特許第5882865号(P5882865)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5882865
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】オイルミスト抑制剤
(51)【国際特許分類】
   C10M 155/02 20060101AFI20160225BHJP
   C10N 20/06 20060101ALN20160225BHJP
   C10N 30/00 20060101ALN20160225BHJP
   C10N 40/22 20060101ALN20160225BHJP
【FI】
   C10M155/02
   C10N20:06 Z
   C10N30:00 E
   C10N40:22
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-202003(P2012-202003)
(22)【出願日】2012年9月13日
(65)【公開番号】特開2014-55265(P2014-55265A)
(43)【公開日】2014年3月27日
【審査請求日】2014年8月26日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 光夫
(72)【発明者】
【氏名】井口 良範
(72)【発明者】
【氏名】田中 賢治
【審査官】 馬籠 朋広
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−024512(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10M 101/00−177/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.1〜50μmの範囲にある体積平均粒径を有するシリコーン粒子からなるオイルミスト抑制剤。
【請求項2】
シリコーン粒子が0.1〜20μmの範囲にある体積平均粒径を有する、請求項1記載のオイルミスト抑制剤。
【請求項3】
シリコーン粒子が、シリコーンゴム粒子、ポリオルガノシルセスキオキサン粒子、およびシリコーンゴム粒子表面をポリオルガノシルセスキオキサンで被覆した粒子から選択される少なくとも1種である、請求項1または2記載のオイルミスト抑制剤。
【請求項4】
シリコーンゴム粒子がJIS K 6253に準拠してタイプAデュロメータにて測定されるゴム硬度5以上を有する、請求項1〜3のいずれか1項記載のオイルミスト抑制剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はオイルミスト抑制剤に関する。特には、切削・研削加工用の油剤に添加されるオイルミスト抑制剤に関する。
【背景技術】
【0002】
切削・研削加工においては、加工に用いられるドリル、エンドミル、バイト、砥石等の工具の寿命延長や被加工物の表面粗さの向上、並びにそれによる加工能率の向上といった機械加工における生産性の向上を目的として、通常、切削・研削加工用油剤が使用されている。
【0003】
高速で切削加工する際、油剤は加工物あるいは工具によってせん断を受け、物理的に微細化されて空気中を漂う油剤粒子(オイルミスト)を発生する。これらのオイルミストのうち、粒径の大きいミストは比較的短時間で凝集(再液化)するが、微細なミストは凝集が進行する前に大気中に開放されることとなる。その結果として工場内は飛散した油で汚れ、また作業環境上の問題となる。
【0004】
オイルミストの発生を抑制するために、油剤にポリ(メタ)アクリレートやポリイソブチレンなどの高分子量の有機化合物からなるオイルミスト抑制剤が提供されている。特許文献1には、平均分子量10,000以上であり、油溶性を有するビニル型化合物の重合体である切削油用アンチミスト剤が記載されている。特許文献2には、炭素数6〜20のアルケン重合体と基油とからなる、潤滑油製品のミスト発生抑制剤が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭55−71793号公報
【特許文献2】特開2008−248110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1及び2に記載されているような有機化合物のポリマーでは、オイルミストの発生を抑制する効果が不十分であるという問題がある。さらに、切削・研削加工の工程においてポンプの循環などにより油剤が長時間せん断を受けると、ポリマーがせん断により低分子化し、オイルミスト抑制効果が低下するという問題があった。
【0007】
従って本発明は、上記事情に鑑み、オイルミストの発生を抑制する能力に優れるオイルミスト抑制剤を提供することを目的とする。本発明はさらに、切削・研削加工の工程において長時間せん断を受けてもオイルミストの発生を抑制する能力が低下しないオイルミスト抑制剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、シリコーン粒子にオイルミストの発生を抑制する性能があることを見出し、本発明を成すに至った。
