(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数のノズルが配列されているインクジェットヘッドを2つ以上備え、前記複数のノズルの配列方向に前記インクジェットヘッドが並んでいる印刷装置を用いて、導光板基材の少なくとも一方の面に複数の光反射ドットからなる配光パターンが形成された導光板を製造する方法であって、
前記印刷装置における隣り合うインクジェットヘッドを、前記複数のノズルの一部が前記配列方向に交差する方向に重なり合うように配置し、
前記隣り合うインクジェットヘッドの重なり合うノズルに、一方のインクジェットヘッドから他方のインクジェットヘッドへ向けてノズル番号をK個付し、ここで、Kは2以上の整数であり、
基底bに基づく非負整数n
【数1】
に対して定義されるvan der Corput数列g
b(n)
【数2】
のうち、g
b(m)から始まる連続したK個の数列g
b(m+k)を求め、当該数列g
b(m+k)を、前記配列方向に交差する方向に並ぶK行の印刷行と関連付け、ここで、d
iは[0,b)に属する整数であり、bは2以上の整数であり、mは非負整数であり、kはK−1以下の非負整数であり、
前記数列g
b(m+k)に、数値の昇順又は降順で数列番号を付し、
前記印刷行におけるk行目では、当該k行目の印刷行に関連付けされた前記数列g
b(m+k)の前記数列番号に相当する前記ノズル番号が、前記他方のインクジェットヘッドの印刷開始位置であって、前記一方及び他方のインクジェットヘッドによって前記配列方向に2分割印刷する際の前記他方のインクジェットヘッドの印刷開始位置となるように、前記導光板基材に前記配光パターンを印刷する、
導光板の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、インクジェットヘッドを複数配列させて印刷すると、その取り付け精度及び位置調整精度に起因して、インクジェットヘッド同士の連結部分に線状の輝度の不均一(スジムラ)が発生してしまう。この点に関し、インクジェットヘッドの位置を更に高精度に調整しようとすると、多くの時間と労力が必要となってしまう。
【0007】
そこで、本発明は、インクジェットヘッド同士の連結部分における線状の輝度の不均一を低減することが可能な導光板の製造方法、導光板、面光源装置、及び、透過型画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、隣り合うインクジェットヘッドをノズルの一部が重なり合うように配置し、重なり合う部分によって形成される配光パターンの領域では、一方のインクジェットヘッドによって形成される光反射ドットと他方のインクジェットヘッドによって形成される光反射ドットとの境界が、印刷行方向に重複しないように、超一様分布列(Low-discrepancy sequence:LDS)に基づいて生成した数列に従って並ぶことにより、インクジェットヘッド同士の連結部分における線状の輝度の不均一を低減できることを見出した。これは、インクジェットヘッド同士の取り付け精度及び位置調整精度に起因して光反射ドット間の距離が大きくなる部分、又は、小さくなる部分が、インクジェットヘッドの走査方向に狭い範囲で一列に並ぶことを防止することができたことによるものと考えられる。
【0009】
そこで、本発明の導光板の製造方法は、複数のノズルが配列されているインクジェットヘッドを2つ以上備え、複数のノズルの配列方向にインクジェットヘッドが並んでいる印刷装置を用いて、導光板基材の少なくとも一方の面に複数の光反射ドットからなる配光パターンが形成された導光板を製造する方法であって、印刷装置における隣り合うインクジェットヘッドを、複数のノズルの一部が配列方向に交差する方向に重なり合うように配置し、隣り合うインクジェットヘッドの重なり合うノズルに、一方のインクジェットヘッドから他方のインクジェットヘッドへ向けてノズル番号をK個付し(Kは2以上の整数)、基底bに基づく非負整数n
【数1】
(d
iは[0,b)に属する整数、bは2以上の整数)
