(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1実施形態]
第1実施形態について説明する。以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。Z軸方向は、例えば鉛直方向に設定され、X軸方向及びY軸方向は、例えば、水平方向に平行で互いに直交する方向に設定される。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。
【0014】
図1は、第1実施形態の測定装置の外観を示す図である。
図1に示す測定装置(形状測定装置)1Aは、ステージ装置(走査部)2と、光学プローブ3と、制御装置(位置情報取得部)4とを備える。光学プローブ3は、後述する撮像素子5及び結像光学系6を備える。測定装置1Aは、ステージ装置2に保持された測定対象の物体(測定対象物)Mの穴(凹部)Maの内側を光学プローブ3によって撮像し、物体Mの穴Maの内側の情報を測定することができる。本実施形態の測定装置1Aは、光切断法で穴Maの内側の情報を測定することができる。本実施形態において、穴Maの内側の情報は、穴Maの内面Mb(内周面、凹状の測定対象面)の少なくとも一部に関する形状、寸法、凹凸分布、表面粗さ、及び測定対象面上の点の位置(座標)、の少なくとも1つを含む。
【0015】
本実施形態のステージ装置2は、アクチュエータ等を含んで構成された駆動部を備える。ステージ装置2は、物体Mと光学プローブ3とを保持して、物体Mと光学プローブ3との相対位置を駆動部によって変化させることができる。すなわち、ステージ装置2は、物体Mの内面Mbに対して結像光学系6の少なくとも一部を移動可能である。
【0016】
本実施形態のステージ装置2は、物体Mを保持する第1保持部7と、光学プローブ3を保持する第2保持部8とを備える。ステージ装置2は、物体Mを保持した第1保持部7に対して、光学プローブ3を保持した第2保持部8を相対的に進退させることができる。すなわち、ステージ装置2は、光学プローブ3を物体Mに対して進退移動させることができる。本実施形態において、制御装置4は、ステージ装置2の駆動部を制御して、光学プローブ3と物体Mの相対位置を制御することができる。
【0017】
本実施形態の第1保持部7は、物体Mを保持してθZ方向に回転可能である。測定対象の物体Mは、穴Maの内側を測定時に、穴Maの開口を+Z側に向けて第1保持部7に保持される。本実施形態において、穴の深さ方向(延在方向)は、穴が物体を貫通している場合に、穴の内側に沿って穴の一方の開口と他方の開口とを結ぶ方向である。また、穴の深さ方向は、穴Maが物体Mを貫通していない場合に、穴の内側に沿って穴の開口と底部とを結ぶ方向である。本実施形態において、穴Maの開口を+Z側(上方)に向けて第1保持部7に保持されている物体Mの穴の深さ方向は、Z軸方向とほぼ平行であるとする。
【0018】
本実施形態の第2保持部8は、第1保持部7に対して+Z側(上方)に配置されている。第2保持部8は、光学プローブ3の長手方向とZ軸方向がほぼ一致するように取り付けられている。第2保持部8は、光学プローブ3を保持してX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の各方向に移動可能である。第2保持部8が穴Maの測定時にZ軸方向に移動すると、光学プローブ3は、物体Mに形成された穴Maの形成方向に対して進退移動する。
【0019】
本実施形態のステージ装置2は、第2保持部8に保持されている光学プローブ3の少なくとも一部が第1保持部に保持されている物体Mの穴Maに挿入されるように、第2保持部8を移動することができる。ステージ装置2は、第1保持部7が光学プローブ3を通すことが可能な孔部を有し、第2保持部8に保持された光学プローブ3のすくなくとも一部を、上記の孔部を通して第1保持部7よりも下方に配置可能であってもよい。
【0020】
本実施形態の測定装置1Aは、光学プローブ3を穴Maの深さ方向に断続的又は連続的に移動しながら、穴Maの深さ方向の各位置で測定することができる。すなわち、測定装置1Aは、穴Maの三次元形状に関する情報を測定することができる。
【0021】
なお、測定装置1Aは、穴Maだけに限られず、溝(凹部)の内面(測定対象面)を測定することも可能である。測定装置1Aは、所定の方向に延在する溝(凹部)が形成された物体に対して、溝の内面の測定を行う場合に、溝の延在方向(形成方向)に光学プローブ3を移動させることもできる。溝の延在方向は、例えばXY面に平行な方向でもよいし、XY面に交差する方向でもよい。
【0022】
なお、測定装置1Aは、例えば溝の深さ方向の寸法が深さ方向と交差する幅方向の寸法よりも大きい場合においても、例えば深さ方向の形状分布と、幅方向及び深さ方向に交差する方向(例えば延在方向)の形状分布の少なくとも一方について、測定精度を向上されることができる。測定装置1Aは、例えば光学プローブ3を溝の深さ方向の形状分布を測定する場合に、光学プローブ3を溝の底面に対して進退移動することで、形状を測定することができる。
【0023】
なお、第1保持部7は、Z軸方向に移動可能でもよく、この場合に第2保持部8は、Z軸方向に移動可能でも移動不能でもよい。第1保持部7は、X軸方向とY軸方向のうちの少なくとも1方向に移動可能でもよい。第1保持部7は、θZ方向に回転不能でもよいし、θX方向とθY方向のうちの少なくとも1方向に回転可能でもよい。第2保持部8は、X軸方向とY軸方向のうちの少なくとも1方向に移動不能でもよいし、θXとθYとθZ方向のうちの少なくとも1方向に回転可能でもよい。
【0024】
また、測定装置1Aは、第1保持部7と第2保持部8の少なくとも一方を備えていなくてもよい。例えば、測定装置1Aは、机や地面等に配置されている物体に対して、光学プローブ3を保持した第2保持部8を配置して測定を行う構成でもよいし、光学プローブ3を人力等で移動させる構成でもよい。測定装置1Aは、ステージ装置2を備えていなくてもよいし、ステージ装置2は、測定装置1Aの外部の装置であってもよい。
【0025】
本実施形態の制御装置4は、測定装置1Aの各部を制御することと、光学プローブ3の測定結果に関する画像処理や補間処理、統計処理等の各種処理を実行することができる。本実施形態の制御装置4は、CPU等を有するコンピュータシステムと、コンピュータシステムの外部の装置との通信を実行可能なインターフェースを含む。
【0026】
なお、制御装置4は、測定装置1Aの各部の制御に要する各種処理を実行するASIC等の論理回路を含んでいてもよく、コンピュータシステムを含んでいなくてもよい。制御装置4は、制御装置4へ信号を入力可能な入力装置が接続されていてもよい。上記の入力装置は、キーボード、マウス等の入力機器、あるいはコンピュータシステムの外部の装置からのデータを入力可能な通信装置のうちの1種又は2種以上でもよい。制御装置4は、液晶表示ディスプレイ等の表示装置を含んでいてもよいし、表示装置と接続されていてもよい。制御装置4は、測定装置1Aの外部の装置であってもよい。
【0027】
次に、光学プローブ3について説明する。
図2は、第1実施形態の光学プローブの外観を示す斜視図である。
図3は、第1実施形態の光学プローブの外観を示す側面図である。
図4は、第1実施形態の光学プローブの光学系の構成を示す図である。
図5は、第1実施形態の光学プローブの光路を示す図である。
【0028】
図4及び
図5に示す光学プローブ3は、撮像素子5と、撮像素子5に穴Maの内面Mbの少なくとも一部の像を結像する結像光学系6とを備える。結像光学系6は、撮像素子5との共役面10を穴Maの深さ方向(Z軸方向)に対して傾斜するように形成する。
【0029】
本実施形態の結像光学系6は、レンズ、開口絞り等の複数の光学素子を含む。本実施形態の結像光学系6において、複数の光学素子は、所定の方向(Z軸方向)に沿って並ぶように配列されている。本実施形態の結像光学系6は、Z軸方向と平行な軸に関して軸対称な光学系である。本実施形態において、共役面10は、結像光学系6の対称軸を回転中心とする円錐の側面の少なくとも一部を含む。結像光学系6は、例えば複数の光学素子の配列方向(Z軸方向)に深さ方向を合わせてステージ装置2に配置された穴に対して、穴と干渉することなく穴の内側に進退可能である。
【0030】
