特許第5888082号(P5888082)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5888082
(24)【登録日】2016年2月26日
(45)【発行日】2016年3月16日
(54)【発明の名称】フィルム
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/08 20060101AFI20160303BHJP
   C08L 23/06 20060101ALI20160303BHJP
   C08L 33/12 20060101ALI20160303BHJP
【FI】
   C08L23/08
   C08L23/06
   C08L33/12
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-93650(P2012-93650)
(22)【出願日】2012年4月17日
(65)【公開番号】特開2013-221084(P2013-221084A)
(43)【公開日】2013年10月28日
【審査請求日】2015年3月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113000
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 亨
(74)【代理人】
【識別番号】100151909
【弁理士】
【氏名又は名称】坂元 徹
(72)【発明者】
【氏名】李 思凡
(72)【発明者】
【氏名】渋田 匠
(72)【発明者】
【氏名】柳瀬 幸一
【審査官】 安田 周史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−226604(JP,A)
【文献】 特開2009−275133(JP,A)
【文献】 特開2010−241857(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 23/08
C08L 23/06
C08L 33/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酢酸ビニル含有量が25〜35質量%のエチレン酢酸ビニル共重合体(A)(ただし、エチレン酢酸ビニル共重合体(A)の質量を100質量%とする)と、
酢酸ビニル含有量が1〜20質量%のエチレン酢酸ビニル共重合体(ただし、エチレン酢酸ビニル共重合体の質量を100質量%とする)と、高圧法低密度ポリエチレンと、エチレン−α−オレフィン共重合体とからなる群より選ばれる少なくとも1つのポリエチレン系樹脂(B)と、
平均粒径が3〜15μmの架橋ポリメタクリル酸メチル粒子(C)のいずれをも含み、
前記エチレン酢酸ビニル共重合体(A)と前記ポリエチレン系樹脂(B)と前記架橋ポリメタクリル酸メチル粒子(C)との合計質量を100質量%とするときに、前記架橋ポリメタクリル酸メチル粒子(C)の含有量が12〜50質量%であり、
下記式(1)で表される平均酢酸ビニル含有量が21〜30質量%であるフィルム。

平均酢酸ビニル含有量(質量%)={X×VA(A)+Y×VA(B)}/(X+Y) (1)
(ここで、X(質量%)は、前記エチレン酢酸ビニル共重合体(A)の含有量であり、Y(質量%)は前記ポリエチレン系樹脂(B)の含有量であり(ただし、前記エチレン酢酸ビニル共重合体(A)と前記ポリエチレン系樹脂(B)と前記架橋ポリメタクリル酸メチル粒子(C)との合計質量を100質量%とする)、
VA(A)(質量%)は、前記エチレン酢酸ビニル共重合体(A)の酢酸ビニル含有量(ただし、前記エチレン酢酸ビニル共重合体(A)の質量を100質量%とする)であり、
VA(B)(質量%)は、前記ポリエチレン系樹脂(B)の酢酸ビニル含有量(ただし、前記ポリエチレン系樹脂(B)の質量を100質量%とする)である。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、環境の温度変化に伴って透明性が可逆的に変化する調光性フィルムが知られている。例えば、特許文献には、100重量部の樹脂に対して0.1〜50重量部の粒子が配合されてなる調光性樹脂フィルムが記載されている。また、特許文献2には、熱可塑性樹脂100重量部に対して、平均粒径3μm以上50μm以下の粒子が50重量部を越えて200重量部以下配合された調光性シートが記載されている。特許文献3には、熱可塑性樹脂100重量部に対して、平均粒径0.1μm〜50μm以下の粒子0.1重量部〜200重量部と、熱線吸収剤0.01〜20重量部とを含有する調光性シートが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−226604号公報
