特許第5888585号(P5888585)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5888585反射結像光学系、露光装置、およびデバイス製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5888585
(24)【登録日】2016年2月26日
(45)【発行日】2016年3月22日
(54)【発明の名称】反射結像光学系、露光装置、およびデバイス製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20160308BHJP
   G02B 17/08 20060101ALI20160308BHJP
   G02B 13/24 20060101ALI20160308BHJP
   G02B 13/14 20060101ALI20160308BHJP
【FI】
   G03F7/20 503
   G03F7/20 521
   G02B17/08 A
   G02B13/24
   G02B13/14
【請求項の数】34
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2011-195771(P2011-195771)
(22)【出願日】2011年9月8日
(65)【公開番号】特開2012-60128(P2012-60128A)
(43)【公開日】2012年3月22日
【審査請求日】2014年9月8日
(31)【優先権主張番号】61/381,586
(32)【優先日】2010年9月10日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/225,629
(32)【優先日】2011年9月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100095256
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 孝雄
(72)【発明者】
【氏名】川辺 喜雄
【審査官】 植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−107354(JP,A)
【文献】 特表2008−541418(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/111104(WO,A1)
【文献】 特開2004−170869(JP,A)
【文献】 特開2002−116382(JP,A)
【文献】 特表2008−525831(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
G02B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面の像を第2面上に形成する反射結像光学系において、
前記第1面から前記第2面に向かって反射される順に、第1反射鏡と、第2反射鏡と、第3反射鏡と、第4反射鏡と、第5反射鏡と、第6反射鏡と、第7反射鏡と、第8反射鏡とを備え、
前記反射結像光学系の入射瞳は、前記第1面を挟んで前記反射結像光学系の反対側に位置し、
前記入射瞳と前記第1面との間の光軸に沿った距離をPDとし、前記第1面と前記第2面との間の光軸に沿った距離をTTとし、前記第1面に入射する主光線の入射角度(rad)をRとしたとき、
−14.3<(PD/TT)/R<−2.5
の条件を満足し、
前記第3反射鏡乃至前記第5反射鏡の光路中に配置された開口絞りをさらに備える反射結像光学系。
【請求項2】
前記開口絞りは、前記第4反射鏡の反射面の位置または該反射面の近傍の位置に配置される請求項1に記載の反射結像光学系。
【請求項3】
−14.3<(PD/TT)/R<−2.5の前記条件に代えて、
−12.0<(PD/TT)/R<−2.7
の条件を満足する請求項1または2に記載の反射結像光学系。
【請求項4】
−14.3<(PD/TT)/R<−2.5の前記条件に代えて、
−10.0<(PD/TT)/R<−3.0
の条件を満足する請求項1または2に記載の反射結像光学系。
【請求項5】
前記第1反射鏡乃至前記第6反射鏡は、前記第1面上の所定領域と共役な位置を形成し、
前記第7反射鏡および前記第8反射鏡は、前記共役な位置からの光に基づいて前記像を前記第2面上に形成する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の反射結像光学系。
【請求項6】
前記第1反射鏡と前記第6反射鏡との間の光路中には、前記第1面上の前記所定領域と共役な位置は形成されない請求項5に記載の反射結像光学系。
【請求項7】
前記第1反射鏡は凹面状の反射面を有し、前記第2反射鏡は凸面状の反射面を有し、前記第3反射鏡は凹面状の反射面を有する請求項1乃至6のいずれか1項に記載の反射結像光学系。
【請求項8】
前記第1面上の所定領域を照明する照明光学系と共に用いられ、前記第1反射鏡乃至前記第3反射鏡は、前記光軸と前記所定領域の中心とを含む第3面と直交し且つ前記光軸を含む第4面によって分割される前記反射結像光学系の空間のうち、前記所定領域が含まれる空間に配置されている請求項1乃至7のいずれか1項に記載の反射結像光学系。
【請求項9】
前記第1反射鏡乃至前記第3反射鏡は、光軸から前記所定領域が含まれる空間のみに配置されている請求項8に記載の反射結像光学系。
【請求項10】
前記第1反射鏡乃至前記第8反射鏡は、反射面の曲率中心が直線状の光軸上に位置するように設置されている請求項1乃至9のいずれか1項に記載の反射結像光学系。
【請求項11】
前記第1反射鏡乃至前記第8反射鏡は、前記光軸に関して回転対称な面に沿って形成された反射面を有する請求項10に記載の反射結像光学系。
【請求項12】
前記第1面上の所定領域の縮小像を前記第2面上に形成する請求項1乃至11のいずれか1項に記載の反射結像光学系。
【請求項13】
前記反射結像光学系は、前記第2面側にテレセントリックな光学系である請求項1乃至12のいずれか1項に記載の反射結像光学系。
【請求項14】
前記入射瞳は、遮蔽領域を有しない請求項1乃至13のいずれか1項に記載の反射結像光学系。
【請求項15】
第1面上の所定領域を照明する照明光学系と共に用いられ、前記所定領域の像を第2面上に形成する反射結像光学系において、
前記第1面から前記第2面に向かって反射される順に、第1反射鏡と、第2反射鏡と、第3反射鏡と、第4反射鏡と、第5反射鏡と、第6反射鏡と、第7反射鏡と、第8反射鏡とを備え、
前記反射結像光学系の入射瞳は、前記第1面を挟んで前記反射結像光学系の反対側に位置し、
前記第1反射鏡乃至前記第3反射鏡は、光軸と前記所定領域の中心とを含む第3面と直交し且つ前記光軸を含む第4面によって分割される前記反射結像光学系の空間のうち、前記所定領域が含まれる空間に配置され、
前記第3反射鏡乃至前記第5反射鏡の光路中に配置された開口絞りをさらに備える反射結像光学系。
【請求項16】
前記開口絞りは、前記第4反射鏡の反射面の位置または該反射面の近傍の位置に配置される請求項15に記載の反射結像光学系。
【請求項17】
前記第1反射鏡乃至前記第3反射鏡は、光軸から前記所定領域が含まれる空間のみに配置されている請求項15または16に記載の反射結像光学系。
【請求項18】
前記入射瞳と前記第1面との間の光軸に沿った距離をPDとし、前記第1面と前記第2面との間の光軸に沿った距離をTTとし、前記第1面に入射する主光線の入射角度(rad)をRとしたとき、
