映する数百の最も一般的な置換基の電子供与特性または電子吸引特性は、測定され、定量化され、かつ公表されている。電子供与特性および電子吸引特性の最も一般的な定量化は、ハメットのσ値によるものである。水素は、0のハメットσ値を有し、一方で、他の置換基は、その電子吸引特性もしくは電子供与特性に直接的に相関して正にまたは負に増加するハメットσ値を有する。負のハメットσ値を有する置換基は、電子供与性とみなされ、一方で、正のハメットσ値を有する置換基は、電子吸引性とみなされる。一般的に出くわす多くの置換基についてのハメットσ値を列挙しているLange’s Handbook of Chemistry, 12th ed., McGraw Hill, 1979, Table 3-12, pp. 3-134 to 3-138を参照のこと(それは参照をもって開示されたものとする)。
【0068】
「電子受容性基」という用語は、本願では「電子アクセプタ」および「電子吸引性基」と同義で使用できる。特に、「電子吸引性基」(「EWG」)または「電子受容性基」もしくは「電子アクセプタ」は、分子中で同じ位置を占める場合に、水素原子よりもそれ自身に電子を吸引する官能基を指す。電子吸引性基の例は、それらに制限されるものではないが、ハロゲンもしくはハロ(例えばF、Cl、Br、I)、−NO2、−CN、−NC、−S(R02+、−N(R03+、−SO3H、−SO20、−SO30、−SO2NHR0、−SO2N(R02、−COOH、−COR0、−COOR0、−CONHR0、−CON(R02、C1〜C40−ハロアルキル基、C6〜C14−アリール基および5〜14員の電子欠乏ヘテロアリール基を含み、その際、R0は、C1〜C20−アルキル基、C2〜C20−アルケニル基、C2〜C20−アルキニル基、C1〜C20−ハロアルキル基、C1〜C20−アルコキシ基、C6〜C14−アリール基、C3〜C14−シクロアルキル基、3〜14員のシクロへテロアルキル基および5〜14員のヘテロアリール基であり、そのそれぞれは、場合により本願に記載されるように置換されていてよい。例えば、前記のC1〜C20−アルキル基、C2〜C20−アルケニル基、C2〜C20−アルキニル基、C1〜C20−ハロアルキル基、C1〜C20−アルコキシ基、C6〜C14−アリール基、C3〜C14−シクロアルキル基、3〜14員のシクロへテロアルキル基および5〜14員のヘテロアリール基は、場合により、1〜5個の小さい電子吸引性基、例えばF、Cl、Br、−NO2、−CN、−NC、−S(R02+、−N(R03+、−SO3H、−SO20、−SO30、−SO2NHR0、−SO2N(R02、−COOH、−COR0、−COOR0、−CONHR0および−CON(R02で置換されていてよい。
【0069】
「電子供与性基」という用語は、本願では「電子ドナー」と同義で使用できる。特に「電子供与性基」または「電子ドナー」は、分子中で同じ位置を占める場合に、水素原子よりも隣接原子へと電子を供与する官能基を指す。電子供与性基の例は、−OH、−OR0、−NH2、−NHR0、−N(R02および5〜14員の電子豊富なヘテロアリール基を含み、その際、R0は、C1〜C20−アルキル基、C2〜C20−アルケニル基、C2〜C20−アルキニル基、C6〜C14−アリール基またはC3〜C14−シクロアルキル基である。
【0070】
様々な非置換のヘテロアリール基は、電子豊富(もしくはπ過剰)または電子欠乏(もしくはπ不足)として記載できる。かかる分類は、各々の環原子における、ベンゼン中の炭素原子と比較した平均電子密度を基礎としている。電子豊富系の例は、1つのヘテロ原子を有する5員のヘテロアリール基、例えばフラン、ピロールおよびチオフェンならびにベンゾ縮合した相応物、例えばベンゾフラン、ベンゾピロールおよびベンゾチオフェンを含む。電子欠乏系の例は、1つ以上のヘテロ原子を有する6員のヘテロアリール基、例えばピリジン、ピラジン、ピリダジンおよびピリミジンならびにそれらのベンゾ縮合した相応物、例えばキノリン、イソキノリン、キノキサリン、シンノリン、フタラジン、ナフチリジン、キナゾリン、フェナントリジン、アクリジンおよびプリンを含む。混合型の複素芳香族環は、環中の1つ以上のヘテロ原子の種類、数および位置に応じていずれかのクラスに属しうる。Katritzky, A.R and Lagowski, J.M., Heterocyclic Chemistry (John Wiley & Sons, New York, 1960)を参照のこと。
【0071】
本願明細書中の様々な箇所で、モノマーAおよびBの置換基は、群または範囲で開示されている。具体的には、その記載は、かかる群および範囲の構成員のそれぞれの全ての個々の下位組み合わせを含むことを意図する。例えば、「C1〜C6−アルキル」という用語は、具体的には、個々に、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C1〜C6、C1〜C5、C1〜C4、C1〜C3、C1〜C2、C2〜C6、C2〜C5、C2〜C4、C2〜C3、C3〜C6、C3〜C5、C3〜C4、C4〜C6、C4〜C5およびC5〜C6アルキルを開示することが意図される。他の例としては、0〜40の範囲の整数は、具体的には、個々に、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39および40を開示することが意図され、かつ1〜20の範囲の整数は、具体的には、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19および20を開示することが意図される。追加の例は、「場合により1〜5個の置換基で置換される」という文言が、具体的に0個、1個、2個、3個、4個、5個、0〜5個、0〜4個、0〜3個、0〜2個、0〜1個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個、2〜5個、2〜4個、2〜3個、3〜5個、3〜4個および4〜5個の置換基を含む化学基を開示することが意図されることを含む。
【0072】
本願に記載されるポリマーは、不斉原子(キラル中心とも呼ぶ)を含んでよく、かつ幾つかの化合物は、2つ以上の不斉原子もしくは不斉中心を含んでよく、こうして光学異性体(エナンチオマー)およびジアステレオマー(幾何異性体)が生じうる。本願教示は、かかる光学異性体およびジアステレオマー、例えばそれぞれの分割されたエナンチオマー的に純粋なもしくはジアステレオマー的に純粋な異性体(例えば(+)もしくは(−)立体異性体)およびそれらのラセミ混合物ならびに前記エナンチオマーおよびジアステレオマーの他の混合物を含む。幾つかの実施形態においては、光学異性体は、エナンチオマー的に濃縮されたまたは純粋な形で、当業者に公知の標準的手法によって得ることができる。前記手法は、例えばキラル分割、ジアステレオマー塩形成、速度論的分割および不斉合成を含む。本願教示は、またアルケニル部(例えばアルケン、アゾおよびイミン)を含むポリマーのシスおよびトランス異性体を含む。また、本願教示のポリマーは、純粋形の全ての可能な位置異性体およびそれらの混合物を含むと解されるべきである。幾つかの実施形態においては、本願ポリマーの製造は、かかる異性体を当業者に公知の標準的な分離方法を使用して、例えばカラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、擬似移動床クロマトグラフィーおよび高性能液体クロマトグラフィーの1つ以上を使用することによって分離することを含んでよい。しかしながら、位置異性体の混合物は、本願に記載されるようにおよび/または当業者に公知のように、本願教示のそれぞれの個々の位置異性体の使用と同様に使用できる。
【0073】
具体的に、1つの位置異性体の記述は、特に記載がない限り、任意の他の位置異性体と任意の位置異性体混合物を含むことが検討される。
【0074】
本願で使用される場合に、「離脱基」(「LG」)は、荷電原子もしくは非荷電原子(または原子の基)であって、例えば置換反応もしくは離脱反応の結果として安定な種として置き換わることができるものを指す。離脱基の例は、それらに制限されるものではないが、ハロゲン(例えばCl、Br、I)、アジド(N3)、チオシアネート(SCN)、ニトロ(NO2)、シアネート(CN)、水(H2O)、アンモニア(NH3)およびスルホネート基(例えばOSO2−R、その際、RはC1〜C10−アルキル基もしくはC6〜C14−アリール基であってよく、それぞれは場合によりC1〜C10−アルキル基および電子吸引性基から独立して選択される1〜4個の基によって置換されている)、例えばトシレート(トルエンスルホネート、OTs)、メシレート(メタンスルホネート、OMs)、ブロシレート(p−ブロモベンゼンスルホネート、OBs)、ノシレート(4−ニトロベンゼンスルホネート、ONs)およびトリフレート(トリフルオロメタンスルホネート、OTf)を含む。
【0075】
前記議論のとおり、「p型半導体材料」または「p型半導体」という用語は、主要な電流担体として正孔を有する半導体材料を指す。幾つかの実施形態において、p型半導体が基板上に堆積される場合に、前記材料は、約10-5cm2/Vsの過剰で正孔移動度を提供しうる。電界効果デバイスの場合に、p型半導体は、約10より高い電流オン/オフ比を示すこともできる。
【0076】
更に前記議論のとおり、「n型半導体材料」または「n型半導体」という用語は、主要な電流担体として電子を有する半導体材料を指す。幾つかの実施形態において、n型半導体が基板上に堆積される場合に、前記材料は、約10-5cm2/Vsの過剰で電子移動度を提供しうる。電界効果デバイスの場合に、n型半導体は、約10より高い電流オン/オフ比を示すこともできる。
【0077】
本願で使用される場合に、用語「移動度」は、電場の影響下で、電荷担体、例えばp型半導体材料の場合には正孔(または正電荷の単位)が、n型半導体の場合には電子が、該材料を通じて移動する速度の尺度を指す。
【0078】
本願で使用される場合に、ある化合物は、該化合物の担体移動度または還元電位が、その化合物が大気条件、例えば空気、大気温度および湿度にある期間にわたり晒されたときにほぼその初期測定値で保持される場合に「大気安定」または「大気条件で安定」と見なすことができる。例えば、ある化合物は、その担体移動度または還元電位が、空気、湿分および温度を含む大気条件へと3日、5日または10日にわたり晒された後にその初期値から20%もしくは10%を超えて変化しない場合に大気安定として説明できる。
【0079】
本願で使用される場合に、「溶液プロセシング可能な」とは、スピンコーティング、印刷(例えばインクジェット印刷、スクリーン印刷、パッド印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、平版印刷、大量印刷など)、スプレーコート、エレクトロスプレーコーティング、ドロップキャスティング、ディップコーティングおよびブレードコーティングを含む様々な溶液相プロセスで使用できる化合物(例えばポリマー)、材料もしくは組成物を指す。
【0080】
本願明細書全体を通して、構造は化学名で表現されても、されなくてもよい。命名について何らかの疑問が生じたら、構造が優先される。
【0081】
本発明の好ましい一実施形態においては、有機半導体材料は、式:
【化7】
[式中、
1は、式:
【化8】
の場合により置換されたナフタレンイミドであり、
2は、
【化9】
から選択される式を有し、
nは、2〜5000の整数であり、かつ
1、π−2、Ar、Z、m、m’およびm’’は本願にて定義される通りである]のポリマーから選択される。
【0082】
より具体的には、M1の式:
【化10】
において、
1は、それぞれの場合に、独立して、H、C1〜C40−アルキル基、C2〜C40−アルケニル基、C1〜C40−ハロアルキル基および1〜4個の環式部分から選択され、その際、
前記のC1〜C40−アルキル基、C2〜C40−アルケニル基およびC1〜C40−ハロアルキル基のそれぞれは、場合により、ハロゲン、−CN、NO2、OH、−NH2、−NH(C1〜C20−アルキル)、−N(C1〜C20−アルキル)2、−S(O)2OH、−CHO、−C(O)−C1〜C20−アルキル、−C(O)OH、−C(O)−OC1〜C20−アルキル、−C(O)NH2、−C(O)NH−C1〜C20−アルキル、−C(O)N(C1〜C20−アルキル)2、−OC1〜C20−アルキル、−SiH3、−SiH(C1〜C20−アルキル)2、−SiH2(C1〜C20−アルキル)および−Si(C1〜C20−アルキル)3から独立して選択される1〜10個の置換基で置換されていてよく、
前記のC1〜C40−アルキル基、C2〜C40−アルケニル基およびC1〜C40−ハロアルキル基のそれぞれは、イミド窒素原子へと、任意のリンカーを介して共有結合されていてよく、かつ
前記の1〜4個の環式部分のそれぞれは、同一または異なってよく、互いにもしくはイミド窒素へと任意のリンカーを介して共有結合されていてよく、かつ場合により、ハロゲン、オキソ、−CN、NO2、OH、=C(CN)2、−NH2、−NH(C1〜C20−アルキル)、−N(C1〜C20−アルキル)2、−S(O)2OH、−CHO、−C(O)OH、−C(O)−C1〜C20−アルキル、−C(O)−OC1〜C20−アルキル、−C(O)NH2、−C(O)NH−C1〜C20−アルキル、−C(O)N(C1〜C20−アルキル)2、−SiH3、−SiH(C1〜C20−アルキル)2、−SiH2(C1〜C20−アルキル)、−Si(C1〜C20−アルキル)3、−O−C1〜C20−アルキル、−O−C1〜C20−アルケニル、−O−C1〜C20−ハロアルキル、C1〜C20−アルキル基、C1〜C20−アルケニル基およびC1〜C20−ハロアルキル基から独立して選択される1〜5個の置換基で置換されていてよい。
【0083】
幾つかの実施形態においては、R1のそれぞれは、独立して、H、C1〜C40−アルキル基、C2〜C40−アルケニル基、C2〜C40−アルキニル基、C1〜C40−ハロアルキル基、−L−Ra、−L−Ar1、−L−Ar1−Ar1、−L−Ar1−Ra、−L−Ar1−Ar1−Ra、−L−Cy1、−L−Cy1−Cy1、−L−Cy1−Raおよび−L−Cy1−Cy1−Raから選択でき、その際、
Lは、それぞれの場合に、独立して、−Y−O−Y−、−Y−[S(O)w]−Y−、−Y−C(O)−Y−、−Y−[NRcC(O)]−Y−、−Y−[C(O)NRc]−、−Y−NRc−、−Y−[SiRc2]−Y−、二価のC1〜C20−アルキル基、二価のC1〜C20−アルケニル基、二価のC1〜C20−ハロアルキル基および共有結合から選択され、
Ar1は、それぞれの場合に、独立して、一価もしくは二価のC6〜C14−アリール基または5〜14員のヘテロアリール基であり、そのそれぞれは、場合によりハロゲン、−CN、オキソ、=C(CN)2、C1〜C6−アルキル基、C1〜C6−アルコキシ基およびC1〜C6−ハロアルキル基から独立して選択される1〜5個の置換基で置換されており、
Cy1は、それぞれの場合に、独立して、一価もしくは二価のC3〜C14−シクロアルキル基または3〜14員のシクロへテロアルキル基であり、そのそれぞれは、場合によりハロゲン、−CN、オキソ、=C(CN)2、C1〜C6−アルキル基、C1〜C6−アルコキシ基およびC1〜C6−ハロアルキル基から独立して選択される1〜5個の置換基で置換されており、かつ
