(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ケーシングの側壁において、前記流体制御弁及び前記圧力センサに対向する肉薄部を、その他の部分よりも最も薄い肉薄部としている請求項1又は2記載の流体制御用機器。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明に係る流体制御用機器の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0020】
本実施形態に係る流体制御用機器100は、例えばガスパネルに搭載されて半導体製造装置の材料供給ラインの一部を構成するもので、
図1に流体回路図、
図2に全体斜視図を示すように、流量制御対象である流体が流れる内部流路1aを有するボディユニット1と、前記内部流路1a上に設けられた流体制御弁である流量調整弁4と、この流量調整弁4よりも下流側に設けられ、前記内部流路1aを流れる流体の質量流量を測定する流量測定機構10と、この流量測定機構10による測定流量が予め定めた目標流量になるように前記流量調整弁4を制御する制御回路6(
図2には示していない)とから構成されたマスフローコントローラである。以下に各部を詳述する。
【0021】
ボディユニット1は、
図2に示すように、長細い直方体形状をなすものである。このボディユニット1における長手方向と平行な1つの面は、部品取付面1xとして設定してあり、この部品取付面1xのみに、前記流量調整弁4や圧力センサ2A、2Bなどの部品が取り付けられるように構成してある。また、この部品取付面1xの反対側の面を、当該ボディユニット1をパネルなどに固定するための固定面としている。さらに、長手方向と平行な他の2面(以下、側面と言う)には何も取り付けないようにして、複数のボディユニット1の側面同士を密着乃至近接させて配置できるように構成してある。
【0022】
内部流路1aは、ボディユニット1の長手方向における一端部から他端部に向かって延びるもので、
図3に示すように、その流体導入口1b及び流体導出口1cが、前記ボディユニット1の長手方向に直交する両端面にそれぞれ開口するように構成してある。そして、前記部品取付面1xと直交する方向から視たときに(以下、平面視とも言う)、流体が長手方向と略平行に流れていくように構成してある。
【0023】
流量調整弁4は、
図3、
図6、
図7に示すように、弁座部材42と弁体部材41とからなる柱状をなすものであり、前記部品取付面1xにおける流体導入口1b側の一端部に鉛直に取り付けられている。この流量調整弁4の最大幅寸法は、前記部品取付面1xの幅寸法(長手方向と直交する方向の寸法)よりも若干小さく設定してあり、
図4に示すように、この流量調整弁4をボディユニット1に取り付けた状態で、流量調整弁4がボディユニット1よりも幅方向外側に突出しないように構成してある。
【0024】
この流量調整弁4を構成する部材のうち、弁座部材42は、
図7に示すように、その頂面中央部に円環状の弁座面42aを突出形成した概略柱状をなすものである。また、弁座部材42には、一端が当該弁座部材42の頂面中央部(具体的には弁座面42aの内側)に開口するとともに他端が当該弁座部材42の底面中央部に開口する流体導入路42bと、一端が該弁座部材42の頂面周縁部(より具体的には弁座面42aよりも外側)に開口するとともに他端が当該弁座部材42の底面周縁部に開口する流体導出路42cとが貫通させてある。
【0025】
この弁座部材42は、前記部品取付面1xの一端部に開口させた有底凹部1dに嵌め込まれる。この有底凹部1dは、前記内部流路1aを分断する位置に設けてあり、当該有底凹部1dの底面中央部に、分断された内部流路1aのうちの上流側内部流路1a1の終端が開口させてあり、当該有底凹部1dの底部側周面には、下流側内部流路1a2の始端が開口させてある。
【0026】
そして、有底凹部1dに弁座部材42を嵌め込んだ状態において、前記流体導入路42bの他端が、有底凹部1dの中央に開口する上流側内部流路1a1の終端にシール部材SL2を介して連通し、また、前記流体導出路42cの他端が、弁座部材42の底面周縁部から側周面底部にかけて有底凹部1dの内周面との間に隙間があることから、前記下流側内部流路1a2の始端に連通する。
