【文献】
自在調節型押出機 [online],日本,田辺プラスチックス株式会社,2015年 5月11日,インターネット<URL:http://tanabe-yyy.co.jp/product/09/>,URL,http://tanabe-yyy.co.jp/product/09/
【文献】
樹脂用マスターバッチ [online],日本,三協化成株式会社,2015年 5月11日,インターネット<URL:http://www.sankyo-k.co.jp/cellmic_mb.htm>,URL,http://www.sankyo-k.co.jp/cellmic_mb.htm
【文献】
セルマイクの選択「PP・PS・ABS」 [online],日本,三協化成株式会社,2015年 5月11日,インターネット<URL:http://www.sankyo-k.co.jp/sentaku_pp_ps_abs.htm>,URL,http://www.sankyo-k.co.jp/sentaku_pp_ps_abs.htm
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
熱可塑性樹脂組成物からなり、JIS B0601−1982に従って測定される成形体の表面粗さの最大高さ(Rmax)と、JIS B0601−1982に従って測定される成形体の表面の中心線平均粗さ(Ra)とが、次式(1)を充足し、成形体の貫通孔の面積率が1%以上20%以下であり(但し、成形体の表面積を100%とする)、かさ密度が0.13g/cm3以上0.50g/cm3以下である成形体。
9 ≦ Rmax/(Ra+1) ≦ 45・・・・・・ 式(1)
熱可塑性樹脂組成物が2種の非相溶な熱可塑性樹脂を含有するものであり、熱可塑性樹脂組成物中の熱可塑性樹脂の総量を100重量%とするときに、前記2種の非相溶な熱可塑性樹脂の合計量が90重量%以上である請求項1に記載の成形体。
転移温度の異なる2種の非相溶な熱可塑性樹脂のうち、転移温度が高い熱可塑性樹脂を熱可塑性樹脂(A)とし、転移温度が低い熱可塑性樹脂を熱可塑性樹脂(B)とするときに、
熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)の転移温度の差が10℃以上50℃以下であり、
熱可塑性樹脂(A)の含有量が30重量%以上90重量%以下であり、熱可塑性樹脂(B)の含有量が10重量%以上70重量%以下である(但し、熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)の合計量を100重量%とする)請求項3に記載の成形体。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の成形体は、熱可塑性樹脂組成物からなり、JIS B0601−1982に従って測定される成形体の表面粗さの最大高さ(Rmax)と、JIS B0601−1982に従って測定される成形体の表面の中心線平均粗さ(Ra)とが、次式(1)を充足するものである。
9 ≦ Rmax/(Ra+1) ≦ 45・・・・・・ 式(1)
【0010】
本発明の成形体の貫通孔の面積率は、1%以上20%以下である。当該貫通孔の面積率は、成形体の表面積100%に対する貫通孔部分の面積の割合であり、成形体の表面画像を画像解析することにより求めることができる。当該貫通孔は成形体の厚さ方向に貫通した孔である。貫通孔の面積率は具体的には、画像解析装置を用いて得られた画像を画像解析ソフトウェアーで解析することにより求めることができる。貫通孔の面積率は、成形体の風合いを良好にする観点から、好ましくは3%以上15%以下である。
【0011】
本発明の成形体のかさ密度は、0.13g/cm
3以上0.50g/cm
3以下である。当該かさ密度は、成形体の外寸法に対する重量である。成形体のかさ密度は、成形体の貫通孔の面積率、成形体表面の凹凸、成形体内部の独立気泡等の増加によって低下する。かさ密度は、成形体の風合いを良好にする観点から、好ましくは0.15g/cm
3以上0.40g/cm
3以下である。
【0012】
本発明の成形体は、好ましくはフィルムまたはシートであり、より好ましくはフィルムである。本発明の成形体がフィルムである場合、フィルムの厚さは、好ましくは10μm以上1000μm以下であり、より好ましくは30μm以上500μm以下である。
【0013】
本発明の成形体の好適な製造方法として、発泡剤を含有する熱可塑性樹脂組成物を溶融押出して発泡シートを作製する発泡シート作製工程と、前記発泡シート作製工程で得られた発泡シートを2軸延伸する延伸工程とを含有する方法が挙げられる。当該熱可塑性樹脂組成物には、非相溶な熱可塑性樹脂を2種以上含有していることが好ましい。発泡シートを2軸延伸することにより、発泡シートの気泡が破れ、破れた気泡の一部はつながって厚さ方向に貫通した孔(貫通孔)を形成する。発泡シートの表面付近で気泡が破れた場合は、発泡シートの表面に凹部が形成される。前記貫通孔や凹部の形成に伴い、貫通孔や凹部の周縁に樹脂が盛り上がるなどして、樹脂が密集した凸部が形成される。前記凸部がつながって見える部分は、あたかも和紙中の繊維のような外観を呈し、和モダンの風合いを醸しだす。このようにして形成された凹凸を有する成形体の表面粗さの最大高さ(Rmax)は、主に和紙中の繊維のように見える密集した凸部の影響を受け、和モダンの風合いを有する成形体の凹凸は、式(1)を充足するものである。熱可塑性樹脂組成物が転移温度の異なる2種以上の非相溶な熱可塑性樹脂を含有している場合は、上記方法により作製された発泡シート中の非相溶な熱可塑性樹脂は相分離し、発泡シートの厚さ、外観、気泡等にムラが生じやすく、そのような発泡シートを延伸すると、発泡シート中で相分離している各熱可塑性樹脂のうち、転移温度が高い樹脂の部分より転移温度が低い樹脂の部分のほうが延伸時に優先的に引き伸ばされ、転移温度が高い樹脂の部分は引き伸ばされにくいという延伸時の伸びムラが生じ、成形体表面の凹凸や貫通孔がより形成されやすい。