aは、それぞれの場合に、独立して、C1〜C40−アルキル基、C2〜C40−アルケニル基、C2〜C40−アルキニル基、C1〜C40−ハロアルキル基、C1〜C40−アルコキシ基、−L’−Rb、−L’−Ar2、−L’−Ar2−Ar2、−L’−Ar2−Rb、−L’−Ar2−Ar2−Rb、−L’−Cy2、−L’−Cy2−Cy2、−L’−Cy2−Rbおよび−L’−Cy2−Cy2−Rbから選択され、その際、
L’は、それぞれの場合に、独立して、−Y−O−Y−、−Y−[S(O)w]−Y−、−Y−C(O)−Y−、−Y−[NRcC(O)]−Y−、−Y−[C(O)NRc]−、−Y−NRc−、−Y−[SiRc2]−Y−、二価のC1〜C20−アルキル基、二価のC1〜C20−アルケニル基、二価のC1〜C20−ハロアルキル基および共有結合から選択され、
Ar2は、それぞれの場合に、独立して、一価もしくは二価のC6〜C14−アリール基または5〜14員のヘテロアリール基であり、そのそれぞれは、場合により、ハロゲン、−CN、オキソ、=C(CN)2、C1〜C6−アルキル基、C1〜C6−アルコキシ基およびC1〜C6−ハロアルキルから独立して選択される1〜5個の置換基で置換されており、
Cy2は、それぞれの場合に、独立して、一価もしくは二価のC3〜C14−シクロアルキル基または3〜14員のシクロへテロアルキル基であり、そのそれぞれは、場合によりハロゲン、−CN、オキソ、=C(CN)2、C1〜C6−アルキル基、C1〜C6−アルコキシ基およびC1〜C6−ハロアルキル基から独立して選択される1〜5個の置換基で置換されており、
bは、それぞれの場合に、独立して、C1〜C40−アルキル基、C2〜C40−アルケニル基、C2〜C40−アルキニル基、C1〜C40−ハロアルキル基およびC1〜C40−アルコキシ基から選択され、
cは、それぞれの場合に、独立して、H、C1〜C6−アルキル基および−Y−C6〜C14−アリール基から選択され、
Yは、それぞれの場合に、独立して、二価のC1〜C6−アルキル基、二価のC1〜C6−ハロアルキル基および共有結合から選択され、かつ
wは、0、1または2である。
【0084】
様々な実施形態においては、M1は、
【化11】
[式中、前記ナフタレン核は、場合により、ハロゲン、−CN、NO2、OH、−NH2、−NH(C1〜C20−アルキル)、−N(C1〜C20−アルキル)2、−S(O)2OH、−CHO、−C(O)OH、−C(O)−C1〜C20−アルキル、−C(O)−OC1〜C20−アルキル、−C(O)NH2、−C(O)NH−C1〜C20−アルキル、−C(O)N(C1〜C20−アルキル)2、−SiH3、−SiH(C1〜C20−アルキル)2、−SiH2(C1〜C20−アルキル)、−Si(C1〜C20−アルキル)3、−O−C1〜C20−アルキル、−O−C1〜C20−アルケニル、−O−C1〜C20−ハロアルキル、C1〜C20−アルキル基、C1〜C20−アルケニル基およびC1〜C20−ハロアルキル基から独立して選択される1〜2個の置換基で置換されていてよく、かつR1は、本願で定義される通りである]から選択できる。
【0085】
幾つかの実施形態においては、一方または両方のイミド窒素原子上のアルキル鎖(および類似の基、例えばハロアルキル基、アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基など)の置換は、有機溶剤中での該ポリマーの可溶性を改善しうる。従って、ある特定の実施形態においては、R1は、直鎖状または分枝鎖状のC3〜C40−アルキル基であってよく、その例は、n−ヘキシル基、1−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、1−メチルペンチル基、1−メチルヘキシル基、1−エチルプロピル基、1−エチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基および2−オクチルドデシル基を含む。ある特定の実施形態においては、R1は、直鎖状または分枝鎖状のC3〜C40−アルケニル基であってよい。特定の実施形態においては、R1は、分枝鎖状のC3〜C20−アルキル基または分枝鎖状のC3〜C20−アルケニル基であってよい。例えば、R1は、それぞれの場合に、独立して、以下のものから選択できる:
【化12】
【0086】
ある特定の実施形態においては、R1は、それぞれの場合に、直鎖状もしくは分枝鎖状のC6〜C40−アルキルもしくはアルケニル基、場合により直鎖状もしくは分枝鎖状のC6〜C40−アルキルもしくはアルケニル基で置換されたアリールアルキル基、直鎖状もしくは分枝鎖状のC6〜C40−アルキルもしくはアルケニル基で置換されたアリール基(例えばフェニル基)または場合により直鎖状もしくは分枝鎖状のC6〜C40−アルキルもしくはアルケニル基で置換されたビアリール基(例えばビフェニル基)であってよく、その際、これらの基のそれぞれは、場合により、1〜5個のハロ基(例えばF)で置換されていてよい。幾つかの実施形態においては、R1は、ビアリール基であってよく、その際、前記2つのアリール基は、リンカー(L’)を介して共有結合されている。例えば、前記リンカーは、二価のC1〜C6−アルキル基またはカルボニル基であってよい。特定の実施形態においては、R1は、それぞれの場合に、独立して、以下のものから選択できる:
【化13】
【0087】
幾つかの実施形態においては、R1は、場合により置換されたC6〜C14−シクロアルキル基であってよい。例えば、R1は、それぞれの場合に、独立して、以下のものから選択できる:
【化14】
【0088】
様々な実施形態においては、本願教示のポリマーは、以下:
【化15】
[式中、π−2は、場合により置換された多環式部分であり、Arは、それぞれの場合に、独立して、場合により置換された単環式のアリールもしくはヘテロアリール基であり、Zは、共役直鎖状リンカーであり、かつm、m’およびm’’は、独立して、0、1、2、3、4、5または6である]から選択される式を有するコモノマーM2を含んでよい。
【0089】
幾つかの実施形態においては、π−2は、多環式のC8〜C24−アリール基または多環式の8〜24員のヘテロアリール基であってよく、その際、これらの基のそれぞれは、場合により、1〜6個のRe基で置換されていてよく、その際、Reは、それぞれの場合に、独立して、a)ハロゲン、b)−CN、c)−NO2、d)オキソ、e)−OH、f)=C(Rf2、g)C1〜C40−アルキル基、h)C2〜C40−アルケニル基、i)C2〜C40−アルキニル基、j)C1〜C40−アルコキシ基、k)C1〜C40−アルキルチオ基、l)C1〜C40−ハロアルキル基、m)−Y−C3〜C10−シクロアルキル基、n)−Y−C6〜C14−アリール基、o)−Y−C6〜C14−ハロアリール基、p)−Y−3〜12員のシクロへテロアルキル基、またはq)−Y−5〜14員のヘテロアリール基であり、その際、前記のC1〜C40−アルキル基、C2〜C40−アルケニル基、C2〜C40−アルキニル基、C3〜C10−シクロアルキル基、C6〜C14−アリール基、C6〜C14−ハロアリール基、3〜12員のシクロへテロアルキル基および5〜14員のヘテロアリール基は、場合により1〜4個のRf基で置換されており、
fは、それぞれの場合に、独立して、a)ハロゲン、b)−CN、c)−NO2、d)オキソ、e)−OH、f)−NH2、g)−NH(C1〜C20−アルキル)、h)−N(C1〜C20−アルキル)2、i)−N(C1〜C20−アルキル)−C6〜C14−アリール、j)−N(C6〜C14−アリール)2、k)−S(O)wH、l)−S(O)w−C1〜C20−アルキル、m)−S(O)2OH、n)−S(O)w−OC1〜C20−アルキル、o)−S(O)w−OC6〜C14−アリール、p)−CHO、q)−C(O)−C1〜C20−アルキル、r)−C(O)−C6〜C14−アリール、s)−C(O)OH、t)−C(O)−OC1〜C20−アルキル、u)−C(O)−OC6〜C14−アリール、v)−C(O)NH2、w)−C(O)NH−C1〜C20−アルキル、x)−C(O)N(C1〜C20−アルキル)2、y)−C(O)NH−C6〜C14−アリール、z)−C(O)N(C1〜C20−アルキル)−C6〜C14−アリール、aa)−C(O)N(C6〜C14−アリール)2、ab)−C(S)NH2、ac)−C(S)NH−C1〜C20−アルキル、ad)−C(S)N(C1〜C20−アルキル)2、ae)−C(S)N(C6〜C14−アリール)2、af)−C(S)N(C1〜C20−アルキル)−C6〜C14−アリール、ag)−C(S)NH−C6〜C14−アリール、ah)−S(O)wNH2、ai)−S(O)wNH(C1〜C20−アルキル)、aj)−S(O)wN(C1〜C20−アルキル)2、ak)−S(O)wNH(C6〜C14−アリール)、al)−S(O)wN(C1〜C20−アルキル)−C6〜C14−アリール、am)−S(O)wN(C6〜C14−アリール)2、an)−SiH3、ao)−SiH(C1〜C20−アルキル)2、ap)−SiH2(C1〜C20−アルキル)、aq)−Si(C1〜C20−アルキル)3、ar)C1〜C20−アルキル基、as)C2〜C20−アルケニル基、at)C2〜C20−アルキニル基、au)C1〜C20−アルコキシ基、av)C1〜C20−アルキルチオ基、aw)C1〜C20−ハロアルキル基、ax)C3〜C10−シクロアルキル基、ay)C6〜C14−アリール基、az)C6〜C14−ハロアリール基、ba)3〜12員のシクロへテロアルキル基、またはbb)5〜14員のヘテロアリール基であり、かつwは、0、1または2である。
【0090】
例えば、π−2は、平坦かつ高度に共役した環状コアであって、場合により本願に開示されるように置換されていてよい前記環状コアを有してよい。様々な実施形態においては、π−2は、約−3.0Vよりも大きい還元電位(SCE電極に対して、かつ例えばTHF溶液中で測定される)を有してよい。ある特定の実施形態においては、π−2は、約−2.2V以上の還元電位を有してよい。特定の実施形態においては、π−2は、約−1.2V以上の還元電位を有してよい。好適な環式コアの例は、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ペリレン、ピレン、コロネン、フルオレン、インダセン、インデノフルオレンおよびテトラフェニレンならびにそれらの類似物を含み、それは、1つ以上の炭素原子が、O、S、Si、Se、NもしくはPなどのヘテロ原子で置き換えられてよい。ある特定の実施形態においては、π−2は、少なくとも1つの電子吸引性基を含んでよい。
【0091】
ある特定の実施形態においては、π−2は、2つ以上(例えば2〜4)縮合された環、例えばチエノチオフェンまたは3〜7縮合されたチオフェンを含んでよく、その際、それぞれの環は、1〜6個のReで場合により置換された5員、6員もしくは7員の環であってよく、その際、Reは、本願で定義される通りである。例えば、本願に記載される様々な実施形態において、Reは、電子吸引性基、例えばハロゲン、−CN、オキソ、=C(Rf2、C1〜C20−アルコキシ基、C1〜C20−アルキルチオ基またはC1〜C20−ハロアルキル基であってよい。ある特定の実施形態においては、Reは、ハロゲン(例えばF、Cl、BrもしくはI)、−CN、C1〜C6−アルコキシ基、−OCF3もしくは−CF3であってよい。特定の実施形態においては、Reは、=O、−CN、=C(CN)2、F、Cl、BrもしくはIであってよい。
【0092】
幾つかの実施形態においては、π−2は、単環式の環(例えば1,3−ジオキソラン基または任意の置換基および/または環ヘテロ原子を含むその誘導体)を含んでよく、前記環は、第二の単環式の環または多環式の系へとスピロ原子(例えばスピロ炭素原子)を介して共有結合されている。
【0093】
幾つかの実施形態においては、π−2は、
【化16】
[式中、
k、k’、lおよびl’は、独立して、−CR2=、=CR2−、−C(O)−および−C(C(CN)2)−から選択でき、
p、p’、qおよびq’は、独立して、−CR2=、=CR2−、−C(O)−、−C(C(CN)2)−、−O−、−S−、−N=、=N−、−N(R2)−、−SiR2=、=SiR2−および−SiR22−から選択でき、
rおよびsは、独立して、−CR22−または−C(C(CN)2)−であってよく、
u、u’、vおよびv’は、独立して、−CR2=、=CR2−、−C(O)−、−C(C(CN)2)−、−S−、−S(O)−、−S(O)2−、−O−、−N=、=N−、−SiR2=、=SiR2−、−SiR22−、−CR22−CR22−および−CR2=CR2−から選択でき、かつ
2は、それぞれの場合に、独立して、HまたはReであってよく、その際、Reは、本願に定義される通りである]から選択されうる。
【0094】
ある特定の実施形態においては、π−2は、
【化17】
[式中、k、l、p、p’、q、q’、r、sおよびR2は、本願に定義される通りである]から選択されうる。幾つかの実施形態においては、kおよびlは、独立して、−CR2=、=CR2−および−C(O)−から選択でき、p、p’、qおよびq’は、独立して、−O−、−S−、−N(R2)−、−N=、=N−、−CR2=および=CR2−から選択でき、uおよびvは、独立して、−CR2=、=CR2−、−C(O)−、−C(C(CN)2)−、−S−、−O−、−N=、=N−、−CR22−CR22−および−CR2=CR2−から選択でき、その際、R2は、本願に定義される通りである。例えば、R2は、それぞれの場合に、独立して、H、ハロゲン、−CN、−ORc、−N(Rc2、C1〜C20−アルキル基およびC1〜C20−ハロアルキル基から選択でき、その際、Rcは、本願に定義される通りである。rおよびsのそれぞれは、CH2であってよい。
【0095】
ある特定の実施形態において、π−2は、1つ以上のチエニル、チアゾリルもしくはフェニル基を含む多環式部分であってよく、その際、これらの基のそれぞれは、場合により本願に開示されるように置換されていてよい。例えば、π−2は、
【化18】
[式中、R2は、本願に定義される通りである]から選択できる。例えば、R2は、H、C1〜C20−アルキル基、C1〜C20−アルコキシ基およびC1〜C20−ハロアルキル基から選択できる。
【0096】
幾つかの実施形態においては、Arは、それぞれの場合に、独立して、
【化19】
[式中、
a、b、cおよびdは、独立して、−S−、−O−、−CH=、=CH−、−CR3=、=CR3−、−C(O)−、−C(C(CN)2)−、−N=、=N−、−NH−および−NR3−から選択され、
3は、それぞれの場合に、独立して、a)ハロゲン、b)−CN、c)−NO2、d)−N(Rc2、e)−ORc、f)−C(O)Rc、g)−C(O)ORc、h)−C(O)N(Rc2、i)C1〜C40−アルキル基、j)C2〜C40−アルケニル基、k)C2〜C40−アルキニル基、l)C1〜C40−アルコキシ基、m)C1〜C40−アルキルチオ基、n)C1〜C40−ハロアルキル基、o)−Y−C3〜C14−シクロアルキル基、p)−Y−C6〜C14−アリール基、q)−Y−3〜14員のシクロへテロアルキル基、およびr)−Y−5〜14員のヘテロアリール基から選択され、その際、前記のC1〜C40−アルキル基、C2〜C40−アルケニル基、C2〜C40−アルキニル基、C3〜C14−シクロアルキル基、C6〜C14−アリール基、3〜14員のシクロへテロアルキル基および5〜14員のヘテロアリール基は、場合により、1〜5個のReで置換されており、かつY、RcおよびReは、本願に定義される通りである]から選択される、場合により置換された単環式部分であってよい。
