(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
コンテナを蔵置する蔵置レーンに隣接し、該蔵置レーンの長手方向に延在する往路及び復路と、前記往路を、前記コンテナを搭載して自走し、前記復路を、前記コンテナを搭載しないで前記往路を自走した方向の逆方向に自走する運搬台車とを備えるコンテナターミナルにおいて、
前記運搬台車が、前記往路と前記復路の延在方向と、前記運搬台車の向きを変えずに前記延在方向に略直交する方向に自走可能な自走装置を備えると共に、
前記往路と前記復路のそれぞれに交差し、前記運搬台車が前記運搬台車の向きを変えずに自走する接続路を備えていて、
前記往路と前記復路、又は前記接続路のどちらか一方を、他方と交差する部分で途切れる一対のレールで形成すると共に、前記一方の途切れた部分を前記運搬台車が自走するときに、前記運搬台車の車輪のフランジ部を転動させて自走するフランジ用レールを備え、前記他方を前記フランジ用レールと交差する部分で途切れる一対のレールで形成することを特徴とするコンテナターミナル。
前記往路と前記復路の端側に、前記運搬台車の車輪と前記接続路の位置を合せる第1車輪止めを備えると共に、前記接続路の両端側に、前記運搬台車の車輪と前記往路又は前記復路の位置を合せる第2車輪止めを備えることを特徴とする請求項1に記載のコンテナターミナル。
前記自走装置が、前記往路、前記復路、及び前記接続路を転動する共用車輪と、該共用車輪の転動方向を前記往路及び前記復路、又は前記接続路のどちらか一方に転換する車輪回転装置を備えると共に、前記運搬台車又は、前記往路と前記復路が前記接続路に交差する部分のどちらか一方に、前記車輪回転装置が回転するときに、前記共用車輪を前記往路、前記復路、及び前記接続路と接触しない位置に保持する昇降装置を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のコンテナターミナル。
コンテナを蔵置する蔵置レーンに隣接し、該蔵置レーンの長手方向に延在する往路及び復路と、前記往路を、前記コンテナを搭載して自走し、前記復路を、前記コンテナを搭載しないで前記往路を自走した方向の逆方向に自走する運搬台車とを備えるコンテナターミナルの制御方法において、
前記往路と前記復路のそれぞれに交差する接続路と、前記往路と前記復路の端側に設けた第1車輪止めと、前記接続路の両端側に設けた第2車輪止めとを備えていて、
前記往路と前記復路または前記接続路のどちらか一方を他方と交差する部分で途切れる一対のレールで形成するとともに、前記一方の途切れた部分を前記運搬台車が自走するときに前記運搬台車の車輪のフランジ部を転動させて自走させるフランジ用レールを設置して、前記他方を前記フランジ用レールと交差する部分で途切れる一対のレールで形成して、
前記往路から前記復路に、又は前記復路から前記往路に移動する際に、前記第1車輪止めで前記運搬台車の車輪と前記接続路との位置を合せて、前記運搬台車が、前記運搬台車の向きを変えずに前記接続路を自走する第1工程と、
前記第1工程の後に、前記第2車輪止めで前記運搬台車の車輪と前記往路又は前記復路との位置を合せて、前記運搬台車が、前記運搬台車の向きを変えずに前記往路又は前記復路を自走する第2工程と、を含んでいて、
前記往路および前記復路と前記接続路とが交差する部分を前記運搬台車が走行する際に、前記フランジ用レールの上に前記車輪の前記フランジ部を接触させた状態で走行させることを特徴とするコンテナターミナルの制御方法。
【背景技術】
【0002】
コンテナターミナルは船舶に対してコンテナを積み込み又は積み卸し、陸上輸送用の外来シャーシでコンテナを搬入および搬出する施設である。また、積み卸し又は搬入されたコンテナを一時的に保管する施設でもある。
【0003】
現在、国際航路におけるコンテナ輸送システムの急速な進展に伴い、コンテナターミナル内での荷役や蔵置作業の自動化や省力化が望まれている。すなわち船舶とコンテナターミナル間のコンテナの搬送およびコンテナターミナルでのコンテナの蔵置部分での自動化や高能率化、ならびに低コスト化などが重要になっている。
【0004】
そこで、一つのコンテナの両端部を二台一組で保持して、運搬するカート(運搬台車)がある(例えば、特許文献1参照)。このカートは、コンテナを運搬するカートを従来のものよりも小型化し、コンテナ運搬の効率を向上すると共に、消費電力を低減している。
【0005】
一方、コンテナを蔵置する蔵置レーンに隣接し、蔵置レーンの長手方向に延在する往路と復路とを備え、カートが往路を走行したときの逆方向に復路を自走するコンテナターミナルもある(例えば、特許文献2参照)。このコンテナターミナルは、蔵置レーンに隣接するカートの走行路を、カートがコンテナを搭載して走行する往路と、コンテナを搭載しないで走行する復路とに分けることで、次々にカートにコンテナを運搬させて荷役効率を向上している。
【0006】
ここで、それら二つの装置を組み合わせたコンテナターミナルの動作について、
図11を参照しながら説明する。このコンテナターミナル1Xは、船舶SからコンテナCを積み卸す場合には、まず、岸壁クレーンGCが荷役したコンテナCを、周回搬送台車7が海側受渡領域3まで運搬する。
【0007】
次に、海側受渡領域3の受渡架台5がそのコンテナCを二台のカート9に搭載し、その二台のカート9が往路11を自走して、コンテナCをどちらか一方のヤードクレーン6まで運搬する。次に、ヤードクレーン6が二台のカート9からコンテナCを受け取り、蔵置レーン2に蔵置する。そして二台のカート9は往路11から復路12に移載され、それぞれ復路12を自走して元に戻る。
