【実施例】
【0044】
以下、本実施形態に係る光学装置の各実施例について、図面に基づいて説明する。以下
に表1〜表3を示すが、これらは第1実施例〜第3実施例における各レンズの諸元の表である。
【0045】
表中の[全体諸元]において、fは光学系のd線における焦点距離(mm)を、φは入射瞳直径(mm)を、FNoはFナンバーを示す。
【0046】
表中の[レンズデータ]において、面番号は光線の進行する方向に沿った物体側からの光学面の順序を、Rは各光学面の曲率半径を、dは各光学面から次の光学面(又は像面)までの光軸上の距離である面間隔を、ndはレンズに用いる硝材のd線(波長587.562nm)に対する屈折率を、νdはレンズに用いる硝材のd線を基準とするアッベ数を示す。表中、空気の屈折率(d線)「1.000000」の記載は省略する。
【0047】
表中の焦点距離f、曲率半径R、面間隔d、その他の長さの単位は「mm」である。但し、光学系は、比例拡大又は比例縮小しても同等の光学性能が得られるので、単位は「mm」に限定されることなく、他の適当な単位を用いることが可能である。
【0048】
(第1実施例)
第1実施例に係る光学装置について、
図9〜
図11および表1を用いて説明する。第1実施例に係る光学装置100では、透過光学系OPS1を、結像光学系として機能させる場合に、入射光束が全てのレンズ要素を透過するように構成し(請求項1の第1の光学系に相当)、アフォーカル光学系として機能させる場合に、入射光束が表1の面番号18で示すレンズ面および面番号14で示すレンズ面(請求項1の第1および第2反射面に相当)の合計2回反射してから射出するように構成している(請求項1の第2の光学系に相当)。
【0049】
第1実施例に係る光学装置100は、
図9に示すように、光軸に沿って物体側から順に並んだ、11枚のレンズL1〜L11からなる透過光学系OPS1と、撮像素子S1とから構成される。
【0050】
撮像素子S1は、レンズL1〜L11からなる透過光学系OPS1の結像位置に撮像面が位置するように設けられている。また、光路上から挿脱可能に設けられている。
【0051】
以下の表1に、本実施例に係るレンズデータを示す。表1における面番号1〜22は、
図9に示す曲率半径R1〜R22の各光学面に対応している。
【0052】
本実施例では、明るさを調整するための絞り(図示略)を、表1の[レンズデータ]の面番号13の位置に設けている。
【0053】
(表1)
[全体諸元]
f=50
φ=10
Fno=5
[レンズデータ]
面番号 R d nd νd
1 157.333 6.0 1.717000 47.98
2 -111.795 18.0
3 22.697 6.0 2.000690 25.46
4 344.012 2.0
5 -43.839 6.0 1.755200 27.57
6 6.817 8.1
7 -10.852 3.9 1.720000 43.61
8 -9.078 6.0
9 19.486 2.0 1.638540 55.34
10 -19.122 0.1
11 -25.848 2.0 2.000690 25.46
12 18.358 6.8
13 48.511 6.0 1.640000 60.2
14 -322.708 15.0
15 -290.377 6.0 2.000690 25.46
16 -77.946 20.0
17 77.519 6.0 1.697000 48.45
18 291.524 5.0
19 -15.000 6.0 1.539960 59.52
20 -19.025 3.9
21 36.168 5.0 1.456000 91.36
22 -48.925 29.7
【0054】
第1実施例に係る光学装置100は、入射瞳直径を10mmとし、半画角6.16度の無限遠からの光束が入射するように設計されている。また、本実施例に係る光学装置100は、C線,d線,F線,g線の各波長に対して、収差性能が良好になるように設計されている。すなわち、可視域全般の波長の光に対しては収差性能が良好となっている。
【0055】
上記構成を有する第1実施例に係る光学装置100では、
図10に示すように、無限遠から装置内に入射した光束が、透過光学系OPS1を構成するレンズL1〜L11を順に透過し、レンズL11から29.7mm後方の位置に結像する。すなわち、透過光学系OPS1は、結像光学系として振る舞う。前出の結像位置に撮像面がくるように撮像素子S1を配置すれば、像の撮影が可能となる。つまり、第1実施例に係る光学装置100は、結像光学系としての機能を利用して、カメラやビデオカメラなどとして使用することができる。