【特許文献2】特開2009−275133号公報
【特許文献3】特開2010−241857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1〜3に記載のフィルムは、屋外で使用するときに曝される温度変化(20〜60℃)において、透明性の変化が十分でなく、前記温度変化に対して、より大きく透明性が変化するフィルムが求められている。そこで、本発明では20℃の時の透明性と60℃の時の透明性の差が大きいフィルムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち本発明は、酢酸ビニル含有量が25〜35質量%のエチレン酢酸ビニル共重合体(A)(ただし、エチレン酢酸ビニル共重合体(A)の質量を100質量%とする)と、
酢酸ビニル含有量が1〜20質量%のエチレン酢酸ビニル共重合体(ただし、エチレン酢酸ビニル共重合体の質量を100質量%とする)と、高圧法低密度ポリエチレンと、エチレン−α−オレフィン共重合体とからなる群より選ばれる少なくとも1つのポリエチレン系樹脂(B)と、
平均粒径が3〜15μmの架橋ポリメタクリル酸メチル粒子(C)のいずれをも含み、
前記エチレン酢酸ビニル共重合体(A)と前記ポリエチレン系樹脂(B)と前記架橋ポリメタクリル酸メチル粒子(C)との合計質量を100質量%とするときに、前記架橋ポリメタクリル酸メチル粒子(C)の含有量が12〜50質量%であり、
下記式(1)で表される平均酢酸ビニル含有量が21〜30質量%であるフィルムに係るものである。

平均酢酸ビニル含有量(質量%)={X×VA(A)+Y×VA(B)}/(X+Y) (1)
(ここで、X(質量%)は、前記エチレン酢酸ビニル共重合体(A)の含有量であり、Y(質量%)は前記ポリエチレン系樹脂(B)の含有量であり(ただし、前記エチレン酢酸ビニル共重合体(A)と前記ポリエチレン系樹脂(B)と前記架橋ポリメタクリル酸メチル粒子(C)との合計質量を100質量%とする)、
VA(A)(質量%)は、前記エチレン酢酸ビニル共重合体(A)の酢酸ビニル含有量(ただし、前記エチレン酢酸ビニル共重合体(A)の質量を100質量%とする)であり、
VA(B)(質量%)は、前記ポリエチレン系樹脂(B)の酢酸ビニル含有量(ただし、前記ポリエチレン系樹脂(B)の質量を100質量%とする)である。)
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、20℃の時の透明性と60℃の時の透明性の差が大きいフィルムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
<エチレン酢酸ビニル共重合体(A)>
本発明に使用されるエチレン酢酸ビニル共重合体(A)は、エチレンに基づく単量体単位と、酢酸ビニルに基づく単量体単位とを有する共重合体であって、
エチレン酢酸ビニル共重合体に含まれる酢酸ビニルに基づく単量体単位の含有量である酢酸ビニル含有量が25〜35質量%のエチレン酢酸ビニル共重合体である。エチレン酢酸ビニル共重合体(A)の酢酸ビニル含有量は、エチレン酢酸ビニル共重合体(A)の質量を100質量%とするときの値である。
なお、酢酸ビニル含有量は、JIS K7192に従い測定される。
【0008】
本発明のエチレン酢酸ビニル共重合体(A)のメルトフローレートは、加工性や流動性の観点から、好ましくは1g/10分以上10g/10分以下である。なお、メルトフローレートは、JIS K7210に従い測定される。
【0009】
本発明のエチレン酢酸ビニル共重合体(A)は、例えば、エチレンと酢酸ビニルを、ラジカル重合開始剤を用いて、ラジカル重合反応させることにより製造することができる。
【0010】
<ポリエチレン系樹脂(B)>
本発明に使用されるポリエチレン系樹脂(B)は、酢酸ビニル含有量が1〜20質量%のエチレン酢酸ビニル共重合体(ただし、エチレン酢酸ビニル共重合体の質量を100質量%とする)と、高圧法低密度ポリエチレンと、エチレン−α−オレフィン共重合体とからなる群より選ばれる少なくとも1つのポリエチレン系樹脂である。
ポリエチレン系樹脂(B)としては、酢酸ビニル含有量が1〜20質量%のエチレン酢酸ビニル共重合体が好ましく、より好ましくは、酢酸ビニル含有量が10〜20質量%のエチレン酢酸ビニル共重合体である。
