(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
6つのメインフィードスルー導体および3つの補助フィードスルー導体を含み、それらは、3つの単相電力供給源にフィードスルーするために前記第1タイプの3つの連結導体によっておよび2つの三相電力供給源にフィードスルーするために前記第2タイプの2つの連結導体によって連結できる一方、前記導電性シールド、前記連結導体および前記補助フィードスルー導体を介して各電力供給源に対してコモンモード帰還信号パスも提供するように構成される、請求項1に記載のフィードスルー接続。
前記電力供給源と前記伝送ケーブルの各々および前記コモンモード信号帰還導体との間にチョークを含み、前記チョークは、あらゆるコモンモードコンポーネントが前記コモンモード信号帰還導体によって運ばれるように前記コモンモード電流のパスを制御するように動作可能である、請求項4〜6のうちのいずれか1項に記載のアクチュエータシステム。
前記チョークの相互インダクタンスは前記チョークの自己インダクタンスと実質的に同等であり、前記チョークの前記インダクタンスは、前記システム内に含まれる前記ケーブルの合計インダクタンスより少なくとも一桁高い、請求項7に記載のアクチュエータシステム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0021] 本明細書は、本発明の特徴を組み込んだ1つ以上の実施形態を開示する。開示される(1つ以上の)実施形態は、本発明を例示するにすぎない。本発明の範囲は開示される(1つ以上の)実施形態に限定されない。本発明は添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0015】
[0022] 記載される(1つ以上の)実施形態、および「一実施形態」、「実施形態」、「例示的実施形態」などへの本明細書における言及は、記載される(1つ以上の)実施形態が特定の特徴、構造または特性を含むことができるが、それぞれの実施形態が必ずしも特定の特徴、構造または特性を含まないことを示す。さらに、そのようなフレーズは、必ずしも同じ実施形態に言及するものではない。さらに、一実施形態に関連して特定の特徴、構造または特性について記載している場合、明示的に記載されているか記載されていないかにかかわらず、そのような特徴、構造、または特性を他の実施形態との関連で実行することが当業者の知識にあることが理解される。
【0016】
[0023] 本発明の実施形態はハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアまたはその任意の組合せで実施することができる。本発明の実施形態は、1つ以上のプロセッサで読み取り、実行することができる機械読取可能媒体に記憶した命令としても実施することができる。機械読取可能媒体は、機械(例えば計算デバイス)で読取可能な形態で情報を記憶するかまたは伝送する任意の機構を含むことができる。例えば、機械読取可能媒体はリードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、電気、光、音響または他の形態の伝搬信号(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号など)およびその他のものを含むことができる。さらに、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令を、本明細書では特定の行為を実行するものとして記述することができる。しかしながら、そのような記述は便宜的なものにすぎず、そのような行為は実際には計算デバイス、プロセッサ、コントローラ、またはファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令などを実行する他のデバイスの結果であることを認識されたい。
【0017】
[0024] そのような実施形態をより詳細に記載する前に、本発明の実施形態を実施することができる例示的環境を示すことが有益である。
【0018】
[0025]
