(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
導光板および前記導光板の側方に配置される光源を備えるエッジライト型面光源と、前記エッジライト型面光源の前面側に配置される液晶セルと、前記液晶セルの前面側に配置される前面側偏光板とを含む液晶表示装置における前記前面側偏光板の前面側に配置される光拡散フィルムであって、
基材フィルムと、前記基材フィルム上に積層された、透光性樹脂および該透光性樹脂中に分散された透光性微粒子を含有する光拡散層とを有し、
前記透光性微粒子は、その粒径の標準偏差と重量平均粒径の比が0.6以下であり、
暗部および明部の幅が0.125mm、0.5mm、1.0mmおよび2.0mmである4種類の光学くしを通して測定される透過鮮明度の和が50%以上200%以下であり、
前記透光性微粒子が、2種類以上の重量平均粒径の粒子を含有しており、
前記透光性微粒子の形状が、球状または略球状である光拡散フィルム。
前記光拡散層中に含有される透光性微粒子は、重量平均粒径が0.5μm以上6.0μm未満である1種または2種以上の第1の透光性微粒子と、重量平均粒径が6.0μm以上15.0μm以下である1種または2種以上の第2の透光性微粒子とを含み、
前記光拡散層における前記透光性微粒子の含有量は、前記透光性樹脂100重量部に対して22重量部以上60重量部以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載の光拡散フィルム。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明について詳細に説明する。ただし、本発明は下記の形態に限定されるものではない。
【0022】
<光拡散フィルム1>
光拡散フィルム1は、エッジライト型面光源を搭載した液晶表示装置における液晶セルの前面(視認)側(すなわち、液晶表示装置が備える前面側偏光板の前面側)に配置される光拡散性を有するフィルムであり、正面輝度向上能およびドット見え防止能に優れている。
図1および
図2はそれぞれ、光拡散フィルム1の好ましい例を示す概略断面図である。本発明に係る
図1および
図2に示される光拡散フィルム100,200は、基材フィルム101と、基材フィルム101上に積層された光拡散層102とを備える。光拡散層102は、透光性樹脂103を基材とする層であって、透光性樹脂103中に透光性微粒子104が分散されてなる。光拡散フィルム1は、光拡散層102の表面(基材フィルム101とは反対側の表面)が、
図1に示される例のように平坦面から構成されていてもよく、あるいは
図2に示される例のように凹凸面から構成されていてもよい。平坦面または凹凸面のいずれであっても、光拡散層102の表面の中心線平均粗さRaは0.2μm以下であることが好ましい。以下、光拡散フィルム1について、さらに詳細に説明する。
【0023】
〔光拡散フィルム1の光学特性〕
(1)透過鮮明度
光拡散フィルム1は、暗部および明部の幅が0.125mm、0.5mm、1.0mmおよび2.0mmである4種類の光学くしを通して測定される透過鮮明度の和(以下、単に「透過鮮明度」という)が50%以上300%以下である。光拡散フィルムの透過鮮明度がこの範囲内であると、正面輝度向上とドット見えの防止との両立を図ることができる。「暗部および明部の幅が0.125mm、0.5mm、1.0mmおよび2.0mmである4種類の光学くしを通して測定される透過鮮明度の和」とは、JIS K 7105に準拠し、暗部と明部との幅の比が1:1で、その幅が0.125mm、0.5mm、1.0mmおよび2.0mmである4種類の光学くしを用いて測定される透過鮮明度(像鮮明度)の和(合計値)である。したがって、ここでいう「透過鮮明度」の最大値は400%となる。
【0024】
光拡散フィルムの透過鮮明度が50%未満の場合、光散乱が強すぎるため、光拡散フィルムを液晶表示装置に適用したときに、液晶表示装置の正面方向の光が光拡散層により散乱され過ぎてしまう等の原因により正面輝度が低下し、これにより画像ボケが発生する等の表示品位の低下が生じる。また、透過鮮明度が300%を超える場合は、十分なドット隠蔽性が得られない。光拡散フィルム1の透過鮮明度は、正面輝度向上とドット見えの防止とをより高水準で両立させる観点から、好ましくは70%以上250%以下であり、より好ましくは90%以上230%以下であり、特に好ましくは100%以上200%以下である。
【0025】
透過鮮明度の測定は、光学的に透明な粘着剤を用いて、光拡散フィルムを、その基材フィルム101側でガラス基板に貼合した測定用サンプルについて行なう。これにより、測定時における光拡散フィルムの反りを防止し、測定再現性を高めることができる。測定装置としては、JIS K 7105に準拠した写像性測定器(たとえば、スガ試験機株式会社製の「ICM−1DP」)を用いることができる。
【0026】
(2)ヘイズ
光拡散フィルム1は、ヘイズが30%以上70%以下であることが好ましく、50%以上65%以下であることがより好ましい。ヘイズが30%未満の場合、ヘイズが上記範囲内である場合と比較してドット隠蔽性が低下する傾向にある。また、ヘイズが70%を超える場合、光散乱が強すぎ、ヘイズが上記範囲内である場合と比較して正面輝度が低下し、これにより画像ボケが発生する等の表示品位の低下が生じる傾向にある。また、ヘイズが70%を超える場合は、光拡散フィルムの透明性が損なわれる傾向にある。
【0027】
ここで、「ヘイズ」とは、光拡散フィルムに光を照射して透過した光線の全量を表す全光線透過率(Tt)と、光拡散フィルムにより拡散されて透過した拡散光線透過率(Td)との比から下記式(1):
全ヘイズ(%)=(Td/Tt)×100 (1)
により求められる全ヘイズである。全光線透過率(Tt)は、入射光と同軸のまま透過した平行光線透過率(Tp)と拡散光線透過率(Td)との和である。全光線透過率(Tt)および拡散光線透過率(Td)は、JIS K 7361およびJIS K 7136に準拠して測定される値である。
【0028】
光拡散フィルムのヘイズは、具体的には次のようにして測定される。すなわち、光拡散フィルムの反りを防止するため、光学的に透明な粘着剤を用いて、光拡散フィルムを、光拡散層102が表面となるように、基材フィルム101側をガラス基板に貼合して測定用サンプルを作製する。当該測定用サンプルについて、JIS K 7136に準拠したヘイズ透過率計(たとえば、株式会社村上色彩技術研究所製のヘイズメーター「HM−150」)を用いて、JIS K 7361およびJIS K 7136に準拠して全光線透過率(Tt)および拡散光線透過率(Td)を測定し、上記式(1)によってヘイズを算出する。
【0029】
〔光拡散フィルム1の表面形状〕
光拡散フィルム1において、光拡散層102表面(基材フィルム101とは反対側の表面)のJIS B 0601に従う中心線平均粗さRaは0.2μm以下であることが好ましく、0.1μm以下であることがより好ましい。光拡散層102表面の中心線平均粗さRaが0.2μmを超える場合、光拡散フィルムを液晶表示装置に適用したときに、光拡散層102の表面乱反射により、特に明所で画面全体が白っぽく感じられる、いわゆる「白ちゃけ」が顕著となる傾向にある。JIS B 0601に従う中心線平均粗さRaとは、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さL(エル)だけを抜き取り、この抜き取り部分の平均線の方向にx軸を、縦倍率の方向にy軸をとり、粗さ曲線をy=f(x)で表したときに、下記式(2):
【0031】
によって求められる値をマイクロメートル(μm)単位で表したものをいう。中心線平均粗さRaは、JIS B 0601に準拠した共焦点干渉顕微鏡(たとえば、株式会社オプティカルソリューション社製の「PLμ2300」)を用いて上記計算式(2)に基づいてRaを計算できるプログラムソフトにより算出することができる。
【0032】
次に、上記のような光学特性および表面形状を有する光拡散フィルム1の構成についてさらに具体的に説明する。
【0033】
〔基材フィルム〕
本発明で使用する基材フィルム101としては透光性のものであればよく、たとえばガラスやプラスチックフィルムなどを用いることができる。プラスチックフィルムとしては適度の透明性、機械的強度を有するものであればよく、具体的には、TAC(トリアセチルセルロース)等のセルロースアセテート系樹脂;アクリル系樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂などが挙げられる。基材フィルム101の厚さは、たとえば10〜500μmであり、好ましくは20〜300μmである。
【0034】
〔光拡散層〕
光拡散フィルム1は、基材フィルム101上に積層された光拡散層102を備える。光拡散層102は、透光性樹脂103を基材とする層であって、透光性樹脂103中に透光性微粒子104が分散されてなる。上述のように、光拡散層102表面(基材フィルム101とは反対側の表面)のJIS B 0601に従う中心線平均粗さRaは好ましくは0.2μm以下、より好ましくは0.1μm以下とされる。なお、基材フィルム101と光拡散層102との間に他の層(たとえば接着剤層)を有していてもよい。
【0035】
透光性樹脂103としては、透光性を有するものであれば特に限定されず、たとえば、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂などの電離放射線硬化型樹脂の硬化物;熱硬化型樹脂の硬化物;熱可塑性樹脂;金属アルコキシドの硬化物などを用いることができる。これらの中でも、高い硬度を有し、液晶表示装置表面に設ける光拡散フィルムとして高い耐擦傷性を付与できることから、電離放射線硬化型樹脂が好適である。電離放射線硬化型樹脂、熱硬化型樹脂または金属アルコキシドを用いる場合は、電離放射線の照射または加熱により当該樹脂を硬化させることにより透光性樹脂103が形成される。
【0036】
