【課題を解決するための手段】
【0014】
このため、我々は本発明の方法とこのようにして得られる多孔質材料を見出した。
【0015】
本発明多孔質材料の製造方法は、以下の成分(a1)と(a2)と(a3):
(a1)少なくとも一種の多官能性イソシアネート、
(a2)少なくとも一種の一般式Iの多官能性置換芳香族アミン(a2−s):
【化1】
【0016】
式中、R
1とR
2は、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ独立して水素と1〜6個の炭素原子を持つ直鎖又は分岐鎖アルキル基から選ばれ、置換基Q
1〜Q
5とQ
1’とQ
5’の全ては、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ独立して水素と一級アミノ基と1〜12個の炭素原子をもつ直鎖又は分岐鎖アルキル基(他の官能基を有していてもよい)から選ばれ、
ただし、
−一般式Iの化合物が少なくとも2個の一級アミノ基を持ち、Q
1とQ
3とQ
5の少なくとも一つが一級アミノ基であり、Q
1’とQ
3’とQ
5’の少なくとも一つが一級アミノ基あり、また
−Q
2、Q
4、Q
2’、及びQ
4’は、一般式Iの化合物が、芳香族環に結合している少なくとも一個の一級アミノ基をα位に有する1〜12個の炭素原子をもち、少なくとも一つの直鎖又は分岐鎖のアルキル基(他の官能基を生じていても良い)を有するように選択され、
必要なら、少なくとも一種の、一般式Iのアミン(a2−s)とは異なる他の多官能性芳香族アミン(a2−u)、および
(a3)水
を溶媒(C)の存在下で、また必要なら少なくとも一種の触媒(a4)の存在下で反応させて本発明の多孔質材料を形成することからなる。
【0017】
好ましい実施様態を下の請求項と明細書で説明する。好ましい実施様態の組合せも本発明の範囲に含まれる。用いる成分の好ましい実施様態を以下に述べる。
【0018】
以下では多官能性イソシアネート(a1)を成分(a1)と総称する。同様に以下で、多官能性アミン(a2)を成分(a2)と総称する。上記のモノマー成分が多孔質材料中では反応した形で存在していることは、当分野の熟練者に自明であろう。
【0019】
本発明の目的において、化合物の「官能価」は、1分子当りの反応性基の数をいう。モノマー構成単位(a1)の場合、官能価は1分子当りのイソシアネート基の数である。モノマー構成単位(a2)の場合、官能価は1分子当りの反応性アミノ基の数である。多官能性化合物の官能価は少なくとも2である。
【0020】
成分(a1)または(a2)として異なる官能価をもつ化合物の混合物を使用する場合、これらの成分の官能価は、いずれの場合も個々の化合物の官能価の数加重平均である。多官能性の化合物は1分子あたり少なくとも2種の上記の官能基をもつ。
【0021】
成分(a1)
本発明の方法では、成分(a1)として少なくとも一種の多官能性イソシアネートが反応させられる。
【0022】
本発明の方法では、使用する成分(a1)の量は、成分(a1)と(a2)と(a3)の総質量の100質量%に対して、好ましくは40〜99.8質量%であり、特に55〜99.3質量%、特に好ましくは68〜97.5質量%である。
【0023】
可能な多官能性イソシアネートは、芳香族、脂肪族、脂環式及び/又は芳香脂肪族イソシアネートである。このような多官能性イソシアネートは公知であるか、公知の方法で製造可能である。これらの多官能性イソシアネートは、特に混合物としての使用も可能であり、この場合には、成分(a1)がいろいろな多官能性イソシアネートを含むこととなる。モノマー構成単位(a1)として使用可能な多官能性イソシアネートは、モノマー成分分子当り二個のイソシアネート基を持つ(以下、ジイソシアネートとよぶ)か、二個を越えるイソシアネート基をもつ。
【0024】
特に適当な多官能性イソシアネートは、ジフェニルメタン2,2’−、2.41−及び/又は4,4’−ジイソシアネート(MDI)や、ナフチレン1,5−ジイソシアネート(NDI)、トリレン2,4−及び/又は2,6−ジイソシアネート(TDI)、3,3’−ジメチルビフェニルジイソシアネート、1,2−ジフェニルエタンジイソシアネート及び/又はp−フェニレンジイソシアネート(PPDI)、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン及び/又はオクタメチレンジイソシアネート、2−メチルペンタメチレン1,5−ジイソシアネート、2−エチルブチレン1,4−ジイソシアネート、ペンタメチレン1,5−ジイソシアネート、ブチレン1,4−ジイソシアネート、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1,4−及び/又は1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、シクロヘキサン1,4−ジイソシアネート、1−メチルシクロヘキサン2,4−及び/又は2,6−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン4,4’−、2,4’−及び/又は2,2’−ジイソシアネートである。
【0025】
多官能性イソシアネート(a1)として、芳香族イソシアネートが好ましい。特に好ましい成分(a1)の多官能性イソシアネートは以下の実施様態である:
i)トリレンジイソシアネート(TDI)系の多官能性イソシアネート、特に2,4−TDIまたは2,6−TDI、または2,4−TDIと2,6−TDIの混合物;
ii)ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)系の多官能性イソシアネート、特に2,2’−MDIまたは2,4’−MDIまたは4,4’−MDIまたはオリゴマー状MDI(ポリフェニルポリメチレンイソシアネートとも呼ばれる)、または上記のジフェニルメタンジイソシアネートの二つまたは三つの混合物、またはMDIの製造の際に得られる粗製MDI、または少なくとも一種のオリゴマー状MDIと少なくとも一種の上記の低分子量MDI誘導体の混合物;
iii)実施様態i)の少なくとも一種の芳香族イソシアネートと実施様態ii)の少なくとも一種の芳香族イソシアネートの混合物。多官能性イソシアネートとしては、オリゴマー状のジフェニルメタンジイソシアネートが特に好ましい。オリゴマー状ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、オリゴマー状MDIと称す)は、単独のオリゴマー状縮合生成物または複数のオリゴマー状縮合生成物の混合物であり、したがってジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の誘導体である。これらの多官能性イソシアネートは、好ましくはモノマー状芳香族ジイソシアネートとオリゴマー状MDIの混合物からなっていてもよい。
【0026】
