(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
[第1実施形態]
本発明の固体撮像装置(半導体イメージセンサ)10は、
図1ないし
図4に示すように、光透過性保護部材であるカバーガラス11、画素チップ12、回路チップ13,14、中継用基板(インターポーザ)15、及び放熱板(放熱部材)16とで構成されている。
画素チップ12は、カバーガラス11に対峙する上面から順にマイクロレンズアレイ17、カラーフィルタ18、入射光に応じた画像信号を出力する裏面照射型の受光部を含む受光層19、及び配線層20が設けられている。
【0021】
回路チップ13,14は、画素チップ12の受光部を駆動する駆動回路と、前記受光部から画像信号を読み出す読出し回路と、前記画像信号を信号処理する画像信号処理回路とをそれぞれ含んでおり、駆動回路に駆動信号を入力するための入力端子列と、画像処理された信号を出力する出力端子列とを含む配線層21,22が下面に設けられている。
【0022】
中継用基板15の上面23には、画素チップ12と回路チップ13,14とが積層されることなく、横に並べて配置される。画素チップ12と回路チップ13,14とは、中継用基板15の上面23の配線層26に設けた導体パターン24により電気的に接続される。
中継用基板15は、剛性を有する不透明な絶縁基板であり、下面27には、放熱板16が熱伝導性の高い接着剤により接合されている。放熱板16は、中継用基板15を介して回路チップ13,14の熱を放熱する。
【0023】
なお、カバーガラス11と画素チップ12及び回路チップ13,14の上面との間の空間は、樹脂等の封止材28により密閉されている。また、放熱板16の形状としては、板状以外に、表面積が増えるように複数の突起を設けたヒートシンク形状のものを使用してもよい。また、材質としては、銅やアルミ等の熱伝導率の高い材料で作るのが好適である。
【0024】
上記実施形態では、受光部を構成する画素がマトリックス状に配列されているため画素チップ12が平面視略正方形に、また、回路チップ13,14は、受光部を駆動する駆動回路と受光部から画像信号を1ラインずつ読み出す読出し回路とを含むため、画素チップ12の一辺を長手辺とする横長矩形状に作られている。なお、画素チップ12を平面視長方形に作っても良い。また、回路チップ13,14の平面視形状は、長手辺が画素チップ12の一辺と同じ長さでなくてもよい。さらに、平面視横長矩形の形状に限らず、例えば台形であってもよい。
【0025】
また、上記実施形態では、受光部から画像信号を一列に読み出す処理を迅速にするために、画素チップ12を挟んだ両側に一対の回路チップ13,14を並べて配置しているが、本発明ではこれに限らず、一対の回路チップ13,14を、画素チップ12の隣り合う二辺に沿うようにL字状に配置してもよい。また、回路チップ13,14は、2個に限らず、1個のチップで構成してもよいし、3個以上のチップで構成してもよい。
【0026】
画素チップ12を駆動すると、
図5に示すように、画素チップ12の対向する2辺の下面に設けた画素出力端子列30,31から、中継用基板15の導体パターン24を中継して回路チップ13,14の下面に設けた入力端子列32,33に画像信号が送出される。そして、画像信号は、回路チップ13,14の内部の信号処理回路で信号処理される。信号処理済みの画像信号は、回路チップ13,14の下面に設けた画素出力端子列34,35から中継用基板15の導体パターン24に設けた画素入力端子36,37に送出され、画素入力端子36,37から導体パターン24を介して外部出力端子列38に送られ、外部出力端子列38から外部に出力される。
【0027】
なお、画素チップ12の受光部を駆動する駆動信号は、前述した画像信号の流れに対して逆の流れになっている。駆動信号を伝達するための端子列は、前述した端子列30〜38の近傍にそれぞれ配されているが、
図5では図面の煩雑化を防ぐために省略している。
【0028】
画素チップ12は、裏面照射型のタイプであり、
図6に示すように、シリコン基板に形成した受光層19の下面に配線層20を接合し、上面にはマイクロレンズアレイ17とカラーフィルタ18とを接合している。画素チップ12の下面に設けた画素出力端子列30,31、及び回路チップ13,14の下面に設けた入力端子列32,33は、各端子がバンプ電極に形成されており、中継用基板15の導体パターン24の各端子にパンプ接合されている。
