特許第5879963号(P5879963)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱レイヨン株式会社の特許一覧

特許5879963熱硬化性樹脂組成物、その硬化物からなる光学部材
<>
  • 特許5879963-熱硬化性樹脂組成物、その硬化物からなる光学部材 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5879963
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月8日
(54)【発明の名称】熱硬化性樹脂組成物、その硬化物からなる光学部材
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/44 20060101AFI20160223BHJP
   C08F 290/04 20060101ALI20160223BHJP
   C08F 265/06 20060101ALI20160223BHJP
   G02B 1/04 20060101ALI20160223BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20160223BHJP
   H01L 33/56 20100101ALI20160223BHJP
   H01L 33/58 20100101ALI20160223BHJP
【FI】
   C08F2/44 C
   C08F290/04
   C08F265/06
   G02B1/04
   G02B3/00 Z
   H01L33/00 424
   H01L33/00 430
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2011-256413(P2011-256413)
(22)【出願日】2011年11月24日
(65)【公開番号】特開2012-126896(P2012-126896A)
(43)【公開日】2012年7月5日
【審査請求日】2014年10月30日
(31)【優先権主張番号】特願2010-262569(P2010-262569)
(32)【優先日】2010年11月25日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱レイヨン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
(72)【発明者】
【氏名】松村 一成
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 嘉一
【審査官】 井津 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−203480(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/108273(WO,A1)
【文献】 特開2010−006966(JP,A)
【文献】 特開平11−056999(JP,A)
【文献】 特開平03−114019(JP,A)
【文献】 特開昭61−138613(JP,A)
【文献】 特開2010−189471(JP,A)
【文献】 特開2010−062376(JP,A)
【文献】 特開平01−200305(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 2/00−2/60
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)(メタ)アクリル系重合体、(B)ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレートおよびフェノキシエチル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種の芳香環を有する(メタ)アクリレート、(C)ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、および(D)熱重合開始剤を含有する熱硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
前記(A)(メタ)アクリル系重合体の重量平均分子量が1,000〜500,000である請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
前記(A)(メタ)アクリル系重合体、前記(B)芳香環を有する(メタ)アクリレートおよび前記(C)ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの各成分の配合量が、これらの成分の合計の配合量を100質量%とした場合、15〜45質量%、35〜80質量%および5〜35質量%である請求項1又は2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物の硬化物からなる光学部材。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物の硬化物からなる発光ダイオード用封止材。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物の硬化物からなる発光ダイオード用レンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱硬化性樹脂組成物、その硬化物からなる光学部材、発光ダイオード用封止材および発光ダイオード用レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオードデバイスは、ほこり、衝撃等からの発光ダイオード素子の保護、光取り出し効率の向上等を目的として、発光ダイオード素子を封止材によって封止した構造をとる。また、発光ダイオード素子から放射される光の導光や集光、拡散を目的として、レンズが多用されている。封止材、レンズといった光学部材には高い透明性が求められ、例えばエポキシ樹脂やシリコーン樹脂の成型品が採用されている。このような成型品の製造には、常温で液状の硬化性樹脂組成物を所定の形状とした後、加熱することで硬化物とする方法が主に採用されている。
