特許第5880944号(P5880944)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5880944重合性コレステリック液晶組成物、及びそれを用いた薄膜
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5880944
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】重合性コレステリック液晶組成物、及びそれを用いた薄膜
(51)【国際特許分類】
   C09K 19/42 20060101AFI20160225BHJP
   C09K 19/38 20060101ALI20160225BHJP
   C09K 19/54 20060101ALI20160225BHJP
   C09K 19/12 20060101ALI20160225BHJP
   C09K 19/30 20060101ALI20160225BHJP
   C09K 19/32 20060101ALI20160225BHJP
   C09K 19/34 20060101ALI20160225BHJP
   C09K 19/20 20060101ALI20160225BHJP
   C09K 19/28 20060101ALI20160225BHJP
   C09K 19/22 20060101ALI20160225BHJP
   C09K 19/14 20060101ALI20160225BHJP
   C09K 19/16 20060101ALI20160225BHJP
   C09K 19/18 20060101ALI20160225BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20160225BHJP
【FI】
   C09K19/42
   C09K19/38
   C09K19/54 B
   C09K19/54 Z
   C09K19/12
   C09K19/30
   C09K19/32
   C09K19/34
   C09K19/20
   C09K19/28
   C09K19/22
   C09K19/14
   C09K19/16
   C09K19/18
   G02F1/13 500
【請求項の数】5
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2012-31612(P2012-31612)
(22)【出願日】2012年2月16日
(65)【公開番号】特開2013-166883(P2013-166883A)
(43)【公開日】2013年8月29日
【審査請求日】2014年11月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124970
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 通洋
(72)【発明者】
【氏名】中田 秀俊
(72)【発明者】
【氏名】堀越 真人
(72)【発明者】
【氏名】長谷部 浩史
(72)【発明者】
【氏名】小谷 邦彦
【審査官】 西澤 龍彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−008207(JP,A)
【文献】 特表2011−510915(JP,A)
【文献】 特開2008−076789(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/080855(WO,A1)
【文献】 特開2008−076790(JP,A)
【文献】 特表2008−517077(JP,A)
【文献】 特開2010−248467(JP,A)
【文献】 特開2013−067603(JP,A)
【文献】 特開2010−217708(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 19/00− 19/60
G02F 1/00− 1/39
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1成分として一般式(1)で表される化合物を少なくとも1種類以上含有し、
【化12】
(式中、P及びPは、それぞれ独立してアクリレート基、又はメタクリレート基を表し、
及びEは、それぞれ独立して単結合、又は炭素原子数1〜15のアルキレン基を表し、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子、−CO−、−OCO−、−COO−、又は−CH=CH−で置換されていてもよく、A、A及びAはそれぞれ独立して、1,4−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、1,4−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、ピリジン−2,6−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表すが、これらの基は無置換であっても良く、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1から7のアルキル基、炭素原子数1から7のアルコキシ基又は炭素原子数1から7のアルカノイル基によって置換されていても良く、これらのアルキル基、アルコキシ基又はアルカノイル基は1個以上の水素原子がフッ素原子又は塩素原子により置き換えられても良く、Z及びZはそれぞれ独立して、−OCH−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CHCH−、−CHCF−、−CFCH−、−CFCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−OCO−、−CHCH−COO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−OCO−、−CH−COO−、−CH=CH−、−C≡C−、又は単結合を表す。)
第2成分として一般式(2)の化合物を少なくとも1種類以上含有し、
【化13】
(式中、Pは、アクリレート基、又はメタクリレート基を表し、Eは、単結合、又は炭素原子数1〜15のアルキレン基を表し、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子、−CO−、−OCO−、−COO−、又は−CH=CH−で置換されていてもよく、A、A及びAはそれぞれ独立して、1,4−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、1,4−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、ピリジン−2,6−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表すが、これらの基は無置換であっても良く、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1から7のアルキル基、炭素原子数1から7のアルコキシ基又は炭素原子数1から7のアルカノイル基によって置換されていても良く、これらのアルキル基、アルコキシ基又はアルカノイル基は1個以上の水素原子がフッ素原子又は塩素原子により置き換えられても良く、Z及びZはそれぞれ独立して、−OCH−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CHCH−、−CHCF−、−CFCH−、−CFCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−OCO−、−CHCH−COO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−OCO−、−CH−COO−、−CH=CH−、−C≡C−、又は単結合を表し、Rは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基又は炭素原子数1〜15のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個のメチレン基、又は隣接していない2個以上のメチレン基が各々独立して酸素原子、硫黄原子、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−、−CH=CF−、−CF=CH−又は−C≡C−によって置き換えられても良く、nは0又は1を表す。)
