(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する基板搬送装置、基板処理装置および基板収容方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係る基板処理装置の概略構成について
図1を用いて説明する。
図1は、第1の実施形態に係る基板処理装置の概略構成を示す図である。
【0013】
なお、以下においては、位置関係を明確にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする。また、以下では、X軸負方向側を基板処理装置の前方、X軸正方向側を基板処理装置の後方と規定する。
【0014】
図1に示すように、基板処理装置100は、搬入出ステーション1と、搬送ステーション2と、処理ステーション3とを備える。これら搬入出ステーション1、搬送ステーション2および処理ステーション3は、基板処理装置100の前方から後方へ、搬入出ステーション1、搬送ステーション2および処理ステーション3の順で配置される。
【0015】
搬入出ステーション1は、複数のカセットが載置される場所であり、たとえば4個のカセットC1〜C4が搬送ステーション2の前壁に密着させた状態で左右に並べて載置される。各カセットC1〜C4は、複数枚のウェハWを水平姿勢で多段に収容可能な収納容器である。
【0016】
搬送ステーション2は、搬入出ステーション1の後方に配置され、内部に基板搬送部21と基板受渡台22とを備える。基板受渡台22には、複数枚のウェハWが一時的に収容されるバッファカセット(図示せず)が載置される。
【0017】
基板搬送部21は、搬入出ステーション1に載置されたカセットC1〜C4と基板受渡台22に載置されバッファカセットとの間でウェハWの受け渡しを行う。具体的には、基板搬送部21は、カセットC1〜C4からウェハWを取り出してバッファカセットへ収容する処理と、バッファカセットからウェハWを取り出してカセットC1〜C4へ収容する処理とを実行する。
【0018】
また、搬送ステーション2には、カセットC1〜C4に収容されたウェハWを検出する基板検出部23がカセットC1〜C4に対応してそれぞれ設けられている。
【0019】
ここで、カセットC1〜C4および基板検出部23の概略構成ついて
図2Aおよび
図2Bを参照して説明する。
図2Aおよび
図2Bは、カセットC1〜C4および基板検出部23の概略構成を示す図である。
図2Aでは、一例としてカセットC1に対応して設けられる基板検出部23を示している。
【0020】
図2Aに示すように、カセットC1は、搬送ステーション2と対向する側(X軸正方向側)に開口部を有する箱体である。カセットC1の左右の寸法はウェハWの寸法よりも僅かに長い。また、奥行きもウェハWの寸法よりも長くウェハWが開口部からはみ出ることがない程度の寸法となっている。
【0021】
カセットC1の内部は、開口部と反対側に位置するウェハWの縁部を支持する支持部(図示せず)と、ウェハWの左右の縁部を支持する一対の支持部12,12が設けられている。これらの支持部に支持されることにより、ウェハWは、水平姿勢でカセットC1に収容された状態となる。
【0022】
なお、カセットC2〜C4もカセットC1と同様の構成である。ここでは、12枚のウェハWを収容するカセットを例示したが、カセットC1〜C4が収容可能なウェハWの枚数は、12枚に限定されない。
【0023】
基板検出部23は、
図2Aおよび
図2Bに示すように、光を照射する投光器231と、投光器231によって照射された光を受光する受光器232と、投光器231および受光器232を鉛直方向に沿って移動させる図示しない移動部とを備える。投光器231および受光器232は、カセットC1の開口部の左右両側に互いに向き合うようにして水平に配置される。
【0024】
基板検出部23は、投光器231から光を照射させた状態で、図示しない移動部を用いて投光器231および受光器232を鉛直方向に沿って移動させる。投光器231と受光器232との間にウェハWが存在しない場合、投光器231から照射された光は受光器232によって受光される。一方、投光器231と受光器232との間にウェハWが存在する場合、投光器231から照射された光は、ウェハWによって遮られるため受光器232には届かない。これにより、基板検出部23は、カセットC1に収容されたウェハWを検知することができる。
【0025】
後述する制御装置6は、かかる基板検出部23から出力される検出信号Sに基づいてウェハWの実際の収容位置を判定する。かかる点については後述する。
【0026】
