(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
静脈内投与、経口投与、経鼻投与、筋肉内投与、皮下投与、吸入投与、局所投与又は咽頭内投与のための、請求項1〜5のいずれか1項に記載の式Iの化合物及び/又はその薬
学的に許容される塩。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】Brendel, J.; Goegelein, H.; Wirth, K.; Kamm, W., WO2007124849
【特許文献2】WO2005/016965
【特許文献3】Brendel, J.; Goegelein, H.; Wirth, K.; Kamm, W., WO2007124849
【特許文献4】Brendel, J.; Englert, H. C.; Wirth, K.; Wagner, M.; Ruxer, J.-M.; Pilorge, F., WO2006136304
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】Coetzee W.J. et al; Molecular diversity of K+ channels; Ann. New York Acad. Sci. 1999 (868), 233-285
【非特許文献2】D.A. Bayliss, P. Barrett, Trends in Pharmacological Sciences, 2008, 29(11), 566-575
【非特許文献3】Berg A.P., Talley E.M., Manger J.P., Bayliss D.A.; Motoneurons express Heteromeric TWIK-related acid-sensitive K+ (TASK) Channels containing TASK-1 (KCNK3) and TASK-3 (KCNK9) subunits; J. Neuroscience 2004 (24), 6693 - 6702
【非特許文献4】Duprat F., Lesage F., Fink M., Reyes R., Heurteaux C., Lazdunski M.; TASK, a human background K+ channel to sense external pH variations near physiological pH; EMBO J. 1997 (16), 5464 - 5471
【非特許文献5】Patel A.J., Honore E.; Properties and modulation of mammalian 2P domain K+ channels; Trends Neurosci. 2001 (24), 339 - 346)
【非特許文献6】Journal of Neuroscience (2005), 25(49), 11455-11467
【非特許文献7】Medhurst A.D., Rennie G., Chapman C.G., Meadows H., Duckworth M.D., Kelsell R.E., Glober I.I., Pangalos M.N.; Distribution analysis of human two pore domain potassium channels in tissues of the central nervous system and periphery; Mol. Brain Res. 2001 (86), 101 - 114
【非特許文献8】Buckler K.J., Williams B.A., Honore E.; An oxygen-, acid- and anaesthetic-sensitive TASK-like background potassium channel in rat arterial chemoreceptor cells; J. Physiol. 2000 (525), 135 - 142
【非特許文献9】Bayliss D.A., Talley E.M., Sirois J.E., Lei Q.; TASK-1 is a highly modulated pH-sensitive 'leak' K+ channel expressed in brainstem respiratory neurons; Respiration Physiology 2001 (129), 159 - 174
【非特許文献10】Lauritzen I., Zanzouri M., Honore E., Duprat F., Ehrengruber M.U., Lazdunski M., Patel A.J.; K+-dependent cerebellar granule neuron apoptosis - Role of Task leak K+ channels; J. Biol. Chem. 2003 (278), 32068-32076
【非特許文献11】Patel A.J., Lazdunski M., The 2P-domain K+ channels: role in apoptosis and tumorigenesis, Pflugers Arch. 2004 (448), 261-273
【非特許文献12】Bittner Stefan; Meuth Sven G; Gobel Kerstin; Melzer Nico; Herrmann Alexander M; Simon Ole J; Weishaupt Andreas; Budde Thomas; Bayliss Douglas A; Bendszus Martin; Wiendl Heinz , Brain : a journal of neurology (2009), 132(Pt 9), 2501-16
【非特許文献13】Basic Res Cardiol. 2011 Jan;106(1):75-87
【非特許文献14】Putzke C, Wemhoner K, Sachse FB, Rinne S, Schlichthorl G, Li XT, Jae L, Eckhardt I, Wischmeyer E, Wulf H, Preisig-Muller R, Daut J, Decher N (2007), Cardiovascular Research, 75: 59-68
【非特許文献15】Journal of Clinical Invest. 2011;121(8):2955-2968
【非特許文献16】T. J. Colatsky et al., Drug Dev. Res. 19, 1990, 129 - 140; "Potassium channels as targets for antiarrhythmic drug action"
【非特許文献17】D. M. Roden, Am. J. Cardiol. 72, 1993, 44B - 49B; "Current status of class III antiarrhythmic drug therapy"
【非特許文献18】Basic. Res. Cardiol. 2003, 98, 137-148
【非特許文献19】JACC Vol. 37, No. 3, 2001
【非特許文献20】Journal of Molecular Medicine 2004, 308-316
【非特許文献21】European Journal of Physiology 2005, 450, 201-208
【非特許文献22】Journal of Thoracic and Cardiovascular Surgery 2005
【非特許文献23】Patel A.J., Honore E., Lesage F., Fink M., Romey G., Lazdunski M.; Inhalational anesthetics activate two-pore-domain background K+ channels; Nature Neurosci. 1999 (2), 422-426
【非特許文献24】Peukert, S., Brendel, J., Pirard, B., Brueggemann, A., Below, P., Kleemann, H.-W., Hemmerle, H., Schmidt, W.; Identification, Synthesis, and Activity of Novel Blockers of the Voltage-Gated Potassium Channel Kv1.5.; Journal of Medicinal Chemistry (2003), 46(4), 486-498
【非特許文献25】Streit, A. K.; Netter, M. F., Kempf, F., Walecki, M., Rinne, S., Bollepalli, M. K.; Preisig-Mueller, R.; Renigunta, V.; Daut, J.; Baukrowitz, T.; Sansom, M. S. P.; Stansfeld, P. J.; Decher, N.. A Specific Two-pore Domain Potassium Channel Blocker Defines the Structure of the TASK-1 Open Pore; Journal of Biological Chemistry (2011), 286(16), 13977-13984
【非特許文献26】Maingret F., Patel A.J., Lazdunski M., Honore E.; The endocannabinoid anandamide is a direct and selective blocker of the background K+ channel TASK-1; EMBO J. 2001 (20), 47-54
【非特許文献27】Cotten J.F., Keshavaprasad B., Laster M.J., Eger E.I., Yost C.S.; The Ventilatory Stimulant Doxapram Inhibits TASK Tandem Pore (K2P) Potassium Channel Function but Does Not Affect Minimum Alveolar Anesthetic Concentration; Anesth. Analg. 2006 (102) 779-785
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
このように、本発明の目的は、TASK−1に関連する病態の処置及び予防に適切な効率的TASK−1阻害剤を提供することである。本発明は、式IのTASK−1遮断薬に関し、
【化2】
式中
A= (C
6−C
10)−アリール、又はN、O及びSから選択される1〜3個のヘテロ原子を含む5員環若しくは6員環のヘテロアリール、
ここで、アリール及びヘテロアリールは、場合により、F、Cl、Br、(C
1−C
6)−アルキル、(C
1−C
6)−アルキルオキシ−、(C
1−C
6)−アルキル−S−、NC−、(C
1−C
6)−アルキル−OC(O)−、(C
1−C
6)−アルキル−SO
2−、(C
1−C
6)−アルキルオキシ−(C
1−C
6)−アルキル−又はR
12R
13N−C(O)−から独立して選択される1〜3個の置換基で置換され、
ここで、アルキル部分の一つ又はそれ以上の水素原子は、フッ素で置換されてもよく;
R1= R
10−C(O)−、R
11−(C
1−C
6)−アルキル−、(C
3−C
6)−シクロアルキル、(C
1−C
6)−アルキル−SO
2−又はR
12R
13N−C(O)−(C
1−C
6)−アルキル−、
ここで、アルキル部分の一つ又はそれ以上の水素原子は、フッ素で置換されてもよく;
R2= H、OH、(C
1−C
6)−アルキル、(C
1−C
6)−アルキルオキシ−、(C
1−C
6)−アルキル−C(O)O−;
R3= H、(C
1−C
6)−アルキル;
R4= H、F、(C
1−C
6)−アルキル、ここで、アルキル残基の一つ又はそれ以上の水素原子は、フッ素で置換されてもよく;
R5= H、F、(C
1−C
6)−アルキル、ここで、アルキル残基の一つ又はそれ以上の水素原子は、フッ素で置換されてもよく;
R6〜R9は、互いに独立して、H、F、Cl、Br、NC−、(C