なお、エチレン酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含有量は、JIS K7192に従い測定される。
【0011】
本発明のポリエチレン系樹脂(B)のメルトフローレートは、加工性や流動性の観点から、好ましくは1g/10分以上10g/10分以下である。なお、メルトフローレートは、JIS K7210に従い測定される。
【0012】
<架橋ポリメタクリル酸メチル粒子(C)>
本発明に使用される架橋ポリメタクリル酸メチル粒子(C)は、平均粒径が3〜15μmの架橋ポリメタクリル酸メチル粒子である。例えば、積水化成品工業株式会社製のテクポリマーSSX(単分散)シリーズSSX−103(平均粒径3μm)、SSX−104(平均粒径4μm)、SSX−105(平均粒径5μm)、SSX−106(平均粒径6μm)、SSX−108(平均粒径8μm)、SSX−110(平均粒径10μm)が挙げられる。
なお、架橋ポリメタクリル酸メチル粒子の平均粒径は、精密粒度分布測定装置(コールター Multisizer)を用いてコールター法により、測定される。
【0013】
架橋ポリメタクリル酸メチル粒子(C)の平均粒径はフィルム中で架橋ポリメタクリル酸メチル粒子の凝集が起こりにくいため、4μm以上であることが好ましく、また、20〜60℃の温度変化に対する透明性変化がより大きくなるため、10μm以下であることが好ましい。より好ましくは、平均粒径が4〜6μmである。
【0014】
本発明のフィルムに含まれる上記架橋ポリメタクリル酸メチル粒子(C)の含有量は、前記エチレン酢酸ビニル共重合体(A)とポリエチレン系樹脂(B)と架橋ポリメタクリル酸メチル粒子(C)との合計質量を100質量%とするときに、12〜50質量%である。架橋ポリメタクリル酸メチル粒子(C)の含有量は、20〜60℃の温度変化に対する透明性変化がより大きくなるため、15質量%以上であることが好ましく、加工性や流動性の観点から、30質量%以下であることが好ましい。
【0015】
<フィルム>
本発明のフィルムは、酢酸ビニル含有量が25〜35質量%のエチレン酢酸ビニル共重合体(A)(ただし、エチレン酢酸ビニル共重合体(A)の質量を100質量%とする)と、
酢酸ビニル含有量が1〜20質量%のエチレン酢酸ビニル共重合体(ただし、エチレン酢酸ビニル共重合体の質量を100質量%とする)と、高圧法低密度ポリエチレンと、エチレン−α−オレフィン共重合体とからなる群より選ばれる少なくとも1つのポリエチレン系樹脂(B)と、
平均粒径が3〜15μmの架橋ポリメタクリル酸メチル粒子(C)のいずれをも含み、
前記エチレン酢酸ビニル共重合体(A)と前記ポリエチレン系樹脂(B)と前記架橋ポリメタクリル酸メチル粒子(C)との合計質量を100質量%とするときに、前記架橋ポリメタクリル酸メチル粒子(C)の含有量が12〜50質量%であり、
下記式(1)で表される平均酢酸ビニル含有量が21〜30質量%であるフィルム。

平均酢酸ビニル含有量(質量%)={X×VA(A)+Y×VA(B)}/(X+Y) (1)
(ここで、X(質量%)は、前記エチレン酢酸ビニル共重合体(A)の含有量であり、Y(質量%)は前記ポリエチレン系樹脂(B)の含有量であり(ただし、前記エチレン酢酸ビニル共重合体(A)と前記ポリエチレン系樹脂(B)と前記架橋ポリメタクリル酸メチル粒子(C)との合計質量を100質量%とする)、
VA(A)(質量%)は、前記エチレン酢酸ビニル共重合体(A)の酢酸ビニル含有量(ただし、前記エチレン酢酸ビニル共重合体(A)の質量を100質量%とする)であり、
VA(B)(質量%)は、前記ポリエチレン系樹脂(B)の酢酸ビニル含有量(ただし、前記ポリエチレン系樹脂(B)の質量を100質量%とする)である。)
前記平均酢酸ビニル含有量が21〜30質量%となるように、エチレン酢酸ビニル共重合体(A)の酢酸ビニル含有量、ポリエチレン系樹脂(B)の酢酸ビニル含有量、フィルムに含まれるエチレン酢酸ビニル共重合体(A)の含有量、およびポリエチレン系樹脂(B)の含有量を調整する。
【0016】
本発明のフィルムは、20〜60℃の温度変化に対して、透明性が可逆的に変化する。具体的には、20〜60℃の範囲で、比較的低温で透明性が最も高くなり、透明性が最高となる温度から、温度上昇することにより、透明性が低下する。
また、本発明のフィルムは、20℃以下で透明性が最も高くなり、透明性が最高となる温度から、温度上昇することにより、透明性が単調低下するものが好ましい。