−14.3<(PD/TT)/R<−2.5
の条件を満足する請求項15乃至17のいずれか1項に記載の反射結像光学系。
【請求項19】
−14.3<(PD/TT)/R<−2.5の前記条件に代えて、
−12.0<(PD/TT)/R<−2.7
の条件を満足する請求項18に記載の反射結像光学系。
【請求項20】
−14.3<(PD/TT)/R<−2.5の前記条件に代えて、
−10.0<(PD/TT)/R<−3.0
の条件を満足する請求項18に記載の反射結像光学系。
【請求項21】
前記第1反射鏡乃至前記第6反射鏡は、前記第1面上の前記所定領域と共役な位置を形成し、
前記第7反射鏡および前記第8反射鏡は、前記共役な位置からの光に基づいて前記像を前記第2面上に形成する請求項15乃至20のいずれか1項に記載の反射結像光学系。
【請求項22】
前記第1反射鏡と前記第6反射鏡との間の光路中には、前記第1面上の前記所定領域と共役な位置は形成されない請求項21に記載の反射結像光学系。
【請求項23】
前記第1反射鏡は凹面状の反射面を有し、前記第2反射鏡は凸面状の反射面を有し、前記第3反射鏡は凹面状の反射面を有する請求項15乃至22のいずれか1項に記載の反射結像光学系。
【請求項24】
前記第1反射鏡乃至前記第8反射鏡は、反射面の曲率中心が直線状の光軸上に位置するように設置されている請求項15乃至23のいずれか1項に記載の反射結像光学系。
【請求項25】
前記第1反射鏡乃至前記第8反射鏡は、前記光軸に関して回転対称な面に沿って形成された反射面を有する請求項24に記載の反射結像光学系。
【請求項26】
前記所定領域の縮小像を前記第2面上に形成する請求項15乃至25のいずれか1項に記載の反射結像光学系。
【請求項27】
前記反射結像光学系は、前記第2面側にテレセントリックな光学系である請求項15乃至26のいずれか1項に記載の反射結像光学系。
【請求項28】
前記入射瞳は、遮蔽領域を有しない請求項15乃至27のいずれか1項に記載の反射結像光学系。
【請求項29】
光源からの光により前記第1面に設置された所定のパターンを照明するための照明光学系と、前記所定のパターンを前記第2面に設置された感光性基板に投影するための請求項1乃至28のいずれか1項に記載の反射結像光学系とを備えている露光装置
【請求項30】
前記照明光学系の射出瞳と前記反射結像光学系の入射瞳とが一致している請求項29に記載の露光装置
【請求項31】
前記照明光学系は、複数の第1反射光学要素を有する第1フライアイ光学系と前記複数の第1反射光学要素に対応するように並列配置された複数の第2反射光学要素を有する第2フライアイ光学系とを備え、
前記照明光学系の射出瞳に前記第2フライアイ光学系の反射面が配置されている請求項30に記載の露光装置。
【請求項32】
前記第2フライアイ光学系と前記第1面との間の光路中には、パワーを有する反射鏡が配置されていない請求項31に記載の露光装置。
【請求項33】
前記光源から供給される光は波長が5nm乃至40nmのEUV光であり、
前記反射結像光学系に対して前記所定のパターンおよび前記感光性基板を相対移動させて、前記所定のパターンを前記感光性基板に投影露光する請求項29乃至32のいずれか1項に記載の露光装置。
【請求項34】
請求項29乃至33のいずれか1項に記載の露光装置を用いて、前記所定のパターンを前記感光性基板に露光することと、
前記所定のパターンが転写された前記感光性基板を現像し、前記所定のパターンに対応する形状のマスク層を前記感光性基板の表面に形成することと、
前記マスク層を介して前記感光性基板の表面を加工することと、を含むデバイス製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射結像光学系、露光装置、およびデバイス製造方法に関する。さらに詳細には、本発明は、例えばEUV光を用いてミラープロジェクション方式によりマスク上の回路パターンを感光性基板上に転写する露光装置に好適な反射結像光学系に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体素子などの製造に使用される露光装置として、例えば5〜40nm程度の波長を有するEUV(Extreme UltraViolet:極紫外線)光を用いるEUVL(Extreme UltraViolet Lithography:極紫外リソグラフィ)露光装置が注目されている。露光光としてEUV光を用いる場合、使用可能な透過光学材料および屈折光学材料がないため、反射型のマスクを用いるとともに、投影光学系として反射光学系(反射部材のみにより構成された光学系)を用いることになる。
【0003】
従来、EUV露光装置の投影光学系に適用可能な反射結像光学系として、物体面を挟んで光学系側に入射瞳を有する反射光学系に代えて、物体面を挟んで光学系の反対側に入射瞳を有する反射光学系を使用することが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。以下、本明細書では、「物体面を挟んで光学系側に入射瞳を有する反射結像光学系」を「正瞳タイプの反射結像光学系」と称し、「物体面を挟んで光学系の反対側に入射瞳を有する反射結像光学系」を「逆瞳タイプの反射結像光学系」と称する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,781,671号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された逆瞳タイプの反射結像光学系は、8枚のミラーにより構成される。EUV露光装置に限らず、一般の露光装置において、解像力の向上のために投影光学系の開口数を高めることが求められる。反射結像光学系の開口数の増大を図るには、光学系を構成するミラーの枚数を増やすことによって収差補正のパラメータを増やす必要がある。しかしながら、ミラー枚数の増加は、反射による光損失の増大を招き、ひいては装置のスループットの低下を引き起こしてしまう。
【0006】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであり、例えばEUV光を用いる露光装置に適用可能な反射光学系であって、大きい開口数を有する逆瞳タイプの反射結像光学系を提供することを目的とする。また、収差が良好に補正された逆瞳タイプの反射結像光学系を提供することを目的とする。本発明の逆瞳タイプの反射結像光学系を露光装置の投影光学系に適用することにより、例えば露光光としてEUV光を用いて大きな解像力を確保し、高解像度で投影露光を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の第1形態では、第1面上の所定領域の像を第2面上に形成する反射結像光学系において、
前記第1面から前記第2面に向かって反射される順に、第1反射鏡と、第2反射鏡と、第3反射鏡と、第4反射鏡と、第5反射鏡と、第6反射鏡と、第7反射鏡と、第8反射鏡とを備え、
前記反射結像光学系の入射瞳は、前記第1面を挟んで前記反射結像光学系の反対側に位置し、
前記入射瞳と前記第1面との間の光軸に沿った距離をPDとし、前記第1面と前記第2面との間の光軸に沿った距離をTTとし、前記第1面に入射する主光線の入射角度(rad)をRとしたとき、
−14.3<(PD/TT)/R<−2.5
の条件を満足することを特徴とする反射結像光学系を提供する。
【0008】
本発明の第2形態では、第1面上の所定領域の像を第2面上に形成する反射結像光学系において、