電離放射線硬化型樹脂としては、多価アルコールのアクリル酸またはメタクリル酸エステルのような多官能性のアクリレート;ジイソシアネートと、多価アルコールおよびアクリル酸またはメタクリル酸のヒドロキシエステル等と、から合成されるような多官能のウレタンアクリレートなどが挙げられる。また、これらの他にも、アクリレート系の官能基を有するポリエーテル樹脂、アクリレート系の官能基を有するポリエステル樹脂、アクリレート系の官能基を有するエポキシ樹脂、アクリレート系の官能基を有するアルキッド樹脂、アクリレート系の官能基を有するスピロアセタール樹脂、アクリレート系の官能基を有するポリブタジエン樹脂、アクリレート系の官能基を有するポリチオールポリエン樹脂等も使用することができる。
【0037】
熱硬化型樹脂としては、アクリルポリオールとイソシアネートプレポリマーとからなる熱硬化型ウレタン樹脂のほか、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂が挙げられる。
【0038】
熱可塑性樹脂としては、アセチルセルロース、ニトロセルロース、アセチルブチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体;酢酸ビニルおよびその共重合体、塩化ビニルおよびその共重合体、塩化ビニリデンおよびその共重合体等のビニル系樹脂;ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等のアセタール系樹脂;アクリル樹脂およびその共重合体、メタクリル樹脂およびその共重合体等のアクリル系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂等が挙げられる。
【0039】
金属アルコキシドとしては、珪素アルコキシド系の材料を原料とする酸化珪素系マトリックス等を使用することができる。具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等が挙げられ、加水分解や脱水縮合により無機系または有機無機複合系マトリックス(透光性樹脂)とすることができる。
【0040】
また、透光性微粒子104としては、透光性を有する有機微粒子または無機微粒子を用いることができる。たとえば、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、有機シリコーン樹脂、アクリル−スチレン共重合体等からなる有機微粒子や、炭酸カルシウム、シリカ、酸化アルミニウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、酸化チタン、ガラス等からなる無機微粒子等が挙げられる。また、有機重合体のバルーンやガラス中空ビーズも使用できる。透光性微粒子104は、1種類の微粒子から構成されていてもよいし、材質が同じまたは材質が異なる2種類以上の微粒子を含んでいてもよい。透光性微粒子104の形状は、球状、扁平状、板状、針状、不定形状等いずれであってもよいが、球状または略球状が好ましい。
【0041】
透光性微粒子104の重量平均粒径は、0.5μm以上15.0μm以下であることが好ましく、3.0μm以上8.0μm以下であることがより好ましい。透光性微粒子104の重量平均粒径が0.5μm未満であると、波長領域が380nmから780nmの可視光を十分に散乱できず、光拡散フィルムの光拡散性が不十分となり、重量平均粒径が上記範囲内である場合と比較してドット隠蔽性が低下する場合がある。また、重量平均粒径が15.0μmを超える場合、光拡散フィルムの透過鮮明度を50%以上300%以下に調整すると、光散乱が弱くなり過ぎるため、十分な光散乱性が得られず、同様に重量平均粒径が上記範囲内である場合と比較してドット隠蔽性が低下する場合がある。
【0042】
透光性微粒子104は、その粒径の標準偏差と重量平均粒径の比(標準偏差/重量平均粒径)が0.6以下であることが好ましく、0.55以下であることがより好ましい。当該比が0.6を超える場合、粒径が極端に大きい透光性微粒子が含まれるようになり、光拡散層102の表面の中心線平均粗さRaが上記好ましい範囲から逸脱する場合がある。なお、透光性微粒子104の重量平均粒径および粒径の標準偏差は、コールター原理(細孔電気抵抗法)に基づくコールターマルチサイザー(ベックマンコールター社製)を用いて測定される。
【0043】
透光性微粒子の重量平均粒径を測定した時に、0.5μm以上6.0μm未満の粒径範囲と6.0μm以上15.0μm以下の粒径範囲にそれぞれ1以上のピークが観測される場合、その透光性微粒子は、後述する第1の透光性微粒子と第2の透光性微粒子とを含むものとみなすことができる。
【0044】
光拡散層102における透光性微粒子104の含有量は、透光性樹脂103の100重量部に対して22重量部以上60重量部以下であることが好ましく、25重量部以上60重量部以下であることがより好ましく、30重量部以上50重量部以下であることがさらに好ましい。透光性微粒子104の含有量が透光性樹脂100重量部に対して22重量部未満であると、光拡散フィルムの光拡散性が不十分となり、含有量が上記範囲内である場合と比較してドット隠蔽性が低下する場合がある。また、透光性微粒子104の含有量が透光性樹脂100重量部に対して60重量部を超えると、液晶表示装置の正面方向の光が光拡散層により散乱され過ぎてしまう等の原因により、含有量が上記範囲内である場合と比較して正面輝度が低下し、これにより画像ボケが発生する等の表示品位の低下が生じる場合がある。
【0045】
透光性微粒子104と透光性樹脂103との屈折率差は、0.02〜0.15の範囲内であることが好ましい。透光性微粒子104と透光性樹脂103との屈折率差を上記範囲内とすることによって当該屈折率差による適度な内部散乱が生じ、光拡散フィルムの透過鮮明度およびヘイズを上記所定の範囲もしくは好ましい範囲内に制御することが容易になる。なお、ここでいう「透光性微粒子104の屈折率」および「透光性樹脂103の屈折率」とは、室温におけるナトリウムD線(波長583.9nm)に対する屈折率を意味する。
【0046】
また、光拡散層102の表面(基材フィルム101とは反対側の表面)は、透光性樹脂103のみによって形成されていることが好ましい。すなわち、透光性微粒子104は、光拡散層102表面から突出しておらず、完全に光拡散層102内に埋没していることが好ましい。このために、光拡散層102の層厚は、透光性微粒子104の重量平均粒径に対して1倍以上3倍以下であることが好ましく、1.2倍以上2.5倍以下であることがより好ましい。光拡散層102の層厚が、透光性微粒子104の重量平均粒径の1倍未満である場合、光拡散層102表面の中心線平均粗さRaを上記好ましい範囲内に制御することが難しく、これにより透光性微粒子104の重量平均粒径に対する光拡散層102の層厚の比が上記範囲内である場合と比較して白ちゃけが生じやすい傾向にある。また、光拡散層102の層厚が透光性微粒子104の重量平均粒径の3倍を超える場合、光拡散層102の層厚が大きくなり過ぎ、それに伴い光拡散フィルムの光拡散性が強くなり過ぎるため、液晶表示装置の正面方向の光が光拡散層により散乱され過ぎてしまう等の原因により、透光性微粒子104の重量平均粒径に対する光拡散層102の層厚の比が上記範囲内である場合と比較して正面輝度が低下し、これにより画像ボケが発生する等の表示品位の低下が生じる場合がある。なお、本明細書において、「光拡散層の層厚」とは、光拡散層102の基材フィルム101側の面から反対側の面までの最大厚みを意味する。
【0047】
また、光拡散層102は、透光性微粒子104として、1種類の重量平均粒径の粒子を含んでいてもよいが、透光性微粒子104として、重量平均粒径が0.5μm以上6.0μm未満である1種または2種以上の第1の透光性微粒子104aと、重量平均粒径が6.0μm以上15.0μm以下である1種または2種以上の第2の透光性微粒子104bとを含んでいてもよい。このような特定の範囲に重量平均粒径を有する第1の透光性微粒子104aと第2の透光性微粒子104bとを光拡散層102に分散させることにより、光拡散性と透過鮮明度とが両立された光拡散性フィルムを得ることができる。そのため、この光拡散フィルムを、液晶表示装置に適用したときに、正面輝度向上とドット見えの防止との両立を実現することができ、さらには光拡散層の表面乱反射により、特に明所で画面全体が白っぽく感じられる「白ちゃけ」を効果的に抑制することが可能となる。また、第1の透光性微粒子104aと第2の透光性微粒子104bとを所定の含有量で光拡散層102に分散させることにより、光拡散性と透過鮮明度との両立が達成しやすくなり、上述した透過鮮明度、ヘイズ等の光学特性ならびに表面形状が所定の範囲もしくは好ましい範囲内に適切に制御された光拡散フィルムを容易に得ることが可能となる。
【0048】
第1の透光性微粒子104aの重量平均粒径は、0.5μm以上6.0μm未満であり、好ましくは1.0μm以上5.0μm以下である。また、第2の透光性微粒子104bの重量平均粒径は、6.0μm以上15.0μm以下であり、好ましくは6.0μm以上10.0μm以下である。
【0049】
第1の透光性微粒子104aの重量平均粒径と第2の透光性微粒子104bの重量平均粒径との差は2μm以上であることが好ましい。重量平均粒径差が2μm未満であると、異なる重量平均粒径を有する透光性微粒子を組み合わせる効果が不十分となり、重量平均粒径差が上記範囲内である場合と比較して光拡散性と透過鮮明度との両立が達成しにくい傾向にある。
【0050】
第1の透光性微粒子104aは、0.5μm以上6.0μm未満の範囲内において、異なる2種以上の重量平均粒径を有する微粒子を含んでいてもよい。同様に、第2の透光性微粒子104bは、6.0μm以上15.0μm以下の範囲内において、異なる2種以上の重量平均粒径を有する微粒子を含んでいてもよい。
【0051】
第1の透光性微粒子104aの含有量は、第1の透光性微粒子104aおよび第2の透光性微粒子104bの合計含有量100重量部中、15〜85重量部であることが好ましく、20〜65重量部であることがより好ましい。この含有量が15重量部未満または85重量部を超える場合、含有量が上記範囲内である場合と比較して光拡散性と透過鮮明度との両立が達成しにくい傾向にある。
【0052】