【0014】
熱可塑性樹脂としては、オレフィン樹脂、スチレン樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、エステル樹脂、アミド樹脂などが挙げられ、好ましくはオレフィン樹脂またはスチレン樹脂である。
【0015】
オレフィン樹脂とは、炭素原子数2以上10以下のオレフィンに由来する構造単位を50重量%以上含有する樹脂である(ただし、オレフィン樹脂の全量を100重量%とする)。炭素原子数2以上10以下のオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等が挙げられる。
また、オレフィン樹脂は、炭素原子数2以上10以下のオレフィン以外の単量体に由来する構造単位を含有していてもよい。炭素原子数2以上10以下のオレフィン以外の単量体としては、例えば、スチレンなどの芳香族ビニル単量体;アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどの不飽和カルボン酸エステル;酢酸ビニルなどのビニルエステル化合物;1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)などの共役ジエン;ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネンなどの非共役ジエンが挙げられる。
【0016】
オレフィン樹脂としては、エチレン樹脂、プロピレン樹脂、またはブテン樹脂が好ましい。
【0017】
エチレン樹脂とは、エチレンに由来する構造単位を50重量%以上含有する樹脂であり、例えば、エチレン単独重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体等が挙げられる。エチレン樹脂を二種以上用いてもよい。
【0018】
プロピレン樹脂とは、プロピレンに由来する構造単位を50重量%以上含有する樹脂であり、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−1−オクテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−エチレン−1−オクテン共重合体等が挙げられる。プロピレン樹脂を二種以上用いてもよい。
【0019】
ブテン樹脂とは、1−ブテンに由来する構造単位を50重量%以上含有する樹脂であり、例えば、1−ブテン単独重合体、1−ブテン−エチレン共重合体、1−ブテン−プロピレン共重合体、1−ブテン−1−ヘキセン共重合体、1−ブテン−1−オクテン共重合体、1−ブテン−エチレン−プロピレン共重合体、1−ブテン−エチレン−1−ヘキセン共重合体、1−ブテン−エチレン−1−オクテン共重合体、1−ブテン−プロピレン−1−ヘキセン共重合体、1−ブテン−プロピレン−1−オクテン共重合体等が挙げられる。ブテン樹脂を二種以上用いてもよい。
【0020】
スチレン樹脂とは、スチレンもしくはスチレン誘導体に由来する構造単位を50重量%以上含有する樹脂である。スチレン誘導体としては、例えば、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メトキシスチレンを挙げることができる。スチレン樹脂は、スチレンもしくはスチレン誘導体以外の単量体に由来する構造単位を含有していてもよく、例えば、炭素原子数2以上10以下のオレフィン;アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどの不飽和カルボン酸エステル;酢酸ビニルなどのビニルエステル化合物;1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)などの共役ジエン;ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネンなどの非共役ジエンをあげることができる。
【0021】
メタクリル樹脂とは、メタクリル酸エステルに由来する構造単位を50重量%以上含有する樹脂であり、例えば、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸エチル)、ポリ(メタクリル酸ブチル)、ポリ(メタクリル酸2−エチルヘキシル)等が挙げられる。
【0022】
アクリル樹脂とは、アクリル酸エステルに由来する構造単位を50重量%以上含有する樹脂であり、例えば、ポリ(アクリル酸メチル)、ポリ(アクリル酸エチル)、ポリ(アクリル酸ブチル)、ポリ(アクリル酸2−エチルヘキシル)等が挙げられる。