前記第1面から前記第2面に向かって反射される順に、第1反射鏡と、第2反射鏡と、第3反射鏡と、第4反射鏡と、第5反射鏡と、第6反射鏡と、第7反射鏡と、第8反射鏡とを備え、
前記反射結像光学系の入射瞳は、前記第1面を挟んで前記反射結像光学系の反対側に位置し、
前記第1反射鏡乃至前記第3反射鏡は、光軸から前記所定領域側に配置されていることを特徴とする反射結像光学系を提供する。
【0009】
本発明の第3形態では、光源からの光により前記第1面に設置された所定のパターンを照明するための照明光学系と、前記所定のパターンを前記第2面に設置された感光性基板に投影するための第1形態または第2形態の反射結像光学系とを備えていることを特徴とする露光装置を提供する。
【0010】
本発明の第4形態では、第3形態の露光装置を用いて、前記所定のパターンを前記感光性基板に露光することと、
前記所定のパターンが転写された前記感光性基板を現像し、前記所定のパターンに対応する形状のマスク層を前記感光性基板の表面に形成することと、
前記マスク層を介して前記感光性基板の表面を加工することと、を含むことを特徴とするデバイス製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様にしたがう反射結像光学系は、8枚のミラーにより構成された逆瞳タイプの光学系であって、入射瞳と第1面との間の光軸に沿った距離PD、第1面と第2面との間の光軸に沿った距離TT、および第1面に入射する主光線の入射角度Rが、所要の条件を満足している。その結果、本発明では、大きい開口数を有する光学系を実現することができる。また、収差が良好に補正された光学系を実現することができる。
【0012】
本発明の別の態様にしたがう反射結像光学系は、8枚のミラーにより構成された逆瞳タイプの光学系であって、第1反射鏡乃至第3反射鏡が光軸から所定領域側に配置されている。その結果、収差を補正することができる。また、照明領域と光軸との距離を比較的大きく確保することができ、ひいては所要の大きさの入射瞳距離PDを確保することができる。
【0013】
本発明の反射結像光学系を露光装置に適用した場合、露光光として例えば5nm乃至40nmの波長を有するEUV光を使用することができる。この場合、反射結像光学系に対して転写すべきマスクのパターンおよび感光性基板を相対移動させて、マスクのパターンを感光性基板上へ高解像度で投影露光することが可能になる。その結果、大きな解像力を有する走査型の露光装置を用いて、良好な露光条件のもとで、高精度なデバイスを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態にかかる露光装置の構成を概略的に示す図である。
図2】ウェハ上に形成される円弧状の有効結像領域と光軸との位置関係を示す図である。
図3】本実施形態の各実施例にかかる反射結像光学系の基本構成を概略的に示す図である。
図4】第1実施例にかかる反射結像光学系の構成を概略的に示す図である。
図5】第2実施例にかかる反射結像光学系の構成を概略的に示す図である。
図6】第3実施例にかかる反射結像光学系の構成を概略的に示す図である。
図7】マイクロデバイスとしての半導体デバイスを得る際の手法の一例について、そのフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態を、添付図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態にかかる露光装置の構成を概略的に示す図である。また、図2は、ウェハ上に形成される円弧状の有効結像領域と光軸との位置関係を示す図である。図1において、反射結像光学系6の光軸AX方向すなわち感光性基板であるウェハ7の露光面(転写面)の法線方向に沿ってZ軸を、ウェハ7の露光面内において図1の紙面に平行な方向にY軸を、ウェハ7の露光面内において図1の紙面に垂直な方向にX軸をそれぞれ設定している。
【0016】
図1において、露光光を供給するための光源1は、たとえばレーザプラズマX線源を備えている。光源1として、放電プラズマ光源や他のX線源を用いることができる。光源1から射出された光は、必要に応じて配置された波長選択フィルタ(不図示)を介して、照明光学系ILに入射する。波長選択フィルタは、光源1が供給する光から、所定波長(例えば13.5nm)のEUV光だけを選択的に透過させ、他の波長光の透過を遮る特性を有する。波長選択フィルタを経たEUV光は、一対のフライアイ光学系(フライアイミラー)2aおよび2bからなるオプティカルインテグレータへ導かれる。なお、波長選択フィルタに代えて、発生したEUV光を反射または集光するミラーの反射面に、所定波長のEUV光のみを反射する多層膜を形成しても良い。波長選択フィルタが必要ないため、光源1を小型化できる。また、波長選択フィルタにおけるEUV光の光量損失を防止することができる。
【0017】
第1フライアイ光学系2aは並列配置された複数の第1反射光学要素を有し、第2フライアイ光学系2bは第1フライアイ光学系2aの複数の第1反射光学要素に対応するように並列配置された複数の第2反射光学要素を有する。具体的に、第1フライアイ光学系2aは例えば円弧状の外形を有する多数の凹面鏡要素を縦横に且つ稠密に配列することにより構成され、第2フライアイ光学系2bは例えば矩形状の外形を有する多数の凹面鏡要素を縦横に且つ稠密に配列することにより構成されている。フライアイ光学系2aおよび2bの詳細な構成および作用については、たとえば米国特許出願公開第2002/0093636A1号明細書を援用して用いることができる。
【0018】
こうして、第2フライアイ光学系2bの反射面の近傍には、所定の形状を有する実質的な面光源が形成される。この実質的な面光源は、一対のフライアイ光学系2aおよび2bからなる照明光学系ILの射出瞳位置に形成される。照明光学系ILの射出瞳位置(すなわち第2フライアイ光学系2bの反射面の近傍位置)は、逆瞳タイプの反射結像光学系(投影光学系)6の入射瞳の位置と一致している。
【0019】
実質的な面光源からの光、すなわち照明光学系ILから射出された光は、斜入射ミラー3により反射された後、反射型のマスク4にほぼ平行に且つ近接して配置された視野絞り(不図示)の円弧状の開口部(光透過部)を介して、マスク4上に円弧状の照明領域を形成する。このように、光源1および照明光学系IL(2a,2b)は、所定のパターンが設けられたマスク4をケーラー照明するための照明系を構成している。また、第2フライアイ光学系2bとマスク4との間の光路中には、パワーを有する反射鏡が配置されていない。反射鏡のパワーとは、当該反射鏡の焦点距離の逆数である。なお、パワーを有する反射鏡が配置されていても良いことは勿論である。
【0020】
マスク4は、そのパターン面がXY平面に沿って延びるように、Y方向に沿って移動可能なマスクステージ5によって保持されている。マスクステージ5の移動は、図示を省略したレーザー干渉計やエンコーダにより計測される。マスク4上には、例えばY軸に関して対称な円弧状の照明領域が形成される。照明されたマスク4からの光は、反射結像光学系6を介して、感光性基板であるウェハ7上にマスク4のパターン像を形成する。
【0021】