【0003】
ポリメチルメタクリレートを代表とする(メタ)アクリル樹脂は、透明性に優れるため、フラットパネルディスプレイ部材やレンズ、光導波路などに使用されており、発光ダイオードデバイス用の封止材やレンズへの適用も期待される。
(メタ)アクリル樹脂では、(メタ)アクリル系重合体を(メタ)アクリル系重合性モノマーに溶解した硬化性樹脂組成物を用いることで、粘度の上昇や、硬化時の収縮を抑制し、成形性を向上する手法がとられる。例えば、特許文献1には、透明性に優れた(メタ)アクリル系樹脂の原料である光硬化性の樹脂組成物として、メチルメタクリレート60重量%以上及び他の(メタ)アクリレート0〜40重量%からなる(メタ)アクリル系重合体、並びにフェニルメタクリレート、スチレン及び/又はベンジルメタクリレートを70重量%以上含有する芳香族ビニル系モノマーを含み、さらに光重合開始剤を含む樹脂組成物及びこの組成物に光を照射して得られる透明樹脂が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平1−138215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されるような、(メタ)アクリル系重合体に芳香族ビニル系モノマーを加えた樹脂組成物は、成型性が良好で、しかも光硬化させて得られる硬化物は高い透明性を有する。しかし、本発明者らの検討によれば、このような樹脂組成物に含まれる光重合開始剤に代えて熱重合開始剤を配合し、熱硬化させた場合は、硬化物が白濁し、透明性が低くなってしまう。そのため、上述した封止材やレンズのような、加熱硬化により成型される光学材料への適用は困難である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、得られる硬化物の透明性が高い熱硬化性樹脂組成物、およびその硬化物からなる光学部材、発光ダイオード用封止材、発光ダイオード用レンズを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本発明は以下の態様を有する。
[1](A)(メタ)アクリル系重合体、(B)ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレートおよびフェノキシエチル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種の芳香環を有する(メタ)アクリレート、(C)ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、および(D)熱重合開始剤を含有する熱硬化性樹脂組成物。
[2]前記(A)(メタ)アクリル系重合体の重量平均分子量が1,000〜500,000である[1]に記載の熱硬化性樹脂組成物。
[3]前記(A)(メタ)アクリル系重合体、前記(B)芳香環を有する(メタ)アクリレート及び前記(C)ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの各成分の配合量が、これらの成分の合計の配合量を100質量%とした場合、15〜45質量%、35〜80質量%及び5〜35質量%である[1]又は[2]に記載の熱硬化性樹脂組成物。
][1]〜[3]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物の硬化物からなる光学部材。
][1]〜[3]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物の硬化物からなる発光ダイオード用封止材。
][1]〜[3]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物の硬化物からなる発光ダイオード用レンズ。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、得られる硬化物の透明性が高い熱硬化性樹脂組成物、およびその硬化物からなる光学部材、発光ダイオード用封止材、発光ダイオード用レンズを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】発光ダイオード用封止材およびレンズを備えた発光ダイオードデバイスの一実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<熱硬化性樹脂組成物>
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、(A)(メタ)アクリル系重合体(以下、(A)成分という。)、(B)芳香環を有する(メタ)アクリレート(以下、(B)成分という。)、(C)ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(以下、(C)成分という。)、および(D)熱重合開始剤(以下、(D)成分という。)を含有する。