1−C
6)−アルキル、(C
3−C
6)−シクロアルキル、(C
1−C
6)−アルキル−SO
2−、(C
1−C
6)−アルキル−OC(O)−、(C
1−C
6)−アルキルオキシ−、(C
1−C
6)−アルキル−S−から選択され、
ここで、アルキル部分の一つ又はそれ以上の水素は、フッ素で置換されてもよく;
R10=H、(C
1−C
6)−アルキル、(C
3−C
6)−シクロアルキル、(C
1−C
6)−アルキルオキシ−、(C
1−C
6)−アルキル−S−、HO−(C
1−C
6)−アルキル−、(C
1−C
6)−アルキル−O−(C
1−C
6)−アルキル−、(C
3−C
6)−シクロアルキル−(C
1−C
6)−アルキル−又はR
12R
13N−、
ここで、アルキル部分の一つ又はそれ以上の水素は、フッ素で置換されてもよく;
R11=H、(C
3−C
6)−シクロアルキル、OH、(C
1−C
6)−アルキルオキシ−又は(C
1−C
6)−アルキル−S−、
ここで、アルキル部分の一つ又はそれ以上の水素は、フッ素で置換されてもよく;
R12及びR13は、互いに独立して、H又は(C
1−C
6)−アルキルである;
上記化合物、
及び/又は式Iの化合物の立体異性体及び/又はこれらの形態の混合物、及び/又は式Iの化合物の生理学的に耐容性のある塩の、TASK−1遮断薬に関する。
【0020】
特に適切な化合物は、式Iの化合物であり、ここで、
A= フェニル、フラニル、フラザニル、イミダゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2.5−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、オキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2.5−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、チアゾリル、チオフェニル、トリアジニル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2.5−トリアゾリル又は1,3,4−トリアゾリル基、
場合により、F、Cl、(C
1−C
4)−アルキルオキシ−、(C
1−C
4)−アルキル−S−、(C
1−C
4)−アルキル、(C
1−C
4)−アルキル−OC(O)−、(C
1−C
4)−アルキル−SO
2−、NC−から独立して選択される、1、2又は3個の残基で置換され、
ここで、アルキル部分の一つ又はそれ以上の水素原子は、フッ素で置換されてもよく;
R1= R
10−C(O)−、R
11−(C
1−C
4)−アルキル、(C
3−C
6)−シクロアルキル又は(C
1−C
2)−アルキル−SO
2−;
R2= H、OH、(C
1−C
4)−アルキルオキシ−又は(C
1−C
4)−アルキル−C(O)O−;
R3= H、(C
1−C
6)−アルキル;
R4= H、F、(C
1−C
6)−アルキル、ここで、アルキル残基の一つ又はそれ以上の水素原子は、フッ素で置換されてもよく;
R5= H、F、(C
1−C
6)−アルキル、ここで、アルキル残基の一つ又はそれ以上の水素原子は、フッ素で置換されてもよく;
R6〜R9は、各々独立して、H、F、Cl、Br、NC−、(C
1−C
4)−アルキル、シクロプロピル、(C
1−C
2)−アルキル−SO
2−、(C
1−C
4)−アルキル−OC(O)−、(C
1−C
4)−アルキルオキシ−、(C
1−C
4)−アルキル−S−から選択され、
ここで、アルキル部分の一つ又はそれ以上の水素原子は、フッ素で置換されてもよく;
R10=(C
1−C
4)−アルキル、シクロプロピル、(C
1−C
4)−アルキルオキシ−、(C
1−C
4)−アルキル−S−、HO−(C
1−C
4)−アルキル−、(C
1−C
4)−アルキル−O−(C
1−C
4)−アルキル−、シクロプロピル−(C
1−C
4)−アルキル−、R
12R
13N−;
R11=H、シクロプロピル、OH、(C
1−C
4)−アルキルオキシ−、(C
1−C
4)−アルキル−S−、
ここで、アルキル部分の一つ又はそれ以上の水素原子は、フッ素で置換されてもよく;
R12及びR13は、各々独立して、H又は(C
1−C
4)−アルキルであり;
及び/又は、式Iの化合物の立体異性体、及び/又は、これらの形態の混合物、及び/又は、式Iの化合物の生理学的に耐容性のある塩。
【0021】
好ましい化合物は、式Iの化合物であり、ここで、
A= フェニル、ピリジル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラゾリル、イミダゾリル、イソチアゾリル、チアゾリル又はチオフェニル基、
場合により、F、Cl、メトキシ、エトキシ、メチル、エチル、NC−、CF
3O−、CF
3から独立して選択される1、2又は3個の残基で置換され;
R1= R
10−C(O)−、R
11−(C
1−C
4)−アルキル−又はCH
3−SO
2−;
R2= OH、メトキシ、エトキシ、メチル−C(O)O−、エチル−C(O)O−;
R3= H、メチル;
R4、R5=H;
R6〜R9は、互いに独立して、H、F、Cl、Br、NC−、メチル、エチル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、メチル−S−、エチル−S−、CF
3から選択され;
R10=メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、(C
1−C
2)−アルキル−O−(C
1−C
2)−アルキル、シクロプロピル−(C
1−C
2)−アルキル−、R
12R
13N−;
R11=H、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、CF
3;及び
R12及びR13は、互いに独立して、H、メチル又はエチルであり;
及び/又は、式Iの化合物の立体異性体、及び/又は、これらの形態の混合物、及び/又は、式Iの化合物の生理学的に耐容性のある塩。
【0022】
特に好ましい化合物は、式Iに記載の化合物であり、ここで、
A= フェニル、ピリジル、イソチアゾリル、チアゾリル又はチオフェニル基、場合により、F、Cl、メトキシ、メチル、NC−、CF
3O−、CF
3から独立して選択される1又は2個に残基で置換され;
R1= R
10−C(O)−、R
11−(C
nH
2n)−、イソプロピル、tert−ブチル又はCH
3−SO
2−、
ここで、n=1、2又は3であり;
R2= OH、メトキシ;
R3= H、メチル;
R4、R5、R6=H;
R7、R8は、H、F、Cl、Brから独立して選択され;
R9= H、F、Cl、Br、NC−、メチル、エチル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、メチル−S−、エチル−S−又はCF
3;
R10=メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、シクロプロピル、メトキシ、メトキシメチル−;及び
R11=H、シクロプロピル、メトキシ、CF
3;
及び/又は、式Iの化合物の立体異性体、及び/又は、これらの形態の混合物、及び/又は、式Iの化合物の生理学的に耐容性のある塩。
【0023】
更なる実施態様は、Aが、フェニル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−チオフェニル、3−チオフェニル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、2−ピラジニル、3−ピリダジニル、4−ピリダジニル、3−ピラゾリル、4−ピラゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、3−イソチアゾリル、4−イソチアゾリル、5−イソチアゾリルである、式Iの化合物を記載し、ここで、各々のアリール基、例えば、フェニルは、無置換、又はF、Cl、(C
1−C
4)−アルキルオキシ−、(C
1−C
4)−アルキル−S−、(C
1−C
4)−アルキル、(C
1−C
4)−アルキル−OC(O)−、(C
1−C
4)−アルキル−SO
2−、NC−から独立して選択される1、2又は3個の残基で置換され、ここで、アルキル部分の一つ又はそれ以上の水素原子は、フッ素で置換されてもよい。基Aの好ましい置換基は、F、Cl、メトキシ、エトキシ、メチル、エチル、NC−、CF
3O−、CF
3である。
【0024】
アルキル基は、1〜6個の、好ましくは1〜4個の炭素原子を有し、そして、直鎖又は分枝鎖であってもよい。アルキル基は、同様に、それらが置換され、又は、他の基において、例えば、アルキルオキシ基(アルコキシ基)又はフッ素化アルキル基において存在する場合、直鎖又は分枝鎖であってもよい。アルキル基の例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル及びtert−ブチルである。アルキル基における一つ又はそれ以上の、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8又は9個の水素原子は、フッ素原子で置換されてもよい。好ましいフッ素化アルキル基は、CF
3、CF
2H及びCFH
2である。置換アルキル基は、いかなる位置で置換されてもよい。好ましいアルキルオキシ基は、メトキシ及びエトキシである。アルキル基に関するこれらの説明は、式Iの化合物における基の定義において、二つの隣接基に結合され、又は二つの基に連結されるアルキル基に対応して適用され、そして、例えば、基(C
1−C
6)−アルキルオキシ−(C
1−C
6)−アルキル−又は基R
11−(C
1−C
6)−アルキル−などの置換アルキル基のアルキル部分におけるように、二価のアルキル基(アルカンジイル基、アルキレン基)として見なしてもよく、ここで、その基において、及び、同様に他の基において、末端ハイフンは、それを通して基が結合するフリーボンド(free bond)を意味し、その結果、どのサブグループ(subgroup)を介してサブグループより成る基が結合されるかを示す。それ故、そのような基は、また、直鎖又は分枝鎖であり得て、隣接基への結合は、いかなる位置にも位置することが可能であり、そして同一炭素原子から、又は異なった炭素原子から開始することもでき、そしてそれは、無置換であってもよく、又は他の置換基から独立してフッ素置換基で置換されてもよい。そのような二価のアルキル基の例としては、メチレン、1,1−エチレン、1,2−エチレン、1,1−プロピレン、1,2−プロピレン、2,2−プロピレン、1,3−プロピレン、1,1−ブチレン、1,4−ブチレンなどがある。
【0025】
3〜6個のC原子を有するシクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、1−メチルシクロプロピル−、2−メチルシクロプロピル−、シクロブチル、2−メチルシクロブチル−、3−メチルシクロブチル−、シクロペンチル、2−メチルシクロペンチル−、3−メチルシクロペンチル−、シクロヘキシルなどがある。
【0026】
好ましいヘテロアリール残基は、N、O及びSから選択される1〜3個のヘテロ原子を含む5員環又は6員環であり、ここで、ヘテロアリール環は、好ましくは、一個のO又はS原子のみを含む。好ましいヘテロアリール基は、2−チオフェニル、3−チオフェニル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、2−ピラジニル、3−ピリダジニル、4−ピリダジニル、3−ピラゾリル、4−ピラゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、3−イソチアゾリル、4−イソチアゾリル、5−イソチアゾリルであり、ここで、特に好ましいのは、2−ピリジル、3−ピリジル及び4−ピリジルである。ヘテロアリール残基は、無置換、又は一つ若しくは二つの置換基で置換されてもよい。ヘテロアリール残基の好ましい置換基は、F、Cl、メトキシ、エトキシ、メチル、エチル、NC−、CF
3O−、CF
3である。
【0027】
好ましいアリール残基はフェニルであり、ここで、一つ又は二つの水素は、好ましくは、基F、Cl、メトキシ、エトキシ、メチル、エチル、NC−、CF
3O−、CF
3のから選択される置換基で代替されてもよい。
【0028】
基が二置換又は三置換である場合、置換基は、同一であっても、又は異なってもよい。
【0029】
