(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記の発光層を形成する工程の開始時から封止層を形成する工程の終了時までの間が、ケミカルフィルターを用いた環境下で行われる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の発光素子の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0012】
<共通する用語の説明>
本明細書で共通して用いられる用語は、特記しない限り、以下の意味である。
【0013】
Meはメチル基、Etはエチル基、Buはブチル基、i-Prはイソプロピル基、t-Buはtert-ブチル基を表す。
【0014】
水素原子は、重水素原子であっても、軽水素原子であってもよい。
【0015】
金属錯体を表す式中、中心金属との結合を表す実線は、共有結合または配位結合を意味する。
【0016】
「高分子化合物」とは、分子量分布を有し、ポリスチレン換算の数平均分子量が1×10
3〜1×10
8である重合体を意味する。
【0017】
高分子化合物は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよいし、その他の態様であってもよい。
【0018】
高分子化合物の末端基は、重合活性基がそのまま残っていると、高分子化合物を発光素子の作製に用いた場合に発光特性または輝度寿命が低下する可能性があるので、好ましくは安定な基である。この末端基としては、好ましくは主鎖と共役結合している基であり、例えば、炭素−炭素結合を介してアリール基または1価の複素環基と結合している基が挙げられる。
【0019】
「低分子化合物」とは、分子量分布を有さず、分子量が1×10
4以下の化合物を意味する。
【0020】
「構成単位」とは、高分子化合物中に1個以上存在する単位を意味する。
【0021】
「アルキル基」は、直鎖および分岐のいずれでもよい。直鎖のアルキル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1〜50であり、好ましくは3〜30であり、より好ましくは4〜20である。分岐のアルキル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜50であり、好ましくは3〜30であり、より好ましくは4〜20である。
アルキル基は、置換基を有していてもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、2-エチルブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、3-プロピルヘプチル基、デシル基、3,7-ジメチルオクチル基、2-エチルオクチル基、2-ヘキシルデシル基、ドデシル基、および、これらの基における水素原子が、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基が挙げられ、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、3-フェニルプロピル基、3-(4-メチルフェニル)プロピル基、3-(3,5-ジ-ヘキシルフェニル)プロピル基、6-エチルオキシヘキシル基が挙げられる。
「シクロアルキル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜50であり、好ましくは3〜30であり、より好ましくは4〜20である。
シクロアルキル基は、置換基を有していてもよく、例えば、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基が挙げられる。
【0022】
「アリール基」は、芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた残りの原子団を意味する。アリール基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6〜60であり、好ましくは6〜20であり、より好ましくは6〜10である。
アリール基は、置換基を有していてもよく、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1-アントラセニル基、2-アントラセニル基、9-アントラセニル基、1-ピレニル基、2-ピレニル基、4-ピレニル基、2-フルオレニル基、3-フルオレニル基、4-フルオレニル基、2-フェニルフェニル基、3-フェニルフェニル基、4-フェニルフェニル基、および、これらの基における水素原子が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基が挙げられる。
【0023】
「アルコキシ基」は、直鎖および分岐のいずれでもよい。直鎖のアルコキシ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1〜40であり、好ましくは4〜10である。分岐のアルコキシ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜40であり、好ましくは4〜10である。
アルコキシ基は、置換基を有していてもよく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7-ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基、および、これらの基における水素原子が、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子等で置換された基が挙げられる。
「シクロアルコキシ基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜40であり、好ましくは4〜10である。
シクロアルコキシ基は、置換基を有していてもよく、例えば、シクロヘキシルオキシ基が挙げられる。
【0024】
「アリールオキシ基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6〜60であり、好ましくは7〜48である。
アリールオキシ基は、置換基を有していてもよく、例えば、フェノキシ基、1-ナフチルオキシ基、2-ナフチルオキシ基、1-アントラセニルオキシ基、9-アントラセニルオキシ基、1-ピレニルオキシ基、および、これらの基における水素原子が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、フッ素原子等で置換された基が挙げられる。
【0025】
「p価の複素環基」(pは、1以上の整数を表す。)とは、複素環式化合物から、環を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合している水素原子のうちp個の水素原子を除いた残りの原子団を意味する。p価の複素環基の中でも、芳香族複素環式化合物から、環を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合している水素原子のうちp個の水素原子を除いた残りの原子団である「p価の芳香族複素環基」が好ましい。
「芳香族複素環式化合物」は、オキサジアゾール、チアジアゾール、チアゾール、オキサゾール、チオフェン、ピロール、ホスホール、フラン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、トリアジン、ピリダジン、キノリン、イソキノリン、カルバゾール、ジベンゾホスホール等の複素環自体が芳香族性を示す化合物、および、フェノキサジン、フェノチアジン、ジベンゾボロール、ジベンゾシロール、ベンゾピラン等の複素環自体は芳香族性を示さなくとも、複素環に芳香環が縮環されている化合物を意味する。
【0026】
1価の複素環基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常、2〜60であり、好ましくは4〜20である。
1価の複素環基は、置換基を有していてもよく、例えば、チエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、ピペリジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、および、これらの基における水素原子が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基等で置換された基が挙げられる。
【0027】
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を示す。
【0028】
「アミノ基」は、置換基を有していてもよく、置換アミノ基が好ましい。アミノ基が有する置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基が好ましい。
置換アミノ基としては、例えば、ジアルキルアミノ基、ジシクロアルキルアミノ基およびジアリールアミノ基が挙げられる。
アミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ビス(4-メチルフェニル)アミノ基、ビス(4-tert-ブチルフェニル)アミノ基、ビス(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)アミノ基が挙げられる。
【0029】
「アルケニル基」は、直鎖および分岐のいずれでもよい。直鎖のアルケニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常2〜30であり、好ましくは3〜20である。分岐のアルケニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜30であり、好ましくは4〜20である。
「シクロアルケニル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3〜30であり、好ましくは4〜20である。
アルケニル基およびシクロアルケニル基は、置換基を有していてもよく、例えば、ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、1-ヘキシニル基、5-ヘキシニル基、7-オクテニル基、および、これらの基が置換基を有する基が挙げられる。
【0030】
「アルキニル基」は、直鎖および分岐のいずれでもよい。アルキニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子を含めないで、通常2〜20であり、好ましくは3〜20である。分岐のアルキニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子を含めないで、通常4〜30であり、好ましくは4〜20である。
「シクロアルキニル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子を含めないで、通常4〜30であり、好ましくは4〜20である。
アルキニル基およびシクロアルキニル基は、置換基を有していてもよく、例えば、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、3-ペンチニル基、4-ペンチニル基、1-ヘキシニル基、5-ヘキシニル基、および、これらの基が置換基を有する基が挙げられる。
【0031】
「アリーレン基」は、芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子2個を除いた残りの原子団を意味する。アリーレン基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常、6〜60であり、好ましくは6〜30であり、より好ましくは6〜18である。
アリーレン基は、置換基を有していてもよく、例えば、フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、フェナントレンジイル基、ジヒドロフェナントレンジイル基、ナフタセンジイル基、フルオレンジイル基、ピレンジイル基、ペリレンジイル基、クリセンジイル基、および、これらの基が置換基を有する基が挙げられ、好ましくは、式(A-1)〜式(A-20)で表される基である。アリーレン基は、これらの基が複数結合した基を含む。
【0035】
【化4】
[式中、RおよびR
aは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基を表す。複数存在するRおよびR
aは、各々、同一でも異なっていてもよく、R
a同士は互いに結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよい。]
【0036】
2価の複素環基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常、2〜60であり、好ましくは、3〜20であり、より好ましくは、4〜15である。
2価の複素環基は、置換基を有していてもよく、例えば、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、ジベンゾシロール、フェノキサジン、フェノチアジン、アクリジン、ジヒドロアクリジン、フラン、チオフェン、アゾール、ジアゾール、トリアゾールから、環を構成する炭素原子またはヘテロ原子に直接結合している水素原子のうち2個の水素原子を除いた2価の基が挙げられ、好ましくは、式(AA-1)〜式(AA-34)で表される基である。2価の複素環基は、これらの基が複数結合した基を含む。
【0043】
【化11】
[式中、RおよびR
aは、前記と同じ意味を表す。]
【0044】
「架橋基」とは、加熱処理、紫外線照射処理、ラジカル反応等に供することにより、新たな結合を生成することが可能な基であり、好ましくは、式(B-1)-(B-17)のいずれかで表される基である。これらの基は、置換基を有していてもよい。
【0046】
「置換基」とは、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、置換アミノ基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基またはシクロアルキニル基を表す。置換基は架橋基であってもよい。
【0047】
「デンドロン」とは、原子または環を分岐点とする規則的な樹枝状分岐構造(即ち、デンドリマー構造)を有する基を意味する。デンドロンを有する化合物(以下、「デンドリマー」と言う。)としては、例えば、国際公開第02/067343号、特開2003-231692号公報、国際公開第2003/079736号、国際公開第2006/097717号等の文献に記載の構造が挙げられる。
【0048】
デンドロンとしては、好ましくは、式(D-A)または(D-B)で表される基である。
【0049】
【化13】
[式中、
m
DA1、m
DA2およびm
DA3は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。
G
DAは、窒素原子、芳香族炭化水素基または複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
Ar
DA1、Ar
DA2およびAr
DA3は、それぞれ独立に、アリーレン基または2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。Ar
DA1、Ar
DA2およびAr
DA3が複数ある場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
T
DAは、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数あるT
DAは、同一でも異なっていてもよい。]
【0050】
【化14】
[式中、
m
DA1、m
DA2、m
DA3、m
DA4、m
DA5、m
DA6およびm
DA7は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。
G
DAは、窒素原子、芳香族炭化水素基または複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数あるG
DAは、同一でも異なっていてもよい。
Ar
DA1、Ar
DA2、Ar
DA3、Ar
DA4、Ar
DA5、Ar
DA6およびAr
DA7は、それぞれ独立に、アリーレン基または2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。Ar
DA1、Ar
DA2、Ar
DA3、Ar
DA4、Ar
DA5、Ar
DA6およびAr
DA7が複数ある場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
T
DAは、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数あるT
DAは、同一でも異なっていてもよい。]
【0051】
m
DA1、m
DA2、m
DA3、m
DA4、m
DA5、m
DA6およびm
DA7は、通常10以下の整数であり、好ましくは5以下の整数であり、より好ましくは0または1である。m
DA1、m
DA2、m
DA3、m
DA4、m
DA5、m
DA6およびm
DA7は、同一の整数であることが好ましい。
【0052】
G
DAは、好ましくは式(GDA-11)〜(GDA-15)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0053】
【化15】
[式中、
*は、式(D-A)におけるAr
DA1、式(D-B)におけるAr
DA1、式(D-B)におけるAr
DA2、または、式(D-B)におけるAr
DA3との結合を表す。
**は、式(D-A)におけるAr
DA2、式(D-B)におけるAr
DA2、式(D-B)におけるAr
DA4、または、式(D-B)におけるAr
DA6との結合を表す。
***は、式(D-A)におけるAr
DA3、式(D-B)におけるAr
DA3、式(D-B)におけるAr
DA5、または、式(D-B)におけるAr
DA7との結合を表す。
R
DAは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は更に置換基を有していてもよい。R
DAが複数ある場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
【0054】
R
DAは、好ましくは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基またはシクロアルコキシ基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0055】
Ar
DA1、Ar
DA2、Ar
DA3、Ar
DA4、Ar
DA5、Ar
DA6およびAr
DA7は、好ましくは式(ArDA-1)〜(ArDA-3)で表される基である。
【0056】
【化16】
[式中、
R
DAは前記と同じ意味を表す。
R
DBは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R
DBが複数ある場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
【0057】
R
DBは、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基であり、より好ましくはアリール基または1価の複素環基であり、更に好ましくはアリール基である。
【0058】
T
DAは、好ましくは式(TDA-1)〜(TDA-3)で表される基である。
【0059】
【化17】
[式中、R
DAおよびR
DBは前記と同じ意味を表す。]
【0060】
式(D-A)で表される基は、好ましくは式(D-A1)〜(D-A3)で表される基である。
【0061】
【化18】
[式中、
R
p1、R
p2およびR
p3は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基またはハロゲン原子を表す。R
p1およびR
p2が複数ある場合、それらはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
np1は、0〜5の整数を表し、np2は0〜3の整数を表し、np3は0または1を表す。複数あるnp1は、同一でも異なっていてもよい。]
【0062】
式(D-B)で表される基は、好ましくは式(D-B1)〜(D-B3)で表される基である。
【0063】
【化19】
[式中、
R
p1、R
p2およびR
p3は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基またはハロゲン原子を表す。R
p1およびR
