特許第5888032号(P5888032)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5888032アリールアミン化合物、その製造法、及びその用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5888032
(24)【登録日】2016年2月26日
(45)【発行日】2016年3月16日
(54)【発明の名称】アリールアミン化合物、その製造法、及びその用途
(51)【国際特許分類】
   C07C 211/54 20060101AFI20160303BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20160303BHJP
   C07C 209/68 20060101ALI20160303BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20160303BHJP
【FI】
   C07C211/54CSP
   H05B33/22 D
   H05B33/14 B
   C07C209/68
   !C07B61/00 300
【請求項の数】9
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2012-60986(P2012-60986)
(22)【出願日】2012年3月16日
(65)【公開番号】特開2013-193972(P2013-193972A)
(43)【公開日】2013年9月30日
【審査請求日】2015年2月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 高則
(72)【発明者】
【氏名】松本 直樹
【審査官】 三木 寛
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−180335(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第102030701(CN,A)
【文献】 国際公開第2011/025282(WO,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第02182040(EP,A1)
【文献】 特開2010−114425(JP,A)
【文献】 特開2009−170819(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 211/54
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】
(式中、
環A、環B及び環Cは、各々独立して、(i)メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族オキシ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる置換基を1種以上有してもよいベンゼン環を表す。
、R、R、及びRは、各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基、又は環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族オキシ基を表す。
Ar及びArは、各々独立して、(iii)メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族オキシ基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基を2個有するアミノ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる置換基を1種以上有してもよいフェニル基を表す。
Mは、各々独立して、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族オキシ基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基を2個有するアミノ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる置換基を1種以上有してもよいフェニレン基を表す。
なお、nは1〜3の整数を表し、mは0〜2の整数を表し、pは0〜2の整数を表し、且つn+m+p=3である。)
で表されるアリールアミン化合物。
【請求項2】
請求項1に記載の一般式(1)において、nが1又は2であることを特徴とする請求項1に記載のアリールアミン化合物。
【請求項3】
請求項1に記載の一般式(1)において、nが1であることを特徴とする請求項1に記載のアリールアミン化合物。
【請求項4】
請求項1に記載の一般式(1)において、環A、環B及び環Cが、各々独立して、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基、及びフェノキシ基からなる群より選ばれる置換基を1種以上有してもよいベンゼン環であることを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のアリールアミン化合物。
【請求項5】
請求項1に記載の一般式(1)において、Mが、各々独立して、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、シアノ基、フェニル基、フェノキシ基、ジフェニルアミノ基、及びジトリルアミノ基、からなる群より選ばれる置換基を1種以上有してもよいフェニレン基であることを特徴とする、請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載のアリールアミン化合物。
【請求項6】
請求項1に記載の一般式(1)において、Mが、各々独立して、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ジフェニルアミノ基、及びジトリルアミノ基、からなる群より選ばれる置換基を1種以上有してもよいフェニレン基であることを特徴とする、請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載のアリールアミン化合物。
【請求項7】
請求項1に記載の一般式(1)において、R、R、R、及びRは、各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、シアノ基、又は環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基であることを特徴とする、請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載のアリールアミン化合物。
【請求項8】
遷移金属触媒及び塩基の存在下、下記一般式(2)で表されるハロゲン化トリキナセン化合物と下記一般式(3)、(4)、又は(5)で表されるボロン化合物を反応させることを特徴とする、一般式(1)で表されるアリールアミン化合物の製造方法。
【化2】
(式中、
環A、環B及び環Cは、各々独立して、(i)メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族オキシ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる置換基を1種以上有してもよいベンゼン環を表す。
、R、R、及びRは、各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基、又は環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族オキシ基を表す。
Ar及びArは、各々独立して、(iii)メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族オキシ基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基を2個有するアミノ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる置換基を1種以上有してもよいフェニル基を表す。
Mは、各々独立して、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族オキシ基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基を2個有するアミノ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる置換基を1種以上有してもよいフェニレン基を表す。
なお、nは1〜3の整数を表し、mは0〜2の整数を表し、pは0〜2の整数を表し、且つn+m+p=3である。Xは塩素、臭素、又はヨウ素を表す。)
【請求項9】
請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載のアリールアミン化合物を発光層、正孔輸送層及び正孔注入層のいずれか一層以上に用いることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なアリールアミン化合物及びそれを用いた有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子に関するものである。本発明におけるアリールアミン化合物は、感光材料、有機光導電材料として使用でき、具体的には、平面光源や文字、画像、映像等の表示に使用される有機EL素子若しくは電子写真感光体等の正孔輸送材料、正孔注入材料及び発光材料として有用である。特に、本発明のアリールアミン化合物は、燐光材料を用いた有機EL素子に対して非常に有用である。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子は、次世代の薄型平面ディスプレイとして現在盛んに研究されており、既に携帯電話のディスプレイやテレビ等への実用化も始まっている。しかし、有機EL素子をさらに広く普及させるために、素子の低駆動電圧化や外部量子効率改善等の要求に応える材料(キャリア輸送材、発光材料等)の開発が行われている。
【0003】
有機EL素子の一般的な発光メカニズムは、両電極から電子及び正孔が注入されると、それらが対電極に向かい、発光層で再結合して励起子を生成し、その励起子の励起状態が基底状態に戻るときに発光が生じるものである。この励起状態には、電子スピンの向きが反平行である一重項励起状態と、電子スピンの向きが平行となる三重項励起状態とがあるが、現在普及している有機EL素子は、一重項励起状態のみが関与する蛍光発光が主流となっている。しかし、単純な量子力学的推論から、電子と正孔の再結合により生成する一重項励起状態と三重項励起状態の生成比率は1:3であるため、蛍光を利用した有機EL素子の場合には内部量子効率の最大値は25%となる。つまり、励起状態の75%は発光に使用されないことになる。また、有機EL素子外部への光取り出し効率は、高々20%程度であるため、蛍光を利用した有機EL素子においては、その外部量子効率は25%×20%となり、最大5%程度と見積もられる。
【0004】
このため、外部量子効率をさらに向上させるためには、励起状態のうちの75%を占める三重項励起状態からの発光、すなわち燐光も利用する必要がある。この利用が可能となれば、内部量子効率が最大100%となり、外部量子効率を最大20%程度まで向上させることができる。このような背景から、近年では燐光材料を用いた有機EL素子の開発が活発化している。
【0005】