【0027】
一方、前記弁体部材41は、
図3、
図7に示すように、内部が気密状態となるように構成した筐体411と、この筐体411の内部に収容した柱状をなす積層圧電素子412とを具備している。
【0028】
筐体411は、長尺筒状をなすハウジング411aと、このハウジング411aの一端面を気密に閉塞する弾性変形可能な薄肉板状のダイアフラム部材411bと、前記ハウジング411aの他端面を気密に閉塞する閉塞部材411cとを具備したものである。
【0029】
ハウジング411aは、前記有底凹部1d上を覆うように部品取付面1xに取り付けられる概略直方体形状をなすフランジ部411a1と、このフランジ部411a1に連結される概略円筒状をなす円筒部411a2とからなるものである。また、ダイアフラム部材411bは、
図7に示すように、内側に向かって突出する突起411b1を中央に有した弾性変形可能な薄板であり、前記フランジ部411a1と一体に成形されている。さらに、閉塞部材411cには、圧電素子駆動用の端子Tが気密に貫通させてあり、いわゆるハーメチック構造となっている。
【0030】
そして、前記フランジ部411a1の一端面である下面をボディユニット1の部品取付面1xにシール部材SL1を介して取り付けることにより、ボディユニット1に形成した前記有底凹部1dの開口を前記下面で封止するとともに、弁座面42aにダイアフラム部材411bを対向させ、前記圧電素子412の伸縮によってダイアフラム部材411bと弁座面42aとの離間距離が変わって、このダイアフラム部材411bが弁体41aとして機能するようにしてある。
【0031】
流量測定機構10は、流体回路的に言えば、
図1に示すように、内部流路1a上に設けた抵抗流路3aと、該抵抗流路3aの上流側及び下流側における内部流路1a内の流体圧力を計測する一対の圧力センサ2A、2Bとからなるものである。そして、圧力センサ2A、2Bによる圧力計測値と抵抗流路3aの抵抗値とに基づいて、内部流路1aを流れる流体の流量を測定可能に構成してある。
【0032】
前記抵抗流路3aは、
図6、
図8に示すように、複数の矩形状薄板31〜35を積層させた直方体状の流体抵抗部材3に形成したものである。すなわち、
図6に示すように、各薄板又は一部の薄板に、積層させたときに重なり合って積層方向に貫通する連通路3cとなる貫通孔3bと、前記連通路3cに内方端が連通し外方端が長手方向と直交する側面に開口するスリット3dとを設け、前記薄板31〜35を積層させたときに、スリット3dによって抵抗流路3aが形成されるようにしたものである。なお、スリット3dの形状や本数を異ならせることによって流路抵抗を調整することができる。
【0033】
一方、ボディユニット1の部品取付面1xにおける長手方向中央部には、
図3、
図5、
図6、
図8に示すように、内部流路1aを分断するように矩形状の凹部1eが設けてある。そして、この凹部1eに、前記流体抵抗部材3が、幅方向には隙間無く、ボディユニット1の長手方向には隙間を有して嵌り込むように設計されている。また、この凹部1eの底面中央には、この凹部1eで分断された内部流路1aのうちの上流側内部流路1a2の終端が開口する一方、凹部1eにおける長手方向の底面縁部には、下流側内部流路1a3の始端が開口するように構成してある。
【0034】
この流体抵抗部材3が凹部1eに嵌まり込んだ状態では、前記連通路3cの底側の一端が上流側内部流路1a2の終端にシール部材SL3を介して接続され、抵抗流路3aの外方端が下流側内部流路1a3の始端に連通する。つまり、上流側内部流路1a2は、連通路3c及び抵抗流路3aを介して、下流側内部流路1a3に接続される。
【0035】
圧力センサ2A、2Bは、
図2〜
図6等に示すように、扁平形状をなす本体部材21と、その本体部材21内に内蔵した圧力検知素子22とを具備するものである。そして、この本体部材21を、その面板部(扁平面)が部品取付面1xに垂直でなおかつボディユニット1の長手方向と略平行、すなわち平面視、流体の流れ方向と略平行となるように、該部品取付面1xに取り付けてある。また、圧力センサ2A、2Bの厚み寸法は、
