(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0024]  
図1は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に示したものである。この装置は、
[0025]  −放射ビームB(例えばUV放射、DUV放射又はEUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、
[0026]  −パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するように構築され、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続された支持構造(例えばマスクテーブル)MTと、
[0027]  −基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構築され、特定のパラメータに従って基板Wを正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTと、
[0028]  −パターニングデバイスMAによって放射ビームBに与えられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば1つ以上のダイを含む)に投影するように構成された投影システム(例えば屈折投影レンズシステム)PSと、を備える。
 
【0016】
[0029]  照明システムは、放射の誘導、整形、又は制御を行うための、屈折、反射、磁気、電磁、静電型等の光学コンポーネント、又はその任意の組み合わせなどの種々のタイプの光学コンポーネントを含んでいてもよい。
 
【0017】
[0030]  支持構造MTはパターニングデバイスを保持する。支持構造MTは、パターニングデバイスの方向、リソグラフィ装置の設計等の条件、例えばパターニングデバイスが真空環境で保持されているか否かに応じた方法でパターニングデバイスを保持する。この支持構造MTは、パターニングデバイスを保持するために、機械式、真空式、静電式等のクランプ技術を使用することができる。支持構造MTは、例えばフレーム又はテーブルでよく、必要に応じて固定式又は可動式でよい。支持構造MTは、パターニングデバイスが例えば投影システムなどに対して確実に所望の位置にくるようにできる。本明細書において「レチクル」又は「マスク」という用語を使用した場合、その用語は、より一般的な用語である「パターニングデバイス」と同義と見なすことができる。
 
【0018】
[0031]  本明細書において使用する「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分にパターンを生成するように、放射ビームの断面にパターンを与えるために使用し得る任意のデバイスを指すものとして広義に解釈されるべきである。ここで、放射ビームに与えられるパターンは、例えばパターンが位相シフトフィーチャ又はいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分における所望のパターンに正確には対応しないことがある点に留意されたい。一般的に、放射ビームに与えられるパターンは、集積回路などのターゲット部分に生成されるデバイスの特定の機能層に相当する。
 
【0019】
[0032]  パターニングデバイスは透過性又は反射性でよい。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルがある。マスクはリソグラフィにおいて周知のものであり、これには、バイナリマスク、レベンソン型(alternating)位相シフトマスク、ハーフトーン型(attenuated)位相シフトマスクのようなマスクタイプ、さらには様々なハイブリッドマスクタイプも含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例として、小さなミラーのマトリクス配列を使用し、そのミラーは各々、入射する放射ビームを異なる方向に反射するよう個々に傾斜することができる。傾斜したミラーは、ミラーマトリクスによって反射する放射ビームにパターンを与える。
 
【0020】
[0033]  本明細書において使用する「投影システム」という用語は、例えば使用する露光放射、又は液浸液の使用や真空の使用などの他の要因に合わせて適宜、屈折型光学システム、反射型光学システム、反射屈折型光学システム、磁気型光学システム、電磁型光学システム及び静電型光学システム、又はそれらの任意の組み合わせを含む任意のタイプのシステムを包含するものとして広義に解釈されるべきである。本明細書において「投影レンズ」という用語を使用した場合、これはさらに一般的な「投影システム」という用語と同義と見なすことができる。
 
【0021】
[0034]  本明細書で示すように、装置は、(例えば透過マスクを使用する)透過タイプである。あるいは、装置は、(例えば上記で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイを使用する、又は反射マスクを使用する)反射タイプでもよい。
 
【0022】
[0035]  リソグラフィ装置は、基板ステージ又は基板テーブルなどの2つ以上の基板支持構造、及び/又はパターニングデバイス用の2つ以上の支持構造を有するタイプのものであってもよい。複数の基板ステージを有する装置では、すべての基板ステージは同等のものでもよく、互換性がある。ある実施形態では、複数の基板ステージの少なくとも1つは特に露光ステップに適合しており、複数の基板ステージの少なくとも1つは特に測定又は予備工程に適合している。本発明のある実施形態では、複数の基板ステージの1つ以上が測定ステージに置き換えられる。測定ステージは、センサ検出器及び/又はセンサシステムのターゲットなどの1つ以上のセンサシステムの少なくとも一部を含むが、基板を支持しない。測定ステージは、基板ステージ又はパターニングデバイス用の支持構造の代わりに投影ビーム内で位置決め可能である。このような装置では、追加のステージを併用してもよく、又は1つ以上の別のステージを露光用に使用している間に1つ以上のステージで予備工程を実行してもよい。
 
【0023】
[0036]  
図1を参照すると、イルミネータILは放射源SOから放射ビームを受ける。放射源とリソグラフィ装置とは、例えば放射源がエキシマレーザである場合に、別々の構成要素であってもよい。このような場合、放射源はリソグラフィ装置の一部を形成すると見なされず、放射ビームは、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエクスパンダなどを備えるビームデリバリシステムBDを用いて、放射源SOからイルミネータILへと渡される。他の事例では、例えば放射源が水銀ランプの場合は、放射源がリソグラフィ装置の一体部分であってもよい。放射源SO及びイルミネータILは、必要に応じてビームデリバリシステムBDとともに放射システムと呼ぶことができる。
 
【0024】
[0037]  イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調整するように構成されたアジャスタAMを備えていてもよい。通常、イルミネータの瞳面における強度分布の少なくとも外側及び/又は内側半径範囲(一般にそれぞれ、σ-outer及びσ-innerと呼ばれる)を調整することができる。また、イルミネータILは、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの他の種々のコンポーネントを備えていてもよい。イルミネータを用いて放射ビームを調節し、その断面にわたって所望の均一性と強度分布とが得られるようにしてもよい。放射源SOと同様、イルミネータILは、リソグラフィ装置の一部を形成すると考えてもよいし、又は考えなくてもよい。例えば、イルミネータILは、リソグラフィ装置の一体化部分であってもよく、又はリソグラフィ装置とは別の構成要素であってもよい。後者の場合、リソグラフィ装置は、イルミネータILをその上に搭載できるように構成することもできる。任意選択として、イルミネータILは着脱式であり、(例えば、リソグラフィ装置の製造業者又は別の供給業者によって)別に提供されてもよい。
 
