(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しながら本発明について説明する。以下に説明する画像処理装置は、入力された画像(入力映像)Aに対して、画像の特徴が変化した画像(フレーム)を強調し、その結果の画像(動画像)Bを出力する。
【0020】
[実施例1]
<構成>
図1は、実施例1における画像処理装置1の構成の一例を示すブロック図である。
図1に示す例では、画像処理装置1は、特徴抽出手段101と、遅延手段102と、判定手段103と、画像記憶手段104と、出力手段105と、制御手段106とを有する。
【0021】
特徴抽出手段101は、入力映像Aの時刻tにおけるフレームA(t)を解析し、強調すべきフレームであるか否かを判定するのに用いる画像特徴F(t)を抽出する。
【0022】
画像特徴F(t)は、例えば、フレーム内の輝度値に関する値(輝度値の分散や平均や総和)や、色相の代表値(色ベクトル(R,G,B)の平均の色相成分)や、動きベクトルの平均や、特定領域の輝度値の平均などを用いる。
【0023】
輝度値に関する値を用いれば、急な輝度上昇(フラッシュなど)、急な絵柄の変化(爆発シーンなど)などが発生したフレームを特定することができる。色相の代表値を用いれば、急な色味の変化(ネオンサインの点滅など)が発生したフレームを特定することができる。
【0024】
また、動きベクトルの平均を用いれば、急な動きの変化(自身の発生の瞬間や爆発の瞬間)などが発生したフレームを特定することができる。特定領域の輝度値の平均を用いれば、ある領域に被写体が入った瞬間(動物が画面の中央を横切った瞬間)などが発生したフレームを特定することができる。
【0025】
以下では、画像特徴F(t)として、輝度値に関する値を用いる場合について説明するが、この例に限られない。画像特徴として輝度値に関する値を用いると、例えば、報道用の映像で、暗い映像(夜の映像であり、犯人が乗った車の映像)からフラッシュにより人物(犯人)が映った画像を強調したいときなどに好適である。
【0026】
特徴抽出手段101は、例えば、現フレームA(t)が照明変動時の映像か否かを判定するために、該フレームA(t)の輝度値に基づく画像特徴F(t)を算出する。
【0027】
具体的には、特徴抽出手段101は、例えば画像特徴F(t)として現フレームA(t)の輝度値の総和を算出する。輝度値の総和は、例えば輝度値の総和をフレームの総画素数で除した平均輝度値を用いてもよい。
【0028】
特徴抽出手段101は、入力映像Aがモノクロ画像の場合には、時刻tにおけるフレームA(t)の、画像座標(x,y)における画素値をA(t;x,y)とおいたとき、以下の式(1)により輝度値の総和を求める。
【0029】
【数1】
また、特徴抽出手段101は、入力映像Aがカラーであるなど、複数の色成分や波長(バンド)成分からなる場合には、例えば、ベクトル値たる画素値A(t;x,y)に対して、以下の式(2)により輝度値の総和を求める。
【0030】
【数2】
ここで、入力映像Aの時刻tにおけるフレームの画像座標(x,y)における画素値をA(t;x,y)のように表記する。
【0031】
また、特徴抽出手段101は、色ベクトルから輝度値への変換行列(行ベクトル)Mを用いる場合、式(3)により輝度値の総和を求める。
【0032】
【数3】
ここで、画素値A(t;x,y)が3次元の列ベクトルであり、その第1成分が赤成分を、第2成分が緑成分を、第3成分が青成分をそれぞれ表すとする。この場合、変換行列Mとして、例えば、以下のITU−R BT.601規格に定める輝度信号算出用の行列(行ベクトル)を用いる。
【0033】
【数4】
また、変換行列Mとして、以下のITU−R BT.709規格に定める輝度信号算出用の行列(行ベクトル)を用いてもよい。
【0034】
【数5】
特徴抽出手段101は、算出した画像特徴F(t)を遅延手段102と、判定手段103とに出力する。
【0035】
遅延手段102は、画像特徴F(t)を一時的に記憶(バッファリング)し、過去の画像特徴を出力する。例えば、遅延手段102は、1時点前の画像特徴F(t−1)を判定手段103に出力する。
【0036】
判定手段103は、現時点tにおける画像特徴F(t)と、過去の画像特徴(例えば、1時点前の画像特徴F(t−1))とを比較し、特徴の時間的変化があったか否かを判定する。判定手段103は、例えば、この時間的変化が第1の閾値を超えたか否かによってその出力値(判定フラグ)C(t)を決定する。
【0037】
