【実施例】
【0034】
以下、本発明の内容について実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
各実施例及び比較例で製造した積層不織布について調べた、各種物性の定義及び測定方法を以下に記す。
なお、以下の説明において、「MD」とあるのは、使用した不織布層の不織布を構成する一方向に配列している繊維の長さ方向と一致する方向を意味し、「CD」とあるのは、それと直角する方向を意味する。
(1)平均繊維径
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、不織布表面の拡大写真を撮影し、100本の繊維の直径を測定し、その算術平均値を平均繊維径とした。
(2)点熱圧着部の面積率(圧着面積率)
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、不織布表面の拡大写真を撮影し、単位圧着パターンあたりに圧着点が占める面積の割合を圧着面積率とした。
圧着面積率(%)=(単位圧着パターン中の圧着点の面積/単位圧着パターンの面積)×100
【0035】
(3)積層不織布の破断強伸度
JIS L1906「織物及び編物の生地試験方法」に準拠して測定した。幅25mm、長さ150mmの試験片を作成した。試験片は、シートから、その試験片の長さ方向を、繊維層Aを構成する繊維が一方向に配列している長さ方向(MD方向)と一致するように裁断して作成したもの、および、試験片の長さ方向をMD方向とは直角する方向(CD方向)と一致するように裁断して作成したものとからなる2種の試験片を準備した。引張試験機オートグラフAG−X(商品名、(株)島津製作所製)を用いて、チャック間を100mmに設定し試験片を固定した。引張速度200mm/分で伸長させ破断するまでの最大強度および最大伸度をそれぞれ破断強度および破断伸度とした。
【0036】
(4)目付け
JIS L1906「織物及び編物の生地試験方法」に準拠して測定した。不織布の任意2箇所から15cm×15cmのサイズの試験片を切り出した後、各試験片の重量を電子天秤にて測定し、その平均値を1m
2当たりの質量に換算して目付とした。
【0037】
(5)層間剥離強力
本発明において、繊維層Aと繊維層Bの間の層間剥離強力は、以下の方法にて測定した。幅25mm、長さ150mmの試験片を作成した。試験片は、シートから、その試験片の長さ方向を、繊維層Aを構成する繊維が一方向に配列している長さ方向(MD方向)と一致するように裁断して作成したもの、および、試験片の長さ方向をMD方向とは直角する方向(CD方向)と一致するように裁断して作成したものとからなる2種の試験片を準備した。各試験片の繊維層Aの両面に、幅25mm、長さ50mmの紙を24mm幅のセキスイ社製「セロテープ(登録商標)」No.252(粘着力3.10N/10mm)で貼り、一定の荷重をかけることで試験サンプルとした。引張試験機オートグラフAG−X(商品名、(株)島津製作所製)を用いて、チャック間を50mmに設定し試験片を固定した。引張速度100mm/分で剥がれる方の繊維層Aと繊維層Bの接着面を剥離させ、最大点荷重を測定し、それを積層不織布の層間剥離強力とした。なお、実施例および比較例で行ったこの剥離強力試験方法では、すべての試験片は片方の(剥がれる方の)繊維層Aと繊維層Bの接着面が剥離し、もう一方の接着面は接着されたまま保たれた。
【0038】
(6)軟化点
本発明において、軟化点は、TMA(熱機械分析)による熱応力−温度曲線のピーク温度とする。具体的には、TMA装置(例えば、セイコーインスツルメント社製TMA(SS120型))を使用し、測定モードは、引張り測定L制御モード、サンプル初期長を20mmとし、0.5%伸長して測定した。昇温速度は、20℃/分とした。
(7)融点
本発明において、融点は、JIS K7122に準拠して、DSCにより試料5mg、昇温速度10℃/minの条件で測定した。
【0039】