【0056】
なお、第1実施例に係る光学装置100では、半画角6.16度で入射した光線が、像高約5.3mmの位置に結像するため、撮像素子S1として、例えば2/3インチのCMOSセンサーを用いることが好ましい。
【0057】
また、第1実施例に係る光学装置100では、
図11に示すように、無限遠から装置内に入射した光束が、レンズL1〜レンズL8を介してレンズL9に入射し、このレンズL9の裏面(表1の面番号18)で一度反射し(紙面左方向へ進み)、レンズL8を介してレンズL7へ進み、このレンズL7の表面(表1の面番号14)で再び反射した後に、(紙面右方向へ進み)レンズL8〜L11を順に透過し、平行光束となって射出する。すなわち、透過光学系OPS1はアフォーカル光学系として振る舞う。透過光学系OPS1から射出された平行光束は収差が良好であるため、第1実施例に係る光学装置100では、(撮像素子S1が光路上にある場合は抜去して)レンズL11から後方(紙面右方向)の29.7mmの位置に観察者の眼E1を合わせれば、無限遠からの入射光束が観察者の眼E1の網膜上に結像し、観察者は無限遠方を目視観察することができる。
【0058】
第1実施例に係る光学装置100では、表1の面番号14および面番号18に、使用目的に応じた透過率・反射率が設定されている偏光膜やハーフミラー等を設ければ、光路ごとの射出光束の光量を調整することが可能である。また、(表1の面番号14および面番
号18以外の)他の光学面には、不必要な光束の反射が起こらないように、反射防止膜を施すことが望ましい。また、
図8(a),(b)に示すような偏光素子を本実施例の光学系内に組み込み、使用目的に応じて、光路ごとに偏光状態や射出光量を変更することも可能である。
【0059】
(第2実施例)
第2実施例に係る光学装置について、
図12〜
図14および表2を用いて説明する。第2実施例に係る光学装置200では、透過光学系OPS2を、結像光学系として機能させる場合に、入射光束が全てのレンズ要素を透過するように構成し(請求項1の第1の光学系に相当)、アフォーカル光学系として機能させる場合に、入射光束が表2の面番号10で示すレンズ面および面番号6で示すレンズ面(請求項1の第1および第2反射面に相当)の合計2回反射してから射出するように構成している(請求項1の第2の光学系に相当)。
【0060】
第2実施例に係る光学装置200は、
図12に示すように、光軸に沿って物体側から順に並んだ、7枚のレンズL1〜L7からなる透過光学系OPS2と、撮像素子S2とから構成される。
【0061】
撮像素子S2は、レンズL1〜L7からなる透過光学系OPS2の結像位置に撮像面が位置するように設けられている。また、光路上から挿脱可能に設けられている。
【0062】
以下の表2に、本実施例に係るレンズデータを示す。表2における面番号1〜14は、
図12に示す曲率半径R1〜R14の各光学面に対応している。
【0063】
本実施例では、明るさを調整するための絞り(図示略)を、表2の[レンズデータ]の面番号1の位置に設けている。この構成により、入射瞳をレンズL1〜L7からなる透過光学系OPS2の前側(紙面左方向)に出して、第2実施例に係る光学装置200を他の光学系と容易に組み合わせて使用することができる。
【0064】
(表2)
[全体諸元]
f=50
φ=10
Fno=5
[レンズデータ]
面番号 R d nd νd
1 54.929 2.7 2.000690 25.46
2 60.708 18.9
3 51.025 4.4 2.000690 25.46
4 -30.715 2.7
5 -21.064 2.6 2.000690 25.46
6 143.353 15.0
7 -26.674 7.0 2.000690 25.46
8 -251.911 5.0
9 -261.555 6.0 2.000690 25.46
10 -62.905 6.0
11 -149.239 8.0 2.000690 25.46
12 -52.730 0.1
13 52.560 6.0 2.000690 25.46
14 234.070 37.9
【0065】