この第1の閾値は、実験により適切な値が予め設定されていてもよいし、ユーザにより調節して設定されるようにしてもよい。
【0038】
判定フラグC(t)は、例えば、「時間的変化あり」の場合に値「1」を、「時間的変化なし」の場合に値「0」をとるとする。
【0039】
例えば、判定手段103は、現時点tにおける画像特徴F(t)と、過去の画像特徴F(t−d)(dは自然数;例えば、d=1)との差分の絶対値が第1の閾値θ(θは正の実数)を超えた場合に、「時間的変化あり」と判定する(式(4))。
【0040】
【数6】
判定手段103は、式(1)乃至式(3)のいずれか、および式(4)を用いることにより、輝度値が急激に増加または減少した瞬間に判定フラグC(t)を「1」とすることができる。
【0041】
また、例えば、判定手段103は、現時点tにおける画像特徴F(t)と、過去の画像特徴F(t−d)(dは自然数;-例えば、d=1)との差分値が第1の閾値θ(θは正の実数)を超えた場合に、「時間的変化あり」と判定してもよい(式(5))。
【0042】
【数7】
判定手段103は、式(1)乃至式(3)のいずれか、および式(5)を用いることにより、輝度値が急激に増加した瞬間に判定フラグC(t)を「1」とすることができる。
【0043】
また、例えば、判定手段103は、現時点tにおける画像特徴F(t)と、過去の画像特徴F(t−d)(dは自然数;例えば、d=1)との差分値が第1の閾値θ(θは負の実数)を下回った場合に、「時間的変化あり」と判定してもよい(式(6))。
【0044】
【数8】
判定手段103は、式(1)乃至式(3)のいずれか、および式(6)を用いることにより、輝度値が急激に減少した瞬間に判定フラグC(t)を「1」とすることができる。
【0045】
判定手段103は、時間的変化を判定した判定結果である判定フラグを、画像記憶手段104と、制御手段106とに出力する。
【0046】
画像記憶手段104は、判定手段103により出力された判定フラグC(t)が「時間的変化あり」(すなわちC(t)=1)となった時点における入力映像AのフレームA(t)を記憶する。
【0047】
また、画像記憶手段104は、過去直近(現時点tを含む)に「時間的変化あり」と判定された時点(t
1とおく;t
1≦t)のフレームA(t
1)を出力手段105に出力する。つまり、画像記憶手段104は、「時間的変化あり」と判定された時点t
1から所定フレーム数分は、フレームA(t
1)を出力手段105に出力する。
【0048】
出力手段105は、入力映像の現フレームA(t)と、画像記憶手段104から出力される過去直近(現時点tを含む)の「時間的変化あり」のフレームA(t
1)とのいずれか一方を出力する。出力手段105は、後述する制御手段106からの制御信号S(t)に応じて何れかのフレームを選択し、選択されたフレームを出力映像Bの時刻tにおけるフレームB(t)として出力する(式(7))。
【0049】
【数9】
制御手段106は、判定手段103により出力された判定フラグC(t)に基づき、出力手段105を制御するための制御信号S(t)を生成し、出力手段105に対して出力する。
【0050】
例えば、制御手段106は、判定手段103により出力された判定フラグC(t)が直近(現時点を含む)に1となってからe時点先までの間(eを継続時間と呼ぶ;eは1以上の整数)だけS(t)を1とする(式(8))。
【0051】
【数10】
以上の構成を有することで、画像の特徴に変換があったフレームを継続時間だけ連続して表示することが可能となり、このフレームを強調することができるようになる。
【0052】
<具体例>
次に、実施例1における画像処理の具体例について説明する。この具体例では、例えば、継続時間e=2としたときの出力映像がどのようになるかについて説明する。
【0053】
図2は、実施例1における画像処理の具体例を説明するための図である。
図2に示す例では、入力映像を上段のフレーム群(fm11乃至fm18に示すA(1)乃至A(8))とし、出力映像を下段のフレーム群(fm21乃至fm28に示すB(1)乃至B(8))とする。
【0054】
図2に示す入力映像においては、fm13に示す入力フレームA(3)がフラッシュの閃光によって明るく撮像されている。一方、他の入力フレーム群(fm11、fm12およびfm14乃至fm18に示すA(1)、A(2)およびA(4)乃至A(8))は暗く撮像されている。
【0055】
このとき、上述した判定手段103が、式(5)を用いて時間的変化を判定した場合、入力フレームA(2)と入力フレームA(3)との差分が第1の閾値θより大きいとし、時点t=3において判定フラグC(3)が1となる。