第1の透光性微粒子104aおよび第2の透光性微粒子104bとしては、前記した透光性微粒子104として使用される有機微粒子または無機微粒子を同様に使用することができる。第1の透光性微粒子104aおよび第2の透光性微粒子104bは、同種の材料から形成されていてもよいし、異種の材料から形成されていてもよい。また、第1の透光性微粒子104aおよび/または第2の透光性微粒子104bが異なる2種以上の重量平均粒径を有する微粒子からなる場合、これらは同種の材料から形成されていてもよいし、異種の材料から形成されていてもよい。
【0053】
第1の透光性微粒子104aと透光性樹脂103との屈折率差、および、第2の透光性微粒子104bと透光性樹脂103との屈折率差は、それらの少なくとも一方が0.02〜0.15の範囲内であることが好ましく、それらのすべてが0.02〜0.15の範囲内であることがより好ましい。第1の透光性微粒子104aまたは第2の透光性微粒子104bと透光性樹脂103との屈折率差をそれぞれ上記範囲内とすることによって当該屈折率差による適度な内部散乱が生じ、光拡散性と透過鮮明度とを適度な範囲内に制御することが容易になる。
【0054】
光拡散層102の層厚は、1〜30μmの範囲が好ましい。光拡散層102の層厚が1μm未満の場合、液晶表示装置の前面(視認)側表面に配置される光拡散フィルムに要求される十分な耐擦傷性が付与されない場合がある。また、層厚が30μmを超える場合、作製した光拡散フィルムに発生するカールの量が大きくなり、他のフィルムや基板に貼合する場合等における取り扱い性が悪くなる。
【0055】
なお、光拡散フィルム1は、
図3に示される光拡散フィルム300のように、光拡散層102上(基材フィルム101とは反対側の面上)に積層された透光性樹脂からなる樹脂層105を有するものであってもよい。この場合、樹脂層105の表面(光拡散層102とは反対側の表面)の中心線平均粗さRaは、0.2μm以下であることが好ましい。
【0056】
また、光拡散フィルム1は、光拡散層102上(基材フィルム101とは反対側の面上)に積層された反射防止層をさらに備えていてもよい。反射防止層は光拡散層102上に直接形成してもよく、透明フィルム上に反射防止層を形成した反射防止フィルムを別途用意し、これを粘着剤または接着剤を用いて光拡散層102上に積層してもよい。反射防止層は、反射率を限りなく低くするために設けられるものであり、反射防止層の形成により、表示画面への映り込みを防止することができる。反射防止層としては、光拡散層102の屈折率よりも低い材料から構成された低屈折率層;光拡散層102の屈折率より高い材料から構成された高屈折率層と、この高屈折率層の屈折率より低い材料から構成された低屈折率層との積層構造などを挙げることができる。反射防止フィルムを粘着剤または接着剤を用いて光拡散フィルムに積層する場合、市販の反射防止フィルムを使用できる。
【0057】
また、光拡散フィルム1は、光拡散層102上(基材フィルム101とは反対側の面上)に積層された表面凹凸を有する層をさらに備えていてもよい。表面凹凸を有する層は、光拡散層102上に直接形成してもよく、透明フィルム上に表面凹凸を有する層を形成した表面凹凸を有するフィルムを別途用意し、これを粘着剤または接着剤を用いて光拡散層102上に積層してもよい。表面凹凸を有する層の表面(光拡散層102とは反対側の表面)の中心線平均粗さRaは、0.2μm以下であることが好ましい。
【0058】
表面凹凸を有する層としては、たとえば、防眩層を挙げることができる。防眩層は、表面での乱反射を利用して表示画面への映り込みを低減するために設けられる。光拡散層102上に防眩層を設ける場合、公知の方法が用いられるが、たとえば、光拡散層102上に、透光性微粒子を含有する紫外線硬化型樹脂組成物を薄膜状に塗工し、硬化することで防眩層を形成することができる。防眩フィルムを粘着剤または接着剤を用いて光拡散層102上に積層する場合、市販の防眩フィルムを使用してもよいし、前記の方法に準拠して、透明フィルム上に防眩層を形成したものを作製して用いてもよい。
【0059】
光拡散フィルム1は、光拡散層102上に、上述した樹脂層105、反射防止層、および表面凹凸を有する層のうちの1種類の層のみを有していてもよく、2種類以上の層を有していてもよい。
【0060】
<光拡散フィルム2>
光拡散フィルム2もまた、上記光拡散フィルム1と同様、エッジライト型面光源を搭載した液晶表示装置における液晶セルの前面(視認)側(すなわち、液晶表示装置が備える前面側偏光板の前面側)に配置される光拡散性を有するフィルムであり、正面輝度向上能およびドット見え防止能に優れている。
図4および
図5はそれぞれ、光拡散フィルム2の好ましい例を示す概略断面図である。本発明に係る
図4および
図5に示される光拡散フィルム100’,200’は、基材フィルム101と、基材フィルム101上に積層された光拡散層102とを備える。本実施形態において、光拡散層102は、透光性樹脂103を基材とする層であって、透光性樹脂103中に第1の透光性微粒子104aおよび第2の透光性微粒子104bからなる透光性微粒子104が分散されてなる。第1の透光性微粒子104aは、その重量平均粒径が0.5μm以上6.0μm未満の範囲である微粒子であり、第2の透光性微粒子104bは、その重量平均粒径が6.0μm以上15.0μm以下の範囲である微粒子である。光拡散フィルム2は、光拡散層102の表面(基材フィルム101とは反対側の表面)が、
図4に示される例のように平坦面から構成されていてもよく、あるいは
図5に示される例のように凹凸面から構成されていてもよい。平坦面または凹凸面のいずれであっても、光拡散層102の表面の中心線平均粗さRaは0.2μm以下であることが好ましい。以下、光拡散フィルム2について、さらに詳細に説明する。
【0061】
〔基材フィルム〕
光拡散フィルム2で使用する基材フィルム101としては、光拡散フィルム1の場合と同様のものを同様に使用することができる。
【0062】
〔光拡散層〕
光拡散フィルム2は、基材フィルム101上に積層された光拡散層102を備える。光拡散層102は、透光性樹脂103を基材とする層であって、透光性樹脂103中に、1種または2種以上の第1の透光性微粒子104aおよび1種または2種以上の第2の透光性微粒子104bを含む透光性微粒子104が分散されてなる。後述するように、光拡散層102表面(基材フィルム101とは反対側の表面)のJIS B 0601に従う中心線平均粗さRaは好ましくは0.2μm以下、より好ましくは0.1μm以下とされる。なお、基材フィルム101と光拡散層102との間に他の層(たとえば接着剤層)を有していてもよい。
【0063】
(1)透光性樹脂
透光性樹脂103としては、光拡散フィルム1の場合と同様のものを同様に使用することができる。
【0064】
(2)透光性微粒子
光拡散層102は、透光性微粒子104として、重量平均粒径が0.5μm以上6.0μm未満である1種または2種以上の第1の透光性微粒子104aと、重量平均粒径が6.0μm以上15.0μm以下である1種または2種以上の第2の透光性微粒子104bとを含む。このような特定の範囲に重量平均粒径を有する第1の透光性微粒子104aと第2の透光性微粒子104bとを光拡散層102に分散させることにより、光拡散性と透過鮮明度とが両立された光拡散フィルムを得ることができる。そのため、この光拡散フィルムを、液晶表示装置に適用したときに、正面輝度向上とドット見えの防止との両立を実現することができ、さらには光拡散層の表面乱反射により、特に明所で画面全体が白っぽく感じられる「白ちゃけ」を効果的に抑制することが可能となる。また、第1の透光性微粒子104aと第2の透光性微粒子104bとを所定の含有量で光拡散層102に分散させることにより、光拡散性と透過鮮明度との両立が達成しやすくなり、後述する透過鮮明度、ヘイズ等の光学特性ならびに表面形状が所定の範囲内に適切に制御された光拡散フィルムを得ることが可能となる。
【0065】
第1の透光性微粒子104aの重量平均粒径は、0.5μm以上6.0μm未満であり、好ましくは1.0μm以上5.0μm以下である。また、第2の透光性微粒子104bの重量平均粒径は、6.0μm以上15.0μm以下であり、好ましくは6.0μm以上10.0μm以下である。第1の透光性微粒子104aの重量平均粒径が0.5μm未満であると、波長領域が380nmから780nmの可視光を十分に散乱できず、光拡散フィルムの光拡散性が不十分となり、十分なドット隠蔽性が得られない場合がある。また、第2の透光性微粒子104bの重量平均粒径が15.0μmを超えると、後述する透過鮮明度を50%以上300%以下に調整すると、光散乱が弱くなり過ぎるため、十分な光散乱性が得られず、同様に十分なドット隠蔽性が得られない場合がある。大きさの異なる粒子を混合して用いることによって粒子の充填密度が上がり、より効果的に導光板のドットを隠蔽することができる。
【0066】
第1の透光性微粒子104aの重量平均粒径と第2の透光性微粒子104bの重量平均粒径との差は2μm以上であることが好ましい。重量平均粒径差が2μm未満であると、異なる重量平均粒径を有する透光性微粒子を組み合わせる効果が不十分となり、重量平均粒径差が上記範囲内である場合と比較して光拡散性と透過鮮明度との両立が達成しにくい傾向にある。
【0067】
第1の透光性微粒子104aは、0.5μm以上6.0μm未満の範囲内において、異なる2種以上の重量平均粒径を有する微粒子を含んでいてもよい。同様に、第2の透光性微粒子104bは、6.0μm以上15.0μm以下の範囲内において、異なる2種以上の重量平均粒径を有する微粒子を含んでいてもよい。
【0068】
上述のように、透光性微粒子104(第1の透光性微粒子104aおよび第2の透光性微粒子104b)の重量平均粒径は、コールター原理(細孔電気抵抗法)に基づくコールターマルチサイザー(ベックマンコールター社製)を用いて測定される。
【0069】
透光性微粒子104(第1の透光性微粒子104aおよび第2の透光性微粒子104b)としては、光拡散フィルム1の場合と同様のものを同様に使用することができる。第1の透光性微粒子104aおよび第2の透光性微粒子104bは、同種の材料から形成されていてもよいし、異種の材料から形成されていてもよい。また、第1の透光性微粒子104aおよび/または第2の透光性微粒子104bが異なる2種以上の重量平均粒径を有する微粒子からなる場合、これらは同種の材料から形成されていてよいし、異種の材料から形成されていてもよい。第1の透光性微粒子104aおよび第2の透光性微粒子104bの形状は、球状、扁平状、板状、針状、不定形状等いずれであってもよいが、球状または略球状が好ましい。
