特許第5890337号(P5890337)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5890337感放射線性樹脂組成物、絶縁膜、及び表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5890337
(24)【登録日】2016年2月26日
(45)【発行日】2016年3月22日
(54)【発明の名称】感放射線性樹脂組成物、絶縁膜、及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/031 20060101AFI20160308BHJP
   G03F 7/033 20060101ALI20160308BHJP
【FI】
   G03F7/031
   G03F7/033
【請求項の数】6
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2013-26082(P2013-26082)
(22)【出願日】2013年2月13日
(65)【公開番号】特開2014-153687(P2014-153687A)
(43)【公開日】2014年8月25日
【審査請求日】2015年5月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220239
【氏名又は名称】東京応化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(72)【発明者】
【氏名】片野 彰
(72)【発明者】
【氏名】大内 康秀
(72)【発明者】
【氏名】染谷 和也
【審査官】 倉持 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−008205(JP,A)
【文献】 特開2010−049238(JP,A)
【文献】 特開2010−224067(JP,A)
【文献】 特開2013−113933(JP,A)
【文献】 特開2013−122506(JP,A)
【文献】 特開2012−212118(JP,A)
【文献】 特開2012−058728(JP,A)
【文献】 特開2011−215270(JP,A)
【文献】 特開2010−134453(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/045736(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/152066(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/093210(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/078678(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004−7/18,
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)光重合性化合物、(C)光重合開始剤を含み、
前記(A)アルカリ可溶性樹脂が、(a1)不飽和カルボン酸に由来する単位と、(a2)エポキシ基を持たない脂環式骨格含有不飽和化合物に由来する単位と、を含み、
前記(C)光重合開始剤が、下記式(1):
【化1】
(Rは、1価の有機基、アミノ基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基からなる群より選択される基であり、
mは0〜4の整数であり、
pは0又は1であり、
は、置換基を有してもよいフェニル基、又は置換基を有してもよいカルバゾリル基であり、
は、水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基であり、
前記カルバゾリル基が有してもよい置換基は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルコキシ基、炭素数2〜20の飽和脂肪族アシル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜20の飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいフェニルチオ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数11〜20のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、アミノ基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基、ハロゲン、及びシアノ基から選択される基である。)
で表されるオキシムエステル化合物を含み、
前記オキシムエステル化合物は、下記の化合物:
【化2】
を含まない、感放射線性樹脂組成物。
【請求項2】
前記Rが、下式(2):
【化3】
(Rは、1価の有機基、アミノ基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基からなる群より選択される基であり、AはS又はOであり、nは0〜4の整数である。)
で表される基、又は下式(3):
【化4】
(R及びRは、それぞれ、1価の有機基である。)
で表される基である、請求項1に記載の感放射線性樹脂組成物。
【請求項3】
(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)光重合性化合物、(C)光重合開始剤を含み、
前記(A)アルカリ可溶性樹脂が、(a1)不飽和カルボン酸に由来する単位と、(a2)エポキシ基を持たない脂環式骨格含有不飽和化合物に由来する単位と、を含み、
前記(C)光重合開始剤が、下記式(1):
【化5】
(Rは、1価の有機基、アミノ基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基からなる群より選択される基であり、mは0〜4の整数であり、pは0又は1であり、Rは、下式(2):
【化6】
(Rは、1価の有機基、アミノ基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基からなる群より選択される基であり、AはS又はOであり、nは0〜4の整数である。)
で表される基、又は下式(3):
【化7】
(R及びRは、それぞれ、1価の有機基である。)
で表される基であり、Rは、水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基である。)
で表されるオキシムエステル化合物を含む、感放射線性樹脂組成物。
【請求項4】
前記(A)アルカリ可溶性樹脂が、さらに(a3)脂環式エポキシ基含有不飽和化合物に由来する単位を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の感放射線性樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の感放射線性樹脂組成物を用いて形成された絶縁膜。
【請求項6】
請求項に記載の絶縁膜を備える表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感放射線性樹脂組成物、当該感放射線性樹脂組成物を用いて形成される絶縁膜、及び当該絶縁膜を備える表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置のような表示装置では、絶縁膜や、スペーサーのような材料が、バックライトのような光源から発せられる光を効率よく透過させる必要がある。このため、絶縁膜やスペーサーのパターンを形成するために、露光により透明な硬化膜を与える感放射線性樹脂組成物(感光性樹脂組成物)が用いられる。このような、感放射線性樹脂組成物を選択的に露光することにより、透明な硬化膜のパターンを形成できる。
【0003】
