(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記置換ガスによって前記一の処理に用いる処理ガスを前記処理ガス導入路及び前記処理室から排出した後に、前記次の処理に用いる処理ガスを前記処理ガス導入路へ流入させ、さらに前記処理室へ導入することを特徴とする請求項1記載の基板処理方法。
前記処理室を真空引きする排気系と、前記処理ガス導入路から分岐して該処理ガス導入路及び前記排気系を直接連通させる側路と、前記置換ガスを流入させる他の置換ガス流入路とをさらに備え、
前記処理ガス導入路は前記処理室及び前記側路の間において他の三方弁を有し、
前記他の置換ガス流入路は前記他の三方弁において前記処理ガス導入路と合流することを特徴とする請求項7記載の基板処理装置。
前記処理室を真空引きする排気系と、前記処理ガス導入路から分岐して該処理ガス導入路及び前記排気系を直接連通させる側路と、前記置換ガスを流入させる他の置換ガス流入路とをさらに備え、
前記処理ガス導入路は、前記側路と分岐する分岐点において他の三方弁を有し、
前記他の置換ガス流入路は、前記他の三方弁と前記処理室の間において前記処理ガス導入路と合流することを特徴とする請求項7記載の基板処理装置。
前記排気系は、排気管と、該排気管に配置された第1の排気ポンプと、前記処理室及び前記第1の排気ポンプの間において前記排気管に配置された第2の排気ポンプとを有し、
前記側路は、前記第1の排気ポンプ及び前記第2の排気ポンプの間において前記排気管と合流することを特徴とする請求項8又は9記載の基板処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、チャンバ81や処理ガス導入ライン82に残留する各エッチングガスは排気系84による真空引きによって排出され、特に、処理ガス導入ライン82はチャンバ81を介して真空引きされるために排気系84が生じさせる負圧が伝わりにくく、各エッチングガスの排出効率が低くなり、各エッチングガスの排出に時間を要するという問題がある。
【0008】
また、排気系84による真空引きによってチャンバ81内が大幅に減圧された後、新たなエッチングガスが導入されるため、チャンバ81内の圧力を新たなエッチング処理に適切な値へ調整するための時間を要するという問題がある。
【0009】
本発明の目的は、複数の処理ガスを用いて基板に連続的に複数の処理を施す際に要する時間を短縮することができる基板処理方法、基板処理装置、基板処理プログラム、及び記憶媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1記載の基板処理方法は、
内部に処理空間を有する処理室と、
前記処理
空間へ処理ガスを導入する処理ガス導入路と
、前記処理空間へ高周波電力を印加する高周波電源とを備え
、前記印加された高周波電力は前記処理ガスからプラズマを生成する基板処理装置において複数の処理ガスを用いて基板に連続的に複数の処理を施す基板処理方法であって、一の処理及び該一の処理に続く次の処理の間に、前記処理ガスの前記処理室への導入を停止し、前記一の処理及び前記次の処理のいずれも阻害しない置換ガスを前記処理ガス導入路へ流入させて該置換ガスを前記処理室へ導入するガス置換ステップを有
し、前記高周波電源は、前記複数の処理が実行される間に前記処理空間へ高周波電力を印加するとともに、前記ガス置換ステップにおいても前記処理空間への高周波電力の印加を継続し、前記ガス置換ステップにおいて前記処理空間へ印加される高周波電力の値は、前記複数の処理が実行される間に前記処理空間へ印加される高周波電力の値よりも小さいことを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の基板処理方法は、請求項1記載の基板処理方法において、前記置換ガスによって前記一の処理に用いる処理ガスを前記処理ガス導入路及び前記処理室から排出した後に、前記次の処理に用いる処理ガスを前記処理ガス導入路へ流入させ、さらに前記処理室へ導入することを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の基板処理方法は、請求項1又は2記載の基板処理方法において、前記基板処理装置は複数の処理ガスの各々を前記処理ガス導入路へ流入させる処理ガス流入装置をさらに備え、前記ガス置換ステップでは、少なくとも前記処理ガス流入装置の直下において前記処理ガスの前記処理ガス導入路への流入を停止させるとともに、前記置換ガスを前記処理ガス導入路へ流入させることを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の基板処理方法は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の基板処理方法において、前記基板処理装置は、前記処理室を真空引きする排気系と、前記処理ガス導入路から分岐して該処理ガス導入路及び前記排気系を直接連通させる側路とをさらに備え、前記ガス置換ステップでは、前記処理室及び前記側路の間において前記処理ガス導入路を遮断するとともに、少なくとも前記処理ガス導入路が遮断された箇所より上流でない位置において前記置換ガスを前記処理ガス導入路へ流入させ、さらに前記処理室へ導入することを特徴とする。
【0014】
請求項5記載の基板処理方法は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の基板処理方法において、前記置換ガスは希ガスからなることを特徴とする。
【0017】
上記目的を達成するために、請求項
6記載の基板処理装置は、
内部に処理空間を有する処理室と、
前記処理
空間へ処理ガスを導入する処理ガス導入路と
、前記処理空間へ高周波電力を印加する高周波電源と、複数の処理ガスの各々を前記処理ガス導入路へ流入させる処理ガス流入装置とを備える基板処理装置において、前記処理ガス流入装置及び前記処理ガス導入路の間に設けられた開閉弁と、前記処理ガス導入路へ置換ガスを流入させる置換ガス流入路とを備え、前記置換ガス流入路は前記開閉弁より上流でない位置において前記処理ガス導入路に合流