p2が複数ある場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
np1は0〜5の整数を表し、np2は0〜3の整数を表し、np3は0または1を表す。np1およびnp2が複数ある場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。]
【0064】
np1は、好ましくは0または1であり、より好ましくは1である。np2は、好ましくは0または1であり、より好ましくは0である。np3は好ましくは0である。
【0065】
R
p1、R
p2およびR
p3は、好ましくはアルキル基またはシクロアルキル基である。
【0066】
<発光素子の製造方法>
本発明は、
陽極と、
陰極と、
陽極および陰極の間に設けられた発光層と、
封止層とを有する発光素子の製造方法であって、
発光層を、中心金属がイリジウム原子であるイリジウム錯体、または、中心金属がイリジウム原子であるイリジウム錯体から誘導される構成単位を含む高分子化合物を用いて塗布法により形成する工程と、
陽極または陰極を形成する工程と、
封止層を形成する工程とを含み、
発光層を形成する工程の開始時から封止層を形成する工程の終了時までの間における製造中の発光素子がオゾンに曝露される際の、オゾン濃度の平均値:A(ppb)(製造中の発光素子がオゾンに曝露される際のオゾン濃度の平均値)と、時間:B(分)(製造中の発光素子がオゾンに曝露される際の時間)とが、式(1−1)を満たす、発光素子の製造方法である。
0≦A×B≦1000 (1−1)
【0067】
本発明の製造方法により製造される発光素子の発光効率および輝度寿命が優れるので、AとBとは、式(1−2)を満たすことが好ましく、式(1−3)を満たすことがより好ましく、式(1−4)を満たすことが更に好ましい。
0≦A×B≦100 (1−2)
0≦A×B≦50 (1−3)
0≦A×B≦30 (1−4)
【0068】
Aは、式(2−1)を満たすことが好ましく、式(2−2)を満たすことがより好ましく、式(2−3)を満たすことが更に好ましい。
0≦A≦30 (2−1)
0≦A≦3 (2−2)
0≦A≦1 (2−3)
【0069】
Bは、式(3−0)を満たすことが好ましく、式(3−1)を満たすことがより好ましく、式(3−2)を満たすことが更に好ましい。
0≦B≦1000 (3−0)
0≦B≦30 (3−1)
0≦B≦20 (3−2)
【0070】
本発明の発光素子の製造方法において、発光層を形成する工程の開始時から封止層を形成する工程の終了時までの間は、オゾン濃度の平均値:A(ppb)が低い環境下(具体的には、式(2−1)を満たす環境下)で行われることが好ましい。そのため、発光層を形成する工程の開始時から、封止層を形成する工程の終了時までの間は、外気取り入れ口にオゾンフィルターを設置した室内環境下で行われることが好ましい。オゾンフィルターとしては、例えば、ケミカルフィルターが挙げられ、より詳細には、活性炭を用いたケミカルフィルター、触媒を用いたケミカルフィルターが挙げられ、オゾン濃度の平均値:A(ppb)をより低減することができるため、活性炭を用いたケミカルフィルターが好ましい。
【0071】
発光層を形成する工程の開始時から封止層を形成する工程の終了時までの間のオゾン濃度の平均値:A(ppb)の測定は、オゾン濃度測定装置を用いて測定することができる。
【0072】
<発光層>
本発明の発光素子の製造方法において、発光層は、イリジウム錯体またはイリジウム錯体から誘導される構成単位を含む高分子化合物を含有するインクを用いて、塗布法により形成される。塗布法としては、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、キャピラリ−コート法、ノズルコート法が挙げられ、スピンコート法、ノズルコート法またはインクジェット印刷法が好ましい。
【0073】
インクの粘度は、塗布法の種類によって調整すればよいが、インクジェット印刷法等のインクが吐出装置を経由する印刷法に適用する場合には、吐出時の目づまりと飛行曲がりを防止するために、好ましくは25℃において1〜20mPa・sである。
【0074】
インクに含有される溶媒は、該インク中の固形分(イリジウム錯体またはイリジウム錯体から誘導される構成単位を含む高分子化合物)を溶解または均一に分散できる溶媒が好ましい。溶媒としては、例えば、1,2-ジクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール、4-メチルアニソール等のエーテル系溶媒;トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、n-ヘキシルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-へプタン、n-オクタン、n-ノナン、n-デカン、n-ドデカン、ビシクロヘキシル等の脂肪族炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート、安息香酸メチル、酢酸フェニル等のエステル系溶媒;エチレングリコール、グリセリン、1,2-ヘキサンジオール等の多価アルコール系溶媒;イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が挙げられる。溶媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0075】
インクにおいて、溶媒の配合量は、イリジウム錯体またはイリジウム錯体から誘導される構成単位を含む高分子化合物100重量部に対して、通常、1000〜100000重量部であり、好ましくは2000〜20000重量部である。
【0076】
発光層の厚さは、通常、1nm〜10μmである。
【0077】
[イリジウム錯体]
イリジウム錯体の配位子としては、イリジウム原子との間に、配位結合および共有結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合を形成する、中性もしくはアニオン性の単座配位子、または、中性もしくはアニオン性の多座配位子が例示される。イリジウム原子と配位子との間の結合としては、金属−窒素結合、金属−炭素結合、金属−酸素結合、金属−リン結合、金属−硫黄結合および金属−ハロゲン結合が例示される。多座配位子とは、通常、2座以上6座以下の配位子を意味する。
【0078】
イリジウム錯体は、Aldrich、Luminescence Technology Corp.、American Dye Source等から入手可能である。
また、上記以外の入手方法として、「Journal of the American Chemical Society,Vol.107,1431−1432(1985)」、「Journal of the American Chemical Society,Vol.106,6647−6653(1984)」、国際公開第2011/024761号、国際公開第2002/44189号、特開2006−188673号公報等の文献に記載の公知の方法により製造することも可能である。
【0079】
イリジウム錯体は、式(4)で表されるイリジウム錯体であることが好ましい。
【0080】
【化20】
[式中、
n
1は1以上の整数を表し、n
2は0以上の整数を表し、n
1+n
2は3である。
E
1およびE
2は、それぞれ独立に、炭素原子または窒素原子を表す。但し、E
1およびE
2の少なくとも一方は炭素原子である。
環R
1は、5員環または6員環の芳香族複素環を表し、これらの環は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。環R
1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。但し、環R
1が6員環の芳香族複素環である場合、E
1は炭素原子である。
環R
2は、5員環もしくは6員環の芳香族炭化水素環、または、5員環もしくは6員環の芳香族複素環を表し、これらの環は置換基を有していてもよい。該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。環R
2が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。但し、環R
2が6員環の芳香族複素環である場合、E
2は炭素原子である。
A
1−G
1−A
2は、アニオン性の2座配位子を表す。A
1およびA
2は、それぞれ独立に、炭素原子、酸素原子または窒素原子を表し、これらの原子は環を構成する原子であってもよい。G
1は、単結合、または、A
1およびA
2とともに2座配位子を構成する原子団を表す。A
1−G
1−A
2が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
【0081】
n
1は2または3であることが好ましく、3であることがより好ましい。
【0082】
E
1およびE
2は、炭素原子であることが好ましい。
【0083】
環R
1は、ピリジン環、ピリミジン環、イミダゾール環またはトリアゾール環であることが好ましく、これらの環は置換基を有していてもよい。
【0084】
環R
2は、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、フェナントレン環、ピリジン環、ジアザベンゼン環またはトリアジン環であることが好ましく、ベンゼン環、ピリジン環またはピリミジン環であることがより好ましく、これらの環は置換基を有していてもよい。
【0085】
環R
1および環R
2からなる群から選ばれる少なくとも1つの環は、アリール基、1価の複素環基または置換アミノ基を置換基として有することが好ましく、アリール基または1価の複素環基を置換基として有することがより好ましく、アリール基を置換基として有することが更に好ましい。アリール基、1価の複素環基および置換アミノ基は、デンドロンであることが好ましい。
【0086】
環R
1および環R
2からなる群から選ばれる少なくとも1つの環が、アリール基、1価の複素環基または置換アミノ基を置換基として有する場合であって、環R
1および環R
2が複数存在する場合、複数存在する環R
1の全て、複数存在する環R
2の全て、または、複数存在する環R
1および環R
2の全てが、アリール基、1価の複素環基または置換アミノ基を置換基として有することが好ましく、複数存在する環R
2の全てが、アリール基、1価の複素環基または置換アミノ基を置換基として有することがより好ましい。
【0087】
A
1−G
1−A
2で表されるアニオン性の2座配位子としては、例えば、下記で表される配位子が挙げられる。
【0089】
【化22】
[式中、*は、イリジウム原子と結合する部位を示す。]
【0090】
式(4)で表されるイリジウム錯体は、式(4−A1)で表されるイリジウム錯体、式(4−A2)で表されるイリジウム錯体、式(4−A3)で表されるイリジウム錯体、式(4−A4)で表されるイリジウム錯体、式(4−B1)で表されるイリジウム錯体、式(4−B2)で表されるイリジウム錯体または式(4−B3)で表されるイリジウム錯体であることが好ましく、式(4−A1)で表されるイリジウム錯体、式(4−A3)で表されるイリジウム錯体、式(4−B1)で表される金属錯体、式(4−B2)で表される金属錯体または式(4−B3)で表される金属錯体であることがより好ましく、式(4−A1)で表されるイリジウム錯体、式(4−A3)で表されるイリジウム錯体、式(4−B1)で表される金属錯体であることが更に好ましく、式(4−B1)で表される金属錯体であることが特に好ましい。
【0091】
【化23】
[式中、
n
1、n
2およびA
1−G
1−A
2は、前記と同じ意味を表す。
R
11A、R
12A、R
13A、R
21A、R
22A、R
23AおよびR
24Aは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、置換アミノ基またはハロゲン原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R
11A、R
12A、R
13A、R
21A、R
22A、R
23AおよびR
24Aが複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。R
11AとR
12A、R
12AとR
13A、R
11AとR
21A、R
21AとR
22A、R
22AとR
23A、および、R
23AとR
24Aは、それぞれ結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。]
【0092】
式(4−A1)中、R
11Aは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基または置換アミノ基であることが好ましく、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基であることがより好ましく、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であることが更に好ましい。アリール基、1価の複素環基および置換アミノ基は、デンドロンであることが好ましい。
式(4−A1)中、R
13Aは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基であることが好ましく、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であることがより好ましく、水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基であることが更に好ましい。
【0093】
式(4−A2)中、R
12Aは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基または置換アミノ基であることが好ましく、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基であることがより好ましく、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であることが更に好ましい。アリール基、1価の複素環基および置換アミノ基は、デンドロンであることが好ましい。
式(4−A2)中、R
13Aは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基であることが好ましく、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であることがより好ましく、水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基であることが更に好ましい。
【0094】
式(4−A3)中、R
11Aは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基または置換アミノ基であることが好ましく、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基であることがより好ましく、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であることが更に好ましい。アリール基、1価の複素環基および置換アミノ基は、デンドロンであることが好ましい。
式(4−A3)中、R
12AおよびR
13Aは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基であることが好ましく、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であることがより好ましく、水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基であることが更に好ましい。
【0095】
式(4−A4)中、R
12Aは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基または置換アミノ基であることが好ましく、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基であることがより好ましく、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であることが更に好ましい。アリール基、1価の複素環基および置換アミノ基は、デンドロンであることが好ましい。
式(4−A4)中、R
11AおよびR
13Aは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基であることが好ましく、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であることがより好ましく、水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基であることが更に好ましい。
【0096】
R
21A、R
22A、R
23AおよびR
24Aは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基または置換アミノ基であることが好ましく、水素原子、アリール基、1価の複素環基または置換アミノ基であることがより好ましく、水素原子、アリール基または1価の複素環基であることが更に好ましく、水素原子またはアリール基であることが特に好ましい。アリール基、1価の複素環基および置換アミノ基は、デンドロンであることが好ましい。
【0097】
R
21A、R
22A、R
23AおよびR
24Aからなる群から選ばれる少なくとも1つが、アリール基、1価の複素環基または置換アミノ基である場合、R
22AまたはR
23Aが、アリール基、1価の複素環基または置換アミノ基であることが好ましく、R
22Aが、アリール基、1価の複素環基または置換アミノ基であることがより好ましい。
【0098】
【化24】
[式中、
n
1、n
2およびA
1−G
1−A
2は、前記と同じ意味を表す。
n
11は1以上の整数を表し、n
12は1以上の整数を表し、n
11+n
12は3である。
R
11B、R
12B、R
13B、R
14B、R
15B、R
16B、R
17B、R
18B、R
21B、R
22B、R
23BおよびR
24Bは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基またはハロゲン原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R
11B、R
12B、R
13B、R
14B、R
15B、R
16B、R
17B、R
18B、R
21B、R
22B、R
23BおよびR
24Bが複数存在する場合、それらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。R
11BとR
12B、R
12BとR
13B、R
13BとR
14B、R
13BとR
15B、R
15BとR
16B、R
16BとR
17B、R
17BとR
18B、R
11BとR
21B、R
18BとR
21B、R
21BとR
22B、R
22BとR
23B、および、R
23BとR
24Bは、それぞれ結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。]
【0099】
R
11B、R
12B、R
13B、R
14B、R
15B、R
16B、R
17BおよびR
18Bは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基または置換アミノ基であることが好ましく、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基であることが好ましい。アリール基、1価の複素環基および置換アミノ基は、デンドロンであることが好ましい。
【0100】
R
11B、R
12B、R
13B、R
14B、R
15B、R
16B、R
17BおよびR
18Bからなる群から選ばれる少なくとも1つが、アリール基、1価の複素環基または置換アミノ基である場合、R
11B、R
12BまたはR
13Bが、アリール基、1価の複素環基または置換アミノ基であることが好ましく、R
11BまたはR
13Bが、アリール基、1価の複素環基または置換アミノ基であることがより好ましく、R
13Bが、アリール基、1価の複素環基または置換アミノ基であることが更に好ましい。
【0101】
R
21B、R
22B、R
23BおよびR
24Bは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基または置換アミノ基であることが好ましく、水素原子、アリール基、1価の複素環基または置換アミノ基であることがより好ましく、水素原子、アリール基または1価の複素環基であることが更に好ましく、水素原子またはアリール基であることが特に好ましい。アリール基、1価の複素環基および置換アミノ基は、デンドロンであることが好ましい。