【0097】
ポリマー骨格内に位置するかまたはポリマーの末端基の1つを構成するかどうかに応じて、Arは、二価または一価であってよい。ある特定の実施形態においては、それぞれのArは、独立して、5員もしくは6員のアリールもしくはヘテロアリール基であってよい。例えば、それぞれのArは、フェニル基、チエニル基、フリル基、ピロリル基、イソチアゾリル基、チアゾリル基、1,2,4−チアジアゾリル基、1,3,4−チアジアゾリル基および1,2,5−チアジアゾリル基から選択でき、その際、それぞれの基は、一価もしくは二価であってよく、かつ場合により、ハロゲン、−CN、オキソ基、C1〜C6−アルキル基、C1〜C6−アルコキシ基、C1〜C6−ハロアルキル基、NH2、NH(C1〜C6−アルキル)およびN(C1〜C6−アルキル)2から独立して選択される1〜4個の置換基で置換されていてよい。特定の実施形態においては、それぞれのArは、チエニル基、イソチアゾリル基、チアゾリル基、1,2,4−チアジアゾリル基、1,3,4−チアジアゾリル基、1,2,5−チアジアゾリル基、フェニル基およびピロリル基から選択でき、その際、それぞれの基は、場合により、ハロゲン、−CN、オキソ基、C1〜C6−アルキル基、C1〜C6−アルコキシ基、C1〜C6−ハロアルキル基、NH2、NH(C1〜C6−アルキル)およびN(C1〜C6−アルキル)2から独立して選択される1〜2個の置換基で置換されていてよい。幾つかの実施形態においては、Arは、非置換であってよい。幾つかの実施形態においては、Arは、チエニル基、イソチアゾリル基、チアゾリル基、1,2,4−チアジアゾリル基、1,3,4−チアジアゾリル基および1,2,5−チアジアゾリル基であってよく、その際、それぞれは、場合により1〜2個のC1〜C6−アルキル基で置換されている。
【0098】
例として、(Ar)m、(Ar)m'および(Ar)m''は、
【化20】
[式中、R4は、それぞれの場合に、独立して、HまたはR3であり、かつR3は、本願に定義される通りである]から選択できる。特定の実施形態においては、
【化21】

【化22】
は、
【化23】
[式中、Rcは、本願に定義される通りである]から選択できる。
【0099】
様々な実施形態においては、前記リンカーZは、それ自身による共役系(例えば2つ以上の二重結合もしくは三重結合を含む)であってよく、またはその隣接成分との共役系を形成してもよい。例えば、Zが直鎖状リンカーである実施形態においては、Zは、二価のエテニル基(すなわち1つの二重結合を有する)、二価のエチニル基(すなわち1つの三重結合を有する)、2つ以上の共役二重結合もしくは三重結合を含むC4〜C40−アルケニルもしくはアルキニル基またはSi、N、Pなどのヘテロ原子を含んでよい幾つかの他の非環式の共役系であってよい。例えば、Zは、
【化24】
[式中、R4は、本願に定義される通りである]から選択できる。ある特定の実施形態においては、Zは、
【化25】
から選択できる。
【0100】
幾つかの実施形態においては、M2は、少なくとも1つの場合により置換された単環式のアリールもしくはヘテロアリール基を含んでよい。例えば、M2は、式:
【化26】
[式中、m’’は、1、2、4もしくは6から選択され、かつArは、本願に定義される通りである]を有してよい。例えば、M2は、
【化27】
[式中、R3およびR4は、本願に定義される通りである]から選択できる。特定の実施形態においては、M2は、
【化28】
[式中、R3は、独立して、ハロゲン、−CN、C1〜C20−アルキル基、C1〜C20−アルコキシ基およびC1〜C20−ハロアルキル基から選択でき、R4は、独立して、H、ハロゲン、−CN、C1〜C20−アルキル基、C1〜C20−アルコキシ基およびC1〜C20−ハロアルキル基から選択でき、かつRcは、それぞれの場合に、独立してHまたはC1〜C6−アルキル基であってよい]から選択できる。
【0101】
幾つかの実施形態においては、M2は、1つ以上の場合により置換された単環式のアリールもしくはヘテロアリール基に加えて、リンカーを含んでよい。例えばM2は、式:
【化29】
[式中、mおよびm’は、1、2、4もしくは6から選択され、m’’は、1、2、3もしくは4から選択され、かつArおよびZは、本願に定義される通りである]を有してよい。ある特定の実施形態においては、M2は、
【化30】
[式中、R4およびRcは、本願に定義される通りである]から選択されうる。
【0102】
幾つかの実施形態においては、M2は、1つ以上の場合により置換された単環式のアリールもしくはヘテロアリール基に加えて、1つ以上の場合により置換された多環式部分を含んでよい。例えば、M2は、式:
【化31】
[式中、mおよびm’は、1、2、4もしくは6から選択され、かつArおよびπ−2は、本願に定義される通りである]を有してよい。ある特定の実施形態においては、M2は、
【化32】
[式中、R2およびR4は、本願に定義される通りである]から選択されうる。
【0103】
幾つかの実施形態においては、M2は、1つ以上の場合により置換された単環式のアリールもしくはヘテロアリール基に加えて、1つ以上のリンカーおよび/または場合により置換された多環式部分を含んでよい。例えば、M2は、以下:
【化33】
[式中、m、m’およびm’’は、独立して、1、2、3または4であり、かつAr、π−2およびZは、本願に定義される通りである]から選択される式を有してよい。ある特定の実施形態においては、M2は、
【化34】
[式中、R4は、本願に定義される通りである]から選択されうる。
【0104】
他の実施形態においては、M2は、以下:
【化35】
[式中、π−2およびZは、本願に定義される通りである]から選択される式を有してよい。
【0105】
本願教示は一般にM1およびM2のコポリマーに関するが、一方で、M1のホモポリマーは、本願教示の範囲内である。
【0106】
前記の様々なポリマーについて、nは、2〜5000の範囲の整数であってよい。例えば、nは、2〜1000、2〜500、2〜400、2〜300または2〜200であってよい。ある特定の実施形態においては、nは、2〜100であってよい。幾つかの実施形態においては、nは、3〜1000の整数であってよい。ある特定の実施形態においては、nは、4〜1000、5〜1000、6〜1000、7〜1000、8〜1000、9〜1000または10〜1000であってよい。例えば、nは、8〜500、8〜400、8〜300または8〜200であってよい。ある特定の実施形態においては、nは、8〜100であってよい。
【0107】
従って、ある特定の実施形態においては、本願教示のポリマーは、式Ia、Ibまたはその両方:
【化36】
[式中、R1、R4およびm’’は、本願に定義される通りである]の繰返単位を含んでよい。
【0108】
例えば、ある特定の実施形態においては、本願教示のポリマーは、式Ia’、Ib’、Ia’’およびIb’’:
【化37】
[式中、R1は、本願に定義される通りである]の1つ以上の繰返単位を含んでよい。
【0109】
本願教示のポリマーのある特定の実施形態は、式Ia’’’、Ib’’’、Ia’’’’およびIb’’’’:
【化38】
[式中、R1およびR3、本願に定義される通りである]の1つ以上の繰返単位を含んでよい。例えば、R3は、それぞれの場合に、独立して、ハロゲン、−CN、C1〜C40−アルキル基、C1〜C40−アルコキシ基およびC1〜C40−ハロアルキル基から選択されうる。
【0110】
幾つかの実施形態においては、本願教示のポリマーは、式Ic、Id、IeおよびIf:
【化39】
[式中、R1およびR4は、本願に定義される通りである]の1つ以上の繰返単位を含んでよい。
【0111】
例えば、ある特定の実施形態においては、本願教示のポリマーは、式Ic’、Id’、Ie’およびIf’:
【化40】
[式中、R1は、本願に定義される通りである]の1つ以上の繰返単位を含んでよい。
【0112】
ある特定の実施形態においては、本願教示のポリマーは、式Ig、Ihまたは両方:
【化41】
[式中、R1およびm’’は、本願に定義される通りである]の繰返単位を含んでよい。
【0113】
ある特定の実施形態においては、本願教示のポリマーは、式Ii’、Ij’または両方:
【化42】
[式中、R1は、本願に定義される通りである]の繰返単位を含んでよい。
【0114】
本願教示によるポリマーの更なる例は、式IIIa’、IIIa’’、Va’、Va’’、Vb’、Vb’’、Vc’およびVc’’:
【化43】
[式中、R1およびR4は、本願に定義される通りである]の1つ以上の繰返単位を含んでよい。
【0115】
本発明のポリマーのある特定の実施形態は、以下のスキーム1に概説される手順に従って製造できる:
スキーム1
【化44】
【0116】
スキーム1に関して、本発明のポリマーのある特定の実施形態は、金属触媒によるStille重合により合成できる。特に1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NDA)とジブロモイソシアヌル酸(DBI)とを反応させて、ジブロモナフタレン−1,4,5,8−ビス(ジカルボキシイミド)(NDI−Br2)を得ることができる。前記イミドの官能化は、NDI−Br2と好適なアミン(R−NH2)とを反応させることによって行うことができ、こうして、例えばN,N’−ジアルキルナフタレン−1,4,5,8−ビス(ジカルボキシイミド)(NDI2R−Br2)が得られる。NDI2R−Br2の好適な有機スズ化合物を用いた金属触媒、例えばジクロロ−ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(Pd(PPh32Cl2)の存在下での重合により、所望のポリマーが得られる。
【0117】
以下のスキーム2は、本発明のポリマーのある特定の実施形態の製造のための代替的な合成を示している:
スキーム2
【化45】
【0118】
本願教示の他のポリマーは、スキーム1および2に記載されるのと類似の手順に従って製造できる。代替的に、本発明のポリマーは、市販の出発材料、文献で公知の化合物から、または他の簡単に製造できる中間体を介して、当業者に公知の標準的な合成法および合成手順を使用することによって製造できる。有機分子の製造のためのならびに官能基変換および操作のための標準的な合成法および合成手順は、関連の科学文献または当該技術分野で標準的な教科書から容易に得ることができる。典型的なまたは好ましいプロセス条件(すなわち反応温度、時間、反応物のモル比、溶剤、圧力等)が示されている場合に、他のプロセス条件も、特に記載がない限り使用できることが理解される。最適な反応条件は、使用される特定の反応物もしくは溶剤で変わりうるが、かかる条件は、当業者によって通常の最適化手順によって決定することができる。有機合成の当業者は、表された合成ステップの性質および順序を、本願に記載されるポリマーの形成の最適化の目的で変更できることが理解される。
【0119】
本願に記載される方法は、当該技術分野で公知の任意の好適な方法に従ってモニタリングできる。例えば、生成物形成は、分光分析手段、例えば核磁気共鳴分光法(NMR、例えば1Hもしくは13C)、赤外分光法(IR)、分光測光法(例えばUV〜可視)、質量分光法(MS)またはクロマトグラフィー、例えば高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、ガスクロマトグラフィー(GC)、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)もしくは薄層クロマトグラフィー(TLC)によってモニタリングできる。
【0120】
本願に記載される反応または方法は、有機合成の当業者によって容易に選択できる好適な溶剤中で実施できる。好適な溶剤は、典型的には、反応物、中間体および/または生成物と、反応が行われる温度で、すなわち溶剤の凍結温度から溶剤の沸騰温度までの範囲であってよい温度で本質的に非反応性である。所定の反応は、1種の溶剤中でまたは1種より多くの溶剤の混合物中で実施できる。特定の反応ステップに応じて、特定の反応ステップ用の好適な溶剤を選択できる。
【0121】
何らかの特定の理論によって縛られることを望むものではないが、本願教示のレジオレギュラー型ポリマー骨格を有するポリマーは、より高分子量を、より多くπ共役した構造を、従ってより良い電荷輸送効率をもたらしうると考えられる。従って、本発明のポリマーの製造にあたり、本願教示は、少なくとも1種の特定の平均分子量の分画を単離すること、および/またはNDIR−Br2(および相応のジブロモナフタレンジカルボキシイミド)を濃縮されたもしくは純粋な2,6−ジアステレオ異性体として濃縮および/または単離することを含んでよい。前記異性体混合物からの2,6−ジブロモナフタレン−1,4,5,8−ビス(ジカルボキシイミド)の単離は容易にかつ効果的に実施できるので、本発明のポリマーは、以下の式I’、III’、V’、VII’、IX’、XI’、XIII’もしくはXV’:
【化46】
【0122】
【化47】
[式中、xは、実数であり、かつ0.5<x≦1、およびR1、R5、R6、R7、π−2、Ar、Z、m、m’およびm’’は本願に定義される通りである]を有するポリマーを含む。様々な実施形態においては、xは、少なくとも約0.6、例えば約0.75超、約0.80超、約0.85超、約0.90超または約0.95超である。
【0123】
本願に開示されるある特定の実施形態は、大気条件で安定(「大気安定」)であり、かつ通常の溶剤中に可溶性であってよい。本願で使用される場合に、あるポリマーは、該ポリマーの担体移動度または還元電位が、そのポリマーが大気条件、例えば空気、大気温度および湿度にある期間にわたり晒されたときにほぼその初期測定値で保持される場合に電気的に「大気安定」または「大気条件で安定」と見なすことができる。例えば、本願教示によるあるポリマーは、その担体移動度またはレドックス電位が、空気、湿分および温度を含む大気条件へと3日、5日または10日にわたり晒された後にその初期値から20%もしくは10%を超えて変化しない場合に大気安定として説明できる。更に、あるポリマーは、相応の被膜の吸光性が、空気、湿分および温度を含む大気条件へと3日、5日または10日にわたり晒された後にその初期値から20%を超えて変化しない(好ましくは10%を超えて変化しない)場合に大気安定と見なすことができる。
【0124】
何らかの特定の理論によって縛られることを望むものではないが、nチャネル輸送が望まれる場合に、強い電子欠乏M2繰返単位と共重合されたM1によって可能にされた強力な電子欠乏電子構造は、本発明のポリマーのレジオレギュラー型の高度にπ共役したポリマー骨格と一緒に、本願発明のポリマーを、強力な電子吸引性官能価による追加のπコア官能化(すなわちナフタレン部のコア置換)を必要とせずに、大気安定なnチャネル半導体材料にすることができる。高い吸光性(吸光係数)が望まれる場合に、本発明のポリマーは、高度にπ共役したポリマー骨格を用いて、かつ電子供与性M2と共重合されたM1単位を有することで押し引き構造を可能にすることによって提供することができる。両極性ポリマーが、例えば発光トランジスタ用途で望まれる場合には、本発明のポリマーは、M1のコポリマーおよび電子中性もしくは電子供与(電子豊富)M2単位を含む高度にπ共役されたポリマー骨格を有してよい。
