(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0004】
極紫外線(EUV)光、例えば、約50〜100nm又はそれ未満(軟X線とも呼ばれることがある)の波長を有し、かつ約13nmの波長での光を含む電磁放射線をフォトリソグラフィ工程に使用して、基板、例えば、シリコンウェーハに極めて小さな特徴部を生成することができる。
【0005】
EUV光を生成する方法は、輝線がEUV範囲にある元素、例えば、キセノン、リチウム、又は錫を有する材料をプラズマ状態に変換することを含むが必ずしもこれに限定されるわけではない。レーザ生成プラズマ(LPP)と呼ぶことが多い1つのこのような方法において、レーザビームで、例えば、材料の液滴、流れ、又はクラスターの形態であるターゲット材料を照射することによって所要のプラズマを生成することができる。
【0006】
この工程に対して、プラズマは、通常は、密封容器、例えば、真空チャンバ内で生成され、様々なタイプの測定機器を使用してモニタされる。EUV放射線を生成することに加えて、これらのプラズマ工程では、通常は、帯域外放射線、高エネルギイオン及びデブリ、例えば、ターゲット材料の原子及び/又は塊/ミクロ液滴を含む可能性がある好ましくない副産物がプラズマチャンバに生成される。
【0007】
これらのプラズマ形成副産物は、垂直入射でEUV反射が可能な多層ミラー(MLM)及び/又はかすめ入射ミラーを含む集光器ミラー、測定検出器の表面、プラズマ形成工程を画像化するのに使用される窓、及びレーザ入力窓を含むがこれらに限定されない様々なプラズマチャンバ光学要素を潜在的に加熱又は損傷するか、又はその作動効率を低減する可能性がある。熱、高エネルギイオン及び/又はデブリは、光透過率を低減する材料で光学要素を被覆すること、光学要素に浸入し、例えば、構造的一体性及び/又は光学特性、例えば、このような短波長で光を反射するミラーの機能に損害を与えること、光学要素を腐食又は浸食し、及び/又は熱、高エネルギイオン及び/又はデブリを光学要素内に拡散することを含めいくつかの点で光学要素に有害である可能性がある。従って、プラズマによって生成されたデブリの量及び/又は影響を最小にすることが通常は望ましい。
【0008】
従来的に、液滴ストリーム内の液滴を別々のレーザパルスによって照射して各液滴からプラズマを形成する様々なLPPシステムが開示されている。各液滴を1つよりも多い光パルスにより順次照射する様々なシステムも開示されている。一部の場合には、各液滴は、いわゆる「プレパルス」及びいわゆる「主パルス」に露光させることができる。しかし、1つよりも多いプレパルスは使用することができ、かつ1つよりも多い主パルスを使用することができ、プレパルス及び主パルスの機能は、部分的に重なる場合があることは認められるものとする。一般的に、プレパルスは、ターゲット材料の一部又は全てに影響を与えて、弱いプラズマを加熱、拡張、ガス化、蒸発、イオン化し、及び/又は強いプラズマを生成することができる。主パルスは、プレパルスの影響を受けた材料の殆ど又は全てをプラズマに転換することによってEUV放射を生成するように機能することができる。一部の場合には、プレパルス発生により、主パルスに露光される材料の断面の増大、材料密度の減少による材料への主パルスの透過の増大、又はその両方のために材料/パルスの相互作用効率を増大させることができる。プレパルス発生の別の恩典は、集束した主パルスのサイズにターゲットを拡張させることができ、従って、主パルスの全てが材料を露光することができる点である。これは、比較的小さい液滴がターゲットとして使用され、かつ照射光を小さい液滴のサイズまで集束させることができない場合に特に有用と考えられる。従って、一部の実施例では、プレパルス発生を用いて変換効率を増大させ、及び/又は比較的小さい、例えば、いわゆる質量が制限されたターゲットの使用を可能にすることが望ましいと考えられる。比較的小さいターゲットを使用してデブリ生成を弱化させ、及び/又は原材料消費量を低減することができる。
【0009】
上記を念頭に置いて、特定のプレパルスエネルギを使用してターゲット材料を照射することが望ましいと考えられる。ターゲット材料液滴のサイズ及び対応するプレパルス焦点、プレパルスで液滴をターゲットにする際に達成可能である精度のレベル、プレパルスパルス持続時間、プレパルス波長、EUV出力エネルギの望ましいレベル、EUV変換効率、及びプレパルス及び/又は主パルスピーク強度を含むいくつかのファクタは、このターゲットプレパルスエネルギの選択に影響を与える場合がある。
【0010】
上述のように、EUV光を生成する1つの手法では、ターゲット材料を照射する。この点に関し、例えば、赤外線波長、例えば、約9.2μm〜11.2μmの範囲の波長で光を出力するCO
2レーザは、LPP工程においてターゲット材料を照射する駆動レーザとしていくつかの利点を有することができる。これは、特に、特定のターゲット材料、例えば、錫を含有する材料に当て嵌まる場合がある。例えば、1つの利点には、駆動レーザ入力電力と出力EUV電力の間に比較的高い変換効率を生成する機能を含むことができる。CO
2駆動レーザの別の利点は、錫デブリで被覆した反射光学要素のような比較的粗い表面から反射する比較的波長の長い光(例えば、193nmの深紫外線と比較して)の機能を含むことができる。10.6μm放射線のこの特性は、例えば、駆動レーザビームを操作、集束、及び/又は駆動レーザビームの集束力を調節するために反射ミラーをプラズマの近くで使用することを可能にすることができる。
【0011】
一部の場合には、MoPa(主発振器電力増幅器)構成を使用し、LPP工程に使用される電力が比較的高い主パルスを生成することが望ましいと考えられる。この場合に、主パルス増幅器の一部又は全てを使用し、プレパルスシードレーザからのプレパルスを増幅することも特定の状況においては有利であると考えられる。この場合に、主パルス波長に向けて増幅器利得を実質的に低減しないプレパルス波長を使用することが望ましいと考えられる。他の要素も、主パルス及びプレパルスに対して波長の選択に影響を与える可能性がある。例えば、最大量のエネルギを生成する主パルス波長を使用することが通常は望ましい。また、レンズを使用してパルスを集束させる時に、許容可能である色収差の量が、主パルス及びプレパルス波長の選択に影響を与える場合がある。更に、2色性ビームスプリッタ/結合器の使用は、主パルス/プレパルス波長選択に対して制限を導入する場合がある。