【0056】
また、判定手段103は、他の時点では、フレーム間の輝度値の総和の差分が第1の閾値θ以下と判定し、C(t)=0とする。よって、画像記憶手段104は、判定フラグC(3)に基づいて、t=3時点のフレームA(3)を記憶する。
【0057】
次に、制御手段106は、時点t=3より継続時間e=2だけ(すなわち、t=3,4,5の間だけ)画像記憶手段104から出力されたフレームA(3)を出力し、その他の時点tにおいては、時点tにおける入力フレームA(t)を出力するよう制御する。
【0058】
ここで、イントラ符号化を含む映像符号化を行った場合、画像の特徴が変化したフレームで画質が劣化しやすくなり、このフレームを強調することは困難である。しかし、実施例1によれば、例えばフレームB(5)ではフレームB(3)よりも画質が向上していることが期待され、このフレームB(5)を一時停止するなどしてこのフレームを強調して表示することができるようになる。
【0059】
<動作>
次に、実施例1における画像処理装置1の動作について説明する。
図3は、実施例1における画像処理装置1の画像処理の一例を示すフローチャートである。
図3に示すステップS101で、特徴抽出手段101は、入力映像から画像特徴F(t)を抽出する。特徴抽出手段101は、例えば、式(1)乃至式(3)のいずれかを用いて画像特徴を抽出すればよい。
【0060】
ステップS102で、遅延手段102は、抽出された画像特徴F(t)を記憶し、所定時間遅延させる。所定時間は、例えば1フレーム分などである。
【0061】
ステップS103で、判定手段103は、現在のフレームの画像特徴F(t)と、遅延手段102により遅延された画像特徴F(t−d)とを比較する。
【0062】
ステップS104で、判定手段103は、比較の結果、画像特徴に時間的変化があったか否かを判定する。判定手段103は、例えば、式(4)乃至式(6)のいずれかを用いればよい。
【0063】
判定結果が時間的変化あり(C(t)=1)であれば(ステップS104−YES)ステップS105に進み、判定結果が時間的変化なし(C(t)=0)であれば(ステップS104−NO)ステップS106に進む。
【0064】
ステップS105で、画像記憶手段104は、判定手段103からの判定フラグC(t)が「1」であるため、入力されたフレーム(入力フレーム)を記憶する。
【0065】
ステップS106で、制御手段106は、過去所定フレーム数(継続時間e)以内に特徴変化(時間的変化)があるか否かを判定する。過去所定フレーム数以内に特徴変化があれば(ステップS106−YES)ステップS107に進み、過去所定フレーム数以内に特徴変化がなければ(ステップS106−NO)ステップS108に進む。
【0066】
ステップS107で、出力手段105は、制御手段106からの制御信号S(t)(S(t)=1)に基づいて、画像記憶手段104に記憶されたフレームを出力する。
【0067】
ステップS108で、出力手段105は、制御手段106からの制御信号S(t)(S(t)=0)に基づいて、入力フレームを出力する。
【0068】
ステップS109で、画像処理装置1は、全映像の処理を終了したか否かを判定する。全映像の処理が終了していれば(ステップS109−YES)この画像処理を終了し、全映像の処理が終了していなければ(ステップS109−NO)ステップS101に戻る。
【0069】
以上、実施例1によれば、画像の特徴が変化する映像を強調することができる。例えば、画像の特徴が時間的に変化したフレームを特定し、このフレームを継続時間だけ連続させることで、このフレームを強調することができるようになる。よって、画像の状態が変化した決定的な瞬間の映像を継続的に出力することで、本装置の後段で非可逆の映像符号化が行なわれても、決定的な瞬間の映像の画質劣化を防ぐことができる。
【0070】
[実施例2]
次に、実施例2における画像処理装置について説明する。実施例2では、画像の特徴が変化したときのフレームと、その後続のフレームとを記憶し、継続したフレームの後に、記憶されたフレームを出力するようにする。これにより、同一フレームの継続出力によりずれた再生のタイミングについて、後続のフレームを用いてスムーズに入力フレームに切り替えることができるようになる。
【0071】
<構成>
実施例2における画像処理装置の構成は、実施例1における画像処理装置1の構成と同様であるため、同じ符号を用いて説明する。以下に説明する構成以外の構成は、実施例1の構成と同様である。
【0072】
