特許第5879856号(P5879856)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ニコンの特許一覧

<>
  • 特許5879856-表示装置、表示方法及びプログラム 図000002
  • 特許5879856-表示装置、表示方法及びプログラム 図000003
  • 特許5879856-表示装置、表示方法及びプログラム 図000004
  • 特許5879856-表示装置、表示方法及びプログラム 図000005
  • 特許5879856-表示装置、表示方法及びプログラム 図000006
  • 特許5879856-表示装置、表示方法及びプログラム 図000007
  • 特許5879856-表示装置、表示方法及びプログラム 図000008
  • 特許5879856-表示装置、表示方法及びプログラム 図000009
  • 特許5879856-表示装置、表示方法及びプログラム 図000010
  • 特許5879856-表示装置、表示方法及びプログラム 図000011
  • 特許5879856-表示装置、表示方法及びプログラム 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5879856
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月8日
(54)【発明の名称】表示装置、表示方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 13/00 20060101AFI20160223BHJP
   G09G 5/36 20060101ALI20160223BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20160223BHJP
【FI】
   H04N13/00 220
   G09G5/36 510V
   G09G5/00 550C
   G09G5/00 550H
   G09G5/00 510S
   G09G5/00 510B
【請求項の数】17
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-203041(P2011-203041)
(22)【出願日】2011年9月16日
(65)【公開番号】特開2013-66028(P2013-66028A)
(43)【公開日】2013年4月11日
【審査請求日】2014年8月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
(72)【発明者】
【氏名】栗林 英範
【審査官】 秦野 孝一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−81480(JP,A)
【文献】 特開2011−90611(JP,A)
【文献】 特開2000−209614(JP,A)
【文献】 特開2002−223458(JP,A)
【文献】 特開2012−32964(JP,A)
【文献】 特開2005−141102(JP,A)
【文献】 特開2011−175623(JP,A)
【文献】 特開2006−293878(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 13/00
G09G 5/00
G09G 5/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示面に表示し、前記表示面とは異なる位置に前記像に基づく像を表示する表示部と、
体を検出する検出部と、
前記検出部で検出された前記物体によって前記像が遮られた部分の大きさに基づいて前記表示を制御し、前記像が表示される位置を変更する制御部と、を備える
表示装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記像が遮られた部分の大きさが所定値よりも大きい場合、前記像が表示される位置を変更する
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記像が遮られた部分の大きさが所定値よりも小さい場合、前記像が表示される位置を変更しない
請求項1又は請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記検出部は、前記物体の位置とユーザの位置とを検出し、
前記制御部は、前記物体の位置と前記ユーザの位置と前記表示部の位置とに基づいて前記像が遮られた部分を判定し、判定された前記像が遮られた部分の大きさに基づいて前記表を制御する