ここで、本明細書および特許請求の範囲において、「(メタ)アクリル」とは、アクリルとメタクリルの総称である。「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートとメタクリレートの総称である。後述する「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基とメタクリロイル基の総称であり、一般式CH=C(R)−C(=O)−[Rは水素原子またはメチル基を示す。]で表される。
【0010】
〔(A)成分〕
(A)成分は、(メタ)アクリル系重合体であり、本発明の熱硬化性樹脂組成物の成型性の向上に寄与する成分である。すなわち、本発明の熱硬化性樹脂組成物においては、(A)成分が(B)〜(C)成分に溶解して液状となっている。(A)成分を含有することで、熱硬化性樹脂組成物の粘度が上昇し、また、硬化時の収縮率が抑制される。このような粘度上昇はディスペンサや鋳型からの液漏れを減らし、収縮率抑制は形状を安定させるので、成型性が向上する。
「(メタ)アクリル系重合体」は、組成中に(メタ)アクリル系モノマー単位を50質量%以上含む重合体である。
(メタ)アクリル系モノマーとは、(メタ)アクリロイル基を有するモノマーを意味する。「単位」は重合体を構成する繰り返し単位を意味する。
(メタ)アクリル系モノマーは、単官能モノマーであっても多官能モノマーであってもよい。ここで、単官能モノマーは、(メタ)アクリロイル基等の重合性基を1つ有するモノマーを意味し、多官能モノマーは、重合性基を2つ以上有するモノマーを意味する。
(A)成分に用いられる(メタ)アクリル系モノマーとしては、特に、(メタ)アクリロイル基を1つ有する単官能モノマーが好ましい。
(メタ)アクリル系モノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、2−ジシクロペンテノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロイロキシエチルアシッドホスフェート等が挙げられる。
(A)成分に含まれる(メタ)アクリル系モノマー単位は、1種でも2種以上でもよい。
(A)成分中、(メタ)アクリル系モノマー単位の割合は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。該割合の上限は特に限定されず、100質量%であってもよい。
(A)成分は、(メタ)アクリル系モノマー単位以外の他のモノマー単位を含んでいてもよい。該他のモノマーとしては、(メタ)アクリル系モノマーと共重合可能なものであればよく、たとえばスチレン等のビニル系モノマーが挙げられる。
(A)成分の好ましい具体例としては、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、メチルメタクリレート単位とメチルアクリレート単位とからなる共重合体、メチルメタクリレート単位とn−ブチルメタクリレート単位とからなる共重合体、メチルメタクリレート単位とn−ブチルアクリレート単位とからなる共重合体等が挙げられる。これらの中でも、硬化物の透明性の点から、メチルメタクリレート単位を50質量%以上含むものが好ましい。
(A)成分の重量平均分子量は、1,000〜500,000であることが好ましく、10,000〜200,000であることがより好ましい。重量平均分子量が1,000以上であると、熱硬化性樹脂組成物の粘度が充分に高くなる。500,000以下であると、(B)成分、(C)成分への溶解性が良好となる。また、硬化物の透明性が良好となる。
(A)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物における(A)成分の配合量は、(A)〜(C)成分の合計の配合量を100質量%とした場合、15質量%〜45質量%が好ましく、20質量%〜40質量%がより好ましく、25質量%〜35質量%がさらに好ましい。15質量%以上とすることで、熱硬化性樹脂組成物の粘度が充分に高くなる。また、硬化収縮率も抑制される。45質量%以下とすることで、硬化物の透明性をより良好なものとできる。
【0011】
〔(B)成分〕
(B)成分は、芳香環を有する(メタ)アクリレートであり、本発明の熱硬化性樹脂組成物の作業性向上と、硬化時の収縮率抑制、硬化物の透明性の向上に寄与する成分である。
(B)成分が有する芳香環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、ビフェニル環、フルオレン環等が挙げられ、ベンゼン環が特に好ましい。
(B)成分は、単官能モノマーであっても多官能モノマーであってもよい。特に、(メタ)アクリロイル基を1つ有する単官能モノマーまたは(メタ)アクリロイル基を2つ有する多官能モノマーが好ましい。
(B)成分の具体例としては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、エトキシ化オルト−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールA−ジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、硬化物の透明性の点から、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートがより好ましく、ベンジル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
