特許第5891195号(P5891195)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日立ハイテクノロジーズの特許一覧

特許5891195磁気メディアの光学式検査装置及び光学式検査方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5891195
(24)【登録日】2016年2月26日
(45)【発行日】2016年3月22日
(54)【発明の名称】磁気メディアの光学式検査装置及び光学式検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/95 20060101AFI20160308BHJP
【FI】
   G01N21/95 A
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-74151(P2013-74151)
(22)【出願日】2013年3月29日
(65)【公開番号】特開2014-199198(P2014-199198A)
(43)【公開日】2014年10月23日
【審査請求日】2015年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】石原 歩
(72)【発明者】
【氏名】田村 真太郎
【審査官】 小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−147583(JP,A)
【文献】 特開2008−82999(JP,A)
【文献】 特開平1−233308(JP,A)
【文献】 特開昭57−161641(JP,A)
【文献】 特開昭64−58363(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 − G01N 21/958
G01B 11/00 − G01B 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象の磁気メディアであるディスクを受け渡しするディスク受渡部と、
ディスクを光学的に検査するディスク検査部と、
前記ディスクの中心部分の穴と嵌合して前記ディスクを搭載するハブを有し、該ハブにディスクを搭載して前記ディスク受渡部と前記ディスク検査部との間を移動するディスク搬送ユニットと、
前記ディスク搬送ユニットが前記ハブにディスクを搭載した状態で前記ディスク受渡部から前記ディスク検査部へ移動する途中において前記ディスクを搭載したハブの前記ディスクの中心部分の穴と勘合している部分の大きさを検出する検出手段と、
該検出手段で検出した前記ハブの前記ディスクの中心部分の穴と嵌合している部分の大きさが予め設定した大きさと異なるときには前記ディスク搬送ユニットの移動を停止させる制御手段と
を備えたことを特徴とする磁気メディアの光学式検査装置。
【請求項2】
請求項1記載の磁気メディアの光学式検査装置であって、前記検出手段はレーザ変位計であり、該レーザ変位計で前記ハブに搭載したディスクの上面の高さと前記ハブの前記ディスクの中心部分の穴と勘合している部分の高さを計測し、前記制御手段において前記計測した高さの差から前記ハブの前記ディスクの中心部分の穴と勘合している部分の大きさを検出することを特徴とする磁気メディアの光学式検査装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の磁気メディアの光学式検査装置であって、前記ディスク検査部は、前記ディスクの表側の面を光学的に検査して前記ディスクの表側の面のキズや欠陥を検出する表側検査光学系と、前記ディスクの裏側の面を光学的に検査して前記ディスクの裏側の面のキズや欠陥を検出する裏側検査光学系とを備えていることを特徴とする磁気メディアの光学式検査装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の磁気メディアの光学式検査装置であって、前記ディスク検査部は、前記検査対象のディスクの種類に応じて前記表側検査光学系の高さを調整する駆動手段を更に備えていることを特徴とする磁気メディアの光学式検査装置。
【請求項5】
ディスク受渡部において検査対象の磁気メディアであるディスクの中心部分の穴をハブの先端部分と嵌合させて該ハブに搭載し、
該ディスクを搭載したハブを前記ディスクを光学的に検査するディスク検査部へ搬送し、
