(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
[感光性樹脂組成物]
本発明に係る感光性樹脂組成物は、(A)光重合性化合物、及び(B)光重合開始剤を少なくとも含有する。以下、本発明の感光性樹脂組成物に含有される各成分について詳細に説明する。
【0019】
<(A)光重合性化合物>
本発明に係る感光性樹脂組成物に含有される(A)光重合性化合物としては、特に限定されず、従来公知の光重合性化合物を用いることができる。その中でも、エチレン性不飽和基を有する樹脂又はモノマーが好ましく、これらを組み合わせることがより好ましい。エチレン性不飽和基を有する樹脂とエチレン性不飽和基を有するモノマーとを組み合わせることにより、感光性樹脂組成物の硬化性を向上させ、パターン形成を容易にすることができる。
【0020】
[エチレン性不飽和基を有する樹脂]
エチレン性不飽和基を有する樹脂としては、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、カルドエポキシジアクリレート等が重合したオリゴマー類;多価アルコール類と一塩基酸又は多塩基酸とを縮合して得られるポリエステルプレポリマーに(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリエステル(メタ)アクリレート;ポリオールと2個のイソシアネート基を持つ化合物とを反応させた後、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリウレタン(メタ)アクリレート;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノール又はクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、レゾール型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸ポリグリシジルエステル、ポリオールポリグリシジルエステル、脂肪族又は脂環式エポキシ樹脂、アミンエポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂と、(メタ)アクリル酸とを反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられる。さらに、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂に多塩基酸無水物を反応させた樹脂を好適に用いることができる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」は、「アクリル又はメタクリル」を意味する。
【0021】
また、エチレン性不飽和基を有する樹脂としては、エポキシ化合物と不飽和基含有カルボン酸化合物との反応物を、さらに多塩基酸無水物と反応させることにより得られる樹脂を好適に用いることができる。
【0022】
その中でも、下記一般式(a1)で表される化合物が好ましい。この一般式(a1)で表される化合物は、それ自体が、光硬化性が高い点で好ましい。
【化4】
【0023】
上記一般式(a1)中、Xは、下記一般式(a2)で表される基を表す。
【化5】
【0024】
上記一般式(a2)中、R
1aは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、又はハロゲン原子を表し、R
2aは、それぞれ独立に水素原子、又はメチル基を表し、Wは、単結合、又は下記構造式(a3)で表される基を表す。なお、一般式(a2)、及び構造式(a3)において「*」は、2価の基の結合手の末端を意味する。
【化6】
【0025】
上記一般式(a1)中、Yはジカルボン酸無水物から酸無水物基(−CO−O−CO−)を除いた残基を表す。ジカルボン酸無水物の例としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水グルタル酸等が挙げられる。
【0026】
また、上記一般式(a1)中、Zは、テトラカルボン酸二無水物から2個の酸無水物基を除いた残基を表す。テトラカルボン酸二無水物の例としては、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。さらに、上記一般式(a1)中、aは、0〜20の整数を表す。
【0027】
エチレン性不飽和基を有する樹脂の酸価は、樹脂固形分で、10〜150mgKOH/gであることが好ましく、70〜110mgKOH/gであることがより好ましい。酸価を10mgKOH/g以上とすることにより、現像液に対する十分な溶解性が得られるので好ましい。また、酸価を150mgKOH/g以下とすることにより、十分な硬化性を得ることができ、表面性を良好にすることができるので好ましい。
【0028】
また、エチレン性不飽和基を有する樹脂の質量平均分子量は、1000〜40000であることが好ましく、2000〜30000であることがより好ましい。質量平均分子量を1000以上とすることにより、良好な耐熱性、膜強度を得ることができるので好ましい。また、質量平均分子量を40000以下とすることにより、良好な現像性を得ることができるので好ましい。
【0029】
[エチレン性不飽和基を有するモノマー]
エチレン性不飽和基を有するモノマーには、単官能モノマーと多官能モノマーとがある。以下、単官能モノマー、及び多官能モノマーについて順に説明する。
【0030】
単官能モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、クロトン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、tert−ブチルアクリルアミドスルホン酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチ(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、フタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能モノマーは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0031】
多官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、グリセリントリアクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート(すなわち、トリレンジイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応物、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドメチレンエーテル、多価アルコールとN−メチロール(メタ)アクリルアミドとの縮合物等の多官能モノマーや、トリアクリルホルマール等が挙げられる。これらの多官能モノマーは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0032】