(B)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物における(B)成分の配合量は、(A)〜(C)成分の合計の配合量を100質量%とした場合、35質量%〜80質量%が好ましく、40質量%〜75質量%がより好ましく、50質量%〜70質量%がさらに好ましい。35質量%以上とすることで、硬化物の透明性が良好となる。80質量%以下とすることで、(A)成分の配合量を充分に確保でき、熱硬化性樹脂組成物の粘度が充分に高くなる。
【0012】
〔(C)成分〕
(C)成分は、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートであり、硬化物の透明性の向上に寄与する成分である。
(C)成分としては、たとえば、下記一般式(c1)で表される化合物が挙げられる。
CH=C(R)−CO−O−R …(c1)
式(c1)中、Rは水素原子またはメチル基であり、Rは置換基を有していてもよいヒドロキシアルキル基である。ヒドロキシアルキル基の炭素数は1〜6が好ましい。ヒドロキシアルキル基における水酸基の数は1つまたは2つであり、1つが特に好ましい。ヒドロキシアルキル基は、置換基を有していてもよい。ヒドロキシアルキル基が置換基を有するとは、ヒドロキシアルキル基の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていることをいい、該置換基としては、たとえば、(メタ)アクリロイルオキシ基等が挙げられる。
(C)成分は、単官能モノマーであっても多官能モノマーであってもよい。特に、(メタ)アクリロイル基を1つ有する単官能モノマー、または(メタ)アクリロイル基を2つ有する多官能モノマーが好ましい。これらのうち単官能モノマーとしては、たとえば下記一般式(c2)で表される化合物が挙げられ、多官能モノマーとしては、たとえば下記一般式(c3)で表される化合物が挙げられる。
CH=C(R)−CO−O−R(OH)…(c2)
CH=C(R)−CO−O−R(OH)−O−CO−C(R)=CH…(c3)
式(c2)中、Rは水素原子またはメチル基であり、Rは(m+1)価の飽和炭化水素基であり、mは1または2である。式(c3)中、Rはそれぞれ独立に水素原子またはメチル基であり、Rは(n+2)価の飽和炭化水素基であり、nは1または2である。R、Rの炭素数はそれぞれ1〜6が好ましい。m、nはそれぞれ1が好ましい。
(C)成分の具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、硬化物の透明性の点から、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートがより好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
(C)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物における(C)成分の配合量は、(A)〜(C)成分の合計の配合量を100質量%とした場合、5質量%〜35質量%が好ましく、10質量%〜30質量%がより好ましく、13質量%〜27質量%がさらに好ましい。5質量%〜35質量%とすることで、硬化物の透明性が向上する。また、透明性の長期安定性も良好となる。
【0013】
〔(D)成分〕
(D)成分は熱重合開始剤である。(D)成分を含むことで、本発明の熱硬化性樹脂組成物を加熱した際、重合反応が生じて硬化物となる。
(D)成分としては、(メタ)アクリル系モノマー等の熱重合に用いられている公知の熱重合開始剤が利用でき、たとえば有機過酸化物、アゾ化合物等が挙げられる。
有機過酸化物の具体例としては、メチルエチルケトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等のパーオキシケタール、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等のパーオキシエステル等が挙げられる。
アゾ化合物の具体例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、4,4’−アゾビス−4−シアノバレリック酸、2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライド等が挙げられる。
上記の中でも、得られる硬化物に気泡が生じにくい点から、有機過酸化物を用いることが好ましく、硬化物の透明性が良好となることから、ジラウロイルパーオキサイド、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートが特に好ましい。
(D)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物における(D)成分の配合量は、(A)〜(C)成分の合計の配合量を100質量部とした場合、0.05〜3.0質量部が好ましく、0.1〜2.5質量部がより好ましく、0.3〜2.0質量部がさらに好ましい。0.05〜3.0質量部とすることで、透明で強度等の良好な硬化物を得ることができる。
【0014】
〔その他の成分〕
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、(A)〜(D)成分以外の他の成分を含んでもよい。該他の成分の含有量は、特に限定されないが、(A)〜(D)成分の合計100質量部に対して、20質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましい。