し、前記高周波電源は、前記処理ガス導入路へ置換ガスを流入させるときに前記処理空間へ印加する前記高周波電力の値を、前記処理ガス導入路へ前記処理ガスを流入させるときに前記処理空間へ印加する前記高周波電力の値よりも小さくすることを特徴とする。
【0018】
請求項
7記載の基板処理装置は、請求項
6記載の基板処理装置において、前記開放弁は三方弁であり、前記置換ガス流入路は前記三方弁を介して前記処理ガス導入路に合流することを特徴とする。
【0019】
請求項
8記載の基板処理装置は、請求項
7記載の基板処理装置において、前記処理室を真空引きする排気系と、前記処理ガス導入路から分岐して該処理ガス導入路及び前記排気系を直接連通させる側路と、前記置換ガスを流入させる他の置換ガス流入路とをさらに備え、前記処理ガス導入路は前記処理室及び前記側路の間において他の三方弁を有し、前記他の置換ガス流入路は前記他の三方弁において前記処理ガス導入路と合流することを特徴とする。
【0020】
請求項
9記載の基板処理装置は、請求項
7記載の基板処理装置において、前記処理室を真空引きする排気系と、前記処理ガス導入路から分岐して該処理ガス導入路及び前記排気系を直接連通させる側路と、前記置換ガスを流入させる他の置換ガス流入路とをさらに備え、前記処理ガス導入路は、前記側路と分岐する分岐点において他の三方弁を有し、前記他の置換ガス流入路は、前記他の三方弁と前記処理室の間において前記処理ガス導入路と合流することを特徴とする。
【0021】
請求項
10記載の基板処理装置は、請求項
8又は
9記載の基板処理装置において、前記排気系は、排気管と、該排気管に配置された第1の排気ポンプと、前記処理室及び前記第1の排気ポンプの間において前記排気管に配置された第2の排気ポンプとを有し、前記側路は、前記第1の排気ポンプ及び前記第2の排気ポンプの間において前記排気管と合流することを特徴とする。
【0022】
上記目的を達成するために、請求項
11記載の基板処理プログラムは、
内部に処理空間を有する処理室と、
前記処理
空間へ処理ガスを導入する処理ガス導入路と
、前記処理空間へ高周波電力を印加する高周波電源とを備え
、前記印加された高周波電力は前記処理ガスからプラズマを生成する基板処理装置において複数の処理ガスを用いて基板に連続的に複数の処理を施す基板処理方法であって、一の処理及び該一の処理に続く次の処理の間に、前記処理ガスの前記処理室への導入を停止し、前記一の処理及び前記次の処理のいずれも阻害しない置換ガスを前記処理ガス導入路へ流入させて該置換ガスを前記処理室へ導入するガス置換ステップを有
し、前記高周波電源は、前記複数の処理が実行される間に前記処理空間へ高周波電力を印加するとともに、前記ガス置換ステップにおいても前記処理空間への高周波電力の印加を継続し、前記ガス置換ステップにおいて前記処理空間へ印加される高周波電力の値は、前記複数の処理が実行される間に前記処理空間へ印加される高周波電力の値よりも小さい基板処理方法をコンピュータに実行させる基板処理プログラムであって、前記ガス置換ステップを実行するガス置換モジュールを少なくとも有することを特徴とする。
【0023】
請求項
12記載のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、請求項
11記載の基板処理プログラムを格納することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、一の処理及び該一の処理に続く次の処理の間に、処理ガスの処理室への導入を停止し、一の処理及び次の処理のいずれも阻害しない置換ガスを処理ガス導入路へ流入させて該置換ガスを処理室へ導入するので、処理ガス導入路や処理室に残留する一の処理に用いる処理ガスが置換ガスによって押出されて排出される。したがって、一の処理に用いる処理ガスの排出効率が高くなり、一の処理に用いる処理ガスの排出に時間を要することがなく、その結果、複数の処理ガスを用いて基板に連続的に複数の処理を施す際に要する時間を短縮することができる。また、処理室へ導入される置換ガスは一の処理及び次の処理のいずれも阻害しないので、基板へ一の処理及び次の処理を適切に施すことができる。
【0025】
本発明によれば、処理ガス導入路へ置換ガスを流入させる置換ガス流入路は、処理ガス流入装置及び処理ガス導入路の間に設けられた開閉弁よりも下流で処理ガス導入路に合流するので、処理ガス流入装置からの処理ガスの流入が開閉弁によって遮断された処理ガス導入路へ置換ガスを流入させることができ、もって、処理ガス導入路や処理室に残留する一の処理に用いる処理ガスを置換ガスによって効率的に押出して排出することができる。その結果、一の処理に用いる処理ガスの排出に時間を要することがなく、複数の処理ガスを用いて基板に連続的に複数の処理を施す際に要する時間を短縮することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0028】
まず、本発明の実施の形態に係る基板処理装置について説明する。
【0029】
図1は、本実施の形態に係る基板処理装置の構成を概略的に示す断面図である。
【0030】
図1において、基板処理装置10は、基板Sを収容するチャンバ11(処理室)と、チャンバ11へ処理ガスを導入する処理ガス導入ライン12(処理ガス導入路)と、複数の処理ガスのそれぞれ又は置換ガスを選択的に処理ガス導入ライン12へ流入させるガスボックス13と、チャンバ11を真空引きする排気ライン14(排気系)とを備える。
【0031】
チャンバ11は、筐体状の本体15と、本体15の内部下方に配置されて基板Sを載置する載置台16と、本体15の内部上方に配置されて載置台16と対向するシャワーヘッド17と、載置台16に接続されて該載置台16へ高周波電力を供給する高周波電源18とを有し、載置台16及びシャワーヘッド17の間の空間は、プラズマが生成される処理空間PSを構成する。
【0032】
チャンバ11では、処理ガス導入ライン12から導入された処理ガスがシャワーヘッド17によって処理空間PSへ拡散され、載置台16が処理空間PSへ高周波電力を印加し、処理空間PSにおいて処理ガスが高周波電力によって励起されてプラズマが生成され、該プラズマによって処理空間PSへ対向する基板Sに所望のプラズマ処理、例えば、エッチング処理が施される。本実施の形態では、チャンバ11が異なる種の処理ガスを用いて基板S上形成される第1層、第2層及び第3層(いずれも図示しない)のそれぞれへ連続的にエッチング処理を施す。なお、第1層、第2層及び第3層は上方からこの順で積層される。