第3成分として、一般式(3−1)〜(3−4)で表されるキラル化合物を少なくとも1種類以上含有し、
【化13】
(式中、Y71〜Y77はそれぞれ独立して水素原子、又メチル基を表し、A71〜A77はそれぞれ独立して1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基又は2,6−ナフチレン基を表し、該1,4−フェニレン基、2,6−ナフチレン基は無置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、塩素原子、メチル基、メトキシ基、CF基、又はOCF基を有することができ、Z71〜Z77はそれぞれ独立して−COO−、−OCO−、−CHCH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、又は単結合を表し、E71〜E77はそれぞれ独立して単結合、又は炭素原子数1〜15のアルキレン基を表し、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子、−CO−、−OCO−、−COO−、又は−CH=CH−で置換されていてもよく、該アルキレン基中に存在する1つ以上の水素原子は、メチル基で置換されていても良く、n71〜n77は、それぞれ独立して、0、1、又は2を表す。また、ビナフチルの配置は、R体、又はS体のどちらでも良い。)
第4成分として、重合開始剤を少なくとも1種類以上含有し、
第5成分として、一般式(5)で表される連鎖移動剤を0.1〜5.0質量%含有し、
【化14】
(式中、Aは1,4−フェニレン基又はナフタレン−2,6−ジイル基を表し、Aはフェニル基又は、ナフチル基(該フェニル基又は、ナフチル基は無置換であっても良く、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1から7のアルキル基、炭素原子数1から7のアルコキシ基又は炭素原子数1から7のアルカノイル基によって置換されていても良く、これらのアルキル基、アルコキシ基又はアルカノイル基は1個以上の水素原子がフッ素原子又は塩素原子により置き換えられても良い)を表し、Aは、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2.6−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ピラジン−2.5−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又はナフタレン−2,6−ジイル基を表し、該1,4−フェニレン基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又はナフタレン−2,6−ジイル基は無置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、塩素原子、メチル基、メトキシ基、CF基、又はOCF基を有することができ、Gは単結合、又は炭素原子数1〜5のアルキレン基を表し、該アルキレン基中の1つ以上の水素原子はメチル基、メトキシ基、エチル基又はエトキシ基で置換されていても良く、該アルキレン基中の1つ以上のメチレン基は酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、Zは、−OCH−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CHCH−、−CHCF−、−CFCH−、−CFCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−OCO−、−CHCH−COO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−OCO−、−CH−COO−、−CH=CH−、−C≡C−、又は単結合を表し、mは0、1、又は2を表し、Rは水素原子、炭素原子数1〜15のアルキル基、炭素原子数2〜15のアルケニル基、ハロゲン原子、シアノ基又はNCS基を表し、該アルキル基又はアルケニル基は無置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、塩素原子、シアノ基、メチル基、メトキシ基又はCF基を有することができ、該アルキル基又はアルケニル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子、−CO−、又は−COO−で置換されていてもよい。)
第6成分として、界面活性剤、又は一般式(6)で表される繰り返し単位を有する重量平均分子量が100以上である化合物を含有する重合性コレステリック液晶組成物。
【化15】
( 式中、R11 、R12 、R13 及びR14 はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜20の炭化水素基を表し、該炭化水素基中の水素原子は1つ以上のハロゲン原子で置換されていても良い。)
【請求項2】
第1成分の一般式(1)で表される化合物の含有量が5〜30質量%である請求項1記載の重合性コレステリック液晶組成物。
【請求項3】
第2成分の一般式(2)で表される化合物の含有量が50〜90質量%である請求項1又は2に記載の重合性コレステリック液晶組成物。
【請求項4】
第5成分の一般式(5)で表される連鎖移動剤のAが1,4−フェニレン基、Aがフェニル基、Gが単結合又は1,1ジメチルエチレン基、Rは水素原子、mが0を表す、請求項1〜のいずれか1項に記載の重合性コレステリック液晶組成物。
【請求項5】
請求項1〜のいずれか1項に記載の重合性コレステリック液晶組成物を重合してなる薄膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は重合性コレステリック液晶組成物、及びこれを用いた薄膜に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、重合性液晶材料を用いた、偏光板、位相差板等の開発が盛んに行われている。これらは、ラビング処理を施した基材に、重合可能な液晶材料を含む溶液を塗布し、溶剤を乾燥させた後、紫外線、又は熱により重合させることによって得られる。また、重合性液晶材料にキラル化合物を添加し重合性コレステリック液晶材料とすると、同様の手法にて、円偏光分離素子が得られることも知られており、輝度向上フィルム等への応用等が検討されている。
重合性コレステリック液晶材料を輝度向上フィルム等へ応用する場合は、高帯域の反射波長特性、及び高反射輝度とともに、輝度の均一性、低ヘイズ化、及び基材への良好な密着性が求められる。高反射輝度は、Δnの大きな材料で実現可能であり、高帯域の反射波長特性は特許文献1に見られるような、反応性の異なる化合物を組み合わせる手法を用いて実現が可能である。
【0003】
