特許第5881954号(P5881954)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ラム リサーチ コーポレーションの特許一覧

<>
  • 特許5881954-プラズマ発生装置 図000008
  • 特許5881954-プラズマ発生装置 図000009
  • 特許5881954-プラズマ発生装置 図000010
  • 特許5881954-プラズマ発生装置 図000011
  • 特許5881954-プラズマ発生装置 図000012
  • 特許5881954-プラズマ発生装置 図000013
  • 特許5881954-プラズマ発生装置 図000014
  • 特許5881954-プラズマ発生装置 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5881954
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】プラズマ発生装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20160225BHJP
   C23C 16/505 20060101ALI20160225BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20160225BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20160225BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20160225BHJP
【FI】
   H01L21/302 101C
   C23C16/505
   H01L21/205
   H01L21/31 C
   H05H1/46 L
【請求項の数】20
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2011-24421(P2011-24421)
(22)【出願日】2011年2月7日
(62)【分割の表示】特願2000-557486(P2000-557486)の分割
【原出願日】1999年6月18日
(65)【公開番号】特開2011-146721(P2011-146721A)
(43)【公開日】2011年7月28日
【審査請求日】2011年2月18日
【審判番号】不服2014-14348(P2014-14348/J1)
【審判請求日】2014年7月23日
(31)【優先権主張番号】09/106,852
(32)【優先日】1998年6月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン, ジアン, ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルトロップ, ロバート, ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ウィッカー, トーマス, イー.
【合議体】
【審判長】 小野田 誠
【審判官】 綿引 隆
【審判官】 加藤 浩一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第98/01893(WO,A1)
【文献】 特開平10−125497(JP,A)
【文献】 特開平10−154599(JP,A)
【文献】 特開平06−267903(JP,A)
【文献】 特開平08−050998(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導結合型プラズマを発生させるための装置であって、
チャンバ中への電磁界経路を形成するウィンドウと該チャンバ中にプロセス・ガスを導入するように構成されたプロセス・ガス供給源とを有するプラズマ反応チャンバと、
高周波電流源に接続された単一の整合回路網と、
前記チャンバのウィンドウに近接して配設され、それぞれの一方の端部が前記単一の整合回路網を介して前記高周波電流源に接続されている少なくとも第1のアンテナ・セグメントおよび第2のアンテナ・セグメントを含む高周波アンテナと、
前記単一の整合回路網と前記第1のアンテナ・セグメントの前記一方の端部との間に接続された第1の入力コンデンサと、
前記単一の整合回路網と前記第2のアンテナ・セグメントの前記一方の端部との間に接続された第2の入力コンデンサと、
を備え、
高周波電流によって誘導された電磁界は、前記ウィンドウを通過し、プロセス・ガスを励起およびイオン化し、それによりチャンバ内にプラズマを発生させ、