透明な硬化膜を形成可能な感放射線性樹脂組成物(感光性樹脂組成物)としては、例えば、樹脂と、重合性化合物と、特定の構造の重合開始剤と、溶剤とを含む組成物が提案されている(特許文献1)。具体的には、特許文献1の実施例には、メタクリル酸と脂環式エポキシ基を有するアクリレートとの共重合体と、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートと、下式で表される重合開始剤と、3−メトキシ−1−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−エトキシプロピオン酸エチル、及び3−メトキシブチルアセテートからなる混合溶剤と、を含む感放射線性樹脂組成物が開示されている。
【0004】
【化1】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−58728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載される感放射線性樹脂組成物を用いて形成される硬化膜は、透明性が十分でない。また、特許文献1に記載される感放射性樹脂組成物の塗膜を露光した後に、塗膜をテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液のようなアルカリ現像液により現像する場合、残存すべき露光部が過度に溶解してしまい、所望する形状のパターンを形成しにくい。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであって、透明性に優れる硬化膜を与え、露光後の現像時に露光部の過度の溶解が抑制される感放射線性樹脂組成物と、当該感放射線性樹脂組成物を用いて形成された絶縁膜と、当該絶縁膜を備える表示装置と、を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、感放射性樹脂組成物に、(a1)不飽和カルボン酸に由来する単位と、(a2)エポキシ基を持たない脂環式骨格含有不飽和化合物に由来する単位と、を含む共重合体からなる(A)アルカリ可溶性樹脂と、(B)光重合性化合物と、特定の構造のオキシムエステル化合物を含む(C)光重合開始剤と、を配合することにより、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明の第一の態様は、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)光重合性化合物、(C)光重合開始剤を含み、
前記(A)アルカリ可溶性樹脂が、(a1)不飽和カルボン酸に由来する単位と、(a2)エポキシ基を持たない脂環式骨格含有不飽和化合物に由来する単位と、を含み、
前記(C)光重合開始剤が、下記式(1):
【化2】
(Rは、1価の有機基、アミノ基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基からなる群より選択される基であり、mは0〜4の整数であり、pは0又は1であり、Rは、置換基を有してもよいフェニル基、又は置換基を有してもよいカルバゾリル基であり、Rは、水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基である。)
で表されるオキシムエステル化合物を含む、感放射線性樹脂組成物である。
【0010】
本発明の第二の態様は、第一の態様に係る感放射線性樹脂組成物を用いて形成された絶縁膜である。
【0011】
本発明の第三の態様は、第二の態様に係る絶縁膜を備える表示装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、透明性に優れる硬化膜を与え、露光後の現像時に露光部の過度の溶解が抑制される感放射線性樹脂組成物と、当該感放射線性樹脂組成物を用いて形成された絶縁膜と、当該絶縁膜を備える表示装置と、を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
≪感放射線性樹脂組成物≫
本発明に係る感放射線性樹脂組成物は、特定の単位を含む(A)アルカリ可溶性樹脂と、(B)光重合性化合物と、特定の構造のオキシムエステル化合物を含む(C)光重合開始剤と、を含有する。以下、感放射線性樹脂組成物に含有される各成分について説明する。
【0014】
<(A)アルカリ可溶性樹脂>
(A)アルカリ可溶性樹脂とは、樹脂濃度20質量%の樹脂溶液(溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)により、膜厚1μmの樹脂膜を基板上に形成し、23℃で2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液に1分間浸漬した際に、膜厚0.01μm以上溶解するものをいう。
【0015】
(A)アルカリ可溶性樹脂としては、(a1)不飽和カルボン酸に由来する単位(以下、(a1)単位とも記す。)と、(a2)エポキシ基を持たない脂環式骨格含有不飽和化合物に由来する単位(以下、(a2)単位とも記す。)と、を含む共重合体を用いる。(a1)単位と、(a2)単位とを含む(A)アルカリ可溶性樹脂を用いることで、透明性に優れる硬化膜を与え、露光後の現像時に露光部の過度の溶解が抑制される感放射線性樹脂組成物を得やすい。
【0016】
(A)成分として用いる樹脂は、(a1)単位と、(a2)単位とを含むものであれば特に限定されず、従来から種々の感放射線性樹脂組成物において使用されていたアルカリ可溶性樹脂から、適宜選択して使用することができる。
【0017】
(a1)単位を生成させる不飽和カルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸等のジカルボン酸;これらジカルボン酸の無水物;等が挙げられる。これらの中でも、共重合反応性、得られる樹脂のアルカリ溶解性、入手の容易性等の点から、(メタ)アクリル酸及び無水マレイン酸が好ましい。(A)アルカリ可溶性樹脂は、これらの不飽和カルボン酸から誘導される(a1)単位を、2種以上組み合わせて含んでいてもよい。
【0018】
(a2)単位は、エポキシ基を持たない脂環式骨格含有不飽和化合物に由来する単位であれば特に限定されない。脂環式骨格は、単環であっても多環であってもよい。脂環式骨格含有不飽和化合物に含まれる単環の脂環式基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、多環の脂環式基としては、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等が挙げられる。(A)アルカリ可溶性樹脂は、(a2)単位を、2種以上組み合わせて含んでいてもよい。
【0019】
(a2)単位を与える、エポキシ基を持たない脂環式基含有不飽和化合物としては、例えば下記式(a2−1)〜(a2−7)で表される化合物が挙げられる。これらの中では、現像性の良好な感放射線性樹脂組成物を得やすいことから、下記式(a2−3)〜(a2−8)で表される化合物が好ましく、下記式(a2−3)又は(a2−4)で表される化合物がより好ましい。
【0020】
【化3】
【0021】
【化4】
【0022】
上記式中、Ra1は水素原子又はメチル基を示し、Ra2は単結合又は炭素数1〜6の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示し、Ra3は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。Ra2としては、単結合、直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。Ra3としては、メチル基、エチル基が好ましい。
【0023】
また、(A)アルカリ可溶性樹脂は、(a1)単位及び(a2)単位に加え、(a3)脂環式エポキシ基含有不飽和化合物に由来する単位(以下、(a3)単位とも記す。)を含むのが好ましい。(A)アルカリ可溶性樹脂が、(a3)単位を含む場合、感放射線性樹脂組成物を用いて形成される塗布膜を露光後にポストベークする場合に、塗布膜の過度の形状変化を抑制しやすい。