【0008】
船舶Sへ積み込む場合には、この逆の動作となり、カート9が復路12を自走し、復路12から往路11に移載され、往路11を自走し、ヤードクレーン6からコンテナCを受け取る。
【0009】
また、外部からコンテナを搬入する場合には、まず、外来シャーシ8がコンテナCを陸側受渡領域4まで運搬する。次に、陸側受渡領域4の受渡架台5がそのコンテナCを二台のカート9に搭載し、その二台のカート9がコンテナCをどちらか一方のヤードクレーン6まで運搬する。次に、ヤードクレーン6が二台のカート9からコンテナCを受け取り、蔵置レーン2に蔵置する。外部へ搬出する場合には、この逆の動作を行う。
【0010】
各動作において、カート9は二台一組で一つのコンテナCを搭載して往路11を自走し、復路12へと移動して、元に戻る、又は復路12を自走し、往路11へ移動して、コンテナCを搭載して元に戻る。このとき、往路11と復路12との間の移動にカート9を持ち上げる、又は吊り上げる移載機13Xを用いて、または、移載機13Xの換わりにカート9を鉛直方向に持ち上げて、往路11と復路12との間の移動を行うコンベア(図示しない)を用いて行っている。
【0011】
しかし、この移載機13Xを用いた方法や、コンベアを用いた方法では、自重が約2tあるカート9を持ち上げる、又は吊り上げる必要があり、且つその状態で往路11と復路12との間を移動させているため、カート9の移動に時間が掛かっていた。
【0012】
また、カート9が往路11と復路12との間を移動する際に、カート9をレールから持ち上げる、又は吊り上げることにより、カート9の車輪と往路11又は復路12のレールが離れてしまい、カート9の車輪と往路11又は復路12のレールとの位置合わせを正確に行う必要があった。このとき、カート9をレール上に降ろす際には、往路11と復路12のレールとカート9の車輪との寸法差を約5mm程度以内に収めなければならず、高精度の操作、又は制御が必要である。
【0013】
また、移載機13Xを用いずに、往路11と復路12の両端部のそれぞれを円環状に形成すると、カート9の自走で往路11と復路12との間の移動を行うことができるが、円環状にすることで往路11と復路12との間の幅を大きくする必要があり、蔵置レーン2の間の間隔が広くなり、蔵置レーン2を多く配置することができないという新たな問題が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、その目的は、蔵置レーンに隣接する往路と復路との間の移動を、運搬台車の自走で行うことにより、往路と復路との間の移動を速やかに、且つ高度な操作を必要とせずに容易に行うことができ、コンテナを運搬する運搬台車が環状に自走することを可能にして、荷役効率を向上することができるコンテナターミナルとその制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を解決するための本発明のコンテナターミナルは、コンテナを蔵置する蔵置レーンに隣接し、該蔵置レーンの長手方向に延在する往路及び復路と、前記往路を、前記コンテナを搭載して自走し、前記復路を、前記コンテナを搭載しないで前記往路を自走した方向の逆方向に自走する運搬台車とを備えるコンテナターミナルにおいて、前記運搬台車が、前記往路と前記復路の延在方向と、前記運搬台車の向きを変えずに前記延在方向に略直交する方向に自走可能な自走装置を備えると共に、前記往路と前記復路のそれぞれに交差し、前記運搬台車が前記運搬台車の向きを変えずに自走する接続路を備え
ていて、前
記往路と前記復路、又は前記接続路のどちらか一方を、他方と交差する部分で途切れる一対のレールで形成すると共に、前記一方の途切れた部分を前記運搬台車が自走するときに、前記運搬台車の車輪のフランジ部を転動させて自走するフランジ用レールを備え、前記他方を前記フランジ用レールと交差する部分で途切れる一対のレールで形成することを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、運搬台車の向きをそのままに、自走方向のみを変えて、運搬台車が往路と復路の間をスムーズに自走することができる。これにより、運搬台車を持ち上げて、又は吊り上げたまま移載することが無くなり、運搬台車の自走により、往路と復路との間の移動を速やかに行うことができる。
【0018】
また、
前述の作用効果に加えて、交差する部分での運搬台車の走行をスムーズにすることができる。
【0019】
鉄道車両のように、車両の全長が長く、且つ一台の車両に多くの車輪を持つ場合は、走行レールの交差する部分を所謂ダイヤモンドクロッシングで形成しても、問題無く走行できるが、本発明のような全長が短く、且つ一台の運搬台車に設けた車輪が全て交差する部分にかかる場合は、脱輪などを起こす可能性がある。
【0020】
上記の構成によれば、往路と復路、又は接続路のどちらか一方のレールの途切れた間隔を狭くして、レールが途切れても運搬台車がスムーズに自走すると共に、他方のレールを運搬台車が自走するときに、車輪のフランジを利用して、一方のレールをスムーズに跨ぐことができる。これにより、運搬台車が往路又は復路と接続路との交差する部分を自走するときに、脱輪などを防止することができる。
【0021】