前記第1のアンテナ・セグメントが前記第2のアンテナ・セグメントを取り囲んでいて、前記第1のアンテナ・セグメントの他方の端部は第1の出力コンデンサを介して接地されており、前記第2のアンテナ・セグメントの他方の端部は第2の出力コンデンサを介して接地されており、前記第1の出力コンデンサおよび前記第2の出力コンデンサは前記第1のアンテナ・セグメントおよび前記第2のアンテナ・セグメントの電流分布を調整するコンデンサであり、前記第1のアンテナ・セグメントおよび前記第2のアンテナ・セグメントの各々には単一の前記高周波電流源によって高周波が供給され、前記第1の入力コンデンサが前記単一の整合回路網と前記第1のアンテナ・セグメントとの間に直列に接続され、前記第2の入力コンデンサが前記単一の整合回路網と前記第2のアンテナ・セグメントとの間に直列に接続され、
前記第2のアンテナ・セグメントにおける最大電流は、前記第2のアンテナ・セグメントの中心部に発生し、
前記第1および第2の出力コンデンサの値は、さらに、それぞれの最大電流の位置が互いに方位角として約180度離れていて半径方向に互いに反対の位置となり、これにより、方位角が不均一な電流分布に起因する方位角が不均一なプラズマを減少させるように、前記第1および第2のアンテナ・セグメントにおける前記最大電流位置を調整するために設定され、
前記第1および第2のアンテナ・セグメントの前記電流は、前記チャンバ全体に均一なプラズマを生成するための大きさを有している、装置。
【請求項2】
発生するプラズマの密度が、前記少なくとも第1および第2のアンテナ・セグメントがまたがる領域内で実質的に均一であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも第1および第2のアンテナ・セグメントが、単巻コイルからなることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第1のアンテナ・セグメントが単巻コイルからなり、前記第2のアンテナ・セグメントが複巻コイルからなることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも第1および第2のアンテナ・セグメントが、複巻コイルからなることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第1および第2の入力コンデンサは、前記第1および第2のアンテナ・セグメントの電流を、同じ電流又は異なる電流が得られるように調整するコンデンサであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記第1および第2の入力コンデンサの組合せが各々の前記アンテナ・セグメントにおける電流を増大させるときは、前記アンテナ・セグメントに隣接するプラズマ領域への高周波電力結合が増大し、前記第1および第2の入力コンデンサの組合せが各々の前記アンテナ・セグメントにおける電流を減少させるときは、前記プラズマ領域への電力結合が減少することを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記第1および第2のアンテナ・セグメントにおける前記最大電流の位置は、前記第2のアンテナ・セグメントに対する前記第1のアンテナ・セグメントの相対的な物理的回転位置の関数であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記第1および第2のアンテナ・セグメントは、同一平面内にある二次元構成、非平面的な三次元構成、またはその組合せで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記第1および第2のアンテナ・セグメントは、小さい直径を有する方のアンテナ・セグメントに対して大きい直径を有する方のアンテナ・セグメントが同心状になるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記三次元構成が、ドーム状又はらせん状であることを特徴とする請求項に記載の装置。
【請求項12】
各々の前記アンテナ・セグメントの形状が、ほぼ円形であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記少なくとも第1および第2のアンテナ・セグメントが、前記チャンバのウィンドウの外表面に近接して配置されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記第1および第2のアンテナ・セグメントの電流が前記第1および第2のアンテナ・セグメントを同じ方位角方向に流れることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記第1および第2のアンテナ・セグメントは平面的な複巻コイルとして構成されており、前記第2のアンテナ・セグメントは第1および第2の部分を有することを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項16】
前記第1のアンテナ・セグメントは平面的な複巻コイルとして構成されており、前記第2のアンテナ・セグメントは、前記第1の部分が平面的な複巻コイルとして構成されており、第2の部分がらせん状のコイルとして構成されていることを特徴とする請求項に記載の装置。
【請求項17】