【0024】
(a3)単位において、脂環式エポキシ基を構成する脂環式基は、単環であっても多環であってもよい。単環の脂環式基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、多環の脂環式基としては、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等が挙げられる。(A)アルカリ可溶性樹脂は、(a3)単位を2種以上組み合わせて含んでいてもよい。
【0025】
(a3)単位を与える脂環式エポキシ基含有不飽和化合物の具体例としては、例えば下記式(a3−1)〜(a3−16)で表される化合物が挙げられる。これらの中でも、感放射性樹脂組成物の現像性を適度なものとするためには、下記式(a3−1)〜(a3−6)で表される化合物が好ましく、下記式(a3−1)〜(a3−4)で表される化合物がより好ましい。
【0026】
【化5】
【0027】
【化6】
【0028】
【化7】
【0029】
上記式中、Ra4は水素原子又はメチル基を示し、Ra5は炭素数1〜6の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示し、Ra6は炭素数1〜10の2価の炭化水素基を示し、nは0〜10の整数を示す。Ra5としては、直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。R13としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、フェニレン基、シクロヘキシレン基、−CH−Ph−CH−(Phはフェニレン基を示す)が好ましい。
【0030】
(A)アルカリ可溶性樹脂は、上記(a1)単位、(a2)単位、及び(a3)単位の他の単位を含んでいてもよい。上記の単位の他の単位を与える化合物としては、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレン類、脂環式基を有さないエポキシ基含有不飽和化合物等が挙げられる。これらの化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0031】
(メタ)アクリル酸エステル類としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、t−オクチル(メタ)アクリレート等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル(メタ)アクリレート;クロロエチル(メタ)アクリレート、2,2−ジメチルヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート;等が挙げられる。
【0032】
(メタ)アクリルアミド類としては、(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N−アリール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−アリール(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0033】
アリル化合物としては、酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリル等のアリルエステル類;アリルオキシエタノール;等が挙げられる。
【0034】
ビニルエーテル類としては、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル;ビニルフェニルエーテル、ビニルトリルエーテル、ビニルクロルフェニルエーテル、ビニル−2,4−ジクロルフェニルエーテル、ビニルナフチルエーテル、ビニルアントラニルエーテル等のビニルアリールエーテル;等が挙げられる。
【0035】
ビニルエステル類としては、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレート、ビニルカプロエート、ビニルクロルアセテート、ビニルジクロルアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルフエニルアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β−フェニルブチレート、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロル安息香酸ビニル、テトラクロル安息香酸ビニル、ナフトエ酸ビニル等が挙げられる。
【0036】
スチレン類としては、スチレン;メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、シクロヘキシルスチレン、デシルスチレン、ベンジルスチレン、クロルメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン等のアルキルスチレン;メトキシスチレン、4−メトキシ−3−メチルスチレン、ジメトキシスチレン等のアルコキシスチレン;クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレン、テトラクロロスチレン、ペンタクロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、トリフルオロスチレン、2−ブロモ−4−トリフルオロメチルスチレン、4−フルオロ−3−トリフルオロメチルスチレン等のハロスチレン;等が挙げられる。
【0037】
脂環式基を有さないエポキシ基含有不飽和化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エポキシアルキルエステル類;α−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸6,7−エポキシヘプチル等のα−アルキルアクリル酸エポキシアルキルエステル類;等が挙げられる。これらの中では、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、及び6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0038】
(A)アルカリ可溶性樹脂である共重合体に占める、上記(a1)単位の割合と、上記(a2)単位の割合と、上記(a3)単位の割合とは、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。(A)アルカリ可溶性樹脂である共重合体に占める上記(a1)単位の割合は、5〜25質量%が好ましく、8〜16質量%がより好ましい。(A)アルカリ可溶性樹脂である共重合体に占める上記(a2)単位の割合は、10〜50質量%が好ましく、11〜30質量%がより好ましい。(A)アルカリ可溶性樹脂である共重合体に占める上記(a3)単位の割合は、10〜70質量%が好ましく、15〜50質量%がより好ましい。
【0039】
(A)アルカリ可溶性樹脂の質量平均分子量(Mw:ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)のスチレン換算による測定値。本明細書において同じ。)は、2000〜200000が好ましく、2000〜18000がより好ましく、3000〜15000が特に好ましい。上記の範囲内の質量平均分子量の(A)アルカリ可溶性樹脂を用いることにより、感放射線性樹脂組成物の露光後の現像性を特に優れたものとしやすい。
【0040】
(A)アルカリ可用紙樹脂は公知のラジカル重合法により製造することができる。つまり、以上説明した単位を与える単量体と、公知のラジカル重合開始剤とを重合溶媒に溶解した後、加熱撹拌することにより製造することができる。
【0041】
<(B)光重合性化合物>
感放射線性樹脂組成物に含有される(B)光重合性化合物(以下、(B)成分とも記す。)としては、エチレン性不飽和基を有する化合物を好ましく用いることができる。このエチレン性不飽和基を有する化合物には、単官能化合物と多官能化合物とがある。