【0033】
チャンバ11において連続的にエッチング処理が施される基板Sは、例えば、第2世代以降のFPD用基板であり、本体15の大きさは、例えば、高さが1.5m以上であり、長さが1.0m以上であり、幅が1.0m以上である。
【0034】
処理ガス導入ライン12は、チャンバ11及びガスボックス13を接続する導入管19と、該導入管19に配置された開閉弁20とを有する。なお、処理ガス導入ライン12の長さは、例えば、6mである。
【0035】
ガスボックス13は、基板S上の被処理層へエッチング処理若しくは後処理(例えば、クリーニング)を施すための、第1の処理ガスの流量を制御する第1のMFC(Mass Flow Controller:処理ガス流入装置)21、第2の処理ガスの流量を制御する第2のMFC22、第3の処理ガスの流量を制御する第3のMFC23及び第4の処理ガスの流量を制御する第4のMFC24と、上記処理ガスと置換するための置換ガスの流量を制御する第5のMFC25を有する。エッチング処理及び後処理は第1乃至第4の処理ガスを任意の流量比等で組合わせて供給することによって実行される。例えば、基板S上の被処理層が第1層、第2層、第3層からなる場合、第1乃至第4の処理ガスが、例えば、第1の流量比で組み合わされてなる、第1層へエッチング処理を施すための第1の組成を有する第1のエッチングガス、第1乃至第4の処理ガスが、例えば、第2の流量比で組み合わされてなる、第2層へエッチング処理を施すための第2の組成を有する第2のエッチングガス、第1乃至第4の処理ガスが、例えば、第3の流量比で組み合わされてなる、第3層へエッチング処理を施すための第3の組成を有する第3のエッチングガスによって第1層、第2層、第3層の各々へエッチング処理が施され、第3層へのエッチング処理の後、第1乃至第4の処理ガスが、例えば、第4の流量比で組み合わされてなる、後処理を施すための第4の組成を有する後処理ガスによって後処理が基板Sへ施される。
【0036】
第1のMFC21は、一端において開閉弁26を介して第1の処理ガス供給源(図示しない)に接続され、他端において配管27を介して導入管19に接続され、配管27には第1のMFC21の直下において三方弁28(開閉弁)が配置される。第2のMFC22は、一端において開閉弁29を介して第2の処理ガス供給源(図示しない)に接続され、他端において配管30を介して導入管19に接続され、配管30には第2のMFC22の直下において三方弁31(開閉弁)が配置される。第3のMFC23は、一端において開閉弁32を介して第3の処理ガス供給源(図示しない)に接続され、他端において配管33を介して導入管19に接続され、配管33には第3のMFC23の直下において三方弁34(開閉弁)が配置される。第4のMFC24は、一端において開閉弁35を介して第4の処理ガス供給源(図示しない)に接続され、他端において配管36を介して導入管19に接続され、配管36には第4のMFC24の直下において三方弁37(開閉弁)が配置される。すなわち、各三方弁28,31,34,37は、第1のMFC21、第2のMFC22、第3のMFC23、第4のMFC24の各々及び導入管19の間に設けられる。
【0037】
第5のMFC25は、一端において開閉弁38を介して置換ガス供給源(図示しない)に接続され、他端において配管39を介して各三方弁28,31,34,37に接続される。本実施の形態では、第5のMFC25及び配管39は置換ガス流入路を構成し、該置換ガス流入路は各三方弁28,31,34,37を介して導入管19へ合流する。
【0038】
本実施の形態において、例えば、三方弁28は、配管39及び導入管19を配管27を介して連通させる際、第1のMFC21を導入管19から遮断し、第1のMFC21及び導入管19を配管27を介して連通させる際、配管39を導入管19から遮断する。なお、他の三方弁31,34,37も同様の機能を有する。
【0039】
ガスボックス13は、第1のMFC21、第2のMFC22、第3のMFC23、第4のMFC24、第5のMFC25及び各三方弁28,31,34,37のそれぞれを操作して処理ガス導入ライン12へ第1の処理ガス、第2の処理ガス、第3の処理ガス、第4の処理ガス又は置換ガスを流入させる。
【0040】
排気ライン14は、排気管40と、排気管40に配置されたバックポンプ41(第1の排気ポンプ)と、チャンバ11及びバックポンプ41の間において排気管40に配置されたターボ分子ポンプ42(第2の排気ポンプ)とを有し、バックポンプ41及びターボ分子ポンプ42が協働してチャンバ11を真空引きする。
【0041】
基板処理装置10では、第1層のエッチング、第2層のエッチング、第3層のエッチング及び後処理のそれぞれの終了後に、置換ガス流入路から置換ガスを導入管19へ流入させて該置換ガスをチャンバ11へ導入し、置換ガスによって導入管19やチャンバ11に残留する第1のエッチングガス、第2のエッチングガス、第3のエッチングガス又は後処理ガスを組成する第1の処理ガス、第2の処理ガス、第3の処理ガス及び第4の処理ガス (以下、「第1の処理ガス等」という。)を押出して排出する。
【0042】
基板処理装置10では、配管39が各三方弁28,31,34,37へ接続されるため、置換ガスは置換ガス流入路から第1のMFC21、第2のMFC22、第3のMFC23及び第4のMFC24の直下において各配管27,30,33,36へ流入し、さらに導入管19へ流入するので、各配管27,30,33,36や導入管19に残留する第1の処理ガス等を殆ど押出することができ、第1の処理ガス等を各配管27,30,33,36や導入管19から確実に排出することができる。
【0043】