記らせん状のコイルとして構成されている前記第2の部分内に配置されている中空の誘電体シリンダを含み、該中空の誘電体シリンダの中空領域が前記プロセス・チャンバに直接接続されていることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記第1のアンテナ・セグメントが、第1の平面的な部分と第2の非平面的な部分とを有し、前記第2のアンテナ・セグメントが第1の平面的な部分と第2の非平面的な部分とを有することを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項19】
前記第1のアンテナ・セグメントの前記第2の非平面的な部分が、らせん状のコイルとして構成されていることを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記第2のアンテナ・セグメントの前記第2の非平面的な部分が、らせん状のコイルとして構成されていることを特徴とする請求項18に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板などの材料を処理するためのプラズマ反応器に関する。より詳細には、本発明は、プラズマ反応器内の誘導結合均一性を改善するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマの発生は様々な半導体製造プロセス、例えばプラズマ・エッチング及び堆積において有用である。プラズマは一般に、個々の電子ガス分子衝突による運動エネルギーの伝達によって個々のガス分子をイオン化させる自由電子の電界イオン化および生成によって低圧ガスから生成される。電子は通常、電界、一般には高周波電界の中で加速される。
【0003】
RF電界中の電子を加速するための多数の技法が提案されている。例えば、米国特許第4948458号には、処理すべき半導体ウエハの平面的なに平行に位置する平面的なアンテナ・コイルを使用して、チャンバ内の高周波電界中で電子を励起するプラズマ発生デバイスが開示されている。図1に、アンテナ・システム105、誘電体ウィンドウ120、ガス分配プレート130、処理すべきウエハ140、真空チャンバ150、静電チャック160、および下側電極170を含んでいるプラズマ発生デバイス100を概略的に示す。
【0004】
動作に際しては、高周波発生源(図示せず)を使用して、一般に高周波整合回路(図示せず)を介して、アンテナ・システム105に高周波電流を供給する。高周波電流は、一般にアンテナ・システム105を介して共振し、真空チャンバ150内で方位角電界を誘導する。同時に、ガス分配プレート130を介してプロセス・ガスを真空チャンバ150中に導入すると、誘導された電界によりプロセス・ガスがイオン化してチャンバ150内にプラズマが生成される。次いでプラズマは、(静電チャック160によって所定の位置に保持された)ウエハ140に当たり、ウエハ140を必要に応じて処理する(例えば、エッチングする)。一般に、アンテナ・コイルに加えられる周波数とは異なる周波数である別の高周波数を下側電極170に加えて、イオン衝撃用の負のDCバイアス電圧を得る。
【0005】
図2Aおよび図2Bに、米国特許第4948458号に示されているアンテナ・システムを構成する2つの渦巻き状の平面的なコイル110a、110bを示す。図2Aに示すように、第1の平面的なコイル110aは、平面的なスパイラルに形成された一つの導電エレメントとして構成され、高周波回路への接続のために高周波タップ205、215に接続されている。図2Bでは、別の平面的なコイル110bは、相互接続225を介して直列に接続された複数の接続リング220として構成され、各端部が高周波タップ205、215に接続されている。
【0006】
当技術分野においてよく知られているように、そのような渦巻き状のコイルによって得られる円状電流パターンはドーナツ形プラズマを作り出し、これによりウエハ140におけるエッチング速度に半径方向の不均一性が生じることがある。言い換えれば、平面的なコイル・アンテナ110によって誘導的に発生する電界は、一般に、(半径方向成分Er=0および方位角成分Eθ≠0を有する)方位角電界であるが、中心部では0である(Er=0およびEθ0)。したがって、コイル・アンテナ110は、中心部においてより低い密度を有するドーナツ形プラズマを生成するので、ドーナツの中心部において適切な均一性を得るためには、プラズマ拡散(すなわち、中心部への電子およびイオンの拡散)を利用しなければならない。ただし、用途によっては、プラズマ拡散によって得られる均一性は不十分である。
【0007】