図1は、本発明の一実施形態による例示的リソグラフィ装置を概略的に示す。この装置は、放射ビームB(例えば、UV放射またはEUV放射)を調整するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを支持するように構成され、かつ特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1ポジショナPMに連結されたサポート構造(例えば、マスクテーブル)MTと、基板(例えば、レジストコートウェーハ)Wを保持するように構成され、かつ特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするように構成された第2ポジショナPWに連結された基板テーブル(例えば、ウェーハテーブル)WTと、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付けられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ以上のダイを含む)上に投影するように構成された投影システム(例えば、屈折投影レンズシステム)PSとを備える。
【0019】
[0026] 照明システムとしては、放射を誘導し、整形し、または制御するために、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、またはその他のタイプの光コンポーネント、あるいはそれらのあらゆる組合せなどのさまざまなタイプの光コンポーネントを含むことができる。
【0020】
[0027] サポート構造は、パターニングデバイスの重量を支えるなどしてパターニングデバイスを支持する。サポート構造は、パターニングデバイスの向き、リソグラフィ装置の設計、および、パターニングデバイスが真空環境内で保持されているか否かなどの他の条件に応じた態様で、パターニングデバイスを保持する。サポート構造は、機械式、静電式またはその他のクランプ技術を使って、パターニングデバイスを保持することができる。サポート構造は、例えば、必要に応じて固定または可動式にすることができるフレームまたはテーブルであってもよい。サポート構造は、パターニングデバイスを、例えば、投影システムに対して所望の位置に確実に置くことができる。本明細書において使用される「レチクル」または「マスク」という用語はすべて、より一般的な「パターニングデバイス」という用語と同義であると考えるとよい。
【0021】
[0028] 本明細書において使用される「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分内にパターンを作り出すように、放射ビームの断面にパターンを与えるために使用できるあらゆるデバイスを指していると、広く解釈されるべきである。なお、留意すべき点として、放射ビームに付与されたパターンは、例えば、そのパターンが位相シフトフィーチャまたはいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分内の所望のパターンに正確に一致しない場合もある。通常、放射ビームに付けたパターンは、集積回路などのターゲット部分内に作り出されるデバイス内の特定の機能層に対応することになる。
【0022】
[0029] パターニングデバイスは、透過型または反射型であってもよい。パターニングデバイスの例としては、マスク、プログラマブルミラーアレイ、およびプログラマブルLCDパネルが含まれる。マスクは、リソグラフィでは公知であり、バイナリ、レべンソン型(alternating)位相シフト、およびハーフトーン型(attenuated)位相シフトなどのマスク型、ならびに種々のハイブリッドマスク型を含む。プログラマブルミラーアレイの一例では、小型ミラーのマトリックス配列が用いられており、各小型ミラーは、入射する放射ビームを様々な方向に反射させるように、個別に傾斜させることができる。傾斜されたミラーは、ミラーマトリックスによって反射される放射ビームにパターンを付ける。
【0023】
[0030] 本明細書において使用される「投影システム」という用語は、使われている露光放射にとって、あるいは液浸液の使用または真空の使用といった他の要因にとって適切な、屈折型、反射型、反射屈折型、磁気型、電磁型、および静電型光学系、またはそれらのあらゆる組合せを含むあらゆる型の投影システムを包含していると広く解釈されるべきである。本明細書において使用される「投影レンズ」という用語はすべて、より一般的な「投影システム」という用語と同義であると考えるとよい。
【0024】
[0031] 本明細書に示されているとおり、リソグラフィ装置は、反射型のもの(例えば、反射型マスクを採用しているもの)である。また、リソグラフィ装置は、透過型のもの(例えば、透過型マスクを採用しているもの)であってもよい。
【0025】
[0032] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)以上の基板テーブル(および/または2つ以上のマスクテーブル)を有する型のものであってもよい。そのような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルは並行して使うことができ、または予備工程を1つ以上のテーブル上で実行しつつ、別の1つ以上のテーブルを露光用に使うこともできる。