該ディスク検査部において前記ディスクを光学的に検査する磁気メディアの光学式検査方法であって、
前記ディスクを搭載したハブを前記ディスク検査部へ搬送する途中において前記ディスクを搭載したハブの前記ディスクの中心部分の穴と勘合している部分の大きさを検出して、前記ハブの前記ディスクの中心部分の穴と嵌合している部分の大きさが予め設定した大きさと異なるときには前記ハブの搬送を停止させることを特徴とする磁気メディアの光学式検査方法。
【請求項6】
請求項5記載の磁気メディアの光学式検査方法であって、前記ハブの前記ディスクの中心部分の穴と勘合している部分の大きさを検出することをレーザ変位計を用いて行い、該レーザ変位計で前記ハブに搭載したディスクの上面の高さと前記ハブの前記ディスクの中心部分の穴と勘合している部分の高さを計測し、該計測した高さの差から前記ハブの前記ディスクの中心部分の穴と勘合している部分の大きさを検出することを特徴とする磁気メディアの光学式検査方法。
【請求項7】
請求項5または6に記載の磁気メディアの光学式検査方法であって、前記ディスク検査部は表側検査光学系と裏側検査光学系とを有し、前記表側検査光学系を用いて前記ディスクの表側の面を光学的に検査して前記ディスクの表側の面のキズや欠陥を検出し、前記裏側検査光学系を用いて前記ディスクの裏側の面を光学的に検査して前記ディスクの裏側の面のキズや欠陥を検出することを特徴とする磁気メディアの光学式検査方法。
【請求項8】
請求項5または6に記載の磁気メディアの光学式検査方法であって、前記ディスク検査部は、前記検査対象のディスクの種類に応じて前記表側検査光学系の高さを調整することを特徴とする磁気メディアの光学式検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気メディアの光学式検査装置及び光学式検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気メディア(磁気ディスク)用基板として、アルミニウム(Al)基板又はガラス基板が用いられている。ガラス基板は用途に応じて結晶化ガラス(SX)又はアモルファスガラス(MEL)が用いられ、それぞれの種類のガラスにおいて、更に含有する成分が異なる複数の種類のガラスが用いられている。
【0003】
このガラス基板には、処理工程の途中で、基板の表面に微小な凹み状(ピット)の欠陥や微小な突起状(ビット)の欠陥が発生してしまう場合がある。このような微小な欠陥が存在するガラス基板は、最終の検査工程で不良品としてはねられる可能性が高い。そこで、このように不良になる確率の高いガラス基板は、生産ラインの初期の工程でラインから取り除くことが生産の歩留まりを高く維持する上で望ましい。
【0004】
なお、ガラス基板またはアルミニウム基板および磁気ディスクには用途別に様々なサイズが存在し、一般的なサイズとして外径1.8インチのモバイル向け磁気ディスク、2.5インチのデスクトップ向け磁気ディスク、3.5インチのサーバー向け磁気ディスクなどが有る。さらに、内径にもさまざまな種類があり、例として外径2.5インチのディスクでは、デスクトップ向けの内径20mm、サーバー向けの25mmのディスクが存在し、内径25mmのディスクにおいても外径2.5インチのディスクと3.5インチのディスクが存在するなど、ハードディスクの用途が広がるにつれ、磁気メディアのサイズも複雑多様化している。
【0005】
このような状況から、検査方式を問わず、磁気メディア(磁気ディスク)の光学式検査装置には様々なディスクサイズへ対応する機能が求められる。光学式検査装置において検査対象ディスクを固定する方式としては、特許文献1に記載されているような光学的にディスク表面の欠陥を検査する装置においては、例えば特許文献2に記載されているような専用のハブを用いてディスクの中心穴をクランプし、これをスピンドルによって回転させる方法が一般的である。また、この専用ハブをディスクの内径別に用意し、検査対象ディスクのサイズに合わせてハブサイズを交換することにより、一つの装置で複数のディスクサイズへ対応させる方法がとられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−76669号公報
【特許文献2】特開2011−192368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