第2実施例に係る光学装置200は、入射瞳直径を10mmとし、半画角10度の無限遠からの光束が入射するように設計されている。また、本実施例に係る光学装置200は、波長632.8nm(He-Neレーザー)に対して、収差性能が良好になるように設計されている。
【0066】
上記構成を有する第2実施例に係る光学装置100では、
図13に示すように、無限遠から装置内に入射した光束が、透過光学系OPS2を構成するレンズL1〜L7を順に透過し、レンズL7から37.9mm後方の位置に結像する。すなわち、透過光学系OPS2は、結像光学系として振る舞う。前出の結像位置に撮像面がくるように撮像素子S2を配置すれば、像の撮影が可能となる。つまり、第2実施例に係る光学装置200は、結像光学系としての機能を利用して、レーザー光学系の光学素子などとして使用することができる。
【0067】
なお、第2実施例に係る光学装置200では、半画角10度で入射した光線が、像高約8.7mmの位置に結像するため、撮像素子S2として、例えばCCDセンサーを用いることが好ましい。
【0068】
また、第2実施例に係る光学装置200では、
図14に示すように、無限遠から装置内に入射した光束が、レンズL1〜レンズL4を介してレンズL5に入射し、このレンズL5の裏面(表2の面番号10)で一度反射し(紙面左方向へ進み)、レンズL4を介してレンズL3へ進み、このレンズL3の表面(表2の面番号6)で再び反射した後に、(紙面右方向へ進み)レンズL4〜L7を順に透過し、平行光束となって射出する。すなわち、透過光学系OPS2はアフォーカル光学系として振る舞う。透過光学系OPS2から射出された平行光束は収差が良好であるため、第2実施例に係る光学装置200では、(撮像素子S2が光路上にある場合は抜去して)レンズL7から後方(紙面右方向)の37.9mmの位置に観察者の眼E2を合わせれば、無限遠からの入射光束が観察者の眼E2の網膜上に結像し、観察者は無限遠方を目視観察することができる。
【0069】
第2実施例に係る光学装置200は、表2の面番号6および面番号10に、使用目的に応じた透過率・反射率が設定されている偏光膜やハーフミラー等を設ければ、光路ごとの射出光束の光量を調整することが可能である。また、(表2の面番号6および面番号10以外の)他の光学面には、不必要な光束の反射が起こらないように、反射防止膜を施すことが望ましい。また、
図8(a),(b)に示すような偏光素子を本実施例の光学系内に組み込み、使用目的に応じて、光路ごとに偏光状態や射出光量を変更することも可能である。
【0070】
(第3実施例)
第3実施例に係る光学装置について、
図15〜
図17および表3を用いて説明する。第3実施例に係る光学装置300では、透過光学系OPS3を、結像光学系として機能させる場合に、入射光束が表3の面番号18で示すレンズ面および面番号14で示すレンズ面(請求項1の第1および第2反射面に相当)の合計2回反射してから射出するように構成し(請求項1の第2の光学系に相当)、アフォーカル光学系として機能させる場合に、入射光束が全てのレンズ要素を透過するように構成している(請求項1の第1の光学系に相当)。
【0071】
第3実施例に係る光学装置300は、
図15に示すように、光軸に沿って物体側から順に並んだ、11枚のレンズL1〜L11からなる透過光学系OPS3と、撮像素子S3とから構成される。
【0072】
撮像素子S3は、レンズL1〜L11からなる透過光学系OPS3の結像位置に撮像面が位置するように設けられている。また、光路上から挿脱可能に設けられている。
【0073】
以下の表3に、本実施例に係るレンズデータを示す。表3における面番号1〜22は、
図15に示す曲率半径R1〜R22の各光学面に対応している。
【0074】
本実施例では、明るさを調整するための絞り(図示略)を、表3の[レンズデータ]の面番号15の位置に設けている。また、本実施例では、光学装置300を結像光学系として機能させる場合に、反射面として利用する表3の面番号18の面を、平面(無限大の曲率)として設計している。この構成により、偏光膜やハーフミラー等の設置を容易にしている。
【0075】
(表3)
[全体諸元]
(結像光学系として使用時)
f=28
φ=4
Fno=7
(アフォーカル光学系として使用時)
f=∞
φ=4.5
[レンズデータ]
面番号 R d nd νd
1 62.088 12.5 1.487703 70.31