【0012】
最後に、比較的大きなパルスの立上り時間を有するプレパルスを使用する要望のような他のファクタによっても、使用するプレパルスシードレーザのタイプ(例えば、利得媒体パラメータ、放電タイプ、光キャビティのような)が決まる場合がある。制限された出力エネルギ範囲のシードレーザ出力パルスエネルギを生成するために一部のタイプのシードレーザしか操作することができない場合がある。例えば、パルスエネルギのような一貫した反復可能なレーザパラメータを生成するように操作することができないという点において、外れるとレーザが不安定であるパルスエネルギの範囲が存在する場合がある。減衰器が一部の場合に作動範囲を拡張するためにシードレーザの下流に位置決めされる場合があるが、減衰器の使用により、望ましくない複雑な事態が発生する可能性があり、かつエネルギが不要に浪費される可能性がある。一部の場合には、外れると測定検出器のような適切な光学要素が利用できない可能性があるパルスエネルギの範囲が存在する場合がある。シード出力パルスエネルギのこれらの制限条件は、次に、増幅後に液滴において望ましいプレパルスターゲットエネルギを生成するのに必要とされるプレパルス波長の選択に影響を与える可能性があり、その理由は、増幅器利得がシードパルス波長に依存するからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記を念頭に置いて、本出願人は、EUV光源のためのプレパルスを有する主発振器−電力増幅器駆動レーザを開示する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本明細書に開示するように、第1の態様では、λ
1≠λ
2の波長λ
1及びλ
2を含む利得帯域を有する光増幅器と、波長λ
1にプレパルス出力を同調させるための同調モジュールを有するプレパルスシードレーザと、波長λ
2を有するレーザ出力を発生させる主パルスシードレーザと、光増幅器を通る共通光路上にプレパルス出力及び主パルス出力を向けるためのビーム結合器とを含むことができるデバイスを開示する。
【0016】
一実施形態では、同調モジュールは、回折格子を含むことができる。
【0017】
特定的な実施形態では、プレパルスシードレーザ及び主パルスシードレーザは、CO
2を含む利得媒体を有することができ、λ
1及びλ
2は、共通の振動ブランチ内の回転線に対応する。
【0018】
一実施例では、プレパルスシードレーザ及び主パルスシードレーザは、CO
2を含む利得媒体を有することができ、λ
1及びλ
2は、異なる振動ブランチ内の回転線に対応する。
【0019】
特定的な実施例では、プレパルスシードレーザ及び主パルスシードレーザは、CO
2を含む利得媒体を有することができ、λ
1及びλ
2は、異なる振動ブランチ内の回転線に対応し、振動ブランチは、共通の上側レベルを共有しない。
【0020】
一構成において、プレパルスシードレーザは、減圧密封高周波放電CO
2レーザを含むことができる。
【0021】
同じく本明細書に開示する別の態様では、ターゲット材料を照射して極紫外線(EUV)光を生成するためのデバイスは、λ
1≠λ
2の波長λ
1とλ
2とを含む利得帯域を有する光増幅器と、波長λ
1とパルスエネルギE
PPとを有するプレパルス出力を発生させるプレパルスシードレーザと、波長λ
2とE
MP<1000xE
PPのパルスエネルギE
MPとを有する主パルス出力を発生させる主パルスシードレーザと、光増幅器を通る共通光路上にプレパルス出力及び主パルス出力を向けるためのビーム結合器とを含むことができる。
【0022】
この態様の一実施形態では、プレパルスレーザは、同調モジュールを含むことができる。
【0023】
特定的な実施形態では、同調モジュールは、回折格子を含むことができる。
【0024】
この態様の特定的な実施例では、プレパルスシードレーザ及び主パルスシードレーザは、CO
2を含む利得媒体を有することができ、λ
1及びλ
2は、同じ振動ブランチ内の回転線に対応する。
【0025】
特定的な実施例では、光増幅器は、CO
2を含む利得媒体を有し、かつプレパルス増幅器出力パルスエネルギE
PP-AMPED及びE
MP-AMPED>10xE
PP-AMPEDの主パルス増幅器出力パルスエネルギE
MP−
AMPEDを生成することができる。
【0026】
この態様の一実施例において、E
MP<10xE
PPである。
【0027】
1つの特定的な実施例では、プレパルスシードレーザは、減圧密封高周波放電CO
2レーザを含むことができる。
【0028】
この態様の特定的な実施例では、プレパルスシードレーザ及び主パルスシードレーザは、CO
2を含む利得媒体を有することができ、λ
1及びλ
2が、異なる振動ブランチ内の回転線に対応する。
【0029】
この態様の特定的な実施例では、プレパルスシードレーザ及び主パルスシードレーザは、CO
2を含む利得媒体を有し、λ
1及びλ
2は、異なる振動ブランチ内の回転線に対応し、振動ブランチは、共通の上側レベルを共有しない。
【0030】
同じく本明細書に開示する別の態様では、デバイスは、CO
2を含む利得媒体を有する光増幅器と、波長λ
1を有するプレパルス出力を発生させるプレパルスシードレーザと、λ
1≠λ
2及びλ
1及びλ
2が同じ振動ブランチ内の回転線に対応する波長λ
2を有するレーザ出力を発生させる主パルスシードレーザと、光増幅器を通る共通光路上にプレパルス出力及び主パルス出力を向けるためのビーム結合器とを含むことができる。
【0031】
この態様の特定的な実施例では、シードレーザは、波長λ
1にプレパルス出力を同調させるための同調モジュールを含むことができる。
【0032】
この一態様の特定的な実施例では、同調モジュールは、回折格子を含むことができる。
【0033】
この態様の一実施例では、プレパルスシードレーザは、減圧密封高周波放電CO