加えて、上記のコンテナターミナルにおいて、前記往路と前記復路の端側に、前記運搬台車の車輪と前記接続路の位置を合せる第1車輪止めを備えると共に、前記接続路の両端側に、前記運搬台車の車輪と前記往路又は前記復路の位置を合せる第2車輪止めを備えると、運搬台車が接続路を自走する前に、及び運搬台車が往路又は復路を自走する前に、運搬台車の車輪の位置合せを行うことができる。これにより、運搬台車の走行路をレールで形成する際に発生する、レールと運搬台車の車輪との位置合せを容易に行うことができるので、高度な操作を省くことができる。
【0022】
さらに、上記のコンテナターミナルにおいて、少なくとも前記往路と前記復路の両端部のそれぞれに前記接続路を備え、前記運搬台車が自走する走行路を、少なくとも一つの環状路で形成すると、運搬台車が往路と復路とを含む環状路を自走することを可能とし、運搬台車が次々にコンテナを運搬することができる。これにより、効率良くコンテナを運搬することができ、荷役効率を向上することができる。加えて、往路と復路の端部に円環状の走行路を設けた環状路と比べて、往路と復路との間の間隔を狭くすることができるので、コンテナターミナル内の配置することができる蔵置レーンの数を増やすことができる。
【0023】
その上、上記のコンテナターミナルにおいて、前記蔵置レーンに、外部から搬入されるコンテナを蔵置する搬入コンテナ領域と、外部へ搬出されるコンテナを蔵置する搬出コンテナ領域とを備えると共に、前記搬入コンテナ領域と前記搬出コンテナ領域との境界の延長線上の近傍に前記接続路を備え、前記搬入コンテナ領域で荷役するときに前記運搬台車が自走する搬入環状路と、前記搬出コンテナ領域で荷役するときに前記運搬台車が自走する搬出環状路を形成すると、運搬台車の走行距離を短くすることができる。これにより、運搬台車が環状に走行する時間を短縮すると共に、運搬台車の台数を少なくすることができる。
【0024】
例えば、コンテナターミナルから外部へコンテナを搬出する場合は、搬出コンテナ領域のみで荷役作業が行われるため、運搬台車が搬入コンテナ領域まで走行することは無駄であり、上記の構成によれば、その無駄な運搬台車の走行を省くことができる。
【0025】
また、上記のコンテナターミナルにおいて、前記自走装置が、前記往路及び前記復路を転動する主車輪と、前記接続路を転動する
接続路用車輪と、前記主車輪又は前記接続路用車輪のどちらか一方が転動しているときに、もう一方を前記往路、前記復路、及び前記接続路と接触しない位置に保持する車輪昇降装置とを備えると、走行の邪魔になる方の車輪を往路、復路、及び接続路と接触しない位置に保持することができるので、円滑に往路と復路との間の移動を行うことができる。
【0026】
また、主車輪又は接続路用車輪の少なくとも一方がレールと接触しているため、レールと車輪との位置合わせが、車輪も含めて運搬台車を持ち上げ、又は吊り上げて移載する方法と比べて、容易に行うことができる。
【0027】
一方、上記のコンテナターミナルにおいて、前記自走装置が、前記往路、前記復路、及び前記接続路を転動する共用車輪と、該共用車輪の転動方向を前記往路及び前記復路、又は前記接続路のどちらか一方に転換する車輪回転装置を備えると共に、前記運搬台車又は、前記往路と前記復路が前記接続路に交差する部分のどちらか一方に、前記車輪回転装置が回転するときに、前記共用車輪を前記往路、前記復路、及び前記接続路と接触しない位置に保持する昇降装置を備えると、共用車輪を回転させるだけで運搬台車の自走方向を転換することができる。
【0028】
その上、上記のコンテナターミナルにおいて、前記往路又は前記復路の一方と接続され、自走できない前記運搬台車が、後追いの前記運搬台車に押されて進入する故障車用路を備えると、往路又は復路上で自走不能になった運搬台車を、その運搬台車の後ろを自走していた運搬台車で故障車用路まで押し込むことができる。これにより、運搬台車が故障してもコンテナターミナルの荷役作業を止めることなく継続することができる。
【0029】
また、上記の目的を解決するためのコンテナターミナルの制御方法は、コンテナを蔵置する蔵置レーンに隣接し、該蔵置レーンの長手方向に延在する往路及び復路と、前記往路を、前記コンテナを搭載して自走し、前記復路を、前記コンテナを搭載しないで前記往路を自走した方向の逆方向に自走する運搬台車とを備えるコンテナターミナルの制御方法において、前記往路と前記復路のそれぞれに交差する接続路と、前記往路と前記復路の端側に設けた第1車輪止めと、前記接続路の両端側に設けた第2車輪止めとを備え
ていて、前記往路と前記復路または前記接続路のどちらか一方を他方と交差する部分で途切れる一対のレールで形成するとともに、前記一方の途切れた部分を前記運搬台車が自走するときに前記運搬台車の車輪のフランジ部を転動させて自走させるフランジ用レールを設置して、前記他方を前記フランジ用レールと交差する部分で途切れる一対のレールで形成して、前記往路から前記復路に、又は前記復路から前記往路に移動する際に、前記第1車輪止めで前記運搬台車の車輪と前記接続路との位置を合せて、前記運搬台車が、前記運搬台車の向きを変えずに前記接続路を自走する第1工程と、前記
第1工程の後に、前記第2車輪止めで前記運搬台車の車輪と前記往路又は前記復路との位置を合せて、前記運搬台車が、前記運搬台車の向きを変えずに前記往路又は前記復路を自走する第2工程と、を含
んでいて、前記往路および前記復路と前記接続路とが交差する部分を前記運搬台車が走行する際に、前記フランジ用レールの上に前記車輪の前記フランジ部を接触させた状態で走行させることを特徴とする方法である。