なお、結像光学系6は、複数の光学素子のうちの1つ以上が他の光学素子の列から外れて配置されていてもよい。結像光学系6は、例えば、結像光学系6の光路の途中にミラー等の偏向部材が配置されており、この偏光部材の前段と後段とで光軸が折れ曲がっていてもよい。結像光学系6は、光学素子の配列方向が複数ある場合に、配列方向が同じである光学素子のグループにおける共役面側の光学素子から撮像面側までの光学素子までの距離(光路長)を比較して、その距離が最も長いグループの配列方向を主たる配列方向と見なすことができる。すなわち、結像光学系6に配列方向が同じであるグループが複数含まれる場合に、共役面10は、複数のグループのうち共役面側の光学素子から撮像面側までの光学素子までの距離が最も長いグループの配列方向に対して傾斜していてもよい。また、光学プローブ3は、複数のグループのうち共役面側の光学素子から撮像面側までの光学素子までの距離が最も長いグループの配列方向に進退可能でもよい。
【0031】
本実施形態の光学プローブ3は、光源部11と、光源部11からの光Lを物体Mの穴Maの内面Mbへ照射する照射部12とを備える。また、本実施形態の光学プローブ3は、
図2及び
図3に示すように、結像光学系6の少なくとも一部を収容する筐体13と、照射部12の少なくとも一部を支持する支持部材14とを備える。
【0032】
図5に示すように、光源部11からの光Lは、結像光学系6を通った後、照射部12によって共役面10に沿う方向へ照射される。本実施形態において、光源部11と結像光学系6と照射部12は、穴Maの内側を照明する照明光学系を構成している。測定装置1Aは、上記の照明光学系により照明された穴Maの内面Mbを結像光学系6を介して撮像素子5により撮像することによって、穴Maの内側(内周面)における複数の位置の情報を一度に測定することができる。
【0033】
本実施形態の撮像素子5は、二次元的に配列された複数の画素を有し、各画素に入射した光の光量を画素ごとに検出することができる。以下の説明において、撮像素子5の複数の画素が配列されている領域を受光領域という。撮像素子5は、例えばCCDセンサーやCMOSセンサーを含んで構成される。本実施形態において、撮像素子5によって撮像された結果を示す情報は、制御装置4へ送信される。制御装置4は、光学プローブ3と物体Mとの相対位置を示す情報(走査部の位置情報)、及び撮像素子5の撮像結果を示す情報(撮像素子の画像情報)に基づいて、穴Maの内面Mbの情報(測定対象面の位置情報)を取得する。
【0034】
本実施形態の光源部11は、光源15と、光源15から発せられた光Lをコリメートするコリメータ16と、コリメータ16によりコリメートされた光Lを結像光学系6へ導くハーフミラー(導光部材)17とを備える。
【0035】
本実施形態の光源15は、半導体レーザー素子を含んで構成されている。光源15は、発光ダイオード(LED)等の固体光源、ハロゲンランプ等のランプ光源、ファイバー光源等の各種光源の1種又は2種以上を含んで構成されていてもよい。
【0036】
ハーフミラー17は、コリメータ16によりコリメートされた光Lの少なくとも一部が反射する特性を有する。本実施形態において、ハーフミラー17のうちコリメータ16からの光Lが反射する面は、コリメータ16の光軸に対して、ほぼ45°の角度をなしている。なお、この面がコリメータ16の光軸となす角度は、45°未満でもよいし、45°より大きくてもよい。光源15から発せられてコリメータ16を通った光Lのうち、ハーフミラー17で反射した光Lは、結像光学系6へ入射する。
【0037】
なお、光源部11の少なくとも一部、例えば光源15とコリメータ16の少なくとも一方は、測定装置1Aに含まれていなくてもよく、測定装置1Aの外部の装置に含まれていてもよい。
【0038】
本実施形態の結像光学系6は、複数のレンズ(光学素子)で構成される組レンズ18と、組レンズ18内の光路に配置された開口絞り(光学素子)19と、偏向部材(光学素子)20とを含む。本実施形態の結像光学系6は、軸対称な光学系である。
【0039】
本実施形態において、組レンズ18の各レンズは、軸対称な光学素子で構成されている。組レンズ18のレンズは、各レンズの光軸が複数のレンズで互いにほぼ一同軸になるように、所定の方向に沿って配列されている。組レンズ18のレンズは、開口絞り19に関して対称的に設けられている。組レンズ18は、物体面側(共役面10側)と像面側(撮像素子5側)とでほぼテレセントリックな両側テレセントリック光学系を構成している。本実施形態の結像光学系6の光軸は、組レンズ18の光軸21とほぼ同軸である。組レンズ18の光軸21は、撮像素子5の受光領域に対してほぼ垂直であり、ハーフミラー17においてコリメータ16からの光Lが反射する面に対して、ほぼ45°の角度をなしている。
【0040】
本実施形態において、光源15から発せられてハーフミラー17で反射した光Lは、組レンズ18の光軸21とほぼ平行に伝播して、組レンズ18のうち光軸21の近傍の部分へ入射する。光源部11から組レンズ18へ入射した光Lは、開口絞り19を通って組レンズ18から出射し、偏向部材20へ入射する。
【0041】
本実施形態の偏向部材20は、組レンズ18の光軸21を中心として、軸対称な形状である。本実施形態の偏向部材20は、円錐台状であり、組レンズ18を向く面(以下、下底面22という)と、下底面22とは反対側を向く面(以下、上底面23という)と、下底面22の外周と上底面23の外周とを結ぶ面(以下、側面24という)とを有する。
【0042】
本実施形態の偏向部材20は、光源部11から組レンズ18を通って入射してくる光Lに対して、透明な媒質で構成されている。偏向部材20は、ガラスの研削により形成されたものでもよいし、熱可塑性樹脂による射出成形により形成されたものでもよい。
【0043】
本実施形態において、光源部11から出射して組レンズ18を通った光Lは、偏向部材20の下底面22へ入射して上底面23から出射し、照射部12へ入射する。偏向部材20から照射部12へ入射した光Lは、照射部12で反射して共役面10へ沿って伝播し、穴Maの内面Mbのうち共役面10と交わる部分に照射される。
【0044】
本実施形態において、穴Maの内面Mbに照射された光Lは、その少なくとも一部が内面Mbで散乱(反射)して偏向部材20の側面24へ入射する。穴Maの内面Mbから偏向部材20の側面24へ入射した光Lは、偏向部材20の内部を通り、偏向部材20への入射側と光軸21を挟んで反対側の側面24の内面側で全反射条件を満たすことにより反射する。穴Maの内面Mbから偏向部材20へ入射して側面24の内面側で反射した光Lは、側面24での反射前に対して偏向し、下底面22を通って偏向部材20から出射する。穴Maの内面Mbから偏向部材20へ入射して偏向部材20から出射した光Lは、組レンズ18及び開口絞り19を通り、その少なくとも一部がハーフミラー17を通って撮像素子5の受光領域で結像する。
【0045】
このように、本実施形態の結像光学系は、光軸21とほぼ平行な第1光路25と、第1光路25に対して傾斜して第1光路25と共役面10とを結ぶ第2光路26とを有する。光源部11で発せられた光Lは、組レンズ18の光路の少なくとも一部を含む第1光路25を通って照射部12を経由し、穴Maの内面Mbに照射される。また、穴Maの内面Mbからの光Lは、共役面10から偏向部材20の側面24の内面までの第2光路26を通って偏向部材20により偏向した後に、組レンズ18内の第1光路25を通って撮像素子5の受光領域で結像する。
【0046】
次に、偏向部材20と照射部について、より詳しく説明する。以下の説明において、撮像素子5の受光領域から結像光学系6へ仮想的に発せられた光を仮想光という。本実施形態において、偏向部材20の下底面22のうち、仮想光が組レンズ18から入射する領域は、ほぼ平面である。偏向部材20は、下底面22が組レンズ18の光軸21に対してほぼ直交するように、配置されている。なお、偏向部材20は、下底面22の少なくとも一部が曲面でもよい。
【0047】
本実施形態において、偏向部材20の上底面23のうち、光源部11から組レンズ18を通って下底面22へ入射した光Lが通過する領域は、ほぼ平面である。上底面23は、組レンズ18の光軸21に対してほぼ直交している。本実施形態の偏向部材20は、上底面23が下底面22よりも小さい。なお、偏向部材20は、上底面23の少なくとも一部が曲面でもよく、上底面23が下底面22よりも大きくてもよい。
【0048】
本実施形態において、側面24は、光軸21に直交する断面の外径が下底面22から上底面23に向って縮小するテーパ面を含む。本実施形態において、側面24は、上記の仮想光のうち組レンズ18及び下底面22を通って側面24で反射して入射してくる主光線に対して、ほぼ直交している。すなわち、本実施形態において、撮像素子5に結像する光Lのうちの主光線は、穴Maの内面Mbから偏向部材20へ入射するときに側面24でほぼ屈折しない。