しかしながら、輝度の均一性、低ヘイズ化、及び良好な密着性については、両立することがこれまで困難であった。密着性については、特許文献2にはオキシムエステル系光重合開始剤を用いる方法、特許文献3には重合性リン系化合物を含有する方法、特許文献4にはアミノ基を含有するシランカップリング剤とアルコール性の多官能分子をともに添加する方法等々の記述があるが、特許文献2及び特許文献3の手法では、密着性はまだ十分でなく、特許文献4の手法では、非液晶性化合物の添加量が多すぎて、液晶の転移点(Tni)が下がってしまう問題があった。溶媒を乾燥させる温度としては重合性液晶組成物のTni以下の温度で行うことが、輝度の均一性、低ヘイズ化及びムラ現象回避のためには必須であるが、Tniが低くなると十分な高い乾燥温度条件を設定できないため、溶媒の揮発速度が遅くなり、ムラが生じやすくなってしまう。また、重合組成物の基材への密着性を増す手法としては、特許文献5のように、チオールを用いる手法が知られている。この手法は配向制御のいらない重合性組成物や、配向制御が必要な重合性液晶組成物でも一軸配向性のものであればある程度有効であるが、重合性コレステリック液晶組成物の場合は、困難であった。一軸配向性のものはある程度の配向性が取れていれば、フィルム全体としての配向性は維持できるが、コレステリック液晶組成物の場合は、わずかな配向の乱れがヘイズ、及び輝度の不均一性の増大を招いてしまうからである。
【0004】
以上のように、重合性コレステリック液晶組成物を用いた薄膜においては、低ヘイズ化やムラの無いことと良好な密着性の両立がこれまで困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−281814号公報
【特許文献2】特開2010−152217号公報
【特許文献3】特開2008−250108号公報
【特許文献4】特開2007−332270号公報
【特許文献5】特開2008−163094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、基材に対する密着性が良好であり、低ヘイズ且つムラのない薄膜が実現できる重合性コレステリック液晶組成物を提供し、併せて、当該重合性コレステリック液晶組成物を用いた外観の優れた薄膜を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、種々の化合物の組み合わせを検討した結果、課題を解決するに至った。
すなわち、第1成分として一般式(1)で表される化合物を少なくとも1種類以上含有し、
【0008】
【化1】
【0009】
(式中、P及びPは、それぞれ独立してアクリレート基、又はメタクリレート基を表し、
及びEは、それぞれ独立して単結合、又は炭素原子数1〜15のアルキレン基を表し、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子、−CO−、−OCO−、−COO−、又は−CH=CH−で置換されていてもよく、A、A及びAはそれぞれ独立して、1,4−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、1,4−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、ピリジン−2,6−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表すが、これらの基は無置換であっても良く、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1から7のアルキル基、炭素原子数1から7のアルコキシ基又は炭素原子数1から7のアルカノイル基によって置換されていても良く、これらのアルキル基、アルコキシ基又はアルカノイル基は1個以上の水素原子がフッ素原子又は塩素原子により置き換えられても良く、
及びZはそれぞれ独立して、−OCH−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CHCH−、−CHCF−、−CFCH−、−CFCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−OCO−、−CHCH−COO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−OCO−、−CH−COO−、−CH=CH−、−C≡C−、又は単結合を表す。)
第2成分として一般式(2)の化合物を少なくとも1種類以上含有し、
【0010】
【化2】
【0011】
(式中、Pは、アクリレート基、又はメタクリレート基を表し、
は、単結合、又は炭素原子数1〜15のアルキレン基を表し、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子、−CO−、−OCO−、−COO−、又は−CH=CH−で置換されていてもよく、
、A及びAはそれぞれ独立して、1,4−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、1,4−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、ピリジン−2,6−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表すが、これらの基は無置換であっても良く、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1から7のアルキル基、炭素原子数1から7のアルコキシ基又は炭素原子数1から7のアルカノイル基によって置換されていても良く、これらのアルキル基、アルコキシ基又はアルカノイル基は1個以上の水素原子がフッ素原子又は塩素原子により置き換えられても良く、
及びZはそれぞれ独立して、−OCH−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CHCH−、−CHCF−、−CFCH−、−CFCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−OCO−、−CHCH−COO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−OCO−、−CH−COO−、−CH=CH−、−C≡C−、又は単結合を表し、
は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基又は炭素原子数1〜15のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個のメチレン基、又は隣接していない2個以上のメチレン基が各々独立して酸素原子、硫黄原子、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−、−CH=CF−、−CF=CH−又は−C≡C−によって置き換えられても良く、
nは0又は1を表す。)
第3成分として、キラル化合物を少なくとも1種類以上含有し、
第4成分として、重合開始剤を少なくとも1種類以上含有し、
第5成分として、一般式(5)で表される連鎖移動剤を少なくとも1種類以上含有し、その含有量が0.1〜5.0質量%であり、
【0012】
【化3】
【0013】
(式中、Aは1,4−フェニレン基又はナフタレン−2,6−ジイル基を表し、Aはフェニル基又は、ナフチル基(該フェニル基又は、ナフチル基は無置換であっても良く、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1から7のアルキル基、炭素原子数1から7のアルコキシ基又は炭素原子数1から7のアルカノイル基によって置換されていても良く、これらのアルキル基、アルコキシ基又はアルカノイル基は1個以上の水素原子がフッ素原子又は塩素原子により置き換えられても良い)を表し、