式Iの化合物が、一つ又はそれ以上の塩基性基、又は一つ若しくはそれ以上の塩基性ヘテロ環を含む場合、発明は、同様に、トリフルオロ酢酸塩を含む対応する生理学的に許容可能な塩、特に、薬学的に許容可能な塩を含む。それ故、一つ又はそれ以上の塩基性、即ち、プロトン付加可能な基を有し、又は一つ又はそれ以上の塩基性のヘテロ環基を含む式Iの化合物は、同様に、例えば、塩酸塩、リン酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩、グルコン酸塩などの、無機又は有機酸により生理学的に耐容性のある酸付加塩の形体で使用できる。塩は、式Iの化合物から、従来法により、例えば、溶媒若しくは分散剤中の酸と組み合わせて、それとも他の塩からのアニオン交換により、得ることができる。式Iの化合物は、同様に、酸性基を脱プロトン化し、そして、例えば、アルカリ金属塩、好ましくは、ナトリウム若しくはカリウム塩として、又はアンモニウム塩として、例えば、アンモニア又は有機アミン又はアミノ酸との塩として使用してもよい。
【0030】
本発明の更なる実施態様において、上記の一般式Iの化合物は、1−[1−((1R,2R)−4,6−ジフルオロ−2−ヒドロキシ−インダン−1−イル)−3−(2−フルオロ−5−メトキシ−フェニル)−1,4,6,7−テトラヒドロ−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−5−イル]−エタノン;1−[1−((1S,2S)−4,6−ジフルオロ−2−ヒドロキシ−インダン−1−イル)−3−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−1,4,6,7−テトラヒドロ−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−5−イル]−エタノン;3−[5−アセチル−1−((1R,2R)−4,6−ジフルオロ−2−メトキシ−インダン−1−イル)−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−3−イル]−ベンゾニトリル及び1−[1−((1R,2R)−4,6−ジフルオロ−2−メトキシ−インダン−1−イル)−3−(4−フルオロ−フェニル)−1,4,6,7−テトラヒドロ−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−5−イル]−エタノンが包含されしないという条件で、本出願によりカバーされる。
【0031】
特に好ましいのは、式Iの化合物であり、ここで、
A= Cl、NC−、又はCF
3から選択された残基を、好ましくは、メタ位に置換したフェニル;
R1= R10−C(O)−;
R2= OH;
R3、R4、R5、R6及びR8=H;
R7、R9は、独立してF及びClから選択され;及び
R10=メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピル;
及び/又は、式Iの化合物の立体異性体、及び/又は、これらの形態の混合物、及び/又は、式Iの化合物の生理学的に耐容性のある塩。
【0032】
式Iの化合物は、立体異性体で存在し得る。存在する不斉の中心は、互いに独立して、Sの立体配置又はRの立体配置を有してもよい。発明は、全ての可能性のある立体異性体、例えば、エナンチオマ又はジアステレオマ、及び二つ若しくはそれ以上の立体異性体、例えば、エナンチオマ及び/又はジアステレオマのあらゆる比率での混合物を含む。それ故、発明は、例えば、左旋性及び右旋性の両方の対掌体として、エナンチオ純粋な形態におけるエナンチオマ、及び様々な比率での二つのエナンチオマ混合物の形体、又はラセミ形体を含む。個々の立体異性体は、従来法により、又は、例えば、立体選択的合成により混合物を分別することにより、希望通りに製造できる。
【0033】
好ましい実施態様において、式Iの化合物における1,4,6,7−テトラヒドロ−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン部分及び残基R2は、好ましくは、式Iの化合物においてトランスの立体配置を有する。
【0034】
式Iの化合物の製造において、次の方法が使用できる。
【0035】
記載した種々の化学的方法において、残基R1、R2、R3、R6、R7、R8、R9及びAは、それぞれの残基の具体的な定義が説明されていない条件で、式Iの化合物におけるのと同じ意味を有する。以下の反応スキームにおいて、残基R4及びR5は、水素原子である。しかしながら、これらの反応は、R4及びR5が水素以外の上記で説明した意味を有する化合物と類似して実施できる。
【0036】
多様な、4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン中間体の製造は、以前に記載した合成(EP第0086422号A2)に従い、スキーム1(方法A)により実施できる。合成は、非常に多様な異なった基Aに対して適用可能である。その結果、市販の1−アセチル−4−ピペリドンから出発して、1−(4−モルホリン−4−イル−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル)−エタノン(エナミン1)が得られる。従って、モルホリンが、p−トルエンスルホン酸一水和物(触媒のPTSA)の存在下で、1−アセチル−4−ピペリドン溶液に添加される。市販のアシルクロリドでアシル化した後、酸性水溶液の加水分解に続き、ジケトン2が得られ、そして、ヒドラジン水和物で以って環化にかけることができ、対応する多様な4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン中間体3を得た。
【0037】
【化3】
【0038】
アシルクロリドは、あるいは、例えば、触媒量のDMFの存在下で、チオニルクロリドとの反応により、対応する酸から標準的手法により製造できる。(参照:例えば、 Dalisay, D. S.; Quach, T.; Nicholas, G. N.; Molinski, T. F., Angewandte Chemie, International Edition, 2009, vol. 48, 4367-4371)。Aが、ヘテロアリールである場合、しばしば、代替の合成が好ましく、そしてスキーム1(方法B)で示す通りに、使用することができる。それ故、市販の酸から出発して、混合酸無水物が、クロロギ酸イソブチルとの反応により生成される。1−アセチル−4−ピペリドン、1−(4−モルホリン−4−イル−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル)−エタノンは、リチウムヘキサメチルジシラジドのような強塩基で脱プロトン化でき、そして上記の混合酸無水物と反応できる。ジケトン2が得られ、そしてヒドラジン水和物で閉環にかけることができ、対応する多様な4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン中間体3を得た。
【0039】
記載したTASK−1遮断薬の合成において必要な第二の中間体は、以前に公開された通りの反応順序(WO第2010/025856号、特に、ページ:114〜117)に従うことによって、スキーム2で示す通り、種々置換されたインデン5のエポキシ化により得ることができる。インデンは市販で購入でき又はインダン−1−オンから出発して、短い順序で合成できる。それ故、ナトリウムボロヒドリドによる還元で、対応するインダン−1−オール4を生成する。水分の除去の後、例えば、触媒量のp−トルエンスルホン酸一水和物の存在下で、トルエン中で加熱することにより、対応するインデン5を得る。エポキシ化は、市販のJacobsen触媒を用いることによって、スキーム2における反応工程A又はBに従って、エナンチオ選択的手法で実行できる(Larrow, Jay F.; Roberts, Ed; Verhoeven, Thomas R.; Ryan, Ken M.; Senanayake, Chris H.; Reider, Paul J.; Jacobsen, Eric N., Organic Syntheses (1999), 76)。反応工程A用として、(S,S)−Jacobsen触媒、反応工程B用として、(R,R)−Jacobsen触媒を、4−(3−フェニルプロピル)ピリジンN−オキシドと一緒に使用した。あるいは、ラセミ体のエポキシドは、試薬としてm−クロロ過安息香酸を用いることによって得ることができる(反応工程C)。別のアプローチは、N−ブロモスクシンイミドを使い、それに続くNaOHによるHBrの脱離を経た2段階酸化である(反応工程D)。
【0040】
【化4】
【0041】
中間体の別のセットは、スキーム3で示す通り、インダン−1−オンのアルキル化により得ることができる(Mahapatra, Tridib; Jana, Nandan; Nanda, S, Tetrahedron: Asymmetry (2008), 19(10), 1224-1232に記載の通り)。例えば、リチウムジイソプロピルアミドのような強塩基での脱プロトン化と、例えば、式R3Iのハロゲン化アルキルのような求電子剤との反応の後で、置換誘導体7が得られる。ナトリウムボロヒドリドでの置換2−アルキル−インダン−1−オール8への還元とトルエン中での加熱による脱離の後、2−アルキル−1H−インデン9が、触媒量のp−トルエンスルホン酸一水和物の存在下で得られ、それは、上記の多様なエポキシ化手法にかけることができ、エポキシド10を得る。ラセミ体エポキシドの製造のために、特に、試薬として、m−クロロ過安息香酸の添加が適している。
【0042】
【化5】
【0043】
4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン中間体3は、スキーム4〜6で示す通り、上記のエポキシドと成功裏に反応することができ、2−ヒドロキシ−インダン−1−イル−置換4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン11を得る、ことがわかった。それ故、4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン中間体3とエポキシド6の混合物を、過剰の塩基、例えばK
2CO
3、の存在下で、CH
3CNのような不活性溶媒中で、加熱することにより、化合物11を得ることができる。あるいは、NaHのような強塩基で化合物3を脱プロトン化し、そしてエポキシド6でそれらをアルキル化することが可能である。
【0044】
【化6】
【0045】
【化7】
【0046】
【化8】
【0047】
更に、4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン中間体3は、スキーム7で示す通り、“Mitsunobu−タイプ”の反応(Bull. Chem. Soc. Japan 1967, 40, 2380-2382)で、アミノインダン−1−オール4′/8′と成功裏に反応することができることが、わかった。その結果、4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン中間体3とアミノインダン-1-オール4′/8′の混合物を、トリn−ブチルホスフィンのようなホスフィン及び1,1′−(アゾジカルボニル)ジピペリジンのような1,1′−(アゾジカルボニル)化合物の存在下で加熱することにより、対応する強力なTASK−1遮断薬12が得られた。反応に活用される化合物4′及び8′における残基R2の定義は、好ましくは、ヒドロキシル基を含まない。好ましくは、R2は、H又は(C
1−C
6)−アルキル、(C
1−C
6)−アルキルオキシ、(C
1−C
6)−アルキル−C(O)O−基である。R2が、(C
1−C
6)−アルキル、(C
1−C
6)−アルキルオキシ又は(C
1−C
6)−アルキル−C(O)O−基である化合物4′及び8′は、スキーム2及び3に類似して製造できる。
【0048】
【化9】
【0049】
基R1は、スキーム8に示す通り、合成的に変えることができる。N−アセチル基は、例えば、エタノールと2NのHCl水溶液の混合物中で、化合物11/12の酸性水溶液を加熱することにより切断できる。対応するアミン13は、様々な方法で、例えば、CH
2Cl
2のような不活性溶媒中、トリエチルアミンのような塩基の存在下で、スキーム9で示す通りのアシル化により改変できる。N−アシル化化合物14は、強力なTASK−1遮断薬であることがわかっている。R2=OHのとき、しばしば、ジアシル化化合物15が、同様に、TASK−1遮断薬であると判明している副生成物として単離できる。AがCN基(シアノ基、NC−)を含む場合、この基は、部分的にカボキシアミド基に転換できる。これらの副生成物は、容易に分離できる。