【0049】
本実施形態の照射部12は、反射部材27を含む。反射部材27は、結像光学系の光軸(組レンズ18の光軸21)を中心として軸対称な形状である。光源部11から結像光学系6へ入射して偏向部材20の上底面23から出射した光Lは、反射部材27の頂点近傍の表面に入射して反射し、結像光学系6の光軸に対して軸対称なシート光となり、共役面10に沿って伝播する。このシート光は、結像光学系6の光軸21に直交する面におけるスポット形状がほぼ円環状のパターン光であり、テーパ状の光切断面を形成する。
【0050】
なお、反射部材27は、光源部11から偏向部材20を通って入射してくる光Lが全反射条件を満たすことで反射する構成でもよい。また、反射部材27は、反射型の回折光学素子を含んで構成されていてもよい。この回折光学素子は、偏向部材20から入射してくる光Lが反射するとともに回折し、回折した光が共役面10に沿って伝播するように、構成されていてもよい。
【0051】
図2及び
図3に示すように、本実施形態の筐体13は、長手方向の一端を含む先端部30と、長手方向の他端を含む基端部31とを有する。筐体13は、長手方向(Z軸方向)に直交する断面形状がほぼ円環状の筒形状である。
【0052】
本実施形態の先端部30は、結像光学系6の少なくとも一部を収容している。本実施形態の先端部30は、いわゆる鏡筒である。組レンズ18のレンズは、筐体13と同軸状に配列されて先端部30に収容されている。先端部30に収容されているレンズは、先端部30との相対位置が固定されている。偏向部材20の少なくとも一部は、筐体13の外部に配置されている。偏向部材20は、先端部30に対して基端部31とは反対側に向って、先端部30から突出している。
【0053】
本実施形態において、基端部31は、先端部30との相対位置が固定されている。基端部31は、撮像素子5、及び光源部11のハーフミラー17を収容している。撮像素子5は、基端部31との相対位置が固定されており、先端部30に収容されている光学素子に対する相対位置が固定されている。筐体13の長手方向に直交する断面の寸法は、先端部30の外径が基端部31の外径よりも小さく、先端部30の内径が基端部31の内径よりも小さい。
【0054】
なお、筐体13は、長手方向に直交する断面が角型の環状の筒状でもよい。筐体13の内面と外面の少なくとも一方は、長手方向に直交する断面の寸法が長手方向で連続的に変化するテーパ状でもよい。先端部30と基端部31との相対位置は、可変であってもよい。先端部30は、偏向部材20の全体を収容していてもよいし、結像光学系6以外の要素を収容していてもよい。基端部31は、光源部11の光源15とコリメータ16の少なくとも一方を収容していてもよいし、ハーフミラー17を収容していなくてもよく、結像光学系6の光学素子の少なくとも1つを収容していてもよい。
【0055】
本実施形態の光学プローブ3は、測定時に筐体13の長手方向(光学素子の配列方向)がステージ装置2の第2保持部8の第1保持部7に対する進退方向(Z軸方向)とほぼ平行になるように、第2保持部8に保持される。光学プローブ3は、測定時に筐体13の先端部30と基端部31のうちで先端部30が第1保持部7を向くように、基端部31が第2保持部8に取り付けられる。
【0056】
本実施形態の測定装置1Aは、筐体13の先端部30の外径が基端部31の外径よりも小さいので、光学プローブ3の先端部30側を穴Maに挿入しやすい。また、測定装置1Aは、筐体13の長手方向に直交する面での外形がほぼ円形であるので、光学プローブ3の少なくとも一部が穴Maへ挿入された状態で、筐体13の外周面が穴Maの内面と干渉(衝突)しにくい。
【0057】
本実施形態の支持部材14は、筐体13の長手方向における先端部30の端面に設けられて筐体13の長手方向に延びる柱状の支柱部32と、支柱部32に対して筐体13とは反対側に設けられたミラー保持体33とを含む。本実施形態の支持部材14は、筐体13の長手方向から見て筐体13の先端部30の外周の内側に収まる形状及び寸法である。本実施形態のミラー保持体33は、支柱部32に垂直な円板状である。ミラー保持体33は、支柱部32と固定されており、反射部材27を偏向部材20に向けて保持している。すなわち、反射部材27は、支持部材14を介して筐体13に支持されている。
【0058】
なお、照射部12の少なくとも一部は、支柱部32に取付けられて支持されていてもよく、この場合に、ミラー保持体33は省略可能である。照射部12の少なくとも一部は、筐体13とは別の部材に支持されていてもよい。例えば、反射部材27は、測定対象の物体の穴が貫通孔である場合に、この穴において光学プローブ3が挿入される開口とは反対側の開口を通して、例えばステージ装置2等に支持されていてもよい。
【0059】
また、照射部12は、偏向部材20に対して第1光路25とは反対側に配置された光源から発せられた光を穴の内面へ照射する構成でもよい。この光源は、例えば、測定対象の物体の穴が貫通孔である場合に、穴の外側に配置されており、光学プローブ3が挿入される第1の開口とは反対側の第2の開口を通して照射部12へ光を発してもよいし、第2の開口を通して穴の内側に配置されており、照射部12へ光を発してもよい。この光源は、ステージ装置2に支持されていてもよい。
【0060】
本実施形態において、
図5に示す共役面10は、結像光学系6の光軸(組レンズ18の光軸21)と軸外物点を含む面(メリジオナル面)において、撮像素子5の受光領域と互いに共役である。共役面10は、結像光学系6を構成する光学素子のうちで偏向部材20の次に撮像素子から遠い光学素子の光軸とこの光軸に関する軸外物点とを含む面において、撮像素子5と共役であってもよい。また、共役面10は、結像光学系6の瞳における光軸とこの光軸に関する軸外物点とを含む面において、撮像素子5と共役であってもよい。
【0061】
本実施形態において、撮像素子5の受光領域の各点は、共役面10上の点と1対1で対応している。すなわち、穴Maの内面Mbのうち共役面10と交わる線上の点の像(メリジオナル像)は、この点に対応する撮像素子5の受光領域上の点に結像する。したがって、撮像素子5で検出される輝度ピーク等から、照射部12から照射された光L(光切断光)が穴の内面にあたる点を特定することができる。
【0062】
ここで、撮像素子5の画素ピッチをP、共役面10が光軸21となす角度をθとし、説明の便宜上、結像光学系6が等倍系であるとする。なお、結像光学系6は、縮小系、拡大系、倍率を可変な系のいずれでもよい。共役面10上で撮像素子5の各画素と共役である領域(以下、共役面上の画素という)は、結像光学系6が等倍系である場合に、共役面10上でのピッチがPである。共役面上の画素のピッチは、光軸21に平行な方向へ射影するとPcosθになり、光軸21に直交する面へ射影するとPsinθになる。本実施形態において、角度θは、共役面10が光軸21に対して傾斜しており、θの絶対値が0°より大きい。したがって、共役面上の画素は、共役面が結像光学系の光軸と直交する構成(θ=0°)と比較して、光軸21に平行な方向と光軸21に直交する面内で狭ピッチになる。このように、本実施形態の測定装置1Aは、実質的な測定の解像度を向上させることができ、穴の内側の情報に関する測定精度を向上させることができる。
【0063】
本実施形態の結像光学系6は、共役面10の少なくとも一部を、結像光学系6のうちで最も共役面10に近い光学素子(偏向部材20)に対して、撮像素子5とは反対側に形成する。すなわち、共役面10の少なくとも一部は、物体Mに対する光学プローブ3の進退方向に関して偏向部材20よりも前方(穴の奥側)に配置されている。したがって、測定装置1Aは、偏向部材20よりも前方における穴Maの内面Mbを測定しやすくなり、例えば穴の底部の測定精度を向上させることができる。なお、結像光学系6は、共役面10の少なくとも一部を、結像光学系6のうちで最も共役面10に近い光学素子に対して撮像素子5と同じ側に形成してもよい。
【0064】
また、測定装置1Aは、照射部12が共役面10に沿うように光Lを照射するので、光Lがあたる位置における内面Mbの像のピントが撮像素子5で合うことになり、測定精度を向上させることや合焦に要する手間を省くこともができる。また、測定装置1Aは、結像光学系6が光軸21を中心に回転対称であるので、穴Maの内面Mbのうち光切断光があたる箇所について2点以上の位置の情報を一括して測定することができる。本実施形態において、測定装置1Aは、穴Maの内面Mbを光軸21まわりの周方向のほぼ全周にわたって、一括して撮像することができる。