【0030】
この方法によれば、往路と復路の延在方向に略直交する方向に運搬台車の移動を、運搬台車の車輪と走行路との位置を正確に合わせて、運搬台車の向きそのままに運搬台車が接続路を自走することで行うことができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、蔵置レーンに隣接する往路と復路との間の移動を、運搬台車の自走で行うことにより、往路と復路との間の移動を速やかに、且つ高度な操作を必要とせずに容易に行うことができ、コンテナを運搬する運搬台車が環状に自走することを可能にして、荷役効率を向上することができる。これにより、運搬台車に効率よくコンテナを運搬させることができるので、荷役効率を向上し、且つ消費電力を低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明に係る実施の形態のコンテナターミナルについて、図面を参照しながら説明する。この実施の形態では、蔵置レーンが海陸方向に長手方向を有するコンテナターミナルを例に説明するが、本発明はこれに限定せず、例えば、蔵置レーンが海陸方向と直交する方向に長手方向を有するコンテナターミナルに適用することができる。なお、図面に関しては、構成が分かり易いように寸法を変化させており、各部材、各部品の板厚や幅や長さなどの比率も必ずしも実際に製造するものの比率とは一致させていない。
【0034】
まず、本発明に係る第1の実施の形態のコンテナターミナルについて、
図1〜
図4を参照しながら説明する。
図11に示す従来のコンテナターミナルの移載機に換えて、
図1に示すように、コンテナターミナル1は、蔵置レーン2に隣接し、カート(運搬台車)9が自走する往路11と復路12の両端部に、移動部13aと13bを備え、往路11、復路12、及び移動部13aと13bとから図中の矢印で示す環状路10を形成する。
【0035】
この環状路10とは、例えば、カート9が往路11を自走し、移動部13bで往路11から復路12へ移動し、カート9が往路11を自走した方向とは逆向きに復路12を自走し、移動部13aで復路12から往路11へ移動する走行路のことであり、蔵置レーン2に隣接する双方向(図中の時計回り、又は反時計回り)の環状路である。
【0036】
図2に示すように、カート9は、無人の運搬台車であり、また、往路11又は復路12を海から陸へ向かう方向に、及び陸から海へ向かう方向に、つまり双方向に自走可能な運搬台車である。このカート9は、例えば、一つのコンテナCを一台で搭載できるものを用いることができるが、好ましくは、コンテナCの両端部を二台で保持して運搬することができるものがよい。なお、この実施の形態では、車輪を駆動する機構などは周知の技術を
用いることとして、その説明を省略する。
【0037】
図2の(a)に示すように、このカート9は、往路11又は復路12を転動する主車輪21を有する主走行装置20と、接続路13を転動する接続路用車輪31を有する接続路用走行装置30とを備える。なお、各車輪はカート9に複数搭載しているが、重複するため図面では符号をそのうちの一つにのみ付ける。
【0038】
また、主車輪21を、往路11又は復路12のレール上を転動する車輪部21aと、車輪部21aの縁に設け、脱線を防ぐための出っ張りであるフランジ部21bとから構成し、接続用車輪31も同様に車輪部31aとフランジ部32bとから構成する。加えて、接続路用走行装置30には、接続路用車輪31を鉛直方向に昇降する昇降装置32を備える。
【0039】
主走行装置20は、主車輪21を回転させて、カート9を往路11又は復路12の延在方向の双方向(図中のa又はb)に自走させ、接続路用走行装置30は、接続路用車輪31を回転させて、カート9を接続路14の延在方向の双方向(図中のc又はd)に自走させる装置である。
【0040】
昇降装置32は、
図2の(b)に示すように、接続路用車輪31と、それを駆動するための機構などを鉛直方向に昇降することができればよく、周知の技術の昇降装置を用いることができる。例えば、油圧で駆動するダンパーなどである。
【0041】
図1に示すように、往路11と復路12を、蔵置レーン2の長手方向、つまり海陸方向に延在する一対のレールで形成し、往路11を蔵置レーン2側に配置し、且つ往路11と復路12とを略平行に配置する。この往路11は、カート9が二台一組になりコンテナCを運搬する走行路であり、復路12は、カート9がコンテナCを運搬せず一台ずつ自走する走行路である。
【0042】
図3に示すように、移動部13(移動部13aと13bは構成が同一になるため、以下13で統一する)は、往路11と復路12のそれぞれに交差する接続路14を備える。この接続路14を往路11又は復路12と交差する部分で途切れる一対のレールで形成し、その途切れた部分(以下、途切れ部14aとする)には、フランジ用レール15を備える。
【0043】
また、往路11と復路12の端側に、第1車輪止め16aを、接続路14の両端側に第2車輪止め16bをそれぞれ備える。加えて、故障車用路17、制御装置18、及びカート用センサ(運搬台車用センサ)19を備える。
【0044】
接続路14を、往路11と復路12のそれぞれに略直角となるように交差して配置する。この接続路14は、カート9がカート9の向きをそのままに、接続路用車輪31を転動させて、往路11から復路12に、又は復路12から往路11に移動する走行路である。
【0045】
