特許第5881851号(P5881851)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5881851リソグラフィ装置、セットポイントデータを提供する装置、デバイス製造方法、セットポイントデータの計算方法、およびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5881851
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】リソグラフィ装置、セットポイントデータを提供する装置、デバイス製造方法、セットポイントデータの計算方法、およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20160225BHJP
【FI】
   G03F7/20 505
【請求項の数】15
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-545154(P2014-545154)
(86)(22)【出願日】2012年11月15日
(65)【公表番号】特表2015-506099(P2015-506099A)
(43)【公表日】2015年2月26日
(86)【国際出願番号】EP2012072765
(87)【国際公開番号】WO2013083383
(87)【国際公開日】20130613
【審査請求日】2014年8月6日
(31)【優先権主張番号】61/567,485
(32)【優先日】2011年12月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100134256
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 武司
(72)【発明者】
【氏名】ティンネマンス、パトリシウス
(72)【発明者】
【氏名】ムルキュイセ、ウーター
【審査官】 松岡 智也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−285243(JP,A)
【文献】 特開2006−186371(JP,A)
【文献】 特表2007−517239(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/060929(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/104180(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0221322(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0142838(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0139980(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20−7/24、9/00−9/02
H01L 21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
個別に制御可能な強度を有する複数の放射ビームを生成するように構成されたプログラマブルパターニングデバイスと、
前記複数の放射ビームをターゲット上のそれぞれの場所に投影するように構成された投影システムであって、前記複数の放射ビームは、前記ターゲット上の前記それぞれの場所に形成される複数のスポット露光を用いて前記ターゲット上に所望のドーズパターンを形成し、各スポット露光のドーズ分布内の特徴点の公称位置が、前記ターゲット上で第1の不規則なグリッドを規定する点に置かれる、投影システムと、
前記ターゲットを前記所望のドーズパターンに露光するために前記複数の放射ビームのそれぞれについてターゲット強度値を計算し、この計算は、前記所望のドーズパターンのラスタ化表現を入力として使用し、該ラスタ化表現は、前記ターゲット上で第2の不規則なグリッド上の複数の点のそれぞれに規定されるドーズ値を含み、前記第1および第2の不規則なグリッドは同一のジオメトリを有し、前記プログラマブルパターニングデバイスを制御して前記ターゲット強度値を持つビームを放出させるように構成されたコントローラと、
を備える露光装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記ラスタ化表現に(デ−)コンボリューション演算を適用して前記ターゲット強度値を求めるように構成されることを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
【請求項3】
前記第1の不規則なグリッド内の所与のスポット露光に対する(デ−)コンボリューション演算が行列カーネルによって規定され、該行列カーネル内の係数は、前記第2の不規則なグリッド内のそれぞれの点におけるドーズ値に適用すべき重みを規定することを特徴とする請求項2に記載の露光装置。
【請求項4】
前記第1および第2の不規則なグリッドのそれぞれの密度が非一様であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の露光装置。
【請求項5】
前記第1および第2の不規則なグリッドのジオメトリは、単一のグリッド点を含む一意のユニットセルの観点で表現されないことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の露光装置。
【請求項6】
前記ターゲット強度値の計算は、各スポット露光内で関連する予想ドーズ分布を考慮することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の露光装置。
【請求項7】
各スポット露光の予想ドーズ分布は、
スポット露光のサブセットに対して、予め記憶された基準予想ドーズ分布データを読み出し、
前記基準予想ドーズ分布データ間の内挿および/または近似を使用して、前記スポット露光のサブセット以外のスポット露光の予想ドーズ分布を推測する
ことによって求められることを特徴とする請求項6に記載の露光装置。
【請求項8】
前記コントローラは、内挿および/または近似および/またはマッピングを実行して、第3の規則的なグリッド上の複数の点のそれぞれに規定されるドーズ値を含むラスタ化表現を、前記第2の不規則なグリッド上の複数の点のそれぞれに規定されるドーズ値を含むラスタ化表現に変換するように構成されてることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の露光装置。
【請求項9】
前記第3の規則的なグリッドのジオメトリは、単一のグリッド点を含む一意のユニットセルの観点で表現可能であることを特徴とする請求項8に記載の露光装置。
【請求項10】
前記内挿および/またはマッピング演算は、前記ターゲットおよび/または前記ターゲット上に以前に形成されたデバイスパターンの位置および/または向きの測定を考慮することを特徴とする請求項8または9に記載の露光装置。
【請求項11】
前記コントローラは、ベクタドメイン内でベクタ形式表現のポリゴンの頂点に座標変換を適用することによって、所望のドーズパターンのベクタ形式表現を、前記第2の不規則なグリッド上の複数の点のそれぞれに規定されるドーズ値を含むラスタ化表現に変換するように構成されることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の露光装置。
【請求項12】
露光装置にセットポイントデータを提供する装置であって、
個別に制御可能な強度を有する複数の放射ビームを生成するプログラマブルパターニングデバイスを有し、前記複数の放射ビームをターゲット上のそれぞれの場所に投影するように構成されており、前記複数の放射ビームは、前記ターゲット上の前記それぞれの場所に形成される複数のスポット露光を用いて前記ターゲット上に所望のドーズパターンを形成し、各スポット露光のドーズ分布内の特徴点の公称位置は、前記ターゲット上で第1の不規則なグリッドを規定する点に置かれており、