【0009】
即ち、本発明は、0.1〜50μmの範囲にある体積平均粒径を有するシリコーン粒子からなるオイルミスト抑制剤を提供する。更には、本発明は、0.1〜20μmの範囲にある体積平均粒径を有するシリコーン粒子からなるオイルミスト抑制剤を提供する。さらに本発明は、該オイルミスト抑制剤を含む油剤、特には、切削加工用又は研削加工用である油剤を提供する。
【発明の効果】
【0010】
シリコーン粒子からなるオイルミスト抑制剤を油剤に添加することにより、オイルミストの発生を抑制することができる。さらに、本発明のオイルミスト抑制剤は、せん断を受けてもそのオイルミスト抑制能が低下しないという特徴を有する。従って、本発明のオイルミスト抑制剤を切削・研削加工用油剤に配合することにより、加工時に発生するオイルミストを大幅に低減することができ、作業環境を改善することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について詳しく説明する。
【0012】
本発明は、シリコーン粒子からなるオイルミスト抑制剤であることを特徴とする。シリコーン粒子の形状は特に限定されず、例えば、球状、紡錘形状、偏平形状、粒子表面に凸部がある形状、粒子表面に凹みがある形状、不定形状、粒子が2個以上直鎖状に連なった形状、粒子が2個以上凝集した形状等が挙げられる。中でも、球状が好ましい。粒子の形状は該粒子を電子顕微鏡にて観察することにより確認することができる。
【0013】
本発明のオイルミスト抑制剤において、特には、シリコーン粒子が、好ましくは0.1〜50μmの範囲、より好ましくは0.3〜30μmの範囲、さらに好ましくは0.5〜20μmの範囲、さらに好ましくは0.65〜15μmの範囲、特には0.8〜12μmの範囲にある体積平均粒径を有することが好ましい。シリコーン粒子の体積平均粒径が上記範囲内にあることにより、従来の有機化合物ポリマーからなるオイルミスト抑制剤に比較して、より優れたオイルミスト抑制能を発揮することができる。尚、本発明において、体積平均粒径とは、レーザー回折・散乱法によって求めた体積基準の平均粒径を意味する。体積平均粒径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定することができる。例えば、株式会社 堀場製作所製のLA−920や、日機装株式会社製のマイクロトラックMT3000により測定することができる。
【0014】
本発明において、シリコーン粒子の種類は特に限定されず、従来公知のシリコーン粒子を使用することができる。好ましくは、シリコーンゴム粒子、ポリオルガノシルセスキオキサン粒子、およびシリコーンゴム粒子表面をポリオルガノシルセスキオキサンで被覆した粒子が挙げられる。これらのシリコーン粒子は、1種類を単独で、あるいは2種類以上を混合して使用してもよい。
【0015】
シリコーンゴム粒子
シリコーンゴム粒子は、ゴム弾性を有し、べたつきがないシリコーン硬化物の粒子である。該シリコーンゴム粒子は、油剤を吸収して膨潤するものであってもよい。シリコーンゴム粒子は従来公知のものを使用することができ、その構造は特に限定されるものでない。特には、硬化性液状シリコーン組成物の硬化物である。該シリコーンゴム粒子のゴム硬度は、JIS K 6253に規定されているタイプAデュロメータによる測定で5以上、より好ましくは10以上、さらに好ましくは20以上であるのがよい。ゴム硬度の上限は特に制限されないが、通常90以下、特には80以下である。ゴム硬度が上記下限値未満であると、シリコーンゴム粒子の凝集性が強くなり、油剤に対する分散性が悪く、オイルミスト抑制性能が乏しくなる場合がある。
【0016】
シリコーンゴム粒子の製造方法は、従来公知の方法に従えばよい。該方法としては、硬化性液状シリコーン組成物を、縮合反応、ラジカル反応、又は付加反応により硬化して製造する方法が挙げられる。詳細には、メトキシシリル基(≡SiOCH3)とヒドロキシシリル基(≡SiOH)との縮合反応、ヒドロシリル基(≡SiH)とヒドロキシシリル基(≡SiOH)との縮合反応、メルカプトプロピルシリル基(≡Si−C36SH)とビニルシリル基(≡SiCH=CH2)とのラジカル反応、及びビニルシリル基(≡SiCH=CH2)とヒドロシリル基(≡SiH)との付加反応によるものが例示される。特には、反応性の点から、縮合反応又は付加反応により硬化することが好ましい。
【0017】