【0042】
単官能化合物としては、(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、クロトン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、tert−ブチルアクリルアミドスルホン酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、フタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能モノマーは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0043】
一方、多官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、グリセリントリアクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート(すなわち、トリレンジイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネート等と2−ビドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応物、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドメチレンエーテル、多価アルコールとN−メチロール(メタ)アクリルアミドとの縮合物、トリアクリルホルマール、2,4,6−トリオキソヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン−1,3,5−トリスエタノールトリアクリレート、及び2,4,6−トリオキソヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン−1,3,5−トリスエタノールジアクリレート等が挙げられる。これらの多官能モノマーは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0044】
これらのエチレン性不飽和基を有する化合物の中でも、強度と、基板への密着性とに優れる硬化物を与える感放射線性樹脂組成物が得られる点から、3官能以上の多官能モノマーが好ましい。
【0045】
(B)成分の含有量は、感放射線性樹脂組成物の固形分に対して5〜60質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。感放射線性樹脂組成物中の(B)成分の含有量を上記の範囲とすることにより、感放射線性樹脂組成物の感度、現像性、及び解像性のバランスをとりやすい傾向がある。
【0046】
<(C)光重合性化合物>
感放射線性樹脂組成物は、(C)光重合開始剤(以下、(C)成分とも記す。)として、下記構造のオキシムエステル化合物を含有する。光重合開始剤として、下記式(1)で表される構造のオキシムエステル化合物を用いることにより、透明性に優れる硬化膜を形成可能な感放射線性樹脂組成物を得ることができる。
【0047】
【化8】
(Rは、1価の有機基、アミノ基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基からなる群より選択される基であり、mは0〜4の整数であり、pは0又は1であり、Rは、置換基を有してもよいフェニル基、又は置換基を有してもよいカルバゾリル基であり、Rは、水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基である。)
【0048】
上記式(1)中、Rが1価の有機基である場合、Rは、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から適宜選択される。R1が有機基である場合の好適な例としては、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基等が挙げられる。mが2〜4の整数である場合、Rは同一であっても異なっていてもよい。また、置換基の炭素数には、置換基がさらに有する置換基の炭素数は含まない。
【0049】
がアルキル基である場合、その炭素数は1〜20が好ましく、1〜6がより好ましい。また、Rがアルキル基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。Rがアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、Rがアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
【0050】
がアルコキシ基である場合、その炭素数は1〜20が好ましく、1〜6がより好ましい。また、Rがアルコキシ基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。Rがアルコキシ基である場合の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec−ペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec−オクチオキシル基、tert−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、及びイソデシルオキシ基等が挙げられる。また、Rがアルコキシ基である場合、アルコキシ基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルコキシ基の例としては、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、プロピルオキシエトキシエトキシ基、及びメトキシプロピルオキシ基等が挙げられる。
【0051】
がシクロアルキル基、又はシクロアルコキシ基である場合、その炭素数は3〜10が好ましく、3〜6がより好ましい。Rがシクロアルキル基である場合の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。Rがシクロアルコキシ基である場合の具体例としては、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、及びシクロオクチルオキシ基等が挙げられる。
【0052】
が飽和脂肪族アシル基、又は飽和脂肪族アシルオキシ基である場合、その炭素数は2〜20が好ましく、2〜7がより好ましい。Rが飽和脂肪族アシル基である場合の具体例としては、アセチル基、プロパノイル基、n−ブタノイル基、2−メチルプロパノイル基、n−ペンタノイル基、2,2−ジメチルプロパノイル基、n−ヘキサノイル基、n−ヘプタノイル基、n−オクタノイル基、n−ノナノイル基、n−デカノイル基、n−ウンデカノイル基、n−ドデカノイル基、n−トリデカノイル基、n−テトラデカノイル基、n−ペンタデカノイル基、及びn−ヘキサデカノイル基等が挙げられる。Rが飽和脂肪族アシルオキシ基である場合の具体例としては、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、n−ブタノイルオキシ基、2−メチルプロパノイルオキシ基、n−ペンタノイルオキシ基、2,2−ジメチルプロパノイルオキシ基、n−ヘキサノイルオキシ基、n−ヘプタノイルオキシ基、n−オクタノイルオキシ基、n−ノナノイルオキシ基、n−デカノイルオキシ基、n−ウンデカノイルオキシ基、n−ドデカノイルオキシ基、n−トリデカノイルオキシ基、n−テトラデカノイルオキシ基、n−ペンタデカノイルオキシ基、及びn−ヘキサデカノイルオキシ基等が挙げられる。
【0053】