請求項1から請求項の何れか一項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記ユーザの位置から前記表示部の位置に対する視認方向に基づいて、前記像が遮られた部分を判定する
請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記表示部は、第1画像と第2画像とを表示し、前記第1画像と前記第2画像とに基づく視差によって前記像を表示し
前記制御部は、前記検出部で検出された前記物体によって前記像が遮られた部分の大きさに基づいて、前記第1画像又は前記第2画像の表示を制御する
請求項1から請求項5の何れか一項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記像が遮られた部分の大きさが所定値よりも大きい場合前記視差を減少させ、前記像が遮られた部分の大きさが所定値よりも小さい場合前記視差を変更させない
請求項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記像が遮られた部分に前記像の外周が所定値よりも多く含まれる場合、前記表を制御し、前記像が表示される位置を変更する
請求項1から請求項までの何れか一項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記表示面に表示される記画像の空間周波数成分を検出する空間周波数検出部を備え、
前記制御部は、前記空間周波数検出部検出た前記空間周波数成分に基づいて前記表を制御する
請求項1から請求項8までの何れか一項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記物体の位置又は大きさ又は形状に基づいて前記像が遮られた部分を判定し、判定された前記像が遮られた部分の大きさに基づいて前記表を制御する
請求項1から請求項9までの何れか一項に記載の表示装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記表を制御し、前記検出部によって検出された前記物体と前記表示部との間に前記像を表示する
請求項1から請求項10までの何れか一項に記載の表示装置。
【請求項12】
前記検出部は、撮像部が撮像した撮像画像に基づいて前記物体を検出し、
前記制御部は、前記撮像画像に含まれる前記物体の領域によって判定された前記物体の位置又は大きさ又は形状に基づいて、前記表示部を制御する
請求項1から請求項11までの何れか一項に記載の表示装置。
【請求項13】
前記検出部は、所定領域にある物体を検出する
請求項1から請求項12までの何れか一項に記載の表示装置。
【請求項14】
前記検出部は手を検出する
請求項1から請求項13までの何れか一項に記載の表示装置。
【請求項15】
前記表示部は、複数の前記像を表示し、
前記制御部は、複数の前記像のうち、少なくとも1つの前記像が表示される位置を変更する
請求項1から請求項14の何れか一項に記載の表示装置。
【請求項16】
画像を表示面に表示し、前記表示面とは異なる位置に前記画像に基づく像を表示する処理と、
物体を検出する処理と、
検出された前記物体によって前記像が遮られた部分の大きさに基づいて前記像が表示される位置を変更する処理と、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項17】
画像を表示面に表示し、前記表示面とは異なる位置に前記画像に基づく像を表示する方法と、
物体を検出する方法と、
検出された前記物体によって前記像が遮られた部分の大きさに基づいて前記像が表示される位置を変更する方法と、を含む
表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を三次元表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
左右の眼に異なる画像を見せることで、ユーザに立体像を見せる三次元ディスプレイが存在する。特許文献1には、シャッタ式眼鏡を用いて映像を視聴する際、手によって映像が遮蔽されるとシャッタ式眼鏡の片側のシャッタを閉じ、片眼にのみ映像が届くようにして二重像の発生を防ぐことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−90611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、三次元ディスプレイの画像を見る際、左右の眼が全く異なる画像を見てしまうと両眼視野闘争の原因となり、ユーザに違和感や疲労感を与えてしまう場合があると考えられる。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、三次元表示においてユーザの違和感や疲労感を軽減させる表示装置、表示方法及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一形態は、画像を表示面に表示し、前記表示面とは異なる位置に前記像に基づく像を表示する表示部と、物体を検出する検出部と、前記検出部で検出された前記物体によって前記像が遮られた部分の大きさに基づいて前記表示部を制御し、前記像が表示される位置を変更する制御部と、を備える表示装置である。