本発明において使用した原料樹脂の下記表中における略号と内容は以下の通りである。
A:エチレン・オクテン共重合体、EG8401((商品名)、ダウケミカル製、融点:76℃)
B:エチレン・オクテン共重合体、EG8402((商品名)、ダウケミカル製、融点:100℃)
C:プロピレン・エチレン共重合体、VM2125((商品名)、エクソンモービル製、融点:52℃)
D:スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、タフテックH1031((商品名)、旭化成ケミカルズ製、融点:69℃)
E:低密度ポリエチレン、ペトロセンPE202((商品名)、東ソー製、融点:82℃)
【0040】
[実施例1]
繊維層Bに、原料樹脂としてBとCを用い、以下の装置および方法で製造したメルトブローン不織布を用いた。メルトブローン装置としてスクリュー(50mm径)、加熱体およびギアポンプを有する2機の押出機、混繊用紡糸口金(孔径0.3mm、異なる成分の繊維を吐出するための紡糸孔が交互に1列に並んだ紡糸孔、孔数501ホール、有効幅500mm)、圧縮空気発生装置、空気加熱機、ポリエステル製ネットを備えた捕集コンベアー、巻取機からなる装置を用いた。それぞれの押出機にBとCを別々に投入し、加熱体によりそれぞれ250℃で加熱溶融させて、B/Cの比率(質量%)が50/50になるようにギアポンプを設定して、紡糸口金から単孔あたりB、C共に0.3g/分の紡糸速度で吐出させ、吐出した繊維を400℃に加熱した60kPa(ゲージ圧)の圧縮空気によって、走行速度16m/分で走行しているポリエステル製ネットの捕集コンベアー上に吹き付けることによって、繊維がランダムに集積した目付け20g/m
2の混繊メルトブローン不織布を得た。捕集コンベアーは、紡糸口金から19.5cmの距離に設置した。吹き付けた空気は捕集コンベアーの裏側に設けた吸引装置で除去した。
【0041】
繊維層Aとして、繊維長が51mmのレーヨン、繊維長が7mmのパルプで、繊維が一方向に配列している方向とは直角する方向に伸長性を有する、目付40g/m
2のレーヨン/パルプ/レーヨン(質量比25/50/25の積層繊維層)からなる、スパンレース不織布を使用し、その上に上記混繊メルトブローン不織布(繊維層B)を積層させた。さらにその上に同上の繊維層Aを重ね、繊維層A/繊維層B/繊維層Aの積層物を得た。この積層物に、表面に凹凸模様が彫刻された彫刻ロールと平滑ロールを持つポイントボンド加工機で、温度110℃、圧力1.96MPa(20Kgf/cm
2)で部分的熱圧着を行った。なお、上記彫刻ロールの凸部の面積率は25%であり、凸部の形状は菱形である。この積層不織布の物性等を表1に示す。
得られた積層不織布は、充分な層間剥離強力を有しており、層間剥離に伴う毛羽も観察されなかった。
【0042】
[実施例2]
繊維層Bに、原料樹脂としてAとBを用い、以下の装置および方法で製造したメルトブローン不織布を用いた。メルトブローン装置としてスクリュー(50mm径)、加熱体およびギアポンプを有する2機の押出機、混繊用紡糸口金(孔径0.3mm、異なる成分の繊維を吐出するための紡糸孔が交互に1列に並んだ紡糸孔、孔数501ホール、有効幅500mm)、圧縮空気発生装置、空気加熱機、ポリエステル製ネットを備えた捕集コンベアー、巻取機からなる装置を用いた。それぞれの押出機にAとBを別々に投入し、加熱体によりそれぞれ300℃で加熱溶融させて、A/Bの比率(質量%)が50/50になるようにギアポンプを設定して、紡糸口金から単孔あたりA、B共に0.3g/分の紡糸速度で吐出させ、吐出した繊維を400℃に加熱した94kPa(ゲージ圧)の圧縮空気によって、走行速度18m/分で走行しているポリエステル製ネットの捕集コンベアー上に吹き付けることによって、繊維がランダムに集積した目付け20g/m
2の混繊メルトブローン不織布を得た。捕集コンベアーは、紡糸口金から19.5cmの距離に設置した。吹き付けた空気は捕集コンベアーの裏側に設けた吸引装置で除去した。