【0070】
光拡散層102における透光性微粒子104の含有量は、透光性樹脂103の100重量部に対して22重量部以上60重量部以下とされ、25重量部以上60重量部以下であることが好ましく、30重量部以上50重量部以下であることがより好ましい。透光性微粒子104の含有量が透光性樹脂100重量部に対して22重量部未満であると、光拡散フィルムの光拡散性が不十分となり、後述する透過鮮明度が300%を超える場合があり、その結果、含有量が上記範囲である場合と比較してドット隠蔽性が低下する場合がある。また、透光性微粒子104の含有量が透光性樹脂100重量部に対して60重量部を超えると、光拡散フィルムの光拡散性が強くなり過ぎて、液晶表示装置の正面方向の光が光拡散層により散乱され過ぎてしまう等の原因により、含有量が上記範囲内である場合と比較して正面輝度が低下し、これにより画像ボケが発生する等の表示品位の低下が生じる場合がある。
【0071】
第1の透光性微粒子104aの含有量は、第1の透光性微粒子104aおよび第2の透光性微粒子104bの合計含有量100重量部中、15〜85重量部であることが好ましく、20〜65重量部であることがより好ましい。この含有量が15重量部未満または85重量部を超える場合、含有量が上記範囲内である場合と比較して光拡散性と透過鮮明度との両立が達成しにくい傾向にある。
【0072】
第1の透光性微粒子104aと透光性樹脂103との屈折率差、および、第2の透光性微粒子104bと透光性樹脂103との屈折率差は、それらの少なくとも一方が0.02〜0.15の範囲内であることが好ましく、それらのすべてが0.02〜0.15の範囲内であることがより好ましい。第1の透光性微粒子104aまたは第2の透光性微粒子104bと透光性樹脂103との屈折率差をそれぞれ上記範囲内とすることによって当該屈折率差による適度な内部散乱が生じ、光拡散性と透過鮮明度とを適度な範囲内に制御することが容易になる。なお、ここでいう「透光性微粒子104の屈折率」および「透光性樹脂103の屈折率」とは、光拡散フィルム1の場合と同様に、室温におけるナトリウムD線(波長583.9nm)に対する屈折率を意味する。
【0073】
(3)光拡散層の表面形状および層厚
光拡散フィルム2において、光拡散層102表面(基材フィルム101とは反対側の表面)のJIS B 0601に従う中心線平均粗さRaは0.2μm以下であることが好ましく、0.1μm以下であることがより好ましい。光拡散層102表面の中心線平均粗さRaが0.2μmを超える場合、光拡散フィルムを液晶表示装置に適用したときに、光拡散層102の表面乱反射による白ちゃけが顕著となる傾向にある。JIS B 0601に従う中心線平均粗さRaとは、光拡散フィルム1において記載したものと同様である。
【0074】
また、光拡散層102の表面(基材フィルム101とは反対側の表面)は、透光性樹脂103のみによって形成されていることが好ましい。すなわち、透光性微粒子104は、光拡散層102表面から突出しておらず、完全に光拡散層102内に埋没していることが好ましい。このために、光拡散層102の層厚は、第2の透光性微粒子104bの重量平均粒径に対して1倍以上3倍以下であることが好ましく、1.2倍以上2.5倍以下であることがより好ましい。光拡散層102の層厚が、第2の透光性微粒子104bの重量平均粒径の1倍未満である場合、光拡散層102表面の中心線平均粗さRaを上記好ましい範囲内に制御することが難しく、これにより透光性微粒子104の重量平均粒径に対する光拡散層102の層厚の比が上記範囲内である場合と比較して白ちゃけが生じやすい傾向にある。また、光拡散層102の層厚が第2の透光性微粒子104bの重量平均粒径の3倍を超える場合、光拡散層102の層厚が大きくなり過ぎ、それに伴い光拡散フィルムの光拡散性が強くなり過ぎるため、液晶表示装置の正面方向の光が光拡散層により散乱され過ぎてしまう等の原因により、透光性微粒子104の重量平均粒径に対する光拡散層102の層厚の比が上記範囲内である場合と比較して正面輝度が低下し、これにより画像ボケが発生する等の表示品位の低下が生じる場合がある。なお、上述のように、「光拡散層の層厚」とは、光拡散層102の基材フィルム101側の面から反対側の面までの最大厚みを意味する。
【0075】
光拡散層102の層厚は、1〜30μmの範囲が好ましい。光拡散層102の層厚が1μm未満の場合、液晶表示装置の前面(視認)側表面に配置される光拡散フィルムに要求される十分な耐擦傷性が付与されない場合がある。また、層厚が30μmを超える場合、作製した光拡散フィルムに発生するカールの量が大きくなり、他のフィルムや基板に貼合する場合等における取り扱い性が悪くなる。
【0076】
〔光拡散フィルム2の光学特性〕
(1)透過鮮明度
光拡散フィルム2は、暗部および明部の幅が0.125mm、0.5mm、1.0mmおよび2.0mmである4種類の光学くしを通して測定される透過鮮明度の和(以下、単に「透過鮮明度」という)が50%以上300%以下であることが好ましい。光拡散フィルムの透過鮮明度がこの範囲内であると、正面輝度向上とドット見えの防止との両立が達成されやすい。「暗部および明部の幅が0.125mm、0.5mm、1.0mmおよび2.0mmである4種類の光学くしを通して測定される透過鮮明度の和」とは、JIS K 7105に準拠し、暗部と明部との幅の比が1:1で、その幅が0.125mm、0.5mm、1.0mmおよび2.0mmである4種類の光学くしを用いて測定される透過鮮明度(像鮮明度)の和である。したがって、ここでいう「透過鮮明度」の最大値は400%となる。透過鮮明度の測定は、光拡散フィルム1の場合と同様にして行うことができる。
【0077】
光拡散フィルムの透過鮮明度が50%未満の場合、光散乱が強すぎるため、光拡散フィルムを液晶表示装置に適用したときに、液晶表示装置の正面方向の光が光拡散層により散乱され過ぎてしまう等の原因により、透過鮮明度が上記範囲内である場合と比較して正面輝度が低下し、これにより画像ボケが発生する等の表示品位の低下が生じる場合がある。また、透過鮮明度が300%を超える場合は、透過鮮明度が上記範囲内である場合と比較してドット隠蔽性が低下する場合がある。光拡散フィルム2の透過鮮明度は、正面輝度向上とドット見えの防止とをより高水準で両立させる観点から、より好ましくは70%以上250%以下であり、さらに好ましくは90%以上230%以下であり、特に好ましくは100%以上200%以下である。
【0078】
(2)ヘイズ
光拡散フィルム2は、ヘイズが30%以上70%以下であることが好ましく、50%以上65%以下であることがより好ましい。ヘイズが30%未満の場合、ヘイズが上記範囲内である場合と比較してドット隠蔽性が低下する傾向にある。また、ヘイズが70%を超える場合、光散乱が強すぎ、ヘイズが上記範囲内である場合と比較して正面輝度が低下し、これにより画像ボケが発生する等の表示品位の低下が生じる傾向にある。また、ヘイズが70%を超える場合は、光拡散フィルムの透明性が損なわれる傾向にある。
【0079】
ここで、「ヘイズ」とは、光拡散フィルム1における規定と同様であり、また光拡散フィルム1の場合と同様にして測定することができる。
【0080】
なお、光拡散フィルム2は、
図6に示される光拡散フィルム300’のように、光拡散層102上(基材フィルム101とは反対側の面上)に積層された透光性樹脂からなる樹脂層105を有するものであってもよい。この場合、樹脂層105の表面(光拡散層102とは反対側の表面)の中心線平均粗さRaは、0.2μm以下であることが好ましい。
【0081】
また、光拡散フィルム2は、光拡散層102上(基材フィルム101とは反対側の面上)に積層された反射防止層をさらに備えていてもよい。反射防止層は光拡散層102上に直接形成してもよく、透明フィルム上に反射防止層を形成した反射防止フィルムを別途用意し、これを粘着剤または接着剤を用いて光拡散層102上に積層してもよい。反射防止層は、反射率を限りなく低くするために設けられるものであり、反射防止層の形成により、表示画面への映り込みを防止することができる。反射防止層としては、光拡散層102の屈折率よりも低い材料から構成された低屈折率層;光拡散層102の屈折率より高い材料から構成された高屈折率層と、この高屈折率層の屈折率より低い材料から構成された低屈折率層との積層構造などを挙げることができる。反射防止フィルムを粘着剤または接着剤を用いて光拡散フィルムに積層する場合、市販の反射防止フィルムを使用できる。
【0082】
また、光拡散フィルム2は、光拡散層102上(基材フィルム101とは反対側の面上)に積層された表面凹凸を有する層をさらに備えていてもよい。表面凹凸を有する層は、光拡散層102上に直接形成してもよく、透明フィルム上に表面凹凸を有する層を形成した表面凹凸を有するフィルムを別途用意し、これを粘着剤または接着剤を用いて光拡散層102上に積層してもよい。表面凹凸を有する層の表面(光拡散層102とは反対側の表面)の中心線平均粗さRaは、0.2μm以下であることが好ましい。
【0083】
表面凹凸を有する層としては、たとえば、防眩層を挙げることができる。防眩層は、表面での乱反射を利用して表示画面への映り込みを低減するために設けられる。光拡散層102上に防眩層を設ける場合、公知の方法が用いられるが、たとえば、光拡散層102上に、透光性微粒子を含有する紫外線硬化型樹脂組成物を薄膜状に塗工し、硬化することで防眩層を形成することができる。防眩フィルムを粘着剤または接着剤を用いて光拡散層102上に積層する場合、市販の防眩フィルムを使用してもよいし、前記の方法に準拠して、透明フィルム上に防眩層を形成したものを作製して用いてもよい。
【0084】
〔光拡散フィルムの製造方法〕
次に、光拡散フィルムを製造するための方法について説明する。本発明の光拡散フィルム(光拡散フィルム1または2)は、好ましくは、次の工程(A)および(B)を含む方法によって製造される。