【0102】
R
21B、R
22B、R
23BおよびR
24Bからなる群から選ばれる少なくとも1つが、アリール基、1価の複素環基または置換アミノ基である場合、R
22BまたはR
23Bが、アリール基、1価の複素環基または置換アミノ基であることが好ましく、R
22Bが、アリール基、1価の複素環基または置換アミノ基であることがより好ましい。
【0103】
式(4)で表されるイリジウム錯体としては、例えば、下記で表されるイリジウム錯体が挙げられる。
【0110】
イリジウム錯体は、例えば、特表2004−530254号公報、特開2008−179617号公報、特開2011−105701号公報、特表2007−504272号公報、特開2013−147449号公報、特開2013−147450号公報に記載されている方法に従って合成することができる。
【0111】
本発明の発光素子の製造方法において、発光層の形成には、イリジウム錯体を1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。発光スペクトルの最大ピーク波長が異なる2種以上のイリジウム錯体を併用することで、発光色を調整することが可能であり、白色発光の発光素子を製造することも可能である。
【0112】
イリジウム錯体から誘導される構成単位を含む高分子化合物とは、イリジウム錯体から水素原子を1個以上取り除いた基を有する構成単位を含む高分子化合物であり、式(4)で表されるイリジウム錯体から水素原子を1個以上取り除いた基を有する構成単位を含む高分子化合物であることが好ましい。
【0113】
イリジウム錯体から誘導される構成単位としては、例えば、イリジウム錯体から水素原子を1個取り除いた基、イリジウム錯体から水素原子を1個取り除いた基を置換基として有するアリーレン基または2価の複素環基、イリジウム錯体から水素原子を2個取り除いた基、および、イリジウム錯体から水素原子を3個取り除いた基が挙げられる。
イリジウム錯体から誘導される構成単位が、イリジウム錯体から水素原子を1個取り除いた基である場合、イリジウム錯体から誘導される構成単位を含む高分子化合物は、この構成単位を末端の構成単位として含む。また、イリジウム錯体から誘導される構成単位が、イリジウム錯体から水素原子を3個取り除いた基である場合、イリジウム錯体から誘導される構成単位を含む高分子化合物は、この構成単位の位置で分岐している。
【0114】
イリジウム錯体から誘導される構成単位を含む高分子化合物は、後述する式(Y)で表される構成単位および式(X)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含むことが好ましく、式(Y)で表される構成単位を含むことがより好ましい。
【0115】
本発明の発光素子の製造方法において、発光層の形成には、イリジウム錯体から誘導される構成単位を含む高分子化合物を1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。発光スペクトルの最大ピーク波長が異なる2種以上のイリジウム錯体から誘導される構成単位を併用することで(1種単独の高分子化合物であっても、2種以上の高分子化合物の併用であってもよい)、発光色を調整することが可能であり、白色発光の発光素子を製造することも可能である。
【0116】
[ホスト材料]
本発明の製造方法により製造される発光素子の発光効率がより優れるため、発光層は、イリジウム錯体またはイリジウム錯体から誘導される構成単位を含む高分子化合物と、正孔注入性、正孔輸送性、電子注入性および電子輸送性からなる群から選ばれる少なくとも1つの機能を有するホスト材料とを含有するインクを用いて、塗布法により形成されることが好ましい。イリジウム錯体またはイリジウム錯体から誘導される構成単位を含む高分子化合物と、ホスト材料とを含有するインクにおいて、ホスト材料は、1種単独で含有されていても、2種以上含有されていてもよい。
【0117】
イリジウム錯体またはイリジウム錯体から誘導される構成単位を含む高分子化合物と、ホスト材料とを含有するインクにおいて、イリジウム錯体またはイリジウム錯体から誘導される構成単位を含む高分子化合物の含有量は、イリジウム錯体またはイリジウム錯体から誘導される構成単位を含む高分子化合物と、ホスト材料との合計を100重量部とした場合、通常、0.1〜80重量部であり、好ましくは0.5〜70重量部であり、より好ましくは1〜50重量部である。
【0118】
ホスト材料の有する最低励起三重項状態(T
1)は、本発明の製造方法より製造される発光素子の発光効率がより優れるため、イリジウム錯体またはイリジウム錯体から誘導される構成単位を含む高分子化合物の有するT
1と同等のエネルギー準位、または、より高いエネルギー準位であることが好ましい。
【0119】
ホスト材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。
【0120】
ホスト材料に用いられる低分子化合物としては、カルバゾール構造を有する化合物、トリアリールアミン構造を有する化合物、フェナントロリン構造を有する化合物、トリアリールトリアジン構造を有する化合物、アゾール構造を有する化合物、ベンゾチオフェン構造を有する化合物、ベンゾフラン構造を有する化合物;フルオレン構造を有する化合物、スピロフルオレン構造を有する化合物等が挙げられる。
【0121】
ホスト材料に用いられる低分子化合物は、好ましくは、式(H−1)で表される化合物である。
【0122】
【化31】
[式中、
Ar
H1およびAr
H2は、それぞれ独立に、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
n
H1およびn
H2は、それぞれ独立に、0または1を表す。n
H1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。複数存在するn
H2は、同一でも異なっていてもよい。
n
H3は、0以上の整数を表す。
L
H1は、アリーレン基、2価の複素環基、または、−[C(R
H11)
2]n
H11−で表される基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。L
H1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
n
H11は、1以上10以下の整数を表す。R
H11は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するR
H11は、同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。
L
H2は、−N(−L
H21−R
H21)−で表される基を表す。L
H2が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
L
H21は、単結合、アリーレン基または2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R
H21は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
【0123】
Ar
H1およびAr
H2は、フェニル基、フルオレニル基、スピロビフルオレニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、チエニル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、フリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ピロリル基、インドリル基、アザインドリル基、カルバゾリル基、アザカルバゾリル基、ジアザカルバゾリル基、フェノキサジニル基またはフェノチアジニル基であることが好ましく、フェニル基、スピロビフルオレニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、ジベンゾチエニル基、ジベンゾフリル基、カルバゾリル基またはアザカルバゾリル基であることがより好ましく、フェニル基、ピリジル基、カルバゾリル基またはアザカルバゾリル基であることが更に好ましく、上記式(TDA−1)または(TDA−3)で表される基であることが特に好ましく、上記式(TDA−3)で表される基であることがとりわけ好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0124】
Ar
H1およびAr
H2が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基が好ましく、アルキル基、シクロアルコキシ基、アルコキシ基またはシクロアルコキシ基がより好ましく、アルキル基またはシクロアルコキシ基が更に好ましく、これらの基は更に置換基を有していてもよい。
【0125】
n
H1は、好ましくは1である。n
H2は、好ましくは0である。
【0126】
n
H3は、通常、0以上10以下の整数であり、好ましくは0以上5以下の整数であり、更に好ましくは1以上3以下の整数であり、特に好ましくは1である。
【0127】
n
H11は、好ましくは1以上5以下の整数であり、より好ましく1以上3以下の整数であり、更に好ましく1である。
【0128】
R
H11は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基であることが好ましく、水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基であることがより好ましく、水素原子またはアルキル基であることが更に好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0129】
L
H1は、アリーレン基または2価の複素環基であることが好ましい。
【0130】
L
H1は、式(A−1)〜(A−3)、式(A−8)〜(A−10)、式(AA−1)〜(AA−6)、式(AA−10)〜(AA−21)または式(AA−24)〜(AA−34)で表される基であることが好ましく、式(A−1)、式(A−2)、式(A−8)、式(A−9)、式(AA−1)〜(AA−4)、式(AA−10)〜(AA−15)または式(AA−29)〜(AA−34)で表される基であることがより好ましく、式(A−1)、式(A−2)、式(A−8)、式(A−9)、式(AA−2)、式(AA−4)、式(AA−10)〜(AA−15)で表される基であることが更に好ましく、式(A−1)、式(A−2)、式(A−8)、式(AA−2)、式(AA−4)、式(AA−10)、式(AA−12)または式(AA−14)で表される基であることが特に好ましく、式(A−1)、式(A−2)、式(AA−2)、式(AA−4)または式(AA−14)で表される基であることがとりわけ好ましい。
【0131】
L
H1が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基が好ましく、アルキル基、アルコキシ基、アリール基または1価の複素環基がより好ましく、アルキル基、アリール基または1価の複素環基が更に好ましく、これらの基は更に置換基を有していてもよい。
【0132】
L
H21は、単結合またはアリーレン基であることが好ましく、単結合であることがより好ましく、このアリーレン基は置換基を有していてもよい。
【0133】
L
H21で表されるアリーレン基または2価の複素環基の定義および例は、L
H1で表されるアリーレン基または2価の複素環基の定義および例と同様である。
【0134】
R
H21は、アリール基または1価の複素環基であることが好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0135】
R
H21で表されるアリール基および1価の複素環基の定義および例は、Ar
H1およびAr
H2で表されるアリール基および1価の複素環基の定義および例と同様である。
【0136】
R
H21が有していてもよい置換基の定義および例は、Ar
H1およびAr
H2が有していてもよい置換基の定義および例と同様である。
【0137】
式(H−1)で表される化合物は、式(H−2)で表される化合物であることが好ましい。
【0138】
【化32】
[式中、Ar
H1、Ar
H2、n
H3およびL
H1は、前記と同じ意味を表す。]
【0139】
式(H−1)で表される化合物としては、下記式(H−101)〜(H−118)で表される化合物が例示される。
【0144】
ホスト材料に用いられる高分子化合物としては、例えば、後述の正孔輸送材料である高分子化合物、後述の電子輸送材料である高分子化合物が挙げられる。
【0145】
[高分子ホスト]
ホスト化合物として好ましい高分子化合物(以下、「高分子ホスト」と言う。)に関して説明する。
【0146】
高分子ホストは、好ましくは、式(Y)で表される構成単位を含む高分子化合物である。
【0147】
【化37】
[式中、Ar
Y1は、アリーレン基、2価の複素環基、または、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
【0148】
Ar
Y1で表されるアリーレン基は、より好ましくは、式(A-1)、式(A-2)、式(A-6)-(A-10)、式(A-19)または式(A-20)で表される基であり、更に好ましくは、式(A-1)、式(A-2)、式(A-7)、式(A-9)または式(A-19)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0149】
Ar
Y1で表される2価の複素環基は、より好ましくは、式(AA-1)-(AA-4)、式(AA-10)-(AA-15)、式(AA-18)-(AA-21)、式(AA-33)または式(AA-34)で表される基であり、更に好ましくは、式(AA-4)、式(AA-10)、式(AA-12)、式(AA-14)または式(AA-33)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0150】
Ar
Y1で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基における、アリーレン基および2価の複素環基のより好ましい範囲、更に好ましい範囲は、それぞれ、前述のAr
Y1で表されるアリーレン基および2価の複素環基のより好ましい範囲、更に好ましい範囲と同様である。
【0151】
「少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基」としては、例えば、下記式で表される基が挙げられ、これらは置換基を有していてもよい。
【0152】
【化38】
[式中、R
XXは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
【0153】
R
XXは、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0154】
Ar
Y1で表される基が有してもよい置換基は、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、これらの基は更に置換基を有していてもよい。
【0155】
式(Y)で表される構成単位としては、例えば、式(Y-1)-(Y-10)で表される構成単位が挙げられ、本発明の製造方法により製造される発光素子の輝度寿命の観点からは、好ましくは式(Y-1)-(Y-3)で表される構成単位であり、本発明の製造方法により製造される発光素子の電子輸送性の観点からは、好ましくは式(Y-4)-(Y-7)で表される構成単位であり、本発明の製造方法により製造される発光素子の正孔輸送性の観点からは、好ましくは式(Y-8)-(Y-10)で表される構成単位である。
【0156】
【化39】
[式中、R
Y1は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するR
Y1は、同一でも異なっていてもよく、隣接するR
Y1同士は互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。]
【0157】
R
Y1は、好ましくは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0158】
式(Y-1)で表される構成単位は、式(Y-1')で表される構成単位であってもよい。
【0159】
【化40】
[式中、R
Y11は、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するR
Y11は、同一でも異なっていてもよい。]
【0160】
R
Y11は、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、より好ましくは、アルキル基またはシクロアルキル基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0161】
【化41】
[式中、
R
Y1は前記と同じ意味を表す。
X
Y1は、−C(R
Y2)
2−、−C(R
Y2)=C(R
Y2)−または−C(R
Y2)
2−C(R
Y2)
2−で表される基を表す。R
Y2は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するR
Y2は、同一でも異なっていてもよく、R
Y2同士は互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。]
【0162】
R
Y2は、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0163】
X
Y1において、−C(R
Y2)
2−で表される基中の2個のR
Y2の組み合わせは、好ましくは両方がアルキル基もしくはシクロアルキル基、両方がアリール基、両方が1価の複素環基、または、一方がアルキル基もしくはシクロアルキル基で他方がアリール基若しくは1価の複素環基であり、より好ましくは一方がアルキル基もしくはシクロアルキル基で他方がアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。2個存在するR
Y2は互いに結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよく、R
Y2が環を形成する場合、−C(R
Y2)
2−で表される基としては、好ましくは式(Y-A1)-(Y-A5)で表される基であり、より好ましくは式(Y-A4)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0165】
X
Y1において、−C(R
Y2)=C(R
Y2)−で表される基中の2個のR
Y2の組み合わせは、好ましくは両方がアルキル基もしくはシクロアルキル基、または、一方がアルキル基もしくはシクロアルキル基で他方がアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0166】
X
Y1において、−C(R
Y2)
2−C(R
Y2)
2−で表される基中の4個のR
Y2は、好ましくは置換基を有していてもよいアルキル基またはシクロアルキル基である。複数あるR
Y2は互いに結合して、それぞれが結合する原子と共に環を形成していてもよく、R
Y2が環を形成する場合、−C(R
Y2)
2−C(R
Y2)
2−で表される基は、好ましくは式(Y-B1)-(Y-B5)で表される基であり、より好ましくは式(Y-B3)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0167】
【化43】
[式中、R
Y2は前記と同じ意味を表す。]
【0168】
式(Y-2)で表される構成単位は、式(Y-2')で表される構成単位であってもよい。
【0169】
【化44】
[式中、R
Y1およびX
Y1は前記と同じ意味を表す。]
【0170】
【化45】
[式中、R
Y1およびX
Y1は前記と同じ意味を表す。]
【0171】
式(Y-3)で表される構成単位は、式(Y-3')で表される構成単位であってもよい。
【0172】
【化46】
[式中、R
Y11およびX
Y1は前記と同じ意味を表す。]
【0174】
【化48】
[式中、R
Y1は前記と同じ意味を表す。R
Y3は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
【0175】
R
Y3は、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基であり、より好ましくはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0176】
式(Y-4)で表される構成単位は、式(Y-4')で表される構成単位であってもよく、式(Y-6)で表される構成単位は、式(Y-6')で表される構成単位であってもよい。