【0043】
繊維層Aとして、セルロース長繊維不織布ベンリーゼ((商品名)、旭化成せんい製、キュプラ100%)を使用し、その上に上記混繊メルトブローン不織布(繊維層B)を積層させた。さらにその上に同上の繊維層Aを重ね、繊維層A/繊維層B/繊維層Aの積層物を得た。この積層物に、表面に凹凸模様が彫刻された彫刻ロールと平滑ロールを持つポイントボンド加工機で、温度80℃、圧力1.96MPa(20Kgf/cm
2)で部分的熱圧着を行った。なお、上記彫刻ロールの凸部の面積率は4%であり、凸部の形状は菱形である。この積層不織布の物性等を表1に示す。
得られた積層不織布は、充分な層間剥離強力を有していた。層間剥離に伴う毛羽も観察されなかった。
【0044】
[実施例3]
繊維層Bは、実施例2に準拠した混繊メルトブローン不織布を用いた。
繊維層Aとして、実施例1で用いたスパンレース不織布を使用し、その上に上記混繊メルトブローン不織布(繊維層B)を積層させた。さらにその上に同上の繊維層Aを重ね、繊維層A/繊維層B/繊維層Aの積層物を得た。この積層物に、表面に凹凸模様が彫刻された彫刻ロールと平滑ロールを持つポイントボンド加工機で、温度100℃、圧力1.96MPa(20Kgf/cm
2)で部分的熱圧着を行った。なお、上記彫刻ロールの凸部の面積率は4%であり、凸部の形状はドット状である。この積層不織布の物性等を表1に示す。
得られた積層不織布は、充分な層間剥離強力を有していた。層間剥離に伴う毛羽も観察されなかった。
【0045】
[実施例4]
繊維層Bに、原料樹脂としてAとBを用い、以下の装置および方法で製造したメルトブローン不織布を用いた。メルトブローン装置としてスクリュー(50mm径)、加熱体およびギアポンプを有する2機の押出機、混繊用紡糸口金(孔径0.3mm、異なる成分の繊維を吐出するための紡糸孔が交互に1列に並んだ紡糸孔、孔数501ホール、有効幅500mm)、圧縮空気発生装置、空気加熱機、ポリエステル製ネットを備えた捕集コンベアー、巻取機からなる装置を用いた。それぞれの押出機にAとBを別々に投入し、加熱体によりそれぞれ300℃で加熱溶融させて、A/Bの比率(質量%)が50/50になるようにギアポンプを設定して、紡糸口金から単孔あたりA、B共に0.3g/分の紡糸速度で吐出させ、吐出した繊維を400℃に加熱した94kPa(ゲージ圧)の圧縮空気によって、走行速度32m/分で走行しているポリエステル製ネットの捕集コンベアー上に吹き付けることによって、繊維がランダムに集積した目付け10g/m
2の混繊メルトブローン不織布を得た。捕集コンベアーは、紡糸口金から19.5cmの距離に設置した。吹き付けた空気は捕集コンベアーの裏側に設けた吸引装置で除去した。
【0046】
繊維層Aとして、実施例1で用いたスパンレース不織布を使用し、その上に上記混繊メルトブローン不織布(繊維層B)を積層させた。さらにその上に同上の繊維層Aを重ね、繊維層A/繊維層B/繊維層Aの積層物を得た。この積層物に、表面に凹凸模様が彫刻された彫刻ロールと平滑ロールを持つポイントボンド加工機で、温度100℃、圧力1.96MPa(20Kgf/cm
2)で部分的熱圧着を行った。なお、上記彫刻ロールの凸部の面積率は4%であり、凸部の形状はドット状である。この積層不織布の物性等を表1に示す。
得られた積層不織布は、充分な層間剥離強力を有していた。層間剥離に伴う毛羽も観察されなかった。
【0047】
実施例4で得られた積層不織布をフェイスマスク型に切り出し、この切り出したシートに、シートが充分に浸漬する量の保液化粧水を含浸させた。このフェイスマスクを10枚用意し、モニター10人の顔に10分間装着してもらい、密着性、乾燥性、肌の引き締め感等の装着安定性を評価した。その結果、いずれのモニターにおいても良好な装着安定性が得られた。
【0048】
[実施例5]
繊維層Bに、実施例2に準拠した混繊メルトブローン不織布を用いた。
繊維層Aとして、繊維が一方向に配列している方向とは直角する方向に伸長性を有する、目付30g/m