(A)基材フィルム101上に、透光性微粒子104が分散された樹脂液を塗布する工程、および、
(B)上記樹脂液から形成された層の表面に、金型の鏡面または凹凸面を転写する工程。
【0085】
上記工程(A)で用いる樹脂液は、透光性微粒子104、光拡散層102を構成する透光性樹脂103またはこれを形成する樹脂(たとえば、電離放射線硬化型樹脂、熱硬化型樹脂または金属アルコキシド)、および必要に応じて溶媒等のその他の成分を含む。透光性樹脂103を形成する樹脂として紫外線硬化型樹脂を用いる場合、上記樹脂液は、光重合開始剤(ラジカル重合開始剤)を含む。光重合開始剤としては、たとえば、アセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、トリアジン系光重合開始剤、オキサジアゾール系光重合開始剤などが挙げられる。また、光重合開始剤として、たとえば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアントラキノン、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物等も用いることができる。光重合開始剤の使用量は、通常、樹脂液に含有される紫外線硬化型樹脂100重量部に対して0.5〜20重量部であり、好ましくは1〜5重量部である。なお、光拡散フィルムの光学特性および表面形状を均質なものとするために、樹脂液中の透光性微粒子104の分散は等方分散であることが好ましい。
【0086】
上記樹脂液の基材フィルム101上への塗布は、たとえば、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、ロッドコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、キスコート法、ダイコート法などによって行なうことができる。樹脂液の塗布にあたっては、上述のように、光拡散層102の層厚が、透光性微粒子104の重量平均粒径に対して1倍以上3倍以下となるように、塗布膜厚を調整することが好ましい。
【0087】
樹脂液の塗布性の改良または光拡散層102との接着性の改良を目的として、基材フィルム101の表面(光拡散層102側表面)には、各種表面処理を施してもよい。表面処理としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、酸表面処理、アルカリ表面処理、紫外線照射処理などが挙げられる。また、基材フィルム101上に、たとえばプライマー層等の他の層を形成し、この他の層の上に、樹脂液を塗布するようにしてもよい。
【0088】
また、本発明の光拡散フィルムを、後述する偏光フィルムの保護フィルムとして使用する場合には、基材フィルム101と偏光フィルムとの接着性を向上させるために、基材フィルム101の表面(光拡散層102とは反対側の表面)を各種表面処理によって親水化しておくことが好ましい。
【0089】
上記工程(B)においては、上記樹脂液から形成された層の表面に、金型の鏡面または凹凸面を転写する。具体的には、
図1に示されるような平坦な表面を有する光拡散層を得るためには、上記樹脂液から形成された層の表面に、鏡面を有する金型(鏡面金型)の当該鏡面を密着させて鏡面を転写する。また、
図2に示されるような凹凸表面形状を有する光拡散層を得るためには、上記樹脂液から形成された層の表面に、凹凸面を有する金型(エンボス加工用金型)の当該凹凸面を密着させて凹凸面を転写する。鏡面金型は鏡面金属製ロールでもよく、また、エンボス加工用金型はエンボス加工用金属製ロールでもよい。このように、金型の鏡面または凹凸面を光拡散層102の表面に転写することによって、透光性微粒子104が光拡散層102の表面から突出することを確実に防止することができ、所望の表面形状を有する光拡散層102を形成することができる。
【0090】
透光性樹脂103を形成する樹脂として電離放射線硬化型樹脂、熱硬化型樹脂または金属アルコキシドを用いる場合は、上記樹脂液からなる層を形成し、必要により乾燥(溶媒の除去)を行ない、その樹脂液から形成された層の表面に金型の鏡面または凹凸面を密着させた状態で、または密着させた後、電離放射線の照射(電離放射線硬化型樹脂を用いる場合)または加熱(熱硬化型樹脂または金属アルコキシドを用いる場合)により樹脂液から形成された層を硬化させる。電離放射線としては、樹脂液に含まれる樹脂の種類に応じて紫外線、電子線、近紫外線、可視光線、近赤外線、赤外線、X線などから適宜選択することができるが、これらの中でも紫外線、電子線が好ましく、特に取り扱いが簡便で高エネルギーが得られることから紫外線が好ましい。
【0091】
紫外線の光源としては、たとえば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。また、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、エキシマランプまたはシンクロトロン放射光等も用いることができる。これらの中でも、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプが好ましく用いられる。
【0092】
電子線としては、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される50〜1000keV、好ましくは100〜300keVのエネルギーを有する電子線を挙げることができる。
【0093】
次に、本発明の光拡散フィルムを製造するための好ましい実施形態について説明する。当該好ましい実施形態に係る製造方法は、本発明の光拡散フィルムを連続的に製造するために、ロール状に巻き付けられた基材フィルム101を連続的に送り出す工程、透光性微粒子104が分散された樹脂液を基材フィルム101上に塗布し、必要に応じて乾燥させる工程、樹脂液から形成された層を硬化させる工程、および、得られた光拡散フィルムを巻き取る工程を含む。かかる製造方法は、たとえば
図7に示される製造装置を用いて実施することができる。以下、
図7を参照しながら、当該好ましい実施形態に係る製造方法について説明する。
【0094】
まず、巻き出し装置401により基材フィルム101が連続的に巻き出される。ついで、巻き出された基材フィルム101上に、塗工装置402およびこれに対向するバックアップロール403を使用して、透光性微粒子104が分散された樹脂液が塗工される。次に、樹脂液に溶媒が含まれる場合には、樹脂液が塗工された基材フィルム101を、乾燥機404を通過させることにより乾燥させる。次に、樹脂液から形成された層が設けられた基材フィルム101は、鏡面金属製ロールまたはエンボス加工用金属製ロール405とニップロール406との間へ、その樹脂液から形成された層が鏡面金属製ロールまたはエンボス加工用金属製ロール405と密着するように巻き掛けられる。これにより、樹脂液から形成された層の表面に鏡面金属製ロールの鏡面またはエンボス加工用金属製ロールの凹凸面が転写される。ついで、基材フィルム101が鏡面金属製ロールまたはエンボス加工用金属製ロール405に巻き掛けられた状態で、基材フィルム101を通して、紫外線照射装置408から紫外線を照射することにより、樹脂液から形成された層を硬化させる。紫外線照射により照射面が高温になることから、鏡面金属製ロールまたはエンボス加工用金属製ロール405は、その表面温度を室温〜80℃程度に調整するための冷却装置をその内部に備えることが好ましい。また、紫外線照射装置408は、1機、もしくは複数機を使用することができる。光拡散層102が形成された基材フィルム101(光拡散フィルム)は、剥離ロール407によって、鏡面金属製ロールまたはエンボス加工用金属製ロール405から剥離される。以上のようにして作製された光拡散フィルムは、巻き取り装置409へ巻き取られる。この際、光拡散層102を保護する目的で、再剥離性を有した粘着剤層を介して、光拡散層102表面にポリエチレンテレフタレートやポリエチレン等からなる保護フィルムを貼着しながら光拡散フィルムを巻き取ってもよい。
【0095】
なお、剥離ロール407によって鏡面金属製ロールまたはエンボス加工用金属製ロール405から剥離された後に、光拡散フィルムに対して追加の紫外線照射を行なってもよい。また、鏡面金属製ロールまたはエンボス加工用金属製ロール405に巻き掛けられた状態で紫外線照射を行なう代わりに、未硬化の樹脂液から形成された層が積層された基材フィルム101を鏡面金属製ロールまたはエンボス加工用金属製ロール405から剥離した後に、紫外線を照射して樹脂液から形成された層を硬化させてもよい。
【0096】
<光拡散性偏光板>
上述した本発明の光拡散フィルムは、偏光板と組み合わせることにより光拡散性偏光板とすることができる。この光拡散性偏光板は、偏光機能と光拡散(防眩)機能とを有する多機能フィルムであり、エッジライト型面光源を搭載する液晶表示装置における液晶セルの前面(視認)側に配置される前面側偏光板として用いられる。
【0097】
本発明の光拡散性偏光板は、少なくとも偏光フィルムを有する偏光板と、基材フィルム側が該偏光板に対向するように該偏光板上に積層された上記本発明の光拡散フィルムとを備えるものである。光拡散フィルムは、接着剤層または粘着剤層を介して偏光板上に積層することができる。偏光板は従来公知の構成であってよく、たとえば、偏光フィルムの片面または両面に保護フィルムを有するものが一般的である。また、偏光板は、偏光フィルムそれ自体であってもよい。
図8は、本発明の光拡散性偏光板の好ましい一例を示す概略断面図である。
図8に示される光拡散性偏光板500は、偏光フィルム501および該偏光フィルム501の一方の面に貼着された保護フィルム502からなる偏光板510と、偏光フィルム501の他方の面に貼着された光拡散フィルム100とを備える。光拡散フィルム100は、その基材フィルム101側が偏光板510の偏光フィルム501に対向するように貼着されている。光拡散フィルム100および保護フィルム502は、図示しない接着剤層を介して偏光フィルム501に貼着される。このような、偏光フィルム501と光拡散フィルム100とが接着剤層を介して貼着される構成、すなわち、光拡散フィルム100を偏光フィルム501の保護フィルムとして使用する構成は、光拡散性偏光板の薄膜化に有利である。