【0177】
【化49】
[式中、R
Y1およびR
Y3は前記と同じ意味を表す。]
【0178】
【化50】
[式中、R
Y1は前記を同じ意味を表す。R
Y4は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
【0179】
R
Y4は、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基または1価の複素環基であり、より好ましくはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0180】
式(Y)で表される構成単位としては、例えば、式(Y-101)-(Y-121)で表されるアリーレン基からなる構成単位、式(Y-201)-(Y-206)で表される2価の複素環基からなる構成単位、式(Y-301)-(Y-304)で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基からなる構成単位が挙げられる。
【0190】
式(Y)で表される構成単位であって、Ar
Y1がアリーレン基である構成単位は、本発明の製造方法により製造される発光素子の輝度寿命が優れるので、高分子化合物に含まれる構成単位の合計量に対して、好ましくは0.5〜80モル%であり、より好ましくは30〜60モル%である。
【0191】
式(Y)で表される構成単位であって、Ar
Y1が2価の複素環基、または、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基である構成単位は、本発明の製造方法により製造される発光素子の電荷輸送性が優れるので、高分子化合物に含まれる構成単位の合計量に対して、好ましくは0.5〜30モル%であり、より好ましくは3〜20モル%である。
【0192】
式(Y)で表される構成単位は、高分子ホスト中に、1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
【0193】
高分子ホストは、正孔輸送性が優れるので、更に、下記式(X)で表される構成単位を含むことが好ましい。
【0194】
【化60】
[式中、
a
X1およびa
X2は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。
Ar
X1およびAr
X3は、それぞれ独立に、アリーレン基または2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
Ar
X2およびAr
X4は、それぞれ独立に、アリーレン基、2価の複素環基、または、少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
R
X1、R
X2およびR
X3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
【0195】
a
X1は、本発明の製造方法により製造される発光素子の輝度寿命が優れるので、好ましくは2以下であり、より好ましくは1である。
【0196】
a
X2は、本発明の製造方法により製造される発光素子の輝度寿命が優れるので、好ましくは2以下であり、より好ましくは0である。
【0197】
R
X1、R
X2およびR
X3は、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基または1価の複素環基であり、より好ましくはアリール基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0198】
Ar
X1およびAr
X3で表されるアリーレン基は、より好ましくは式(A-1)または式(A-9)で表される基であり、更に好ましくは式(A-1)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0199】
Ar
X1およびAr
X3で表される2価の複素環基は、より好ましくは式(AA-1)、式(AA-2)または式(AA-7)-(AA-26)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0200】
Ar
X1およびAr
X3は、好ましくは置換基を有していてもよいアリーレン基である。
【0201】
Ar
X2およびAr
X4で表されるアリーレン基としては、より好ましくは式(A-1)、式(A-6)、式(A-7)、式(A-9)-(A-11)または式(A-19)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0202】
Ar
X2およびAr
X4で表される2価の複素環基のより好ましい範囲は、Ar
X1およびAr
X3で表される2価の複素環基のより好ましい範囲と同じである。
【0203】
Ar
X2およびAr
X4で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基における、アリーレン基および2価の複素環基のより好ましい範囲、更に好ましい範囲は、それぞれ、Ar
X1およびAr
X3で表されるアリーレン基および2価の複素環基のより好ましい範囲、更に好ましい範囲と同様である。
【0204】
Ar
X2およびAr
X4で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基としては、式(Y)のAr
Y1で表される少なくとも1種のアリーレン基と少なくとも1種の2価の複素環基とが直接結合した2価の基と同様のものが挙げられる。
【0205】
Ar
X2およびAr
X4は、好ましくは置換基を有していてもよいアリーレン基である。
【0206】
Ar
X1〜Ar
X4およびR
X1〜R
X3で表される基が有してもよい置換基としては、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、これらの基は更に置換基を有していてもよい。
【0207】
式(X)で表される構成単位は、好ましくは式(X-1)-(X-7)で表される構成単位であり、より好ましくは式(X-1)-(X-6)で表される構成単位であり、更に好ましくは式(X-3)-(X-6)で表される構成単位である。
【0211】
【化64】
[式中、R
X4およびR
X5は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、1価の複素環基またはシアノ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するR
X4は、同一でも異なっていてもよい。複数存在するR
X5は、同一でも異なっていてもよく、隣接するR
X5同士は互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。]
【0212】
式(X)で表される構成単位は、正孔輸送性が優れるので、高分子ホストに含まれる構成単位の合計量に対して、好ましくは0.1〜50モル%であり、より好ましくは1〜40モル%であり、更に好ましくは5〜30モル%である。
【0213】
式(X)で表される構成単位としては、例えば、式(X1-1)-(X1-11)で表される構成単位が挙げられ、好ましくは式(X1-3)-(X1-10)で表される構成単位である。
【0219】
高分子ホストにおいて、式(X)で表される構成単位は、1種のみ含まれていても、2種以上含まれていてもよい。
【0220】
高分子ホストとしては、例えば、表1の高分子化合物(P-1)〜(P-6)が挙げられる。
【0221】
【表1】
[表中、p、q、r、sおよびtは、各構成単位のモル比率を示す。p+q+r+s+t=100であり、かつ、100≧p+q+r+s≧70である。その他の構成単位とは、式(Y)で表される構成単位、式(X)で表される構成単位以外の構成単位を意味する。]
【0222】
高分子ホストは、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよいし、その他の態様であってもよいが、複数種の原料モノマーを共重合してなる共重合体であることが好ましい。
【0223】
[高分子ホストの製造方法]
高分子ホストは、ケミカルレビュー(Chem. Rev.),第109巻,897-1091頁(2009年)等に記載の公知の重合方法を用いて製造することができ、Suzuki反応、Yamamoto反応、Buchwald反応、Stille反応、Negishi反応およびKumada反応等の遷移金属触媒を用いるカップリング反応により重合させる方法が例示される。
【0224】
前記重合方法において、単量体を仕込む方法としては、単量体全量を反応系に一括して仕込む方法、単量体の一部を仕込んで反応させた後、残りの単量体を一括、連続または分割して仕込む方法、単量体を連続または分割して仕込む方法等が挙げられる。
【0225】
遷移金属触媒としては、パラジウム触媒、ニッケル触媒等が挙げられる。
【0226】
重合反応の後処理は、公知の方法、例えば、分液により水溶性不純物を除去する方法、メタノール等の低級アルコールに重合反応後の反応液を加えて、析出させた沈殿を濾過した後、乾燥させる方法等を単独または組み合わせて行う。高分子ホストの純度が低い場合、例えば、再結晶、再沈殿、ソックスレー抽出器による連続抽出、カラムクロマトグラフィー等の通常の方法にて精製することができる。
【0227】
<発光素子の層構成>
本発明の製造方法により製造される発光素子は、陽極、陰極、発光層および封止層以外の層(以下、「その他の層」ともいう。)を有していてもよい。その他の層としては、例えば、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層および電子注入層が挙げられる。
発光層は、上述した発光層の材料(イリジウム錯体またはイリジウム錯体から誘導される構成単位を含む高分子化合物、ホスト材料)を含有するインクを用いて、塗布法により形成されるが、該インクにはその他の材料(例えば、イリジウム錯体以外の発光材料)が含有されていてもてよい。
正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層および電子注入層は、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料および電子注入材料をそれぞれ含有し、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料および電子注入材料を用いてそれぞれ形成することができる。
【0228】
上述した発光層の材料(イリジウム錯体またはイリジウム錯体から誘導される構成単位を含む高分子化合物、ホスト材料)を含有するインクに含有されていてもよい発光材料については、後述する。
【0229】
積層する層の順番、数および厚さは、本発明の製造方法により製造される発光素子の輝度寿命および駆動電圧を勘案して調整すればよい。
【0230】
正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層および電子注入層の厚さは、通常、1nm〜10μmである。
【0231】
本発明の製造方法により製造される発光素子は、正孔注入性および正孔輸送性の観点からは、陽極と発光層との間に、正孔注入層および正孔輸送層の少なくとも1層を有することが好ましく、電子注入性および電子輸送性の観点からは、陰極と発光層の間に、電子注入層および電子輸送層の少なくとも1層を有することが好ましい。
【0232】
本発明の製造方法により製造される発光素子において、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層および電子注入層の形成方法としては、低分子化合物を用いる場合、例えば、粉末からの真空蒸着法、溶液または溶融状態からの成膜による方法が挙げられ、高分子化合物を用いる場合、例えば、溶液または溶融状態からの成膜による方法が挙げられる。
【0233】
正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層および電子注入層は、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料および電子注入材料をそれぞれ含有するインクを用いて、塗布法により形成することができる。塗布法の具体例としては、上述した発光層の形成における塗布法の具体例と同様のものが挙げられる。また、インクに含有される溶媒の具体例としては、上述した発光層の形成におけるインクに含有される溶媒の具体例と同様のものが挙げられる。
【0234】
インクにおいて、溶媒の配合量は、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料または電子注入材料100重量部に対して、通常、1000〜100000重量部であり、好ましくは2000〜20000重量部である。
【0235】
正孔輸送層の材料、電子輸送層の材料および発光層の材料は、本発明の発光素子の製造方法において、各々、正孔輸送層、電子輸送層および発光層に隣接する層の形成時に使用される溶媒に溶解する場合、該溶媒に該材料が溶解することを回避するために、該材料が架橋基を有することが好ましい。架橋基を有する材料を用いて各層を形成した後、該架橋基を架橋させることにより、該層を不溶化させることができる。
【0236】
各層を架橋させるための加熱の温度は、通常、25〜300℃であり、本発明の製造方法により製造される発光素子の輝度寿命が優れるので、好ましくは50〜250℃であり、より好ましくは150〜200℃である。
【0237】
各層を架橋させるための光照射に用いられる光の種類は、例えば、紫外光、近紫外光、可視光である。
【0238】
[基板/電極]
本発明の製造方法により製造される発光素子は、通常、基板を有する。発光素子が有する基板は、電極を形成することができ、かつ、有機層を形成する際に化学的に変化しない基板であればよく、例えば、ガラス、プラスチック、シリコン等の材料からなる基板である。不透明な基板の場合には、基板から最も遠くにある電極が透明または半透明であることが好ましい。
【0239】
陽極の材料としては、例えば、導電性の金属酸化物、半透明の金属が挙げられ、好ましくは、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ;インジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等の導電性化合物;銀とパラジウムと銅との複合体(APC);NESA、金、白金、銀、銅である。
【0240】
陰極の材料としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、亜鉛、インジウム等の金属;それらのうち2種以上の合金;それらのうち1種以上と、銀、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうち1種以上との合金;並びに、グラファイトおよびグラファイト層間化合物が挙げられる。合金としては、例えば、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金が挙げられる。
【0241】
陽極および陰極は、各々、2層以上の積層構造としてもよい。
【0242】
本発明の製造方法により製造される発光素子において、陽極および陰極の少なくとも一方は、通常、透明または半透明であるが、陽極が透明または半透明であることが好ましい。
【0243】
陽極および陰極の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法およびラミネート法が挙げられる。
【0244】
[発光材料]
上述した発光層の材料(イリジウム錯体またはイリジウム錯体から誘導される構成単位を含む高分子化合物、ホスト材料)を含有するインクに含有されていてもよい発光材料としては、例えば、ナフタレンおよびその誘導体、アントラセンおよびその誘導体、ペリレンおよびその誘導体、並びに、白金またはユーロピウムを中心金属とする金属錯体が挙げられる。
【0245】
[正孔輸送材料]
正孔輸送材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類され、好ましくは高分子化合物である。正孔輸送材料は、架橋基を有していてもよい。
【0246】
高分子化合物としては、例えば、ポリビニルカルバゾールおよびその誘導体;側鎖または主鎖に芳香族アミン構造を有するポリアリーレンおよびその誘導体が挙げられる。高分子化合物は、電子受容性部位が結合された化合物でもよい。電子受容性部位としては、例えば、フラーレン、テトラフルオロテトラシアノキノジメタン、テトラシアノエチレン、トリニトロフルオレノン等が挙げられ、好ましくはフラーレンである。
【0247】
正孔輸送材料は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0248】
[電子輸送材料]
電子輸送材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。電子輸送材料は、架橋基を有していてもよい。
【0249】
低分子化合物としては、例えば、8-ヒドロキシキノリンを配位子とする金属錯体、オキサジアゾール、アントラキノジメタン、ベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン、テトラシアノアントラキノジメタン、フルオレノン、ジフェニルジシアノエチレンおよびジフェノキノン、並びに、これらの誘導体が挙げられる。
【0250】
高分子化合物としては、例えば、ポリフェニレン、ポリフルオレン、および、これらの誘導体が挙げられる。高分子化合物は、金属でドープされていてもよい。
【0251】
電子輸送材料は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0252】
本発明の製造方法により製造される発光素子が電子輸送層を有する場合、電子輸送層の形成に用いられる電子輸送材料としては、式(ET−1)で表される構成単位および式(ET−2)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含む高分子化合物が好ましい。
【0253】
【化70】
[式中、
nE1は、1以上の整数を表す。
Ar
E1は、芳香族炭化水素基または複素環基を表し、これらの基はR
E1以外の置換基を有していてもよい。
R
E1は、式(ES−1)で表される基を表す。R
E1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
【0254】
−(R
E3)
cE1−(Q
E1)
nE4−Y
E1(M
E2)
aE1(Z
E1)
bE1 (ES−1)
[式中、
cE1は0または1を表し、nE4は0以上の整数を表し、aE1は1以上の整数を表し、bE1は0以上の整数を表す。
R
E3は、アリーレン基または2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
Q
E1は、アルキレン基、アリーレン基、酸素原子または硫黄原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。Q
E1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
Y
E1は、−CO
2−、−SO
3−、−SO
2−またはPO
32−を表す。
M
E2は、金属カチオンまたはアンモニウムカチオンを表し、このアンモニウムカチオンは置換基を有していてもよい。M
E2が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
Z
E1は、F
−、Cl
−、Br
−、I
−、OH
−、R
E4SO
3−、R
E4COO
−、ClO
−、ClO
2−、ClO
3−、ClO
4−、SCN
−、CN
−、NO
3−、SO
42−、HSO
4−、PO
43−、HPO
42−、H
2PO
4−、BF
4−またはPF
6−を表す。R
E4は、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。Z
E1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
aE1およびbE1は、式(ES−1)で表される基の電荷が0となるように選択される。]
【0255】
nE1は、好ましくは、1〜4の整数であり、より好ましくは1または2である。
【0256】
Ar
E1で表される芳香族炭化水素基または複素環基としては、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,2−フェニレン基、2,6−ナフタレンジイル基、1,4−ナフタレンジイル基、2、7−フルオレンジイル基、3,6−フルオレンジイル基、2,7−フェナントレンジイル基または2,7−カルバゾールジイル基から、環を構成する原子に直接結合する水素原子nE1個を除いた残りの原子団が好ましく、R