【0025】
[0038]  放射ビームBは、支持構造(例えば、マスクテーブル)MT上に保持されたパターニングデバイス(例えば、マスク)MAに入射し、パターニングデバイスMAによってパターニングされる。パターニングデバイスMAを横断した放射ビームBは、投影システムPSを通過し、投影システムPSは、ビームを基板Wのターゲット部分C上に合焦させる。基板Wは、以下に詳述する本発明のある実施形態による基板ホルダによって基板テーブルWT上に保持されている。第2のポジショナPWと位置センサIF(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ又は容量センサ)を用いて、基板テーブルWTは、例えば、様々なターゲット部分Cを放射ビームBの経路に位置決めできるように正確に移動できる。同様に、第1のポジショナPMと別の(
図1には明示されていない)位置センサを用いて、マスクライブラリからの機械的な取り出し後、又はスキャン中などに放射ビームBの経路に対してパターニングデバイスMAを正確に位置決めできる。一般に、支持構造MTの移動は、第1のポジショナPMの部分を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)及びショートストロークモジュール(微動位置決め)を用いて実現できる。同様に、基板テーブルWTの移動は、第2のポジショナPWの部分を形成するロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールを用いて実現できる。(スキャナとは対照的に)ステッパの場合、支持構造MTをショートストロークアクチュエータのみに接続するか、又は固定してもよい。パターニングデバイスMA及び基板Wは、パターニングデバイスアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。図示のような基板アライメントマークは、専用のターゲット部分を占有するが、ターゲット部分Cの間の空間に位置してもよい(スクライブレーンアライメントマークとして知られている)。同様に、パターニングデバイスMA上に複数のダイを設ける状況では、パターニングデバイスアライメントマークをダイ間に配置してもよい。
 
【0026】
[0039]  図示の装置は、以下のモードのうち少なくとも1つにて使用可能である。
[0040]  1.ステップモードにおいては、支持構造MT及び基板テーブルWTは、基本的に静止状態に維持される一方、放射ビームに付与されたパターン全体が1回でターゲット部分Cに投影される(すなわち単一静的露光)。次に、別のターゲット部分Cを露光できるように、基板テーブルWTがX方向及び/又はY方向に移動される。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一静的露光で像が形成されるターゲット部分Cのサイズが制限される。
[0041]  2.スキャンモードにおいては、支持構造MT及び基板テーブルWTは同期的にスキャンされる一方、放射ビームに与えられるパターンがターゲット部分Cに投影される(すなわち単一動的露光)。支持構造MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPSの拡大(縮小)及び像反転特性によって求めることができる。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一動的露光におけるターゲット部分Cの(非スキャン方向における)幅が制限され、スキャン動作の長さによってターゲット部分Cの(スキャン方向における)高さが決まる。
[0042]  3.別のモードでは、支持構造MTはプログラマブルパターニングデバイスを保持して基本的に静止状態に維持され、基板テーブルWTを移動又はスキャンさせながら、放射ビームに与えられたパターンをターゲット部分Cに投影する。このモードでは、一般にパルス状放射源を使用して、基板テーブルWTを移動させる毎に、又はスキャン中に連続する放射パルスの間で、プログラマブルパターニングデバイスを必要に応じて更新する。この動作モードは、以上で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに容易に利用できる。
 
【0027】
[0043]  上述した使用モードの組み合わせ及び/又は変形、又は全く異なる使用モードも利用できる。
 
【0028】
[0044]  多くのリソグラフィ装置では、結像するフィーチャの小型化及び/又は装置の有効NAの増加を可能にするために、液体供給システムIHを使用して投影システムの最終要素間に流体、特に液体を提供する。このような液浸装置に関して本発明の実施形態を以下でさらに説明するが、非液浸装置でも本発明の実施形態は等しく実施することができる。投影システムの最終要素と基板との間に液体を提供する構成は、少なくとも2つの一般的カテゴリに分類される。これらは、浴槽タイプ構成と、いわゆる局所液浸システムである。浴槽タイプ構成では、実質的に基板の全体及び任意選択として基板テーブルの一部が液体の浴槽内に浸漬される。局所液浸システムは、液体が基板の局所領域にのみ提供される液体供給システムを使用する。後者のカテゴリでは、液体によって充填される空間は、平面視で基板の上面より小さく、液体で充填される領域は、基板がその領域の下を移動する間、投影システムに対して実質的に静止している。本発明のある実施形態が指向する別の構成は、液体が閉じ込められないオールウェット解決策である。この構成では、実質的に基板の上面全体と基板テーブルの全部又は一部が液浸液に覆われる。少なくとも基板を覆う液体の深さは小さい。液体は、基板上の液体の薄膜などの膜であってもよい。
 
【0029】
[0045]  
図2〜
図5には、4つの異なるタイプの局所液体供給システムが示されている。
図2〜
図5の液体供給デバイスのいずれも非閉じ込めシステムで使用することができる。しかし、封止特徴部は存在しないか、活性化されていないか、通常のものより効率が落ちるか、又はその他の点で液体を局所領域にのみ封止する効果がない。
 
【0030】
[0046]  局所液浸システムに対して提案されている構成の1つは、液体供給システムが液体閉じ込めシステムを使用して、基板の局所領域に、及び投影システムの最終要素と基板の間にのみ液体を提供する(基板は通常、投影システムの最終要素より大きい表面積を有する)。これを構成するために提案されている1つの方法が、PCT特許出願公開WO99/49504号に開示されている。
図2及び
図3に図示されているように、液体が少なくとも1つの入口によって基板上に、望ましくは最終要素に対する基板の動作方向に沿って供給され、投影システムの下を通過した後に少なくとも1つの出口によって除去される。すなわち、基板が−X方向にて要素の下でスキャンされると、液体が要素の+X側にて供給され、−X側にて取り上げられる。
 
【0031】
[0047]  
図2は、液体が入口を介して供給され、低圧源に接続された出口によって要素の他方側で取り上げられる構成を概略的に示したものである。基板Wの上の矢印は液体のフローの方向を示し、基板Wの下の矢印は基板テーブルの移動方向を示す。
図2の図では、液体が最終要素に対する基板の動作方向に沿って供給されるが、こうである必要はない。最終要素の周囲に配置された入口及び出口の様々な方向及び数が可能であり、一例が
図3に図示され、ここでは両側に出口を持つ4組の入口が、最終要素の周囲に規則的パターンで設けられる。液体供給デバイス及び液体回収デバイス内の矢印は、液体のフローの方向を示す。
 
