【実施例】
【0073】
以下、試験例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の各例に何ら制限されるものではない。なお、本試験例においては、ヒハツからの抽出物としてヒハツ抽出液BG(丸善製薬社製,試料1)の凍結乾燥品を使用した。
【0074】
〔試験例1〕ヘキソサミニダーゼ遊離抑制作用試験
上記ヒハツ抽出物(試料1)について、以下のようにしてヘキソサミニダーゼ遊離抑制作用を試験した。
【0075】
ラット好塩基球白血病細胞(RBL−2H3)を15%FBS添加S−MEM培地を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を4.0×10
5cells/mLの細胞密度となるように15%FBS添加S−MEM培地で希釈し、終濃度0.5μL/mLとなるようにDNP−specific IgEを添加した後、96ウェルプレートに1ウェルあたり100μLずつ播種し、一晩培養した。
【0076】
培養終了後、培地を除去し、シリガリアン緩衝液100μLにて洗浄を2回行った。次に、被験試料(試料1,試料濃度は下記表1を参照)を添加した同緩衝液10μL及び同緩衝液30μL、又は試料無添加として同緩衝液40μLを各ウェルに添加し、37℃にて10分間静置した。その後、100ng/mLのDNP−BSA溶液10μLを加え、37℃にて15分間静置し、ヘキソサミニダーゼを遊離させた。
【0077】
その後、96ウェルプレートを氷上に静置することにより遊離を停止した。各ウェルの細胞上清10μLを新たな96ウェルプレートに採取し、各ウェルに1mMのp−NAG(p−ニトロフェニル−N−アセチル−β−D−グルコサミニド)溶液10μLを添加し、37℃で1時間反応させた。
【0078】
反応終了後、各ウェルに0.1MのNa
2CO
3/NaHCO
3250μLを加え、波長415nm及び650nmにおける吸光度を測定し、415nmにおける吸光度から650nmにおける吸光度を減じた値を補正値とした。また、空試験として、細胞上清10μLと、0.1MのNa
2CO
3/NaHCO
3250μLとの混合液の波長415nm及び650nmにおける吸光度を測定し、補正値を算出した。得られた測定結果から、下記式によりヘキソサミニダーゼ遊離抑制率(%)を算出した。
【0079】
ヘキソサミニダーゼ遊離抑制率(%)={1−(B−C)/A}×100
式中、Aは「試料無添加での補正値」を表し、Bは「被験試料添加での補正値」を表し、Cは「被験試料添加・p−NAG無添加での補正値」を表す。
結果を表1に示す。
【0080】
【表1】
【0081】
表1に示すように、ヒハツ抽出物(試料1)は、優れたヘキソサミニダーゼ遊離抑制作用を有することが確認された。
【0082】
〔試験例2〕幹細胞増殖因子(SCF)mRNA発現上昇抑制作用試験
上記ヒハツ抽出物(試料1)について、以下のようにしてSCFmRNA発現上昇抑制作用を試験した。
【0083】
ヒト正常新生児表皮角化細胞(normal human epidermal keratinocyte,NHEK)を80cm
2フラスコでヒト正常表皮角化細胞長期培養用増殖培地(EpiLife-KG2)を用いて37℃、5%CO
2−95%airの条件下で前培養し、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を20×10
4cells/mLの細胞密度になるようにEpilife-KG2培地で希釈した後、35mmシャーレ(FALCON社製)に2mLずつ播種し(40×10
4cells/シャーレ)、37℃、5%CO
2−95%airの条件下で24時間培養した。
【0084】
培養後に培地を除去し、HEPES緩衝液1mLを加えてUV−B照射(50mJ/cm
2)を行い、その後被験試料(試料1,試料濃度は下記表2を参照)を添加したEpilife-KG2培地又は試料無添加のEpilife-KG2培地を各シャーレに2mLずつ添加し、37℃、5%CO
2−95%airの条件下で24時間培養した。培養後、培地を除去し、ISOGEN(ニッポンジーン社製,Cat. No. 311-02501)にて総RNAを抽出し、それぞれのRNA量を分光光度計にて測定し、200ng/μLになるように総RNAを調製した。