なお、ここでは、基板検出部23が透過型の光センサを有する場合の例を示したが、基板検出部23は、透過型の光センサに限らず、反射型の光センサを有していてもよい。
【0027】
搬送ステーション2に設置される基板搬送部21は、独立して動作可能な2つの基板保持部を備える。ここで、基板搬送部21が備える各基板保持部の構成について
図3Aおよび
図3Bを参照して説明する。
図3Aは、基板搬送部21が備える第1保持部の模式斜視図であり、
図3Bは、基板搬送部21が備える第2保持部の模式斜視図である。
【0028】
図3Aに示すように、基板搬送部21が備える第1保持部211は、1個のフォーク211aを備えており、かかるフォーク211aを用いて1枚のウェハWを水平姿勢で保持する。一方、
図3Bに示すように、基板搬送部21が備える第2保持部212は、複数(ここでは、4個)のフォーク212a〜212dを備えており、これら複数のフォーク212a〜212dを用いて複数(ここでは、4枚)のウェハWを水平姿勢で鉛直方向に多段に保持する。第2保持部212は第1保持部211の上方に配置される。
【0029】
第1保持部211および第2保持部212は、たとえば異なるアームの先端部にそれぞれ設けられており、独立して動作可能である。各フォーク211a、212a〜212dの鉛直方向の間隔は、カセットC1〜C4の各一対の支持部12,12(
図2A参照)の鉛直方向の間隔と同程度であり、基板搬送部21は、第1保持部211および第2保持部212を用いて複数(ここでは、最大5枚)のウェハWをカセットC1〜C4とバッファカセットとの間で同時に受け渡すことができる。
【0030】
また、
図1に示すように、搬送ステーション2には、ダミーウェハ格納部24がさらに設けられている。かかるダミーウェハ格納部24には、ダミーウェハWdが格納される。ダミーウェハWdは、ウェハWとは異なり製品ウェハではないウェハである。かかるダミーウェハWdを用いた基板収納処理の具体的な内容については第2の実施形態において説明する。なお、第1の実施形態において、ダミーウェハ格納部24は必ずしも設けられることを要しない。
【0031】
処理ステーション3は、搬送ステーション2の後方に配置される。かかる処理ステーション3には、中央部に基板搬送部31が配置され、かかる基板搬送部31の左右両側にそれぞれ複数(ここでは、6個ずつ)の基板処理部5が前後方向に並べて配置される。かかる処理ステーション3では、基板搬送部31が、搬送ステーション2の基板受渡台22と各基板処理部5との間でウェハWを1枚ずつ搬送し、各基板処理部5が、ウェハWに対して1枚ずつ洗浄処理等の基板処理を行う。
【0032】
このように構成された基板処理装置100では、まず、搬送ステーション2の基板搬送部21が、搬入出ステーション1に載置されたカセットC1〜C4からウェハWを取り出し、取り出したウェハWを基板受渡台22の図示しないバッファカセットに収容する。バッファカセットに収容されたウェハWは、処理ステーション3の基板搬送部31によって取り出され、いずれかの基板処理部5に搬入される。
【0033】
基板処理部5に搬入されたウェハWは、かかる基板処理部5によって基板処理を施された後、基板搬送部31により基板処理部5から搬出され、基板受渡台22のバッファカセットに再び収容される。そして、バッファカセットに収容された処理済のウェハWは、基板搬送部21によってカセットC1〜C4に戻される。
【0034】
また、基板処理装置100は、制御装置6を備える。制御装置6は、上述した基板処理装置100の動作を制御する装置である。
【0035】
ここで、制御装置6の構成について
図4を参照して説明する。
図4は、制御装置6の構成を示すブロック図である。なお、
図4には、制御装置6の特徴を説明するために必要な構成要素のみを示しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0036】
図4に示すように、制御装置6は、制御部61と記憶部62とを備える。制御部61は、記憶部62に記憶された情報に基づき、カセットC1〜C4からウェハWを取り出してバッファカセットへ収容する処理と、バッファカセットからウェハWを取り出してカセットC1〜C4へ収容する処理とを基板搬送部21に実行させる。
【0037】
なお、本願の開示する基板搬送装置は、
図4に示す制御装置6、基板搬送部21および基板検出部23を含んで構成される。
【0038】
次に、基板処理装置100の具体的動作について説明する。基板処理装置100では、まず、基板搬送部21が、制御装置6の制御に従ってカセットC1〜C4からウェハWを取り出して基板受渡台22のバッファカセットへ収容する処理を行う。