(A)成分である光重合性化合物の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分の合計100質量部に対して10〜99.9質量部であることが好ましい。(A)成分の含有量を固形分の合計100質量部に対して10質量部以上とすることにより、形成されるパターンの十分な耐熱性及び耐薬品性が期待できる。
【0033】
<(B)光重合開始剤>
本発明に係る感光性樹脂組成物は、光重合開始剤として、下記構造のオキシムエステル化合物を含有する。光重合開始剤として、下記一般式(1)で表される構造のオキシムエステル化合物を用いることにより、感光性樹脂組成物を感度に優れたものとすることができる。
【0034】
【化7】
(R
1は、1価の有機基、アミノ基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基からなる群より選択される基であり、
mは0〜4の整数であり、
pは0、又は1であり、
R
2は、置換基を有してもよいフェニル基、又は置換基を有してもよいカルバゾリル基であり、
R
3は、水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基である。)
【0035】
一般式(1)中、R
1は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から適宜選択される。R
1が有機基である場合の好適な例としては、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、アミノ基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。mが2〜4の整数である場合、R
1は同一であっても異なっていてもよい。また、置換基の炭素数には、置換基がさらに有する置換基の炭素数を含まない。
【0036】
R
1がアルキル基である場合、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜6がより好ましい。また、R
1がアルキル基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。R
1がアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、R
1がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
【0037】
R
1がアルコキシ基である場合、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜6がより好ましい。また、R
1がアルコキシ基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。R
1がアルコキシ基である場合の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec−ペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec−オクチオキシル基、tert−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、及びイソデシルオキシ基等が挙げられる。また、R
1がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルコキシ基の例としては、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、プロピルオキシエトキシエトキシ基、及びメトキシプロピルオキシ基等が挙げられる。
【0038】
R
1がシクロアルキル基、又はシクロアルコキシ基である場合、炭素数3〜10が好ましく、炭素数3〜6がより好ましい。R
1がシクロアルキル基である場合の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。R
1がシクロアルコキシ基である場合の具体例としては、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、及びシクロオクチルオキシ基等が挙げられる。
【0039】
R
1が飽和脂肪族アシル基、又は飽和脂肪族アシルオキシ基である場合、炭素数2〜20が好ましく、炭素数2〜7がより好ましい。R
1が飽和脂肪族アシル基である場合の具体例としては、アセチル基、プロパノイル基、n−ブタノイル基、2−メチルプロパノイル基、n−ペンタノイル基、2,2−ジメチルプロパノイル基、n−ヘキサノイル基、n−ヘプタノイル基、n−オクタノイル基、n−ノナノイル基、n−デカノイル基、n−ウンデカノイル基、n−ドデカノイル基、n−トリデカノイル基、n−テトラデカノイル基、n−ペンタデカノイル基、及びn−ヘキサデカノイル基等が挙げられる。R
1が飽和脂肪族アシルオキシ基である場合の具体例としては、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、n−ブタノイルオキシ基、2−メチルプロパノイルオキシ基、n−ペンタノイルオキシ基、2,2−ジメチルプロパノイルオキシ基、n−ヘキサノイルオキシ基、n−ヘプタノイルオキシ基、n−オクタノイルオキシ基、n−ノナノイルオキシ基、n−デカノイルオキシ基、n−ウンデカノイルオキシ基、n−ドデカノイルオキシ基、n−トリデカノイルオキシ基、n−テトラデカノイルオキシ基、n−ペンタデカノイルオキシ基、及びn−ヘキサデカノイルオキシ基等が挙げられる。
【0040】
R
1がアルコキシカルボニル基である場合、炭素数2〜20が好ましく、炭素数2〜7がより好ましい。R
1がアルコキシカルボニル基である場合の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec−ブチルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、sec−ペンチルオキシカルボニル基、tert−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、イソオクチルオキシカルボニル基、sec−オクチオキシルカルボニル基、tert−オクチルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、イソノニルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基、及びイソデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0041】
R
1がフェニルアルキル基である場合、炭素数7〜20が好ましく、炭素数7〜10がより好ましい。またR
1がナフチルアルキル基である場合、炭素数11〜20が好ましく、炭素数11〜14がより好ましい。R
1がフェニルアルキル基である場合の具体例としては、ベンジル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、及び4−フェニルブチル基が挙げられる。R