オリゴマー状MDIは、複数の環をもち、官能価が2より大きな、特に3または4または5であるMDIの縮合生成物を一種以上含んでいる。オリゴマー状MDIは公知であり、しばしばポリフェニルポリメチレンイソシアネートまたはポリマー状MDIとよばれる。オリゴマー状MDIは通常、異なる官能価をもつMDI系イソシアネートの混合物である。オリゴマー状MDIは通常、モノマー状MDIと混合して用いられる。
【0027】
オリゴマー状MDIを含むイソシアネートの(平均)官能価は約2.2〜約5の範囲で変動し、特に2.4〜3.5、特に2.5〜3の範囲で変動する。
【0028】
このようないろいろな官能価をもつMDI系多官能性イソシアネートの混合物は、特にMDIの製造の際に得られる粗MDIである。
【0029】
MDI系の多官能性イソシアネートやこれら多官能性イソシアネートの混合物は公知であり、例えばエラストグラン社からルプラナートRという商品名で販売されている。
【0030】
成分(a1)の官能価は、好ましくは少なくとも2であり、特に少なくとも2.2、特に好ましくは少なくとも2.5である。成分(a1)の官能価は好ましくは2.2〜4であり、特に好ましくは2.5〜3である。
【0031】
成分(a1)のイソシアネート基含量は、好ましくは5〜10mmol/gであり、特に6〜9mmol/g、特に好ましくは7〜8.5mmol/gである。mmol/gで表したイソシアネート基含量とg/当量で表した当量とが逆比例することは、当分野の熟練者に自明であろう。mmol/gでのイソシアネート基含量は、ASTMD−5155−96Aに従って質量%での含量から求められる。
【0032】
ある好ましい実施様態においては、成分(a1)が、ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネートとジフェニルメタン2,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン2,2’−ジイソシアネート、オリゴマー状ジフェニルメタンジイソシアネートから選ばれる少なくとも一種の多官能性イソシアネートを含む。この好ましい実施様態においては、成分(a1)がオリゴマー状ジフェニルメタンジイソシアネートを含み、官能価が少なくとも2.5であることが特に好ましい。
【0033】
用いる成分(a1)の粘度は広い範囲で変化しうる。この成分(a1)の粘度は、好ましくは100〜3000mPa・sであり、特に好ましくは200〜2500mPa・sである。
【0034】
成分(a2)
本発明によれば、少なくとも一種の一般式Iの多官能性置換芳香族アミン(a2−s):
【化2】
【0035】
なお式中、R
1とR
2は、同一であっても異なっていてもよく、水素と直鎖又は分岐鎖の1〜6個の炭素原子をもつアルキル基から独立して選ばれ、すべての置換基Q
1〜Q
5とQ
1’〜Q
5’は、同一であっても異なっていてもよく、水素と一級アミノ基、直鎖又は分岐鎖の1〜12個の炭素原子をもつアルキル基(なおこのアルキル基は他の官能基をもっていてもよい)から独立して選ばれる。ただし、
−一般式Iの化合物が少なくとも2個の一級アミノ基を含み、Q
1とQ
3とQ
5の少なくとも一つが一級アミノ基であり、Q
1’とQ
3’とQ
5’の少なくとも一つが一級アミノ基であり、
−Q
2とQ
4、Q
2’,Q
4’は、一般式Iの化合物が、芳香族環に結合している少なくとも一個の一級アミノ基をα位に有する1〜12個の炭素原子をもち、少なくとも一つの直鎖又は分岐鎖のアルキル基(他の官能基を生じていても良い)を有するように選択され、
必要なら少なくとも一種の、一般式Iのアミン(a2−s)とは異なる他の多官能性芳香族アミン(a2−u)が、成分(a2)として反応させられる。
【0036】
したがって、成分(a2)は、官能性芳香族アミン(a2−s)を一つの構成要素とする多官能性芳香族アミンを含む。本発明の目的では、多官能性アミンは、分子あたりに少なくとも2個のイソシアネートに反応性のアミノ基をもつアミンである。なお、一級および二級アミノ基がイソシアネートに反応性であり、一級アミノ基の反応性が一般的には二級アミノ基のそれよりかなり大きい。
【0037】
用いる成分(a2)の量は、成分(a1)と(a2)と(a3)の総質量の100質量%に対して好ましくは0.1〜30質量%であり、特に0.5〜20質量%、特に好ましくは2〜12質量%である。
【0038】
本発明によれば、一般式IのR
1とR
2は、同一であっても異なっていても良く、独立して水素と一級アミノ基と1〜6個の炭素原子をもつ直鎖及び分岐アルキル基から選ばれる。R
1とR
2は、好ましくは水素とメチルから選ばれる。特に好ましくは、R
1=R
2=Hである。
【0039】
Q
2とQ
4とQ
2’とQ
4’は、好ましくはこの置換芳香族アミン(a2−s)が、それぞれ、1〜12個の炭素原子のα位にある直鎖又は分岐鎖アルキル基(他の官能基を生じていても良い)を有する少なくとも2個の一級アミノ基を持つように選ばれる。Q
2とQ
4とQ
2’とQ
4’の一つ以上が、1〜12個の炭素原子をもち他の官能基をもつ直鎖または分岐鎖アルキル基に相当するように選ばれる場合、このような官能基としては、アミノ基及び/又はヒドロキシ基及び/又はハロゲン原子が好ましい。
【0040】
一般式I中の置換基Qとしてのアルキル基は、好ましくはメチルとエチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチルから選ばれる。
【0041】
これらのアミン(a2−s)は、好ましくは3,3’,5,5’−テトラアルキル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンと3,3’,5,5’−テトラアルキル−2,2’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラアルキル−2,4’−ジアミノジフェニルメタンからなる群から選ばれる。なお、3、3’、5および5’位置のアルキル基は、同一であっても異なっていてもよく、1〜12個の炭素原子をもつ直鎖又は分岐鎖アルキル基から独立して選ばれ、他の官能基をもっていてもよい。上述のアルキル基は、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、sec−ブチルまたはt−ブチル(いずれの場合も無置換)であることが好ましい。
【0042】
ある実施様態においては、置換基Qの一つ以上のアルキル基の水素原子の一つ、一つ以上、あるいはすべてがハロゲン原子で、特に塩素で置換されていてもよい。あるいは、置換基Qの一つ以上のアルキル基の一個、二個以上、あるいは全ての水素原子がNH
2またはOHで置換されていてもよい。しかしながら一般式I中のアルキル基は、炭素と水素とからなっていることが好ましい。
【0043】