2レーザを含むことができる。
【0034】
この態様の特定的な実施例では、ビーム結合器は、2色性ビーム結合器を含むことができ、λ
1及びλ
2は、振動ブランチ内の少なくとも3つの回転線により分離される。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1を最初に参照すると、EUV光源、例えば、レーザを生成されたプラズマEUV光源20の実施形態の略示概略図が示されている。
図1に示すように、LPP光源20は、光パルスを生成してチャンバ26内に光パルスを送出するシステム22を含むことができる。光源20に対して、光は、システム22からビーム経路に沿って進んでチャンバ26内に入って照射領域28でそれぞれのターゲット液滴を照射することができる。
図1に示すシステム22における使用に適すると考えられるレーザ構成の実施例に対して以下でより詳細に説明する。
【0037】
図1に更に示すように、EUV光源20は、例えば、タ照射領域28までチャンバ26の内部にターゲット物質の液滴を供給する原材料供給システム24を含むことができ、照射領域28において、液滴は、例えば、1つ又はそれよりも多くの光パルス、例えば、ゼロ、1つ、又はそれよりも多くのプレパルス、その後に1つ又はそれよりも多くの主パルスと相互作用して最終的にプラズマを生成し、EUV光を生成する。様々な液滴分注器構成及び相対的な利点に関する更なる詳細は、代理人整理番号第2008−0055−01号である2010年3月10日出願の「レーザ生成プラズマEUV光源」という名称の米国特許出願番号第12/721,317号明細書と、代理人整理番号第2006−0067−02号である2008年6月19日出願の「レーザ生成プラズマEUV光源内ターゲット材料送出のためのシステム及び方法」という名称の米国特許出願番号第12/214,736号明細書と、代理人整理番号第2007−0030−01号である2007年7月13日出願の「変調妨害波を使用して生成した液滴流を有するレーザ生成プラズマEUV光源」という名称の米国特許出願番号第11/827,803号明細書と、代理人整理番号第2005−0085−01号である2006年2月21日出願の米国特許出願番号第2006/0255298A−1号として2006年11月16日公開の「プレパルスレーザ生成プラズマEUV光源」という名称の米国特許出願番号第11/358,988号明細書と、現在は2008年7月29日に付与された米国特許第7,405,416号である代理人整理番号第2004−0008−01号である2005年2月25日出願の「EUVプラズマ源ターゲット送出の方法及び装置」という名称の米国特許出願番号第11/067,124号明細書と、現在は2008年5月13日に付与された米国特許第7,372,056号である代理人整理番号第2005−0003−01号である2005年6月29日出願の「LPP−EUV原材料ターゲット送出システム」という名称の米国特許出願番号第11/174,443号明細書とに見ることができ、これらの特許の各々の内容は、引用によりここで本明細書に組み込まれる。
【0038】
ターゲット材料は、錫、リチウム、キセノン、又はその組合せを含む材料を含むことができるが必ずしもこれらに限定されない。EUV放射元素、例えば、錫、リチウム、キセノンなどは、液滴内に含まれた液滴及び/又は固体粒子の形態とすることができる。例えば、元素錫は、純粋な錫として、錫化合物、例えば、SnBr
4、SnBr
2、SnH
4として、錫合金、例えば、錫ガリウム合金、錫インジウム合金、錫インジウムガリウム合金として、又はその組合せとして使用することができる。使用する材料に基づいて、ターゲット材料は、室温を含む様々な温度で、又は室温の近くで(例えば、錫合金、SnBr
4)、高温で(例えば、純粋な錫)、又は室温よりも低い温度で(例えば、SnH
4)照射領域28に呈示することができ、一部の場合には、比較的揮発性、例えば、SnBr
4とすることができる。LPP EUV光源におけるこれらの材料の使用に関する更なる詳細は、現在は2008年12月16日に付与された米国特許第7,465,946号である代理人整理番号第2006−0003−01号である2006年4月17日出願の「EUV光源のための代替燃料」という名称の米国特許出願番号第11/406,216号明細書に示されており、これら特許の内容全体は、引用によりここで本明細書に組み込まれる。
【0039】
引き続き
図1に対して、EUV光源20は、例えば、モリブデン及びシリコンの交互層を有する漸変多層コーティング、一部の場合には、1つ又はそれよりも多くの高温拡散障壁層、平滑化層、キャップ層及び/又はエッチストップ層を有する長球面(すなわち、長軸回りに回転した惰円)の形態で反射面を有する近垂直入射集光器ミラーのような光学系30を含むことができる。
図1は、システム22によって生成された光パルスが通過して照射領域28到達することを可能にする開口を光学系30に形成することができることを示している。図示のように、光学系30は、例えば、照射部位28内に又はその近くに第1の焦点と、EUV光がEUV光源10から出力され、EUV光を利用するデバイス、例えば、集積回路リソグラフイツール(図示せず)にEUV光を入力することができるいわゆる中間領域40に第2の焦点とを有する長球ミラーとすることができる。長球ミラーの代わりに、EUV光を利用するデバイスへのその後の送出に向けて光を集束させて中間位置に向ける他の光学系を使用することもでき、例えば、光学系は、長軸回りに回転されるパラボラアンテナとすることができ、又は環状断面を有するビームを中間位置に送出するように構成することができることは認められるものとし、例えば、内容が引用によりここで本明細書に組み込まれる代理人整理番号第2006−0027−01号である2006年8月16日出願の「EUV光学系」という名称の米国特許出願番号第11/505,177号明細書を参照されたい。
【0040】