【0039】
具体的には、まず、基板検出部23がカセットC1〜C4に収容された各ウェハWの位置を検出する。つづいて、制御部61は、基板検出部23によって検出された位置に基づいて目標取出位置を決定し、決定した目標取出位置に対して基板搬送部21の第1保持部211または第2保持部212を移動させてカセットC1〜C4からウェハWを取り出す。
【0040】
なお、カセットC1〜C4からウェハWを取り出す具体的な方法については、たとえば特開2003−168715号公報に記載の基板の取り出し方法を採用することができる。
【0041】
つづいて、基板搬送部31は、バッファカセットに収容されたウェハWをバッファカセットから取り出して基板処理部5へ搬入する。また、基板処理部5によるウェハWの処理が終了すると、基板搬送部31は、基板処理部5から処理済みのウェハWを取り出してバッファカセットへ収容する。
【0042】
そして、基板搬送部21は、バッファカセットに収容された処理済みのウェハWをバッファカセットから取り出してカセットC1〜C4へ収容する。
【0043】
ここで、処理済みのウェハWを元のカセットC1〜C4へ収容する場合、制御部61は、ウェハWをカセットC1〜C4から取り出す際に取得した基板検出部23の検出結果(目標取出位置)を用いて、処理済みのウェハWを元のカセットC1〜C4の元の位置へ収容する。
【0044】
一方、処理済みのウェハWを別のカセットC1〜C4へ収容する場合には、上記の場合とは異なる処理を行う。ここで、処理済みのウェハWを別のカセットC1〜C4へ収容する場合について、カセットC1から取り出したウェハWをカセットC3へ収容する例を挙げて具体的に説明する。なお、処理済みのウェハWが収容されるカセットC3は空の状態であるものとする。
【0045】
図4に示すように、制御装置6の制御部61は、搬送制御部611と、判定部612と、補正部613とを備える。また、制御装置6の記憶部62には、目標位置情報621と、判定情報622とが記憶される。
【0046】
搬送制御部611は、基板搬送部21を制御して、カセットC1〜C4と基板受渡台22のバッファカセットとの間でウェハWの受け渡しを行わせる。かかる搬送制御部611は、空のカセットC3に対して最初のウェハW(以下、「第1ウェハ」と記載する)を収容する場合、記憶部62に記憶された目標位置情報621を用いて基板搬送部21を制御することで、第1ウェハの収容位置として予め決定された目標収容位置に第1ウェハを収容させる。
【0047】
記憶部62に記憶された目標位置情報621は、カセットC1〜C4の各スロットに対するウェハWの目標収容位置を示す情報である。また、目標収容位置とは、予め決定されたウェハWの収容位置のことである。
【0048】
なお、上述したカセットC1〜C4からウェハWの取り出す際の動作も、搬送制御部611が基板搬送部21を制御することによって行われる。
【0049】
判定部612は、基板検出部23の検出結果に基づいてカセットC3に収容されたウェハWの実際の収容位置を判定する。ここで、判定部612による判定処理の内容について
図5Aおよび
図5Bを参照して説明する。
図5Aおよび
図5Bは、判定部612による判定処理の説明図である。
【0050】
図5Aおよび
図5Bに示すように、判定部612は、基板検出部23がウェハWを検出し続けた時間(
図5Bのt1,t2参照)と基板検出部23が鉛直方向に移動する速度から、かかるウェハWの鉛直方向の厚みを判定する。そして、判定部612は、この厚みの中心位置(
図5BのP1,P2参照)をウェハWの実際の収容位置として判定する。また、判定部612は、検出したウェハWの厚みからウェハWの姿勢が正常か否かを判定することができる。
【0051】
そして、判定部612は、判定したウェハWの実際の収容位置およびかかるウェハWの厚みの情報を含んだ判定情報622を記憶部62に記憶する。なお、ウェハWの実際の収容位置として判定する位置は、上記厚みの中心位置に限られない。
【0052】
補正部613は、判定部612によって判定された第1ウェハの実際の収容位置と、目標位置情報621によって示されるカセットC3の各スロットに対するウェハの目標収容位置との鉛直方向におけるずれ量を算出する。そして、補正部613は、カセットC3に対して次に収容されるべきウェハW(以下、「第2ウェハ」と記載する)の収容位置として予め決定された目標収容位置を鉛直方向に上記ずれ量分だけずらした位置を補正後の目標収容位置として算出して搬送制御部611へ出力する。
【0053】