図4の(a)に示すように、往路11を、接続路14のフランジ用レール15と交差する部分に途切れた部分(以下、途切れ部11aとする)を備える一対のレールで形成する。
【0046】
この途切れ部11aの間隔L1は、カート9の主車輪21が、途切れ部11aを通過するときに、脱輪しない、主車輪21が嵌らない、又はギャップによる衝撃が大きくならないような狭い幅であり、好ましくは接続路用車輪31の幅方向の幅L2よりも狭く、接続路用車輪31のフランジ部31bの幅方向の幅L3よりも広い幅である。これにより、カ
ート9が二台一組になってコンテナCを運搬する往路11を、カート9が自走したときに、途切れ部11aでの上下の変化を抑制することができる。
【0047】
図4の(b)に示すように、接続路14は、往路11と交差する部分に途切れ部14aを備え、その途切れ部14aにフランジ用レール15を配置し、そのフランジ用レール15で接続路14の途切れた部分を補っている。
【0048】
この途切れ部14aの間隔L4を、主車輪21が往路11を転動するときに邪魔にならない長さで、可能な限り短くすると、カート9が接続路用車輪31のフランジ部31bで走行したときの直進性を保持することができる。また、接続路14とフランジ用レール15との重なる部分も長くなるので、より直進性を保持することができる。加えて、フランジ用レール15に、ガイドを設けて、カート9が接続路用車輪31のフランジ部31bで走行したときの直進性を保持してもよい。
【0049】
フランジ用レール15を、往路11の延在方向に幅方向を、接続路14の延在方向にその長手方向をそれぞれ有し、往路11接続路用車輪31のフランジ31bが転動するレールで形成する。このフランジ用レール15は、途切れ部11aで往路11に挟まれるが、好ましくはフランジ用レール15と往路11とを接触させると、カート9が接続路用車輪31のフランジ部31bで走行したときに、フランジ用レール15より突出する往路11がガイドとなるので、直進性を保持することができる。
【0050】
加えて、フランジ用レール15は、カート9が接続路14を自走し、往路11を跨ぐときに、スムーズに走行できるように、接続路用車輪31のフランジ31bが転動可能な斜面を有し、往路11のレールを跨ぐときに、接続路用車輪の車輪31aが往路11のレールと接触しない高さを保持できる高さが好ましい。
【0051】
第1車輪止め16aを、往路11又は復路12の端側、詳しくは第1車輪止め16aと主車輪21とが接触してカート9が停止した位置が、接続路用車輪31を降ろしたときに、接続路用車輪31のフランジ部31bとフランジ用レール15とが正確に接触する位置となるように配置する。
【0052】
この第1車輪止め16aは、自走不能になったカート9を故障車用路17に退避させるときに、走行の邪魔にならないように、可動式が好ましい。
【0053】
第2車輪止め16bを、接続路14の両端側、詳しくは第2車輪止め16bと接続路用車輪31とが接触して接続路14を自走していたカート9が停止した位置が、主車輪21を降ろしたときに、主車輪21の車輪部21aと往路11又は復路12のレールとが正確に接触する位置となるように配置する。
【0054】
上記の構成によれば、往路11のレールの途切れた間隔を狭くすると共に、接続路14のレールをカート9が自走するときに、接続路用車輪31のフランジ部31bを利用して、往路11のレールをスムーズに跨ぐことができるので、脱輪などを防止することができる。また、往路11の途切れ部11aの間隔L1を狭くすることができるので、カート9が途切れ部11aを通過するときに、途切れ部11aから影響を受けずに通過することができる。
【0055】
また、第1車輪止め16aと第2車輪止め16bにより、主車輪21の車輪部21aと往路11又は復路12との位置合わせを、若しくは接続路用車輪31のフランジ部31bとフランジ用レール15との位置合わせを正確に、且つ容易に行うことができる。
【0056】
この実施の形態では、途切れ部11aで往路11に挟まれ、且つ途切れ部14aで接続路14を接続するフランジ用レール15を設けたが、往路11の途切れ部11aに主車輪21のフランジ部21bが転動可能なフランジ用レールを設けてもよい。しかし、カート9が往路11を自走するときは、カート9が二台一組でコンテナCを搭載しているため、コンテナCの運搬に影響がでる可能性がある。
【0057】
次に、昇降装置32で接続路用車輪31をフランジ用レール15に降ろすと共に、主車輪21を往路11及び接続路13と接触しない位置まで持ち上げて保持する動作について説明する。
図5の(a)に示すように、カート9が往路11を自走しているときは、昇降装置32が、接続路用車輪31を往路11と接触しない位置に保持している。
【0058】
主車輪21と第1車輪止め16aとが接触して、カート9が停止すると、
図5の(b)に示すように、昇降装置32が鉛直方向の下向きに接続路用車輪31を降ろす。そして、接続路用車輪31のフランジ部31bが、フランジ用レール15と接触する。
【0059】
次に、昇降装置32が、
図5の(c)に示すように、主車輪21が往路11と接触しない位置まで持ち上げる。これにより、カート9の向きをそのままにして、自走方向のみを転換することができる。
【0060】
この動作によれば、主車輪21又は接続路用車輪31のどちらか一方の車輪が転動しているときに、もう一方の車輪を往路11、復路12、及び接続路14に接触しない位置に保持することができるので、復路12との間の移動を行うことができる。
【0061】