前記ターゲットを前記所望のドーズパターンに露光するために前記複数の放射ビームのそれぞれについてターゲット強度値を計算し、この計算は、前記所望のドーズパターンのラスタ化表現を入力として使用し、該ラスタ化表現は、前記ターゲット上で第2の不規則なグリッド上の複数の点のそれぞれに規定されるドーズ値を含み、前記第1および第2の不規則なグリッドは同一のジオメトリを有し、前記プログラマブルパターニングデバイスを制御して前記ターゲット強度値を持つビームを放出させるように構成されたデータ処理ユニットを備える装置。
【請求項13】
所望のドーズパターンでターゲットを照射するデバイス製造方法であって、
前記ターゲットを照射するために使用される複数の放射ビームのそれぞれについて強度値を計算し、この計算は、前記ターゲット上で第1の不規則なグリッド上の複数の点のそれぞれに規定されるドーズ値を、前記ターゲット上で第2の不規則なグリッド上の複数の点のそれぞれに規定されるスポット露光を生成するために使用される放射ビームのターゲット強度値に変換することによって実行され、前記第1および第2の不規則なグリッドは同一のジオメトリを有し、
投影システムを使用して、計算された強度値を有する放射ビームを投影して前記ターゲット上にスポット露光を形成する
ことを含む方法。
【請求項14】
露光装置用のセットポイントデータを計算する方法であって、
前記露光装置は、個別に制御可能な強度を有する複数の放射ビームを生成するように構成されたプログラマブルパターニングデバイスを有し、前記複数の放射ビームをターゲット上のそれぞれの場所に投影するように構成されており、前記複数の放射ビームは、前記ターゲット上の前記それぞれの場所に形成される複数のスポット露光を用いて前記ターゲット上に所望のドーズパターンを形成し、各スポット露光のドーズ分布内の特徴点の公称位置は、前記ターゲット上で第1の不規則なグリッドを規定する点に置かれており、
前記ターゲットを前記所望のドーズパターンに露光するために前記複数の放射ビームのそれぞれについてターゲット強度値を計算し、この計算は、前記所望のドーズパターンのラスタ化表現を入力として使用し、該ラスタ化表現は、前記ターゲット上で第2の不規則なグリッド上の複数の点のそれぞれに規定されるドーズ値を含み、前記第1および第2の不規則なグリッドは同一のジオメトリを有し、前記プログラマブルパターニングデバイスを制御して前記ターゲット強度値を持つビームを放出させるように一連のセットポイントデータを計算することを含む方法。
【請求項15】
露光装置用のセットポイントデータを計算するコンピュータプログラムであって、
前記露光装置は、個別に制御可能な強度を有する複数の放射ビームを生成するプログラマブルパターニングデバイスを有し、前記複数の放射ビームをターゲット上のそれぞれの場所に投影するように構成されており、前記複数の放射ビームは、前記ターゲット上の前記それぞれの場所に形成される複数のスポット露光を用いて前記ターゲット上に所望のドーズパターンを形成し、各スポット露光のドーズ分布内の特徴点の公称位置は、前記ターゲット上で第1の不規則なグリッドを規定する点に置かれており、
前記ターゲットを前記所望のドーズパターンに露光するために前記複数の放射ビームのそれぞれについてターゲット強度値を計算し、この計算は、前記所望のドーズパターンのラスタ化表現を入力として使用し、該ラスタ化表現は、前記ターゲット上で第2の不規則なグリッド上の複数の点のそれぞれに規定されるドーズ値を含み、前記第1および第2の不規則なグリッドは同一のジオメトリを有し、前記プログラマブルパターニングデバイスを制御して前記ターゲット強度値を持つビームを放出させるように一連のセットポイントデータを計算するように、プロセッサに命令するコードを含むコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2011年12月6日に出願された米国特許仮出願第61/567,485号の利益を主張し、その全体が本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、リソグラフィ装置または露光装置、セットポイントデータを提供する装置、デバイス製造方法、セットポイントデータの計算方法、およびコンピュータプログラムに関する
【背景技術】
【0003】
リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に、または基板の部分に与える機械である。リソグラフィ装置は例えば、集積回路(IC)、フラットパネルディスプレイ、微細形状を備えるその他のデバイス又は構造の製造に用いられる。従来のリソグラフィ装置においては、マスクまたはレチクルとも称されるパターニングデバイスが、ICやフラットパネルディスプレイ、その他のデバイスの個々の層に対応する回路パターンを生成するために使用されることがある。このパターンは例えば、(例えばシリコンウェーハまたはガラスプレート等の)基板上に設けられた放射感応性材料(レジスト)層への結像により、基板(の部分)へと転写される。同様に、露光装置は、基板(またはその一部)の中またはその上に所望のパターンを形成するときに放射ビームを使用する装置である。
【0004】
パターニングデバイスを使用して、回路パターンではなく例えばカラーフィルタのパターンやドットのマトリックス状配列などの他のパターンを生成する場合もある。従来のマスクに代えて、パターニングデバイスは、回路パターンまたはその他の適用可能なパターンを生成する個別に制御可能な素子の配列を備えるパターニングアレイを備えてもよい。このような「マスクレス」方式では従来のマスクを使用する方式に比べて迅速かつ低コストにパターンを準備したり変更したりできるという利点がある。
【0005】
故に、マスクレスシステムはプログラマブルパターニングデバイス(例えば、空間光変調器、コントラストデバイスなど)を含む。プログラマブルパターニングデバイスは、個別制御可能素子のアレイを使用して所望のパターンが与えられたビームを形成するよう(例えば電子的に、または光学的に)プログラムされている。プログラマブルパターニングデバイスの種類には、マイクロミラーアレイ、液晶ディスプレイ(LCD)アレイ、グレーティングライトバルブアレイ、自発光型コントラストデバイスなどがある。基板上に投影される放射のスポットを例えば移動させるか、または基板から離れて、例えば放射ビームアブソーバに放射ビームを断続的に偏向するように構成された電気−光偏光器から、プログラマブルパターニングデバイスを形成することも可能である。このような装置ではいずれも、放射ビームは連続的である。
【発明の概要】
【0006】
GDSIIなどのベクタ設計パッケージを使用して、基板などのターゲット上に形成すべき所望のデバイスパターンを規定してもよい。このような設計パッケージからの出力ファイルは、所望のデバイスパターンのベクタ形式表現と呼ばれることがある。マスクレスシステムでは、ベクタ形式表現が処理されて、プログラマブルパターニングデバイスを駆動する制御信号を提供する。制御信号は、例えば複数の自発光型コントラストデバイスまたはマイクロミラーアレイに適用される一連のセットポイント(例えば、電圧または電流)を含んでもよい。
【0007】
ベクタ形式表現を制御信号に変換する処理は、ベクタ形式表現をドーズパターンのラスタ化表現に変換する一つまたは複数のステップを含んでもよい。この処理は、パターニングデバイスに対する、基板および/または基板上に以前に形成されたパターンのアライメント変動を訂正する一つまたは複数のステップを含んでもよい。この処理は、ラスタ化表現を一連のセットポイント値に変換する一つまたは複数のステップを含んでもよい。この処理は、複雑な計算および/または大規模のデータボリュームを必要としてもよい。例えば、ラスタ化グリッドと(個々の放射ビームがスポット露光を形成する公称位置を規定する)スポット露光グリッドとの間のマッピングを実行する必要がある場合がある。スポット露光グリッドは、複雑および/または不規則であってもよい。リアルタイムで(例えば、基板が露光されるのと同時に)実行される処理内のステップについて、計算を迅速に完了することが重要な場合がある。上記の態様は、処理ハードウェアのコストを増大させ、および/または装置のスループットを低下させる傾向がある。
【0008】
例えば、データパス処理が実行される効率を高める方法および/または装置を提供することが望ましい。
【0009】
