【実施例】
【0029】
以下に本発明を、実施例や参考例を用いて説明する。
【0030】
[参考例1]
[混合工程]
ニッケル75g(硫酸ニッケル溶液)、硫酸アンモニウム330gを含む溶液に、25%アンモニア水を191ml、分散剤のリグニンスルホン酸ナトリウム20gを添加し、合計の液量が1000mlになるように調整して、分散剤を含み、且つ硫酸ニッケルアンミン錯体を含有する溶液を作製した。
この溶液に、析出母体となる不溶性固体として、平均粒径(D50)が125μmのニッケル粉300gを添加、攪拌し、所望の混合スラリーを作製した。
【0031】
[還元・析出工程]
次いで、作製した混合スラリーをオートクレーブの内筒缶に装入し、その混合スラリーを撹拌しながら185℃に昇温、保持した状態で、混合スラリー中に水素ガスを吹き込み、さらにオートクレーブの内筒缶内の圧力を3.5MPaに維持するように水素ガスを供給した。水素ガスの供給から140分が経過した後に、水素ガスの供給を停止し、内筒缶を冷却した。
【0032】
[分離工程]
冷却後、内筒缶内の混合スラリーを濾過して表面にニッケルの析出物を生成した不溶体固体を取り出し、次いで目開きが100μmの湿式篩に不溶性固体を入れ、振動を加えて母体の不溶性固体と析出したニッケル粉とを分離した。
回収したニッケル粉を観察したところ、
図2に示すように微細なニッケル粉が生成していることを確認した。
【0033】
[参考例2]
[混合工程]
ニッケル75g(硫酸ニッケル溶液)、硫酸アンモニウム330gを含む溶液に25%アンモニア水を191ml、分散剤としてリグニンスルホン酸ナトリウム10gを添加し、合計の液量が1000mlになるように調整して、分散剤を含み、且つ硫酸ニッケルアンミン錯体を含有する溶液を作製した。この溶液に、析出母体となる不溶性固体として直径1mmのジルコニアボール75gを添加して混合スラリーを作製した。
【0034】
[還元・析出工程]
次いで、その混合スラリーをオートクレーブの内筒缶内に装入後、撹拌しながら185℃に昇温、保持した状態で、混合スラリー中に水素ガスを吹き込み、オートクレーブの内筒缶内の圧力を3.5MPaに維持するように水素ガスを供給した。水素ガスの供給から65分が経過した後に水素ガスの供給を停止し、内筒缶を冷却した。
【0035】
[分離工程]
冷却後、内筒缶内の混合スラリーを濾過して表面にニッケルの析出物を生成した不溶体固体を取り出し、次いで目開きが500μmの湿式篩に取り出した不溶性固体を入れ、振動を加えて母体の不溶性固体と析出したニッケル粉とを分離した。
回収したニッケル粉を観察したところ、
図3に示すように微細なニッケル粉が生成していることを確認した。
【0036】
ニッケル75g(硫酸ニッケル溶液)、硫酸アンモニウム330gを含む溶液に25%アンモニア水を191ml、分散剤にリグニンスルホン酸ナトリウム5gを添加し、合計の液量が1000mlになるように調整して、分散剤を含み、且つ硫酸ニッケルアンミン錯体を含有する溶液を作製した。この溶液に、析出母体となる不溶性固体を添加せずに次の操作を行なった。
【0037】
[還元・析出工程]
作製した溶液をオートクレーブの内筒缶内に装入後、撹拌しながら185℃に昇温、保持した状態で、水素ガスを吹き込み、オートクレーブの内筒缶内の圧力を3.5MPaに維持するように水素ガスを供給した。水素ガスの供給から60分が経過した後に水素ガスの供給を停止し、内筒缶を冷却した。
【0038】
[分離工程]
冷却後、内筒缶内の溶液を濾過したが、ニッケル粉は回収できず、内筒缶内の側壁や攪拌機に板状のニッケルのスケーリングが生成した。
【0039】
[実施例1]
[混合工程]
ニッケル75g(硫酸ニッケル溶液)、硫酸アンモニウム330gを含む溶液に25%アンモニア水を13ml添加し、合計の液量が1000mlになるように調整して硫酸ニッケルアンミン錯体を含有する溶液を作製した。この溶液に、析出母体として電解鉄粉5gを添加して混合スラリーを作製した。
【0040】
[還元・析出工程]
次いで、その混合スラリーをオートクレーブの内筒缶内に装入後、撹拌しながら185℃に昇温、保持した状態で、水素ガスを混合スラリー内に流量0.2L/minで10分間吹き込んだ。この反応中のオートクレーブの内筒缶内の圧力は1.0MPaを示していた。その後、水素ガスの供給を停止し、内筒缶を冷却した。
冷却後、内筒缶内のスラリーを濾過して表面にニッケルの析出物を生成した不溶体固体を取り出して参考例1と同様の方法でニッケル粉を回収した。
その回収した粉を観察したところ、
図4に示すように微細なニッケル粉が生成していることを確認した。なお、分散剤を添加した場合の
図2と比較するとニッケル粉の形状がやや不均一で荒れている様子がうかがえるが実用上、問題はない。
【0041】
[参考例4]
[混合工程]
ニッケル75g(硫酸ニッケル溶液)、硫酸アンモニウム330gを含む溶液に25%アンモニア水を191ml、分散剤にリグニンスルホン酸ナトリウム5gを添加し、合計の液量が1000mlになるように調整して硫酸ニッケルアンミン錯体を含有する溶液を作製した。この溶液に、析出母体となる不溶性固体として200メッシュのアルミナ粉75gを添加して混合スラリーを作製した。
【0042】
[還元・析出工程]
次いで、その混合スラリーをオートクレーブの内筒缶内に装入後、撹拌しながら185℃に昇温、保持した状態で、水素ガスを吹き込み、オートクレーブの内筒缶内の圧力を3.5MPaに維持するように水素ガスを供給した。水素ガスの供給から90分が経過した後に水素ガスの供給を停止し、内筒缶を冷却した。
冷却後、内筒缶内のスラリーを濾過して表面にニッケルの析出物を生成した不溶体固体を取り出して参考例1と同様の方法でニッケル粉を回収した。
その回収した粉を観察したところ、
図5に示すように微細なニッケル粉が母体のアルミナ上に生成していたことを確認した。(生成していた箇所を丸で囲み示した。)
【0043】
[参考例5]
[混合工程]
ニッケル75g(硫酸ニッケル溶液)、硫酸アンモニウム330gを含む溶液に25%アンモニア水を191ml、分散剤にリグニンスルホン酸ナトリウム5gを添加し、合計の液量が1000mlになるように調整して硫酸ニッケルアンミン錯体を含有する溶液を作製した。この溶液に、析出母体となる不溶性固体としてD50=38μmのシリカ粉75gを添加して混合スラリーを作製した。
【0044】
[還元・析出工程]
次いで、その混合スラリーをオートクレーブの内筒缶内に装入後、撹拌しながら185℃に昇温、保持した状態で、水素ガスを吹き込み、オートクレーブの内筒缶内の圧力を3.5MPaに維持するように水素ガスを供給した。水素ガスの供給から90分が経過した後に水素ガスの供給を停止し、内筒缶を冷却した。
冷却後、内筒缶内のスラリーを濾過して表面にニッケルの析出物を生成した不溶体固体を取り出して参考例1と同様の方法でニッケル粉を回収した。
その回収した粉を観察したところ、
図6に示すように微細なニッケル粉が生成していることを確認した。