【0050】
【化10】
【0051】
【化11】
【0052】
R3が、好ましくは、水素である化合物11のヒドロキシル基は、スキーム10に従ってアルキル化できる。例えば、ナトリウムヘキサジメチルジシラジド又はNaHのような強塩基で脱プロトン化した後、及びハロゲン化アルキル(R−Hal、ここで、Rは、(C
1−C
6)−アルキルである)での引き続くアルキル化。アルコキシ化合物16が得られ、そしてそれは、活性なTASK−1遮断薬であることが判明した。
【0053】
【化12】
【0054】
基R1は、更に、改変でき、そして、スキーム11で示す通り、例えば、トリエチルアミンのような塩基の存在下で、CH
2Cl
2のような不活性溶媒中、化合物13のクロロギ酸アルキルとの反応により、新規なウレタン化合物17に転換でき、ここで、残基Rは、(C
1−C
6)−アルキルである。
【0055】
【化13】
【0056】
基R1は、同様に、スキーム12で示す通り、例えば、トリエチルアミンのような塩基の存在下で、CH
3CN又はDMFのような不活性溶媒中で、化合物13の無置換又は置換アルキルハロゲン化物との反応により、新規なアミン18に変えることができる。適切なハロゲン化アルキルは、式R1−Halであり、ここで、R1は、残基R
11−(C
1−C
6)−アルキル−から選択される。他の方法は、アルデヒドでの還元アミノ化として使用できる(例えば、参照:E. W. Baxter and A. B. Reitz, Organic Reactions(有機反応), 1, 59, 2002)。
【0057】
【化14】
【0058】
アルキル基Rは、基R5、R6、R7、R8の一つが、ハロゲン、例えば、式13による臭素である化合物11′/12′から出発して、化合物に導入できる。化合物11′及び12′の残基R1は、好ましくは、R10−C(O)−であり、特に好ましいは、CH
3−C(O)−である。触媒、例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)の存在下、高温で、不活性溶媒中、テトラアルキルすず(SnR
4、ここで、Rは(C
1−C
6)−アルキル基と同等)での処理の後で(Macdonald, Simon J. F.; McKenzie, Thomas C.; Hassen, Wesley D., Journal of the Chemical Society, Chemical Communications (1987), (20), 1528-30)、活性なTASK−1遮断薬である新規なアルキル置換化合物19を得ることができる。
【0059】
【化15】
【0060】
シクロプロピル又はアリール基は、基R5、R6、R7、R8の一つが、ハロゲン、例えば、スキーム14による臭素である化合物11′/12′から出発して、Suzuki反応(N. Miyaura, A. Suzuki: J. Chem. Soc., Chem. Commun. 1979, S. 866-867)で、化合物に導入することができる。化合物11′及び12′の残基R1は、好ましくは、R10−C(O)−、特に好ましくは、CH
3−C(O)−である。例えば、K
2CO
3のような塩基と一緒に、CH
3CN/水中で、触媒、例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)の存在下、高温で、不活性溶媒中、シクロプロピルボロン酸による処理の後、活性なTASK−1遮断薬である新規なシクロプロピル置換化合物20を
得ることができる。
【0061】
【化16】
【0062】
ハロゲン又はニトリル基Xは、R5、R6、R7、R8の一つが、ハロゲン、例えば、スキーム15による臭素又はヨウ素である化合物11′/12′から出発して、化合物に導入できる。化合物11′及び12′の残基R1は、好ましくは、R10−C(O)−、特に好ましくは、CH
3−C(O)−である。例えば、マイクロウェーブ中、高温で、不活性溶媒、例えば、ジメチルスルホキシド中で、CuXと一緒に加熱した後、活性なTASK−1遮断薬である新規なX−置換の化合物21を得ることができる。チオールエーテル21′は、しばしば、溶媒ジメチルスルホキシドの部分分解物に由来する副生成物として、さらに単離できる。この化合物もTASK−1遮断薬であり得る。
【0063】
【化17】
【0064】
基R1は、同様に、塩基、例えば、トリエチルアミンの存在下、CH
2Cl
2のような不活性溶媒中で、化合物13のアルキルスルホニルクロリド(R−SO
2Cl、ここでRは、(C
1−C
6)−アルキル基と同じである)との反応によりスキーム16で示す通り、新規なスルホンアミド23に変えることができる。
【0065】
【化18】
【0066】
基R1は、同様に、スキーム17〜18で示す通り、例えば、化合物13のイソシアネートとの反応により、又はホスゲンとそれに続くアミンとの段階的反応により、新規な尿素22/22′に変えることができ、ここで、22′におけるR12は、(C
1−C
6)−アルキル基と同等である(参照、例えば、同様の反応に対して、Journal of Medicinal Chemistry (2010), 53(24), 8468-8484)。
【0067】
【化19】
【0068】
【化20】
【0069】
仕上げ(working up)、及び、必要ならば、生成物、及び/又は、中間体の精製は、抽出、クロマトグラフィ、又は結晶化、及び従来の乾燥法などの従来法により行われる。
【0070】
式Iの化合物の製造のために、スキーム8〜18で示される反応は、異なった順番で実施できる。好ましくは、化合物11/12は、スキーム4、5、6又は7による方法により製造される。その後、化合物11/12において、スキーム13、14又は15による特定の残基R6〜R9が導入されてもよく、必要ならば、スキーム10による残基R2の改変が実施でき、そして場合により、残基R1が、スキーム8及び9、11、12、16、17又は18に従って導入される。ここで、好ましい順番においては、残基R6〜R9の導入は、残基R2の改変より前に実施される。残基R1は、好ましくは、最後に導入される。
【0071】
TASK−1の阻害特性のために、式Iの化合物、及び/又は、薬学的に適合性のある塩は、活性化により、又は活性化TASK−1により引き起こされる障害、そして、同様に、TASK−1関連の損傷を他の主原因に次いで出現させる有する障害の予防及び処置に適切である。
【0072】
式Iの化合物及び/又は生理学的に適合性のあるその塩は、同様に、TASK−1が、例えば、低投与量を用いて、部分的抑制のみを必要とする障害の処置及び予防ために使用できる。
【0073】
式Iの化合物及び/又は薬学的に許容性のあるその塩は、TASK−1チャネル媒介疾患の治療と予防のために、TASK−1チャネル遮断効果を備えた薬剤を製造するために使用できる。式Iの化合物、及び/又は、薬学的に許容性のあるその塩はさらに、心不整脈、例えば、活動電位の形状の変化、主として、TASK−1遮断によって誘導される活動電位の延長の変化に応答する不整脈の治療又は予防のために使用できる。
【0074】
式Iの化合物及び/又は薬学的に許容可能なその塩は、洞律動(心臓除細動)を回復するために、既成の(existent)心房細動又は粗動を停止するために使用できる。また、化合物は、心房細動事象の新しい発生のために、感受性を低下させ、その結果、化合物は、洞律動の維持(リズム調整)による予防処置に適切である。物質は心室催不整脈のリスク(QT間隔及び多形性心室頻拍不整脈の延長)を持っていない。
【0075】
式Iの化合物及び/又は薬学的に許容可能なその塩は、不整脈、特に、心房頻脈性不整脈、心房細動及び心房粗動の処置及び/又は予防のための薬剤を製造するために使用できる。
【0076】
式Iの化合物及び/又は薬学的に許容可能なその塩は、更に、睡眠関連呼吸障害、中枢性及び閉塞性睡眠時無呼吸症、上気道抵抗症候群、チェーン・ストークス呼吸、いびき、中枢性呼吸駆動障害、小児突然死、術後低酸素症及び無呼吸症、筋肉関連呼吸障害、長期人工呼吸(離脱)後呼吸障害、高山順応時呼吸障害、急性呼吸障害、低酸素症及び高炭酸症を伴う慢性肺障害、慢性閉塞性肺疾患(COPD)及び肥満低換気症候群の治療又は予防のための薬剤の製造に適切である。
【0077】
式Iの化合物及び/又は薬学的に許容可能なその塩は、更に、麻酔又は鎮静処置に関連する呼吸抑制の予防及び処置のため、又は小さな治療介入(small interventions)のため又は診断目的のための麻酔又は鎮静処置に伴う呼吸抑制の処置又は予防のため、例えば癌の慢性疼痛処置又は緩和ケア若しくは処置鎮静におけるオピオイドによる呼吸抑制の処置及び予防のための、及び/又は長期人工呼吸からの離脱のための呼吸促進剤として適切である。
【0078】
式Iの化合物及び/又は薬学的に許容可能なその塩は、更に、多発性硬化症及び中枢神経系の炎症性又は変性疾患の処置又は予防のために適切である。
【0079】
式Iの発明の化合物及び/又は薬学的に許容可能なその塩は、それ故、動物に、好ましくは、哺乳類に、そして特に、ヒトに、単体として、互いに混合物で、又は医薬製剤の形体で使用できる。
【0080】
それ故、本発明の更なる実施態様は、薬学的に許容可能な担体及び添加剤の単体又は他の薬理学的に活性な成分又は医薬品との組合せと一緒に、有効量の式Iの化合物及び/又は薬学的に許容可能なその塩を含む、医薬製剤又は医薬組成物である。医薬製剤は、通常、式Iの化合物及び/又は薬学的に許容可能なその塩を、0.1〜90質量%を含む。医薬製剤は、それ自身公知の方法で製造できる。この目的のために、式Iの化合物及び/又は薬学的に許容可能なその塩は、一つ又はそれ以上の固体又は液体の薬学的媒体及び/又は添加剤、及び、必要ならば、他の薬学的に活性な成分との組合せと一緒に、適切な投与形体に転換され、それは、人間医学又は獣医学における医薬品として使用できる。
【0081】
式Iの化合物及び/又は薬学的に許容可能なその塩を含む医薬品は、さらに、例えば、経口的に、静脈内に、筋肉内に、皮下に、鼻内に、局所的に、咽頭に、又は吸入により投与でき、そして、好ましい投与は、個々のケースに、例えば、障害の特定の兆候に依存する。式Iの化合物は、更に、単体で、又は薬学的添加剤と一緒に、特に、獣医学、及び人間医学の両方に使用できる。医薬品は、式I及び/又は薬学的に許容可能なその塩の活性成分を、一般的に、単回用量当たり、0.01mg〜1gの量を含む。
【0082】
熟練労働者(skilled worker)は、専門知識をベースに、添加剤は、望ましい医薬製剤(pharmaceutical formulation)に適切であることに精通している。溶媒、ゲル形成剤、坐薬基剤、錠剤添加剤、及び他の活性な物質担体の他に、例えば、酸化防止剤、分散剤、乳化剤、消泡剤、マスキングフレーバー、保存剤、可溶化剤、デポ効果を達成するための薬剤、緩衝物質、又は着色剤を使用することは可能である。
【0083】
経口使用の形体のために、活性化合物は、担体、安定化剤又は不活性な希釈剤などの、この目的に適切な添加物と混合され、そして、従来法により、錠剤、被覆された錠剤、二ピースのカプセル、水性、アルコール性又は油性の溶液などの適切な体裁(presentations)に転換される。使用できる不活性担体の例としては、アラビアゴム、マグネシア、炭酸マグネシウム、リン酸カリウム、ラクトース、グルコース又はスターチ、特に、コーンスターチがある。調製は、乾燥及び湿潤顆粒として行うことができる。油状担体又は溶媒として適切なものは、例えば、ひまわり油又は魚の肝臓油などの野菜又は動物油がある。水性又はアルコール性溶液の適切な溶媒としては、例えば、水、エタノール若しくは砂糖溶液又はその組合せがある。また、他の投与形体用の更なる添加剤の例としては、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールがある。
【0084】
皮下用、筋肉内、又は静脈内の投与のために、活性化合物は、必要ならば、可溶化剤、乳化剤又は更なる添加剤などのこの目的のための通常の物質と一緒に、溶液、懸濁液、又は乳化液に転換される。式Iの化合物及び/又は薬学的に許容可能なその塩は、また、凍結乾燥してもよく、そして、生成した凍結乾燥物は、例えば、注射又は注入用の製品を製造するために使用される。適切な溶媒の例としは、水、生理食塩水又はアルコール、例えば、エタノール、プロパノール、グリセロール、並びに、グルコース若しくはマンニトール溶液などの糖溶液、又はその他、言及した様々な溶媒の組合せである。