例えば、付加反応を用いて球状のシリコーンゴム粒子を製造する方法としては、特開昭62−243621号公報、特開昭62−257939号公報、及び特開昭63−17959号公報に記載されている方法を使用することができる。特開昭62−243621号公報には、一分子中に1価オレフィン性不飽和基を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサン、一分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、および白金系触媒とからなる硬化性液状シリコーン組成物を、界面活性剤を用いて温度0〜25℃の範囲で乳化して水性エマルジョンとした後、25℃以上の水に分散し、硬化させることにより製造する方法が記載されている。特開昭62−257939号公報には、一分子中に1価オレフィン性不飽和基を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンと、一分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンとからなる硬化性液状シリコーン組成物を、界面活性剤を用いて水性エマルジョンとした後、白金系触媒を添加して硬化させることにより製造する方法が記載されている。特開昭63−17959号公報には、一分子中に1価オレフィン性不飽和基を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサン、一分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、および白金系触媒とからなる硬化性液状シリコーン組成物を、温度−60〜+5℃の範囲で混合し、該混合物を温度80〜200℃の熱風中に噴霧して噴霧状態で硬化させることにより製造する方法が記載されている。
【0018】
該シリコーンゴム粒子としては、特には、−(RSiO2/2−で示される直鎖状オルガノシロキサンブロックを有するオルガノポリシロキサンの硬化物が挙げられる。上記式中のRは、置換もしくは非置換の、炭素数1〜30、好ましくは1〜20の1価炭化水素基である。Rとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基(=エイコシル基)、ヘンイコシル基(=ヘンエイコシル基)、ドコシル基、トリコシル基、テトラデシル基、トリアコンチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基;およびこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部をハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)および/またはアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、エポキシ基、グリシドキシ基、カルボキシル基等で置換した基等が挙げられる。中でも、メチル基が好ましい。nは5〜5,000の整数、好ましくは10〜3,000の整数である。
【0019】
ポリオルガノシルセスキオキサン粒子
ポリオルガノシルセスキオキサン粒子は、3官能性シランを加水分解及び縮合反応することにより得られる三次元網目状架橋構造を有する、レジン状固体物の粒子である。本発明において該ポリオルガノシルセスオキサン粒子は、従来公知のものを使用することができ、その構造は特に限定されるものでないが、油剤に溶解せず、かつ融点が80℃以上もしくは融点を有しないものであることが好ましい。
【0020】
該ポリオルガノシルセスキオキサン粒子の製造は、従来公知の方法に従えばよい。例えば、特公昭40−16917号公報、特開昭63−77940号公報、特開平4−88023号公報に記載されている方法を使用することができる。特公昭40−16917号公報には、水溶性アルカリ性物質を含有する水に、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシランおよびそれらの混合物から選択されるシランを、攪拌しながら添加することにより製造する方法が記載されている。特開昭63−77940号公報には、メチルトリアルコキシシランおよび/またはその部分加水分解縮合物を上層とし、アンモニアまたはアミンの水溶液を下層にして、これらの界面でメチルトリアルコキシシランおよび/またはその部分加水分解縮合物を加水分解・縮合反応させることにより製造する方法が記載されている。特開平4−88023号公報には、メチルトリアルコキシシランおよび/またはその部分加水分解縮合物と水を攪拌し、均一溶液とした後、アルカリを添加することにより製造する方法が記載されている。
【0021】
該ポリオルガノシルセスキオキサン粒子は、特には、RSiO3/2で示される単位が三次元網目状に架橋した構造を有する。該ポリオルガノシルセスキオキサン粒子は、上述した通り、アルコキシシラン、シラノール基含有シラン、あるいはこれらの部分加水分解縮合物を加水分解及び縮合反応させることにより製造されるため、構造中に未反応のシラノール基が残存することがある。そのため、構造中にRSi(OH)O2/2で示される単位を含んでいてもよい。
【0022】