【0085】
この総RNAを鋳型とし、SCF及び内部標準であるGAPDHのmRNAの発現量を測定した。検出はリアルタイムPCR装置Smart Cycler(Cepheid社)を用いて、TaKaRa SYBR PrimeScript RT-PCR Kit(Perfect Real Time,code No.RR063A)によるリアルタイム2 Step RT-PCR反応により行った。SCFmRNAの発現量は、紫外線未照射・試料無添加、紫外線照射・試料無添加及び紫外線照射・試料添加でそれぞれ培養した細胞から調製した総RNA標品を基にして、GAPDHmRNAの値で補正値を求め、さらに紫外線未照射・試料無添加の補正値を100とした時の紫外線照射・試料無添加および紫外線照射・試料添加の補正値を算出した。得られた結果から、下記式によりSCFmRNA発現上昇抑制率(%)を算出した。
【0086】
SCFmRNA発現上昇抑制率(%)={(A−B)−(A−C)}/(A−B)×100
式中Aは「紫外線未照射・試料無添加時の補正値」を表し、Bは「紫外線照射・試料無添加時の補正値」を表し、Cは「紫外線照射・試料添加時の補正値」を表す。
結果を表2に示す。
【0087】
【表2】
【0088】
表2に示すように、ヒハツ抽出物(試料1)は、優れたSCFmRNA発現上昇抑制作用を有することが確認された。
【0089】
〔試験例3〕過酸化水素に対する細胞障害抑制作用試験
上記ヒハツ抽出物(試料1)について、下記の試験方法により過酸化水素に対する細胞障害抑制作用を試験した。
【0090】
ヒト正常皮膚線維芽細胞(NB1RGB)を、10%FBS含有α−MEM培地を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を2.5×10
5cells/mLの細胞密度になるように5%FBS含有α−MEM培地で希釈した後、48ウェルプレートに1ウェル当たり200μLずつ播種し、一晩培養した。
【0091】
培養後、培地を除去し、被験試料(試料1,試料濃度は下記表3を参照)を添加した1%FBS含有α−MEM培地又は試料無添加の1%FBS含有α−MEM培地を各ウェルに200μLずつ添加し、24時間培養した。培養終了後、各ウェルから培地を除去し、400μLのPBS緩衝液で洗浄し、過酸化水素を溶解したHank’s緩衝液(過酸化水素最終濃度:1mM)又は過酸化水素無添加のHank’s緩衝液を各ウェルに200μL添加し、2時間培養した。
【0092】
培養後、400μLのPBS緩衝液で洗浄し、終濃度0.05mg/mLで1%FBS含有α−MEM培地に溶解したニュートラルレッド溶液を200μLずつ添加し、2.5時間培養した。培養後、ニュートラルレッド溶液を除去し、エタノール・酢酸溶液(エタノール:酢酸:水=50:1:49)を各ウェルに300μLずつ加え、色素を抽出した。得られた抽出液の540nmにおける吸光度を測定した。測定結果から、下記式により過酸化水素障害抑制率(%)を算出した。
【0093】
過酸化水素障害抑制率(%)={1−(C−A)}/(C−B)}×100
上記式において、Aは「被験試料添加・過酸化水素処理時の吸光度」を表し、Bは「試料無添加・過酸化水素処理時の吸光度」を表し、Cは「試料無添加・過酸化水素無処理時の吸光度」を表す。
上記試験の結果を表3に示す。
【0094】
【表3】
【0095】
表3に示すように、ヒハツ抽出物(試料1)は、優れた過酸化水素障害抑制作用を有することが確認された。
【0096】
〔試験例4〕グルタチオン産生促進作用試験−1
上記ヒハツ抽出物(試料1)について、以下のようにしてB16メラノーマ細胞に対するグルタチオン産生促進作用を試験した。
【0097】
B16メラノーマ細胞を、10%FBS含有ダルベッコMEM培地を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を10×10
4cells/mLの細胞密度になるように10%FBS含有ダルベッコMEM培地で希釈した後、48ウェルプレートに1ウェル当たり200μLずつ播種し、一晩培養した。
【0098】