燐光発光材料を用いた有機EL素子では、蛍光発光材料を用いた有機EL素子に比べて、三重項準位(T1)が高いキャリア輸送材料を組み合わせることが好ましい。例えば、正孔輸送材料として良く知られている4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)の三重項準位は2.3eV程度であるが、α−NPDと燐光発光材料を組み合わせた有機EL素子の場合、発光層に三重項励起エネルギーを十分に閉じ込められず、燐光発光有機EL素子で期待される高い外部量子効率が得られないことが知られている(例えば、非特許文献1参照)。このため、より高い三重項準位を有するキャリア輸送材が望まれている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】J.Appl.Phys.,2004年,第95巻,7798頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記の背景技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来材料以上に高い三重項準位を有するキャリア輸送材料、さらに詳しくは、従来材料以上に高い三重項準位を有する正孔注入材料、正孔輸送材料及び発光材料に適した新規なアリールアミン化合物、その製造方法、及びその用途を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決する為に鋭意検討した結果、下記一般式(1)で表されるアリールアミン化合物が、従来周知の正孔輸送材料に比べて高い三重項準位を有し、且つ正孔輸送材料の性能として優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
【化1】
【0010】
(式中、環A、環B及び環Cは、各々独立して、(i)メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族オキシ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる置換基を1種以上有してもよい炭素数6〜20の芳香環、又は(ii)メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族オキシ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる置換基を1種以上有してもよい炭素数3〜20のヘテロ芳香環を表す。R、R、R、及びRは、各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基、又は環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族オキシ基を表す。Ar及びArは、各々独立して、(iii)メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族オキシ基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基を2個有するアミノ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる置換基を1種以上有してもよい、炭素数6〜20のアリール基、又は(iv)メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族オキシ基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基を2個有するアミノ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる置換基を1種以上有してもよい炭素数3〜20のヘテロアリール基を表す。Mは、各々独立して、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族オキシ基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基を2個有するアミノ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる置換基を1種以上有してもよい、環構成原子としてヘテロ原子を有してもよい炭素数3〜18の2価芳香族基を表す。なお、nは1〜3の整数を表し、mは0〜2の整数を表し、pは0〜2の整数を表し、且つn+m+p=3である。)
即ち本発明は、上記一般式(1)に示すとおりのアリールアミン化合物、その製造方法、及びその用途に関するものである。
【0011】
一般式(1)で表されるアリールアミン化合物については、高い三重項準位を有するという点において、環A、環B及び環Cは、各々独立して、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族オキシ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる置換基を1種以上有してもよいベンゼン環であることが好ましく、各々独立して、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基、及びフェノキシ基からなる群より選ばれる置換基を1種以上有してもよいベンゼン環であることがさらに好ましい。
【0012】
一般式(1)で表されるアリールアミン化合物については、高い三重項準位を有するという点において、R、R、R、及びRは、各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、シアノ基、又は環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基であることが好ましい。
【0013】
一般式(1)で表されるアリールアミン化合物については、高い三重項準位を有するという点において、Ar及びArは、各々独立して、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族オキシ基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基を2個有するアミノ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる置換基を1種以上有してもよいフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、ベンゾフルオレニル基、カルバゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、トリアゾリル基、チエニル基、又はベンゾチエニル基であることが好ましく、各々独立して、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族オキシ基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基を2個有するアミノ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる置換基を1種以上有してもよいフェニル基であることがさらに好ましい。
【0014】
一般式(1)で表されるアリールアミン化合物については、高い三重項準位を有するという点において、Mは、各々独立して、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、シアノ基、フェニル基、フェノキシ基、ジフェニルアミノ基、及びジトリルアミノ基からなる群より選ばれる置換基を1種以上有してもよい炭素数6〜18のアリーレン基であることが好ましく、各々独立して、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ジフェニルアミノ基、及びジトリルアミノ基からなる群より選ばれる置換基を1種以上有してもよいフェニレン基であることがさらに好ましい。
【0015】
一般式(1)で表されるアリールアミン化合物については、昇華精製、蒸着操作が比較的低温で可能という点で、nは1又は2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明のアリールアミン化合物を用いた場合、従来公知の正孔輸送材料を用いた場合に比べて、外部量子効率が非常に高い燐光発光性有機EL素子を提供することが可能となる。
【0017】
また、本発明のアリールアミン化合物を用いた有機EL素子は、従来周知の材料を用いた有機EL素子に比べて、駆動電圧が低いため、素子デバイスの駆動時間の延長や、バッテリー容量の低減化に極めて有効である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0019】
一般式(1)で表されるアリールアミン化合物において、環A、環B及び環Cは、各々独立して、(i)メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族オキシ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる置換基を1種以上有してもよい炭素数6〜20の芳香環、又は(ii)メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族オキシ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる置換基を1種以上有してもよい炭素数3〜20のヘテロ芳香環を表す。
【0020】
環A、環B及び環Cにおいて、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルキル基としては、以下に限定されるものではないが、具体的には、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、プロピン基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ステアリル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、1,3−シクロヘキサジエニル基、2−シクロペンテン−1−イル基等を例示することができる。
【0021】
環A、環B及び環Cにおいて、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基としては、以下に限定されるものではないが、具体的には、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ステアリルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等を例示することができる。
【0022】
環A、環B及び環Cにおいて、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基としては、特に限定するものではないが、フェニル基、4−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、2−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、3−エチルフェニル基、2−エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、イソブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、シクロペンチルフェニル基、シクロヘキシルフェニル基、フルオロフェニル基ジメチルフェニル基、ジメチルフェニル基、ジメチルフェニル基、1−ビフェニリル基、4−ビフェニリル基、1−ターフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−フェナントリル基、9,9−ジアルキル−フルオレン−2−イル基、9,9−ジ−トリフルオロメチル−フルオレン−2−イル基、ビフェニレニル基、ナフチル基、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、フルオランテニル基、ピレニル基、クリセニル基、ペリレニル基、又はピセニル基等の炭素数6〜20のアリール基、若しくはキノリル基、ピリジル基、フリル基、チエニル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンズイミダゾリル基、カルバゾリル基、ベンゾカルバゾリル基等の炭素数3〜20のヘテロアリール基を挙げることができる。