特に好ましい実施様態においては、成分(a2)が、3,3’,5,5’−テトラアルキル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(なお、アルキル基は、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ独立して1〜12個の炭素原子をもつ直鎖又は分岐鎖アルキル基から選ばれ、必要なら官能基を有していてもよい)を含む。上述のアルキル基は、好ましくは無置換アルキル基から選ばれ、特にメチルとエチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチルから、特に好ましくはメチルとエチルから選ばれる。3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン及び/又は3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンが極めて好ましい。
【0044】
上述の(a2−s)型の多官能性アミンは当業界の熟練者には公知であるか、公知の方法で製造可能である。公知の方法の一つが、酸触媒の存在下でのホルムアルデヒドとアニリンまたはアニリン誘導体混合物との反応、特に2,4−または2,6−ジアルキルアニリンとの反応である。
【0045】
成分(a2)は必要なら、構造(a2−s)のアミンとは異なる他の多官能性芳香族アミン(a2−u)を含むことができる。この芳香族アミン(a2−u)は、芳香族基の結合したアミノ基のみであることが好ましいが、脂肪族(脂環式)基及び芳香族基が結合した反応性アミノ基の両方を有していてもよい。
【0046】
好適な多官能性芳香族アミン(a2−u)は、特にジアミノジフェニルメタンの異性体や誘導体である。成分(a2)として好ましいジアミノジフェニルメタンの異性体や誘導体は、特に4,4’−ジアミノジフェニルメタンや、2,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジアミノジフェニルメタン、オリゴマー状ジアミノジフェニルメタンである。
【0047】
他の適当な多官能性芳香族アミン(a2−u)は、特にトルエンジアミンの異性体と誘導体である。成分(a2)の構成要素として好ましいトルエンジアミンの異性体と誘導体は、特にトルエン−2,4−ジアミン及び/又はトルエン−2,6−ジアミン、ジエチルトルエンジアミンであり、特に3,5−ジエチルトルエン−2,4−ジアミン及び/又は3,5−ジエチルトルエン−2,6−ジアミンである。
【0048】
第一の特に好ましい実施様態においては、成分(a2)が(a2−s)型の多官能性芳香族アミンのみからなる。第二の好ましい実施様態においては、成分(a2)が、(a2−s)型と(a2−u)型の多官能性芳香族アミンの両方を含む。後者の第二の好ましい実施様態では、成分(a2)が少なくとも一種の多官能性芳香族アミン(a2−u)を含み、そのうちの少なくとも一種はジアミノジフェニルメタン(MDA)の異性体と誘導体から選ばれることが好ましい。
【0049】
したがって第二の好ましい実施様態では、成分(a2)が、4,4’−ジアミノジフェニルメタンと2,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジアミノジフェニルメタン、オリゴマー状ジアミノジフェニルメタンから選ばれる少なくとも一種の多官能性芳香族アミン(a2−u)を含むことが特に好ましい。
【0050】
オリゴマー状ジアミノジフェニルメタンは、一種以上のメチレン架橋した複数の環を持つアニリンとホルムアルデヒドの縮合生成物である。オリゴマー状MDAは、少なくとも一種の官能価が2より大きなMDAを含み、特に官能基が3または4または5であるMDAオリゴマーを含み、通常このようなオリゴマーを複数含んでいる。オリゴマー状MDAは公知であるか、公知の方法で製造可能である。オリゴマー状MDAは、通常モノマー状MDAとの混合物の形で使用される。
【0051】
オリゴマー状MDAを含む多官能性アミン(a2−u)の(平均)官能性は、約2.3〜約5の範囲で変動し、特に2.3〜3.5、特に2.3〜3の範囲で変動する。このような異なる官能価をもつMDA系多官能性アミンの混合物の一つは、特に、通常塩酸触媒でのアニリンとホルムアルデヒドの縮合で粗製MDIを製造する際に中間体として形成される粗製MDAである。
【0052】
上述の好ましい第二の実施形態においては、成分(a2)が化合物(a2−u)としてオリゴマー状ジアミノジフェニルメタンを含み、全体として官能価が少なくとも2.1であることが特に好ましい。
【0053】
一般式Iをもつ(a2−s)型アミンの、成分(a2)の全多官能性アミンの総質量(合計で100質量%)に対する比率は。好ましくは10〜100質量%であり、特に30〜100質量%、極めて好ましくは50〜100質量%、特に80〜100質量%である。
【0054】
(a2−s)型アミンとは異なる多官能性芳香族アミン(a2−u)の成分(a2)の全多官能性アミンの総質量に対する比率は、好ましくは0〜90質量%であり、特に0〜70質量%、特に好ましくは0〜50質量%、特に0〜20質量%である。
【0055】
成分(a3)は水である。好ましい水の使用量は、成分(a1)と(a2)と(a3)の総質量(100実量%)に対して0.1〜30質量%であり、特に0.2〜25質量%、特に好ましくは0.5〜20質量%である。
【0056】
上記範囲内の好ましい水の量は、触媒(a4)が使用されるかどうかにより変化する。
【0057】
第一の実施様態では、成分(a1)と(a2)と(a3)の反応が触媒(a4)の不存在下で行われる。この第一の実施様態では、成分(a3)として、成分(a1)と(a2)と(a3)の総質量の100質量%に対して5〜30質量%の水を使用することが、特に6〜25質量%、特に好ましくは8〜20質量%の水を使用することが有利であることが分っている。
【0058】
この第一の実施様態では、上述の成分(a1)と(a2)と(a3)は、(a1)と(a2)と(a3)の総質量(100実量%)に対して以下の比率で使用することが好ましい:40〜94.9質量%、特に55〜93.5質量%、特に好ましくは68〜90質量%の成分(a1)、0.1〜30質量%、特に0.5〜20質量%、特に好ましくは2〜12質量%の成分(a2)、および5〜30質量%、特に6〜25質量%、特に好ましくは8〜20質量%の成分(a3)。
【0059】
計算アミノ基含量は、水の含量と成分(a1)の反応性イソシアネート基の含量から(水と成分(a1)のイソシアネート基が完全に反応して相当する数のアミノ基を与えると仮定)、またこの含量を成分(a2)の含量に加えて(合計n
アミン)得ることができる。計算残留NCO基n
NCOの、形成アミノ基の計算値に対する使用比率を、これ以降、計算使用比率n
NCO/n
アミンと呼ぶが、これは、それぞれの官能基の当量比、即ちモル比である。
【0060】
上述の第一の実施様態では、この計算使用比率(当量比)n
NCO/n
アミンは、広い範囲で変動可能であり、特に0.6〜5で変動可能である。n
NCO/n
アミンは、好ましくは1〜1.6であり、特に1.1〜1.4である。
【0061】
水はイソシアネート基と反応してアミノ基を形成しCO
2を放出する。したがって多官能性アミンが中間体として部分的に生産される(系内)。この反応がさらに進行すると、これらはイソシアネート基と反応して尿素結合を形成する。中間体としてのアミンが形成されると、特に高い機械的安定性と低い熱伝導性をもつ多孔質材料が得られることとなる。しかし、この形成されるCO