本実施の形態における置換ガスとしては、第1層のエッチング、第2層のエッチング及び第3層のエッチングのいずれも阻害しない不活性なガス、例えば、ヘリウムガス、アルゴンガス、ラドンガス、キセノンガス等の希ガスが好ましい。置換ガスは、導入管19やチャンバ11に残留する第1のエッチングガス等を押出して排出するので、分子量が大きいものがより好ましく、特にアルゴンガス、ラドンガスやキセノンガスを用いるのがよい。また、入手のし易さを考慮すると、アルゴンガスが好適に用いられる。なお、置換ガスは希ガスに限られず、各エッチング処理を阻害しないものであれば用いることができ、例えば、窒素ガスを用いることができる場合もある。
【0044】
図2は、
図1の基板処理装置が実行する本実施の形態に係る基板処理方法のシーケンス図である。
【0045】
図2において、まず、排気ライン14によってチャンバ11を真空引きした後、置換ガスをガスボックス13から導入管19へ流入させてチャンバ11へ導入し、排気ライン14が備える調圧バルブ(図示しない)等によってチャンバ11内の圧力を第1層のエッチングに適切な値へ調整する。
【0046】
次いで、三方弁28,31,34,37を切り替えることにより、第1のエッチングガスを第1の組成で組成する第1乃至第4の処理ガスを置換ガスに代えてガスボックス13の第1のMFC21、第2のMFC22、第3のMFC23、第4のMFC24から配管27,30,33,36を介して導入管19へ流入させてチャンバ11へ導入し、処理空間PSへ印加されている高周波電力によって第1のエッチングガスからプラズマを生成し、該プラズマによって基板Sの第1層をエッチングする。また、処理空間PSへの高周波電力の印加はこの後、後処理の終了まで継続される。なお、必ずしも第1のエッチングガスを第1乃至第4の処理ガスを全て用いて組成する必要は無く、処理内容に応じて用いない処理ガスがあってもよい。この場合、用いない処理ガスに対応するMFCは流量を0に制御する。後述の第2のエッチングガス、第3のエッチングガス及び後処理ガスの組成についても同様である。
【0047】
次いで、第1層のエッチング終了後、三方弁28,31,34,37を切り替えることにより、第1のエッチングガスを組成する第1乃至第4の処理ガスに代えて置換ガスをガスボックス13から導入管19へ流入させてチャンバ11へ導入する(ガス置換ステップ)。このとき、置換ガスは第1のMFC21,第2のMFC22,第3のMFC23,第4のMFC24の直下から配管27,30,33,36を介して導入管19へ流入するので、配管27,30,33,36や導入管19、引いてはチャンバ11に残留する第1のエッチングガスの殆どを押出して排出することができる。すなわち、配管27,30,33,36、導入管19やチャンバ11に残留する第1乃至第4の処理ガスが置換ガスに置換される。
【0048】
次いで、三方弁28,31,34,37を切り替えることにより、第2のエッチングガスを第2の組成で組成する第1乃至第4の処理ガスを置換ガスに代えてガスボックス13の第1のMFC21,第2のMFC22,第3のMFC23,第4のMFC24から配管27,30,33,36を介して導入管19へ流入させてチャンバ11へ導入し、処理空間PSへ印加されている高周波電力によって第2のエッチングガスからプラズマを生成し、該プラズマによって基板Sの第2層をエッチングする。
【0049】
次いで、第2層のエッチング終了後、三方弁28,31,34,37を切り替えることによって第2のエッチングガスを組成する第1乃至第4の処理ガスに代えて置換ガスをガスボックス13から導入管19へ流入させてチャンバ11へ導入する(ガス置換ステップ)。このとき、置換ガスは第1のMFC21,第2のMFC22,第3のMFC23,第4のMFC24の直下から配管27,30,33,36、導入管19へ流入するので、配管27,30,33,36や導入管19、引いてはチャンバ11に残留する第2のエッチングガスの殆どが押出されて排出され、配管27,30,33,36、導入管19やチャンバ11に残留する第1乃至第4の処理ガスが置換ガスに置換される。
【0050】
次いで、同様に、三方弁28,31,34,37を切り替えることにより、第3のエッチングガスを第3の組成にて組成する第1乃至第4の処理ガスを置換ガスに代えてガスボックス13の第1のMFC21、第2のMFC22、第3のMFC23、第4のMFC24から配管27,30,33,36を介して導入管19へ流入させてチャンバ11へ導入し、処理空間PSへ印加されている高周波電力によって第3のエッチングガスにからプラズマを生成し、該プラズマによって基板Sの第3層をエッチングする。
【0051】
次いで、第3層のエッチング終了後、三方弁28,31,34,37を切り替えることによって第3のエッチングガスを組成する第1乃至第4の処理ガスに代えて置換ガスをガスボックス13から導入管19へ流入させてチャンバ11へ導入する(ガス置換ステップ)。このとき、置換ガスは第1のMFC21、第2のMFC22、第3のMFC23、第4のMFC24の直下から配管27,30,33,36を介して導入管19へ流入するので、配管27,30,33,36や導入管19、引いてはチャンバ11に残留する第3のエッチングガスの殆どが押出されて排出され、配管27,30,33,36、導入管19やチャンバ11に残留する第1乃至第4の処理ガスが置換ガスに置換される。
【0052】
次いで、三方弁28,31,34,37を切り替えることにより、後処理ガスを第4の組成にて組成する第1乃至第4の処理ガスを置換ガスに代えてガスボックス13の第1のMFC21、第2のMFC22、第3のMFC23、第4のMFC24から配管27,30,33,36を介して導入管19へ流入させてチャンバ11へ導入し、処理空間PSへ印加されている高周波電力によって後処理ガスからプラズマを生成し、該プラズマによって後処理、例えば、チャンバ11内の部品等をクリーニングを実行する。また、後処理の終了後、直ちに処理空間PSへの高周波電力の印加が停止される。
【0053】
次いで、後処理の終了後、三方弁28,31,34,37を切り替えることにより、後処理ガスに代えて置換ガスをガスボックス13から導入管19へ流入させてチャンバ11へ導入する(ガス置換ステップ)。このとき、置換ガスは第1のMFC21、第2のMFC22、第3のMFC23、第4のMFC24の直下から配管27,30,33,36を介して導入管19へ流入するので、配管27,30,33,36や導入管19、引いてはチャンバ11に残留する後処理ガスの殆どが押出されて排出され、配管27,30,33,36、導入管19やチャンバ11に残留する後処理ガスが置換ガスに置換される。