は、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2.6−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ピラジン−2.5−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又はナフタレン−2,6−ジイル基を表し、該1,4−フェニレン基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又はナフタレン−2,6−ジイル基は無置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、塩素原子、メチル基、メトキシ基、CF基、又はOCF基を有することができ、
は単結合、又は炭素原子数1〜5のアルキレン基を表し、該アルキレン基中の1つ以上の水素原子はメチル基、メトキシ基、エチル基又はエトキシ基で置換されていても良く、該アルキレン基中の1つ以上のメチレン基は酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、
は、−OCH−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CHCH−、−CHCF−、−CFCH−、−CFCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−OCO−、−CHCH−COO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−OCO−、−CH−COO−、−CH=CH−、−C≡C−、又は単結合を表し、
mは0、1、又は2を表し、
は水素原子、炭素原子数1〜15のアルキル基、炭素原子数2〜15のアルケニル基、ハロゲン原子、シアノ基又はNCS基を表し、該アルキル基又はアルケニル基は無置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、塩素原子、シアノ基、メチル基、メトキシ基又はCF基を有することができ、該アルキル基又はアルケニル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子、−CO−、又は−COO−で置換されていてもよい。)
第6成分として、界面活性剤、又は一般式(6)で表される繰り返し単位を有する重量平均分子量が100以上である化合物を含有する重合性コレステリック液晶組成物、及び当該組成物を構成部材とした薄膜を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本願発明の重合性コレステリック液晶組成物を用いることで、基材に対して密着性が良く、低ヘイズかつムラのない薄膜を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の重合性液晶組成物は、(1)第1成分として重合性官能基を2つ有する化合物を、(2)第2成分として重合性官能基を1つ有する重合性液晶化合物を、(3)第3成分としてキラル化合物を、(4)第4成分として光重合開始剤を、(5)第5成分として連鎖移動剤を、(6)第6成分として空気界面での液晶化合物のチルト角を減じるための添加剤を、(7)必要に応じその他の添加剤を含有する。
【0016】
(第1成分)
第一成分である重合性官能基を2つ有する化合物は、重合後に架橋構造をとるため、薄膜の耐熱性、耐溶剤性等を得るために必要な材料である。この重合性官能基を2つ有する化合物は、一般式(1)で表される。
【0017】
【化4】
【0018】
(式中、P及びPは、それぞれ独立してアクリレート基、又はメタクリレート基を表し、
及びEは、それぞれ独立して単結合、又は炭素原子数1〜15のアルキレン基を表し、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子、−CO−、−OCO−、−COO−、又は−CH=CH−で置換されていてもよく、A、A及びAはそれぞれ独立して、1,4−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、1,4−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、ピリジン−2,6−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表すが、これらの基は無置換であっても良く、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1から7のアルキル基、炭素原子数1から7のアルコキシ基又は炭素原子数1から7のアルカノイル基によって置換されていても良く、これらのアルキル基、アルコキシ基又はアルカノイル基は1個以上の水素原子がフッ素原子又は塩素原子により置き換えられても良く、Z及びZはそれぞれ独立して、−OCH−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CHCH−、−CHCF−、−CFCH−、−CFCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−OCO−、−CHCH−COO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−OCO−、−CH−COO−、−CH=CH−、−C≡C−、又は単結合を表す。)
、A及びAとしては、1,4−フェニレン基又はナフタレン−2,6−ジイル基(これらの基は無置換であっても良く、フッ素原子、塩素原子、炭素原子数1から3のアルキル基、炭素原子数1から3のアルコキシ基又は炭素原子数1から3のアルカノイル基によって置換されていても良い)であることが好ましく、A、A及びAのうちいずれか1つ又は2つが1つの水素原子がフッ素原子、塩素原子、メチル基、メトキシ基で置換されている1,4−フェニレン基、又はナフタレン−2,6−ジイル基であることがより好ましい。
【0019】
及びZとしては、−COO−、−OCO−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−OCO−、−CHCH−COO−、−CH−CH−、−CH=CH−、−C≡C−、又は単結合であることが好ましく、−COO−又は−OCO−であることがより好ましい。
【0020】
及びEとしては、炭素原子数1〜8のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子、又は−C=C−で置換されていても良い)が好ましく、炭素原子数3〜6のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子で置換されていても良い)が好ましい。
【0021】
さらに、一般式(1−1)
【0022】
(式中、Y11及びY12は、それぞれ独立して水素原子、又はメチル基を表し、E11及びE12は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜8のアルキレン基を表し、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子、−CO−、−OCO−、−COO−、又は−CH=CH−で置換されていてもよいが、炭素原子数1〜8のアルキレン基が好ましく、炭素原子数3〜6のアルキレン基がより好ましく、X〜X12はそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、メチル基、メトキシ基を表すが、X〜Xの中で1つがフッ素原子、塩素原子、メチル基、又はメトキシ基であるか、又はX〜Xの中で1つがフッ素原子、塩素原子、メチル基、又はメトキシ基であることが好ましくZ11及びZ12はそれぞれ独立して、−COO−、−OCO−、又は単結合を表す。)であることが好ましい。
【0023】