【0098】
偏光フィルム501としては、たとえば、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エチレン/酢酸ビニル(EVA)樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル系樹脂等からなるフィルムに、二色性染料またはヨウ素を吸着配向させたもの、配向したポリビニルアルコールの二色性脱水生成物(ポリビニレン)の分子鎖を含有するポリビニルアルコール/ポリビニレンコポリマーを有する分子的に配向したポリビニルアルコールフィルム等が挙げられる。特に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性染料またはヨウ素を吸着配向させたものが偏光フィルムとして好適に使用される。偏光フィルム501の厚さに特に限定はないが、一般には偏光板510の薄型化等の観点から、100μm以下が好ましく、より好ましくは10〜50μmの範囲、さらに好ましくは25〜35μmの範囲である。
【0099】
偏光フィルム501の保護フィルム502としては、低複屈折性で、透明性、機械的強度、熱安定性および水分遮蔽性などに優れるポリマーからなるフィルムが好ましい。このようなフィルムとしては、たとえば、TAC(トリアセチルセルロース)などのセルロースアセテート系樹脂;アクリル系樹脂;四フッ化エチレン/六フッ化プロピレン系共重合体のようなフッ素系樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリスルホン系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリビニルアルコール系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;ポリオレフィン系樹脂;またはポリアミド系樹脂等の樹脂からなるフィルムが挙げられる。これらの中でも、偏光板の偏光特性や耐久性などの点から、表面をアルカリなどでケン化処理したトリアセチルセルロースフィルムや、ノルボルネン系熱可塑性樹脂フィルムが好ましく使用される。ノルボルネン系熱可塑性樹脂フィルムは、耐湿熱性が高いため、偏光板の耐久性を大幅に向上させることができるとともに、吸湿性が小さいため、寸法安定性が高く、特に好適である。上記樹脂のフィルムへの成形加工は、キャスティング法、カレンダー法、押出法の従来公知の方法を用いることができる、保護フィルム502の厚さに限定はないが、偏光板510の薄膜化等の観点から500μm以下が好ましく、より好ましくは5〜300μmの範囲、さらに好ましくは5〜150μmの範囲である。
【0100】
以上のような構成の光拡散性偏光板500は、典型的には、その光拡散フィルム100が光出射側(視認側)となるように、粘着剤層等を介して液晶セルのガラス基板に貼着されて液晶表示装置に組み込まれる。
【0101】
光拡散性偏光板は、光拡散層102上に積層された反射防止層をさらに備えていてもよい。反射防止層を備える光拡散性偏光板としては、たとえば、平坦面からなる光拡散層102の表面に直接、反射防止層106を積層した光拡散性偏光板(
図9参照);平坦面からなる光拡散層102の表面に、透明フィルム107と反射防止層106との積層体からなる反射防止フィルムを、接着剤層または粘着剤層108を介して積層した光拡散性偏光板(
図10参照);凹凸を有する光拡散層102の表面に直接、反射防止層106を積層した光拡散性偏光板(
図11参照);凹凸を有する光拡散層102の表面に、透明フィルム107と反射防止層106との積層体からなる反射防止フィルムを、接着剤層または粘着剤層108を介して積層した光拡散性偏光板(
図12参照);凹凸を有する光拡散層102の表面に積層された透光性樹脂からなる樹脂層105の表面に直接、反射防止層106を積層した光拡散性偏光板(
図13参照);凹凸を有する光拡散層102の表面に積層された透光性樹脂からなる樹脂層105の表面に、透明フィルム107と反射防止層106との積層体からなる反射防止フィルムを、接着剤層または粘着剤層108を介して積層した光拡散性偏光板(
図14参照)などが挙げられる。
【0102】
また、光拡散性偏光板は、光拡散層102上に積層された、防眩層等の表面凹凸を有する層をさらに備えていてもよい。表面凹凸を有する層を備える光拡散性偏光板としては、たとえば、平坦面からなる光拡散層102の表面に直接、表面凹凸を有する層601を積層した光拡散性偏光板(
図15参照);平坦面からなる光拡散層102の表面に、透明フィルム107と表面凹凸を有する層601との積層体からなるフィルムを、接着剤層または粘着剤層108を介して積層した光拡散性偏光板(
図16参照);凹凸を有する光拡散層102の表面に直接、表面凹凸を有する層601を積層した光拡散性偏光板(
図17参照);凹凸を有する光拡散層102の表面に、透明フィルム107と表面凹凸を有する層601との積層体からなるフィルムを、接着剤層または粘着剤層108を介して積層した光拡散性偏光板(
図18参照);凹凸を有する光拡散層102の表面に積層された透光性樹脂からなる樹脂層105の表面に直接、表面凹凸を有する層601を積層した光拡散性偏光板(
図19参照);凹凸を有する光拡散層102の表面に積層された透光性樹脂からなる樹脂層105の表面に、透明フィルム107と表面凹凸を有する層601との積層体からなるフィルムを、接着剤層または粘着剤層108を介して積層した光拡散性偏光板(
図20参照)などが挙げられる。
【0103】
<液晶表示装置>
次に、本発明に係る液晶表示装置について説明する。本発明の液晶表示装置は、エッジライト型面光源と、エッジライト型面光源の前面側に配置される液晶セルと、液晶セルの前面側に配置される前面側偏光板と、前面側偏光板の前面側に配置される上記本発明の光拡散フィルムとを備えるものであり、通常は、エッジライト型面光源と液晶セルとの間(光偏向手段を備える場合、光偏向手段と液晶セルとの間)に配置された背面側偏光板をさらに備える。前面側偏光板と光拡散フィルムとの組み合わせとして、上記本発明の光拡散性偏光板を用いることができる。
【0104】
図21は、本発明の液晶表示装置の好ましい一例を示す概略断面図である。
図21の液晶表示装置は、ノーマリーホワイトモードのTN方式の液晶表示装置であって、エッジライト型面光源702、光偏向手段としての2枚のプリズムフィルム704a、704b、背面側偏光板705、一対の透明基板711a、711bの間に液晶層712が設けられてなる液晶セル701、および、前面側偏光板706と本発明に係る光拡散フィルム707とからなる光拡散性偏光板710がこの順で配置されてなる。
【0105】
図22に示すように、背面側偏光板705と前面側偏光板706は、それらの透過軸が直交の関係となるように配置されている。また、2枚のプリズムフィルム704a、704bはそれぞれ、光入射側(面光源側)の面が平坦面であり、光出射側(視認側)の面(背面側偏光板705に対向する表面)に線状プリズム741a,741bが平行に複数形成されている。そして、プリズムフィルム704aは、その線状プリズム741aの稜線742aの方向が背面側偏光板705の透過軸方向と実質的に平行となるよう配置され、プリズムフィルム704bは、その線状プリズム741bの稜線742bの方向が光拡散性偏光板710を構成する前面側偏光板706の透過軸方向と実質的に平行となるように配置されている。ただし、プリズムフィルム704bの線状プリズム741bの稜線742bの方向が背面側偏光板705の透過軸方向と実質的に平行となるよう配置し、プリズムフィルム704aの線状プリズム741aの稜線742aの方向が光拡散性偏光板710を構成する前面側偏光板706の透過軸方向と実質的に平行となるように配置することも可能である。以下、本発明の液晶表示装置を構成する構成部材についてより詳細に説明する。
【0106】
〔液晶セル〕
液晶セル701は、スペーサーにより所定距離を隔てて対向配置された一対の透明基板711a、711bと、この一対の透明基板711a、711bの間に封入された液晶から構成される液晶層712とを備える。一対の透明基板711a、711bには、それぞれ透明電極や配向膜が積層形成されており、透明電極間に表示データに基づいた電圧が印加されることによって液晶が配向する。液晶セル701の表示方式は、上記の例ではTN方式であるが、IPS方式、VA方式などの表示方式であってもよい。
【0107】
〔エッジライト型面光源〕
エッジライト型面光源702は、光源からの光を導光板に入射し、導光板の前面側表面から光を出射する光源装置である。このエッジライト型面光源702は、
図21に示すように、前面側が開放された箱型形状のランプボックス720と、ランプボックス720内に収容された導光板721と、ランプボックス720内であって、導光板721の側方に配置される光源722とを備えている。さらに、エッジライト型面光源702は、導光板721の背面側に配置された反射シート723を備えるものであってもよい。導光板721の背面(反射シート723側の面)には、導光板721内に入射した光を拡散(乱反射)させて、導光板721の前面側表面から光を均一に出射できるようにするためのドットパターン724が形成される。なお、かかるドットパターンは、導光板の前面側に形成してもよい。ランプボックス720は、たとえば白色の樹脂板(アクリル系樹脂板等)から構成することができる。
【0108】
光源722は、線状光源、点状光源のいずれであってもよく、たとえば、冷陰極管や発光ダイオード(LED)などを用いることができる。光源722は、導光板721の一辺のみに沿うように配置されてもよいし、対向する二辺に配置されてもよいし、三辺、さらには四辺に配置されてもよい。
【0109】