すなわち、ウェハ7上には、図2に示すように、Y軸に関して対称な円弧状の有効結像領域(静止露光領域)ERが形成される。図2を参照すると、光軸AXを中心とした半径Y0を有する円形状の領域(イメージサークル)IF内において、このイメージサークルIFに接するようにX方向の長さがLXでY方向の長さがLYの円弧状の有効結像領域ERが形成される。円弧状の有効結像領域ERは光軸AXを中心とする輪帯状の領域の一部であり、長さLYは円弧状の有効結像領域ERの中心と光軸とを結ぶ方向に沿った有効結像領域ERの幅寸法である。
【0022】
ウェハ7は、その露光面がXY平面に沿って延びるように、X方向およびY方向に沿って二次元的に移動可能なウェハステージ8によって保持されている。ウェハステージ8の移動は、マスクステージ5と同様に、図示を省略したレーザー干渉計やエンコーダにより計測される。こうして、マスクステージ5およびウェハステージ8をY方向に沿って移動させながら、すなわち反射結像光学系6に対してマスク4およびウェハ7をY方向に沿って相対移動させながらスキャン露光(走査露光)を行うことにより、ウェハ7の1つの露光領域にマスク4のパターンが転写される。
【0023】
反射結像光学系6の投影倍率(転写倍率)が1/4である場合、ウェハステージ8の移動速度をマスクステージ5の移動速度の1/4に設定して同期走査を行う。また、ウェハステージ8をX方向およびY方向に沿って二次元的に移動させながら走査露光を繰り返すことにより、ウェハ7の各露光領域にマスク4のパターンが逐次転写される。
【0024】
本実施形態において、各実施例にかかる反射結像光学系6は、図3に示すように、直線状に延びる単一の光軸AXに沿って、マスク4のパターン面(以下、「マスク面」ともいう)と光学的に共役な位置にパターンの中間像を形成する第1反射光学系G1と、マスク4のパターンの最終縮小像(中間像の像)をウェハ7の転写面(以下、「ウェハ面」ともいう)上に形成する第2反射光学系G2とを備えている。すなわち、マスク4のパターン面上の照明領域と光学的に共役な位置が、第1反射光学系G1と第2反射光学系G2との間の光路中に形成される。また、本実施形態において、第1反射鏡と第6反射鏡との間の光路中には、第1面上の所定領域と共役な位置は形成されない。このため、第1反射光学系G1を構成する各反射鏡の反射面に入射する光の入射角度が大きくなることを抑えて、反射面における反射率の低下を抑えることができる。また、収差を良好に補正することができる。
【0025】
例えば、第1反射光学系G1内にもうひとつの中間像の像を有する場合(3回結像光学系と呼んでもよい)、中間像を形成するごとに光軸AXをまたぐ必要があり、これによって各反射面での入射角が大きくなるので反射率が低下してしまう。また、収差が悪くなってしまう。
【0026】
第1反射光学系G1は、光の入射順に(マスク4からウェハ7に向かって反射される順に)、凹面状または凸面状の反射面を有する第1反射鏡M1と、凸面状または凹面状の反射面を有する第2反射鏡M2と、凹面状または凸面状の反射面を有する第3反射鏡M3と、凸面状または凹面状の反射面を有する第4反射鏡M4と、凸面状の反射面を有する第5反射鏡M5と、凹面状の反射面を有する第6反射鏡M6とにより構成されている。第2反射光学系G2は、光の入射順に、凸面状の反射面を有する第7反射鏡M7と、凹面状の反射面を有する第8反射鏡M8とにより構成されている。
【0027】
各実施例において、第4反射鏡M4の反射面の位置またはその近傍の位置に、開口絞りAS(不図示)が設けられている。開口絞りASは、露光光の光束を制限することで、反射結像光学系6の開口数を設定することができる。例えば、開口絞りASは、開口部の大きさを調整可能な可変開口絞りや、大きさや形状等の異なる複数の開口部を備え、所望の開口部に切り替え可能な絞り切替部材により構成される。
【0028】
開口絞りASは、第4反射鏡M4の反射面の位置またはその近傍の位置に設置することで、開口絞りASと第4反射鏡M4への入射光線または開口絞りASと第4反射鏡M4からの射出光線の少なくとも一方の光線分離を容易に行うことができる。また、所要の大きさの入射瞳距離PDを確保するために第1反射鏡M1〜第3反射鏡M3の配置を調整して照明領域と光軸AXとの間の距離を確保しており、この構成を用いることで、第1反射鏡M1〜第3反射鏡M3までの光線分離が容易となる。また、収差を良好に補正できる。さらに、第1反射鏡M1、第2反射鏡M2、第3反射鏡M3、第5反射鏡M5または第6反射鏡M6の反射面のうち少なくとも一つの反射面への入射角度が大きくなることを抑えて、反射面における反射率の低下を抑えることができる。
【0029】
なお、開口絞りASは、第3反射鏡M3の反射面の位置やその近傍の位置、第5反射鏡M5の反射面の位置やその近傍の位置、または、第3反射鏡M3と第5反射鏡M5との間の光路中に、設けても良い。
【0030】
各実施例では、反射結像光学系6の入射瞳は、遮蔽領域を有しない。このため、マスクパターンからの回折光が、遮蔽領域で遮蔽されないので、特定のパターンの結像性能の劣化を抑制することができる。例えば、反射結像光学系6を構成する第1反射鏡M1から第8反射鏡M8は、マスクパターンからの回折光を遮蔽する膜や穴等の遮蔽部がない。
【0031】
各実施例では、マスク4のパターン面(第1面)において光軸AXから−Y方向側に離れた所定領域(照明領域)からの光が、第1反射鏡M1の反射面、第2反射鏡M2の反射面、第3反射鏡M3の反射面、第4反射鏡M4の反射面、第5反射鏡M5の反射面、および第6反射鏡M6の反射面で順次反射された後、マスクパターンの中間像を形成する。第1反射光学系G1を介して形成された中間像からの光は、第7反射鏡M7の反射面および第8反射鏡M8の反射面で順次反射された後、ウェハ7の表面(第2面)において光軸AXから−Y方向側に離れた領域(有効結像領域ER)にマスクパターンの縮小像を形成する。
【0032】
各実施例において、反射結像光学系6を構成する8つの反射鏡M1〜M8は、反射面の曲率中心が直線状の光軸AX上に位置するように設置されている。また、反射鏡M1〜M8は、光軸AXに関して回転対称な面に沿って形成された非球面状の反射面を有する。反射面が非球面である場合、反射面の曲率中心として、近軸曲率中心を用いることができる。回転対称軸と非球面との交点付近では非球面を球面と見なすことができ、この球面における曲率中心を近軸曲率中心(頂点曲率中心)と呼ぶ。
【0033】
各実施例の反射結像光学系6は、ウェハ側(像側)にほぼテレセントリックな光学系である。換言すれば、各実施例において、反射結像光学系6の像面上の各位置に達する主光線は像面に対してほぼ垂直である。この構成により、反射結像光学系6の焦点深度内でウェハに凹凸があっても良好な結像が可能になっている。各実施例にかかる反射結像光学系6は、マスク4を挟んで反射結像光学系6の反対側に所定距離だけ離れた位置に入射瞳を有する逆瞳タイプの反射結像光学系である。
【0034】
本実施形態では、逆瞳タイプの反射結像光学系6の入射瞳とマスク4のパターン面(マスク面:第1面)との間の光軸に沿った距離PD、マスク面とウェハ7の転写面(ウェハ面:第2面)との間の光軸に沿った距離TT、およびマスク面に入射する主光線の入射角度R(rad)が、次の条件式(1)を満足する。入射角度Rは、マスク面で反射された主光線が光軸AXから離れる方向に向かう場合に負の値をとるものとする。
−14.3<(PD/TT)/R<−2.5 (1)
【0035】
条件式(1)を規定する3つのパラメータ、全長TT、入射瞳距離PDおよび入射角度Rは、設計上の観点などから、次の式(1A)、式(1B)および式(1C)に示すような前提的条件をそれぞれ満足する必要がある。したがって、反射結像光学系の全長TTに対する入射瞳距離PDの比PD/TTは、次の条件式(1D)を満足する必要がある。条件式(1)は、条件式(1C)に示す関係と条件式(1D)に示す関係とに基づいて導かれる。