【0023】
エステル樹脂とは、多価カルボン酸と多価アルコールとのエステルに由来する構造単位を50重量%以上含有する樹脂であり、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等が挙げられる。
【0024】
アミド樹脂とは、アミド結合で繰り返される構造単位を50重量%以上含有する樹脂であり、例えば、ポリ(ε−カプロラクタム)、ポリドデカンアミド、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)、ポリ(ヘキサメチレンドデカンアミド)、ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)、ポリ(m−フェニレンテレフタルアミド)等が挙げられる。
【0025】
上記の熱可塑性樹脂の製造方法としては、公知の重合用触媒を用いた公知の重合方法が用いられる。
【0026】
熱可塑性樹脂組成物が、2種の非相溶な熱可塑性樹脂を含有する場合、熱可塑性樹脂組成物中の熱可塑性樹脂の総量を100重量%とするときに、前記2種の非相溶な熱可塑性樹脂の合計量が90重量%以上であることが好ましい。熱可塑性樹脂組成物が、非相溶な熱可塑性樹脂を2種含有する場合、非相溶な熱可塑性樹脂2種の組み合わせとしては、例えば、オレフィン樹脂−オレフィン樹脂、オレフィン樹脂−スチレン樹脂、オレフィン樹脂−メタクリル樹脂、オレフィン樹脂−アクリル樹脂、オレフィン樹脂−エステル樹脂、オレフィン樹脂−アミド樹脂等が挙げられ、好ましくは、オレフィン樹脂−オレフィン樹脂、オレフィン樹脂−スチレン樹脂であり、より好ましくは、プロピレン樹脂−エチレン樹脂、プロピレン樹脂−スチレン樹脂である。熱可塑性樹脂組成物が、2種の非相溶な熱可塑性樹脂を含有し、さらに前記2種の非相溶な熱可塑性樹脂とは異なる熱可塑性樹脂を含有する場合、該熱可塑性樹脂は、前記2種の非相溶な熱可塑性樹脂の一方と相溶するものであってもよく、前記2種の非相溶な熱可塑性樹脂の両方と非相溶であってもよい。
【0027】
本発明の成形体の製造に使用する熱可塑性樹脂組成物には、転移温度の異なる2種の非相溶な熱可塑性樹脂が含有されていることが好ましく、前記2種の非相溶な熱可塑性樹脂のうち、転移温度が高い熱可塑性樹脂を熱可塑性樹脂(A)とし、転移温度が低い熱可塑性樹脂を熱可塑性樹脂(B)とした場合、熱可塑性樹脂組成物中の熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)の合計量を100重量%として、熱可塑性樹脂組成物における熱可塑性樹脂(A)の含有量が30重量%以上90重量%以下であり、熱可塑性樹脂(B)の含有量が10重量%以上70重量%以下であり、熱可塑性樹脂組成物中の熱可塑性樹脂の総量を100重量%として、熱可塑性樹脂組成物中の熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)の合計量が90重量%以上であることが好ましい。ここで、転移温度とは、結晶性熱可塑性樹脂の場合は樹脂の融解ピーク温度であり、非晶性熱可塑性樹脂の場合は樹脂のガラス転移温度であり、いずれも、示差走査熱量測定により求めることができる。熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)の転移温度の差は10℃以上50℃以下であることが好ましい。
【0028】
熱可塑性樹脂組成物中の熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)の合計量を100重量%として、熱可塑性樹脂組成物における熱可塑性樹脂(A)の含有量が40重量%以上80重量%以下であり、熱可塑性樹脂(B)の含有量が20重量%以上60重量%以下であることがより好ましく、熱可塑性樹脂(A)の含有量が50重量%以上70重量%以下であり、熱可塑性樹脂(B)の含有量が30重量%以上50重量%以下であることが更に好ましい。なお、式(1)のRmax/(Ra+1)の値を大きくするには、熱可塑性樹脂(B)の含有量を多くすることが好ましい。上記のとおり、延伸のときには、転移温度が高い樹脂(A)の部分より転移温度が低い樹脂(B)の部分が優先的に引き伸ばされる。熱可塑性樹脂(B)の含有量を多くすることにより、伸ばされやすい部分が増え、その部分がより伸ばされ薄くなり、樹脂(A)の部分はあまり伸びないまま残るため、Rmaxが大きくなり、Rmax/(Ra+1)の値が大きくなると考えられる。
【0029】
JIS K7210−1999に従って、温度230℃および荷重2.16kgfの条件で測定される熱可塑性樹脂(A)のメルトマスフローレート(MFR(A))は、好ましくは1g/10分以上30g/10分以下である。
【0030】
JIS K7210−1999に従って、温度230℃および荷重2.16kgfの条件で測定される熱可塑性樹脂(A)のメルトマスフローレート(MFR(A))と、JIS K7210−1999に従って、温度230℃および荷重2.16kgfの条件で測定される熱可塑性樹脂(B)のメルトマスフローレート(MFR(B))とは、次式(2)を充足することが好ましい。
−0.5 ≦ log(MFR(A))−log(MFR(B)) ≦ 0.5 ・・・ 式(2)
【0031】