培養後、培地を除去し、被験試料(試料1,試料濃度は下記表4を参照)を添加した10%FBS含有ダルベッコMEM培地又は試料無添加の10%FBS含有ダルベッコMEM培地を各ウェルに200μL添加し、24時間培養した。培養終了後、各ウェルから培地を除去し、400μLのPBS緩衝液にて洗浄後、150μLのM−PER(PIERCE社製)を使用して細胞を溶解した。
【0099】
このうちの100μLを使用して総グルタチオンの定量を行った。すなわち、96ウェルプレートに溶解した細胞抽出液100μL、0.1Mのリン酸緩衝液50μL、2mMのNADPH25μL及びグルタチオンレダクターゼ25μL(終濃度17.5unit/mL)を加え37℃で10分間加温した後、10mMの5,5'-dithiobis(2-nitrobenzoic acid)25μLを加え、5分後までの波長412nmにおける吸光度を測定し、ΔOD/minを求めた。総グルタチオン濃度は、酸化型グルタチオン(和光純薬社製)を使用して作成した検量線をもとに算出した。得られた値を総タンパク量当たりのグルタチオン量に補正した後、下記式によりグルタチオン産生促進率(%)を算出した。
【0100】
グルタチオン産生促進率(%)=B/A×100
式中、Aは「試料無添加時の細胞中における総タンパク量当たりのグルタチオン量(対照)」を表し、Bは「被験試料添加時の細胞中における総タンパク量当たりのグルタチオン量」を表す。
結果を表4に示す。
【0101】
【表4】
【0102】
表4に示すように、ヒハツ抽出物(試料1)はB16メラノーマ細胞に対して優れたグルタチオン産生促進作用を有することが確認された。
【0103】
〔試験例5〕グルタチオン産生促進作用試験−2
上記ヒハツ抽出物(試料1)について、以下のようにして表皮角化細胞に対するグルタチオン産生促進作用を試験した。
【0104】
ヒト正常新生児表皮角化細胞(NHEK)を、ヒト正常表皮角化細胞長期培養用増殖培地(EpiLife-KG2)を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を1.0×10
5cells/mLの細胞密度になるようにEpiLife-KG2培地で希釈した後、コラーゲンコートした24ウェルプレートに1ウェル当たり500μLずつ播種し、一晩培養した。
【0105】
培養後、培地を除去し、被験試料(試料1,試料濃度は下記表5を参照)を添加したEpiLife-KG2培地又は試料無添加のEpiLife-KG2培地を各ウェルに500μL添加し、さらに24時間培養した。培養終了後、各ウェルから培地を除去し、1mLのPBS緩衝液にて洗浄後、150μLのM−PER(PIERCE社製)を使用して細胞を溶解した。
【0106】
このうちの100μLを使用し、上述した試験例4と同様にして総グルタチオンの定量を行い、グルタチオン産生促進率(%)を算出した。
結果を表5に示す。
【0107】
【表5】
【0108】
表5に示すように、ヒハツ抽出物(試料1)は表皮角化細胞に対しても、優れたグルタチオン産生促進作用を有することが確認された。
【0109】
〔試験例6〕エラスターゼ活性阻害作用試験
上記ヒハツ抽出物(試料1)について、以下のようにしてエラスターゼ活性阻害作用を試験した。
【0110】
被験試料(試料1,試料濃度は下記表6を参照)を溶解させた0.2mol/LのTris−HCl(pH8.0)緩衝液又は試料無添加の0.2mol/LのTris−HCl(pH8.0)緩衝液50μLと、エラスターゼ溶液(Sigma社製)50μLとを96ウェルプレートにて混合した。その後、0.2mol/LのTris−HCl(pH8.0)緩衝液に0.4514mg/mLとなるよう溶解した基質溶液(SIGMA社製,N−サクシニル−Ala−Ala−Ala−p−ニトロアニリド)100μLを添加し、25℃にて15分間反応させた。反応終了後、分光光度計(BIO-TEK INSTRUMENTS, INC社製)を用いて波長415nmにおける吸光度を測定した。また、同様にして酵素無添加の空試験を行い補正した。得られた結果から、下記式によりエラスターゼ活性阻害率(%)を算出した。
【0111】
エラスターゼ活性阻害率(%)={1−(A−B)/(C−D)}×100
式中、Aは「被験試料添加・酵素添加時の波長415nmにおける吸光度」を表し、Bは「被験試料添加・酵素無添加時の波長415nmにおける吸光度」を表し、Cは「試料無添加・酵素添加時の波長415nmにおける吸光度」を表し、Dは「試料無添加・酵素無添加時の波長415nmにおける吸光度」を表す。
