(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記処理が異なる容器間での検体の移送である場合、移送元となる容器についての前記順序線から移送先となる容器についての前記順序線への前記第2の軸に沿った移送線を、当該処理を表す処理シンボルと関連付けて配置する移送線配置部を有する請求項2に記載のプロトコルチャート作成装置。
前記移送線が配置されている場合において、前記移送元となる容器についての前記移送線より前の処理順序にあたる前記処理シンボル及び前記順序線の少なくともいずれか、及び、前記移送先となる容器についての前記移送線より後の処理順序にあたる前記処理シンボル及び前記順序線の少なくともいずれかを強調表示する強調表示部を有する請求項3に記載のプロトコルチャート作成装置。
前記容器になされる処理が、当該容器の収容量の増加を表す場合、当該処理を表す処理シンボルから当該容器についての前記順序線への前記第2の軸に沿った追加線を配置する追加線配置部を有する請求項2〜4のいずれか1項に記載のプロトコルチャート作成装置。
前記処理判断部は、前記容器になされる処理が、第1の容器から第2の容器へ、前記検体を移送する処理であって、前記第1の容器及び前記第2の容器の少なくともいずれかが複数の容器であるか否かを判断し、
記検体を移送する処理であって、前記第1の容器及び前記第2の容器の少なくともいずれかが複数の容器である場合に、前記第1の容器から前記第2の容器への前記検体の移送規約を示す移送規約シンボルを配置する移送規約シンボル配置部を有する請求項2〜8のいずれか1項に記載のプロトコルチャート作成装置。
前記移送規約シンボルは、前記第1の容器から前記第2の容器への前記検体の移送規約を示すピクトグラムを含む請求項9又は10に記載のプロトコルチャート作成装置。
前記並行処理シンボルは、前記第1の処理と前記第2の処理を同時並行して行うべき区間の始点を示す並行処理始点シンボルと、同区間の終点を示す並行処理終点シンボルを含む請求項12に記載のプロトコルチャート作成装置。
前記場所シンボルは、指定した作業場所で前記処理を行うべき区間の始点を示す場所始点シンボルと、同区間の終点を示す場所終点シンボルを含む請求項14に記載のプロトコルチャート作成装置。
前記第1の軸に沿った方向について、単一の容器についての処理を連続して実行すべき区間を示すシンボルである連続処理シンボルを配置する連続処理シンボル配置部を有する請求項1〜10のいずれか1項に記載のプロトコルチャート作成装置。
前記順序線より分岐し、前記第1の軸に沿った方向に延び、当該順序線に再接続し、前記処理を繰り返し実行することを明示する繰返線を配置する繰返線配置部を有する請求項1〜17のいずれか1項に記載のプロトコルチャート作成装置。
プロトコルチャートに含まれる任意の処理シンボルに対して、コメントを当該処理シンボルに関連付けて配置するコメント配置部を有する請求項1〜19のいずれか1項に記載のプロトコルチャート作成装置。
前記容器の最終状態を表す最終シンボルを、当該容器についての前記順序線の前記初期シンボルと反対側の端部に配置する最終シンボル配置部を有する請求項1〜20のいずれか1項に記載のプロトコルチャート作成装置。
前記プロトコルチャートにより記述される処理に必要なチップ数をカウントするチップカウント部を有する請求項1〜21のいずれか1項に記載のプロトコルチャート作成装置。
前記プロトコルチャートにより記述される処理において行われる前記検体の移送の回数をカウントする移送回数カウント部を有する請求項1〜22のいずれか1項に記載のプロトコルチャート作成装置。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の発明者の見地によれば、これまでのプロトコルの記述は、記述者によってその含まれる情報量や記述方式に大きな差があり、実験者の専門知識や経験、暗黙知に依存する部分が多い。そのため、記述されたプロトコルを不慣れな第三者が見た場合に、その理解に相当の時間を要したり、明示されない部分の解釈によってはその正確な再現に支障をきたす場合があり得、実験において正確でかつ信頼性のある結果を得る障害となり得るものである。
【0031】
そこで、本発明の発明者は、プロトコルを記述する装置を提供することにより、プロトコル記述者のプロトコル記述効率を高め、かつ、記述されたプロトコルを第三者にとっても明確かつ容易に理解できるものとすることで、当該プロトコルによる実験の信頼性及び再現性を向上できることに思い至り、鋭意研究開発を行った結果、新規かつ独創的なプロトコルチャート作成装置等を発明するに至った。以下、かかるプロトコルチャート作成装置等をその実施形態を通じ図面を参照しつつ詳述する。
【0032】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係るプロトコルチャート作成装置1の物理的な構成を示すブロック図である。プロトコルチャート作成装置1自体は、専用の機器であってもよいが、ここでは一般的なコンピュータを使用して実現されている。すなわち、市販のコンピュータにおいて、当該コンピュータをプロトコルチャート作成装置1として動作させるコンピュータプログラムを実行することによりかかるコンピュータをプロトコルチャート作成装置1として使用する。かかるコンピュータプログラムは、一般にアプリケーションソフトウェアの形で提供され、コンピュータにインストールされて使用される。当該アプリケーションソフトウェアは、CD−ROMやDVD−ROMその他のコンピュータ読み取り可能な適宜の情報記録媒体に記録されて提供されてよく、また、インターネット等の各種の情報通信ネットワークを通じて提供されてもよい。あるいは、情報通信ネットワークを通じて遠隔地にあるサーバによりその機能が提供される、いわゆるクラウドコンピューティングにより実現されてもよい。
【0033】
図1に示した構成は、プロトコルチャート作成装置1として用いられる一般的なコンピュータを示しており、CPU(Central Processing Unit)1a、RAM(Random Access Memory)1b、外部記憶装置1c、GC(Graphics Controller)1d、入力デバイス1e及びI/O(Inpur/Output)1fがデータバス1gにより相互に電気信号のやり取りができるよう接続されている。ここで、外部記憶装置1cはHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の静的に情報を記録できる装置である。またGC1dからの信号はフラットパネルディスプレイ等の、使用者が視覚的に画像を認識するモニタ1hに出力され、画像として表示される。入力デバイス1eはキーボードやマウス、タッチパネル等の、ユーザが情報を入力するための機器であり、I/O1fはプロトコルチャート作成装置1が外部の機器と情報をやり取りするためのインタフェースである。
【0034】
図2は、本実施形態に係るプロトコルチャート作成装置1の機能ブロック図である。なお、ここで示した機能ブロックは、プロトコルチャート作成装置1が有する機能に着目して示したものであり、必ずしも各機能ブロックに1対1に対応する物理的構成が存在することを有しない。いくらかの機能ブロックはタイムチャート作成装置1のCPU1a等の情報処理装置が特定のソフトウェアを実行することにより実現され、またいくらかの機能ブロックはタイムチャート作成装置1のRAM1b等の情報記憶装置に特定の記憶領域が割り当てられることにより実現されてよい。
【0035】
プロトコルチャート作成装置1は、ユーザからの各種の入力を受け付ける入力部10と、入力部10により受けつけられた入力に基づいてプロトコルチャートを作成するプロトコルチャート作成部11と、強調表示部23と、作成中及び作成されたプロトコルチャートの電子データを記憶するプロトコルチャート記憶部24と、プロトコルチャート記憶部24に記憶されたプロトコルチャートの電子データを成形しモニタ1hに表示するプロトコルチャート表示部25と、作成されたプロトコルチャートを任意の形式、例えば、PDF(Portable Document Format)形式の電子ファイルや印刷物として出力するプロトコルチャート出力部26とを有する。
【0036】
入力部10は、通常は
図1に示した入力デバイス1eにより構成されるが、プロトコルチャート作成装置1がクラウドコンピューティングに用いられるアプリケーションサーバである場合には、遠隔地にある端末上でのユーザの操作情報が入力されるI/O1fが該当することになる。
【0037】
プロトコルチャート作成部11にはプロトコルチャートを作成するための種々の機能ブロックが含まれる。詳細は後ほどプロトコルチャートの作成手順を説明する際に合わせて説明するが、本実施形態では、プロトコルチャート作成部11には、検体が収容される容器の初期状態を表す初期シンボルを配置する初期シンボル配置部12と、初期シンボルから第1の軸に沿った方向に前記容器に対する処理順序を示す順序線を配置する順序線配置部13と、容器の最終状態を表す最終シンボルを、当該容器についての順序線の初期シンボルと反対側の端部に配置する最終シンボル配置部14と、容器になされる処理を表す処理シンボルを順序線に沿って配置する処理シンボル配置部15と、処理が異なる容器間での検体の移送である場合、移送元となる容器についての順序線から移送先となる容器についての順序線への第2の軸に沿った移送線を、当該処理を表す処理シンボルと関連付けて配置する移送線配置部18と、容器になされる処理が、当該容器の収容量の増加を表す場合、当該処理を表す処理シンボルから当該容器についての順序線への第2の軸に沿った追加線を配置する追加線配置部19と、順序線より分岐し、第1の軸に沿った方向に延び、当該順序線に再接続し、処理を繰り返し実行することを明示する繰返線を配置する繰返線配置部20と、プロトコルチャートに含まれる任意の処理シンボルに対して、コメントを当該処理シンボルに関連付けて配置するコメント配置部21と、異なる容器についての初期シンボル、順序線及び処理シンボルの配置を、第1の軸に交差する第2の軸に沿った方向に離間させる離間部22とが含まれる。
【0038】
また、処理シンボル配置部15には、さらに、容器になされる処理が、当該容器の収容量の変化を表すか否かを判断する処理判断部16と、収容量の変化を表さない場合には、処理シンボルの配置位置を、容器についての順序線上に設定し、収容量の変化を表す場合には、処理シンボルの配置位置を、容器についての順序線から離間した位置に設定する配置位置設定部17とが含まれる。
【0039】
また、強調表示部23は、移送線が配置されている場合において、移送元となる容器についての移送線より前の処理順序にあたる処理シンボル及び順序線の少なくともいずれか、及び、移送先となる容器についての移送線より後の処理順序にあたる処理シンボル及び順序線の少なくともいずれかを強調表示する。この強調表示の詳細は後述するが、入力部10により受け付けられたユーザの指示に基づいて、プロトコルチャート中の必要な部分を強調表示するようにプロトコルチャート表示部25に指示を出すことによりなされる。
【0040】