図4等に示すように、部品取付面1xの幅方向寸法よりも若干小さく設定してあり、取付状態で圧力センサ2A、2Bがボディユニット1よりも幅方向外側に突出しないように構成してある。
【0036】
本体部材21は、所定の一面である下面が部品取付面1xに取り付けられる略直方体形状をなすフランジ部23と、当該フランジ部23における部品取付面1xとは反対側の面に設けられて、内部に感圧面を有する扁平形状をなすセンサ本体部24とを有する。本実施形態では、本体部材21のうちフランジ部23の厚み寸法を、部品取付面1xの幅方向寸法よりも若干小さく設定してあり、センサ本体部24の厚み寸法を前記フランジ部23よりも小さく設定するとともに、センサ本体部24の一方の側面がフランジ部23の一方の側面と面一なるように構成してある。
【0037】
前記センサ本体部24内には、
図5に示すように、前記面板部と平行な一面2b1を弾性変形するダイアフラム壁241で形成した薄い円板状をなす流体充填室2bと、この流体充填室2b及び圧力導入口2a1を連通する流体導入路2cとが形成してある。前記圧力導入口2a1は、ボディユニット1に対する取付面2aに開口させてある。流体導入路2cは、流体充填室2bの側面、すなわち前記一面2b1に垂直な面に開口しており、かつ流体導入路2cの延伸方向は、前記一面2b1に対して平行又は若干斜めに設定してある。
【0038】
前記圧力検知素子22は、例えば圧電素子であり、前記ダイアフラム壁241の裏面(感圧面である一面2b1とは反対側の面)に接触させてある。そして、感圧面である前記一面2b1が流体圧力を受圧して変位すると、その量を該圧力検知素子22が検知し圧力信号として出力するように構成してある。なお、圧力検知素子として、例えばダイアフラム壁241の変化に伴う空間の容量変化を電気的な容量変化として検知するようなものでも構わない。
【0039】
そして、かかる一対の圧力センサ2A、2Bのうちの上流側の圧力センサ2Aを、ボディユニット1の部品取付面1xにおける長手方向中央部に取り付けるとともに、下流側の圧力センサ2Bを、前記部品取付面1xにおける長手方向他端部に取り付けるようにしている。
【0040】
特に前記上流側圧力センサ2Aは、ボディユニット1に取り付けることによって、その取付面2aが前記凹部1eの開口を環状シール部材SL4を介して気密に封止するとともに、凹部1e内の流体抵抗部材3を、凹部1eの底面との間で押圧挟持するように構成してある。このことにより、流体抵抗部材3を専用の蓋等でシールする必要がなくなり、部品点数の削減や組み立ての簡単化を促進して低コスト化を図ることができる。
【0041】
また、この状態において、流体抵抗部材3における連通路3cが上流側圧力センサ2Aの圧力導入口2a1に接続され、抵抗流路3aよりも上流側の内部流路1a2が前記連通路3cを介して上流側圧力センサ2Aに連通されるように構成してある。
【0042】
一方、抵抗流路3aよりも下流側の内部流路1a3は、ボディユニット1の長手方向に沿って延伸し流体導出口1cに至るとともに、その途中で分岐した分岐流路1fによって、下流側圧力センサ2Bの圧力導入口2a1に接続されるようにしてある。
【0043】
図1に示す制御回路6は、ボディユニット1とは別体又は付帯させて設けたものであり、CPU、メモリ、I/Oチャネル、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、その他のアナログ乃至デジタル電気回路を搭載した回路基板により構成されている。そして、メモリに格納したプログラムにしたがってCPUやその他周辺機器が協働することによって、この制御回路6が、前記流量調整弁4を制御し、内部流路1aの流体流量を、外部から指示した設定流量となるように調整する。以下にその動作の概要を、本マスフローコントローラ100の動作説明も兼ねて簡単に説明する。
【0044】
この制御回路6は、各圧力センサ2A、2Bからの出力信号値を受信すると、それら出力信号値から、オフセットや係数などを考慮した所定の変換式に基づいて、前記抵抗流路3aの上流側及び下流側における流体の圧力を算出する。そしてそれら圧力と予め測定してある抵抗流路3aでの流体抵抗値(抵抗係数)や流体粘性等に基づいて、抵抗流路3aを流れる流体の流量を算出する。