【0054】
その後、置換ガスをガスボックス13から導入管19への流入を停止して基板Sへの連続的なエッチング処理を終了する。
【0055】
本実施の形態に係る基板処理方法によれば、第1層のエッチング及び第2層のエッチングの間、第2層のエッチング及び第3層のエッチングの間、並びに、第3層のエッチング及び後処理の間(以下、まとめて「先のプラズマ処理及び次のプラズマ処理の間」という。)に、先のプラズマ処理及び次のプラズマ処理のいずれも阻害しない置換ガスを処理ガス導入ライン12の導入管19へ流入させて該置換ガスをチャンバ11へ導入するので、導入管19やチャンバ11に残留する第1の処理ガス等が置換ガスによって押出されて排出される。したがって、第1の処理ガス等の排出効率が高くなり、第1の処理ガス等の排出に時間を要することがなく、その結果、第1の処理ガス等を用いて基板Sに連続的なプラズマ処理を施す際に要する時間を短縮することができる。また、チャンバ11へ導入される置換ガスは先のプラズマ処理及び次のプラズマ処理のいずれも阻害しないので、基板Sへ先のプラズマ処理及び次のプラズマ処理を適切に施すことができる。
【0056】
上述した本実施の形態に係る基板処理方法では、先のプラズマ処理の終了後に置換ガスがチャンバ11へ導入されるので、該チャンバ11に残留する第1の処理ガス等を迅速に希釈することができ、もって、残留する第1の処理ガス等によって第1層等が所望値以上にエッチングされるのを抑制することができる。
【0057】
また、上述した本実施の形態に係る基板処理方法では、例えば、置換ガスによって第1の組成を有する第1のエッチングガスを導入管19及びチャンバ11から排出した後に、第2の組成を有する第2のエッチングガスを導入管19へ流入させて該置換ガスをチャンバ11へ導入するので、互いに組成の異なる第1のエッチングガスと第2のエッチングガスが混合することがない。また、例えば、第1のエッチングガスを導入管19及びチャンバ11から排出した後も、置換ガスが導入管19やチャンバ11に留まるため、導入管19やチャンバ11が大幅に減圧されることがなく、もって、第2のエッチングガスをチャンバ11へ導入する際に、チャンバ11内の圧力を次のプラズマ処理に適切な値へ調整するための時間を短縮することができ、その結果、第1のエッチングガス等を用いて基板Sに連続的なプラズマ処理を施す際に要する時間をさらに短縮することができる。
【0058】
さらに、上述した本実施の形態に係る基板処理方法では、第1層のエッチング、第2層のエッチング、第3層のエッチング又は後処理が実行される間に処理空間PSへ高周波電力が印加されるだけでなく、先のプラズマ処理及び次のプラズマ処理の間においても処理空間PSへ高周波電力が印加される。処理空間PSへ印加される高周波電力は置換ガスをプラズマ化し、プラズマは先のプラズマ処理において生じた反応生成物Pへエネルギーを付与し、
図3に示すように、チャンバ11の内壁への反応生成物Pの付着を抑制し、且つ、チャンバ11の内壁へ付着した反応生成物Pの脱離を促進するので、浮遊又は脱離した反応生成物Pを排気ライン14によってチャンバ11内に生じる排気流43によって巻き込んでチャンバ11から効率的に排出することができる。その結果、チャンバ11において基板Sへの反応生成物の付着を防止することができ、もって、基板Sからの製品の生産性を向上することができる。また、結果として第1層のエッチングから後処理まで高周波電力の印加が継続されるので、高周波電力の印加開始時に必要な印加の安定処理を行う回数を減らすことができ、もって、基板Sに連続的なプラズマ処理を施す際に要する時間をさらに短縮することができる。
【0059】
また、
図1の基板処理装置10によれば、置換ガス流入路は各三方弁28,31,34,37を介して導入管19に合流するので、例えば、三方弁28によって、第1のMFC21及び導入管19を連通させる際、置換ガス流入路は当該三方弁28によって遮断されるため、第1の処理ガス等が置換ガス流入路へ回り込むのを防止して第1の処理ガス等のチャンバ11への導入効率を向上することができる。また、例えば、三方弁28によって、置換ガス流入路及び導入管19を連通させる際、第1のMFC21は当該三方弁28によって遮断されるため、置換ガスが第1のMFC21へ回り込むのを防止して置換ガスの導入管19への流入効率を向上することができ、もって、導入管19に残留する第1の処理ガス等の排出効率をより向上することができる。
【0060】
図4は、本実施の形態に係る基板処理装置の第1の変形例の構成を概略的に示す断面図である。第1の変形例に係る基板処理装置44は、チャンバ11を迂回するバイパス管45と、チャンバ11のみに置換ガスを導入する他の置換ガス流入路とを備える点で
図1の基板処理装置10と異なる。
【0061】
図4において、基板処理装置44は、導入管19から分岐して該導入管19及び排気管40を直接連通させるとともに、開放弁61を有するバイパス管45(側路)と、導入管19においてチャンバ11及びバイパス管45への分岐点46の間に設けられた三方弁47(他の開閉弁)と、該三方弁47によって導入管19と合流する他の置換ガス流入路とを備える。
【0062】
バイパス管45は、バックポンプ41及びターボ分子ポンプ42の間において排気管40と合流する。また、他の置換ガス流入路は配管48と、該配管48を介して三方弁47に接続される第6のMFC49とからなる。第6のMFC49は置換ガス供給源(図示しない)にも接続され、置換ガスを導入管19へ流入させる。
【0063】