2のレーヨンからなる、スパンレース不織布を使用し、その上に上記混繊メルトブローン不織布(繊維層B)を積層させた。さらにその上に同上の繊維層Aを重ね、繊維層A/繊維層B/繊維層Aの積層物を得た。この積層物に、表面に凹凸模様が彫刻された彫刻ロールと平滑ロールを持つポイントボンド加工機で、温度130℃、圧力1.96MPa(20Kgf/cm
2)で部分的熱圧着を行った。なお、上記彫刻ロールの凸部の面積率は4%であり、凸部の形状はドット状である。この積層不織布の物性等を表1に示す。
得られた積層不織布は、充分な層間剥離強力を有していた。層間剥離に伴う毛羽も観察されなかった。
【0049】
[実施例6]
繊維層Bに、実施例2に準拠した混繊メルトブローン不織布を用いた。
繊維層Aとして、繊維が一方向に配列している方向とは直角する方向に伸長性を有する、目付38g/m
2のレーヨン/ポリエステル/ポリプロピレン(質量比48/50/2の積層繊維層)からなる、スパンレース不織布を使用し、その上に上記混繊メルトブローン不織布(繊維層B)を積層させた。使用したポリエステルの融点は237℃、ポリプロピレンは148℃であった。さらに同上の繊維層Aを重ね、繊維層A/繊維層B/繊維層Aの積層物を得た。この積層物に、表面に凹凸模様が彫刻された彫刻ロールと平滑ロールを持つポイントボンド加工機で、温度100℃、圧力1.96MPa(20Kgf/cm
2)で部分的熱圧着を行った。なお、上記彫刻ロールの凸部の面積率は4%であり、凸部の形状はドット状である。この積層不織布の物性等を表1に示す。
得られた積層不織布は、充分な層間剥離強力を有していた。層間剥離に伴う毛羽も観察されなかった。
【0050】
[実施例7]
繊維層Bに、実施例2に準拠した混繊メルトブローン不織布を用いた。
繊維層Aとして、繊維が一方向に配列している方向とは直角する方向に伸長性を有する、目付12.5g/m
2のパルプからなる、ティッシュ原紙を使用し、その上に上記混繊メルトブローン不織布(繊維層B)を積層させた。さらにその上に同上の繊維層Aを重ね、繊維層A/繊維層B/繊維層Aの積層物を得た。この積層物に、表面に凹凸模様が彫刻された彫刻ロールと平滑ロールを持つポイントボンド加工機で、温度120℃、圧力1.96MPa(20Kgf/cm
2)で部分的熱圧着を行った。なお、上記彫刻ロールの凸部の面積率は4%であり、凸部の形状はドット状である。この積層不織布の物性等を表1に示す。
得られた積層不織布は、充分な層間剥離強力を有していた。層間剥離に伴う毛羽も観察されなかった。
【0051】
[実施例8]
繊維層Bに、原料樹脂としてDを用い、以下の装置および方法で製造したメルトブローン不織布を用いた。メルトブローン装置としてスクリュー(50mm径)、加熱体およびギアポンプを有する2機の押出機、混繊用紡糸口金(孔径0.3mm、異なる成分の繊維を吐出するための紡糸孔が交互に1列に並んだ紡糸孔、孔数501ホール、有効幅500mm)、圧縮空気発生装置、空気加熱機、ポリエステル製ネットを備えた捕集コンベアー、巻取機からなる装置を用いた。それぞれの押出機にDを投入し、加熱体によりそれぞれ250℃で加熱溶融させて、紡糸口金から単孔あたり0.3g/分の紡糸速度で吐出させ、吐出した繊維を400℃に加熱した60kPa(ゲージ圧)の圧縮空気によって、走行速度3.8m/分で走行しているポリエステル製ネットの捕集コンベアー上に吹き付けることによって、繊維がランダムに集積した目付け100g/m
2のメルトブローン不織布を得た。捕集コンベアーは、紡糸口金から19.5cmの距離に設置した。吹き付けた空気は捕集コンベアーの裏側に設けた吸引装置で除去した。
【0052】
繊維層Aとして、実施例1で用いたスパンレース不織布を使用し、その上に上記メルトブローン不織布(繊維層B)を積層させた。さらにその上に上記メルトブローン不織布を積層させた。さらに同上の繊維層Aを重ね、繊維層A/繊維層B/繊維層Aの積層物を得た。この積層物に、表面に凹凸模様が彫刻された彫刻ロールと平滑ロールを持つポイントボンド加工機で、温度110℃、圧力1.96MPa(20Kgf/cm