【0026】
[0033] また、リソグラフィ装置は、投影システムと基板との間の空間を満たすように、比較的高屈折率を有する液体(例えば水)によって基板の少なくとも一部を覆うことができるタイプのものであってもよい。また、リソグラフィ装置内の別の空間(例えば、マスクと投影システムとの間)に液浸液を加えてもよい。液浸技術は、投影システムの開口数を増加させることで当技術分野において周知である。本明細書において使用される「液浸」という用語は、基板のような構造物を液体内に沈めなければならないという意味ではなく、単に、露光中、投影システムと基板との間に液体があるということを意味するものである。
【0027】
[0034]
図1を参照すると、イルミネータILは、放射源SOから放射ビームを受ける。例えば、放射源がエキシマレーザである場合、放射源とリソグラフィ装置は、別個の構成要素であってもよい。そのような場合には、放射源は、リソグラフィ装置の一部を形成しているとはみなされず、また放射ビームは、放射源SOからイルミネータILへ、例えば、適切な誘導ミラーおよび/またはビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムBDを使って送られる。その他の場合においては、例えば、放射源が水銀またはスズ(Sn)ベースのランプである場合、放射源は、リソグラフィ装置の一体部分とすることもできる。放射源SOおよびイルミネータILは、必要ならばビームデリバリシステムBDとともに、放射システムと呼んでもよい。
【0028】
[0035] イルミネータILは、放射ビームの角強度分布を調節するアジャスタADを含むことができる。一般に、イルミネータの瞳面内の強度分布の少なくとも外側および/または内側半径範囲(通常、それぞれσ-outerおよびσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。さらに、イルミネータILは、インテグレータINおよびコンデンサCOといったさまざまな他のコンポーネントを含むことができる。イルミネータを使って放射ビームを調整すれば、放射ビームの断面に所望の均一性および強度分布をもたせることができる。
【0029】
[0036] イルミネータILには、照明されるパターニング手段上のエリアを画定するマスキングデバイスが含まれてよい。マスキングデバイスは、例えば4枚などの複数のブレードを含んでよく、それらの位置は、ビームの断面を画定できるように、例えばステッパモータなどのアクチュエータにより制御可能である。マスキングデバイスは、パターニング手段の近傍に位置決めされる必要はなく、概してパターニング手段上に結像される面(パターニング手段の共役平面)に配置されることに留意されたい。マスキング手段の開放エリアは、照明されるパターニング手段上のエリアを画定するが、例えば介在する光学系が1とは異なる倍率を有している場合、そのエリアと全く同じでなくてもよい。
【0030】
[0037]
図2は、本発明の一実施形態によるマスキングデバイスに含まれる例示的ビーム遮断器を示す。ビーム遮断器210は、放射ビームBの一部を遮断するように構成された不透明ブレード211、212、213および214を含む。ブレード211、212、213および214は、マスクMA上、よってターゲット部分C上の露光投影ビームBのサイズおよび形状を操作する。ブレード211、212、213および214の移動および位置決めは、制御システム220によって制御される。投影されたターゲット部分Cが基板W上に完全に位置決めされていない場合、制御システム220は、この特定のターゲット部分Cに対して新しいサイズを画定し、それに応じてビーム遮断器210を駆動するように構成される。
【0031】
[0038] パターニングデバイス(例えば、マスクMA)は、サポート構造(例えば、マスクテーブルMT)上で保持され、パターニングデバイスによってパターン付けされる。マスクMAは、その両方の表面をマスクテーブルMTにクランプすることができる。マスクMAの両方の表面をクランプすることにより、滑りまたは変形を伴うことなくマスクは大きな加速度を受けることができる。クランプ力または保持力は、マスクの変形をさらに防止する薄膜を用いて加えられてよい。クランプによってマスクおよびマスクテーブルMTの隣接面の間に法線力が生成され、マスクおよびマスクテーブルの接触面の間に摩擦が結果として生ずる。マスクMAの表面へのクランプ力は、静電または機械クランプ技術を用いて生成することができる。
【0032】