【0045】
一方、オペレータや外部の他の機器から設定流量が与えられると、この制御回路6はその設定流量と前記算出流量との偏差を算出し、その偏差に基づいて、前記算出流量が設定流量に近づくように、流量調整弁4に対して前記積層圧電素子412を伸縮させる指令信号を出力する。このようにして、弁座面42aと弁体41aとの離間距離を変動させ、この流量調整弁4を流れる流体、つまりこの内部流路1aを流れる流体の流量を調整する。
【0046】
しかして、本実施形態のマスフローコントローラ100は、
図9に示すように、ボディユニット1に取り付けられた流量調整弁4、圧力センサ2A、2B及び制御回路6の電磁シールド及び塵埃保護並びにマスフローコントローラ100の取り扱いを容易にするため、
図9に示すように、流量調整弁4、2つの圧力センサ2A、2B及び制御回路6を収容するケーシング7を有する。
【0047】
ケーシング7は、
図10〜
図14に示すように、例えばアルミニウム等の金属製の概略直状態形状をなすものである。このケーシング7における少なくとも長手方向に平行な側壁(左右側壁7a、7b)は、その内面が凹凸形状を有し、その外面が概略平面状に構成してある。そして、左右側壁7a、7bの内面において、流量調整弁4及び圧力センサ2A、2Bに対向する部分が肉薄部P1〜P3とされており、流量調整弁4及び圧力センサ2A、2Bに対向しない部分の一部が前記肉薄部P1〜P3よりも肉厚の肉厚部Q1とされている。なお、
図10及び
図11では、流量調整弁4、圧力センサ2A、2B等を点線で示している。
【0048】
ここで、ケーシング7の左右側壁7a、7bにおいて、前記流量調整弁4及び圧力センサ2A、2Bに対向する肉薄部P1〜P3は、その他の部分よりも最も薄い肉薄部とされている。流量調整弁4に対向する肉薄部P1は、その壁厚が当該肉薄部P1全体で一定とされているとともに、各圧力センサ2A、2Bに対向する肉薄部P2、P3は、その壁厚が当該肉薄部P2、P3全体で一定とされている。そして、本実施形態では、流量調整弁4に対向する肉薄部P1及び各圧力センサ2A、2Bに対向する肉薄部P2、P3の壁厚を互いに同一としている。また、これら肉薄部P1〜P3は、側面視において、流量調整弁4及び各圧力センサ2A、2Bを含む範囲に形成されている(
図10、
図11参照)。なお、肉薄部P1〜P3の壁厚は、例えば0.3mmである。肉厚部Q1の壁厚は、当該肉厚部Q1の部分によって異なるものであっても良いが、本実施形態では肉厚部Q1全体で一定であり、例えば2mmである。
【0049】
本実施形態では、前記制御回路6がケーシング7に取り付けられて構成されるものであり、その制御回路6に対向する部分も肉薄部P4とされている。また、制御回路6に対向する肉薄部P4は、前記肉薄部P1〜P3よりも肉厚であり、前記肉厚部Q1よりも肉薄のものであり、例えば1mmである。この肉薄部P4は、側面視において、制御回路6を含む範囲に形成されている(
図10、
図11参照)。
【0050】
具体的にこのケーシング7は、長手方向に平行な一方の側面及び底面が開口した概略直方体形状をなす第1ケーシング要素71と、前記第1ケーシング要素71の前記一方の側面の開口を閉塞する第2ケーシング要素72とを備えている。
【0051】
第1ケーシング要素71及び第2ケーシング要素72はともに、アルミニウム等の金属基材を切削加工により形成されたものとしている。本実施形態では、前記第1ケーシング要素71は、例えば10mm厚のアルミニウム基材を切削加工することによって形成してある。また、第2ケーシング要素72は、例えば2mm厚のアルミニウム基材を切削加工することによって形成してある。
【0052】
第1ケーシング要素71における長手方向一方の前板部711は、流量調整弁4のフランジ部411a1の長手方向の一方の側面にねじ固定されるとともに、第1ケーシング要素71における長手方向他方の後板部712は、下流側の圧力センサ2Bのフランジ部23の長手方向他端側の側面にねじ固定される(
図10参照)。なお、このねじ固定のために、第1ケーシング要素71の前後板部711、712には、固定用の貫通孔H1が形成してある(