がアルコキシカルボニル基である場合、その炭素数は2〜20が好ましく、2〜7がより好ましい。Rがアルコキシカルボニル基である場合の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec−ブチルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、sec−ペンチルオキシカルボニル基、tert−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、イソオクチルオキシカルボニル基、sec−オクチオキシルカルボニル基、tert−オクチルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、イソノニルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基、及びイソデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0054】
がフェニルアルキル基である場合、その炭素数は7〜20が好ましく、7〜10がより好ましい。またRがナフチルアルキル基である場合、その炭素数は11〜20が好ましく、11〜14がより好ましい。Rがフェニルアルキル基である場合の具体例としては、ベンジル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、及び4−フェニルブチル基が挙げられる。Rがナフチルアルキル基である場合の具体例としては、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基、2−(α−ナフチル)エチル基、及び2−(β−ナフチル)エチル基が挙げられる。Rが、フェニルアルキル基、又はナフチルアルキル基である場合、Rは、フェニル基、又はナフチル基上にさらに置換基を有していてもよい。
【0055】
がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、環数3までのものとする。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、及びキノキサリン等が挙げられる。Rがヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基はさらに置換基を有していてもよい。
【0056】
が1又は2の有機基で置換されたアミノ基である場合、有機基の好適な例は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜20の飽和脂肪族アシル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよい炭素数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよい炭素数11〜20のナフチルアルキル基、及びヘテロシクリル基等が挙げられる。これらの好適な有機基の具体例は、Rと同様である。1、又は2の有機基で置換されたアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、n−ヘプチルアミノ基、n−オクチルアミノ基、n−ノニルアミノ基、n−デシルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、n−ブタノイルアミノ基、n−ペンタノイルアミノ基、n−ヘキサノイルアミノ基、n−ヘプタノイルアミノ基、n−オクタノイルアミノ基、n−デカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、α−ナフトイルアミノ基、及びβ−ナフトイルアミノ基等が挙げられる。
【0057】
に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜7の飽和脂肪族アシル基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。Rに含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1〜4が好ましい。Rに含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
【0058】
の中では、化学的に安定であることや、立体的な障害が少なく、オキシムエステル化合物の合成が容易であることや、溶媒に対する溶解性が高いこと等から、ニトロ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、及び炭素数2〜7の飽和脂肪族アシル基からなる群より選択される基が好ましく、ニトロ基、又は炭素数1〜6のアルキルがより好ましく、ニトロ基、又はメチル基が特に好ましい。
【0059】
がフェニル基に結合する位置は、Rが結合するフェニル基について、フェニル基とオキシムエステル化合物の主骨格との結合手の位置を1位とし、メチル基の位置を2位とする場合に、4位、又は5位が好ましく、5位がよりに好ましい。また、mは、0〜3の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、0、又は1が特に好ましい。
【0060】
は、置換基を有してもよいフェニル基、又は置換基を有してもよいカルバゾリル基である。また、Rが置換基を有してもよいカルバゾリル基である場合、カルバゾリル基上の窒素原子は、炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよい。
【0061】
において、フェニル基、又はカルバゾリル基が有する置換基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。フェニル基、又はカルバゾリル基が、炭素原子上に有してもよい好適な置換基の例としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルコキシ基、炭素数2〜20の飽和脂肪族アシル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜20の飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいフェニルチオ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数11〜20のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、アミノ基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。
【0062】
がカルバゾリル基である場合、カルバゾリル基が窒素原子上に有してもよい好適な置換基の例としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜20の飽和脂肪族アシル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素数11〜20のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基等が挙げられる。これらの置換基の中では、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、エチル基が特に好ましい。
【0063】
フェニル基、又はカルバゾリル基が有してもよい置換基の具体例について、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び1、又は2の有機基で置換されたアミノ基に関しては、Rと同様である。
【0064】