画像記憶手段104は、画像の特徴の「時間的変化あり」となった時点のフレームと、このフレーム以降の所定数のフレーム(以下、後続フレームと呼ぶ)を記憶する。後続フレームは、変化があった時点のフレーム以降の所定数のフレームであってもよいし、変化があった時点のフレーム以降のフレームで連続していない(例えば飛び飛び)所定数のフレームであってもよい。
【0073】
例えば、画像記憶手段104は、「時間的変化あり」と判定された時点をt
1としたとき、フレームA(t
1)およびフレームA(t
1+2)を記憶する。
【0074】
また、画像記憶手段104は、過去直近(現時点tを含む)に「時間的変化あり」と判定された時点(t
1とおく;t
1≦t)の映像フレームA(t
1)を、時点t
1および以降所定の継続時間e(eは1以上の整数)にわたってA(t
1)を出力する。
【0075】
さらに、画像記憶手段104は、時点t
1+e+1から時点t
1+e+f(以下、fを後続フレーム数と呼ぶ;fは1以上の整数)まで、記憶した後続フレームを順次(飛び飛びのフレームとしてもよい)出力手段105に出力する。
【0076】
後続フレーム数がf=1の場合、例えば、画像記憶手段104は、時点t
1+e+1において後続フレームA(t
1+2)を出力する。
【0077】
このようにして、画像記憶手段104から時点tにおいて出力されるフレームをD(t)とおく。
【0078】
出力手段105は、入力映像の現フレームA(t)と、画像記憶手段104から出力されるフレームD(t)とのいずれか一方を出力する。出力手段105は、例えば後述する制御手段106からの制御信号S(t)に応じて選択し、選択されたフレームを出力映像Bの時刻tにおけるフレームB(t)として出力する(式(9))。
【0079】
【数11】
制御手段106は、継続時間eだけ、「時間的変化あり」のフレームを出力するよう制御し、その後のfフレーム分を画像記憶手段104に記憶された所定フレームを出力するよう制御する。
【0080】
制御手段106は、例えば、判定手段103により出力された判定フラグC(t)に基づき、出力手段105を制御するための制御信号S(t)を生成し、出力手段105に対して出力する。
【0081】
例えば、制御手段106は、判定手段103により出力された判定フラグC(t)が直近(現時点を含む)に1となってからe+f時点先までの間だけS(t)を1とする(式(10))。
【0082】
【数12】
以上の構成を有することで、画像の特徴に変換があったフレームを継続時間だけ連続して表示することが可能となり、このフレームを強調するとともに、記憶されたフレームから入力フレームへの切り替えをスムーズに行うことができるようになる。
【0083】
<具体例>
次に、実施例2における画像処理の具体例について説明する。この具体例では、例えば、継続時間e=2、f=1としたときの出力映像がどのようになるかについて説明する。
【0084】
図4は、実施例2における画像処理の具体例を説明するための図である。
図4に示す例では、入力映像を上段のフレーム群(fm11乃至fm18に示すA(1)乃至A(8))とし、出力映像を下段のフレーム群(fm31乃至fm38に示すB(1)乃至B(8))とする。
【0085】
図4に示す入力映像においては、fm13に示す入力フレームA(3)がフラッシュの閃光によって明るく撮像されている。一方、他の入力フレーム群(fm11、fm12およびfm14乃至fm18に示すA(1)、A(2)およびA(4)乃至A(8))は暗く撮像されている。
【0086】
このとき、上述した判定手段103が、式(5)を用いて時間的変化を判定した場合、入力フレームA(2)と入力フレームA(3)との差分が第1の閾値θより大きいとし、時点t=3において判定フラグC(3)が1となる。
【0087】
また、判定手段103は、他の時点では、フレーム間の輝度値の総和の差分が第1の閾値θ以下と判定し、C(t)=0とする。よって、画像記憶手段104は、判定フラグC(3)に基づいて、t=3時点のフレームA(3)と、後続フレーム、例えば2フレーム後のフレームA(5)を記憶する。
【0088】
次に、制御手段106は、時点t=3より継続時間e=2だけ(すなわち、
図4に示すfm33乃至fm35に示すt=3,4,5の間だけ)画像記憶手段104から出力されるD(t)=A(3)を出力するよう制御する。
【0089】
制御手段106は、その後のf=1フレームにわたって(すなわち、
図4に示すfm36に示すt=6だけ)画像記憶手段104から出力されるD(t)=A(5)を出力するよう制御する。制御手段106は、その他の時点tにおいては、時点tにおける入力フレームA(t)を出力するよう制御する。