【0023】
環A、環B及び環Cにおいて、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族オキシ基としては、以下に限定されるものではないが、具体的には、フェノキシ基、o−トリロキシ基、m−トリロキシ基、p−トリロキシ基、4−ビフェニルオキシ基、3−ビフェニルオキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、p−tert−ブチルフェノキシ基、3−フルオロフェノキシ基、4−フルオロフェノキシ基、ナフチルオキシ基等の炭素数6〜20のアリールオキシ基、若しくはカルバゾリルオキシ基、チアゾリルオキシ基等の炭素数3〜20のヘテロアリールオキシ基を例示することができる。
【0024】
環A、環B及び環Cにおいて、ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。
【0025】
環A、環B及び環Cにおいて、炭素数6〜20の芳香環としては、特に限定されるものではないが、具体的には、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、トリフェニレン環等を例示することができる。
【0026】
環A、環B及び環Cにおいて、炭素数3〜20のヘテロ芳香環としては、特に限定されるものではないが、具体的には、フルオレン環、ピリジン環、ピラジン環、キノリン環、ピロール環、インドール環、カルバゾール環、フラン環、ベンゾフラン環、ジベンゾフラン環等を例示することができる。
【0027】
環A、環B及び環Cにおける置換基の数としては、環A、環B又は環Cそれぞれに結合することができる最大数以下であれば特に制限はない。具体的には、例えば、A環及びB環がそれぞれベンゼン環の場合、置換基の最大数はそれぞれ4となる。また、例えば、環Cがベンゼン環の場合、置換基の最大数は3となる。置換基の数については、原料取得の容易性や製造の容易性の点で0個又は1個であることが好ましい。
【0028】
なお、高い三重項準位を有するという点において、環A、環B及び環Cは、各々独立して、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族オキシ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる置換基を1種以上有してもよいベンゼン環であることが好ましく、各々独立して、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基、及びフェノキシ基からなる群より選ばれる置換基を1種以上有してもよいベンゼン環であることがさらに好ましい。
【0029】
一般式(1)で表されるアリールアミン化合物において、R、R、R、及びRは、各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基、又は環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族オキシ基を表す。
【0030】
、R、R、及びRにおける炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルキル基としては、特に限定されるものではないが、具体的には、環A、環B及び環Cにおいて示した炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルキル基と同じ置換基を例示することができる。
【0031】
、R、R、及びRにおける炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基としては、特に限定されるものではないが、具体的には、環A、環B及び環Cにおいて示した炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基と同じ置換基を例示することができる。
【0032】
、R、R、及びRにおける環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基としては、特に限定されるものではないが、具体的には、環A、環B及び環Cにおいて示した環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基と同じ置換基を例示することができる。
【0033】
、R、R、及びRにおける環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族オキシ基としては、特に限定されるものではないが、具体的には、環A、環B及び環Cにおいて示した環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族オキシ基と同じ置換基を例示することができる。
【0034】
なお、高い三重項準位を有するという点において、R、R、R、及びRは、各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、シアノ基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基であることが好ましい。
【0035】
一般式(1)で表されるアリールアミン化合物において、Ar及びArは、各々独立して、(iii)メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族オキシ基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基を2個有するアミノ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる置換基を1種以上有してもよい炭素数6〜20のアリール基、又は(iv)メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族オキシ基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基を2個有するアミノ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる置換基を1種以上有してもよい炭素数3〜20のヘテロアリール基を表す。
【0036】
Ar及びArにおける炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルキル基としては、特に限定されるものではないが、具体的には、環A、環B及び環Cにおいて示した炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルキル基と同じ置換基を例示することができる。
【0037】
Ar及びArにおける炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基としては、特に限定されるものではないが、具体的には、環A、環B及び環Cにおいて示した炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基と同じ置換基を例示することができる。
【0038】
Ar及びArにおける環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基としては、特に限定されるものではないが、具体的には、環A、環B及び環Cにおいて示した環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基と同じ置換基を例示することができる。
【0039】
Ar及びArにおける環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族オキシ基としては、特に限定されるものではないが、具体的には、環A、環B及び環Cにおいて示した環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族オキシ基と同じ置換基を例示することができる。
【0040】
Ar及びArにおける環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基を2個有するアミノ基としては、特に限定するものではないが、例えば、ジフェニルアミノ基、ジ−p−トリルアミノ基、フェニル(4−n−ブチルフェニル)アミノ基、N,N−ビス(4−ビフェニリル)アミノ基、N−(4−ビフェニリル)フェニルアミノ基、フェニル(シアノフェニル)アミノ基、ビスシアノフェニルアミノ基、フェニルフルオレニルアミノ基、フェニルカルバゾリルアミノ基、フェニルチアゾリルアミノ基、ピリジルフェニルアミノ基、ジピリジルアミノ基等を挙げることができる。
【0041】
Ar及びArにおけるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を挙げることができる。
【0042】
Ar及びArにおける炭素数6〜20のアリール基としては、特に限定するものではないが、例えば、フェニル基、4−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、2−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、3−エチルフェニル基、2−エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、イソブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、シクロペンチルフェニル基、シクロヘキシルフェニル基、フルオロフェニル基ジメチルフェニル基、ジメチルフェニル基、ジメチルフェニル基、1−ビフェニリル基、4−ビフェニリル基、1−ターフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−フェナントリル基、9,9−ジアルキル−フルオレン−2−イル基、9,9−ジ−トリフルオロメチル−フルオレン−2−イル基、ビフェニレニル基、ナフチル基、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、フルオランテニル基、ピレニル基、クリセニル基、ペリレニル基、ピセニル基等を挙げることができる。
【0043】
Ar及びArにおける炭素数3〜20のヘテロアリール基としては、特に限定するものではないが、例えば、キノリル基、ピリジル基、フリル基、チエニル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンズイミダゾリル基、カルバゾリル基、ベンゾカルバゾリル基等を挙げることができる。
【0044】
Ar及びArの炭素数6〜20のアリール基又は炭素数3〜20のヘテロアリール基に結合する置換基の数としては、当該アリール基又はヘテロアリール基に結合することができる最大数以下であれば特に制限されないが、原料調達の容易性や、製造の容易性の点から、0個又は1個が好ましい。