該他の成分としては、たとえば、(B)成分および(C)成分以外の他の(メタ)アクリル系モノマー等が挙げられる。
該他の(メタ)アクリル系モノマーは、単官能モノマーであっても多官能モノマーであってもよい。
単官能モノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、2−ジシクロペンテノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロイロキシエチルアシッドホスフェート等が挙げられる。
多官能モノマーの具体例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性トリス((メタ)アクロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
また、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、種々の特性を向上するために、例えば、酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、消泡剤、重合禁止剤、充填剤、蛍光体等の各種添加剤を添加してもよい。たとえば発光ダイオード用レンズ用途において、該レンズが光の拡散を目的としたものである場合、充填剤として、炭酸カルシウム、架橋アクリル樹脂粉体等の拡散剤が配合されることがある。
【0015】
本発明の熱硬化性樹脂組成物の製造方法は特に限定されないが、たとえば、(A)〜(C)成分を攪拌混合し、その混合物に対して(D)成分を常温で加え、攪拌混合することで、製造することが好ましい。(A)〜(C)成分の攪拌混合は、40〜100℃の加熱下で、0.5〜5時間かけて行うことが好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物の粘度は、23℃においてB型粘度計を用いた測定値が、50〜15,000mPa・sであることが好ましく、100〜13,000mPa・sであることがより好ましく、300〜10,000mPa・sであることがさらに好ましい。50mPa・s以上とすることでディスペンサや鋳型からの樹脂組成物の液漏れが抑制でき、成形性が良好となる。15,000mPa・s以下とすることで、糸引きが抑制され、作業性が良好となる。
【0016】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、上述したように、加熱することにより硬化物とすることができる。加熱する前に熱硬化性樹脂組成物を所定の形状としておくことで、所望の形状の硬化物が得られる。熱硬化性樹脂組成物を所定の形状とする方法としては、ポッティング方式、キャスティング方式、プリンティング方式、トランスファーモールド方式、LIM(Liquid Injection Molding)成形方式等が挙げられる。
加熱による硬化条件は、特に限定はされないが、加熱温度が該熱硬化性樹脂組成物に含まれるモノマー((B)成分、(C)成分、およびその他の任意の(メタ)アクリル系モノマー)の沸点より、充分に低い温度であることが、気泡を含まない硬化物を得るために有効である。そのため、硬化温度(加熱温度)としては50℃〜150℃が好ましく、60〜130℃がより好ましい。好ましい硬化時間(加熱時間)は、成形法によって異なる。例えば、ポッティング方式、キャスティング方式、プリンティング方式では、0.5〜5時間が好ましく、1〜3時間がより好ましい。トランスファーモールド方式、LIM成形方式など、予め加熱された金型を用いる場合は、5〜600秒が好ましい。
硬化後、さらに、アフターキュアーを行うことが好ましい。これにより、硬化物中に残存する未反応の(メタ)アクリル系モノマーの量、未反応の重合開始剤の量を減少させることができ、硬化物の耐熱性、耐光性、耐リフロー性が良好となる。アフターキュアー条件としては、90℃〜180℃で0.5〜3時間の加熱が好ましく、100℃〜160℃で1〜2時間の加熱がより好ましい。
【0017】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、加熱硬化させて得られる硬化物の透明性が高く、また、適度な粘度の高さを有し、硬化収縮率が低いため、成型性も良好である。
したがって、本発明の熱硬化性樹脂組成物を加熱硬化させて得られる硬化物は、透明性が要求される光学部材として有用であり、特に、各色の発光ダイオード用の封止材またはレンズとして有用である。
【0018】
<光学部材>
本発明の光学部材は、本発明の熱硬化性樹脂組成物を硬化した硬化物からなる。
光学部材の例としては、発光ダイオードデバイスや有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)デバイス、フラットパネルディスプレイ、タッチパネル、電子ペーパー、フォトダイオード、フォトトランジスタ、太陽電池などに使用されるフィルムやシート、レンズ、被覆塗料、光導波路、封止材、充填材、接着剤、粘着剤、反射材などが挙げられる。
本発明の光学部材は、特に、高い透明性や加熱硬化による成型性が要求される、発光ダイオード用封止材や発光ダイオード用レンズとして有用である。
【0019】
<発光ダイオード用封止材>
本発明の発光ダイオード用封止材は、本発明の熱硬化性樹脂組成物を硬化した硬化物からなる。