【0036】
1300mm<TT<4000mm (1A)
TT×0.5<PD<TT×1.5 (1B)
−0.180rad<R<−0.105rad (1C)
0.5<PD/TT<1.5 (1D)
【0037】
条件式(1C)について、マスク面への主光線の入射角度Rが−0.105radよりも大きくなって0に近づくと、すなわち入射角度Rの絶対値が0.105radよりも小さくなると、マスク面への入射光束とマスク面からの反射光束との干渉を回避することが困難になる。一方、入射角度Rが−0.180radよりも小さくなると、すなわち入射角度Rの絶対値が0.180radよりも大きくなると、マスクパターンを形成する段差の影の影響が大きくなるだけでなく、マスク面での反射率も低下する。
【0038】
条件式(1D)について、PD/TTが0.5よりも小さくなると、第1フライアイ光学系2aと第2フライアイ光学系2bとの間隔が狭くなり、フライアイ光学系2a,2bヘの光線の入射角が大きくなり過ぎる。その結果、フライアイ光学系2a,2bでの反射率が低下し、ひいては装置のスループットが低下する。PD/TTが1.5よりも大きくなると、第2フライアイ光学系2bがウェハステージ8よりも下方に位置し、第2フライアイ光学系2bから斜入射ミラー3へ向かう光束がウェハステージ8と干渉する。
【0039】
本実施形態では、8枚のミラーにより構成された逆瞳タイプの光学系において、入射瞳距離PD、光学系の全長TT、およびマスク面に入射する主光線の入射角度Rが、条件式(1)を満足することにより、大きい開口数を有する光学系を実現することができる。また、収差が良好に補正された光学系を実現することができる。なお、本実施形態の効果をさらに良好に発揮するために、条件式(1)の上限値を−2.7に設定し、条件式(1)の下限値を−12.0に設定することができる。また、本実施形態の効果をさらに良好に発揮するために、条件式(1)の上限値を−3.0に設定し、条件式(1)の下限値を−10.0に設定することができる。
【0040】
本実施形態の第1実施例および第2実施例において、第1反射鏡M1は凹面状の反射面を有し、第2反射鏡M2は凸面状の反射面を有し、第3反射鏡M3は凹面状の反射面を有する。この構成により、第2反射鏡M2の径方向(光軸AXを中心とする円の径方向)の小型化を図ることができ、ひいては反射結像光学系6の径方向の小型化を図ることができる。
【0041】
各実施例では、上述したように、反射鏡M1〜M3の反射面の有効領域が、光軸AXと交差することなく、光軸AXからマスク4の照明領域側のみに配置されている。この構成により、3つの反射鏡M1〜M3により、収差を補正することができる。また、照明領域と光軸AXとの距離を比較的大きく確保することができる。さらには、所要の大きさの入射瞳距離PDを確保することができる。なお、各実施例の構成に限定されることなく、反射鏡M1〜M3の反射面の有効領域の一部が光軸AXと交差していても、その大部分を光軸AXからマスク4の照明領域側に配置することにより同様の効果が得られる。像面(ウェハ面)の結像領域と物体面(マスク面)の照明領域とは、光学的に共役な関係を有する。
【0042】
また、第1反射鏡M1、第2反射鏡M2および第3反射鏡M3が光軸AXからマスク4の照明領域側のみに配置されているとは、反射結像光学系6の光軸AXを含みマスク4の照明領域の中心を通るメリジオナル面を設定したときに、当該メリジオナル面と直交し且つ光軸AXを含む平面によって2分割される反射結像光学系6の空間のうち、照明領域が含まれる空間のみに第1反射鏡M1、第2反射鏡M2および第3反射鏡M3が配置されると定義することもできる。
【0043】
また、第1反射鏡M1、第2反射鏡M2および第3反射鏡M3が光軸AXからマスク4の照明領域側に配置されているとは、反射結像光学系6の光軸AXを含みマスク4の照明領域の中心を通るメリジオナル面を設定したときに、当該メリジオナル面と直交し且つ光軸AXを含む平面によって2分割される反射結像光学系6の空間のうち、照明領域が含まれる空間に、第1反射鏡M1、第2反射鏡M2および第3反射鏡M3の反射面の有効領域の50%以上の領域が含まれるように、第1反射鏡M1、第2反射鏡M2および第3反射鏡M3が配置されると定義することもできる。なお、反射面の有効領域は、物体面から発生した光線が各反射面上で囲む領域のことである。主光線は有効領域内に含まれる。
【0044】
本実施形態の各実施例において、非球面は、光軸に垂直な方向の高さをyとし、非球面の頂点における接平面から高さyにおける非球面上の位置までの光軸に沿った距離(サグ量)をzとし、頂点曲率半径をrとし、円錐係数をκとし、n次の非球面係数をCnとしたとき、以下の数式(a)で表される。
【0045】
z=(y2/r)/{1+{1−(1+κ)・y2/r21/2
+C4・y4+C6・y6+C8・y8+C10・y10+C12・y12
+C14・y14+C16・y16+C18・y18+C20・y20 (a)
【0046】
[第1実施例]
図4は、本実施形態の第1実施例にかかる反射結像光学系の構成を示す図である。図4を参照すると、第1実施例の反射結像光学系6において、マスク4からの光は、第1反射鏡M1の凹面状の反射面、第2反射鏡M2の凸面状の反射面、第3反射鏡M3の凹面状の反射面、第4反射鏡M4の凸面状の反射面、第5反射鏡M5の凸面状の反射面、および第6反射鏡M6の凹面状の反射面で順次反射された後、マスクパターンの中間像を形成する。第1反射光学系G1を介して形成された中間像からの光は、第7反射鏡M7の凸面状の反射面および第8反射鏡M8の凹面状の反射面で順次反射された後、ウェハ7上にマスクパターンの縮小像(二次像)を形成する。第1実施例では、第4反射鏡M4の反射面の位置に開口絞りAS(不図示)が配置されている。
【0047】
次の表(1)に、第1実施例にかかる反射結像光学系の諸元の値を掲げる。表(1)の主要諸元の欄において、λは露光光の波長を、βは結像倍率の大きさを、NAは像側(ウェハ側)開口数を、Y0はウェハ7上でのイメージサークルIFの半径(最大像高)を、LXは有効結像領域ERのX方向に沿った寸法を、LYは有効結像領域ERのY方向に沿った寸法(円弧状の有効結像領域ERの幅寸法)をそれぞれ表している。
【0048】
また、表(1)の光学部材諸元の欄において、面番号は物体面であるマスク面(マスク4のパターン面)から像面であるウェハ面(ウェハ7の転写面)への光線の進行する方向に沿ったマスク側からの反射面の順序を、rは各反射面の頂点曲率半径(中心曲率半径:mm)を、dは各反射面の軸上間隔すなわち面間隔(mm)をそれぞれ示している。なお、面間隔dは、反射される度にその符号を変えるものとする。そして、光線の入射方向にかかわらずマスク側に向かって凸面の曲率半径を正とし、凹面の曲率半径を負としている。
【0049】
また、表(1)の条件式対応値の欄において、PDは入射瞳とマスク面との間の光軸に沿った距離(入射瞳距離)を、TTはマスク面とウェハ面との間の光軸に沿った距離(全長)を、Rはマスク面に入射する主光線の入射角度(rad)をそれぞれ表している。上述の表記は、以降の表(2)および表(3)においても同様である。
【0050】
表(1)
(主要諸元)
λ=13.5nm
β=1/4
NA=0.45
Y0=73.65mm
LX=26mm
LY=1.3mm