さらに、そのような渦巻き状のコイル・アンテナは方位角不均一プラズマをつくる傾向がある。これは、平面的なアンテナ・コイルを構成するために使用される結合線路の比較的長い長さが、コイルが一般に動作する高周波数においてかなりの電気的長さを有することに起因する。電圧波および電流波は入力端部から端子端部まで順方向に進行し、端子端部において再び反射されることになる。順方向波および反射波の重ね合わせの結果、コイルに定在波が生じる(すなわち、電圧および電流がコイルの長さに沿って周期的に変化する)。コイルを端子端部において接地した場合、端子端部における電流は最大値になり、端子端部における電圧は0になる。入力に向かってコイルに沿って進むと、電圧は増大し、電流は減少し、ついには電気的長さが90度のところで、電圧は最大値になり、電流は最小値になる。そのようなある程度の変化があると、極めて不均一なプラズマが生じる。したがって、平面的なコイルは一般にキャパシタンスで終端され、それによりコイル中の電流はコイルの両端部において同じになり、コイルの中央部の近くで最大値まで増大する。そうするとプラズマ均一性を改善することができるが、電流がコイルの長さに沿って方位角方向に変化するので、方位角不均一性はまだ存在する。例えば、図2Aの点Pは電流最大値である。点Pのいずれかの側で、電流は低下する。したがって、プラズマに結合する電力はPの下でより大きくなり、対応するプラズマはより密になる。反対に、点P’におけるプラズマ密度は比較的低くなる。
【0008】
終端コンデンサ値は変化させることができるが、そうするとコイルに沿った電圧の位置が変化するだけであることに留意されたい。さらに、コイル長さに沿って同じ極性の電圧を得るためにコイルをインダクタンスで終端させることができるが、コイルの中心位置のどこかに電流ゼロが存在することになり(電流はゼロのいずれかの側で反対方向に流れる)、生じたプラズマ密度は容認できないほど低くかつ不均一になることがある。Patrick他の米国特許第5401350号は上述の欠点を克服しようと試みるものである。そこには、プラズマ均一性を改善するための複数平面的なコイル構成が記載されている。個々のコイルへのRF電力は独立して制御され、電力および位相の独立した調整に対処する別個の電力源および別個の整合回路網が必要となる。
【0009】
プラズマ結合システム内で誘導結合均一性を制御するための改善された方法および装置が必要であることは明らかである。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、アンテナ・システム内の誘導結合均一性を改善するためのシステムを提供することによって、従来技術の上記で特定した欠点を克服するものである。アンテナ・コイルの配置および電流分布を制御することによって、プラズマ均一性を改善することができる。
【0011】
例示的な実施形態によれば、2つまたはそれ以上の渦巻き状のコイルがプラズマ・チャンバの誘電体ウィンドウ上に配置される。各コイルは平面的なコイルか、または平面的なコイルと垂直方向に積み重なったらせん状のコイルの両方の組合せのいずれかである。各コイルの入力端部は入力側可変コンデンサに取り付けられ、出力端部は出力側可変コンデンサを介して接地に終端される。出力側コンデンサは、電流が極値(すなわち、最大値または最小値)であるかどうか、または電圧が極値であるかどうかを決定し、入力側コンデンサは、各コイルの全インピーダンスを変化させることができ、これらの複数のコイルの電流の大きさの比を変化させることができる。各コイルにおける電流の大きさおよび最大電流の場所を調整することによって、プラズマ密度、すなわち、プラズマ均一性を制御することができる。
【0012】
以下、本発明の上述した内容、その他の特徴、および、利点について、添付図面に示す例示的な実施形態を参照して詳細に説明する。説明する実施形態は一例であり、また、理解を助けるものであり、多数の同等の実施形態が実現されることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】処理チャンバ中に高周波エネルギーを結合するために使用される誘電体ウィンドウの上部にアンテナ・システムが置かれているプラズマ反応器を示す図である。
図2A】従来の渦巻き状の平面的なコイル・アンテナを示す図である。
図2B】別の従来の渦巻き状の平面的なコイル・アンテナを示す図である。
図3】本発明の第1の実施形態による二重の平面的な単巻コイルの構成例を示す図である。
図4】本発明の第2の実施形態による二重の平面的な複巻コイルの構成例を示す図である。
図5】本発明の第3の実施形態による、内側にらせん状のコイルをもつ二重の平面的な複巻コイルの構成例を示す図である。
図6】本発明の第4の実施形態による、内側及び外側の両方にらせん状のコイルを有する二重の平面的な複巻コイルの例示的な構成を示す図である。
図7】本発明の第5の実施形態による、平行アンテナ・エレメントをもつ二重の平面的な複巻コイルの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に、本発明のアンテナ・システムを組み込むことができるプラズマ発生デバイス100を示す。プラズマ発生デバイス100は、誘電体ウィンドウ120、ガス分配プレート130、ウェハ140、真空チャンバ150、静電チャック160、下側電極170およびアンテナ・システム105を含んでいる。アンテナ・システム105は、RF整合回路網(図示せず)とRF発生器(図示せず)に接続された一組のコイル110を含んでいる。