に対して定義されるvan der Corput数列g
b(n)
【数2】
のうち、g
b(m)から始まる連続したK個の数列g
b(m+k)を求め、当該数列g
b(m+k)を、配列方向に交差する方向に並ぶK行の印刷行と関連付け(mは非負整数、kはK−1以下の非負整数)、数列g
b(m+k)に、数値の昇順又は降順で数列番号を付し、印刷行におけるk行目では、当該k行目の印刷行に関連付けされた数列g
b(m+k)の数列番号に相当するノズル番号が、他方のインクジェットヘッドの印刷開始位置であって、一方及び他方のインクジェットヘッドによって配列方向に2分割印刷する際の他方のインクジェットヘッドの印刷開始位置となるように、導光板基材に配光パターンを印刷する。
【0010】
また、本発明の導光板は、上記した方法よって製造された導光板である。
【0011】
この導光板の製造方法、及び、導光板によれば、隣り合うインクジェットヘッドは、ノズルの一部が重なり合うように配置されており、重なり合う部分によって形成される配光パターンの領域では、一方のインクジェットヘッドによって形成される光反射ドットと他方のインクジェットヘッドによって形成される光反射ドットとの境界を、印刷行方向に重複しないように分布させることができるので、インクジェットヘッド同士の取り付け精度及び位置調整精度に起因して光反射ドット間の距離が大きくなる部分、又は、小さくなる部分が、インクジェットヘッドの走査方向に狭い範囲で一列に並ぶことを防止することができる。したがって、インクジェットヘッド同士の連結部分における線状の輝度の不均一を低減することができる。
【0012】
上記した基底bはK/2以下であることが好ましい。
【0013】
また、上記した導光板の製造方法では、数列番号を逆引印刷行とするとともに、印刷行を逆引数列番号とし、逆引印刷行におけるk行目では、当該k行目の逆引印刷行に関連付けされた逆引数列番号に相当するノズル番号が、他方のインクジェットヘッドの印刷開始位置であって、一方及び他方のインクジェットヘッドによって配列方向に2分割印刷する際の他方のインクジェットヘッドの印刷開始位置となるように、導光板基材に配光パターンを印刷してもよい。
【0014】
本発明の面光源装置は、エッジライト型の面光源装置であって、上記した方法よって製造された導光板と、導光板の側面に光を供給する光源とを備える。この面光源装置によれば、上記した導光板を備えているので、エッジライト型の面光源装置の輝度の不均一を低減することができる。
【0015】
本発明の透過型画像表示装置は、上記した方法よって製造された導光板、及び、導光板の側面に光を供給する光源を備えるエッジライト型の面光源装置と、面光源装置の出射面と対向して配置された透過型画像表示部とを備える。この透過型画像表示装置によれば、上記した導光板を有する面光源装置を備えているので、透過型画像表示装置の輝度の不均一を低減することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、インクジェットヘッド同士の連結部分における線状の輝度の不均一を簡便に低減することができる。また、この導光板を用いたエッジライト型の面光源装置、及び、このエッジライト型の面光源装置を用いた透過型画像表示装置の輝度の不均一を低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0019】
図1は、本発明に係る導光板の一実施形態を備える透過型画像表示装置を示す断面図である。
図1に示す透過型画像表示装置100は、面光源装置20と、透過型画像表示部30とから主として構成される。面光源装置20は、導光板基材11を有する導光板1と、導光板1の側方に設けられており導光板1に光を供給する光源3とを備えるエッジライト型面光源装置である。
【0020】
導光板基材11は略直方体形状を呈しており、出射面S1と、出射面S1の反対側の背面S2と、出射面S1及び背面S2に交差する4つの端面S3
1〜S3
4とを有する。本実施形態において、4つの端面S3
1〜S3
4は、出射面S1及び背面S2に略直交する。