そして、搬送制御部611は、補正後の目標収容位置に第2ウェハを収容するように基板搬送部21を制御する。これにより、仮にカセットC3の各スロットの位置が鉛直方向に全体的にずれていたとしても、第2ウェハを第1ウェハと干渉させることなく、カセットC3へ適切に収容することができる。
【0054】
なお、第1ウェハについては予め記憶された目標位置情報621に従ってカセットC3への収容を行うが、この際、カセットC3は空の状態であるため、第1ウェハが他のウェハWと干渉するおそれはない。
【0055】
次に、カセットC1から取り出された後、基板処理部5によって処理されてバッファカセットに収容されたウェハWをカセットC3へ収容する場合における基板収容処理の具体的な処理手順について
図6を参照して説明する。
図6は、基板処理装置100が実行する基板収容処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、
図6には、カセットC3を空の状態から満杯の状態にするまでの処理手順を示している。
【0056】
図6に示すように、基板処理装置100では、制御部61の搬送制御部611が基板搬送部21を制御して、基板受渡台22の図示しないバッファカセットに収容された第1ウェハを第1保持部211を用いて保持させる(ステップS101)。そして、搬送制御部611は、第1保持部211によって保持された第1ウェハをカセットC3の最下段のスロットへ収容させる(ステップS102)。
【0057】
このように、第1ウェハの収容位置をカセットC3の最下段とすることで、第1ウェハをより安全にカセットC3に収容することができる。
【0058】
すなわち、仮にカセットC3が傾いている場合、各スロットの目標収容位置と実際の収容位置との誤差は、上段側のスロットほど大きくなる。そこで、目標収容位置と実際の収容位置との誤差が最も小さいであろう最下段を、予め記憶された目標位置情報621に従って収容される第1ウェハの収容位置とすることで、第1ウェハがカセットC3の支持部12と接触する可能性を低くすることができる。
【0059】
なお、第1ウェハの収容位置は、カセットC3の最下段に限らず、カセットC3の最上段であってもよいし、その他の段であってもよい。
【0060】
つづいて、基板検出部23が、カセットC3に収容された第1ウェハを検出する。その後、基板処理装置100では、制御装置6の判定部612が、基板検出部23の検出結果に基づき、カセットC3に収容された第1ウェハの実際の収容位置および第1ウェハの厚みを判定する(ステップS103)。そして、判定部612は、第1ウェハの実際の収容位置と第1ウェハの厚みとを含んだ判定情報622を記憶部62に記憶する。
【0061】
つづいて、搬送制御部611は、第1ウェハの厚みが正常であるか否かを判定する(ステップS104)。具体的には、搬送制御部611は、判定情報622によって示される第1ウェハの厚みが閾値内であれば、第1ウェハの厚みが正常であると判定し、閾値を超えていれば異常であると判定する。
【0062】
すなわち、判定部612によって判定される第1ウェハの厚みが大きい場合、言い換えれば、基板検出部23による第1ウェハの検出時間が長い場合には、第1ウェハが傾いて収容されているおそれがある。そこで、搬送制御部611は、かかる場合には、第1ウェハの厚みが異常であると判定し(ステップS104,No)、その後の処理を中止して(ステップS105)、基板収容処理を終了する。
【0063】
このように、搬送制御部611は、基板検出部23による第1ウェハの検出時間に基づいてカセットC3に収容された第1ウェハの厚みが正常であるか否かを判定し、異常であると判定した場合には、その後の処理を中止することとした。これにより、異常な姿勢でカセットC3に収容された第1ウェハに第2ウェハ以降のウェハWが接触して破損してしまうことを未然に防止することができる。
【0064】
なお、ここでは、第1ウェハの厚みが閾値内であるか否かを判定することによって、第1ウェハの厚みが正常であるか否かを判定することとしたが、基板検出部23による第1ウェハの検出時間が閾値内であるか否かを判定することによって、第1ウェハの厚みが正常であるか否かを判定することとしてもよい。
【0065】
一方、第1ウェハの厚みが正常であると判定した場合(ステップS104,Yes)、補正部613は、目標位置情報621によって示される第1ウェハの目標収容位置と、判定情報622によって示される第1ウェハの実際の収容位置とのずれ量を算出する。そして、搬送制御部611は、算出されたずれ量が閾値内であるか否かを判定する(ステップS106)。