【0090】
これにより、同一フレームの継続出力によりずれた再生のタイミングについて、後続のフレームを用いてスムーズに入力フレームに切り替えることができるようになる。
【0091】
<動作>
次に、実施例2における画像処理装置の動作について説明する。
図5は、実施例2における画像処理装置の画像処理の一例を示すフローチャートである。
図5に示すステップS201〜S203の処理は、
図3に示すステップS101〜S103の処理と同様であるため、その説明を省略する。
【0092】
ステップS204で、判定手段103は、比較の結果、過去第1のフレーム数以内に、画像特徴に時間的変化があったか否かを判定する。第1のフレームは、例えば、後続フレーム数である。
【0093】
判定結果が時間的変化あり(C(t)=1)であれば(ステップS204−YES)ステップS205に進み、判定結果が時間的変化なし(C(t)=0)であれば(ステップS204−NO)ステップS206に進む。
【0094】
ステップS205で、画像記憶手段104は、判定手段103からの判定フラグC(t)が「1」であるため、入力されたフレーム(入力フレーム)を記憶する。
【0095】
ステップS206で、制御手段106は、過去第2のフレーム数(継続時間e)以内に特徴変化(時間的変化)があるか否かを判定する。過去第2のフレーム数以内に特徴変化があれば(ステップS206−YES)ステップS207に進み、過去第2のフレーム数以内に特徴変化がなければ(ステップS206−NO)ステップS208に進む。
【0096】
ステップS207で、出力手段105は、制御手段106からの制御信号S(t)(S(t)=1)に基づいて、画像記憶手段104に記憶されたフレーム(時間的変化があったフレーム)を出力する。
【0097】
ステップS208で、制御手段106は、現フレームが時間的変化があったフレームから第3のフレーム数(e+f)以内であるか否かを判定する。第3のフレーム数以内であれば(ステップS208−YES)ステップS209に進み、第3のフレーム数以内でなければ(ステップS208−NO)ステップS210に進む。
【0098】
ステップS209で、出力手段105は、制御手段106からの制御信号S(t)(S(t)=1)に基づいて、画像記憶手段104に記憶された後続フレームを出力する。
【0099】
ステップS210で、出力手段105は、制御手段106からの制御信号S(t)(S(t)=0)に基づいて、入力フレームを出力する。
【0100】
ステップS211で、画像処理装置1は、全映像の処理を終了したか否かを判定する。全映像の処理が終了していれば(ステップS211−YES)この画像処理を終了し、全映像の処理が終了していなければ(ステップS211−NO)ステップS201に戻る。
【0101】
以上、実施例2によれば、画像の特徴が変化する映像を強調することができる。例えば、画像の特徴が時間的に変化したフレームを特定し、このフレームを継続時間だけ連続させることで、このフレームを強調するとともに、同一フレームの継続出力によりずれた再生のタイミングについて、後続のフレームを用いてスムーズに入力フレームに切り替えることができる。
【0102】
[実施例3]
次に、実施例3における画像処理装置について説明する。実施例3では、本装置の後段に映像符号化が行われることを前提とし、GOP(Group Of Picture)構造の符号化順に従って、実施例1や実施例2の処理を行う。これにより、映像符号化におけるフレーム間予測の予測精度が向上するため、同一ビットレートにおいて画質を改善し、レート歪み特性を改善することができる。
【0103】
<構成>
図6は、実施例3における画像処理装置3の構成の一例を示すブロック図である。
図6に示す例では、画像処理装置3は、前処理手段301と、特徴抽出手段101と、遅延手段102と、判定手段103と、画像記憶手段104と、出力手段105と、制御手段106と、後処理手段302とを有する。
【0104】
実施例3における画像処理装置3の構成で、実施例1や実施例2における構成と同様のものは同じ符号を付し、その説明を省略する。なお、後処理手段302は、本装置の後段で映像符号化処理が行われるので、必ずしも必要な構成ではない。
【0105】
前処理部301は、入力された映像を、映像符号化技術におけるGOP構造を考慮して、符号化順に並べ替える。前処理部301は、並べ替えられた各フレームを入力映像として、特徴抽出手段101などに出力する。
【0106】