【0125】
本発明のポリマーを基礎とするOTFTは、大気条件における長期駆動性と連続的な高性能を有してよい。例えば本発明のポリマーのある特定の実施形態を基礎とするOTFTは、主として、高度に湿った環境において十分なデバイス性能を保持しうる。本発明のポリマーのある特定の実施形態は、また、広い範囲のアニーリング温度範囲にわたり優れた熱安定性を示すことができる。光起電性デバイスは、延長された時間にわたって十分な電力変換効率を保持しうる。
【0126】
本願で使用される場合に、化合物は、1mLの溶剤中に少なくとも0.1mgの化合物が溶解されうる場合に溶剤中に可溶であると見なすことができる。通常の有機溶剤の例は、石油エーテル、アセトニトリル、芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン、キシレンおよびメシチレン、ケトン、例えばアセトンおよびメチルエチルケトン、エーテル、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルおよびt−ブチルメチルエーテル、アルコール、例えばメタノール、エタノール、ブタノールおよびイソプロピルアルコール、脂肪族炭化水素、例えばヘキサン、エステル、例えばメチルアセテート、エチルアセテート、メチルホルメート、エチルホルメート、イソプロピルアセテートおよびブチルアセテート、アミド、例えばジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミド、スルホキシド、例えばジメチルスルホキシド、ハロゲン化脂肪族および芳香族炭化水素、例えばジクロロメタン、クロロホルム、エチレンクロリド、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンおよびトリクロロベンゼンおよび環式溶剤、例えばシクロペンタノン、シクロヘキサノンおよび2−メチルピロリドンを含む。以下の実施例で裏付けられているように、本発明のポリマーは、慣用の有機溶剤、例えばキシレン、ジクロロベンゼン(DCB)および他の塩素化炭化水素(CHCs)中で60g/Lほどの高さの室温可溶性を有しうる。
【0127】
通常の溶剤中でそれらの可溶性が高いので、本発明のポリマーは、様々な製造物品へと、蒸着などのより高価な方法に加えて溶液プロセシング技術を使用して作製することができる。様々な溶液プロセシング技術は、有機エレクトロニクスで使用されている。通常の溶液プロセシング技術は、例えばスピンコート法、ドロップキャスト法、ゾーンキャスト法、ディップキャスト法、ブレードコート法またはスプレー法を含む。溶液プロセシング技術のもう一つの例は、印刷である。本願で使用される場合に、「印刷」は、インクジェット印刷、微量配量などの非接触法と、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、平版印刷、パッド印刷、マイクロコンタクト印刷などの接触法を含む。例えば、多くの印刷型エレクトロニクス技術は、インクジェット印刷に焦点が絞られている。それというのも主として、この技術は、特徴の位置と多層の位置合わせについてより大きな制御をもたらすからである。インクジェット印刷は、予め形成されたマスターを必要としないという利点(接触型印刷技術に対して)と、インキ吐出のデジタル制御、それによるドロップ・オン・デマンド型印刷が提供されるという利点をもたらす。しかしながら、接触型印刷技術は、非常に素早いロール・ツー・ロールプロセスに非常に適合性が高いという利点を有する。異なる印刷技術は本質的に異なるインクレオロジー特性を必要とし、フレキソ印刷で使用される非常に粘性の配合物から、より粘性の低いグラビア印刷インキ、そしてインクジェット印刷に適したより希釈された溶液までの範囲がある。それ自体、スピンコートされたデバイスで機能性の良い、従って溶液プロセシング可能なポリマーは必ず印刷可能であるという演繹が常にできるわけではない。
【0128】
従って、本発明のポリマーの予想外の特性の一つは、本願の以下の実施例に示されるその加工融通性を含む。本発明によるポリマーを含む配合物は、グラビア印刷、フレキソ印刷およびインクジェット印刷を含む様々な種類の印刷技術を介して印刷可能であると示された。こうして、平滑かつ均一な被膜を提供し、該被膜が、例えばピンホールのない誘電性被膜を形成可能にし、従って全ての印刷型デバイスの製造を可能にする。
【0129】
本願教示の1つ以上のポリマーを使用して、有機半導体材料またはその部分、例えば有機半導体材料の1つ以上の層を製造できる。
【0130】
従って、本願教示は、更に、有機半導体材料の製造方法を提供する。該方法は、本願に開示された1種以上のポリマーであって溶剤もしくは溶剤混合物などの液体媒体中に溶解もしくは分散されて含む組成物を調製し、該組成物を基板上に堆積させて半導体材料前駆体を得て、該半導体前駆体を加工(例えば加熱)して、本願に開示されるポリマーを含む有機半導体材料(例えば薄膜有機半導体)を得ることを含んでよい。様々な実施形態において、前記液体媒体は、有機溶剤、無機溶剤、例えば水またはそれらの組み合わせであってよい。幾つかの実施形態においては、前記組成物は、更に、粘度調節剤、界面活性剤、分散剤、結合剤、相溶化剤、硬化剤、開始剤、保湿剤、抑泡剤、湿潤剤、pH調節剤、殺生剤および静菌剤から独立して選択される1種以上の添加剤を含んでよい。例えば、界面活性剤および/またはポリマー(例えばポリスチレン、ポリエチレン、ポリ−α−メチルスチレン、ポリイソブテン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレートなど)は、分散剤、結合剤、相溶化剤および/または抑泡剤として含まれてよい。幾つかの実施形態においては、前記堆積ステップは、印刷、例えばインクジェット印刷および様々な接触型印刷技術(例えばスクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、パッド印刷、平版印刷、フレキソ印刷およびマイクロコンタクト印刷)によって実施できる。他の実施形態においては、前記堆積ステップは、スピンコート法、ドロップキャスト法、ゾーンキャスト法、ディップキャスト法、ブレードコート法またはスプレー法をによって実施できる。
【0131】
前記の開示のように、有機半導体デバイスは、多数のデバイスおよびデバイス構造から選択できる。前記半導体デバイス(少なくとも1つの中間層を除く)の考えられるポリマー、その特性、設定に関しては、WO 2009/098253 A1が参照され、そこに開示されるデバイスと製造方法が参照される。このように、前記有機半導体デバイスは、電子デバイス、光学デバイスおよび光電子デバイス、例えば電界効果トランジスタ(例えば薄膜トランジスタ)、光起電性デバイス、フォトデテクタ、有機発光デバイス、例えば有機発光ダイオード(OLEDs)および有機発光トランジスタ(OLETs)、相補型金属酸化物半導体(CMOSs)、相補型インバータ、ダイオード、キャパシタ、センサ、Dフリップ・フロップ、整流器およびリングオシレータから選択できる。最も好ましくは、前記有機半導体デバイスは、有機電界効果トランジスタであるか、または少なくとも1つの有機電界効果トランジスタを含む。トップゲート・トップコンタクトキャパシタ構造、トップゲート・ボトムコンタクトキャパシタ構造、ボトムゲート・トップコンタクトキャパシタ構造およびボトムゲート・ボトムコンタクトキャパシタ構造を含む様々な種類の有機電界効果トランジスタが実現可能である。これらのデバイスの可能性のある構造および可能性のある方法に関しては、WO 2009/098253 A1が参照されうる。しかし、他の有機半導体材料、他の有機半導体デバイス、他の構造およびこれらのデバイスの他の製造方法は、本発明の範囲内で実現可能である。
【0132】
もう一つの好ましい実施形態においては、本願教示の方法は、有機半導体材料であって、該有機半導体材料が、式
【化48】
[式中、M1は、
【化49】
から選択され、式中、
1は、2−オクチルドデシルであり、かつM2は、以下の式:
【化50】
のポリマーであり、式中、
mは、2〜50の範囲の数、好ましくは2〜20個の繰返単位、または2〜10の範囲の数である]のポリマーから選択される前記材料を含んでよい。
【0133】
更なる好ましい一実施形態においては、前記中間層は、少なくとも1種の溶剤および少なくとも1種のチオール化合物を含む溶液から、好ましくは少なくとも1つのスピンコート法および浸漬法を使用することによって生成される。前記少なくとも1種のチオール化合物は、前記少なくとも1種の溶剤中に分散および/または溶解されていてよい。1種より多くの溶剤が使用されうる。チオール化合物の種類に応じて、様々な種類の溶剤、例えば水性溶剤および/または有機溶剤が使用されうる。例が以下に示される。スピンコートと浸漬に加え、他のコーティング法の種類、例えば印刷法、ドクターブレード塗布または上述の方法および/または他の方法の組み合わせを使用できる。
【0134】
好ましい一実施形態においては、溶液からのプロセシングは、該溶液を少なくとも1つの電極、好ましくは電極の両方へと適用する少なくとも1つのステップと、該溶剤を除去する少なくとも1つのステップとを含んでよい。このように、好ましくは、前記溶液は、少なくとも1つのソース電極および/または少なくとも1種のドレイン電極へと適用されうる。前記溶剤の少なくとも一回の溶剤の除去ステップは、機械的ステップ、例えばスピンコーティングおよび/または熱的ステップで、例えば溶液に熱を加えて前記溶剤を部分的にまたは完全に除去することを含んでよい。該溶液は、前記チオール化合物を、好ましくは10mM〜400mMの量で、好ましくは20mM〜200mMの量で含んでよい。好ましくは、前記少なくとも1種の溶剤は、エタノール、トルエン、キシレンからなる群から選択される。
【0135】
本発明の更なる一実施形態においては、有機半導体デバイスが開示される。前記有機半導体デバイスは、少なくとも1種の有機半導体材料と少なくとも2つの電極とを有し、それらは、前記有機半導体材料を通じた電荷担体輸送を促すように適合されている。前記少なくとも2つの電極は、好ましくは少なくとも1つのソース電極と、少なくとも1つのドレイン電極とを含んでよい。しかし、他の実施形態も可能である。前記有機半導体材料は、本来両極性半導体特性を有する。少なくとも1つの中間層は、少なくとも部分的に、前記有機半導体デバイスの前記有機半導体材料と前記電極の少なくとも1つとの間に挿入される。前記中間層は、一般式HS−Rを有し、式中のRが有機残基である少なくとも1種のチオール化合物を含む。前記チオール化合物は双極子モーメントを有する。双極子モーメントは、4−フェニルチオフェノールにおける双極子モーメントと同じ方向で少なくとも同じ大きさで有する。前記中間層によって、電極間の両極性電荷輸送は抑制されて、単極性電荷担体輸送が優勢となる。
【0136】
好ましくは、前記有機半導体デバイスは、前記開示の実施形態の1つ以上による方法によって製造できる。このように、定義および可能性のある実施形態に関しては、前記の方法の開示が参照されうる。
【0137】
好ましい一実施形態においては、前記有機半導体デバイスは、少なくとも2つの電極の間に電荷担体輸送のためのチャネルを含む。このように、前記概説したように、前記少なくとも2つの電極は、少なくとも1つのソース電極と、少なくとも1つのドレイン電極とを含んでよい。好ましくは、前記チャネルは、1μm〜500μmの、好ましくは5μm〜200μmのチャネル長を有してよい。更に、前記有機半導体デバイスは、少なくとも1つの更なる電極、例えば少なくとも1つのゲート電極を有してよい。前記少なくとも1種の更なる電極、例えば前記少なくとも1つのゲート電極は、該チャネルと、少なくとも1つの絶縁材料によって、好ましくは少なくとも1つの絶縁層によって隔離されていてよい。更なる好ましい実施形態について、前記開示の方法に参照がなされうる。
【0138】
本発明の更なる一態様においては、両極性電荷担体輸送を抑制して単極性電荷担体輸送を優勢にするための少なくとも1つのチオール化合物を含む中間層を、少なくとも1種の有機半導体材料と該有機半導体材料を通じての電荷担体輸送を促すように適合された少なくとも2つの電極とを有する有機半導体デバイスにおいて用いる使用が開示されている。前記中間層は、少なくとも部分的に、前記少なくとも1つの電極と有機半導体材料との間に挿入される。前記中間層は、一般式HS−Rを有し、式中のRが有機残基である少なくとも1種のチオール化合物を含む。前記チオール化合物は、双極子モーメントを有する電気的双極子を形成する。双極子モーメントは、4−フェニルチオフェノールにおける双極子モーメントと同じ方向で少なくとも同じ大きさで有しうる。前記中間層によって、電極間の両極性電荷輸送は抑制されて、単極性電荷担体輸送が優勢となる。
【0139】
更なる実施形態および定義に関しては、上記概説した方法に参照がなされうる。このように、前記概説のように、電極の間の両極性電荷担体輸送を抑制して単極性電荷担体輸送を優勢にすることは、少なくとも1つの中間層を有さないデバイスにおいて、有機半導体材料中の電子および正孔の移動度が、2桁未満だけ異なる一方で、少なくとも1つの中間層以外は同じ層構成における少なくとも1つの中間層を使用することによって、電子および正孔の移動度は、2桁以上異なり、好ましくは3桁を上回って異なるということを指す。好ましくは、前記概説したように、両極性半導体特性は抑制されて、単極性負電荷担体輸送が優勢となる。
【0140】
本発明の方法、本発明による有機半導体および本発明による中間層の使用は、公知の方法、有機半導体デバイスおよび使用よりも多数の利点を含む。このように、驚くべきことに、前記開示された種類の少なくとも1つの中間層を実装する方法、例えば少なくとも1つの自己組織化単分子膜の形成方法は、有機半導体デバイスの電荷担体輸送特性を、前記輸送特性を、両極性電荷担体輸送から単極性電荷担体輸送へと、特に単極性負電荷担体輸送へとシフトさせることによって大きく変化させうることが判明した。これまでは金属電極上の自己組織化単分子膜は電極の仕事関数を調整しうることが全ての先行技術文献で報告されていたにもかかわらず、両極性材料のためのかかる電極の処理の効果は知られていない。このように、本発明の使用は、好ましくは適切な自己組織化単分子膜処理の確立によって、好ましくは低バンドギャップポリマーと組み合わせて、単極性デバイスを得ることができる。このように好ましくは、前記有機半導体材料のバンドギャップ、より好ましくは前記ポリマーのバンドギャップ、すなわちHOMO準位およびLUMO準位の間のエネルギー差は、前記範囲内にある。好ましくは、P(NDI2OD−T2)を使用することができ、それは、少なくとも1つの中間層と組み合わせて、前記概説した適切なSAM処理と組み合わせて、単極性デバイス、好ましくは負電荷担体単極性デバイスが得られる。
【0141】