図1は、光源20に対して、ビームを拡張、誘導、パルス成形、及び/又はシステム22と集束ユニット46間のビーム成形をする1つ又はそれよりも多くの光学系を有するビーム調整ユニット42を含むことができることも示している。システム22を保護する光遮断器(図示せず)を設けることができる。ビーム調整に関する更なる詳細は、現在は2006年8月8日に付与された米国特許第7,087,914号である代理人整理番号第2003−0125−01号である2004年3月17日出願の「高繰返し数レーザ生成プラズマEUV光源」という名称の米国特許出願番号第10/803,526号明細書と、現在は2007年1月16日に付与された米国特許第7,164,144号である代理人整理番号第2004−0044−01号である2004年7月27日出願の「EUV光源」という名称の米国特許出願番号第10/900,839号明細書と、代理人整理番号第2009−0029−01号である2009年12月15日出願の「極紫外光源のためのビーム移送システム」という名称の米国特許出願番号第12/638,092号明細書とに示されており、これらの特許の各々の内容は、引用によりここで本明細書に組み込まれる。
【0041】
光源22に対して、集束ユニット46は、照射部位で焦点にビームを集束させる1つ又はそれよりも多くの光学系を含むことができる。例えば、集束ユニットは1つ又はそれよりも多くのミラー、レンズ、色消し二重レンズのような色消しレンズ又はその組合せを含むことができる。
【0042】
本明細書で使用する時に、用語「光学系」及び派生語は、入射光を反射及び/又は透過し及び/又は入射光で作動する構成要素があるが必ずしもこれらに限定されず、かつ1つ又はそれよりも多くのレンズ、窓、フィルタ、くさび部、プリズム、グリズム、勾配緩和部、透過ファイバ、エタロン、拡散体、ホモジナイザー、検出器及び他の計器構成要素、開口、アキシコン、及び多層ミラー、近垂直入射ミラー、かすめ入射ミラー、ミラー面反射器、拡散反射器、及びその組合せを含むミラーを含むがこれらに限定されない。更に、特に断らない限り、本明細書で使用する時に、「光学系」という用語及びその派生語は、EUV出力光波長、放射線照射レーザ波長、測定に適する波長又は何らかの他の波長でのような1つ又はそれよりも多くの特定の波長範囲で単独で又は有効に作動する構成要素に制限されることを意味しない。
【0043】
図2は、
図1に示す光源20に使用されるレーザ源22の実施例を示している。
図2に示すように、レーザ源22は、共通増幅器54を通ってビーム経路52上に向けられる出力を発生させるプレパルスシードレーザ50、及び共通増幅器54を通ってビーム経路58上に向けられる出力を発生させる主パルスシードレーザ56を含むことができる。一部の場合には、シードレーザを保護するために増幅器とシードレーザの間に光遮断器(図示せず)を設けることができる。
【0044】
図3は、
図1に示す光源20に使用されるレーザ源22’の別の実施例を示している。
図3に示すように、レーザ源22’は、光学系60からの反射の後に、及び共通増幅器54を通って共通光路52’上に向けられる出力を発生させるプレパルスシードレーザ50、及び共通光路58上に光学系60を通って、及び共通増幅器54を通って誘導される出力を発生させる主パルスシードレーザ56を含むことができる。
図3に示す構成に対して、光学系60は、2色性ビーム結合器、分極識別ビーム結合器、又は部分反射ビーム結合器とすることができる。この構成は、プレパルスシードレーザ出力が光学系60を通って伝達され、主パルスシードレーザ出力が光学系60によって反射されるように修正することができることは認められるものとする。
【0045】
図4は、
図1に示す光源20に使用されるレーザ源22’’の別の実施例を示している。
図4に示すように、レーザ源22’’は、光学系60からの反射後に、及び共通増幅器54’を通って共通光路52’上に向けられる出力を発生させるプレパルスシードレーザ50及び共通光路52’上へ光学系60を通って、及び共通増幅器54’を通って誘導される出力を発生させる主パルスシードレーザ56を含むことができる。更に示すように、増幅器54’は、各々が固有の活性媒体及び加振源、例えば、励起電極を有するチャンバを有する2つの(又はそれよりも多くの)増幅ユニット62、64を有することができる。
図3に示す構成に対して、光学系60は、2色性ビーム結合器、分極識別ビーム結合器、又は部分反射ビーム結合器とすることができる。この構成は、プレパルスシードレーザ出力が光学系60を通って伝達され、主パルスシードレーザ出力が光学系60によって反射されるように修正することができることは認められるものとする。
【0046】
図5は、
図1に示す光源20に使用されるレーザ源22’’’の別の実施例を示している。
図5に示すように、レーザ源22’’’は、各々が固有の活性媒体及び励起源、例えば、励起電極を有する2つの(又はそれよりも多くの)増幅ユニット62’、64’を有する増幅器54’’を含むことができる。更に示すように、光学系60’からの反射後に、及び共通増幅ユニット64’を通って共通のビーム経路58’上に向けられる出力を発生させるプレパルスシードレーザ50を設けることができる。
図5は、増幅ユニット64’を通って、及び次に共通のビーム経路58’上へ光学系60’を通って、及び共通増幅器54’を通って誘導される出力を発生させる主パルスシードレーザ56を設けることができることも示している。
図3に示す構成に対して、光学系60’は、2色性ビーム結合器、分極識別ビーム結合器、又は部分反射ビーム結合器とすることができる。この構成は、プレパルスシードレーザ出力が光学系60’を通って伝達され、主パルスシードレーザ出力が光学系60によって反射されるように修正することができることは認められるものとする。1つよりも多い増幅ユニットを光学系60’と主パルスシードレーザ56の間に位置決めすることができ、及び/又はプレパルスシードレーザ出力及び増幅ユニット62’の出力を増幅するために1つよりも多い共有増幅ユニットを共通のビーム経路58’上に位置決めすることができることを更に認識すべきである。
【0047】