また、この重合性官能基を2つ有する化合物の含有量としては、5〜30質量%であることが好ましく、8〜24質量%であることが更に好ましく、10〜19質量%であることが更により好ましく、10〜15質量%であることが最も好ましい。
【0024】
(第2成分)
第2成分である重合性官能基を1つ有する化合物は、屈折率異方性、転移点、粘度等の各種物性値を調整するために使用される。この重合性官能基を1つ有する化合物は、一般式(2)で表される。
【0025】
【化5】
【0026】
(式中、Pは、アクリレート基、又はメタクリレート基を表し、
は、単結合、又は炭素原子数1〜15のアルキレン基を表し、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子、−CO−、−OCO−、−COO−、又は−CH=CH−で置換されていてもよく、A、A及びAはそれぞれ独立して、1,4−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、1,4−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、ピリジン−2,6−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表すが、これらの基は無置換であっても良く、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1から7のアルキル基、炭素原子数1から7のアルコキシ基又は炭素原子数1から7のアルカノイル基によって置換されていても良く、これらのアルキル基、アルコキシ基又はアルカノイル基は1個以上の水素原子がフッ素原子又は塩素原子により置き換えられても良く、Z及びZはそれぞれ独立して、−OCH−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CHCH−、−CHCF−、−CFCH−、−CFCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−OCO−、−CHCH−COO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−OCO−、−CH−COO−、−CH=CH−、−C≡C−、又は単結合を表し、Rは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、炭素原子数1〜15のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個のメチレン基、又は隣接していない2個以上のメチレン基が各々独立して酸素原子、硫黄原子、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−、−CH=CF−、−CF=CH−又は−C≡C−によって置き換えられても良く、nは0又は1を表す。)
【0027】
、A及びAとしては、1,4−フェニレン基又はナフタレン−2,6−ジイル基(これらの基は無置換であっても良く、フッ素原子、塩素原子、炭素原子数1から3のアルキル基、炭素原子数1から3のアルコキシ基又は炭素原子数1から3のアルカノイル基によって置換されていても良い)であることが好ましく、A、A及びAのうちいずれか1つ又は2つが、1つの水素原子がフッ素原子、塩素原子、メチル基、メトキシ基で置換された1,4−フェニレン基、又はナフタレン−2,6−ジイル基であることがより好ましい。
【0028】
及びZとしては、−COO−、−OCO−、−CFO−、−OCF−、−CHCH−、−CFCF−、−CH=CH−、−C≡C−、又は単結合であることが好ましく、−COO−、−OCO−、−CHCH−、−CH=CH−、−C≡C−、又は単結合であることがより好ましい。
【0029】
としては、炭素原子数1〜8のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子、又は−C=C−で置換されていても良い)が好ましく、炭素原子数3〜6のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子で置換されていても良い)が好ましい。
【0030】
としては、炭素原子数1〜8のアルキル基(該アルキル基中の1個のメチレン基、又は隣接していない2個以上のメチレン基が各々独立して酸素原子、−COO−、−OCO−で置換されていても良い)であることが好ましい。
【0031】
nは1であることが好ましい。
【0032】
第2成分の含有量としては、50〜90質量%であることが好ましく、60〜85質量%であることがより好ましく、65〜83質量%であることが更により好ましく、70〜80質量%であることが最も好ましい。
【0033】
(第3成分)
第3成分のキラル化合物を添加することで、液晶組成物はらせん構造をとり、円偏光分離素子としての機能を発揮する。
このキラル化合物は重合性官能基を有することが好ましく、該重合性官能基はアクリル基、又はメタクリル基であることがより好ましい。
HTP(ヘリカルツイストパワー)としては、添加する組成系に対して、20以上が好ましく、30以上がより好ましく、45以上が更により好ましい。
具体的には、一般式(3−1)〜(3−4)の化合物が好ましい。
【0034】
【化6】
【0035】
(式中、Y71〜Y77はそれぞれ独立して水素原子、又メチル基を表し、A71〜A77はそれぞれ独立して1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基又は2,6−ナフチレン基を表し、該1,4−フェニレン基、2,6−ナフチレン基は無置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、塩素原子、メチル基、メトキシ基、CF基、又はOCF基を有することができ、Z71〜Z77はそれぞれ独立して−COO−、−OCO−、−CHCH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、又は単結合を表し、E71〜E77はそれぞれ独立して単結合、又は炭素原子数1〜15のアルキレン基を表し、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子、−CO−、−OCO−、−COO−、又は−CH=CH−で置換されていてもよく、該アルキレン基中に存在する1つ以上の水素原子は、メチル基で置換されていても良く、n71〜n77は、それぞれ独立して、0、1、又は2を表す。また、ビナフチルの配置は、R体、又はS体のどちらでも良い。)
キラルの含有量としては、3〜10質量%が好ましく、3〜7質量%がより好ましい。
【0036】
この第3成分の存在で組成物の粘弾性が上昇し、第5成分の連鎖移動剤の効果が発揮できる。
【0037】
(第4成分)
第4成分の重合開始剤は、本発明の重合性液晶組成物を重合させるのに必要な化合物である。重合開始剤としては、熱重合開始剤や光重合開始剤が使用できるが、光重合開始剤が好ましく、具体的には以下のものが好ましい。
BASF社のイルガキュア651、イルガキュア184、イルガキュア907、イルガキュア127、イルガキュア369、イルガキュア379、イルガキュア819、イルガキュアOXE01、イルガキュアOXE02、ルシリンTPO、ダロキュア1173。LAMBSON社のエサキュア1001M、エサキュアKIP150、スピードキュアBEM、スピードキュアBMS、スピードキュアPBZ、ベンゾフェノン。
【0038】
これらの重合開始剤は、1種類でも良いが、2種類以上用いても良く、また増感剤等を添加しても良い。
【0039】
重合開始剤の含有量としては2〜10質量%が好ましく、3〜7質量%がより好ましい。
【0040】
(第5成分)
第5成分の連鎖移動剤は、基材との密着性をより向上させるために必要な化合物である。この連鎖移動剤は一般式(5)で表される。