また、カート9の自走方向を転換するときに、主車輪21又は接続路用車輪31の少なくとも一方がレールと接触しているため、第1車輪止め16aと第2車輪止め16bとを用いることができ、レールと車輪との位置合わせが、車輪も含めて運搬台車を持ち上げ、又は吊り上げて移載する方法と比べて、容易になり、高度な操作を省くことができる。
【0062】
故障車用路17は、往路11の延長上に配置する。この故障車用路17は、往路11と復路12のそれぞれに、少なくとも一つ設けるとよい。また、この故障車用路17は、往路11と復路12と同様のレールで形成する。
【0063】
制御装置18は、電気回路によってコンテナターミナル1の制御を担当している電気的な制御を総合的に行うマイクロコントローラであり、カート用センサ19aと19bが検知する信号に基づいてカート9の主走行装置20、接続路用走行装置30、及びその昇降装置32の駆動を制御している。この制御装置18は、例えば荷役作業を管理する管理棟などに設けてもよい。
【0064】
カート用センサ19aは、往路11又は復路12と、接続路14との交差する部分のカート9を検知することができればよく、また、カート用センサ19bは、故障車用路17のカート9を検知することができればよく、周知の技術のセンサを用いることができる。例えば、映像でカート9を検知するセンサやカート9側に設けた発信機と連動して検知するセンサでもよい。
【0065】
次に、カート9が往路11と復路12との間で移動するときのコンテナターミナル1の制御方法について、
図5及び
図6を参照しながら説明する。なお、ここでは、カート9が往路11を海側か陸側に自走し、復路12を陸側から海側に自走するときの移動を例に説明するが、カート9が逆向きに自走するときの移動も同様の動作であるため、省略する。また、図中にカート9の主車輪21での自走方向を矢印a及び矢印b、接続路用車輪31での自走方向を矢印c及び矢印dで示す。
【0066】
まず、
図6の(a)に示すように、往路11を海側から陸側に自走方向aで自走していたカート9が第1車輪止め16aと接触する(ステップS1)と、カート用センサ19aがカート9を検知する(ステップS2)。次に、制御装置18がカート9を停止する(ステップS3)。このとき、カート9の停止位置が正しいか否かを判断するためのステップを行ってもよい。
【0067】
次に、制御装置18が、
図5の(a)〜(c)に示したように、カート9の自走方向を転換する(ステップS4)。次に、
図6の(b)に示すように、制御装置18が、接続路用走行装置30を駆動して、接続路用車輪31を回転させて、カート9を自走方向cで接続路14を自走させる。(ステップS5)。
【0068】
次に、カート9と第2車輪止め16bと接触する(ステップS6)と、カート用センサ19aがカート9を検知する(ステップS7)。次に、制御装置18が、カート9を停止する(ステップS8)。次に、
図6の(c)に示すように、制御装置18が、前述と同様に昇降装置32で主車輪21を復路12に降ろすと共に、接続路用車輪31を復路12及び接続路14と接触しない位置まで持ち上げて保持する(ステップS9)。
【0069】
次に、制御装置18が、主走行装置20を駆動して、主車輪21を回転させて、カート9を自走方向bで復路12を自走させ(ステップS10)て、この制御方法は完了する。
【0070】
この制御方法によれば、カート9の向きを変えずに、カート9の自走方向を主車輪21から接続路用車輪31に、又は接続路用車輪31から主車輪21に切り換えることにより、往路11と復路12との移動をカート9の自走により行うことができるので、略並行して配置した往路11と復路12との間でカート9を略直角に移動することができる。
【0071】
また、往路11と復路12の間の移動をカート9の自走で行うため、車輪ごとカート9を持ち上げる、又は吊り上げて移動する方法に比べ、移動が速く、且つ第1車輪止め16aと第2車輪止め16bを用いて、カート9の車輪と往路11又は復路12のレールとの位置合わせを容易に行うことができる。加えて、別途移載装置などを設ける必要がなく、さらに、カート9を持ち上げたまま移動することがないので、消費される電力を低減することができる。
【0072】
移動部13にカート9が進入した際に、カート9に電力を給電するように構成すると、往路11と復路12の両端部でカート9へ給電することができる。この給電方法は例えば、非接触給電やパンダグラフなどの接触式給電などを用いることができる。
【0073】
次に、上記の動作を往路11と復路12の両端部で行う第1の実施の形態のコンテナターミナル1の動作について、
図1を参照しながら説明する。このコンテナターミナル1は、
図1に示すように、カート9の走行路を、往路11と復路12と移動部13a及び13bとからなる環状路10にすることで、蔵置レーン2内のコンテナCの運搬を円滑に効率よく行うことができる。
【0074】
例えば、カート9が海側受渡領域3の受渡架台5からコンテナCを受け取り、どちらか一方のヤードクレーン6まで運搬する場合は、カート9は環状路10を右回りに自走する。詳しくは、カート9は、往路11を海側から陸側に向かって自走し、ヤードクレーン6にコンテナCを渡した後に、移動部13bで往路11から復路12へ移動し、復路11を陸側から海側に向かって自走して戻る。
【0075】
このとき、往路11では、カート9が海側から陸側へ自走し、移動部13bで復路12