【0021】
導光板基材11は、透光性材料からなり、ポリ(メタ)アクリル酸アルキル樹脂シート、ポリスチレンシート又はポリカーボネート系樹脂シートであることが好ましく、これらのなかでも、ポリメチルメタクリレート樹脂シート(PMMA樹脂シート)が好ましい。導光板基材11は拡散粒子を含んでいてもよい。導光板基材11の光反射ドット12が形成される表面(背面S2)と反対側の表面(出射面S1)は、本実施形態のように平坦面であってもよいが、凹凸形状を有していてもよい。なお、導光板基材11の厚みは1.0mm以上4.5mm以下であることが好ましい。
【0022】
導光板基材11の背面S2は、背面S2のほぼ全面に撥液処理が施された面であってもよい。背面S2に施す撥液処理は、背面S2に水滴を滴下した際の接触角が80度〜130度となるような撥液処理であり、好ましくは接触角が85度〜120度、より好ましくは接触角が90度〜110度となるような撥液処理である。本実施形態において、接触角とは、静的接触角である。
【0023】
この導光板基材11の背面S2側には複数の光反射ドット12が形成されている。すなわち、導光板1は、背面S2側に設けられた複数の光反射ドット12を更に有する。各光反射ドット12の最大厚さは、例えば20μm以下である。
【0024】
複数の光反射ドット12は、
図2に示すように、背面S2上に互いに離間して配置されている。
図2は、導光板を背面側からみた場合の平面図である。
図2では、説明の便宜のため、光源3も一緒に示している。
図2に示すように、光反射ドット12は、光源3に近い入光部側では小さく、光源3から離れるに従って大きくなる。光反射ドット12は、背面S2の全面にわたって規則的に二次元配列された格子点に形成されているので、光反射ドット12の被覆率は、光源3に近い入光部側では低く、光源3から離れるに従って高くなる。光反射ドット12同士は連結しないことが好ましいが、実際には連結してしまうこともある。
図2では、光反射ドット12の大きさや個数などは説明の便宜のために変更されており、後述するように、光反射ドット12の個数及び配置パターンは、均一な面状の光が効率的に出射面S1から出射されるように調整される。
【0025】
光源3は、互いに対向する一対の端面S3
1,S3
2の側方に配置される。光源3は、冷陰極蛍光ランプ(CCFL)等の線状光源であってもよいが、LED等の点状光源であることが好ましい。この場合、例えば
図2に示すように、導光板基材11の矩形の背面S2を構成する4辺のうち互いに対向する2辺に沿って、複数の点状光源が配列される。後述のインクジェットインクにより形成される光反射ドット12とLEDとを組み合わせることが、自然な色調の光を得るために特に有利である。
【0026】
図1に示すように、透過型画像表示部30は、導光板1の出射面S1側において導光板1と対向配置されている。透過型画像表示部30は、例えば、液晶セルを有する液晶表示部である。
【0027】
上記構成において、光源3から出力された光は、端面S3
1,S3
2から導光板基材11に入射する。導光板基材11に入射した光は、光反射ドット12において乱反射することにより、主として出射面S1から出射される。出射面S1から出射した光は透過型画像表示部30に供給される。均一な面状の光が効率的に出射面S1から出射されるように、光反射ドット12の個数及び配置パターンは調整されている。
【0028】
次に、導光板1を製造する方法について説明する。
【0029】
図3に示す導光板1の製造装置200は、導光板基材11を搬送する搬送手段40と、インクジェットヘッド部5と、UVランプ7とから構成される。必要に応じて検査装置9を設置してもよい。インクジェットヘッド部5、UVランプ7及び検査装置9は、導光板基材11の移動方向Aにおいて上流側からこの順に配置される。
【0030】
導光板基材11は、搬送手段40によって、方向Aに沿って連続的又は間欠的に搬送される。導光板基材11は、製造される導光板のサイズに合わせて予め裁断されていてもよいし、長尺の導光板基材11上に光反射ドット12を形成し、その後導光板基材11を裁断してもよい。本実施形態における搬送手段40はテーブルシャトルであるが、搬送手段はこれに限られるものではなく、例えばベルトコンベア、コロ、又はエア浮上移送であってもよい。
