【実施例】
【0025】
以下、本発明の実施例について具体的に説明する。
【0026】
[実施例1]
平均粒径が1μm以下の酸化亜鉛粉末と、平均粒径が1μm以下の酸化アルミニウム粉末を、酸化アルミニウム粉末の含有量が0.05質量%となるように混合した原料粉末に、水、1質量%のPVAバインダー、0.5質量%のアクリル酸メタクリル酸共重合体アンモニア中和物から成る分散剤を添加し、ビーズミル(アシザワ・ファインテック株式会社製:LMZ型)にて混合してスラリーを調製した。
【0027】
得られたスラリーを、スプレードライヤー(大川原化工機株式会社製:ODL−20型)を用い、供給速度140ml/min、熱風温度140℃、熱風量8Nm
3/minの条件で乾燥造粒して、酸化アルミニウムの含有量が0.05質量%である酸化亜鉛と酸化アルミニウムから成る造粒粉を得た。
【0028】
次に、上述した筒状ゴム型と2枚の板状ゴム型とで構成される成形型に上記造粒粉を充填し、冷間静水圧プレス(株式会社神戸製鋼製)にて300MPaで成形し、長さ250mm、幅150mm、厚さ10mmの成形体を得た。
【0029】
得られた成形体を、焼結炉(丸祥電器株式会社製)に入れ、大気中にて0.5℃/分の速度で600℃まで昇温し、0.3℃/分の速度で600〜1000℃の温度範囲を昇温した。その後、1000℃にて40時間、焼結した後、室温まで冷却し、長さ217mm、幅130mm、厚み9mmの焼結体を得た。
【0030】
そして、焼結体の上下面、側面の加工を行い、210mm×125mm×7mmの酸化亜鉛スパッタリングターゲット材を得た。
【0031】
更に、長さ、幅をノギスで測定し、厚みをマイクロメーターで測定し、電子天秤で重量を測定して密度計算を行い、相対密度に換算した。
【0032】
すなわち、実測値から求めた焼結体の密度は5.56g/cm
3、計算真密度は5.78g/cm
3であり、相対密度は96.2%であった。
【0033】
この結果を表1に示す。
【0034】
[実施例2〜3]
焼結保持温度が1150℃である点を除き実施例1と同様にして(実施例2)、また、焼結保持温度が900℃かつ焼結保持時間が60時間である点を除き実施例1と同様にして(実施例3)、実施例2〜3に係る酸化亜鉛スパッタリングターゲット材を得た。
【0035】
更に、実施例1と同様の方法により実施例2〜3に係る酸化亜鉛スパッタリングターゲット材の相対密度を求めた。
【0036】
この結果も表1に示す。
【0037】
[
参考例4〜6]
酸化アルミニウムの配合量(含有量)が0質量%である点を除き実施例1〜3と同様にして
参考例4〜6に係る酸化亜鉛スパッタリングターゲット材を得た。
【0038】
更に、実施例1と同様の方法により
参考例4〜6に係る酸化亜鉛スパッタリングターゲット材の相対密度を求めた。
【0039】
この結果も表1に示す。
【0040】
[実施例7〜9]
酸化アルミニウムの配合量(含有量)が0.10質量%である点を除き実施例1〜3と同様にして実施例7〜9に係る酸化亜鉛スパッタリングターゲット材を得た。
【0041】
更に、実施例1と同様の方法により実施例7〜9に係る酸化亜鉛スパッタリングターゲット材の相対密度を求めた。
【0042】
この結果も表1に示す。
【0043】
[比較例1〜3]
焼結保持温度が1200℃である点を除き実施例1と同様にして(比較例1)、また、焼結保持温度が1200℃かつ焼結保持時間が20時間である点を除き実施例1と同様にして(比較例2)、更に、焼結保持温度が800℃かつ焼結保持時間が60時間である点を除き実施例1と同様にして(比較例3)、比較例1〜3に係る酸化亜鉛スパッタリングターゲット材を得た。
【0044】
更に、実施例1と同様の方法により比較例1〜3に係る酸化亜鉛スパッタリングターゲット材の相対密度を求めた。
【0045】
この結果も表1に示す。
【0046】
[比較例4〜6]
酸化アルミニウムの配合量(含有量)が0質量%で焼結保持温度が1200℃である点を除き実施例1と同様にして(比較例4)、また、酸化アルミニウムの配合量(含有量)が0質量%で焼結保持温度が1200℃かつ焼結保持時間が20時間である点を除き実施例1と同様にして(比較例5)、更に、酸化アルミニウムの配合量(含有量)が0質量%で焼結保持温度が800℃かつ焼結保持時間が60時間である点を除き実施例1と同様にして(比較例6)、比較例4〜6に係る酸化亜鉛スパッタリングターゲット材を得た。
【0047】
更に、実施例1と同様の方法により比較例4〜6に係る酸化亜鉛スパッタリングターゲット材の相対密度を求めた。
【0048】
この結果も表1に示す。
【0049】
[比較例7〜9]
酸化アルミニウムの配合量(含有量)が0.10質量%で焼結保持温度が1200℃である点を除き実施例1と同様にして(比較例7)、酸化アルミニウムの配合量(含有量)が0.10質量%で焼結保持温度が1200℃かつ焼結保持時間が20時間である点を除き実施例1と同様にして(比較例8)、酸化アルミニウムの配合量(含有量)が0.10質量%で焼結保持温度が800℃かつ焼結保持時間が60時間である点を除き実施例1と同様にして(比較例9)、比較例7〜9に係る酸化亜鉛スパッタリングターゲット材を得た。
【0050】
更に、実施例1と同様の方法により比較例7〜9に係る酸化亜鉛スパッタリングターゲット材の相対密度を求めた。
【0051】
この結果も表1に示す。
【0052】
[比較例10]
焼結保持時間が30時間である点を除き実施例8と同様にして、比較例10に係る酸化亜鉛スパッタリングターゲット材を得た。
【0053】
更に、実施例1と同様の方法により比較例10に係る酸化亜鉛スパッタリングターゲット材の相対密度を求めた。
【0054】
この結果も表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
「確 認」
(1)酸化亜鉛を主成分とし、0.10質量%以下の酸化アルミニウムを含有する酸化亜鉛スパッタリングターゲット材を製造する際、第三工程の焼結温度(焼結保持温度)が900〜1150℃、焼成時間(保持時間)が40〜60時間の常圧焼結条件を満たすことにより、相対密度95%以上の酸化亜鉛スパッタリングターゲット材を製造できることが実施例1〜
3、参考例4〜6、および、実施例7〜9により確認される。
【0057】
(2)他方、上記酸化亜鉛スパッタリングターゲット材を製造する際、第三工程の焼結温度(焼結保持温度)が800℃以下または1200℃以上の場合(すなわち、900〜1150℃の条件を満たさない場合)は、焼成時間(保持時間)が40〜60時間の常圧焼結条件を満たしたとしても、相対密度95%以上の酸化亜鉛スパッタリングターゲット材が得られないことが比較例1〜9により確認される。
【0058】
(3)更に、上記酸化亜鉛スパッタリングターゲット材を製造する際、第三工程における焼結温度(焼結保持温度)の条件(900〜1150℃)を満たしたとしても、焼成時間(保持時間)の条件(40〜60時間)を満たさない場合には、相対密度95%以上の酸化亜鉛スパッタリングターゲット材が得られないことが比較例10により確認される。