本発明の一実施形態によると、露光装置が提供される。露光装置は、個別に制御可能な強度を有する複数の放射ビームを生成するように構成されたプログラマブルパターニングデバイスと、ターゲット上のそれぞれの場所に各放射ビームを投影するように構成された投影システムであって、複数の放射ビームは、複数のスポット露光を用いて所望のドーズパターンを形成し、各スポット露光のドーズ分布内の特徴点の公称位置が、第1グリッドを規定する点に置かれる、投影システムと、ターゲットを所望のドーズパターンに露光するために複数の放射ビームのそれぞれについてターゲット強度値を計算し、この計算は、所望のドーズパターンのラスタ化表現を入力として使用し、ラスタ化表現は、第2グリッド上の複数の点のそれぞれに規定されるドーズ値を含み、第1グリッドおよび第2グリッドは同一のジオメトリを有し、プログラマブルパターニングデバイスを制御してターゲット強度値を持つビームを放出させるように構成されたコントローラと、を備える。
【0010】
本発明の一実施形態によると、露光装置にセットポイントデータを提供する装置が提供される。この装置は、個別に制御可能な強度を有する複数の放射ビームを生成するプログラマブルパターニングデバイスを有し、ターゲット上のそれぞれの場所に各放射ビームを投影するように構成されており、複数の放射ビームは、複数のスポット露光を用いて所望のドーズパターンを形成し、各スポット露光のドーズ分布内の特徴点の公称位置は、第1グリッドを規定する点に置かれている。この装置は、ターゲットを所望のドーズパターンに露光するために複数の放射ビームのそれぞれについてターゲット強度値を計算し、この計算は、所望のドーズパターンのラスタ化表現を入力として使用し、ラスタ化表現は、第2グリッド上の複数の点のそれぞれに規定されるドーズ値を含み、第1グリッドおよび第2グリッドは同一のジオメトリを有し、プログラマブルパターニングデバイスを制御してターゲット強度値を持つビームを放出させるように構成されたデータ処理ユニットを備える。
【0011】
本発明の一実施形態によると、所望のドーズパターンでターゲットを照射するデバイス製造方法が提供される。この方法は、ターゲットを照射するために使用される複数の放射ビームのそれぞれについて強度値を計算し、この計算は、第1グリッド上の複数の点のそれぞれに規定されるドーズ値を、第2グリッド上の複数の点のそれぞれに規定されるスポット露光を生成するために使用される放射ビームのターゲット強度値に変換することによって実行され、第1グリッドおよび第2グリッドは同一のジオメトリを有し、投影システムを使用して、計算された強度値を有する放射ビームを投影してスポット露光を形成することを含む。
【0012】
本発明の一実施形態によると、露光装置用のセットポイントデータを計算する方法が提供される。露光装置は、個別に制御可能な強度を有する複数の放射ビームを生成するように構成されたプログラマブルパターニングデバイスを有し、ターゲット上のそれぞれの場所に各放射ビームを投影するように構成されており、複数の放射ビームは、複数のスポット露光を用いて所望のドーズパターンを形成し、各スポット露光のドーズ分布内の特徴点の公称位置は、第1グリッドを規定する点に置かれている。この方法は、ターゲットを所望のドーズパターンに露光するために複数の放射ビームのそれぞれについてターゲット強度値を計算し、この計算は、所望のドーズパターンのラスタ化表現を入力として使用し、ラスタ化表現は、第2グリッド上の複数の点のそれぞれに規定されるドーズ値を含み、第1グリッドおよび第2グリッドは同一のジオメトリを有し、プログラマブルパターニングデバイスを制御してターゲット強度値を持つビームを放出させるように一連のセットポイントデータを計算することを含む。
【0013】
本発明の一実施形態によると、露光装置用のセットポイントデータを計算するコンピュータプログラムが提供される。露光装置は、個別に制御可能な強度を有する複数の放射ビームを生成するプログラマブルパターニングデバイスを有し、ターゲット上のそれぞれの場所に各放射ビームを投影するように構成されており、複数の放射ビームは、複数のスポット露光を用いて所望のドーズパターンを形成し、各スポット露光のドーズ分布内の特徴点の公称位置は、第1グリッドを規定する点に置かれている。このコンピュータプログラムは、ターゲットを所望のドーズパターンに露光するために複数の放射ビームのそれぞれについてターゲット強度値を計算し、この計算は、所望のドーズパターンのラスタ化表現を入力として使用し、ラスタ化表現は、第2グリッド上の複数の点のそれぞれに規定されるドーズ値を含み、第1グリッドおよび第2グリッドは同一のジオメトリを有し、プログラマブルパターニングデバイスを制御してターゲット強度値を持つビームを放出させるように一連のセットポイントデータを計算するように、プロセッサに命令するコードを含む。
【0014】
本発明のいくつかの実施の形態が付属の概略的な図面を参照して以下に説明されるがこれらは例示に過ぎない。対応する参照符号は各図面において対応する部分を指し示す。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明のある実施の形態に係るリソグラフィ装置または露光装置の部分を示す図である。
【0016】
図2】本発明のある実施の形態に係る図1のリソグラフィ装置または露光装置の部分の上面図である。
【0017】
図3】本発明のある実施の形態に係るリソグラフィ装置または露光装置の部分を高度に概略的に示す斜視図である。
【0018】
図4】本発明のある実施の形態に係り、基板上への図3に係るリソグラフィ装置または露光装置による投影を示す概略上面図である。
【0019】
図5】本発明の一実施形態の一部の断面図である。
【0020】
図6】所望のデバイスパターンのベクタ形式の(vector-based)表現を制御信号に変換するためのデータパスの一部を示す図である。
【0021】
図7】スポット露光グリッドの一部を示す図である。
【0022】
図8図7のスポット露光グリッドのジオメトリに幾何学的に一致するラスタ化グリッドの一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明のある実施の形態は、プログラマブルパターニングデバイスを含んでもよい装置に関連し、当該デバイスは例えば自発光型コントラストデバイスのアレイからなることがある。こうした装置に関する更なる情報は国際公開第2010/032224号、米国特許出願公開第2011−0188016号、米国特許出願第61/473636号、米国特許出願第61/524190号を参照してもよく、この全体が本明細書に援用される。しかしながら、例えば上述したものを含む任意の形態のプログラマブルパターニングデバイスとともに本発明の一実施形態を使用してもよい。
【0024】
図1は、リソグラフィ装置または露光装置の部分の概略側断面図を概略的に示す。この実施形態においては、装置は、後述するようにXY面で実質的に静止した個別制御可能素子を有するが、そうである必要はない。装置1は、基板を保持する基板テーブル2と、基板テーブル2を最大6自由度で移動させる位置決め装置3と、を備える。基板は、レジストで被覆された基板であってもよい。ある実施の形態においては、基板はウェーハである。ある実施の形態においては、基板は多角形(例えば矩形)の基板である。ある実施の形態においては、基板はガラスプレートである。ある実施の形態においては、基板はプラスチック基板である。ある実施の形態においては、基板は箔である。ある実施の形態においては、装置は、ロールトゥロール製造に適する。
【0025】