熱可塑性樹脂(A)としては、プロピレン樹脂が好ましい。プロピレン樹脂の融解ピーク温度は、好ましくは125℃以上140℃以下である。
【0032】
熱可塑性樹脂(B)としては、エチレン樹脂またはスチレン樹脂が好ましい。エチレン樹脂とスチレン樹脂の密度は、好ましくは0.860g/cm
3以上0.905g/cm
3以下である。ここで、密度は、JIS K7112−1990に規定の水中置換法(23℃)に従って測定される。
【0033】
発泡剤としては、化学発泡剤、物理発泡剤等の公知の発泡剤が挙げられる。化学発泡剤と物理発泡剤とを併用してもよい。
【0034】
化学発泡剤としては、無機化合物であっても有機化合物であってもよく、2種以上を併用してもよい。
無機化合物としては、炭酸アンモニウム等の炭酸塩;炭酸水素ナトリウム等の炭酸水素塩などが挙げられる。
有機化合物としては、(a)有機酸またはその塩:クエン酸、コハク酸、味ピン酸、酒石酸、安息香酸などのカルボン酸及びその塩、(b)N−ニトロソ化合物:N,N’−ジニトロソテレフタルアミド、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、(c)アゾ化合物:アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾシクロヘキシルニトリル、アゾジアミノベンゼン、バリウムアゾジカルボキシレート、(d)スルフォニルヒドラジド化合物:ベンゼンスルフォニルヒドラジド、トルエンスルフォニルヒドラジド、p,p’−オキシビス(ベンゼンスルフェニルヒドラジド)、ジフェニルスルフォン−3,3’−ジスルフォニルヒドラジド、(e)アジド化合物:カルシウムアジド、4,4’−ジフェニルジスルフォニルアジド、p−トルエンスルフォニルアジド等が挙げられる。
【0035】
物理発泡剤としては、窒素、二酸化炭素等の不活性ガスや揮発性有機化合物などが挙げられる。物理発泡剤としては、超臨界状態の二酸化炭素、窒素、またはこれらの混合物が好ましい。物理発泡剤は、二種以上を併用してもよい。
【0036】
発泡剤は、化学発泡剤であることが好ましく、有機酸またはその塩、あるいは、有機酸またはその塩と炭酸水素塩との混合物であることがより好ましい。
【0037】
本発明の成形体の製造に使用する熱可塑性樹脂組成物における発泡剤の含有量は、熱可塑性樹脂の総量100重量部あたり、好ましくは0.1重量部以上3重量部以下である。
成形体の貫通孔の面積率を高くするには、発泡剤の含有量を多くすることが好ましい。発泡剤の含有量を多くすることにより、樹脂組成物を溶融押出して作製した発泡シート中の気泡が多くなる。気泡の多い発泡シートを延伸することにより、発泡シートの気泡が破れ、つながり貫通孔となりやすく、貫通孔の面積率は高くなると考えられる。また、式(1)のRmax/(Ra+1)の値を大きくするには、発泡剤の含有量を多くすることが好ましい。気泡の多い発泡シートは表面付近の気泡も多く、延伸することにより、発泡シートの表面付近で気泡が破れやすく、表面がより荒れた状態になる。その場合、RmaxもRaもともに大きくなるが、Rmaxの方がより大きくなると考えられる。
【0038】
発泡剤として化学発泡剤を添加する場合、熱可塑性樹脂に化学発泡剤をそのまま添加してもよく、熱可塑性樹脂をベース樹脂とした化学発泡剤のマスターバッチを熱可塑性樹脂に添加してもよい。好ましくは、マスターバッチ中の化学発泡剤の含有量は、20重量%以上80重量%以下である。但し、マスターバッチの全量を100重量%とする。
【0039】
本発明の成形体の製造に使用する熱可塑性樹脂組成物は、さらに有機繊維、無機充填材、有機ポリマービーズまたはその他の添加剤を含有してもよい。
【0040】
有機繊維としては、例えば、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリウレタン繊維、ポリイミド繊維、ポリオレフィン繊維、ポリアクリロニトリル繊維、ケナフ等の植物繊維が挙げられ、ポリエステル繊維が好ましい。
【0041】
有機繊維を含有する場合、有機繊維の含有量は、熱可塑性樹脂の総量100重量部あたり、好ましくは、1重量部以上30重量部以下である。
【0042】
無機充填材としては、粉末状、フレーク状、または顆粒状である無機充填材や、繊維状である無機充填材等が挙げられる。
粉末状、フレーク状、または顆粒状である無機充填材として、例えば、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、クレー、アルミナ、シリカ、硫酸カルシウム、けい砂、カーボンブラック、酸化チタン、水酸化マグネシウム、ゼオライト、モリブデン、けいそう土、セリサイト、シラス、水酸化カルシウム、亜硫酸カルシウム、硫酸ソーダ、ベントナイト、黒鉛等が挙げられる。
また、繊維状である無機充填材として、例えば、繊維状マグネシウムオキシサルフェート、チタン酸カリウム繊維、水酸化マグネシウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、ケイ酸カルシウム繊維、炭酸カルシウム繊維、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維等が挙げられる。
