【実施例】
【0017】
磁気メディアの光学式検査装置の例として、ディスクの両面のキズや付着異物などを光学的に検査する光学式のディスク検査装置の例を説明する。
【0018】
図1Aは、磁気メディアの光学式検査装置1000の概略の構成を示す正面図、
図1Bはその平面図である。
磁気メディアの光学式検査装置1000は、ディスク1の受け渡しをする受渡部1100とディスク1の両面を同時に光学的に検査する光学式検査ユニット1210を備えた光学式検査部1200と全体制御部1300を備え、その間をハブ1001に搭載されたディスク1をスピンドルキャリッジ1004が往復して移動する構成となっている。
【0019】
スピンドルキャリッジ1004は、図示していないスピンドルモータで駆動させるハブ1001を搭載し、ハブ1001の先端部分1002にディスク1の中央部分の穴2を嵌合させて図示していないチャック機構でチャックしてディスク1を保持する。ディスク1を保持した状態で、ハブ1001の先端部分1002は、ディスク1の上面よりも上方に突き出ている。
【0020】
スピンドルキャリッジ1004は、ボールねじ1005及びガイド軸1006と係合しており、ボールねじ1005はステッピングモータ1003で回転駆動され、その回転量をエンコーダ1008で測定される。ガイド軸1006、ステッピングモータ1003、及びエンコーダ1008は、それぞれ支柱1009,1010でベースプレート1011に固定されている。
【0021】
受渡部1100では、図示していないハンドリングユニットにより未検査のディスクが図示していないカセットから取出されて、受渡部1100に待機しているスピンドルキャリッジ1004のハブ1001の先端部分1002にディスク1の中央部分の穴2を嵌合させてディスク1を保持させる。
【0022】
ハブ1001でディスク1を保持した状態でスピンドルキャリッジ1004はステッピングモータ1003で回転駆動されたボールねじ1005が回転することにより、ガイド軸1006に沿って光学式検査部1200の側に移動する。
【0023】
光学式検査部1200の光学式検査ユニット1210は、
図2Aに示すように、ディスク1の表側(上側)の面を光学テクに検査する表側検査光学系1211と、ディスク1の裏側(下側)の面を光学的に検査する裏側検査光学系1212とを備えて、ディスク1の両面を同時に検査する。
【0024】
表側検査光学系1211は、ディスク1の表面側に照明光を照射する照明手段100、照明光が照射されたディスク1の表面側から低角度方向(ディスク1の表面の法線方向となす角度が小さい方向:高仰角方向)に正反射・散乱した光を集光して検出する低角度検出光学系200、ディスク1の表面側から高角度方向(ディスク1の表面の法線方向となす角度が大きい方向:低仰角方向)に散乱した光を集光して検出する高角度検出光学系300を備えている。
【0025】
裏側検査光学系1212は、ディスク1の裏面側に照明光を照射する照明手段100´、照明手段100´から発射された照明光をディスク1の裏面に照射するために照明光の行路を変換するミラー101、照明光が照射されたディスク1の裏面側から低角度方向(ディスク1の表面の法線方向となす角度が小さい方向:高仰角方向)に正反射・散乱した光を集光して検出する低角度検出光学系200´、ディスク1の裏面側から高角度方向(ディスク1の表面の法線方向となす角度が大きい方向:低仰角方向)に散乱した光を集光して検出する高角度検出光学系300´を備えている。
【0026】
光学式検査ユニット1210は、更に、低角度検出光学系200、200´及び高角度検出光学系300、300´でそれぞれディスク1からの正反射・散乱光を検出して出力されたそれぞれのアナログ検出信号を増幅してデジタル信号に変換(A/D変換)するA/D変換部400、A/D変換部400で変換された各検出器からの信号を受けて処理する処理ユニット500、処理ユニット500の処理条件を入力し、処理の結果を出力する入出力手段600を備えている。光学式検査ユニット1210の全体は、全体制御部1300で制御される。
【0027】
表側検査光学系1211は、上下駆動装置1213によって、検査対象ディスク1の種類に応じて高さが調節される。
照明手段100及び100´は、所望の波長のレーザを出力するレーザ光源を備えている。
【0028】
低角度検出光学系200と200´、及び高角度検出光学系300と300´は、それぞれ基本的に同じ構成であるので、以下の説明は、ディスク1の表面を検査する表側検査光学系1211の低角度検出光学系200と高角度検出光学系300とについて説明する。
【0029】