【0017】
本発明のフィルムの厚みは通常、20〜300μmである。
【0018】
<フィルムの製造方法>
本発明のフィルムは、前記エチレン酢酸ビニル共重合体(A)とポリエチレン系樹脂(B)と架橋ポリメタクリル酸メチル粒子(C)とを溶融混練後、フィルム成形して得られる。前記エチレン酢酸ビニル共重合体(A)とポリエチレン系樹脂(B)と架橋ポリメタクリル酸メチル粒子(C)とを溶融混練する方法としては、例えば、押出機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどを用いて溶融混練する方法が挙げられる。
【0019】
上記(A)と(B)と(C)とを溶融混練するときの混合の順番は任意であり、(A)と(B)と(C)とを同時に溶融混練してもよく、
溶融した(A)に、(C)を加えて溶融混練後、最後に(B)を加えて溶融混練してもよく、
溶融した(B)に、(C)を加えて溶融混練後、最後に(A)を加えて溶融混練してもよく、
溶融した(A)に、(C)とB)とを同時に加えて溶融混練してもよく、
溶融した(B)に、(C)と(A)とを同時に加えて溶融混練してもよく、
(A)と(C)を同時に溶融混練した後に、(B)を加えて溶融混練してもよく、
(B)と(C)を同時に溶融混練した後に、(A)を加えて溶融混練してもよい。
【0020】
フィルム成形の方法としては、例えば、Tダイ成形、プレス成形、延伸成形、インフレーション成形などが挙げられる。
【0021】
上記の溶融混練の際、およびフィルム成形の際に、エチレン酢酸ビニル共重合体(A)とポリエチレン系樹脂(B)を溶融させ、架橋ポリメタクリル酸メチル粒子(C)は粒子の形状でフィルム中に存在させるために、溶融混練温度およびフィルム成形温度は、エチレン酢酸ビニル共重合体(A)とポリエチレン系樹脂(B)の融点より高く、架橋ポリメタクリル酸メチル粒子(C)の分解温度より低い温度が好ましい。溶融混練温度およびフィルム成形温度は120〜200℃が好ましい。
【0022】
<フィルムの用途>
本発明のフィルムは、温度によって、透明性が可逆的に変化する性質を有し、20〜60℃の範囲で、比較的低温の場合に比べて、高温の場合に透明性が低下することから、その用途としては、外部温度の上昇に伴う内部温度の上昇を抑制する効果が求められる分野、例えば、農業用フィルム、自動車や建造物の窓に貼るフィルムなどへの応用が可能である。例えば、低温の冬季には、フィルムの高い透明性を維持し、外部からの光線の透過を多くし、高温の夏季には、フィルムが不透明となり、外部からの光線の透過が少なくなるので、本発明のフィルムを用いた農業用ハウス、自動車や建造物の内部の人間に涼しく感じさせることができる。
【実施例】
【0023】
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明する。
<使用した材料>
EVA−1:酢酸ビニル含有量が15質量%、メルトフローレートが1.5g/10分であるエチレン酢酸ビニル共重合体(エバテートH2020、住友化学株式会社製)
EVA−2:酢酸ビニル含有量が28質量%、メルトフローレートが7g/10分であるエチレン酢酸ビニル共重合体(スミテートKA−30、住友化学株式会社製)
PMMA−1:平均粒径が5μmの架橋ポリメタクリル酸メチル粒子(テクポリマーSSX−105、積水化成品工業株式会社製)
PMMA−2:平均粒径が3μmの架橋ポリメタクリル酸メチル粒子(テクポリマーSSX−103、積水化成品工業株式会社製)
PMMA−3:平均粒径が10μmの架橋ポリメタクリル酸メチル粒子(テクポリマーSSX−110、積水化成品工業株式会社製)
PMMA−4:平均粒径が1.5μmの架橋ポリメタクリル酸メチル粒子(テクポリマーXX−383K、積水化成品工業株式会社製)
PMMA−5:平均粒径が20μmの架橋ポリメタクリル酸メチル粒子(テクポリマーSSX−120、積水化成品工業株式会社製)
なお、上記材料の物性は、それぞれ下記の測定方法により測定した。
(1)エチレン酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含有量
JIS K7192に従い測定した。
(2)エチレン酢酸ビニル共重合体のメルトフローレート
JIS K7210に従い測定した。
(3)架橋ポリメタクリル酸メチル粒子の平均粒径
精密粒度分布測定装置(コールター Multisizer)を用いてコールター法により、測定した。