【0029】
次に、第1実施形態の固体撮像装置10の製造方法を簡単に説明する。まず、
図7(A)に示すように、画素ウエハ40の下面に、同じ大きさの多面取り用の中継基板41を接合する。ここで、画素ウエハ40、つまり、裏面照射型撮像素子の製造方法を簡単に説明する。画素ウエハ40は、上面に多数の凹部を掘って受光部を埋め込んだ受光層を有する半導体ウエハ42と、受光層の上に設けた配線層43とを積層して作られている。配線層43は、各受光部との間で電気的接続がなされており、配線層43には、画素出力端子列30,31が形成されている。
【0030】
この画素ウエハ40をひっくり返して、
図7(A)に示すように、上に半導体ウエハ42が下に配線層43が向く姿勢にし、配線層43の下面を、中継基板41の上面に形成した導体パターン24に接合する。これにより、受光部毎に画素出力端子列30,31と中継基板41の導体パターン24とが接続される。
その後、
図7(B)に示すように、半導体ウエハ42を上面から受光層の厚みまで研磨やエッチング等により削る。このとき、半導体ウエハ42が薄くなり面強度が弱くなるが、中継基板41が補強するので問題はない。なお、同図に二点鎖線44で示す位置が半導体ウエハ42の元の厚み位置である。
【0031】
その後、
図7(C)に示すように、半導体ウエハ42の上にカラーフィルタ18、及びマイクロレンズアレイ17を順に形成して複数の画素チップ12を形成する。
【0032】
その後、
図7(D)に示すように、半導体ウエハ42の上面のうちの画素チップ12以外の面を、中継基板41の導体パターン24が露出するまでエッチングする。これにより、画素チップ12の下面の配線層20と、中継基板41の導体パターン24とのバンプ接合が形成される。
【0033】
しかる後に、
図7(E)に示すように、各画素チップ12の両横に回路チップ13,14を接合していく。この接合により、回路チップ13,14の下面に入力端子列32,33や画素出力端子列34,35が導体パターン24にバンプ接続される。その後、スクリーン印刷やディスペンス等の手法により各画素チップ12の周囲を封止材28で囲い、画素チップ12と回路チップ13,14とを覆う平面寸法を有するカバーガラス11を封止材28の上に圧着し、熱や紫外線などを作用させて封止材28を硬化させる。これにより、中継基板41の上に多数の画素チップ12が配列される。その後、同図に示す二点鎖線29の位置でダイシングすることにより中継基板41が中継用基板15に分離される。最後に、放熱板16を中継用基板15の下面に接合していくことで、第1実施形態の固体撮像装置10が完成する。
【0034】
[第2実施形態]
上記実施形態では、マイクロレンズアレイ17を備えた画素チップ12を使用しているが、マイクロレンズアレイ17の代わりに導波路を設けた画素チップを使用してもよい。
この固体撮像装置45は、
図8ないし
図11に示すように、カバーガラス46、画素チップ47、回路チップ13,14、中継用基板15、及び放熱板16とで構成されており、カバーガラス46を画素チップ47の上面に直接に接合している。ここで、第1実施形態で説明したと同じ部材には同符号を付与して詳しい説明を省略する。
【0035】
画素チップ47は、上から順に、カラーフィルタ層48、透明膜で構成される導波層(集光ガイド層)49、受光層50、及び配線層51で構成されている。カバーガラス46は、画素チップ47の平面視輪郭を覆うサイズになっている。導波層49には、光の屈折率の違いを利用して各画素に光の道を設けて光信号を導く複数の導波路が形成されている。回路チップ13,14は、第1実施形態と同じに、画素チップ47の両側に並べて配置されている。
【0036】
第2実施形態の固体撮像装置45の製造方法を簡単に説明する。まず、
図12(A)に示すように、画素ウエハ40の下面に支持基板52を接合する。画素ウエハ40は、第1実施形態で説明したものと構成が同じものであり、上に半導体ウエハ42を下に配線層43を向けた姿勢になっている。支持基板52は、剛性を有する絶縁基板であり、後工程で剥離することが可能に接合される。
【0037】
その後、