【0015】
本発明の例示的な実施形態によれば、このアンテナ・システムは、Transformer−Coupled Plasma(TCPTM、ラム リサーチ コーポレーションの登録商標)アンテナ・システムである。図3に、本発明の第1の実施形態によるTCPTMアンテナ・システム300を示す。この実施形態では、TCPTMアンテナ・システム300は2つの単巻コイルを含んでいる。コイル1は中心部の近くに置かれることが好ましく、コイル2は反応器の上部開口の外縁部に向かってより遠くに置かれることが好ましい。高周波(RF)電流が2つの調整コンデンサC1およびC2を介してコイル1および2の一方の端部に同時に供給される。当技術分野においてよく知られているように、RF入力はRF発生源310によって発生され、RF整合回路網320を介してコンデンサC1およびC2に供給される。調整コンデンサC1およびC2は、それぞれ調整すべきコイル1および2の電流I1およびI2の大きさに対処する。コイル1およびコイル2の反対側の端部は結合され、インピーダンスZTを介して接地に終端される。
【0016】
平面的な単巻コイルによって誘導的に発生した電界は方位角電界(半径方向成分Er=0および方位角成分Eθ≠0)であるが、中心部では0である(Er=0およびEθ0)。誘電体ウィンドウ表面の近くでは、プラズマ中の誘導電界および誘導電流(J=σE)はほぼ駆動コイルの鏡像である。平面的なコイル・アンテナは、駆動コイルの半径の2分の1に近い半径をもつドーナツ形プラズマを生成する。2つのコイルを離して置くことによって、これは、2つのコイルの平均半径の2分の1にほぼ等しい半径を有するより漸進的なプラズマ・ドーナツを効果的に発生する。内側コイルからプラズマへの電力結合は内側領域内に局所化され、外側コイルからの電力結合は外側領域内に局所化される。その結果、プラズマ拡散(すなわち、電子およびイオンの拡散)は中心部および他の場所におけるプラズマ密度をより均一にする傾向がある。
【0017】
上記のように、2つの単巻コイルに関連する回路(すなわち、コンデンサC1およびC2およびインピーダンスZT)は、コイル1とコイル2における電流の大きさ、すなわちそれぞれI1とI2の比を調整することができる。電流の大きさを調整することによって、反応器の中心部と縁部の間のプラズマ均一性を調整することができる。当業者なら理解できるように、C1およびC2は固定コンデンサでも可変コンデンサでもよい。
【0018】
入力側調整コンデンサC1およびC2は各コイルの入力誘導リアクタンスを部分的に消去する。C1およびC2の値を適切に選択すれば、各脚の入力リアクタンスは同じになり、その結果、共通の発生源から供給されたときのコイル1およびコイル2への入力電流が等しくなる。これらの開始値からC1をより高く、C2をより低く調整すると、コイル1の電流は減少し、コイル2の電流は増大する。方向を逆にすると、反対方向における電流は不平衡になる。調整プロセス中、一方の脚は増大したリアクタンスを有し、他方の脚は減少したリアクタンスを有するので、複合回路の入力インピーダンスは名目上同じままである。
【0019】
コイル1とコイル2の反対側の端部はインピーダンスZTで終端することができる。ZTは、従来のTCPTMシステムの場合と同様に共通のコンデンサか、あるいは接地への電気的に短絡した接続でもよい。ZTは、接地に終端された別個のコンデンサとすることもできる。各コイルが異なる電気的長さを有する場合、各コイルの入力インピーダンスも異なる。電流最大値が名目上各コイル長さの中心部に現れるように、別個の終端コンデンサを選択することができる。
【0020】
2つのコイルが対称的に平衡しているとき、各コイルに流れる電流は名目上同じになる。C1およびC2の値を変化させると、コイル1およびコイル2への不平衡な電流の流れが得られることが当業者なら理解できよう。入力リアクタンスX1およびX2が誘導性であると仮定すると、C2は、例えば、X1>X2という平衡状態から離れて増大すると、I1>I2である。この場合、内側コイル(コイル1)中の電流は、反応器の中心部により強い誘導結合を生じる外側コイルよりも大きくなる。その結果、比較的高いプラズマ密度がコイル1の下の中心領域内に生じる。別の場合では、外側コイル(コイル2)中の電流を内側コイル中の電流よりも大きくなるように調整し、それにより反応器壁の近くのような、内側コイルを覆っている領域におけるよりも低いプラズマ密度を補償することができる。
【0021】
上述の2つの単巻コイルの使用法を説明のために簡単に示す。上記の一般原則は複巻コイル、複巻システムに同等に適用可能であることが当業者なら理解できよう。さらに、本発明は(図3に示される)二次元コイルの構成に限定されるものではなく、代わりに三次元コイル構成として実現することもできる。例えば、コイルは、ドーム形誘電体ウィンドウに一致するように構成するか、あるいは円筒形誘電体ウィンドウの周りにらせん状に構成することができる。上記の一般原則は、複数の巻きの複数のコイルを有するドーム形、らせん状、または他の三次元の構成を同様に適用可能であることが当業者なら理解できよう。