様々なサイズの磁気ディスクに対応した磁気メディアの光学式検査装置においては、サイズに応じた専用ハブを用意すると共に、ディスクの半径方向の長さでいう検査領域をディスクに合わせて変えられる必要がある。この検査領域は、ディスクのサイズごとに異なり、また重複することが有る。例として、外径2.5インチに内径20mmのディスクと内径25mmのディスクでは、内径側に約2.5mmの検査領域の重複が発生する。この重複が、装置の検査機構とハブの衝突を招く原因になる。特許文献1に記載されているような光学的にディスク表面の欠陥を検査する装置ではディスク表面からの反射光を集光するレンズやミラーが、検査対象ディスク面上を相対的に移動する検査機構として、ハブと衝突する危険性を孕んでいる。
【0008】
磁気ディスクのテスト工程における検査では、磁気ディスクの内径直近までを検査領域として設定するケースが多く、このような運用においては、装置に実装されているハブのサイズと装置ソフトウェア等における検査領域の設定の不一致が発生したときに、上述した検査機構とハブとが衝突する危険がある。
【0009】
特許文献1には、検査機構とハブとの衝突を防止することについては記載されていない。また、特許文献2にも、ディスクをチャックしたときにディスクの上面よりも突き出ているハブの上端部分が検査機構と衝突することを防止することについては記載されていない。
【0010】
この衝突を防止する機構としては、スピンドルキャリッジと検査機構間に遮光センサを用いるなどの方法が考えられるが、ディスクの内径(ハブの外径)直近まで相対的に移動する検査機構を検知する仕組みとして使用するためには、センサそのものの動作精度、センサの位置精度を著しく高いものにする必要があり、スピンドルキャリッジ停止の動作についても高い応答性が要求されることになり、接地面積・調整面積の確保の問題と、制御技術の問題、コストの問題が発生する。さらに、シンプル・確実に検査機構とハブの衝突を防ぐ機構としては、スピンドルキャリッジと検査機構間にメカニカルストッパーを用いる方法が考えられるが、ハブを交換してハブ径を変更可能としている装置においては、検査対象ディスクのサイズの変更の際に、ハブの交換と共にメカニカルストッパーの交換を伴うことが有り、このような装置においては、メカニカルストッパーの交換を失念するなどのヒューマンエラーが発生する可能性がある。
【0011】
本発明は、上記した従来技術の課題を解決して、ディスクの種類に応じてディスクをクランプするためのハブを交換した場合であっても、検査機構とハブとの衝突を確実に防止することを可能にする磁気メディアの光学式検査装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明では、磁気メディアの光学式検査装置を、検査対象の磁気メディアであるディスクを受け渡しするディスク受渡部と、ディスクを光学的に検査するディスク検査部と、ディスクの中心部分の穴と嵌合してディスクを搭載するハブを有し、このハブにディスクを搭載してディスク受渡部とディスク検査部との間を移動するディスク搬送ユニットと、ディスク搬送ユニットがハブにディスクを搭載した状態でディスク受渡部からディスク検査部へ移動する途中においてディスクを搭載したハブのディスクの中心部分の穴と勘合している部分の大きさを検出する検出手段と、この検出手段で検出したハブのディスクの中心部分の穴と嵌合している部分の大きさが予め設定した大きさと異なるときにはディスク搬送ユニットの移動を停止させる制御手段とを備えて構成した。
【0013】
また、上記課題を解決するために、本発明では、ディスク受渡部において検査対象の磁気メディアであるディスクの中心部分の穴をハブの先端部分と嵌合させて該ハブに搭載し、このディスクを搭載したハブをディスクを光学的に検査するディスク検査部へ搬送し、このディスク検査部においてディスクを光学的に検査する磁気メディアの光学式検査方法において、ディスクを搭載したハブをディスク検査部へ搬送する途中においてディスクを搭載したハブのディスクの中心部分の穴と勘合している部分の大きさを検出して、ハブのディスクの中心部分の穴と嵌合している部分の大きさが予め設定した大きさと異なるときにはハブの搬送を停止させるようにした。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、磁気メディアの光学式検査装置において、検査機構とディスク供給・排出位置との間を移動するスピンドルキャリッジが検査機構の側に移動したときに、スピンドルキャリッジに装着した検査対象ディスクのサイズによって交換可能なハブが検査機構と干渉して検査機構を破壊してしまうことを防止できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1A】本発明の実施例に係る磁気メディアの光学式検査装置の概略の構成を示す正面のブロック図である。