図12参照)。このように、第1ケーシング要素71が前記各フランジ部411a1、23に固定された状態で、第1ケーシング要素71の底面開口端は、ボディユニット1の部品取付面1xと略接触するように構成してある。
【0053】
そして、第1ケーシング要素71の長手方向に平行な側板部713の内面が凹凸形状とされており、流量調整弁4、2つの圧力センサ2A、2B及び制御回路6に対向する部分が前述したように肉薄部P1〜P4としてある。また、第1ケーシング要素71の側板部713の内面には、前記制御回路6をねじ固定するためのボス部713xが形成されている。当該ボス部713xは、第1ケーシング要素71が切削加工により形成されているため、側板部713と一体に形成されている。なお、この側板部713により右側側壁7aが構成される。
【0054】
第1ケーシング要素71の前後板部711、712には、第2ケーシング要素72をねじ固定するための貫通孔H2が複数形成してある(
図12参照)。また、第1ケーシング要素71の側面開口を形成する前後板部711、712及び上板部714の開口端部には、第2ケーシング要素72を嵌め入れるための収容段部71Mが形成してあり(
図11、
図12参照)、この第1ケーシング要素71の収容段部71Mに第2ケーシング要素72を嵌め入れることによって、第2ケーシング要素72の長手方向の位置決めが行われる。さらに、第1ケーシング要素71の上板部714には、長手方向に沿って例えば矩形状をなす貫通孔H3が形成してあり、この貫通孔H3を介して制御回路6の出力端子61が外部に延出されるように構成してある(
図9、
図12参照)。
【0055】
第2ケーシング要素72は、前記第1ケーシング要素71の側面開口を閉塞する概略矩形平板状をなすものであり、第1ケーシング要素71にねじ固定される。この第2ケーシング要素72は、前記第1ケーシング要素71と同様に、その内面が凹凸形状とされており、流量調整弁4、2つの圧力センサ2A、2B及び制御回路6に対向する部分が前述したように肉薄部P1〜P4とされている。また、第2ケーシング要素72の長手方向両側の周縁部に形成された肉厚部Q1には、前記第1ケーシング要素71にねじ固定するための雌ねじ部721が形成されている(
図13参照)。なお、この第2ケーシング要素72により左側側壁7bが構成される。
【0056】
このように構成した第1ケーシング要素71及び第2ケーシング要素72は、
図14に示すように、圧力センサ2A、2Bのフランジ部23の長手方向に平行な2つの側面23a、23b、及び、流量調整弁4のフランジ部411a1の長手方向に平行な2つの側面411a1a、411a1b、によって、幅方向に位置決めされる。具体的には、圧力センサ2A、2Bのフランジ部23及び流量調整弁4のフランジ部411a1の幅方向一方の側面23a、411a1aに、第1ケーシング要素71のそれらに対向する肉薄部P1〜P3内面を接触させることにより、第1ケーシング要素71が幅方向に位置決めされる。なお、本実施形態では、圧力センサ2A、2Bのフランジ部23の一方の側面23a及びセンサ本体部24の一方の側面24aが面一であることから、肉薄部P2、P3はセンサ本体部24の一方の側面24aにも接触する。このように位置決めされた状態で、第1ケーシング要素71の前後板部711、712に設けられた貫通孔H1を介して、流量調整弁4のフランジ部411a1及び下流側圧力センサ2Bのフランジ部23に設けられた雌ねじ部にねじを螺合させることによって、第1ケーシング要素71がボディユニット1に取り付けられる。
【0057】
また、圧力センサ2A、2Bのフランジ部23及び流量調整弁4のフランジ部411a1の幅方向他方の側面23b、411a1bに、第2ケーシング要素72のそれらに対向する肉薄部P1〜P3内面を接触させることにより、第2ケーシング要素72が幅方向に位置決めされる。なお、本実施形態では、圧力センサ2A、2Bのフランジ部23の他方の側面23bよりもセンサ本体部24の他方の側面24bが幅方向内側に位置することから、肉薄部P2、P3はセンサ本体部24の他方の側面24bには接触しない。つまり、第2ケーシング要素72の肉薄部P2、P3は、センサ本体部24における圧力検知素子22に対向する側壁の外面24bには接触しないように構成してある。