また、本発明の一形態は、画像を表示面に表示し、前記表示面とは異なる位置に前記画像に基づく像を表示する処理と、物体を検出する処理と、検出された前記物体によって前記像が遮られた部分の大きさに基づいて前記像が表示される位置を変更する処理と、をコンピュータに実行させるプログラムである。
また、本発明の一形態は、画像を表示面に表示し、前記表示面とは異なる位置に前記画像に基づく像を表示する方法と、物体を検出する方法と、検出された前記物体によって前記像が遮られた部分の大きさに基づいて前記像が表示される位置を変更する方法と、を含む表示方法である

【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、本発明によれば、両眼視野闘争を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態による表示装置の構成例を示すブロック図である。
図2】本発明の一実施形態による表示装置の外観を示す図である。
図3】本発明の一実施形態による表示装置とユーザとの位置関係を示す図である。
図4】本発明の一実施形態による表示装置とユーザとの位置関係を示す図である。
図5】本発明の一実施形態による表示部が表示する立体像の概要を示す図である。
図6】本発明の一実施形態により立体像の視差量を変化させないと判定される遮蔽領域の例を示す図である。
図7】本発明の一実施形態により立体像の視差量を変化させると判定される遮蔽領域の例を示す図である。
図8】本発明の一実施形態により立体像の視差量を変化させると判定される遮蔽領域の例を示す図である。
図9】本発明の一実施形態によるユーザと立体像との位置関係の例を示す図である。
図10】本発明の一実施形態による表示部が表示させる立体像の例を示す図である。
図11】本発明の一実施形態による表示装置の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態による表示装置100の構成を示すブロック図である。表示装置100は、撮影部101と、検出部102と、表示部103と、表示画像記憶部104と、空間周波数検出部105と、制御部106とを備えている。
【0011】
図2は、表示装置100の外観を示す図である。表示装置100は、表示部103の表示面に視差画像を表示し、ユーザ(符号a)の左右の眼に両眼視差のある画像を見せることで、ユーザに立体像(符号b)を見せる三次元ディスプレイである。表示装置100は、裸眼式と眼鏡式とのいずれの方式により三次元表示を行うものでもよいが、本実施形態では裸眼式による例を説明する。また、表示装置100は、LCD(Liquid Crystal Display)、プラズマ、有機EL(Electro Luminescence)等のいずれのディスプレイ表示原理を適用するものでもよい。また、表示装置100は、前面上部にユーザを撮影する撮影部101を備えている。ただし、撮影部101は、前面上部でなくとも、画面の表示方向を撮像できる位置に備えられていればよい。
【0012】
図1に戻り、撮影部101は、表示部103による表示方向における所定領域を撮影して撮影画像を生成するカメラである。ここで、所定領域とは、表示部103によって表示される立体像をユーザが視認する際に、物体が存在すれば立体像を遮蔽することとなる空間領域を含む領域である。撮影部101は、動画を撮影してもよいし、一定時間毎に静止画を撮影してもよい。また、撮影部101は、ひとつのカメラでもよいし、複数のカメラでもよい。
【0013】
検出部102は、撮影部101が撮影した撮影画像に基づいて、表示部103の表示方向における所定領域の遮蔽物の位置とユーザの目線位置とを検出する。例えば、検出部102は、撮影部101が撮影した撮影画像を解析し、撮影画像に含まれる動体を検出する。検出部102は、撮影部101が撮影した動画のフレーム毎の差分領域を抽出し、差分が生じている領域に動体が存在すると判定することができる。例えば、検出部102は、図3の(a)に示すように、撮影部101による撮影画像から、表示装置100の表示方向に存在するユーザ(a1)を検出する。このとき、表示装置100の撮影部101には、例えば(b)に示すような撮影画像が撮影される。