【0032】
[0048]  局所液体供給システムを備える液浸リソグラフィの別の解決法が
図4に示されている。液体が投影システムPSのいずれかの側にある2つの溝入口によって供給され、入口の半径方向外側に配置された複数の別個の出口によって除去される。入口及び出口は、投影される投影ビームが通る孔が中心にあるプレートに配置することができる。液体は、投影システムPSの一方側にある1つの溝入口によって供給され、投影システムPSの他方側にある複数の別個の出口によって除去されて、投影システムPSと基板Wの間に液体の薄膜の流れを引き起こす。どの組み合わせの入口と出口を使用するかの選択は、基板Wの動作方向によって決定することができる(他の組み合わせの入口及び出口は動作しない)。
図4の断面図では、矢印は入口への、また出口からの液体のフローの方向を示す。
 
【0033】
[0049]  提案されている別の構成は、液体供給システムに液体閉じ込め部材を提供する構成である。液体閉じ込め部材は、投影システムの最終要素と基板テーブルとの間の空間の境界の少なくとも一部に沿って延在している。そのような構成を
図5に示す。液体閉じ込め部材は、投影システムに対してXY平面で実質的に静止しているが、Z方向(光軸方向)には相対的に多少動くことができる。液体閉じ込め部材と基板表面との間には封止が形成されている。ある実施形態では、液体閉じ込め部材と基板表面との間には封止が形成され、封止はガスシールなどの非接触シールであってもよい。そのようなシステムが、米国特許出願公開US2004−0207824号に開示されている。
 
【0034】
[0050]  流体ハンドリング構造12は、液体閉じ込め部材を含み、投影システムPSの最終要素と基板Wの間の空間11に液体を少なくとも部分的に封じ込める。基板Wの表面と投影システムPSの最終要素の間の空間内に液体が閉じ込められるように、基板Wに対する非接触シール16を投影システムのイメージフィールドの周囲に形成することができる。空間は、投影システムPSの最終要素の下方に位置決めされ、それを囲む流体ハンドリング構造12によって少なくとも部分的に形成される。液体を、液体入口13によって投影システムの下方で、流体ハンドリング構造12内の空間に入れる。液体は、液体出口13によって除去することができる。流体ハンドリング構造12は投影システムの最終要素の少し上まで延在することができる。液体のバッファが提供されるように、液体レベルが最終要素の上まで上昇する。ある実施形態では、流体ハンドリング構造12は、その上端が投影システム又はその最終要素の形状に正確に一致することができる内周を有し、例えば円形とすることができる。底部では、内周がイメージフィールドの形状に正確に一致し、例えば矩形とすることができるが、そうである必要はない。
 
【0035】
[0051]  ある実施形態では、液体が、使用中に流体ハンドリング構造12の底部と基板Wの表面との間に形成されるガスシール16によって空間11内に封じ込められる。ガスシールは、気体、例えば、空気、合成空気、N
2又は別の不活性ガスによって形成される。ガスシール内の気体は、圧力下で入口15を介して流体ハンドリング構造12と基板Wの間のギャップに提供される。気体は出口14を介して抽出される。気体入口15への過剰圧力、出口14の真空レベル、及びギャップの幾何学的形状は、液体を閉じ込める内側への高速の気体流16があるように構成される。流体ハンドリング構造12と基板Wの間で液体にかかる気体の力が、液体を空間11に封じ込める。入口/出口は、空間11を囲む環状溝であってもよい。環状溝は連続的であっても又は不連続的であってもよい。気体16の流れは、液体を空間11内に封じ込めるのに効果がある。このようなシステムが、米国特許出願公開US2004−0207824号に開示されている。
 
【0036】
[0052]  
図5の例は、液体が任意の一時点で基板Wの上面の局所領域にのみ提供される局所区域構成である。他の構成も可能であり、それは例えば米国特許出願公開US2006−0038968号に開示されるような単相抽出器又は2相抽出器を使用する流体ハンドリングシステムを含む。
 
【0037】
[0053]  多くの他のタイプの液体供給システムが可能である。本発明は、いかなる特定のタイプの液体供給システムにも、液浸リソグラフィにも限定されない。本発明は任意のリソグラフィに等しく適用することができる。EUVリソグラフィ装置では、ビーム経路が実質的に排気され、上記液浸配置構成は使用しない。
 
【0038】
[0054]  
図1に示す制御システム500は、リソグラフィ装置の全体的動作を制御し、特に以下でさらに説明する最適化プロセスを実行する。制御システム500は、適切にプログラムし、中央処理装置、揮発性及び不揮発性記憶手段を備えた汎用コンピュータとして実現することができる。任意選択として、制御システムはさらにキーボード及び画面のような1つ以上の入出力デバイス、1つ以上のネットワーク接続、及び/又はリソグラフィ装置の様々な部品との1つ以上のインターフェイスを備えてもよい。制御するコンピュータとリソグラフィ装置との間に1対1の関係は必要ないことが理解される。本発明のある実施形態では、1つのコンピュータが複数のリソグラフィ装置を制御することができる。本発明のある実施形態では、ネットワークで接続した複数のコンピュータを使用して、1つのリソグラフィ装置を制御することができる。制御システム500は、リソグラフィ装置が一部となるリソセル又はクラスタ内で1つ以上の関連するプロセスデバイス及び基板ハンドリングデバイスを制御するように構成することもできる。制御システム500は、リソセル又はクラスタの監視制御システム及び/又は工場の全体的な制御システムに従属するように構成することもできる。
 
【0039】
[0055]  リソグラフィ装置の動作を制御するために、装置に関する状態を測定する多数のセンサが提供されている。装置の較正及び/又は保守の間に、すなわち、休止時間の間に、又は装置の実際の動作中に、例えば、露光中に、ターゲット部分の露光の合間に、又は基板の露光の間に、上記センサを使用できる。多数の上記センサ、例えば、放射線受光センサは、トランスデューサ、例えば、センサ上に落下する放射線などの刺激に応答して電気信号を生成するフォトダイオード又はカメラを含む。すべてとは言わずとも大半のセンサは動作中に熱を発生する。熱は、トランスデューサの動作の副産物として、トランスデューサの出力を処理するために提供された電子回路、例えば、増幅器又はアナログ−ディジタル変換器によって、又は、例えば、投影ビームのパラメータを測定するセンサの場合には放射線の吸収によって生成されることがある。
 
【0040】
[0056]  センサに冷却装置を提供することができる。例えば、米国特許出願公開US2010/0259734号は、露光放射線としての極端紫外線を使用するリソグラフィ装置で使用される波面センサの検出器モジュールをセンサモジュールのケーシングとヒートシンクとの間のギャップ内にガスを提供することで冷却する装置を記載している。この装置は、装置の他の部分に関わらず、センサモジュールを一定の温度に維持する役割を果たす。また、液浸リソグラフィ装置では、基板テーブルの上面に提供されたセンサを液浸液によって動作中に冷却することができる。
 
【0041】
[0057]  しかしながら、動作中に液浸リソグラフィ装置内の液浸液に接触するセンサの冷却のための既存の方法は不適切であり、及び/又は別の問題を引き起こすことがある。装置の他の部分に関わらず、センサを一定の温度に維持するUS2010/0259734号に開示されたような装置では、センサは液浸液とは異なる温度になる可能性がある。多くの場合、そのような温度差はセンサ自体の動作に明らかな影響を与えるものではない。しかしながら、温度差による液浸液とセンサとの間の熱伝達によって、液浸液内の望ましくない外乱、例えば、乱流及び/又は屈折率の変化を引き起こすことがある。同様に、温度調節された液浸液を用いてセンサを冷却する方法は熱伝達によって引き起こされる乱流を生む可能性がある。この問題に対処する方法は、測定の前に、センサと液浸液とが熱平衡状態になるのを待つという方法である。しかしながら、望ましくないことに、そのような遅延は装置のスループットを低減することがある。
 
【0042】
[0058]  したがって、動作中に液浸液に接触する液浸タイプのリソグラフィ装置用のセンサが提供される。このセンサは、温度調節デバイス、例えば、冷却デバイスと、センサの熱生成部(例えばトランスデューサ又は電子回路間の熱経路)と、を有し、熱生成部と温度調節デバイスとの間の熱抵抗は、熱生成部と液浸液との間の熱抵抗よりも小さい。
 
【0043】
[0059]  
図6は、本発明のある実施形態によるセンサ100の断面図を示す。センサ100は基板テーブルWT又は測定テーブル(例えば、ステージの一部、例えば、上部であってもよいミラーブロック又はエンコーダブロック)のくぼみ内に搭載されている。センサ100のプレート101(上プレートと呼んでもよい)はテーブルの上面と面一の上面101aを有する。ステッカー(粘着シート部材と呼んでもよい)の形態のシール110は、プレート101とテーブルの上面との間にあるあらゆるギャップを覆う。プレート101は、投影ビームからの放射線などの放射線がトランスデューサ104に到達する際に通過する透明な部分101bを有する。ある実施形態では、透明な部分101bは紫外放射線、例えば、約100nm〜400nmの範囲内、特に248nm、193nm又は157nmの波長を有する深紫外放射線を透過させる。本発明のある実施形態では、透明な部分101b内又は上に格子又はその他の基準パターン形成が形成される。ある実施形態では、プレート101の全体が透明な材料からなっている。ある実施形態では、透明な領域101bを画定する開口を有する不透明なコーティングがプレート101の表面に塗布される。光学要素103、例えば、放射線をトランスデューサ104上に誘導するか又は合焦させる光ファイバプレート又はマイクロレンズアレイが任意選択として提供される。トランスデューサ104は、放射線を電気信号に変換するのに適したデバイス、例えば、フォトダイオード、CCDカメラ又はCMOSカメラの形態をとっていてもよい。
 
【0044】
[0060]  トランスデューサ104によって生成される電気信号は、電子回路106によって処理され、コントローラ500へ伝送される。コントローラ500は、リソグラフィ装置の制御若しくは較正及びその動作に電気信号を使用する。本発明のある実施形態では、電子回路106は、増幅器、アナログ−ディジタル変換器、バッファメモリ、制御論理回路、モデム及び/又はインターフェイスの少なくとも1つを含む。本発明のある実施形態では、電子回路106とコントローラ500との間の通信はワイヤを通過する電子信号を用いて、無線を用いて、又は光信号を用いて実行される。無線を用いて、例えば、Bluetooth(商標)又はWiFi(商標)標準に準拠したシステムを用いて、センサからコントローラ500へ信号を伝送することで、センサに提供される物理的接続の数を低減できる。光信号を用いて、例えば、光ファイバを介して、電子回路106とコントローラ500との間で信号を伝送することで、センサの環境が電磁ノイズの影響を受ける場合に干渉を回避することができる。
 
【0045】
[0061]  センサ100の位置の安定性を確保するために、センサ100は、例えば、1つ以上の取り付け脚108を介してテーブルに固定されている。支持リングの形態であってもよい支持部材102が取り付け脚108にプレート101を固定し、プレート101に所望の剛性を提供する。本発明のある実施形態では、センサ100による測定の精度はプレート101の透明な部分101b内に提供された格子の位置安定性に影響されるため、支持リングおよび取り付け脚は所望の位置安定性を達成するように構成されている。支持部材105も取り付け脚108上に搭載され、トランスデューサ104及び電子回路106を支持する役割を果たす。ある実施形態では、支持部材105は取り付け脚108の代わりに支持リング102上に搭載される。ある実施形態では、三角形の布陣に配置された3つの取り付け脚108があり、トランスデューサ104が一般に取り付け脚108によって画定された三角形の中心に搭載されている。取り付け脚108は、近位端がテーブルに装着され、遠位端が支持リング102を支持する柱の形態である。
 
【0046】
[0062]  支持部材105は、取り付け脚108の中央部分に装着され、取り付け脚108から外側に延在する円形プレートの形態をとる。トランスデューサ104は、放射ビームに対向する支持部材105の外面上に支持されている。電子回路106は、テーブルに対向する支持部材105の内面上に支持されている。
 