上記式において、Rは、置換又は非置換の、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜6の1価炭化水素基である。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基(=エイコシル基)等のアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基;及びこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)等の原子及び/又はアミノ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、エポキシ基、グリシドキシ基、メルカプト基、カルボキシル基等の置換基で置換した炭化水素基等が挙げられる。中でも、球状の粒子を得るためには、Rの50モル%以上、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上が、メチル基、ビニル基、フェニル基、アクリロイルオキシアルキル基、又はフロロアルキル基であることが好ましい。
【0023】
上記ポリオルガノシルセスキオキサン粒子は、RSiO3/2単位の他に、RSiO2/2単位、RSiO1/2単位、及びSiO4/2単位の少なくとも1種を含んでいてもよい。Rは上述した通りである。ポリオルガノシルセスキオキサン中のRSiO3/2単位の含有率は、全シロキサン単位中、好ましくは40〜100モル%、より好ましくは80〜100モル%、更には90〜100モル%である。
【0024】
シリコーンゴム粒子表面をポリオルガノシルセスキオキサンで被覆した粒子
シリコーンゴム粒子表面をポリオルガノシルセスキオキサンで被覆した粒子は、従来公知のものを使用することができ、その構造は特に限定されるものでない。シリコーンゴム粒子としては、上述したシリコーンゴム粒子と同じ構造が挙げられる。ポリオルガノシルセスキオキサンとしては、上述したポリオルガノシルセスキオキサン粒子と同じ構造が挙げられる。
【0025】
シリコーンゴム粒子表面をポリオルガノシルセスキオキサンで被覆した粒子の製造は、従来公知の方法に従えばよい。例えば、特開平7−196815号公報に記載されている方法を使用することができる。詳細には、シリコーンゴム球状粒子の水分散液に、アルカリ性物質またはアルカリ性水溶液と、オルガノトリアルコキシシランを添加し、加水分解及び縮合反応させる方法である。
【0026】
シリコーンゴム粒子表面をポリオルガノシルセスキオキサンで被覆した粒子は、シリコーンゴム粒子100質量部に対するポリオルガノシルセスキオキサンの量が0.5〜25質量部、好ましくは1〜15質量部の範囲であるのが好ましい。
【0027】
本発明はさらに、上述したシリコーン粒子からなるオイルミスト抑制剤を含有する油剤を提供する。本発明のオイルミスト抑制剤の対象となる油剤は、特には、切削加工用、研削加工用の油剤である。より詳細には、鉄鋼、合金鋼、アルミ等の金属部材、石英、シリコン、セラミックス、カーボン等の脆性部材の切削・研削加工用の油剤である。該油剤の基油は、上記用途に通常使用されるものであればよい。例えば、天然動植物油脂類及び半合成油脂、炭化水素油、ポリグリコール、フェニルエーテル、エステル油、シリコーン油、及びフッ素系油剤等が挙げられる。
【0028】
油剤中、本発明のオイルミスト抑制剤の添加量は、0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.3〜8質量%、より好ましくは0.5〜5質量%、更に好ましくは0.8〜3質量%である。オイルミスト抑制剤の添加量が上記上限値を超えてもオイルミスト抑制効果はそれ以上向上しない場合がある。また、添加量が上記下限値未満では、オイルミストの発生を抑制する効果が十分得られない場合がある。油剤の調製方法は、従来公知の方法に従えばよく、特に制限されるものでない。
【0029】
油剤は必要に応じて従来公知の添加剤を含むことができる。該添加剤としては、油性向上剤、極圧剤、有機酸塩、酸化防止剤、潤滑剤、増膜剤、防錆剤、消泡剤、金属不活化剤等が挙げられる。また、油剤は、本発明の効果を阻害しない範囲において、高分子量の有機化合物からなるオイルミスト抑制剤を含むことができる。添加剤の配合量は、従来公知の方法に従い、本発明の効果を阻害しない範囲において適宜調整すればよい。
【実施例】
【0030】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0031】
[オイルミスト発生方法およびオイルミスト量測定方法]
試料(油剤)を塗布したロールを高速回転させてミストを発生させる装置、ミスチングテスタ(商品名、(株)東洋精機製作所製)を用い、試料(油剤)量1.6g、ロール回転数2,500rpmの条件でミストを発生させた。ミスチングテスタ作動30秒後、50秒後、100秒後、150秒後、200秒後、250秒後、および300秒後に、夫々、ロールから90mmの位置のミスト量を、デジタル粉塵計DustTrak Model 8520(TSI Incorated社製、商品名)を用いて測定した。
【0032】