【0031】
導光板基材11の表面S0に、支持部41に支持されたインクジェットヘッド部5により液滴状のインクジェットインクがドット状にパターン印刷される。このとき、パターン印刷は、表面S0に滴下する液滴状のインクジェットインクが互いに離間するように行う。
【0032】
インクジェットヘッド部5は、導光板基材11の表面S0における光反射ドット12が形成される領域の幅方向(Aに対して垂直な方向)全体にわたって、導光板基材11の表面S0(背面S2)と対向して配列固定された1列又は2列以上の複数のノズルを有している。これら複数のノズルからインクジェット方式により吐出された液滴状のインクが、導光板基材11の幅方向全体において同時に一括して印刷される。好ましくは、導光板基材11を一定の速度で連続的に移動させながら、インクが印刷される。或いは、導光板基材11を停止した状態でインクを印刷することと、導光板基材11を次の印刷位置まで移動させてから停止することとを繰り返して、複数列のドットから構成されるパターンでインクを効率的に印刷することもできる。
【0033】
導光板基材11の移動速度は、インクが適切に印刷されるように調整される。本実施形態の場合、
図3〜
図5に示すように、インクジェットヘッド部5は、それぞれ複数のノズル51を有する複数のインクジェットヘッド5a〜5cから構成される。これら複数のインクジェットヘッド5a〜5cは、導光板基材11が搬送される方向Aに直交する方向に配列され、搬送方向Aにおいて互いの端部が重なるように固定部材52を介して連結されている。なお、
図4及び
図5には、本発明の特徴の明確化のために、隣り合うインクジェットヘッド5a,5bのみを示す。
【0034】
本実施形態の場合、インクジェットヘッド部5の複数のノズルを固定した状態で、インクを導光板基材11の幅方向全体にわたって一括して印刷することができる。これにより、可動式のノズルを導光板基材11の幅方向に沿って移動させながらインクを順次印刷する場合と比較して、導光板1の生産性が飛躍的に向上する。
【0035】
特に、導光板基材11の短辺の長さが200mm以上1000mm以下であるような大型の導光板1を製造する場合、本実施形態の方法による生産性向上の効果が大きい。さらに、インクジェット法によれば、例えば最大径が100μm以下であるような微小な光反射ドット12であっても、容易にかつ正確に形成することができる。導光板基材11が薄い場合、出射面S1側から光反射ドット12が透けて見える可能性があるが、光反射ドット12を小さくすることによりこれを防ぐことができる。
【0036】
インクジェットヘッド部5のノズルは、導管55を介してインク供給ユニット50と連結されている。インク供給ユニット50は、例えば、インクが収容されたインクタンクと、インクを送り出すためのポンプとを有している。複数の導管55が単一のインクタンクに連結されていてもよいし、複数のインクタンクにそれぞれ連結されていてもよい。
【0037】
光反射ドット12を形成するためにインクジェット印刷に用いられるインクジェットインクは、顔料と、光重合性成分と、光重合開始剤とを含有する紫外線硬化型のインクであってもよいし、水系インクや溶剤系インク等であってもよい。なお、インクジェットインクには、顔料が必ずしも含まれていなくともよい。
【0038】
顔料は、好ましくは炭酸カルシウム粒子、硫酸バリウム粒子及び二酸化チタン粒子の少なくとも何れか一つである。炭酸カルシウム粒子、硫酸バリウム粒子及び二酸化チタン粒子それぞれの累積50%粒子径D50は、50〜3000nm、より好ましくは、100〜1500nm、更に好ましくは150〜600nmである。累積50%粒子径D50が50〜3000nmの範囲内にある炭酸カルシウム粒子、硫酸バリウム粒子、二酸化チタン粒子は、市販品から粒度分布に基づいて適宜選択することにより入手が可能である。顔料のインクにおける含有割合は、通常、インクの全体質量を基準として0.5〜15.0質量%程度である。炭酸カルシウム粒子、硫酸バリウム粒子及び二酸化チタン粒子の少なくとも一つである顔料を利用したインクは、無機物を利用したインクである。このような無機物を利用したインクの保存安定性、すなわち、無機顔料沈降性を考慮した場合、3つの粒子のうち一番比重の小さい炭酸カルシウム粒子を顔料として利用することがインクとしてより好ましい。