E1以外の置換基を有していてもよい。
【0257】
Ar
E1が有していてもよいR
E1以外の置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、置換アミノ基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、シクロアルキニル基、カルボキシル基、式(ES−3)で表される基が挙げられる。
【0258】
−O(C
n’H
2n’O)
nxC
m’H
2m’+1 (ES−3)
[式中、n’、m’およびnxは、1以上の整数を表す。]
【0259】
cE1は、0または1であることが好ましく、nE4は、0〜6の整数であることが好ましい。
【0260】
R
E3としては、アリーレン基が好ましい。
【0261】
Q
E1としては、アルキレン基、アリーレン基または酸素原子が好ましい。
【0262】
Y
E1としては、−CO
2−または−SO
3−が好ましい。
【0263】
M
E2としては、Li
+、Na
+、K
+、Cs
+、N(CH
3)
4+、NH(CH
3)
3+、NH
2(CH
3)
2+またはN(C
2H
5)
4+が好ましい。
【0264】
Z
E1としては、F
−、Cl
−、Br
−、I
−、OH
−、R
E4SO
3−またはR
E4COO
−が好ましい。
【0265】
R
E3が有していてもよい置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基および式(ES−3)で表される基が挙げられる。R
E3は、本発明の製造方法により製造される発光素子の発光効率がより優れるため、式(ES−3)で表される基を置換基として有していることが好ましい。
【0266】
式(ES−1)で表される基としては、例えば、下記式で表される基が挙げられる。
【0267】
【化71】
[式中、M
+は、Li
+、Na
+、K
+、Cs
+、N(CH
3)
4+、NH(CH
3)
3+、NH
2(CH
3)
2+またはN(C
2H
5)
4+を表す。]
【0268】
【化72】
[式中、
nE2は1以上の整数を表す。
Ar
E2は、芳香族炭化水素基または複素環基を表し、これらの基はR
E2以外の置換基を有していてもよい。
R
E2は、式(ES−2)で表される基を表す。R
E2が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
【0269】
−(R
E6)
cE2−(Q
E2)
nE6−Y
E2(M
E3)
bE2(Z
E2)
aE2 (ES−2)
[式中、
cE2は0または1を表し、nE6は0以上の整数を表し、bE2は1以上の整数を表し、aE2は0以上の整数を表す。
R
E6は、アリーレン基または2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
Q
E2は、アルキレン基、アリーレン基、酸素原子または硫黄原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。Q
E2が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
Y
E2は、カルボカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニルカチオンまたはスルホニルカチオンを表す。
M
E3は、F
−、Cl
−、Br
−、I
−、OH
−、R
E7SO
3−、R
E7COO
−、ClO
−、ClO
2−、ClO
3−、ClO
4−、SCN
−、CN
−、NO
3−、SO
42−、HSO
4−、PO
43−、HPO
42−、H
2PO
4−、テトラフェニルボレート、BF
4−またはPF
6−を表す。R
E7は、アルキル基、パーフルオロアルキル基、またはアリール基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。M
E3が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
Z
E2は、金属イオンまたはアンモニウムイオンを表し、このアンモニウムイオンは置換基を有していてもよい。Z
E2が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
aE2およびbE2は、式(ES−2)で表される基の電荷が0となるように選択される。]
【0270】
nE2は、好ましくは、1〜4の整数であり、より好ましくは1または2である。
【0271】
Ar
E2で表される芳香族炭化水素基または複素環基としては、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,2−フェニレン基、2,6−ナフタレンジイル基、1,4−ナフタレンジイル基、2、7−フルオレンジイル基、3,6−フルオレンジイル基、2,7−フェナントレンジイル基または2,7−カルバゾールジイル基から、環を構成する原子に直接結合する水素原子nE2個を除いた残りの原子団が好ましく、R
E2以外の置換基を有していてもよい。
【0272】
Ar
E2が有していてもよいR
E2以外の置換基としては、Ar
E1が有していてもよいR
E1以外の置換基と同様である。
【0273】
cE2は、0または1であることが好ましく、nE6は、0〜6の整数であることが好ましい。
【0274】
R
E6としては、アリーレン基が好ましい。
【0275】
Q
E2としては、アルキレン基、アリーレン基または酸素原子が好ましい。
【0276】
Y
E2としては、カルボカチオンまたはアンモニウムカチオンが好ましい。
【0277】
M
E3としては、F
−、Cl
−、Br
−、I
−、テトラフェニルボレート、CF
3SO
3−またはCH
3COO
−が好ましい。
【0278】
Z
E2としては、Li
+、Na
+、K
+、Cs
+、N(CH
3)
4+、NH(CH
3)
3+、NH
2(CH
3)
2+またはN(C
2H
5)
4+が好ましい。
【0279】
R
E6が有していてもよい置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基および式(ES−3)で表される基が挙げられる。R
E6は、本発明の製造方法により製造される発光素子の発光効率がより優れるため、式(ES−3)で表される基を置換基として有していることが好ましい。
【0280】
式(ES−2)で表される基としては、例えば、下記式で表される基が挙げられる。
【0281】
【化73】
[式中、X
−は、F
−、Cl
−、Br
−、I
−、テトラフェニルボレート、CF
3SO
3−、またはCH
3COO
−を表す。]
【0282】
式(ET−1)および式(ET−2)で表される構造単位としては、例えば、下記式(ET−31)〜式(ET−34)で表される構造単位が挙げられる。
【0285】
[正孔注入材料および電子注入材料]
正孔注入材料および電子注入材料は、各々、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。正孔注入材料および電子注入材料は、架橋基を有していてもよい。
【0286】
低分子化合物としては、例えば、銅フタロシアニン等の金属フタロシアニン;カーボン;モリブデン、タングステン等の金属酸化物;フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム、フッ化カリウム等の金属フッ化物が挙げられる。
【0287】
高分子化合物としては、例えば、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリフェニレンビニレン、ポリチエニレンビニレン、ポリキノリンおよびポリキノキサリン、並びに、これらの誘導体;芳香族アミン構造を主鎖または側鎖に含む重合体等の導電性高分子が挙げられる。
【0288】
正孔注入材料および電子注入材料は、各々、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0289】
[イオンドープ]
正孔注入材料または電子注入材料が導電性高分子を含む場合、導電性高分子の電気伝導度は、好ましくは、1×10
-5S/cm〜1×10
3S/cmである。導電性高分子の電気伝導度をかかる範囲とするために、導電性高分子に適量のイオンをドープすることができる。
【0290】
ドープするイオンの種類は、正孔注入材料であればアニオン、電子注入材料であればカチオンである。アニオンとしては、例えば、ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、樟脳スルホン酸イオンが挙げられる。カチオンとしては、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンが挙げられる。
【0291】
ドープするイオンは、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0292】
[封止層]
封止層は、水分および酸素ガスに対してバリア性を有するものであれば特に限定されないが、封止層の一形態としては、発光素子が有する陽極、陰極、発光層およびその他の層が、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスが充填された状態で、ガラス、プラスチック、シリコン等の材料からなる基板により密封されたものが挙げられる。封止層の他の一形態としては、発光素子が有する陽極、陰極、発光層およびその他の層が、有機物からなる絶縁層または無機物からなる絶縁層を介して、ガラス、プラスチック、シリコン等の材料からなる基板により密封されたものが挙げられる。有機物からなる絶縁層の材料としては、例えば、熱可塑性樹脂、光架橋性樹脂が挙げられる。無機物からなる絶縁層の材料としては、例えば、金属酸化物、金属窒化物が挙げられる。
【0293】
封止層には、乾燥剤が含まれていてもよい。乾燥剤は、封止層に配置されたものであってもよい。
【0294】
[発光素子の用途]
発光素子を用いて面状の発光を得るためには、面状の陽極と陰極が重なり合うように配置すればよい。パターン状の発光を得るためには、面状の発光素子の表面にパターン状の窓を設けたマスクを設置する方法、非発光部にしたい層を極端に厚く形成し実質的に非発光とする方法、陽極若しくは陰極、または両方の電極をパターン状に形成する方法がある。これらのいずれかの方法でパターンを形成し、いくつかの電極を独立にON/OFFできるように配置することにより、数字、文字等を表示できるセグメントタイプの表示装置が得られる。ドットマトリックス表示装置とするためには、陽極と陰極を共にストライプ状に形成して直交するように配置すればよい。複数の種類の発光色の異なる高分子化合物を塗り分ける方法、カラーフィルターまたは蛍光変換フィルターを用いる方法により、部分カラー表示、マルチカラー表示が可能となる。ドットマトリックス表示装置は、パッシブ駆動も可能であるし、TFT等と組み合わせてアクティブ駆動も可能である。これらの表示装置は、コンピュータ、テレビ、携帯端末等のディスプレイに用いることができる。面状の発光素子は、液晶表示装置のバックライト用の面状光源、または、面状の照明用光源として好適に用いることができる。フレキシブルな基板を用いれば、曲面状の光源および表示装置としても使用できる。
【実施例】
【0295】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0296】
実施例において、高分子化合物のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)およびポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、サイズエクスクルージョンクロマトグラフィー(SEC)(島津製作所製、商品名:LC-10Avp)により求めた。なお、SECの測定条件は、次のとおりである。
【0297】
[測定条件]
測定する高分子化合物を約0.05重量%の濃度でTHFに溶解させ、SECに10μL注入した。SECの移動相としてTHFを用い、2.0mL/分の流量で流した。カラムとして、PLgel MIXED-B(ポリマーラボラトリーズ製)を用いた。検出器にはUV-VIS検出器(島津製作所製、商品名:SPD-10Avp)を用いた。
【0298】
液体クロマトグラフ質量分析(LC-MS)は、下記の方法で行った。
測定試料を約2mg/mLの濃度になるようにクロロホルムまたはTHFに溶解させ、LC-MS(アジレントテクノロジー製、商品名:1100LCMSD)に約1μL注入した。LC-MSの移動相には、アセトニトリルおよびTHFの比率を変化させながら用い、0.2mL/分の流量で流した。カラムは、L-column 2 ODS(3μm)(化学物質評価研究機構製、内径:2.1mm、長さ:100mm、粒径3μm)を用いた。
【0299】
NMRの測定は、下記の方法で行った。
5〜10mgの測定試料を約0.5mLの重クロロホルム(CDCl
3)、重テトラヒドロフラン(THF-d
8)または重塩化メチレン(CD
2Cl
2)に溶解させ、NMR装置(Agilent製、商品名:INOVA300またはMERCURY 400VX)を用いて測定した。
【0300】
化合物の純度の指標として、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)面積百分率の値を用いた。この値は、特に記載がない限り、HPLC(島津製作所製、商品名:LC-20A)での254nmにおける値とする。この際、測定する化合物は、0.01〜0.2重量%の濃度になるようにTHFまたはクロロホルムに溶解させ、HPLCに、濃度に応じて1〜10μL注入した。HPLCの移動相には、アセトニトリルおよびTHFを用い、1mL/分の流速で、アセトニトリル/THF=100/0〜0/100(容積比)のグラジエント分析で流した。カラムは、Kaseisorb LC ODS 2000(東京化成工業製)または同等の性能を有するODSカラムを用いた。検出器には、フォトダイオードアレイ検出器(島津製作所製、商品名:SPD-M20A)を用いた。
【0301】
実施例において、発光層を形成する工程の開始時から封止層を形成する工程の終了時までの間のオゾン濃度の平均値は、大気汚染監視用オゾン濃度測定装置(堀場製作所製、製品名:APOA−3700)を用いて測定した。
【0302】
<合成例1> イリジウム錯体1の合成
イリジウム錯体1は、特開2008−179617号公報に記載の方法に従って合成した。
【0303】
【化76】
【0304】
<合成例2> イリジウム錯体2の合成
イリジウム錯体2は、国際公開第2009/131255号に記載の方法に従って合成した。
【0305】
【化77】
【0306】
<合成例3> イリジウム錯体3の合成
イリジウム錯体3は、特開2013−147551号公報に記載の方法に従って合成した。
【0307】
【化78】
【0308】
<合成例4> イリジウム錯体4の合成
【0309】
【化79】
【0310】
反応容器内に、特開2005―99481号公報に記載の方法に従って合成した化合物4a(20.00g)および塩化イリジウム三水和物(11.93g)を加え、反応容器内の気体をアルゴンガスで置換した。その後、そこへ、2−エトキシエタノール(180mL)および水(60mL)を加え、反応容器内をアルゴンガス気流下とした後、101〜102℃で20時間還流した。放冷後、得られた混合物をろ別した。得られた残渣を水(400mL)、メタノール(200mL)、ヘキサン(200mL)の順で洗浄した後、乾燥させることにより、化合物4b(22.49g)を得た。
【0311】
反応容器内に、化合物4b(22.49g)および化合物4a(19.77g)を加え、反応容器内の気体をアルゴンガスで置換した。その後、そこへ、ジグリム(128mL)およびトリフルオロメタンスルホン酸銀(7.60g)を加え、反応容器内をアルゴンガス気流下とした後、148〜150℃で5時間撹拌した。その後、そこへ、トリフルオロメタンスルホン酸銀(7.60g)を加え、更に12時間攪拌した。放冷後、得られた反応混合物に水(600mL)を加え、生じた沈澱をろ別した。得られた沈澱をトルエン(500mL)に溶解させた後、ろ過した。得られたろ液を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、ろ過、濃縮することで溶媒を留去した。得られた残渣をヘキサンおよびトルエンからなる混合溶媒(ヘキサン/トルエン=3/1(体積基準))に溶解させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、その後、溶媒を留去した。得られた残渣をメタノール(200mL)で洗浄した後、乾燥させた。得られた固体を、トルエンおよびアセトニトリルからなる混合溶媒(トルエン/アセトニトリル=1.0/4.8(体積基準))を用いて結晶化させ、得られた結晶をろ別した。得られた固体をメタノールで洗浄した後、乾燥させることにより、イリジウム錯体4(14.30g)を得た。
【0312】
1H−NMR(300MHz/CDCl
3);δ(ppm)=0.88(m,9H)、1.22(m,30H)、1.44(m,6H)、2.35(t,J=7.5Hz,6H)、6.69(m,6H)、6.78(t,J=6.0Hz,3H)、7.47(m,9H)、7.77(d,J=6.0Hz,3H).
LC−MS(APCI, positive) m/z : 992([M+H]
+)
【0313】
<合成例5> イリジウム錯体5の合成
【0314】
イリジウム錯体5は、特開2006−188673号公報に記載の方法に従って合成した。
【0315】
【化80】
【0316】
<合成例6> イリジウム錯体6の合成
【0317】
【化81】
【0318】
化合物L6−aは、米国特許出願公開第2011/0057559号明細書に準じて合成した。
【0319】
反応容器内をアルゴンガス雰囲気とした後、化合物L6−a(9.9g)、化合物L6−b(15g)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル(0.11g)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.12g)、20重量%のテトラエチルアンモニウム水溶液(20mL)、トルエン(200mL)およびエタノール(50mL)を加え、加熱還流下で18時間攪拌した。その後、室温まで冷却し、トルエンを加え抽出した。得られた有機層を、イオン交換水を用いて洗浄した後、減圧濃縮することで固体を得た。得られた固体を、シリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、更に、トルエンおよびアセトニトリルの混合溶媒を用いて再結晶した後、減圧乾燥することで化合物L6(17g、収率90%)を得た。
【0320】
【化82】
【0321】
反応容器内をアルゴンガス雰囲気とした後、化合物L6(10g)、塩化イリジウム水和物(2.2g)、2−エトキシエタノール(120mL)および水(40mL)を加え、加熱還流下で14時間攪拌した。その後、室温まで冷却し、メタノールを加えたところ、沈殿が生じた。得られた沈殿をろ過し、得られた固体をメタノールで洗浄した後、減圧乾燥することにより、イリジウム錯体6−a(10g、黄色粉末)を得た。
【0322】
反応容器内をアルゴンガス雰囲気とした後、イリジウム錯体6−a(9.5g)、トリフルオロメタンスルホン酸銀(31g)、ジクロロメタン(100mL)およびメタノール(30mL)を加え、室温で一晩攪拌した。析出した沈殿をろ過した後、得られたろ液を減圧濃縮した。その後、そこへ、化合物L6(7.8g)、2,6−ルチジン(6.7mL)およびジエチレングリコールジメチルエーテル(180mL)を加え、加熱還流下で一晩攪拌した。その後、室温まで冷却し、イオン交換水およびメタノールの混合溶媒を加え、析出した沈殿をろ過した。得られた固体を、シリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタン/ヘキサン)で精製し、更に、トルエンおよびアセトニトリルの混合溶媒を用いて再結晶した後、減圧乾燥することでイリジウム錯体6(1.2g、収率6.5%)を得た。
【0323】
1H−NMR(600MHz、(CD
3)
2CO−d
6)δ(ppm)=8.01−7.97(m,9H),7.91(d,6H),7.81(d,12H),7.59(d,12H),7.25(s,3H),6.92−6.89(m,6H),6.57(t,3H),5.87−5.81(m,6H),2.89−2.86(m,3H),2.52−2.48(m,3H),1.87(s,12H),1.42(s,36H),1.38(d,9H),1.16(d,9H),1.12(d,9H),1.07(d,9H),0.80(54H).