【0024】
(実施例1)
EVA−1 21質量%と、EVA−2 59質量%と、PMMA−1 20質量%となるよう秤量し、溶融混練機(ラボプラストミル30C−150、株式会社東洋精機製作所製)を用いて、温度120℃、回転数60rpmの条件で5分間混練した。この混練物を、鏡面処理した2枚のアルミニウム板に挟み、圧縮成形プレス機(神藤金属工業所製NF−37)を用いて、温度120℃、圧力100Kgf/cm2で5分間プレス成形し、冷却することによって、厚み100μmのフィルムを得た。式(1)に基づき算出した平均酢酸ビニル含有量は24.6質量%であった。
【0025】
このフィルムのヘーズを、温調ヘーズメーター(村上色彩THM−150FL)を用いて、測定した。具体的には、温調ヘーズメーターの試料室内に上記フィルムを設置し、試料室内の温度を変化させ、20℃と60℃におけるヘーズをそれぞれ測定した。ヘーズはフィルムの透明性を表す指標であり、ヘーズが小さいほど、透明性が高いことを表す。結果を表1に示した。
【0026】
(実施例2)
EVA−1 21質量%と、EVA−2 59質量%と、PMMA−2 20質量%を用いたこと以外は、実施例1と同じ方法により厚みが100μmのフィルムを得た。式(1)に基づき算出した平均酢酸ビニル含有量は24.6質量%であった。このフィルムについて、実施例1と同様にヘーズを測定し、結果を表1に示した。
【0027】
(実施例3)
EVA−1 21質量%と、EVA−2 59質量%と、PMMA−3 20質量%を用いたこと以外は、実施例1と同じ方法により厚みが100μmのフィルムを得た。式(1)に基づき算出した平均酢酸ビニル含有量は24.6質量%であった。このフィルムについて、実施例1と同様にヘーズを測定し、結果を表1に示した。
【0028】
(実施例4)
EVA−1 18質量%と、EVA−2 52質量%と、PMMA−1 30質量%を用いたこと以外は、実施例1と同じ方法により厚みが100μmのフィルムを得た。式(1)に基づき算出した平均酢酸ビニル含有量は24.6質量%であった。このフィルムについて、実施例1と同様にヘーズを測定し、結果を表1に示した。
【0029】
(比較例1)
EVA−1 80質量%と、PMMA−1 20質量%を用いたこと以外は、実施例1と同じ方法により厚みが100μmのフィルムを得た。式(1)に基づき算出した平均酢酸ビニル含有量は15質量%であった。このフィルムについて、実施例1と同様にヘーズを測定し、結果を表1に示した。
【0030】
(比較例2)
EVA−1 21質量%と、EVA−2 59質量%と、PMMA−4 20質量%を用いたこと以外は、実施例1と同じ方法により厚みが100μmのフィルムを得た。式(1)に基づき算出した平均酢酸ビニル含有量は24.6質量%であった。このフィルムについて、実施例1と同様にヘーズを測定し、結果を表1に示した。
【0031】
(比較例3)
EVA−1 21質量%と、EVA−2 59質量%と、PMMA−5 20質量%を用いたこと以外は、実施例1と同じ方法により厚みが100μmのフィルムを得た。式(1)に基づき算出した平均酢酸ビニル含有量は24.6質量%であった。このフィルムについて、実施例1と同様にヘーズを測定し、結果を表1に示した。
【0032】
(比較例4)
EVA−1 24質量%と、EVA−2 66質量%と、PMMA−1 10質量%を用いたこと以外は、実施例1と同じ方法により厚みが100μmのフィルムを得た。式(1)に基づき算出した平均酢酸ビニル含有量は24.6質量%であった。このフィルムについて、実施例1と同様にヘーズを測定し、結果を表1に示した。
【0033】
【表1】
*1:ΔH(%)は、20℃におけるヘーズと、60℃におけるヘーズとの差を表す。
【0034】
本発明の要件を満足するフィルム(実施例1〜4)は、20℃の時の透明性と60℃の時の透明性の差が大きかった。
比較例1のフィルムは、酢酸ビニル含有量が25〜35質量%のエチレン酢酸ビニル共重合体を含まず、20℃の時の透明性と60℃の時の透明性の差が小さかった。
比較例2のフィルムは、架橋ポリメタクリル酸メチル粒子の平均粒径が3μm未満であり、20℃の時の透明性と60℃の時の透明性の差が小さかった。
比較例3のフィルムは、架橋ポリメタクリル酸メチル粒子の平均粒径が15μmより大きく、20℃の時の透明性と60℃の時の透明性の差が小さかった。
比較例4のフィルムは、架橋ポリメタクリル酸メチル粒子の含有量が12質量%未満であり、20℃の時の透明性と60℃の時の透明性の差が小さかった。