【0045】
なお、Ar及びArにおける、(iii)メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族オキシ基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基を2個有するアミノ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる置換基を1種以上有してもよい炭素数6〜20のアリール基としては、フェニル基、4−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、2−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、3−エチルフェニル基、2−エチルフェニル基、4−n−プロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、2−イソプロピルフェニル基、4−n−ブチルフェニル基、4−イソブチルフェニル基、4−sec−ブチルフェニル基、2−sec−ブチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、3−tert−ブチルフェニル基、2−tert−ブチルフェニル基、4−n−ペンチルフェニル基、4−イソペンチルフェニル基、4−ネオペンチルフェニル基、2−ネオペンチルフェニル基、4−tert−ペンチルフェニル基、4−n−ヘキシルフェニル基、4−(2’−エチルブチル)フェニル基、4−n−ヘプチルフェニル基、4−n−オクチルフェニル基、4−(2’−エチルヘキシル)フェニル基、4−tert−オクチルフェニル基、4−n−デシルフェニル基、3−シクロヘキシルフェニル基、2−シクロヘキシルフェニル基、4−n−ドデシルフェニル基、4−n−テトラデシルフェニル基、4−シクロペンチルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、4−(4’−tert−ブチルシクロヘキシル)フェニル基、4−トリチルフェニル基、3−トリチルフェニル基、4−(4’−メチルフェニル)フェニル基、4−(3’−メチルフェニル)フェニル基、4−(4’−メトキシフェニル)フェニル基、4−(4’−n−ブトキシフェニル)フェニル基、2−(2’−メトキシフェニル)フェニル基、3−メチル−4−フェニルフェニル基、3−メトキシ−4−フェニルフェニル基、3,5−ジフェニルフェニル基、4−トリフェニルシリルフェニル基、3−トリフェニルシリルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、2,4−ジエチルフェニル基、2,6−ジエチルフェニル基、2,5−ジイソプロピルフェニル基、2,6−ジイソブチルフェニル基、2,4−ジ−tert−ブチル−2−メチルフェニル基、2,5−ジ−tert−ブチルフェニル基、5−tert−ブチル−2−メチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、4,6−ジ−tert−ブチル−2−メチルフェニル基、4−tert−ブチル−2,6−ジメチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、2−メトキシフェニル基、4−エトキシフェニル基、3−エトキシフェニル基、2−エトキシフェニル基、4−n−プロポキシフェニル基、3−n−プロポキシフェニル基、4−イソプロポキシフェニル基、2−イソプロポキシフェニル基、4−n−ブトキシフェニル基、4−イソブトキシフェニル基、2−sec−ブトキシフェニル基、4−n−ペンチルオキシフェニル基、4−イソペンチルオキシフェニル基、2−イソペンチルオキシフェニル基、4−ネオペンチルオキシフェニル基、2−ネオペンチルオキシフェニル基、4−n−ヘキシルオキシフェニル基、2−(2−エチルブチル)オキシフェニル基、4−n−オクチルオキシフェニル基、4−n−デシルオキシフェニル基、4−n−ドデシルオキシフェニル基、4−n−テトラデシルオキシフェニル基、4−シクロヘキシルオキシフェニル基、2−シクロヘキシルオキシフェニル基、4−フェノキシフェニル基、2−メチル−4−メトキシフェニル基、2−メチル−5−メトキシフェニル基、3−メチル−4−メトキシフェニル基、3−メチル−5−メトキシフェニル基、3−エチル−5−メトキシフェニル基、2−メトキシ−4−メチルフェニル基、3−メトキシ−4−メチルフェニル基、2,4−ジメトキシフェニル基、2,5−ジメトキシフェニル基、2,6−ジメトキシフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、3,5−ジエトキシフェニル基、3,5−ジ−n−ブトキシフェニル基、2−メトキシ−4−エトキシフェニル基、2−メトキシ−6−エトキシフェニル基、3,4,5−トリメトキシフェニル基、4−(9−カルバゾリル)フェニル基、3−(9−カルバゾリル)フェニル基、4−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、2−フルオロフェニル基、2,3−ジフルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,5−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、4−(1−ナフチル)フェニル基、4−(2−ナフチル)フェニル基、3−(1−ナフチル)フェニル基、3−(2−ナフチル)フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、6−メチル−2−ナフチル基、6−n−ブチル−2−ナフチル基、4−フェニル−1−ナフチル基、6−フェニル−2−ナフチル基、2−メトキシ−1−ナフチル基、4−メトキシ−1−ナフチル基、5−エトキシ−1−ナフチル基、6−エトキシ−2−ナフチル基、7−メトキシ−2−ナフチル基、6−n−ブトキシ−2−ナフチル基、6−n−ヘキシルオキシ−2−ナフチル基、4−n−ブトキシ−1−ナフチル基、7−n−ブトキシ−2−ナフチル基、2−アントリル基、9−アントリル基、10−フェニル−9−アントリル基、10−(3,5−ジフェニルフェニル)−9−アントリル基、2−フルオレニル基、9−メチル−2−フルオレニル基、9−エチル−2−フルオレニル基、9−n−ヘキシル−2−フルオレニル基、9−フェニル−2−フルオレニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、9,9−ジエチル−2−フルオレニル基、9,9−ジ−n−プロピル−2−フルオレニル基、9,9−ジ−n−オクチル−2−フルオレニル基、9,9−ジフェニル−2−フルオレニル基、9,9’−スピロビフルオレニル基、9−フェナントリル基、2−フェナントリル基、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、フルオランテニル基、ピレニル基、クリセニル基、ペリレニル基、ピセニル基、4−ビフェニリル基、3−ビフェニリル基、2−ビフェニリル基、p−ターフェニル基、m−ターフェニル基、o−ターフェニル基、4−キノリル基、4−ピリジル基、4−(2−メチル)ピリジル基、4−(2−エチル)ピリジル基、4−(2−フェニル)ピリジル基、3−ピリジル基、2−ピリジル基、3−フリル基、2−フリル基、3−チエニル基、2−チエニル基、2−オキサゾリル基、2−チアゾリル基、2−ベンゾオキサゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、2−ベンゾイミダゾリル基等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
【0046】
Ar及びArにおける、(iv)メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族オキシ基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基を2個有するアミノ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる置換基を1種以上有してもよい炭素数3〜20のヘテロアリール基としては、フェニルオキシ基、4−メチルフェニルオキシ基、3−メチルフェニルオキシ基、2−メチルフェニルオキシ基、4−エチルフェニルオキシ基、3−エチルフェニルオキシ基、2−エチルフェニルオキシ基、4−n−プロピルフェニルオキシ基、4−イソプロピルフェニルオキシ基、2−イソプロピルフェニルオキシ基、4−n−ブチルフェニルオキシ基、4−イソブチルフェニルオキシ基、4−sec−ブチルフェニルオキシ基、2−sec−ブチルフェニルオキシ基、4−tert−ブチルフェニルオキシ基、3−tert−ブチルフェニルオキシ基、2−tert−ブチルフェニルオキシ基、4−n−ペンチルフェニルオキシ基、4−イソペンチルフェニルオキシ基、4−ネオペンチルフェニルオキシ基、2−ネオペンチルフェニルオキシ基、4−tert−ペンチルフェニルオキシ基、4−n−ヘキシルフェニルオキシ基、4−(2’−エチルブチル)フェニルオキシ基、4−n−ヘプチルフェニルオキシ基、4−n−オクチルフェニルオキシ基、4−(2’−エチルヘキシル)フェニルオキシ基、4−tert−オクチルフェニルオキシ基、4−n−デシルフェニルオキシ基、3−シクロヘキシルフェニルオキシ基、2−シクロヘキシルフェニルオキシ基、4−n−ドデシルフェニルオキシ基、4−n−テトラデシルフェニルオキシ基、4−シクロペンチルフェニルオキシ基、4−シクロヘキシルフェニルオキシ基、4−(4’−tert−ブチルシクロヘキシル)フェニルオキシ基、4−トリチルフェニルオキシ基、3−トリチルフェニルオキシ基、4−(4’−メチルフェニル)フェニルオキシ基、4−(3’−メチルフェニル)フェニルオキシ基、4−(4’−メトキシフェニル)フェニルオキシ基、4−(4’−n−ブトキシフェニル)フェニルオキシ基、2−(2’−メトキシフェニル)フェニルオキシ基、3−メチル−4−フェニルフェニルオキシ基、3−メトキシ−4−フェニルフェニルオキシ基、3,5−ジフェニルフェニルオキシ基、4−トリフェニルシリルフェニルオキシ基、3−トリフェニルシリルフェニルオキシ基、2,4−ジメチルフェニルオキシ基、2,5−ジメチルフェニルオキシ基、3,4−ジメチルフェニルオキシ基、3,5−ジメチルフェニルオキシ基、2,6−ジメチルフェニルオキシ基、2,4−ジエチルフェニルオキシ基、2,6−ジエチルフェニルオキシ基、2,5−ジイソプロピルフェニルオキシ基、2,6−ジイソブチルフェニルオキシ基、2,4−ジ−tert−ブチル−2−メチルフェニルオキシ基、2,5−ジ−tert−ブチルフェニルオキシ基、5−tert−ブチル−2−メチルフェニルオキシ基、2,3,5−トリメチルフェニルオキシ基、2,3,6−トリメチルフェニルオキシ基、3,4,5−トリメチルフェニルオキシ基、4,6−ジ−tert−ブチル−2−メチルフェニルオキシ基、4−tert−ブチル−2,6−ジメチルフェニルオキシ基、4−メトキシフェニルオキシ基、3−メトキシフェニルオキシ基、2−メトキシフェニルオキシ基、4−エトキシフェニルオキシ基、3−エトキシフェニルオキシ基、2−エトキシフェニルオキシ基、4−n−プロポキシフェニルオキシ基、3−n−プロポキシフェニルオキシ基、4−イソプロポキシフェニルオキシ基、2−イソプロポキシフェニルオキシ基、4−n−ブトキシフェニルオキシ基、4−イソブトキシフェニルオキシ基、2−sec−ブトキシフェニルオキシ基、4−n−ペンチルオキシフェニルオキシ基、4−イソペンチルオキシフェニルオキシ基、2−イソペンチルオキシフェニルオキシ基、4−ネオペンチルオキシフェニルオキシ基、2−ネオペンチルオキシフェニルオキシ基、4−n−ヘキシルオキシフェニルオキシ基、2−(2−エチルブチル)オキシフェニルオキシ基、4−n−オクチルオキシフェニルオキシ基、4−n−デシルオキシフェニルオキシ基、4−n−ドデシルオキシフェニルオキシ基、4−n−テトラデシルオキシフェニルオキシ基、4−シクロヘキシルオキシフェニルオキシ基、2−シクロヘキシルオキシフェニルオキシ基、4−フェノキシフェニルオキシ基、2−メチル−4−メトキシフェニルオキシ基、2−メチル−5−メトキシフェニルオキシ基、3−メチル−4−メトキシフェニルオキシ基、3−メチル−5−メトキシフェニルオキシ基、3−エチル−5−メトキシフェニルオキシ基、2−メトキシ−4−メチルフェニルオキシ基、3−メトキシ−4−メチルフェニルオキシ基、2,4−ジメトキシフェニルオキシ基、2,5−ジメトキシフェニルオキシ基、2,6−ジメトキシフェニルオキシ基、3,4−ジメトキシフェニルオキシ基、3,5−ジメトキシフェニルオキシ基、3,5−ジエトキシフェニルオキシ基、3,5−ジ−n−ブトキシフェニルオキシ基、2−メトキシ−4−エトキシフェニルオキシ基、2−メトキシ−6−エトキシフェニルオキシ基、3,4,5−トリメトキシフェニルオキシ基、4−(9−カルバゾリル)フェニルオキシ基、3−(9−カルバゾリル)フェニルオキシ基、4−フルオロフェニルオキシ基、3−フルオロフェニルオキシ基、2−フルオロフェニルオキシ基、2,3−ジフルオロフェニルオキシ基、2,4−ジフルオロフェニルオキシ基、2,5−ジフルオロフェニルオキシ基、2,6−ジフルオロフェニルオキシ基、3,4−ジフルオロフェニルオキシ基、3,5−ジフルオロフェニルオキシ基、4−(1−ナフチル)フェニルオキシ基、4−(2−ナフチル)フェニルオキシ基、3−(1−ナフチル)フェニルオキシ基、3−(2−ナフチル)フェニルオキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メチル−1−ナフチルオキシ基、6−メチル−2−ナフチルオキシ基、6−n−ブチル−2−ナフチルオキシ基、4−フェニル−1−ナフチルオキシ基、6−フェニル−2−ナフチルオキシ基、2−メトキシ−1−ナフチルオキシ基、4−メトキシ−1−ナフチルオキシ基、5−エトキシ−1−ナフチルオキシ基、6−エトキシ−2−ナフチルオキシ基、7−メトキシ−2−ナフチルオキシ基、6−n−ブトキシ−2−ナフチルオキシ基、6−n−ヘキシルオキシ−2−ナフチルオキシ基、4−n−ブトキシ−1−ナフチルオキシ基、7−n−ブトキシ−2−ナフチルオキシ基、2−アントリルオキシ基、9−アントリルオキシ基、10−フェニル−9−アントリルオキシ基、10−(3,5−ジフェニルフェニル)−9−アントリルオキシ基、2−フルオレニルオキシ基、9−メチル−2−フルオレニルオキシ基、9−エチル−2−フルオレニルオキシ基、9−n−ヘキシル−2−フルオレニルオキシ基、9−フェニル−2−フルオレニルオキシ基、9,9−ジメチル−2−フルオレニルオキシ基、9,9−ジエチル−2−フルオレニルオキシ基、9,9−ジ−n−プロピル−2−フルオレニルオキシ基、9,9−ジ−n−オクチル−2−フルオレニルオキシ基、9,9−ジフェニル−2−フルオレニルオキシ基、9,9’−スピロビフルオレニルオキシ基、9−フェナントリルオキシ基、2−フェナントリルオキシ基、ベンゾフルオレニルオキシ基、ジベンゾフルオレニルオキシ基、フルオランテニルオキシ基、ピレニルオキシ基、クリセニルオキシ基、ペリレニルオキシ基、ピセニルオキシ基、4−ビフェニリルオキシ基、3−ビフェニリルオキシ基、2−ビフェニリルオキシ基、p−ターフェニルオキシ基、m−ターフェニルオキシ基、o−ターフェニルオキシ基、4−キノリルオキシ基、4−ピリジルオキシ基、4−(2−メチル)ピリジルオキシ基、4−(2−エチル)ピリジルオキシ基、4−(2−フェニル)ピリジルオキシ基、3−ピリジルオキシ基、2−ピリジルオキシ基、3−フリルオキシ基、2−フリルオキシ基、3−チエニルオキシ基、2−チエニルオキシ基、2−オキサゾリルオキシ基、2−チアゾリルオキシ基、2−ベンゾオキサゾリルオキシ基、2−ベンゾチアゾリルオキシ基、2−ベンゾイミダゾリルオキシ基等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
【0047】
なお、高い三重項準位を有するという点において、Ar及びArは、各々独立して、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族オキシ基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基を2個有するアミノ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる置換基を1種以上有してもよいフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、ベンゾフルオレニル基、カルバゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、トリアゾリル基、チエニル基、ベンゾチエニル基であることが好ましく、各々独立して、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族オキシ基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基を2個有するアミノ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる置換基を1種以上有してもよいフェニル基、であることがさらに好ましい。
【0048】
一般式(1)で表されるアリールアミン化合物において、Mは、各々独立して、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族オキシ基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基を2個有するアミノ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる置換基を1種以上有してもよい、環構成原子としてヘテロ原子を有してもよい炭素数3〜18の2価芳香族基を表す。
【0049】
Mにおける炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルキル基としては、特に限定されるものではないが、具体的には、環A、環B及び環Cにおいて示した炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルキル基と同じ置換基を例示することができる。
【0050】
Mにおける炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基としては、特に限定されるものではないが、具体的には、環A、環B及び環Cにおいて示した炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基と同じ置換基を例示することができる。
【0051】
Mにおける環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基としては、特に限定されるものではないが、具体的には、環A、環B及び環Cにおいて示した環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基と同じ置換基を例示することができる。
【0052】
Mにおける環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族オキシ基としては、特に限定されるものではないが、具体的には、環A、環B及び環Cにおいて示した環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族オキシ基と同じ置換基を例示することができる。
【0053】
Mにおける環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基を2個有するアミノ基としては、特に限定するものではないが、具体的には、Ar及びArにおける環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基を2個有するアミノ基と同じ置換基を例示することができる。
【0054】
Mにおける環構成原子としてヘテロ原子を有してもよい炭素数3〜18の2価芳香族基としては、特に限定するものではないが、例えば、1,4−フェニレンジイル基、1,3−フェニレンジイル基、1,2−フェニレンジイル基、2−メチル−1,4−フェニレンジイル基、ナフチレンジイル基、2,7−フルオレンジイル基、カルバゾールジイル基、ターフェニルジイル基等の炭素数6〜18のアリーレン基、若しくはキノンジイル基、ピリジンジイル基、フランジイル基、フチオフェンジイル基、オキサゾールジイル基、チアゾールジイル基、ベンゾチアゾールジイル基、ベンズイミダゾールジイル基、カルバゾールジイル基、ベンゾカルバゾールジイル基等の炭素数3〜18のヘテロアリーレン基を例示することができる。
【0055】
Mの環構成原子としてヘテロ原子を有してもよい炭素数3〜18の2価芳香族基に結合する置換基の数としては、当該アリーレン基に結合することができる最大数以下であれば特に制限されないが、原料調達の容易性や、製造の容易性の点から、0個又は1個が好ましい。
【0056】
なお、高い三重項準位を有するという点において、Mは、各々独立して、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、シアノ基、フェニル基、フェノキシ基、ジフェニルアミノ基、及びジトリルアミノ基からなる群より選ばれる置換基を1種以上有してもよい炭素数6〜18のアリーレン基であることが好ましく、各々独立してメチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ジフェニルアミノ基、及びジトリルアミノ基からなる群より選ばれる置換基を1種以上有してもよいフェニレン基であることがさらに好ましい。
【0057】
上記の炭素数6〜18のアリーレン基としては、特に限定するものではないが、例えば、フェニレン基、ビフェニリレン基、フルオレンジイル基、ベンゾフルオレンジイル基、ターフェニリレンジイル基等を挙げることができる。
【0058】
一般式(1)で表されるアリールアミン化合物において、nは1〜3の整数、mは0〜2の整数、pは0〜2の整数を表し、且つn+m+p=3である。
【0059】
なお、昇華精製、蒸着操作が比較的低温で可能という点で、nは1又は2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。
【0060】
以下に、一般式(1)で表されるアリールアミン化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0061】
【化2】
【0062】
【化3】
【0063】
【化4】
【0064】
【化5】
【0065】
【化6】
【0066】
【化7】
【0067】
一般式(1)で表されるアリールアミン化合物においては、例えば、環A、環B、及び環Cが、各々独立して、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、シアノ基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族基、環構成原子としてヘテロ原子を有してよい炭素数3〜20の芳香族オキシ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる置換基を1種以上有してもよいベンゼン環のものが、合成が比較的容易の為、好ましい。