【0047】
[0063]  例えば冷却回路又はリングの形態である温度調節デバイス107は、取り付け脚108の外側にあり、取り付け部材105の周縁部に隣接するテーブルに搭載される。温度調節された冷却剤、たとえば水は、温度調節デバイス107内に提供された導管107aを通って循環する。冷却剤は冷却剤供給源109によって供給され、望ましくは、液浸液11と実質的に同じ温度で供給される。ある実施形態では、冷却剤供給源109は、液浸液11を供給する液体供給システムの一部である。このように、追加の温度調節装置を提供する必要はない。ある実施形態では、液体供給源109は液浸液11用の液体供給装置とは別体である。液浸液が例えば水よりも熱容量が小さい別の液体である場合、そのような構成は有利である。温度調節デバイス107の温度を制御するための冷却剤は特に高い純度を有している必要はなく、再利用できる。したがって、別の液体供給システムを使用することで、例えば、超純水の消費を低減できる。冷却液を冷却剤回路から回収し、冷却液ハンドリングシステム内で少なくとも温度を元に戻し、冷却剤供給源に戻して冷却回路に再供給することができる。
 
【0048】
[0064]  
図7は、センサ100を用いて投影ビームの特性を測定する状況を概略的に示す。テーブル(例えば、基板テーブルWT)は投影システムPSの下に位置し、したがって、投影ビームBは透明な部分101b上に落下する。少なくとも投影ビームの一部がプレート101の透明な部分101b、支持リング102内のアパーチャ、光学要素103を通過し、トランスデューサ104に入射する。トランスデューサ104は投影ビームの特性及び/又はプレート101内に形成されたパターンとのその相互動作に依存する電気信号を出力する。
 
【0049】
[0065]  ある実施形態では、センサ100はスポットセンサ又はエネルギーセンサであり、トランスデューサ104によって出力される信号は投影ビームBの輝度を示す。ある実施形態では、センサ100は透過イメージセンサであり、トランスデューサ104によって出力される信号は投影システムによって投影される画像とプレート101の透明な部分101b内に形成された基準パターン、例えば、格子との位置関係を示す。ある実施形態では、センサ100は干渉計センサであり、トランスデューサ104によって出力される信号は投影ビームB内の波面エラーを示す。ある実施形態では、センサ100は画像センサと干渉計センサとを組み合わせたセンサである。トランスデューサ104によって出力される信号は、投影システムPSによって投影される画像及びプレート101上に形成されたパターンと投影ビームB内の波面エラーとの関係を示す。
 
【0050】
[0066]  センサ100の動作中、トランスデューサ104及び/又は電子回路106内に熱が発生する。この熱は、投影ビームからのエネルギーの吸収のために、及び/又は電子回路106の動作によって、トランスデューサの動作の副産物として生成されることがある。センサ100の動作中、例えば、実行される測定が基板のターゲット部分の露光中に関連する状況をセンサ100が正確に反映するために、センサ100は液浸液11に接触する。例えば、トランスデューサ104及び/又は電子回路106内に発生する熱によって引き起こされる液浸液11とトランスデューサ104及び/又は電子回路106との間に温度差があれば、液浸液11とセンサ100との間に熱伝達が発生する。そのような熱伝達は、センサ100の近傍の液浸液内に温度勾配を生成する場合がある。上記温度勾配によって、液浸液11の屈折率の変動及び/又は液浸液11内の対流が引き起こされる。液浸液の屈折率の変動と対流の両方はセンサ100によって実行される測定のエラーの潜在的な原因として望ましくない。
 
【0051】
[0067]  
図7の矢印F1で示すように、トランスデューサ104及び電子回路106内で生成された熱は、支持部材105を通って温度調節デバイス107へ流れることができる。矢印F2で示すように、上記熱はプレート101及び液浸液11の方へも流れる。本発明のある実施形態では、トランスデューサ104から温度調節デバイス107への熱フロー経路F1の熱抵抗は、トランスデューサ104から液浸液11への熱フロー経路F2の熱抵抗より小さい。このようにして、トランスデューサ104及び/又は電子回路106内で生成される熱の大半は温度調節デバイス107へ流れ、液浸液11へ流れる熱の量は低減されるか又は最小限にされる。本発明のある実施形態では、熱フロー経路F1の熱抵抗は、高い熱伝導率を有する材料、例えば、Al、AlN、Ti、Al−Si、SiSiC、SiC、それらの任意の組合せの合金又はニッケルコバルト合金鉄などのFe−Ni合金の支持部材105を形成することで小さくすることができる。ある実施形態では、支持部材105は、熱分解グラファイト(熱分解炭素としても知られている)などの高伝導性材料層をコーティングした金属で製造される。ある実施形態では、支持部材105は100W/m.K以上の熱伝導率を有する材料で形成される。ある実施形態では、支持部材105の熱伝導率は10W/m.K以上である。ある実施形態では、支持部材105の熱伝導率は支持部材105の厚さに依存する。支持部材105の厚みを増やせば熱伝導率は低くても十分である。
 
【0052】
[0068]  ある実施形態では、支持部材105は測定サイクルを実行する際に生成される熱の量に関する十分な熱容量を有する。ある実施形態では、支持部材105の熱容量は十分に大きく、センサ100による1測定サイクル中の支持部材105の温度上昇は100mK未満である。
 
【0053】
[0069]  ある実施形態では、支持部材105は温度調節デバイス107から分離可能である。上記装置を用いて、温度調節デバイス107を通過する冷却剤のフローを阻害することなくセンサ100をテーブルから取り外すことができる。このようにして、冷却剤をこぼすリスクが低減され又は最小限にされて、冷却回路からの排液が不要になるため、センサ100の保守及び/又は交換はより容易になる。支持部材105と温度調節デバイス107との間に熱伝導ペーストを提供してもよい。
 