図3は、本実施形態に係るプロトコルチャート作成装置1により作成されたプロトコルチャートの一例を示す図である。
【0041】
ここで、本明細書において、プロトコルチャートとは、プロトコルを視覚的に理解し得る態様で図示したものをいい、プロトコルとは生化学や生物・生命工学等の分野において検体に対しなされる前処理等の作業手順及び条件を指すものとする。また、検体とは、同分野において実験の対象となる材料をさす。一般には、細胞やDNA等の生体組織の一部であることが多い。また、検体は一般に実験に特に適した器具、例えば、マイクロチューブ(遠枕管)、ペトリ皿(シャーレ)やマイクロプレート(マイクロタイタープレート)に収容されて実験に供されるが、本明細書で単に容器と言えば、実験における検体の収容に適したこれらの器具を指すものとする。
【0042】
また、便宜上、
図3における上下方向に向く軸を第1の軸と称し、第1の軸と交差する軸を第2の軸と称する。第1の軸と第2の軸との交差角度は必ずしも直角でなくともよいが、ここでは第1の軸と第2の軸は直交するものとする。そのため、第2の軸は
図3における左右方向に向く軸である。
【0043】
図3に示すプロトコルチャートは、基本的には、検体を収容する容器の初期状態を示す初期シンボル100と、その容器の最終状態を示す最終シンボル101を第1の軸方向に並べ、両者を初期シンボル100から最終シンボル101に向かう順序線102で第1の軸方向に接続し、順序線102に沿って容器に対しする個別の処理を示す処理シンボル103を配置したものである。
【0044】
ここで、順序線102は、容器に対しなされる処理の順番を意味している。すなわち、容器に対しする処理は、初期シンボル100から最終シンボル101に向かう順序線102に沿って該当する処理シンボル103が配置される順になされるのである。ここでは、順序線102は、処理の順番を示す向きを明示するように矢線となっているが、向きを示す記述方法はどのようなものであってもよく、また、ここではプロトコルチャートの上から下へと処理が行われることが明らかであるから、順序線102は、矢を持たない単なる直線であってもよい。
【0045】
この初期シンボル100と最終シンボル101及び、両者を接続する順序線102からなる組は、実験の過程において一の容器に対しなされる作業過程を示すものである。したがって、実験において複数の容器を用いる場合には、この組が複数プロトコルチャート上に現れることになる。図示のように、異なる容器についての初期シンボル100と最終シンボル101及び、両者を接続する順序線102からなる組は、第2の軸方向に離間して配置される。具体的には、「Dish」と記載された初期シンボル100及び最終シンボル101並びに両者を接続する順序線102と、「Tube」と記載された初期シンボル100及び最終シンボル101並びに両者を接続する順序線102は第2の軸方向にオフセットした位置に配置される。なお、ここで「Dish」はペトリ皿を、「Tube」はマイクロチューブを意味しているが、本実施形態においてプロトコルチャートに記述できる容器がこれらに限定されるものではないことは言うまでもない。
【0046】
また、容器に対してする処理が、容器の収容量の変化を示すものである場合には、その処理を示す処理シンボル103は順序線102から第2の軸方向に離間した位置に配置される。
【0047】
例えば、その処理が容器間における検体の移送である場合には、移送元の容器についての順序線102と移送先の容器についての順序線102の間に処理シンボル103が配置され、また順序線102から順序線103への第2の軸方向に沿った移送線104が配置され、当該処理シンボル103と移送線104とは関連付けられる。この例では、「Dish」から「Tube」への移送がなされるものとして、順序線102と順序線103を第2の軸方向に接続する移送線104が配置され、移送線104上に移送を示す「TRANSFER」と記載された処理シンボル103が配置されている。移送線104は、検体の移送方向を明示するものとなっており、ここでは、矢線とすることによりその移送方向を示している。もちろん、移送方向を示す記述方法は矢線に限らずどのようなものであってもよい。このように移送線104を配置することで、どの容器からどの容器へ検体を移送すればよいのかが明確となり、したがって、各処理の段階において、容器がいくつ必要で、その容器の中に何が収容されているのか、そして、その収容物はどこから来たのか等を、プロトコルチャートの作成者のみならず第三者にとっても容易かつ確実に把握できる。
【0048】
また、その処理が容器に対する試薬を追加する等、収容量の増加を表す場合には、かかる容器についての順序線102に向けて第2の軸方向に沿った追加線105が配置され、順序線102と第2の軸方向に離間された位置に配置された処理シンボル103とが追加線105により接続される。この例では、追加を意味する「ADD」と記載された処理シンボル103と「Tube」についての順序線102とが追加線105により第2の軸方向に接続されている。追加線105についても、容器に対する追加であることを明示すべく、順序線102に向く矢線となっている。ただし、方向を示す記述方法は特に限定されず、また、接続線105を矢を持たない単なる直線としてもよい。このように追加線105を配置することで、どの容器に対して試料を追加すればよいのかが明瞭に示される。
【0049】
このように、容器の収容量の変化を示す処理を示す処理シンボル103を順序線102から離間することにより、単純に容器そのものに対しすればよい処理に対し、容器に対して何らかの物質の授受がある処理を区別して明示できる。特に、容器から容器への移送と、容器への試薬の追加との両者については、容器の収容量の変化を示す処理を示すものとして、処理シンボル103が順序線102から離間されているので、別途の容器や試薬を用意する必要性を、直感的かつ迅速に第三者に把握させることが可能である。したがって、プロトコルチャートの解釈時に、これらの処理に対する注意喚起を促すことが可能となり、特に試薬の取り違いや検体の移送間違い等の致命的なミスを大幅に低減することができる。
【0050】
なお、ここでは容器の収容量の変化を示す処理として移送と追加の2つを上げたが、その他の処理、たとえば収容物の一部廃棄をする処理等をさらに記述できるようにしてもよい。
【0051】
また、同じ処理を繰り返し行う場合には、順序線102から繰返線106を引き出して必要な処理を繰り返し行うことを明示する。ここでは、繰返線106は、順序線102から分岐して第2の軸方向に延び、第1の軸方向、ここでは上方向に折れ曲がって延び、さらに第2の軸方向に折れ曲がって順序線102に再接続するように描かれており、繰返線106の脇には繰り返し回数である「2」が記されている。繰返線106についても向きを示す矢線で記述されているが、方向を示す記述方法は特に限定されない。このように繰返線106を配置することにより、同じ処理が複数回実行される場合に、冗長な記載を排し簡潔で明瞭な記載が可能である。
【0052】
以上の説明を踏まえ、
図3に例示したプロトコルチャートがどのように解釈されるかを以下に説明する。
【0053】
まず、プロトコルチャート中、最上段に記載された「Dish」と記載された初期シンボル100に注目する。初期シンボル100は注目する容器の初期状態を示しており、その左側に記載された「Dish」は既に述べたとおりペトリ皿を、右側に記載された「CO2 incubator」は、かかるペトリ皿が保管されている機器を示しており、ここでは、炭酸ガス雰囲気培養恒温器である。したがって、この初期シンボル100は、炭酸ガス雰囲気培養恒温器中に保管された、恐らくは何らかの細胞等の生体組織が培養されているペトリ皿を用意することを示す。
【0054】
処理は順序線102に従って行われる。続いての処理は「Wash」と記載された処理シンボル103で表される処理である。この処理シンボル103の左側は処理の種類を、右側は処理の条件を示している。ここで、「Wash」は細胞洗浄を意味しており、「PBS,1000[μl]」は、細胞洗浄にリン酸緩衝生理食塩水1000μlを用いることを意味している。この細胞洗浄は、繰返線106にしたがって、2回行われる。
【0055】
続いて「SCRAPE」と記載された処理シンボル103であらわされる処理を行う。この処理はいわゆるスクレープであり、ヘラでペトリ皿の底を掻き取り、ペトリ皿に密着した細胞等の検体を剥ぎ取る作業を示している。このように、処理によっては条件の記述を必要としないものもある。
【0056】
さらに、「TRANSFER」と記載された処理シンボル103で表される処理を行うが、この処理は容器間での検体の移送を意味しているため、その前に移送先の容器を用意しておかなければならない。このことは、「Tube」と記載された初期シンボル100が移送線104より上側に配置されていることから明らかである。したがって、あらかじめチューブ棚(「Tube Rack」)からマイクロチューブを用意しておく。このマイクロチューブは空である。
【0057】
そして、ペトリ皿から、マイクロチューブに200μlを移送する。この作業は一般的なマイクロピペット等を使用すればよい。
【0058】
検体が移送された後のペトリ皿は、順序線102に従い、「Dish」と記載された最終シンボル101で表される最終状態におかれる。ここでは、中央部に記載された「DISCARD」はペトリ皿を廃棄する操作を、右側に記載された「Dust Box」はその廃棄先を示している。すなわち、ペトリ皿は廃棄ボックスに廃棄される。
【0059】
一方、マイクロチューブについては、さらに順序線102に従い、「ADD」と記載された処理シンボル103の右側に記載された条件の通り、細胞溶解緩衝液を1000μl追加する。
【0060】
さらに、「MIX」と記載された処理シンボル103で表される処理を行うが、この処理は内容物の撹拌を意味しており、また処理条件として記載されている「Vortex,5[s]」はいわゆるボルテックスミキサーで5秒間の処理を行うことを意味している。
【0061】
そして最後に、マイクロチューブを「Tube」と記載された最終シンボル101で表される最終状態に置く。ここでは、「PUT」は機器への保管を意味しているので、マイクロチューブは4℃の恒温槽に入れられ保管されることになる。
【0062】
以上のように、本実施形態に係るプロトコルチャートによれば、容器ごとの処理は第1の軸方向に沿って表され、異なる容器は第2の軸方向に離間して示されるから、どの種類の容器をどれだけ用意すればよいのか、また、各容器に対しどのような順番で処理を行えばよいのかが明確に、且つ、視覚的に直ちに理解可能な態様で示される。さらには、各処理の条件は、処理ごとに明確に示される。したがって、この形式でプロトコルを記述した場合には、実験者の個人的な専門知識や経験、暗黙知の多寡に左右されることがないから、実験の信頼性及び再現性を向上でき、また実験者にとり理解が容易となる。特に、技量が低く及び経験の浅い実験者は、一連の処理を検体に対しするものというよりは、検体が収容された容器に着目して行う傾向があるが、本プロトコルチャートは、そのような実験者にとっても容易かつ明確に作業を把握できるものということができる。