【0068】
上記の場合、環Cにおける置換基の個数としては、0〜3個のいずれかとなり、環A及び環Bにおける置換基の個数としては、各々独立して、0〜4個のいずれかとなる。
【0069】
一般式(1)で表されるアリールアミン化合物は、遷移金属触媒及び塩基の存在下、一般式(2)で表されるハロゲン化トリキナセン化合物と下記一般式(3)、(4)又は(5)で表されるボロン酸化合物とを、カップリング反応させることで製造することが出来る。
【0070】
【化8】
【0071】
(式中、環A、環B、環C、R、R、R、R、Ar、及Arは、それぞれ、各々独立して、上記一般式(1)で示したものと同じ定義の基を表す。m、n、及びpは、上記一般式(1)と同じ定義である。Xは塩素、臭素、又は要素原子を表す。)
一般式(1)で表されるアリールアミン化合物の製造において、一般式(3)で示されるボロン酸化合物の使用量は、一般式(2)で示されるハロゲン化トリキナセン化合物1モルに対し1.0〜3.5倍モルが好ましく、一般式(4)で示されるボロン酸化合物の使用量は、一般式(2)で示されるハロゲン化トリキナセン化合物1モルに対し0.2〜0.5倍モルが好ましく、一般式(5)で示されるボロン酸化合物の使用量は、一般式(2)で示されるハロゲン化トリキナセン化合物1モルに対し0.05〜0.3倍モルが、反応収率及び生産効率の点で好ましい。
【0072】
遷移金属触媒としては、パラジウム触媒又はニッケル触媒が挙げられる。
【0073】
パラジウム触媒としては、特に限定するものではないが、例えば、パラジウム化合物に配位子を共存させたものが好ましく用いられる。パラジウム化合物と配位子は事前に共存させたものを反応に供してもよいし、反応液中に別々に加えて反応に供することもできる。
【0074】
パラジウム化合物としては、特に限定するものではないが、例えば、塩化パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、パラジウムアセチルアセトナート(II)、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロテトラアンミンパラジウム(II)、ジクロロ(シクロオクタ−1,5−ジエン)パラジウム(II)、パラジウムトリフルオロアセテート(II)等の2価パラジウム化合物、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウムクロロホルム錯体(0)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等の0価パラジウム化合物が挙げられる。
【0075】
配位子としては、特に限定するものではないが、好適な例として、ホスフィン化合物を挙げることができ、これらの具体例としては、トリフェニルホスフィン、トリ(o―トリル)ホスフィン、トリ(メシチル)ホスフィン等の単座アリールホスフィン、トリ(シクロヘキシル)ホスフィン、トリ(イソプロピル)ホスフィン、トリ(tert−ブチル)ホスフィン等の単座アルキルホスフィン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン等のニ座ホスフィン等が挙げられる。
【0076】
また、パラジウム触媒としては、上記以外にも、ポリマー化合物にパラジウム触媒を担持、又は固定化したポリマー固定型パラジウム触媒、炭素にパラジウム触媒を担持した炭素固定化パラジウム触媒等を用いることもできる。
【0077】
ニッケル触媒としては、特に限定するものではないが、例えば、ニッケル化合物に上述の配位子を共存させたものが好ましく用いられる。ニッケル化合物と配位子は事前に共存させたものを反応に供してもよいし、別々に反応に供することもできる。
【0078】
ニッケル化合物とは、ニッケル元素を有効成分とする化合物を示し、例えば、0価から2価のニッケル化合物を示す。特に限定するものではないが、例えば、フッ化ニッケル(II)、塩化ニッケル(II)、臭化ニッケル(II)、ヨウ化ニッケル(II)等のハロゲン化ニッケル、ニッケル(0)粉末、硫酸ニッケル(II)、硝酸ニッケル(II)、過塩素酸ニッケル(II)等の無機塩、蟻酸ニッケル(II)、シュウ酸ニッケル(II)、酢酸ニッケル(II)、安息香酸ニッケル(II)、ニッケルアセチルアセトナート(II)等の有機酸ニッケル塩が挙げられる。
【0079】
遷移金属触媒の使用量は、特に限定するものではないが、一般式(2)で表されるハロゲン化トリキナセン化合物1モルに対し、通常、遷移金属触媒を構成する遷移金属化合物が0.000001〜20モル%の範囲となるように選択される。遷移金属触媒使用量が上記範囲内であれば、一般式(1)で表されるアリールアミン化合物を高い選択率で合成できる。また、生産効率を向上させる観点から、遷移金属触媒使用量は、一般式(2)で表されるハロゲン化トリキナセン化合物1モルに対し、遷移金属触媒を構成する遷移金属化合物が0.01〜5モル%の範囲であることが好ましい。
【0080】
塩基としては、無機塩基及び/又は有機塩基から選択することができ、特に限定するものではないが、より好ましくは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、燐酸カリウム、燐酸ナトリウム等、ナトリウム−メトキシド、ナトリウム−エトキシド、カリウム−メトキシド、カリウム−エトキシド、リチウム−tert−ブトキシド、ナトリウム−tert−ブトキシド、カリウム−tert−ブトキシド等のようなアルカリ金属アルコキシド、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジンであって、更に好ましくは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、燐酸カリウム、燐酸ナトリウムである。
【0081】
塩基の使用量は、一般式(2)で表されるハロゲン化トリキナセン化合物1モルに対し、1〜10倍モルであることが好ましい。1〜10倍モルの範囲では、一般式(1)で表されるアリールアミン化合物を選択率よく得られ、且つ反応終了後の後処理操作が容易である。
【0082】
当該カップリング反応は、通常、溶媒存在下で行われる。
【0083】
溶媒としては、本反応を著しく阻害しないものであればよく、特に限定するものではないが、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系有機溶媒や、ジエチルエーテル、テトラハイドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキサンなどのエーテル系有機溶媒、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホトリアミド等を挙げることができる。これらのうちより好ましくは、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラハイドロフラン、ジオキサン等のエーテル系有機溶媒である。
【0084】
カップリング反応は、常圧下、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うこともできるし、また加圧下で行うこともできる。反応は、通常、20〜300℃の範囲で行われるが、より好ましくは30〜150℃の範囲である。
【0085】
当該カップリング反応にかかる反応時間は、一般式(3)、(4)又は(5)で表されるボロン酸化合物の量、一般式(2)で表されるハロゲン化トリキナセン化合物の量、遷移金属触媒の量、塩基の量、及び反応温度等によって一定しないが、通常、数分〜72時間の範囲から選択することができる。
【0086】
以上の操作により、一般式(1)で表されるアリールアミン化合物を製造することができるが、当該化合物は、一般公知の方法によって、分離、乾燥、精製等を行うことができる。
【0087】
一般式(1)で表されるアリールアミン化合物は、有機EL素子の発光層、正孔輸送層及び/又は正孔注入層として使用することができる。一般式(1)で表されるアリールアミン化合物は正孔輸送能に優れることから、正孔輸送層及び/又は正孔注入層として使用した際に、有機EL素子の低駆動電圧化、高い外部量子効率及び耐久性の向上を実現することができる。
【0088】
一般式(1)で表されるアリールアミン化合物を有機EL素子の発光層、正孔注入層及び/又は正孔輸送層として使用する際の発光層には、従来から使用されている公知の発光材料を使用することができる。発光層は1種類の発光材料のみで形成されていても、ホスト材料中に1種類以上の発光材料がドープされていてもよい。また、近年、高い外部量子効率を実現できる理由から、発光材料として燐光材料を使用した有機EL素子が注目されているが、前記一般式(1)で表されるアリールアミン化合物は燐光発光材料とも組み合わせて使用することができる。
【0089】
一般式(1)で表されるアリールアミン化合物からなる正孔注入層及び/又は正孔輸送層を形成する際には、必要に応じて2種類以上の材料を含有又は積層させてもよく、例えば、酸化モリブデン等の酸化物、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、ヘキサシアノヘキサアザトリフェニレン等の公知の電子受容性材料を含有又は積層させてもよい。
【0090】
一般式(1)で表されるアリールアミン化合物を有機EL素子の発光層として使用する場合には、アリールアミン化合物を単独で使用、公知の発光ホスト材料にドープして使用、又は公知の蛍光発光若しくは燐光発光材料をドープして使用することができる。
【0091】
一般式(1)で表されるアリールアミン化合物を含有する正孔注入層、正孔輸送層又は発光層を形成する方法としては、例えば真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法等の公知の方法を適用することができる。
【実施例】
【0092】
以下、本発明を実施例に基づき、さらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
【0093】
なお、本実施例で用いた分析機器及び測定方法を以下に列記する。
【0094】
[材料純度測定(HPLC分析)]
測定装置:東ソー製 マルチステーションLC−8020
測定条件:カラム Inertsil ODS−3V(4.6mmΦ×250mm)
検出器 UV検出(波長 254nm)
溶離液 メタノール/テトラヒドロフラン=9/1(v/v比)
[燐光スペクトル測定]
測定装置:日本分光株式会社製 分光蛍光光度計FP−6500
[NMR測定]
測定装置:バリアン社製 Gemini200
[質量分析]
質量分析装置:日立製作所製 M−80B
測定方法:FD−MS分析
[有機EL素子の電流−電圧特性及び発光特性]
測定装置:ケースレーインスツルメンツ社製 ソースメータ(2400)
TOPCON社製 輝度計LUMINANCE METER(BM−9)
[ガラス転移温度測定]
測定装置:マックサイエンス社製 DSC−3100
測定条件:窒素気流下、昇温速度10℃/分で測定
【0095】
【化9】
【0096】
合成例1 化合物(B−1)の合成
窒素雰囲気下、攪拌装置を備えた1L3つ口フラスコ中に、トルエン 500mL、水素化ナトリウム(60% in Oil) 20.0g(500mmol)を加え、室温で5分間攪拌した。この溶液に、室温でフタル酸ジメチル 100g(515mmol)と3−ペンタノン 41.0g(476mmol)の混合液を30分かけて滴下した。滴下終了後、さらに90℃で17時間攪拌した。反応終了後、反応液を室温まで冷却した後、析出した紅色粉末をろ取して乾燥した。得られた紅色粉末を純水 700mLに溶解させ、この溶液に濃塩酸を滴下して酸性溶液とした。析出した黄色粉末をろ取し、純水 500mLで洗浄した。更に真空乾燥を行い、黄色粉末 45.1gを得た(収率 59%、純度 95.0%)。H−NMR及び13C−NMR分析から、得られた黄色粉末は目的の化合物(B−1)であることを確認した。