【0065】
また、結像光学系6は、共役面10側(物体面側)でテレセントリックな光学系であるので、穴Maの径の変化に対して測定精度を均一に保つことができる。また、結像光学系6は、筐体13の長手方向に延びる第1光路25と、第1光路25に対して傾斜した第2光路26とを有しているので、測定装置1Aは、深い穴の内側を測定することが容易である。
【0066】
なお、穴Maの内面Mbの一部は、支持部材14の支柱部32の陰になる場合がある。測定装置1Aは、例えば第1保持部7をθZ方向に回転させることによって、物体Mと光学プローブ3とのθZ方向の相対的な位置を変化させ、回転前に支持部材14の支柱部32の陰になっていた部分を測定することもできる。また、照射部12は、光軸21の周りの周方向の一部に光を照射してもよい。この場合に、測定装置1Aは、物体Mと光学プローブ3とのθZ方向の相対的な位置を変化させ、光軸21の周りの周方向の一部又は全部を測定可能でもよい。測定装置1Aは、穴Maの内側のうち光軸21の周りの周方向の一部を測定しなくてもよい。
【0067】
本実施形態の偏向部材20は、結像光学系6の他の光学素子に対して相対的に、光軸21と平行な方向に移動可能である。上記の他の光学素子は、組レンズにおける複数のレンズと開口絞り19のうちの少なくとも1つである。
【0068】
図6(A)から
図6(C)は、第1実施形態の測定装置の撮像素子と共役面の関係を示す図である。詳しくは、
図6(A)は、
図6(B)における偏向部材20の位置を基準として、偏向部材20が組レンズ18に近づいた状態を示す図である。
図6(C)は、
図6(B)における偏向部材20の位置を基準として、偏向部材20が組レンズ18から遠ざかった状態を示す図である。
【0069】
図6(A)から
図6(C)に示すように、偏向部材20が他の光学素子に対して光軸21と平行な方向に移動すると、共役面10は、光軸21に平行な方向と光軸21に対する放射方向とに移動する。
【0070】
例えば、偏向部材20が
図6(B)に示す位置から光軸21に沿って組レンズ18から近づく位置(
図6(A)参照)に移動すると、共役面10の位置は、光軸21と直交する方向に光軸21から離れた位置へ変化する。したがって、測定装置1Aは、偏向部材20の移動前と比較して、光軸21に直交する方向で光軸21から離れた位置の穴Maの内面Mbを測定することができる。また、例えば、偏向部材20が
図6(B)に示す位置から光軸21に沿って組レンズ18に離れる位置(
図6(C)参照)に移動すると、共役面10の位置は、光軸21と直交する方向に光軸21に接近した位置へ変化する。したがって、測定装置1Aは、偏向部材20の移動前と比較して、光軸21に直交する方向で光軸21に近い位置の穴Maの内面Mbを測定することができる。このように、測定装置1Aは、光軸21に直交する方向における測定範囲を変化させることができる。
【0071】
本実施形態の照射部12は、照射部12から照射される光Lが共役面10に沿って伝播するように、光Lが伝播する面を偏向部材20の移動に追従させて調整することができる。本実施形態の測定装置1Aは、反射部材27を支持した支持部材14が筐体13に対して光軸21と平行な方向に進退移動することによって、反射部材27から光Lが伝播する面を調整することができる。本実施形態において、反射部材27は、偏向部材20が組レンズ18から離れるにしたがって偏向部材20に近づくように、光軸21に平行な方向の位置が調整される。
【0072】
なお、測定装置1Aは、偏向部材20と反射部材27とを連動させて移動する機構を備えていてもよいし、偏向部材20を移動させる第1機構と反射部材27を移動させる第2の機構とを備えていてもよい。上記の機構は、例えばヘリコイド機構等でもよい。測定装置1Aは、上記の機構をアクチュエータ等の駆動部で動作させる構成でもよいし、上記の機構を手動で動作させる構成でもよい。制御装置4は、偏向部材20と反射部材27の少なくとも一方を移動させる機構を駆動する駆動部を制御可能でもよい。
【0073】
上記の実施形態において、組レンズ18は、各レンズの光軸が同軸状であるが、少なくとも1つのレンズの光軸が他のレンズに対して偏心していてもよい。上記の実施形態において、組レンズ18は、透過型の光学素子で構成されているが、反射型の光学素子を含んでいてもよい。
【0074】
上記の実施形態において、偏向部材は、組レンズ18の光軸の周りで軸対称な形状であるが、組レンズ18の光軸の周りで非対称な形状でもよい。この場合に、偏向部材は、組レンズ18の光軸のまわりの周方向に、測定対象の物体に対して相対的に回転可能でもよく、共役面10は、偏向部材と物体との相対的な回転の回転軸とこの回転軸以外の物点を含む面において、撮像素子5と共役でもよい。
【0075】
上記の実施形態において、偏向部材は、全反射条件によって光が反射して偏向する構成であるが、鏡面で光が反射して偏向する構成でもよい。この偏向部材は、凹面鏡等の軸対称な形状でもよく、この場合に対称軸が組レンズ18の光軸とほぼ同軸でもよい。また、偏向部材は、組レンズ18から出射した光が伝播する方向のまわりで、軸非対称な形状でもよい。例えば、偏向部材は、平面ミラー等の光が反射する平面状の反射面を含み、この反射面が組レンズ18の光軸に対して傾斜していてもよい。この場合に、測定装置は、偏向部材の平面状の反射面を、組レンズ18の光軸のまわりの周方向に測定対象の物体に対して相対的に回転可能でもよく、共役面10は、偏向部材と物体との相対的な回転の回転軸とこの回転軸以外の物点を含む面において、撮像素子5と共役でもよい。
【0076】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態において、第1実施形態と同様の構成要素については、第1実施形態と同じ符号を付してその説明を簡略化あるいは省略することがある。
【0077】
図7は、第2実施形態の測定装置の光路を示す図である。
図8は、第2実施形態の測定装置の撮像素子との共役面を拡大して示す図である。
【0078】
図7に示す測定装置1Bは、第1実施形態と同様の撮像素子5及び結像光学系6(光学プローブ3)を備える。本実施形態において、測定装置1Bは、第1実施形態で説明した反射部材27を含んでいない。本実施形態において、偏向部材20は、物体Mの穴Maに対する進退方向で光学プローブ3のうちで最も前方(先端)に配置されている。すなわち、本実施形態の測定装置1Bは、穴Maの内側に挿入されて最も先端に配置される部材が偏向部材20である。
【0079】
本実施形態の測定装置1Bは、SFF(Shape From Focus)法で測定対象の物体の穴の内側を測定することができる。測定装置1Bは、結像光学系6の光軸に沿って測定対象の物体Mと結像光学系6との相対位置を変化させながら、焦点位置が異なる複数の位置で物体Mの穴Maの内側を撮像することができる。本実施形態において、測定装置1Bは、第1実施形態で説明したステージ装置2によって、測定対象の物体Mと結像光学系6との相対位置を変化させることができる。
【0080】
測定装置1Bは、像界における撮像素子5上の点と共役な物界の点、すなわち
図8に示す共役面10が穴Maの内面Mbと交差する線上の点においてピントが合う。したがって、穴Maの内面Mbの各点の位置は、撮像素子5によって撮像された画像において合焦測度が最大となる位置を求めることにより、検出することができる。上記の合焦測度は、合焦の程度を数値化したパラメータであり、測定対象の物体Mと結像光学系6との相対位置によって変化する。本実施形態において、測定装置1Bは、撮像素子5が撮影した画像を第1実施形態で説明した制御装置4が画像処理することによって、合焦測度を算出し、穴Maの内面Mbの各点の位置を求めることができる。撮像素子5が撮影した画像は、制御装置4とは別の装置によって解析されてもよく、この装置は、測定装置1Bの外部の装置でもよい。
【0081】
なお、測定装置1Bにより穴Maの内側を撮影するときに穴Maの内側を照明する照明光は、光源装置から発せられる光でもよいし、穴Maの開口から内側へ入射する自然光でもよい。上記の照明光の少なくとも一部は、結像光学系6の少なくとも一部、例えば第1実施形態で説明した第1光路25を通ってもよいし、通らなくてもよい。上記の光源装置の少なくとも一部は、測定装置1Bの一部でもよいし、測定装置1Bの外部の装置でもよい。例えば、上記の光源装置は、その一部が第1実施形態で説明した筐体13に取り付けられていてもよい。上記の光源装置は、穴Maの内側に配置されて内面Mbを照明してもよいし、穴Maの外側に配置されて穴Maの開口を通して内面Mbを照明してもよい。