導光板721は、ポリメタクリル酸メチル樹脂等のアクリル系樹脂、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂またはポリカーボネート樹脂などの透明樹脂から構成することができ、その形状は、平板状またはくさび形状などにすることができる。ドットパターン724を背面に有する導光板721は、たとえば、サンドブラストやエッチングにより形成された表面凹凸を有する金型を用いた射出成形法やレーザー加工法、あるいは導光板となる基材表面に反射性微粒子としての酸化チタンや酸化亜鉛等を含有する樹脂組成物(白色インク)をインクジェット方式、スクリーン印刷、スタンプ方式等の公知の手段により塗布する方法などにより作製することができる。後者の場合において、導光板721それ自体は、押出成形、射出成形等の溶融成形により作製することができる。ドットパターンは、導光板の光入射面(光源に対向する側面)から離れるに従いドット径を大きくしたり、ドットの数を多くしたりするなど、密度(ドットパターン形成面におけるドットパターンが占める面積の割合)差をつけて形成してもよい。
【0110】
ドットパターン724を有する導光板721は、250mmの光路長で測定される波長380〜780nmの波長域における平均の光線透過率が85%以上である樹脂から構成されることが好ましい。波長380〜780nmの波長域における平均の光線透過率が85%未満である、すなわち、光源722から出射される可視光波長域の光が比較的多く吸収されると、エッジライト型面光源702から出射される光の量が少なくなるため好ましくない。導光板721には、必要に応じ、面光源としての光学特性を低下させない範囲で、樹脂加工安定剤やフィラー等を添加してもよい。
【0111】
反射シート723は、導光板721の背面側に配置され、導光板721の背面側に出射された光を反射させて、前面側へ出射される光の量を向上させる機能を有する高反射性シートである。反射シートとしては、たとえば、上記透明樹脂中に、無機フィラー、顔料等の添加剤を分散させたものや、上記透明樹脂を発泡させたものを用いることができる。
【0112】
〔プリズムフィルム(光偏向手段)〕
エッジライト型面光源702と背面側偏光板705との間に配置されるプリズムフィルム704a,704bは、光入射面側(エッジライト型面光源側)が平坦面で、光出射側の面(背面側偏光板705に対向する表面)に、断面が先細の多角形状、たとえば三角形状の線状プリズム741a,741bが平行に複数形成されたものであることができる。プリズムフィルム704a、704bの材料としては、たとえば、ポリカーボネート樹脂;ABS樹脂;メタクリル樹脂;メタクリル酸メチル−スチレン共重合体樹脂;ポリスチレン樹脂;アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂などが挙げられる。プリズムフィルム704a、704bは、異形押出法、プレス成形法、射出成形法、ロール転写法、レーザーアブレーション法、機械切削法、機械研磨法、フォトポリマープロセスなどの公知の方法で製造することができる。これらの方法は、それぞれ単独で使用されてもよいし、あるいは2種以上の方法を組み合わせてもよい。プリズムフィルム704a、704bの厚みは、通常、0.05〜5mmであり、好ましくは0.1〜2mmである。
【0113】
線状プリズム741a,741bの稜線742a,742bに直交する垂直断面での断面形状が、たとえば三角形の場合、その三角形の頂点のうち稜線を形成する頂点の頂角θ(
図22参照)は、90〜110°の範囲であることが好ましい。また、この三角形は、各辺が等辺、不等辺のいずれであってもよいが、正面方向(液晶表示装置の表示面の法線方向)に集光しようとする場合は、光出射側の二辺が等しい二等辺三角形であることが好ましい。線状プリズム741a,741bの断面形状は、面光源からの出射光の特性に合わせて設定することもでき、曲線を持たせるなど、三角形以外の形状としてもよい。
【0114】
上記プリズムフィルム704a,704bは、たとえば三角形状の断面を有する複数の線状プリズム741a,741bが、三角形の頂角θを形成する頂点に相対する底辺が互いに隣接するように順次配置され、複数の線状プリズム741a,741bの稜線742a,742bが互いにほぼ平行になるように配列された構造を有することが好ましい。この場合、集光能力が著しく減退しない限り、線状プリズム741a,741bの断面形状の三角形は、その各頂点が曲線形状となっていてもよい。各稜線間の距離は、通常、10〜500μmの範囲であり、好ましくは30〜200μmの範囲である。
【0115】
なお、上記では好ましい実施形態の1つとしてプリズムフィルムを2枚用いた場合について説明したが、本発明の液晶表示装置は、光偏向手段として、プリズムフィルムを1枚のみ有するものであってもよいし、3枚以上有するものであってもよい。また、光偏向手段を有していなくてもよい。
【0116】
〔光拡散手段〕
本発明の液晶表示装置は、面光源からの光の均一拡散性および正面輝度をより向上させるための光拡散手段、たとえば拡散シートを、エッジライト型面光源702と液晶セル701との間(より具体的には、エッジライト型面光源と背面側偏光板705との間)に備えていてもよい。用いる拡散シートの数や、光偏向手段を備える場合における拡散シートと光偏向手段との配置関係は特に制限されず、たとえば、エッジライト型面光源702と光偏向手段(プリズムフィルム704a,704b)との間に1枚の拡散シート703を備えた構成(
図23参照);光偏向手段(プリズムフィルム704a,704b)と背面側偏光板705との間に1枚の拡散シート703を備えた構成(
図24参照);エッジライト型面光源702と光偏向手段(プリズムフィルム704a,704b)との間および光偏向手段と背面側偏光板705との間にそれぞれ1枚の拡散シート703を備えた構成(
図25参照)などであることができる。
【0117】
拡散シートとしては、従来公知のものを用いることができ、たとえば、透明な基材フィルム上(前面側表面)に、バインダー樹脂中に光拡散剤が分散されてなる光拡散層を備えるものであることができる。光拡散層は、バインダー樹脂を形成する樹脂と光拡散剤とを含有する樹脂組成物を基材フィルムに塗工し、必要に応じて乾燥、硬化させることにより形成することができる。基材フィルムの裏面には、必要に応じて、隣接する光学部材との密着を防止するためのスティッキング防止層(たとえば、バインダー樹脂中にビーズが混合分散された層)を形成してもよい。このようなバックライト(面光源)側に使用される拡散シートは、好ましくは、全光線透過率(Tt)が60%以上であり、ヘイズが30〜90%である。
【0118】
〔偏光板〕
液晶セル701の前面側に配置される光拡散性偏光板710を構成する前面側偏光板706については上述したものを用いることができる。また、背面側偏光板705としては、従来公知のものを用いることができる。
【0119】
〔位相差板〕
本発明の液晶表示装置は、
図26に示されるように、位相差板708を備えることができる。
図26において位相差板708は、背面側偏光板705と液晶セル701との間に配置されている。この位相差板708は、液晶セル701の表面に対して垂直な方向の位相差がほぼゼロのものであり、真正面からは何ら光学的な作用を及ぼさず、斜めから見たときに位相差が発現し、液晶セル701で生じる位相差を補償するものである。これによって、より広い視野角が得られ、より優れた表示品位および色再現性が得られるようになる。位相差板708は、背面側偏光板705と液晶セル701の間、および、前面側偏光板706と液晶セル701の間の一方、または、その両方に配置することができる。本発明の液晶表示装置は、位相差板708とともに、
図23〜25に示される液晶表示装置のように、さらに拡散シートを備えていてもよい。
【0120】
位相差板708としては、たとえば、ポリカーボネート樹脂や環状オレフィン系重合体樹脂からなるフィルムを二軸延伸したものや、液晶性モノマーをフィルムに塗布し、光重合反応によってその分子配列を固定化したもの等が挙げられる。位相差板708は、液晶の配列を光学的に補償するものであるから、液晶配列と逆の屈折率特性のものを用いる。具体的にはTNモードの液晶セルには、たとえば、「WVフィルム」(富士フイルム株式会社製)、STNモードの液晶セルには、たとえば、「LCフィルム」(新日本石油株式会社製)、IPSモードの液晶セルには、たとえば、二軸性位相差フィルム、VAモードの液晶セルには、たとえば、AプレートおよびCプレートを組み合わせた位相差板や二軸性位相差フィルム、πセルモードの液晶セルには、たとえば、「OCB用WVフィルム」(富士フイルム株式会社製)等が好適に使用できる。
【0121】
以上のような構成の液晶表示装置において、
図21を参照して、エッジライト型面光源702から放射された光は、プリズムフィルム704aへ入射する。背面側偏光板705の透過軸方向に直交する垂直断面において、プリズムフィルム704aの下面に対して斜めに入射した光は、正面方向に進路が変えられて出射される。次に、プリズムフィルム704bにおいて、前面側偏光板706の透過軸方向に直交する断面において、プリズムフィルム704bの下面に対して斜めに入射した光は、上記と同様に、正面方向に進路が変えられて出射される。したがって、2枚のプリズムフィルム704a,704bを通過した光は、いずれの垂直断面においても正面方向に集光されたものとなり、正面方向の輝度が向上する。
【0122】
ついで、正面方向に指向性が付与された光は、背面側偏光板705によって偏光されて液晶セル701に入射する。液晶セル701に入射した光は、液晶層412によって偏光状態が制御されて液晶セル701から出射する。そして、液晶セル701から出射した光は、前面側偏光板706を通過して、さらに光拡散フィルム707を通って拡散され、表示面側に出射する。
【0123】
このように、光偏向手段として2枚のプリズムフィルム704a,704bを用いると、液晶セル701に入射する光の正面方向への指向性をより高めることができ、これにより、正面方向の輝度をより向上させることができる。また、本発明の光拡散フィルムを使用しているので、液晶表示装置は、ドット隠蔽性に優れるとともに、正面輝度に優れたものとなる。
【実施例】
【0124】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の例における光拡散フィルムの光学特性(透過鮮明度、ヘイズ)および表面形状(中心線平均粗さRa)、光拡散層の層厚ならびに用いた透光性微粒子の重量平均粒径および粒径の標準偏差の測定方法は次のとおりである。