において、フェニル基、又はカルバゾリル基が有する置換基に含まれるフェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基の例としては、炭素数1〜6のアルキル基;炭素数1〜6のアルコキシ基;炭素数2〜7の飽和脂肪族アシル基;炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基;炭素数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基;フェニル基;ナフチル基;ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素数1〜6のアルキル基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;炭素数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基;炭素数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基;モルホリン−1−イル基;ピペラジン−1−イル基;ハロゲン;ニトロ基;シアノ基が挙げられる。フェニル基、又はカルバゾリル基が有する置換基に含まれるフェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1〜4が好ましい。フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
【0065】
の中では、感放射線性樹脂組成物が感度に優れる点から、下記式(2)、又は(3)で表される基が好ましく、下記式(2)で表される基がより好ましく、下記式(2)で表される基であって、AがSである基が特に好ましい。
【0066】
【化9】
(Rは、1価の有機基、アミノ基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基からなる群より選択される基であり、AはS又はOであり、nは、0〜4の整数である。)
【0067】
【化10】
(R及びRは、それぞれ、1価の有機基である。)
【0068】
式(2)におけるRが有機基である場合、本発明の目的を阻害しない範囲で、種々の有機基から選択できる。式(2)においてRが有機基である場合の好適な例としては、炭素数1〜6のアルキル基;炭素数1〜6のアルコキシ基;炭素数2〜7の飽和脂肪族アシル基;炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基;炭素数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基;フェニル基;ナフチル基;ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素数1〜6のアルキル基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;炭素数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基;炭素数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基;モルホリン−1−イル基;ピペラジン−1−イル基;ハロゲン;ニトロ基;シアノ基が挙げられる。
【0069】
の中では、ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素数1〜6のアルキル基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;ニトロ基が好ましく、ベンゾイル基;ナフトイル基;2−メチルフェニルカルボニル基;4−(ピペラジン−1−イル)フェニルカルボニル基;4−(フェニル)フェニルカルボニル基がより好ましい。
【0070】
また、式(2)において、nは、0〜3の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、0、又は1であるのが特に好ましい。nが1である場合、Rの結合する位置は、Rが結合するフェニル基が硫黄原子と結合する結合手に対して、パラ位であるのが好ましい。
【0071】
式(3)におけるRは、本発明の目的を阻害しない範囲で、種々の有機基から選択できる。Rの好適な例としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜20の飽和脂肪族アシル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素数11〜20のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基等が挙げられる。
【0072】
の中では、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、エチル基が特に好ましい。
【0073】
式(3)におけるRは、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から選択できる。Rとして好適な基の具体例としては、炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリル基が挙げられる。Rとして、これらの基の中では置換基を有してもよいフェニル基がより好ましく、2−メチルフェニル基が特に好ましい。
【0074】
、R、又はRに含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜7の飽和脂肪族アシル基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。R、R、又はRに含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1〜4が好ましい。R、R、又はRに含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
【0075】
式(1)におけるRは、水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基である。Rとしては、メチル基、又はエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。Rがメチル基である場合、式(1)で表される化合物からなる光重合開始剤は、特に感度に優れる。
【0076】
式(1)で表されるオキシムエステル化合物は、pが0である場合、例えば、下記スキーム1に従って合成することができる。具体的には、下記式(1−1)で表される芳香族化合物を、下記式(1−2)で表されるハロカルボニル化合物を用いて、フリーデルクラフツ反応によりアシル化して、下記式(1−3)で表されるケトン化合物を得、得られたケトン化合物(1−3)を、ヒドロキシルアミンによりオキシム化して下記式(1−4)で表されるオキシム化合物を得、次いで式(1−4)のオキシム化合物と、下記式(1−5)で表される酸無水物((RCO)O)、又は下記式(1−6)で表される酸ハライド(RCOHal、Halはハロゲン。)とを反応させて、下記式(1−7)で表されるオキシムエステル化合物を得ることができる。なお、下記式(1−2)において、Halはハロゲンであり、下記式(1−1)、(1−2)、(1−3)、(1−4)、及び(1−7)において、R、R、R、及びmは、式(1)と同様である。
【0077】
<スキーム1>
【化11】
【0078】
式(1)で表されるオキシムエステル化合物は、pが1である場合、例えば、下記スキーム2に従って合成することができる。具体的には、下記式(2−1)で表されるケトン化合物に、塩酸の存在下に下記式(2−2)で表される亜硝酸エステル(RONO、Rは炭素数1〜6のアルキル基。)を反応させて、下記式(2−3)で表されるケトオキシム化合物を得、次いで、下記式(2−3)で表されるケトオキシム化合物と、下記式(2−4)で表される酸無水物((RCO)O)、又は下記式(2−5)で表される酸ハライド(RCOHal、Halはハロゲン。)とを反応させて、下記式(2−6)で表されるオキシムエステル化合物を得ることができる。なお、下記式(2−1)、(2−3)、(2−4)、(2−5)、及び(2−6)において、R、R、R、及びmは、式(1)と同様である。
【0079】
<スキーム2>
【化12】
【0080】