結果を表6に示す。
【0112】
【表6】
【0113】
表6に示すように、ヒハツ抽出物(試料1)は、優れたエラスターゼ活性阻害作用を有することが確認された。
【0114】
〔試験例7〕IV型コラーゲン産生促進作用試験
上記ヒハツ抽出物(試料1)について、以下のようにしてIV型コラーゲン産生促進作用を試験した。
【0115】
ヒト正常皮膚線維芽細胞(NB1RGB)を、10%FBS含有ダルベッコMEM培地を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を1.6×10
5cells/mLの細胞密度になるように10%FBS含有ダルベッコMEM培地で希釈した後、96ウェルプレートに1ウェルあたり100μLずつ播種し、一晩培養した。
【0116】
培養終了後、培地を除去し、被験試料(試料1,試料濃度は下記表7を参照)を添加した0.25%FBS含有ダルベッコMEM培地又は試料無添加の0.25%FBS含有ダルベッコMEM培地を各ウェルに150μLずつ添加し、3日間培養した。培養終了後、各ウェルの培地中のIV型コラーゲン量を、モノクローナル抗IV型コラーゲン抗体(マウスIgG,Sigma社製)を用いたELISA法により測定した。得られた結果から、下記式により試料溶液添加時のIV型コラーゲン産生促進率(%)を算出した。
【0117】
IV型コラーゲン産生促進率(%)=A/B×100
式中、Aは「被験試料添加時のIV型コラーゲン量」を、Bは「試料無添加時のIV型コラーゲン量」を示す。
結果を表7に示す。
【0118】
【表7】
【0119】
表7に示すように、ヒハツ抽出物(試料1)は、優れたIV型コラーゲン産生促進作用を有することが確認された。
【0120】
〔試験例8〕表皮ヒアルロン酸産生促進作用試験
上記ヒハツ抽出物(試料1)について、以下のようにして表皮ヒアルロン酸産生促進作用を試験した。
【0121】
ヒト正常新生児皮膚表皮角化細胞(NHEK)を、ヒト正常表皮角化細胞長期培養用増殖培地(EpiLife-KG2)を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を1×10
5cells/mLの細胞密度になるようにEpilife-KG2培地で希釈した後、96ウェルプレートに1ウェルあたり100μLずつ播種し、24時間培養した。
【0122】
培養終了後、被験試料(試料1,試料濃度は下記表8を参照)を添加したEpilife-KG2培地又は試料無添加のEpilife-KG2培地を各ウェルに100μLずつ添加し、7日間培養した。培養後、各ウェルの培地中のヒアルロン酸量を、ヒアルロン酸結合タンパク(HABP)を用いたサンドイッチ法により測定した。測定結果から、下記式によりヒアルロン酸産生促進率(%)を算出した。
【0123】
ヒアルロン酸産生促進率(%)=A/B×100
上記式において、Aは「被験試料添加時のヒアルロン酸量」を表し、Bは「試料無添加時のヒアルロン酸量」を表す。
結果を表8に示す。
【0124】
【表8】
【0125】
表8に示すように、ヒハツ抽出物(試料1)は、優れたヒアルロン酸産生促進作用を有することが確認された。また、ヒハツ抽出物が有するヒアルロン酸産生促進作用は、当該抽出物の濃度に依存することが確認された。
【0126】
〔試験例9〕プロフィラグリン/フィラグリン産生促進作用試験
上記ヒハツ抽出物(試料1)について、以下のようにしてプロフィラグリン/フィラグリン産生促進作用を試験した。
【0127】
ヒト正常新生児表皮角化細胞(NHEK)を、75cm
2のフラスコでヒト正常表皮角化細胞長期培養用増殖培地(EpiLife-KG2)を用いて37℃、5%CO
2−95%airの条件下で前培養し、常法により細胞を回収した。得られた細胞を1.5×10
5cells/mLの細胞密度になるようにEpilife-KG2培地に希釈した後、6ウェルコラーゲンコートプレートに2mLずつ播種して37℃、5%CO
2−95%airの条件下で3日間培養した。培養後、培地を除去し、0.25%DMSOに溶解した被験試料(試料1,試料濃度は下記表9を参照)を添加したEpilife-KG2培地又は試料無添加のEpilife-KG2培地を各ウェルに2mLずつ添加し、37℃、5%CO