装置1は、複数のビームを発するよう構成されている複数の個別に制御可能な自発光型コントラストデバイス4をさらに備える。ある実施の形態においては、自発光型コントラストデバイス4は、放射発光ダイオード(例えば、発光ダイオード(LED)、有機LED(OLED)、高分子LED(PLED))、または、レーザダイオード(例えば、固体レーザダイオード)である。ある実施の形態においては、個別制御可能素子4の各々は青紫レーザダイオード(例えば、三洋の型式番号DL-3146-151)である。こうしたダイオードは、三洋、日亜、オスラム、ナイトライド等の企業により供給される。ある実施の形態においては、ダイオードは、例えば約365nmまたは約405nmの波長を有するUV放射を発する。ある実施の形態においては、ダイオードは、0.5mWないし200mWの範囲から選択される出力パワーを提供することができる。ある実施の形態においては、レーザダイオードの(むき出しのダイの)サイズは、100μmないし800μmの範囲から選択される。ある実施の形態においては、レーザダイオードは、0.5μmないし5μmの範囲から選択される発光領域を有する。ある実施の形態においては、レーザダイオードは、5度ないし44度の範囲から選択される発散角を有する。ある実施の形態においては、それらのダイオードは、合計の明るさを約6.4×10W/(m・sr)以上にするための構成(例えば、発光領域、発散角、出力パワーなど)を有する。
【0026】
自発光型コントラストデバイス4は、フレーム5に配設されており、Y方向に沿って及び/またはX方向に沿って延在してもよい。1つのフレーム5が図示されているが、装置は、図2に示すように複数のフレーム5を有してもよい。フレーム5には更に、レンズ12が配設されている。フレーム5、従って、自発光型コントラストデバイス4及びレンズ12はXY面内で実質的に静止している。フレーム5、自発光型コントラストデバイス4、及びレンズ12は、アクチュエータ7によってZ方向に移動されてもよい。それに代えて又はそれとともに、レンズ12はこの特定のレンズに関係づけられたアクチュエータによってZ方向に移動されてもよい。任意選択として、各レンズ12にアクチュエータが設けられていてもよい。
【0027】
自発光型コントラストデバイス4はビームを発するよう構成されていてもよく、投影系12、14、18はそのビームを基板の目標部分に投影するよう構成されていてもよい。自発光型コントラストデバイス4及び投影系が光学コラムを形成する。装置1は、光学コラム又はその一部を基板に対して移動させるためのアクチュエータ(例えばモータ)11を備えてもよい。フレーム8には視野レンズ14及び結像レンズ18が配設されており、そのアクチュエータを用いてフレーム8は回転可能であってもよい。視野レンズ14と結像レンズ18との結合が可動光学系9を形成する。使用時においては、フレーム8は自身の軸10まわりを、例えば図2に矢印で示す方向に、回転する。フレーム8は、アクチュエータ(例えばモータ)11を使用して軸10まわりに回転させられる。また、フレーム8はモータ7によってZ方向に移動されてもよく、それによって可動光学系9が基板テーブル2に対し変位させられてもよい。
【0028】
内側にアパーチャを有するアパーチャ構造13がレンズ12の上方でレンズ12と自発光型コントラストデバイス4との間に配置されてもよい。アパーチャ構造13は、レンズ12、それに関連する自発光型コントラストデバイス4、及び/または、隣接するレンズ12/自発光型コントラストデバイス4の回折効果を限定することができる。
【0029】
図示される装置は、フレーム8を回転させると同時に光学コラム下方の基板テーブル2上の基板を移動させることによって、使用されてもよい。自発光型コントラストデバイス4は、レンズ12、14、18が互いに実質的に整列されたときこれらのレンズを通じてビームを放つことができる。レンズ14、18を移動させることによって、基板上でのビームの像が基板の一部分を走査する。同時に光学コラム下方の基板テーブル2上の基板を移動させることによって、自発光型コントラストデバイス4の像にさらされる基板の当該部分も移動する。光学コラム又はその一部の回転を制御し、自発光型コントラストデバイス4の強度を制御し、かつ基板速度を制御するコントローラにより自発光型コントラストデバイス4の「オン」と「オフ」とを高速に切り換える制御をすることによって(例えば、「オフ」であるとき出力がないか、しきい値を下回る出力を有し、「オン」であるときしきい値を上回る出力を有する)、所望のパターンを基板上のレジスト層に結像することができる。
【0030】
図2は、自発光型コントラストデバイス4を有する図1の装置の概略上面図である。図1に示す装置1と同様に、装置1は、基板17を保持する基板テーブル2と、基板テーブル2を最大6自由度で移動させる位置決め装置3と、自発光型コントラストデバイス4と基板17とのアライメントを決定し、自発光型コントラストデバイス4の投影に対して基板17が水平か否かを決定するためのアライメント/レベルセンサ19と、を備える。図示されるように基板17は矩形形状を有するが、追加的に又は代替的に円形の基板が処理されてもよい。
【0031】
自発光型コントラストデバイス4はフレーム15に配設されている。自発光型コントラストデバイス4は、放射発光ダイオード、例えばレーザダイオード、例えば青紫レーザダイオードであってもよい。図2に示されるように、自発光型コントラストデバイス4はXY面内に延在するアレイ21に配列されていてもよい。
【0032】
アレイ21は細長い線であってもよい。ある実施の形態においては、アレイ21は、自発光型コントラストデバイス4の一次元配列であってもよい。ある実施の形態においては、アレイ21は、自発光型コントラストデバイス4の二次元配列であってもよい。
【0033】
回転フレーム8が設けられていてもよく、これは、矢印で図示される方向に回転してもよい。回転フレームには、各自発光型コントラストデバイス4の像を与えるためのレンズ14、18(図1参照)が設けられていてもよい。本装置には、フレーム8及びレンズ14、18を備える光学コラムを基板に対して回転させるためのアクチュエータが設けられていてもよい。
【0034】
図3は、周辺部にレンズ14、18が設けられている回転フレーム8を高度に概略的に示す斜視図である。複数のビーム、本実施例では10本のビームが、それらレンズの一方へと入射し、基板テーブル2により保持された基板17のある目標部分に投影されている。ある実施の形態においては、複数のビームは直線に配列されている。回転可能フレームは、アクチュエータ(図示せず)によって軸10まわりに回転可能である。回転可能フレーム8の回転の結果として、それらビームは、一連のレンズ14、18(視野レンズ14及び結像レンズ18)に入射する。一連のレンズの各々に入射してビームは偏向され、それによりビームは基板17の表面の一部分に沿って動く。詳しくは図4を参照して後述する。ある実施の形態においては、各ビームが対応する源によって、すなわち自発光型コントラストデバイス、例えばレーザダイオードによって、生成される(図3には図示せず)。図3に示される構成においては、ビームどうしの距離を小さくするために、それらビームはともに、あるセグメントミラー30によって偏向されかつ運ばれる。それによって、後述するように、より多数のビームを同一のレンズを通じて投影し、要求解像度を実現することができる。
【0035】
回転可能フレームが回転すると、ビームが連続する複数のレンズへと入射する。このときあるレンズがビームに照射されるたびに、レンズ表面上でビームが入射する場所が移動する。レンズ上のビーム入射場所に依存してビームが異なって(例えば、異なる偏向をもって)基板に投影されるので、(基板に到達する)ビームは後続のレンズが通過するたびに走査移動をすることになる。この原理について図4を参照して更に説明する。図4は、回転可能フレーム8の一部を高度に概略的に示す上面図である。第1ビームセットをB1と表記し、第2ビームセットをB2と表記し、第3ビームセットをB3と表記する。ビームセットのそれぞれが、回転可能フレーム8の対応するレンズセット14、18を通じて投影される。回転可能フレーム8が回転すると、複数ビームB1が基板17に投影され、走査移動によって領域A14を走査する。同様に、ビームB2は領域A24を走査し、ビームB3は領域A34を走査する。対応するアクチュエータによる回転可能フレーム8の回転と同時に、基板17及び基板テーブルが(図2に示すX軸に沿う方向であってもよい)方向Dに移動され、そうして領域A14、A24、A34におけるビームの走査方向に実質的に垂直に移動される。