1がナフチルアルキル基である場合の具体例としては、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基、2−(α−ナフチル)エチル基、及び2−(β−ナフチル)エチル基が挙げられる。R
1が、フェニルアルキル基、又はナフチルアルキル基である場合、R
1は、フェニル基、又はナフチル基上にさらに置換基を有していてもよい。
【0042】
R
1がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、環数3までのものとする。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、及びキノキサリン等が挙げられる。R
1がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基はさらに置換基を有していてもよい。
【0043】
R
1が1、又は2の有機基で置換されたアミノ基である場合、有機基の好適な例は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜20の飽和脂肪族アシル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよい炭素数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよい炭素数11〜20のナフチルアルキル基、及びヘテロシクリル基等が挙げられる。これらの好適な有機基の具体例は、R
1と同様である。1、又は2の有機基で置換されたアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、n−ヘプチルアミノ基、n−オクチルアミノ基、n−ノニルアミノ基、n−デシルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、n−ブタノイルアミノ基、n−ペンタノイルアミノ基、n−ヘキサノイルアミノ基、n−ヘプタノイルアミノ基、n−オクタノイルアミノ基、n−デカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、α−ナフトイルアミノ基、及びβ−ナフトイルアミノ基等が挙げられる。
【0044】
R
1に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜7の飽和脂肪族アシル基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。R
1に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1〜4が好ましい。R
1に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
【0045】
R
1の中では、化学的に安定であることや、立体的な障害が少なく、オキシムエステル化合物の合成が容易であること等から、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、及び炭素数2〜7の飽和脂肪族アシル基からなる群より選択される基が好ましく、炭素数1〜6のアルキルがより好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0046】
R
1がフェニル基に結合する位置は、R
1が結合するフェニル基について、フェニル基とオキシムエステル化合物の主骨格との結合手の位置を1位とし、メチル基の位置を2位とする場合に、4位、又は5位が好ましく、5位がよりに好ましい。また、mは、0〜3の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、0、又は1が特に好ましい。
【0047】
R
2は、置換基を有してもよいフェニル基、又は置換基を有してもよいカルバゾリル基である。また、R
2が置換基を有してもよいカルバゾリル基である場合、カルバゾリル基上の窒素原子は、炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよい。
【0048】
R
2において、フェニル基、又はカルバゾリル基が有する置換基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。フェニル基、又はカルバゾリル基が、炭素原子上に有してもよい好適な置換基の例としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルコキシ基、炭素数2〜20の飽和脂肪族アシル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜20の飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいフェニルチオ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数11〜20のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、アミノ基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。
【0049】
R
2がカルバゾリル基である場合、カルバゾリル基が窒素原子上に有してもよい好適な置換基の例としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜20の飽和脂肪族アシル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素数11〜20のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基等が挙げられる。これらの置換基の中では、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、エチル基が特に好ましい。
【0050】
フェニル基、又はカルバゾリル基が有してもよい置換基の具体例について、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び1、又は2の有機基で置換されたアミノ基に関しては、R
1と同様である。
【0051】
R
2において、フェニル基、又はカルバゾリル基が有する置換基に含まれるフェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基の例としては、炭素数1〜6のアルキル基;炭素数1〜6のアルコキシ基;炭素数2〜7の飽和脂肪族アシル基;炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基;炭素数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基;フェニル基;ナフチル基;ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素数1〜6のアルキル基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;炭素数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基;炭素数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基;モルホリン−1−イル基;ピペラジン−1−イル基;ハロゲン;ニトロ基;シアノ基が挙げられる。フェニル基、又はカルバゾリル基が有する置換基に含まれるフェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1〜4が好ましい。フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