【0097】
H−NMR(CDCl)δ(ppm)=1.40〜1.44(d 3H), 3.01〜3.12(q 1H), 7.83〜8.01(m 4H)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm)=10.59, 48.82, 123.22, 135.62, 141.88, 200.96
合成例2 化合物(B−2)の合成
窒素雰囲気下、攪拌装置及びディーンシュターク管を備えた1L3つ口フラスコ中に、化合物(B−1) 15.3g(95.6mmol)、4−クロロベンズヒドロール 20.9g(95.6mmol)、トルエン 350mL、p−トルエンスルホン酸1水和物 0.920g(4.84mmol)を加え、150℃で3時間加熱した。尚、反応途中で生成する水は系外に除去した。反応終了後、トルエンを留去し、反応器を室温まで冷却した。残渣にジクロロメタン 350mLを添加し、純水 500mLで洗浄した後、得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。その後、減圧濃縮して溶媒を留去し、得られた濃縮残渣にメタノール 20mLを添加した。析出した白色粉末をろ取し、メタノール 10mLで洗浄した後、ヘキサン 10mLで洗浄した。更に真空乾燥を行い、白色粉末 27.0gを得た(収率 78%、純度 99.8%)。H−NMR及び13C−NMR分析から、得られた白色粉末は目的の化合物(B−2)であることを確認した。
【0098】
H−NMR(CDCl)δ(ppm)=1.29(s 3H), 4.57(s 1H), 7.07〜7.18(m 5H), 7.37〜7.47(m 4H), 7.70〜7.83(m 4H)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm)=20.24, 57.05, 58.13, 123.17, 126.94, 128.37, 128.42, 129.47, 131.13, 132.71, 135.69, 138.28, 139.23, 141.19, 141.26, 203.78, 203.89
合成例3 化合物(B−3)の合成
窒素雰囲気下、攪拌装置を備えた1L3つ口フラスコ中に、化合物(B−2) 37.0g(103mmol)、テトラヒドロフラン 300mL及びメタノール 300mLを加え、室温で10分間攪拌した。この溶液に、水素化ホウ素ナトリウム 11.6g(307mmol)を1時間かけてゆっくりと加え、さらに室温で10時間攪拌した。反応終了後、反応容器を0℃に冷却し、5%塩酸水溶液 200mLをゆっくりと滴下した。その後、ジクロロメタン 650mL、純水 500mLを加えて洗浄分液した。次いで飽和食塩水で洗浄分液し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。その後、減圧濃縮して溶媒を留去し、白色粉末 37.5gを得た(収率 99%、純度 99.1%)。13C−NMR分析から、化合物(B−2)のカルボニル基ピークが消失していることを確認した。得られた白色粉末は、これ以上の精製をせずに次工程に用いた。
【0099】
合成例4 化合物(B−4)の合成
窒素雰囲気下、攪拌装置を備えた1L3つ口フラスコ中に、硫酸 55g(561mmol)、酢酸 500mLを加え、室温で5分間攪拌した。この溶液に、化合物(B−3) 51.5g(141mmol)を酢酸 20mLに溶解させた溶液を、1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに80℃で20時間攪拌した。反応終了後、氷水 1500mLへ反応液(80℃)を注ぎ、室温で1時間攪拌した。析出した灰色粉末をろ取し、純水 1000mLで洗浄した。得られた灰色粉末をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、更にトルエンで再結晶することにより、白色結晶 6.2gを得た(収率 13%、純度 99.8%)。H−NMR及び13C−NMR分析から、得られた白色結晶は目的の化合物(B−4)であることを確認した。
【0100】
H−NMR(CDCl)δ(ppm)=1.67(s 3H), 4.42(s 2H), 4.46(s 1H), 7.12〜7.46(m 11H)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm)=27.62, 61.28, 63.00, 63.38, 63.62, 124.27, 124.36, 124.49, 124.52, 125.46, 127.60, 127.66, 127.75, 133.09, 143.92, 144.59, 144.90, 145.27, 145.40, 147.27
合成例5 化合物(E−1)の合成
窒素雰囲気下、攪拌装置を備えた200mL3つ口フラスコ中に、ブロモベンゼン 7.71g(49.1mmol)、ジ−p−トリルアミン 9.78g(49.6mmol)、tert−ブトキシナトリウム 5.70g(59.3mmol)、酢酸パラジウム 110mg(0.490mmol)、トリ−tert−ブチルホスフィン 396mg(1.96mmol)、o−キシレン 110mLを加え、120℃で20時間攪拌した。反応終了後、純水 150mLを添加して洗浄分液した。さらに、純水 150mL、次いで飽和食塩水で洗浄分液した後、得られた有機層を減圧濃縮して溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、白色結晶 12.9gを得た(収率 96%、純度 99.1%)。H−NMR及び13C−NMR分析から、得られた白色結晶は目的の化合物(E−1)であることを確認した。
【0101】
H−NMR(CDCl)δ(ppm)=2.29(s 6H), 6.91〜7.22(m 13H)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm)=20.95, 121.72, 122.97, 124.47, 129.03, 129.83, 132.27, 145.45, 148.26
合成例6 化合物(E−2)の合成
窒素雰囲気下、攪拌装置を備えた1L3つ口フラスコ中に、化合物(E−1) 13.0g(47.6mmol)、ジクロロメタン 150mLを加え、室温で5分間攪拌した。この溶液に、N−ブロモスクシンイミド 8.89g(49.9mmol)をジクロロメタン 200mLに溶解させた溶液を、1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに室温で5時間攪拌した。反応終了後、反応液に純水 純水 150mLを添加して洗浄分液した。さらに、純水 150mL、次いで飽和食塩水で洗浄分液した後、得られた有機層を減圧濃縮して溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、更にメタノールで再結晶することにより、白色結晶 12.9gを得た(収率 77%、純度 99.9%)。H−NMR及び13C−NMR分析から、得られた白色結晶は目的の化合物(E−2)であることを確認した。
【0102】
H−NMR(CDCl)δ(ppm)=2.30(s 6H), 6.85〜7.28(m 12H)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm)=20.93, 113.61, 123.88, 124.65, 129.96, 131.89, 132.87, 144.89, 147.38
合成例7 化合物(E−3)の合成
窒素雰囲気下、攪拌装置を備えた200mL4つ口フラスコ中に、化合物(E−2) 12.5g(35.5mmol)、テトラヒドロフラン 100mLを加え、反応容器を−78℃に冷却した。この溶液に、n−ブチルリチウム(1.6M ヘキサン溶液 関東化学品) 24.4mL(39.0mmol)を30分かけて滴下した。滴下終了後、さらに−78℃で1時間攪拌した。次に、この反応液にトリイソプロポキシボラン 8.0g(42.5mmol)を30分かけて滴下した。滴下終了後、さらに−78℃で1時間攪拌し、反応器を室温になるまで放置した。反応終了後、反応容器を0℃に冷却し、3.5%塩化水素水溶液 50mLをゆっくりと滴下した。次いで、飽和食塩水で洗浄分液し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。その後、減圧濃縮して溶媒を留去し、析出した粉末をヘキサンで洗浄して白色粉末 6.0gを得た(収率 53%)。純度 99.0%)。H−NMR及び13C−NMR分析から、得られた白色粉末は目的の化合物(E−3)であることを確認した。
【0103】
H−NMR(CDCl)δ(ppm)=2.32(s 6H), 7.00〜7.12(m 10H), 7.95〜7.99(d 2H)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm)=21.04, 119.84, 125.62, 130.04, 133.50, 136.61, 144.61, 151.92
実施例1 化合物(A−6)の合成
10mLのシュレンク管に攪拌子を入れ、窒素置換した後、酢酸パラジウム 14mg(0.062mmol)、トリシクロヘキシルホスフィン 70mg(0.25mmol)、1,4−ジオキサン 1mLを加え、この溶液を窒素下にて20分間60℃で攪拌し、これを触媒溶液とした。窒素雰囲気下、攪拌装置を備えた100mLの4つ口フラスコに、化合物(B−4) 1.00g(3.04mmol)、化合物(E−3) 1.16g(3.66mmol)、20%炭酸ナトリウム水溶液 7.1g(炭酸ナトリウムとして13.4mmol)、1,4−ジオキサン 25mLを加えた。室温で、この溶液に先の触媒溶液をシリンジで加え、反応溶液を100℃に加熱した。24時間後、加熱を終了し、室温まで放冷した。この反応溶液を飽和食塩水で洗浄分液し、得られた有機層を減圧濃縮して溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、白色粉末 1.20gを得た(収率 71%、純度 99.7%)。H−NMR及び13C−NMR分析から、得られた白色粉末は目的の化合物(A−6)であることを確認した。DSC分析から、化合物(A−6)のガラス転移温度は119℃であった。
【0104】
H−NMR(CDCl)δ(ppm)=1.69(s 3H), 2.31(s 6H), 4.48(s 2H), 4.50(s 1H), 6.99〜7.577(m 23H)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm)=20.95, 27.71, 61.11, 63.34, 63.60, 63.66, 122.58, 122.67, 124.41, 124.51, 124.67, 126.37, 127.47, 127.69, 129.87, 132.51, 134.54, 140.60, 143.95, 145.23, 145.34, 145.38, 145.45, 145.99, 147.36
【0105】
【化10】
【0106】
合成例8 化合物(C−1)の合成