[0039] 放射ビームBは、パターニングデバイス(例えば、マスクMA)上に入射する。マスクMAを通り抜けた後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSは、基板Wのターゲット部分C上にビームの焦点をあわせる。第2ポジショナPWおよび位置センサIF2(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、または静電容量センサ)を使って、例えば、さまざまなターゲット部分Cを放射ビームBの経路内に位置決めするように、基板テーブルWTを正確に動かすことができる。同様に、第1ポジショナPMおよび別の位置センサIF1を使い、例えば、マスクライブラリから機械的に取り出した後またはスキャン中に、マスクMAを放射ビームBの経路に対して正確に位置決めすることもできる。通常、マスクテーブルMTの移動は、第1ポジショナPMの一部を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)およびショートストロークモジュール(微動位置決め)を使って達成することができる。同様に、基板テーブルWTの移動も、第2ポジショナPWの一部を形成するロングストロークモジュールおよびショートストロークモジュールを使って達成することができる。ステッパの場合は(スキャナとは対照的に)、マスクテーブルMTは、ショートストロークアクチュエータのみに連結されてもよく、または固定されてもよい。マスクMAおよび基板Wは、マスクアライメントマークM1およびM2と、基板アライメントマークP1およびP2とを使って、位置合わせされてもよい。例示では基板アライメントマークが専用ターゲット部分を占めているが、基板アライメントマークをターゲット部分とターゲット部分との間の空間内に置くこともできる(これらは、スクライブラインアライメントマークとして公知である)。同様に、複数のダイがマスクMA上に設けられている場合、マスクアライメントマークは、ダイとダイの間に置かれてもよい。
【0033】
[0040] 例示の装置は、以下に説明するモードのうち少なくとも1つのモードで使用できる。
【0034】
[0041] 1.ステップモードにおいては、マスクテーブルMTおよび基板テーブルWTを基本的に静止状態に保ちつつ、放射ビームに付けられたパターン全体を一度にターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一静的露光)。その後、基板テーブルWTは、Xおよび/またはY方向に移動され、それによって別のターゲット部分Cを露光することができる。ステップモードにおいては、露光フィールドの最大サイズによって、単一静的露光時に結像されるターゲット部分Cのサイズが限定される。ウェーハの表面へのクランプ力は、HV静電または機械的クランプ技術を用いて生成することができる。
【0035】
[0042] 2.スキャンモードにおいては、マスクテーブルMTおよび基板テーブルWTを同期的にスキャンする一方で、放射ビームに付けられたパターンをターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一動的露光)。マスクテーブルMTに対する基板テーブルWTの速度および方向は、投影システムPSの(縮小)拡大率および像反転特性によって決めることができる。スキャンモードにおいては、露光フィールドの最大サイズによって、単一動的露光時のターゲット部分の幅(非スキャン方向)が限定される一方、スキャン動作の長さによって、ターゲット部分の高さ(スキャン方向)が決まる。
【0036】
[0043] 3.別のモードにおいては、プログラマブルパターニングデバイスを保持した状態で、マスクテーブルMTを基本的に静止状態に保ち、また基板テーブルWTを動かす、またはスキャンする一方で、放射ビームに付けられているパターンをターゲット部分C上に投影する。このモードにおいては、通常、パルス放射源が採用されており、さらにプログラマブルパターニングデバイスは、基板テーブルWTの移動後ごとに、またはスキャン中の連続する放射パルスと放射パルスとの間に、必要に応じて更新される。この動作モードは、前述の型のプログラマブル(MEMS)ミラーアレイといったプログラマブルパターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用することができる。
【0037】
[0044] 上述の使用モードの組合せおよび/またはバリエーション、あるいは完全に異なる使用モードもまた採用可能である。
【0038】