無機充填材は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0043】
無機充填材は、カップリング剤や界面活性剤で表面を処理したものであってもよい。カップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤やチタンカップリング剤が挙げられる。界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸塩等が挙げられる。
【0044】
粉末状、フレーク状、または顆粒状である無機充填材の平均粒子径は、好ましくは、10μm以下であり、より好ましくは5μm以下である。
上記の平均粒子径とは、遠心沈降式粒度分布測定装置を用いて、水やアルコール等の分散媒中に懸濁させて測定し、篩下法の積分分布曲線から求めた50%相当粒子径(D50)である。
【0045】
繊維状である無機充填材の平均繊維長は、通常、3μm以上20μm以下である。平均繊維径は、好ましくは、0.2μm以上1.5μm以下である。また、アスペクト比は、好ましくは、10以上30以下である。なお、繊維状である無機充填材の平均繊維長および平均繊維径は、電子顕微鏡で測定したものであり、アスペクト比は、平均繊維径に対する平均繊維長の比(平均繊維長/平均繊維径)である。
【0046】
無機充填材を含有する場合、無機充填材の含有量は、熱可塑性樹脂の総量100重量部あたり、好ましくは、0.1重量部以上30重量部以下である。
【0047】
その他の添加剤としては、例えば、中和剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光剤、耐候剤、滑剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、加工助剤、顔料、発泡核剤、可塑剤、難燃剤、架橋剤、架橋助剤、高輝度化剤、抗菌剤、光拡散剤等が挙げられる。これらの添加剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、発泡シート作製工程において、後述のTダイ又はサーキュラーダイスに樹脂の劣化物等が付着することを防止するために高級脂肪酸金属塩を含有してもよいが、成形体が和モダンの風合いを有するためには、発泡シート作製工程において用いられる発泡剤の含有量を100重量部として、高級脂肪酸金属塩の含有量を50重量部以下とすることが好ましく、25重量部以下とすることがより好ましい。
【0048】
発泡剤を含有する熱可塑性樹脂組成物を溶融押出して発泡シートを作製する発泡シート作製工程では、具体的には一軸押出機または二軸押出機により発泡剤を含有する熱可塑性樹脂組成物を溶融混練し、Tダイ又はサーキュラーダイスから熱可塑性樹脂組成物を溶融押出し発泡させ、冷却ロールにてシート状に冷却固化させることが好ましい。
【0049】
押出機内での混練温度は、発泡剤の分解開始温度より低いことが好ましい。混練温度は、より好ましくは、発泡剤の分解開始温度より2℃以上低い温度であり、更に好ましくは、発泡剤の分解開始温度より5℃以上低い温度である。また、押出機内での熱可塑性樹脂の滞留時間は、1分間以上10分間以下であることが好ましい。
【0050】
Tダイ又はサーキュラーダイスから溶融押出しする際の熱可塑性樹脂組成物の温度は、発泡剤の分解開始温度より高いことが好ましい。溶融押出しする際の熱可塑性樹脂組成物の温度は、より好ましくは、発泡剤の分解開始温度より5℃以上高い温度であり、更に好ましくは、発泡剤の分解開始温度より10℃以上高い温度である。
【0051】
成形体の貫通孔の面積率を大きくするには、押出機の回転速度(吐出量)を低くすることが好ましい。押出機の回転速度(吐出量)を低くすると、得られる発泡シートの厚さが相対的に薄くなる。また、押出機の回転速度(吐出量)を低くすると、押出機内の樹脂圧力が低くなり、発泡剤由来の気泡が大きくなりやすく、得られる発泡シートの発泡倍率が高くなる傾向にある。そのような発泡シートを延伸すると、発泡シートの気泡が破れ、つながり貫通孔となりやすく、貫通孔の面積率は高くなると考えられる。また、式(1)のRmax/(Ra+1)を大きくするには、冷却ロールにてシート状に冷却固化させる際のライン速度を高くすることが好ましい。前記ライン速度を高くすることにより、溶融押出された樹脂組成物が冷却される冷却速度は遅くなる。そのため、非相溶な二つの樹脂の相分離が進行しやすくなり、発泡シート中において、転移温度が低い樹脂(B)が集まっている部分(ドメイン)の面積が大きくなり、延伸時に伸ばされやすい部分の面積が増え、その部分がより伸ばされ薄くなり、樹脂(A)の部分はあまり伸びないまま残るため、Rmaxが大きくなり、Rmax/(Ra+1)が大きくなると考えられる。
【0052】
前記発泡シート作製工程で得られた発泡シートを2軸延伸する延伸工程において、発泡シートを2軸延伸する方法としては、逐次二軸延伸方式、同時二軸延伸方式、チューブラー二軸延伸方式等の延伸方式が挙げられる。
【0053】
前記延伸工程において、延伸温度は、熱可塑性樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂のうち、最も高い転移温度をもつ熱可塑性樹脂の転移温度をT
X(単位:℃)として、(T
X−10)℃以上(T
