【実施例】
【0024】
以下、本発明による銀粉およびその製造方法の実施例について詳細に説明する。
【0025】
[実施例1]
銀43.15gを含む硝酸銀水溶液3765gに、28質量%のアンモニア水132gを添加し、銀アンミン錯塩水溶液を得た。この銀アンミン錯塩水溶液の液温を25℃とした。ソルビタン脂肪酸エステルの濃度が、銀に対して0.1質量%となるように、ソルビタン脂肪酸エステル(C
4H
7O
3CH(OH)CH
2OCOR)0.043gを準備した。前記銀アンミン錯塩水溶液に、準備したソルビタン脂肪酸エステルを添加した後、濃度4.9質量%のヒドラジン水溶液132.85gを加えて、銀粒子を析出させた。ヒドラジン水溶液添加終了直後に、銀の量に対して2.1質量%のベンゾトリアゾールのNa塩を含有するベンゾトリアゾールNa塩水溶液を添加して銀含有スラリーを得た。得られた銀含有スラリーを濾過し、水洗し、ケーキを得た。
【0026】
得られたケーキを、真空乾燥機によって75℃で10時間乾燥し、乾燥粉を得た。得られた乾燥粉を解砕し、所望の粒径の銀粉を得た。
【0027】
得られた銀粉について、タップ密度、レーザー回折法によるD
10平均粒径D
50、D
90、最大粒径D
max、BET比表面積を求めた。タップ密度は、タップ密度測定装置(柴山科学社製のカサ比重測定装置SS−DA−2)を使用し、銀粉試料15gを計量して20mLの試験管に入れ、落差20mmで1000回タッピングし、タップ密度=試料重量(15g)/タッピング後の試料容積(cm3)から算出した。レーザー回折法によるD
10平均粒径D
50(累積50質量%粒径)、D
90、最大粒径D
maxは、銀粉試料0.3gをイソプロピルアルコール30mLに加え、出力45Wの超音波洗浄器により5分間分散させ、マクロトラック粒度分布測定装置(ハネウエル(Honeywell)−日機装社製のマクロトラック粒度分布測定装置9320−HRA(X−100))を使用して測定した。BET比表面積は、BET比表面積測定器(カウンタークロム(Quanta Chrome)社製のモノソーブ)を使用してBET1点法により測定した。その測定結果を表1に記す。
【0028】
【表1】
【0029】
[実施例2]
添加するアンモニア水の量を132gから90.0gに変更した以外は、実施例1と同様の方法で銀粉の製造と測定をおこなった。その測定結果を表1に記す。
【0030】
[実施例3]
添加するキレート剤をベンゾトリアゾールのNa塩から、ベンゾトリアゾールに変更した以外は、実施例1と同様の方法で銀粉の製造と測定をおこなった。その測定結果を表1に記す。
【0031】
[
参考例1]
添加する分散剤をソルビタン脂肪酸エステル0.043gから、市販のステアリン酸エマルジョン(ステアリン酸として銀に対して0.2質量%(0.086g)を含む量)に変更した以外は、実施例1と同様の方法で銀粉の製造と測定をおこなった。その測定結果を表1に記す。
【0032】
[
実施例4]
添加する還元剤を濃度4.9質量%のヒドラジン水溶液132.85gから、濃度27.4質量%のホルムアルデヒドを含むホルマリン300gに変更した以外は、実施例1と同様の方法で銀粉の製造と測定をおこなった。その測定結果を表1に記す。
【0033】
実施例1〜4、参考例1の銀粉製造に際して、生成した排水は無色透明であった。
実施例1〜3、参考例1のそれぞれについて、銀粉製造に際して生成した排水を40℃とし、攪拌しながら5L/min.のエアーを用いて2時間バブリングすることにより、当該排水中のヒドラジンが分解され、濃度は1pmm以下まで低下することを確認した。
尚、ヒドラジンの定量分析は、塩酸酸性下、p−ジメチルアミノベンズアルデヒド溶液と混合し、吸光光度法(波長458nm)により行った。
実施例4の銀粉製造に際して、生成した排水は無色透明であった。
実施例4について、銀粉製造に際して生成した排水は、RO膜を透過させることにより、ホルマリン濃度は10ppm以下まで低下することを確認した。
以上より、
実施例1〜4、参考例1によれば、レーザー回折法による平均粒径D
50が0.1μm以上、1μm未満であり、最大粒径D
maxが、4μm以下である銀粉が製造できると伴に、排水処理に関し大がかりな装置、複雑な操作が不要で、容易かつ簡便で低コストであることが確認された。
【0034】
[比較例1]
添加する還元剤を濃度4.9質量%のヒドラジン水溶液132.85gから、濃度4.8質量%のヒドロキノンを含む溶液483.12gに変更した以外は、実施例1と同様の方法で銀粉の製造と測定をおこなった。その測定結果を表1に記す。
【0035】
比較例1の銀粉製造に際して、生成した黒色の排水は、エアーのバブリングや、酸化剤等の薬品を使用しても分解することができなかった。そこで、蒸発濃縮を試みたが、燃料コストが高価なだけでなく、濃縮分がタール状となり処理困難となることがわかった。また、RO膜を透過させても十分除去できなかった。
次に、微生物処理を試みたが、ヒドロキノン自身の有害性が高いため、かなりの低濃度にしないかぎり微生物が死滅し、処理することができなかった。
さらに、焼却処理を試みたところ、排水処理可能であったが、処理コストが高価となり、銀粉製造コストの増加をもたらすと考えられた。
【0036】
[比較例2]
銀43.20gを含む硝酸銀水溶液3695gに、28質量%のアンモニア水132gを添加し、銀アンミン錯塩水溶液を得た。この銀アンミン錯塩水溶液の液温を25℃とした。コラーゲンペプチド(ゼライス社製のNCG−10)の濃度が銀に対して0.1質量%となるように、コラーゲンペプチド0.043gを溶解した水溶液を準備した。前記銀アンミン錯体水溶液に、準備したコラーゲンペプチドを添加した後、濃度4.9質量%のヒドラジン水溶液133.2gを加えて銀粒子を析出させた。ヒドラジン添加終了直後に、銀の量に対して0.4質量%のオレイン酸を添加して、銀含有スラリーを得た。この得られたスラリーを使用した以外には、実施例1と同様の方法で銀粉の製造と測定をおこなった。その測定結果を表1に記す。得られた銀粉のD
50およびD
maxは、実施例で得られた銀粉と比較して大きいものであった。