【0063】
なお、本実施形態では各容器について最終シンボル101を必須のものとして示した。最終シンボル101が配置されている場合には、各容器を最終的にどのように取り扱えばよいかが明確であるため最終シンボル101を配置することが望ましいためである。しかしながら、例えば、廃棄されるなど、各容器の最終状態があらかじめ明らかであるなど特定の場合にはこの記述を省略してもよい。
【0064】
また、
図3に示したプロトコルチャートのように、処理シンボル103は、第1の軸上の位置が重なり合わないように、すなわち、処理シンボル103は第2の軸に沿った方向には常に1つのみ配置されるようにすることが望ましい。このようにすれば、単一の容器についてのみならず、複数の容器を取り扱う実験全体において、各処理をどの順番で行えばよいのかが明確になる。すなわち、プロトコルチャートの第1の軸方向に沿って、ここでは、上から下に向かって順番に処理シンボル103に記載された処理を行えばよいのである。
【0065】
なお、これに換えて、処理シンボル103を第1の軸上の位置が重なり合うように配置することを許容してもよい。この場合、処理シンボル103は第2の軸に沿った方向に重なり合って配置される場合が生じるが、かかる処理シンボル103間の処理の実行順序をあらかじめ定めておく。例えば、第2の軸に沿った特定の方向の順、具体的には、プロトコルチャート上で左から右の順について処理を実行するものと定めておけば、処理シンボル103の実行順序は一意に定まる。
【0066】
以上のプロトコルチャートは、プロトコルの記述者が手書きで記述することも可能であるが、
図1、
図2にて説明したプロトコルチャート作成装置1を用いて作成するとその記述が容易である他、作成されたプロトコルチャートの編集を行うことができる等、プロトコルを記述する上での生産性が著しく向上する。
【0067】
以降、
図4〜
図7を参照して、プロトコルチャート作成装置1を用いたプロトコルチャートの作成手順を説明する。
【0068】
まず、
図4に示すように、プロトコルチャート作成装置1のモニタ1h上に表示された作業画面上にペトリ皿についての初期シンボル100を配置するものとする。この操作は、入力部10における所定の操作、例えば、画面上の任意の位置をポイントして表示されるプルダウンメニュー或いはダイアログボックスから容器を選択したり、図示しないメニューバーより初期シンボル追加のメニューを選択することにより行われてよい。
【0069】
その結果、かかる操作に基づいて初期シンボル配置部12により「Dish」と記載された初期シンボル100が画面上に配置される。この段階では、ペトリ皿の初期状態は不明であるため、初期シンボル100の右側は「?」が表示され、入力がまだ行われていないことが示されている。
【0070】
さらに、本実施形態に係るプロトコルチャート作成部11は、初期シンボル100を配置した際に、自動的に、順序線配置部13により順序線102及び、最終シンボル配置部14により最終シンボル101が配置されるようになっている。最終シンボル101についても、ペトリ皿の最終状態は不明であるため、その中央部及び右側は「?」が表示され、入力がまだ行われていないことが示されている。
【0071】
この初期シンボル100や、最終シンボル101への必要な情報の追加は、該当するシンボルをポイントし、直接キーボードなどを用いて情報を入力するか、表示されるプルダウンメニューやダイアログボックスに所定の情報を入力することによりなされてよい。
【0072】
このようにプロトコルチャート作成部11により作成されるプロトコルチャートを示すデータは随時プロトコルチャート記憶部24に記憶され、プロトコルチャート表示部25により最新の状態がモニタ1hに表示される。
【0073】
図5は、「Dish」についての初期シンボル100及び最終シンボル101に必要な情報を追加し、さらに、処理シンボル103を追加した状態を示している。処理シンボル103の追加は、所定の操作、例えば、順序線102上の任意の点をポイントして表示されるプルダウンメニュー或いはダイアログボックスから入力可能な処理を選択することにより行われてよい。
【0074】
その結果、かかる操作に基づいて処理シンボル配置部15により処理シンボル100が画面上に配置される。このとき、処理シンボル配置部15は、処理判断部16により、選択された処理が容器の収容量の変化を表すものであるか否かを判断する。本実施形態では、容器の収容量の変化を表す処理は移送と追加の2つであるから、それ以外のものについては、図示のように、処理シンボル103を順序線102に沿って並べて配置する。各処理シンボル103について必要な情報は初期シンボル100や最終シンボル101の場合と同様に後ほど入力する。
【0075】
さらに、続いて新たな容器であるマイクロチューブについての初期シンボル100を追加した状態が
図6である。この追加は、先述したペトリ皿の場合と同様に、入力部10における所定の操作によりマイクロチューブを選択することにより行われ、その結果、これらの処理に基づいた初期シンボル配置部12と順序線配置部13により、「Tube」と記載された初期シンボル100と最終シンボル101及び順序線102が配置される。
【0076】
このとき、マイクロチューブについての各シンボルは、ペトリ皿とは異なる容器についてのシンボルとなる。このように、既に配置されているシンボルについての容器とは異なる容器についてのシンボルを配置する場合、離間部22はそのシンボルの配置位置を既に配置されているシンボルから第2の軸方向に所定の距離だけ離間して配置するよう初期シンボル配置部12、順序線配置部13、最終シンボル配置部14及び処理シンボル配置部15に指令する。その結果、「Tube」と記載された初期シンボル100と最終シンボル101及び順序線102の組は、図示のように、「Dish」と記載された初期シンボル100についての組に対し、第2の軸方向に離間して配置される。この離間距離については特に限定はされないが、異なる容器についてのシンボル同士が重なり合わない程度の距離とすることが望ましい。かかる距離はあらかじめ定めておいてもよいし、ユーザが任意に設定できるようにしてもよい。なお、ここでは、ペトリ皿とは異なる容器としてマイクロチューブを例示しているが、容器の種類が異なる必要はなく、同一種類の容器であっても、異なる容器であれば同様の配置が行われる。
【0077】
図7は、「Tube」についても必要な情報及び、処理シンボル103を配置した状態を示している。ここで、ペトリ皿からマイクロチューブへの検体の移送処理(
図3の「TRANSFER」と記載された処理シンボル103)を記述することを考える。この操作は、例えば、まず、移送元となるペトリ皿をしめす「Dish」についての順序線102の移送処理を行いたい場所をポイントして、表示されるプルダウンメニュー等から「TRANSFER」を選択し、続いて、移送先となるマイクロチューブを示す「Tube」についての順序線102を選択することによりなされる。
【0078】
この操作を受けて、処理シンボル配置部15はまず、処理判断部16により、選択された処理が容器の収容量の変化を表すものであるか否かを判断する。この場合は容器の収容量の変化を表す処理に該当するから、処理シンボル配置部15は配置位置設定部17により、配置しようとする処理シンボル103の配置位置を最初にポイントされた順序線102、すなわち、移送元となる容器についての順序線102から離間させた位置とする。この離間距離については、配置しようとする処理シンボル103が順序線102と重なり合わないような距離とすることが望ましい。例えば、配置しようとする処理シンボル103が第2の軸方向に隣接する順序線102の間に配置される場合、当該順序線102の中央に配置してよい。あるいは、処理シンボル103の大きさを考慮して、離間しようとする順序線に近い所定の距離だけ離間するとよい。かかる距離はあらかじめ定めておいてもよいし、ユーザが任意に設定できるようにしてもよい。
【0079】
さらに、移送線配置部18が、移送元となる順序線102から移送先となる順序線102への移送線104を配置する。このとき、移送についての処理シンボル103と移送線106は関連付けられ、この例は移送線104上に処理シンボル103が配置される(
図3参照)。必要な情報、例えば移送量は後から入力される。
【0080】
マイクロチューブへの試薬等の追加処理(
図3の「ADD」と記載された処理シンボル103)を記述する場合も同様であり、その操作は、例えば、追加先となるマイクロチューブを示す「Tube」についての順序線102の追加処理を行いたい場所をポイントして、表示するプルダウンメニュー等から「ADD」を選択することによりなされる。
【0081】
この場合も処理シンボル配置部15の処理判断部16により、選択された処理が容器の収容量の変化を表すものであると判断され、配置位置設定部17により処理シンボル103の配置位置が順序線102から離間された位置に設定される。この結果、処理シンボル配置部15により追加についての処理シンボル103が順序線102から離間した位置に配置され、また、追加線配置部19によりかかる処理シンボル103と順序線102とを接続する追加線105が配置される。
【0082】
以上のように各処理シンボル103を配置するにあたっては、処理シンボル配置部15は、処理シンボル103同士が重なり合うことが無いよう、一の容器に対しなされる処理が複数ある場合に、当該処理を表す処理シンボル103を順序線102に沿って、所定の間隔をあけて並べるように自動的に第1の軸方向の位置を調整して配置するようになっている。また、複数の処理シンボル103が第2の軸方向に重なり合わないように、各処理シンボル103の第1の軸方向の位置は自動で調整され、第2の軸方向に沿った方向には多くとも1の処理シンボル103のみが配置される。なお、このときに初期シンボル100や最終シンボル101の位置、順序線102の長さを同時に自動で調整するようにしてもよい。
【0083】
さらに、繰返し処理(
図3の繰返線106)を記述することを考える。この操作は、例えば、順序線102の任意の位置、ここでは、「WASH」と記載された処理シンボル103と「SCRAPE」と記載された処理シンボル103の間の位置をポイントし、メニュー等から繰返しを選択した後、繰返し処理の戻り位置及び繰り返し回数を指定することによりなされてよい。この操作を受けて、繰返線配置部20は、
図3に示された繰返線106及び繰り返し回数を画面上に配置する。
【0084】
以上の操作により、
図3に示したプロトコルチャートの記述がなされる。ここで示したプロトコルチャート作成装置1を用いたプロトコルチャートの作成では、異なる容器についての初期シンボル100、最終シンボル101、順序線102及び処理シンボル103の第2の軸方向への離間配置や、処理シンボル103の第1の軸方向の配置位置の調整が自動でなされるから、プロトコルチャートの作成が簡便かつ効率よく可能である。
【0085】
さらに、プロトコルチャート作成装置1のプロトコルチャート作成部11は、コメント配置部21を有しており、プロトコルチャートに適宜コメントを配置することができる。
【0086】