特徴抽出手段101〜制御手段106の各構成は、実施例1や実施例2で説明した処理を実行する。
【0107】
後処理手段302は、出力手段105により出力された映像の各フレームを、表示順に並べ替えて出力映像として出力する。なお、後段で映像符号化が行われることを考慮すると、後処理手段302は、必ずしも必要ではない。
【0108】
後処理手段302を画像処理装置3に設けない場合、本装置の後段の映像符号化は、出力手段105により出力された順序で映像符号化を行うことができる。また、画像処理装置3は、映像符号化回路を含める構成にしてもよい。
【0109】
映像符号化技術は、例えばMPEG(Moving Picture Experts Group)2や、H.264/AVC(Advanced Video Coding)などである。
【0110】
以上の構成を有することで、画像の特徴に変換があったフレームを、映像符号化を考慮して継続時間だけ連続して表示することが可能となり、このフレームを強調するとともに、画質を向上させることができるようになる。
【0111】
<具体例>
次に、実施例3における画像処理の具体例について説明する。この具体例では、例えば継続時間e=2としたときであり、符号化順に並べ替えて処理した場合の出力映像がどのようになるかについて説明する。
【0112】
図7は、実施例3における画像処理の具体例を説明するための図である。
図7に示す例では、例えばfm11乃至fm19に示すような、IBPBPBPBPBPBPなるGOP構造とする。
I:イントラピクチャまたはスライス
P:前方向予測ピクチャまたはスライス
B:双方向予測ピクチャまたはスライス
この場合、前処理手段301は、入力されたフレーム順序ではなく、
図7に示すfm41乃至fm49に示すような符号化の処理順序(IPBPBPBPB)に並べ替える。なお、
図7に示す各フレーム内の番号は、入力順を示す。
【0113】
特徴抽出手段101以降の各手段は、整順したフレーム順序において、例えば、実施例1で説明した画像処理を実行する。
【0114】
図7に示すfm51乃至fm59は、実施例1で説明した画像処理を行った結果を示す。
図7に示すように、fm52乃至fm54のフレームが同一のフレームとなる。
【0115】
次に、後処理手段302は、
図7に示すfm51乃至fm59を、入力映像の順序に並べ替えて、出力映像とする。後処理手段302による並べ替え後のフレーム群を、fm61乃至fm69に示す。
【0116】
なお、フレームの並べ替えは、実際にフレーム順序を並べ替えるのではなく、画像処理装置3において、論理的に順序を並べ替えて処理を行ってもよい。
【0117】
<動作>
次に、実施例3における画像処理装置3の動作について説明する。
図8は、実施例3における画像処理装置3の画像処理の一例を示すフローチャートである。
図8に示す処理は、実施例1における画像処理を前提としているが、実施例2における画像処理を前提としてもよい。
【0118】
ステップS301で、前処理手段301は、入力された映像の各フレームを、映像符号化の符号化順に並べ替えて出力する。
【0119】
ステップS302〜S310の各処理は、
図3に示すステップS101〜S109の各処理と同様である。
【0120】
ステップS311で、後処理手段302は、出力手段105から出力された映像の各フレームを、元の入力順に並べ替えて、出力映像として出力する。
【0121】
以上、実施例3によれば、画像の特徴が変化する映像を強調することができる。例えば、画像の特徴が時間的に変化したフレームを特定し、このフレームを継続時間だけ連続させて強調するとともに、映像符号化におけるフレーム間予測の予測精度が向上するため、同一ビットレートにおいて画質を改善し、レート歪み特性を改善することができる。
【0122】
[実施例4]
図9は、実施例4における画像処理装置4の構成の一例を示すブロック図である。
図9に示す画像処理装置4は、上述した実施例1〜3で説明した各画像処理をソフトウェアで実装した装置の一例である。
【0123】
図9に示すように、画像処理装置4は、制御部401、主記憶部402、補助記憶部403、ドライブ装置404、ネットワークI/F部406、入力部407、表示部408を有する。これら各構成は、バスを介して相互にデータ送受信可能に接続されている。
【0124】
制御部401は、コンピュータの中で、各装置の制御やデータの演算、加工を行うCPUである。また、制御部401は、主記憶部402又は補助記憶部403に記憶された画像処理のプログラムを実行する演算装置である。制御部401は、入力部407や記憶装置からデータを受け取り、演算、加工した上で、表示部408や記憶装置などに出力する。