【0082】
本実施形態の偏向部材20は、結像光学系6の他の光学素子に対して相対的に、光軸21と平行な方向に移動可能である。上記の他の光学素子は、組レンズにおける複数のレンズと開口絞り19のうちの少なくとも1つである。偏向部材20と他の光学素子との相対位置を変化させる機構や駆動部については、第1実施形態と同様である。
【0083】
図9(A)から
図9(C)は、第2実施形態の測定装置の撮像素子と共役面の関係を示す図である。
図9(A)から
図9(C)に示すように、偏向部材20が光軸21に沿って組レンズ18に離れるにつれて、共役面10の位置は、光軸21と直交する方向に光軸21へ近づくように変化する。このように、測定装置1Bは、光軸21に直交する方向における測定範囲を変化させることができる。
【0084】
本実施形態の測定装置1Bは、実質的な測定の解像度を向上させることができ、凹部の内面の情報に関する測定精度を向上させることができる。また、共役面10の少なくとも一部は、穴Maに挿入される部位のうち最も先端に位置する偏向部材20よりも前方に配置されるので、物体を貫通していない穴の内側を測定する場合に、光学プローブ3が穴の底部に接触するよりも前に、共役面10が穴の底部に到達することになる。したがって、測定装置1Bは、穴の底部に接触させないで穴の底部付近を測定することもできる。
【0085】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態において、上記の実施形態と同様の構成要素については、上記の実施形態と同じ符号を付してその説明を簡略化あるいは省略することがある。
【0086】
図10は、第3実施形態の測定装置の光路を示す図である。
図11は、第3実施形態における投影パターンを示す図である。
図10に示す測定装置1Cは、光源部40と、相対位置検出機構48と、第1実施形態と同様の撮像素子5及び結像光学系6(光学プローブ3)とを備える。本実施形態の制御装置4は、合焦測度算出部46及び形状情報取得部47を備える。なお、本実施形態の測定装置1Cは、第1実施形態で説明した反射部材27を含んでいない。
【0087】
本実施形態の測定装置1Cは、SFF法で測定対象の物体の凹部の内面を測定することができる。SFF法で測定を行う場合に、例えば測定対象の領域が鏡面であったりテクスチャを有していなかったりすると、合焦しているか否かを検出しにくいことがある。本実施形態の測定装置1Cは、テクスチャパターンを投影しつつ、結像光学系6の光軸に沿って測定対象の物体Mと結像光学系6との相対位置を変化させながら、焦点位置が異なる複数の位置で物体Mの穴Maの内側を撮像することができる。
【0088】
相対位置検出機構48は、光学プローブ3と物体Mとの相対位置を検出することができる。相対位置検出機構48は、例えば
図1に示した光学プローブ3と第1保持部7との相対位置の変化を検出することによって、光学プローブ3と物体Mとの相対位置を検出してもよい。相対位置検出機構48は、例えば光学的に相対位置を検出するセンサーを含んでいてもよい。相対位置検出機構48は、光学プローブ3と第1保持部7との相対位置を管理する機構の一部、例えばステージ装置2の一部であってもよい。
【0089】
制御装置4の合焦測度算出部46は、撮像素子5から出力される信号に基づいて、光学プローブ3と物体Mとの相対位置に応じた合焦測度を算出する。合焦測度は、例えば合焦位置からの位置のずれ量を示すパラメータである。なお、合焦測度は、例えば、以下の方法により求められる。第1の方法は、合焦測度を取得する対象画素と隣接画素との明度差又は輝度値差から得る方法である。第2の方法は、合焦測度を取得する対象領域の複数の画素から得られる明るさ値と、対象領域の近傍の領域における複数の画素から得られる明るさに基づく値との差から得る方法である。第3の方法は、合焦測度を取得する領域の空間周波数分布のうち相対的に高い空間周波数成分に基づいて、合焦測度求める方法である。
【0090】
形状情報取得部47は、相対位置検出機構48の検出結果を示す情報、及び合焦測度算出部46の算出結果を示す情報に基づいて、光学プローブ3と物体Mとの相対位置を異ならせた場合に合焦測度が最大となる相対位置を求めることができる。
【0091】
本実施形態の測定装置1Cは、第2実施形態と同様に、ステージ装置2によって測定対象の物体Mと結像光学系6との相対位置を変化させ、制御装置4の合焦測度算出部46によって合焦測度を算出する。そして、測定装置1Cは、光学プローブ3と物体Mとの相対位置を示す情報として相対位置検出機構48から出力される位置情報、及び焦測度算出部46の算出結果を示す情報に基づいて、合焦測度が最大となる撮像面の位置を形状情報取得部47により特定する。このようにすることで、測定装置1Cは、穴Maの内面Mbの各点の位置を求めることができる。また、測定装置1Cは、内面Mbの形状を示す情報として、内面Mb上の各点の位置(座標)の分布を示す情報を求めることもできる。
【0092】
本実施形態の光源部40は、光源41と、光源41から発せられた光束を平行化するコンデンサレンズ42と、光源41から発せられてコンデンサレンズ42を通った光が入射する位置に配置された投影パターン43と、第1実施形態と同様のハーフミラー17とを含む。
【0093】
本実施形態の光源41は、LEDやハロゲンランプ、ファイバー光源等の各種光源の1種又は2種以上で構成される。光源41は、半導体レーザー素子を含んで構成されていてもよく、この場合に、光源41とコンデンサレンズ42との間の光路に、光源41から発せられた光の配向特性を制御する拡散部材が配置されていてもよい。この拡散部材は、例えばすりガラス等の拡散板やCGH等の回折光学素子等で構成されていてもよい。
【0094】
本実施形態の投影パターン43は、光源41から発せられてコンデンサレンズ42を通った光によって、照明される。本実施形態の投影パターン43は、撮像素子5の受光領域及び結像光学系6が形成する共役面10のそれぞれと共役な位置に配置されている。光源41からコンデンサレンズ42を通って投影パターン43に入射した光のうち、投影パターン43を通った光は、テクスチャパターンを示すパターン光となり、結像光学系6を通って穴Maの内面Mbに照射される。このパターン光は、穴Maの内面Mbと共役面10とが交わる線上で結像し、内面Mbにテクスチャパターンが投影される。このように、本実施形態において、光源41及びコンデンサレンズ42は、投影パターン43を照明する照明光学系を構成しており、結像光学系6は、照明光学系によって照明された投影パターン43の像(テクスチャパターン)を投影する投影光学系を構成している。
【0095】
図11に示す投影パターン43は、例えばフォトマスク等であり、光源41からの光に対して透過率が異なる明部44と暗部45とを有する。明部44は、光源41からの光に対する透過率が暗部45よりも高い。本実施形態において、暗部45は、光源41からの光をほぼ透過しない。
【0096】
本実施形態において、明部44と暗部45は、投影パターン43を通る光のスポットの中心を通る中心軸に対する放射方向に、交互に繰り返し配置されている。上記の中心軸は、結像光学系6の光軸と等価な軸であり、結像光学系6の光軸をハーフミラー17で折り曲げた軸に相当する。本実施形態において、投影パターン43は、上記の中心軸と交差する部分がほぼ円形の暗部45であり、この暗部45の外側の部分が円環状の明部44及び暗部45である。円環状の明部44と暗部45は、同心状に中心位置を揃えて配列されている。すなわち、投影パターン43は、上記の中心軸に関して軸対称である。
【0097】
本実施形態の偏向部材20は、結像光学系6の他の光学素子に対して相対的に、光軸21と平行な方向に移動可能である。上記の他の光学素子は、組レンズを構成する複数のレンズ要素と開口絞り19のうちの少なくとも1つである。偏向部材20と他の光学素子との相対位置を変化させる機構や駆動部については、第1実施形態と同様である。
【0098】
本実施形態の測定装置1Cは、実質的な測定の解像度を向上させることができ、凹部の内面の情報に関する測定精度を向上させることができる。また、測定装置1Cは、物体Mの穴Maの内面Mbにパターンを投影するので、合焦しているか否かを高精度に検出することが可能であり、凹部の内面の情報に関する測定精度を向上させることができる。また、測定装置1Cは、穴Maの内面Mbに投影されるパターンが結像光学系6の光軸に対して軸対称であるので、メリジオナル光線の合焦を検出しやすくなり、凹部の内面の情報に関する測定精度を向上させることができる。