【0324】
<合成例7> イリジウム錯体7の合成
【0325】
イリジウム錯体7は、国際公開第2006/121811号および米国特許出願公開第2011/0057559号明細書に記載の方法に準じて合成した。
【0326】
【化83】
【0327】
<合成例8> 高分子化合物P1の合成
【0328】
【化84】
【0329】
【化85】
【0330】
単量体CM1は、特開2011−174061号公報に記載の方法に従って合成した。
単量体CM2は、国際公開第2002/045184号に記載の方法に従って合成した。
単量体CM3は、特開2008−106241号公報に記載の方法に従って合成した。
単量体CM4は、特開2003−226744号公報に記載の方法に従って合成した。
【0331】
(工程1)反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、単量体CM1(185g)、単量体CM2(35.9g)、単量体CM3(20.1g)、単量体CM4(104g)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(177mg)およびトルエン(4.3kg)を加え、100℃に加熱した。
(工程2)その後、そこへ、20重量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(873g)を滴下し、100℃で5時間攪拌した。
(工程3)その後、そこへ、フェニルボロン酸(3.08g)およびトルエン(120g)を加え、100℃で14時間攪拌した。
(工程4)得られた反応液から水層を除いた後、そこへ、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液およびトルエンを加え、40℃で3時間撹拌した。その後、室温まで冷却し、水層を除去することにより有機層を得た。得られた有機層を、10重量%塩酸で2回、3重量%アンモニア水溶液で2回、水で2回洗浄した。洗浄した有機層を、アルミナカラム、シリカゲルカラムの順番で通すことにより精製した。得られた精製液をメタノールに滴下し、撹拌したところ、沈殿物が生じた。得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、高分子化合物P1を204g得た。高分子化合物P1のMnは6.7×10
4であり、Mwは2.3×10
5であった。
【0332】
高分子化合物P1は、仕込み原料の量から求めた理論値では、単量体CM1から誘導される構成単位と、単量体CM2から誘導される構成単位と、単量体CM3から誘導される構成単位と、単量体CM4から誘導される構成単位とが、50:12.5:7.5:30のモル比で構成されてなる共重合体である。
【0333】
<合成例9> 高分子化合物P2の合成
【0334】
【化86】
【0335】
単量体CM5は、特開2010−189630号公報に記載の方法に従って合成した。
単量体CM6は、特開2010−215886号公報に記載の方法に従って合成した。
単量体CM7は、特表2002−539292号公報に記載の方法に従って合成した。
【0336】
(工程1)反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、単量体CM5(0.9950g)、単量体CM3(0.1064g)、単量体CM6(0.0924g)、単量体CM7(0.7364g)、ジクロロビス〔トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン〕パラジウム(1.8mg)およびトルエン(47ml)を加え、105℃に加熱した。
(工程2)反応液に、20重量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(6.6ml)を滴下し、5.5時間還流させた。
(工程3)その後、そこに、フェニルボロン酸(24.4mg)、20重量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(6.6ml)およびジクロロビス〔トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン〕パラジウム(1.8mg)を加え、14時間還流させた。
(工程4)その後、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。冷却後、反応液を、水で2回、3重量%酢酸水溶液で2回、水で2回洗浄し、得られた溶液をメタノールに滴下したところ、沈殿が生じた。沈殿物をトルエンに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムの順番で通すことにより精製した。得られた溶液をメタノールに滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、高分子化合物P2を0.91g得た。高分子化合物P2のMnは5.2×10
4であり、Mwは2.5×10
5であった。
【0337】
高分子化合物P2は、仕込み原料の量から求めた理論値では、単量体CM5から誘導される構成単位と、単量体CM3から誘導される構成単位と、単量体CM6から誘導される構成単位と、単量体CM7から誘導される構成単位とが、50:5:5:40のモル比で構成されてなる共重合体である。
【0338】
<合成例10> 単量体CM8の合成
【0339】
【化87】
【0340】
化合物CM8aは、国際公報第2012/086671号に記載の方法に従って合成した。
【0341】
<Step1>
反応容器内を窒素ガス雰囲気とした後、4−ブロモ−n−オクチルベンゼン(250g)およびテトラヒドロフラン(脱水品、2.5L)を加え、−70℃以下に冷却した。その後、そこへ、2.5mol/L濃度のn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液(355mL)を滴下し、−70℃以下にて3時間攪拌した。その後、そこへ、テトラヒドロフラン(脱水品、400mL)に化合物CM8a(148g)を溶解させた溶液を滴下した後、室温まで昇温し、室温にて一晩攪拌した。得られた反応混合物を0℃に冷却した後、水(150mL)を加えて攪拌した。得られた反応混合物を減圧濃縮し、有機溶媒を除去した。得られた反応混合物に、ヘキサン(1L)および水(200mL)を加え、分液操作によって水層を除去した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。得られた混合物をろ過し、得られたろ液を減圧濃縮することで、化合物CM8b(330g)を黄色油状物として得た。
【0342】
<Step2>
反応容器内を窒素ガス雰囲気とした後、化合物CM8b(330g)およびジクロロメタン(900mL)を加え、5℃以下に冷却した。その後、そこへ、2.0mol/L濃度の三フッ素化ホウ素ジエチルエーテル錯体(245mL)を滴下した。その後、室温まで昇温し、室温にて一晩攪拌した。得られた反応混合物を、氷水(2L)の入った容器に加え、30分間攪拌した後、水層を除去した。得られた有機層を、10重量%濃度のリン酸カリウム水溶液(1L)で1回、水(1L)で2回洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた混合物をろ過し、得られたろ液を減圧濃縮することで油状物を得た。得られた油状物をトルエン(200mL)に溶解させた後、シリカゲルを敷いたろ過器に通液することでトルエン溶液1を得た。トルエン溶液1を得た後、シリカゲルを敷いたろ過器に更にトルエン(約3L)を通液することでトルエン溶液2を得た。トルエン溶液1とトルエン溶液2を合一した後、減圧濃縮することで油状物を得た。得られた油状物にメタノール(500mL)を加え、攪拌した。得られた反応混合物をろ過することで固体を得た。得られた固体に、酢酸ブチルおよびメタノールの混合溶媒を加え、再結晶を繰り返すことにより、単量体CM8c(151g)を白色固体として得た。得られた単量体CM8cのHPLC面積百分率値(検出波長UV280nm)は99.0%以上を示した。
【0343】
1H−NMR(400MHz/CDCl
3):δ(ppm)=7.56(d,2H),7.49(d,2H),7.46(dd, 2H),7.06〜7.01(m,8H),2.55(t,4H),1.61〜1.54(m,4H),1.30〜1.26(m,20H),0.87(t,6H).
【0344】
<Step3>
反応容器内を窒素ガス雰囲気とした後、単量体CM8c(100g)およびテトラヒドロフラン(脱水品、1000mL)を加え、−70℃以下に冷却した。その後、そこへ、2.5mol/L濃度のn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液(126mL)を滴下し、−70℃以下にて5時間攪拌した。その後、そこへ、2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(81mL)を滴下した。その後、室温まで昇温し、室温にて一晩攪拌した。得られた反応混合物を−30℃に冷却し、2.0mol/Lの塩酸−ジエチルエーテル溶液(143mL)を滴下した。その後、室温まで昇温し、減圧濃縮することにより固体を得た。得られた固体にトルエン(1.2L)を加え、室温にて1時間攪拌した後、シリカゲルを敷いたろ過器に通液することによりろ液を得た。得られたろ液を減圧濃縮することにより固体を得た。得られた固体にメタノールを加えて攪拌した後、ろ過することにより固体を得た。得られた固体に対して、イソプロピルアルコールを用いた再結晶を繰り返すことにより精製した後、50℃にて一晩減圧乾燥することにより、単量体CM8(72g)を白色固体として得た。得られた単量体CM8のHPLC面積百分率値(検出波長UV280nm)は99.0%以上を示した。
【0345】
1H−NMR(400MHz/CDCl
3):δ(ppm)=7.82(d,2H),7.81(s,2H),7.76(d,2H),7.11(d,4H)、7.00(d,4H),2.52(t,4H),1.59〜1.54(m,4H),1.36〜1.26(m,20H),1.31(s,24H),0.87(t,6H).
【0346】
<合成例11> 高分子化合物P3の合成
【0347】
【化88】
【0348】
単量体CM9は、国際公開第2012/86671号に記載の方法に従って合成した。
単量体CM10は、特開2004−143419号公報に記載の方法に従って合成した。
単量体CM11は、国際公開第2009/131255号に記載の方法に従って合成した。
【0349】
(工程1)反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、単量体CM8(4.7686g)、単量体CM2(1.9744g)、単量体CM9(0.7734g)、単量体CM10(0.4432g)、単量体CM11(0.3308g)およびトルエン(67mL)を加えて、105℃に加熱した。
(工程2)反応液に、ビストリフェニルホスフィンパラジウムジクロリド(4.2mg)および20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(20mL)を加えた後、3時間還流させた。
(工程3)その後、そこに、フェニルボロン酸(0.077g)、ビストリフェニルホスフィンパラジウムジクロリド(4.2mg)、トルエン(60mL)および20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(20mL)を加え、24時間還流させた。
(工程4)その後、有機層と水層とを分離した後、得られた有機層に、N,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(3.33g)およびイオン交換水(67mL)を加え、85℃で2時間攪拌した。その後、有機層と水層とを分離した後、得られた有機層を、イオン交換水(78mL)で2回、3重量%酢酸水溶液(78mL)で2回、イオン交換水(78mL)で2回の順番で洗浄した。その後、有機層と水層とを分離した後、得られた有機層をメタノールに滴下することで固体を沈殿させ、ろ取、乾燥させることにより、固体を得た。得られた固体をトルエンに溶解させ、予めトルエンを通液したシリカゲルカラムおよびアルミナカラムに通液させた。得られた溶液をメタノールに滴下することで固体を沈殿させ、ろ取、乾燥させることにより、高分子化合物P3(4.95g)を得た。高分子化合物P3のMnは1.4×10
5であり、Mwは4.1×10
5であった。
【0350】
高分子化合物P3は、仕込み原料の量から求めた理論値では、単量体CM8から誘導される構成単位と、単量体CM2から誘導される構成単位と、単量体CM9から誘導される構成単位と、単量体CM10から誘導される構成単位と、単量体CM11から誘導される構成単位とが、50:30:10:5:5のモル比で構成されてなる共重合体である。
【0351】
<合成例12> 高分子化合物P4の合成
【0352】
【化89】
【0353】
単量体CM12は、特開2010−189630号公報に記載の方法に従って合成した。
【0354】
高分子化合物P4は、単量体CM5、単量体CM9および単量体CM12を用いて、特開2012−36388号公報に記載の方法に従って合成した。高分子化合物P4のMnは9.1×10
4であり、Mwは2.3×10
5であった。
【0355】
高分子化合物P4は、仕込み原料の量から求めた理論値では、単量体CM5から誘導される構成単位と、単量体CM9から誘導される構成単位と、単量体CM12から誘導される構成単位とが、50:40:10のモル比で構成されてなる共重合体である。
【0356】
<合成例13> 高分子化合物P5の合成
【0357】
【化90】
【0358】
単量体CM13およびCM14は、特開2012−36381号公報に記載の方法に従って合成した。
【0359】
高分子化合物P5は、単量体CM5、単量体CM13および単量体CM14を用いて、特開2012−36381号公報に記載の方法に従って合成した。高分子化合物P5のMnは3.4×10
4であり、Mwは1.2×10
5であった。
【0360】
高分子化合物P5は、仕込み原料の量から求めた理論値では、単量体CM5から誘導される構成単位と、単量体CM13から誘導される構成単位と、単量体CM14から誘導される構成単位とが、50:20:30のモル比で構成されてなる共重合体である。
【0361】
<合成例14> 高分子化合物P6の合成
【0362】
【化91】
【0363】
(高分子化合物P6−aの合成)
高分子化合物P6−aは、特開2012−33845号公報に記載の方法に従って合成した単量体CM15、および、特開2012−33845号公報に記載の方法に従って合成した単量体CM16を用いて、特開2012−33845号公報に記載の方法に従って合成した。
【0364】
高分子化合物P6−aのMnは5.2×10
4であった。
【0365】
高分子化合物P6−aは、仕込み原料の量から求めた理論値では、単量体CM15から誘導される構成単位と、単量体CM16から誘導される構成単位とが、50:50のモル比で構成されてなる共重合体である。
【0366】
【化92】
【0367】
(高分子化合物P6の合成)
反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、高分子化合物P6−a(200mg)、テトラヒドロフラン(20mL)およびエタノール(20mL)を加え、55℃に加熱した。そこへ、水(2mL)に溶解させた水酸化セシウム(200mg)を加え、55℃で6時間撹拌した。その後、室温まで冷却した後、減圧濃縮することにより、固体を得た。得られた固体を水で洗浄した後、減圧乾燥させるにより、高分子化合物P6(150mg、薄黄色固体)を得た。得られた高分子化合物P6のNMRスペクトルにより、高分子化合物P6−aのエチルエステル部位のエチル基由来のシグナルが完全に消失していることを確認した。
【0368】
<実施例1> 発光素子1の作製と評価
(陽極および正孔注入層の形成)
ガラス基板に、スパッタ法により150nmの厚みでITO膜を付けることにより陽極を形成した。該陽極上に、ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(H.C.stark社製、商品名:CLEVIOS P AI4083)(以下、「AI4083」という。)をスピンコート法により65nmの厚さで成膜し、大気雰囲気下において、ホットプレート上で200℃、10分間加熱することにより正孔注入層を形成した。
【0369】
(正孔輸送層の形成)
キシレンに、高分子化合物P1を0.7重量%の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を用いて、正孔注入層の上にスピンコート法により20nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、180℃、60分間加熱させることにより正孔輸送層を形成した。
【0370】
(発光層の形成)