【0041】
【化7】
【0042】
(式中、Aは1,4−フェニレン基又はナフタレン−2,6−ジイル基を表し、
はフェニル基又は、ナフチル基(該フェニル基又は、ナフチル基は無置換であっても良く、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1から7のアルキル基、炭素原子数1から7のアルコキシ基又は炭素原子数1から7のアルカノイル基によって置換されていても良く、これらのアルキル基、アルコキシ基又はアルカノイル基は1個以上の水素原子がフッ素原子又は塩素原子により置き換えられても良い)を表し、Aは、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2.6−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ピラジン−2.5−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又はナフタレン−2,6−ジイル基を表し、該1,4−フェニレン基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又はナフタレン−2,6−ジイル基は無置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、塩素原子、メチル基、メトキシ基、CF基、又はOCF基を有することができ、Gは単結合又は炭素原子数1〜5のアルキレン基を表し、該アルキレン基中の1つ以上の水素原子はメチル基、メトキシ基、エチル基又はエトキシ基で置換されていても良く、該アルキレン基中の1つ以上のメチレン基は酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、Zは、−OCH−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CHCH−、−CHCF−、−CFCH−、−CFCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−OCO−、−CHCH−COO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−OCO−、−CH−COO−、−CH=CH−、−C≡C−、又は単結合を表し、mは0、1、又は2を表し、Rは水素原子、炭素原子数1〜15のアルキル基、炭素原子数2〜15のアルケニル基、ハロゲン原子、シアノ基又はNCS基を表し、該アルキル基又はアルケニル基は無置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、塩素原子、シアノ基、メチル基、メトキシ基又はCF基を有することができ、該アルキル基又はアルケニル基中に存在する1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、酸素原子、−CO−、又は−COO−で置換されていてもよい。)
としては、1,4−フェニレン基が好ましい。
【0043】
としては、フェニル基、ナフチル基が好ましく、フェニル基が好ましい。Aとしては、1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキシレン基(該1,4−フェニレン基は、置換基として1個又は2個以上のフッ素原子、塩素原子、メチル基、メトキシ基、CF基、又はOCF基を有していても良い)が好ましく、1,4−フェニレン基がより好ましい。
【0044】
としては、単結合、−COO−、−OCO−、−CHCH−、−CH=CH−、−C≡C−、−CHO−、−OCH−、−CFO−又は−OCF−が好ましく、単結合、−COO−又は−OCO−がより好ましい。
【0045】
は水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数1〜5のアルコキシ基が好ましく、水素原子がより好ましい。
【0046】
としては、単結合又は炭素原子数1〜3のアルキレン基を表し、該アルキレン基中の1つ以上の水素原子はメチル基、メトキシ基、エチル基又はエトキシ基で置換されていても良いのが好ましく、単結合又は1,1ジメチル−1,2−エチレン基であることが好ましく、1,1ジメチル−1,2−エチレン基であることがより好ましい。
mとしては、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
【0047】
より具体的には、化合物(5−1)及び/又は(5−2)が好ましく、(5−2)がより好ましい。
【0048】
【化8】
【0049】
第5成分の添加量としては、開始剤量に対して10〜30質量%であることが好ましい。重合性コレステリック組成物中では、0.2〜3.0質量%が好ましく、0.3〜2.0質量%であることがより好ましい。
【0050】
一般式(5)の化合物は分子構造中にベンゼン環等の環構造を持つため、液晶との相溶性に優れ、液晶性を下げにくいという利点がある。また、低コストで実現したい場合は、(5−1)や(5−2)の化合物が有用である。
【0051】
(第6成分)
第6成分は空気界面での液晶化合物のチルト角を減じるために必要な化合物であり、界面活性剤、又は一般式(6)で表される繰り返し単位を有する重量平均分子量が100以上である化合物が用いられる。
【0052】
【化9】
【0053】
( 式中、R11 、R12 、R13 及びR14 はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜20の炭化水素基を表し、該炭化水素基中の水素原子は1つ以上のハロゲン原子で置換されていても良い。)
一般式(6)で表される化合物の重量平均分子量は200〜100000であることが好ましく、300〜10000であることがより好ましく、500〜5000であることがさらにより好ましい。
【0054】
また、界面活性剤、及び一般式(6)で表される繰り返し単位を有する重量平均分子量が100以上である化合物は、それぞれ単独でも、複数用いてもよく、また組み合わせて用いても良い。
【0055】
界面活性剤、及び一般式(6)で表される繰り返し単位を有する重量平均分子量が100以上である化合物の添加量は、0.01〜1質量%であることが好ましく、0.02〜0.2質量%であることがより好ましい。
【0056】
(その他の成分)
保存性を高めるため、重合禁止剤、酸化防止剤等を添加することも好ましい。そのような化合物として、ヒドロキノン誘導体、ヒンダードフェノール系酸化防止剤等が挙げられ、より具体的には、p−メトキシフェノール、BASF社のIRGANOX1010、IRGANOX1035、IRGANOX1076、IRGANOX1098、IRGANOX1135、IRGANOX1330、IRGANOX1425、IRGANOX1520、IRGANOX1726、IRGANOX245、IRGANOX259、IRGANOX3114、IRGANOX3790、IRGANOX5057、IRGANOX565等々があげられる。
【0057】
重合禁止剤、酸化防止剤の添加量としては、0.01〜1.0質量%であることが好ましく、0.05〜0.2質量%であることがより好ましい。
【0058】
更に物性調整のため、重合性でない液晶化合物、あるいは液晶性のない重合性化合物等も必要に応じて添加することも可能である。これらの化合物の添加量としては、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更により好ましい。
【0059】