2が、得られる多孔質材料の構造が悪影響を受けるほどまでゲル化を妨害してはならない。このため、成分(a1)と(a2)と(a3)の総質量に対する水分率の好ましい上限が、好ましくは30質量%以下となり、特に好ましくは25質量%以下、特に20質量%以下となる。この範囲の水分率を使用すると、ゲル化終了後に残留する水を、乾燥により複雑な方法で除く必要がないという長所が得られる。
【0062】
第二の好ましい実施様態では、この成分(a1)と(a2)と(a3)の反応が、触媒(a4)の存在下で行われる。この第二の実施形態では、成分(a3)として、成分(a1)と(a2)と(a3)の総質量(100実量%)に対して0.1〜15質量%の水を使用することが、特に0.2〜15質量%、特に好ましくは0.5〜12質量%の水を使用することが有利であることが分っている。上述の範囲では、得られる多孔質材料が特に優れた機械的性質を持つこととなるが、これは特に好ましい網状構造のためである。多量の水はこの網状構造に悪影響を及ぼし、多孔質材料の最終的な性質の面で好ましくない。
【0063】
好ましい第二の実施形態では、上述の成分(a1)と(a2)と(a3)が、成分(a1)と(a2)と(a3)の総質量の100質量%に対して好ましく以下の比率で使用される:55〜99.8質量%、特に65〜99.3質量%、特に好ましくは76〜97.5質量%の成分(a1)、0.1〜30質量%、特に0.5〜20質量%、特に好ましくは2〜12質量%の成分(a2)、また0.1〜15質量%、特に0.2〜15質量%、特に好ましくは0.5〜12質量%の成分(a3)。
【0064】
上記の第二の実施形態では、計算使用比率(当量比)n
NCO/n
アミンが好ましくは1.01〜5である。上記の当量比は特に好ましくは1.1〜3であり、特に1.1〜2である。この実施様態では、n
アミンに対して過剰にn
NCOが存在すると、溶媒を除去する際の多孔質材料の、特にキセロゲルの収縮を低下させ、触媒(a4)との相乗的な相互作用の結果、得られる多孔質材料の網状構造と最終の性質を改善させる。
【0065】
成分(a1)と(a2)を以降、有機ゲル前駆体(A)と総称する。当業界の熟練者には明らかなように、成分(a1)と成分(a3)の部分的な反応は、実際のゲル前駆体(A)を与え、これが次いでゲルに変換される。
【0066】
触媒(a4)
本発明の方法は、成分(a4)としての少なくとも一種の触媒の存在下で行われることが好ましい。
【0067】
可能な触媒は、原理的には当業界の熟練者には既知の全てのイソシアネートの三量体化を加速する触媒(三量体化触媒と呼ばれる)及び/又はイソシアネートのアミノ基と反応を加速する触媒(ゲル化触媒と呼ばれる)及び/又はイソシアネートと水との反応を加速する触媒(発泡触媒と呼ばれる)である。
【0068】
これらの触媒は既知であり、また上述の3つの反応で異なる相対活性を持つ。したがって、これらの相対活性により上述の一種以上の種類に分類される。また、当業界の熟練者には明らかなように、上記反応以外の反応も起こりうる。
【0069】
特に、例えば、Polyurethane, 3rd edition, G. Oertel, HanserVerlag, Munich, 1993から知られているように、ゲル化と発泡の比率によりこれらの触媒を特徴付けることができる。
【0070】
好ましい触媒(a4)は、バランスのとれたゲル化/発泡比率をもっており、網状構造に悪影響を及ぼす成分(a1)と水との反応の加速をしすぎず、同時にゲル化時間を短縮させて成型物の取り出し時間を短縮させる。また好ましい触媒は、三量体化においても大きな活性を示す。このため網状構造の均一性に好影響を与え、特に好ましい機械的性質を得ることができる。
【0071】
これらの触媒は、モノマー構成単位として組み込まれることができてもよく(組み込み可能触媒)、できなくてもよい。
【0072】
成分(a4)は、効果的な最小量で使用することが好ましい。使用量は、成分(a1)と(a2)と(a3)の総量の100質量部に対して0.01〜5質量部の成分(a4)が好ましく、特に0.1〜3質量部、特に好ましくは0.2〜2.5質量部の成分(a4)が好ましい。
【0073】
成分(a4)として好ましい触媒は、一級、二級及び第三級アミンとトリアジン誘導体、有機金属化合物、金属キレート、四級アンモニウム塩、アンモニウムヒドロキシド、アルカリ金属及びアルカリ土類金属水酸化物、アルコキシド、カルボキシレートからなる群から選ばれる
【0074】
適当な触媒は、特に強塩基であり、例えばアルキル基中に1〜4個の炭素原子をもつテトラアルキルアンモニウムヒドロキシドやベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシドなどの四級アンモニウムヒドロキシド、水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物、ナトリウムメトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムイソプロポキシドなどのアルカリ金属アルコキシドである。
【0075】
他の適当な触媒は、特に、ギ酸カリウムや酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、カリウム2−エチルヘキサノエート、アジピン酸カリウム、安息香酸ナトリウムなどのカルボン酸アルカリ金属塩、8〜20個の炭素原子、特に10〜20個の炭素原子をもち、必要なら側鎖にOH基をもつ長鎖脂肪酸のアルカリ金属塩である。
【0076】
他の適当な触媒は、特にN−ヒドロキシアルキル四級アンモニウムカルボキシレートであり、例えばトリメチルヒドロキシプロピルアンモニウムホルメートである。
【0077】
特にゲル化触媒としての有機金属化合物は当業界の熟練者には既知であり、これらは同様に触媒(a4)として好適である。スズ2−エチルヘキサノエートとジブチル錫ジラウレートなどの有機スズ化合物が成分(a4)の構成成分として好ましい。
【0078】
ゲル化触媒としてまた三量体化触媒としての第三級アミンが当業界の熟練者に知られている。触媒(a4)としては、三級アミンが特に好ましい。好ましい三級アミンは特に、N,N−ジメチルベンジルアミンと、N,N’−ジメチルピペラジン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N’,N”−トリス(ジメチルアミノプロピル)−s−ヘキサヒドロトリアジンなどのN,N’,N’”−トリス(ジアルキルアミノアルキル)−s−ヘキサヒドロトリアジン、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N,N,N−ペンタメチルジエチレントリアミン、メチルイミダゾール、ジメチルベンジルアミン、1,6−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデス−7−エン、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン(IUPAC:1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン)、ジメチルアミノエタノールアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、N,N−ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N,N−トリメチルアミノエチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミンである。