前記中間層の形成方法、好ましくは自己組織化単分子膜の形成方法は、作製費用を顕著に高めることはない。それというのも、この少なくとも1つの中間層の形成は、一般に、通常の製造技術、例えば他の半導体構造の印刷法または形成法のものと類似のステップを含むからである。このように、チオール化合物を少なくとも1種の溶剤中に溶解させて溶液を形成させる、該溶液を基板の表面に適用する、好ましくは金属の表面に適用する、適用された被膜を乾燥させる、および前記溶剤を除去するなどの技術が含まれうる。従って、少なくとも1つの中間層、好ましくは前記少なくとも1つの自己組織化単分子膜の使用は、有機電界効果トランジスタおよび/または他の有機半導体デバイスのために適しうる。
【0142】
前記概説のように、前記チオール化合物は、前記チオール化合物のSH基から離れた方向を指し示す双極子モーメントベクトルを有する双極子モーメントを有し、その際、該電気的双極子モーメントは、4−フェニルチオフェノールにおける電気的双極子モーメントと少なくとも同じ大きさを有してよい。これは、前記チオール化合物中の残基Rの電子系をデザインすることによって容易に達成できる。このように、電子豊富な残基および電子欠乏の残基を使用する、つまり電子豊富なチオール化合物と電子欠乏のチオール化合物を使用することによって、電気的双極子モーメントを変更できる。前記概説の通り、電子豊富なチオール化合物と電子欠乏のチオール化合物を使用して、金電極および銀電極ならびに低バンドギャップポリマーといった、一般に接触処理がないと顕著な両極性を示すものが処理される。前記ポリマーは、中間層の最上部に堆積され、こうして構築されたOTFTが完成されかつ試験された。更に以下に詳細に概説するように、示性数として、トランジスタのnチャネルとpチャネルの間のオン状態のソース−ドレイン電流の比を示すIon,n:Ion,pが使用される。この比は、両極性挙動がないと、電子輸送またはnチャネル半導体コポリマーについて高いと予想される。
【0143】
以下に、本発明の好ましい実施形態が、開示した図面を参照して開示される。しかしながら、本発明は、それらの好ましい実施形態に制限されない。
【図面の簡単な説明】
【0144】
図1図1は、本発明による有機半導体デバイスの好ましい一実施形態の基本的な層構成を開示している。
図2図2は、様々な有機半導体デバイスについてのゲート電圧の関数としてのソース−ドレイン電流測定を示している。
図3図3は、様々な有機半導体デバイスについてのゲート電圧の関数としてのソース−ドレイン電流測定を示している。
図4図4Aないし図4Dは、様々な有機半導体デバイスのキャパシタンス測定を示している。
【0145】
好ましい実施形態
図1において、本発明による有機半導体デバイス(110)の好ましい一実施形態が断面図で示されている。前記有機半導体デバイスは、基板(112)、例えばガラス基板および/またはプラスチック基板を含んでよい。更に、前記有機半導体デバイス(110)は、2つの電極(114)を含み、該電極は、この場合にソース電極(116)およびドレイン電極(118)を含む。これらの電極(114)の最上部に、中間層(120)が堆積され、該中間層(120)上に少なくとも1つの有機半導体材料(122)が堆積され、その最上部に絶縁層(124)が配置されている。少なくとも1つの絶縁層(124)の最上部に、ゲート電極(126)が堆積される。
【0146】
図1に開示される構成は、概略的構成であることを意味するものと指摘する必要がある。前記有機半導体デバイス(110)は、図1に示されていない追加のエレメントを含んでよく、またはこの図に示されるのと異なる層構成を含んでもよい。このように、図1における構成は、トップゲート・ボトムコンタクト(TGBC)型の構成を有する有機薄膜トランジスタ(128)の一つの例示的実施形態を開示している。しかし、他のデバイス構造も可能である。
【0147】
デバイス作製
図1に開示された構成を参照して、トップゲート・ボトムコンタクト(TGBC)型の薄膜トランジスタを、ポリエチレンテレフタレート(PET)基板(112)上に作製した。ソース電極およびドレイン電極(116,118)は、金または銀からなり、リソグラフィーによりパターン形成されている。好ましくは、この構成または本発明の他の実施形態においては、ソース電極(116)およびドレイン電極(118)の間のチャネル長、すなわち間隔は、1μm〜500μmの範囲内、好ましくは5μm〜200μmの範囲内である。更に、このレイアウトまたは本発明の他の実施形態においては、電極(116,118)の幅とチャネル長との間の比を特徴付けるw/l比は、50〜10000で変動しうる。
【0148】
電極(114)のリソグラフィーの後に、電極(114)上の残りのホトレジスト層は、サンプルの使用直前まで、チャネル領域におけるダスト粒子蓄積と電極(114)、主として銀電極の酸化を最小限にするために取り除かずに残した。
【0149】
使用前に、上に電極(114)を有する基板(112)をアセトンですすいで、ホトレジストを除去した。引き続き、前記サンプルを窒素を吹きかけることによって乾燥させた。残留溶剤を除去するために更なる乾燥を、前記サンプルを90℃のホットプレートを30秒間使用することにより加熱することによって行った。すぐに、該基板をRFプラズマを使用して5分にわたり更に清浄化した。
【0150】
こうしている間に、チオール溶液を、20mM〜200mMの範囲の濃度を有する有機溶剤(すなわちエタノールまたはトルエン)を使用して調製し、使用前に濾過した(PTFE0.45μm)。例示的実施形態で使用されるチオール化合物を第1表に列挙する。
【0151】
【表1】
【0152】
【表2】
【0153】
第1表の第2列には、実験で使用されるチオール化合物の提供元が示されている。そこでは、SAは、Sigma Aldrich, Inc. (www.sigmaaldrich.com)を示し、TCIは、Tokyo Chemical Industry Co Ltd (http://www.tci-asiapacific.com)を示し、Fluorochemは、Fluorochem Ltd. (www.fluorochem.co.uk)を示し、Oakwoodは、Oakwood Products, Inc. (www.oakwoodchemical.com)を示し、ABCRは、abcr GmbH & Co. KG (www.abcr.de)を示し、かつEnamineは、Enamine Ltd. (www.enamine.net)を示している。
【0154】
「電気的双極子モーメント」の列には、それぞれのチオール化合物の双極子モーメントの大きさ(絶対値)が列挙されている。前記概説のように、これらの電気的双極子モーメントは、Spartan '06ソフトウェアを使用した計算によって導き出された。
【0155】
「電気的双極子モーメントの方向」の列には、電気的双極子の極性に関する情報と電気的双極子モーメントベクトルの方向に関する情報が示されている。このように、「RからSHへと指し示す」という情報は、残基Rの側に負の極性を有し、かつチオール基SHの側に正の極性を有するチオール化合物を指しうる。このように、「SHからRへと指し示す」という情報は、残基Rの側に正の極性を有し、かつチオール基SHの側に負の極性を有するチオール化合物を指しうる。第1表に見られるように、電気的双極子の極性は、残基Rの化学的性質に強く依存する。強く電子を吸引するR、例えばPFBT中のフルオロ基を有するチオール化合物は、SH基を指し示す電気的双極子モーメントベクトルを有し、一方で、電気供与性の残基は、SH基から離れた方向を指し示す電気的双極子モーメントベクトルを示す。前記概説のように、本願教示による中間層においては、前記チオール化合物は、チオール化合物のSH基から離れた方向を指し示す電気的双極子モーメントベクトルを有し、かつ前記電気的双極子モーメントは、4−フェニルチオフェノールにおける電気的双極子モーメントと少なくとも同じ大きさを有する。第1表において、これは、以下のチオール化合物:DT、MBT、MTBT、DMeOBT、BBT、PBT、TN、ABT、BM、PMBTに適格である。
【0156】
各々のサンプルについて、第1表中の比較的実施形態番号1を除き、中間層(120)を、電極(114)上に、第1表に列記される各々のチオール化合物を使用することによってプロセシングした。比較のために、第1表中のサンプル番号1を、中間層(120)が無いままにした。この推論に縛られることを望むものではないが、これらの中間層(120)は、自己組織化単分子膜(SAMs)を形成し、そのようにして以下で呼称される。自己組織化単分子膜を、銀電極(116)上に、場合により温かい溶液を上に電極(114)を有する基板(112)上にスピンコートすることによって、または上に電極(114)を有する基板(112)を前記チオール溶液中に浸すことによって製造した。こうしてプロセシングしたサンプルを、次いでストレートの有機溶剤ですすぎ、窒素を吹き付けて乾燥させた。更なる乾燥を、サンプルをホットプレートを用いて90℃で30秒間加熱することによって行った。
【0157】
こうしてプロセシングしたサンプルを、次いで有機半導体材料(122)で被覆した。この目的のために、P(NDI2OD−T2)の層を、P(NDI2OD−T2)を5〜10mg/mLの濃度でトルエン中に溶かした溶液を、1500〜2000rpmのスピン速度を用いてスピンコートすることによって堆積させた。P(NDI2OD−T2)は、WO 2009/098253 A1に開示されているようにしてインハウスで合成した。前記のようにして作製された被膜を、ホットプレート上で90℃で30秒間乾燥させた。
【0158】
更に、絶縁層(124)を、前記サンプルの最上部に作製した。この目的のために、誘電性層を、ポリメチルメタクリレート(PMMA)またはポリスチレン(PS)の層をスピンコートすることによって堆積させた。前記絶縁層(124)の全厚さは、約400〜600nmであった。
【0159】
デバイス構造は、パターン形成されたAu接点をゲート電極(126)としてシャドウマスクを通じて蒸着させることによって完成させた。ゲート電極(126)の厚さは、約30〜50nmであった。
【0160】
デバイスキャラクタリゼーション
有機半導体デバイス(110)の電気的キャラクタリゼーションのために、Keithley 4200型半導体キャラクタリゼーションシステムという、プリアンプユニットと共に構成された3つのソース測定ユニット(SMU)と一体型のキャパシタンス電圧ユニット(CVU)を有するシステムを使用した。この構成を用いて、作製されたOTFT全てのキャパシタンス測定を含む全ての電気的キャラクタリゼーションを行った。前記試験システムの第二の主要なコンポーネントとして、signatone社製プローブステーションを使用した。暗色の金属製の密閉箱を使用して、露光を避け、環境ノイズを減らした。
【0161】
OTFTの電荷担体移動度(μ)は、標準的な電界効果トランジスタ方程式によって計算した。古典的な金属−絶縁体−半導体FETs(MISFETs)では、一般的に、IDS対VDSの曲線において異なるVGで線形飽和領域が存在する。そこでは、IDSは、ソース−ドレイン飽和電流を示し、VDSは、ソースとドレン間の電位であり、かつVGは、ゲート電圧である。大きなVDSでは、電流は飽和し、以下:
【数1】
により示される。
【0162】
そこでは、Lは、チャネル長を示し、すなわち電極(116)と(118)の間の空間的間隙を示し、かつWは、チャネル幅を示し、すなわち電極(116,118)の間の相互の連結線に垂直な方向の電極(116,118)の幅を示す。Ciは、ゲート絶縁体の比容量であり、かつVtは、閾値電圧である。電荷担体移動度μは、前記飽和領域において、前記方程式を
【数2】
へと整理し直すことによって計算した。
【0163】
飽和領域において、50Vのゲート電圧と50Vのソース−ドレイン電圧をかけることによって駆動することで、デバイスパラメータを得ることができる。それらを第2表にまとめる。
【0164】
【表3】
【0165】
第2表に提供されたデータは、PET基板上で銀電極を用いたトップゲート・ボトムコンタクト型アーキテクチャのデバイスから得られた。有機半導体層は、5mg/mlのP(NDI2OD−T2)をトルエン中に溶かした溶液をスピンコートすることによって堆積させ、こうして50nmの層厚が得られた。誘電層は、4質量%のポリスチレンをイソプロピルアセテート中に溶かした溶液をスピンコートすることによって堆積させ、こうして、600nmの厚さを有する誘電層が得られた。
【0166】
第2表において、Ion, nは、nチャネル挙動の、すなわち負電荷担体輸送の初期電流を示す。Ion, pは、pチャネル挙動の、すなわち正電荷担体輸送の初期電流を示す。Ion, n:Ion, pで示される列において、負電荷担体移動度と正電荷担体移動度の比率の尺度である、これらの初期電流の比率が示されている。第2表に「*」によって印される値は、「Ion, n:Ion, p」の列の値がnチャネル性能だけのIon/Ioff比を表す、すなわち初期電流の比率によって示される測定値を示し、Ioffは、測定の間に得られる最低電流である。
【0167】
図2および図3においては、OTFTsの測定曲線の例が示されており、それらを使用して第2表に列挙された値を導き出した。図2においては、ソース−ドレイン電流(ISD、左の鉛直軸)およびゲート漏洩電流(IG、右の鉛直軸)は、等しいゲート−ソース電圧とドレイン−ソース電圧(UG=UGS=UDS)を用いて、ゲート電圧UGの関数として表されている。図2においては、
・ 曲線(210)は、中間層を有さないサンプル(サンプル型番号1)についてのソース−ドレイン電流の典型的な測定値を示す
・ 曲線(212)は、ABT中間層を有するサンプル(サンプル型番号10)についてのソース−ドレイン電流の典型的な測定値を示す
・ 曲線(214)は、MBT中間層を有するサンプル(サンプル型番号4)についてのソース−ドレイン電流の典型的な測定値を示す
・ 点線の曲線(216)は、中間層を有さないサンプル(サンプル型番号1)についてのゲート漏洩電流の典型的な測定値を示す
・ 点線の曲線(218)は、ABT中間層を有するサンプル(サンプル型番号10)についてのゲート漏洩電流の典型的な測定値を示す
・ 点線の曲線(220)は、MBT中間層を有するサンプル(サンプル型番号4)についてのゲート漏洩電流の典型的な測定値を示す。
【0168】
曲線(210)に対して、図2における増幅特性曲線(212、ABT)および(214、MBT)は、pチャネル抑制を示している。ゲート漏洩電流に関して、曲線(218、ABT)および(220、MBT)は、これらのゲート漏洩電流が、pチャネル電流と等しいことを示しており、それは、pチャネル電流の完全な抑制を示している。
【0169】
チオール化合物の双極子モーメントの影響を示すために、図3において、ソース−ドレイン電流ISDは、ゲート電圧UGの、電子吸引性残基(PFBT)と電子供与性前記(ABT)についての関数として表されている。図3において、
・ 曲線(222)は、中間層を有さないサンプル(サンプル型番号1)についてのソース−ドレイン電流の典型的な測定値を示す
・ 曲線(224)は、ABT中間層を有するサンプル(サンプル型番号10)についてのソース−ドレイン電流の典型的な測定値を示す