【0052】
R
2の中では、感光性樹脂組成物が感度に優れる点から、下記一般式(2)、又は(3)で表される基が好ましく、下記一般式(2)で表される基がより好ましく、下記一般式(2)で表される基であって、AがSである基が特に好ましい。
【0053】
【化8】
(R
4は、1価の有機基、アミノ基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基からなる群より選択される基であり、AはS又はOであり、nは、0〜4の整数である。)
【0054】
【化9】
(R
5及びR
6は、それぞれ、1価の有機基である。)
【0055】
感光性樹脂組成物を用いてパターンを形成する場合、パターン形成時のポストベークの工程での加熱によって、パターンに着色が生じやすい。しかし、感光性樹脂組成物において、(B)光重合開始剤として、R
2が上記一般式(2)で表される基であって、AがSである基である、一般式(1)で表されるオキシムエステル化合物を用いる場合、加熱によるパターンの着色を抑制できる。
【0056】
一般式(2)におけるR
4が有機基である場合、本発明の目的を阻害しない範囲で、種々の有機基から選択できる。一般式(2)においてR
4が有機基である場合の好適な例としては、炭素数1〜6のアルキル基;炭素数1〜6のアルコキシ基;炭素数2〜7の飽和脂肪族アシル基;炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基;炭素数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基;フェニル基;ナフチル基;ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素数1〜6のアルキル基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;炭素数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基;炭素数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基;モルホリン−1−イル基;ピペラジン−1−イル基;ハロゲン;ニトロ基;シアノ基が挙げられる。
【0057】
R
4の中では、ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素数1〜6のアルキル基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;ニトロ基が好ましく、ベンゾイル基;ナフトイル基;2−メチルフェニルカルボニル基;4−(ピペラジン−1−イル)フェニルカルボニル基;4−(フェニル)フェニルカルボニル基がより好ましい。
【0058】
また、一般式(2)において、nは、0〜3の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、0、又は1であるのが特に好ましい。nが1である場合、R
4の結合する位置は、R
4が結合するフェニル基が硫黄原子と結合する結合手に対して、パラ位であるのが好ましい。
【0059】
一般式(3)におけるR
5は、本発明の目的を阻害しない範囲で、種々の有機基から選択できる。R
5の好適な例としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜20の飽和脂肪族アシル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素数11〜20のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基等が挙げられる。
【0060】
R
5の中では、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、エチル基が特に好ましい。
【0061】
一般式(3)におけるR
6は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から選択できる。R
6として好適な基の具体例としては、炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリル基が挙げられる。R
6として、これらの基の中では置換基を有してもよいフェニル基がより好ましく、2−メチルフェニル基が特に好ましい。
【0062】
R
4、R
5、又はR
6に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜7の飽和脂肪族アシル基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。R
4、R
5、又はR
6に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1〜4が好ましい。R
4、R
5、又はR
6に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
【0063】
一般式(1)におけるR
3は、水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基である。R
3としては、メチル基、又はエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0064】
一般式(1)で表されるオキシムエステル化合物は、pが0である場合、例えば、下記スキーム1に従って合成することができる。具体的には、下記一般式(1−1)で表される芳香族化合物を、下記一般式(1−2)で表されるハロカルボニル化合物を用いて、フリーデルクラフツ反応によりアシル化して、下記一般式(1−3)で表されるケトン化合物を得、得られたケトン化合物(1−3)を、ヒドロキシルアミンによりオキシム化して下記一般式(1−4)で表されるオキシム化合物を得、次いで一般式(1−4)のオキシム化合物と、下記一般式(1−5)で表される酸無水物((R
3CO)
2O)、又は下記一般式(1−6)で表される酸ハライド(R
3COHal、Halはハロゲン。)とを反応させて、下記一般式(1−7)で表されるオキシムエステル化合物を得ることができる。なお、下記一般式(1−2)において、Halはハロゲンであり、下記一般式(1−1)、(1−2)、(1−3)、(1−4)、及び(1−7)において、R
1、R
2、R
3、及びmは、一般式(1)と同様である。
【0066】