【0079】
成分(a4)として特に好ましい触媒は、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミンと、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N,N,N−ペンタメチルジエチレントリアミン、メチルイミダゾール、ジメチルベンジルアミン、1,6−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデス−7−エン、トリスジメチルアミノプロピルヘキサヒドロトリアジン、トリエチルアミン、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエチレンジアミン(ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン)、ジメチルアミノエタノールアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、N,N−ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N,N−トリメチルアミノエチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、金属アセチルアセトネート、アンモニウムエチルヘキサノエート、金属エチルヘキサノエートからなる群から選ばれる
【0080】
本発明の目的に好ましい触媒(a4)を使用すると、改善された機械的性質をもつ、特に改善された圧縮強度をもつ多孔質材料を得ることができる。また、触媒(a4)の使用で、他の性質に悪影響を及ぼすことなくゲル化時間が短縮される、即ちゲル化反応が加速される。
【0081】
溶媒(C)
本発明によれば、この反応が溶媒(C)の存在下で起こる。
【0082】
本発明の目的において、「溶媒(C)」は、液体希釈剤を、即ち狭い意味の溶媒と分散媒体の両方を意味する。この混合物は特に、真の溶液であっても、コロイド状溶液または分散液、例えば乳化物または懸濁液であってもよい。この混合物は、好ましくは真の溶液である。溶媒(C)は、工程(a)の条件下では液体の化合物であり、好ましくは有機溶媒である。
【0083】
溶媒(C)は、原理的には単一の有機化合物あるいは複数の化合物の混合物であり、この溶媒(C)は、工程(a)で混合物がおかれる温度と圧力条件下(短縮して、溶解条件下)では液体である。溶媒(C)の組成は、有機ゲル前駆体を溶解または分散させるように、好ましくは溶解させるように選択される。好ましい溶媒(C)は、有機ゲル前駆体(A)に対して溶媒であるもの、即ち有機ゲル前駆体(A)を反応条件下で完全に溶解させるものである。
【0084】
溶媒(C)の存在下での反応による反応生成物は、最初はゲル、即ち溶媒(C)で膨潤された粘弾性のある化学ネットワークである。工程(b)で形成されるネットワークに対してよい膨潤剤となる溶媒(C)は、一般的には微細な空孔と小さな平均孔径をもつネットワーを与えるが、工程(b)からのゲルに対して貧弱な膨潤剤である溶媒(C)は、一般的には大きな平均孔径をもつ粗大孔のネットワークを与える。
【0085】
従って溶媒(C)の選択は、所望の孔径分布と所望の気孔率に影響を与える。溶媒(C)の選択は一般的には、本発明の方法の工程(b)中または工程(b)の後で沈殿反応生成物の形成による沈澱またはフロック化が起こらないように行われる。
【0086】
適当な溶媒(C)を選択すると、沈殿反応生成物の比率が、混合物の総質量に対して通常1質量%未満となる。特定の溶媒(C)中に形成される沈殿生成物の量は、ゲル化の前に反応混合物を適当なフィルターで濾過して重量的に決めることができる。
【0087】
可能な溶媒(C)は、イソシアネート系ポリマーに関する従来技術から公知の溶媒である。好ましい溶媒は、成分(a1)と(a2)と(a3)の溶媒、即ち成分(a1)と(a2)と(a3)の構成要素を反応条件下で実質的に完全に溶解する溶媒である。溶媒(C)は、成分(a1)に対して不活性であることが、即ち非反応性であることが好ましい。
【0088】
可能な溶媒(C)は、例えばケトンやアルデヒド、脂肪酸アルキル、ホルムアミドやN−メチルピロリドンなどのアミド、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド、脂肪族及び脂環式ハロゲン化炭化水素、ハロゲン化芳香族化合物、フッ素含有エーテルである。上記化合物の2種以上の混合物もまた可能である。
【0089】
溶媒(C)としての他の可能性は、アセタールであり、特にジエトキシメタン、ジメトキシエタンと1,3−ジオキソランである。
【0090】
同様にジアルキルエーテルと環状エーテルも溶媒(C)として好適である。好ましいジアルキルエーテルは、特に2〜6個の炭素原子をもつものであり、具体的には、メチルエチルエーテルや、ジエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、メチルイソプロピルエーテル、プロピルエチルエーテル、エチルイソプロピルエーテル、ジプロピルエーテル、プロピルイソプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルブチルエーテル、メチルイソブチルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、エチルn−ブチルエーテル、エチルイソブチルエーテル、エチルt−ブチルエーテルである。好ましい環状のエーテルは、特にテトラヒドロフランやジオキサンとテトラハイドロピランである。
【0091】
他の好ましい溶媒(C)は、脂肪酸アルキルであり、特にギ酸メチルや酢酸メチル、ギ酸エチル、酢酸ブチル、酢酸エチルである。好ましいハロゲン系溶媒は、WO00/24799(4頁12行〜5頁4行)に記載されている。
【0092】
溶媒(C)としてアルデヒド及び/又はケトンが特に好ましい。溶媒(C)として好適なアルデヒドまたはケトンは、特に一般式R
2−(CO)−R
1に相当するものである。なお式中、R
1とR