【0022】
図4に、本発明の第2の実施形態によるTCPTMアンテナ・システム400を示す。図4には、2つの調整コンデンサC1〜C4が取付けられた2つの複巻コイル(コイル1およびコイル2)が示されている。図から明らかなように、コイル1は中心部に配置されおり、コイル2は反応器の上部開口の外縁部に向かってより遠くに配置されていることが好ましい。RF入力は、調整コンデンサC1およびC2を介してコイル1および2の第1の端部に同時に供給される。コイル1および2の反対側の端部はそれぞれ調整コンデンサC3およびC4を介して終端される。図3を参照して上述した二重のコイル単巻システムの場合と同様に、2つのコイルはより漸進的なドーナツ形プラズマを効果的に発生する。電流I1およびI2は同じ方向に流れるので、コイルからプラズマへの電力結合は領域全体に広がり、単一の平坦化されたドーナツ形プラズマを生成する。電流が不平衡である場合、ドーナツ形電界は中心部または外側においてより強くなる。
【0023】
コイルに沿ってより対称的な電流分布を得るために、各コイルごとに2つのコンデンサが設けられる。例えば、電流最大値(ならびに純抵抗性インピーダンス点)がコイル1の中心部に現れるように、C1をC3と一緒に調整することができる。コイルの中心部からC1に向かって移動すると、リアクタンスは誘導性になり、コイルの中心部からC3に向かって移動すると、リアクタンスは容量性になり、それにより電流は中心部において最大になり、名目上正弦波の形で中心部から離れて減少する。
【0024】
さらに、C3とC4の調整により上述の方位角不均一プラズマを補償することができる。例えば、図4のコイル1の点P1において最大電流が得られるように、C3を調整することができる。その結果、プラズマへの電力結合はP1の下でより大きくなり、対応するプラズマ密度はより高くなる。これは方位角不均一性を生じる傾向がある。ただし、C4を調整すれば、P1に対向する半径方向軸に沿ったコイル2中の場所P2において最大電流を得ることができる。したがって、P2におけるコイル2のより大きい電力結合がコイル1による影響を相殺し、その結果、より方位角的に均一なプラズマが生じる。C3とC4の調整の別法として、コイル1およびコイル2中の電流最大値がそれぞれP1およびP2のところに現れるように、コイル1の方位角位置をコイル2の方位角位置に対して物理的に回転させることができる。
【0025】
本発明の例示的な実施形態によれば、調整コンデンサC1およびC2は、1回の制御により反対方向に回転するように構成することができる。このようにすると、入力において単一の従来の整合回路網を妨害することなしに、単一の発生器からの1回の制御により電流の不平衡を、ひいてプラズマ不均一性を最適化することができる。同様に、C3とC4を反対方向に調整しても、C1とC2を調整するのと同じ効果が得られる。
【0026】
コイル中の巻数が変化するにつれて、コイルとプラズマの間の相互結合は、変圧器の一次コイル(すなわち駆動コイル)と二次コイル(すなわちプラズマ)の間の相互結合と同様の形で変化する(Albert J.Lammの、”Observations of Standing Waves on an InductivePlasma Coil Modeled as a Uniform Transmission Line”,J. Vac. Sci. Tech A, 15巻 No.51997年9月/10月 2615頁を参照されたい。)。巻数の増大/減少はプラズマの密度に影響を及ぼす。例えば、巻数が増大すると相互結合係数が減少し、それによりプラズマ密度が低くなる。一方、コイル長さが短縮された場合、コイル長さにわたって統合された全体的なプラズマの発生が減少する。したがって、各コイルの巻数および全長を最適化して、これら2つのファクタをつりあわせることが可能であることが当業者なら理解できよう。
【0027】
入力側調整コンデンサC1およびC2の値を変化させる影響を説明するために、以下の3つの状況、すなわち、C1の値がC2の値よりも大きい最初の状況、C1とC2の値が等しくなるように調整される第2の状況、およびC1の値がC2の値よりも小さい最後の状況について考えてみる。
【0028】
TCPTMコイル・アンテナの複素伝搬定数(k=α+jβ)は、コイル・アンテナの入力および出力における電圧および電流波形測定値から推測することができる(Lammを参照されたい。)。説明のために、α、βおよび実効特性インピーダンスZ0は3つの状況を通して同じであると仮定する。表Iに各コイルのα、β、Z0、電気的長さ、およびC1〜C4の値を示す。
【0029】
【表1】
【0030】
表Iにおいて、Zinは各コイルの入力インピーダンスを表す。2つのコイルの全入力インピーダンスは2.1+j10.5Ωであり、これは各コイルのZinの約2分の1である。表IIに、1000Wの入力RF電力および表Iに記載されているパラメータが与えられたときのi番目のコイルのIi、Ii’、ViおよびVi’の大きさおよび位相角を掲載する。表IIにおいて、Iiは、i(i=1、2)番目のコイルの(図4のRF入力により近い)入力端部における電流を表し、Ii’は、i番目のコイルの(図4のC3およびC4により近い)出力端部における電流を表し、ViおよびVi’はそれぞれi番目のコイルの入力端部および出力端部における電圧を表す。