[実施例1]
シリコーン粒子−1(シリコーンゴム粒子)の製造
下記式(1)で示される、粘度が580mm/sのメチルビニルポリシロキサン500gと、
【化1】
下記式(2)で示される、粘度が30mm/sのメチルハイドロジェンポリシロキサン19g(式(1)の化合物が有するビニル基1個に対し、式(2)の化合物が有するヒドロシリル基の個数が1.06個となる量)を、
【化2】
容量1リットルのガラスビーカーに仕込み、ホモミキサーを用いて2,000rpmで撹拌溶解させた。次いで、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=9モル)3gと水55gを加え、ホモミキサーを用いて6,000rpmで撹拌したところ、水中油滴型となり、増粘が認められた。該混合物を更に15分間撹拌した。次いで、該混合物を2,000rpmで撹拌しながら、水421gを加えたところ、均一な白色エマルジョンが得られた。該エマルジョンを、錨型攪拌翼を備えた容量1リットルのガラスフラスコに移し、液温を15〜20℃にした後、撹拌下で、塩化白金酸−オレフィン錯体のトルエン溶液(白金含有量0.5%)0.8gとポリオキシエチレンラウリルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=9モル)1.6gの混合溶解物を添加した。該混合物を15〜20℃で12時間撹拌し、シリコーンゴム粒子の水分散液を得た。
【0033】
上記で得られた、シリコーンゴム粒子の水分散液170gに、水130gを添加して希釈した後、スプレードライヤーにて熱風温度130℃で乾燥し、シリコーンゴム粒子を得た。得られた粒子の形状を電子顕微鏡にて観察したところ、球状であった。得られたシリコーンゴム粒子をシリコーン粒子−1と称する。
【0034】
上記で得られたシリコーン粒子−1の体積平均粒径を、LA−920(レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置、(株)堀場製作所製、商品名)を用いて測定したところ、4.9μmであった。
【0035】
上記シリコーンゴム粒子の硬度測定
別途、上記式(1)で示されるメチルビニルポリシロキサン、上記式(2)で示されるメチルハイドロジェンポリシロキサン、および塩化白金酸−オレフィン錯体のトルエン溶液(白金含有量0.5%)を、上記と同じ配合割合で混合した。得られた混合物をアルミシャーレに流し込み、厚みが10mmとなるようにした。25℃で24時間放置後、50℃の恒温槽内で1時間加熱した。得られた硬化物はべたつきのないシリコーンゴムであった。該シリコーンゴムの硬度をデュロメータA硬度計で測定したところ29であった。
【0036】
油剤の調製
TRIFAT S−308(トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、日光ケミカルズ(株)製)97gに、シリコーン粒子−1を3g添加した。ディスパミキサーを用いて、2,000rpmで1分間攪拌分散して油剤を調製した。該油剤を用い、上述した方法にてオイルミストを発生させ、そのミスト発生量を測定した。結果を表1に示す。
【0037】
[実施例2]
シリコーン粒子−2(ポリメチルシルセスキオキサン粒子)の製造
錨型攪拌翼を備えた容量2リットルのガラスフラスコにイオン交換水850g及び28%アンモニア水20gを仕込み、水温を20℃とした。該溶液の25℃でのpHは11.5であった。翼回転数100rpmで撹拌しながら、メチルトリメトキシシラン130gを140分かけて滴下した。滴下する間は液温を15〜25℃に保った。滴下終了後、液温を15〜25℃に保ち、さらに1時間撹拌を行った。その後、液温を75〜80℃まで加熱し、さらに4時間撹拌を行った。得られたスラリー液を、加圧濾過器を用いて脱液してケーキ状物とし、このケーキ状物を熱風循環乾燥機中で105℃の温度で乾燥した。乾燥物をジェットミルで解砕して、ポリメチルシルセスキオキサン粒子を得た。該ポリメチルシルセスキオキサン粒子をシリコーン粒子−2と称する。
【0038】
上記で得られたシリコーン粒子−2の体積平均粒径を、LA−920を用いて測定したところ1.9μmであった。また、該粒子の形状を電子顕微鏡にて観察したところ、球状であった。
【0039】
油剤の調製
TRIFAT S−308 97gにシリコーン粒子−2を3g添加し、ガラス棒にて攪拌分散して油剤を調製した。該油剤を用い、上述した方法にてオイルミストを発生させ、そのミスト発生量を測定した。結果を表1に示す。
【0040】
[実施例3]
シリコーン粒子−3(ポリメチルシルセスキオキサン粒子)の製造