本発明の重合性液晶組成物は、通常は溶媒に溶解した形状で用いられる。使用される溶剤としては特に限定はないが、重合性液晶化合物が良好な溶解性を示す溶媒が好ましく、100℃以下の温度で乾燥できる溶媒であることが好ましい。そのような溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、クメン、メシチレン等の芳香族系炭化水素、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等のケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、アニソール等のエーテル系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、等のアミド系溶剤、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、クロロベンゼン等が挙げられる。これらは、単独で使用することもできるし、2種類以上混合して使用することもできる。
【0060】
溶剤の比率は、本発明に用いられる重合性液晶組成物が通常塗布により行われることから、塗布した状態を著しく損なわない限りは特に制限はないが、重合性液晶組成物の固形分が10〜60質量%であることが好ましく、20〜50質量%であることがさらに好ましい。
【0061】
(薄膜の作製)
次に、本発明の重合性液晶組成物を用いた薄膜の作製方法について説明する。通常、本発明の重合性液晶組成物は溶剤に溶解された溶液状態で使用され、基板等に該溶液を塗布した後、乾燥し、紫外線等により重合することによって、本発明の薄膜が得られる。
本発明の重合性液晶組成物を含有する溶液を塗布する基材は、液晶デバイス、ディスプレイ、光学部品や光学フィルムに通常使用する基材であって、本発明の重合性液晶組成物の塗布後の乾燥時、あるいは、液晶デバイス製造時における加熱に耐えうる耐熱性を有する材料であれば、特に制限はない。そのような基材としては、ガラス基材、金属基材、セラミックス基材やプラスチック基材等の有機材料が挙げられる。特に基材が有機材料の場合、セルロース誘導体、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリアリレート、ポリエーテルサルホン、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ナイロン、又はポリスチレン等が挙げられる。また、光学的な付加価値をつけるために、基材がピックアップレンズ、ロッドレンズ、光ディスク、位相差フィルム、光拡散フィルム、カラーフィルター等であっても良い。さらに、上記基材には、本発明の重合性液晶組成物を塗布乾燥した際に重合性液晶組成物が配向しやすいように、配向処理を施しておいても良い。
本発明の薄膜を得るための塗布法としては、アプリケーター法、バーコーティング法、スピンコーティング法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、インクジェット法、ダイコーティング法、キャップコーティング法、ディッピング等、公知慣用の方法を行うことができる。また、通常塗布後には溶剤を除去するため乾燥処理を行う。乾燥処理温度は重合性液晶組成物の転移点以下の温度で、且つ基材が有機材料の場合は基材のガラス転移温度以下であることが好ましい。
【0062】
乾燥した薄膜は、通常紫外線により重合処理が行われ、これにより配向状態が固定化される。高帯域の反射波長特性を得るため、紫外線重合過程において、適度な加熱処理、及び適度な紫外線照射量を選択しても良く、複数の条件を適宜組み合わせても良い。
【実施例】
【0063】
以下に本発明を実施例、及び比較例によって説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
【0064】
実施例、及び比較例に示す重合性液晶組成物をそれぞれ例で示した比率にてサンプル瓶に投入し、重合性コレステリック液晶組成物の固形分に対して、質量で1.5倍量のシクロヘキサノンを加え、80〜100℃のホットスターラーにて15分間加熱撹拌し、透明で均一な溶液を得た。次にラビング処理を施したA4サイズのPETフィルムに重合性液晶組成物溶液を適量たらし、バーコーター(No.9)でPETフィルム上に塗布した。 溶液が塗布されたPETフィルムを100℃の恒温層に3分間放置し、溶媒を乾燥除去させた後、該PETフィルムをUVA光の照度が450mJ/cmとなるようにセットしたコンベア式UV照射装置に投入し、重合性液晶組成物を硬化させ、可視光域に選択反射波長を有する薄膜を得た。
【0065】
ヘイズは得られた薄膜を、日本電色工業社製ヘイズメーターNDH2000を用いて3点測定し平均値を評価した。ムラは目視観察で行った。転移点は、UV硬化前の重合性組成物を用いて、メトラートレド社製の温度コントロールシステムFP−80、及びホットステージFP82を用いて測定した。碁盤目試験は旧JIS規格K5400に準ずる手法にて行った。
用いた化合物は以下の略号で表す。
【0066】
【化10】
【0067】
また、添加剤としては以下の化合物を用いた。
連鎖移動剤としては、式(5−1)で表される東京化成工業社製の1,1−ジフェニルエチレン、式(5−2)で表される五井化成社製のアルファメチルスチレンダイマー(AMSD)、SC有機化学社製3−メルカプトプロピオネート(TMMP)、式(5−3)で表される化合物を用いた。光重合開始剤としては、BASF社製イルガキュア907(Irg.907)を用いた。重合禁止剤としては、和光純薬社製p−メトキシフェノール(MEHQ)を用いた。空気界面での液晶化合物のチルト角を減じるための化合物としては、重量平均分子量が2000のポリプロピレン(PP)を用いた。
【0068】
【化11】
【0069】
(実施例1)
第1成分である重合性液晶化合物(A)を9.0%、(B)を4.0%、第2成分である重合性液晶化合物(C)を62.0%、(D)を14.0%、第3成分であるキラル化合物(J)を4.8%、第4成分である重合開始剤イルガキュア907を5.0%、第5成分である連鎖移動剤AMSDを1.0%、第6成分であるPPを0.1%、その他の成分としてMEHQを0.1%混合し、上記に示した方法で薄膜を得た。この薄膜のヘイズは1.8%と低く、ムラも無く、碁盤目試験でも全100マスが残った。
【0070】
(実施例2)
第1成分である重合性液晶化合物(A)を9.0%、(B)を4.0%、第2成分である重合性液晶化合物(C)を62.5%、(D)を14.0%、第3成分であるキラル化合物(K)を4.3%、第4成分である重合開始剤イルガキュア907を5.0%、第5成分である連鎖移動剤AMSDを1.0%、第6成分であるPPを0.1%、その他の成分としてMEHQを0.1%混合し、上記に示した方法で薄膜を得た。この薄膜のヘイズは1.8%と低く、ムラも無く、碁盤目試験でも全100マスが残った。
【0071】
(実施例3)
第1成分である重合性液晶化合物(A)を9.0%、(B)を4.0%、第2成分である重合性液晶化合物(C)を62.8%、(D)を14.0%、第3成分であるキラル化合物(L)を4.0%、第4成分である重合開始剤イルガキュア907を5.0%、第5成分である連鎖移動剤AMSDを1.0%、第6成分であるPPを0.1%、その他の成分としてMEHQを0.1%混合し、上記に示した方法で薄膜を得た。この薄膜のヘイズは2.1%と低く、ムラも無く、碁盤目試験でも全100マスが残った。
【0072】
(実施例4)
第1成分である重合性液晶化合物(A)を8.0%、(B)を3.5%、第2成分である重合性液晶化合物(D)を24.0%、(E)を26.0%、(F)を27.0%、第3成分であるキラル化合物(J)を5.3%、第4成分である重合開始剤イルガキュア907を5.0%、第5成分である連鎖移動剤AMSDを1.0%、第6成分であるPPを0.1%、その他の成分としてMEHQを0.1%混合し、上記に示した方法で薄膜を得た。この薄膜のヘイズは1.9%と低く、ムラも無く、碁盤目試験でも全100マスが残った。
【0073】
(実施例5)