【0085】
エアロゾル又はスプレー形体での投与に適切な医薬製剤としては、例えば、薬学的に許容可能な溶媒、特に、エタノール若しくは水、又はそのような溶媒の混合物中での、式Iの活性成分又は薬学的に許容可能なその塩の溶液、懸濁液又は乳化液がある。製剤は、必要とする場合、同様に、界面活性剤、乳化剤及び安定化剤及び噴霧剤ガスなどのその他の医薬添加剤を含んでもよい。そのような製剤は、活性成分を、通常、約0.1〜10、特に、約0.3〜3質量%の濃度で含む。
【0086】
投与すべき活性成分、又は薬学的に許容可能なその塩の投与量は、個人の症例に依存し、そして、最適効果のために通常通り、個人の症例の環境に適合されるべきである。それ故、それは、もちろん、投与頻度及び治療又は予防のために使用した特定化合物の作用の効力及び持続期間に、また、処置すべき疾患のタイプ及び深刻度、性別、年齢、体重及び処置すべきヒト又は動物の個々の応答、及び治療が、急性か又は予防かのいずれかに依存する。
【0087】
体重約75kgである患者のために、式Iの化合物及び/又は薬学的に許容可能なその塩の一日用量は、普通は、体重の、少なくとも0.001mg/kg〜100mg/kg、好ましくは、0.01mg/kg〜20mg/kgである。より高い投与量は、同様に、例えば、集中治療室における疾患の急性発作(acute episode)のために必要であり得る。一日当たり、800mgまでは、必要であり得る。用量は、単回用量の形体、又は複数の、例えば、二つ、三つ若しくは四つの単回用量に分割してもよい。注射又は注入による非経口投与、例えば、連続した静脈内注入は、同様に、特に、例えば、集中治療室内での不整脈の急性症例の処置に有利であり得る。
【実施例】
【0088】
以下の実施例は本発明の様々な実施態様を説明する。
【0089】
〔実施例1〕
1−(4−モルホリン−4−イル−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル)−エタノン(1)
【化21】
スキーム1の工程1に基づき、トルエン(300ml)中のモルホリン(67.85g、0.779mol)、1−アセチル−4−ピペリドン(99.95g、0.708mol)及びp−トルエンスルホン酸・一水和物(0.366g、2.1mmol)の混合物を、ディーン・スタークトラップ装置内で16時間還流して加熱した。溶媒を減圧下で蒸発させ、1−(4−モルホリン−4−イル−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル)−エタノン(1)(149g)を得て、それは、更なる精製なしで、次の工程に用いた。
【0090】
〔実施例2〕及び〔実施例3〕
3−(5−アセチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−3−イル)−ベンゾニトリル(3a)
【化22】
スキーム1の工程2〜3に基づき、無水のジクロロメタン(30ml)中の1−(4−モルホリン−4−イル−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル)−エタノン(1)(6.35g、30.2mmol)の溶液に、0℃で、トリエチルアミン(3.056g、30.2mmol)を加え、そして溶液を0℃、10分間撹拌した後、3−シアノベンゾクロリド(5g、30.2mmol)を加えた。混合物を0℃で、45分間撹拌し、次いで、混合物を室温まで温め、そして終夜撹拌した。5%のHCl水溶液を加え、そして混合物を2時間撹拌した。混合物をジクロロメタンで抽出し、そして、有機層を水で洗浄し、シリカゲルのショートパッド(short pad)で濾過し、蒸発乾固させ、3−(1−アセチル−4−オキソ−ピペリジン−3−カルボニル)−ベンゾニトリル(2a)(8g)を得て、それは直ちに精製なしで次の工程に用いた。
【0091】
エタノール(26ml)中の、3−(1−アセチル−4−オキソ−ピペリジン−3−カルボニル)−ベンゾニトリル(2a)(8g、29.6mmol)の混合物に、10℃でヒドラジン水和物(4.44g、88.8mmol)をゆっくり、5分以内で加えた。混合物を3時間撹拌し、そして終夜にかけて、室温まで温められた。沈殿物が生成するまで、混合物をその容量を1/4まで濃縮した。懸濁液を2時間撹拌し、冷却し、そして濾過した。固体を少量のエタノールで洗浄した。濾液から終夜沈殿させた生成物の第二の部分を固体の第一の部分と一緒に集めて、3−(5−アセチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−3−イル)−ベンゾニトリル(3a)(4.02g)を固体として得た。
R
t=1.20min(LC方法7)、検出質量:267.15[M+H
+]。
【0092】
次の表−1の中間体は、(3a)の合成に基づく反応順序に従い、スキーム1に基づき得られた。
【0093】
【表1】
【0094】
【表2】
【0095】
【表3】
【0096】
【表4】
【0097】
〔実施例4〕
4−ブロモ−6−フルオロ−インダン−1−オール(4a)
【化23】
スキーム2の工程1に基づき、エタノール(183ml)中の、4−ブロモ−6−フルオロ−インダン−1−オン(10.0g、43.7mmol)の溶液に、0℃で、NaBH
4(3.67g、97.0mmol)を小分けして加え、次いで、混合物を室温で18時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させた後、水を残留物に加え、溶液を3回酢酸エチルで抽出し、次いで、2NのHCl水溶液を加え、そして混ぜ合わせた有機層を飽和のNaHCO
3水溶液及び水で洗浄した。Na
2SO
4で乾燥し、濾過した後、溶媒を減圧下で蒸発させ、4−ブロモ−6−フルオロ−インダン−1−オール (4a)(10.0g)を得た。それは、精製なしで、直ちに、次の工程に用いた。
R
t=1.19min(LC方法4)。
1H−NMR(d
6−DMSO):δ(ppm)=1.7−1.9(m,1H);2.38−2.45(m,1H);2.66−2.70(m,1H);2.8−2.9(m,1H);5.1(d,1H);5.5(d,1H);7.15(dd,1H);7.4(dd,1H)。
【0098】
〔実施例5〕
7−ブロモ−5−フルオロ−1H−インデン(5a)
【化24】
スキーム2の工程1に基づき、トルエン中の、4−ブロモ−6−フルオロ−インダン−1−オール(4a)(10.0g、43.3mmol)及びp−トルエンスルホン酸一水和物(372mg、2.16mmol)の混合物を、還流下で2.5時間加熱した。溶液を飽和のNaHCO
3水溶液及びブラインで洗浄し、MgSO
4で乾燥し、そして溶媒を蒸発させ、7−ブロモ−5−フルオロ−1H−インデン(5a)(9.0g)を得た。それは、精製なしで、直ちに、次の工程に用いた。
R
t=1.38min(LC方法4)。
1H−NMR(d6−DMSO):δ(ppm)=2.5(m,2H);3.4(m,2H);6.8(m,1H);7(dt,1H);7.3(m,2H)。
【0099】
〔実施例6〕
(1aS,6aR)−5−ブロモ−3−フルオロ−6,6a−ジヒドロ−1aH−1−オキサ−シクロプロパ[a]インデン(6a)
【化25】
スキーム2の工程I/IIに基づき:
緩衝次亜塩素酸ナトリウム溶液の製造:水(383ml)に、市販のNaOCl溶液(10〜13%の遊離塩素を含む)(67.5ml)を加え、そして少量のNaH
2PO
4を加えて、pHを11.3に調整した。溶液を、4℃で、最大24時間保存した。
CH
2Cl
2中の、7−ブロモ−5−フルオロ−1H−インデン(5a)(9g、42.3mmol)の溶液に、0℃で、(S,S)−(+)−N,N′−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルサリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミノマンガン(III)−クロリド(Jacobsen触媒;1.2g、1.7mmol)及び4−(3−フェニルプロピル)ピリジンN−オキシド(1.8g、8.5mmol)を加えた。0℃で15分間撹拌した後、0℃に冷却した緩衝次亜塩素酸ナトリウム溶液を加え、そして混合物を0℃で3時間撹拌した。生成した液体層を分離し、そして水相をCH
2Cl
2で3回抽出した。混ぜ合わせた有機層をブラインで洗浄し、そしてMgSO
4で乾燥した。溶媒を蒸発させ、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィ(ヘプタン中5〜50%の酢酸エチルで溶出する)で精製した。生成物をヘプタンから再結晶し、(1aS,6aR)−5−ブロモ−3−フルオロ−6,6a−ジヒドロ−1aH−1−オキサ−シクロプロパ[a]インデン(6a)(3.2g)を白色針状で得た。
R
t=1.25min(LC方法4)。
1H−NMR(d
6−DMSO):δ(ppm)=2.9(m,1H);3.0(m,1H);4.26(t,1H);4.47(dd,1H);7.4(dd1H);7.5(dd,1H)。
【0100】
次の表−2における中間体は、(6a)の合成で使用した通りの反応順序に従い、スキーム2に基づき得られた。
【0101】
【表5】
【0102】
化合物は、
1H−NMRスペクトルで、以下の通り特徴付けられた:
【表6】
【0103】
下記の表3における中間体は、最終工程で(R,R)−(+)−N,N′−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルサリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミノマンガン(III)クロリド(Jacobsen触媒)を用いること以外は、(6a)の合成に基づく反応順序に従いスキーム2に基づいて得られた。
【0104】
【表7】
【0105】
化合物は、
1H−NMRスペクトルで、以下の通り特徴付けられた。
【表8】
【0106】
rac−(1aS,6aR)−3,4−ジクロロ−6,6a−ジヒドロ−1aH−1−オキサ−シクロプロパ[a]インデン(6g)
【化26】
スキーム2の工程IVに基づき:(5a)の合成に基づく反応順序に従い、スキーム2に基づいて得られた、5,6−ジクロロ−1H−インデン(5f)(1.28g、6.92mmol)のジメチルスルホキシド(6.5ml)及び水(0.16ml)中の溶液に、N−ブロモスクシンイミド(2.44g、13.7mmol)を、10℃で加え、そして混合物を、25℃、1時間撹拌した。混合物を水に注ぎ、30分間撹拌し、そして固体物質を濾過した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィ(ヘプタン中、0〜50%の酢酸エチルで溶出する)で精製し、2−ブロモ−5,6−ジクロロ−インダン−1−オール(1.46g)を得た。それは、直ちにテトラヒドロフラン(35ml)中に溶解した。細かく粉末化したNaOH(1.37g、34.2mmol)を加え、そして混合物を25℃で、2時間撹拌した。混合物をセライトのショートパッドを通して濾過し、そして、少量の酢酸エチルで洗浄した。濾液を蒸発乾固させ、rac−(1aS,6aR)−3,4−ジクロロ−6,6a−ジヒドロ−1aH−1−オキサ−シクロプロパ[a]インデン(6f)(1g)を得た。それは、精製なしで次の工程で使用した。
R
t=1.90min(LC方法9)。
1H−NMR(d
6−DMSO):δ(ppm)=2.96−2,99(dd,1H);3.07−3.11(d,1H);4,20(t,1H);4,38(d,1H);7,54(s,1H);7,83(s,1H)。
【0107】
rac−(1aS,6aR)−2,4−ジクロロ−6,6a−ジヒドロ−1aH−1−オキサ−シクロプロパ[a]インデン(6h)
【化27】
スキーム2の工程IIIに基づき:(5a)の合成に基づく反応順序に従い、スキーム2に基づいて得られた、5,6−ジクロロ−1H−インデン(5g)(4.35g、23.5mmol)のCH
2Cl
2(80ml)溶液に、m−クロロ過安息香酸(6.28g、25.5mmol)を加え、混合物を25℃で、16時間撹拌した。混合物をCH
2Cl
2で希釈し、固体を濾過した。溶液を飽和のNa
2S
2O
3水溶液で、飽和のNaHCO