置換ガス流入路と他の置換ガス流入路の関係に関し、基板処理装置44では、置換ガス流入路から導入管19へ置換ガスを流入させる際、三方弁47によってチャンバ11を置換ガス流入路から遮断し、他の置換ガス流入路をチャンバ11と連通させる。このとき、置換ガス流入路から導入管19へ流入された置換ガスはチャンバ11へ導入されず、開放弁61が開放されたバイパス管45を介して排気ライン14へ至る。また、他の置換ガス流入路から導入管19へ流入された置換ガスはチャンバ11へ導入され、その後、排気ライン14へ至る。すなわち、置換ガス流入路から導入管19へ流入された置換ガスは導入管19に残留するガス(例えば、第1のエッチングガス)のみをバイパス管45を介して排出し、チャンバ11へ導入された置換ガスはチャンバ11に残留するガス(例えば、第1のエッチングガス)のみを排出する。したがって、導入管19及びチャンバ11に残留する第1のエッチングガス等を効率よく排出することができる。
【0064】
また、基板処理装置44では、バイパス管45はバックポンプ41の間及びターボ分子ポンプ42の間において排気管40と合流するので、バイパス管45を流れる第1のエッチングガス等はターボ分子ポンプ42に阻害されてチャンバ11へ逆流することがない。
【0065】
本変形例において基板Sへプラズマ処理を施す際の動作に関し、バイパス管45の開閉弁61を閉じること、並びに、三方弁47によってチャンバ11を配管48から遮断し、且つ導入管19を介してガスボックス13をチャンバ11と連通させること以外の動作は
図1の基板処理装置10が基板Sへプラズマ処理を施す際の動作と同じである。
【0066】
図5は、本実施の形態に係る基板処理装置の第2の変形例の構成を概略的に示す断面図である。第2の変形例に係る基板処理装置50は、ガスボックス13が置換ガス流入路を備えない点で
図4の基板処理装置44と異なる。
【0067】
図5において、基板処理装置50のガスボックス13は第5のMFC25及び配管39によって構成される置換ガス流入路を有さず、第1のMFC21及び導入管19を接続する配管27には単に第1のMFC21及び導入管19の遮断、連通のみを行う開閉弁51が配置され、第2のMFC22及び導入管19を接続する配管30には単に第2のMFC22及び導入管19の遮断、連通のみを行う開閉弁52が配置され、第3のMFC23及び導入管19を接続する配管33には単に第3のMFC23及び導入管19の遮断、連通のみを行う開閉弁53が配置され、第4のMFC24及び導入管19を接続する配管36には単に第4のMFC24及び導入管19の遮断、連通のみを行う開閉弁54が配置される。
【0068】
基板処理装置50では、先のプラズマ処理及び次のプラズマ処理の間に、三方弁47によってチャンバ11をガスボックス13から遮断し、他の置換ガス流入路をチャンバ11と連通させる。このとき、他の置換ガス流入路から導入管19へ流入された置換ガスはチャンバ11へ導入され、その後、排気ライン14へ至るので、チャンバ11に残留する第1のエッチングガス等を置換ガスによって押出して排出することができる。これにより、第1のエッチングガス等のチャンバ11からの排出効率を高めることができる。
【0069】
なお、基板処理装置50では、導入管19に残留する第1のエッチングガス等は、開放弁61を開放し、バックポンプ41によってバイパス管45を介して導入管19を真空引きすることによって排出される。
【0070】
また、第2の変形例ではガスボックス13の構成が簡素化されるが、各MFCの2次側、具体的には各MFCと三方弁47の間の導入管19において各MFCから導入された残留ガスの影響が残りやすいため、処理ガスを変えながら連続して複数のプラズマ処理を実行する場合、異なる処理ガス相互の反応性等を考慮する必要がある。
【0071】
なお、
図4の第1の変形例及び
図5の第2の変形例においては、他の置換ガス流入路の配管48と導入管19との接続点に三方弁47を設けるとともに、バイパス管45に開放弁61を設けたが、
図6に示す第3の変形例に係る基板処理装置55のように分岐点46に三方弁を設けるとともに、配管48に開放弁63を設けるようにしてもよい。
【0072】
図6は、本実施の形態に係る基板処理装置の第3の変形例の構成を概略的に示す断面図である。
【0073】
図6において、基板処理装置55は、導入管19から分岐して該導入管19及び排気管40を直接連通させるバイパス管45(側路)と、導入管19においてチャンバ11及びバイパス管45への分岐点に設けられた三方弁62と、該三方弁62とチャンバ11の間において導入管19と合流する他の置換ガス流入路とを備える。
【0074】
バイパス管45は、バックポンプ41及びターボ分子ポンプ42の間において排気管40と合流する。また、他の置換ガス流入路は開放弁63を有する配管48と、該配管48を介して導入管19に接続される第6のMFC49とからなる。第6のMFC49は置換ガス供給源(図示しない)にも接続され、置換ガスを導入管19へ流入させる。
【0075】
置換ガス流入路と他の置換ガス流入路の関係に関し、基板処理装置55では、置換ガス流入路から導入管19へ置換ガスを流入させる際、三方弁62によってチャンバ11を置換ガス流入路から遮断し、開放弁63を開放して他の置換ガス流入路をチャンバ11と連通させる。このとき、置換ガス流入路から導入管19へ流入された置換ガスはチャンバ11へ導入されず、バイパス管45を介して排気ライン14へ至る。また、他の置換ガス流入路から導入管19へ流入された置換ガスはチャンバ11へ導入され、その後、排気ライン14へ至る。すなわち、置換ガス流入路から導入管19へ流入された置換ガスは導入管19に残留するガス(例えば、第1のエッチングガス)のみをバイパス管45を介して排出し、チャンバ11へ導入された置換ガスはチャンバ11に残留するガス(例えば、第1のエッチングガス)のみを排出する。したがって、導入管19及びチャンバ11に残留する第1のエッチングガス等を効率よく排出することができる。
【0076】
また、基板処理装置55では、バイパス管45はバックポンプ41の間及びターボ分子ポンプ42の間において排気管40と合流するので、バイパス管45を流れる第1のエッチングガス等はターボ分子ポンプ42に阻害されてチャンバ11へ逆流することがない。
【0077】
本変形例において基板Sへプラズマ処理を施す際の動作に関し、配管48の開閉弁63を閉じることと、並びに、三方弁62によってバイパス45を導入管19から遮断し、且つ導入管19を介してガスボックス13をチャンバ11と連通させること以外の動作は
図1の基板処理装置10が基板Sへプラズマ処理を施す際の動作と同じである。