発光ダイオード用封止材は、発光ダイオード素子をほこり、衝撃等から保護すること、および光取り出し効率の上昇に用いる部材である。
図1に、本発明の発光ダイオード用封止材を備えた発光ダイオードデバイスの一実施形態の断面図を示す。
図1に示す発光ダイオードデバイス100は、発光ダイオード素子6と、表面に電極(アノード)5aおよび電極(カソード)5bが形成されたパッケージ基板7と、パッケージ基板7上に設けられたリフレクター4a,4bと、を備える。発光ダイオード素子6は、パッケージ基板7およびリフレクター4a,4bにより形成された凹部の底部にダイボンド材8を介して配置されるとともに、ボンディングワイヤ3a,3bにより電極(アノード)5aおよび電極(カソード)5bに接続されてパッケージを形成している。
このパッケージの凹部内に発光ダイオード用封止材1が充填され、発光ダイオード素子6が封止されている。また、発光ダイオード用封止材1およびリフレクター4a,4bの上面に、発光ダイオード用レンズ2が設置されている。
このような発光ダイオードデバイス100において、発光ダイオード用封止材1は、本発明の熱硬化性樹脂組成物を、パッケージ基板7およびリフレクター4a,4bにより形成された凹部にポッティングし、加熱硬化させることにより成型できる。
【0020】
<発光ダイオード用レンズ>
本発明の発光ダイオード用レンズは、本発明の熱硬化性樹脂組成物を硬化した硬化物からなる。
発光ダイオード用レンズは、発光ダイオードから放射される光の導光や集光、拡散のために用いる部材である。導光や集光を目的とする場合、発光ダイオード用レンズとしては、透明な硬化物を用いることが好ましく、拡散を目的とする場合、透明な硬化物に拡散剤を分散したものを用いることが好ましい。
本発明の発光ダイオード用レンズを備えた発光ダイオードデバイスとしては、たとえば前記発光ダイオード用封止材の説明で図1を用いて説明した発光ダイオードデバイス100と同様のものが挙げられる。このような発光ダイオードデバイス100において、発光ダイオード用レンズ2は、本発明の硬化性樹脂組成物を発光ダイオード用封止材1上で硬化し、成型することで、発光ダイオード用封止材1と接着しても良いし、予め成型したものを接着剤、粘着剤などで発光ダイオード用封止材1上に固定しても良い。予め成型したものを固定する場合、発光ダイオード用封止材1との間に空壁を設けて固定しても良い。
【実施例】
【0021】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。以下の記載中、「部」は「質量部」を意味する。
〔合成例1〕
撹拌機、冷却管、温度計を備えた重合装置中に、脱イオン水145部、分散安定剤としてポリビニルアルコール(ケン化度:80%、重合度:1,700)0.5部を加えて撹拌した。ポリビニルアルコールが完全に溶解した後、撹拌を停止し、メチルメタクリレート100部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2部、n−ドデシルメルカプタン1部、硫酸ナトリウム0.3部を加えて再度撹拌した。撹拌下で窒素置換を行い、70℃に昇温して重合を行った。重合発熱のピークを検出後、98℃に昇温して、さらに0.5時間反応を行い、40℃に冷却した。得られた水性懸濁液を目開き45μmのナイロン製濾過布で濾過し、濾過物を脱イオン水で洗浄した。脱水後、40℃で16時間乾燥して、粒状の(メタ)アクリル系重合体(以下、ポリマー1と記す。)を得た。
得られたポリマー1の重量平均分子量(Mw)は40,000であった。重量平均分子量は、ポリマー1を溶剤(テトラヒドロフラン)に溶解し、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィを用いて測定した分子量をポリスチレン換算して求めた。
【0022】
〔合成例2〕
撹拌機、冷却管、温度計を備えた重合装置中に、脱イオン水145部、ポリビニルアルコール(ケン化度:80%、重合度:1,700)0.5部を加えて撹拌した。ポリビニルアルコールが完全に溶解した後、撹拌を停止し、メチルメタクリレート84.25部、エチルアクリレート13部、メタクリル酸2.75部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1部、n−オクチルメルカプタン0.6部、硫酸ナトリウム0.75部を加えて再度撹拌した。撹拌下で窒素置換を行い、80℃に昇温して重合を行った。重合発熱のピークを検出後、98℃に昇温して、さらに0.5時間反応を行い、40℃に冷却した。得られた水性懸濁液を目開き45μmのナイロン製濾過布で濾過し、濾過物を脱イオン水で洗浄した。脱水後、40℃で16時間乾燥して、粒状の(メタ)アクリル系重合体(以下、ポリマー2と記す。)を得た。
得られたポリマー2の重量平均分子量(Mw)は65,000であった。重量平均分子量は、ポリマー2を溶剤(テトラヒドロフラン)に溶解し、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィを用いて測定した分子量をポリスチレン換算して求めた。
【0023】
〔合成例3〕
撹拌機、冷却管、温度計を備えた重合装置中に、脱イオン水145部、ポリビニルアルコール(ケン化度:80%、重合度:1,700)0.5部を加えて撹拌した。ポリビニルアルコールを完全に溶解した後、撹拌を停止し、メチルメタクリレート92.5部、n−ブチルアクリレート7.5部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1部、n−オクチルメルカプタン0.25部、硫酸ナトリウム0.5部を加えて再度撹拌した。撹拌下で窒素置換を行い、80℃に昇温して重合を行った。重合発熱のピークを検出後、98℃に昇温して、さらに0.5時間反応を行い、40℃に冷却した。得られた水性懸濁液を目開き45μmのナイロン製濾過布で濾過し、濾過物を脱イオン水で洗浄した。脱水後、40℃で16時間乾燥して、粒状の(メタ)アクリル系重合体(以下、ポリマー3と記す。)を得た。