【0054】
[0070]  ある実施形態では、支持部材105と温度調節デバイス107とは接触していない。それにも関わらず、支持部材105と温度調節デバイス107との間の非接触熱結合が提供される。上記実施形態では、支持部材105から温度調節デバイス107への熱フローを増加させるか又は最大限にするために、それらの間のギャップが狭められ(例えば、約200μm以下、望ましくは約100μm)、対向する表面の区域は大きい(例えば、約500mm
2以上、望ましくは約1000mm
2)。そのために、支持部材105及び温度調節デバイス107の対向面は非平坦(例えば、非平面又は輪郭面)であってもよい。支持部材105及び温度調節デバイス107の対向面に対応する輪郭面を提供でき、例えば表面の交互配置が可能なある実施形態では、対向面は1つ以上の交互する羽根を有していてもよい。対向面は増加した表面区域と2つの対向する平面状の表面に関する熱結合を有していてもよい。支持部材105及び温度調節デバイス107は任意の便利な平面視形状を有していてもよい。ある実施形態では、温度調節デバイス107は支持プレート105の形状に一致する平面視形状を有する。
 
【0055】
[0071]  ある実施形態では、液体供給部材109は、装置の動作中は常に温度調節装置107を通して冷却剤の連続的なフローを提供する。ある実施形態では、冷却剤は、センサ100の使用時に、又はセンサ100の温度を使用中に確実に安定させるのに必要な時のみ、温度調節装置107を通って流れる。ある実施形態では、テーブル上の複数のセンサは複数の温度調節デバイスを備え、単一の冷却剤供給源109がそれらのデバイスの各々に冷却剤を提供する。
 
【0056】
[0072]  ある実施形態では、トランスデューサ104と液浸液11との間の熱フロー経路の熱抵抗を増加させる1つ以上の方法が講じられる。該方法は、プレート101とトランスデューサ104又は光学要素103(ある場合)との間にギャップ、例えば、サーマルギャップ又は絶縁層を提供するステップを含んでいてもよい。ギャップは少なくとも部分的に真空にされるか又は低い熱伝導率を有するガスを充填することができる。ある実施形態では、プレート101とトランスデューサ104又は光学要素103との間のギャップは、境界での反射を低減するために屈折率が適合する媒体を有する。上記実施形態では、屈折率が適合する媒体は望ましくは低い熱伝導率を有するように選択される。光学要素103(ある場合)、支持リング102及びプレート101は、低い熱伝導率を有する材料で製造できる。ある実施形態では、取り付け脚108は低い熱伝導率を有する材料で形成され、プレート101の上面101aに平行な平面視における最小断面区域を有するように構成されている。ある実施形態では、プレート101は石英で製造され、支持リング102は石英又は石英ガラスで、取り付け脚108はInvar(商標)ニッケル鉄合金(例えば、FeNi36又は64FeNi)で製造されている。
 
【0057】
[0073]  ある実施形態のセンサを使用する際に発生する可能性がある温度差を
図8に示す。液浸液11と冷却剤供給源109との間の温度差が、温度差dT1である。液浸液11とトランスデューサ104との間の温度差が、温度差dT2である。トランスデューサ104と温度調節デバイス107との間の温度差が温度差dT3で、温度調節デバイス107と冷却剤供給源109との間の温度差が温度差dT4である。例えば、トランスデューサ104からの熱伝導による液浸液11内の外乱を低減し又は最小限にするために、温度差dT2を低減し又は最小限にすることが望ましい。
 
【0058】
[0074]  トランスデューサ104の動作中は、温度差dT3及びdT4は正の値である。すなわち、トランスデューサ104は温度調節デバイス107よりも高い温度にある。次に、温度調節デバイス107は、冷却剤供給源109よりも高い温度にある。温度差dT2を低減するか又は最小限にするための考えられる解決策は、dT1を負の値にする、すなわち、冷却剤供給源109を液浸液109より低い温度にすることであろう。しかしながら、トランスデューサ104が動作中でないときには、温度差dT3及びdT4はゼロへ向かい、トランスデューサ104は最終的に液浸液11よりも温度が低くなる。これは、トランスデューサ104の温度が液浸液11の温度よりも高い場合と同じ有害な影響を与える可能性がある。
 
【0059】
[0075]  
図9に示す本発明のある実施形態では、センサ104の温度を能動的に制御する制御システム200が提供される。
 
【0060】
[0076]  図示のように、温度センサ201がプレート101内又は上に、例えば、透明な部分101bに隣接して提供されている。代替的に又は追加的に、温度センサ201はプレート101の下側、プレート101と熱接触している支持リング102内又は上に、及び/又は光学要素103と取り付け脚108内、上、又は間の1つ以上の場所に提供される。また、温度センサ201をトランスデューサ104内に又は上に配置することも可能である。温度センサ201はセンサの使用時にはビームBの経路にできるだけ近くにあることが望ましいが、ビームBの邪魔になったり干渉したりしてはならない。ある実施形態では、複数のセンサ201がセンサ100内の様々な地点に提供される。複数のセンサを使用することは、プレート101及び局所的な低温の地点における温度勾配を補償できるという利点を有する。ある実施形態では、温度センサ201は負温度係数デバイス(例えば、サーミスタ)、熱電対又は抵抗温度センサである。プレート101の表面の温度を測定できるあらゆるデバイスを使用できる。
 
【0061】
[0077]  加熱器202、例えば、抵抗加熱器、ペルチェデバイス、ポリイミド膜で絶縁された可撓性抵抗加熱器(一般に、Kapton(商標)加熱器と呼ばれる)、グローワイヤ、薄膜加熱器又はその他の熱放散デバイスが提供され、冷却剤供給源209から調節デバイス107への熱伝達媒体(例えば、冷却剤)のフローを加熱する。望ましくは、加熱器202はトランスデューサ104の熱出力と同じ又はそれより大きい速度で熱を出力する能力がある。ある実施形態では、複数の加熱器202が提供され、加熱器202の総熱出力はトランスデューサ104の熱出力と同じ又はそれより大きい。複数の加熱器を有するある実施形態では、加熱器は調節デバイス内の複数の場所に位置していてもよい。複数のタイプの加熱器を使用できる。
 
【0062】
[0078]  コントローラ203が温度センサ201及び加熱器202に接続されている。コントローラ203は、加熱器202を制御して、プレート101の表面(例えば、上面)の温度を所望の設定点、例えば、液浸液11の温度と実質的に同じに維持する。1つ又は複数の加熱器202を制御するため、コントローラ203は1つ又は複数のセンサ201によって測定された温度を示す1つ又は複数のセンサ201からの信号を使用する。ある実施形態では、コントローラ203は、較正によって得られる1つ又は複数の温度センサ201によって測定された温度とプレート101の表面の温度とのオフセットを考慮する。ある実施形態では、コントローラ203はPID(比例/積分/微分)コントローラ又はその他の簡単なフィードバックコントローラである。ある実施形態では、コントローラ203は、複数の異なる熱出力の間で、又は1つ又は複数の加熱器202のデューティサイクルを制御することによって1つ又は複数の加熱器202の出力を制御する。
 