[0045] 本明細書においてその全容が参考により援用されるEP特許番号第1056162B1号は、電界を制御するデバイスを開示する。デバイスは、容量性フィールド制御および幾何学的フィールド制御を利用する。容量性フィールド制御は、内部通電導体と外部接地電位との間に実質的に同心状に構成された複数の容量層を含む。幾何学的フィールド制御は、ストレスコーンを含んでおり、これは電気接点接地電位で構成されている。しかしながら、まだアーク放電がケーブルから近くの導体に生じ得る。この種のアーク放電は、電気ケーブルが低圧でシステム内で接続される場合に特に問題である。この問題を克服するために、本明細書においてその全容が参考により援用されるUS特許番号第6,485,331B1号は、真空下で動作しかつ高電圧電気パルスまたは電流を有する電気ケーブルのための接続システムを開示する。この接続システムは、ケーブルの金属シースに接続された接地外側金属シェルおよび誘電体絶縁スリーブを含みかつ電界をケーブルシース内に閉じ込め、それによってケーブルの外で電界は生じない。絶縁シースおよびスリーブは、被接続ケーブルを囲う。システムには、シールが取り付けられており、ケーブルの絶縁スリーブと絶縁シースとの間に密閉キャビティを形成する。これは、接続システムの一部が真空内にあった場合においても、接続システムの絶縁体がガス雰囲気に浸されたままであることを確実にする。これは、接続システムの絶縁体接合部の表面に沿ったアーク放電を減少するように設計されているが、そのようなシステム内の漏れを防ぐのは困難である。相互接続システム内のあらゆる漏れは、長い沿面経路であってもアーク放電の可能性を上げる。
【0039】
[0046] 本発明の実施形態は、第1ポジショナPM、第2ポジショナPW、ならびに高電圧電力供給源によって電力が供給される、マスキングデバイスに含まれ得るあらゆるブレードおよびリソグラフィ投影装置に含まれ得るあらゆるクランプを制御するモータを提供する。高電圧とは、電力供給源が100または1000以上のボルトの出力を生成することを意味する。一実施形態では、電力源の出力は、100V、200V、500V、1000V、2000V、または5000Vより大きい。
【0040】
[0047]
図3aおよび
図3bのそれぞれは、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置における例示的アクチュエーションシステム300を示す。アクチュエーションシステム300は、アクチュエータモジュール320、電力伝送モジュール340および電力源モジュール360を含む。電力源モジュール360は、電力伝送モジュール340を介して電力をアクチュエータモジュール320に供給する。
【0041】
[0048]
図3aでは、モータ322aは2つの三相モータを含む。結果的に、電力源モジュール360は、各々が電力供給源362から供給される2つの電力増幅器364を介して三相電源を提供する。同様に、電力伝送モジュール340は、三相電力用のケーブリング368aを含む。
図3bは、3つの単相モータ322bである点についてのみ異なる。ここでは、各単相モータ322bは、単相ケーブリング368bを介して単相電力増幅器364によって供給される。
図3aシステムは、PWM三相AC用途に適用され、
図3bシステムは、PWM DC供給用途に適用される。多相ステッピングアクチュエータシステムも同様の方法により適用されてよい。
【0042】
[0049] アクチュエータモジュール320は、真空環境などの低圧環境内に配置されてよい。アクチュエータモジュール320は、電気モータ322aおよび322bならびに多数の第1ケーブルセット324aおよび324bを含む。第1ケーブルセット324aおよび324bの各々は、一端で電気モータ322aおよび322bのうちの1つに接続するように構成される。
図3aの例では、各々が3つのケーブル(三相)を含む2つのセットがあり、
図3bの例では、各々が2つのケーブル(単相)を含む3つのセットがある。
【0043】
[0050]
図4は、第1ケーブルセット324aおよび324bを構成するケーブルの構造を示す。各ケーブルは、絶縁層327に囲まれた中心導体326およびパッシェン・シールドなどの導電シールド328を含む外層から成る。ケーブル324のシールド328は、通常、電気モータ322のシャーシ接地(chassis ground)に接続されることによってコロナ放電を防ぐために接地される。したがって、ケーブル324のシールド328の電位はゼロである。
【0044】
[0051]
図3aおよび
図3bを再び参照すると、電気モータ322のシャーシ接地は、全てが保護接地PEに接続される電気モータ322の囲いなどといった、アクチュエータシステム300のワイヤネットワークおよび導電構造部の一部を形成する。この保護接地ネットワークは、図中、黒い点線によって示される。電気モータ322の導電部分と囲いとの間に寄生容量があるため、電気モータ322の導電部分のうちどれも、保護接地に直流的に接続されない。