【0031】
【表2】
【0032】
表IIから明らかなように、RF電流および電圧は2つのコイルの間で不平衡であるが、各コイル内では平衡である。内側コイルの全インピーダンスは外側コイルの全インピーダンスよりも大きいので、内側コイル(コイル1)の電流と電圧はどちらも外側コイル(コイル2)の電流と電圧よりも34%小さい。各コイルはコイルの中心部の周りに対称的に平衡しており、したがって各コイルの入力電流および電圧の値は大きさが出力値にほとんど等しい。各コイルの中心部から離れると、インピーダンスは、コイルの入力端部に向かって誘導性に支配されるようになり、出力端部に向かって容量性に支配されるようになる。これは、入力電圧と出力電圧の間の位相角の変化から明らかである。
【0033】
(C1=C2となるように)C1とC2の値を変化させることが電流I1とI2に及ぼす影響を以下の表IIIおよびIVに示す。
【0034】
【表3】
【0035】
2つのコイルの全入力インピーダンスは2.0+j11.4Ωであり、これは各コイルのZinの約2分の1である。表IVに、1000Wの入力RF電力および表IIIに記載されているパラメータが与えられたときのi番目のコイルのIi、Ii’、ViおよびVi’の大きさおよび位相角を掲載する。
【0036】
【表4】
【0037】
1=C2およびC3=C4であり、コイル1はコイル2と同等であるので、RF電流および電圧は2つのコイル間ならびに各コイル内で平衡している。
【0038】
最後の状況は、C1の値がC2の値よりも小さくなるようにC1とC2の値を変化させることの影響を示す。
【0039】
【表5】
【0040】
2つのコイルの全入力インピーダンスは2.1+j10.5Ωであり、これは各コイルのZinの約2分の1である。表VIに、1000Wの入力RF電力および表IIIに記載されているパラメータが与えられたときのi番目のコイルのIi、Ii’、ViおよびVi’の大きさおよび位相角を掲載する。
【0041】
【表6】
【0042】
この場合、内側コイル(コイル1)のRF電流と電圧はどちらも外側コイル(コイル2)の電流と電圧よりも51%大きい。
【0043】
1とC2を変化させるだけで、他方のコイルの電流および電圧に対してコイルの電流ならびに電圧を実質上調整することができることが、上記の状況から明らかである。
【0044】
図5に本発明の第3の実施形態を示す。図5では、2つの複巻コイルおよび4つの調整コンデンサC1〜C4の他に、らせん状のコイルが設けられている。この実施形態によれば、内側コイル(コイル1)は2つの部分からなる。部分Iは、図4に関して上述した平面的な複巻コイルを表す。部分IIは、平面的な複巻コイルに対して垂直に置かれ、平面的なコイル(コイル1およびコイル2の部分I)の軸と同一の軸を有するらせん状のコイルを表す。
【0045】
この実施形態では、内側コイルの電気的長さは、コイル1およびコイル2がそれらの電気的長さに関してより平衡するように延長されている。2つの電気的長さが互いに近接しているとき、各コイルへの電流をより大きい程度まで調整するとともに、より一定の複素入力インピーダンスを維持することができる。本発明によるらせん状のコイルは中心部におけるプラズマへの誘導結合を助ける。らせん状のコイルによって発生される電界も方位角電界であり、中心部において0であるが、この方位角電界の平均半径はらせん状のコイルの直径の程度である。したがって、中心部におけるプラズマをより密にして、よりよい全体的な均一性を得ることができる。
【0046】
らせん状のコイルの中央部にあるシリンダは誘電体材料でできており、中実にすることにより単に巻線を機械的に支持するが、あるいはその軸に沿って中空にすることもできる。後者の場合、中空シリンダは上端部が真空密封され、また、シリンダの中空領域がチャンバに直接接続されるように底端部が開いている。そのような場合、プロセス・ガスは真空チャンバにだけでなく、中空シリンダにも導入される。シリンダはプラズマ反応器の誘電体ウィンドウの一部と考えることもできる。中空シリンダ中のプラズマ密度は、比較的強い誘導電界および中空陰極効果のためにチャンバ中よりも高くなることがある。中空シリンダ中で生成されるプラズマはチャンバの中心部に拡散する。さらに、一般に10m−トル未満の低圧状況において放電を容易に当てることができるように、比較的高い電圧が終端コンデンサC3によって調整され得る。
【0047】
図6に本発明の第4の実施形態を示す。この実施形態によれば、各コイル(コイル1およびコイル2)は2つの部分からなる。部分1は平面的な複巻コイルの形態であり、部分2はらせん状のコイルの形態であって平面的な複巻コイル(すなわち、部分1)に対して直角に置かれ、部分1の軸と同一の軸を有する。
【0048】