2)で部分的熱圧着を行った。なお、上記彫刻ロールの凸部の面積率は4%であり、凸部の形状はドット状である。この積層不織布の物性等を表1に示す。
得られた積層不織布は、充分な層間剥離強力を有していた。層間剥離に伴う毛羽も観察されなかった。
【0053】
[実施例9]
繊維層Aに実施例1に準拠したスパンレース不織布を用い、その上に繊維層BとしてEを原料とした目付け30g/m
2のスパンボンド不織布を積層させた。さらに、同上の繊維層Aを重ね、繊維層A/繊維層B/繊維層Aの積層物を得た。この積層物に、表面に凹凸模様が彫刻された彫刻ロールと平滑ロールを持つポイントボンド加工機で、温度130℃、圧力1.96MPa(20Kgf/cm
2)で部分的熱圧着を行った。なお、上記彫刻ロールの凸部の面積率は4%であり、凸部の形状はドット状である。この積層不織布の物性等を表2に示す。
得られた積層不織布は、充分な層間剥離強力を有していた。層間剥離に伴う毛羽も観察されなかった。
【0054】
[実施例10]
繊維層Aとして、PPとco−PPを重量比60:40の割合の鞘芯構造の複合繊維を用いたポイントボンド不織布を用いた。スクリュー(30mm径)、加熱体、及びギアポンプを有する1機の押出機、紡糸口金(孔径0.6mm、孔数500ホール)、ゴデーロール及び巻取機からなる紡糸装置、更に熱ロール延伸装置により2.2dtex、38mm長の短繊維を用意した。次に得られた短繊維をカード機でカーディングしてウェブとし、該ウェブをポイントボンド加工機により、温度124℃で熱処理したポイントボンド不織布を得た。使用したPPの融点は160℃、co−PPの融点は134℃であった。
この繊維層Aの上に、繊維層Bとして、実施例2に準拠した混繊メルトブローン不織布を積層させた。さらに、同上の繊維層Aを重ね、繊維層A/繊維層B/繊維層Aの積層物を得た。この積層物に、表面に凹凸模様が彫刻された彫刻ロールと平滑ロールを持つポイントボンド加工機で、温度120℃、圧力1.96MPa(20Kgf/cm
2)で部分的熱圧着を行った。なお、上記彫刻ロールの凸部の面積率は25%であり、凸部の形状は菱形である。この積層不織布の物性等を表2に示す。
得られた積層不織布は、充分な層間剥離強力を有していた。層間剥離に伴う毛羽も観察されなかった。
【0055】
[実施例11]
繊維層Bに、原料樹脂としてAを用い、以下の装置および方法で製造したスパンボンド不織布を用いた。スクリュー(40mm径)、加熱体及びギアポンプを有する押出機、紡糸口金(孔径0.4mm、120ホール)、エアーサッカー、帯電法開繊機、ポリエステル製ネットを備えた捕集コンベアー、ポイントボンド加工機及び巻取機からなる装置を用いてスパンボンド不織布の製造を行った。
押出機に原料樹脂を投入し、加熱体により樹脂を230℃で加熱溶融させ、ギアポンプで紡糸口金から単孔当たり0.57g/分の紡糸速度で溶融樹脂を吐出させ、吐出した繊維をエアーサッカーに導入し直後に帯電法開繊機で開繊させ、捕集コンベアー上に捕集した。エアーサッカーの空気圧は、196kPaとした。捕集コンベアー上のウェブを上下ロール温度50℃に加熱したポイントボンド加工機(圧着面積率23%、凸部の形状は菱形)に投入し、加工後の不織布を巻取機でロール状に巻取った。
【0056】
繊維層Aとして、PP/PE系複合スパンボンド不織布EB40((商品名)、チッソ製、PP・PE)を使用し、その上に上記スパンボンド不織布(繊維層B)を積層させた。さらにその上に同上の繊維層Aを重ね、繊維層A/繊維層B/繊維層Aの積層物を得た。この積層物に、表面に凹凸模様が彫刻された彫刻ロールと平滑ロールを持つポイントボンド加工機で、温度110℃、圧力1.96MPa(20Kgf/cm
2)で部分的熱圧着を行った。なお、上記彫刻ロールの凸部の面積率は4%であり、凸部の形状はドット状である。この積層不織布の物性等を表2に示す。