一般式(1)で表されるオキシムエステル化合物は、pが1である場合、例えば、下記スキーム2に従って合成することができる。具体的には、下記一般式(2−1)で表されるケトン化合物に、塩酸の存在下に下記一般式(2−2)で表される亜硝酸エステル(RONO、Rは炭素数1〜6のアルキル基。)を反応させて、下記一般式(2−3)で表されるケトオキシム化合物を得、次いで、下記一般式(2−3)で表されるケトオキシム化合物と、下記一般式(2−4)で表される酸無水物((R
3CO)
2O)、又は下記一般式(2−5)で表される酸ハライド(R
3COHal、Halはハロゲン。)とを反応させて、下記一般式(2−6)で表されるオキシムエステル化合物を得ることができる。なお、下記一般式(2−1)、(2−3)、(2−4)、(2−5)、及び(2−6)において、R
1、R
2、R
3、及びmは、一般式(1)と同様である。
【0068】
また、一般式(1)で表されるオキシムエステル化合物は、pが1であり、R
1がメチル基であって、R
1が結合するベンゼン環に結合するメチル基に対して、R
1がパラ位に結合する場合、例えば、下記一般式(2−7)で表される化合物を、スキーム1と同様の方法で、オキシム化、及びアシル化することによって合成することもできる。なお、下記一般式(2−7)において、R
2は、一般式(1)と同様である。
【0070】
一般式(1)で表されるオキシムエステル化合物の中でも特に好適な化合物としては、下記のPI−1〜PI−42が挙げられる。
【化13】
【0076】
感光性樹脂組成物は、必要に応じ、一般式(1)で表されるオキシムエステル化合物以外の他の光重合開始剤を含んでいてもよい。他の光重合開始剤の具体例としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾル−3−イル],1−(o−アセチルオキシム)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、4−ベンゾイル−4’−メチルジメチルスルフィド、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジメチルアミノ−2−エチルヘキシル安息香酸、4−ジメチルアミノ−2−イソアミル安息香酸、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、ベンジルジメチルケタール、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、チオキサンテン、2−クロロチオキサンテン、2,4−ジエチルチオキサンテン、2−メチルチオキサンテン、2−イソプロピルチオキサンテン、2−エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、クメンパーオキシド、2−メルカプトベンゾイミダール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン(すなわち、ミヒラーズケトン)、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン(すなわち、エチルミヒラーズケトン)、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス−(9−アクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス−(9−アクリジニル)ペンタン、1,3−ビス−(9−アクリジニル)プロパン、p−メトキシトリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン等が挙げられる。これらの中でも、オキシム系の光重合開始剤を用いることが、感度の面で特に好ましい。これらの光重合開始剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0077】
感光性樹脂組成物が、一般式(1)で表されるオキシムエステル化合物以外の他の光重合開始剤を含む場合、他の光重合性化合物の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。この場合、他の光重合開始剤の含有量は、典型的には、感光性樹脂組成物に含まれる光重合開始剤の総量に対して、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、10質量%以下が特に好ましい。
【0078】
(B)成分である光重合開始剤の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分の合計100質量部に対して0.1〜50質量部であることが好ましく、1〜45質量部であることがより好ましい。上記範囲内とすることにより、十分な耐熱性、耐薬品性を得るとともに、塗膜形成能を向上させ、光硬化不良を抑制することができる。
【0079】
<(C)着色剤>
本発明に係る感光性樹脂組成物は、さらに(C)着色剤を含んでもよい。感光性樹脂組成物は(C)成分である着色剤を含むことにより、例えば、液晶表示ディスプレイのカラーフィルタ形成用途として好ましく使用される。また、本発明に係る感光性樹脂組成物は、着色剤として遮光剤を含むことにより、例えば、表示装置のカラーフィルタにおけるブラックマトリクス形成用途として好ましく使用される。
【0080】
本発明に係る感光性樹脂組成物に含有される(C)着色剤としては、特に限定されないが、例えば、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists社発行)において、ピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを用いるのが好ましい。
【0081】
好適に使用できる黄色顔料の例としては、C.I.ピグメントイエロー1(以下、「C.I.ピグメントイエロー」は同様であり、番号のみを記載する。)、3、11、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、55、60、61、65、71、73,74、81、83、86、93、95、97、98、99、100、101、104、106、108、109、110、113、114、116、117、119、120、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、166、167、168、175、180、及び185が挙げられる。
【0082】
好適に使用できる橙色顔料の例としては、C.I.ピグメントオレンジ1(以下、「C.I.ピグメントオレンジ」は同様であり、番号のみを記載する。)、5、13、14、16、17、24、34、36、38、40、43、46、49、51、55、59、61、63、64、71、及び73が挙げられる。
【0083】
好適に使用できる紫色顔料の例としては、C.I.ピグメントバイオレット1(以下、「C.I.ピグメントバイオレット」は同様であり、番号のみを記載する。)、19、23、29、30、32、36、37、38、39、40、及び50が挙げられる。
【0084】