2 -105.927 0.3
3 -116.573 5.0 1.795040 28.69
4 126.595 20.0
5 43.914 4.2 1.761820 26.58
6 75.547 20.0
7 27.610 2.0 1.487703 70.31
8 33.037 20.0
9 -86.892 4.2 1.487703 70.31
10 261.829 20.0
11 -69.518 3.0 1.698950 30.13
12 -10.303 0.2
13 -9.394 1.0 1.744000 44.81
14 30.944 5.0
15 12.108 3.0 1.603420 38.03
16 8.539 1.8
17 -31.820 1.0 1.456000 91.36
18 ∞ 0.2
19 13.188 2.0 1.497820 82.57
20 -21.609 0.2
21 11.400 1.2 2.000690 25.46
22 9.899 20.0
【0076】
上記構成の第3実施例に係る光学装置300は、
図16に示す結像光学系として用いる場合、入射瞳直径を4mmとし、半画角5度までの無限遠からの光束が入射するように設計されている。
図17に示すアフォーカル光学系として用いる場合、入射瞳直径を4.5mm
とし、半画角6度までの無限遠からの光束が入射するように設計されている。また、本実施例に係る光学装置300は、C線,d線,F線,g線の各波長に対して、収差性能が良好になるように設計されている。すなわち、可視域全般の波長の光に対しては収差性能が良好となっている。
【0077】
上記構成を有する第3実施例に係る光学装置300では、
図16に示すように、無限遠から装置内に入射した光束が、レンズL1〜レンズL8を介してレンズL9に入射し、このレンズL9の裏面(表3の面番号18)で一度反射し(紙面左方向へ進み)、レンズL8を介してレンズL7へ進み、このレンズL7の表面(表3の面番号14)で再び反射した後に、(紙面右方向へ進み)レンズL8〜L11を順に透過し、レンズL11から20.0mm後方の位置に結像する。すなわち、透過光学系OPS3は、結像光学系として振る舞う。前出の結像位置に撮像面がくるように撮像素子S3を配置すれば、像の撮影が可能となる。つまり、第3実施例に係る光学装置300は、結像光学系としての機能を利用して、カメラやビデオカメラなどとして使用することができる。
【0078】
なお、第3実施例に係る光学装置300では、半画角5度で入射した光線が、像高約2.4mmの位置に結像するため、撮像素子S3として、例えばCMOSセンサーを用いることが好ましい。
【0079】
また、第3実施例に係る光学装置300では、
図17に示すように、無限遠から装置内に入射した光束が、透過光学系OPS3を構成するレンズL1〜L11を順に透過し、平行光束となって射出する。すなわち、透過光学系OPS3はアフォーカル光学系として振る舞う。透過光学系OPS3から射出された平行光束は収差が良好であるため、第3実施例に係る光学装置300では、(撮像素子S3が光路上にある場合には抜去して)レンズL11から後方(紙面右方向)の20.0mmの位置に観察者の眼E3を合わせれば、無限遠からの入射光束が観察者の眼E3の網膜上に結像し、観察者は無限遠方を目視観察することができる。
【0080】
第3実施例に係る光学装置300は、表3の面番号14および面番号18に、使用目的に応じた透過率・反射率が設定されている偏光膜やハーフミラー等を設ければ、光路ごとの射出光束の光量を調整することが可能である。また、(表3の面番号14および面番号18以外の)他の光学面には、不必要な光束の反射が起こらないように、反射防止膜を施すことが望ましい。また、
図8(a),(b)に示すような偏光素子を本実施例の光学系内に組み込み、使用目的に応じて、光路ごとに偏光状態や射出光量を変更することも可能である。
【0081】
以上のような構成である本実施形態に係る光学装置によれば、構成レンズ要素の屈折・反射作用を利用して、同一光学系内に異なる機能を持つ2つの光路(例えば、一方が結像光学系、他方がアフォーカル光学系)を形成することにより、装置の小型化を達成することができる。
【0082】
ここまで、本発明を分かりやすくするために実施形態の構成要件を付して説明したが、本発明がこれに限定されるものではないことは言うまでもない。