【0099】
なお、測定装置1Cは、第2実施形態と同様に、穴の底部に接触させないで穴の底部付近を測定することや、光軸21に直交する方向における測定範囲を変化させることもできる。投影パターンは、明部又は暗部が直交格子状であるパターンや、明部と暗部が多角形であり規則的に並ぶ三角格子状等のパターン等でもよい。
【0100】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態について説明する。第4実施形態において、上記の実施形態と同様の構成要素については、上記の実施形態と同じ符号を付してその説明を簡略化あるいは省略することがある。
【0101】
図12は、第4実施形態の測定装置の光路を示す図である。
図13は、第4実施形態の走査円板を示す図である。
図12に示す測定装置1Dは、光源部50と、結像光学系51と、第1実施形態と同様の撮像素子5とを備える。また、測定装置1Dは、形状情報取得部47及びピーク位置検出部49を含む制御装置4と、第3実施形態において説明した相対位置検出機構48とを備える。本実施形態において、測定装置1Dは、第1実施形態で説明した反射部材27を含んでいない。本実施形態の測定装置1Dは、共焦点法で測定対象の物体の凹部の内面を測定することができる。
【0102】
本実施形態の結像光学系51は、第1実施形態の結像光学系6に加えて、リレー光学系52を含む。リレー光学系52の光軸は、組レンズ18の光軸21とほぼ同軸であり、本実施形態において、結像光学系51の光軸は、組レンズ18の光軸21とほぼ同軸である。
【0103】
結像光学系51は、物界からの光を偏向部材20、組レンズ18、及び開口絞り19を介して物界から見た前側焦点に結像することができ、前側焦点での像(中間像)をリレー光学系52を介して撮像素子5に再度結像することができる。すなわち、結像光学系51は、物界に撮像素子5との第1の共役面10を形成し、結像光学系51の光路内に撮像素子5との第2の共役面を形成する。
【0104】
本実施形態の光源部50は、光源41と、コンデンサレンズ42と、ハーフミラー17と、結像光学系51が中間像を形成する位置(第2の共役面)に配置された走査円板(絞り部材)53とを含む。光源41とコンデンサレンズ42とハーフミラー17は、第3実施形態と同様の構成でもよい。
【0105】
図13に示す走査円板53は、光を通す開口部54が部分的に設けられた構造である。本実施形態において、走査円板53の開口部54は、結像光学系51の光軸を中心として螺旋状に延びている。走査円板53は、図示しない駆動部によって、結像光学系51の光軸のまわりで回転駆動される。
【0106】
本実施形態において、光源41からコンデンサレンズ42及びハーフミラー17を介して入射してくる光は、その一部(部分光束)が走査円板53の開口部54を通り、走査円板53にて開口部54が配置されているパターンに応じた光強度分布を有する光(パターン光)になる。この光は、組レンズ18、開口絞り19及び偏向部材20を介して、測定対象の物体Mの穴Maの内面Mbに照射され、内面Mbに走査円板53の像が投影される。このように、本実施形態において、光源41とコンデンサレンズ42とハーフミラー17は、走査円板53を照明する照明光学系を構成しており、組レンズ18と開口絞り19と偏向部材20は、走査円板53の像を投影する投影光学系を構成している。
【0107】
本実施形態において、穴Maの内面Mbに照射された光は、内面Mbで反射(散乱)して、その少なくとも一部が偏向部材20、組レンズ18、及び開口絞り19を通って、走査円板53に入射する。第1の共役面10と穴Maの内面Mbとが交わる線上で散乱した光は、第1の共役面10と走査円板53とが互いに共役な関係であるので、内面Mbへ入射する前に通った開口部54と同じ位置に結像する。内面Mbへ入射した後に開口部54にて結像した光は、開口部54を通ってリレー光学系52へ入射し、リレー光学系52を介して撮像素子5に結像する。
【0108】
本実施形態において、穴Maの内面Mbの各点の位置は、例えば撮像素子5によって撮像された画像において輝度(合焦測度)がピークとなる位置を求めることにより、検出することができる。制御装置4のピーク位置検出部49は、撮像素子5の撮像結果を示す情報に基づいて、輝度がピークとなる位置、穴Maの内面Mbの各点のうち撮像素子5が共役関係となっている点の位置を算出する。測定装置1Dは、光学プローブ3と物体Mとの相対位置を示す情報として相対位置検出機構48から出力される位置情報に基づいて、結像光学系6と物体Mとの各相対位置において合焦測度が最大となる撮像面上の点(画素)の位置を、撮像面と共役関係になっている穴Maの内面Mb上の位置に対応する情報として、形状情報取得部47によって特定する。このようにすることで、測定装置1Dは、穴Maの内面Mbの各点の位置を求めることができる。
【0109】
本実施形態の測定装置1Dは、実質的な測定の解像度を向上させることができ、凹部の内面の情報に関する測定精度を向上させることができる。また、測定装置1Dは、走査円板53の開口部54のパターンが結像光学系6の光軸を中心とする螺旋状であるので、メリジオナル光線の合焦に対して共焦点効果が強く、一方サジタル光線に対しては共焦点効果の弱い。したがって、測定装置1Dは、メリジオナル光線の合焦を検出しやすくなり、凹部の内面の情報に関する測定精度を向上させることができる。
【0110】
なお、測定装置1Dは、第2実施形態と同様に、穴の底部に接触させないで穴の底部付近を測定することや、光軸21に直交する方向における測定範囲を変化させることもできる。走査円板は、通常知られている開口部であるピンホールが規則的に配置された所謂ニポウ(Nipkow)ディスクを用いてもよい。
【0111】
次に、変形例について説明する。
図14は、第1変形例の測定装置の構成を示す図である。
図15は、第1変形例の測定装置の光路を示す図である。
図14及び
図15に示す測定装置1Eは、結像光学系60と、第1実施形態と同様の撮像素子5とを備える。結像光学系60は、組レンズ61と、第1実施形態と同様の偏向部材20とを含む。組レンズ61は、軸対称な光学系である。組レンズ61は、像面側(撮像素子5側)がテレセントリック系であり、共役面側が非テレセントリック系である。
【0112】
本変形例において、撮像素子5との共役面62から偏向部材20へ入射して撮像素子5に結像する光の少なくとも一部の主光線は、共役面62から偏向部材20へ非垂直に入射し、偏向部材20と外部との界面(側面24)で屈折する。側面24で屈折した光は、この側面とは組レンズ61の光軸63を挟んで反対側の側面24で反射し、下底面22から組レンズ61へ向って出射する。このように、本変形例の偏向部材20の側面24は、共役面62からの光が屈折する屈折部と、共役面62から屈折部を経由して入射してくる光が反射する内面とを含む。
【0113】
本変形例の測定装置1Eは、上記の実施形態と同様に、凹部の内面の情報に関する測定精度を向上させることができる。また、測定装置1Eは、共役面62から入射してくる光が偏向部材20で屈折するので、結像光学系60の設計の自由度が高くなる。
【0114】
図16は、第2変形例の測定装置の構成を示す図である。
図17は、第2変形例の測定装置の光路を示す図である。
図16及び
図17に示す測定装置1Fは、結像光学系65と、第1実施形態と同様の撮像素子5とを備える。結像光学系65は、組レンズ66と、偏向部材67とを含む。本変形例において、偏向部材67は、撮像素子5との共役面68から入射してくる光に対してレンズ効果を発現する。結像光学系65は、組レンズ66と偏向部材67のレンズ効果により、共役面68から入射してくる光を撮像素子5に結像させる。
【0115】
本変形例において、組レンズ66は、軸対称な光学系であり、像面側(撮像素子5側)がテレセントリック系、共役面側が非テレセントリック系である。偏向部材67は、組レンズ66を向く底面69と、底面69とは反対側を向く凹面70と、底面69の外周と凹面70の外周とを結ぶ側面71と、を有する。凹面70は、組レンズ66に向うにつれて内径が縮小するテーパ面を含む。側面71は、組レンズ66の光軸72と軸外物点を含む面(メリジオナル面)内で湾曲した湾曲面73を有する。
【0116】