錨型攪拌翼を備えた容量2リットルのガラスフラスコにイオン交換水850g及び28%アンモニア水20gを仕込み、水温を5℃とした。該溶液の25℃でのpHは11.5であった。翼回転数100rpmで撹拌しながら、メチルトリメトキシシラン20g、テトラメトキシシラン0.2g、およびトリメチルシラノール0.1gの混合溶解物を投入した。その後、液温を5〜10℃に保ち10分間攪拌した。次いで、該混合液中に、メチルトリメトキシシラン110gを120分かけて滴下した。滴下する間は液温を5〜10℃に保った。滴下終了後、液温を5〜10℃に保ち、さらに1時間撹拌を行った後、液温を75〜80℃まで加熱し、さらに4時間撹拌を行った。得られたスラリー液を、加圧濾過器を用いて脱液してケーキ状物とし、このケーキ状物を熱風循環乾燥機中で105℃の温度で乾燥した。乾燥物をジェットミルで解砕して、CHSiO3/2単位を主とするポリメチルシルセスキオキサン粒子(CHSiO3/2単位/SiO4/2単位/(CHSiO1/2単位のモル比=99.75/0.14/0.11)を得た。該ポリメチルシルセスキオキサン粒子をシリコーン粒子−3と称する。
【0041】
上記で得られたシリコーン粒子−3の体積平均粒径を、LA−920を用いて測定したところ0.8μmであった。また、該粒子の形状を電子顕微鏡にて観察したところ、球状であった。
【0042】
油剤の調製
TRIFAT S−308 97gにシリコーン粒子−3を3g添加し、ガラス棒にて攪拌分散して油剤を調製した。該油剤を用い、上述した方法にてオイルミストを発生させ、そのミスト発生量を測定した。結果を表1に示す。
【0043】
[実施例4]
シリコーン粒子−4(ポリメチルシルセスキオキサン粒子)の製造
錨型攪拌翼を備えた容量2リットルのガラスフラスコにイオン交換水770g及び1−ペンタノール20gを仕込み、液温を15℃とした。翼回転数150rpmで撹拌しながらメチルトリメトキシシラン170gを投入した。その後、液温を15〜18℃に保ち、2時間攪拌した。次いで、同温度にて、翼回転数250rpmで攪拌しながら2.8%アンモニア水2.5gを投入し、さらに1分間攪拌した後、攪拌を停止した。液温15〜18℃で16時間静置後、翼回転数100rpmの条件で撹拌を開始し、液温が65〜70℃となるまで加熱した後、攪拌しながら28%アンモニア水38gを投入し、さらに液温65〜70℃で4時間撹拌を行った。得られたスラリー液を、加圧濾過器を用いて脱液してケーキ状物とし、このケーキ状物を熱風循環乾燥機中で105℃の温度で乾燥した。乾燥物をジェットミルで解砕して、ポリメチルシルセスキオキサン粒子を得た。該ポリメチルシルセスキオキサン粒子をシリコーン粒子−4と称する。
【0044】
得られたシリコーン粒子−4の体積平均粒径を、LA−920を用いて測定したところ12μmであった。また、該粒子の形状を電子顕微鏡にて観察したところ、球状であった。
【0045】
油剤の調製
TRIFAT S−308 97gにシリコーン粒子−4を3g添加し、ガラス棒にて攪拌分散して油剤を調製した。該油剤を用い、上述した方法にてオイルミストを発生させ、そのミスト発生量を測定した。結果を表1に示す。
【0046】
[実施例5]
シリコーン粒子−5(シリコーンゴム粒子表面をポリメチルシルセスキオキサンで被覆した粒子)の製造
実施例1にて製造した、シリコーンゴム粒子の水分散液290gを、錨型攪拌翼を備えた容量2リットルのガラスフラスコに入れ、さらに水671g、および28%アンモニア水19gを添加した後、液温を7℃にした。該溶液の25℃でのpHは11.3であった。翼回転数100rpmで撹拌しながら、メチルトリメトキシシラン20g(シリコーンゴム粒子100質量部に対し、加水分解・縮合反応後の(即ち、被覆する)ポリメチルシルセスキオキサンの量が6.5質量部となる量)を20分かけて滴下した。滴下する間は液温を5〜10℃に保った。さらに5〜10℃で1時間攪拌を行い、次いで、液温を55〜60℃まで加熱した。液温を55〜60℃に保ったまま更に1時間攪拌を行った。該工程により、メチルトリメトキシシランの加水分解及び縮合反応を完結させた。得られたスラリー液を、加圧濾過器を用いて脱液してケーキ状物とした。該ケーキ状物を、錨型攪拌翼を備えた容量2リットルのガラスフラスコに移し、水1,000gを添加し、30分間攪拌を行った後、加圧ろ過器を用いて脱液した。さらに同じ操作を2回繰り返した後、得られたケーキ状物を熱風循環乾燥機中で105℃の温度で乾燥した。乾燥物をジェットミルで解砕して、シリコーンゴム粒子表面をポリメチルシルセスキオキサンで被覆した粒子を得た。該粒子をシリコーン粒子−5と称する。
【0047】
上記で得られたシリコーン粒子−5の体積平均粒径を、LA−920を用いて測定したところ、5.3μmであった。また、該粒子の形状を電子顕微鏡にて観察したところ、粒子の表面が約100nmの粒状形状物(ポリメチルシルセスキオキサン)で被覆された球状粒子であった。
【0048】
油剤の調製
TRIFAT S−308 97gにシリコーン粒子−5を3g添加し、ガラス棒にて攪拌分散して油剤を調製した。該油剤を用い、上述した方法にてオイルミストを発生させ、そのミスト発生量を測定した。結果を表1に示す。
【0049】
[実施例6]
シリコーン粒子−6(シリコーンゴム粒子表面をポリメチルシルセスキオキサンで被覆した粒子)の製造