方向Dの第2のアクチュエータによる移動(例えば、対応する基板テーブルモータによる基板テーブルの移動)の結果、回転可能フレーム8の一連のレンズによって投影されるとき連続する複数回のビーム走査が互いに実質的に隣接するよう投影されて、実質的に隣接する領域A11、A12、A13、A14がビームB1の走査のたびに生じ(図4に示すように、領域A11、A12、A13は以前に走査され、領域A14は今回走査されている)、領域A21、A22、A23、A24がビームB2の走査のたびに生じ(図4に示すように、領域A21、A22、A23は以前に走査され、領域A24は今回走査されている)、領域A31、A32、A33、A34がビームB3の走査のたびに生じる(図4に示すように、領域A31、A32、A33は以前に走査され、領域A34は今回走査されている)。このようにして、基板表面の領域A1、A2、A3が、回転可能フレーム8を回転させる間に基板を方向Dに移動させることにより、覆われてもよい。多数のビームを同一のレンズを通じて投影することにより、(回転可能フレーム8をある同一の回転速度とすると)より短い時間で基板全体を処理することができる。レンズ通過のたびに各レンズにより基板を複数のビームが走査するので、連続する複数回の走査に際して方向Dの変位量を大きくすることができるからである。見方を変えると、多数のビームを同一のレンズを通じて基板に投影するとき、ある所与の処理時間における回転可能フレームの回転速度を小さくしてもよいということである。こうして、回転可能フレームの変形、摩耗、振動、乱流などといった高回転速度による影響を軽減してもよい。ある実施の形態においては、図4に示すように、複数のビームは、レンズ14、18の回転の接線に対してある角度をなして配列されている。ある実施の形態においては、複数のビームは、各ビームが重なるか、又は各ビームが隣接ビームの走査経路に隣接するように配列されている。
【0036】
多数のビームを一度に同一レンズにより投影する態様の更なる効果は、公差の緩和に見ることができる。レンズの公差(位置決め、光学投影など)があるために、連続する領域A11、A12、A13、A14(及び/または領域A21、A22、A23、A24及び/またはA31、A32、A33、A34)の位置には、互いの位置決めにいくらかの不正確さが現れ得る。したがって、連続する領域A11、A12、A13、A14間にいくらかの重なりが必要とされるかもしれない。1本のビームの例えば10%を重なりとする場合、同一レンズに一度にビームが一つであると、同様に10%の係数で処理速度が遅くなるであろう。一方、同一レンズを通じて一度に5本又はそれより多数のビームが投影される状況においては、(上記同様1本のビームについて)同じ10%の重なりが5本又はそれより多数の投影線ごとにあるとすると、重なりの総計は概ね5(又はそれより多数)分の1である2%(又はそれ未満)へと小さくなるであろう。これは、全体的な処理速度を顕著に小さくする効果をもつ。同様に、少なくとも10本のビームを投影することにより、重なりの総計をおよそ10分の1に小さくしうる。したがって、多数のビームを同時に同一レンズにより投影するという特徴によって、基板の処理時間に生じる公差の影響を小さくしうる。それに加えて又はそれに代えて、より大きな重なり(従って、より大きな公差幅)が許容されてもよい。一度に同一レンズにより多数のビームを投影するのであれば、重なりが処理に与える影響が小さいからである。
【0037】
多数のビームを同一レンズを通じて同時に投影することに代えて又はそれとともに、インタレース技術を使用することができるかもしれない。しかしながらそのためには、より厳格にレンズどうしを整合させることが必要になるかもしれない。従って、それらレンズのうちある同一レンズを通じて一度に基板に投影される少なくとも2つのビームは相互間隔を有し、装置は、その間隔の中に後続のビーム投影がなされるように光学コラムに対して基板を移動させるよう第2アクチュエータを動作させるよう構成されていてもよい。
【0038】
1つのグループにおいて連続するビームどうしの方向Dにおける距離を小さくするために(それによって、例えば方向Dに解像度を高くするために)、それらビームは方向Dに対して、互いに斜めに配列されていてもよい。そうした間隔は、各セグメントが複数ビームのうち対応する1つのビームを反射するセグメントミラー30を光路に設けることによって更に縮小されてもよい。それらセグメントは、それらミラーに入射するビームどうしの間隔よりもミラーで反射されたビームどうしの間隔を狭くするよう配設されている。そうした効果は、複数の光ファイバによっても実現しうる。この場合、ビームのそれぞれが複数ファイバのうち対応する1つのファイバに入射し、それらファイバが、光路に沿って光ファイバ上流側でのビームどうしの間隔よりも光ファイバ下流側でのビームどうしの間隔を狭くするよう配設されている。
【0039】
また、そうした効果は、複数ビームのうち対応する1つのビームを各々が受光する複数の入力を有する集積光学導波路回路を使用して実現されてもよい。この集積光学導波路回路は、光路に沿って集積光学導波路回路の上流側でのビームどうしの間隔よりも集積光学導波路回路の下流側でのビームどうしの間隔を狭くするよう構成されている。
【0040】
基板に投影される像のフォーカスを制御するためのシステムが提供されてもよい。上述のある構成において、ある光学コラムの部分又は全体により投影される像のフォーカスを調整するための構成が提供されてもよい。
【0041】
一実施形態では、投影システムは、基板17の上方の物質層から形成された基板上に少なくとも一つの放射ビームを投影する。基板上で、レーザ誘起された物質の移動によって材料(例えば金属)の液滴の局所堆積を生じさせるように、デバイスが形成されている。
【0042】
図5を参照すると、レーザ誘起物質移動の物理的なメカニズムが描かれている。一実施形態では、材料202(例えばガラス)のプラズマブレークダウンより低い強度で、実質的に透明な材料202を通して放射ビーム200が集中される。材料202を覆っているドナー材料層204(例えば金属膜)で形成された基板上で、表面熱吸収が発生する。熱吸収により、ドナー材料204が溶解する。さらに、熱によって前方方向への誘起圧力勾配が生じ、ドナー材料層204から、ひいてはドナー構造(例えばプレート)208からドナー材料の液滴206を前方に加速させる。こうして、ドナー材料層204からドナー材料の液滴206が解放され、その上にデバイスが形成される基板17に向けて基板上に(重力の助けでまたは重力の助けなしに)移動する。ドナープレート208上の適切な位置にビーム200を向けることによって、基板17上にドナー材料パターンを堆積させることができる。一実施形態では、ドナー材料層204上にビームが集中される。
【0043】
一実施形態では、ドナー材料の移動を引き起こすために、一つまたは複数の短パルスが使用される。一実施形態では、溶解物質の準1次元の前方への熱および質量の移動を行うためのパルスの長さは数ピコ秒または数フェムト秒であってもよい。このような短パルスは、材料層204内の横方向の熱の流れをなくすことを促進することは殆どなく、ドナー構造208上の熱負荷はわずかであるか全くない。短パルスにより、物質の急速な溶解および前方加速が可能になる(例えば、金属などの蒸発した物質は前方の方向性を失い、スプラッタ状の堆積につながる)。短パルスにより、加熱温度のすぐ上であるが蒸発温度よりは低い温度に物質を加熱することができる。例えば、アルミニウムでは、約900−1000°Cの温度が望ましい。
【0044】
一実施形態では、レーザパルスの使用中に、ある量の材料(例えば金属)が100−1000nmの液滴の形態でドナー構造208から基板17に移動される。一実施形態では、ドナー材料は金属を含むか本質的に金属からなる。一実施形態では、金属はアルミニウムである。一実施形態では、材料層204はフィルムの形態である。一実施形態では、フィルムが別の本体または層に取り付けられる。上述したように、本体または層はガラスであってもよい。
【0045】
基板上に形成されるべき所望のデバイスパターンのベクタ形式表現を、プログラマブルパターニングデバイスの駆動に適した制御信号に変換するために、「データパス」と呼ばれることもあるデータ処理システム100を構成するハードウェアおよび/またはソフトウェアを設けてもよい。こうして、所望のデバイスパターンを形成するのに適した放射のドーズパターンがターゲット(例えば基板)に付与される。図6は、一実施形態に係るこのようなデータパスに含められる例示的な処理ステージ100を示す模式図である。一実施形態では、ステージはそれぞれ隣接するステージに直接接続される。しかしながら、必ずしもこうである必要はない。一実施形態では、図示のステージのうちの任意のものの間に、一つまたは複数の追加処理ステージが設けられる。加えてまたは代替的に、一つまたは複数のステージのそれぞれが複数のステージを備える。一実施形態では、単一の物理処理ユニット(例えば、計算操作を実行可能なコンピュータまたはハードウェア)または異なる処理ユニットを使用して、ステージが実装される。