図6は、波長同調可能プレパルスシードレーザ50の実施形態の略示概略図を示している。図示のように、プレパルスシードレーザ50は、回折格子70、出力カプラ72、ミラー74a、b及びビーム経路76により定められた光キャビティを含むことができる。更に示すように、ビーム経路76は、活性媒体78を通過することができる。この構成に対して、出力カプラは、部分反射型光学系とすることができ、回折格子70は、入射ビームに対してリトロー型構成に配置されたブレーズドエシェルタイプ回折格子とすることができる。プレパルスシードレーザ50に対して、アクチュエータ80は、回折格子70を回転させてプレパルスシードレーザ出力の中心波長を変更するために設けることができる。例えば、アクチュエータはステッパモータ、圧電素子/スタック又は組合せステッパモータ/圧電物質を含むことができる。他のアクチュエータ設計も可能である。他の構成をプリズム/ミラー構成、内部空洞エタロン又は回折格子/ミラー組合せのようなリトロー型構成の回折格子の代わりに使用することができることは認められるものとする。
【0048】
図6は、更に、検出器82にプレパルスシードレーザ出力ビームの特徴的な部分を向けるために部分反射型ビームスプリッタ又はピックオフミラーのような光学系81を設けることができることを示している。検出器82は、制御回路84に中心波長を示す信号を出力することができ、制御回路84は、アクチュエータ80を駆動する制御信号を生成することができる。
図6は、更に、光キャビティの品質Qを制御して20〜150khzの範囲のパルス繰返し数でパルスレーザ出力を供給するために音響光学変調(AOM)スイッチのようなスイッチ86が設けることができることを示している。
【0049】
1つの設定において、プレパルスシードレーザ50は、高周波放電により励起される減圧、例えば、0.05〜0.2気圧でCO
2を含む密封ガスを有するCO
2レーザとすることができる。この構成では、回折格子は、表1〜表4に示す回転線の1つにプレパルスシードレーザ50を同調させるために回転させることができる。
【0050】
図6に示す同調可能シードレーザの実施形態は、
図2〜
図5に示す構成において主パルスシードレーザ56として使用することができ、又は
図7に示すより簡素化されたレーザ56の実施形態を使用することができる。
図7に示すように、主パルスシードレーザ56は、全反射後部ミラー90、出力カプラ92、ミラー94a、b及びビーム経路96により定められた光キャビティを含むことができる。更に示すように、ビーム経路96は、活性媒体98を通過することができる。この構成に対して、出力カプラ92は、部分反射型光学系とすることができる。
図7は、更に、光キャビティの品質Qを制御して20〜150khzの範囲のパルス繰返し数でパルスレーザ出力を供給するために音響光学変調(AOM)スイッチのようなスイッチ96が設けることができることを示している。
【0051】
1つの設定において、主パルスシードレーザ56は、高周波放電により励起される減圧、例えば、0.05〜0.2気圧でCO
2を含む密封ガスを有するCO
2レーザとすることができる。この構成では、主パルスシードレーザは、波長10.5910352(表1〜表4を参照されたい)を有する10P(20)線のような優勢な線の1つに自己同調することができる。一部の例において、アクチュエータ(図示せず)は、モードホッピングを防止するために後部ミラー90を移動するように設けることができる。
【0052】
図2〜
図5を再び参照すると、各構成は、1つ又はそれよりも多くの増幅ユニット54、62、64、62’、64’を有する増幅器54、54’、54’’を含むことを見ることができる。プレパルスシードレーザ50及び主パルスシードレーザ56が上述のCO
2を含む活性媒体を含む場合に対して、増幅ユニット54、62、64、62’、64’として使用される適切なレーザは、DC又はRF励起により励起されるCO
2ガスを含む活性媒体を含むことができる。1つの特定的な実施例では、増幅器は、約10〜25メートルの利得全長を有し、かつ比較的高い電力、例えば、10kWで一斉に作動する3つ又は4つのような複数の軸流RF励起(連続又はパルス変調)CO
2増幅ユニットを含むことができる。ファイバ状、桿状体状、スラブ状、又はディスク状の活性媒体を有する他のタイプの増幅ユニットを使用することができる。一部の場合には、固体活性媒体を使用することができる。
【0053】
図8は、プレパルスシードレーザに対して出力波長λ
PPを判断する作業手順の実施例を示す(
図8は特定の順序での段階の構成を示すが、段階の一部又は全ての順序は、手順の結果に悪影響を与えることなく変更することができることを認められたい)。これを念頭に置くと、手順は、まず主パルス波長
MPを選択することによって始めることができる[ボックス200]。例えば、上述のように、増幅器を通過した時に高電力を生成することができ、かつ10P(20)線のような主波長に自己同調する主パルスシードレーザを使用するとシードレーザ同調機構が不要になることが都合が良いと考えられる。λ
MPが選択された状態で、ターゲット、例えば、液滴で望ましい主パルスエネルギを生成するのに必要とされる増幅器利得G(λ
MP)を確立することができる。それによって増幅器に対して小さい信号利得帯域、特に、各プレパルスシードレーザ波長に対して予想増幅器利得Gを判断する。
【0054】
表1〜表4(
図13〜
図16に示す)は、選択されたCO
2回転線の推定小信号利得係数値g
0を示している。より具体的には、表1〜表4は、一般的なCO
2レーザに対して各回転線の公開された出力電力と共に、それぞれ、9R振動ブランチ、10R振動ブランチ、9P振動ブランチ、及び10P振動ブランチ内の回転線の波長を示している。これらのデータから、各回転線に対して、10P(20)、P
10p(20)のような公知の増幅器小信号利得(SSG)を有する波長の電力に対して電力(P)を計算することができる(例えば、表1、小信号利得の縦列4を参照されたい)。表1は、選択された線、この場合は(10P20)線に対する小信号利得を以下のようにRigrod解析を用いて計算することができることも示している(縦列5)。
I
out α I
sat x[2g
o L
cavity−ln(1/R
1R
2)]
ここで、L
cavityは光キャビティ長であり、R
1及びR
2は一般的なCO