上記式(1)で示される、粘度が580mm/sのメチルビニルポリシロキサン500gと、上記式(2)で示される、粘度が30mm/sのメチルハイドロジェンポリシロキサン19g(式(1)の化合物が有するビニル基1個に対し、式(2)の化合物が有するヒドロシリル基の個数が1.06個となる量)を容量1リットルのガラスビーカーに仕込み、ホモミキサーを用いて2,000rpmで撹拌溶解させた。次いで、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=9モル)1.2gと水100gを加え、ホモミキサーを用いて8,000rpmで撹拌したところ、水中油滴型となり、増粘が認められた。該混合物を更に15分間撹拌した。次いで、該混合物を2,000rpmで撹拌しながら、水378gを加えたところ、均一な白色エマルジョンが得られた。該エマルジョンを、錨型攪拌翼を備えた容量1リットルのガラスフラスコに移し、液温を15〜20℃にした後、撹拌下で、塩化白金酸−オレフィン錯体のトルエン溶液(白金含有量0.5%)0.8gとポリオキシエチレンラウリルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=9モル)1.6gの混合溶解物を添加した。該混合物を15〜20℃で12時間撹拌し、シリコーンゴム粒子の水分散液を得た。
【0050】
上記シリコーンゴム粒子の水分散液385gを、錨型攪拌翼を備えた容量2リットルのガラスフラスコに入れ、さらに水580g、および28%アンモニア水18gを添加した後、液温を7℃にした。該溶液の25℃でのpHは11.2であった。翼回転数100rpmで撹拌しながら、メチルトリメトキシシラン17g(シリコーンゴム粒子100質量部に対し、加水分解・縮合反応後の(即ち、被覆する)ポリメチルシルセスキオキサンの量が4.2質量部となる量)を20分かけて滴下した。滴下の間は液温を5〜10℃に保った。さらに5〜10℃で1時間攪拌を行った。次いで、液温を55〜60℃まで加熱した。液温を55〜60℃に保ったまま更に1時間攪拌を行った。該工程によりメチルトリメトキシシランの加水分解及び縮合反応を完結させた。得られたスラリー液を、加圧濾過器を用いて脱液してケーキ状物とした。該ケーキ状物を、錨型攪拌翼を備えた容量2リットルのガラスフラスコに移し、水1,000gを添加し、30分間攪拌を行った後、加圧ろ過器を用いて脱液した。さらに同じ操作を2回繰り返した後、得られたケーキ状物を熱風循環乾燥機中で105℃の温度で乾燥した。乾燥物をジェットミルで解砕して、シリコーンゴム粒子表面をポリメチルシルセスキオキサンで被覆した粒子を得た。該粒子をシリコーン粒子−6と称する。
【0051】
得られたシリコーン粒子−6の体積平均粒径を、LA−920を用いて測定したところ12μmであった。また、該粒子の形状を電子顕微鏡にて観察したところ、粒子の表面が約100nmの粒状形状物(ポリメチルシルセスキオキサン)で被覆された球状粒子であった。
【0052】
油剤の調製
TRIFAT S−308 97gにシリコーン粒子−6を3g添加し、ガラス棒にて攪拌分散して油剤を調製した。該油剤を用い、上述した方法にてオイルミストを発生させ、そのミスト発生量を測定した。結果を表1に示す。
【0053】
[実施例7]
シリコーン粒子−7(シリコーンゴム粒子表面をポリメチルシルセスキオキサンで被覆した粒子)の製造
下記式(3)で示される、粘度が8mm/sのメチルビニルポリシロキサン80gと
【化3】
下記式(4)で示される、粘度が120mm/sのメチルハイドロジェンポリシロキサン25g(式(3)の化合物が有するビニル基1個に対し、式(4)の化合物が有するヒドロシリル基の個数が1.08個となる量)
【化4】
を容量1リットルのガラスビーカーに仕込み、ホモミキサーを用いて2,000rpmで撹拌溶解させた。次いで、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=10モル)0.6g、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=20モル)0.9gと水50gとの混合溶解物を加え、ホモミキサーを用いて8,000rpmで撹拌したところ、水中油滴型となり、増粘が認められた。該混合物を更に15分間撹拌した。次いで、該混合物を2,000rpmで撹拌しながら、水843gを加え、さらに100MPaの圧力でホモジナイザーにかけたところ、均一な白色エマルジョンが得られた。該エマルジョンを、錨型攪拌翼を備えた容量1リットルのガラスフラスコに移し、液温を15〜20℃にした後、撹拌下で、塩化白金酸−オレフィン錯体のトルエン溶液(白金含有量0.5%)0.3gとポリオキシエチレンステアリルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数=10モル)0.3gの混合溶解物を添加した。該混合物を15〜20℃で12時間撹拌し、シリコーンゴム粒子の水分散液を得た。
【0054】