【0078】
図7は、本実施の形態に係る基板処理方法の第1の変形例のシーケンス図である。本変形例に係る基板処理方法は、処理空間PSへ印加される高周波電力の値が一定でない点で
図2の基板処理方法と異なる。
【0079】
図7において、高周波電源18は、先のプラズマ処理及び次のプラズマ処理の間において処理空間PSへ印加される高周波電力の値を、第1層のエッチング、第2層のエッチング、第3層のエッチング及び後処理(以下、まとめて「各プラズマ処理」という。)において処理空間PSへ印加される高周波電力の値よりも小さく設定する。
【0080】
先のプラズマ処理及び次のプラズマ処理の間では、先のプラズマ処理に用いるエッチングガスがチャンバ11にしばらく残留するため、当該先のプラズマ処理に用いるエッチングガスによって基板Sへ先のプラズマ処理によるエッチングが継続的に施されることがある。
【0081】
これに対応して、本変形例に係る基板処理方法では、先のプラズマ処理及び次のプラズマ処理の間において処理空間PSへ印加される高周波電力の値を小さくする。これにより、先のプラズマ処理及び次のプラズマ処理の間におけるエッチングガスの励起を抑制してプラズマの生成量を少なくし、継続的に施される先のプラズマ処理によるエッチングの基板Sへの影響を低減することができる。
【0082】
図8は、本実施の形態に係る基板処理方法の第2の変形例のシーケンス図である。本変形例に係る基板処理方法は、
図6の基板処理装置55で実行され、特に、置換ガス流入路からの置換ガス(図中「第1の置換ガス」で示す。)の流入時間、及び他の置換ガス流入路からの置換ガス(図中「第2の置換ガス」で示す。)の流入時間が同一でない点で
図2の基板処理方法と異なる。
【0083】
図8では、置換ガス流入路から導入管19へ置換ガスを流入させる際、三方弁62によってチャンバ11を置換ガス流入路から遮断し、開放弁63を開放して他の置換ガス流入路をチャンバ11と連通させるが、他の置換ガス流入路からの置換ガスの流入時間を置換ガス流入路からの置換ガスの流入時間よりも長くする。これにより、チャンバ11には多量の置換ガスが流入してチャンバ11に残留するガスを効率よく排出できるとともに、導入管19へは必要十分な置換ガスのみを流入させることができ、残留するガスの排出の効率化と置換ガスの節約を同時に達成することができる。
【0084】
図9は、本実施の形態に係る基板処理方法の第3の変形例のシーケンス図である。本変形例に係る基板処理方法は、
図6の基板処理装置55で実行され、特に、先のプラズマ処理及び次のプラズマ処理の間において処理空間PSへ印加される高周波電力の値を0にする期間がある点で
図2の基板処理方法と異なる。
【0085】
図9では、先のプラズマ処理及び次のプラズマ処理の間において、置換ガス流入路から導入管19へ置換ガス(図中「第1の置換ガス」で示す。)を流入させるとともに、他の置換ガス流入路からチャンバ11へ置換ガス(図中「第2の置換ガス」で示す。)を流入させるが、チャンバ11への置換ガスの流入を停止した後は、次のプラズマ処理までの期間に亘って処理空間PSへ印加される高周波電力の値を0にする。これにより、チャンバ11へ置換ガスを流入させた後に先のプラズマ処理に用いるエッチングガスがチャンバ11に残留したとしても、当該エッチングガスからプラズマが生じないため、先のプラズマ処理による過剰なエッチングの基板Sへの影響を無くすことができる。
【0086】
以上、本発明について上記実施の形態を用いて説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、
図2の基板処理方法ではFPD用基板へ連続的なエッチング処理が施されたが、
図2の基板処理方法を用いて半導体ウエハへ連続的なエッチング処理を施してもよい。
【0087】
本発明の目的は、上述した実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムを記録した記憶媒体を、コンピュータ等に供給し、コンピュータのCPUが記憶媒体に格納されたプログラム、例えば、上述したステージ冷却プログラムを読み出して実行することによっても達成される。
【0088】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラム自体が上述した実施の形態の機能を実現することになり、プログラム及びそのプログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0089】
また、プログラムを供給するための記憶媒体としては、例えば、RAM、NV−RAM、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD(DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW)等の光ディスク、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、他のROM等の上記プログラムを記憶できるものであればよい。或いは、上記プログラムは、インターネット、商用ネットワーク、若しくはローカルエリアネットワーク等に接続される不図示の他のコンピュータやデータベース等からダウンロードすることによりコンピュータに供給されてもよい。
【0090】
また、コンピュータのCPUが読み出したプログラムを実行することにより、上記実施の形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、CPU上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって上述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0091】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって上述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0092】
上記プログラムの形態は、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給されるスクリプトデータ等の形態から成ってもよい。