【0039】
50±10℃におけるインクジェットインクの粘度は、好ましくは5.0〜15.0mPa・s、より好ましくは8.0〜12.0mPa・sである。インクジェットインクの粘度は、例えば、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量及び/又は含有割合により調整することができる。脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量及び含有割合が大きくなると、インクの粘度が大きくなる傾向がある。
【0040】
25.0℃におけるインクジェットインクの表面張力は、好ましくは25.0〜45.0mJ/m
2、より好ましくは25.0〜37.0mJ/m
2である。インクジェットインクの表面張力は、例えば、シリコン系及びフッ素系等の界面活性剤をインクに配合することにより調整することができる。
【0041】
印刷されたインクは、支持部42に支持されたUVランプ7により、領域70において硬化される。これにより、硬化したインクからなる光反射ドット12が形成される。
【0042】
その後、形成された光反射ドット12の状態を、支持部43に支持された検査装置9によって検査する工程を経て、導光板1が得られる。導光板1は必要により所望のサイズに裁断される。本実施形態のように、インクジェットヘッド部の下流側に設けられた検査装置により導光板が連続的に検査される必要は必ずしもなく、別途準備された検査装置によりオフラインで導光板を検査することもできる。あるいは、検査装置による導光板の検査が省略されることもあり得る。
【0043】
通常、光反射ドット12となるべきインクの印刷パターンは、均一な面状の光が効率的に出射面S1から出射されるような所望のパターンに設計される。この場合、複数の光反射ドット12の配置パターンがほぼ所望のパターンになることから、光源3から導光板基材11に供給される光を光出射面S1から効率的に取り出すことができる。その結果、導光板1の光出射面S1から光をより高い輝度で出射可能である。また、上記のように光反射ドット12の配置パターンが所望のパターンであることから、光出射面S1からほぼ均一に光を出射可能である。
【0044】
面光源装置20は、導光板1を備えているので、光をより高い輝度で出射できる。また、透過型画像表示装置100は、面光源装置20から出射されるより輝度の高い光で照明されるので、コントラストがよりはっきり表示できるといった表示品質の良い画像を表示することが可能である。
【0045】
ここで、
図4に示すように、インクジェットヘッド5a,5bを複数配列させて印刷すると、その取り付け精度及び位置調整精度に起因して、インクジェットヘッド5a,5b同士の連結部分Cに線状の輝度の不均一(スジムラ)が発生してしまう。
【0046】
そこで、本実施形態では、
図5に示すように、隣り合うインクジェットヘッド5a,5bは、複数のノズル51の一部が搬送方向A(走査方向、ノズルの配列方向に交差する方向)に重なり合うように配置されている。そして、この重なり合う部分によって形成される配光パターンのオーバーラップ領域Roには、インクジェットヘッド5aによって形成される光反射ドット12aとインクジェットヘッド5bによって形成される光反射ドット12bとの境界が、搬送方向A(印刷行方向)に重複しないように、超一様分布するように、配光パターンを印刷する。
【0047】