・ 曲線(226)は、PFBT中間層を有するサンプル(サンプル型番号2)についてのソース−ドレイン電流の典型的な測定値を示す
中間層を有さないサンプル(曲線222)に対して、ABT処理されたサンプル(曲線224)は、明らかにpチャネル抑制を示し、一方で、PFBT処理されたサンプル(曲線226)は、明らかに、反対の効果を、つまりnチャネル抑制を示している。
【0170】
まとめると、第2表ならびに図2および図3における結果は、明らかに、電子供与性残基Rを有するチオール化合物は、より高いIon, n:Ion, p比から分かるように、顕著なpチャネル性能の抑制を示す一方で、改善されたnチャネル性能が得られることを示している。MBTおよびABTの処理は、特に、正孔の注入を完全に抑制することが示された。他方で、電子吸引性のチオール化合物を使用することによって、高められたpチャネル性能という反対の効果が達成できる。このように、本願教示によるチオール化合物を有する中間層を使用することによって、OTFTsの両極性挙動は抑制されて単極性電荷担体輸送が優勢となり、特に単極性n型電荷担体輸送が優勢となりうる。
【0171】
この結果は、更に、様々なキャパシタンス測定によって確認された。その結果は、図4A図4Bに表される。トップ電極(ゲート電極126)に電圧をかけることで、ボトム電極(114)から有機半導体材料(122、OS)へと電荷が注入され、次いで電荷は、絶縁層(124、誘電体)と有機半導体材料(122)の間の界面に蓄積する。従って前記電荷は、誘電体と直列にキャパシタンスとして測定される。印加された正電圧と負電圧におけるキャパシタンス値の増加は、誘電体/OSの界面での電子と正孔のそれぞれの蓄積を表している。キャパシタンス値の差(ΔC)は、電荷注入の容易さを示している。その値が高くなると、注入障壁がより低くなる。
【0172】
図4A図4Bは、種々のチオール化合物を有する様々なデバイス構成についてのゲート電圧UGの関数としての、ファラッド(F)で示されるキャパシタンス測定値(C)を示している。その際、
図4Aは、中間層を有さないサンプル(サンプル型番号1)の典型的なキャパシタンス測定値を示す
図4Bは、PFBT中間層を有するサンプル(サンプル型番号2)の典型的なキャパシタンス測定値を示す
図4Cは、ABT中間層を有するサンプル(サンプル型番号10)の典型的なキャパシタンス測定値を示す
図4Dは、MBT中間層を有するサンプル(サンプル型番号4)の典型的なキャパシタンス測定値を示す。
【0173】
図4A図4Dは、未処理のサンプル(中間層なし、図4A)は、正電圧と負電圧の両方がかかると電荷の蓄積を示し、これは両極性を示すことを裏付けている。PFBT処理されたサンプル(PFBT中間層、図4B)は、負のゲート電圧でより強力な電荷蓄積を示し、それは、より効率的な正孔の注入を示唆している。ABT処理されたサンプル(ABT中間層、図4C)およびMBT処理されたサンプル(MBT中間層、図4D)は、正電圧がかかったときにだけ蓄積を示し、それは、これらのOTFTsの単極性のnチャネル性能を裏付けている。
【0174】
有機半導体材料の例
以下に、有機半導体デバイスの有機半導体材料で使用されるべきポリマーの製造例を示す。しかしながら、それらの例は、本願教示を更に説明し、その理解を促すために提供されるものであって、本発明をいかようにも制限するものではない。更に、WO 2009/098253 A1が参照されうる。
【0175】
全ての試薬は、販売元から入手され、特に記載がない限り更なる精製を行わずに使用した。 特に、誘電体および半導体の配合に使用されるジオキサン、ジクロロベンゼン(DCB)、クロロホルム(CHCl3)および他の塩素化炭化水素(CHCs) は、Sigma Aldrichから入手され、使用前に蒸留した。無水テトラヒドロフラン(THF)は、Na/ベンゾフェノンから蒸留した。 慣用のシュレンク技術を使用し、反応は特に記載がない限りはN2下に実施した。 化合物の5,5’−ビス(トリメチルスタニル)−2,2’−ビチオフェンは、Goto et al., Angew. Chem. Int. Ed., vol. 44: 4322 (2005)に記載される手順に従って製造した。
【0176】
キャラクタリゼーションデータは、幾つかの場合に、1H−NMR、13C−NMRおよび/または元素分析によって提供される。 NMRスペクトルは、Inova 500 NMRスペクトロメーター(1H、500MHz)で記録した。 元素分析は、Midwest microlab, LLCによって実施された。ポリマーの分子量は、Waters GPC システム(Waters Pump 510)においてTHF中で室温においてポリスチレン標準に対して測定した。
【0177】
例1:ポリマー合成
以下の例は、本願教示のある特定のポリマーおよび関連の中間体の製造を記載している。
【0178】
例1A. ポリ{[N,N’−ビス(2−エチルヘキシル)−1,4,5,8−ナフタレン ジイミド−2,6−ジイル]−alt−5,5’−(2,2’−ビチオフェン)}[P(NDI2EH−T2)]の製造
2,6−ジブロモナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボキシ二無水物(NDA−Br2)の製造
1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(2.8g、10.3ミリモル)およびオレウム(20%SO3、100mL)の混合物を55℃で2時間にわたり撹拌した。この混合物に、ジブロモイソシアヌル酸(3.0g、10.5ミリモル)をオレウム(50mL)中に溶かした溶液を40分かけて添加した。次いで得られた混合物を85℃に加温し、この温度で43時間にわたり保持した。 室温に冷却した後に、前記反応混合物を、砕氷(420g)上に注ぎ、水(400mL)で希釈し、次いで室温で1時間にわたり撹拌した。得られた沈殿物を遠心分離により回収し、水およびメタノールで洗浄し、遠心分離により回収し、最後に真空下で乾燥させることで、帯緑黄色の固体(3.6g、8.5ミリモル、収率82.2%)が得られた。
【0179】
元素分析(計算値 C, 39.47; H, 0.47; N, 0.00):実測値 C, 38.20; H, 0.79; N, 0.00
【0180】
N,N’−ビス(2−エチルヘキシル)−2,6−ジブロモナフタレン−1,4,5,8−ビス(ジカルボキシイミド)(NDI2EH−Br2)の製造
NDA−Br2(前記のもの、1.6g、3.9ミリモル)、2−エチルヘキシルアミン(1.4mL、8.5ミリモル)、o−キシレン(6mL)およびプロピオン酸(2mL)の混合物を、140℃で1時間にわたり撹拌した。室温に冷却した後に、メタノール(10mL)を前記反応混合物に添加し、そして得られた沈殿物を濾過によって回収し、メタノールで洗浄し、そして真空中で乾燥させることで、粗生成物が赤色の固体(0.81g)として得られた。更なる精製を、シリカゲル上でのクロロホルム:ヘキサンの混合物(5:1、v/v)を溶出剤として使用するカラムクロマトグラフィーによって実施することで、僅かに黄色の固体が生成物として得られる(0.61g、0.94ミリモル、収率24.4%)。
【0181】
1H NMR (CDCl3, 500 MHz): δ 9.01 (s, 2H), 4.10-4.25 (m, 4H), 19.4-1.97 (m, 2H), 1.20-1.40 (m, 16H), 0.87-1.03 (m, 12H)
13C NMR (CDCl3, 125 MHz): δ 161.4, 161.2, 139.4, 128.6, 127.9, 125.5, 124.3, 45.3, 38.0, 30.8, 28.7, 24.2, 23.3, 14.3, 10.8
【0182】
コポリマーP(NDI2EH−T2)の製造
アルゴン下で、NDI2EH−Br2(前記のもの、98mg、0.15ミリモル)、5,5’−ビス(トリメチルスタニル)−2,2’−ビチオフェン(74mg、0.15ミリモル)およびPd(PPh32Cl2(3.5mg、0.005ミリモル)を無水トルエン(5mL)中に入れた混合物を、90℃で4日間にわたり撹拌した。 次いでブロモベンゼン(0.3mL)を前記反応へと添加し、そして得られた混合物を更に12時間にわたり撹拌した。室温に冷却した後に、フッ化カリウム(1.2g)を水(2.5mL)中に溶かした溶液を添加した。この混合物を室温で2時間にわたり撹拌し、沈殿物を濾過によって回収した。固体を少量のクロロホルムで取り、メタノールを添加し、そして固体を濾過によって回収した。この手順をクロロホルムとアセトンを用いて繰り返すことで、深青色の固体が粗生成物として得られた。この粗生成物をアセトンを用いたソックスレー抽出によって24時間にわたり精製した(80mg、収率80.7%)。
【0183】
1H NMR (CDCl3, 500 MHz): δ 8.82 (br, 2H), 7.35 (br, 4H), 4.15 (br, 4H), 1.97 (br, 2H), 1.18-1.70 (m, br, 16H). 0.80-1.12 (m, br, 12H)
元素分析(計算値 C, 69.91; H, 6.18; N, 4.29):実測値 C, 69.63; H, 5.66; N, 3.71
【0184】
例1B. ポリ{[N,N’−ビス(2−エチルヘキシル)−1,4,5,8−ナフタレン ジイミド−2,6−ジイル]−alt−2,5−チオフェン}[P(NDI2EH−T1)]の製造
コポリマーP(NDI2EH−T1)の製造
アルゴン下で、NDI2EH−Br2(例1A、84mg、0.13ミリモル)、2,5−ビス(トリメチルスタニル)チオフェン(53mg、0.13ミリモル)およびPd(PPh32Cl2(3.0mg、0.004ミリモル)を無水トルエン(5mL)中に入れた混合物を、90℃で4日間にわたり撹拌した。 次いでブロモベンゼン(0.3mL)を添加し、そして得られた混合物を90℃で更に12時間にわたり撹拌した。室温に冷却した後に、フッ化カリウム(1.2g)を水(2.5mL)中に溶かした溶液を添加した。この混合物を室温で2時間にわたり撹拌し、沈殿物を濾過によって回収した。固体を少量のクロロホルムで取り、メタノールを添加し、そして得られた固体を濾過によって回収した。この手順をクロロホルムとアセトンを用いて繰り返すことで、深青色の固体が粗生成物(20.0mg、収率20.7%)として得られた。
【0185】
元素分析(計算値 C, 71.55; H, 6.71; N, 4.91):実測値 C, 71.59; H, 6.00; N, 4.56
【0186】
例1C. ポリ{[N,N’−ビス(2−オクチルドデシル)−1,4,5,8−ナフタレン ジイミド−2,6−ジイル]−alt−5,5’−(2,2’−ビチオフェン)}[P(NDI2OD−T2)]の製造
1−ヨード−2−オクチルドデカンの製造
ヨウ素(12.25g、48.3ミリモル)を、2−オクチル−1−ドデカノール(12.42g、41.6ミリモル)、トリフェニルホスフィン(13.17g、50.2ミリモル)およびイミダゾール(3.42g、50.2ミリモル)を80mLのジクロロメタン中に溶かした溶液に0℃で添加した。30分間撹拌した後に、前記反応混合物を室温へと4時間にわたり加温させてから、12mLの飽和Na2SO3(水性)を添加した。有機物を蒸発により濃縮し、該混合物を500mLのペンタン中に取り、200mLの水で3回洗浄し、かつ150mLのブラインで1回洗浄した。次いで該混合物を、3cmのシリカゲルプラグに通過させ、Na2SO4上で乾燥させた。有機物を蒸発により濃縮することで、無色の油状物(15.78g、収率92.9%)が得られた。
【0187】
1H NMR (CDCl3 500 MHz): δ: 2.60 (d, J = 5.0 Hz, 2H), 2.00 (t, J = 5.0 Hz, 1H), 1.30-1.20 (b, 32H), 0.89 (t, J = 7.5 Hz, 6H)
MS (EI): m/z (%) 408.23 (100) [M+]
元素分析(計算値 C, 58.81; H, 10.12):実測値 C, 58.70; H, 9.97
【0188】
2−オクチルドデシルアミンの製造
1−ヨード−2−オクチルドデカン(5.90g、14.5ミリモル)およびカリウムフタルイミド(2.94g、15.9ミリモル)を、25mLのDMF中に溶解させ、25℃で72時間にわたり激しく撹拌した。前記反応混合物を、200mLのペンタン中に注ぎ、そして100mLの水で4回洗浄した。次いで該混合物を、3cmのシリカゲルプラグに通過させ、濃縮させることで、無色の油状物が得られた。前記油状物を次いで150mLのエタノール中に溶解させ、そして4mLのヒドラジン水和物を添加することで、混合物が得られ、それを一晩還流させた。得られた沈殿物を濾過により回収し、100mLの水中に溶解させ、そして該溶液を、6MのNaOH(水性)の添加によりアルカリ性にした。得られた混合物を、200mLのペンタン中に溶解させ、100mLの水で4回洗浄し、70mLのブラインで1回洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、そして濃縮することで、無色の油状物(3.08g、72%収率)が得られた。
【0189】
1H NMR (CDCl3 500 MHz): δ: 2.60 (d, J = 5.0 Hz, 2H), 2.00 (t, J = 5.0 Hz, 1H), 1.30-1.20 (b, 32H), 0.89 (t, J = 7.5 Hz, 6H)
MS (EI): m/z (%) 297.34 (100) [M+]
元素分析(計算値 C, 80.73; H, 14.57):実測値 C, 80.78; H, 14.52
【0190】
N,N’−ビス(2−オクチルドデシル)−2,6−ジブロモナフタレン−1,4,5,8−ビス(ジカルボキシイミド)(NDI2OD−Br2)の製造
NDA−Br2(例1A、2.34g、5.49ミリモル)、2−オクチルドデシルアミン(4.10g、13.78ミリモル)、o−キシレン(18mL)およびプロピオン酸(6mL)の混合物を、140℃で1時間にわたり撹拌した。室温に冷却した後に、真空中で殆どの溶剤を除去し、そして残留物を、シリカゲル上でのクロロホルム:ヘキサンの混合物(1:1、v/v)を溶出剤として使用するカラムクロマトグラフィーによって精製することで、僅かに黄色の固体が生成物として得られる(1.98g、2.01ミリモル、収率36.7%)。
【0191】
1H NMR (CDCl3 500 MHz): δ: 8.95 (s, 2H), 4.12 (d, J = 7.5 Hz, 4H), 1.97 (m, 2H), 1.20-1.40 (m, 64H), 0.84-0.89 (m, 12H)
13C NMR (CDCl3, 125 MHz): δ: 161.3, 161.1, 139.3, 128.5, 127.8, 125.4, 124.2, 45.6, 36.6, 32.1, 32.0, 31.7, 30.2, 29.9, 29.8, 29.7, 29.6, 29.5, 26.5, 22.9, 22.8, 14.3
元素分析(計算値 C, 65.84; H, 8.60; N, 2.84):実測値 C, 65.68; H, 8.60; N, 2.89