第1成分である重合性液晶化合物(A)を8.0%、(B)を3.5%、第2成分である重合性液晶化合物(E)を26.0%、(F)を27.0%、(G)を24.0%、第3成分であるキラル化合物(J)を5.3%、第4成分である重合開始剤イルガキュア907を5.0%、第5成分である連鎖移動剤AMSDを1.0%、第6成分であるPPを0.1%、その他の成分としてMEHQを0.1%混合し、上記に示した方法で薄膜を得た。この薄膜のヘイズは1.8%と低く、ムラも無く、碁盤目試験でも全100マスが残った。
【0074】
(実施例6)
第1成分である重合性液晶化合物(A)を8.0%、(B)を3.5%、第2成分である重合性液晶化合物(D)を24.0%、(E)を26.0%、(H)を27.0%、第3成分であるキラル化合物(J)を5.3%、第4成分である重合開始剤イルガキュア907を5.0%、第5成分である連鎖移動剤AMSDを1.0%、第6成分であるPPを0.1%、その他の成分としてMEHQを0.1%混合し、上記に示した方法で薄膜を得た。この薄膜のヘイズは2.1%と低く、ムラも無く、碁盤目試験でも全100マスが残った。
【0075】
(実施例7)
第1成分である重合性液晶化合物(A)を8.0%、(B)を3.5%、第2成分である重合性液晶化合物(D)を33.0%、(E)を26.0%、(I)を18.0%、第3成分であるキラル化合物(J)を5.3%、第4成分である重合開始剤イルガキュア907を5.0%、第5成分である連鎖移動剤AMSDを1.0%、第6成分であるPPを0.1%、その他の成分としてMEHQを0.1%混合し、上記に示した方法で薄膜を得た。この薄膜のヘイズは2.0%と低く、ムラも無く、碁盤目試験でも全100マスが残った。
【0076】
(実施例8)
第1成分である重合性液晶化合物(A)を8.0%、(B)を3.5%、第2成分である重合性液晶化合物(E)を26.0%、(F)を27.0%、(G)を24.0%、第3成分であるキラル化合物(J)を5.3%、第4成分である重合開始剤イルガキュア907を5.0%、第5成分である連鎖移動剤1,1−ジフェニルエチレンを1.0%、第6成分であるPPを0.1%、その他の成分としてMEHQを0.1%混合し、上記に示した方法で薄膜を得た。この薄膜のヘイズは1.8%と低く、ムラも無く、碁盤目試験でも70マスが残った。
【0077】
(実施例9)
第1成分である重合性液晶化合物(A)を8.0%、(B)を3.5%、第2成分である重合性液晶化合物(E)を26.0%、(F)を27.0%、(G)を24.0%、第3成分であるキラル化合物(J)を5.3%、第4成分である重合開始剤イルガキュア907を5.0%、第5成分である化合物(5−3)を1.0%、第6成分であるPPを0.1%、その他の成分としてMEHQを0.1%混合し、上記に示した方法で薄膜を得た。この薄膜のヘイズは1.8%と低く、ムラも無く、碁盤目試験でも50マスが残った。
【0078】
(実施例10)
第1成分である重合性液晶化合物(A)を9.0%、(B)を4.0%、第2成分である重合性液晶化合物(C)を61.0%、(D)を13.0%、第3成分であるキラル化合物(J)を4.8%、第4成分である重合開始剤イルガキュア907を5.0%、第5成分である連鎖移動剤AMSDを3.0%、第6成分であるPPを0.1%、その他の成分としてMEHQを0.1%混合し、上記に示した方法で薄膜を得た。この薄膜のヘイズは1.9%と低く、ムラもなく、碁盤目試験でも90マスが残った。
【0079】
(実施例11)
第1成分である重合性液晶化合物(A)を8.5%、(B)を3.5%、第2成分である重合性液晶化合物(C)を60.5%、(D)を12.5%、第3成分であるキラル化合物(J)を4.8%、第4成分である重合開始剤イルガキュア907を5.0%、第5成分である連鎖移動剤AMSDを5.0%、第6成分であるPPを0.1%、その他の成分としてMEHQを0.1%混合し、上記に示した方法で薄膜を得た。この薄膜のヘイズは2.0%と低く、ムラもなく、碁盤目試験でも80マスが残った。
【0080】
(比較例1)
第1成分である重合性液晶化合物(A)を9.0%、(B)を4.0%、第2成分である重合性液晶化合物(C)を63.0%、(D)を14.0%、第3成分であるキラル化合物(J)を4.8%、第4成分である重合開始剤イルガキュア907を5.0%、第5成分を添加せず、第6成分であるPPを0.1%、その他の成分としてMEHQを0.1%混合し、上記に示した方法で薄膜を得た。この薄膜のヘイズは1.8%と低く、ムラは無かったが、碁盤目試験では0マスと1マスも残らなかった。
【0081】
(比較例2)
第1成分である重合性液晶化合物(A)を9.0%、(B)を4.0%、第2成分である重合性液晶化合物(C)を62.0%、(D)を14.0%、第3成分であるキラル化合物(J)を4.8%、第4成分である重合開始剤イルガキュア907を5.0%、第5成分である連鎖移動剤TMMPを1.0%、第6成分であるPPを0.1%、その他の成分としてMEHQを0.1%混合し、上記に示した方法で薄膜を得た。この薄膜のヘイズは2.5%と低く、ムラは無かったが、碁盤目試験では0マスと1マスも残らなかった。
【0082】
(比較例3)
第1成分である重合性液晶化合物(A)を9.0%、(B)を4.0%、第2成分である重合性液晶化合物(C)を61.0%、(D)を13.0%、第3成分であるキラル化合物(J)を4.8%、第4成分である重合開始剤イルガキュア907を5.0%、第5成分である連鎖移動剤TMMPを3.0%、第6成分であるPPを0.1%、その他の成分としてMEHQを0.1%混合し、上記に示した方法で薄膜を得た。この薄膜のヘイズは42.0%と高く、激しいムラが生じた。碁盤目試験では全100マスが残った。
この組成の乾燥温度を90℃に下げて行ったところ、ヘイズは4.5%と低かったが、激しいムラは消えなかった。碁盤目試験では全100マスが残った。
【0083】
(比較例4)
第1成分である重合性液晶化合物(A)を9.5%、(B)を4.5%、第2成分である重合性液晶化合物(C)を65.8%、(D)を14.0%、第3成分であるキラル化合物は添加せず、第4成分である重合開始剤イルガキュア907を5.0%、第5成分である連鎖移動剤AMSDを1.0%、第6成分であるPPを0.1%、その他の成分としてMEHQを0.1%混合し、上記に示した方法で薄膜を得た。この薄膜のヘイズは1.7%と低く、ムラは無かったが、碁盤目試験では0マスと1マスも残らなかった。
【0084】
以上の結果を表1〜3にまとめる。表にはその他の物性としてTniも記載した。碁盤目試験は100マス中の残ったマス目の数を示す。
【0085】
【表1】
【0086】
【表2】
【0087】
【表3】
【0088】
実施例1と比較例1、2、3との比較で、第5成分の連鎖移動剤として一般式(5)で表される化合物を用いない重合性液晶組成物から得られるフィルムでは良好な密着性と低ヘイズかつムラのないことの両立ができないことが分かる。比較例3は連鎖移動剤TMMPの添加量を増加させることで密着性を向上させることに成功しているが、このTMMPによるTniの低下度合いが大きく、Tniが94℃と乾燥温度の100℃を下回ってしまい、ヘイズが高く、激しいムラも発生してしまった。このように液晶構造と大きく異なる骨格を持つ化合物は液晶性を大きく下げてしまう。乾燥温度を90℃と、Tni以下の温度として行ったが、この場合乾燥速度が遅く、ムラが発生してしまった。しかし、比較例3のTMMPをAMSDに変えた実施例10では、Tniは106℃と添加による低下は認められず、更にAMSDを5質量%添加した実施例11でもTniは105℃であり、Tniはほとんど下がらず、ヘイズも実施例10で1.9%、実施例11で2.0%と低く、ムラの発生もなかった。実施例1と比較例4の比較で、第3成分のキラル化合物が入った組成で効果が得られることが分かる。実施例1〜9で液晶性化合物、連鎖移動剤を変えても効果は得られることが分かる。