2は、それぞれ、水素または1、2、3または4個の炭素原子をもつアルキル基である。好適なアルデヒドやケトンは、特に、アセトアルデヒドやプロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、イソペンタアルデヒド、2−メチルペンタアルデヒド、2−エチルヘキサアルデヒド、アクロレイン、メタクロレイン、クロトンアルデヒド、フルフラール、アクロレイン二量体、メタクロレイン二量体、1,2,3,6−テトラヒドロベンズアルデヒド、6−メチル−3−シクロヘキセンアルデヒド、シアンアセトアルデヒド、エチル、グリオキシレート、ベンズアルデヒド、アセトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルn−ブチルケトン、エチルイソプロピルケトン、2−アセチルフラン、2−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン、シクロヘキサノン、アセトフェノンである。上述のアルデヒドとケトンは、混合物の形で使用することもできる。最大で3個の炭素原子をもつアルキル基を置換基として有するケトンとアルデヒドが溶媒(C)として好ましい。特に好ましくはアセトンである。
【0093】
多くの場合、上記溶媒から選ばれる2種以上の完全混合可能な化合物を混合物の形で使用することで、特に適当な溶媒(C)が得られる。
【0094】
工程(c)工程(b)の乾燥時に過剰に収縮しない十分に安定なゲルを得るには、成分(a1)と(a2)と(a3)と溶媒(C)の総質量の100質量%に対しする成分(a1)と(a2)と(a3)の比率は、一般的には5質量%以上である。成分(a1)と(a2)と(a3)と溶媒(C)の総質量の100質量%に対する成分(a1)と(a2)と(a3)の比率は、好ましくは少なくとも6質量%であり、特に好ましくは少なくとも8質量%、特に少なくとも10質量%である。
【0095】
他方、得られる混合物中の成分(a1)〜(a3)の濃度が高すぎてもいけない。そうでなければ、好ましい性質をもつ多孔質材料を得ることができない。一般に、成分(a1)と(a2)と(a3)と溶媒(C)の総質量の100質量%に対する成分(a1)と(a2)と(a3)の比率は、40質量%以下である。成分(a1)と(a2)と(a3)と溶媒(C)の総質量の100質量%に対する成分(a1)と(a2)と(a3)の比率は、好ましくは35質量%以下であり、特に好ましくは25質量%以下、特に20質量%以下である。
【0096】
成分(a1)と(a2)と(a3)と溶媒(C)の総質量の100質量%に対する成分(a1)と(a2)と(a3)の総質量の比率は、好ましくは8〜25質量%であり、特に10〜20質量%、特に好ましくは12〜18質量%である。出発原料の量を上記範囲とすることで、特に優れた空孔構造をと低い熱伝導性をもち、乾燥時に低収縮である多孔質材料を得ることができる。
【0097】
この反応の前に、使用する成分を混合する、特に均一に混合する必要がある。混合不良を避けるためには、混合速度を反応速度より高くする必要がある。適当な混合方法は当業界の熟練者には既知である。
【0098】
好ましい多孔質材料の製造方法
ある好ましい実施様態においては、本発明の方法は少なくとも以下の工程を含む:
(a)上述の成分(a1)と(a2)と(a3)と溶媒(C)を供給する工程、
(b)溶媒(C)の存在下での成分(a1)と(a2)と(a3)の反応でゲルを形成する工程と
(c)前工程で得られたゲルを乾燥する工程。
【0099】
下記で、工程(a)〜(c)の好ましい実施様態について詳細に説明する。
【0100】
工程(a)
本発明によれば、成分(a1)と(a2)と(a3)と溶媒(C)が工程(a)で提供される。
【0101】
成分(a1)と(a2)は、適当な部分的な量の溶媒(C)に溶解して、それぞれ個別に提供されることが好ましい。この個別供給により、混合前と混合中のゲル化反応をうまく追跡しまたコントロールすることができる。
【0102】
成分(a3)は、成分(a2)との混合物で供給されることが、即ち成分(a1)とは別に供給されることが特に好ましい。これにより、成分(a2)の非存在下での水と成分(a1)の反応によるネットワークの形成を避けることができる。前もって水と成分(a1)を混合すると、得られる材料の空孔構造と熱伝導性の均一性が低下する。
【0103】
工程(a)で供給される混合物は、他の構成成分として当業界の熟練者には既知の通常の助剤を含んでいてもよい。例えば、表面活性物質や難燃剤、核剤、酸化安定剤、潤滑剤や離型剤、染料や顔料、安定剤(例えば、加水分解や光、熱または変色に対する安定剤)、無機及び/又は有機の充填材、強化材、殺菌剤をあげることができる。
【0104】
上述の助剤や添加物についての詳細な情報が専門文献中に、例えばPlastics Additive Handbook, 5th edition, H. Zweifel, ed. Hanser Publishers, Munich, 2001に見出される。
【0105】
工程(b)
本発明によれば、工程(b)で、溶媒(C)の存在下で成分(a1)と(a2)の反応が起こりゲルを形成する。したがって、本発明の方法の工程(b)では、成分(a1)が一部水と反応して少なくとも一種の多官能性アミンを与え、この多官能性アミンが多官能性イソシアネートとゲル化反応してゲルを与える。
【0106】
この反応を行うためには、工程(a)で供給される成分の均一な混合を行う必要がある。
【0107】
工程(a)で供給される成分の供給は従来の方法で行われる。良好な高速混合を達成するには、攪拌器などの混合装置の使用が好ましい。混合不良を避けるためには、ゲル化反応で少なくとも部分的なゲル形成が起こる時間と較べて、均一混合物の製造に必要な時間を短くする必要がある。他の混合条件は一般的には特に重要ではない。例えば、混合は0〜100℃で、0.1〜10bar(絶対圧)で実施でき、特に例えば、室温で大気圧で実施できる。均一混合物ができた後でこの混合装置を停止させることが好ましい。
【0108】
このゲル化反応は重付加反応であり、特にイソシアネート基とアミノ基間の重付加である。
【0109】
本発明の目的では、ゲルは、液体と接触して存在する架橋されたポリマー系である(ソルボゲルまたはリオゲルとよばれる、または液体が水であるときはアクアゲルまたはヒドロゲルとよばれる)。なお、このポリマー相は連続的な三次元ネットワークを形成する。
【0110】
本発明の方法の工程(b)では、通常養生させて、例えば単に混合物の入った容器、反応容器または反応器(以降、ゲル化装置と称す)を静置してこのゲルを形成する。攪拌や混合はゲル形成を阻害する可能性があるため、ゲル化(ゲル成形)中はこの混合物を攪拌も混合もしないことが好ましい。ゲル化中の混合物を覆うかゲル化装置を封止することが有利であることが分っている。
【0111】
ゲル化は当業界の熟練者には公知であり、例えばWO−2009/027310(21頁19行〜23頁13行)に記載されている。なお、この内容を本発明の引用として採用する。
【0112】
工程(c)
本発明によれば、工程(c)で、前工程で得られたゲルを乾燥する。
【0113】
好ましくはCO
2または超臨界乾燥に適当な他の溶媒で溶媒の置換後に、超臨界条件下で乾燥をすることが原理的には可能である。このような乾燥は当業界の熟練者には公知である。超臨界条件は、除去対象の流体相が超臨界状態で存在する温度と圧力を特徴とする。このようにして、溶媒除去によるゲル体の収縮を抑えることができる。