図8は、コメントが配置されたプロトコルチャートの例を示す図である。図中、付番107で示されたコメントは特定のシンボル、ここでは「Dish」についての初期シンボル100についてのコメントであり、付番108で示されたコメントは特定のシンボルとは紐付けられておらず、プロトコルチャート全体についてなされたコメントである。
【0087】
コメント107を配置する操作は、例えば、コメント107を付したいシンボル(ここでは「Dish」についての初期シンボル100)を選択し、メニュー等からコメントを選択することによりなされてよい。この操作を受けて、コメント配置部21は、指定されたシンボルに関連付けてコメント107を配置する。この関連付けは、この例では、コメント107を示す吹き出しの引き出し線により明示されている。コメント107の内容は、コメント107を付す際、又は付した後からキーボード等を用いて入力すればよい。なお、コメント107を付すことのできるシンボルは、ここで挙げた初期シンボル100はもちろん、最終シンボル103、処理シンボル103が含まれる。さらに、順序線102、移送線104、追加線105及び繰返線106に対してもコメント107を付すことができてよい。
【0088】
これに対し、コメント108を配置する操作は、プロトコルチャートが表示されている画面の、シンボル等が何も表示されていない背景の任意の地点をポイントし、表示されるメニューよりコメントを選択することによりなされてよい。この場合のコメント108は、特定のシンボル等に関連づけられることなく、プロトコルチャート全体に対しなされたものとして取り扱われる。
【0089】
このように、コメントを付すことにより、標準で用意されている初期シンボル100、処理シンボル103及び最終シンボル101等には記載しきれない実験についての特殊な条件や留意点、その他の情報をプロトコルチャートに付すことができるため、これを活用することにより実験の信頼性及び再現性をさらに向上できる。また、特定のシンボルについてのコメントは該当するシンボルに関連付けて配置されるから、実験者は、付されたコメントがどの手順に対しなされたものなのかを直ちに把握できる。
【0090】
また、プロトコルチャート作成装置1は、プロトコルチャート上での検体の処理の流れを簡便に確認できるように表示する機能を有している。この表示は、例えばプロトコルチャートに含まれる任意の初期シンボル100、終了シンボル101又は処理シンボル103を入力部10により選択することにより、強調表示部23により行われる。
【0091】
この表示の目的は、
図9に示すように、実験開始から終了までの特定の検体に対しなされる処理の流れを視覚的にわかりやすく示すことにある。同図では、「Dish」と記載された初期シンボル100で示されるペトリ皿に収容された検体になされる処理の道筋がハイライト表示されている(同図では、太線で示した)。
【0092】
この処理は、強調表示部23により次のようになされる。まず、選択された初期シンボル100、終了シンボル101又は処理シンボル103についての順序線102について移送線104が配置されている場合、その移送元となる容器についての移送線104より前の処理順序にあたる処理シンボル103、順序線102、初期シンボル100をハイライト表示させ、移送先となる容器についての移送線104より後の処理順序にあたる処理シンボル103、順序線102及び最終シンボル101をハイライト表示させる。
【0093】
この処理の結果、
図9に示したように、「Dish」についての初期シンボル100から移送線104までの順序線102及び処理シンボル103、移送線104から「Tube」についての最終シンボル101までの順序線102及び処理シンボル103がハイライト表示され、ペトリ皿に収容された検体が最終的にマイクロチューブに収容されて恒温槽に保管されるまでの処理の流れが明瞭になる。
【0094】
この例では、移送線104も合わせてハイライト表示するようにした。また、移送線104が複数配置されている場合には、それぞれの移送線104について検体の処理の経路をたどっていき、同様の処理を行えばよい。なお、ここではハイライト表示を順序線102並びに処理シンボル103、初期シンボル100及び最終シンボル101のいずれにも施すようにしたが、このいずれか、すなわち、順序線102のみをハイライト表示してもよいし、処理シンボル103、初期シンボル100及び最終シンボル101についてのみハイライト表示するようにしてもよい。
【0095】
図10は、プロトコルチャートを作成する際のプロトコルチャート作成装置1のプロトコルチャート作成部11の動作を示す第1のフローチャートである。
【0096】
プロトコルチャート作成部11は、まず、ステップST1にてユーザからの指示が入力部10により受け付けられるのを待つ。ユーザからの指示があるとステップST2へと進み、その指示の種別を判別し、以降は指示の種別に応じた処理を実行する。
【0097】
ユーザからの指示が、新規に容器を選択するものである場合、ステップST3へと進む。ステップST3では、離間部22により、すでに別の容器がプロトコルチャート中に記載されている場合に(すなわち、新規に選択された容器が既存の容器と異なる容器である場合に)、ステップST4へと進み、以降のシンボルの配置位置を離間させる。
【0098】
いずれにしても制御はステップST5以降へと進み、初期シンボル配置部12による初期シンボルの配置(ステップST5)、順序線配置部13による順序線の配置(ステップST6)及び最終シンボル配置部14による最終シンボルの配置(ステップST7)を行い、再びST1へと戻り、さらなるユーザからの指示を待つ。
【0099】
ユーザからの指示が、処理を追加するものである場合、ステップST8へと進む。ステップST8では、処理判断部16により、選択された処理が容器の収容量を変化させるものであるか否かが判断される。当該処理が収容量を変化させないものである場合には、ステップST9にて、処理シンボル配置部15により処理シンボルが配置され、制御をステップST1へと戻し、さらなるユーザからの指示を待つ。
【0100】
当該処理が収容量を変化させるものである場合には、ステップST10へと進み、配置位置設定部17により、配置しようとする処理シンボルの配置位置を順序線から離間させる。続くステップST11にて、順序線から離間した位置に処理シンボル配置部15により処理シンボルが配置される。
【0101】
さらにステップST12で、追加された処理が検体の移送であるのか、試薬等の追加であるのかを判断し、移送の場合には、ステップST13にて移送線配置部18により移送線を配置し、追加の場合には、ステップST14にて追加線配置部19により追加線を配置する。いずれの場合であっても、その後制御をステップST1へと戻し、さらなるユーザからの指示を待つ。
【0102】
ユーザからの指示が、処理の繰り返しを指定するものである場合、ステップST15へと進み、ユーザからの指示に従って繰返線配置部20により繰返線を配置する。その後は、制御をステップST1へと戻し、さらなるユーザからの指示を待つ。
【0103】
ユーザからの指示が、コメントの追加を指示するものである場合、ステップST16へと進む。ステップST16では、当該指示が、特定のシンボルを指定してコメントを追加するものであるか否かを判断する。特定のシンボルを指定しない指示の場合、ステップST17へと進み、コメント配置部21により、プロトコルチャート全体に対するコメント(
図8におけるコメント108)を配置する。一方、特定のシンボルを指定してする指示の場合には、ステップST18へと進み、コメント配置部21により、指定されたシンボルに関連付けてコメント(
図8におけるコメント107)を配置する。いずれの場合であっても、その後制御をステップST1へと戻し、さらなるユーザからの指示を待つ。
【0104】
[第2の実施形態]
図11は、本発明の第2の実施形態に係るプロトコルチャート作成装置1の機能ブロック図である。本実施形態に係るプロトコルチャート作成装置1は、第1の実施形態に係るプロトコルチャート作成装置1の有する機能を示すブロック、すなわち、入力部10、プロトコルチャート作成部11、初期シンボル配置部12、順序線配置部13、最終シンボル配置部14、処理シンボル配置部15、処理判断部16、配置位置設定部17、移送線配置部18、追加線配置部19、繰返線配置部20、コメント配置部21、離間部22、強調表示部23、プロトコルチャート記憶部24、プロトコルチャート表示部25、及びプロトコルチャート出力部26を有する。本実施形態に係るプロトコルチャート作成装置1は、それらに加えて、さらに、容器数シンボル配置部27、第2配置位置設定部28、並行処理シンボル配置部29、連続処理シンボル配置部30、場所シンボル配置部31、移送規約シンボル配置部32、チップカウント部33、及び移送数カウント部34を有する。
【0105】
容器数シンボル配置部27は、初期シンボルが複数の容器に対応することを表す容器数シンボルを、初期シンボルに関連付けて配置する。また、容器数シンボル配置部27には、第2配置位置設定部28が機能的に含まれる。第2配置位置設定部28は、容器数シンボルの配置位置を、初期シンボルに基づいた位置に設定する。具体的に、第2配置位置設定部28は、容器数シンボルの配置位置を、初期シンボルと重なる位置に設定することができる。
【0106】
並行処理シンボル配置部29は、1の容器に対する第1の処理と同時並行して、他の容器に対する第2の処理を行うことを表す並行処理シンボルを配置する。連続処理シンボル配置部30は、第1の軸に沿った方向について、単一の容器についての処理を連続して実行すべき区間を示すシンボルである連続処理シンボルを配置する。場所シンボル配置部31は、容器に対する処理を行う場所を表す場所シンボルを、当該処理を表す処理シンボルに関連付けて配置する。
【0107】
移送規約シンボル配置部32は、処理シンボル配置部15に機能的に含まれる処理判断部16による判断を受けて、第1の容器から第2の容器への検体の移送規約を示す移送規約シンボルを配置する。具体的に、処理判断部16は、容器になされる処理が、第1の容器から第2の容器へ、前記検体を移送する処理であって、第1の容器及び第2の容器の少なくともいずれかが複数の容器であるか否かを判断する。移送規約シンボル配置部32は、処理シンボルで表される処理が、検体を移送する処理であって、第1の容器及び第2の容器の少なくともいずれかが複数の容器である場合に、移送規約シンボルを配置する。移送規約シンボル配置部32は、処理判断部16による判断結果と、プロトコルチャート記憶部24に記憶されたプロトコルチャートとを入力として受け付けて、移送規約シンボルが付加されたプロトコルチャートをプロトコルチャート記憶部24に出力する。
【0108】
チップカウント部33は、プロトコルチャートにより記述される処理に必要なチップ数をカウントする。ここで、チップとは、ピペットの吸引端側に装着され、液体を保持する、いわゆるピペットチップを意味する。チップは、コンタミネーションを防止する観点から、ピペットの操作ごと(ピペットによるチップへの溶液の吸引、及び放出の操作ごと)に使い捨てされる場合が多い。
【0109】
移送数カウント部34は、プロトコルチャートにより記述される処理において行われる検体の移送の回数をカウントする。検体の移送の回数とは、移送処理が行われる回数である。
【0110】
図12は、本実施形態に係るプロトコルチャート作成装置1により作成されたプロトコルチャートの第1の例を示す図である。第1の例におけるプロトコルチャートは、「Tube」の初期シンボル100で表されるマイクロチューブをチューブ棚(「Tube Rack」)から取り出し、作業位置に用意し、処理Aと、処理Bとを行った後、当該マイクロチューブを4℃の恒温槽に保管するプロトコルを表す。ここで、処理Aは条件A(「Condition A」)のもとで行われる任意の処理であり、処理Bは条件B(「Condition B」)のもとで行われる任意の処理である。本例、及び以下に説明する第2〜10の例では、説明を簡明にするため、移送処理以外の処理について具体的な内容は例示せず、処理A及び処理Bとしてプロトコルチャートを記載する。
【0111】
第1の例では、初期シンボル100に関連付けて、容器数シンボル109が配置される。容器数シンボル109は、初期シンボル100が複数の容器に対応することを表す。容器数シンボル109は、対応する容器の数を含む。具体的に、
図12に示す容器数シンボル109は、「×2」という文字を含み、初期シンボル100が2つの容器に対応することを明示している。容器数シンボル109は、一例として、「×N」(Nは1以上の自然数)という形式で示され、初期シンボル100がN個の容器に対応することを表すことができる。容器数シンボル109が関連付けられた初期シンボルは、複数の同種類の容器に対応することを表す。第1の例の場合、容器数シンボル109が関連付けられた初期シンボル100は、2本の同種類のマイクロチューブに対応することを表す。
【0112】
第1の例では、2本のマイクロチューブについて、それぞれ処理Aと、その後処理Bとが行われ、2本のマイクロチューブはそれぞれ4℃の恒温槽に保管される。ここで、マイクロチューブの用意、処理A、処理B、及びマイクロチューブの保管、という4つの操作を2本のマイクロチューブについてそれぞれ行う場合、これらの処理をどのような順番で行うのかは、プロトコルチャートの解釈に依存する。そして、プロトコルに基づく実験の結果は、プロトコルに含まれる処理の実行順序の影響を受ける可能性がある。すなわち、容器数シンボル109に含むプロトコルチャートに基づいて、信頼性及び再現性の高い実験結果を得るためには、かかるプロトコルチャートの解釈、すなわち、処理の実行順を一意に定めておく必要があると考えられる。ここで示すプロトコルチャートでは、以下に説明する2つの規約に従ってプロトコルチャートを解釈することにより、容器数シンボル109を含むプロトコルチャートの解釈を一意に決定する。
【0113】
かかる2つの規約の1つである、第1の規約は、原則として、処理シンボル103により表記された処理は、処理シンボル103の配置位置に基づいてその実行順序が定められるという規約である。ここでの実行順序は、先の実施形態で示した場合と同様、処理シンボル103の第1の軸上の位置に基づいて定められ、また、処理シンボル103が第1の軸上の位置が重なり合うように配置されている場合には、第2の軸上の位置に基づいて定められる。この例では、プロトコルチャート上において上から下へと、また、上下の位置が同じ処理シンボル103に対しては左から右へとその処理が実行される。
【0114】
第2の規約は、容器数シンボル109により複数の容器であることが示されている場合、原則として、一の処理シンボル103により表記された処理を、必要数の容器に対し順番に実行するという規約である。このことは、仮に、複数の容器に通し番号を付けたとすれば、その通し番号順に処理を実行することを意味している。したがって、プロトコルチャートを解釈するにあたっては、後述する例外的な取り扱いを除き、処理シンボル103の位置に基づいて処理の実行順を定め、当該処理を必要な容器数だけ繰返すものと理解すればよい。
【0115】
この2つの規約は、容器数シンボル109に含むプロトコルチャートが、容器数シンボル109が付された初期シンボル100についてのシンボルの組を、容器数分だけ、第2の方向に離間して並べたプロトコルチャートと等価であることを意味している。例えば、
図13に示すプロトコルチャートは、「Tube1」についてのシンボルの組と、「Tube2」についてのシンボルの組とを、第2の軸に沿った方向に離間して、第1の軸に沿った方向について同じ位置に配置したものであり、
図12に示す第1の例のプロトコルチャートと等価である。
図13では、第1の例において容器数シンボル109により複数の容器であることが示されていた初期シンボル100が、2つの単独の容器についての初期シンボル100に分離されて(すなわち、展開されて)示されている。処理シンボル103や最終シンボル101は、各初期シンボル100について同一である。
【0116】
プロトコルチャートに示された処理の順は上述した通り、シンボルの第1の軸上の位置に基づいて定められ、また、第1の軸上の位置が重なり合うように配置されているシンボルについては、第2の軸上の位置に基づいて定められる。ここでは、上から下、また、上下の位置が同じシンボルに対しては左から右の順となるから、
図13のプロトコルチャートでは、はじめに、「Tube1」を作業位置に用意し、その後、「Tube2」を作業位置に用意する。そして、次に行われる処理は、「Tube1」についての処理Aであり、その後、「Tube2」について同じく処理Aを行う。さらに、「Tube1」についての処理B、「Tube2」についての処理Bの順で行い、「Tube1」を4℃の恒温槽に保管し、最後に「Tube2」を4℃の恒温槽に保管する順となる。
図12のプロトコルチャートは
図13のプロトコルチャートと等価であるから、
図12のプロトコルチャートに基づく処理も全く同様の手順となる。
【0117】
このように、容器数シンボル109を用いることにより、複数の容器に関するプロトコルが簡潔に記述され、またその処理の手順も一意に定めることができる。また、容器数シンボル109が「×N」等の表示を含み、対応する容器数を表すので、プロトコルにおいて処理すべき容器の数が明示され、理解が容易である。
【0118】
本実施形態において、容器数シンボル109は、初期シンボル100と重畳する位置に配置される。しかし、容器数シンボル109の配置位置は、これに限られない。第2配置位置設定部28は、プロトコルチャート作成装置1の使用者による入力に応じて、又は予め入力された情報に応じて、容器数シンボル109の配置位置を設定する。第2配置位置設定部28は、例えば、容器数シンボル109を、初期シンボル100の内側に配置することとしてもよい。また、容器数シンボル109を、初期シンボル100から離間した位置に配置して、容器数シンボル109と、当該容器数シンボル109が関連付けられた初期シンボル100とを、接続線で結ぶこととしてもよい。いずれの場合であっても、容器数シンボル109と初期シンボル100の関連付けが明示され、視覚的に関連が把握できる。
【0119】
図14は、本発明の第2の実施形態に係るプロトコルチャート作成装置1により作成されたプロトコルチャートの第2の例を示す図である。第2の例が示すプロトコルは、ペトリ皿について処理Aを行った後、内容物100μlをマイクロチューブに移送し、ペトリ皿は廃棄し、マイクロチューブについて処理Bを行い、当該マイクロチューブを4℃の恒温槽に保管することを表す。ここで、ペトリ皿の用意を表す「Dish」の初期シンボル100には「×3」の文字を含む容器数シンボル109が関連付けられている。当該容器数シンボル109は、同種類のペトリ皿3つについて、同じ処理を行うことを表す。また、マイクロチューブの用意を表す「Tube」の初期シンボル100には「×3」の文字を含む容器数シンボル109が関連付けられている。当該容器数シンボル109は、同種類のマイクロチューブ3つについて、同じ処理を行うことを表す。
【0120】
本例のプロトコルチャートは、移送処理を表す処理シンボル103を含む。移送処理を表す処理シンボル103には、移送数シンボル110が関連付けられている。移送数シンボル110は、第1の容器であるペトリ皿の数(3つ)と、第2の容器であるマイクロチューブの数(3つ)とを含む。具体的に、移送数シンボル110は、「3:3」という文字を含み、移送元の容器の数を左側に、移送先の容器の数を右側に表している。このように、移送処理を表す処理シンボル103に移送数シンボル110を関連付けて配置することで、移送回数や移送手順が明示される。
【0121】
移送処理を表す処理シンボル103には、第1のピクトグラム111aが関連付けられている。第1のピクトグラム111aは、紙面の左から右に向かって伸びる3本の矢印を示す記号である。第1のピクトグラム111aは、第1の容器である3つのペトリ皿から、第2の容器である3つのマイクロチューブへ、検体を移送する場合の移送規約を簡明に示すものである。以下、移送規約の説明のため、3つのペトリ皿を、第1〜3のペトリ皿と称し、3つのマイクロチューブを第1〜3のマイクロチューブと称することとする。本例の場合、第1のピクトグラム111aは、第1のペトリ皿から第1のマイクロチューブへ100μlの検体を移送し、第2のペトリ皿から第2のマイクロチューブへ100μlの検体を移送し、第3のペトリ皿から第3のマイクロチューブへ100μlの検体を移送する移送規約を意味する。このように、移送処理を表す処理シンボル103にピクトグラムを関連付けて配置することで、移送規約を視覚的かつ直観的に把握できる。なお、ピクトグラムが表す記号は、単に移送規約を示すものであるから、プロトコルチャートに記載された容器数と必ずしも一致しなくてもよい。例えば、第1の容器数が5であり、第2の容器数が5である場合であっても、第1のピクトグラム111aは、3本の矢印からなる記号であってよい。もっとも、プロトコルチャートに記載された容器数に応じて、ピクトグラムを変化させることとしてもよい。
【0122】
第1のピクトグラム111aに示す移送規約は、第1の容器数が2以上であり、第2の容器数が2以上であって、かつ、第1の容器数と第2の容器数とが等しい場合に適用できる。プロトコルチャート作成装置1は、複数の容器について移送処理を表す処理シンボル103が配置された場合、第1の容器の数と第2の容器の数とを参照して、第1の容器数が2以上であり、第2の容器数が2以上であって、かつ、第1の容器数と第2の容器数とが等しければ、第1のピクトグラム111aを、当該処理シンボル103に関連付けて配置することとしてよい。
【0123】