【0066】
そして、搬送制御部611は、上記ずれ量が閾値を超えている場合(ステップS106,No)、その後の処理を中止して(ステップS105)、基板収容処理を終了する。
【0067】
このように、搬送制御部611は、第1ウェハの実際の収容位置と目標収容位置とのずれが閾値を超える場合には、カセットC3に異常があると判定してその後の処理を中止する。これにより、異常のあるカセットC3に対して第2ウェハ以降のウェハWを収容してこれらのウェハWが破損してしまうことを未然に防止することができる。
【0068】
一方、第1ウェハの実際の収容位置と目標収容位置とのずれ量が閾値内であると判定した場合には(ステップS106,Yes)、補正部613は、複数枚(たとえば、5枚)のウェハWの各目標収容位置を、ステップS106において算出したずれ量分だけ補正する(ステップS107)。
【0069】
つづいて、搬送制御部611は、基板搬送部21を制御して、基板受渡台22の図示しないバッファカセットに収容された複数枚のウェハW(第2ウェハ)を第1保持部211および第2保持部212を用いて保持させる(ステップS108)。そして、搬送制御部611は、ステップS107において補正された各ウェハWの目標収容位置に対し、第1保持部211および第2保持部212によって保持された複数枚のウェハWを同時に収容させる(ステップS109)。
【0070】
このように、制御部61は、第1ウェハをカセットC3へ収容させた後、複数枚の第2ウェハを補正後の各目標収容位置に対して同時に収容させることとした。これにより、基板収容処理に要する時間を短縮することができる。
【0071】
なお、ここでは、複数枚の第2ウェハを第1保持部211および第2保持部212を用いて保持してカセットC3へ同時に収容させることとしたが、搬送制御部611は、少なくとも第2保持部212を用いて複数枚の第2ウェハを保持させてカセットC3へ収容させればよく、必ずしも第1保持部211を用いることを要しない。
【0072】
つづいて、制御部61は、カセットC3が満杯になったか否かを判定する(ステップS110)。カセットが満杯になったか否かは、搬送制御部611から送られてくる基板搬送部21の制御情報を基に判断することができる。制御部61は、カセットC3が満杯でない場合には(ステップS110,No)、カセットC3が満杯になるまでステップS107〜S110の処理を繰り返す(すなわち、第3ウェハ以降のウェハWについて同様の動作を続ける)。そして、カセットC3が満杯になったと判定すると(ステップS110,Yes)、制御部61は、基板収容処理を終了する。
【0073】
上述したように、第1の実施形態に係る基板処理装置100は、基板搬送部21と、基板検出部23と、制御装置6とを備える。基板搬送部21は、複数枚のウェハWを収容可能なカセットC1〜C4との間で基板の受け渡しを行う。基板検出部23は、カセットC1〜C4に収容された基板を検出する。制御装置6は、基板搬送部21を制御する。
【0074】
また、制御装置6は、搬送制御部611と、判定部612と、補正部613とを備える。搬送制御部611は、予め決定された目標収容位置に対して第1ウェハを収容するように基板搬送部21を制御する。判定部612は、カセットC3へ収容された第1ウェハを基板検出部23によって検出した後、基板検出部23の検出結果に基づいて第1ウェハの実際の収容位置を判定する。そして、補正部613は、第1ウェハの実際の収容位置と目標収容位置とのずれに基づき、第2ウェハ及びそれ以降の収容位置として予め決定された目標収容位置を補正する。
【0075】
したがって、第1の実施形態に係る基板処理装置100によれば、カセットC3に対してウェハWを適切に収容することができる。
【0076】
(第2の実施形態)
ところで、上述した第1の実施形態では、第1ウェハの実際の収容位置と目標収容位置とのずれ量を補正量とし、かかる補正量を以降の全てのウェハWの目標収容位置の補正量として適用する場合の例について説明した。つまり、上述した第1の実施形態では、ウェハWの実際の収容位置と目標収容位置とのずれ量の算出を1枚目のウェハWである第1ウェハについてのみ行うこととした。
【0077】
しかし、基板収容処理はこれに限ったものではなく、カセットC3へウェハWを収容するごとに、上記ずれ量の算出を行ってもよい。以下では、かかる場合の基板収容処理の例について
図7を用いて説明する。
図7は、第2の実施形態に係る基板収容処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、
図7のステップS201〜S206は、