X+10)℃以下であることが好ましい。
【0054】
前記延伸工程において、縦延伸倍率は、好ましくは3倍以上8倍以下であり、横延伸倍率は、好ましくは3倍以上8倍以下である。縦延伸倍率と横延伸倍率の比率は、好ましくは0.77以上1.3以下である。成形体の貫通孔の面積率を大きくするには、延伸倍率を高くすることが好ましい。延伸倍率を高くすることにより、延伸時に発泡シートはより多く伸ばされるため、発泡シートの気泡が破れつながり貫通孔となりやすく、貫通孔の面積率は高くなると考えられる。
【0055】
本発明の成形体は、他の樹脂や材料と積層された積層体として使用されてもよく、そのような場合は、積層体は本発明の成形体からなる層を少なくとも一方の表層として有するものである。積層体としては、例えば、本発明の成形体からなる表層と基材層とを有する積層体等が挙げられる。本発明の成形体からなる表層と基材層とを有する積層体では、本発明の成形体からなる表層の貫通孔を通して、前記表層と隣接した基材層の表面が見える。
【0056】
本発明の成形体を少なくとも一方の表層として有する積層体の製造方法としては、例えば発泡剤を含有する熱可塑性樹脂組成物を溶融押出して発泡シートを作製し、得られた発泡シートと他の樹脂とを積層し、真空/圧空成形やプレス成形などで延伸することで、シートを延伸しながら立体形状を付与する方法や、本発明の成形体を金型内にインサートしてブロー成形などで他の樹脂と接着する方法が挙げられる。また、互いに異なる樹脂組成物からなる二種以上の層を有する発泡シートを作製し、前記発泡シートを2軸延伸することにより、発泡シートの少なくとも一方の表層を本発明の成形体からなる層とし、他の層を本発明の成形体からなる層とは異なる層とすることもできる。
【0057】
本発明の成形体や積層体は、例えば、障子用フィルム、袋、包装紙、照明用カバー、襖などの戸用装飾フィルム、もしくは鞄、文具等の樹脂製品などの用途に用いることができる。
前記照明用カバーとしては、例えば、蛍光ランプや白熱電球のカバー等のランプシェード等が挙げられる。
【実施例】
【0058】
以下、実施例によって本発明を説明する。
各種物性値の測定方法および評価方法を以下に示す。
【0059】
(1)貫通孔の面積率
縦20cm×横20cmのフィルム試験片の表面を画像解析装置で画像解析して、試験片の面積(400cm
2)を100%として、貫通孔の面積率(単位:%)を求めた。
なお、画像解析装置は、セイコーエプソン(株)製のスキャナーGT−X970であり、得られた画像をパーソナルコンピューターの画像解析ソフトウェアー(旭化成株式会社製「A像くん」バージョン2.20)にて画像解析した。
【0060】
(2)中心線平均粗さ(Ra)および最大高さ(Rmax)
JIS B0601−1982に従って、成形体のRmaxおよびRaを測定した。具体的には、三次元表面粗さ計(株式会社小坂研究所製 SE−30KS)を用いて、フィルムのMD方向に、2000μmの長さを0.5mm/秒の速さで、フィルムのTD方向に10μmのピッチで100回測定し、得られた粗さ曲線を解析して、Ra(単位はμm)およびRmax(単位はμm)を求めた。
なお、触針先端半径2μm、頂角60°のダイヤモンド針を使用し、測定張力を0.7mN、カットオフを0.08mmとした。
【0061】
(3)融解ピーク温度(Tm)、ガラス転移温度(Tg)
示差走査型熱量計(TAインスツルメンツ社製MDSC)を用い、試料10mgを窒素雰囲気下220℃で5分間熱処理し、その後、冷却速度5℃/分で−80℃まで冷却し、−80℃において1分間保温した。次に、−80℃から180℃まで加熱速度5℃/分で加熱してDSC曲線を測定し、DSC曲線でピーク高さが最も高いピークのピーク頂点の温度を融解ピーク温度とし、ガラス転移挙動に伴う比熱変化を示すベースラインシフトの変曲点における温度をガラス転移温度とした。
【0062】
(4)風合い官能評価
パネラー5名に、フィルムの風合い官能評価を行ってもらい、和の風合いであり、且つキラキラとした光沢感とレーシーな透け感とを備え、全体として和モダンの風合いであると評価した人数により、次のように判定した。
判定基準
○:上記風合いがあると評価したパネラーが3名以上。
△:上記風合いがあると評価したパネラーが1〜2名。
×:上記風合いがあると評価したパネラーが0名。
【0063】
(5)目視評価
フィルムを目視および倍率10倍の拡大鏡を用いて観察した。
観察した結果、
「ところどころに貫通孔が存在し、貫通孔の周辺には樹脂が密集して盛り上がったような部分が存在し、該部分は和紙中の繊維が絡まりあったような様子を示しており、繊維状に見える部分も、繊維が束状に集まっていたり密に絡まりあったりしているような部分とそうでない部分とがあり、全体として凹凸、厚みムラのあるフィルムであった」場合は、目視評価結果を1とし、
「和紙中の繊維が絡まりあったような模様や繊維の濃淡が観察されなかった」場合は、目視評価結果を2とした。
【0064】
(6)厚さ
発泡シートの厚さは、尾崎製作所製リニアゲージD−100S(測定圧力3.5mN、測定子直径5mm)を用いて測定し、各シートにおける任意の縦50mm横50mm内で、概ね等間隔に縦3点×横3点の9点に対する測定結果を平均した数値とした。