【0063】
[0079]  
図10に示す本発明のある実施形態では、加熱器202aがトランスデューサ104自体の内部に提供される。加熱器202aはトランスデューサ104内の別のコンポーネントであってもよい。加熱器202aはトランスデューサそれ自体であってもよい。それ以外の点では、
図10の実施形態は
図9の実施形態と同じである。コントローラ203(
図10には示さず)を用いて、
図9の実施形態でコントローラ203を用いて加熱器202を制御するのと同じ方法で加熱器202aを運転することができる。加熱器202aがトランスデューサ104のときには、コントローラを用いて熱が所望であるときには、トランスデューサ104を用いてダミー測定を実行するなど、測定を行なわないときに、トランスデューサを運転して熱を放出することができる。加熱器の運転に加えて、コントローラ203は、コントローラがトランスデューサを運転して所望の熱を生成できるようにトランスデューサが動作可能になった時点を示すトランスデューサ104からの信号を受信する。したがって、コントローラ203はトランスデューサ104を運転して所望の熱を生成し、トランスデューサとしてトランスデューサ104を使用することで生成された熱を計算に入れる。
 
【0064】
[0080]  
図11に示す本発明のある実施形態では、加熱器202bが温度調節デバイス107内又は上に搭載されている。センサ201はプレート101に位置する。この実施形態では、コントローラ203によって別々に制御可能な複数の別々の加熱器202を温度調節デバイス107の周囲に配置できる。加熱器202は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている米国特許出願公開US2011−0222033号に開示された1つ以上の薄膜加熱器の形態をとっていてもよい。それ以外の点では、
図11の実施形態は
図9の実施形態と同じである。
 
【0065】
[0081]  
図9又は
図11を参照して記載するある実施形態は、トランスデューサ104が使用時に熱を生成しない受動デバイスである。そのような状況では、この実施形態を用いてセンサ100による熱の放散以外の原因から生まれる温度差を補償することができる。例えば、液浸液が基板テーブルWT又は基板Wの残りの部分から蒸発するのとは異なる速度でプレート101の表面から蒸発し、その結果、センサ100が基板テーブルWT又は基板Wの残りの部分とは異なる速度で冷えることがある。
 
【0066】
[0082]  理解されるように、上述したフィーチャのいずれも任意の他のフィーチャと一緒に使用することができ、本出願の対象となるのは、明示的に記載された組み合わせだけではない。
 
【0067】
[0083]  本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。例えば、これは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用誘導及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。こうした代替的な用途に照らして、本明細書で「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ、「基板」又は「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてよいことが、当業者には認識される。本明細書に述べている基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジーツール及び/又はインスペクションツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上及びその他の基板処理ツールに適用することができる。さらに基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
 
【0068】
[0084]  本明細書で使用する「放射」及び「ビーム」という用語は、紫外線(UV)放射(例えば、365nm、248nm、193nm、157nm若しくは126nm、又はこれら辺りの波長を有する)及び極端紫外線(EUV)放射(例えば、5nm〜20nmの範囲の波長を有する)を含むあらゆるタイプの電磁放射を包含する。
 
【0069】
[0085]  「レンズ」という用語は、状況が許せば、屈折及び反射型光学コンポーネントを含む様々なタイプの光学コンポーネントのいずれか一つ、又はその組み合わせを指す。
 
【0070】
[0086]  これまで本発明の特定の実施形態を記載したが、少なくとも本明細書に記載の装置の動作方法の形態については、記載した以外の別の態様で本発明を実施してもよいことを理解されたい。例えば、少なくとも本明細書に記載の装置の動作方法の形態については、本発明の実施形態は、上記のような装置の動作方法を記載する機械読み取り式命令の1つ以上のシーケンスを含む1つ以上のコンピュータプログラム、又は、このようなコンピュータプログラムを内蔵するデータ記憶媒体(例えば半導体メモリ、磁気、又は光ディスク)の形態をとってもよい。さらに、機械読み取り式命令を2つ以上のコンピュータプログラムで実施してもよい。2つ以上のコンピュータプログラムを、1つ以上の異なるメモリ及び/又はデータ記憶媒体に格納してもよい。
 
【0071】
[0087]  1つ以上のコンピュータプログラムがリソグラフィ装置の少なくとも1つのコンポーネント内にある1つ以上のコンピュータプロセッサによって読み出される時に、本明細書に記載するあらゆるコントローラは各々、又は組み合わせて動作可能になる。コントローラは各々、又は組み合わせて、信号を受信、処理、送信するのに適した任意の構成を有する。1つ以上のプロセッサは、コントローラの少なくとも1つと通信するように構成されている。例えば、各コントローラは、上記方法のための機械読み取り式命令を含むコンピュータプログラムを実行する1つ以上のプロセッサを含むことができる。コントローラは、そのようなコンピュータプログラムを記憶するデータ記憶媒体及び/又はそのような媒体を収容するハードウェアを含むことができる。したがって、コントローラは、1つ以上のコンピュータプログラムの機械読み取り式命令に従って動作することができる。
 
【0072】
[0088]  本発明は、幅(例えば直径)が300mm、450mm又はその他の任意のサイズの基板に適用し得る。
 
【0073】
[0089]  本発明の1つ以上の実施形態は、任意の液浸リソグラフィ装置に、特に液浸液が槽の形態で提供されるか、基板の局所的な表面領域のみに提供されるか、基板及び/又は基板テーブル上に閉じ込められないかにかかわらず、上述したタイプに適用することができるが、それに限定されない。閉じ込められない構成では、液浸液は基板及び/又は基板テーブルの表面上に流れることができ、したがって実質的に基板テーブル及び/又は基板の覆われていない表面全体が濡れる。このように閉じ込められていない液浸システムでは、液体供給システムが液浸液を閉じ込めることができない、又はある割合の液浸液閉じ込めを提供することができるが、実質的に液浸液の閉じ込めを完成しない。本発明は非液浸リソグラフィ装置にも適用できる。
 