ここで、センサ本体部24の他方の側面24bには、圧力センサの信号処理回路が設けられているため、肉薄部P2、P3が接触しないように構成することで、信号処理回路に設けられた電気素子や端子等の短絡を防止することができる。また、圧力検知素子22により得られる圧力信号のSN比が可及的に小さくすることができる。このように位置決めされた状態で、第1ケーシング要素71の前後板部711、712に設けられた貫通孔H2を介して、第2ケーシング要素72に設けられた雌ねじ部721にねじを螺合させることによって、第2ケーシング要素72が第1ケーシング要素71に取り付けられる。
【0058】
また、このように第1ケーシング要素71及び第2ケーシング要素72をボディユニット1に取り付けた状態で、第1ケーシング要素71の外側面及び第2ケーシング要素72の外側面は、ボディユニット1の側面と略面一となるように構成している。つまり、第1ケーシング要素71及び第2ケーシング要素72の圧力センサ2A、2Bに対向する肉薄部P2、P3の壁厚は、圧力センサ2A、2Bのフランジ部23の側面及びボディユニット1の側面との間の間隔寸法と略同一である。また、第1ケーシング要素71及び第2ケーシング要素72の流量調整弁4に対向する肉薄部P1の壁厚は、流量調整弁4のフランジ部411a1の側面及びボディユニット1の側面の間の間隔寸法と略同一である。
【0059】
このように構成した本実施形態のマスフローコントローラ100によれば、圧力センサ2A、2Bを、その感圧面2b1がその取付面2aに対して垂直に起立するように構成するととともに、これら圧力センサ2A、2Bを、平面視、流体の流れ方向と感圧面2b1とが平行となるように、部品取付面1xに直列させて取り付けているので、感圧面2b1を大面積にして高感度を維持しながらも幅方向の寸法を小さくし、平面視、細長い形状にできる。
【0060】
また、ケーシング7の左右側壁7a、7bにおいて、流量調整弁4及び圧力センサ2A、2Bに対向する部分を肉薄部P1〜P3としているので、ケーシング7の左右側壁7a、7bの外側面を幅方向内側に寄せることができるので、ケーシング7の幅方向の寸法を可及的に小さくすることができる。さらに、ケーシング7の左右側壁7a、7bにおいて、流量調整弁4及び圧力センサ2A、2Bに対向しない部分の少なくとも一部を肉厚部Q1としていることから、この肉厚部Q1によりケーシング7の機械的強度を確保することができる。ここで、流量調整弁4又は圧力センサ2A、2Bの一方に対向する部分のみを肉薄部とすることが考えられる。これによっても、マスフローコントローラ100を薄くする効果を発揮することができる。しかしながら、流量調整弁4及び圧力センサ2A、2Bに対向する部分を肉薄部とした上記実施形態と比べた場合にはその効果は小さい。
【0061】
また、第1ケーシング要素71に制御回路6が取り付けられるとともに、圧力センサ2A、2Bの信号処理回路が第2ケーシング要素72を向くように配置されているため、第2ケーシング要素72を第1ケーシング要素71から取り外すだけで、制御回路6及び信号処理回路の保守を容易に行うことができる。同様に、第2ケーシング要素72を第1ケーシング要素71から取り外すだけで、流体制御弁4及び圧力センサ2A、2Bの配線等の保守も容易に行うことができる。
【0062】
なお、その他の付随的な効果としては、流量調整弁4と流体抵抗部材3とが、ボディユニット1における前記部品取付面1xに並んで設けられているので、その間を接続する内部流路1aの容積を可及的に低減できることが挙げられる。したがって、流量の検知と流量の制御との時間ずれを低減でき、マスフローコントローラ100の制御応答性を大幅に改善することが可能になる。
【0063】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。例えば、感圧面を正確に長手方向に平行かつ部品取付面に垂直にする必要はなく、若干傾いていても、従来に比べて幅方向寸法を低減するという効果を得ることができる。
【0064】
また、前記実施形態では、左右側壁において、流量調整弁、2つの圧力センサ及び制御回路に対向する部分を除いた領域全体を肉厚部としているが、これに限られず、前記対向する部分を除いた領域の肉薄部及び肉厚部の両方を形成したものであっても良い。