【0192】
コポリマーP(NDI2OD−T2)の製造
アルゴン下で、NDI−2OD−Br2(95mg、0.096ミリモル)、5,5’−ビス(トリメチルスタニル)−2,2’−ビチオフェン(48mg、0.096ミリモル)およびPd(PPh32Cl2(3.5mg、0.005ミリモル)を無水トルエン(5mL)中に入れた混合物を、90℃で4日間にわたり撹拌した。次いでブロモベンゼン(0.2mL)を添加し、そして前記反応混合物を90℃で更に12時間にわたり保持した。室温に冷却した後に、フッ化カリウム(1g)を水(2mL)中に溶かした溶液を添加した。この混合物を室温で2時間にわたり撹拌してから、それをクロロホルム(60mL×2)で抽出した。有機層を合し、水(50mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして回転蒸発器上で濃縮した。前記残留物を少量のクロロホルムで取り、そしてメタノールとアセトン中で連続的に沈殿させた。得られた青色の固体生成物を、アセトンを用いたソックスレー抽出によって48時間にわたり精製した。残りの固体残留物を、クロロホルム(50mL)中に再溶解させ、そして得られた混合物を加熱沸騰させた。室温に冷却した後に、前記クロロホルム溶液を5μmフィルタを通して濾過し、そして濾液をメタノール(50mL)へとゆっくり添加した。沈殿物を濾過により回収し、メタノールで洗浄し、真空中で乾燥させることで、深青色の固体が生成物として得られた(88.0mg、収率92.1%)。
【0193】
1H NMR (CDCl3 500 MHz): δ: 8.53-8.84 (m, br, 2H), 7.20-7.48 (br, 4H), 4.13 (s, br, 2H), 2.00 (s, br, 4H), 1.05-1.30 (s, br, 64H), 0.87 (s, br, 12H)
GPC: Mn = 47.8K Da, Mw = 264.4K Da, PDI = 5.53
元素分析(計算値 C, 75.26; H, 8.96; N, 2.83, Br, 0.00):実測値 C, 75.22; H, 9.01; N, 2.77, Br, 0.00
【0194】
図6は、P(NDI2OD−T2)の代表的なGPCクロマトグラムを示している。
【0195】
例1D. ポリ{[N,N’−ビス(1−メチルヘキシル)−1,4,5,8−ナフタレン ジイミド−2,6−ジイル]−alt−5,5’−(2,2’−ビチオフェン)}[P(NDI1MH−T2)]の製造
N,N’−ビス(1−メチルヘキシル)−2,6−ジブロモナフタレン−1,4,5,8−ビス(ジカルボキシイミド)(NDI1MH−Br2)の製造
NDA−Br2(例1A、2.42g、5.68ミリモル)、1−メチルヘキシルアミン(2.5mL、16.55ミリモル)、プロピオン酸(12mL)およびo−キシレン(36mL)の混合物を、アルゴン下に140℃で17時間にわたり撹拌した。室温に冷却した後に、溶剤を真空中で除去し、そして残留物を、シリカゲル上でのCHCl3:ヘキサンの混合物(1:1、v/v)を溶出剤として使用するカラムクロマトグラフィーにかけることで、僅かに黄色の固体が生成物として得られる(0.24g、0.39ミリモル、収率6.9%)。
【0196】
1H NMR (CDCl3, 500 MHz): δ 8.96 (s, 2H), 5.24 (m, 2H), 2.13 (m, 2H), 1.94 (m, 2H), 1.56 (d, J = 7.0 Hz, 6H), 1.10-1.40 (m, 12H), 0.81-0.86 (t, J = 7.0 Hz, 6H)
13C NMR (CDCl3, 125 MHz): δ: 161.3, 161.3, 139.3, 128.3, 127.8, 125.7, 124.5, 51.5, 33.5, 31.8, 26.9, 22.7, 18.3, 14.2
【0197】
コポリマーP(NDI1MH−T2)の製造
アルゴン下で、NDI1MH−Br2(前記のもの、151mg、0.24ミリモル)、5,5’−ビス(トリメチルスタニル)−2,2’−ビチオフェン(120mg、0.24ミリモル)およびPd(PPh32Cl2(6.5mg、0.009ミリモル)を無水トルエン(12mL)中に入れた混合物を、90℃で24時間にわたり撹拌した。次いでブロモベンゼン(0.2mL)を添加し、そして前記反応混合物を90℃で更に12時間にわたり保持した。室温に冷却した後に、前記反応混合物を、メタノール(50mL)へとゆっくりと添加し、そして得られた混合物を、室温で10分間にわたり撹拌した。前記沈殿物を、濾過により回収し、そしてメタノールで洗浄した。次いで単離した固体を、クロロホルム(30mL)で取り、そして5分間にわたり超音波処理した。フッ化カリウム(4g)を水(8mL)中に溶かした溶液を添加し、そしてこの混合物を室温で1時間にわたり激しく撹拌した。次いで前記混合物をクロロホルム(100mL)で希釈し、そして水(100mL×2)で洗浄した。有機層を回転蒸発器で濃縮した。残留物をクロロホルム(30mL)で取り、引き続き5分間にわたり超音波処理した。この混合物をメタノール(150mL)中で沈殿させることで、深青色の沈殿物が得られ、それを濾過により回収し、メタノールで洗浄し、そして真空中で乾燥させた(143mg、収率94%)。アセトンによるソックスレー抽出を伴う更なる精製を行い、次いでメタノール中での沈殿を行った。
【0198】
1H NMR (CDCl3, 500 MHz): δ 8.70-8.82 (br, 2H), 7.05-7.73 (m, br, 3H), 6.64 (br, 1H), 5.15-5.50 (m, br, 2H), 0.71-2.43 (m, br, 28H)
【0199】
例1E. ポリ{[N,N’−ビス(2−オクチルドデシル)−1,4,5,8−ナフタレン ジイミド−2,6−ジイル]−alt−5,5’’’−(クアテルチオフェン)}[P(NDI2OD−T4)]の製造
N,N’−ビス(2−オクチルドデシル)−2,6−ビス(2−チエニル)ナフタレン−1,4,5,8−ビス(ジカルボキシイミド)(NDI2OD−T1)の製造
アルゴン下で、NDI2OD−Br2(例1A、280.0mg、0.28ミリモル)、2−トリメチルスタニルチオフェン(400.0mg、1.62ミリモル)、Pd(PPh32Cl2(28.0mg、0.04ミリモル)を無水トルエン(20mL)中に入れた混合物を、90℃で22時間にわたり撹拌した。室温に冷却した後に、前記反応混合物を、クロロホルム(100mL)で希釈し、そして得られた混合物を、水(80mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム(Na2SO4)上で乾燥させ、そして回転蒸発器で濃縮させた。残留物を、シリカゲル上でのクロロホルム:ヘキサンの混合物(3:2、v/v)を溶出剤として使用するカラムクロマトグラフィーにかけることで、橙色の固体が生成物として得られる(240.0mg、0.24ミリモル、85.2%)。
【0200】
1H NMR (CDCl3 500 MHz): δ: 8.77 (s, 2H), 7.57 (d, J = 5.0 Hz, 2H), 7.31 (d, J =3.5 Hz, 2H), 7.21 (m, 2H), 4.07 (d, J = 7.5 Hz, 4H), 1.95 (m, 2H), 1.18-40 (m, br, 64H), 0.84-0.88 (m, 12H)
13C NMR (CDCl3 125 MHz): δ: 162.8, 162.6, 141.1, 140.4, 136.8, 128.4, 128.2, 127.7, 127.6, 125.6, 123.6, 45.0, 36.6, 32.1, 31.7. 30.3, 29.9, 29.8, 29.7, 29.6, 29.5, 26.6, 22.9, 14.4, 14.3
【0201】
N,N’−ビス(2−オクチルドデシル)−2,6−ビス(5−ブロモ−2−チエニル)ナフタレン−1,4,5,8−ビス(ジカルボキシイミド)(NDI2OD−BrT1)の製造
アルゴン下で、NDI2OD−T1(200.0mg、0.20ミリモル)およびNBS(125.0mg、0.70ミリモル)をDMF(20mL)中に入れた混合物を、80℃で25時間にわたり撹拌した。室温に冷却した後に、前記反応混合物を、水(100mL)中に注ぎ、そして得られた混合物を、クロロホルム(100mL)で抽出した。有機層を分離し、水(100mL×2)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、そして回転蒸発器上で濃縮した。残留物を、シリカゲル上でのクロロホルム:ヘキサンの混合物(2:3、v/v、ゆっくりと1:1へ)を溶出剤として使用するカラムクロマトグラフィーにかけることで、赤色の固体が生成物として得られる(145.0mg、0.13ミリモル、62.5%)。
【0202】
1H NMR (CDCl3, 500 MHz): δ: 8.73 (s, 2H), 7.15 (d, J = 4.0 Hz, 2H), 7.09 (d, J = 4.0, 2H), 4.08 (d, J = 7.5 Hz, 4H), 1.93-1.98 (m, 2H), 1.20-1.40 (br, m, 64H), 0.83-0.89 (m, 12H)
元素分析(計算値 C, 64.79; H, 7.72; N, 2.44):実測値 C, 64.50; H, 7.74; N, 2.49
【0203】
コポリマーP(NDI2OD−T4)の製造
アルゴン下で、NDI2OD−BrT1(92.1mg、0.08ミリモル)、5,5’−ビス(トリメチルスタニル)−2,2’−ビチオフェン(39.4mg、0.08ミリモル)およびPd(PPh32Cl2(2.8mg、0.004ミリモル)を無水トルエン(5mL)中に入れた混合物を、90℃で4日間にわたり撹拌した。 次いでブロモベンゼン(0.3mL)を添加し、そして得られた混合物を更に12時間にわたり撹拌した。室温に冷却した後に、フッ化カリウム(1g)を水(2mL)中に溶かした溶液を添加した。この混合物を室温で1時間にわたり撹拌しかつ振り混ぜてから、それをクロロホルム(150mL)で希釈した。得られた混合物を水(100mL×3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、そして回転蒸発器上で濃縮した。残留物をクロロホルム(30mL)で取り、メタノール(50mL)中で沈殿させた。この手順をクロロホルムとアセトンを用いて繰り返すことで、暗青色の固体が粗生成物として得られた。この粗生成物を、アセトンを用いたソックスレー抽出によって48時間にわたり精製した。単離された固体を、クロロホルム(50mL)中に溶解させ、次いで加熱沸騰させた。室温に冷却した後に、前記クロロホルム溶液をシリンジフィルタ(5μm)に通過させ、そして濾液をメタノール(50mL)中で沈殿させた。沈殿物を濾過により回収し、メタノールで洗浄し、真空中で乾燥させることで、暗青色の固体が得られた(87.0mg、94.1%)。
【0204】
1H NMR (CDCl2CDCl2, 500 MHz): δ: 8.70-8.81 (m, br, 2H), 7.10-7.40 (m, br, 8H) , 4.10 (br, 4H), 1.99 (s, br, 2H), 1.10-1.45 (m, br, 64H), 0.86 (m, br, 12H)
GPC: Mn = 67.4K Da, Mw = 170.3K Da, PDI = 2.5
元素分析(計算値 C, 72.87; H, 8.04; N, 2.43):実測値 C, 72.69; H, 8.06; N, 2.47
【0205】
例1F. ポリ{[N,N’−ビス(2−オクチルドデシル)−1,4,5,8−ナフタレン ジイミド−2,6−ジイル]−alt−5,5’−(2,2’−ビチアゾール)}[P(NDI2OD−TZ2)]の製造
コポリマーP(NDI2OD−TZ2)の製造
アルゴン下で、NDI2OD−Br2(例1A、235mg、0.239ミリモル)、5,5’−ビス(トリメチルスタニル)−2,2’−ビチアゾール(118mg、0.239ミリモル)およびPd(PPh32Cl2(7.0mg、0.010ミリモル)を無水トルエン(12mL)中に入れた混合物を、90℃で3日間にわたり撹拌した。 次いでブロモベンゼン(0.3mL)を添加し、そして得られた混合物を更に12時間にわたり撹拌した。室温に冷却した後に、フッ化カリウム(2g)を水(4mL)中に溶かした溶液を添加した。この混合物を室温で1時間にわたり撹拌しかつ振り混ぜてから、それをクロロホルム(150mL)で希釈した。得られた混合物を水(100mL×3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、そして回転蒸発器上で濃縮した。残留物をクロロホルム(50mL)で取り、メタノール(100mL)中で沈殿させた。この手順をクロロホルムとアセトンを用いて繰り返すことで、暗赤色の固体が粗生成物として得られた。この粗生成物を、アセトンを用いたソックスレー抽出によって72時間にわたり精製した。単離された固体を、クロロホルム(80mL)中に溶解させ、次いで加熱沸騰させた。室温に冷却した後に、前記クロロホルム溶液をシリンジフィルタ(5μm)に通過させ、そして濾液をメタノール(80mL)中で沈殿させた。沈殿物を濾過により回収し、メタノールで洗浄し、真空中で乾燥させることで、暗赤色の固体が得られた(222mg、93.7%)。
【0206】
1H NMR (CDCl3, 500 MHz): δ: 7.71 (m, br, 2H), 7.54 (m, br, 2H), 4.20-4.25 (m, br, 4H), 1.69 (m, br, 2H), 1.15-1.50 (m, br, 64H) 0.80-0.95 (m, br, 12H)
元素分析(計算値 C, 72.68; H, 8.74; N, 5.65):実測値 C, 72.07; H, 8.61; N, 5.56
【0207】
例1G. ポリ{[N,N’−ビス(2−オクチルドデシル)−1,4,5,8−ナフタレン ジイミド−2,6−ジイル]−alt−5,5−(4’,7’−ジ−2−チエニル−2’,1’,3’−ベンゾチアジアゾール)}[P(NDI2OD−TBT)]の製造
コポリマーP(NDI2OD−TBT)の製造(スズキカップリング反応)
アルゴン下で、N,N’−ビス(2−オクチルドデシル)−2,6−ビス(5’−ブロモ−2’−チエニル)ナフタレン−1,4,5,8−ビス(ジカルボキシイミド)(NDI2OD−BrT1)(例1E、85.0mg、0.074ミリモル)、4,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−2,1,3−ベンゾチアジアゾール(28.7mg、0.074ミリモル)、炭酸カリウム(81.0mg、0.586ミリモル)およびPd(PPh34(1.8mg、0.002ミリモル)を無水トルエン(4mL)およびDMF(2mL)中に入れた混合物を、100℃で3日間にわたり撹拌した。次いでブロモベンゼン(0.3mL)を添加し、そして得られた混合物を更に12時間にわたり撹拌した。室温に冷却した後に、前記反応混合物を、メタノール(200mL)中に注ぎ、そして得られた混合物を、室温で15分間にわたり撹拌した。沈殿物を濾過により回収し、メタノールで洗浄し、真空中で乾燥させることで、暗色の固体が生成物として得られた(62.0mg、74.6%)。