図6のステップS101〜S106と同様であるため説明を省略する。
【0078】
図7に示すように、ステップS206において第1ウェハの厚みが正常であると判定すると(ステップS206,Yes)、制御部61は、カセットC3に対して所定枚数(ここでは、m枚とする)のウェハWの収容が完了したか否かを判定する(ステップS207)。
【0079】
かかる処理において、カセットC3へ収容したウェハWの枚数がm枚に達していない場合(ステップS207,No)、補正部613は、今回カセットC3に収容したウェハW実際の収容位置を基に、次にカセットC3に収容すべき1枚のウェハWの目標収容位置を補正する(ステップS208)。そして、搬送制御部611は、基板搬送部21を制御して、バッファカセットに収容された1枚のウェハWを第1保持部211で保持させ(ステップS209)、かかるウェハWを補正後の目標収容位置へ収容させる(ステップS210)。
【0080】
つづいて、制御部61は、カセットC3が満杯になったか否かを判定する(ステップS211)。制御部61は、カセットC3が満杯になっていない場合(ステップS211,No)、カセットC3へ収容したウェハWの枚数がm枚に達するまで、ステップS203〜S211の処理を繰り返す。
【0081】
このように、第2の実施形態では、ウェハWをカセットC3へ収容するごとに、実際の収容位置を算出して次回の目標収容位置を補正する。具体的には、判定部612は、ウェハWがカセットC3へ収容されるごとに、かかるウェハWの実際の収容位置を判定し、補正部613は、ウェハWがカセットC3へ収容されるごとに、かかるウェハWの実際の収容位置に基づき、次回のウェハWの目標収容位置を補正する。これにより、カセットC3に対してウェハWをより適切に収容することができる。
【0082】
一方、ステップS207においてm枚目のウェハWの収容が完了したと判定すると(ステップS207,Yes)、補正部613は、複数枚(たとえば、5枚)のウェハWの各目標収容位置を、m枚目のウェハWの実際の収容位置を基に補正する(ステップS212)。
【0083】
そして、搬送制御部611は、基板搬送部21を制御して、バッファカセットに収容された複数枚のウェハWを第1保持部211および第2保持部212で保持させ(ステップS213)、各ウェハWを補正後の各目標収容位置へ同時に収容させる(ステップS214)。
【0084】
つづいて、制御部61は、カセットC3が満杯になったか否かを判定する(ステップS215)。制御部61は、カセットC3が満杯でない場合(ステップS215,No)、カセットC3が満杯になるまでステップS212〜S215の処理を繰り返す。
【0085】
そして、制御部61は、ステップS211においてカセットC3が満杯になったと判定した場合(ステップS211,Yes)、ステップS215においてカセットC3が満杯になったと判定した場合(ステップS215,Yes)、あるいは、ステップS205において処理を中止した場合に、基板収容処理を終了する。
【0086】
このように、第2の実施形態では、カセットC3に収容したウェハWの枚数が所定枚数に達した場合、つまり、処理を中止することなく所定枚数のウェハWを正常に収容できた場合には、今後異常が発生する可能性が低いと判断して、複数枚のウェハWをカセットC3へまとめて収容する処理へ移行することとした。これにより、ウェハWを適切に且つ短時間でカセットC3へ収容することができる。
【0087】
(第3の実施形態)
ところで、上述した第1の実施形態および第2の実施形態では、カセットC1〜C4へ最初に収容される第1ウェハが、製品ウェハであるウェハWである場合の例について説明した。しかし、第1ウェハは、製品ウェハではなくダミーウェハWd(
図1参照)であってもよい。以下、第3の実施形態では、第1ウェハとしてダミーウェハWdを用いる場合の例について説明する。
【0088】
かかる場合、基板処理装置100では、基板処理部5においてウェハWが処理されている間に、基板搬送部21が、搬送制御部611による制御に従ってダミーウェハ格納部24からダミーウェハWdを取り出す。
【0089】
つづいて、基板処理装置100では、
図6に示すステップS102およびS103または
図7に示すステップS202およびS203と同様の処理を行う。すなわち、基板搬送部21が、ダミーウェハ格納部24から取り出したダミーウェハWdを空のカセットC3の最下段のスロットへ収容し、基板検出部23がダミーウェハWdの検出を行った後、判定部612が、基板検出部23の検出結果に基づいてダミーウェハWdの実際の収容位置および厚みを判定する。
【0090】