図12(B)に示すように、第1実施形態で説明したと同様に、半導体ウエハ42を上面から受光層の厚みまで研磨やエッチング等により削る。これにより、半導体ウエハ42が薄くなり面強度が弱くなるが、支持基板52が補強するので問題はない。なお、同図に二点鎖線53で示す位置が半導体ウエハ42の元の厚み位置である。
その後、
図12(C)に示すように、半導体ウエハ42の上に、導波路を構成する集光ガイド層54、及びカラーフィルタ層55を順に積層して画素チップ47の連続層を形成する。
【0038】
画素チップ47の連続層を形成した後には、
図12(D)に示すように、カバーガラス46となる多面取り用のガラス基板56をカラーフィルタ層55の上に接合する。その後、
図12(E)に示すように、支持基板52を剥離して除去する。この剥離により、ガラス基板56が支持基板52の代わりの役割を果たす。
【0039】
その後、
図12(F)に示すように、二点鎖線57で示す位置でダイシングを行ってカバーガラス付きの画素チップ47を個別に得る。
【0040】
カバーガラス付きの画素チップ47は、
図12(G)に示すように、中継用基板15になる多面取り用の中継基板59の上面に接合されていく。中継基板59の上面には、画素チップ47を実装する箇所毎に予め決められた導体パターン24をもつ配線層26が形成されている。カバーガラス付きの画素チップ47を接合することにより、画素チップ47の下面に設けた画素出力端子列30,31が導体パターン24にバンプ接合される。
【0041】
その後、画素チップ47の横に回路チップ13,14を実装する。この実装は、回路チップ13,14の下面に設けた端子列32〜35を導体パターン24にバンプ接合する。
【0042】
その後、中継基板59を同図に示す二点鎖線60の位置でダイシングすることで、画素チップ47付きの中継用基板15に個別に分離し、最後に、放熱板16を中継用基板15の下面に接合することで第2実施例の固体撮像装置45が完成する。なお、カバーガラス46及び画素チップ47の周囲を封止材で封止してもよい。
【0043】
ところで、第2実施形態で説明した固体撮像装置45は、カバーガラス46が画素チップ47の平面視輪郭のみを覆うサイズになっているため、回路チップ13,14の上方が空いている。そこで、
図13ないし
図15に示す固体撮像装置61では、第2の放熱板(第2放熱部材)62を回路チップ13,14の上面に接合した構成としてもよい。この場合には、カバーガラス46を露呈する開口63を第2の放熱板62に設けておけばよい。また、第1及び第2の放熱板16,62をビスやボルト等の締結手段64で共締めすることで、第2の放熱板62の取り付け強度を高めることができる。さらに、第1及び第2の放熱板16,62の間には、互いの間隔を保つ間隔保持部材65が配するのが望ましい。なお、締結手段64や間隔保持部材65として、熱伝導率の高い特性を有する材料のものを使用することで、さらに放熱効果を高めることができる。
【0044】
[第3実施形態]
上記各実施形態では、画素チップを保護するカバーガラス11,46と、画素チップと回路チップとの電気的な接続を中継する中継用基板15とを別々に用いているが、第3実施形態で説明する固体撮像装置67では、中継用基板15を省略し、画素チップと回路チップとの接続を中継する役割をカバーガラスで兼用する。
【0045】
固体撮像装置67は、
図16ないし
図19に示すように、上方から順に、透明な絶縁基板であるカバーガラス68、画素チップ69、回路チップ13,14、及び放熱板70とで構成されている。カバーガラス68の下面には、受光エリア77外に導体パターン71を有する導体パターン層85が形成されている。この実施形態では、カバーガラス68が本発明の中継用基板を構成する。
【0046】
画素チップ69は、上方から順にマイクロレンズアレイ72、カラーフィルタ層73、受光層74、配線層75、及び支持基板76で構成されている。支持基板76は、絶縁性、及び剛性を有し、マイクロレンズアレイ72、カラーフィルタ層73、受光層74、及び配線層75を支持する。カラーフィルタ層73、及び受光層74には、受光エリア77の周囲に、配線層75の各端子を上方に配されるカバーガラス68の導体パターン71に接続するための貫通ビア78が複数形成されている。貫通ビア78としては、TSV(Through Silicon Via)が望ましい。TSVは、カラーフィルタ層73、及び受光層74を穿通する垂直ビアをエッチングし、例えば銅等の導電材料(ビアメタル)で垂直ビアを充填することで形成される。