【0045】
[0052] 一例示的実施形態では、電気モータ322は、リソグラフィ装置内のアクチュエータとして実施され、例えば、基板テーブル、レチクルクランプまたはシャッターブレードの位置決めのために基板テーブルを作動させる。
【0046】
[0053] 電力源モジュール360および電力伝送モジュール340の各々は、第2ケーブルセット368を含んでおり、これは、その構成において第1ケーブルセット324と一致しかつそれらと結合され、それによって、電源が電力源モジュール360から電力伝送モジュール340を介してアクチュエータモジュール320に伝達される。これらのケーブルは低圧雰囲気に存在しないので「コロナ」シールドを全く必要とせず、したがって、各々が単一の絶縁導体を含むといったより従来の設計を有している。電力源モジュール360の中には、この第2ケーブルセット368の各々は、マルチワイヤ・コモンモードチョーク365を介して電力増幅器364に接続される。
【0047】
[0054] 例示的システムにおいては、
図3aおよび
図3b内の他のケーブルより太い線で示されているコモンモード帰還回路が設けられる。これは、低圧アクチュエーションモジュールにおける第1ケーブルセット324ならびに電力源モジュール360および電力伝送モジュール340における専用のコモンモード帰線ケーブル369のうちの各ケーブルのシールド328を含む。これらの専用のコモンモード帰線ケーブル369の各々は、第2ケーブルセット368の各々における余分のケーブルとして含まれる。
【0048】
[0055] センサシステムの解像度は、そのようなセンサシステムと干渉するコモンモード電流の結果として低下することが測定から分かった。これらのコモンモード電流は、電気モータ(例えば、ウェーハステージ)を有する動作制御システムから生じ、これは電気モータを有する全ての機械の問題である。したがって、コモンモード電流を電気モータのシャーシ接地を通って流れさせるより、電力供給源への余分のコモンモード帰還経路を設けることが望ましい。導電ケーブルシースまたは余分の「帰」線による余分のコモンモード帰還経路の結果として、電気モータ322のシャーシ接地を通って流れるコモンモード電流は非常に小さくなり、したがって、リソグラフィ装置内のセンサシステムなどの他の電子システムとの干渉を少なくさせる。
【0049】
[0056] 図示した例では、専用のコモンモード帰線ケーブル369の各々は、チョーク365およびディバイダ370を介して電力源362に接続され、後者は信号を電力源362のコモンモード上に置くためである。チョーク365は、コモンモード電流の経路を制御する機能を果たし、それによってあらゆるコモンモードコンポーネントが「シャーシ」接地を介してではなくコモンモード帰線ケーブル369によって運ばれる。一例では、チョーク365は密結合コイルを有し、それによってチョークの相互インダクタンスMは、チョークの自己インダクタンスLと実質的に同等または少なくとも同様である。さらに、チョーク365のインダクタンスは、アクチュエータモジュール320、電力伝送モジュール340および電力源モジュール360におけるケーブルの合計インダクタンスよりかなり高くてもよい。遮蔽電力ケーブルの使用は、使用中のケーブルの有効インダクタンス[L
eff=2・(L−M)]を減少させることができ、コモンモードチョーク用法をより効果的にする。
【0050】
[0057] アクチュエータモジュール320内のケーブル324の導電性シールドがゼロボルトに接地されるということは、コモンモード帰還回路の一部を形成できることを意味し、したがって、専用のコモンモード帰線ケーブルはアクチュエータモジュール内に必要とされず、その代わりにケーブルシールドがある。一例では、各モータ322に対するコモンモード帰線は、一組で並列に含まれる3つ全て/両方(位相タイプによる)ケーブルのシールドからなる。余分の帰線を用いる(ワイヤまたはケーブルシースとして)ための概念は、多相のステッピングモータ用途と使用されてもよい。
【0051】
[0058] 図示した構成は、電気フィードスルー400が電流源およびコモンモード帰線の両方をアクチュエータモジュールの壁を介して低圧雰囲気へと運ぶことを必要とする。そのため、フィードスルーは気密密閉される必要がある一方、ケーブルセット324の各々を対応するケーブルセット368に接続するだけではなく、専用のコモンモード帰線369への接続のためにケーブル324のシールド328を専用のフィードスルー400に接続することも行う。ケーブルセット324内の各シールドが並行に使用される一方、フィードスルーは、セット内の全てのシールドを専用のコモンモード帰線369に接続する必要がある。各々のアクチュエータに適用される帰線は、単一動作ドライバから駆動された場合であっても、個別に駆動される。アクチュエータが直列に使用された場合、帰線は、アクチュエータ供給ワイヤと並列に適用される一方、その「アクチュエータチェーン」内の全てのアクチュエータと接触する。