(光学部材諸元)
面番号 r d 光学部材
(マスク面) 584.272
1 -828.091 -192.959 (第1反射鏡M1)
2 -501.139 1018.285 (第2反射鏡M2)
3 -1441.144 -800.212 (第3反射鏡M3)
4 -1671.101 733.703 (第4反射鏡M4)
5 1588.318 -1143.099 (第5反射鏡M5)
6 1889.753 2337.034 (第6反射鏡M6)
7 954.211 -419.868 (第7反射鏡M7)
8 544.453 454.868 (第8反射鏡M8)
(ウェハ面)

(非球面データ)
1面
κ=0
4=−2.431091×10-106=1.392346×10-15
8=−1.362462×10-2010=7.242589×10-26
12=−2.543263×10-3114=4.822795×10-37
16=−3.954462×10-43

2面
κ=0
4=−6.655600×10-10 6=1.002270×10-15
8=−8.218165×10-20 10=1.006737×10-24
12=−1.201155×10-29 14=5.355720×10-35
16=−1.157360×10-40

3面
κ=0
4=1.157478×10-11 6=1.326608×10-17
8=7.664444×10-24 10=4.854130×10-30
12=−7.348875×10-36 14=9.765879×10-41
16=−1.272579×10-46

4面
κ=0
4=1.210470×10-10 6=7.437886×10-16
8=1.173917×10-20 10=−4.480600×10-25
12=4.737793×10-29 14=−2.283679×10-33
16=4.334763×10-38

5面
κ=0
4=−1.448682×10-10 6=−2.497657×10-17
8=−2.263357×10-22 10=−1.712212×10-27
12=1.670290×10-32 14=−1.140102×10-37
16=2.594248×10-43

6面
κ=0
4=6.154905×10-14 6=5.715594×10-19
8=−9.712328×10-25 10=1.544177×10-30
12=−1.417666×10-36 14=7.555248×10-43
16=−1.774454×10-49

7面
κ=0
4=2.315241×10-9 6=2.081549×10-14
8=2.514428×10-19 10=3.819730×10-24
12=−5.824901×10-29 14=1.240286×10-33
16=8.073635×10-39

8面
κ=0
4=4.649045×10-11 6=2.247828×10-16
8=8.934671×10-22 10=3.093404×10-27
12=1.945244×10-32 14=−4.313417×10-38
16=6.674264×10-43

(条件式対応値)
PD=2233.5mm
TT=2572.0mm
R=−0.130
(1)(PD/TT)/R=−6.7
【0051】
第1実施例の反射結像光学系では、円弧状の有効結像領域ER内の各点について波面収差のRMS(root mean square:自乗平均平方根あるいは平方自乗平均)の値を求めたところ、最大値(最悪値)が0.0076λ(λ:光の波長=13.5nm)であった。すなわち、第1実施例では、0.45という比較的大きな像側開口数を確保するとともに、ウェハ7上において諸収差が良好に補正された26mm×1.3mmの円弧状の有効結像領域を確保することができる。また、第1実施例では、各反射鏡とその近傍を通過する光束との間に8mm以上の間隔が確保されている。第1実施例では、他の実施例と比較して明らかなように、収差が極めて良好に補正されている。
【0052】
[第2実施例]
図5は、本実施形態の第2実施例にかかる反射結像光学系の構成を示す図である。図5を参照すると、第2実施例の反射結像光学系6においても、第1実施例の場合と同様に、マスク4からの光は、第1反射鏡M1の凹面状の反射面、第2反射鏡M2の凸面状の反射面、第3反射鏡M3の凹面状の反射面、第4反射鏡M4の凸面状の反射面、第5反射鏡M5の凸面状の反射面、および第6反射鏡M6の凹面状の反射面で順次反射された後、マスクパターンの中間像を形成する。第1反射光学系G1を介して形成された中間像からの光は、第7反射鏡M7の凸面状の反射面および第8反射鏡M8の凹面状の反射面で順次反射された後、ウェハ7上にマスクパターンの縮小像を形成する。第2実施例においても第1実施例と同様に、第4反射鏡M4の反射面の位置に開口絞りAS(不図示)が配置されている。次の表(2)に、第2実施例にかかる反射結像光学系の諸元の値を掲げる。
【0053】
表(2)
(主要諸元)
λ=13.5nm
β=1/4
NA=0.53
Y0=82.65mm
LX=26mm
LY=1.3mm