また、式(1)で表されるオキシムエステル化合物は、pが1であり、Rがメチル基であって、Rが結合するベンゼン環に結合するメチル基に対して、Rがパラ位に結合する場合、例えば、下記式(2−7)で表される化合物を、スキーム1と同様の方法で、オキシム化、及びアシル化することによって合成することもできる。なお、下記式(2−7)において、Rは、式(1)と同様である。
【0081】
【化13】
【0082】
式(1)で表されるオキシムエステル化合物の中でも特に好適な化合物としては、下記式の化合物が挙げられる。
【化14】
【0083】
【化15】
【0084】
【化16】
【0085】
【化17】
【0086】
【化18】
【0087】
【化19】
【0088】
感放射線性樹脂組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲で、必要に応じて、式(1)で表されるオキシムエステル化合物以外の他の光重合開始剤を含んでいてもよい。他の光重合開始剤の具体例としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾル−3−イル],1−(o−アセチルオキシム)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、4−ベンゾイル−4’−メチルジメチルスルフィド、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジメチルアミノ−2−エチルヘキシル安息香酸、4−ジメチルアミノ−2−イソアミル安息香酸、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、ベンジルジメチルケタール、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、チオキサンテン、2−クロロチオキサンテン、2,4−ジエチルチオキサンテン、2−メチルチオキサンテン、2−イソプロピルチオキサンテン、2−エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、クメンパーオキシド、2−メルカプトベンゾイミダール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン(すなわち、ミヒラーズケトン)、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン(すなわち、エチルミヒラーズケトン)、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス−(9−アクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス−(9−アクリジニル)ペンタン、1,3−ビス−(9−アクリジニル)プロパン、p−メトキシトリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン等が挙げられる。これらの中でも、オキシム系の光重合開始剤を用いることが、感度の面で特に好ましい。これらの光重合開始剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0089】
感放射線性樹脂組成物が、式(1)で表されるオキシムエステル化合物以外の他の光重合開始剤を含む場合、他の光重合性化合物の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。この場合、他の光重合開始剤の含有量は、典型的には、感放射線性樹脂組成物に含まれる光重合開始剤の総量に対して、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、10質量%以下が特に好ましい。
【0090】
(C)成分である光重合開始剤の含有量は、感放射線性樹脂組成物の固形分の合計100質量部に対して0.1〜50質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましい。上記範囲内の量で(C)成分を用いることにより、感放射性樹脂組成物を放射線により十分に硬化させることができ、透明性に優れる硬化膜を与える感放射性樹脂組成物が得られる。
【0091】
<(S)溶剤>
本発明に係る感放射線性樹脂組成物は、塗布性の改善や、粘度調整のため、(S)有機溶剤(以下、「(S)成分」ともいう。)を含むことが好ましい。
【0092】
有機溶剤として具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、蟻酸n−ペンチル、酢酸i−ペンチル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;等が挙げられる。これらの中でも、アルキレングリコールモノアルキルエーテル類、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、上述した他のエーテル類、乳酸アルキルエステル類、上述した他のエステル類が好ましく、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、上述した他のエーテル類、上述した他のエステル類がより好ましい。これらの溶剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0093】
感放射線性樹脂組成物中の(S)成分の含有量は、特に限定されず、感放射線性樹脂組成物を基板等に塗布可能な範囲内の量で、塗布膜厚に応じて適宜設定される。感放射線性樹脂組成物の粘度は0.9〜500cpが好ましく、1〜50cpがより好ましく、1〜30cpがさらに好ましい。また、感放射線性樹脂組成物の固形分濃度は1〜80質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましい。
【0094】
<その他の成分>
本発明に係る感放射線性樹脂組成物には、必要に応じて、界面活性剤、密着性向上剤、熱重合禁止剤、消泡剤等の添加剤を含有させることができる。いずれの添加剤も、従来公知のものを用いることができる。界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系等の化合物が挙げられ、密着性向上剤としては、従来公知のシランカップリング剤が挙げられ、熱重合禁止剤としては、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノエチルエーテル等が挙げられ、消泡剤としては、シリコーン系、フッ素系化合物等が挙げられる。
【0095】
<感放射線性樹脂組成物の調製方法>
本発明に係る感放射線性樹脂組成物は、上記各成分をマグネチックスターラーを用いて攪拌、混合溶解し、必要に応じて0.2μmメンブランフィルタ等のフィルタで濾過して調製することができる。
【0096】
≪絶縁膜≫
本発明に係る絶縁膜は、上述の感放射線性樹脂組成物を用いることの他は、感放射線性樹脂組成物を用いて形成された従来の絶縁膜と同様である。以下では絶縁膜の形成方法についてのみ説明する。
【0097】
上述の感放射線性樹脂組成物を用いて、絶縁膜を形成する方法は特に制限されず、従来より採用されている方法から適宜選択できる。好適な絶縁膜の形成方法としては、上述の感放射線性樹脂組成物を基板上に塗布し、感放射線性樹脂層を形成する塗布工程と、感放射線性樹脂層を所定の絶縁膜のパターンに応じて露光する露光工程と、露光された感放射線性樹脂層を現像して、絶縁膜のパターンを形成する現像工程と、を含む方法が挙げられる。
【0098】
まず、塗布工程では、絶縁膜が形成されるべき基板上に、ロールコーター、リバースコーター、バーコーター等の接触転写型塗布装置やスピンナー(回転式塗布装置)、カーテンフローコーター等の非接触型塗布装置を用いて本発明に係る感放射線性樹脂組成物を塗布し、必要に応じて、乾燥により溶媒を除去して、感放射線性樹脂層を形成する。
【0099】