【0014】
さらに、検出部102は、遮蔽物の、表示部103に対する奥行き方向の位置と、表示部103の表示面に対する平行方向の位置と、大きさと、形状との少なくとも1つの特徴量を検出する。検出部102は、顔検出アルゴリズムや手領域検出アルゴリズム等を用いて、撮影画像に含まれるユーザの顔領域や、遮蔽物である手の領域を検出し、三次元における顔の位置や手の位置、大きさ、形状を検出する。ここで、検出部102は、撮影画像からユーザの顔領域が検出できない場合、ユーザの胴体または腕の位置を検出し、ユーザの顔の推定位置を算出する。また、検出部102は、このように検出したユーザの顔の位置から、ユーザの目線位置を検出する。
【0015】
ここで、立体像を裸眼式により表示させる場合、図4に示すように、立体像が観察可能なユーザの目線位置の領域は限定される。すなわち、このような観察可能領域(b)の位置は既知であり、ユーザの目線位置は予め定められる。そこで、このような観察可能領域の位置を、ユーザの目線位置として予め表示装置100の記憶領域に記憶しておくようにしてもよい。
【0016】
表示部103は、表示する画像の視差量を変化させて両眼視差に基づく立体像を表示する。図5は、表示部103が表示する立体像の概要を示す図である。(a)に示すように、ユーザがa1の位置から表示装置100の表示部103を視認するとき、ユーザの右眼に与える右眼像を符号a2の位置に、ユーザの左眼に与える左眼像を符号a3の位置に表示させることで、符号a4の位置に、両眼視差に基づく立体像を飛び出し表示させることができる。このとき、例えばユーザの眼から表示部103への視認方向に、符号a5に示すような手等の遮蔽物があると、左眼像は(b)に示すように見え、右眼像は(c)に示すように見える。このとき、右眼像と左眼像との遮蔽領域が異なるので、両眼視野闘争が起こり得る。
【0017】
また、表示部103は、このような視差画像を表示することにより、表示画像における全ての画素のデプスマップに同一の値を設定して全体を一様に立体表示させたり、表示画像に含まれるオブジェクトの領域毎に異なる視差を与えて立体表示させたり、単一のオブジェクトに含まれる凹凸を立体表示させたりすることができる。ここで、オブジェクトとは、表示画像のテクスチャによって表される物の領域の単位であり、例えば表示画像に山と空と人とが含まれる場合、表示画像には山と空と人との3つのオブジェクトが含まれる。
【0018】
図1に戻り、表示画像記憶部104には、表示部103に表示させる表示画像が記憶される。表示画像は、表示画像記憶部104に予め記憶されていてもよいし、無線または有線のネットワークを介して外部から受信して記憶されるようにしてもよい。
空間周波数検出部105は、表示画像における空間周波数成分を検出する。ここで、空間周波数検出部105は、表示画像における少なくとも一部の空間周波数成分を検出するが、表示画像における全体の空間周波数成分を検出してもよい。
【0019】
制御部106は、表示画像記憶部104に記憶されている表示画像を読み出し、右眼像と左眼像との視差画像を生成して表示部103に表示させる。制御部106は、検出部102によって遮蔽物が検出されると、検出結果に基づいて、表示部103に表示させる立体像の視差量を変化させる。
ここで、制御部106は、検出部102によって検出された遮蔽物(手)の位置と、ユーザの目線位置と、予め定められた表示部103の位置とに基づいて、ユーザの目線位置から表示部103に対する視認方向における遮蔽物によって遮蔽される立体像の遮蔽領域を判定する。目線位置は、上述したように、ユーザの胴体または腕の位置に基づいて算出されたユーザの顔の推定位置でもよいし、予め定められた観察可能領域でもよい。例えば、ユーザの目線位置と、表示部103における表示画面を直線上に結び、その直線上に存在する遮蔽物の位置、大きさ、形状等に基づいて遮蔽物を表示画面上に射影することで、立体像の遮蔽領域を判定することができる。
【0020】
また、制御部106は、立体像の遮蔽領域に基づいて、立体像の視差量を変化させるか否かを判定する。例えば、制御部106は、検出部102が検出した遮蔽物により遮蔽される立体像の遮蔽領域の大きさが、予め定められた値を超える場合、表示部103により表示される立体像の視差量を変化させると判定する。遮蔽物により遮蔽される立体像の領域の大きさが小さい場合には、立体像が遮蔽物によって遮蔽されても融像可能であるため、視差量を変化させない。
【0021】