【0046】
図6に示す例では、所望のデバイスパターンのベクタ形式表現が記憶ステージ102で提供される。一実施形態では、ベクタ形式表現は、GDSIIなどのベクタ設計パッケージを用いて構築される。記憶されたベクタ形式表現は、記憶ステージ102から、直接にあるいは中間ステージを経由して、ラスタ化ステージ104に送られる。中間ステージの例には、ベクタプリプロセッシングステージおよび/またはローパスフィルタステージが含まれる。一実施形態では、ローパスフィルタステージは、例えばアンチエイリアス処理を実行する。
【0047】
ラスタ化ステージ104は、所望のデバイスパターンのベクタ形式表現(または、ベクタ形式表現の処理済みバージョン)を、所望のデバイスパターンに対応する所望のドーズパターンのラスタ化表現(例えば、基板の露光後処理によって所望のデバイスパターンを形成するのに適した表現)に変換する。一実施形態では、ラスタ化表現はビットマップデータを含む。ビットマップデータは、「ピクセルマップ」データとも呼ばれることがある。一実施形態では、ビットマップデータは、グリッド点の各点において、所望のドーズ(例えば、単位面積当たりのドーズ)を示す一連の値を含む。グリッド点はラスタ化グリッドと呼ばれることもある。
【0048】
一実施形態では、(ラスタ化ステージ104からの直接的なまたはさらなる処理後の出力としての)ラスタ化表現が、制御信号生成ステージ106に提供される。制御信号生成ステージ106は、(図示のように)単一ステージとして実装されてもよいし、複数の別個のステージとして実装される。
【0049】
一実施形態では、制御信号生成ステージ106は、ラスタ化グリッドと、ターゲット(例えば基板)レベルでパターニングデバイスがスポット露光を形成できる「位置」を規定するグリッド(「スポット露光グリッド」と呼ばれることもある)と、の間のマッピング操作を実行する。各スポット露光は、ドーズ分布を含む。ドーズ分布は、スポットによってターゲットに与えられる単位面積当たりのエネルギー(例えば、単位面積当たりのドーズ)が、スポット内の位置の関数としてどのように変化するかを特定する。ドーズ分布は、「ポイントスプレッド関数」と呼ばれることもある。一実施形態では、スポット露光の位置は、ドーズ分布内の特徴点の参照によって規定される。一実施形態では、特徴点は、単位面積当たりの最大ドーズの位置である。一実施形態では、単位面積当たりの最大ドーズの位置は、スポットの中央領域である。一実施形態では、単位面積当たりの最大ドーズの位置は、スポットの中央領域ではない。一実施形態では、ドーズ分布は円対称である。このような実施形態では、スポットは円形スポットとも呼ばれる。このような実施形態では、単位面積当たりの最大ドーズの位置は、円の中心に位置してもよい。一実施形態では、ドーズ分布は円形ではない。一実施形態では、ドーズ分布内の特徴点は、ドーズ分布の「質量中心」である(変化する密度を有する平坦な物体の質量中心の直喩によって規定される。例えば、スポット露光の単位面積当たりのドーズは、平坦な物体の単位面積当たりの質量と等価である)。したがって、ドーズ分布の「質量中心」は、ドーズの平均位置を表している。一実施形態では、スポット露光グリッド内の各グリッド点は、パターニングデバイス(および/または投影システム)がターゲットに付与することができるスポット露光の異なるものの位置(例えば、特徴点の位置)を表している。
【0050】
一実施形態では、各スポット露光は、例えば略一定のパワーで駆動されているコントラストデバイスの単一期間中に、単一の自発光型コントラストデバイスから生じるターゲット上の放射ドーズの領域に対応する。一実施形態では、各スポット露光は、マイクロミラーアレイ内の単一のミラーまたは一群のミラーから生じる基板上の放射ドーズの領域に対応する。
【0051】
一実施形態では、マッピング操作は、ラスタ化グリッドとスポット露光グリッドの間の内挿を含む。一実施形態では、マッピング操作は、メトロロジデータ記憶ステージ108からメトロロジデータを受け取るように構成される。一実施形態では、メトロロジデータは、搭載される基板および/または搭載される基板上の以前に形成されたデバイスパターンの、パターニングデバイスに対する位置および/または向き(orientation)を特定する。一実施形態では、メトロロジデータは、搭載される基板または以前に形成されたデバイスパターンの測定された歪みを特定する。一実施形態では、歪みには、ずれ、回転、スキューおよび/または拡大のうち一つまたは複数が含まれる。したがって、メトロロジデータは、ターゲット上の所望のドーズパターンの適切な位置決めを確保するために、ラスタ化グリッドとスポット露光グリッドの間の内挿/マッピングをいかに実行すべきかについての情報を提供する。
【0052】
一実施形態では、制御信号生成ステージ106は、各スポット露光を形成する放射ビームのターゲット強度を表す一連の値を計算する。そのため、ターゲット強度は、所与のスポット露光に関連するドーズ(またはエネルギー)全体を決定する。強度はセットポイント値に変換される。一実施形態では、自発光型コントラストデバイスなどの放射源に、特定の時間だけ駆動信号(例えば電圧または電流)を付与することによって、各スポット露光が生成される。一実施形態では、セットポイント値は、付与する信号レベルを定義している。一実施形態では、信号レベルは、自発光型コントラストデバイスなどの放射源の出力を決定する。パターニングデバイスがマイクロミラーアレイを含む一実施形態では、セットポイント値は、マイクロミラーアレイ内のミラーの作動状態を規定する。マイクロミラーアレイがグレースケールデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)である一実施形態では、セットポイント値は、ミラーによって付与されるグレースケールレベルを規定する。一実施形態では、少なくとも二つの異なる傾き位置の間で個別のミラーを高速スイッチングするプロセスを制御することによって、グレースケールレベルが規定される。マイクロミラーアレイが、複数の異なる傾き角のうち一つに選択的に作動可能であるミラーを含む実施形態では、セットポイント値は、ミラーに適用される傾き角を規定する。
【0053】
一実施形態では、一連の強度値の計算は光投影システムの特性を考慮する。したがって「インバースオプティクス(inverse-optics)」計算と呼ばれてもよい。この計算は、個々のスポットのサイズおよび/または形状を考慮する。一実施形態では、この計算は、光投影システムの特性によって少なくとも部分的に決定される個別のスポットのサイズおよび/または形状を考慮する。一実施形態では、スポットの取り得る適用される強度の所与のセットのそれぞれについて、サイズおよび/または形状が規定される。上述したように、スポットサイズおよび/またはスポット形状は、ドーズ分布またはスポットの点広がり関数によって規定される。一実施形態では、理想的な(すなわち、工学的な誤差および/または製造上の誤差のない)スポット露光グリッドジオメトリによって規定される公称位置からのスポットの位置の変動を考慮に入れて、この計算が行われる。
【0054】