低角度検出光学系200は、照明手段100により照射されてディスク1の表面で反射・散乱して点線で示した方向のうち低角度方向(高仰角方向)に進んだ正反射光を含む反射・散乱光を検出する光学系である。
【0030】
低角度検出光学系200は、
図2Bに示すように、ディスク1の表面から低角度方向に進んだ正反射光を反射するミラー201、ミラー201で反射されなかった正反射光周辺の散乱光を集光する対物レンズの役割を果たすフレネルレンズ202、ミラー201で反射された正反射光を集光する対物レンズ203、対物レンズ203で集光されたディスク1からの正反射光を収束させる収束レンズ204、収束レンズ204による正反射光の収束点に位置して収束された正反射光を通過させるピンホールを有して正反射光以外の迷光を遮光するピンホール板205、このピンホール板205のピンホールを通過した正反射光を検出する正反射光検出器206で構成される正反射光検出系210、フレネルレンズ202で集光された光 (ディスク1からの正反射光周辺の散乱光)を収束させる収束レンズ207、収束レンズ207の収束点に位置して収束された光を通過させるピンホールを有して収束されなかった光を遮光するピンホール板208、このピンホール板208を通過した光を検出する低角度検出器209を備えている。
【0031】
ここで、正反射光検出器206は、
図2Cに示すように、検出面が2061〜2064の4つの検出素子に分割された4分割センサで構成されている。ただし、正反射光検出器206は4分割センサに限定されるものではなく、6分割センサ、又は8分割センサであってもよい。又、
図2Cでは、検出素子を矩形で示したが、円形を4分割した4分割センサを用いてもよい。
【0032】
高角度検出光学系300は、
図2Dに示すように、照明手段100から発射され、ディスク1の表面で反射・散乱した光のうち高角度方向(低仰角方向)に進んだ散乱光を集光する対物レンズの役割を果たすフレネルレンズ301、フレネルレンズ301で集光された光を収束させる収束レンズ302、収束レンズ302の収束点に位置して収束された光を通過させるピンホールを有して収束されなかった光を遮光するピンホール板303、このピンホール板303を通過した光を検出する高角度検出器304を備えている。
【0033】
全体制御部1300で図示していないスピンドルモータを駆動してハブ1001を回転させることによりディスク1を回転させた状態で、全体制御部1300でステッピングモータ1003を駆動してスピンドルキャリッジ1004を一定の速度でディスク1の半径方向に移動させることによりディスク1の両面をスパイラル状に検査を行う。このスピンドルキャリッジ1004の位置及び移動速度は、エンコーダ1008でボールねじ1005の回転を検出することにより制御される。
【0034】
この検査において、ディスク1の表面で反射・散乱した光を検出した各検出器206、209,304から出力されたアナログ信号は、それぞれA/D変換部400のA/D変換器401〜403で増幅されA/D変換されて処理ユニット500に入力される。同様に、ディスク1の裏面で反射・散乱した光を検出した低角度検出光学系200´と高角度検出光学系300´から出力されたアナログ信号は、それぞれA/D変換部400のA/D変換器401´〜403´で増幅されA/D変換されて処理ユニット500に入力される。
【0035】
処理ユニット500では、各A/D変換器401〜403及び401´〜403´で増幅されA/D変換された信号を処理して、欠陥を検出して欠陥種ごとに分類し、求めた欠陥種ごとの欠陥の数及び分布に基づいてディスク1の良否を判定する。
【0036】
ディスク1は、
図3に示すようなドーナツ状の平面形状を有し、種類によって厚さや外径及び穴2の内径が異なり、それに応じてディスク1を搬送するスピンドルキャリッジ1004のハブ1001の径及び先端部分1002の径が異なっている。
【0037】
このディスク1の種類に関する情報は、全体制御部1300の図示していない入力部から入力され、全体制御部1300で制御されて、上下駆動装置1211が駆動して表側検査光学系1211を検査対象ディスク1の種類に応じた高さに調節し、検査範囲(スピンドルキャリッジ1004の移動範囲)が設定されて、光学検査ユニット1210とハブ1001の先端部分1002とが衝突するのを防いでいる。
【0038】
一方、ディスクの種類に応じてスピンドルキャリッジ1004のハブ1001も交換する。このハブ1001を交換する作業と全体制御部1300にディスク1の種類に関する情報を入力する作業とは両方とも実行されなければならない。しかし、いずれか一方の作業を忘れてしまう可能性もある。
【0039】
