【実施例1】
【0016】
図4は、本発明に係る磁気センサの温度特性補正回路の実施例1を説明するためのブロック構成図である。
図5は、磁気センサの温度特性のバラツキを示す図である。図中符号1は温度特性生成回路、2は補正基準温度調整回路、3は1次補正値調整回路、4は関数回路、5は関数出力調整回路、6は加算回路、7は駆動回路(電圧生成回路)を示している。
【0017】
本発明の温度特性補正回路は、
図5に示すように、InAs系の磁気センサの温度特性でみられるような、温度特性の1次成分と高次成分に相関がある場合に有効である。
本発明に係る磁気センサの温度特性補正回路は、磁気センサの温度特性の1次成分と高次成分に相関がある場合に、1次成分の調整と高次成分の調整を連動させることで、2温度での調整で高次成分まで調整できる磁気センサの温度特性補正回路である。
【0018】
温度特性生成回路1は、温度特性を有する第1の電圧V1(T)を生成するものである。また、補正基準温度調整回路2は、温度特性を補正しても起電力V
HV又はV
HIに影響が出ない第2の電圧V2を設定するためのものである。
また、1次補正値調整回路3は、温度特性生成回路1からの第1の電圧V1(T)と補正基準温度調整回路2からの第2の電圧V2との差分を増幅するものである。また、関数回路4は、1次補正値調整回路3で調整した第3の電圧V3(T)をリファレンスとして任意の温度特性を有する電流I1(V3(T))を生成するものである。
【0019】
また、関数出力調整回路5は、関数回路4の出力電流I1(V3(T))を電圧に変換し、電圧レベルを調整して磁気センサのバラツキに対応した第4の電圧V4(V3(T))を生成するものである。また、加算回路6は、第3の電圧V3(T)を1次の補正成分とし、第4の電圧V4(V3(T))を高次の補正成分とし、これらの2つを加算した第5の電圧V5(V3(T)=V3(T)+V4(V3(T))を生成するものである。
また、電圧生成回路7は、磁気センサを電圧駆動するために、第5の電圧(V5(V3(T)))をリファレンスとして、駆動電圧V6(T),V7(T)を生成し、それぞれの電源端子CpとCnに与えて磁気センサを電圧駆動するものである。
【0020】
上述した各構成要素をさらに詳細に以下に説明する。
温度特性(温特)生成回路1は、異なる温度特性を持つ抵抗を使用したり、バンドギャップ回路を用いたりする回路などを用いて温度特性を持った第1の電圧V1(T)を生成する。また、補正基準温度調整回路2は、温度特性を補正してもV
HVやV
HIに影響が出ない温度を設定するための回路である。
【0021】
図6に示すように、温度特性を補正した場合にリファレンスとなる温度での、起電力V
HVやV
HIが変化した場合には補正が正しく行えないため、温度特性の補正を行ってもリファレンスとなる温度での、起電力V
HVやV
HIが変化しないように調整を行う必要がある。温度特性補正のリファレンスとなる温度で、V1(T)=V2となるように設定することで、起電力V
HVやV
HIが変化しない調整を行う。
【0022】
また、1次補正値調整回路3は、第1の電圧V1(T)と第2の電圧V2の差分を増幅する回路である。基準電圧をVaとすると、1次補正値調整回路の出力は、第3の電圧V3(T)=A・{V1(T)−V2}+Vaとして与えられる。個々での増幅率Aは、磁気センサの温度特性のバラツキに応じて個々に設定する値である。
また、関数回路4は、1次補正値調整回路で調整したV3(T)をリファレンスとして任意の温度特性を持つI1(V3(T))を生成する。1次の温度特性を持つ電圧V3(T)をリファレンスとしているため、1次補正値調整回路3の増幅率Aを調整しV3(T)の値が変化すると連動して出力I1(V3(T))の値も変化する。
また、関数出力調整回路5は、関数回路4の出力I1(V3(T))を電圧へと変換し、電圧レベルを調整し磁気センサのバラツキに対応した第4の電圧V4(I1(V3(T)))、つまり、V4(V3(T))を生成することができる。
【0023】
また、加算回路6は、V3(T)を1次の補正成分とし、V4(V3(T))を高次の補正成分とし、この2つを加算した第5の電圧V5(V3(T))=V3(T)+V4(V3(T))を生成する。
また、駆動回路(電圧生成回路)7は、磁気センサを定電圧駆動するための回路である。第5の電圧V5(V3(T))をリファレンスとして、第6の電圧V6(V5)、つまりV6(V3(T))とV7(V5)、つまり、第7の電圧V7(V3(T))を生成し、それぞれCpとCnに与え磁気センサを定電圧駆動する。
【実施例2】
【0024】
図7は、本発明に係る磁気センサの温度特性補正回路の実施例2を説明するためのブロック構成図である。図中符号17は駆動回路(電流生成回路)を示している。なお、
図4と同じ機能を有する構成要素には同一の符号を付してある。
図7のように駆動回路17でI2(T)=I2(V3(T))のような電流生成する回路を用いることで磁気センサを定電流駆動することもできる。つまり、電圧生成回路17は、磁気センサを電流駆動するために、第5の電圧V5(V3(T))をリファレンスとして、駆動電流I2(T)を生成し、それぞれの電源端子CpとCnに与えて磁気センサを電流駆動するものである。