入力高周波はコイル1およびコイル2の平面的な複巻コイルからアンテナ・システム600に入り、また電流が両方のコイル中を同じ方向に流れるように、らせん状のコイルから出る。コイル1およびコイル2の同等の電気的長さを得るために、コイル2のらせん状のコイル(部分2)は平面的な複巻コイル(コイル2の部分1)の最も内側の巻線と同じ半径を有し、コイル1のらせん状のコイル(部分2)は平面的な複巻コイル(コイル1の部分1)の最も外側の巻線と同じ半径を有する。コイル1およびコイル2のらせん状のコイルの巻数は、コイル1およびコイル2の電気的全長がほぼ等しくなるように選択される。コイル1および2のリング間の小さな開口が整列していないことは図6から明らかである。開口が整列している構成とすることは可能であるが、そのような構成にすると、開口の場所におけるプラズマへの電力結合が小さくなることが当業者なら理解できよう。
【0049】
入力調整コンデンサ(C1およびC2)および出力調整コンデンサ(C3およびC4)は図3図5に関して上述したものと同様の形でコイル中の電流分布の調整を可能にする。本実施形態は一方のコイル中の電流を独立して調整できること点で有利である。図3図5に示した上述の実施形態では、各コイルへの電流は主として、入力インピーダンスを変化させる入力調整コンデンサによって調整される。一方のコイルの入力インピーダンスが変化するにつれて、コイルが電気的に並列に接続されているので、全入力インピーダンスが変化する。これにより一方のコイル中の電流が変化するだけでなく、他方のコイル中の電流も変化することになる。言い換えれば、2つのコイルの電流調整は独立ではない。したがって、全入力インピーダンスのそのような変化を補償するために整合回路網を再同調させなければならない。これは、整合回路網の同調範囲が有限でありかつ制限されているので、すべての用途において実行可能であるとは限らない。
【0050】
図6において、平面的な複巻コイル(部分1)中の場所か、またはらせん状のコイル(部分2)中の場所に対して出力コンデンサを調整することによって、各コイルの電流最大値の場所を調整することができる。電流最大値が平面的な複巻コイル中のどこかにあるときには、平面的なコイルがプラズマにより近いので、プラズマへの高周波の電力結合は比較的大きい。同様に、電流最大値がらせん状のコイル中のある場所にある場合、らせん状のコイルがプラズマからより離れており、平面的な複巻コイル中で電流が低下するので、プラズマへの電力結合は弱くなる。したがって、出力コンデンサのみの調整では、最大電流の場所とプラズマへの電力結合の大きさが同時に変化することになる。出力コンデンサが調整されるのと同時に、コイルの比較的不変の入力インピーダンスを維持するために、入力コンデンサは反対方向に調整されることになる。このようにして入力および出力コンデンサを調整することにより、電流の大きさは実質上変化しないが、コイル中の電流定在波パターンがシフトし、これによりプラズマへの電力結合が効果的に変化することが当業者なら理解できよう。その結果、プラズマ均一性を制御可能に維持できるようになる。
【0051】
図7に本発明の第5の実施形態による二重コイル結合システムを示す。図7の二重のコイル結合システムは平行なアンテナ・エレメントを使用する。2つのコイル(コイル1およびコイル2)は対称的であり、コイルの各ループは半円と平行とのアンテナ・エレメントからなる。RFは各コイル(平行軸により近い)の平行エレメントの中央に同時に供給され、コイルの他の端部は結合され、コンデンサCTを介して接地に終端される。
【0052】
渦巻き状の平面的なコイルとは対照的に、平面的なアンテナ結合方式は常に比較的大きい電界を中心部において生成し、したがってプラズマ均一性を本質的に改善する(J.J. Chen他、”Parallel-Antenna Transformer-Coupled Plasma GenerationSystem” 米国特許出願第09/052144号、出願日1998年3月31日を参照されたい)。従来のTCPTMコイルと同様に、各コイルによって生成されたプラズマはドーナツ形であり、コイル1ではo1の周り、コイル2ではo2の周りを中心とすることができる。単一のTCPTMと比較して、各プラズマ・ドーナツの半径はかなり短く、それにより従来のTCPTMシステムと比較して、プラズマがドーナツの中心部に拡散しやすくなる。この結合システムの利点は、各コイルの電気的長さがほぼ2分の1になるので、各コイルに沿ったRF電流および電圧の変化がより小さくなることである。
【0053】
以上、本発明の原理、好ましい実施形態および動作モードについて説明した。ただし、本発明は上述した特定の実施形態に限定されるものではない。すなわち、上述した実施形態は限定的なものではなく例示的なものであり、当業者であれば、請求の範囲に記載された本発明の範囲から逸脱することなく、それらの実施形態に変更を加えることができることはいうまでもない。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7