【0052】
[0059]
図5a(等角図)および
図5b(断面図)の両方は、電力源を真空壁410に通すための適切なフィードスルーコネクタ400を示す。オス型コネクタを示されているが、同じ原理をメス型コネクタに同様に適用することができる。この特定の実施形態では、フィードスルーコネクタ400は6つのメインフィードスルー導体410を含んでおり、その各々は、第1ケーブルセットからのケーブルから第2ケーブルセットからのケーブルへの接続のためであり、3つの補助フィードスルー導体420はコモンモード帰還回路のためである。低圧側のフィードスルー(
図5aおよび
図5bの上部)は、メインピン440を有するプラグ430を含んでおり、メインピン440の各々は、メインフィードスルー導体410に電気的に接続されかつその導体410へと延在する。これらのピン440の各々の周りには、メインプラグ本体のものと同様の絶縁体450がある。この絶縁体450の周りには、導電層460がある。第1セットのケーブルがコネクタ400へと差し込まれた場合、そのシールドはこの導電層460に(直接的、またはその全容が本明細書中参考により援用されるWO2010/121844に開示される、例えば電気コネクタ、を用いてケーブル端末内の中間導体を介して)電気的に接続される。
【0053】
[0060]
図6aおよび
図6bは、コモンモード信号がどのように真空チャンバ壁470を介して供給されるかについて示すように(真空側の)フィードスルーコネクタを介す水平断面図を示す。これは、補助フィードスルー導体420を介して行われる。この実施形態におけるフィードスルーコネクタ400は、特に、
図3aおよび
図3bの両方に示すアクチュエーションシステムで利用可能になるように構成される。これは、メインフィードスルー導体410/ピン440の外側導電層460と補助フィードスルー導体420との間にチャネル500を設けることによって行われる。これらのチャネルは、導電性バネ510aおよび510bを置くことを可能にする。導電性バネ510aは、
図3aに示すPWM三相アクチュエーションシステム用に特別に設計される一方、導電性バネ510bは、
図3bに示すPWM DCアクチュエーションシステム用に設計される。
【0054】
[0061]
図6aでは、ピン510aは、三相電力を運ぶ3つのケーブルの1つのセットのシールドと補助フィードスルー導体420のうちの1つとを効果的に接続する。この構成では、補助フィードスルー導体420のうちの1つは未使用である。
図3aに示す例では、2つのバネ510aを用いることによって、フィードスルー400は、三相電力源の2つのセットを接続して2つの三相モータに電力を供給することができる。
【0055】
[0062]
図6bでは、各ピン510bは、単相電力を運ぶ2つのケーブルの1つのセットのシールドと補助フィードスルー導体420のうちの1つとを効果的に接続する。
図3bに示す例では、3つのバネ510bを用いることによって、フィードスルー400は、単相電力源の3つのセットを接続して3つの単相モータに電力を供給することができる。
【0056】
[0063] この特定のピン構成は一例であることが明らかであり、システムの必要条件によっては他の構成を想定することもできる。
【0057】
[0064] 本明細書に記載したアクチュエーションシステム300は、アクチュエータモジュール320の第1の複数のケーブル324などのモータケーブルに起因する浮遊磁場の問題に対処することにも留意されたい。これは、第1の複数のケーブル324の各々に対して、中心導体326内の電流はシールド328内の電流と同等であるが反対であり、これはゼロに等しい正味の磁場となるからである。
【0058】
[0065] 本発明のアクチュエーションシステム300の上記の実施形態は、マスクテーブルまたは基板テーブルを移動または位置決めするためのリソグラフィ装置における使用に適している。さらに、本発明の実施形態を用いてあらゆるビーム遮断器210(ブレード等)を移動または位置決めするか、またはマスクまたは基板をリソグラフィ装置の一部を形成し得るテーブルに固定するために用いられるあらゆるクランプ(例えば、静電クランプ)に電力を提供することができる。しかしながら、本発明の実施形態によるアクチュエーションシステムは、リソグラフィ装置の一部としての使用に限定されない。アクチュエーションシステムは、アクチュエータが低圧環境に配置されかつ電気ケーブルが低圧環境内で高電圧を伝えるといった他の状況にも適用可能である。