2−95%airの条件下で5日間培養した。培養終了後、常法により総タンパク質の調製を行った。
【0128】
10μg/列に調整したサンプルをSDS−PAGEにより展開し、PVDF膜に転写した。5%スキムミルク含有PBS緩衝液でブロッキングを行った後、抗ヒトフィラグリンモノクローナル抗体(Santa Cruz Biotechnology社製)、ビオチン標識抗マウスIgG(Amersham Biosciences社製,Whole Ab)及びストレプトアビジン−ペルオキシダーゼ複合体(CALBIOCHEM社製)を、0.1%Tween20及び0.3%スキムミルク含有PBS緩衝液にて1000倍に希釈して順次反応させ、ECL Western blotting detection reagents(Amersham Biosciences社製)の発光によりプロフィラグリン及びフィラグリンを画像撮影装置(Bio-Rad Laboratories社製,ChemiDoc XRS Plus)を用いて検出した。検出したバンドをImage Lab Software version2.0(Bio-Rad Laboratories社製)にて定量的に測定した。
【0129】
結果は、試料添加及び無添加で培養した細胞のそれぞれから調製したタンパク質10μg中のプロフィラグリン及びフィラグリンのNet intensity(バンド強度)を合算した値を用いて、試料のプロフィラグリン産生促進作用を評価し、プロフィラグリン産生促進率(%)を下記式に基づいて算出した。
【0130】
プロフィラグリン/フィラグリン産生促進率(%)=A/B×100
式中、Aは「試料添加時のNet intensity(プロフィラグリン及びフィラグリンの合計値)」を表し、Bは「試料無添加時(コントロール)のNet intensity」を表す。
結果を表9に示す。
【0131】
【表9】
【0132】
表9に示すように、ヒハツ抽出物(試料1)は、優れたプロフィラグリン/フィラグリン産生促進作用を有することが確認された。なお、フィラグリンは、生体内でプロフィラグリンの加水分解により産生されるものであることから、プロフィラグリン産生促進作用を有するヒハツ抽出物は、プロフィラグリンの産生を促進し、細胞内におけるプロフィラグリン量を増加させることで、フィラグリン量をも増加させることができ、結果としてフィラグリン産生促進作用を有するものと考えられる。
【0133】
〔試験例10〕インボルクリン産生促進作用試験
上記ヒハツ抽出物(試料1)について、以下のようにしてインボルクリン産生促進作用を試験した。
【0134】
ヒト正常新生児表皮角化細胞(NHEK)を、80cm
2のフラスコでヒト正常表皮角化細胞長期培養用増殖培地(EpiLife-KG2)を用いて37℃、5%CO
2−95%airの条件下で前培養し、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を1.0×10
5cells/mLの細胞密度になるようにEpilife-KG2培地で希釈した後、48ウェルプレートに1ウェルあたり200μLずつ播種し、37℃、5%CO
2−95%airの条件下で一晩培養した。
【0135】
培養終了後、培地を除去し、被験試料(試料1,試料濃度は下記表10を参照)を添加したEpilife-KG2培地又は試料無添加のEpilife-KG2培地を各ウェルに200μLずつ添加し、37℃、5%CO
2−95%airの条件下で48時間培養した。培養終了後、培地を除去し、プレートに固定された細胞の細胞表面に発現したインボルクリンの量を、モノクローナル抗ヒトインボルクリン抗体(マウスIgG,Sigma社製)を用いたELISA法により測定した。得られた測定結果から、下記式によりインボルクリン産生促進率(%)を算出した。
【0136】
インボルクリン産生促進率(%)=A/B×100
式中、Aは「被験試料添加時の波長405nmにおける吸光度」を表し、Bは「試料無添加時の波長405nmにおける吸光度」を表す。
上記試験の結果を表10に示す。
【0137】
【表10】
【0138】
表10に示すように、ヒハツ抽出物(試料1)は、優れたインボルクリン産生促進作用を有することが確認された。