【0114】
しかし単純な処理条件の面からは、ゲル中に含まれる液体の臨界温度と臨界圧力でより低い温度と圧力でゲル中に含まれる液体をガス状態に変換してゲルを乾燥することが好ましい。
【0115】
得られるゲルの乾燥は、溶媒(C)の臨界温度と臨界圧力未満の温度と圧力で溶媒(C)をガス状態に変換して行うことが好ましい。したがって、反応中に存在する溶媒(C)を前もって他の溶媒で置換することなく乾燥を行うことが好ましい。
【0116】
このような方法も当業界の熟練者には公知であり、WO−2009/027310(26頁22行〜28頁36行)に記載されている。なお、この内容を全て本発明の引用として採用する。
【0117】
多孔質材料特性と用途
本発明はまた、本発明の方法で得ることのできる多孔質材料を提供する。
【0118】
本発明の目的では、キセロゲルがこの多孔質材料として好ましい。即ち本発明で得ることのできる多孔質材料は、キセロゲルであることが好ましい。
【0119】
本発明の目的において、キセロゲルは、気孔率が少なくとも70体積%であり、体積平均孔径が50ミクロン以下であり、ゾルゲル法で生産され、ゲルをその液相の臨界温度未満、臨界圧力未満で(「亜臨界条件」で)乾燥してその液相が除かれた多孔質材料である。
【0120】
この平均孔径は、走査型電子顕微鏡と、これに続く統計的に有意な数の空孔の画像分析で決定される。これらの方法は当業界の熟練者には公知である。
【0121】
この多孔質材料の体積平均孔径は5ミクロン以下であることが好ましい。この多孔質材料の体積平均孔径は、特に好ましくは4ミクロン以下であり、極めて好ましくは3ミクロン以下、特に2.5ミクロン以下である。
【0122】
低熱伝導性の視点からは非常に小さな孔径と高い空隙率が望ましいが、製造の視点からは、また十分に機械的に安定な多孔質材料を得るためには、この体積平均孔径に実用的な下限がある。一般にこの体積平均孔径は少なくとも200nmであり、好ましくは少なくとも400nmである。多くの場合、この体積平均孔径は少なくとも500nmであり、特に少なくとも1ミクロンである。
【0123】
本発明により得られる多孔質材料の空隙率は少なくとも70体積%であり、特に70〜99体積%、特に好ましくは少なくとも80体積%、極めて好ましくは少なくとも85体積%、特に85〜95体積%である。この空隙率(体積%)は、多孔質材料全体中の空孔の相対比率である。通常、熱伝導性を最小とするためには非常に高い空隙率が望ましいが、この多孔質材料の機械的性質と加工性から空隙率には上限が課される。
【0124】
本発明で得られる多孔質材料中では、成分(a1)(時には先ず水と反応して)と成分(a2)が反応性(ポリマー)の形で存在している。この本発明の組成のため、モノマー構成単位(a1)と(a2)は、多孔質材料中で主に尿素結合及び/又はイソシアヌレート結合で結合している。なお、このイソシアヌレート基はモノマー構成単位(a1)のイソシアネート基の三量体化で形成されたものである。この多孔性の材料が他の成分を含む場合、他の可能な結合は、例えばイソシアネート基とアルコールまたはフェノールの反応で形成されるウレタン基である。
【0125】
成分(a1)(時には先ず水と反応して)と成分(a2)は、この多孔質材料中で少なくとも50モル%の量で、尿素基−NH−CO−NH−で及び/又はイソシアヌレート結合で結合していることが好ましい。この成分(a1)と(a2)は多孔質材料中で50〜100モル%の量で尿素基で及び/又はイソシアヌレート結合で結合していることが好ましく、特に60〜100mol%、極めて好ましくは70〜100mol%、特に80〜100mol%、例えば90〜100mol%量で結合していることが好ましい。
【0126】
100モル%までの残る量は、他の結合で存在する。これらの他の結合はイソシアネートポリマーの分野の熟練者には公知である。その例としては、エステル基や尿素基、ビウレット基、アロファネート基、カルボジイミド基、イソシアヌレート基、ウレトジオン基及び/又はウレタン基があげられる。
【0127】
多孔質材料中のモノマー構成単位の結合のモル%は、固体状態または膨潤状態でのNMR(核磁気共鳴)スペクトロスコピーで決定される。適当な測定方法は当業界の熟練者には公知である。
【0128】
本発明の方法により得られる有機多孔質材料の密度は、通常20〜600g/lでり、好ましくは50〜500g/l、特に好ましくは70〜200g/lである。
【0129】
本発明の方法は、ポリマー粉末またはポリマー粒子だけでなく、これらが合着した多孔質材料を与える。なお、得られる多孔質材料の三次元形状はゲルの形状により決まり、このゲルの形状はゲル化装置の形状により決まる。したがって、例えば円筒形のゲル化容器を使用すると、通常およそ円柱状のゲルが得られ、これが乾燥すると円柱状の多孔質材料が得られる。
【0130】
本発明により得られる多孔質材料は、低い熱電導度と高い気孔率、低い密度、高い機械的安定性をもつ。この多孔質材料はまた、小さな平均孔径をもつ。上記のいろいろな性質のため、熱絶縁分野での、特に例えば冷蔵装置などの非常に薄厚の真空パネルが望まれる真空分野用途での絶縁材料として、あるいは建築分野での絶縁材料として、この多孔質材料を使用することができる。真空絶縁パネル中での利用、特に真空絶縁パネルの芯材としての利用が好ましい。また本発明の多孔質材料を絶縁材料として使用することが好ましい。
【0131】
また本発明で得られる多孔質材料は低い熱電導度をもつため、1〜100mbarの圧力での、特に10mbar〜100mbarでの圧力での使用が可能となる。本発明で得られる多孔質材料のいろいろな性質のため、特に、真空パネルの寿命が長いことが望ましく、また毎年約2mbarの圧力上昇下で、例えば100mbarの圧力で数年経過し後でもこれらのパネルがまだ低い熱電導度を持っているような分野での使用が可能となる。本発明で得られる多孔質材料は、優れた熱的性質をもち、また優れた材料性能を、例えば易加工性や、低脆性等の高機械的安定性をもつ。
【0132】
実施例
熱伝導率λは、DIN−EN−12667によりヘスト社の板装置(ラムダコントロールA50)を用いて決定した。
【0133】
以下の化合物を用いた。
【0134】
成分a1:
オリゴマー状MDI(ルプラネートRM200):ASTM−D5155−96AによるNCO含量:30.9g/100g、官能価:約3、DIN−53018による粘度:25℃で2100mPa・s(以降、「化合物M200」と称す)
オリゴマー状MDI(ルプラネートRM50):ASTM−D5155−96AによるNCO含量:31.5g/100g、官能価:約2.8〜2.9、DIN−53018による粘度:25℃で550mPa・s(以降、「化合物M200」と称す)
【0135】
成分a2:
3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(以下、「MDEA」);
3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(以下、「MDMA」)