上記で得られた、シリコーンゴム粒子の水分散液952gを、錨型攪拌翼による撹拌装置を備えた容量2リットルのガラスフラスコに入れ、さらに水6g、および28%アンモニア水20gを添加した後、液温を7℃にした。該溶液の25℃でのpHは11.4であった。翼回転数100rpmで撹拌しながら、メチルトリメトキシシラン22.5g(シリコーンゴム粒子100質量部に対し、加水分解・縮合反応後の(即ち、被覆する)ポリメチルシルセスキオキサンの量が11質量部となる量)を25分かけて滴下した。滴下の間は液温を5〜10℃に保った。その後、5〜10℃でさらに1時間攪拌を行った。次いで、液温を55〜60℃まで加熱した。液温を55〜60℃に保ったままさらに1時間攪拌を行った。該工程によりメチルトリメトキシシランの加水分解及び縮合反応を完結させた。得られたスラリー液を、加圧濾過器を用いて脱液してケーキ状物とした。該ケーキ状物を、錨型攪拌翼を備えた容量2リットルのガラスフラスコに移し、水1,000gを添加し、30分間攪拌を行った後、加圧ろ過器を用いて脱液した。さらに同じ操作を2回繰り返した後、得られたケーキ状物を熱風循環乾燥機中で105℃の温度で乾燥した。乾燥物をジェットミルで解砕して、シリコーンゴム粒子表面をポリメチルシルセスキオキサンで被覆した粒子を得た。該粒子をシリコーン粒子−7と称する。
【0055】
得られたシリコーン粒子−7の体積平均粒径を、LA−920を用いて測定したところ0.8μmであった。また、該粒子の形状を電子顕微鏡にて観察したところ、粒子表面が約50nmの粒状形状物(ポリメチルシルセスキオキサン)で被覆された球状粒子であった。
【0056】
上記シリコーンゴム粒子の硬度測定
別途、上記式(3)で示されるメチルビニルポリシロキサン、上記式(4)で示されるメチルハイドロジェンポリシロキサン、および塩化白金酸−オレフィン錯体のトルエン溶液(白金含有量0.5%)を、上記と同じ配合割合で混合した。該混合物をアルミシャーレに流し込み、厚みが10mmになるようにした。25℃で24時間放置後、50℃の恒温槽内で1時間加熱した。得られた硬化物はべたつきのないシリコーンゴムであった。該シリコーンゴムの硬度をデュロメータA硬度計で測定したところ75であった。
【0057】
油剤の調製
TRIFAT S−308 97gにシリコーン粒子−7を3g添加し、ガラス棒にて攪拌分散して油剤を調製した。該油剤を用い、上述した方法にてオイルミストを発生させ、そのミスト発生量を測定した。結果を表1に示す。
【0058】
[実施例8]
TRIFAT S−308 99gに、実施例4にて製造したシリコーン粒子−4を1g添加し、ガラス棒にて攪拌分散して油剤を調製した。該油剤を用い、上述した方法にてオイルミストを発生させ、そのミスト発生量を測定した。結果を表1に示す。
【0059】
[実施例9]
オリーブ油(日光ケミカルズ(株)製)97gに、実施例7にて製造したシリコーン粒子−7を3g添加し、ガラス棒にて攪拌分散して油剤を調製した。該油剤を用い、上述した方法にてオイルミストを発生させ、そのミスト発生量を測定した。結果を表1に示す。
【0060】
[実施例10]
TRIFAT S−308 97gに、実施例1にて製造したシリコーン粒子−1を3g添加した。ディスパミキサーを用いて5,000rpmで15分間攪拌して分散およびせん断処理を行った。該油剤を用い、上述した方法にてオイルミストを発生させ、そのミスト発生量を測定した。結果を表1に示す。
【0061】
[実施例11]
TRIFAT S−308 97gに、実施例4にて製造したシリコーン粒子−4を3g添加した。ディスパミキサーを用いて5,000rpmで15分間攪拌して分散およびせん断処理を行った。該油剤を用い、上述した方法にてオイルミストを発生させ、そのミスト発生量を測定した。結果を表1に示す。
【0062】
[実施例12]
TRIFAT S−308 97gに、実施例6にて製造したシリコーン粒子−6を3g添加した。ディスパミキサーを用いて5,000rpmで15分間攪拌して分散およびせん断処理を行った。該油剤を用い、上述した方法にてオイルミストを発生させ、そのミスト発生量を測定した。結果を表1に示す。
【0063】
[比較例1]
シリコーン粒子を添加しないTRIFAT S−308を用いて、上述した方法にてオイルミストを発生させ、そのミスト発生量を測定した。結果を表1に示す。
【0064】
[比較例2]
シリコーン粒子を添加しないオリーブ油を用いて、上述した方法にてオイルミストを発生させ、そのミスト発生量を測定した。結果を表1に示す。
【0065】

【表1】
【0066】
表1に示す通り、シリコーン粒子は、オイルミストの発生を抑制する効果を有する。さらに、シリコーン粒子を配合した油剤は、せん断を受けてもオイルミスト抑制能力が低下しない。従って、シリコーン粒子はオイルミスト抑制剤として有用である。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明のオイルミスト抑制剤は、油剤、特には、切削・研削加工用油剤に配合してオイルミストの発生を抑制するのに有用である。