フィルムの厚さは、尾崎製作所製リニアゲージD−100S(測定圧力3.5mN、測定子直径5mm)を用いて測定し、各フィルムにおける任意の縦50mm横50mm内で概ね等間隔に縦3点×横3点の9点に対する測定結果を平均した数値とした。なお、前項の目視評価で1であったフィルムの厚さを測定する場合、測定範囲内には繊維状に見える部分を含んでいた。
【0065】
(7)かさ密度
発泡シートのかさ密度は、縦50mm横50mmのシート重量を測定し前項で測定した厚さを有する直方体における密度として計算した。
延伸フィルムのかさ密度は、縦50mm横50mmのフィルム重量を測定し前項で測定した厚さを有する直方体における密度として計算した。
【0066】
(8)発泡倍率
発泡シートの発泡倍率は、発泡シートに含有される樹脂の密度を前項で測定した発泡シートのかさ密度で除した値として求めた。なお、「発泡シートに含有される樹脂の密度」とは、発泡シートに含有される各樹脂の密度と各樹脂の含有量から計算される重量平均値である。ただし、発泡剤マスターバッチに含有される樹脂は、発泡シートに含有される全樹脂量に対して少量しか含まれていないため、「発泡シートに含有される樹脂の密度」を算出する際には考慮しない。
【0067】
[実施例1]
下記プロピレン樹脂A(融解ピーク温度=132℃)50重量部、下記スチレン樹脂(ガラス転移温度=100℃)48重量部および下記発泡剤マスターバッチ2重量部のペレットブレンド物を、田辺プラスチック機械(株)製シート成形機(自在調節型単軸押出機VS−40およびシート加工機VFC40−252)の押出機により溶融混練し、溶融混練された樹脂組成物をTダイから押出し発泡させて、発泡シートを成形した。発泡シート成形時、押出機のスクリュー回転速度を50rpm、押出機温度を215℃、ライン速度を1.0m/分とした。得られた発泡シートの厚さは1.1mmであり、かさ密度は0.59g/cm
3であり、発泡倍率は1.5倍であった。
【0068】
プロピレン樹脂A:住友化学(株)製 ノーブレン S131[メルトマスフローレート(230℃,2.16kg):2g/10分、密度:0.890g/cm
3]
スチレン樹脂:東洋スチレン(株)製 トーヨースチロールHI H650[メルトマスフローレート(190℃,2.16kg):3.4g/10分、密度:0.870g/cm
3]
発泡剤マスターバッチ:三協化成(株)製 セルマイクMB3274[発泡剤:炭酸水素ナトリウム及びクエン酸(発泡剤マスターバッチ中の発泡剤の含有量:40重量%)、樹脂:低密度ポリエチレン(発泡剤マスターバッチ中の樹脂の含有量:60重量%)]
【0069】
次に、得られた発泡シートを、二軸延伸試験装置((株)東洋精機製作所製)によって、延伸温度130℃、縦延伸倍率4倍および横延伸倍率4倍(縦延伸倍率/横延伸倍率=1)の条件で延伸し、孔の空いたフィルムを得た。得られたフィルムの厚さは99μm、貫通孔の面積率は8.7%、Raは1.29μm、Rmaxは89.77μm、かさ密度は0.21g/cm
3であった。得られたフィルムの目視評価結果は1であった。フィルムの風合い官能試験の結果は○であった。
【0070】
[実施例2]
発泡シート成形において、プロピレン樹脂Aを70重量部、スチレン樹脂を28重量部用いたこと以外は、実施例1と同様に実施して、孔の空いたフィルムを得た。得られた発泡シートの厚さは1.0mmであり、かさ密度は0.64g/cm
3であり、発泡倍率は1.4倍であった。得られたフィルムの厚さは102μm、貫通孔の面積率は12.6%、Raは0.50μm、Rmaxは14.75μm、かさ密度は0.19g/cm
3であった。得られたフィルムの目視評価結果は1であった。フィルムの風合いの官能試験の結果は○であった。
【0071】
[実施例3]
下記プロピレン樹脂A(融解ピーク温度=132℃)70重量部、下記エチレン樹脂A(融解ピーク温度=115℃)28重量部および下記発泡剤マスターバッチ2重量部のペレットブレンド物を、田辺プラスチック機械(株)製シート成形機(自在調節型単軸押出機VS−40およびシート加工機VFC40−252)の押出機により溶融混練し、溶融混練された樹脂組成物をTダイから押出し発泡させて、発泡シートを成形した。発泡シート成形時、押出機のスクリュー回転速度を50rpm、押出機温度を215℃、ライン速度を0.5m/分とした。得られた発泡シートの厚さは0.8mmであり、かさ密度は0.48g/cm
3であり、発泡倍率は1.9倍であった。
【0072】
プロピレン樹脂A:住友化学(株)製 ノーブレン S131[メルトマスフローレート(230℃,2.16kg):2g/10分、密度:0.890g/cm
3]
エチレン樹脂A:住友化学(株)製 エクセレン VL−100[メルトマスフローレート(190℃,2.16kg):0.8g/10分、密度:0.900g/cm
3]
発泡剤マスターバッチ:三協化成(株)製 セルマイクMB3274[発泡剤:炭酸水素ナトリウム及びクエン酸(発泡剤マスターバッチ中の発泡剤の含有量:40重量%)、樹脂:低密度ポリエチレン(発泡剤マスターバッチ中の樹脂の含有量:60重量%)]
【0073】
次に、得られた発泡シートを、二軸延伸試験装置((株)東洋精機製作所製)によって、延伸温度130℃、縦延伸倍率4倍および横延伸倍率4倍(縦延伸倍率/横延伸倍率=1)の条件で延伸し、孔の空いたフィルムを得た。得られたフィルムの厚さは243μm、貫通孔の面積率は5.1%、Raは1.46μm、Rmaxは48.58μm、かさ密度は0.22g/cm