3水溶液で、そして水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、濾過し、溶液を蒸発乾固させた。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィ(ヘプタン中で15〜100%酢酸エチルで溶出する)で精製し、rac−(1aS,6aR)−2,4−ジクロロ−6,6a−ジヒドロ−1aH−1−オキサ−シクロプロパ[a]インデン(6g)(2.84g)を得た。
R
t=2.22min(LC方法9)。
1H−NMR(d
6−DMSO):δ(ppm)=3.06−3.1(dd,1H);3.17−3.20(d,1H);4.21(t,1H);4.47(d,1H);7.35(s,1H);7,43(s,1H)。
【0108】
〔実施例7〕
4,6−ジフルオロ−2−メチル−インダン−1−オン(7a)
【化28】
スキーム3の工程1に基づき:無水テトラヒドロフラン(100ml)中の、4,6−ジフルオロ−インダン−1−オン(5.0g、29.8mmol)の溶液に、−78℃で、2Mのリチウムジイソプロピルアミド(16.4ml、32,7mmol)のテトラヒドロフラン溶液を滴下しながら加え、そして混合物を−78℃で、1時間撹拌した。次いで、ヨードメタン(4.64g、32.7mmol)を加え、そして混合物を徐々に25℃まで暖めた。飽和のNaHCO
3水溶液を加えた後、混合物を酢酸エチルで3回抽出した。混ぜ合わせた有機層をNa
2SO
4で乾燥し、そして濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィ(ヘプタン中、0〜100%の酢酸エチルで溶出する)で精製し、4,6−ジフルオロ−2−メチル−インダン−1−オン(7a)(1.15g)を得た。
R
t=4.28min(LC方法2)。検出質量:183.25[M+H
+]。
【0109】
〔実施例8〕
4,6−ジフルオロ−2−メチル−インダン−1−オール(8a)
【化29】
スキーム3の工程2に基づき:エタノール(30ml)中の、4,6−ジフルオロ−2−メチル−インダン−1−オン(7a)(1.27g、6.97mmol)溶液に、NaBH
4(0.26g、6.97mmol)を、0℃で、小分けして加え、次いで、混合物を室温で18時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させた後、水を残留物に加え、溶液を3回酢酸エチルで抽出し、次いで、2NのHCl水溶液を加え、そして混ぜ合わせた有機層を飽和のNaHCO
3水溶液及び水で洗浄した。Na
2SO
4で乾燥し、濾過した後、溶媒を減圧下で蒸発させ、4,6−ジフルオロ−2−メチル−インダン−1−オール(8a)(650mg)を得た。それは、直ちに、精製なしで次の工程に使用した。
R
t=3.97min(LC方法2)。
1H−NMR(d
6−DMSO):δ(ppm)=0.96(d,3H);1.2(3H,d);2.1−2.6(m,2H),2.84−2.89(m,0.4H);2.98−3.03(m,0.6H);4.5(m,0.6H);4.85(m,0.4H);5.24(d;0.4H);5.59(d,0.6H);6.93−7.02(m,2H)。
【0110】
〔実施例9〕
5,7−ジフルオロ−2−メチル−1H−インデン(9a)
【化30】
スキーム3の工程3に基づき:トルエン中の、4,6−ジフルオロ−2−メチル−インダン−1−オール(8a)(0.65g、3.53mmol)及びp−トルエンスルホン酸一水和物(30mg、0.18 mmol)の混合物を、還流下で1時間加熱した。溶液を飽和のNaHCO
3水溶液、ブラインで洗浄し、MgSO
4で乾燥し、そして溶媒を蒸発させた。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィ(ヘプタン中、0〜100%酢酸エチルで溶出する)で精製し、5,7−ジフルオロ−2−メチル−1H−インデン(9a)(0.50g)を得た。それは、直ちに、次の工程で使用した。
R
t=4.90min(LC方法2)。
1H−NMR(d
6−DMSO):δ(ppm)2.15,(s,3H);2.50(m,2H);6.54(m,1H);6.83−6.88(dt,1H);6.98−7.00(dd,1H)。
【0111】
〔実施例10〕
rac−(1aS,6aR)−3,5−ジフルオロ−6a−メチル−6,6a−ジヒドロ−1aH−1−オキサ−シクロプロパ[a]インデン(10a)
【化31】
スキーム2の工程4に従い、CH
2Cl
2(3ml)中の、5,7−ジフルオロ−2−メチル−1H−インデン(9a)(0.44g、2.65mmol)溶液に、m−クロロ過安息香酸(707mg、2.87mmol)を加え、そして混合物を25℃で、16時間撹拌した。混合物をCH
2Cl
2で希釈し、そして固体を濾過した。溶液を飽和のNa
2S
2O
3水溶液で、飽和のNaHCO
3水溶液で、及び水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、濾過し、溶液を蒸発乾固させ、rac−(1aS,6aR)−3,5−ジフルオロ−6a−メチル−6,6a−ジヒドロ−1aH−1−オキサ−シクロプロパ[a]インデン(10a)(242mg)を得た。
R
t=1.81min(LC方法9)。.
1H−NMR(d
6−DMSO):δ(ppm)=1.62(s,3H);2.89−2.93(d,1H);3.05−3.08(d,1H);4.22(s,1H);7.09−7.13(dt,1H);7.28−7.30(dd,1H)。
【0112】
〔実施例11〕
1−[1−((1R,2R)−4,6−ジフルオロ−2−ヒドロキシ−インダン−1−イル)−3−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−1,4,6,7−テトラヒドロ−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−5−イル]−エタノン(11a)
【化32】
スキーム4に基づき:
CH
3CN(5ml)中の、1−[3−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−1,4,6,7−テトラヒドロ−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−5−イル]−エタノン(3e)(0.461mmol)、0.44g、2.65mmol)、(1aS,6aR)−3,5−ジフルオロ−6,6a−ジヒドロ−1aH−1−オキサ−シクロプロパ[a]インデン(6b)(0.077g、0.461mmol)、及びK
2CO
3(127mg、0.922mmol)の混合物を、50℃、24時間撹拌した。水を加え、混合物をCH
2Cl
2で3回抽出し、混ぜ合わせた有機層をMgSO
4で乾燥し、濾過し、そして、溶液を蒸発乾固させた。粗生成物を逆相HPLC(0.1%トリフルオロ酢酸と共にCH3CN/水による傾斜溶出)で精製し、1−[1−((1R,2R)−4,6−ジフルオロ−2−ヒドロキシ−インダン−1−イル)−3−(3−トリフルオロメトキシ−フェニル)−1,4,6,7−テトラヒドロ−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−5−イル]−エタノン(11a)(53mg)を得た。
R
t=1.2min(LC方法4)。検出質量:494.14[M+H
+]。
【0113】
下記の表−4における実施例の化合物は、(11a)の合成に基づく反応に従い、スキーム4〜6に基づき得られた。反応条件は、反応時間(1〜3日)、温度(50〜80℃)及びエポキシドの1〜3当量で、若干変化させた。
【0114】
【表9】
【0115】
【表10】
【0116】
【表11】
【0117】
【表12】
【0118】
【表13】
【0119】
【表14】
【0120】
【表15】
【0121】
【表16】
【0122】
【表17】
【0123】
【表18】
【0124】
〔実施例12〕
1−[(R)−3−(4−フルオロ−フェニル)−1−インダン−1−イル−1,4,6,7−テトラヒドロ−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−5−イル]−エタノン(12a)
【化33】
スキーム7に基づき:無水トルエン(2.5ml)中の、1−[3−(4−フルオロ−フェニル)−1,4,6,7−テトラヒドロ−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−5−イル]−エタノン(3b)(0.2g、0.771mmol)、トリ−n−ブチルホスフィン(0.312g、1.54mmol)、1,1′−(アゾジカルボニル)ジピペリジン(0.389g、1.54mmol)及び(S)−1−インダノールの混合物を、80℃、2時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させた。粗生成物を、逆相HPLC(0.1%トリフルオロ酢酸と共にCH3CN/水による傾斜溶出)で精製し、1−[(R)−3−(4−フルオロ−フェニル)−1−インダン−1−イル−1,4,6,7−テトラヒドロ−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−5−イル]−エタノン(12a)(81mg)を得た。
R
t=2.46min(LC方法6)。検出質量:376.17[M+H
+]。
【0125】
1−[(S)−3−(4−フルオロ−フェニル)−1−インダン−1−イル−1,4,6,7−テトラヒドロ−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−5−イル]−エタノン(12b)
【化34】
スキーム7に基づき:代わりに(R)−1−インダノールを用いること以外は(12a)の合成に類似して、1−[(S)−3−(4−フルオロ−フェニル)−1−インダン−1−イル−1,4,6,7−テトラヒドロ−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−5−イル]−エタノン(12b)を得た。
R
t=2.46min(LC方法6)。検出質量:376.17[M+H
+]。
【0126】
〔実施例13〕
(1R,2R)−4,6−ジフルオロ−1−[3−(4−フルオロ−フェニル)−4,5,6,7−テトラヒドロ−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−1−イル]−インダン−2−オール(13a)
【化35】
スキーム8に基づき:(1R,2R)−4,6−ジフルオロ−1−[3−(4−フルオロ−フェニル)−5−イソプロピル−4,5,6,7−テトラヒドロ−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−1−イル]−インダン−2−オール(11ae)(0.2g、0.468mmol)、エタノール(14ml)及び2NのHCl水溶液(14ml)の混合物を、80℃、6時間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮した。飽和のNaHCO
3水溶液を加えた後、混合物を酢酸エチルで3回抽出し、溶媒を減圧下で蒸発させ、そして残留物をCH
3CN−水から凍結乾燥し、(1R,2R)−4,6−ジフルオロ−1−[3−(4−フルオロ−フェニル)−4,5,6,7−テトラヒドロ−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−1−イル]−インダン−2−オール (13a)(0.170g)を得た。
R
t=1.04min(LC方法4)。検出質量:386.3[M+H
+]。
【0127】
下記の表−5の化合物は、スキーム8に基づき、(13a)の合成のために使用された類似の反応に従い得られた。反応条件は、反応時間(6時間〜3日)で若干変更し、そして、ある場合において、生成物は逆相HPLC(0.1%トリフルオロ酢酸と共にCH3CN/水による傾斜溶出)で精製した。
【0128】
【表19】
【0129】
【表20】
【0130】
〔実施例14〕
3−[1−((1R,2R)−4,6−ジフルオロ−2−ヒドロキシ−インダン−1−イル)−5−プロピオニル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−3−イル]−ベンゾニトリル (14a)
【化36】
スキーム9に基づき:CH
2Cl