【0125】
制御部401は、上述した画像処理のプログラムを実行することで、各実施例で説明した処理を実現することができる。
【0126】
主記憶部402は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などである。主記憶部402は、制御部401が実行する基本ソフトウェアであるOS(Operating System)やアプリケーションソフトウェアなどのプログラムやデータを記憶又は一時保存する記憶装置である。
【0127】
補助記憶部403は、HDD(Hard Disk Drive)などであり、アプリケーションソフトウェアなどに関連するデータを記憶する記憶装置である。
【0128】
ドライブ装置404は、記録媒体405、例えばフレキシブルディスクからプログラムを読み出し、記憶部にインストールする。
【0129】
また、記録媒体405に、所定のプログラムを格納し、この記録媒体405に格納されたプログラムはドライブ装置404を介して画像処理装置4にインストールされる。インストールされた所定のプログラムは、画像処理装置4により実行可能となる。
【0130】
ネットワークI/F部406は、有線及び/又は無線回線などのデータ伝送路により構築されたLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)などのネットワークを介して接続された通信機能を有する周辺機器と画像処理装置4とのインターフェースである。
【0131】
入力部407は、カーソルキー、数字入力及び各種機能キー等を備えたキーボード、表示部408の表示画面上でキーの選択等を行うためのマウスやスライスパット等を有する。また、入力部407は、ユーザが制御部401に操作指示を与えたり、データを入力したりするためのユーザインターフェースである。
【0132】
表示部408は、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等により構成され、制御部401から入力される表示データに応じた表示が行われる。
【0133】
なお、実施例1〜3で説明した遅延手段や画像記憶手段は、例えば主記憶部402又は補助記憶部403により実現されうる。また、実施例1〜3で説明した遅延手段や画像記憶手段以外の構成は、例えば制御部401及びワークメモリとしての主記憶部402により実現されうる。
【0134】
画像処理装置4で実行されるプログラムは、実施例1〜3で説明した各手段を含むモジュール構成となっている。実際のハードウェアとしては、制御部401が補助記憶部403からプログラムを読み出して実行することにより上記各手段のうち1又は複数の各手段が主記憶部402上にロードされ、1又は複数の各部が主記憶部402上に生成されるようになっている。
【0135】
このように、上述した実施例1〜3で説明した各画像処理(映像強調処理)は、コンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよい。このプログラムをサーバ等からインストールしてコンピュータに実行させることで、各実施例で説明した処理を実現することができる。
【0136】
また、このプログラムを記録媒体405に記録し、このプログラムが記録された記録媒体405をコンピュータや携帯端末に読み取らせて、前述した画像処理を実現させることも可能である。なお、記録媒体405は、CD−ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等の様に情報を光学的,電気的或いは磁気的に記録する記録媒体、ROM、フラッシュメモリ等の様に情報を電気的に記録する半導体メモリ等、様々なタイプの記録媒体を用いることができる。
【0137】
なお、上述した実施例1〜3で説明した各手段は、各種の集積回路や電子回路を採用できる。また、実施例1〜3で説明した各手段の一部を別の集積回路や電子回路とすることもできる。例えば、集積回路としては、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。また、電子回路としては、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などが挙げられる。
【0138】
以上、各実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、上記変形例以外にも種々の変形及び変更が可能である。