へと移動し、一方、復路12でも、カート9が陸側から海側へ自走し、移動部13aで往路11へと戻るため、複数のカート9が環状路10を循環するため、カート9の待機時間が少なく、次々にコンテナCを運搬することができる。
【0076】
ヤードクレーン6からコンテナCを受け取り、陸側受渡領域4の受渡架台5まで運搬する場合は、まずカート9が復路12を陸側から海側へ自走し、移動部13aで復路12から往路11へ移動し、往路11を海側から陸側へ自走し、ヤードクレーン6からコンテナCを受け取り、陸側受渡領域4の受渡架台5まで運搬する。
【0077】
逆に、陸側受渡領域の受渡架台5からコンテナを受け取る場合と、ヤードクレーン6からコンテナCを受け取り、海側受渡領域3の受渡架台5まで運搬する場合は、カート9は前述と逆向き、つまり環状路10を左回りに自走する。
【0078】
移動部13aと13bが上記のように動作して、カート9の走行路を環状路10にすることができ、カート9が次々にコンテナCを運搬することができる。よって、蔵置レーン2を跨ぎ、蔵置レーン2の長手方向に移動するヤードクレーン6にはコンテナCの吊り上げ下げを担当させ、カート9には蔵置レーン2内でのコンテナCの運搬を担当させることができるので、蔵置レーン2内のコンテナCの運搬を効率良く行うことができ、且つ次々にコンテナCを運搬することができる。これにより、コンテナターミナル1の荷役効率を向上することができる。
【0079】
加えて、往路11と復路12の両端部に円環状の走行路を設けた場合と比べて、往路11と復路12との間の間隔を狭くすることができるので、コンテナターミナル1内に配置することができる蔵置レーン2の数を増やすことができる。
【0080】
この実施の形態では、上記の移動部13以外は、周知の技術のコンテナターミナルを用いることができる。また、往路11と復路12との間にヤードクレーン6の一方の走行路6bを配置すると、蔵置レーン2、往路11、ヤードクレーンの一方の走行路6b、及び復路12の順に並べることができ、配置スペースを小さくすることができる。これにより、複数の蔵置レーン2の並べた場合に、隣接する蔵置レーン2の間隔を短くすることができ、より多くの蔵置レーン2を設置することができる。この配置は、上記の配置に限定しない。例えば、蔵置レーン2、ヤードクレーン6の一方の走行路6b、往路11、及び復路12の順でもよい。
【0081】
次に、故障車用路17へ自走不能なカート9aを運ぶ動作について、
図7を参照しながら説明する。ここで自走不能なカートをカート9a、自走可能なカートをカート9bとする。この実施の形態では往路11上で自走不能になったカート9aを故障車用路17へ進入させる動作を例に説明するが、本発明はこれに限定せず、復路12で自走不能になったカートにも適用することができる。
【0082】
まず、
図7の(a)に示すように、往路11で自走不能になったカート9aを、自走可能で、カート9aを後追いするカート9bが、移動部13へ向けて押して、自走する(ステップS11)。次に、制御装置18が、第1車輪止め16aを可動して、故障車用路17への走行路を確保する(ステップS12)。このとき、制御装置18はカート9aが故障し、自走不能であることを検知し、カート9aをカート用センサ19aが検知しないように、また、カート9aを故障車用路17に退避させるまで、カート9bをカート用センサ19aが検知しないように制御するとよい。
【0083】
次に、
図7の(b)に示すように、カート9bがカート9aを押したまま、往路11と接続路14との交差する部分で停車せず、往路11と接続された故障車用路17へ進入す
る(ステップS13)。次に、カート用センサ19bがカート9aを検知する(ステップS14)。
【0084】
次に、
図4の(c)に示すように、カート9bの自走方向を反転し、陸側から海側へ自走して、主路14aに載る(ステップS15)と、前述と同様の動作で往路11と復路12との間で移動する。
【0085】
この動作によれば、往路11又は復路12でカート9が故障してもコンテナターミナル1の荷役作業を止めることなく継続することができる。また、この故障車用路17をカート9aに電力を充電するよう構成すると、電力不足で自走不能になったカート9aに電力を供給して、自走可能にすることができる。
【0086】
次に、本発明に係る第2の実施の形態のコンテナターミナルについて、
図8を参照しながら説明する。第1の実施の形態のコンテナターミナル1の蔵置レーン2に、搬入コンテナ領域2aと搬出コンテナ領域2bとを備え、往路11と復路12の両端部に加えて、その搬入コンテナ領域2aと搬出コンテナ領域2bとの境界の延長線2c上の近傍に移動部13cを備える。
【0087】
搬入コンテナ領域2aは、コンテナターミナル1の外部から外来シャーシ8が搬入し、船舶へ積み込まれるコンテナを配置する領域である。また、搬出コンテナ領域2bは、船舶から積み卸しされ、外来シャーシ8がコンテナターミナル1の外部へ搬出するコンテナを配置する領域である。蔵置レーン2の海側を搬入コンテナ領域2aと陸側を搬出コンテナ領域2bとに大まかに区別して配置することでより荷役効率を上げることができる。
【0088】
往路11と復路12の両端部以外に、移動部13cを備えると、その移動部13cを境にして、環状路10を、カート9が搬入コンテナ領域2a内を環状に自走する搬入環状路10aと、カート9が搬出コンテナ領域2b内を環状に自走する搬出環状路10bとに分割することができる。
【0089】