2(2ml)中の、3−[1−((1R,2R)−4,6−ジフルオロ−2−ヒドロキシ−インダン−1−イル)−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−3−イル]−ベンゾニトリル(13c)(0.05g、0.127mmol)の溶液に、0℃で、トリエチルアミン(19mg、0.191mmol)及びプロピオニルクロリド(13mg、0.140mmol)を加え、そして混合物を、0〜5℃で30分間撹拌した。飽和のNaHCO
3(2ml)水溶液を加えた後、混合物をCH
2Cl
2(10ml)で抽出し、有機層をNa
2SO
4で乾燥し、溶媒を減圧下で蒸発させ、粗生成物を逆相HPLC(0.1%トリフルオロ酢酸と共にCH3CN/水による傾斜溶出)で精製し、3−[1−((1R,2R)−4,6−ジフルオロ−2−ヒドロキシ−インダン−1−イル)−5−プロピオニル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−3−イル]−ベンゾニトリル(14a)(15mg)を得た。
R
t=1.24min(LC方法4)。検出質量:449.18[M+H
+]。
【0131】
下記の表−6の実施例は、(14a)の合成に基づく類似の反応に従うことにより、スキーム9に基づき得られた。反応条件は、反応時間(1時間〜18時間)、反応温度(0℃〜25℃)で若干変更した。
【0132】
【表21】
【0133】
【表22】
【0134】
〔実施例15〕
下記の表−7の実施例の化合物は、(14a)及び(14b)のそれぞれの化合物の合成中、副生成物として得られた。
【0135】
【表23】
【0136】
〔実施例16〕
3−[5−アセチル−1−((1R,2R)−4,6−ジフルオロ−2−メトキシ−インダン−1−イル)−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−3−イル]−ベンゾニトリル(16a)
【化37】
スキーム10に基づき:無水DMF(1ml)中の、3−[5−アセチル−1−((1R,2R)−4,6−ジフルオロ−2−ヒドロキシ−インダン−1−イル)−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−3−イル]−ベンゾニトリル(11t)(0.10g、0.276mmol)溶液に、−10℃で、NaHMDS(50mg)を加えた。5分後に、ヨードメタン(39mg、0.276mmol)を加え、そして混合物を25℃まで暖められた。90分後、混合物を−10℃まで冷却し、NaHMDS及びヨードメタンを同量、再度加えた。終夜撹拌した後、混合物を逆相HPLC(0.1%トリフルオロ酢酸と共にCH3CN/水による傾斜溶出)で精製し、3−[5−アセチル−1−((1R,2R)−4,6−ジフルオロ−2−メトキシ−インダン−1−イル)−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−3−イル]−ベンゾニトリル(16a)(27mg)を得た。
R
t=1.29min(LC方法4)。検出質量:449.32[M+H
+]。
【0137】
1−[1−((1R,2R)−4,6−ジフルオロ−2−メトキシ−インダン−1−イル)−3−(4−フルオロ−フェニル)−1,4,6,7−テトラヒドロ−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−5−イル]−エタノン(16b)
【化38】
スキーム10に基づき:1−[1−((1R,2R)−4,6−ジフルオロ−2−メトキシ−インダン−1−イル)−3−(4−フルオロ−フェニル)−1,4,6,7−テトラヒドロ−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−5−イル]−エタノン(16b)を、(16a)の合成に基づく反応に従い得られた。
R
t=1.32min(LC方法4)。検出質量:442.28[M+H
+]。
【0138】
〔実施例17〕
3−(3−シアノ−フェニル)−1−((1R,2R)−4,6−ジフルオロ−2−ヒドロキシ−インダン−1−イル)−1,4,6,7−テトラヒドロ−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−5−カルボン酸メチルエステル(17a)
【化39】
スキーム11に基づき:無水のCH
2Cl
2(2ml)中の、3−[1−((1R,2R)−4,6−ジフルオロ−2−ヒドロキシ−インダン−1−イル)−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−3−イル]−ベンゾニトリル(11t)(0.05g、0.123mmol)溶液に、0℃で、クロロギ酸メチル(12mg、0.13mmol)及びNEt
3(19mg、0.191mmol)を加え、混合物を0〜5℃で、60分間、次いで、25℃で、18時間撹拌した。飽和のNaHCO
3水溶液
(2ml)を加えた後、混合物をCH
2Cl
2(10ml)で抽出し、有機層をNa
2SO
4で乾燥し、溶媒を減圧下で蒸発させ、粗生成物を逆相HPLC(0.1%トリフルオロ酢酸と共にCH3CN/水による傾斜溶出)で精製し、3−(3−シアノ−フェニル)−1−((1R,2R)−4,6−ジフルオロ−2−ヒドロキシ−インダン−1−イル)−1,4,6,7−テトラヒドロ−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−5−カルボン酸メチルエステル(17a)(31mg)を得た。
R
t=1.27min(LC方法4)。検出質量:451.17[M+H
+]。
【0139】
〔実施例18〕
(1R,2R)−1−[5−シクロプロピルメチル−3−(4−フルオロ−フェニル)−4,5,6,7−テトラヒドロ−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−1−イル]−4,6−ジフルオロ−インダン−2−オール・塩酸塩(18a)
【化40】
スキーム12に基づき:N,N−ジメチルホルミアミド中の、(1R,2R)−4,6−ジフルオロ−1−[3−(4−フルオロ−フェニル)−4,5,6,7−テトラヒドロ−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−1−イル]−インダン−2−オール(13a)(0.05g、0.13mmol)、NEt
3(39mg、0.389mmol)及びシクロプロピルメチルブロミド(21mg、0.155mmol)の混合物を、90℃、18時間撹拌した。混合物を逆相HPLC(0.1%トリフルオロ酢酸と共にCH3CN/水による傾斜溶出)で精製した。飽和のNaHCO
3水溶液を添加した後、溶液を酢酸エチルで抽出し、有機層を蒸発乾固させ、CH
3CN及び2MのHCl水溶液中に再溶解し、そして凍結乾燥して、 (1R,2R)−1−[5−シクロプロピルメチル−3−(4−フルオロ−フェニル)−4,5,6,7−テトラヒドロ−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−1−イル]−4,6−ジフルオロ−インダン−2−オール・塩酸塩(18a)(31mg)を得た。
R
t=1.09min(LC方法4)。検出質量:440.34[M+H
+]。
【0140】
下記の表−8の実施例は、(18a)の合成に基づく反応に従い、スキーム12に基づき得られた。時には、CH
3CNをDMFの代わりに用い、そして温度を50℃に低下させた。
【0141】
【表24】
【0142】
【表25】
【0143】
【表26】
【0144】
下記の表−9の実施例は、化合物18cの合成中の副生成物として得られた。
【0145】
【表27】
【0146】
〔実施例19〕
3−[5−アセチル−1−((1R,2R)−6−フルオロ−2−ヒドロキシ−4−メチル−インダン−1−イル)−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−3−イル]−ベンゾニトリル (19a)
【化41】
スキーム13に基づき:N,N−ジメチルホルムアミド(2ml)中の、3−[5−アセチル−1−((1R,2R)−4−ブロモ−6−フルオロ−2−ヒドロキシ−インダン−1−イル)−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−3−イル]−ベンゾニトリル(11d)(0.05g、0.10mmol)、テトラメチルすず(101mg、0.566mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(6mg、0.005mmol)の混合物を、110℃、18時間撹拌した。混合物を混合物を逆相HPLC(0.1%トリフルオロ酢酸と共にCH3CN/水による傾斜溶出)で精製し、3−[5−アセチル−1−((1R,2R)−6−フルオロ−2−ヒドロキシ−4−メチル−インダン−1−イル)−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−3−イル]−ベンゾニトリル(19a)(23mg)を得た。
R
t=1.21min(LC方法1)。検出質量:431.17[M+H
+]。
【0147】
3−[5−アセチル−1−((1R,2R)−4−エチル−6−フルオロ−2−ヒドロキシ−インダン−1−イル)−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−3−イル]−ベンゾニトリル(19b)
【化42】
スキーム13に基づき:3−[5−アセチル−1−((1R,2R)−4−エチル−6−フルオロ−2−ヒドロキシ−インダン−1−イル)−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−3−イル]−ベンゾニトリル(19b)を、テトラメチルすずの代わりにテトラエチルすずを用いる以外は(19a)の合成に基づく反応に従って得られた。
R
t=1.25min(LC方法1)。検出質量:445.18[M+H
+]。
【0148】
〔実施例20〕
3−[5−アセチル−1−((1R,2R)−4−シクロプロピル−6−フルオロ−2−ヒドロキシ−インダン−1−イル)−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−3−イル]−ベンゾニトリル (20a)
【化43】
スキーム14に基づき:CH
3CN(2ml)及び水(0.75ml)中の、シクロプロピルボロン酸(28mg、0.33mmol)、3−[5−アセチル−1−((1R,2R)−4−ブロモ−6−フルオロ−2−ヒドロキシ−インダン−1−イル)−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−3−イル]−ベンゾニトリル(11d)(0.05g、0.10mmol)、K
2CO
3(83mg、0.606mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(17mg、0.005、0.015mmol)の混合物を、マイクロ波照射下で、110℃、2時間撹拌した。混合物を混合物を逆相HPLC(0.1%トリフルオロ酢酸と共にCH3CN/水による傾斜溶出)で精製し、3−[5−アセチル−1−((1R,2R)−4−シクロプロピル−6−フルオロ−2−ヒドロキシ−インダン−1−イル)−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−3−イル]−ベンゾニトリル(20a)(9mg)を得た。
R
t=1.25min(LC方法4)。検出質量:457.15[M+H
+]。
【0149】
〔実施例21〕
3−[5−アセチル−1−((1R,2R)−4−クロロ−6−フルオロ−2−ヒドロキシ−インダン−1−イル)−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−3−イル]−ベンゾニトリル(21a)
【化44】
スキーム15に基づき:ジメチルスルホキシド(2ml)中の、3−[5−アセチル−
1−((1R,2R)−4−ブロモ−6−フルオロ−2−ヒドロキシ−インダン−1−イル)−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−3−イル]−ベンゾニトリル(11d)(0.15g、0.303mmol)及びCuCl(60mg、0.606mmol)の混合物を、マイクロ波照射下で180℃、90分間撹拌した。混合物を逆相HPLC(0.1%トリフルオロ酢酸と共にCH3CN/水による傾斜溶出)で精製し、3−[5−アセチル−1−((1R,2R)−4−クロロ−6−フルオロ−2−ヒドロキシ−インダン−1−イル)−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−3−イル]−ベンゾニトリル(21a)(15mg)を得た。