具体的には、まず、隣り合うインクジェットヘッド5a,5bを、K個(例えば18個)のノズル51が搬送方向A(走査方向、ノズルの配列方向に交差する方向)に重なり合うように配置する(手順0)。次に、重なり合うノズルに、インクジェットヘッド5bからインクジェットヘッド5aへ向けてノズル番号k(0≦k≦K−1、例えば0〜17)を付す(手順1)。
【0048】
次に、van der Corput数列g
b(n)を求める。van der Corput数列g
b(n)とは、勝手な非負整数nに対して、そのb進表記を
【数3】
(d
iは[0,b)に属する整数、基底bは2以上の整数)
としたときに、このb進表記を小数点で折り返して得られるb進表記が表す実数を
【数4】
と定義される数列である。このvan der Corput数列g
b(n)から、重なり合うノズルの個数と同じK個(例えば18個)を求めればよい。求めるK個の数列は、van der Corput数列g
b(n)のうちg
b(m)を先頭とする連続したK個の数列g
b(m+k)とする。ここで、mは任意の非負整数である。そして、数列g
b(m+k)を、搬送方向Aに並ぶK行(例えば18行)の印刷行と関連付ける(手順2)。
図6(a)に、基底b=2、整数m=0の場合の本実施形態の導光板の製造方法における各手順を示す。
【0049】
次に、数列g
b(m+k)に、数値が小さい順(昇順)に1〜K(例えば1〜18)の数列順位を付す(手順3)。次に、数列順位から1を減じた0〜(K−1)(例えば0〜17)の数列番号を求める(手順4)。
【0050】
次に、印刷行におけるk行目では、このk行目の印刷行に関連付けされた数列g
b(m+k)の数列番号に相当するノズル番号が、インクジェットヘッド5a,5bによって配列方向に2分割印刷する際のインクジェットヘッド5aの印刷開始位置となるように、配光パターンを印刷する。例えば、1行目では、対応の数列番号9に相当するノズル番号9よりインクジェットヘッド5a側をインクジェットヘッド5aで印刷し、ノズル番号8よりインクジェットヘッド5b側をインクジェットヘッド5bで印刷する。
【0051】
その後、数列g
b(m+k)を新たに求め直すように、手順2以降の処理を繰り返してもよいし、求めた数列g
b(m+k)を何度も利用して配光パターンを繰り返し印刷してもよい。
【0052】
図6(c)に、18行の印刷行に対する数列番号(ノズル番号)の分布Xを示す。この
図6(c)及び
図5に示すように、本実施形態の導光板の製造方法、及び、この方法によって製造された導光板1によれば、隣り合うインクジェットヘッド5a,5bは、ノズル51の一部が搬送方向A(ノズルの配列方向に交差する方向)に重なり合うように配置されており、重なり合う部分によって形成される配光パターンのオーバーラップ領域Roでは、一方のインクジェットヘッド5aによって形成される光反射ドット12aと他方のインクジェットヘッド5bによって形成される光反射ドット12bとの境界を、搬送方向A(印刷行方向)に重複しないように分布させることができるので、インクジェットヘッド5a,5b同士の取り付け精度及び位置調整精度に起因して光反射ドット12a,12b間の距離が大きくなる部分、又は、小さくなる部分が、搬送方向A(インクジェットヘッド5a,5bの走査方向)に一列に並ぶことを防止することができる。したがって、インクジェットヘッド5a,5b同士の連結部分Cにおける線状の輝度の不均一を低減することができる。
[第2の実施形態]
【0053】
第2の実施形態の導光板の製造方法では、印刷行と数列番号との逆引きを行う点で第1の実施形態の導光板の製造方法と異なっている。
【0054】
すなわち、第2の実施形態の導光板の製造方法では、
図6(b)に示すように、上記した手順4で求めた数列番号を逆引印刷行とし、上記した印刷行を逆引数列番号として、配光パターンを印刷する。具体的には、逆引印刷行におけるk行目では、このk行目の逆引印刷行に関連付けされた逆引数列番号に相当するノズル番号が、インクジェットヘッド5a,5bによって配列方向に2分割印刷する際のインクジェットヘッド5aの印刷開始位置となるように、配光パターンを印刷する(手順5)。
【0055】