移送数シンボル110及び第1のピクトグラム111aは、移送規約シンボルである。移送規約シンボルは、移送数シンボル110及び第1のピクトグラム111a等により、複数の容器についての移送処理の規約を明示する。なお、移送規約シンボルは移送処理を表す処理シンボル103に関連付けて配置され、その配置位置は配置位置設定部17により設定されてよい。本例において、移送数シンボル110及び第1のピクトグラム111aは、移送処理を表す処理シンボル103に重ねて配置されているが、処理シンボル103の内部に収まるように配置してもよいし、処理シンボル103と離間して配置し、接続線で結ぶこととしてもよい。第3〜7の例に示す移送数シンボル110、及び第2〜6のピクトグラムについても同様である。また、移送数シンボル110及び第1のピクトグラム111aの両方が必ずしも配置されずともよく、いずれか片方であってもよいし、初期シンボル100に対し付された容器数シンボル109より移送規約が一意に定まる場合、この両方を省略して配置しないこととしてもよい。しかしながら、プロトコルチャートの解釈において誤解の危険を低減し、またその理解を容易にする観点からは、移送数シンボル110及び第1のピクトグラム111aの少なくともいずれか、好ましくはその両方が配置されていることが望ましい。以下に示す例についても同様である。なお、本例と、以下に説明する第3〜7の例における移送規約は例示にすぎず、本実施形態に係るプロトコルチャート作成装置1は、これら以外の移送規約をプロトコルチャート上に示してもよい。
【0124】
図15は、本発明の第2の実施形態に係るプロトコルチャート作成装置1により作成されたプロトコルチャートの第3の例を示す図である。第3の例が示すプロトコルは、ペトリ皿について処理Aを行った後、内容物100μlをマイクロチューブに移送し、ペトリ皿は廃棄し、マイクロチューブについて処理Bを行い、4℃の恒温槽に保管することを表す。ここで、ペトリ皿の用意を表す「Dish」の初期シンボル100には「×1」の文字を含む容器数シンボル109が関連付けられている。当該容器数シンボル109は、単一のペトリ皿について、処理を行うことを表す。また、マイクロチューブの用意を表す「Tube」の初期シンボル100には「×3」の文字を含む容器数シンボル109が関連付けられている。当該容器数シンボル109は、同種類のマイクロチューブ3つについて、同じ処理を行うことを表す。
【0125】
本例のプロトコルチャートは、移送処理を表す処理シンボル103を含む。移送処理を表す処理シンボル103には、移送数シンボル110が関連付けられている。移送数シンボル110は、第1の容器であるペトリ皿の数(1つ)と、第2の容器であるマイクロチューブの数(3つ)とを含む。具体的に、移送数シンボル110は、「1:3」という文字を含み、移送元の容器の数を左側に、移送先の容器の数を右側に表している。このように、移送処理を表す処理シンボル103に移送数シンボル110を関連付けて配置することで、移送回数や移送手順を知ることができる。
【0126】
移送処理を表す処理シンボル103には、第2のピクトグラム111bが関連付けられている。第2のピクトグラム111bは、紙面の左側に配置された1点から紙面の右側の3点に向かって分散するように伸びる3本の矢印を示す記号である。第2のピクトグラム111bは、第1の容器である1つのペトリ皿から、第2の容器である3つのマイクロチューブへ、検体を移送する場合の移送規約を簡明に示すものである。本例の場合、第2のピクトグラム111bは、単一のペトリ皿から第1のマイクロチューブ、第2のマイクロチューブへ、及び第3のマイクロチューブへ、それぞれ検体を分配して移送する移送規約を意味する。ここで、分配の方法は、原則として等分配とするが、分配の割合を別途示すようにしてもよい。このように、移送処理を表す処理シンボル103にピクトグラムを関連付けて配置することで、移送規約を視覚的かつ直観的に把握できる。
【0127】
第2のピクトグラム111bに示す移送規約は、第1の容器数が1であり、かつ、第2の容器数が2以上である場合に適用できる。プロトコルチャート作成装置1は、複数の容器について移送処理を表す処理シンボル103が配置された場合、第1の容器の数と第2の容器の数とを参照して、第1の容器数が1であり、かつ、第2の容器数が2以上であれば、第2のピクトグラム111bを、当該処理シンボル103に関連付けて配置することとしてよい。
【0128】
図16は、本発明の第2の実施形態に係るプロトコルチャート作成装置1により作成されたプロトコルチャートの第4の例を示す図である。第4の例が示すプロトコルは、ペトリ皿について処理Aを行った後、内容物100μlをマイクロチューブに移送し、ペトリ皿は廃棄し、マイクロチューブについて処理Bを行い、4℃の恒温槽に保管することを表す。ここで、ペトリ皿の用意を表す「Dish」の初期シンボル100には「×3」の文字を含む容器数シンボル109が関連付けられている。当該容器数シンボル109は、同種類のペトリ皿3つについて、同じ処理を行うことを表す。また、マイクロチューブの用意を表す「Tube」の初期シンボル100には「×1」の文字を含む容器数シンボル109が関連付けられている。当該容器数シンボル109は、単一のマイクロチューブについて、処理を行うことを表す。
【0129】
本例のプロトコルチャートは、移送処理を表す処理シンボル103を含む。移送処理を表す処理シンボル103には、移送数シンボル110が関連付けられている。移送数シンボル110は、第1の容器であるペトリ皿の数(3つ)と、第2の容器であるマイクロチューブの数(1つ)とを含む。具体的に、移送数シンボル110は、「3:1」という文字を含み、移送元の容器の数を左側に、移送先の容器の数を右側に表している。このように、移送処理を表す処理シンボル103に移送数シンボル110を関連付けて配置することで、移送回数や移送手順を知ることができる。
【0130】
移送処理を表す処理シンボル103には、第3のピクトグラム111cが関連付けられている。第3のピクトグラム111cは、紙面の左側に配置された3点から紙面の右側の1点に向かって集約するように伸びる3本の矢印を示す記号である。第3のピクトグラム111cは、第1の容器である3つのペトリ皿から、第2の容器である1つのマイクロチューブへ、検体を移送する場合の移送規約を簡明に示すものである。本例の場合、第3のピクトグラム111cは、第1〜3のペトリ皿から100μlずつ、単一のマイクロチューブへ計300μlの検体を集約する移送規約を意味する。このように、移送処理を表す処理シンボル103にピクトグラムを関連付けて配置することで、移送規約を視覚的かつ直観的に把握できる。
【0131】
第3のピクトグラム111cに示す移送規約は、第1の容器数が2以上であり、かつ、第2の容器数が1である場合に適用できる。プロトコルチャート作成装置1は、複数の容器について移送処理を表す処理シンボル103が配置された場合、第1の容器の数と第2の容器の数とを参照して、第1の容器数が2以上であり、かつ、第2の容器数が1であれば、第3のピクトグラム111cを、当該処理シンボル103に関連付けて配置することとしてよい。
【0132】
図17は、本発明の第2の実施形態に係るプロトコルチャート作成装置1により作成されたプロトコルチャートの第5の例を示す図である。第5の例が示すプロトコルは、ペトリ皿について処理Aを行った後、内容物100μlをマイクロチューブに移送し、ペトリ皿は廃棄し、マイクロチューブについて処理Bを行い、4℃の恒温槽に保管することを表す。ここで、ペトリ皿の用意を表す「Dish」の初期シンボル100には「×3」の文字を含む容器数シンボル109が関連付けられている。当該容器数シンボル109は、同種類のペトリ皿3つについて、同じ処理を行うことを表す。また、マイクロチューブの用意を表す「Tube」の初期シンボル100には「×2」の文字を含む容器数シンボル109が関連付けられている。当該容器数シンボル109は、同種類のマイクロチューブ2つについて、同じ処理を行うことを表す。
【0133】
本例のプロトコルチャートは、移送処理を表す処理シンボル103を含む。移送処理を表す処理シンボル103には、移送数シンボル110が関連付けられている。移送数シンボル110は、第1の容器であるペトリ皿の数(3つ)と、第2の容器であるマイクロチューブの数(2つ)とを含む。具体的に、移送数シンボル110は、「3:2」という文字を含み、移送元の容器の数を左側に、移送先の容器の数を右側に表している。このように、移送処理を表す処理シンボル103に移送数シンボル110を関連付けて配置することで、移送回数や移送手順を知ることができる。
【0134】
移送処理を表す処理シンボル103には、第4のピクトグラム111dが関連付けられている。第4のピクトグラム111dは、紙面の左側に配置された3点から中央の1点に向かって集約するように伸びる3本の矢印と、当該中央の1点から紙面の右側に配置された3点に向かって分散するように伸びる3本の矢印とを示す記号である。第4のピクトグラム111dは、第1の容器である3つのペトリ皿から、第2の容器である2つのマイクロチューブへ、検体を移送する場合の移送規約を簡明に示すものである。本例の場合、第4のピクトグラム111dは、第1〜3のペトリ皿から100μlずつの検体を単一の中間容器(例えばビーカー)へ集約した後、300μlの検体を中間容器から第2の容器である第1及び2のマイクロチューブへ分配する移送規約を意味する。中間容器は、複数の第1の容器に納められた検体を全て格納できる程度の大きさのものであればどのようなものでも構わないし、単一の容器ではなく複数の容器であってもよい。また、中間容器から複数の第2の容器へ検体を分配する方法は、プロトコルチャートの第3の例で説明した方法を採用することとしてよい。すなわち、原則として等分配することとするが、移送量を第2の容器の数で割り切れる量に制限することとしてもよいし、分配の割合をユーザが設定できることとしてもよく、中間容器から移送される量を、中間容器に収容された処理対象の90%量等、全量に対して一定程度少ない量としてもよい。このように、移送処理を表す処理シンボル103にピクトグラムを関連付けて配置することで、移送規約を視覚的かつ直観的に把握できる。
【0135】
第4のピクトグラム111dに示す移送規約は、第1の容器数が2以上であり、かつ、第2の容器数が2以上である場合に適用できる。また、第4のピクトグラム111dに示す移送規約は、第1の容器数が2以上であり、かつ、第2の容器数が2以上であって、第1の容器数と第2の容器数とが互いに素である場合にも適用できる。プロトコルチャート作成装置1は、複数の容器について移送処理を表す処理シンボル103が配置された場合、第1の容器の数と第2の容器の数とを参照して、第1の容器の数と第2の容器の数とが互いに素であれば、第4のピクトグラム111dを、当該処理シンボル103に関連付けて配置することとしてよい。
【0136】
図18は、本発明の第2の実施形態に係るプロトコルチャート作成装置1により作成されたプロトコルチャートの第6の例を示す図である。第6の例が示すプロトコルは、ペトリ皿について処理Aを行った後、内容物100μlをマイクロチューブに移送し、ペトリ皿は廃棄し、マイクロチューブについて処理Bを行い、4℃の恒温槽に保管することを表す。ここで、ペトリ皿の用意を表す「Dish」の初期シンボル100には「×3」の文字を含む容器数シンボル109が関連付けられている。当該容器数シンボル109は、同種類のペトリ皿3つについて、同じ処理を行うことを表す。また、マイクロチューブの用意を表す「Tube」の初期シンボル100には「×2」の文字を含む容器数シンボル109が関連付けられている。当該容器数シンボル109は、同種類のマイクロチューブ2つについて、同じ処理を行うことを表す。