【0074】
[0090]  本明細書で想定するような液体供給システムは、広義に解釈されたい。特定の実施形態では、これは、液体を投影システムと基板及び/又は基板テーブルの間の空間に提供する機構又は構造の組み合わせでよい。これは、1つ以上の構造、1つ以上の液体入口、1つ以上の気体入口、1つ以上の気体出口、及び/又は液体を空間に提供する1つ以上の液体出口の組み合わせを備えてよい。ある実施形態では、空間の表面が基板及び/又は基板テーブルの一部でよいか、空間の表面が基板及び/又は基板テーブルの表面を完全に覆ってよいか、空間が基板及び/又は基板テーブルを囲んでよい。液体供給システムは任意選択で、液体の位置、量、品質、形状、流量又は任意の他の特徴を制御する1つ以上の要素をさらに含むことができる。
 
【0075】
[0091]  本発明の一態様では、液浸タイプのリソグラフィ装置で使用するセンサであって、センサの使用時に、投影システムの要素に隣接する空間に供給される液浸液に接触する部材と、刺激を電気信号に変換するように構成されたトランスデューサと、温度調節デバイスと、を備え、トランスデューサと温度調節デバイスとの間の第1の熱フロー経路が、トランスデューサと液浸液との間の第2の熱フロー経路よりも小さい熱抵抗を有する、センサが提供される。
 
【0076】
[0092]  トランスデューサを支持部材上に搭載し、支持部材がトランスデューサと温度調節デバイスとの間に熱経路を提供してもよい。支持部材は10W/m.K以上、望ましくは、100W/m.K以上の熱伝導率を有する材料で形成できる。支持部材は、Al、AlN、SiSiC、SiC、Ti、Al−Si及びFeとNiを含有する合金からなるグループから選択される少なくとも1つの材料で形成できる。液浸液に対向する支持部材の面にトランスデューサを搭載できる。センサは、トランスデューサが生成した電気信号を受け取るように構成された電気回路をさらに備えていてもよい。液浸液と反対側の支持部材の面に電気回路を搭載でき、第1の熱フロー経路はさらに電気回路が生成した熱を温度調節デバイスへ伝導する。
 
【0077】
[0093]  トランスデューサは、フォトダイオード、電荷結合素子、カメラ及びCMOSカメラからなるグループから選択される少なくとも1つであってもよい。部材は透明な窓を含んでいてもよい。窓は、約100〜400nmの範囲内の波長を有する紫外放射線を透過させる。不透明なパターン、例えば、格子を透明な窓内又は上に提供できる。
 
【0078】
[0094]  トランスデューサと部材との間にギャップ及び/又は断熱層があってもよい。温度調節デバイスは、その内部に熱伝達媒体を循環させる導管を画定したボディを備えていてもよい。温度調節デバイス及びトランスデューサは非接触式に熱結合していてもよい。
 
【0079】
[0095]  本発明の一態様では、液浸リソグラフィ装置で使用するセンサであって、センサの使用時に、投影システムの要素に隣接する空間に供給される液浸液に接触する部材の表面と、刺激を電気信号に変換するように構成されたトランスデューサと、温度調節デバイスと、を備え、トランスデューサが温度調節デバイスに熱結合し、トランスデューサが部材の表面から熱隔離された、センサが提供される。
 
【0080】
[0096]  本発明の一態様では、液浸リソグラフィ装置で使用するセンサであって、センサの使用時に、投影システムの要素に隣接する空間に供給される液浸液に接触する部材の表面と、刺激を電気信号に変換するように構成されたトランスデューサと、温度調節デバイスと、を備え、トランスデューサが、トランスデューサと部材の表面との熱結合よりも大きい温度調節デバイスとの熱結合を有する、センサが提供される。
 
【0081】
[0097]  本発明の一態様では、液浸リソグラフィ装置で使用するセンサであって、センサの使用時に、投影システムの要素に隣接する空間に供給される液浸液に接触する部材の表面と、刺激を電気信号に変換するように構成されたトランスデューサと、温度調節デバイスと、を備え、トランスデューサが温度調節デバイスからよりも大きい部材表面からの熱隔離を有する、センサが提供される。
 
【0082】
[0098]  本発明のいずれかの態様のセンサは部材の温度を制御するように構成された制御システムをさらに含んでいてもよい。制御システムは、部材の温度を示す温度信号を生成するように構成された温度センサと、熱を生成するように構成された加熱器と、温度信号に応答して加熱器を制御するように構成されたコントローラと、を備えていてもよい。加熱器は、温度調節デバイスとの間で熱を伝達する熱伝達媒体を加熱するように構成できる。加熱器は、温度調節デバイスを加熱するように構成できる。トランスデューサは、コントローラの制御下の加熱器として機能するように構成でき、又はそれを備える。
 
【0083】
[0099]  本発明の一態様では、パターニングデバイスによってパターンを付与されたビームを基板上に投影するように構成された投影システムと、基板を支持するように構成された基板テーブルと、投影システムと基板テーブルとの間の空間に液体を提供するように構成された液体供給システムと、本発明の上記の態様のいずれかに記載のセンサと、を備えるリソグラフィ装置が提供される。
 
【0084】
[00100]  センサは、基板テーブル上に搭載できる。センサは、投影システムに対向する基板テーブルの表面のくぼみ内に搭載できる。センサは、スポットセンサ、エネルギーセンサ、干渉計センサ、画像センサ及び画像センサと干渉計センサとを組み合わせたセンサからなるグループから選択される少なくとも1つのセンサであってもよい。
 
【0085】
[00101]  本発明の一態様では、リソグラフィ装置を使用するデバイス製造方法であって、パターニングデバイスによってパターンが付与されたビームを、投影システムを用いて基板上に投影しながら投影システムと基板との間の空間に液体を提供するステップと、センサに関連する本発明の上記の態様のいずれかに記載のセンサを用いて、リソグラフィ装置又は投影のパラメータを検知するステップと、を含むデバイス製造方法が提供される。
 
【0086】
[00102]  上記の説明は例示的であり、限定的ではない。したがって、請求の範囲から逸脱することなく、記載されたような本発明を変更できることが当業者には明白である。