3であった。得られたフィルムの目視評価結果は1であった。フィルムの風合いの官能試験の結果は○であった。
【0074】
[実施例4]
発泡シート成形において、押出機のスクリュー回転速度を30rpm、ライン速度を1.0m/分としたこと以外は、実施例3と同様に実施して、孔の空いたフィルムを得た。得られた発泡シートの厚さは0.9mmであり、かさ密度は0.38g/cm
3であり、発泡倍率は2.4倍であった。得られたフィルムの厚さは105μm、貫通孔の面積率は6.1%、Raは2.17μm、Rmaxは125.59μm、かさ密度は0.16g/cm
3であった。得られたフィルムの目視評価結果は1であった。フィルムの風合いの官能試験の結果は○であった。
【0075】
[比較例1]
発泡シート成形において、押出機のスクリュー回転速度を80rpmとしたこと以外は、実施例3と同様に実施して、フィルムを得た。得られた発泡シートの厚さは1.1mmであり、かさ密度は0.68g/cm
3であり、発泡倍率は1.3倍であった。得られたフィルムの厚さは155μm、貫通孔の面積率は0%、Raは0.65μm、Rmaxは16.27μm、かさ密度は0.37g/cm
3であった。得られたフィルムには貫通孔が存在せず、目視評価結果は2であった。フィルムの風合いの官能試験の結果は×であった。
【0076】
[比較例2]
下記プロピレン樹脂A(融解ピーク温度=132℃)70重量部、下記エチレン樹脂A(融解ピーク温度=115℃)28.5重量部および下記発泡剤マスターバッチ1.5重量部のペレットブレンド物を、田辺プラスチック機械(株)製シート成形機(自在調節型単軸押出機VS−40およびシート加工機VFC40−252)の押出機により溶融混練し、溶融混練された樹脂組成物をTダイから押出し発泡させて、発泡シートに成形した。発泡シート成形時、押出機のスクリュー回転速度を65rpm、押出機温度を215℃、ライン速度を0.8m/分とした。得られた発泡シートの厚さは1.4mmであり、かさ密度は0.70g/cm
3であり、発泡倍率は1.3倍であった。
【0077】
プロピレン樹脂A:住友化学(株)製 ノーブレン S131[メルトマスフローレート(230℃,2.16kg):2g/10分、密度:0.890g/cm
3]
エチレン樹脂A:住友化学(株)製 エクセレン VL−100[メルトマスフローレート(190℃,2.16kg):0.8g/10分、密度:0.900g/cm
3]
発泡剤マスターバッチ:三協化成(株)製 セルマイクMB3274[発泡剤:炭酸水素ナトリウム及びクエン酸(発泡剤マスターバッチ中の発泡剤の含有量:40重量%)、樹脂:低密度ポリエチレン(発泡剤マスターバッチ中の樹脂の含有量:60重量%)]
【0078】
次に、得られた発泡シートを、二軸延伸試験装置((株)東洋精機製作所製)によって、延伸温度130℃、縦延伸倍率2倍および横延伸倍率2倍(縦延伸倍率/横延伸倍率=1)の条件で延伸し、孔の空いたフィルムを得た。得られたフィルムの厚さは648μm、貫通孔の面積率は0.1%、Raは1.45μm、Rmaxは46.33μm、かさ密度は0.24g/cm
3であった。得られたフィルムの目視評価結果は2であった。フィルムの風合いの官能試験の結果は×であった。
【0079】
[実施例5]
延伸において、延伸倍率を縦延伸倍率3倍および横延伸倍率3倍(縦延伸倍率/横延伸倍率=1)としたこと以外は比較例2と同様に実施して、孔の空いたフィルムを得た。得られたフィルムの厚さは235μm、貫通孔の面積率は3.4%、Raは1.19μm、Rmaxは42.50μm、かさ密度は0.31g/cm
3であった。得られたフィルムの目視評価結果は1であった。フィルムの風合いの官能試験の結果は○であった。
【0080】
[実施例6]
延伸において、延伸倍率を縦延伸倍率5倍および横延伸倍率5倍(縦延伸倍率/横延伸倍率=1)としたこと以外は比較例2と同様に実施して、孔の空いたフィルムを得た。得られたフィルムの厚さは79μm、貫通孔の面積率は4.4%、Raは0.96μm、Rmaxは19.42μm、かさ密度は0.33g/cm
3であった。得られたフィルムの目視評価結果は1であった。フィルムの風合いの官能試験の結果は○であった。
【0081】
[実施例7]
延伸において、延伸倍率を縦延伸倍率6倍および横延伸倍率6倍(縦延伸倍率/横延伸倍率=1)としたこと以外は比較例2と同様に実施して、孔の空いたフィルムを得た。得られたフィルムの厚さは52μm、貫通孔の面積率は12.7%、Raは0.56μm、Rmaxは13.97μm、かさ密度は0.24g/cm
3であった。得られたフィルムの目視評価結果は1であった。フィルムの風合いの官能試験の結果は○であった。
【0082】
【表1】
【0083】
【表2】
【解決手段】熱可塑性樹脂組成物からなり、JIS B0601−1982に従って測定される成形体の表面粗さの最大高さ(Rmax)と、JIS B0601−1982に従って測定される成形体の表面の中心線平均粗さ(Ra)とが、次式(1)を充足し、成形体の貫通孔の面積率が1%以上20%以下であり(但し、成形体の表面積を100%とする)、かさ密度が0.13g/cm