一実施形態では、ターゲットレベルでスポットが互いに重なり合う(すなわち、一つまたは複数のスポットのドーズ分布が、一つまたは複数の他のスポットのドーズ分布と重なるように広がる)結果、スポット露光グリッド内の基準位置で達成される最終的なドーズは、複数の近隣スポットに付与された強度によって決まる。この影響は、数学的にはコンボリューション(またはデコンボリューション)演算によって記述(処理/モデル化)することができる。一実施形態では、制御信号生成ステージ106は、リバースプロセスを実行して、所与の所望のドーズパターンについて各位置に付与するべき強度(すなわち、複数のスポット露光を形成する複数の放射ビームのそれぞれについてのターゲット強度値)を決定する。したがって、このような実施形態では、制御信号生成ステージ106はデコンボリューション(またはコンボリューション)演算を実行する。この演算は、コンボリューション演算およびデコンボリューション演算として等価に記述することができるという事実を反映して、以下では(デ−)コンボリューション演算と呼ばれる。一実施形態では、(デ−)コンボリューション演算は(デ−)コンボリューションカーネルによって規定される。一実施形態では、(デ−)コンボリューションカーネルは(デ−)コンボリューション行列によって表現される。一実施形態では、このような(デ−)コンボリューション行列の係数は、スポット露光グリッド内の対応する点でスポット露光を形成するための強度値を計算するときに、所望のドーズパターン内の基準点の領域内の点における単位面積当たりのドーズを考慮に入れるべき程度を規定する重みとして解釈される。
【0055】
図7および8は、このような(デ−)コンボリューション演算のステップを高度に模式的に示した図である。
【0056】
図7は、高度に模式化された例示的なスポット露光グリッド120の一部を示す。グリッド120内の各点125は、パターニングデバイスによって制御される複数のビームのうちの一つによって形成される基板上のスポットの公称位置(例えば、スポットのドーズ分布における特徴点の位置)を表している。(デ−)コンボリューション演算は、点125のそれぞれにおいてスポット露光を形成する放射ビームの強度値を決定することを目的とする。スポット露光グリッド120は、ターゲット上にパターニングデバイスが形成することができるスポット露光のパターンに対応するジオメトリを有している。一実施形態では、スポット露光グリッドのジオメトリは不規則である。不規則なグリッドでは、本願の意味の範囲内で、グリッド点の密度が位置の関数として変化する。そのため、単一のグリッド点のみを含む単一のユニットセルをモザイク状にする(tessellate)ことによってグリッドを完全に構成することは不可能である。図7は、不規則なグリッドのジオメトリを高度に模式的に表している。図示のグリッド120のジオメトリは、かなり複雑になることもある商用デバイスに関連するスポット露光グリッドとは必ずしも似ていない。
【0057】
図8は、図7に示したスポット露光グリッドと同じジオメトリを有するラスタ化グリッド132の例示部分を示す。ここでは、グリッド点126が不規則に配置されている。黒丸グリッド点127は、図7のグリッド内の(ランダムに選択された)位置123においてスポット露光を形成するターゲット強度値を決定するために、(デ−)コンボリューション演算と関与しうるグリッド点を模式的に表している。黒丸グリッド点123においてスポット露光を形成する強度値を導出するための(デ−)コンボリューション演算の適用は、基準グリッド点123の位置に対応するラスタ化グリッドの領域内の、ラスタ化グリッド内の複数のグリッド点における所望のドーズパターン(「ドーズ値」)のサンプルの重み付けされた寄与を必要とする。一実施形態では、行列として表現される(デ−)コンボリューションカーネルは、(行列内の非ゼロの係数の位置によって)いずれのグリッド点126が関与するかを規定し、かつ(行列内の非ゼロの係数の値によって)グリッド点が関与する程度を規定する行列として表現される。
【0058】
一実施形態では、(デ−)コンボリューション演算の性質は、スポット露光グリッド内の異なる点で(または、異なる点同士の間でさえ)異なっている。一実施形態では、この変動は、例えばパターニングデバイスの光学性能の変動を考慮する。一実施形態では、キャリブレーション測定を用いて光学性能の変動が求められる。一実施形態では、キャリブレーション測定から選択的に取得される、(デ−)コンボリューションカーネルのライブラリが記憶されており、必要に応じてアクセスされる。
【0059】
スポット露光グリッドのジオメトリが複雑であるために、(デ−)コンボリューション計算は計算的な費用が高い。静止部と可動部(例えば、フレーム8などを回転する部分)とを備える投影システムを通してパターニングデバイスが放射ビームを投影する実施形態では、スポット露光グリッドは特に複雑なものとなる。スポット露光がパターニングデバイスおよび投影システムによって形成され容易に変更することができない方法で、スポット露光グリッドのジオメトリは固定されている。しかしながら、(デ−)コンボリューション計算に入力されるデータのラスタ化グリッドのジオメトリを、スポット露光グリッドと同じもの(同じジオメトリタイプおよび/またはサイズおよび/または向き)にすることが可能である。図8は、このようなグリッドの模式図を示す。入力データのグリッドがこの方法でより複雑なものとされた場合、(デ−)コンボリューション演算は(例えば、入力データが規則的なグリッドに対して規定されている場合と比較して)より困難なものとなると考えられる。しかしながら、(デ−)コンボリューション計算への入力グリッドのジオメトリが、(デ−)コンボリューション計算からの出力グリッド(すなわち、スポット露光グリッド)のジオメトリと一致するという事実によって、入力グリッドの不規則なジオメトリに関連する欠点は補償される。
【0060】
一実施形態では、ラスタ化ステージ104は、ベクタ形式表現(または、ベクタ形式表現の処理済みバージョン)を、規則的なラスタ化グリッドに対して規定されるラスタ化表現に最初に変換するように構成されている。一実施形態では、規則的なラスタ化グリッドは、例えば長方形のジオメトリを有してもよい。本願の意味の範囲内で、単一のグリッド点のみを含む単一タイプのユニットセルをモザイク状にすることによってグリッドを完全に形成することができるという意味で、規則的なグリッドのグリッド点の密度は「一様」である。続いて、後続のステップで、内挿/マッピング処理を使用して、規則的なラスタ化グリッドに対して規定されるラスタ化表現を、不規則なラスタ化グリッドに対して規定されるラスタ化表現に変換する。一実施形態では、不規則なラスタ化グリッドは、スポット露光グリッドのジオメトリに一致する。一実施形態では、制御信号生成ステージ106または制御信号生成ステージ106の一部によって内挿/マッピング処理が実行され、メトロロジデータ記憶ステージ108から受け取るメトロロジデータを考慮する。一実施形態では、ラスタ化ステージ104によって内挿/マッピング処理が実行される。このような実施形態では、ラスタ化ステージ104またはラスタ化ステージ104の一部は、メトロロジデータ記憶ステージ108と通信するように構成される。
【0061】
一実施形態では、(規則的なグリッドに対して規定されるラスタ化表現と、(デ−)コンボリューション計算に入力するため不規則なグリッドに対して規定されるラスタ化表現との間で変換を行うための)内挿/マッピング処理は、メトロロジデータ内で指示されるように、パターン付与されたデバイスに対する、搭載された基板および/または搭載された基板上の以前形成されたデバイスパターンの位置および/または向きを考慮する。一実施形態では、内挿/マッピング処理は、メトロロジデータ内で指示されるような、移動、回転、スキュー、拡大および/または(ピンクッション歪みなどの)高次の歪みのうち一つまたは複数を含む歪みを考慮する。したがって、このような実施形態では、基板上の所望のドーズパターンの適切な位置決めを確保するような方法で、内挿/マッピングが実行される。
【0062】
一実施形態では、(デ−)コンボリューション計算への入力であるラスタ化表現のために使用されるラスタ化グリッドのジオメトリと、スポット露光グリッドのジオメトリとは一致する。そのため、ラスタ化グリッドがスポット露光グリッドの上に重ねられた場合、ラスタ化グリッド内のグリッド点の大半または全てが、スポット露光グリッドの対応するグリッド点と整列し、および/または、スポット露光グリッド内のグリッド点の大半または全てが、ラスタ化グリッドの対応するグリッド点と整列する。
【0063】