本変形例において、撮像素子5との共役面68から偏向部材67へ入射して撮像素子5に結像する光の少なくとも一部の主光線は、撮像素子5との共役面68から偏向部材67の湾曲面73に対して非垂直に入射し、偏向部材67と外部との界面(湾曲面73)で屈折する。湾曲面73で屈折した光は、凹面70の内面側(偏向部材67の内部側の面)へ入射し、凹面70の内面側で反射して底面69から組レンズ66へ向って出射した後に、組レンズ66を通って撮像素子5に結像する。このように、本変形例の偏向部材67は、共役面68からの光が屈折する湾曲面73と、共役面62から屈折部を経由して入射した光が反射する凹面70とを有する。
【0117】
本変形例の測定装置1Fは、上記の実施形態と同様に、凹部の内面の情報に関する測定精度を向上させることができる。また、測定装置1Fは、偏向部材67が撮像素子5との共役面68から入射してくる光を屈折させるので、結像光学系65の設計の自由度が高くなる。
【0118】
図18は、第3変形例の測定装置の構成を示す図である。
図19は、第3変形例の測定装置の光路を示す図である。
図18及び
図19に示す測定装置1Gは、結像光学系75と、第1実施形態と同様の撮像素子5とを備える。本変形例の結像光学系75は、偏向部材76と、第2変形例と同様の組レンズ66とを含む。
【0119】
本変形例の偏向部材76は、組レンズ66の光軸72に対して軸対称な形状である。偏向部材76は、円錐状であり、組レンズ66を向く底面77と、光軸72の側方に配置された側面78とを有する。本変形例において、撮像素子5との共役面79から偏向部材76へ入射して撮像素子5に結像する光は、側面78の内面側で複数回数反射して、底面77から組レンズ66へ向って出射する。
【0120】
詳しくは、共役面79から側面78へ入射した光は、この側面78で屈折し、この側面78とは組レンズ66の光軸72を挟んで反対側の側面78へ入射して反射する。側面78で反射した光は、共役面79から偏向部材76への入射側の側面78へ再度入射し、この側面78で反射して底面77から出射する。本変形例において、撮像素子5から結像光学系75へ向けて仮想的に発せられた仮想光は、偏向部材76の側面78を通って共役面79へ向うときに、側面78の法線方向に対して偏向部材76の頂点側、すなわち光学プローブの先端側(測定対象の穴の奥側)に向って屈折する。
【0121】
本変形例の測定装置1Gは、上記の実施形態と同様に、凹部の内面の情報に関する測定精度を向上させることができる。また、測定装置1Gは、穴の奥側から偏向部材76へ入射する光が側面78で屈折して撮像素子5で結像するので、穴の底部などを測定することが容易になる。
【0122】
図20は、第4変形例の測定装置の光学プローブの外観を示す斜視図である。
図21は、第4変形例の光学プローブの外観を示す側面図である。
図20及び
図21に示す測定装置1Hは、支持部材80と、第1実施形態と同様の筐体13を備える。本変形例の支持部材80は、複数の支柱部32と、支柱部32に対して筐体13とは反対側に設けられたミラー保持体33とを含む。
【0123】
本変形例において、3つの支柱部32が筐体13に取付けられており、3つの支柱部32は、それぞれ、ミラー保持体33と固定されている。支柱部32は、筐体13との取り付け箇所が3つの支柱部32で同一線上に並ばないように、配置されている。また、支柱部32は、ミラー保持体33との固定箇所が3つの支柱部32で同一線上に並ばないように、配置されている。本変形例において、3つの支柱部32は、光軸21のまわりの周方向に等間隔で配置されている。
【0124】
本変形例の測定装置1Hは、上記の実施形態と同様に、凹部の内面の情報に関する測定精度を向上させることができる。また、測定装置1Hは、Z軸方向に直交する面内の2箇所以上で筐体13とミラー保持体33とが支柱部で連結されているので、ミラー保持体33に保持された反射部材27と筐体13との相対位置がθZ方向でずれにくくなる。また、測定装置1Hは、Z軸方向に直交する面内の3箇所以上で筐体13とミラー保持体33とが支柱部で連結されているので、Z軸方向に直交する面内の任意の方向、例えばθX方向及びθY方向で、ミラー保持体33に保持された反射部材27と筐体13との相対位置がθZ方向でずれにくくなる。なお、支柱部32の数は、2つでもよいし、4つ以上でもよい。
【0125】
図22は、第5変形例の測定装置の光学プローブの外観を示す斜視図である。
図23は、第5変形例の光学プローブの外観を示す側面図である。
図22及び
図23に示す測定装置1Jは、支持部材81と、第1実施形態と同様の筐体13を備える。本変形例の支持部材81は、筐体13から長手方向に延びる連結部82と、連結部82に対して筐体13とは反対側に設けられたミラー保持体33とを含む。ミラー保持体33は、第1実施形態と同様のものを用いてもよい。
【0126】
本変形例において、連結部82の少なくとも一部は、測定対象の物体の凹部の内面から偏向部材20へ向う光、例えば
図4及び5に示した光源部11から発せられる波長の光に対して、透明な媒質で構成されている。連結部82は、凹部の内面から偏向部材20へ入射して撮像素子5で結像する光が共役面10と偏向部材20との間を通る光路に配置される部分が上記の透明な媒質で構成されている。連結部82は、筐体13の長手方向(Z軸方向)に直交する面内で、
図2及び
図3に示した偏向部材20の下底面22の外周よりも外側に配置された円筒状である。連結部82は、光軸21のまわりの全周が上記の透明な媒質で構成されている。連結部82は、筐体13の長手方向とほぼ平行に延びている。連結部82は、長手方向の一端側(−Z側)が筐体13と接続されており、長手方向の他端側(+Z側)がミラー保持体33と接続されている。本変形例において、反射部材27は、支持部材81を介して筐体13に保持されている。
【0127】
本変形例の測定装置1Jは、上記の実施形態と同様に、凹部の内面の情報に関する測定精度を向上させることができる。また、測定装置1Jは、連結部82が透明な材質で構成されているので、共役面10から偏向部材20へ向う光が連結部82に遮られにくくなる。また、測定装置1Jは、連結部82の光軸21のまわりの全周が透明な媒質で構成されているので、撮像素子5上に連結部82の陰がほとんど生じない。したがって、測定装置1Jは、穴の内面を光軸21まわりの周方向の全周にわたって、一括して撮像することができる。
【0128】
[第1実施例]
次に、上記の実施形態に係る結像光学系6の一例として、第1実施例について説明する。第1実施例について数値例を示して説明するが、以下の数値例は本発明の適用範囲を限定するものではない。
【0129】
図24は、第1実施例における結像光学系の光路図である。
図25は、第1実施例における結像光学系の各収差図である。
図24において、結像光学系に対する物体側は図中左に、像側は図中右側に図示されている。なお、偏向部材20の像側の面及び物体側の面は、説明の便宜上、平面で表している。
【0130】
結像光学系6は、物体側から像側に向う順に、偏向部材20、両凸レンズ85と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズ86とを接合した接合レンズ、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズ87、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズ88、両凹レンズ89、開口絞り19、両凹レンズ90、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズ91、像側に凸面を向けた正メニスカスレンズ92、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズ93と両凸レンズ94を接合した接合レンズから構成される。組レンズ18は、
図25中の符号85から94で示される各レンズを含む。また、
図25中の符号Q1からQ21は、それぞれ第1から第21の光学面を示す。例えば、第1の光学面Q1は、偏向部材20のうち物体側の面であり、第2の光学面Q2は偏向部材20のうち像面側の面である。
【0131】
第1実施例に係る結像光学系の諸元を下記の[表1]に示す。[表1]において、第1欄のmは、光学面に対して物体側から像面側へ向って昇順に付した並び順を示す番号を、第2欄のrは各光学面の曲率半径を、第3欄のdは各光学面から次の光学面までの光軸上の距離を、第4欄のndはd線に対する屈折率を、そして第5欄のνdはアッベ数をそれぞれ示している。ここで空気の屈折率は、省略している。なお、m=k(kは1以上21以下の整数)の欄は、k番目の光学面(
図24に示した第kの光学面Qk)に関するデータを示す。例えば、m=2は、