判定部612によってダミーウェハWdの実際の収容位置および厚みが判定されると、基板搬送部21は、ダミーウェハWdをカセットC3から取り出し、ダミーウェハ格納部24へ戻す。これによりカセットC3は再び空の状態となる。
【0091】
つづいて、基板搬送部21は、基板処理部5によって処理された製品ウェハであるウェハWをバッファカセットから取り出す。そして、基板搬送部21は、判定部612によって判定されたダミーウェハWdの実際の収容位置に、バッファカセットから取り出したウェハWを収容する。
【0092】
このように、第2の実施形態では、製品ウェハをカセットC3に収容する前に、ダミーウェハWdをカセットC3へ収容してダミーウェハWdの実際の収容位置を判定し、ダミーウェハWdの実際の収容位置を用いて、1枚目の製品ウェハをカセットC3へ収容することとした。これにより、カセットC3に最初に収容される製品ウェハが破損するリスクを低減することができる。
【0093】
なお、その後の処理は、
図6に示すステップS103〜S110または
図7に示すステップS203〜S215の処理と同様である。すなわち、カセットC3に収容されたウェハWの実際の収容位置および厚みを判定部612によって判定し、ウェハWの厚みが正常か否か、および、目標収容位置とのずれ量が閾値内かをそれぞれ判定したうえで、複数枚のウェハWの各目標収容位置を補正し、補正後の目標収容位置に対して複数枚のウェハWを同時に収容する。
【0094】
上述の例では、ダミーウェハWdの実際の収容位置等を判定した後、さらに、ダミーウェハWdと同じ場所に収容されるウェハWについても実際の収容位置等を判定することとした。しかし、ダミーウェハWdと同じ場所に収容されるウェハWについての判定処理を省略し、ダミーウェハWdの実際の収容位置に基づいて複数枚のウェハWの各目標収容位置の補正を行ってもよい。
【0095】
(第4の実施形態)
基板処理装置100は、蓄積された判定情報622を用いて、次回のウェハWの目標収容位置と実際の収容位置とのずれ量を予測してもよい。かかる点について
図8を参照して説明する。
図8は、次回のウェハWの目標収容位置と実際の収容位置とのずれ量を予測する場合の説明図である。
【0096】
なお、
図8に示すP1〜P4は目標収容位置を示し、p1〜p3は基板検出部23の検出結果に基づいて判定された実際の収容位置を示している。
【0097】
たとえばカセットC3が傾いている場合、
図8に示すように、目標収容位置P1〜P3と実際の収容位置p1〜p3とのずれ量g1〜g3は、カセットC3の上段側ほど大きくなる。補正部613は、記憶部62に上記ずれ量g1〜g3を蓄積しておき、蓄積したずれ量g1〜g3からずれ量の変化率を算出し、算出した変化率と、次回の目標収容位置P4とを用いて、次回のずれ量g4を予測する。そして、補正部613は、予測したずれ量g4を用いて補正後の目標収容位置P4を算出する。
【0098】
このように、目標収容位置と実際の収容位置とのずれ量を記憶部62に蓄積し、蓄積したずれ量に基づいて次回のずれ量を予測することとしてもよい。これにより、目標収容位置の補正精度を高めることができる。
【0099】
また、制御部61は、目標収容位置と実際の収容位置とのずれ量の蓄積情報に基づき、同時に収容するウェハWの枚数を変更することとしてもよい。
【0100】
すなわち、カセットC3の傾きが大きくなるほど、カセットC3に対して複数枚のウェハWを同時に収容することが困難となる。そこで、搬送制御部611は、上記ずれ量の変化率が高くなるほど、同時に収容するウェハWの枚数を少なくしてもよい。
【0101】
たとえば、搬送制御部611は、上記ずれ量の変化率を用いて次回収容すべき複数のウェハWの実際の収容位置をそれぞれ予測し、予測した実際の収容位置に対して同時に収容可能なウェハWの最大枚数を割り出して、この最大枚数のウェハWをカセットC3に同時に収容するように基板搬送部21を制御することとしてもよい。
【0102】
上述してきた各実施形態では、基板検出部23が搬送ステーション2に設けられる専用ユニットである場合の例を示したが、基板検出部23は、たとえば第1保持部211のフォーク211aの先端にそれぞれ投光器および受光部を取り付けたものであってもよい。
【0103】
また、上述してきた各実施形態では、第1ウェハが、カセットC3に対して収容される1枚目のウェハWである場合の例を示したが、第1ウェハは、これに限ったものではなく、2枚目以降のウェハWであってもよい。
【0104】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。