好適に使用できる赤色顔料の例としては、C.I.ピグメントレッド1(以下、「C.I.ピグメントレッド」は同様であり、番号のみを記載する。)2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48:1、48:2、48:3、48:4、49:1、49:2、50:1、52:1、53:1、57、57:1、57:2、58:2、58:4、60:1、63:1、63:2、64:1、81:1、83、88、90:1、97、101、102、104、105、106、108、112、113、114、122、123、144、146、149、150、151、155、166、168、170、171、172、174、175、176、177、178、179、180、185、187、188、190、192、193、194、202、206、207、208、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、242、243、245、254、255、264、及び265が挙げられる。
【0085】
好適に使用できる青色顔料の例としては、C.I.ピグメントブルー1(以下、「C.I.ピグメントブルー」は同様であり、番号のみを記載する。)、2、15、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、及び66が挙げられる。
【0086】
好適に使用できる、上記の他の色相の顔料の例としては、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン37等の緑色顔料、C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25、C.I.ピグメントブラウン26、C.I.ピグメントブラウン28等の茶色顔料、C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック7等の黒色顔料が挙げられる。
【0087】
また、着色剤を遮光剤とする場合、遮光剤としては黒色顔料を用いることが好ましい。黒色顔料としては、カーボンブラック、チタンブラック、銅、鉄、マンガン、コバルト、クロム、ニッケル、亜鉛、カルシウム、銀等の金属酸化物、複合酸化物、金属硫化物、金属硫酸塩又は金属炭酸塩等、有機物、無機物を問わず各種の顔料を挙げることができる。これらの中でも、高い遮光性を有するカーボンブラックを用いることが好ましい。
【0088】
カーボンブラックとしては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、ランプブラック等の公知のカーボンブラックを用いることができるが、遮光性に優れるチャンネルブラックを用いることが好ましい。また、樹脂被覆カーボンブラックを使用してもよい。
【0089】
樹脂被覆カーボンブラックは、樹脂被覆のないカーボンブラックに比べて導電性が低いことから、液晶表示ディスプレイのような液晶表示素子のブラックマトリクスとして使用した場合に電流のリークが少なく、信頼性の高い低消費電力のディスプレイを製造できる。
【0090】
また、カーボンブラックの色調を調整するために、補助顔料として上記の有機顔料を適宜添加してもよい。
【0091】
上記の着色剤を感光性樹脂組成物において均一に分散させるために、さらに分散剤を使用してもよい。このような分散剤としては、ポリエチレンイミン系、ウレタン樹脂系、アクリル樹脂系の高分子分散剤を用いることが好ましい。特に、着色剤として、カーボンブラックを用いる場合には、分散剤としてアクリル樹脂系の分散剤を用いることが好ましい。
【0092】
また、無機顔料と有機顔料はそれぞれ単独又は2種以上併用してもよいが、併用する場合には、無機顔料と有機顔料との総量100質量部に対して、有機顔料を10〜80質量部の範囲で用いることが好ましく、20〜40質量部の範囲で用いることがより好ましい。
【0093】
感光性樹脂組成物における着色剤の使用量は、感光性樹脂組成物の用途に応じて適宜決定すればよいが、一例として、感光性樹脂組成物の固形分の合計100質量部に対して、5〜70質量部が好ましく、25〜60質量部がより好ましい。上記の範囲とすることにより、目的とするパターンでブラックマトリクスや各着色層を形成することができ、好ましい。
【0094】
特に、感光性樹脂組成物を使用してブラックマトリクスを形成する場合には、ブラックマトリクスの被膜1μm当たりのOD値が4以上となるように感光性樹脂組成物における遮光剤の量を調整することが好ましい。ブラックマトリクスにおける被膜1μm当たりのOD値が4以上あれば、液晶表示ディスプレイのブラックマトリクスに用いた場合に、十分な表示コントラストを得ることができる。
【0095】
着色剤は、分散剤を用いて適当な濃度で分散させた分散液とした後、感光性樹脂組成物に添加することが好ましい。
【0096】
<その他の成分>
本発明に係る感光性樹脂組成物には、必要に応じて、各種の添加剤を加えてもよい。具体的には、溶剤、増感剤、硬化促進剤、光架橋剤、光増感剤、分散助剤、充填剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤、熱重合禁止剤、消泡剤、界面活性剤等が例示される。
【0097】
本発明に係る感光性樹脂組成物に使用される溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチル部炭酸メチル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、蟻酸n−ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類等が挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0098】
上記溶剤の中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、シクロヘキサノン、3−メトキシブチルアセテートは、上述の(A)成分及び(B)成分に対して優れた溶解性を示すとともに、上述の(C)成分の分散性を良好にすることができるため好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテートを用いることが特に好ましい。溶剤は、感光性樹脂組成物の用途に応じて適宜決定すればよいが、一例として、感光性樹脂組成物の固形分の合計100質量部に対して、50〜900質量部程度が挙げられる。
【0099】
本発明に係る感光性樹脂組成物に使用される熱重合禁止剤としては、例えば、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノエチルエーテル等を挙げることができる。また、消泡剤としては、シリコーン系、フッ素系等の化合物を、界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン等の化合物を、それぞれ例示できる。
【0100】
[感光性樹脂組成物の調製方法]
本発明に係る感光性樹脂組成物は、上記の各成分を全て撹拌機で混合することにより調製される。なお、調製された感光性樹脂組成物が均一なものとなるようフィルタを用いて濾過してもよい。
【0101】
[パターン形成方法]