窒素雰囲気下、攪拌装置を備えた1L3つ口フラスコ中に、ジエチルエーテル 400mL、o−クロロベンズアルデヒド 40.1g(0.286mol)を加え、反応容器を0℃に冷却した。この溶液に、フェニルマグネシウムブロミド溶液(アルドリッチ社製 3.0Mジエチルエーテル溶液)100mL(0.300mol)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに室温で3時間攪拌した。反応終了後、反応容器を0℃に冷却し、3.5%塩化水素水溶液を250mL滴下した。その後、飽和食塩水で洗浄分液し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。その後、減圧濃縮して溶媒を留去し、更に真空乾燥を行い、淡黄色オイル 63gを得た(収率 99%、純度 99.0%)。H−NMR及び13C−NMR分析から、得られた淡黄色オイルは目的の化合物(C−1)であることを確認した。
【0107】
H−NMR(CDCl)δ(ppm)=2.55(s 1H), 6.18(s 1H), 7.14〜7.60(m 9H)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm)=72.70, 126.90, 127.07, 127.73, 128.02, 128.44, 128.72, 129.52, 132.47, 140.97, 142.21
合成例9 化合物(C−2)の合成
窒素雰囲気下、攪拌装置及びディーンシュターク管を備えた500mL3つ口フラスコに、化合物(C−1) 38.4g(0.175mol)、化合物(B−1) 28.1g(0.175mol)、トルエン 210mL、p−トルエンスルホン酸1水和物 1.67g(8.80mmol)を加え、150℃で3時間加熱した。尚、反応途中で生成する水は系外に除去した。反応終了後、トルエンを留去し、反応器を室温まで冷却した。残渣にジクロロメタン 300mLを添加し、10%炭酸カリウム水溶液 200mLで洗浄した後、更に飽和食塩水で洗浄分液し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。その後、減圧濃縮して溶媒を留去し、更に真空乾燥を行い、黄色オイル 59.0gを得た(収率 94%、純度 96.7%)。H−NMR及び13C−NMR分析から、得られた黄色オイルは目的の化合物(C−2)であることを確認した。
【0108】
H−NMR(CDCl)δ(ppm)=1.34(s 3H), 5.33(s 1H), 6.95〜7.32(m 8H), 7.65〜7.87(m 4H), 8.31〜8.46(dd 1H)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm)=19.91, 52.54, 48.13, 123.10, 123.21, 126.65, 126.87, 128.00, 128.11, 129.58, 129.93, 131.45, 135.00, 135.53, 135.58, 137.31, 138.31, 141.02, 141.50
合成例10 化合物(C−3)の合成
窒素雰囲気下、攪拌装置を備えた1L3つ口フラスコ中に、化合物(C−2) 59.0g(0.164mol)、テトラヒドロフラン 250mL、メタノール 250mLを加え、反応容器を0℃に冷却した。この溶液に、水素化ホウ素ナトリウム 16.1g(0.426mol)を1時間かけてゆっくりと加え、さらに室温で3時間攪拌した。反応終了後、反応容器を0℃に冷却し、5%塩化水素水溶液 250mLをゆっくりと滴下した。その後、ジクロロメタン 350mL、純水 400mLを加えて洗浄分液した。次いで飽和食塩水で洗浄分液し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。その後、減圧濃縮して溶媒を留去し、淡黄色粉末 59.9gを得た(収率 99%)。13C−NMR(CDCl)から、化合物(C−2)のカルボニル基ピークが消失しているのを確認した。得られた淡黄色粉末は、これ以上の精製をせずに次工程に用いた。
【0109】
合成例11 化合物(C−4)の合成
窒素雰囲気下、攪拌装置を備えた2Lセパラブルフラスコ中に、硫酸 68.0g、酢酸 650mLを加え、室温で5分間攪拌した。この溶液に、化合物(C−3) 59.9g(173mmol)を酢酸 350mLに溶解させた溶液を、1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに90℃で8時間攪拌した。反応終了後、反応液を50℃まで冷却した。氷水 2000mLへ反応液(50℃)を注ぎ、室温で1時間攪拌した。析出した灰色粉末をろ取し、これを5%炭酸カリウム水溶液 1000mLで洗浄し、次いで純水 2000mLで洗浄した。得られた灰色粉末をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、更にトルエン/メタノール混合溶媒で再結晶することにより、白色結晶 6.8gを得た(収率 12%、純度 99.8%)。H−NMR及び13C−NMR分析から、得られた白色結晶は目的の化合物(C−4)であることを確認した。
【0110】
H−NMR(CDCl)δ(ppm)=1.65(s 3H), 4.41(s 1H), 4.44(s 1H), 4.74(s 1H), 7.07〜7.48(m 10H), 8.03〜8.07(m 1H)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm)=27.71, 60.69, 63.20, 63.36, 64.19, 113.00, 124.19, 124.43, 126.76, 127.31, 127.51, 127.75, 128.11, 128.97, 130.70, 143.07, 144.04, 144.61, 145.91, 147.93
実施例2 化合物(A−19)の合成
10mLのシュレンク管に攪拌子を入れ、窒素置換した後、酢酸パラジウム 14mg(0.062mmol)、トリシクロヘキシルホスフィン 70mg(0.25mmol)、1,4−ジオキサン 1mLを加え、この溶液を窒素下にて20分間60℃で攪拌し、これを触媒溶液とした。窒素雰囲気下、攪拌装置を備えた100mLの4つ口フラスコに、化合物(C−4) 1.00g(3.04mmol)、化合物(E−3) 1.16g(3.66mmol)、20%炭酸ナトリウム水溶液 7.1g(炭酸ナトリウムとして13.4mmol)、1,4−ジオキサン 25mLを加えた。室温で、この溶液に先の触媒溶液をシリンジで加え、反応溶液を100℃に加熱した。24時間後、加熱を終了し、室温まで放冷した。この反応溶液を飽和食塩水で洗浄分液し、得られた有機層を減圧濃縮して溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、白色粉末 1.11gを得た(収率 65%、純度 99.5%)。H−NMR及び13C−NMR分析から、得られた白色粉末は目的の化合物(A−19)であることを確認した。DSC分析から、化合物(A−19)のガラス転移温度は117℃であった。
【0111】
H−NMR(CDCl)δ(ppm)=1.69(s 3H), 2.31(s 6H), 4.39(s 1H), 4.49(s 1H), 5.07(s 1H), 5.93〜5.97(d 1H), 6.82〜7.50(m 22H)
13C−NMR(CDCl)δ(ppm)=20.99, 28.13, 60.27, 62.89, 63.45, 63.58, 123.28, 123.59, 124.10, 124.32, 124.38, 124.47, 125.73, 126.78, 127.34, 127.45, 127.50, 128.06, 128.68, 129.96, 130.05, 132.45, 135.90, 139.45, 142.62, 145.11, 145.18, 145.40, 145.75, 146.52, 147.52
実施例3 化合物(A−6)の三重項準位の測定
サンプルチューブ内で、化合物(A−6) 1mgと2−メチルテトラヒドロフラン 1mLをよく混合し、均一な溶液を調製した。この溶液をアルゴンガスで10分間バブリングすることによって脱気した後、このサンプルチューブを密栓することにより燐光スペクトル測定用サンプルとした。温度77K(液体窒素冷却下)で燐光スペクトルを測定した。得られた燐光スペクトルから算出された化合物(A−6)の三重項準位は、2.55eVであった。
【0112】
実施例4 化合物(A−19)の三重項準位の測定
実施例3において、化合物(A−6)の代わりに化合物(A−19)を用いた以外は同様の実験操作を行って燐光スペクトルを測定した。得られた燐光スペクトルから算出された化合物(A−19)の三重項準位は、2.66eVであった。
【0113】
実施例5 化合物(A−6)の素子評価
厚さ200nmのITO透明電極を積層したガラス基板を、アセトン及び純水による超音波洗浄、イソプロピルアルコールによる煮沸洗浄した後、乾燥した。さらに、UV/オゾン処理を行い、真空蒸着装置へ設置後、1×10−4Paになるまで真空ポンプにて排気した。まず、ITO透明電極上にα−NPDを蒸着速度0.3nm/秒で蒸着し、20nmの正孔注入層とした。次に、化合物(A−6)を蒸着速度0.3nm/秒で蒸着し、30nmの正孔輸送層とした。次に、燐光ドーパント材料であるトリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(Ir(ppy))とホスト材料である4,4’−ビス(N−カルバゾリル)ビフェニル(CBP)を重量比が1:11.5となるように蒸着速度0.25nm/秒で共蒸着し、20nmの発光層とした。次に、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP)を蒸着速度0.3nm/秒で蒸着し、10nmのエキシトシンブロック層とした。次に、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム錯体を蒸着速度0.3nm/秒で蒸着し、30nmの電子輸送層とした。さらに、電子注入層としてフッ化リチウムを蒸着速度0.01nm/秒で0.5nm蒸着し、最後にアルミニウムを蒸着速度0.25nm/秒で100nm蒸着して陰極を形成した。窒素雰囲気下、封止用のガラス板をUV硬化樹脂で接着し、評価用の有機EL素子とした。このようにして得られた素子に、20mA/cmの電流を印加し、駆動電圧及び外部量子効率を測定した。結果を表1に示す。
【0114】
実施例6 化合物(A−19)の素子評価
実施例32において、化合物(A−6)の代わりに化合物(A−19)を用いた以外は同様の実験操作を行って、有機EL素子を作製した。20mA/cmの電流を印加し、駆動電圧及び外部量子効率を測定した。結果を表1に示す。
【0115】
比較例1 α−NPDの素子評価
実施例32において、化合物(A−2)の代わりにα−NPDを用いた以外は同様の実験操作を行って、有機EL素子を作製した。20mA/cmの電流を印加し、駆動電圧及び外部量子効率を測定した。結果を表1に示す。
【0116】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明のアリールアミン化合物は、有機EL素子の正孔注入材料、正孔輸送材料又は発光層のホスト材料として利用可能であり、従来の材料以上に高い三重項準位を有するため、特に燐光材料を用いた有機EL素子において極めて有用な材料となることが期待される。さらには、有機EL素子又は電子写真感光体の正孔注入材料、正孔輸送材料又は発光材料としてのみでなく、光電変換素子、太陽電池、又はイメージセンサー等の有機光導電材料への分野にも応用可能である。