【0137】
本例のプロトコルチャートは、移送処理を表す処理シンボル103を含む。移送処理を表す処理シンボル103には、移送数シンボル110が関連付けられている。移送数シンボル110は、第1の容器であるペトリ皿の数(3つ)と、第2の容器であるマイクロチューブの数(2つ)とを含む。具体的に、移送数シンボル110は、「3:2」という文字を含み、移送元の容器の数を左側に、移送先の容器の数を右側に表している。このように、移送処理を表す処理シンボル103に移送数シンボル110を関連付けて配置することで、移送回数や移送手順を知ることができる。
【0138】
移送処理を表す処理シンボル103には、第5のピクトグラム111eが関連付けられている。第5のピクトグラム111eは、紙面の左側に配置された2点それぞれから、紙面の右側に配置された2点に向かって伸びる4本の矢印を示す記号である。第5のピクトグラム111eは、第1の容器である3つのペトリ皿から、第2の容器である2つのマイクロチューブへ、検体を移送する場合の移送規約を簡明に示すものである。本例の場合、第5のピクトグラム111eは、第1〜3のペトリ皿それぞれから100μlの検体を、第2の容器である第1及び2のマイクロチューブへ検体を分配する移送規約を意味する。各第1の容器から、複数の第2の容器へ検体を分配する方法は、プロトコルチャートの第3の例で説明した方法を採用することとしてよい。すなわち、原則として等分配することとする。具体的に、本例の場合、第1のペトリ皿から第1及び2のマイクロチューブへ、50μlずつ検体を移送し、第2のペトリ皿から第1及び2のマイクロチューブへ、50μlずつ検体を移送し、第3のペトリ皿から第1及び2のマイクロチューブへ、50μlずつ検体を移送することとしてもよい。その結果、各マイクロチューブには、150μlの検体が収容されることとなる。その他、ユーザの指定により、複数の移送先の容器それぞれへの移送量を異ならせることとしてもよい点等は先の例と同様である。このように、移送処理を表す処理シンボル103にピクトグラムを関連付けて配置することで、移送規約を視覚的かつ直観的に把握できる。
【0139】
第5のピクトグラム111eに示す移送規約は、第1の容器数が2以上であり、かつ、第2の容器数が2以上である場合に適用できる。プロトコルチャート作成装置1は、複数の容器について移送処理を表す処理シンボル103が配置された場合、第1の容器の数と第2の容器の数とを参照して、第1の容器数が2以上であり、かつ、第2の容器数が2以上であれば、第5のピクトグラム111eを、当該処理シンボル103に関連付けて配置することとしてよい。
【0140】
図19は、本発明の第2の実施形態に係るプロトコルチャート作成装置1により作成されたプロトコルチャートの第7の例を示す図である。第7の例が示すプロトコルは、ペトリ皿について処理Aを行った後、内容物100μlをマイクロチューブに移送し、ペトリ皿は廃棄し、マイクロチューブについて処理Bを行い、4℃の恒温槽に保管することを表す。ここで、ペトリ皿の用意を表す「Dish」の初期シンボル100には「×3」の文字を含む容器数シンボル109が関連付けられている。当該容器数シンボル109は、同種類のペトリ皿3つについて、同じ処理を行うことを表す。また、マイクロチューブの用意を表す「Tube」の初期シンボル100には「×6」の文字を含む容器数シンボル109が関連付けられている。当該容器数シンボル109は、同種類のマイクロチューブ6つについて、同じ処理を行うことを表す。
【0141】
本例のプロトコルチャートは、移送処理を表す処理シンボル103を含む。移送処理を表す処理シンボル103には、移送数シンボル110が関連付けられている。移送数シンボル110は、第1の容器であるペトリ皿の数(3つ)と、第2の容器であるマイクロチューブの数(6つ)とを含む。具体的に、移送数シンボル110は、「3:6」という文字を含み、移送元の容器の数を左側に、移送先の容器の数を右側に表している。このように、移送処理を表す処理シンボル103に移送数シンボル110を関連付けて配置することで、移送回数や移送手順を知ることができる。
【0142】
移送処理を表す処理シンボル103には、第6のピクトグラム111fが関連付けられている。第6のピクトグラム111fは、紙面の左側に配置された2点それぞれから、紙面の右側に配置された4点のうち2点に向かって、各2本ずつ伸びる矢印を示す記号である。第6のピクトグラム111fは、第1の容器である3つのペトリ皿から、第2の容器である6つのマイクロチューブへ、検体を移送する場合の移送規約を簡明に示すものである。本例の場合、第6のピクトグラム111fは、第1〜3のペトリ皿それぞれから100μlの検体を、第2の容器である第1〜6のマイクロチューブへ分配する移送規約を意味する。第6のピクトグラム111fの示す移送規約は、単一の第1の容器と複数の第2の容器との組について、それぞれ検体を分配する移送規約である。各第1の容器から、複数の第2の容器へ検体を分配する方法は、プロトコルチャートの第3の例で説明した方法を採用することとしてよい。すなわち、原則として等分配することとする。具体的に、本例の場合、第1のペトリ皿から第1及び2のマイクロチューブへ50μlずつ検体を分配し、第2のペトリ皿から第3及び4のマイクロチューブへ50μlずつ検体を分配し、第3のペトリ皿から第5及び6のマイクロチューブへ50μlずつ検体を分配することとしてよい。その他、移送量が第2の容器の数で割り切れない場合、移送量を第2の容器の数で割り切れる量に制限することとしてもよいし、複数の第2の容器それぞれへの移送量を異ならせることとしてもよい。このように、移送処理を表す処理シンボル103にピクトグラムを関連付けて配置することで、移送規約を視覚的かつ直観的に把握できる。
【0143】
第6のピクトグラム111fに示す移送規約は、第1の容器数が2以上であり、第2の容器数が2以上であって、第2の容器数が第1の容器数より大きく、かつ、第2の容器数が第1の容器数の倍数である場合に適用できる。プロトコルチャート作成装置1は、複数の容器について移送処理を表す処理シンボル103が配置された場合、第1の容器数が2以上であり、第2の容器数が2以上であって、第2の容器数が第1の容器数より大きく、かつ、第2の容器数が第1の容器数の倍数であれば、第6のピクトグラム111fを、当該処理シンボル103に関連付けて配置することとしてよい。
【0144】
図20は、本発明の第2の実施形態に係るプロトコルチャート作成装置1により作成されたプロトコルチャートの第8の例を示す図である。第8の例のプロトコルチャートは、2つのマイクロチューブについて、処理A及び処理Bを行った後、それぞれ4℃の恒温槽に格納するプロトコルを表す。
【0145】
本例では、処理A及びBを表す2つの処理シンボル103が、連続処理シンボル112である枠で囲まれている。本例の場合、連続処理シンボル112は、破線で示される枠である。連続処理シンボル112は、単一の容器についての処理を連続して実行すべき区間を示す。また、連続処理シンボル112は、連続して実行すべき処理を示す処理シンボル112を囲う枠である。連続処理シンボル112は、連続して実行されるべき処理シンボル103を囲うことで、当該処理シンボル103が単一の容器(本例の場合単一のマイクロチューブ)について連続して実行すべきものであることを明示できる。すなわち、連続処理シンボル112は、先に述べた、プロトコルチャートに示された処理の順を定める原則となる2つの規約に対する、例外的な取り扱いを指示するものである。
【0146】
本例では、初期シンボル100に関連付けて、容器数シンボル109が配置される。本例の容器数シンボル109は、「×2」という文字を含み、初期シンボル100が2つの容器に対応することを明示している。そして、連続処理シンボル112により処理A及び処理Bが囲まれているため、単一の容器について処理A及び処理Bは連続で行い、かかる連続処理の終了後、次の容器に対する処理を行うものと解釈される。したがって、
図20に示すプロトコルチャートと等価なプロトコルチャートを展開して示すと、
図21に示すようになる。
【0147】
すなわち、連続処理シンボル112で囲まれた複数の処理シンボル103(本例では、処理Aを表す処理シンボル103及び処理Bを表す処理シンボル103)は、第1の軸に沿った方向についてそれぞれ離間して、また、容器の番号が下るにつれて、プロトコルチャート上で下方に配置されることになる。
【0148】
このように、容器数シンボル109と連続処理シンボル112とを用いることにより、連続して実行すべき処理を明示しつつ、複数の容器に関するプロトコルを簡潔に記述することができる。連続処理シンボル112を用いることにより、容器数が増すほどプロトコルチャートが第1の軸に沿った方向について長大となることを防止でき、複数の容器について連続して実行すべき処理を含むプロトコルであっても、簡潔で読み取りやすいプロトコルチャートが得られる。
【0149】
図22は、本発明の第2の実施形態に係るプロトコルチャート作成装置1により作成されたプロトコルチャートの第9の例を示す図である。第9の例のプロトコルチャートは、1の容器である単一のマイクロチューブについて、第1の処理である撹拌処理(「MIX」で表される処理)を行い、当該撹拌処理と同時並行して、他の容器である8つのマイクロチューブそれぞれについて、第2の処理である処理A及びB、並びに4℃の恒温槽への格納処理を行うプロトコルを表す。
【0150】
本例では、単一のマイクロチューブに対する撹拌処理と同時並行して、他の8つのマイクロチューブに対する処理A及びB、並びに格納処理を行うことを表す並行処理シンボルが配置される。並行処理シンボルは、並行処理始点シンボル113と、並行処理区間シンボル114と、並行処理終点シンボル115とを含む。並行処理始点シンボル113は、第1の処理である撹拌処理と、第2の処理である処理A及びBとを同時並行して行うべき区間の始点を示す。並行処理始点シンボル113は、第1の処理が、攪拌機による1時間の撹拌処理であること(「Vortex, 1[h]」)を表示する。並行処理始点シンボル113は、第1の軸に沿った方向について、処理Aの処理シンボル103と比較して、初期シンボル100側に離間して配置される。これにより、並行処理始点シンボル113は、並行処理が行われるべき区間の始点を明示する。
【0151】
並行処理区間シンボル114は、第1の軸に沿った方向について、第1の処理と第2の処理を同時並行して行うべき区間を示す。本例では、並行処理区間シンボル114は、破線による枠で表され、第1の軸に沿った方向について一定の範囲を占める。8つのマイクロチューブに関する処理Aの処理シンボル103、処理Bの処理シンボル103、及び最終シンボル101は、第2の軸に沿った方向について並行処理区間シンボル114と離間して、第1の軸に沿った方向について並行処理区間シンボル114が占める範囲に配置される。これにより、処理A及びB、並びに格納処理は、撹拌処理と同時並行して行うべき並行処理であることが明示される。なお、本例では、並行処理区間シンボル114は破線による枠で表されるが、並行処理区間シンボル114の表し方はこれに限られない。例えば、第1の軸に沿った方向について延伸し、順序線102と区別できる態様で表される装飾線であってもよい。又は、並行処理区間シンボル114を表示しないこととして、並行処理始点シンボル113及び並行処理終点シンボル115によって、第1の処理と第2の処理を同時並行して行うべき区間を示すこととしてもよい。この場合、並行処理始点シンボル113と並行処理終点シンボル115とは、順序線102で接続されていればよい。