本発明の感光性樹脂組成物を用いてパターンを形成するには、まず、ロールコータ、リバースコータ、バーコータ等の接触転写型塗布装置やスピンナー(回転式塗布装置)、カーテンフローコータ等の非接触型塗布装置を用いて、基板上に感光性樹脂組成物を塗布する。
【0102】
次いで、塗布された感光性樹脂組成物を乾燥させて塗膜を形成させる。乾燥方法は、特に限定されず、例えば、(1)ホットプレートにて80〜120℃、好ましくは90〜100℃の温度にて60〜120秒間乾燥させる方法、(2)室温にて数時間〜数日間放置する方法、(3)温風ヒータや赤外線ヒータ中に数十分間〜数時間入れて溶剤を除去する方法等が挙げられる。
【0103】
次いで、この塗膜に、ネガ型のマスクを介して、紫外線、エキシマレーザー光等の活性エネルギー線を照射して部分的に露光する。照射するエネルギー線量は、感光性樹脂組成物の組成によっても異なるが、例えば30〜2000mJ/cm
2程度が好ましい。既に説明したように、本発明に係る感光性樹脂組成物を用いれば、感度に優れるため、液晶表示ディスプレイパネルの生産性を向上させることができる。
【0104】
次いで、露光後の膜を、現像液により現像することによって所望の形状にパターニングする。現像方法は、特に限定されず、例えば、浸漬法、スプレー法等を用いることができる。現像液としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機系のものや、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア、4級アンモニウム塩等の水溶液が挙げられる。
【0105】
次いで、現像後のパターンに対して200〜250℃程度でポストベークを行うことが好ましい。
【0106】
このようにして形成されたパターンは、例えば、液晶表示ディスプレイ等のような表示装置におけるカラーフィルタの画素やブラックマトリクスとして好適に用いることができる。このようなカラーフィルタや、当該カラーフィルタの使用された表示装置も本発明の一つである。
【0107】
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0108】
感光性樹脂組成物に関する実施例、及び比較例では、以下のPI−A〜PI−Oの化合物を光重合開始剤として用いた。
【0111】
[光重合開始剤(オキシムエステル化合物)の合成]
以下、PI−A〜PI−Hの合成について、合成例1〜合成例8により説明する。
【0112】
〔合成例1〕
2−(2,5−ジメチルフェニル)−1−[4−(フェニルスルファニル)フェニル]エタン−1,2−ジオン8.00g(23.12mmol)と、ヒドロキシルアミン塩酸塩2.93g(42.16mmol)と、トリエチルアミン4.15g(41.01mmol)とをエタノール64.00gに混合し、75℃〜80℃で3時間反応した。反応液をエバポレートし、酢酸エチルを加え、飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、エバポレートして2−(2,5−ジメチルフェニル)2−(N−ヒドロキシイミノ)−1−[4−(フェニルスルファニル)フェニル]エタン−1−オン8.35gを得た。得られた、2−(2,5−ジメチルフェニル)−2−(N−ヒドロキシイミノ)−1−[4−(フェニルスルファニル)フェニル]エタン−1−オン8.35gを、酢酸中で、無水酢酸13.33g(130.57mmol)によりアセチル化し、PI−Aの構造のオキシムエステル化合物6.30gを得た。得られた、PI−Aの構造のオキシムエステル化合物のH−NMRの測定結果は以下の通りであった。
1H−NMR(600MHz,CDCl
3)δ:8.14(d,J=9.0Hz,3H),7.58−7.55(m,2H),7.46−7.42(m,3H),7.26(d,J=6.6Hz,2H),7.19−7.15(m,2H),7.03(s,1H),2.34(s,3H),2.27(s,3H),2.12(s,3H)
【0113】
〔合成例2〕
2−(2,5−ジメチルフェニル)−1−[4−(フェニルスルファニル)フェニル]エタン−1,2−ジオン8.00gを、2−(2,5−ジメチルフェニル)−1−[4−(4−ニトロフェニルスルファニル)フェニル]エタン−1,2−ジオン10.01gに変えることの他は、合成例1と同様にして、PI−Bの構造のオキシムエステル化合物5.40gを得た。
【0114】
〔合成例3〕
2−(2,5−ジメチルフェニル)−1−[4−(フェニルスルファニル)フェニル]エタン−1,2−ジオン8.00gを、2−(2,5−ジメチルフェニル)−1−[4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]エタン−1,2−ジオン9.85gに変えることの他は、合成例1と同様にして、PI−Cの構造のオキシムエステル化合物7.19gを得た。
【0115】
〔合成例4〕
2−(2,5−ジメチルフェニル)−1−[4−(フェニルスルファニル)フェニル]エタン−1,2−ジオン8.00gを、2−(2,5−ジメチルフェニル)−1−[4−(4−β−ナフトイルフェニルスルファニル)フェニル]エタン−1,2−ジオン11.05gに変えることの他は、合成例1と同様にして、PI−Dの構造のオキシムエステル化合物6.11gを得た。
【0116】
〔合成例5〕
2−(2,5−ジメチルフェニル)−1−[4−(フェニルスルファニル)フェニル]エタン−1,2−ジオン8.00gを、2−(2,5−ジメチルフェニル)−1−[4−({4−[2−メチルベンゾイル]フェニル}スルファニル)フェニル]エタン−1,2−ジオン10.17gに変えることの他は、合成例1と同様にして、PI−Eの構造のオキシムエステル化合物6.56gを得た。
【0117】
〔合成例6〕
2−(2,5−ジメチルフェニル)−1−[4−(フェニルスルファニル)フェニル]エタン−1,2−ジオン8.00gを、2−(2,5−ジメチルフェニル)−1−[4−({4−[4−モルホリン−1−イル−ベンゾイル]フェニル}スルファニル)フェニル]エタン−1,2−ジオン11.49gに変えることの他は、合成例1と同様にして、PI−Fの構造のオキシムエステル化合物4.78gを得た。
【0118】
〔合成例7〕
2−(2,5−ジメチルフェニル)−1−[4−(フェニルスルファニル)フェニル]エタン−1,2−ジオン8.00gを、2−(2,5−ジメチルフェニル)−1−[4−({4−[4−フェニルベンゾイル]フェニル}スルファニル)フェニル]エタン−1,2−ジオン11.60gに変えることの他は、合成例1と同様にして、PI−Gの構造のオキシムエステル化合物9.11gを得た。
【0119】
〔合成例8〕
2−(2,5−ジメチルフェニル)−1−[4−(フェニルスルファニル)フェニル]エタン−1,2−ジオン8.00gを、2−(2−メチルフェニル)−1−[4−(フェニルスルファニル)フェニル]エタン−1,2−ジオン7.68gに変えることの他は、合成例1と同様にして、PI−Hの構造のオキシムエステル化合物6.25gを得た。
【0120】
〔実施例1〜13、及び比較例1〜13〕