【0065】
さらに、理論的には、流量調整弁を圧力センサより下流側に設けることも可能であるし、このマスフローコントローラの下流側圧力や上流側圧力が一定状態の場合は、圧力センサを必ずしも一対設ける必要はなく、何れか一方のみにしても構わない。マスフローコントローラのみならず、流体制御弁とその上流又は下流に設けた圧力センサとによって圧力コントローラを構成することも可能である。
【0066】
前記実施形態のマスフローコントローラを半導体製造プロセス以外にも用いることができる。
【0067】
また、前記実施形態の流体制御用機器は、流体制御弁及び圧力センサを有する差圧式のマスフローコントローラであったが、熱式のマスフローコントローラにも適用可能である。具体的にこのマスフローコントローラ100は、
図16に示すように、流体が流れる内部流路1aを有するボディユニット1と、当該ボディユニット1の内部流路から分岐したセンサ流路Z1及び当該センサ流路Z1に設けられた2つ以上(
図16では2つ)の抵抗体2X、2Yを有する流量測定機構10と、当該流量測定機構10の下流に設けられて、内部流路1aを流れる流体を制御する流体制御弁4とを備えている。前記抵抗体2X、2Yは、発熱及び感熱の両方を行うものである。このとき制御回路6は、流量測定機構10からの出力信号を取得して内部流路1aを流れる試料ガスの流量を算出するブリッジ回路、増幅回路及び補正回路等からなる流量算出部、及び当該流量算出部の出力する流量測定信号の示す信号値(測定流量値)及び入力手段(図示しない)により入力される流量設定信号の示す目標流量である設定流量値に基づいて流体制御弁4の弁開度を制御する弁制御部等としての機能を有する。なお、3つの抵抗体を用いる場合には、上流側から感熱抵抗体、発熱抵抗体及び感熱抵抗体となるように構成される。
【0068】
この場合、ケーシング7における長手方向に平行な側壁7a、7bにおいて、流量測定機構10のセンサ流路Z1を形成し、ボディユニット1の上面に設けられたセンサ流路形成部材と、当該センサ流路形成部材の周囲に設けられた抵抗体2X、2Yと、流体制御弁4とに対向する部分を肉薄部とし、センサ流路形成部材、抵抗体2X、2Y及び流体制御弁4に対向しない部分の少なくとも一部を肉薄部よりも肉厚である肉厚部とする。なお、センサ流路形成部材及び抵抗体2X、2Yがハウジングに収容されている場合には、ケーシング7における長手方向に平行な側壁7a、7bにおいて、前記ハウジングに対応する部分を肉薄部とする。
【0069】
また、前記実施形態では、圧力センサの感圧面が部品取付面に略垂直でなおかつ長手方向に略平行となるように取り付けたものであったが、従来通り、感圧面が部品取付面に略平行となるように取り付けられたものであっても良い。このようなものであっても、ケーシングにおける長手方向に平行な側壁において、流体制御弁及び圧力センサに対向する部分を肉薄部としているので、ケーシングにおける長手方向に平行な側壁の外側面を幅方向内側に寄せることができ、ケーシングの幅方向寸法に占めるケーシングの幅方向寸法を小さくすることができるので、ボディユニットをの幅方向寸法を小さくでき、ケーシングの幅方向の寸法を可及的に小さくすることができる。これにより、複数の流体制御用機器を並列させる場合に、ケーシングがそれらの近接配置を阻害することを防止することができる。さらに、ケーシングにおける長手方向に平行な側壁において、流体制御弁及び前記圧力センサに対向しない部分の少なくとも一部を肉厚部としていることから、この肉厚部によりケーシングの側壁の機械的強度を補強することができるので、ケーシングの機械的強度を確保することができる。なお、ケーシングの側壁の機械的強度に着目すれば、ケーシングの側壁の外面を凹凸形状とすることも考えられるが、そうすると、複数の流体制御用機器を並列させる場合に、ケーシング外面の凸部分が互いに干渉し合ってしまい、近接配置を阻害してしまう。
【0070】
その他、前述した実施形態や変形実施形態の一部又は全部を適宜組み合わせてよいし、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。