【0125】
(a)透過鮮明度
光学的に透明な粘着剤を用いて、光拡散フィルムを、その基材フィルム側でガラス基板に貼合した測定用サンプルを用いて測定を行なった。測定には、JIS K 7105に準拠した写像性測定器(スガ試験機株式会社製の「ICM−1DP」)を用いた。
【0126】
(b)ヘイズ
光学的に透明な粘着剤を用いて、光拡散フィルムを、その基材フィルム側でガラス基板に貼合した測定用サンプルを用いて測定を行なった。なお、この際、JIS K 7136に準拠したヘイズ透過率計(株式会社村上色彩技術研究所製のヘイズメーター「HM−150」)を用い、JIS K 7361およびJIS K 7136に準拠して測定した。
【0127】
(c)中心線平均粗さRa
JIS B 0601に準拠した共焦点干渉顕微鏡(株式会社オプティカルソリューション社製の「PLμ2300」)を用いて測定した。
【0128】
(d)光拡散層の層厚
光拡散フィルムの層厚をNIKON社製 DIGIMICRO MH−15(本体)およびZC−101(カウンター)を用いて測定し、基材フィルムの厚み80μmを測定層厚から差し引くことにより光拡散層の層厚を測定した。
【0129】
(e)透光性微粒子の重量平均粒径および粒径の標準偏差
コールター原理(細孔電気抵抗法)に基づいたコールターマルチサイザー(ベックマンコールター社製)を用いて測定した。
【0130】
〔光拡散フィルムの作製〕
<実施例1>
(1)鏡面金属製ロールの作製
直径200mmの鉄ロール(JISによるSTKM13A)の表面に工業用クロムめっき加工を行ない、ついで表面を鏡面研磨して鏡面金属製ロールを作製した。得られた鏡面金属製ロールのクロムめっき面のビッカース硬度は1000であった。なお、ビッカース硬度は、超音波硬度計MIC10(Krautkramer社製)を用い、JIS Z 2244に準拠して測定した。
【0131】
(2)光拡散フィルムの作製
ペンタエリスリトールトリアクリレート60重量部、および多官能ウレタン化アクリレート(ヘキサメチレンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートとの反応生成物)40重量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルに混合し、固形分濃度60重量%となるように調整して紫外線硬化性樹脂組成物を得た。なお、該組成物からプロピレングリコールモノメチルエーテルを除去して紫外線硬化した後の硬化物の屈折率は1.53であった。
【0132】
次に、上記紫外線硬化性樹脂組成物の固形分100重量部に対して、透光性微粒子として、重量平均粒径が3.10μmのポリスチレン系粒子(第1の透光性微粒子)17.2重量部と、重量平均粒径が6.90μmのポリスチレン系粒子(第2の透光性微粒子)25.8重量部とを混合した粒子(全粒子の重量平均粒径:5.38μm、標準偏差:2.28μm)、および光重合開始剤である「ルシリン TPO」(BASF社製、化学名:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド)を5重量部添加し、固形分濃度が60重量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルで希釈して塗布液を調製した。
【0133】
この塗布液を、厚さ80μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(基材フィルム)上に塗布し、80℃に設定した乾燥機中で1分間乾燥させて紫外線硬化性樹脂組成物層を形成した。乾燥後の紫外線硬化性樹脂組成物層および基材フィルムからなる積層体を、上記(1)で作製した鏡面金属製ロールの鏡面に、紫外線硬化性樹脂組成物層がロール側となるようにゴムロールで押し付けて密着させた。この状態で基材フィルム側より、強度20mW/cm
2の高圧水銀灯からの光をh線換算光量で300mJ/cm
2となるように照射して、紫外線硬化性樹脂組成物層を硬化させ、平坦な表面を有する光拡散層と基材フィルムとからなる、
図4に示す構造の光拡散フィルムを得た。光拡散層の厚みは、11.5μmであった。
【0134】
<実施例2〜6>
光拡散層の厚み、ならびに透光性微粒子の重量平均粒径、粒径の標準偏差および添加量などを表1のとおりにしたこと以外は実施例1と同様にして光拡散フィルムを作製した。
【0135】
<実施例7>
(1)エンボス加工用金属製ロールの作製
直径200mmの鉄ロール(JISによるSTKM13A)の表面に銅バラードめっきが施されたものを用意した。銅バラードめっきは、銅めっき層/薄い銀めっき層/表面銅めっき層からなるものであり、めっき層全体の厚みは、約200μmであった。その銅めっき表面を鏡面研磨し、さらにその研磨面に、ブラスト装置((株)不二製作所製)を用いて、ジルコニアビーズTZ−B125(東ソー(株)製、平均粒径:125μm)を、ブラスト圧力0.05MPa(ゲージ圧、以下同じ)、微粒子使用量16g/cm
2(ロールの表面積1cm
2あたりの使用量、以下同じ)でブラストし、表面に凹凸を形成した。その凹凸面に、ブラスト装置((株)不二製作所製)を用いて、ジルコニアビーズTZ−SX−17(東ソー(株)製、平均粒径:20μm)を、ブラスト圧力0.1MPa、微粒子使用量4g/cm
2でブラストし、表面凹凸を微調整した。得られた凹凸つき銅めっき鉄ロールに対し、塩化第二銅液でエッチング処理を行なった。その際のエッチング量は3μmとなるように設定した。その後、クロムめっき加工を行ない、エンボス加工用金属製ロールを作製した。このとき、クロムめっき厚みが4μmとなるように設定した。得られたエンボス加工用金属製ロールのクロムめっき面のビッカース硬度は1000であった。
【0136】
(2)光拡散フィルムの作製
鏡面金属製ロールの代わりに、上記(1)で作製したエンボス加工用金属製ロールを使用すること以外は実施例5と同様に光拡散フィルムを作製した。
【0137】
<実施例8>
鏡面金属製ロールの代わりに、実施例7の(1)で作製したエンボス加工用金属製ロールを使用すること以外は実施例6と同様に光拡散フィルムを作製した。
【0138】
<比較例1>
三星電子社製46型液晶テレビ「UN46B8000」の液晶パネルの前面側に配置されたフィルムを剥がし、これを比較例1のフィルムとした。
【0139】
<比較例2>
光拡散層に透光性微粒子を添加しないこと以外は実施例6と同様に光拡散フィルムを作製した。
【0140】
用いた透光性微粒子の性状、光拡散フィルムの光学特性、表面形状および光拡散層の層厚等を表1にまとめて示す。
【0141】
【表1】
【0142】
〔液晶表示装置の作製〕
上記で得られた実施例1〜8または比較例2の光拡散フィルムを用いて液晶表示装置を作製し、ドット隠蔽性の程度および正面輝度を評価した。まず、三星電子社製46型液晶テレビ「UN46B8000」のエッジライト型面光源の導光板と背面側偏光板との間に、頂角が95°である複数の線状プリズムが平行に配列されたプリズムフィルムを2枚(第1、第2のプリズムフィルムとする)配置した。具体的には、第1のプリズムフィルムは、複数の線状プリズムの稜線方向がプリズムフィルムの短辺方向と平行になっており、このプリズムフィルムをエッジライト型面光源の導光板上に、第1のプリズムフィルムの短辺方向と導光板の短辺方向が平行となるように、かつ線状プリズムの稜線方向(第1のプリズムフィルムの短辺方向)が背面側偏光板の透過軸と平行となるように配置した。また、第2のプリズムフィルムは、複数の線状プリズムの稜線方向がプリズムフィルムの長辺方向と平行になっており、このプリズムフィルムを第1のプリズムフィルム上に、第2のプリズムフィルムの短辺方向と導光板の短辺方向が平行となるように、かつ線状プリズムの稜線方向(第2のプリズムフィルムの長辺方向)が後述する前面(視認)側偏光板の透過軸と平行となるように配置した。また、上記液晶テレビに搭載されていた液晶パネルの前面側偏光板を剥がして、代わりに、ヨウ素系偏光板(住友化学社製の「TRW842AP7」)を、背面側偏光板に対して透過軸が直交の関係となるように貼合し、その上に、実施例1〜8または比較例2のいずれかの光拡散フィルムを、基材フィルム側が偏光板に対向するように粘着剤層を介して貼合し、液晶表示装置を得た。なお、上記液晶テレビに搭載されているエッジライト型面光源は、長辺と短辺を有する平板状であり、背面に白色インクからなるドット印刷パターンが形成された導光板と、導光板の背面側に配置された反射シートと、導光板の4つの辺に沿って配列されたLEDからなる光源とを備える4灯式の面光源であった。
【0143】
また、上記三星電子社製46型液晶テレビに搭載されていた液晶パネル(前面側に比較例1のフィルムが配置されている)をそのまま用いたこと以外は上記と同様にして液晶表示装置(比較例1のフィルムを用いた液晶表示装置)を作製した。
【0144】
ドット隠蔽性の程度および正面輝度の評価結果を表2に示す。これらの測定方法および評価基準は次のとおりである。
【0145】
(a)ドット隠蔽性
得られた液晶表示装置を暗室内で起動し、表示面から約30cm離れた地点から、目視観察により評価した。評価基準は次のとおりである。
A:ドットがほとんどまたは完全に視認できない。
B:ごく僅かにドットが視認される。
C:明らかにドットが視認される。
【0146】
(b)正面輝度
得られた液晶表示装置を暗室内で起動し、白表示状態における画面の中心点での正面輝度を輝度計BM5A型((株)トプコン製)を用いて測定した。この際、輝度計のレンズと液晶表示装置のパネル表面との距離を35cmとし、輝度計の測定角を1度に設定した。
【0147】
【表2】
【0148】
表2に示されるように、実施例1〜4および6〜8の光拡散フィルムを用いた液晶表示装置は、良好な正面輝度を示すとともに、ドット見えも生じなかった。また、実施例5の光拡散フィルムを用いた液晶表示装置は、ごく僅かにドットが視認されるものの、良好な正面輝度を示した。一方、比較例1および2のフィルムを用いた液晶表示装置は、透過鮮明度が高いため、明らかにドットが視認された。