2レーザのミラー反射率である。具体的には、Iが強度であり、Aが出力ビームの領域である場合のI=P/Aに注意すると、表1〜表4の縦列5に示す相対的な利得(すなわち、I
Out,selected lineの
IOut、10P20に対する比)は、以下のように相対電力(表1〜表4の縦列4)から計算することができる。
【0056】
I
sat,selected line/I
sat,10P20がほぼ1であると仮定すると、g
0,10P20が既知であると仮定されたので、次に、上述の式を解いて各線に対してg
0,selected lineを求めることができる。この小信号利得係数g
0を用いて、以下の式を用いて増幅器利得Gを計算することができる。
G = exp[g
o L]
ここで、Lは、増幅器利得媒体の長さである。上述の解析では、異なるタイプのCO
2レーザの小信号利得帯域の全体的な形状はほぼ同じであると仮定している。代替手法では、使用される特定の増幅器におけるこのような特定の線に対して小信号利得係数g
0を測定することができる。
【0057】
引き続き
図8に対して、次の手順の段階は、原材料ターゲット(例えば、液滴)での望ましいプレパルスエネルギを判断する[ボックス202]ことを含むことができることを見ることができる。例えば、ターゲットでの望ましい主パルスエネルギは、約300〜700mJの範囲とすることができ、ターゲットでの望ましいプレパルスエネルギは、約10〜100μmの範囲の直径を有する錫液滴に対して約6〜12mJの範囲とすることができる。これらの望ましいエネルギは、ターゲット材料液滴のサイズ及び対応するプレパルス及び主パルス焦点サイズ、プレパルスで液滴をターゲットにする際に達成可能である精度のレベル、プレパルスと主パルスの間の遅延、プレパルス及び主パルスのパルス持続時間、プレパルス波長、EUV出力エネルギの望ましいレベル、望ましい変換効率(CE)及びプレパルス(膨張)プラズマの望ましい反射率のような様々なファクタに向けて調節することができることは認められるものとする。
【0058】
次に、
図8[ボックス204]に示すように、使用される特定のタイププレパルスシードレーザに対して作動範囲を判断することが適切である場合がある。具体的には、これに対して、レーザ構成要素制限条件及び/又は安定したレーザ作動を考慮した後に達成することができる出力パルスエネルギの範囲を判断する場合がある。いくつかのファクタは、経費、複雑性、効率、信頼性、立上り時間、持続時間のようなレーザパルスパラメータを含むプレパルスシードレーザのタイプに影響を及ぼす場合があることは認められるものとする。一部の構成において、
図6を参照して上述したプレパルスシードレーザ50は、約0.01〜1000μJのパルスエネルギ出力作動範囲を有することができる。一部の構成は、更に、約0.1〜100μJのパルスエネルギ出力範囲に制限される場合がある。使用されるシードレーザのタイプに基づいて、シードレーザパルスエネルギ出力に関して他の制限事項がある場合がある。
【0059】
ボックス[208]〜[216]では、増幅器が主パルス増幅のための最大エネルギ抽出に向けて最適化されてプレパルス作動範囲が確立されるとプレパルス波長λ
PPを選択することに対して試行錯誤による手法が示唆される。図示のように、これに対して、解析に向けて初期プレパルスλを選択し[ボックス208]、表1〜表4を参照して上述した手法を用いて、選択されたλに対して増幅器小信号利得係数g
0及び増幅器利得Gを推定することができる[ボックス210]。次に、ターゲットE
PP-TARGETで望ましいプレパルスパルスエネルギを取得するのに必要なプレパルスシード出力パルスエネルギE
PP-SEEDは、以下として計算され[ボックス210]、
E
PP-SEED = E
PP-TARGET / G
プレパルスレーザの出力パルスエネルギ作動範囲と比較することができる[判断ボックス212]。選択されたプレパルスシード出力パルスエネルギE
PP-SEEDが出力パルスエネルギ作動範囲である場合に[ボックス214]、選択されたプレパルスλは適切である。それに反し、選択されたプレパルスシード出力パルスエネルギE
PP-SEEDが出力パルスエネルギ作動範囲の外側にある場合に、選択されたプレパルス(λ)は不適切であり、ボックス[208]、[210]、及び[212]をやり直すことにより、別のプレパルス波長を解析する[ボックス216]。この工程は、次に、適切なプレパルス波長が得られるまで必要に応じて繰り返される。
【0060】
以下の実施例は、4つの増幅ユニットを有する増幅器に対して上述の手順を示している。一部の構成において、増幅ユニットは、利得長、ガス組成、ガス圧などが異なる場合があり、従って、異なる小信号利得係数g
0及び飽和エネルギE
satを有する場合がある。例えば、代理人整理番号第2006−0001’号である2006年6月14日出願の「EUV光源のための駆動レーザ」という名称の米国特許出願番号第11/452,558号明細書を参照することができ、この特許の内容は、引用によりここで本明細書に組み込まれる。この実施例に対して、10P(20)線及び選択された及び500mJの主パルスターゲットエネルギに対応する10.5910352μmの主パルス波長MPが指定される。これらの選択で、利得曲線を測定することができ、Frantz−Nodvik適合パラメータg
0及びE
satを4つの増幅ユニットの各々に対して計算することができ、その理由は、増幅ユニットの1つ又はそれよりも多くが主パルスにより飽和されると仮定されるからである。ターゲットから後方に作用する第4、第3、第2、次に、第1の増幅ユニットの所要の入力エネルギは、Frantz−Nodvik適合パラメータg
0及びE
satを用いて計算することができる。例えば、全長16mの4つのrf放電軸流増幅ユニットを有する増幅器の一構成において、第1の増幅ユニット(すなわち、主パルスシードレーザ出力)で必要とされる入力が20mJであると計算された。総小信号利得(選択された主パルス波長λ
MPでの増幅器のG(λ
MP)を取得するために各増幅ユニットの計算Frantz−Nodvik適合パラメータg
0を追加することができる。主パルスの増幅器小信号利得G(λ