キシレンに、高分子化合物P3およびイリジウム錯体1(高分子化合物P3/イリジウム錯体1=92.5重量%/7.5重量%)を1.4重量%の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を用いて、正孔輸送層の上にスピンコート法により80nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、130℃、10分間加熱させることにより発光層を形成した。
【0371】
(陰極の形成)
発光層を形成した基板を蒸着機内において、1.0×10
-4Pa以下となるまで減圧した後、陰極として、発光層の上にバリウムを約5nm、次いで、バリウム層の上にアルミニウムを約60nm蒸着した。蒸着後、窒素ガス雰囲気下において、ガラス基板を用いて封止層を形成することにより、発光素子1を作製した。なお、発光素子1が有する陽極、陰極および各層と、封止層の形成に用いたガラス基板との間には空間が存在する。封止層の形成は窒素ガス雰囲気下で行われているため、該空間には窒素ガスが充填されている。
【0372】
発光素子1は、外気取り入れ口にケミカルフィルター(ニチアス株式会社製、製品名:ケミカルガード−AX(活性炭を用いたケミカルフィルター))を設置した室内環境下で作製した。発光素子1の作製において、発光層を形成する工程の開始時から封止層を形成する工程の終了時までの間における製造中の発光素子が、オゾンに曝露された時間は30分間であり、この間のオゾン濃度の平均値は0.8ppbであった。製造中の発光素子がオゾンに曝露される際のオゾン濃度の平均値:A=0.8ppb、製造中の発光素子がオゾンに曝露される際の時間:B=30分であったため、A×B=24であった。
【0373】
発光素子1に電圧を印加したところ、EL発光(赤色)が観測された。輝度が1000cd/m
2における駆動電圧は6.5V、発光効率は22.0cd/Aであった。初期輝度が12000cd/m
2となるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、輝度半減寿命(以下、「LT50」ともいう。)を測定したところ、328.1時間であった。
【0374】
<比較例1> 発光素子C1の作製と評価
発光素子C1は、外気取り入れ口にケミカルフィルターを設置しない室内環境下で作製した以外は、発光素子1と同様にして、発光素子C1を作製した。発光素子C1の作製において、発光層を形成する工程の開始時から封止層を形成する工程の終了時までの間における製造中の発光素子が、オゾンに曝露された時間は30分間であり、この間のオゾン濃度の平均値は55ppbであった。製造中の発光素子がオゾンに曝露される際のオゾン濃度の平均値:A=55ppb、製造中の発光素子がオゾンに曝露される際の時間:B=30分であったため、A×B=1650であった。
【0375】
発光素子C1に電圧を印加したところ、EL発光(赤色)が観測された。輝度が1000cd/m
2における駆動電圧は7.6V、発光効率は16.8cd/Aであった。初期輝度が12000cd/m
2となるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、LT50を測定したところ、63.0時間であった。
【0376】
<比較例2> 発光素子C2の作製と評価
発光素子C2は、外気取り入れ口にケミカルフィルターを設置しない室内環境下で作製した以外は、発光素子1と同様にして、発光素子C2を作製した。発光素子C2の作製において、発光層を形成する工程の開始時から封止層を形成する工程の終了時までの間における製造中の発光素子が、オゾンに曝露された時間は30分間であり、この間のオゾン濃度の平均値は110ppbであった。製造中の発光素子がオゾンに曝露される際のオゾン濃度の平均値:A=110ppb、製造中の発光素子がオゾンに曝露される際の時間:B=30分であったため、A×B=3300であった。
【0377】
発光素子C2に電圧を印加したところ、EL発光(赤色)が観測された。輝度が1000cd/m
2における駆動電圧は8.8V、発光効率は12.9cd/Aであった。初期輝度が12000cd/m
2となるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、LT50を測定したところ、28.8時間であった。
【0378】
【表2】
【0379】
<実施例2> 発光素子2の作製と評価
(陽極および正孔注入層の形成)
ガラス基板に、スパッタ法により45nmの厚みでITO膜を付けることにより陽極を形成した。該陽極上に、ポリチオフェン・スルホン酸系の正孔注入剤であるAQ−1200(Plextronics社製)をスピンコート法により35nmの厚さで成膜し、大気雰囲気下において、ホットプレート上で170℃、15分間加熱することにより正孔注入層を形成した。
【0380】
(正孔輸送層の形成)
キシレンに、高分子化合物P2を0.7重量%の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を用いて、正孔注入層の上にスピンコート法により20nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、180℃、60分間加熱させることにより正孔輸送層を形成した。
【0381】
(発光層の形成)
キシレンに、高分子化合物P4およびイリジウム錯体2(高分子化合物P4/イリジウム錯体2=60重量%/40重量%)を2.0重量%の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を用いて、正孔輸送層の上にスピンコート法により80nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、130℃、10分間加熱させることにより発光層を形成した。
【0382】
(陰極の形成)
発光層を形成した基板を蒸着機内において、1.0×10
-4Pa以下となるまで減圧した後、陰極として、発光層の上にフッ化ナトリウムを約5nm、次いで、フッ化ナトリウム層の上にアルミニウムを約60nm蒸着した。蒸着後、窒素ガス雰囲気下において、ガラス基板を用いて封止層を形成することにより、発光素子2を作製した。なお、発光素子2が有する陽極、陰極および各層と、封止層の形成に用いたガラス基板との間には空間が存在する。封止層の形成は窒素ガス雰囲気下で行われているため、該空間には窒素ガスが充填されている。
【0383】
発光素子2は、外気取り入れ口にケミカルフィルター(ニチアス株式会社製、製品名:ケミカルガード−AX(活性炭を用いたケミカルフィルター))を設置した室内環境下で作製した。発光素子2の作製において、発光層を形成する工程の開始時から封止層を形成する工程の終了時までの間における製造中の発光素子が、オゾンに曝露された時間は20分間であり、この間のオゾン濃度の平均値は0.7ppbであった。製造中の発光素子がオゾンに曝露される際のオゾン濃度の平均値:A=0.7ppb、製造中の発光素子がオゾンに曝露される際の時間:B=20分であったため、A×B=14であった。
【0384】
発光素子2に電圧を印加したところ、EL発光(緑色)が観測された。輝度が1000cd/m
2における駆動電圧は6.4V、発光効率は58.5cd/Aであった。初期輝度が8000cd/m
2となるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、LT50を測定したところ、92.8時間であった。
【0385】
<実施例3> 発光素子3の作製と評価
発光素子3は、外気取り入れ口にケミカルフィルターを設置しない室内環境下で作製した以外は、発光素子2と同様にして、発光素子3を作製した。発光素子3の作製において、発光層を形成する工程の開始時から封止層を形成する工程の終了時までの間における製造中の発光素子が、オゾンに曝露された時間は25分間であり、この間のオゾン濃度の平均値は25ppbであった。製造中の発光素子がオゾンに曝露される際のオゾン濃度の平均値:A=25ppb、製造中の発光素子がオゾンに曝露される際の時間:B=25分であったため、A×B=625であった。
【0386】
発光素子3に電圧を印加したところ、EL発光(緑色)が観測された。輝度が1000cd/m
2における駆動電圧は6.7V、発光効率は55.0cd/Aであった。初期輝度が8000cd/m
2となるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、LT50を測定したところ、77.9時間であった。
【0387】
<比較例3> 発光素子C3の作製と評価
発光素子C3は、外気取り入れ口にケミカルフィルターを設置しない室内環境下で作製した以外は、発光素子2と同様にして、発光素子C3を作製した。発光素子C3の作製において、発光層を形成する工程の開始時から封止層を形成する工程の終了時までの間における製造中の発光素子が、オゾンに曝露された時間は25分間であり、この間のオゾン濃度の平均値は110ppbであった。製造中の発光素子がオゾンに曝露される際のオゾン濃度の平均値:A=110ppb、製造中の発光素子がオゾンに曝露される際の時間:B=25分であったため、A×B=2750であった。
【0388】
発光素子C3に電圧を印加したところ、EL発光(緑色)が観測された。輝度が1000cd/m
2における駆動電圧は8.8V、発光効率は25.8cd/Aであった。初期輝度が8000cd/m
2となるように電流値を設定後、定電流で駆動させ、LT50を測定したところ、26.3時間であった。
【0389】
【表3】
【0390】
<実施例4> 発光素子4の作製と評価
(陽極および正孔注入層の形成)
ガラス基板に、スパッタ法により45nmの厚みでITO膜を付けることにより陽極を形成した。該陽極の上に、ポリチオフェン・スルホン酸系の正孔注入剤であるAQ−1200(Plextronics社製)をスピンコート法により35nmの厚さで成膜し、大気雰囲気下において、ホットプレート上で170℃、15分間加熱することにより正孔注入層を形成した。
【0391】
(正孔輸送層の形成)
キシレンに、高分子化合物P2を0.7重量%の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を用いて、正孔注入層の上にスピンコート法により20nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、180℃、60分間加熱させることにより正孔輸送層を形成した。
【0392】
(発光層の形成)
キシレンに、高分子化合物P5、イリジウム錯体3、イリジウム錯体4およびイリジウム錯体5(高分子化合物P5/イリジウム錯体3/イリジウム錯体4/イリジウム錯体5=59/40/0.6/0.4)を2.2重量%の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を用いて、正孔輸送層の上にスピンコート法により75nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、130℃、10分間加熱させることにより発光層を形成した。
【0393】
(陰極の形成)
発光層を形成した基板を蒸着機内において、1.0×10
-4Pa以下となるまで減圧した後、陰極として、発光層の上にフッ化ナトリウムを約5nm、次いで、フッ化ナトリウム層の上にアルミニウムを約60nm蒸着した。蒸着後、窒素ガス雰囲気下において、ガラス基板を用いて封止層を形成することにより、発光素子4を作製した。なお、発光素子4が有する陽極、陰極および各層と、封止層の形成に用いたガラス基板との間には空間が存在する。封止層の形成は窒素ガス雰囲気下で行われているため、該空間には窒素ガスが充填されている。
【0394】
発光素子4は、外気取り入れ口にケミカルフィルター(ニチアス株式会社製、製品名:ケミカルガード−AX(活性炭を用いたケミカルフィルター))を設置した室内環境下で作製した。発光素子4の作製において、発光層を形成する工程の開始時から封止層を形成する工程の終了時までの間における製造中の発光素子が、オゾンに曝露された時間は20分間であり、この間のオゾン濃度の平均値は0.7ppbであった。製造中の発光素子がオゾンに曝露される際のオゾン濃度の平均値:A=0.7ppb、製造中の発光素子がオゾンに曝露される際の時間:B=20分であったため、A×B=14であった。
【0395】
発光素子4に電圧を印加したところ、EL発光(白色)が観測された。輝度が1000cd/m
2における駆動電圧は7.3V、発光効率は21.6cd/Aであった。
【0396】
<実施例5> 発光素子5の作製と評価
発光素子5は、外気取り入れ口にケミカルフィルターを設置しない室内環境下で作製した以外は、発光素子4と同様にして、発光素子5を作製した。発光素子5の作製において、発光層を形成する工程の開始時から封止層を形成する工程の終了時までの間における製造中の発光素子が、オゾンに曝露された時間は25分間であり、この間のオゾン濃度の平均値は25ppbであった。製造中の発光素子がオゾンに曝露される際のオゾン濃度の平均値:A=25ppb、製造中の発光素子がオゾンに曝露される際の時間:B=25分であったため、A×B=625であった。
【0397】
発光素子5に電圧を印加したところ、EL発光(白色)が観測された。輝度が1000cd/m
2における駆動電圧は7.5V、発光効率は21.2cd/Aであった。
【0398】
<比較例4> 発光素子C4の作製と評価
発光素子C4は、外気取り入れ口にケミカルフィルターを設置しない室内環境下で作製した以外は、発光素子4と同様にして、発光素子C4を作製した。発光素子C4の作製において、発光層を形成する工程の開始時から封止層を形成する工程の終了時までの間における製造中の発光素子が、オゾンに曝露された時間は110分間であり、この間のオゾン濃度の平均値は25ppbであった。製造中の発光素子がオゾンに曝露される際のオゾン濃度の平均値:A=25ppb、製造中の発光素子がオゾンに曝露される際の時間:B=110分であったため、A×B=2750であった。
【0399】
発光素子C4に電圧を印加したところ、EL発光(白色)が観測された。輝度が1000cd/m
2における駆動電圧は10.0V、発光効率は10.0cd/Aであった。
【0400】
【表4】
【0401】
<実施例6> 発光素子6の作製と評価
(陽極および正孔注入層の形成)
ガラス基板に、スパッタ法により45nmの厚みでITO膜を付けることにより陽極を形成した。該陽極上に、ポリチオフェン・スルホン酸系の正孔注入剤であるAQ−1200(Plextronics社製)をスピンコート法により35nmの厚さで成膜し、大気雰囲気下において、ホットプレート上で170℃、15分間加熱することにより正孔注入層を形成した。
【0402】
(正孔輸送層の形成)
キシレンに、高分子化合物P2を0.7重量%の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を用いて、正孔注入層の上にスピンコート法により20nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、180℃、60分間加熱させることにより正孔輸送層を形成した。
【0403】
(発光層の形成)
キシレンに、高分子化合物P5およびイリジウム錯体3(高分子化合物P5/イリジウム錯体3=60/40)を2.0重量%の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を用いて、正孔輸送層の上にスピンコート法により80nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、130℃、10分間加熱することにより発光層を形成した。
【0404】
(陰極の形成)
発光層を形成した基板を蒸着機内において、1.0×10
-4Pa以下となるまで減圧した後、陰極として、発光層の上にフッ化ナトリウムを約5nm、次いで、フッ化ナトリウム層の上にアルミニウムを約60nm蒸着した。蒸着後、窒素ガス雰囲気下において、ガラス基板を用いて封止層を形成することにより、発光素子6を作製した。なお、発光素子6が有する陽極、陰極および各層と、封止層の形成に用いたガラス基板との間には空間が存在する。封止層の形成は窒素ガス雰囲気下で行われているため、該空間には窒素ガスが充填されている。
【0405】
発光素子6は、外気取り入れ口にケミカルフィルター(ニチアス株式会社製、製品名:ケミカルガード−AX(活性炭を用いたケミカルフィルター))を設置した室内環境下で作製した。発光素子6の作製において、発光層を形成する工程の開始時から封止層を形成する工程の終了時までの間における製造中の発光素子がオゾンに曝露された時間は20分間であり、この間のオゾン濃度の平均値は0.7ppbであった。製造中の発光素子がオゾンに曝露される際のオゾン濃度の平均値:A=0.7ppb、製造中の発光素子がオゾンに曝露される際の時間:B=20分であったため、A×B=14であった。
【0406】
発光素子6に電圧を印加したところ、EL発光(青色)が観測された。輝度が1000cd/m
2における駆動電圧は7.6V、発光効率は15.8cd/Aであった。
【0407】
<実施例7> 発光素子7の作製と評価