(光学部材諸元)
面番号 r d 光学部材
(マスク面) 814.452
1 -754.335 -171.003 (第1反射鏡M1)
2 -486.383 975.051 (第2反射鏡M2)
3 -1544.422 -743.308 (第3反射鏡M3)
4 -1811.869 892.169 (第4反射鏡M4)
5 1304.791 -1252.560 (第5反射鏡M5)
6 2135.095 2943.433 (第6反射鏡M6)
7 958.987 -386.813 (第7反射鏡M7)
8 505.414 421.813 (第8反射鏡M8)
(ウェハ面)

(非球面データ)
1面
κ=0
4=−1.932878×10-10 6=1.752289×10-15
8=−1.245161×10-20 10=5.310231×10-26
12=−1.439135×10-31 14=2.194557×10-37
16=−1.522198×10-43

2面
κ=0
4=−3.850141×10-10 6=6.274626×10-15
8=−1.534567×10-19 10=1.932602×10-24
12=−1.581223×10-29 14=6.834677×10-35
16=−1.361578×10-40

3面
κ=0
4=1.945003×10-11 6=2.235580×10-17
8=2.024299×10-23 10=3.934234×10-29
12=−1.291057×10-34 14=7.789247×10-40
16=−1.060118×10-45

4面
κ=0
4=4.112389×10-11 6=6.751536×10-16
8=7.838654×10-21 10=−3.039061×10-25
12=1.746938×10-29 14=−5.832663×10-34
16=7.331182×10-39

5面
κ=0
4=−1.658991×10-10 6=4.001351×10-17
8=−1.049177×10-22 10=5.596673×10-29
12=−8.777689×10-35 14=−5.122710×10-41
16=−2.088172×10-46

6面
κ=0
4=−4.894897×10-13 6=−7.593369×10-20
8=−1.032293×10-26 10=−2.796932×10-33
12=1.037345×10-39 14=−5.674058×10-46
16=1.120935×10-52

7面
κ=0
4=2.989361×10-9 6=3.033907×10-14
8=3.106843×10-19 10=2.687628×10-24
12=1.141158×10-28 14=−7.696587×10-33
16=2.009758×10-37

8面
κ=0
4=7.175855×10-11 6=3.700717×10-16
8=1.736489×10-21 10=5.249308×10-27
12=7.536687×10-32 14=−3.517773×10-37
16=2.988664×10-42

(条件式対応値)
PD=1910.8mm
TT=3493.2mm
R=−0.170
(1)(PD/TT)/R=−3.2
【0054】
第2実施例の反射結像光学系では、波面収差のRMSの最大値(最悪値)が0.0200λ(λ:光の波長=13.5nm)であった。すなわち、第2実施例では、0.53という比較的大きな像側開口数を確保するとともに、ウェハ上において諸収差が良好に補正された26mm×1.3mmの円弧状の有効結像領域を確保することができる。また、第2実施例では、第1実施例と同様に、各反射鏡とその近傍を通過する光束との間に8mm以上の間隔が確保されている。第2実施例では、他の実施例と比較して明らかなように、全長TTが比較的大きいが、極めて大きな像側開口数が確保されている。
【0055】
[第3実施例]
図6は、本実施形態の第3実施例にかかる反射結像光学系の構成を示す図である。図6を参照すると、第3実施例の反射結像光学系6では、マスク4からの光が、第1反射鏡M1の凸面状の反射面、第2反射鏡M2の凹面状の反射面、第3反射鏡M3の凸面状の反射面、第4反射鏡M4の凹面状の反射面、第5反射鏡M5の凸面状の反射面、および第6反射鏡M6の凹面状の反射面で順次反射された後、マスクパターンの中間像を形成する。第1反射光学系G1を介して形成された中間像からの光は、第7反射鏡M7の凸面状の反射面および第8反射鏡M8の凹面状の反射面で順次反射された後、ウェハ7上にマスクパターンの縮小像を形成する。第3実施例では、第4反射鏡M4の反射面の位置に開口絞りAS(不図示)が配置されている。次の表(3)に、第3実施例にかかる反射結像光学系の諸元の値を掲げる。
【0056】
表(3)
(主要諸元)
λ=13.5nm
β=1/4
NA=0.45
Y0=53.75mm
LX=26mm
LY=1.5mm

(光学部材諸元)
面番号 r d 光学部材
(マスク面) 1092.802
1 2566.206 -702.769 (第1反射鏡M1)
2 1097.252 704.985 (第2反射鏡M2)
3 375.946 -377.671 (第3反射鏡M3)
4 1046.067 385.524 (第4反射鏡M4)
5 466.502 -595.107 (第5反射鏡M5)
6 925.366 1159.911 (第6反射鏡M6)
7 989.719 -212.563 (第7反射鏡M7)
8 307.146 251.018 (第8反射鏡M8)
(ウェハ面)

(非球面データ)
1面
κ=0
4=1.205772×10-11 6=−1.876185×10-16
8=1.982933×10-21 10=−1.574742×10-26
12=8.797994×10-32 14=−3.323494×10-37
16=8.103956×10-43 18=−1.147857×10-48
20=7.147058×10-55

2面
κ=0
4=3.089220×10-12 6=1.868684×10-18
8=1.009752×10-23 10=−1.694273×10-29
12=5.349203×10-35 14=−9.961554×10-41
16=1.529042×10-46 18=−1.379884×10-52
20=6.426020×10-59

3面
κ=0
4=6.773031×10-10 6=1.013672×10-14
8=3.050660×10-19 10=−1.125311×10-23
12=8.257974×10-28 14=−3.166158×10-32
16=7.682952×10-37 18=−8.807859×10-42
20=2.580491×10-47

4面
κ=0
4=−3.859402×10-10 6=−3.000793×10-16
8=1.448338×10-20 10=4.421557×10-24
12=−1.026669×10-27 14=1.580136×10-31
16=−1.424469×10-35 18=6.979719×10-40
20=−1.432263×10-44

5面
κ=0
4=−1.196402×10-9 6=−3.954579×10-15
8=−1.648838×10-20 10=−3.397029×10-26
12=−5.325987×10-29 14=5.274771×10-33
16=−2.272322×10-37 18=5.011794×10-42
20=−4.551381×10-47