図6(c)に、18行の逆引印刷行に対する逆引数列番号(ノズル番号)の分布Yを示す。この
図6(c)に示すように、第2の実施形態の導光板の製造方法でも、第1の実施形態の導光板の製造方法と同様の利点を得ることができる。
【0056】
なお、本発明は上記した本実施形態に限定されることなく種々の変形が可能である。例えば、本実施形態では、van der Corput数列g
b(m+k)において整数m=0とした一例を示したが、整数mは1以上の整数であってもよい。
図7(a),(b)に、基底b=2、整数m=9の場合の変形例の導光板の製造方法における各手順を示し、
図7(c)に、18行の印刷行に対する数列番号(ノズル番号)の分布X、及び、18行の逆引印刷行に対する逆引数列番号(ノズル番号)の分布Yを示す。
【0057】
また、本実施形態では、van der Corput数列g
b(m+k)において基底b=2とした一例を示したが、基底bは3以上の整数であってもよい。
図8(a),(b)に、基底b=3、整数m=0の場合の変形例の導光板の製造方法における各手順を示し、
図8(c)に、18行の印刷行に対する数列番号(ノズル番号)の分布X、及び、18行の逆引印刷行に対する逆引数列番号(ノズル番号)の分布Yを示す。また、
図9(a),(b)に、基底b=9、整数m=0の場合の変形例の導光板の製造方法における各手順を示し、
図9(c)に、18行の印刷行に対する数列番号(ノズル番号)の分布X、及び、18行の逆引印刷行に対する逆引数列番号(ノズル番号)の分布Yを示す。また、
図10(a),(b)に、基底b=17、整数m=0の場合の変形例の導光板の製造方法における各手順を示し、
図10(c)に、18行の印刷行に対する数列番号(ノズル番号)の分布X、及び、18行の逆引印刷行に対する逆引数列番号(ノズル番号)の分布Yを示す。
【0058】
図10によれば、基底bが大きい場合は、インクジェットヘッド同士の連結部分における輝度の不均一が、例えば
図10(c)におけるXの分布のような鉤状など、特定のパターン状に見える虞がある。しかしながら、
図9によれば、基底b=9の場合には、単純なジグザグ分布のようにみえるが、偶数行で変化する場合と奇数行で変化する場合とが混在しており、超一様分布から生成した数列に属する。これより、基底bは、重なり合うノズルの個数の1/2以下であることが好ましく、更には3以下であることが好ましく、更には2であることが好適である。
【0059】
以上、本発明によれば、インクジェットヘッドの取り付け精度及び位置調整精度に起因して光反射ドット間の距離が大きくなる部分、又は、小さくなる部分が、インクジェットヘッドの走査方向に狭い範囲で一列に並ぶことを防止することができるので、インクジェットヘッドの連結部分における線状の輝度の不均一を低減することができる。また、本発明によれば、インクジェットヘッドの個体バラツキによって発生するインクの吐出量バラツキ、あるいはインクジェットヘッドに設けられたノズル毎の吐出量バラツキに起因する輝度の不均一をも低減することができる。
【0060】
また、本実施形態では、数列g
b(m+k)に、数値が小さい順(昇順)に数列順位(数列番号)を付したが、数値が大きい順(降順)に数列順位(数列番号)を付してもよい。
【0061】
また、本実施形態では、光反射ドット12a,12bを格子状に規則的に配置する配光パターンを例示したが、
図11に示すように、配光パターンでは、一列ごとに、光反射ドット間隔の1/2だけずらして光反射ドットを配置してもよい。
【0062】
また、本実施形態では、1種類の大きさを有する光反射ドット12a,12bによる配光パターンを例示したが、
図12に示すように、2種類の大きさを有する光反射ドットを不規則な順序で配置してもよいし、更に、3種類以上の大きさを有する光反射ドットを不規則な順序で配置してもよい。
【0063】
また、本実施形態では、互いに対向する端面S3
1,S3
2の側方に光源3をそれぞれ配置した場合を例示した。しかしながら、光源3は、導光板基材11の光出射面S1(又は背面S2)と交差する少なくとも一つの端面の側方に配置されていればよい。