発光素子7は、外気取り入れ口にケミカルフィルターを設置しない室内環境下で作製した以外は、発光素子6と同様にして、発光素子7を作製した。発光素子7の作製において、発光層を形成する工程の開始時から封止層を形成する工程の終了時までの間における製造中の発光素子が、オゾンに曝露された時間は10分間であり、この間のオゾン濃度の平均値は25ppbであった。製造中の発光素子がオゾンに曝露される際のオゾン濃度の平均値:A=25ppb、製造中の発光素子がオゾンに曝露される際の時間:B=10分であったため、A×B=250であった。
【0408】
発光素子7に電圧を印加したところ、EL発光(青色)が観測された。1000cd/m
2における駆動電圧は8.0V、発光効率は15.1cd/Aであった。
【0409】
<実施例8> 発光素子8の作製と評価
発光素子8は、外気取り入れ口にケミカルフィルターを設置しない室内環境下で作製した以外は、発光素子6と同様にして、発光素子8を作製した。発光素子8の作製において、発光層を形成する工程の開始時から封止層を形成する工程の終了時までの間における製造中の発光素子が、オゾンに曝露された時間は25分間であり、この間のオゾン濃度の平均値は25ppbであった。製造中の発光素子がオゾンに曝露される際のオゾン濃度の平均値:A=25ppb、製造中の発光素子がオゾンに曝露される際の時間:B=25分であったため、A×B=625であった。
【0410】
発光素子8に電圧を印加したところ、EL発光(青色)が観測された。1000cd/m
2における駆動電圧は8.2V、発光効率は15.0cd/Aであった。
【0411】
<比較例5> 発光素子C5の作製と評価
発光素子C5は、外気取り入れ口にケミカルフィルターを設置しない室内環境下で作製した以外は、発光素子6と同様にして、発光素子C5を作製した。発光素子C5の作製において、発光層を形成する工程の開始時から封止層を形成する工程の終了時までの間における製造中の発光素子が、オゾンに曝露された時間は110分間であり、この間のオゾン濃度の平均値は25ppbであった。製造中の発光素子がオゾンに曝露される際のオゾン濃度の平均値:A=25ppb、製造中の発光素子がオゾンに曝露される際の時間:B=110分であったため、A×B=2750であった。
【0412】
発光素子C5に電圧を印加したところ、EL発光(青色)が観測された。1000cd/m
2における駆動電圧は10.1V、発光効率は9.0cd/Aであった。
【0413】
【表5】
【0414】
<実施例9>発光素子9の作製と評価
(陽極および正孔注入層の形成)
ガラス基板に、スパッタ法により45nmの厚みでITO膜を付けることにより陽極を形成した。該陽極の上に、ポリチオフェン・スルホン酸系の正孔注入剤であるAQ−1200(Plextronics社製)をスピンコート法により35nmの厚さで成膜し、大気雰囲気下において、ホットプレート上で170℃、15分間加熱することにより正孔注入層を形成した。
【0415】
(正孔輸送層の形成)
キシレンに、高分子化合物P2を0.7重量%の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を用いて、正孔注入層の上にスピンコート法により20nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、180℃、60分間加熱させることにより正孔輸送層を形成した。
【0416】
(発光層の形成)
トルエンに、高分子化合物P3およびイリジウム錯体1(高分子化合物P3/イリジウム錯体1=92.5重量%/7.5重量%)を1.3重量%の濃度で溶解させた。得られたトルエン溶液を用いて、正孔輸送層の上にスピンコート法により80nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、150℃、10分間加熱させることにより発光層を形成した。
【0417】
(陰極の形成)
発光層を形成した基板を蒸着機内において、1.0×10
-4Pa以下となるまで減圧した後、陰極として、発光層の上にフッ化ナトリウムを約5nm、次いで、フッ化ナトリウム層の上にアルミニウムを約60nm蒸着した。蒸着後、窒素ガス雰囲気下において、ガラス基板を用いて封止層を形成することにより、発光素子9を作製した。なお、発光素子9が有する陽極、陰極および各層と、封止層の形成に用いたガラス基板との間には空間が存在する。封止層の形成は窒素ガス雰囲気下で行われているため、該空間には窒素ガスが充填されている。
【0418】
発光素子9は、外気取り入れ口にケミカルフィルター(ニチアス株式会社製、製品名:ケミカルガード−AX(活性炭を用いたケミカルフィルター))を設置した室内環境下で作製した。発光素子9の作製において、発光層を形成する工程の開始時から封止層を形成する工程の終了時までの間における製造中の発光素子が、オゾンに曝露された時間は60分間であり、この間のオゾン濃度の平均値は0.6ppbであった。製造中の発光素子がオゾンに曝露される際のオゾン濃度の平均値:A=0.6ppb、製造中の発光素子がオゾンに曝露される際の時間:B=60分であったため、A×B=36であった。
【0419】
発光素子9に電圧を印加したところ、EL発光(赤色)が観測された。輝度が1000cd/m
2における駆動電圧は5.6V、発光効率は21.7cd/Aであった。
【0420】
<実施例10>発光素子10の作製と評価
発光素子9と同様にして、発光素子10を作製した。発光素子10の作製において、発光層を形成する工程の開始時から封止層を形成する工程の終了時までの間における製造中の発光素子が、オゾンに曝露された時間は230分間であり、この間のオゾン濃度の平均値は0.7ppbであった。製造中の発光素子がオゾンに曝露される際のオゾン濃度の平均値:A=0.7ppb、製造中の発光素子がオゾンに曝露される際の時間:B=230分であったため、A×B=161であった。
【0421】
発光素子10に電圧を印加したところ、EL発光(赤色)が観測された。1000cd/m
2における駆動電圧は5.7V、発光効率は21.9cd/Aであった。
【0422】
<比較例6>発光素子C6の作製と評価
発光素子C6は、外気取り入れ口にケミカルフィルターを設置しない室内環境下で作製した以外は、発光素子9と同様にして作製した。発光素子C6の作製において、発光層を形成する工程の開始時から封止層を形成する工程の終了時までの間における製造中の発光素子が、オゾンに曝露された時間は115分間であり、この間のオゾン濃度の平均値は15ppbであった。製造中の発光素子がオゾンに曝露される際のオゾン濃度の平均値:A=15ppb、製造中の発光素子がオゾンに曝露される際の時間:B=115分であったため、A×B=1725であった。
【0423】
発光素子C6に電圧を印加したところ、EL発光(赤色)が観測された。1000cd/m
2における駆動電圧は6.7V、発光効率は17.2cd/Aであった。
【0424】
<比較例7>発光素子C7の作製と評価
発光素子C7は、外気取り入れ口にケミカルフィルターを設置しない室内環境下で作製した以外は、発光素子9と同様にして作製した。発光素子C7の作製において、発光層を形成する工程の開始時から封止層を形成する工程の終了時までの間における製造中の発光素子が、オゾンに曝露された時間は260分間であり、この間のオゾン濃度の平均値は18ppbであった。製造中の発光素子がオゾンに曝露される際のオゾン濃度の平均値:A=18ppb、製造中の発光素子がオゾンに曝露される際の時間:B=260分であったため、A×B=4680であった。
【0425】
発光素子C7に電圧を印加したところ、EL発光(赤色)が観測された。1000cd/m
2における駆動電圧は7.5V、発光効率は12.4cd/Aであった。
【0426】
【表6】
【0427】
<実施例11>発光素子11の作製と評価
(陽極および正孔注入層の形成)
ガラス基板に、スパッタ法により45nmの厚みでITO膜を付けることにより陽極を形成した。該陽極上に、ポリチオフェン・スルホン酸系の正孔注入剤であるAQ−1200(Plextronics社製)をスピンコート法により35nmの厚さで成膜し、大気雰囲気下において、ホットプレート上で170℃、15分間加熱することにより正孔注入層を形成した。
【0428】
(正孔輸送層の形成)
キシレンに、高分子化合物P2を0.7重量%の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を用いて、正孔注入層の上にスピンコート法により20nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、180℃、60分間加熱させることにより正孔輸送層を形成した。
【0429】
(発光層の形成)
トルエンに、低分子化合物SM1(Luminescence Technology社製、LT−N4013)およびイリジウム錯体6(低分子化合物SM1/イリジウム錯体6=90重量%/10重量%)を1.9重量%の濃度で溶解させた。得られたトルエン溶液を用いて、正孔輸送層の上にスピンコート法により60nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、130℃、10分間加熱させることにより発光層を形成した。
【0430】
【化93】
【0431】
(電子輸送層の形成)
2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノールに、高分子化合物P6を0.25重量%の濃度で溶解させた。得られた2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノール溶液を用いて、発光層の上にスピンコート法により10nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、130℃、10分間加熱させることにより電子輸送層を形成した。
【0432】
(陰極の形成)
電子輸送層を形成した基板を蒸着機内において、1.0×10
-4Pa以下となるまで減圧した後、陰極として、電子輸送層の上にフッ化ナトリウムを約5nm、次いで、フッ化ナトリウム層の上にアルミニウムを約60nm蒸着した。蒸着後、窒素ガス雰囲気下において、ガラス基板を用いて封止層を形成することにより、発光素子11を作製した。なお、発光素子11が有する陽極、陰極および各層と、封止層の形成に用いたガラス基板との間には空間が存在する。封止層の形成は窒素ガス雰囲気下で行われているため、該空間には窒素ガスが充填されている。
【0433】
発光素子11は、外気取り入れ口にケミカルフィルター(ニチアス株式会社製、製品名:ケミカルガード−AX(活性炭を用いたケミカルフィルター))を設置した室内環境下で作製した。発光素子11の作製において、発光層を形成する工程の開始時から封止層を形成する工程の終了時までの間における製造中の発光素子が、オゾンに曝露された時間は230分間であり、この間のオゾン濃度の平均値は0.7ppbであった。製造中の発光素子がオゾンに曝露される際のオゾン濃度の平均値:A=0.7ppb、製造中の発光素子がオゾンに曝露される際の時間:B=230分であったため、A×B=161であった。
【0434】
発光素子11に電圧を印加したところ、EL発光(青色)が観測された。輝度が1000cd/m
2における駆動電圧は5.5V、発光効率は8.8cd/Aであった。
【0435】
<比較例8>発光素子C8の作製と評価
発光素子C8は、外気取り入れ口にケミカルフィルターを設置しない室内環境下で作製した以外は、発光素子11と同様にして作製した。発光素子C8の作製において、発光層を形成する工程の開始時から封止層を形成する工程の終了時までの間における製造中の発光素子が、オゾンに曝露された時間は115分間であり、この間のオゾン濃度の平均値は15ppbであった。製造中の発光素子がオゾンに曝露される際のオゾン濃度の平均値:A=15ppb、製造中の発光素子がオゾンに曝露される際の時間:B=115分であったため、A×B=1725であった。
【0436】
発光素子C8に電圧を印加したところ、EL発光(青色)が観測された。1000cd/m
2における駆動電圧は7.5V、発光効率は4.9cd/Aであった。
【0437】
【表7】
【0438】
<実施例12>発光素子12の作製と評価
(陽極および正孔注入層の形成)
ガラス基板に、スパッタ法により45nmの厚みでITO膜を付けることにより陽極を形成した。該陽極上に、ポリチオフェン・スルホン酸系の正孔注入剤であるAQ−1200(Plextronics社製)をスピンコート法により35nmの厚さで成膜し、大気雰囲気下において、ホットプレート上で170℃、15分間加熱することにより正孔注入層を形成した。
【0439】
(正孔輸送層の形成)
キシレンに、高分子化合物P2を0.7重量%の濃度で溶解させた。得られたキシレン溶液を用いて、正孔注入層の上にスピンコート法により20nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、180℃、60分間加熱させることにより正孔輸送層を形成した。
【0440】
(発光層の形成)
トルエンに、低分子化合物SM1(Luminescence Technology社製、LT−N4013)およびイリジウム錯体7(低分子化合物SM1/イリジウム錯体7=70重量%/30重量%)を1.5重量%の濃度で溶解させた。得られたトルエン溶液を用いて、正孔輸送層の上にスピンコート法により60nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、130℃、10分間加熱させることにより発光層を形成した。
【0441】
(電子輸送層の形成)
2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノールに、高分子化合物P6を0.25重量%の濃度で溶解させた。得られた2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノール溶液を用いて、発光層の上にスピンコート法により10nmの厚さで成膜し、窒素ガス雰囲気下において、130℃、10分間加熱させることにより電子輸送層を形成した。
【0442】
(陰極の形成)
電子輸送層を形成した基板を蒸着機内において、1.0×10
-4Pa以下となるまで減圧した後、陰極として、電子輸送層の上にフッ化ナトリウムを約5nm、次いで、フッ化ナトリウム層の上にアルミニウムを約60nm蒸着した。蒸着後、窒素ガス雰囲気下において、ガラス基板を用いて封止層を形成することにより、発光素子12を作製した。なお、発光素子12が有する陽極、陰極および各層と、封止層の形成に用いたガラス基板との間には空間が存在する。封止層の形成は窒素ガス雰囲気下で行われているため、該空間には窒素ガスが充填されている。
【0443】
発光素子12は、外気取り入れ口にケミカルフィルター(ニチアス株式会社製、製品名:ケミカルガード−AX(活性炭を用いたケミカルフィルター))を設置した室内環境下で作製した。発光素子12の作製において、発光層を形成する工程の開始時から封止層を形成する工程の終了時までの間における製造中の発光素子が、オゾンに曝露された時間は515分間であり、この間のオゾン濃度の平均値は0.5ppbであった。製造中の発光素子がオゾンに曝露される際のオゾン濃度の平均値:A=0.5ppb、製造中の発光素子がオゾンに曝露される際の時間:B=515分であったため、A×B=257.5であった。
【0444】
発光素子12に電圧を印加したところ、EL発光(青色)が観測された。輝度が200cd/m
2における駆動電圧は5.0V、発光効率は8.3cd/Aであった。
【0445】
<比較例9>発光素子C9の作製と評価
発光素子C9は、外気取り入れ口にケミカルフィルターを設置しない室内環境下で作製した以外は、発光素子13と同様にして作製した。発光素子C9の作製において、発光層を形成する工程の開始時から封止層を形成する工程の終了時までの間における製造中の発光素子が、オゾンに曝露された時間は115分間であり、この間のオゾン濃度の平均値は15ppbであった。製造中の発光素子がオゾンに曝露される際のオゾン濃度の平均値:A=15ppb、製造中の発光素子がオゾンに曝露される際の時間:B=115分であったため、A×B=1725であった。
【0446】
発光素子C9に電圧を印加したところ、EL発光(青色)が観測された。200cd/m
2における駆動電圧は10.0V、発光効率は6.4cd/Aであった。
【0447】
<比較例10>発光素子C10の作製と評価
発光素子C10は、外気取り入れ口にケミカルフィルターを設置しない室内環境下で作製した以外は、発光素子13と同様にして作製した。発光素子C10の作製において、発光層を形成する工程の開始時から封止層を形成する工程の終了時までの間における製造中の発光素子が、オゾンに曝露された時間は260分間であり、この間のオゾン濃度の平均値は18ppbであった。製造中の発光素子がオゾンに曝露される際のオゾン濃度の平均値:A=18ppb、製造中の発光素子がオゾンに曝露される際の時間:B=260分であったため、A×B=4680であった。
【0448】
発光素子C10に電圧を印加したところ、EL発光(青色)が観測された。200cd/m
2における駆動電圧は11.5V、発光効率は4.3cd/Aであった。
【0449】
【表8】