図6は、制御部106が、立体像の視差量を変化させないと判定する遮蔽領域の例を示す図である。図6の(a)に示すように、遮蔽物により遮蔽される立体像の面積が小さく、遮蔽された領域を補間して知覚できる場合、融像可能であるため視差量を変化させない。(b)、(c)に示すように、立体像全体に対する遮蔽面積の割合が大きくても、立体像の最外周(画枠)が遮蔽されていなければ補間して知覚できるため、融像可能であるため視差量を変化させない。(d)に示すように、遮蔽される面積が大きくても、立体像全体に対する遮蔽面積の割合が小さく、立体像の最外周(画枠)が遮蔽されていなければ補間して知覚できるため、融像可能であるため視差量を変化させない。このように、制御部106は、検出部102が検出した遮蔽物により遮蔽される立体像の領域の面積が、予め定められた面積の閾値を超えるか否か、あるいは検出部102が検出した遮蔽物により遮蔽される立体像の領域の面積が、立体像全体の面積に対して一定以上の割合を超えるか否かを判定し、視差量を変化させるか否かを判定する。
【0022】
図7、8は、制御部106が、立体像の視差量を変化させると判定する遮蔽領域の例を示す図である。図7の(a)に示すように、遮蔽物による遮蔽領域が大きく、遮蔽される領域が補間して知覚できない場合には融像できないため、視差量を変化させると判定する。(b)に示すように、遮蔽される面積が大きく、最外周の遮蔽領域が大きい場合にも、遮蔽領域を補間して知覚できないため、視差量を変化させると判定する。(c)に示すように、最外周の遮蔽領域が大きい場合にも、遮蔽領域を補間して知覚できないため、視差量を変化させると判定する。
【0023】
図8は、図7に示した例における遮蔽領域を示す図である。図8に示す(a)、(b)、(c)は、それぞれ図7に示した(a)、(b)、(c)に対応する。(a)は、遮蔽領域の箇所数が予め定められた箇所数の閾値を超え、かつ、遮蔽領域の合計が予め定められた面積の閾値を超える場合の例である。例えば、立体像全体に対する遮蔽領域の割合が10%以上である遮蔽領域の箇所数が2以上であって、かつ遮蔽領域の合計が立体像全体の40%以上の場合である。(b)は、遮蔽領域の合計が予め定められた面積の閾値を超える場合の例である。例えば、立体像全体に対する遮蔽領域の割合が50%以上の場合である。(c)は、立体像の最外周における遮蔽領域が予め定められた閾値を超える場合の例である。例えば、立体像全体の最外周における遮蔽領域の割合が40%以上の場合である。
【0024】
また、制御部106は、視差量を変化させると判定すると、立体像の視差量を減少させる。立体像の両眼視野闘争は、一般に視差量が大きいほど大きくなるため、視差量を減少させることで、両眼視野闘争を軽減することができるからである。視差量をより減少させると、立体像の表示位置が、表示部103の表示面により近付くことになる。ここで、視差量を減少させるとは、視差量をゼロにして、表示部103の表示面に表示画像を一様に二次元表示させることを含む。あるいは、制御部106は、検出部102によって遮蔽物を検出して視差量を減少させた後に、検出部102が遮蔽物を検出しなくなった場合、再び視差量を増加させるように変化させることができる。
【0025】
また、制御部106は、検出部102によって検出された遮蔽物の特徴量に応じて、立体像の視差量を変化させる。例えば、制御部106は、表示部103により表示される立体像を、検出部102が検出した遮蔽物の奥行き方向における位置よりも、表示部103の表示面側に表示されるように制御する。例えば、図9に示すように、表示装置100に対面するユーザ(a)の目線位置に対して、奥行き方向における立体像の遮蔽物である手の位置(b2)よりもユーザ側の位置(b1)に立体像を表示させていた場合、手の位置(b2)よりも、表示部103の表示面側の位置(b3)に立体像が表示されるように制御する。上述のように、立体像の両眼視野闘争は、一般に視差量が大きいほど大きくなるため、立体像が少なくとも遮蔽物よりも表示面側に表示されるように視差量を減少させることで、両眼視野闘争を軽減することができるからである。
【0026】
ここで、制御部106は、検出部102が遮蔽物を検出すると、表示画像に含まれる立体像の全ての視差量を減少させることもできるし、立体像の領域のうち、遮蔽物に遮蔽される部分の外周を含む一部の領域における視差量を変化させることもできる。例えば、制御部106は遮蔽物によって遮蔽されたオブジェクトのみの視差量を減少させることにより、両眼視野闘争を軽減させることができる。例えば、表示部103が図10に示すような表示画像を表示させている場合を考える。(a)に示す例では、表示画像に含まれるアイコンのオブジェクトのみの立体像を表示させている。この場合、ユーザの手(遮蔽物)がa1に示すオブジェクトを押下するような位置に検出されれば、a1に示すオブジェクトの領域のみの視差量を減少させることで、両眼視野闘争を軽減することができる。同様に、(b)に示す例では、表示画像に含まれる操作ボタンのオブジェクトのみの立体像を表示させている。この場合、ユーザの手(遮蔽物)がb1に示すオブジェクトを押下するような位置に検出されれば、b1に示すオブジェクトの領域のみの視差量を減少させることで、両眼視野闘争を軽減することができる。ただし、表示画像における全ての立体像の視差量を減少させることもできる。例えば、複数の人物や背景等のオブジェクトが含まれる映画等を表示している場合、特定のオブジェクト(例えば、人物)だけの視差量を減少させると違和感がある場合は、表示画像における全ての立体像の視差量を同様に減少させることができる。