一実施形態では、ラスタ化ステージ104は、ベクタ形式表現(または、ベクタ形式表現の処理済みバージョン)を、不規則なラスタ化グリッドに対して規定されるラスタ化表現に直接(例えば、規則的なグリッドに対して規定されるラスタ化データを生成する中間ステップなしに)変換するように構成される。一実施形態では、この不規則なラスタ化グリッドは、スポット露光グリッドと一致する。一実施形態では、このような直接的な変換プロセスは、全てのポリゴン頂点に適用される、ベクタドメイン内の座標変換を含む。一実施形態では、この座標変換は、搭載された基板、および/または搭載された基板上の以前に形成されたパターンの相対的な位置合わせおよび/または相対的な向きおよび/またはあらゆる歪み(例えば、移動、回転、スキュー、拡大および/または高次の歪み)を考慮に入れる。一実施形態では、座標変換は、メトロロジデータ記憶ステージ108から入力されるメトロロジデータを使用する。
【0064】
一実施形態では、ラスタ化グリッドとスポット露光グリッドのジオメトリの一致により、(行列の係数に対応する離散的な点で規定される)(デ−)コンボリューションカーネル行列が、(デ−)コンボリューション演算子(連続関数)をより効率的にサンプリングすることが可能になる。具体的には、グリッド同士を一致させると、(デ−)コンボリューション演算子内の最大値または最小値をラスタ化グリッド内のグリッド点に落とし、これによって、(デ−)コンボリューションカーネル行列の係数によって効率的にサンプリングされる傾向がある。一実施形態では、スポット露光グリッドのジオメトリとは異なるジオメトリ(例えば、規則的なジオメトリ)を有するラスタ化グリッドに対して規定される等価の(デ−)コンボリューションカーネル行列よりも、得られた(デ−)コンボリューションカーネル行列は、疎な行列になる。一実施形態では、より少数の係数を用いて(デ−)コンボリューションカーネルを規定することができる。
【0065】
一実施形態では、(デ−)コンボリューションカーネルはオフラインで計算され、基準(デ−)コンボリューションカーネルとして記憶される。一実施形態では、基準(デ−)コンボリューションカーネルはそれぞれ、スポット露光グリッド内の所与の点に配置された位置(例えば、スポットのドーズ分布における特徴点の位置)を有するスポット露光に関連する予測ドーズ分布(または、点広がり関数)を表している。一実施形態では、キャリブレーション測定から基準(デ−)コンボリューションカーネルが求められる。一実施形態では、スポット露光グリッド(または、スポット露光グリッド内の点同士の間)の点のサブセット(すなわち、全ての取り得る点よりも少ない)において、基準(デ−)コンボリューションカーネルが規定される。一実施形態では、記憶された基準(デ−)コンボリューションカーネル間の内挿および/または記憶された基準(デ−)コンボリューションカーネルを使用した近似を用いて、基準データが利用できない位置において使用する(デ−)コンボリューションカーネルを導出する。これによって、基準(デ−)コンボリューションカーネルが、それらが規定されているスポット露光グリッド内の点においてだけでなく、一つまたは複数の近隣の点でも(選択的に、近くの点で規定された他の(デ−)コンボリューションカーネルと組み合わせて)使用される。一実施形態では、所与のカーネルを使用して、(選択的に、他のカーネルと組み合わせて)所与のコントラストデバイスの複数の連続的なパルスの強度値を計算する。このアプローチは、導出すべきおよび/または基準(デ−)コンボリューションカーネルとして記憶するべき(デ−)コンボリューションカーネルの数を削減する。このようにして、ラスタ化グリッドのジオメトリとスポット露光グリッドのジオメトリを一致させると、(デ−)コンボリューションカーネルを再利用でき、効率が改善される。具体的には、近くの基準(デ−)コンボリューションカーネルから(デ−)コンボリューションカーネルを導出する内挿演算を、より少数の数学的ステップを用いてさらに効率に実行することができる。
【0066】
一実施形態では、制御信号生成ステージ106は、制御信号を生成するために、放射ビームの一連のターゲット強度値をセットポイント値に変換する。一実施形態では、セットポイント値は、パターニングデバイスの性質を考慮する。例えば、パターニングデバイスが複数の自発光型コントラストデバイスを含む場合、このような実施形態におけるセットポイント値は、自発光型コントラストデバイスの応答における非線形性(例えば、与えられたセットポイント/電圧/電流の関数としての、出力変動の非線形性)を考慮する。一実施形態では、セットポイント値は、公称的に同一であるコントラストデバイスの一つまたは複数の特性における変動を、例えばキャリブレーション測定によって考慮する。パターニングデバイスがマイクロミラーアレイを含む実施形態では、セットポイント値はミラーの応答性(例えば、所与のミラーまたは一群のミラーに与えられたセットポイント値と、関連する放射ビーム強度との間の関係)を考慮する。
【0067】
制御信号出力ステージ110は、制御信号生成ステージから制御信号を受け取り、その信号をパターニングデバイスに供給する。制御信号生成ステージ106と制御信号出力ステージ110は、ターゲット上の所望のドーズパターンを生成するのに必要なターゲット強度値を持つビームを放出させるように露光装置のプログラマブルパターニングデバイスを制御する「コントローラ」と呼ばれることもある。
【0068】
図6に示す例では、ステージ102、104がデータパスのオフライン部112にて作動し、ステージ106−110がデータパスのオンライン(すなわちリアルタイム)部114にて作動する。しかしながら、一実施形態では、ステージ104に関連する機能の全てまたは一部がオンラインで実行されてもよい。代替的にまたは追加して、ステージ106および/またはステージ108の機能の全てまたは一部がオフラインで実行されてもよい。
【0069】
あるデバイス製造方法によると、パターンが付与された基板から、ディスプレイ、集積回路、又はその他の任意の品目等のデバイスが製造されうる。
【0070】
本書ではICの製造におけるリソグラフィ装置または露光装置の使用を例として説明しているが、本明細書に説明した装置は他の用途にも適用することが可能であるものと理解されたい。他の用途としては、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用案内パターンおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどがある。当業者であればこれらの他の適用に際して、本明細書における「ウェーハ」あるいは「ダイ」という用語がそれぞれ「基板」あるいは「目標部分」という、より一般的な用語と同義であるとみなされると理解することができるであろう。本書に言及された基板は露光前または露光後において、例えばトラック(典型的にはレジスト層を基板に塗布し、露光後のレジストを現像する装置)、メトロロジツール、及び/またはインスペクションツールにより処理されてもよい。適用可能であれば、本明細書の開示はこれらのまたは他の基板処理装置にも適用され得る。また、基板は例えば多層ICを製造するために複数回処理されてもよく、その場合には本明細書における基板という用語は既に処理されている多数の処理層を含む基板をも意味し得る。
【0071】
「レンズ」という用語は、文脈が許す限り、屈折光学部品、回折光学部品、反射光学部品、磁気的光学部品、電磁気的光学部品、静電的光学部品、またはこれらの組み合わせを含む各種の光学部品のいずれかを指し示してもよい。
【0072】
本発明の特定の実施形態が上述されたが、説明したもの以外の態様で本発明が実施されてもよい。例えば、本発明は、上述の方法を記述する機械で読み取り可能な命令の1つまたは複数のシーケンスを含むコンピュータプログラム、または、そうしたコンピュータプログラムを記録したデータ記録媒体(例えば半導体メモリ、磁気ディスク、または光ディスク)の形式をとってもよい。また、機械で読み取り可能な命令は、2以上のコンピュータプログラムにより具現化されていてもよい。それら2以上のコンピュータプログラムは、1つ又は複数の異なるメモリ及び/またはデータ記録媒体に記録されていてもよい。
【0073】
上述の説明は例示であり、限定を意図しない。よって、以下に述べる請求項の範囲から逸脱することなく既述の本発明に変更を加えることができるということは、当業者には明らかなことである。
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