得られた積層不織布は、充分な層間剥離強力を有していた。層間剥離に伴う毛羽も観察されなかった。
【0057】
[実施例12]
繊維層Bに、原料樹脂としてAとBを重量比50:50の割合でブレンドしたものを用い、以下の装置および方法で製造したスルーエアー不織布を用いた。スクリュー(30mm径)、加熱体、及びギアポンプを有する1機の押出機、紡糸口金(孔径0.6mm、孔数500ホール)、ゴデーロール及び巻取機からなる紡糸装置、更に熱ロール延伸装置により2.2dtex、51mm長の短繊維を用意した。次に得られた短繊維をカード機でカーディングしてウェブとし、該ウェブを熱風貫通式ドライヤーにより、温度50℃で熱処理したスルーエアー不織布を得た。
【0058】
繊維層Aとして、実施例1で用いたスパンレース不織布を使用し、その上に上記スルーエアー不織布(繊維層B)を積層させた。さらにその上に同上の繊維層Aを重ね、繊維層A/繊維層B/繊維層Aの積層物を得た。この積層物に、表面に凹凸模様が彫刻された彫刻ロールと平滑ロールを持つポイントボンド加工機で、温度110℃、圧力1.96MPa(20Kgf/cm
2)で部分的熱圧着を行った。なお、上記彫刻ロールの凸部の面積率は4%であり、凸部の形状はドット状である。この積層不織布の物性等を表2に示す。
得られた積層不織布は、充分な層間剥離強力を有していた。層間剥離に伴う毛羽も観察されなかった。
【0059】
[比較例1]
繊維層Bとして、実施例2に示した準拠した混繊メルトブローン不織布を用いた。
繊維層Aとして、実施例1で用いたスパンレース不織布を使用し、その上に上記混繊メルトブローン不織布(繊維層B)を積層させ、繊維層A/繊維層Bの2層積層物を得た。この積層物に、表面に凹凸模様が彫刻された彫刻ロールと平滑ロールを持つポイントボンド加工機で、彫刻ロール温度100℃、平滑ロール温度50℃、圧力1.96MPa(20Kgf/cm
2)で部分的熱圧着を行った。なお、上記彫刻ロールの凸部の面積率は4%であり、凸部の形状はドット状である。
その結果を表2に示す。このものは、部分的熱圧着の際、ロールへの融着は起きなかったが、充分な層間剥離強力が得られなかった。また、層間剥離に起因する毛羽が観察された。
【0060】
[比較例2]
繊維層Bとして、実施例2に示した準拠した混繊メルトブローン不織布を用いた。
繊維層Aとして、実施例1で用いたスパンレース不織布を使用し、その上に上記混繊メルトブローン不織布(繊維層B)を積層させ、繊維層A/繊維層Bの2層積層物を得た。この積層物に、表面に凹凸模様が彫刻された彫刻ロールと平滑ロールを持つポイントボンド加工機で、彫刻ロール温度100℃、平滑ロール温度72℃、圧力1.96MPa(20Kgf/cm
2)で部分的熱圧着を行った。なお、上記彫刻ロールの凸部の面積率は4%であり、凸部の形状はドット状である。
その結果を表2に示す。このものは、部分的熱圧着の際、ロールへの融着が発生した。また、充分な層間剥離強力は得られたが、風合いが硬くなった。
【0061】
[比較例3]
繊維層Aとして、実施例2に準拠した混繊メルトブローン不織布(実施例2では繊維層Bとして使用したもの)を用いた。
この混繊メルトブローン不織布の上に、繊維層Bとして、実施例1で用いたスパンレース不織布(実施例1では繊維層Aとして使用したもの)を積層させた。さらにその上に同上の混繊メルトブローン不織布を繊維層Aとして重ね、繊維層A/繊維層B/繊維層Aの積層物を得た。この積層物に、表面に凹凸模様が彫刻された彫刻ロールと平滑ロールを持つポイントボンド加工機で、温度70℃、圧力1.96MPa(20Kgf/cm
2)で部分的熱圧着を行った。なお、上記彫刻ロールの凸部の面積率は4%であり、凸部の形状はドット状である。
その結果を表2に示す。このものは、剥離強力は高いものであったが、点熱圧着の際にロールへの融着が起こった。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】