表1に記載の光重合開始剤20質量部、樹脂A(固形分55質量%、溶剤:3−メトキシブチルアセテート)30質量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製)30質量部、及び表1に記載の顔料を含む表1に記載の量の顔料液(東京応化工業株式会社製。各顔料液の固形分含有量は23質量%であり、顔料の含有量は15質量%である。)100質量部と、3−メトキシブチルアセテート(60質量%)とプロピレングリコールモノメチルアセテート(40質量%)とからなる混合溶媒とを混合した後、孔径5μmのメンブレンフィルターにより濾過して、感光性樹脂組成物を調製した。なお、光重合開始剤PI−A〜PI−Nの吸光係数は全て同等だった。また、混合溶媒の量を調整して、感光性樹脂組成物中の固形分濃度を15質量%に調整した。
【0121】
感光性樹脂組成物の調製で使用した樹脂Aは、以下の処方に従って合成したものを用いた。
まず、500ml四つ口フラスコ中に、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂(エポキシ当量235)235g、テトラメチルアンモニウムクロライド110mg、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール100mg、及びアクリル酸72.0gを仕込み、これに25ml/分の速度で空気を吹き込みながら90〜100℃で加熱溶解した。次に、溶液が白濁した状態のまま徐々に昇温し、120℃に加熱して完全溶解させた。この際、溶液は次第に透明粘稠になったが、そのまま撹拌を継続した。この間、酸価を測定し、1.0mgKOH/g未満になるまで加熱撹拌を続けた。酸価が目標値に達するまで12時間を要した。そして室温まで冷却し、無色透明で固体状の下記構造式(a4)で表されるビスフェノールフルオレン型エポキシアクリレートを得た。
【0123】
次いで、このようにして得られた上記のビスフェノールフルオレン型エポキシアクリレート307.0gに3−メトキシブチルアセテート600gを加えて溶解した後、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物80.5g及び臭化テトラエチルアンモニウム1gを混合し、徐々に昇温して110〜115℃で4時間反応させた。酸無水物基の消失を確認した後、1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸38.0gを混合し、90℃で6時間反応させ、樹脂Aを得た。酸無水物基の消失はIRスペクトルにより確認した。この樹脂Aは、前述の一般式(a1)で表される化合物に相当する。
【0124】
なお、実施例1〜13、及び比較例1〜13では着色剤として、以下の顔料を用いた。
R177:C.I.ピグメントレッド177
R242:C.I.ピグメントレッド242
G36:C.I.ピグメントグリーン36
B156:C.I.ピグメントブルー156
Y150:C.I.ピグメントイエロー150
V23:C.I.ピグメントバイオレット23
【0125】
実施例1〜13、及び比較例1〜13の感光性樹脂組成物について、以下の方法に従って、感度評価、ポストベークによる着色の評価、コントラスト比の評価、及び現像タクトの評価を行った。各感光性樹脂組成物の評価結果を表1に記す。
【0126】
[感度評価]
実施例1〜13、及び比較例1〜13の感光性樹脂組成物それぞれについて、以下の手順にて、感度の評価を行った。
まず、感光性樹脂組成物をガラス基板(10cm×10cm)にスピン塗布し、90℃にて120秒間加熱することにより、ガラス基板の表面に1.0μmの塗布膜を形成させた。その後、ミラープロジェクションアライナー(製品名:TME−150RTO、株式会社トプコン製)を使用し、露光量90、100、120、200、300、又は1000mJ/cm
2(Gap200μm)で塗膜を露光した。露光後の膜を、26℃の0.04質量%KOH水溶液で30〜50秒間現像後、各露光量でのパターニング部の寸法を光学顕微鏡で測定し、所定のパターン寸法が得られる露光量を測定し、この値を感度(mJ/cm
2)とした。各感光性樹脂組成物の感度(露光量)の値を表1に記す。
【0127】
[着色評価]
実施例1〜13、及び比較例1〜13の感光性樹脂組成物それぞれについて、以下の手順にて、着色評価を行った。
まず、感光性樹脂組成物をガラス基板(10cm×10cm)にスピン塗布し、90℃にて120秒間加熱することにより、ガラス基板の表面に1.0μmの塗布膜を形成させた。その後、ミラープロジェクションアライナー(製品名:TME−150RTO、株式会社トプコン製)を使用し、上記の感度評価により測定された表1に記載の感度に相当する露光量(露光量90〜1000mJ/cm
2、Gap200μm)で塗膜を露光した。露光後の膜を、26℃の0.04質量%KOH水溶液で30〜50秒間現像後、230℃―30分間でポストベークを行った。ポストベーク前後の塗布膜を瞬間マルチ測光システム(MCPD−3000:大塚電子株式会社製)で380nm〜780nm波長域の透過率の差をΔYとして測定した。ΔYの値を表1に記載する。ΔYの絶対値が小さいほど、着色されていないことを意味する。
【0128】
[コントラスト比の評価]
感度評価と同様にして、感光性樹脂組成物をガラス基板上にスピン塗布し、90℃120秒間加熱した後に、ポストベークを行い、厚さ1.0μmの感光性樹脂組成物の塗膜を形成した。2枚の偏光板の間に、塗膜が形成されたガラス基板を置き、偏光板が平行時の輝度と直行時の輝度を、輝度測定装置(製品名:CT−1、壺坂電気株式会社製)にて測定し、平行時の輝度/直行時の輝度の値としてコントラスト比(CR)を求めた。
【0129】
[現像タクト]
実施例1〜13、及び比較例1〜13の感光性樹脂組成物それぞれについて、以下の手順にて、現像タクト評価を行った。
まず、感光性樹脂組成物をガラス基板(10cm×10cm)にスピン塗布し、90℃にて120秒間加熱することにより、ガラス基板の表面に1.0μmの塗布膜を形成させた。その後、ミラープロジェクションアライナー(製品名:TME−150RTO、株式会社トプコン製)を使用し、上記の感度評価により測定された表1に記載の感度に相当する露光量(露光量90〜1000mJ/cm
2、Gap200μm)で塗膜を露光した。各感光性樹脂組成物の露光量の値は表1に記す。露光後の膜を、26℃の0.04質量%KOH水溶液で30、40、50秒間現像を行い、塗布した感光性樹脂組成物が30秒間現像で溶解したものは現像タクト良好、40〜50秒間で溶解したものは現像タクト不良とした。良好を○、不良を×として、評価結果を表1に記載した。
【0131】
表1によれば、一般式(1)で表されるオキシムエステル化合物を光重合開始剤として含む実施例1〜13の感光性樹脂組成物は、80〜100mJ/cm
2の低露光量でパターン形成可能であり、優れた感度を有することが分かる。また、顔料の種類により、ポストベーク時の着色のしやすさは異なるが、実施例と比較例との比較によれば、一般式(1)で表されるオキシムエステル化合物を光重合開始剤として用いることにより、比較例で使用した光重合開始剤よりも、ポストベーク時の加熱による着色を同等以下に抑制でき、コントラスト比を向上できることが分かる。さらに、表1によれば、一般式(1)で表されるオキシムエステル化合物を光重合開始剤として含む実施例1〜13の感光性樹脂組成物は、現像タクトが短く、現像性に優れることが分かる。