図1B】本発明の実施例に係る磁気メディアの光学式検査装置の概略の構成を示す正面のブロック図である。
図2A】本発明の実施例に係る光学式検査ユニットの概略の構成を示す正面のブロック図である。
図2B】本発明の実施例に係る光学式検査ユニットの表側検査光学系の低角度検出光学系の概略の構成を示す正面のブロック図である。
図2C】本発明の実施例に係る光学式検査ユニットの正反射光検出器の検出面の正面図である。
図2D】本発明の実施例に係る光学式検査ユニットの表側検査光学系の高角度検出光学系の概略の構成を示す正面のブロック図である。
図3】磁気ディスクの平面図である。
図4A】本発明の実施例に係る磁気メディアの光学式検査装置の正面のブロック図で、スピンドルキャリッジで搬送途中のディスクの前方部分がレーザ変位計に差し掛かった状態を示す。
図4B】本発明の実施例に係る磁気メディアの光学式検査装置の正面のブロック図で、スピンドルキャリッジで搬送途中のハブの先端部分がレーザ変位計に差し掛かった状態を示す。
図4C】本発明の実施例に係る磁気メディアの光学式検査装置の正面のブロック図で、スピンドルキャリッジで搬送途中のディスクの後方部分がレーザ変位計に差し掛かった状態を示す。
図5A】本発明の実施例に係る磁気メディアの光学式検査装置においてレーザ変位計1050で検出した高さの中でHを検出した範囲が狭い場合を示すスピンドルキャリッジの正面図である。
図5B】本発明の実施例に係る磁気メディアの光学式検査装置においてレーザ変位計1050で検出した高さの中でHを検出した範囲が比較的広い場合を示すスピンドルキャリッジの正面図である。
図5C】本発明の実施例に係る磁気メディアの光学式検査装置においてレーザ変位計1050で検出した高さの中でHを検出した範囲が更に広い場合を示すスピンドルキャリッジの正面図である。
図6】本発明の実施例に係る磁気メディアの光学式検査装置の正面のブロック図で、スピンドルキャリッジが光学式検査部に到達した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明では、磁気メディアの光学式検査装置において、検査機構とディスク供給・排出位置との間を移動するスピンドルキャリッジが検査機構の側に移動している途中でハブのサイズをレーザ変位計で検出し、このレーザ変位計で検出したハブの径情報を検査装置に設定された検査領域の情報と照合し、両者が一致している場合にはスピンドルキャリッジをそのまま検査機構の側まで移動させる。両者が不一致な場合にはスピンドルキャリッジの移動を止めてスタート位置に戻し、ハブを適正なものに交換し検査機構を調整してから再度スピンドルキャリッジを検査機構の側に移動させるようにして、ハブが検査機構と干渉して検査機構を破壊してしまうことを防止できるようにした。
以下に、本発明の実施例を、図を用いて説明する。
【実施例】
【0017】
磁気メディアの光学式検査装置の例として、ディスクの両面のキズや付着異物などを光学的に検査する光学式のディスク検査装置の例を説明する。
【0018】
図1Aは、磁気メディアの光学式検査装置1000の概略の構成を示す正面図、図1Bはその平面図である。
磁気メディアの光学式検査装置1000は、ディスク1の受け渡しをする受渡部1100とディスク1の両面を同時に光学的に検査する光学式検査ユニット1210を備えた光学式検査部1200と全体制御部1300を備え、その間をハブ1001に搭載されたディスク1をスピンドルキャリッジ1004が往復して移動する構成となっている。
【0019】
スピンドルキャリッジ1004は、図示していないスピンドルモータで駆動させるハブ1001を搭載し、ハブ1001の先端部分1002にディスク1の中央部分の穴2を嵌合させて図示していないチャック機構でチャックしてディスク1を保持する。ディスク1を保持した状態で、ハブ1001の先端部分1002は、ディスク1の上面よりも上方に突き出ている。
【0020】