MP)が判断された状態で、表1の説明に関連して先に示す手順を用いて増幅器小信号利得帯域の各部又は全部を推定することができる。引き続き全長16mの4つのrf放電軸流増幅ユニットを有する増幅器の特定的な実施例に対して、総小信号利得G(λ
MP)が6.926x10
7であると計算された。
【0061】
また、この実施例に対して、10mJのターゲットエネルギでのプレパルスが指定され、0.01〜1000μJのパルスエネルギ出力作動範囲が設定される。
図8に示す手順を用いて、線9R(18)に対応する9.2824434μmの初期プレパルスλを選択することができる。表1に示すように、1.064936811の推定小信号利得係数を使用して2.47E07の増幅器内の小信号利得SSG(λ)を計算することができる。この小信号利得で、10mJのターゲットエネルギを生成するのに必要とされるプレパルスシードエネルギは、約4E〜μJであり、これは、0.01〜1000μJのパルスエネルギ出力作動範囲外であることを見ることができる。従って、
図8に従って別のプレパルスλが選択される。例えば、線9R(8)に対応する9.3417579μmのプレパルスλを選択することができる。表1に示すように、0.661695687の推定小信号利得係数を使用して3,962E04の増幅器内の小信号利得SSG(λ)を計算することができる。この小信号利得で、10mJのターゲットエネルギを生成するのに必要とされるプレパルスシードエネルギは、約2.5E01μJであり、これは、0.01〜1000μJのパルスエネルギ出力作動範囲であることを見ることができる。
【0062】
図9は、プレパルスシードレーザに対して出力波長λ
PPを判断する作業手順の実施例を示している(
図9は特定の順序での段階の構成を示すが、段階の一部又は全ての順序は、手順の結果に悪影響を与えることなく変更することができることを認められたい)。
図9に示す作業手順を単独に用いてプレパルスシードレーザの出力波長λ
PPを判断することができ、又は
図8の手順と共に用いることができる。例えば、複数のプレパルス波長が
図8における手順を用いても満足できることが見出された時に、次に、これらの波長を
図9の手順で更に処理して両方の手順で適切であるプレパルス波長を判断することができる。
【0063】
図9の手順は、まずターゲット[ボックス300]及び主パルス波長(λ
MP)[ボックス302]で望ましい主パルスエネルギを選択することによって始めることができる。例えば、上述のように、増幅器を通過した時に高電力を生成することができ、かつ10P(20)線のような主波長に自己同調する主パルスシードレーザを使用するとシードレーザ同調機構が不要になることは都合が良いと考えられる。λ
MPを選択すると、ターゲット、例えば、液滴で望ましい主パルスエネルギを生成するのに必要とされる主パルスシード出力及び増幅器利得G(λ
MP)を確立することができる[ボックス304]。それによって上述のように増幅器の小信号利得帯域、特に、各プレパルスシードレーザ波長に対して予想増幅器利得Gの確立が可能である。
【0064】
引き続き
図9に対して、次の手順の段階は、原材料ターゲット(例えば、液滴)での望ましいプレパルスエネルギを判断する[ボックス306]ことを含むことができることを見ることができる。例えば、ターゲットでの望ましい主パルスエネルギは、約300〜700mJの範囲とすることができ、ターゲットでの望ましいプレパルスエネルギは、約10〜100μmの範囲の直径を有する錫液滴に対して約6〜12mJの範囲とすることができる。上述のように、望ましいターゲットエネルギは、様々なファクタに向けて調節することができる。
【0065】
次に、
図9の[ボックス308]に示すように、プレパルスレーザ出力パルスエネルギの主パルスレーザ出力パルスエネルギに対する満足できる比を判断することが適切であると考えられる。一部の場合には、満足できる比率への固執により、プレパルスシード出力が主パルス波長の増幅器利得を実質的に低減しないことをもたらすことができる。
【0066】
例えば、プレパルスレーザ出力パルスエネルギの主パルスレーザ出力パルスエネルギに対する満足できる比E
PP/E
MP<1000であり、一部の場合には、プレパルスレーザ出力パルスエネルギの主パルスレーザ出力パルスエネルギに対する満足できる比は、E
PP/E
MP<10のようなより厳しく定義することができる。これらの比に対して、プレパルス増幅器出力パルスエネルギE
PP-AMPEDは、主パルス増幅器出力パルスエネルギE
MP-AMPEDを1桁又はそれよりも多く下回り、すなわち、E
MP-AMPED>10×E
PP-AMPEDであることも考えられる。
【0067】
引き続き
図9の手順に対して、ボックス[310]〜[320]では、増幅器利得帯域及びプレパルスレーザ出力パルスエネルギの主パルスレーザ出力パルスエネルギに対する満足できる比率が確立された状態で、プレパルス波長λ
PPを選択することに対して試行錯誤による手法が示唆される。図示のように、これに対して、解析に向けて初期プレパルスλを選択し[ボックス310]、表1〜表4を参照して上述した手法を用いて、選択されたλに対して増幅器小信号利得係数g
0及び増幅器利得Gを推定することができる[ボックス312]。次に、ターゲットE
PP-TARGETで望ましいプレパルスパルスエネルギを取得するのに必要なプレパルスシード出力パルスエネルギE
PP-SEEDは、以下として計算することができる[ボックス314]。
E
PP-SEED = E
PP-TARGET / G
【0068】
プレパルスシード出力パルスエネルギを計算し[ボックス314]、主パルスシードエネルギを計算する[ボックス304]と、その比率を判断し、プレパルスレーザ出力パルスエネルギの主パルスレーザ出力パルスエネルギに対する満足できる比率と比較することができる[ボックス316]。
【0069】
比率が許容範囲である場合に[ボックス318]、選択されたプレパルス(λ)は適切である。それに反し、比率が許容範囲外である場合に、選択されたプレパルス(λ)は不適切であり、ボックス[312]、[314]、及び[316]をやり直すことにより、別のプレパルス波長を解析する[ボックス320]。この工程は、次に、適切なプレパルス波長が得られるまで必要に応じて繰り返される。