【0047】
貫通ビア78の先端は、カラーフィルタ層73から上方に突出している。勿論、マイクロレンズアレイ72は、貫通ビア78の突出する領域以外に形成されている。画素チップ69は、貫通ビア78の先端をカバーガラス68の導体パターン71にバンプ接合することで、カバーガラス68に保持される。
【0048】
回路チップ13,14は、端子列をカバーガラス68の導体パターン71にバンプ接続することで、端子列を形成した配線層21,22が上に向く姿勢でカバーガラス68に保持される。放熱板70は、中央に一段凹んだ凹部79が設けられ、凹部79を挟んだ両側の面が回路チップ13,14に接合されている。そして、凹部79には、画素チップ69が支持基板76から入り込む。
【0049】
なお、凹部79としては、底面が支持基板76の下面に接触する深さに形成するのが望ましい。また、
図18及び
図19に示すように、画素チップ69とカバーガラス68との間の空間を封止材80により密閉するのが好適である。
【0050】
次に、第3実施形態の製造方法を説明する。まず、
図20(A)に示すように、画素ウエハ40の下面に、同じサイズの多面取り用の支持基板82を接合する。画素ウエハ40は、第1実施形態で説明したものと同じ構成のものであり、上に半導体ウエハ42を、下に配線層43を向けた姿勢になっている。絶縁基板である支持基板82は、画素チップ69の最下層の支持基板76になる。
【0051】
その後、
図20(B)に示すように、第1実施形態で説明したと同様に、半導体ウエハ42を上面から受光層の厚みまで研磨やエッチング等により削る。ここで、半導体ウエハ42が薄くなり面強度が弱くなるのを支持基板82が補強する。なお、同図に二点鎖線で示す位置が半導体ウエハ42の元の厚み位置である。
【0052】
図20(C)に示すように、半導体ウエハ42の上面のうちの受光エリア以外の領域の一部をエッチングし、エッチングした垂直ビアに第1のビアメタルを充填して貫通ビア78を形成する。貫通ビア78は、半導体ウエハ42を貫通して下方が配線層43の端子に接続される。ここで、半導体ウエハ42の上面のうちの貫通ビア78以外の領域にレジスト層を設けて、貫通ビア78の上に第2のビアメタルを充填して貫通ビア78を伸長させる。その後、レジスト層を除去することで、貫通ビア78の先端を半導体ウエハ42の上面よりも突出させる。
【0053】
なお、突出させる方法としては、貫通ビア78を二回に分けて作ることなく、1回で作るようにしてもよい。この場合には、最初に半導体ウエハ42の上面にレジスト層を設け、レジスト層をエッチングして垂直ビアを配線層43まで設け、垂直ビアにビアメタルを充填することで、半導体ウエハ42から上方の突出位置まで伸びた貫通ビア78を作り、レジスト層を除去して、貫通ビア78の先端を半導体ウエハ42の上面から突出させる。
【0054】
その後、
図20(D)に示すように、半導体ウエハ42の上面にカラーフィルタ層73、及びマイクロレンズアレイ72を順に設けて複数の画素チップ69を形成する。なお、貫通ビア78を形成する前に、カラーフィルタ層73、及びマイクロレンズアレイ72を設けてもよい。その後、
図20(E)に示す二点鎖線83の位置でダイシングすることで、画素チップ69を個別に得る。
【0055】
しかる後に、
図20(F)に示すように、個別に得た画素チップ69を多面取り用のガラス基板84に接合される。ガラス基板84には、導体パターン層85のうちの予め画素チップ69を実装する範囲毎に導体パターン71が形成されている。各導体パターン71には、画素チップ69の貫通ビア78の突出した先端がバンプ接合される。その後、回路チップ13,14が端子列を有する配線層21,2を上に向けた姿勢で画素チップ69の両横に配され、回路チップ13,14の端子列が導体パターン71にバンプ接合される。
【0056】
この実施形態では、画素チップ69、及び回路チップ13,14をバンプ接合する時に、透明なガラス基板84を通して導体パターン71と端子列との接合状態を目視することができるので、位置合わせ精度が向上し、さらには接合状態等の検査も簡便に行える。
【0057】
しかる後に、二点鎖線87で示す位置でガラス基板84をダイシングすることで、カバーガラス68として個別に分離する。そして、分離したものに放熱板70を接合することで、第3実施形態の固体撮像装置67が完成する。