図24に示した第2の光学面Q2に関するデータを示す。また、第1実施例において、焦点距離fが無限大(テレセントリック系)、開口数NAが0.05、物界の焦点から第1の光学面(m=1)までの距離d0が25.25mm、倍率βが−1(倒立の等倍)としている。
【0133】
第1の光学面(m=1)に対応する距離dは、第1の光学面から第2の光学面(m=2)までの硝路長を表している。第1実施例において、偏向部材20は、底面の直径26[mm]、半頂角30[°]をなす円錐の先端部を光軸に垂直に切り落とした円錐台形状をしており、その硝路長は(26×√3/2)22.52mmとなる。第1実施例において、偏向部材20は、内面における全反射現象を利用して光路を偏向している。偏向部材20は、屈折率の高い媒質、例えば重フリント系ガラス、重ランタンフリント系ガラス等で形成されていると、全反射条件を満足しやすい。第1実施例において、偏向部材20は、屈折率1.75520、アッベ数27.51の重フリント系ガラスを形成材料として、設計されている。
【0134】
図25に示すように、第1実施例の結像光学系6は、可視光広帯域(C線〜d線〜F線)において色収差を補正するように設計されている。なお、第1実施例の結像光学系6は、可視光広帯域の一部の帯域において色収差を補正するように設計されていてもよいし、可視光広帯域において色収差を補正しないように設計されていてもよい。例えば、測定対象面が予め設定される所定の帯域の可視光によって照明される場合に、第1実施例の結像光学系6は、この所定の帯域において色収差を補正するように設計されていてもよい。例えば、光源に単色光源を照明に用いる場合において、結像光学系6の収差補正も光源波長に合わせた単色のみの補正としてもよい。また、例えば、測定対象面が予め設定される所定の帯域の不可視光によって照明される場合に、第1実施例の結像光学系6は、可視光広帯域において色収差を補正しないように設計されていてもよい。
【0135】
また、第1実施例の結像光学系6は、非点収差を補正するように、設計されている。第1実施例の結像光学系6は、メリジオナル像面における収差を補正するように設計されている。なお、第1実施例の結像光学系6は、サジタル像面における収差が補正されるように設計されていてもよいし、サジタル像面における収差が補正されるように設計されていてもよい。第1実施例の結像光学系6は、メリジオナル像面の湾曲が補正されており、非点収差が生じるものでもよい。
【0136】
[第5実施形態]
次に、上述した測定装置(形状測定装置)を備えた構造物製造システムについて説明する。
【0137】
図26は、構造物製造システム200のブロック構成図である。本実施形態の構造物製造システム200は、上記の実施形態において説明したような形状測定装置100と、設計装置110と、成形装置120と、制御装置(検査装置)130と、リペア装置140とを備える。制御装置130は、座標記憶部131及び検査部132を備える。
【0138】
設計装置110は、構造物の形状に関する設計情報を作製し、作成した設計情報を成形装置120に送信する。また、設計装置110は、作成した設計情報を制御装置130の座標記憶部131に記憶させる。設計情報は、構造物の各位置の座標を示す情報を含む。
【0139】
成形装置120は、設計装置110から入力された設計情報に基づいて、上記の構造物を作製する。成形装置120の成形は、例えば鋳造、鍛造、切削等が含まれる。形状測定装置100は、作製された構造物(測定対象物)の座標を測定し、測定した座標を示す情報(形状情報)を制御装置130へ送信する。
【0140】
制御装置130の座標記憶部131は、設計情報を記憶する。制御装置130の検査部132は、座標記憶部131から設計情報を読み出す。検査部132は、形状測定装置100から受信した座標を示す情報(形状情報)と、座標記憶部131から読み出した設計情報とを比較する。検査部132は、比較結果に基づき、構造物が設計情報通りに成形されたか否かを判定する。換言すれば、検査部132は、作成された構造物が良品であるか否かを判定する。検査部132は、構造物が設計情報通りに成形されていない場合に、構造物が修復可能であるか否か判定する。検査部132は、構造物が修復できる場合、比較結果に基づいて不良部位と修復量を算出し、リペア装置140に不良部位を示す情報と修復量を示す情報とを送信する。
【0141】
リペア装置140は、制御装置130から受信した不良部位を示す情報と修復量を示す情報とに基づき、構造物の不良部位を加工する。
【0142】
図27は、構造物製造システム200による処理の流れを示したフローチャートである。構造物製造システム200は、まず、設計装置110が構造物の形状に関する設計情報を作製する(ステップS101)。次に、成形装置120は、設計情報に基づいて上記構造物を作製する(ステップS102)。次に、形状測定装置100は、作製された上記構造物の形状を測定する(ステップS103)。次に、制御装置130の検査部132は、形状測定装置100で得られた形状情報と上記の設計情報とを比較することにより、構造物が誠設計情報通りに作成されたか否か検査する(ステップS104)。
【0143】
次に、制御装置130の検査部132は、作成された構造物が良品であるか否かを判定する(ステップS105)。構造物製造システム200は、作成された構造物が良品であると検査部132が判定した場合(ステップS105 YES)、その処理を終了する。また、検査部132は、作成された構造物が良品でないと判定した場合(ステップS105 NO)、作成された構造物が修復できるか否か判定する(ステップS106)。
【0144】
構造物製造システム200は、作成された構造物が修復できると検査部132が判定した場合(ステップS106 YES)、リペア装置140が構造物の再加工を実施し(ステップS107)、ステップS103の処理に戻る。構造物製造システム200は、作成された構造物が修復できないと検査部132が判定した場合(ステップS106 No)、その処理を終了する。以上で、構造物製造システム200は、
図27に示すフローチャートの処理を終了する。
【0145】
本実施形態の構造物製造システム200は、上記の実施形態における形状測定装置100が構造物の座標を正確に測定することができるので、作成された構造物が良品であるか否か判定することができる。また、構造物製造システム200は、構造物が良品でない場合、構造物の再加工を実施し、修復することができる。
【0146】
なお、本実施形態におけるリペア装置140が実行するリペア工程は、成形装置120が成形工程を再実行する工程に置き換えられてもよい。その際には、制御装置130の検査部132が修復できると判定した場合、成形装置120は、成形工程(鍛造、切削等)を再実行する。具体的には、例えば、成形装置120は、構造物において本来切削されるべき箇所であって切削されていない箇所を切削する。これにより、構造物製造システム200は、構造物を正確に作成することができる。
【0147】
なお、上記の実施形態によれば、形状測定方法は、形状測定装置100が実行する形状測定方法であって、測定対象物にスポット光を照射するスポット光照射手順と、測定対象物の表面上でスポット光を相対的に走査する走査手順と、複数の受光画素が2次元的に配列され、スポット光が測定対象物に照射される照射方向と異なる方向からスポット光が測定対象物に照射された場合のスポット光像を検出する2次元受光検出手順と、受光検出部25(2次元受光検出部)が有する複数の受光画素のうち、スポット光の照射方向に応じて、スポット光像の位置を検出するために用いる受光画素の信号を選択する選択手順と、選択手順で選択された受光画素からの信号に基づいて、測定対象物の位置情報を算出する制御手順とを有することを特徴とする。これにより、複雑な機構や高度な調整作業を必要とせずに、測定対象物の形状を精度良く測定することができる。
【0148】
なお、本発明の技術範囲は、上記の実施形態あるいは変形例に限定されるものではない。例えば、上記の実施形態あるいは変形例で説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上記の実施形態あるいは変形例で説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、測定対象となるものは、
図1に図示された物体Mのような穴だけに限られない。上記の実施形態に係る測定装置、形状測定装置、及び形状測定方法は、例えば、溝の内側を測ることや段差の崖部分を測ることも可能である。