スピンドルキャリッジ1004は、ボールねじ1005及びガイド軸1006と係合しており、ボールねじ1005はステッピングモータ1003で回転駆動され、その回転量をエンコーダ1008で測定される。ガイド軸1006、ステッピングモータ1003、及びエンコーダ1008は、それぞれ支柱1009,1010でベースプレート1011に固定されている。
【0021】
受渡部1100では、図示していないハンドリングユニットにより未検査のディスクが図示していないカセットから取出されて、受渡部1100に待機しているスピンドルキャリッジ1004のハブ1001の先端部分1002にディスク1の中央部分の穴2を嵌合させてディスク1を保持させる。
【0022】
ハブ1001でディスク1を保持した状態でスピンドルキャリッジ1004はステッピングモータ1003で回転駆動されたボールねじ1005が回転することにより、ガイド軸1006に沿って光学式検査部1200の側に移動する。
【0023】
光学式検査部1200の光学式検査ユニット1210は、図2Aに示すように、ディスク1の表側(上側)の面を光学テクに検査する表側検査光学系1211と、ディスク1の裏側(下側)の面を光学的に検査する裏側検査光学系1212とを備えて、ディスク1の両面を同時に検査する。
【0024】
表側検査光学系1211は、ディスク1の表面側に照明光を照射する照明手段100、照明光が照射されたディスク1の表面側から低角度方向(ディスク1の表面の法線方向となす角度が小さい方向:高仰角方向)に正反射・散乱した光を集光して検出する低角度検出光学系200、ディスク1の表面側から高角度方向(ディスク1の表面の法線方向となす角度が大きい方向:低仰角方向)に散乱した光を集光して検出する高角度検出光学系300を備えている。
【0025】
裏側検査光学系1212は、ディスク1の裏面側に照明光を照射する照明手段100´、照明手段100´から発射された照明光をディスク1の裏面に照射するために照明光の行路を変換するミラー101、照明光が照射されたディスク1の裏面側から低角度方向(ディスク1の表面の法線方向となす角度が小さい方向:高仰角方向)に正反射・散乱した光を集光して検出する低角度検出光学系200´、ディスク1の裏面側から高角度方向(ディスク1の表面の法線方向となす角度が大きい方向:低仰角方向)に散乱した光を集光して検出する高角度検出光学系300´を備えている。
【0026】
光学式検査ユニット1210は、更に、低角度検出光学系200、200´及び高角度検出光学系300、300´でそれぞれディスク1からの正反射・散乱光を検出して出力されたそれぞれのアナログ検出信号を増幅してデジタル信号に変換(A/D変換)するA/D変換部400、A/D変換部400で変換された各検出器からの信号を受けて処理する処理ユニット500、処理ユニット500の処理条件を入力し、処理の結果を出力する入出力手段600を備えている。光学式検査ユニット1210の全体は、全体制御部1300で制御される。
【0027】
表側検査光学系1211は、上下駆動装置1213によって、検査対象ディスク1の種類に応じて高さが調節される。
照明手段100及び100´は、所望の波長のレーザを出力するレーザ光源を備えている。
【0028】
低角度検出光学系200と200´、及び高角度検出光学系300と300´は、それぞれ基本的に同じ構成であるので、以下の説明は、ディスク1の表面を検査する表側検査光学系1211の低角度検出光学系200と高角度検出光学系300とについて説明する。
【0029】
低角度検出光学系200は、照明手段100により照射されてディスク1の表面で反射・散乱して点線で示した方向のうち低角度方向(高仰角方向)に進んだ正反射光を含む反射・散乱光を検出する光学系である。
【0030】
低角度検出光学系200は、図2Bに示すように、ディスク1の表面から低角度方向に進んだ正反射光を反射するミラー201、ミラー201で反射されなかった正反射光周辺の散乱光を集光する対物レンズの役割を果たすフレネルレンズ202、ミラー201で反射された正反射光を集光する対物レンズ203、対物レンズ203で集光されたディスク1からの正反射光を収束させる収束レンズ204、収束レンズ204による正反射光の収束点に位置して収束された正反射光を通過させるピンホールを有して正反射光以外の迷光を遮光するピンホール板205、このピンホール板205のピンホールを通過した正反射光を検出する正反射光検出器206で構成される正反射光検出系210、フレネルレンズ202で集光された光 (ディスク1からの正反射光周辺の散乱光)を収束させる収束レンズ207、収束レンズ207の収束点に位置して収束された光を通過させるピンホールを有して収束されなかった光を遮光するピンホール板208、このピンホール板208を通過した光を検出する低角度検出器209を備えている。