R
t=1.23min(LC方法4)。検出質量:451.09[M+H
+]。
【0150】
(1R,2R)−1−[5−アセチル−3−(3−シアノ−フェニル)−4,5,6,7−テトラヒドロ−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−1−イル]−6−フルオロ−2−ヒドロキシ−インダン−4−カルボニトリル(21b)
【化45】
スキーム15に基づき:ジメチルスホホキシド(2ml)中の、3−[5−アセチル−1−((1R,2R)−4−ブロモ−6−フルオロ−2−ヒドロキシ−インダン−1−イル)−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−3−イル]−ベンゾニトリル(11d)(0.15g、0.303mmol)及びCuCN(54mg、0.606mmol)の混合物を、マイクロ波照射下で、180℃、90分間撹拌した。混合物を逆相HPLC(0.1%トリフルオロ酢酸と共にCH3CN/水による傾斜溶出)で精製し、(1R,2R)−1−[5−アセチル−3−(3−シアノ−フェニル)−4,5,6,7−テトラヒドロ−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−1−イル]−6−フルオロ−2−ヒドロキシ−インダン−4−カルボニトリル(21b)(27mg)を得た。
R
t=1.16min(LC方法4)。検出質量:442.12[M+H
+]。
【0151】
3−[5−アセチル−1−((1R,2R)−6−フルオロ−2−ヒドロキシ−4−メチルスルファニル−インダン−1−イル)−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−3−イル]−ベンゾニトリル (21c)
【化46】
スキーム15に基づき:3−[5−アセチル−1−((1R,2R)−6−フルオロ−2−ヒドロキシ−4−メチルスルファニル−インダン−1−イル)−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−3−イル]−ベンゾニトリル(21c)(10mg)を、(21b)の合成中、副生成物として得た。
R
t=1.22min(LC方法4)。検出質量:463.12[M+H
+]。
【0152】
〔実施例22〕
3−(3−シアノ−フェニル)−1−((1R,2R)−4,6−ジクロロ−2−ヒドロキシ−インダン−1−イル)−1,4,6,7−テトラヒドロ−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−5−カルボン酸 エチルアミド(22a)
【化47】
スキーム17に基づき:無水のCH
2Cl
2 中の、3−[1−((1R,2R)−4,6−ジクロロ−2−ヒドロキシ−インダン−1−イル)−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−3−イル]−ベンゾニトリル(13e)(0.03g、0.071mmol)の溶液に、0℃で、トリエチルアミン(57mg、0.564mmol)及びエチルイソシアネート(5.5mg、0.077mmol)を加えた。混合物を室温で1時間撹拌し、そして、逆相HPLC(0.1%トリフルオロ酢酸と共にCH3CN/水による傾斜溶出)で精製し、3−(3−シアノ−フェニル)−1−((1R,2R)−4,6−ジクロロ−2−ヒドロキシ−インダン−1−イル)−1,4,6,7−テトラヒドロ−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−5−カルボン酸エチルアミド(22a)(31mg)を得た。
R
t=1.99min(LC方法9)。検出質量:496.31[M+H
+]。
【0153】
〔実施例23〕
3−[1−((1R,2R)−4,6−ジクロロ−2−ヒドロキシ−インダン−1−イル)−5−メタンスルホニル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−3−イル]−ベンゾニトリル(23a)
【化48】
無水テトラヒドロフラン中の、3−[1−((1R,2R)−4,6−ジクロロ−2−ヒドロキシ−インダン−1−イル)−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−3−イル]−ベンゾニトリル (13e)(0.02g、0.047mmol)溶液に、−70℃で、メタンスルホニルクロリド(無水テトラヒドロフラン10ml中、100μl)の溶液(100μl)を徐々に滴下しながら加え、そして5分後、トリエチルアミン(21mg、0.208mmol)を加えた。混合物を、−70℃、15分間撹拌し、次いで、上記のメタンスルホニル/テトラヒドロフラン溶液の第二の部分(100μl)を加えた。混合物を−70℃、15分間撹拌し、次いで、上記のメタンスルホニル/テトラヒドロフラン溶液の第三の部分(50μl)を加えた。混合物を−70℃、3分間撹拌し、NaHCO
3水溶液でクエンチし、CH
2Cl
2で3回抽出した。混ぜ合わせた有機層を蒸発乾固させ、そして残留物を、逆相HPLC(0.1%トリフルオロ酢酸と共にCH3CN/水による傾斜溶出)で精製し、3−[1−((1R,2R)−4,6−ジクロロ−2−ヒドロキシ−インダン−1−イル)−5−メタンスルホニル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−3−イル]−ベンゾニトリル(23a)(15mg)を得た。
R
t=2.00min(LC方法9)。検出質量:503.12[M+H
+]。
【0154】
次のLC方法は、典型的な実施態様を分析するために使用された:
次の略号、ギ酸に対してFA、トリフルオロ酢酸に対してTFA、アセトニトリルに対してACNを用いた。
LC方法1
固定相:Waters UPLC BEH C18;2,1×50mm;1.7μ;
傾斜溶出:H
2O+0.05%FA:ACN+0.035%FA=95:5(0min)〜5:95(1.1min)〜5:95(1.7min)〜95:5(1.9min)〜95:5(2min);
流速:0.9ml/min;55℃;
LC方法2
固定相:Waters XBridge C18;4.6×50mm;2,5μ;
傾斜溶出: H
2O+0.1%FA:ACN+0.1%FA=97:3(0min)〜40:60(3.5min)〜2:98(4min)〜2:98(5min)〜97:3(5.2min)〜97:3(6.5min);
流速:1.3mL/min;
LC方法3
固定相:Waters XBridge C18;4,6×50;2,5μ;
傾斜溶出: H
2O+0.05%TFA:ACN+0.05%TFA=95:5(0min)〜95:5(0.2min)〜5:95(2,4min)〜5:95(3,2min)〜95:5(3,3min)〜95:5(4,0min);
流速:1,7ml/min;40℃;
LC方法4
固定相:Waters UPLC BEH C18;2,1×50mm;1.7μ;
傾斜溶出: H
2O+0.1%FA:ACN+0.08%FA=95:5(0min)〜5:95(1.1min)〜5:95(1.7min)〜95:5(1.8min)〜95:5(2min);
流速:0.9 ml/min;55℃;
LC方法5
固定相:Waters XBridge C18;4,6×50;2,5μ;
傾斜溶出: H
2O+0.05%TFA:ACN+0.05%TFA=95:5(0min)〜95:5(0.2min)〜5:95(2,4min)〜5:95(3,5min)〜95:5(3,6min)〜95:5(4,5min);
流速:1,7ml/min;50℃;
LC方法6
固定相:Waters XBridge C18;4,6×50,2,5μ;
傾斜溶出: H
2O+0.05%TFA:ACN+0.05%TFA=95:5(0min)〜5:95(2,6min)〜5:95(3,0min)〜95:5(3,1min)〜95:5(4.0min);
流速:1,7ml/min;40℃;
LC方法7
固定相:Merck Chromolith fast Grad RP/18e;50×2mm;
傾斜溶出: H
2O+0.05%TFA:ACN+0.05%TFA=98:2(0min)〜98:2(0.2min)〜2:98(2.4min)〜2:98(3.2min)〜98:2(3.3 min)〜98:2(4 min);
流速:2ml/min;50℃;
LC方法8
固定相:Waters XBridge C18;4,6×50;2,5μ;
傾斜溶出: H
2O+0.05%TFA:ACN+0.05%TFA=95:5(0min)〜95:5(0.3min)〜5:95(3.5min)〜5:95(4min);
流速:1.3ml/min;40℃;
LC方法9
固定相:Waters UPLC BEH C18 2,1×50mm;1.7μ;
傾斜溶出: H
2O+0.05%FA:ACN+0.035%FA 98:2(0min)〜5:95(2min)〜5:95(2.6min)〜95:5(2.7min)〜95:5(3min)
流速:0.9 ml/min 55°
LC方法10
固定相:0.2μl;10×2 0;LunaC18;3μ;
傾斜溶出: 0min−93%H
2O(0.05%TFA)−1.0min−95%ACN;95%ACN−1.45min;7%ACN−1.50min;
流速:1ml/min;55℃;
【0155】
Xenopus卵母細胞中のTASK−1チャネルに対する活性の測定:
ヒトTASK−1チャネルはXenopus卵母細胞中に発現した。このために、卵母細胞をアフリカツメガエルから分離してデフォリクレート化した。次いで、インビトロで合成したTASK−1コード化RNAを卵母細胞に注入した。TASK−1タンパク質発現の2日後に、TASK−1電流を2微小電極ボルテージクランプ法によって測定した。データを取得して、そしてITC−16インターフェース(Instrutech Corp., Long Island, USA)及びパルスソフトウェア(HEKA Elektronik, Lambrecht, Germany)に接続したTEC−10cx増幅器(NPI Electronic, Tamm, Germany) を用いて解析した。卵母細胞を−90mVにクランプし、そしてTASK−1媒介電流を 500ms電圧パルス間で40mVまで測定した。卵母細胞を、NaCl96mM、KCl2mM、CaCl
21.8mM、MgCl
21mM、HEPES5mM(NaOHでpHを7.4に調整)を含有するND96緩衝液で連続的に過融解した。すべての実験は室温で行った。
【0156】
試験物質は上昇濃度で連続的に浴溶液に加えた。化合物の効果を化合物適用前のTASK−1制御電流の百分率阻害として算出した。IC
50値は一般的用量反応方程式にデータを当てはめることによって得た。
【0157】
下記の製品/化合物は、上記の実施例のようにして得られたそれぞれの形態(塩又は遊離塩基)を使用することによって前記アッセイで試験し、そして下記の活性を測定した(IC
50(表10)又は5μMでの阻害%(表11)):
【0158】
【表28】
【0159】
【表29】
【0160】
ブタでの不応期及び左心房脆弱性の検討:
文献記載のように麻酔ブタの不応期の延長及び心房に対する抗不整脈活性について化合物を試験した(Knobloch et al. 2002. Naunyn-Schmiedberg's Arch. Pharmacol. 366; 482-487)。ここでは、抗不整脈作用は、左心房における早期に設定された過剰刺激(S2)によって誘導される不整脈のエピソード発生の阻害に関する(=左心房脆弱性)。不応期値は注射の15分後での基礎値のパーセントで表される。不応期の平均値は3つの変化率(150、200及び250/分)から示される。不整脈のエピソードの阻害に対する阻害値は、投与前の3測定値(3時点)vs.化合物投与後の第1時間中の3測定値をいう。
【0161】
1mg/kgのボーラス投与後の麻酔ブタにおける左心房の不応期及び抗不整脈活性に対する、3−[5−アセチル−1−((1R,2R)−6−クロロ−4−フルオロ−2−ヒドロキシ−インダン−1−イル)−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−3−イル]−ベンゾニトリル(11j)の作用が、表12に示される。表12に示される結果から、誘発不整脈の82%を抑制することが可能であったと判断される。
【0162】
【表30】