ディスク1の検査時に、ディスク1の両面の微小な欠陥からの微弱な反射・散乱光を検出するために、光学検査ユニット1210は、ディスク1の面に接近して検査を行う。このため、スピンドルキャリッジ1004に取り付けられたハブ1001の径が、全体制御部1300に登録されたハブの径よりも大きかった場合には、光学検査ユニット1210による検査範囲とハブ1001の先端部分1002の領域とが干渉して、光学検査ユニット1210とハブ1001の先端部分1002とが衝突してしまう恐れがある。
【0040】
そこで、本実施例においては、何れか一方の作業を忘れた場合のことを考慮した構成とした。すなわち、本実施例においては、スピンドルキャリッジ1004がガイド軸1006に沿って光学式検査部1200の側に移動しているときに、レーザ変位計1050でディスク1の上面及びハブ1001の先端部分1002の大きさ(直径)を検出して、全体制御部1300に登録されているディスク1の種類に関する情報と一致していることを確認してからディスク1を光学式検査部1200へ搬送するようにした。
【0041】
次に、スピンドルキャリッジ1004がガイド軸1006に沿って光学式検査部1200の側に移動しているときに、レーザ変位計1050でディスク1の上面及びハブ1001の先端部分1002の高さを検出する状態を、
図4A乃至
図4Cを用いて説明する。
【0042】
先ず、
図1Aに示したように、受渡部1100でディスクをハブ1001で保持した状態で、スピンドルキャリッジ1004はステッピングモータ1003で回転駆動されたボールねじ1005によりガイド軸1006に沿って移動して、
図4Aの位置に達する。この位置で、レーザ変位計1050でディスク1の上面の高さが検出される。スピンドルキャリッジ1004がさらに前進して
図4Bの位置に達すると、レーザ変位計1050でハブ1001の先端部分1002の高さが検出される。更に進むと
図4Cに示すように、レーザ変位計1050で再びディスク1の上面の高さが検出される。
【0043】
レーザ変位計1050は、一定の時間間隔でディスク1の上面とハブ1001の先端部分1002の高さを計測する。
図5Aは、ハブ1001の先端部分1002の径が比較的小さい種類のハブ1001でディスク1を保持した場合に、レーザ変位計1050でディスク1の上面とハブ1001の先端部分1002の高さを計測した結果を示す。図中のLは、レーザ変位計1050で検出した面の高さが低い場合を示し、ディスク1の上面の高さを検出した場合に相当する。一方、Hは、レーザ変位計1050で検出した面の高さが高い場合を示し、ハブ1001の先端部分1002の高さを検出した場合に相当する。
【0044】
図5Aは。レーザ変位計1050で検出した高さの中でHを検出した範囲が狭い場合、
図5BはHを検出した範囲が比較的広い場合、
図5CはHを検出した範囲が更に広い場合をそれぞれ示している。
【0045】
全体制御部1300は、
図5A乃至
図5Cに示したLとHに相当するレーザ変位計1050からの出力信号を受けて、スピンドルキャリッジ1004が
図4Cの位置に達した時点でハブ1001の先端部分1002の径を求める。そして、この求めた径が予め設定したハブ1001の種類に対応しているかをチェックし、予め設定したハブ1001の種類に対応している場合には、ステッピングモータ1003を制御してスピンドルキャリッジ1004を
図6の位置まで搬送する。
【0046】
一方、求めたハブ1001の先端部分1002の径が予め設定したハブ1001の種類に対応していない場合(先端部分1002の径が、全体制御部1300に予め登録されていたディスク1の種類に応じた所定の寸法より大きかった場合、又は小さかった場合)には、ステッピングモータ1003による駆動を停止させて、スピンドルキャリッジ1004を
図4Cの位置で停止させ、ハブ1001の先端部分1002の径が異常であることを知らせる情報を出力する。
【0047】
以上のように、本実施例では、ディスク1を受渡部1100から光学式検査部1200への搬送途中でハブ1001の先端部分1002の径を検出することにより、搬送中のディスク1が予め全体制御部1300に設定されたディスク1の種類と一致していることを確かめてから光学式検査部1200へ搬入するようにした。これにより、搬送中のディスク1と全体制御部1300に設定されたディスク1の種類との不一致によるハブ1001の先端部分1002と光学式検査部1200の光学式検査ユニット1210との衝突を防ぐことができるようになった。
【0048】
以上、本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。