【0031】
ここで、正反射光検出器206は、図2Cに示すように、検出面が2061〜2064の4つの検出素子に分割された4分割センサで構成されている。ただし、正反射光検出器206は4分割センサに限定されるものではなく、6分割センサ、又は8分割センサであってもよい。又、図2Cでは、検出素子を矩形で示したが、円形を4分割した4分割センサを用いてもよい。
【0032】
高角度検出光学系300は、図2Dに示すように、照明手段100から発射され、ディスク1の表面で反射・散乱した光のうち高角度方向(低仰角方向)に進んだ散乱光を集光する対物レンズの役割を果たすフレネルレンズ301、フレネルレンズ301で集光された光を収束させる収束レンズ302、収束レンズ302の収束点に位置して収束された光を通過させるピンホールを有して収束されなかった光を遮光するピンホール板303、このピンホール板303を通過した光を検出する高角度検出器304を備えている。
【0033】
全体制御部1300で図示していないスピンドルモータを駆動してハブ1001を回転させることによりディスク1を回転させた状態で、全体制御部1300でステッピングモータ1003を駆動してスピンドルキャリッジ1004を一定の速度でディスク1の半径方向に移動させることによりディスク1の両面をスパイラル状に検査を行う。このスピンドルキャリッジ1004の位置及び移動速度は、エンコーダ1008でボールねじ1005の回転を検出することにより制御される。
【0034】
この検査において、ディスク1の表面で反射・散乱した光を検出した各検出器206、209,304から出力されたアナログ信号は、それぞれA/D変換部400のA/D変換器401〜403で増幅されA/D変換されて処理ユニット500に入力される。同様に、ディスク1の裏面で反射・散乱した光を検出した低角度検出光学系200´と高角度検出光学系300´から出力されたアナログ信号は、それぞれA/D変換部400のA/D変換器401´〜403´で増幅されA/D変換されて処理ユニット500に入力される。
【0035】
処理ユニット500では、各A/D変換器401〜403及び401´〜403´で増幅されA/D変換された信号を処理して、欠陥を検出して欠陥種ごとに分類し、求めた欠陥種ごとの欠陥の数及び分布に基づいてディスク1の良否を判定する。
【0036】
ディスク1は、図3に示すようなドーナツ状の平面形状を有し、種類によって厚さや外径及び穴2の内径が異なり、それに応じてディスク1を搬送するスピンドルキャリッジ1004のハブ1001の径及び先端部分1002の径が異なっている。
【0037】
このディスク1の種類に関する情報は、全体制御部1300の図示していない入力部から入力され、全体制御部1300で制御されて、上下駆動装置1211が駆動して表側検査光学系1211を検査対象ディスク1の種類に応じた高さに調節し、検査範囲(スピンドルキャリッジ1004の移動範囲)が設定されて、光学検査ユニット1210とハブ1001の先端部分1002とが衝突するのを防いでいる。
【0038】
一方、ディスクの種類に応じてスピンドルキャリッジ1004のハブ1001も交換する。このハブ1001を交換する作業と全体制御部1300にディスク1の種類に関する情報を入力する作業とは両方とも実行されなければならない。しかし、いずれか一方の作業を忘れてしまう可能性もある。
【0039】
ディスク1の検査時に、ディスク1の両面の微小な欠陥からの微弱な反射・散乱光を検出するために、光学検査ユニット1210は、ディスク1の面に接近して検査を行う。このため、スピンドルキャリッジ1004に取り付けられたハブ1001の径が、全体制御部1300に登録されたハブの径よりも大きかった場合には、光学検査ユニット1210による検査範囲とハブ1001の先端部分1002の領域とが干渉して、光学検査ユニット1210とハブ1001の先端部分1002とが衝突してしまう恐れがある。
【0040】