【0027】
また、制御部106は、空間周波数検出部105によって検出された、立体像の領域のうち、遮蔽物に遮蔽される立体像の外周を含む領域の画像の空間周波数に基づいて、視差量を変化させることができる。例えば、空間周波数が高い場合には、両眼視野闘争が大きいと考えられるため、立体像の視差量を減少させる。
さらに、制御部106は、検出部102が検出した動体の動きに応じて、表示装置100に対する操作を判定することもできる。すなわち、制御部106は、ユーザの動作による操作ジェスチャーの入力に応じて、表示画像等の変更を行うようにすることができる。この場合、制御部106は、入力された操作ジェスチャーに応じた表示画像の制御を行う。
【0028】
次に、図面を参照して、本実施形態による表示装置100の動作例を説明する。図11は、表示装置100が視差の調整を行う動作例を示すフローチャートである。
制御部106は、表示画像記憶部104に記憶されている表示画像を読み出して視差画像を生成し、表示部103に表示させる。撮影部101は、表示部103による表示方向を撮影して撮影画像を生成する。検出部102は、撮影部101によって生成された撮影画像から遮蔽物を検出すると、遮蔽物の特徴量を算出する(ステップS1)。また、検出部102は、ユーザの目線位置を検出する(ステップS2)。制御部106は、ステップS1において検出された遮蔽物の特徴量と、ステップS2において検出されたユーザの目線位置とに基づいて、ユーザの視認方向における立体像の遮蔽領域を判定する(ステップS3)。制御部106は、遮蔽領域の面積等に基づいて、立体像の視差量を変化させるか否かを判定する(ステップS4)。制御部106は、立体像の視差量を変化させると判定すると(ステップS4:YES)、視差量を変化させた視差画像を生成し、表示部103に表示させる(ステップS5)。一方、制御部106は、立体像の視差量を変化させないと判定すると(ステップS4:NO)、視差量を変化させない。
【0029】
以上説明したように、本実施形態の表示装置100によれば、表示装置100が立体像を表示する表示方向に遮蔽物が存在し、ユーザが視認すれば左右の眼に異なる部分が遮蔽された画像が表示されて両眼視野闘争が起きるような場合に、立体像の視差量を減らし、またはゼロにすることができる。これにより、ユーザが表示装置100により表示される立体像を見ている際に遮蔽物により立体像が遮蔽された場合にも、両眼視野闘争による違和感やストレスを生じることなく、快適に立体像を視聴することができる。特に、表示装置100が、表示する立体像に応じた操作ジェスチャーによる入力を受け付ける場合、操作を行うためにユーザの手が立体像を遮蔽することがあると考えられるため、有効である。
【0030】
なお、本実施形態では、撮影部101が撮影した撮影画像に基づいて、検出部102がユーザの三次元位置を算出する例を示したが、例えば検出部102として距離画像センサを適用し、遮蔽物やユーザの顔の位置等を検出するようにしてもよい。あるいは、例えば眼鏡式の三次元表示を行う場合、表示装置100が眼鏡と通信を行い、眼鏡の位置に基づいて目線位置を判定することもできる。
また、本実施形態における表示装置100である三次元ディスプレイには、例えばデジタルフォトフレーム、デジタルサイネージ、家庭用テレビ等が適用できる。あるいは、三次元表示可能なスマートフォンを適用してもよい。この場合、例えばタッチパネルにより触れられている部分を遮蔽領域として判定することができる。
【0031】
なお、本発明における処理部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより表示制御を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0032】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0033】
100…表示装置、102…検出部、103…表示部、105…空間周波数検出部、106…制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11