【実施例】
【0093】
まず、従来技術に係る基板処理装置80において処理ガスとして酸素ガスを用い、チャンバ81において酸素ガスから生成されたプラズマによって基板にエッチング処理を施した後、チャンバ81への酸素ガスの導入を停止するとともに高周波電源から処理空間への高周波電力の印加を停止し、排気系84によってチャンバ81を10秒間に亘って真空引きし、その後、ガスボックス83からアルゴンガスを1000sccmで処理ガス導入ライン82へ流入させてチャンバ81へ導入し、さらにアルゴンガスの導入開始から8秒後に高周波電力を処理空間へ再び印加し、このときに観測された、チャンバ81に残留する酸素ガスから生成されたプラズマの発光強度を基準発光強度とした。すなわち、チャンバ81への酸素ガスの導入停止から基準発光強度に対応する密度へ酸素ガスの密度が低下するまでの時間は18秒であった(比較例1)。
【0094】
次に、本実施の形態に係る基板処理装置10において処理ガスとして酸素ガスを用い、チャンバ11において酸素ガスから生成されたプラズマによって基板Sにエッチング処理を施した後、高周波電源18からの処理空間PSへの高周波電力の印加を継続しつつ、チャンバ11への酸素ガスの導入を停止し、次いで、置換ガスとして置換ガス流入路からアルゴンガスを1000sccmで処理ガス導入ライン12の導入管19へ流入させてチャンバ11へ導入し、チャンバ11に残留する酸素ガスから生成されたプラズマの発光強度を観測した。そして、チャンバ11への酸素ガスの導入停止から、観測されたプラズマの発光強度が基準発光強度まで低下するのに要した時間を計測したところ、計測された時間は9秒であった(実施例1)。
【0095】
また、置換ガスとして導入管19へ流入されるアルゴンガスの流量を2000sccmに設定した以外は、実施例1と同じ条件でチャンバ11に残留する酸素ガスから生成されたプラズマの発光強度を観測したところ、チャンバ11への酸素ガスの導入停止から観測されたプラズマの発光強度が基準発光強度まで低下するのに要した時間は6秒であった(実施例2)。
【0096】
さらに、導入管19の長さを6mから2mに変更した以外は、実施例2と同じ条件でチャンバ11に残留する酸素ガスから生成されたプラズマの発光強度を観測したところ、チャンバ11への酸素ガスの導入停止から観測されたプラズマの発光強度が基準発光強度まで低下するのに要した時間は5秒であった(実施例3)。
【0097】
比較例1と実施例1との対比より、導入管19やチャンバ11に残留する処理ガスとしての酸素ガスを、排気系84による真空引きによって排出するよりも、置換ガスによって導入管19やチャンバ11から押出して排出する方が、酸素ガスの排出効率が高くなり、結果として基板Sに連続的なエッチング処理を施す際に要する時間を短縮することができることが分かった。
【0098】
また、実施例1と実施例2の対比より、置換ガスの流量を大きくした方が酸素ガスの排出効率を高くできることが分かり、実施例2と実施例3の対比より、導入管19に残留する酸素ガスの量を少なくした方が酸素ガスの排出時間を短くすることができることが分かった。
【0099】
次に、基板処理装置80において処理ガスとして六弗化硫黄(SF
6)ガスを用い、チャンバ81において六弗化硫黄ガスから生成されたプラズマにより、30秒に亘って基板のシリコン層にエッチング処理を施したときのエッチング量(10546Å)を基準エッチング量とした(比較例2)。
【0100】
次に、基板処理装置10において処理ガスとして六弗化硫黄ガスを用い、チャンバ11において六弗化硫黄ガスから生成されたプラズマにより、30秒に亘って基板Sのシリコン層にエッチング処理を施した後、高周波電源18からの処理空間PSへの1000Wの高周波電力の印加を継続しつつ、チャンバ11への六弗化硫黄ガスの導入を停止し、次いで、置換ガスとして置換ガス流入路からアルゴンガスを1500sccmで処理ガス導入ライン12の導入管19へ流入させてチャンバ11へ導入したときのシリコン層のエッチング量を測定した。ここで測定されるエッチング量は、比較例2の基準エッチング量にチャンバ11への六弗化硫黄ガスの導入を停止した後にチャンバ11に残留する六弗化硫黄ガスから生成されたプラズマによるエッチング量が上乗せされたものである。このとき、測定されたエッチング量は12006Åであった(実施例4)。
【0101】
また、置換ガスとして導入管19へ流入されるアルゴンガスの流量を2000sccmに設定した以外は、実施例4と同じ条件でシリコン層のエッチングを行い、エッチング量を測定したところ、測定されたエッチング量は11890Åであった(実施例5)。
【0102】
次に、処理空間PSへ印加される高周波電力の値を300Wに設定した以外は、実施例5と同じ条件でシリコン層のエッチングを行い、エッチング量を測定したところ、測定されたエッチング量は11396Åであった(実施例6)。
【0103】
次に、導入管19の長さを6mから2mに変更した以外は、実施例4と同じ条件でシリコン層のエッチングを行い、エッチング量を測定したところ、測定されたエッチング量は11116Åであった(実施例7)。
【0104】
次に、置換ガスとして導入管19へ流入されるアルゴンガスの流量を2000sccmに設定した以外は、実施例7と同じ条件でシリコン層のエッチングを行い、エッチング量を測定したところ、測定されたエッチング量は11116Åであった(実施例8)。
【0105】
実施例4乃至8で測定されたエッチング量は基準エッチング量を大幅に上回るものではなく、シリコン層のエッチングへの悪影響、例えば、過剰なエッチングが余り認められなかった。特に、実施例8で測定されたエッチング量は基準エッチング量の5%増しに留まっており、シリコン層のエッチングへの悪影響が殆ど認められなかった。以上より、処理空間PSへの高周波電力の連続印加によるシリコン層のエッチングへの悪影響は、置換ガスとして導入管19へ流入されるアルゴンガスの流量を1500sccm以上にすればほぼ解消できることが分かり、導入管19の長さを短くするのがシリコン層のエッチングへの悪影響の抑制の観点から好ましいことが分かった。