【0025】
このように、駆動電圧又は駆動電流をV3(T)の関数とすることで、V3(T)のみの調整で、温度特性の1次成分及び関数成分を補正することができる。
次に、本発明に係る磁気センサの温度特性補正方法について以下に説明する。
温度特性の1次成分と高次成分に相関がある磁気センサの温度特性をキャンセルする場合に、補正の基準温度(リファレンス)を高温とし、高温と室温で温度特性を補正する場合の手順について説明する。
【0026】
本発明に係る磁気センサの温度特性補正方法は、磁気センサの温度特性の1次成分と高次成分に相関がある場合に、1次成分の調整と高次成分の調整を連動させることで、2温度での調整で高次成分まで調整できる磁気センサの温度特性補正方法である。
まず、1次温特生成ステップにおいて、1次の温度特性を有する信号を生成する。次に、所定温特生成ステップにおいて、1次の温度特性を有する信号をもとに所定の温度特性を有する信号を生成する。
【0027】
次に、加算ステップにおいて、1次の温度特性を有する信号と所定の温度特性を有する信号とを加算する。次に、反映ステップにおいて、加算した結果を磁気センサの駆動電圧又は駆動電流に反映させる。
また、1次温特生成ステップは、補正後の磁気センサの駆動電圧又は駆動電流と補正後の磁気センサの駆動電圧又は駆動電流が第1の温度において一致するように、1次の温度特性を有する信号を生成する。
【0028】
また、所定温特生成ステップは、第1の温度における補正後の磁気センサの駆動電圧又は駆動電流と第2の温度における補正後の磁気センサの駆動電圧又は駆動電流が一致するように、所定の温度特性を有する信号を生成する。
また、磁気センサに対して上述した各ステップを実行する実行ステップと、磁気センサとは他の磁気センサに対して、磁気センサに対する実行ステップと同じ設定をするステップと、補正後の他の磁気センサの駆動電圧又は駆動電流と補正後の他の磁気センサの駆動電圧又は駆動電流が第3の温度において一致するように、1次の温度特性を有する信号を生成するステップとを有している。
【0029】
以下に、各手順について詳細に説明する。
[手順1]
図8は、
図5から抜き出した代表例を示す磁気センサの温度特性を示す図である。まず、高温で補正基準温度調整回路2を用いて基準温度の調整を行う。温度特性のないV2の値が温度特性を持つV1(T)値と同じになるようにV2を調整する。
図9は、基準温度調整を示す図である。
[手順2]
高温(基準温度)での起電力V
HV又はV
HIを測定する。この値をリファレンスにして温度特性の補正を行う。
【0030】
[手順3]
室温での起電力V
HV又はV
HIを測定しながら、1次補正値調整回路3の調整と同時に関数出力調整回路5の調整を行う。このとき、
図10に示すように、高温(基準温度)と室温の起電力V
HV又はV
HIを測定しただけでは1次補正値調整回路3と関数出力調整回路5の調整値の組み合わせで最適な調整値が複数とれるので、それぞれの調整値を記録しておく。
【0031】
[手順4]
低温での起電力V
HV又はV
HIを測定し、手順2(高温(基準温度))で測定した起電力V
HV又はV
HIの値と同じ1次補正値調整回路3と関数出力調整回路5の調整値の組み合わせを最終補正値とする。
上述した手順1乃至手順4を行うことで温度特性をキャンセルすることができる。
つまり、磁気センサの温度特性の1次成分と高次成分に相関がある場合に、あるサンプルを用いて手順4で決定した関数出力調整回路5の調整値を、他のサンプルにも適用することで、高温(基準温度)と室温の2温度での精度が良い補正ができる。
手順4で関数出力調整回路5の調整値を次のサンプルを補正する場合に適用し、手順1から手順3までの調整をおこなう。このとき関数出力調整回路5の調整値は決まっているので、手順は以下のようになる。
【0032】
[手順5]
高温で補正基準温度調整回路2を用いて基準温度の調整を行い、温度特性のないV2の値が温度特性を持つV1(T)と同じ値になるように調整する。
[手順6]
高温(基準温度)での起電力V
HV又はV
HIを測定する。この値をリファレンスにして温度特性の補正を行う。
【0033】
[手順7]
室温において、手順4で決めた調整値で関数出力調整回路の値を決めておき、起電力V
HV又はV
HIを測定しながら、1次補正値調整回路3の調整を行う。このとき、1次補正値調整回路3の出力V3(T)が変動すると、関数回路4の出力I1(V3(T))も連動して変動するので、1次の温度特性と高次の温度特性に相関がある場合に精度よく温度特性の補正を行うことができる。
【0034】
図11は、補正後の磁気センサの温度特性を示す図である。実際に調整を行った温度以外では最適な補正がされていないが、温度特性は十分低減される。
以上のように、本発明によれば、磁気センサの温度特性の1次成分と高次成分に相関がある場合に、1次成分の調整と高次成分の調整を連動させることで、2温度での調整で高次成分まで調整でき、温度特性を簡単な回路構成及び手順でキャンセルすることができる磁気センサの温度特性補正回路及び温度特性補正方法を実現することができる。