得られたポリマー3の重量平均分子量(Mw)は70,000であった。重量平均分子量は、ポリマー3を溶剤(テトラヒドロフラン)に溶解し、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィを用いて測定した分子量をポリスチレン換算して求めた。
【0024】
〔実施例1〕
冷却器を備えた反応容器にベンジルメタクリレート60部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート15部を入れ、撹拌しながらポリマー1(ポリメチルメタクリレート、Mw=40,000)25部を少量ずつ加えた。全て加えた後、反応溶液を60℃に昇温し、温度を維持したまま2時間撹拌した。2時間後、ポリマー1が完全に溶解したことを確認した後、冷却し、シラップ状組成物を得た。
得られたシラップ状組成物100部に、(D)成分としてジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(日油株式会社製、商品名:パーロイルTCP)1部を溶解して熱硬化性樹脂組成物を得た。
上記熱硬化性樹脂組成物を脱泡したものを、PETフィルムで被覆したガラス2枚と塩化ビニル樹脂製の枠とで作製したセルに流し込み、密閉した。
その後、70℃で2時間加熱して硬化を行い、さらに、120℃で1時間のアフターキュアーを行った。その後、セル両面のガラスおよびPETフィルムを剥がし取り、厚さ3mmの樹脂硬化物を得た。
得られた樹脂硬化物について以下のような物性評価を行った。結果を表1に示す。
【0025】
(全光線透過率の測定および透明性の評価)
樹脂硬化物の全光線透過率(%)をJIS−K7105に準じて測定した。測定には、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所製、HM−150型)を用いた。
測定された全光線透過率から、以下の基準で透明性を評価した。
[透明性の評価基準]
◎:全光線透過率が92.0%以上。
○:全光線透過率が90.0%以上、92.0%未満。
△:全光線透過率が80.0%以上、90.0%未満。
×:全光線透過率が80.0%未満。
【0026】
〔実施例2〜27〕
熱硬化性樹脂組成物の組成を表1、表2のように変更した以外は実施例1と同様にして、熱硬化性樹脂組成物を調製し、厚さ3mmの樹脂硬化物を作製し、各評価を行った。評価結果を表1、表2に示す。
【0027】
〔比較例1〕
熱硬化性樹脂組成物の組成を表3のように変更した以外は実施例1と同様にして、熱硬化性樹脂組成物を調製し、厚さ3mmの樹脂硬化物を作製し、各評価を行った。評価結果を表3に示す。
【0028】
表1〜2に示すとおり、実施例1〜27はいずれも樹脂硬化物の全光線透過率が80%以上であり透明性が高かった。
一方、(C)成分を含有しない比較例1は、表3に示すとおり、樹脂硬化物の全光線透過率が50.8%であり透明性が低かった。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】
表1〜3中の略語は下記の通りである。
ポリマー1:合成例1で得たポリマー1(ポリメチルメタクリレート、Mw=40,000)。
ポリマー2:合成例2で得たポリマー2(メチルメタクリレート/エチルアクリレート/メタクリル酸=84.25/13/2.75(モノマー質量比)の共重合体、Mw=65,000)。
ポリマー3:合成例3で得たポリマー3(メチルメタクリレート/n−ブチルアクリレート=92.5/7.5(モノマー質量比)の共重合体、Mw=70,000)。
ポリマー4:ポリメチルメタクリレート(数平均分子量Mn=6,000、東亞合成株式会社製、商品名:マクロモノマーAA−6)。
BzMA:ベンジルメタクリレート。
PhMA:フェニルメタクリレート。
PhOEtMA:フェノキシエチルメタクリレート。
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート。
HPMA:2−ヒドロキシプロピルメタクリレート。
TCP:ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(日油株式会社製、商品名:パーロイルTCP)。
PBO:t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日油株式会社製、商品名:パーブチルO)。
POO:1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日油株式会社製、商品名:パーオクタO)。
EDMA:エチレングリコールジメタクリレート。
M−327:ε−カプロラクトン変性トリス(アクロキシエチル)イソシアヌレート(東亞合成株式会社製、商品名:アロニックスM−327)。
【符号の説明】
【0033】
1…発光ダイオード用封止材、2…発光ダイオード用レンズ、3a…ボンディングワイヤ、3b…ボンディングワイヤ、4a…リフレクター、4b…リフレクター、5a…電極、5b…電極、6…発光ダイオード素子、7…パッケージ基板、8…ダイボンド材、100…発光ダイオードデバイス
図1