【0136】
成分a2(比較例用):
エタキュアR100、アルベマール社製、特に3,5−ジエチルトルエン−2,4−ジアミンと3,5−ジエチルトルエン−2,6−ジアミンを含む芳香族ジアミン混合物;ユニリンクR4200、UOP社製、4,4’−ビス(sec−ブチルアミノ)ジフェニルメタン構造を持つ芳香族ジアミン;
3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン;
4,4’−ジアミノジフェニルメタン
【0137】
触媒(a4):
トリエタノールアミン;トリエチレンジアミン(IUPAC:1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン);
N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン
【0138】
実施例1
ガラスビーカー中で56gの化合物M50を、撹拌下で20℃で210gのアセトンに溶解した。第二のガラスビーカー中で4gの化合物MDEAと8gの水を210gのアセトンに溶解した。工程(a)からのこれら二つの溶液を撹拌下で混合した。これにより透明な低粘度混合物を得た。この混合物を24時間静置して硬化させた。次いでこのゲルをガラスビーカーから取り出し、液体(アセトン)を20℃で7日間乾燥させて除いた。
【0139】
走査型電子顕微鏡と続く画像分析で、15μmと800nmの領域に孔径を持つ二頂型の孔径分布を示した。2.2×10
−4mbarの圧力での熱伝導率は2.9mW/m・Kであった。
【0140】
実施例2
ガラスビーカー中で60gの化合物M200を、撹拌下で20℃で210gのアセトンに溶解した。第二のガラスビーカー中で8gの化合物MDEAと8gの水を210gのアセトンに溶解した。工程(a)からのこれら二つの溶液を撹拌下で混合した。これにより透明な低粘度混合物を得た。この混合物を24時間静置して硬化させた。次いでこのゲルをガラスビーカーから取り出し、液体(アセトン)を20℃で7日間乾燥させて除いた。電子顕微鏡写真は、平均孔径が約1μmであることを示した。
【0141】
2.3×10
−4mbarの圧力での熱伝導率は5.5mW/m・Kであった。
【0142】
実施例3
ガラスビーカー中で70gの化合物M50を、撹拌下で20℃で210gのアセトンに溶解した。第二のガラスビーカー中で4gの化合物MDEAと2gのトリエタノールアミンと8gの水を210gのアセトンに溶解した。工程(a)からのこれら二つの溶液を撹拌下で混合した。これにより透明な低粘度混合物を得た。この混合物を24時間静置して硬化させた。次いでこのゲルをガラスビーカーから取り出し、液体(アセトン)を20℃で7日間乾燥させて除いた。
【0143】
電子顕微鏡写真は、15μmと800nmの領域に空孔をもつ二頂型の孔径分布を示した。
【0144】
2.3×10
−4mbarの圧力での熱伝導率は7.1mW/m・Kであった。この触媒の使用で、無触媒の方法と較べてゲル化時間が短縮し圧縮強度が改善された。
【0145】
実施例4
ガラスビーカー中で56gの化合物M50を、撹拌下で20℃で210gのアセトンに溶解した。第二のガラスビーカー中で4gの化合物MDEAと0.5gのトリエチレンジアミンと8gの水を210gのアセトンに溶解した。工程(a)からのこれら二つの溶液を撹拌下で混合した。これにより透明な低粘度混合物を得た。この混合物を24時間静置して硬化させた。次いでこのゲルをガラスビーカーから取り出し、液体(アセトン)を20℃で7日間乾燥させて除いた。
【0146】
電子顕微鏡写真は平均孔径が約1.5μmであることを示した。
【0147】
2.2×10
−4mbarの圧力での熱伝導率は4.3mW/m・Kであった。この触媒の使用で、無触媒の方法と較べてゲル化時間が短縮し圧縮強度が改善された。
【0148】
実施例5
ガラスビーカー中で70gの化合物M50を、撹拌下で20℃で210gのアセトンに溶解した。第二のガラスビーカー中で4gの化合物MDEAと2gのN,N−ジメチルシクロヘキシルアミンと8gの水を210gのアセトンに溶解した。工程(a)からのこれら二つの溶液を撹拌下で混合した。これにより透明な低粘度混合物を得た。この混合物を24時間静置して硬化させた。次いでこのゲルをガラスビーカーから取り出し、液体(アセトン)を20℃で7日間乾燥させて除いた。
【0149】
電子顕微鏡写真は平均孔径が約800nmであることを示した。
【0150】
2.7×10
−4mbarの圧力での熱伝導率は7.2mW/m・Kであった。この触媒の使用で、無触媒の方法と較べてゲル化時間が短縮し圧縮強度が改善された。
【0151】
比較例6
ガラスビーカー中で、3gの化合物M200を、撹拌下で20℃で10.5gのアセトンに溶解した。第二のガラスビーカー中で0.1gの化合物エタキュアR100と0.5gの水を11gのアセトンに溶解した。工程(a)からのこれら二つの溶液を撹拌下で混合した。これにより透明な低粘度混合物を得た。この混合物を24時間静置して硬化させた。次いでこのゲルをガラスビーカーから取り出し、液体(アセトン)を20℃で7日間乾燥させて除いた。
【0152】
沈殿物のみが形成され安定なゲルはできなかった。
【0153】
比較例7
ガラスビーカー中で3gの化合物M200を、撹拌下で20℃で10.5gのアセトンに溶解した。第二のガラスビーカー中で0.1gのユニリンクR4200と0.5gの水を11gのアセトンに溶解した。工程(a)からのこれら二つの溶液を撹拌下で混合した。これにより透明な低粘度混合物を得た。この混合物を24時間静置して硬化させた。次いでこのゲルをガラスビーカーから取り出し、液体(アセトン)を20℃で7日間乾燥させて除いた。
【0154】
沈殿物のみが形成され、安定なゲルはできなかった。
【0155】
比較例8
ガラスビーカー中で3gの化合物M200を、撹拌下で20℃で10.5gのアセトンに溶解した。第二のガラスビーカー中で0.1gの化合物3,3’,5,5’テトラメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンと0.5gの水を11gのアセトンに溶解した。工程(a)からのこれら二つの溶液を撹拌下で混合した。これにより透明な低粘度混合物を得た。この混合物を24時間静置して硬化させた。次いでこのゲルをガラスビーカーから取り出し、液体(アセトン)を20℃で7日間乾燥させて除いた。
【0156】
沈殿物のみが形成され安定なゲルはできなかった。
【0157】
比較例9
ガラスビーカー中で3gの化合物M200を、撹拌下で20℃で10.5gのアセトンに溶解した。第二のガラスビーカー中で0.1gの化合物4,4’−ジアミノジフェニルメタンと0.5gの水を11gのアセトンに溶解した。工程(a)からのこれら二つの溶液を撹拌下で混合した。これにより透明な低粘度混合物を得た。この混合物を24時間静置して硬化させた。次いでこのゲルをガラスビーカーから取り出し、液体(アセトン)を20℃で7日間乾燥させて除いた。沈殿物のみが形成され安定なゲルはできなかった。