ただし、ヤードクレーン6の走行路6bがレールの場合は、接続路14cと、ヤードクレーン6の走行路6bとが交差するため、往路11と接続路14との交差する部分と同様に形成し、どちらの走行を邪魔することなく構成する。また、走行路6bがレール以外の場合は、接続路14cを地面に埋設するように形成すればよい。
【0090】
例えば、事前に外部から搬入されたコンテナを搬入コンテナ領域2aに、また外部へ搬出されるコンテナを搬出コンテナ領域2bに蔵置しておくと、船舶にコンテナを積み込む場合、又は外来シャーシ8で搬出する場合に、荷役作業は搬入コンテナ領域2a、又は搬出コンテナ領域2b内でそれぞれ行われるため、一方で作業が行われている場合に、もう一方では作業が行われていない。
【0091】
そこで、上記の構成によれば、船舶にコンテナを積み込む場合、又は外来シャーシ8で搬出する場合に、カート9が搬入環状路10a又は搬出環状路10bのどちらか一方を環状に自走することで、カート9の走行距離を短くすることができる。これにより、カート9が環状に走行する時間を短縮すると共に、カート9の台数を少なくすることができ、コンテナターミナル1のコストを低減することができる。
【0092】
上記の構成は、例えば、外部から搬入されたコンテナを搬入コンテナ領域2aに、また、船舶から積み卸しされたコンテナを搬出コンテナ領域2bに蔵置するときには、第1の実施の形態と同様の環状路10として用いることができる。
【0093】
なお、この実施の形態では、移動部13cを延長線2c上の近傍に設けたが、延長線2c上の近傍以外にも移動部13cを複数設けてもよい。
【0094】
次に、本発明に係る第3の実施の形態のコンテナターミナルについて、
図9を参照しながら説明する。この実施の形態のコンテナターミナルは、
図1のコンテナターミナルのカート9の主走行装置と接続路用走行装置に換えて、
図9の(a)に示すように、回転自走装置40を備える。また、このコンテナターミナルは、
図9の(b)に示すように、往路11と接続路14との交差する部分に昇降装置44を備える。
【0095】
この回転自走装置40は、共用車輪41、車輪回転装置42、及びモータ43を備える。車輪回転装置42は、共用車輪41を鉛直軸線周りに回転し、共用車輪41のフランジ部41bが車輪部41aよりも内側になるように回転する装置である。回転する機構は周知の技術を用いることができ、その説明を省略する。
【0096】
昇降装置44は、カート9を鉛直方向に持ち上げる装置である。この実施の形態では、往路11と接続路14、及び復路12と接続路14の交差する部分に設けられカート9を持ち上げる装置を例に説明するが、この昇降装置44をカート9に設けてもよい。
【0097】
このコンテナターミナルの動作について、説明する。まず、往路11を海側から陸側に自走していたカート9が第1車輪止め16aと接触する(ステップS21)と、カート用センサ19aがカート9を検知する(ステップS22)。次に、制御装置18がカート9を停止する(ステップS23)。
【0098】
次に、
図9の(b)に示すように、制御装置18が、昇降装置44でカート9を持ち上げて保持する(ステップS24)。次に、
図9の(a)に示すように、制御装置18が、車輪回転装置42を鉛直軸線周りに回転させて、共用車輪41を回転する(ステップS25)。次に、制御装置18が、昇降装置44で、カート9を降ろして、共用車輪41を接続路13、又はフランジ用レール15に載せる(ステップS26)。
【0099】
次に、制御装置18が、回転自走装置40を駆動する(ステップS27)。このとき、
図9の(a)で右回りの共用車輪41と左回りの共用車輪41とで、回転する方向が異なるため、同一方向になるように、モータ43を制御する。
【0100】
次に、カート9が接続路14を自走する(ステップS28)と、次に、カート9が第2車輪止め16bと接触する(ステップS29)。次に、カート用センサ19aがカート9を検知する(ステップS30)と、次に、制御装置18がカート9を停止する(ステップS31)。その後、前述したように、制御装置18が、共用車輪41を回転して、自走方向を換えて、復路12を自走して、完了する。
【0101】
この構成によれば、共用車輪41を回転させるだけでカート9の自走方向を転換することができる。
【0102】
次に、本発明に係る第4の実施の形態のコンテナターミナルについて、
図10を参照しながら説明する。このコンテナターミナル50は、第1の実施の形態のコンテナターミナルを海陸方向と直交する方向に並べて配置すると共に、蔵置レーン2cと蔵置レーン2dとの間に二つの往路51aと51bと共有の復路52を配置する構成である。
【0103】
また、このコンテナターミナル50は、往路51a及び51bと、復路52の両端部に移動部53を備える。この移動部53は、往路51aと交差する接続路44a、その交差する部分に設けたフランジ用レール55a、往路51bと交差する接続路44b、その交
差する部分に設けたフランジ用レール55b、及び、復路52の交差する部分に設けたフランジ用レール55cを備える。
【0104】
加えて、図示しないが、往路51a、往路51b、及び復路52の端側に第1車輪止めを、接続路54aと接続路54bとの両端側に第2車輪止めを設ける。特に、復路52の端側に設ける第2車輪止めは、可動式のものを用いる。
【0105】
上記の構成によれば、復路52を共有することができるので、蔵置レーン2cと蔵置レーン2dとの間を狭くすることができる。これにより、多くの蔵置レーン2cと2dをコンテナターミナル50に設けることができる。