6面
κ=0
4=1.863267×10-12 6=1.325253×10-17
8=−7.716640×10-23 10=5.703774×10-28
12=−2.493137×10-33 14=7.450082×10-39
16=−1.407474×10-44 18=1.543832×10-50
20=−7.275082×10-57

7面
κ=0
4=6.602372×10-9 6=1.788732×10-13
8=5.120573×10-18 10=−3.580904×10-22
12=2.661497×10-25 14=−7.585320×10-29
16=1.279990×10-32 18=−1.195787×10-36
20=4.824295×10-41

8面
κ=0
4=5.193038×10-10 6=6.726435×10-15
8=7.722663×10-20 10=9.485048×10-25
12=1.071102×10-29 14=7.691182×10-35
16=4.030377×10-39 18=−3.560428×10-44
20=7.786315×10-49

(条件式対応値)
PD=1758.2mm
TT=1706.1mm
R=−0.120
(1)(PD/TT)/R=−8.6
【0057】
第3実施例の反射結像光学系では、波面収差のRMSの最大値(最悪値)が0.0107λ(λ:光の波長=13.5nm)であった。すなわち、第3実施例では、0.45という比較的大きな像側開口数を確保するとともに、ウェハ上において諸収差が良好に補正された26mm×1.5mmの円弧状の有効結像領域を確保することができる。また、第3実施例では、第1実施例および第2実施例と同様に、各反射鏡とその近傍を通過する光束との間に8mm以上の間隔が確保されている。第3実施例では、他の実施例と比較して明らかなように、全長TTがかなり小さく抑えられている。
【0058】
上述の各実施例では、マスク4と、第2反射鏡M2との間の距離を長く設定できるため、斜入射ミラー3を容易に設置することができる。例えば、上述の各実施例におけるマスク4と第2反射鏡M2との間の距離RM-M2は、マスク面とウェハ面との間の光軸に沿った距離(全長)TTに対して、RM-M2/TT>0.1の条件を満たすことができる。
【0059】
また、上述の各実施例では、第4反射鏡M4に入射する光の入射角が、30度以下となるようになっている。これによって、瞳位置における強度ムラを低減することができる。
【0060】
上述の各実施例では、波長が13.5nmのEUV光に対して、良好な結像性能および0.45〜0.53という比較的大きな像側開口数を確保するとともに、ウェハ7上において諸収差が良好に補正された26mm×1.3mm〜1.5mmの円弧状の有効結像領域を確保することができる。したがって、ウェハ7において、たとえば26mm×34mmまたは26mm×37mmの大きさを有する各露光領域に、マスク4のパターンを走査露光により0.1μm以下の高解像で転写することができる。
【0061】
なお、上述の各実施例では、13.5nmの波長を有するEUV光を例示的に用いているが、これに限定されることなく、例えば5〜40nm程度の波長を有するEUV光や、他の適当な波長の光を使用する反射結像光学系に対しても同様に本発明を適用することができる。
【0062】
また、上述の各実施例では、反射結像光学系6は、反射面の曲率中心が同一の軸上(光軸AX上)に配列される8つの反射鏡M1〜M8を備えている。しかしながら、8つの反射鏡M1〜M8のうちの少なくとも1つは、反射面の曲率中心が光軸AXから外れるように設置されていても良い。また、上述の各実施例において、すべての反射鏡M1〜M8は、光軸AXに関して無限回回転対称な面に沿って形成された反射面を有しているが、反射鏡M1〜M8のうちの少なくとも1つは、有限回(たとえば1回、2回、3回)回転対称な面に沿って形成された反射面を有していても良い。
【0063】
上述の実施形態の露光装置は、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行っても良い。
【0064】
次に、上述の実施形態にかかる露光装置を用いたデバイス製造方法について説明する。図7は、半導体デバイスの製造工程を示すフローチャートである。図7に示すように、半導体デバイスの製造工程では、半導体デバイスの基板となるウェハWに金属膜を蒸着し(ステップS40)、この蒸着した金属膜上に感光性材料であるフォトレジストを塗布する(ステップS42)。つづいて、上述の実施形態の露光装置を用い、マスク(レチクル)Mに形成されたパターンをウェハW上の各ショット領域に転写し(ステップS44:露光工程)、この転写が終了したウェハWの現像、つまりパターンが転写されたフォトレジストの現像を行う(ステップS46:現像工程)。その後、ステップS46によってウェハWの表面に生成されたレジストパターンをマスクとし、ウェハWの表面に対してエッチング等の加工を行う(ステップS48:加工工程)。
【0065】
ここで、レジストパターンとは、上述の実施形態の露光装置によって転写されたパターンに対応する形状の凹凸が生成されたフォトレジスト層であって、その凹部がフォトレジスト層を貫通しているものである。ステップS48では、このレジストパターンを介してウェハWの表面の加工を行う。ステップS48で行われる加工には、例えばウェハWの表面のエッチングまたは金属膜等の成膜の少なくとも一方が含まれる。なお、ステップS44では、上述の実施形態の露光装置は、フォトレジストが塗布されたウェハWを感光性基板としてパターンの転写を行う。
【0066】
なお、上述の実施形態では、EUV光を供給するための光源としてレーザプラズマX線源を用いているが、これに限定されることなく、EUV光としてたとえばシンクロトロン放射(SOR)光を用いることもできる。
【0067】
また、上述の実施形態では、EUV光を供給するための光源を有する露光装置に本発明を適用しているが、これに限定されることなく、EUV光以外の他の波長光を供給する光源を有する露光装置に対しても本発明を適用することができる。
【0068】
また、上述の実施形態では、マスクMの代わりに、所定の電子データに基づいて所定パターンを動的に形成する可変パターン形成装置を用いることができる。このような可変パターン形成装置として、たとえば所定の電子データに基づいて駆動される複数の反射素子を含むDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)を用いることができる。DMDを用いた露光装置は、例えば米国特許公開第2007/0296936号公報や第2009/0122381号公報に開示されている。
【0069】
また、上述の実施形態では、露光装置の投影光学系としての反射結像光学系に対して本発明を適用しているが、これに限定されることなく、一般に第1面上の所定領域の像を第2面上に形成する逆瞳タイプの反射結像光学系に対しても同様に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 レーザプラズマX線源
2a,2b フライアイ光学系
3 斜入射ミラー
4 マスク
5 マスクステージ
6 反射結像光学系
7 ウェハ
8 ウェハステージ
IL 照明光学系
G1,G2 反射光学系
M1〜M8 反射鏡
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7