【0152】
並行処理終点シンボル115は、第1の処理である撹拌処理と、第2の処理である処理A及びBとを同時並行して行うべき区間の終点を示す。並行処理終点シンボル115は、第1の処理の内容が、攪拌機による1時間の撹拌処理であること(「Vortex, 1[h]」)を表示する。なお、第1の処理の内容の表示は、並行処理始点シンボル113又は並行処理終点シンボル115のいずれか一方に含まれていればよい。また、第1の処理の内容の表示は、並行処理始点シンボル113、並行処理区間シンボル114、又は並行処理終点シンボル115のいずれかに関連付けて行われればよい。並行処理終点シンボル115は、第1の軸に沿った方向について、8つのマイクロチューブの格納処理を表す最終シンボル101と比較して、単一のマイクロチューブの最終シンボル101側に離間して配置される。これにより、並行処理終点シンボル115は、並行処理が行われるべき区間の終点を明示する。
【0153】
図23は、本発明の第2の実施形態に係るプロトコルチャート作成装置1により作成されたプロトコルチャートの第10の例を示す図である。第10の例のプロトコルチャートは、単一のマイクロチューブについて、処理A及びBをマグネットラック(「Mag Rack」)上で行い、その後当該マイクロチューブを4℃の恒温槽に格納するプロトコルを表す。マグネットラック上に置かれた容器には一定の方向に磁力が働き、容器の内容物は、磁力により引き寄せられる成分と、引き寄せられない成分とに分離される。そのように容器の内容物を複数の成分に分離しつつ、処理を行う場合に処理を行う場所としてマグネットラックが選ばれる。
【0154】
場所シンボルは、場所始点シンボル116と、場所終点シンボル117とを含み、容器に対する処理を行う場所を表し、当該処理を表す処理シンボル103に関連付けて配置される。本例の場合、場所始点シンボル116と場所終点シンボル117は、容器に対する処理を行う場所を、「Mag Rack」の文字により示す。また、場所始点シンボル116と場所終点シンボル117は、処理Aの処理シンボル103、処理Bの処理シンボル103とそれぞれ順序線102により接続されることで、作業場所が指定される処理シンボル103との関連付けが行われる。また、場所シンボルは、第1の軸に沿った方向について、指定した作業場所で処理を行うべき区間を示す。本例の場合、場所始点シンボル116と場所終点シンボル117は、第1の軸に沿った方向について、作業場所が指定される処理シンボルである処理A及びBの処理シンボル103を挟み込む位置に配置される。これにより、特定の場所で実行すべき処理が明示される。
【0155】
場所始点シンボル116は、指定した作業場所で処理を行うべき区間の始点を示す。本例の場合、場所始点シンボル116は、処理Aを表す処理シンボル103よりも、第1の軸に沿った方向について、初期シンボル100側に配置される。また、場所終点シンボル117は、指定した作業場所で処理を行うべき区間の終点を示す。本例の場合、場所終点シンボル117は、処理Bを表す処理シンボル103よりも、第1の軸に沿った方向について、最終シンボル101側に配置される。このため、第1の軸に沿った方向について、処理A及びBの処理シンボル103は、場所始点シンボル116と場所終点シンボル117とに挟まれるように配置されることとなり、処理A及びBは特定の場所ですべき作業であることが明示される。
【0156】
図24は、プロトコルチャートを作成する際のプロトコルチャート作成装置1のプロトコルチャート作成部11の動作を示す第2のフローチャートである。
【0157】
プロトコルチャート作成部11は、まず、ステップST20にてユーザからの指示が入力部10により受け付けられるのを待つ。ユーザからの指示があるとステップST21へと進み、その指示の種別を判別し、以降は指示の種別に応じた処理を実行する。
【0158】
ユーザからの指示が、容器数を入力するものである場合、ステップST22へと進む。ステップST22では、ユーザからの指示に従って初期シンボルが選択されることで、容器の選択が行われる。続くステップST23では、第2配置位置設定部28により、容器数シンボルの配置位置が設定される。さらにステップST24では、容器数シンボル配置部27により、選択された初期シンボルに関連付けて容器数シンボルが配置される。その後制御をステップST20へと戻し、さらなるユーザからの指示を待つ。
【0159】
ユーザからの指示が、特殊処理(並行処理、又は連続処理)を追加するものである場合、ステップST25へと進む。ステップST25では、ユーザにより追加される特殊処理が並行処理であるか、又は連続処理であるかが判断される。追加される特殊処理が並行処理である場合には、ステップST26にて、並行処理シンボル配置部29により並行処理始点シンボルが配置される。さらに、ステップST27にて、並行処理シンボル配置部29により並行処理終点シンボルが配置される。ここで、並行処理始点シンボルと並行処理終点シンボルとの間に並行処理区間シンボルを配置してもよい。その後制御をステップST20へと戻し、さらなるユーザからの指示を待つ。
【0160】
追加される特殊処理が連続処理である場合には、ステップST28へと進み、ユーザからの指示に従って、単一の容器について処理を連続して実行すべき区間が指定される。続くステップST29にて、連続処理シンボル配置部30により、連続処理シンボルが配置される。その後制御をステップST20へと戻し、さらなるユーザからの指示を待つ。
【0161】
ユーザからの指示が、作業場所を指定するものである場合、ステップST30へと進み、場所シンボル配置部31により、場所始点シンボルが配置される。続くステップST31では、場所シンボル配置部31により、場所終点シンボルが配置される。その後、制御をステップST20へと戻し、さらなるユーザからの指示を待つ。
【0162】
図25は、プロトコルチャートを作成する際のプロトコルチャート作成装置1のプロトコルチャート作成部11の動作を示す第3のフローチャートである。
【0163】
プロトコルチャート作成部11は、まず、ステップST40にて、処理判断部16により、入力された処理が、第1の容器から第2の容器へ検体を移送する処理であるか否かを判断する。処理が移送処理を表すものでなかった場合、再び処理が入力されるのを待つ。
【0164】
入力された処理が移送処理である場合、ステップST41へと進む。ステップST41では、処理判断部16により、移送元の容器である第1の容器の数が、2以上であるか否かが判断される。第1の容器数が2以上である場合、ステップST42へと進み、処理判断部16により、移送先の容器である第2の容器の数が2以上であるか否かが判断される。第2の容器数が2以上でない場合、すなわち第2の容器数が1である場合、ステップST43へと進む。
【0165】
ステップST43では、移送規約シンボル配置部32により、移送数シンボル及びピクトグラムの配置位置が設定される。その後、ステップST44にて、移送規約シンボル配置部32により、移送数シンボルが配置され、ステップST45にて、移送規約シンボル配置部32により、第3ピクトグラムが配置される。その後制御をステップST40へと戻し、さらなる処理の入力を待つ。
【0166】
第1の容器数が2以上であり、かつ、第2の容器数が2以上である場合、ステップST46へと進む。ステップST46では、移送規約シンボル配置部32により、移送数シンボル及びピクトグラムの配置位置が設定され、ステップST47にて、移送数シンボルが配置される。その後、ステップST48では、処理判断部16により、第1の容器数と第2の容器数とが等しいか否かが判断される。第1の容器数と第2の容器数とが等しい場合、移送規約シンボル配置部32により、第1ピクトグラムが配置される。その後制御をステップST40へと戻し、さらなる処理の入力を待つ。
【0167】
第1の容器数と第2の容器数とが等しくない場合、ステップST50へと進み、移送規約シンボル配置部32により、第4〜6のピクトグラムのうちいずれかが配置される。その後制御をステップST40へと戻し、さらなる処理の入力を待つ。ここで、いずれのピクトグラムが配置されるかは、ユーザの指示に従って決定することとしてよい。あるいは、第4〜6のピクトグラムのいずれかを選択すべきかの優先順位をあらかじめ定めておき、かかる優先順位に従って決定してもよい。かかる優先順位は、ユーザにより設定できることが好ましい。
【0168】
ステップST41において、処理判断部16により、移送元の容器である第1の容器の数が2以上でないと判断される場合、すなわち第1の容器の数が1である場合、ステップST51へと進む。ステップ51では、処理判断部16により、移送先の容器である第2の容器の数が2以上であるか否かが判断される。第2の容器数が2以上でない場合、すなわち第2の容器数が1である場合、第1の容器数と第2の容器数がともに1であるため、移送規約シンボルの配置を行わず、制御をステップ40に戻し、さらなる処理の入力を待つ。
【0169】
第2の容器数が2以上である場合、ステップST52へと進み、移送規約シンボル配置部32により、移送数シンボル及びピクトグラムの配置位置が設定される。さらに、ステップST53にて、移送数シンボルが配置される。その後、ステップST54では、移送規約シンボル配置部32により、第2ピクトグラムが配置される。その後制御をステップST40へと戻し、さらなる処理の入力を待つ。
【0170】
以上説明した各実施形態の構成は具体例として示したものであり、本明細書にて開示される発明をこれら具体例の構成そのものに限定することは意図されていない。当業者はこれら開示された実施形態に種々の変形、例えば、機能や操作方法の変更や追加等を加えてもよく、また、第1〜3のフローチャートに示した制御は、同等の機能を奏する他の制御に置き換えてもよい。本明細書にて開示される発明の技術的範囲は、そのようになされた変形をも含むものと理解すべきである。
検体が収容される容器の初期状態を表す初期シンボルを配置する初期シンボル配置部(12)と、前記初期シンボルから第1の軸に沿った方向に前記容器に対する処理順序を示す順序線を配置する順序線配置部(13)と、前記容器になされる処理を表す処理シンボルを、前記順序線に沿って配置する処理シンボル配置部(15)であって、一の容器に対しなされる処理が複数ある場合に、当該処理を表す前記処理シンボルを前記順序線に沿って並べて配置する処理シンボル配置部(15)と、異なる容器についての前記初期シンボル、前記順序線及び前記処理シンボルの配置を、前記第1の軸に交差する第2の軸に沿った方向に離間させる離間部(22)と、を有するプロトコルチャート作成装置。