【0070】
図9の手順の代替として、主パルス利得減少が満足できるように最小プレパルスシードエネルギを識別することができる。次に、
図9の手順におけるプレパルスレーザ出力パルスエネルギの主パルスレーザ出力パルスエネルギに対する満足できる比の代わりに最小プレパルスシードエネルギを用いることができる。
【0071】
図8及び
図9又はその組合せに関連して考慮することができる別のファクタは、プレパルス波長及び主パルス波長が共通上側エネルギレベルを共有する時に発生する利得減少に及ぼす影響である。これは発生した時に、プレパルス増幅による主パルス利得減少は、一般的に、プレパルス波長及び主パルス波長が共通上側エネルギレベルを共有しない時よりも高い。CO
2レーザに対して、9R振動ブランチ内の全ての回転線及び10R振動ブランチ内の全ての回転線は、共通上側レベルを共有する。また、9P振動ブランチ内の全ての回転線及び10P振動ブランチ内の全ての回転線は、共通上側レベルを共有する。
【0072】
主パルス及びプレパルス波長を選択する時に考慮することができる別のファクタは、2色性スプリッタ及び結合器の使用である。この点に関し、約0.14μmのような最小波長差が、2色性光学系により>90%の結合効率を取得するために主パルスとプレパルス波長の間に必要とされる場合がある。
【0073】
図10は、ターゲット、例えば、液滴上に増幅器出力を集束させるために集束レンズを使用する時にプレパルスシードレーザに対して出力波長λ
PPを判断する作業手順の別の実施例を示す(
図10は特定の順序での段階の構成を示すが、段階の一部又は全ての順序は、手順の結果に悪影響を与えることなく変更することができることを認められたい)。
図10に示す作業手順を単独に用いて、プレパルスシードレーザの出力波長λ
PPを判断することができ、又は
図8又は
図9又はその両方の手順と共に使用することができる。更に、先に上述したファクタを適切なプレパルス波長λ
PPの選択において考慮することができる。
【0074】
図10の手順は、まず主パルス波長λMPを選択することによって始めることができる[ボックス400]。例えば、上述のように、増幅器を通過した時に高電力を生成することができ、かつ10P(20)線のような主波長に自己同調する主パルスシードレーザを使用するとシードレーザ同調機構が不要になることが都合が良いと考えられる。
図10及び
図11を相互参照すると、λ
MPを選択すると、集束光学系46による色収差のための主パルスとプレパルス間の満足できる焦点間隔d
acceptableを判断することができる[ボックス402]ことを見ることができる。
図11に示す構成に対して、集束光学系46は、色収差を導入する少なくとも1つのレンズ又は他の要素を含むことができる。
図11に示すように、色収差は、波長λ
1を有するプレパルス光ビーム500を液滴経路504に沿って位置502で集束させることができ、一方、波長λ
2を有する主パルス光ビーム506は、位置502から「d」だけ隔てた位置508で集束する。
【0075】
満足できる間隔から外れると、「d」EUV出力は、原材料に対する主パルス強度の減少のために低減する場合がある。
図12は、96mmの開口部及び300mmの焦点距離を有するZnSe集束レンズを有する一般的なLPPシステムに関するプレパルスと主パルスの間に波長差(λ
MP−λ
PP)に対してプロットした液滴に対する主パルス強度のグラフを示している。
図12から、ターゲットに対する正規化CO2強度は、約0.1μJのλ
MP−λ
PPに対しては0.8に下がることを見ることができる。λ
MP−λ
PPの別の適切な範囲は、約0.2μJとすることができ、正規化CO2強度は、0.5まで下がる。CO2強度の低下により、EUV収量が低減し、ターゲットに対する最適値よりも小さいCO2強度のためにCEが低下する。また、焦点サイズの大形化も、レーザからターゲット材料へのエネルギ結合不良を示している。色分散からの両方の結果は、EUV電力生成に望ましくないものである。一部の例において、選択した距離d
acceptableは、プレプラズマ膨張速度、プレパルスと主パルス間の最適遅延、及びプレパルス及び主パルスの強度に依存する場合がある。
【0076】
再び
図10を参照すると、色収差による主パルスとプレパルス間の満足できる焦点間隔d
acceptableが判断された状態で、ボックス[404]〜[412]では、プレパルス波長λ
PPを選択することに対して試行錯誤による手法が示唆される。図示のように、これに対して、解析に向けて初期プレパルスλを選択することができる[ボックス404]。次に、集束レンズの色収差による主パルスとプレパルス間の焦点間隔d
calculatedを計算することができる[ボックス406]。d
calculated≦d
acceptableである場合に[ボックス408]、選択されたプレパルスλは適切である[ボックス410]。それに反し、d
calculated>d
acceptableである場合に、選択されたプレパルスλは不適切であり、ボックス[406]及び[408]をやり直すことにより、別のプレパルス波長を解析する[ボックス412]。この工程は、次に、適切なプレパルス波長が得られるまで必要に応じて繰り返される。
【0077】
上述の実施形態は、実施例のみであることを意図しており、本出願により広義に考えられる主題の範囲を制限することを意図していないことは当業者により理解されるであろう。追加、削除、及び修正は、本明細書で開示する主題の範囲で開示する実施形態に行うことができることも当業者により認められるであろう。特許請求の範囲は、その範囲及び意味において、開示した実施形態だけでなく、当業者に明らかであると思われるような均等物及び他の修正及び変形も包含することを意図している。明示的に特に断らない限り、単数形での特許請求の範囲の要素への言及、又は冠詞「a」が前に付いた要素への言及は、その要素の「1つ又はそれよりも多く」を意味することを意図している。本明細書で開示する内容のいずれも、開示する内容が明示的に特許請求の範囲に説明されたか否かに関わらず、一般大衆に捧げることを意図したものでない。