そこで、本実施例においては、何れか一方の作業を忘れた場合のことを考慮した構成とした。すなわち、本実施例においては、スピンドルキャリッジ1004がガイド軸1006に沿って光学式検査部1200の側に移動しているときに、レーザ変位計1050でディスク1の上面及びハブ1001の先端部分1002の大きさ(直径)を検出して、全体制御部1300に登録されているディスク1の種類に関する情報と一致していることを確認してからディスク1を光学式検査部1200へ搬送するようにした。
【0041】
次に、スピンドルキャリッジ1004がガイド軸1006に沿って光学式検査部1200の側に移動しているときに、レーザ変位計1050でディスク1の上面及びハブ1001の先端部分1002の高さを検出する状態を、図4A乃至図4Cを用いて説明する。
【0042】
先ず、図1Aに示したように、受渡部1100でディスクをハブ1001で保持した状態で、スピンドルキャリッジ1004はステッピングモータ1003で回転駆動されたボールねじ1005によりガイド軸1006に沿って移動して、図4Aの位置に達する。この位置で、レーザ変位計1050でディスク1の上面の高さが検出される。スピンドルキャリッジ1004がさらに前進して図4Bの位置に達すると、レーザ変位計1050でハブ1001の先端部分1002の高さが検出される。更に進むと図4Cに示すように、レーザ変位計1050で再びディスク1の上面の高さが検出される。
【0043】
レーザ変位計1050は、一定の時間間隔でディスク1の上面とハブ1001の先端部分1002の高さを計測する。図5Aは、ハブ1001の先端部分1002の径が比較的小さい種類のハブ1001でディスク1を保持した場合に、レーザ変位計1050でディスク1の上面とハブ1001の先端部分1002の高さを計測した結果を示す。図中のLは、レーザ変位計1050で検出した面の高さが低い場合を示し、ディスク1の上面の高さを検出した場合に相当する。一方、Hは、レーザ変位計1050で検出した面の高さが高い場合を示し、ハブ1001の先端部分1002の高さを検出した場合に相当する。
【0044】
図5Aは。レーザ変位計1050で検出した高さの中でHを検出した範囲が狭い場合、図5BはHを検出した範囲が比較的広い場合、図5CはHを検出した範囲が更に広い場合をそれぞれ示している。
【0045】
全体制御部1300は、図5A乃至図5Cに示したLとHに相当するレーザ変位計1050からの出力信号を受けて、スピンドルキャリッジ1004が図4Cの位置に達した時点でハブ1001の先端部分1002の径を求める。そして、この求めた径が予め設定したハブ1001の種類に対応しているかをチェックし、予め設定したハブ1001の種類に対応している場合には、ステッピングモータ1003を制御してスピンドルキャリッジ1004を図6の位置まで搬送する。
【0046】
一方、求めたハブ1001の先端部分1002の径が予め設定したハブ1001の種類に対応していない場合(先端部分1002の径が、全体制御部1300に予め登録されていたディスク1の種類に応じた所定の寸法より大きかった場合、又は小さかった場合)には、ステッピングモータ1003による駆動を停止させて、スピンドルキャリッジ1004を図4Cの位置で停止させ、ハブ1001の先端部分1002の径が異常であることを知らせる情報を出力する。
【0047】
以上のように、本実施例では、ディスク1を受渡部1100から光学式検査部1200への搬送途中でハブ1001の先端部分1002の径を検出することにより、搬送中のディスク1が予め全体制御部1300に設定されたディスク1の種類と一致していることを確かめてから光学式検査部1200へ搬入するようにした。これにより、搬送中のディスク1と全体制御部1300に設定されたディスク1の種類との不一致によるハブ1001の先端部分1002と光学式検査部1200の光学式検査ユニット1210との衝突を防ぐことができるようになった。
【0048】
以上、本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0049】
1…ディスク 1000…磁気メディアの光学式検査装置 1001…ハブ 1002…ハブの先端部分 1003…ステッピングモータ 1004…スピンドルキャリッジ 1005…ボールねじ 1008…エンコーダ 1100…受渡部 1050…レーザ変位計 1200…光学式検査部 1210…光学式検査ユニット 1211…表側検査光学系 1212…裏側検査光学系 1300…全体制御部。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6