【0208】
元素分析(計算値 C, 72.68; H, 8.07; N, 4.99):実測値 C, 72.41; H, 7.90; N, 5.00
【0209】
コポリマーP(NDI2OD−TBT)の製造(Stilleカップリング反応)
アルゴン下で、NDI2OD−Br2(例1A、84.3mg、0.086ミリモル)、5,5−ビス(トリメチルスタニル)−4’,7’−ジ−2−チエニル)−2’,1’,3’−ベンゾチアジアゾール(53.6mg、0.086ミリモル)およびPd(PPh32Cl2(2.5mg、0.004ミリモル)を無水トルエン(6.5mL)中に入れた混合物を、90℃で3日間にわたり撹拌した。次いでブロモベンゼン(0.3mL)を添加し、そして得られた混合物を更に12時間にわたり撹拌した。室温に冷却した後に、フッ化カリウム(1g)を水(2mL)中に溶かした溶液を添加した。この混合物を室温で1時間にわたり撹拌しかつ振り混ぜてから、それをクロロホルム(150mL)で希釈した。得られた混合物を水(100mL×3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、そして回転蒸発器上で濃縮した。残留物をクロロホルム(50mL)で取り、メタノール(100mL)中で沈殿させた。この手順をクロロホルムとアセトンを用いて繰り返すことで、暗色の固体が粗生成物(58.0mg、60.3%)として得られた。
【0210】
例1H. ポリ{[N,N’−ビス(2−オクチルドデシル)−1,4,5,8−ナフタレン ジイミド−2,6−ジイル]−alt−5,5−(1’,4’−ジ−2−チエニル−2’,3’,5’ ,6’−テトラフルオロベンゼン)}[P(NDI2OD−TFBT)]の製造
コポリマーP(NDI2OD−TFBT)の製造
アルゴン下で、NDI2OD−BrT1(例1E、94.3mg、0.082ミリモル)、1,4−ビス(トリメチルスタニル)−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン(39.0mg、0.082ミリモル)およびPd(PPh32Cl2(1.8mg、0.003ミリモル)を無水トルエン(6mL)中に入れた混合物を、90℃で4日間にわたり撹拌した。次いでブロモベンゼン(0.3mL)を添加し、そして前記反応混合物を90℃で更に12時間にわたり保持した。室温に冷却した後に、フッ化カリウム(1g)を水(2mL)中に溶かした溶液を添加した。この混合物を室温で1時間にわたり撹拌しかつ振り混ぜてから、それをクロロホルム(150mL)で希釈した。得られた混合物を水(100mL×3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、そして回転蒸発器上で濃縮した。残留物をクロロホルム(20mL)で取り、メタノール(50mL)中で沈殿させた。沈殿物を濾過により回収し、メタノールで洗浄し、真空中で乾燥させることで、紫/青色の固体が生成物として得られた(134mg、収率94.4%)。
【0211】
1H NMR (CDCl3, 500 MHz): δ: 8.72-8.75 (m, 2H), 7.14-7.16 (m, 2H), 7.09-7.11 (m, 2H), 4.08 (m, 4H), 1.96 (s, br, 2H), 1.15-1.45 (m, br, 64H) 0.80-0.92 (m, br, 12H)
元素分析(計算値 C, 71.80; H, 7.80; N, 2.48):実測値 C, 69.73; H, 8.56; N, 1.83
【0212】
例1I. ポリ{[N,N’−ビス(2−オクチルドデシル)−1,4,5,8−ナフタレン ジイミド−2,6−ジイル]−alt−5,5’−(1,2−ビス(2’−チエニル)ビニル)}[P(NDI2OD−TVT)]の製造
コポリマーP(NDI2OD−TVT)の製造
アルゴン下で、NDI2OD−Br2(86.5mg、0.088ミリモル)、5,5’−ビス(トリメチルスタニル)−(1,2−ビス(2’−チエニル)ビニル(45.5mg、0.088ミリモル)およびPd(PPh32Cl2(3.1mg、0.004ミリモル)を無水トルエン(7mL)中に入れた混合物を、90℃で3日間にわたり撹拌した。次いでブロモベンゼン(0.3mL)を添加し、そして得られた混合物を更に12時間にわたり撹拌した。室温に冷却した後に、フッ化カリウム(1.5g)を水(3mL)中に溶かした溶液を添加した。この混合物を室温で1時間にわたり撹拌しかつ振り混ぜてから、それをクロロホルム(150mL)で希釈した。得られた混合物を水(80mL×3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、そして回転蒸発器上で濃縮した。残留物をクロロホルム(50mL)で取り、メタノール(100mL)中で沈殿させた。前記沈殿物を、濾過により回収し、そしてクロロホルム(50mL)中に再溶解させた。このクロロホルム溶液を、再びアセトン(100mL)中で沈殿させることで、深青色の固体が粗生成物として得られた。この粗生成物を、アセトンを用いたソックスレー抽出によって48時間にわたり精製した。単離された固体を、クロロホルム(60mL)中に溶解させ、次いで加熱沸騰させた。室温に冷却した後に、前記クロロホルム溶液をシリンジフィルタ(5μm)に通過させ、そして濾液をメタノール(60mL)中で沈殿させた。沈殿物を濾過により回収し、メタノールで洗浄し、真空中で乾燥させることで、青色の固体が得られた(84.0mg、94.2%)。
【0213】
1H NMR (CDCl2CDCl2, 500 MHz): δ: 8.79 (br, 2H), 7.33(br, 2H), 7.20 (br, 4H) , 4.10 (br, 4H), 2.00 (br, 2H), 1.20-1.60 (br, 64H), 0.80-91 (br, 12H)
GPC: Mn = 185.6 K Da, Mw = 713.0 K Da, PDI = 3.8.
元素分析(計算値 C, 75.69; H, 8.93; N, 2.76):実測値 C, 75.42; H, 8.79; N, 2.84
【0214】
例1K. ポリ{[N,N’−ビス(2−オクチルドデシル)−1,4,5,8−ナフタレン ジイミド−2,6−ジイル]−alt−5,5’−[2,6−ビス(2’−チエニル)ナフタレン]}[P(NDI2OD−TNT)]の製造
コポリマーP(NDI2OD−TNT)の製造
アルゴン下で、N,N’−ビス(2−オクチルドデシル)−2,6−ビス(2’−(5’−ブロモチエニル))ナフタレン−1,4,5,8−ビス(ジカルボキシイミド)(39.1mg、0.034ミリモル)、2,6−ビス(トリメチルスタニル)ナフタレン(15.4mg、0.034ミリモル)およびPd(PPh32Cl2(1.2mg、0.002ミリモル)を無水トルエン(4mL)中に入れた混合物を、90℃で2日間にわたり撹拌した。次いでブロモベンゼン(0.3mL)を添加し、そして前記反応混合物を90℃で更に12時間にわたり保持した。室温に冷却した後に、フッ化カリウム(1g)を水(2mL)中に溶かした溶液を添加した。この混合物を室温で1時間にわたり撹拌しかつ振り混ぜてから、それをクロロホルム(100mL)で希釈した。得られた混合物を水(80mL×3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、そして回転蒸発器上で濃縮した。残留物をTHF(5mL)で取り、メタノール(75mL)中で沈殿させた。沈殿物を濾過により回収し、メタノールで洗浄し、真空中で乾燥させることで、青色の固体が得られ、それを更にメタノールを用いたソックスレー抽出によって72時間にわたり精製した。単離された固体残留物を、THF(2mL)中に再溶解させ、そして得られた溶液を、シリンジフィルタ(5μm)に通過させた。濾液を、メタノール(70mL)中で沈殿させた。沈殿物を濾過により回収し、メタノールで洗浄し、真空中で乾燥させることで、青色の固体が生成物として得られた(33.2mg、収率87.5%)。
【0215】
1H NMR (CDCl2CDCl2, 500 MHz): δ: 8.80-8.90 (m, br, 2H), 6.83-8.20 (m, br, 10H), 4.11 (s, br, 4H), 2.02 (br, 2H), 1.10-1.50 (br, 64H) 0.76-0.92 (br, 12H)
元素分析(計算値 C, 77.51; H, 8.49; N, 2.51):実測値 C, 76.89; H, 8.65; N, 2.16
【0216】
例1L. ポリ{[N,N’−ビス(2−オクチルドデシル)−1,4,5,8−ナフタレン ジイミド−2,6−ジイル]−alt−5,5’−(1,1’−ジメチル−2,2’−ビピロール)}[P(NDI2OD−Py2)]の製造
N,N’−ビス(2−オクチルドデシル)−2,6−ビス(1−メチル−1H−ピロール−2−イル)ナフタレン−1,4,5,8−ビス(ジカルボキシイミド)(NDI2OD−Py)の製造
アルゴン下で、NDI2OD−Br2(489.7mg、0.50ミリモル)、1−メチル−2−トリメチルスタニルピロール(736.1mg、1.99ミリモル)、Pd(PPh32Cl2(35.0mg、0.050ミリモル)を無水トルエン(35mL)中に入れた混合物を、90℃で48時間にわたり撹拌した。室温に冷却した後に、前記反応混合物を、水(100mL)中に注ぎ、そして得られた混合物を、クロロホルム(100mL×2)で抽出した。合した有機層を、水(100mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム(Na2SO4)上で乾燥させ、そして回転蒸発器上で濃縮した。残留物を、シリカゲル上でのクロロホルム:ヘキサンの混合物(3:2、v/v)を溶出剤として使用するカラムクロマトグラフィーにかけることで、紫/青色の固体が生成物として得られる(450.0mg、0.457ミリモル、91.9%)。
【0217】
1H NMR (CDCl3 500 MHz): δ: 8.77 (s, 2H), 6.91 (m, 2H), 6.38 (m, 4H), 4.08(d, J = 7.0 Hz, 4H), 3.41 (s, 6H), 1.98 (m, 2H), 1.16-1.40 (m, br, 64H), 0.83-0.90 (m, 12H)
13C NMR (CDCl3 125 MHz): δ: 163.1, 162.6, 137.7, 137.4, 132.3, 127.4, 125.5, 125.0, 123.2, 110.7, 109.1, 45.2, 36.6, 34.6, 32.1, 31.7. 30.3, 29.9, 29.8, 29.7, 29.6, 29.5, 26.6, 22.9, 14.3
【0218】
コポリマーP(NDI2OD−Py2)の製造
アルゴン下で、NDI2OD−Py(70.0mg、0.071ミリモル)を無水クロロベンゼン(3.5mL)中に溶かした溶液を、FeCl3(65mg、0.40ミリモル)をクロロベンゼン(2.5mL)中に懸濁した懸濁液へと滴加した。得られた混合物を65℃に加温し、この温度で48時間にわたり保持した。室温に冷却した後に、追加のクロロベンゼン(10mL)を前記反応混合物へと添加し、次いでそれを、メタノール(100mL)中で沈殿させた。この混合物を10分間にわたり超音波処理し、そして濾過することで、黒色の固体が回収され、それをメタノールで徹底的に洗浄し、真空中で乾燥させた(28.2mg、40.4%)。
【0219】
例2: ポリマーのキャラクタリゼーション
P(NDI2OD−T2)を、多重溶解沈殿法(multiple dissolution-precipitation procedure)によって精製し、元素分析、GPC測定(Mw=約265k、PD=5.5)および1H NMR分光法によって十分にキャラクタリゼーションした。前記ポリマーの慣用の有機溶剤、例えばキシレン、ジクロロベンゼン(DCB)、CHCl3および他の塩素化炭化水素(CHCs)中での室温可溶性は、60g/Lほどの高さであると判明した。P(NDI2OD−T2)の示差走査熱量測定(DSC)は、約300℃までに熱転移を示さない。
【0220】
新規ポリマーのレドックス特性を調査するために、サイクリックボルタンメトリー実験を、P(NDI2OD−T2)、P(NDI1MH−T2)、P(NDI2EH−T2)、P(NDI2EH−T1)、P(NDI1MH−T2)、P(NDI2OD−TZ2)およびP(NDI2OD−T4)に対して、THF−(NBu)4PF6溶剤電解質溶液を使用し、作用電極としてPtを使用し、擬参照電極として銀を使用し、かつ内部標準としてフェロセン(SCEに対して0.54V)を使用して実施した。Pt作用電極は、CHCl3溶液のドロップキャスティングによってポリマー薄膜で被覆した。サイクリックボルタンメトリーならびに例示されるレドックス電位データは、WO 2009/098253 A1に示されている(WO 2009/098253 A1の図1〜3および第1a表および第1b表を参照)。
【0221】
全てのポリマーについて、2種類の半可逆的な還元が観察されたが、酸化は観察されなかった。それは、全てのポリマーは、本来nドープ可能であることを示唆している。半波長電位の分析により、還元挙動、つまりLUMOエネルギーの変更においてポリマー骨格のナフタレンイミド官能化が重要であることが明らかになる。これらのポリマーの第一のおよび第二の還元電位は、N−アルキル官能化とコモノマー型とは独立して約0.5Vおよび約1Vにそれぞれ位置している。これらの値は、半導体ポリマーについて記録されたもののなかでも最も低く、例えば強く電子不足のコアシアン化されたリレンの値に近づく。これらの値はまた、大気条件下で相応のトランジスタの安定性を促しもする。
【0222】
前記ポリマーの薄膜ポリマー吸光スペクトルおよび考えられるデバイス構成(少なくとも1つの中間層とその製造を除く)ならびに電荷担体移動度の測定を含むデバイスキャラクタリゼーションに関しては、WO 2009/098253 A1が参照されうる。
【符号の説明】
【0223】
110 有機半導体デバイス、 112 基板、 114 電極、 116 ソース電極、 118 ドレイン電極、 120 中間層、 122 有機半導体材料、 124 絶縁層、 126 ゲート電極、 128 有機薄膜トランジスタ、 210 中間層を有さないサンプルについてのISD、 212 ABT中間層を有するサンプルについてのISD、 214 MBT中間層を有するサンプルについてのISD、 216 中間層を有さないサンプルのゲート漏洩電流、 218 ABT中間層を有するサンプルのゲート漏洩電流、 220 MBT中間層を有するサンプルのゲート漏洩電流、 222 中間層を有さないサンプルについてのISD、 224 ABT中間層を有するサンプルについてのISD、 226 PFBT中間層を有するサンプルについてのISD
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D