次いで、表面に感放射線性樹脂層が形成された基板は、露光工程に供される。露光工程では、ネガ型のマスクを介して、感放射線性樹脂層にArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、Fエキシマレーザー、極紫外線(EUV)、真空紫外線(VUV)、電子線、X線、軟X線等の放射線を照射し、感放射線性樹脂層を所定の絶縁膜のパターンに応じて部分的に露光する。露光量は感放射線性樹脂組成物の組成によっても異なるが、例えば10〜600mJ/cm程度が好ましい。
【0100】
前述の感放射線性樹脂組成物は、露光後にアルカリ現像液に対して過度に溶解しにくい。このため、前述の感放射線性樹脂組成物を用いることにより、露光部を凸部とし、未露光部を凹部とするパターンを良好な形状のパターンとして形成しやすい。
【0101】
現像工程では、露光後の感放射線性樹脂層を現像液で現像することにより、所定のパターンの絶縁膜を形成する。現像方法は特に限定されず、浸漬法、スプレー法等を用いることができる。現像液の具体例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機系のものや、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア、4級アンモニウム塩等の水溶液が挙げられる。
【0102】
そして、必要に応じ、現像後の絶縁膜のパターンにポストベークを施して加熱硬化する。ポストベークの温度は150〜270℃が好ましい。
【0103】
前述の感放射線性樹脂組成物を用いて形成される絶縁膜は、透明性に優れるため、インセルタッチパネル方式の液晶表示装置、UHA(Ultra High Aperture)パネル等の透明性に優れる絶縁膜を必要とする表示装置用の絶縁膜として好適に使用される。
【実施例】
【0104】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0105】
〔実施例1〜24、及び比較例1〜5〕
表1に記載の単位から構成されるアルカリ可溶性樹脂15質量部と、光重合性化合物7質量部と、光重合開始剤0.5質量部と、表面調整剤(BYK−310、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、ビックケミー・ジャパン株式会社製)0.5質量部と、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート15質量部と、ジエチレングリコールモノメチルエーテル35質量部とを、混合して均一な溶液とし、実施例1〜24、及び比較例1〜5の、感放射線性樹脂組成物を調製した。
【0106】
表2に記載のアルカリ可溶性樹脂を構成する単位I〜VIIは、下式で表される単位である。
【化20】
【0107】
光重合性化合物としては、2,4,6−トリオキソヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン−1,3,5−トリスエタノールトリアクリレート、及び2,4,6−トリオキソヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン−1,3,5−トリスエタノールジアクリレートの混合物である、M315(東亞合成株式会社製)を用いた。
【0108】
光重合開始剤としては、下式で表される化合物を用いた。
【化21】
【0109】
実施例1〜24、及び比較例1〜5で得た感放射線性樹脂組成物について、以下の方法に従って、残膜率、耐熱性、及び分離解像性の評価と、ブレークポイント(BP)の測定とを行った。評価結果を表1に記す。
【0110】
(残膜率評価)
ガラス基板に、上記各実施例及び比較例で調製した感放射線性樹脂組成物を、スピンナー(ミカサスピンナーIH−360S、ミカサ株式会社製)でスピン塗布した後、塗膜を100℃で120秒間乾燥させて、感光放射線性樹脂層を形成した。次いで、露光装置(MPA600FA、株式会社キヤノン製)により、露光量100mJ/cmで、感放射線性樹脂層を露光した。次いで、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの濃度2.38質量%の水溶液を現像液として用い、23℃にて、60秒間パドル現像を行い、パターンを形成した。現像後、パターンを230℃で20分間ポストベークした。ポストベーク後のパターンの膜厚は6μmであった。パターンの膜厚は、触針式表面形状測定器(Dektak 3st、株式会社アルバック製)を用いて測定した。ポストベーク後の膜厚/現像前の膜厚を測定して、残膜率を求めた。残膜率の可否を、以下の基準に従って判定した。
○:80%以上。
×:80%未満。
【0111】
(耐熱性評価)
残膜率評価と同様の方法で、現像後の形状のテーパー角が50°以上90°以下であり、ポストベーク後の膜厚が6μmであるパターンを形成した。ポストベーク後のパターンの断面写真から、基板表面と、パターンの表面とがなす角のうち、鋭角であるテーパー角(°)を測定した。テーパー角の測定結果に基づいて、以下の基準に従って、耐熱性を判定した。
○:テーパー角が30〜70°である。
×:テーパー角が30°未満、又は70°超である。
【0112】
(分離解像性)
残膜率評価と同様の方法で、露光及び現像を行い、孔径10μmのホールを有するホールパターンを形成した。ポストベーク処理した後、ホールの底部が基板まで達しているか否かを観察した。ホールの観察結果に基づいて、以下の基準に従って、分離解像性を判定した。
○:ホールの底部が基板まで達していた。
×:ホールの底部が基板まで達していなかった。
【0113】
(ブレークポイントの測定)
Si基板に、上記各実施例及び比較例で調製した感放射線性樹脂組成物を、スピンナー(ミカサスピンナーIH−360S、ミカサ株式会社製)でスピン塗布した後、塗膜を100℃で120秒間乾燥させて、感光放射線性樹脂層を形成した。次いで、露光装置(MPA600FA、株式会社キヤノン製)により、露光量100mJ/cmで、感放射線性樹脂層を露光した。次いで、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの濃度2.38質量%の水溶液を現像液として用い、23℃にて、60秒間パドル現像を行い、現像液が基板に接した時間からレジスト膜が消失するまでの時間を測定し、ブレークポイントとした。
【0114】
【表1】
【0115】
実施例1〜24と、比較例1〜5とによれば、(a1)不飽和カルボン酸に由来する単位(単位I)と、(a2)エポキシ基を持たない脂環式骨格含有不飽和化合物に由来する単位(単位II)と、を含む共重合体からなる(A)アルカリ可溶性樹脂と、(B)光重合性化合物と、上記式(1)で表される構造のオキシムエステル化合物を含む(C)光重合開始剤と、を含む感放射線樹脂組成物であれば、露光後の現像時に、露光部が過度に溶解しないことがわかる。
【0116】
(透明性評価)
実施例11の感放射線性樹脂組成物と、光重合開始剤の種類を除いて実施例11の感光性組成物と同一の組成である、比較例6及び7の感放射線性樹脂組成物とを用いて、感放射線性樹脂組成物を用いて得られる絶縁膜の透明性を評価した。
【0117】
比較例6では、下式で表される光重合開始剤を用いた。
【化22】
【0118】
比較例7では、下式で表される光重合開始剤を用いた。
【化23】
【0119】
各実施例、及び比較例の感放射線性樹脂組成物を用いて、露光時に選択的に露光を行いことの他は、前述の残膜率の評価方法と同様にして、ポストベークされた感放射線性樹脂組成物の硬化膜を形成した。硬化膜の膜厚は6μmであった。形成された硬化膜の、波長400nmにおける240度透過率を、MCPD−3000(大塚電子(株)製)を用いて測定したところ、実施例11の感放射線性樹脂組成物の硬化膜の透過率は88.8%であり、比較例6の感放射線性樹脂組成物の硬化膜の透過率は76.2%であり、比較例7の感放射線性樹脂組成物の硬化膜の透過率は76.1%であった。
【0120】
以上の結果より、前述の式(1)で表される化合物を光重合開始剤として含む感放射線性樹脂組成物は、式(1)に含まれない化合物を光重合開始剤として含む感放射線性樹脂組成物よりも、透明性が顕著に優れる絶縁膜を与えることが分かる。