【0059】
[0066] 本明細書において、IC製造におけるリソグラフィ装置の使用について具体的な言及がなされているが、本明細書記載のリソグラフィ装置が、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンスパターンおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造といった他の用途を有し得ることが理解されるべきである。当業者にとっては当然のことであるが、そのような別の用途においては、本明細書で使用される「ウェーハ」または「ダイ」という用語はすべて、それぞれより一般的な「基板」または「ターゲット部分」という用語と同義であるとみなしてよい。本明細書に記載した基板は、露光の前後を問わず、例えば、トラック(通常、基板にレジスト層を塗布し、かつ露光されたレジストを現像するツール)、メトロロジーツール、および/またはインスペクションツールで処理されてもよい。適用可能な場合には、本明細書中の開示内容を上記のような基板プロセシングツールおよびその他の基板プロセシングツールに適用してもよい。さらに基板は、例えば、多層ICを作るために複数回処理されてもよいので、本明細書で使用される基板という用語は、すでに多重処理層を包含している基板を表すものとしてもよい。
【0060】
[0067] 光リソグラフィの関連での本発明の実施形態の使用について上述のとおり具体的な言及がなされたが、当然のことながら、本発明は、他の用途、例えば、インプリントリソグラフィに使われてもよく、さらに状況が許すのであれば、光リソグラフィに限定されることはない。インプリントリソグラフィにおいては、パターニングデバイス内のトポグラフィによって、基板上に創出されるパターンが定義される。パターニングデバイスのトポグラフィは、基板に供給されたレジスト層の中にプレス加工され、基板上では、電磁放射、熱、圧力、またはそれらの組合せによってレジストは硬化される。パターニングデバイスは、レジストが硬化した後、レジスト内にパターンを残してレジストの外へ移動される。
【0061】
[0068] 本明細書で使用される「放射」および「ビーム」という用語は、紫外線(UV)(例えば、365nm、355nm、248nm、193nm、157nm、または126nmの波長、またはおよそこれらの値の波長を有する)、および極端紫外線(EUV)(例えば、5〜20nmの範囲の波長を有する)、ならびにイオンビームや電子ビームなどの微粒子ビームを含むあらゆる種類の電磁放射を包含している。
【0062】
[0069] 「レンズ」という用語は、文脈によっては、屈折、反射、磁気、電磁気、および静電型光コンポーネントを含む様々な種類の光コンポーネントのいずれか1つまたはこれらの組合せを指すことができる。
【0063】
[0070] 上記の説明は、制限ではなく例示を意図したものである。したがって、当業者には明らかなように、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく本記載の発明に変更を加えてもよい。
【0064】
[0071] 発明の概要および要約の項目は、(一人以上の)発明者が想定するような本発明の1つ以上の例示的実施形態について述べることができるが、全ての例示的実施形態を述べることはできず、したがって、本発明および添付の請求の範囲をいかなる意味でも制限しないものとする。
【0065】
[0072] 本発明は、特定の機能の実施を例示する機能的構成要素およびその関係を用いて上記に記載してきた。これらの機能的構成要素の境界は、説明の便宜性のために本明細書中に任意に画定されている。特定の機能およびその関係が適切に行われる限り、代替的な境界を画定することができる。
【0066】
[0073] 特定の実施形態の前述の説明は、本発明の全体的性質を十分に明らかにしているので、当技術分野の知識を適用することにより、過度の実験をせず、本発明の全体的な概念から逸脱することなく、このような特定の実施形態を容易に変更および/またはこれを様々な用途に適応させることができる。したがって、このような適応および変更は、本明細書に提示された教示および案内に基づき、開示された実施形態の同等物の意味および範囲に入るものとする。本明細書の表現または用語は説明のためのもので、制限するものではなく、したがって本明細書の用語または表現は、当業者には教示および案内の観点から解釈されるべきことを理解されたい。
【0067】
[0074] 本発明の幅および範囲は、上述した例示的実施形態のいずれによっても制限されず、以下の特許請求の範囲およびその同等物によってのみ規定されるものである。